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播州地方で見かけたその他の生物



実家近辺や兵庫県内などを移動する際に見かけた、昆虫や野鳥以外の生物です。
といっても、出かけた際にちょこっと撮影しただけのため、あまり多くはないです。
今後、機会を見つけて充実させていきたいと思っています。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の生物を追加しました。
ウヅキコモリグモ、アダンソンハエトリ
また、下記の写真を追加しました。
ニホンアカガエルの卵塊とオタマジャクシ



コイ目
コイ科(コイ)
スズキ目
タイ科(クロダイ[チヌ])
ハゼ科(マハゼ)
ボラ目
ボラ科(ボラ)
トビエイ目
アカエイ科(アカエイ)
有鱗目・トカゲ亜目
カナヘビ科(ニホンカナヘビ)
トカゲ科(ニホントカゲ)
カメ目・潜頸亜目
ヌマガメ科(ミシシッピアカミミガメ)
無尾目
アカガエル科(ニホンアカガエル、トノサマガエル)
ヌマガエル科(ヌマガエル)
アマガエル科(ニホンアマガエル)
コウモリ目
ヒナコウモリ科(アブラコウモリ[イエコウモリ])
ネズミ目
ヌートリア科(ヌートリア)
 
クモ目・クモ亜目・クモ下目
ユウレイグモ科(イエユウレイグモ)
アシナガグモ科(アシナガグモ、コシロカネグモ、チュウガタシロカネグモ)
コガネグモ科(オニグモ、ヤエンオニグモ、ドヨウオニグモ、ヤマシロオニグモ、
       ワキグロサツマノミダマシ、コガネグモ、ナガコガネグモ)
ジョロウグモ科(ジョロウグモ)
ヒメグモ科(シロカネイソウロウグモ、シロホシヒメグモ)
アシダカグモ科(アシダカグモ)
カニグモ科(ハナグモ)
コモリグモ科(ウヅキコモリグモ)
ササグモ科(ササグモ)
ハエトリグモ科(アダンソンハエトリ、ヤガタアリグモ、ヤサアリグモ)
エビ目・エビ亜目・カニ下目
ベンケイガニ科(アカテガニ、クロベンケイガニ)
モクズガニ科(モクズガニ)
エビ目・エビ亜目・コエビ下目
ヌマエビ科(ヌマエビ科の1種)
エビ目・エビ亜目・ザリガニ下目
アメリカザリガニ科(アメリカザリガニ)
ワラジムシ目・ワラジムシ亜目
フナムシ科(フナムシ)
無甲目
ホウネンエビ科(ホウネンエビ)
双殻目・カイエビ亜目
カイエビ科(カイエビ)
オオムカデ目
オオムカデ科(トビズムカデ)
オビヤスデ目
ヤケヤスデ科(ヤマトアカヤスデ)
 
有肺類・真有肺目・コウラナメクジ上科
コウラナメクジ科(チャコウラナメクジ)
有肺類・真有肺目・リンゴマイマイ上科
オナジマイマイ科(オナジマイマイ)
腹足網・原始紐舌目・リンゴガイ上科
リンゴガイ科(スクミリンゴガイ)
 
吻無蛭目・イシビル形亜目
イシビル科(シマイシビル)
 
旗口クラゲ目
ミズクラゲ科(ミズクラゲ)
播州地方で見かけたその他の生物
和名インデックス


コイ(Cyprinus carpio)
<コイ目・コイ科・コイ亜科・コイ属>

もともとは中央アジア原産とされるが、現在は、世界中に分布している。
日本では、化石が発見されており、古来より生息していたものとされている。
コイには、ノゴイと呼ばれる体高の低いものと、養殖、放流される体高の高いものがいる。
前者が、古来より分布していたもので、遺伝子的に種レベルの差異が報告されている。
体長は、多くは60cm程度までであるが、1mを越すものも報告されている。

2020/8/14
ダイサギを追って、川の対岸へ移動した際、橋の下に大きな魚の群れがいました。
最初、ボラの群れかと思ったのですが、ボラにしてはスマートすぎます。
見た目、スズキのようにも見えますが、下に下りて確認することにしました。


2020/8/14
その結果ですが、なんと大きなコイの群れだと分かりました。
満潮時には海水が入り込む汽水域なので、今までコイは見たことがなかったので、初見となります。
それにしても、どこからコイが集まってきたのか、増水時に上流から流れて来たのでしょうか。


2020/8/14
少し上流側に移動すると、ボラの群れと入り混じっていました。
クロっぽいのがコイで、白っぽいのがボラになります。
コイは体高があるのに対して、ボラは扁平気味なので、色以外に頭部を見れば識別できます。
なお、この写真のコイは小さめなのですが、同じような大きさのものがたくさんいました。


2020/11/23
こちらはコイとクロダイ/チヌの2ショットです。
ボラは汽水域に多いので珍しくないかもしれませんが、クロダイとの取り合わせは珍しいかも。
このクロダイ、40cmクラスの大きな個体ですが、コイが70〜80cmあるので小さく見えます。


2021/5/14
自宅近くの川岸を歩いていると、黒い襤褸切れのようなものが目にとまりました。
何だろうと覗き込むと、巨大なコイの尾鰭だと分かりました。見たことがないくらいでかい!
その時付けていた100mmマクロでは、全体が収まり切れません。
クロダイとの2ショットを撮ったコイと、同じ個体の可能性が高いと思います。
右は、散歩の帰りに通った橋の上から見かけた同じ個体と思われるコイです。
最初に見かけた場所の対岸辺りで、距離は30mほどの所になります。

クロダイ/チヌ(Acanthopagrus schlegelii)
<スズキ目・タイ科・ヘダイ亜科・クロダイ属>





タイ科クロダイ属に属する在来種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州に分布する。南西諸島には分布しない。
海外では朝鮮半島から台湾までの沿岸域に分布する。
体長は70cmを超える大型魚であるが、漁獲対象となるのは30cm程度までである。
背側と鰭膜は黒色で、これが和名の由来。腹側は白で、体側は銀色に光る灰色。
なお、体側には不明瞭な縦縞があるものが多い。
体形は、典型的なタイの体系であるが、マダイより口が前に突き出す。
背鰭は11棘条と11軟条、尻鰭は3棘条と8軟条からなり、第2棘条は強大。
側線鱗数は48〜56個で、背鰭と側線間の鱗は6〜7列ある。
タイ科の大型魚で、水深50m以浅の沿岸域に生息するのは珍しい。
河口の汽水域から淡水域まで遡上することがあり、環境適応力は高い。
冬は深みに移動するが、夏場には水深1〜2mの浅場に来ることもある。
成長によって性転換するが、一般的なメス→オスではなく、オス→メスに性転換する。
出世魚でもあり、関東ではチンチン→カイズ→クロダイと変わる。
関西では、ババタレ→チヌ→オオスケと変わる。

2020/11/22
川沿いを散歩中、河川敷に下りて橋の下を通った際、黒い大きな魚影に気が付きました。
目で見ても、黒い魚影のみで、なんだか判断しかねましたので、写真を撮ってみました。
それが上段の写真ですが、この写真はコントラストなど調整して見やすくしてあります。
黒っぽい魚と白っぽい魚の2種類が確認できましたが、種類までは分かりませんでした。
橋の下から出て、明るい所に行ったとき、遠くに見えたのが中段の写真です。
見た目の体形から、スズキかもしれないと思いました。
引き返す途中、比較的近くで撮影できたのが下段左の写真です。スズキではありません。
縦縞が見えたので、一瞬、イシダイかと思ったのですが、こんな所に居るわけがありません。
橋の下を通ったとき、橋桁近くに真っ黒に見える魚がいましたが、これもなんだか不明です。
後で調べていて、これらは全てクロダイ/チヌだと分かりました。
黒いのは名前の通りなのですが、縦縞の見られるものも多いとのこと。
大きいものでは40cmほどはありそうでしたが、多くは30cm前後と思われます。
それにしても、かなりの数のクロダイが引き潮で浅くなった川の中を泳ぎ回っていました。
釣りをしていた方に釣果を聞いたのですが、釣れないとのこと。
見える魚は釣れないと言いますが、こち側も丸見えですので、釣るのは難しいでしょうね。




2020/11/23
翌日、今日も居るかと見に行くと、いるいる。そこここで魚影が見られます。
上段は、30cmクラスの魚が群れて泳いでいたもので、色の違いが良く分かります。
このとき、アジの群れのようなものが通り過ぎていったのですが、撮り逃がしました。
下段は、橋の上から見たもので、真下をぐるぐると泳ぎ回っていました。
その時、40cmクラスの方が石のような物に噛り付き、体を横向きにしてくれました。
このアングルだと、タイらしい体形であることが良く分かります。
なお、小さい方は30cmクラスで、縞模様が比較的鮮明な個体でした。


2020/11/23                  2020/11/23   .
この30cmと40cmの2匹ですが、小さい方が付かず離れず周りをぐるぐると泳いでいました。
その時、のそっと大きな魚影が近づいてきました。70〜80cmはあろうかというコイです。
淡水魚のコイと海水魚のクロダイという、あまり見かけない2ショットとなりました。
40cmクラスのクロダイが小さく見えてしまいます。


2021/8/31
5月くらいから見かけるようになったのですが、透明度が悪くて写真は撮れていませんでした。
それでも、毎度、ルアーを使って釣りをしている方を見かけますし、釣れているとのこと。
この日、川縁を散歩していると30cmほどのクロダイを直ぐ際で見かけました。
また、橋桁近くの浅くなっている所にクロダイが集まっていて、10匹ほど確認できました。


2021/10/2
実家近くの川沿いを散歩中、橋の下でクロダイ(チヌ)の群れに出会いました。
夏に比べれば、川の透明度も多少良くなって、水面下数十cmまで見えるようになっていました。
そのためでしょうか、群れの数は写っている範囲で15匹、おそらくその倍くらいは居たのでは。

マハゼ(Acanthogobius flavimanus)
<スズキ目・ハゼ亜目・ハゼ科・ゴビオネルス亜科・マハゼ属>

ハゼ科マハゼ属に属する在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州、種子島までぶんぷしている。
海外では、沿海地方、朝鮮半島、中国まで分布する。
カリフォルニアやオーストラリアでも確認されているが、自然分布ではないと考えられている。
体長は一般には15cm前後であるが、中には25cmに達するものもいる。
体は細長い円筒形で、吻は前方に丸く突き出ていて、上顎が下顎より多少前に出る。
背中側は灰褐色で、体側には黒い斑点が並び、縞状になる。腹側は白い。
背鰭と尾鰭には軟条に沿って黒い点が点線状に並ぶが、尾鰭の下方には斑点はない。
波の穏やかな内湾や汽水域の砂泥底に生息する。
砂泥底に腹を付けて生活する底生魚で、胸鰭を羽ばたかせるように動かして移動する。

2020/11/23
クロダイを追っているとき、何度かマハゼが慌てて逃げる様子が確認できました。
子供の頃はたくさんいて、学校から帰るとよくハゼ釣りをしていました。
釣ったハゼは、焼いてから天日干しにして、出汁をとる煮干しの代わりに使っていました。

余談ですが、一緒に良く釣れたのが、セイゴ(スズキの子供)とチンチン(チヌの子供)です。
なお、理由は分かりませんが、私は関東の呼び名であるチンチンを使っていたと思います。
これらは20cm前後で、煮つけや焼き魚になっていました。おいしかった記憶があります。

ボラ(Mugil cephalus)
<ボラ目・ボラ科・ボラ属>

2012/8/12                  2012/8/12

         2017/4/4                    2017/4/4
ボラ目ボラ科の魚で、ほぼ全世界の熱帯・温帯に広く分布する大型魚。
日本では、北海道以南に広く分布している。
河口や内湾の汽水域に多く生息し、同じような大きさの個体が集まって群れをつくる。
基本は海水魚であるが、幼魚は淡水域に遡上する。
水面近くを泳ぎ回り、水面から高くジャンプする。

ボラは出世魚であり、大きくなるにつれて下記のように名前が変わるが、地方によって異なる。
また、名前は、大きさがおおよそ〜3cm、〜10cm、〜15cm、〜25cm、〜40cm、40cm〜で変わる。
関東 : オボコ→イナッコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド
関西 : ハク→オボコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド
2012/8/12
上段は、比較的小さくて「イナ」クラスの大きさです。上段右はジャンプしたところです。
ジャンプするのは分かっていても、その場所が分からないので、写真を撮るのは運と感が必要です。
下段は、翌春になって「ボラ」かそれ以上のクラスになったもので、カラスミ造りには良いサイズです。

実家近くの川では、子供の頃からイナ、ボラが非常の多く見られました。
舟に乗っていて、川面を叩くとイナが一斉に飛び出して、船の中に飛び込んでくるほどです。
その頃、川岸からハゼやセイゴ(スズキの幼魚)などが良く釣れましたが、イナやボラは釣れません。
釣れないのはハゼなどと食性が異なるためと思いますが、かぎ針でのひっかけ釣りが行われていました。
たまに釣れることもあるようですが、泥臭くて食べられないと言われていました。


2020/8/14
川の合流部で、いつもこの場所にはボラがたくさん集まっています。
この日も数十匹は群れていたと思います。水の流れに向かうように群れていました。


2020/8/14
合流部以外にいる方が大きくて、40cm以上ありそうなものはほぼ単独行動です。
それより少し小型の30cmくらいのものは群れて行動しています。


2021/2/1
秋にはチヌ(クロダイ)などがよく見られた川ですが、この時期は、見事に何も見られません。
河口の方に向かって散歩し、その帰り道、ふと川をのぞき込むと、ボラが採餌中でした。
俗に寒ボラと呼ばれる脂がたっぷりのったもので、おいしいと言われています。
上記の夏に見られたものと比較して、ぽっちゃりと丸みのある体形ですね。
大きさは40cm近くあったのではないでしょうか。悠々と採餌を続けていました。


2021/3/21
実家近くの川沿いを散歩中、河川敷に下りて橋の下を通った際、黒い大きな魚影に気が付きました。
ス〜っと離れていったとき、その魚体の形や縞模様でクロダイと分かりました。
晩秋にはよく見かけたクロダイですが、冬には全く見られなくなり、早春の今も見られませんでした。
春になって戻ってきたのかもしれません。と、その時、川面にさざ波がたったのに気付きました。
よく見ると、1cmにも満たないような小魚の大群が、水面近くにうようよ居ました。
魚の種類までは分からなかったのですが、この辺りに多いボラの稚魚(ハク/オボコ)と思われます。


2021/4/19
少し暖かくなってきたからか、大型の魚をちらほらと見かけるようになってきました。
近づくと逃げてしまって、なかなか写真は撮れないのですが、このボラは撮らせてくれました。
チヌ(クロダイ)も姿を見せていたのですが、あっという間に潜られてしまいました。


2021/8/31
実家近くの川縁を散歩中、川面がざわついている所がありました。
よく見ると、小さな魚の群れが水面ぎりぎりの所を泳ぎ回っていて、それがざわつきの原因でした。
大きさは10cmに満たないのですが、頭部が幅広のスタイルからボラの稚魚と思われます。
おそらく、春先に見かけたボラの稚魚(ハク/オボコ)が成長した姿(オボコ/イナッコ)と思われます。


2021/9/13
実家近くの川沿いを散歩中、ボラ(イナもいる)が盛んにジャンプしているのに気が付きました。
20cm前後のイナから40cmクラスのボラまでが、さまざま場所でジャンプしています。
写真撮るチャンスと、カメラを構えたは良いのですが、ジャンプする場所の予想がつきません。
水面のざわつきなどから予想を立てて待ち構えるのですが、予想が当ったのは1回切りでした。
それが上記の写真ですが、横向きにジャンプしたようで、黒っぽい背面が見えています。
銀鱗を光らせながらジャンプするのを2回見たのですが、予想が外れて撮れませんでした。


イナ(ボラ)のジャンプ

   .

これは、多摩川で撮影することができたイナのジャンプです。
盛んにジャンプしているのが見えたので、その方向にレンズを向けて待ち構えて撮りました。
ただ、ジャンプするのを見てからシャッターを切ると、タイムラグで飛び出すところは撮れません。
飛出し点は、写真右端中央辺りの泡立った所で、約45°の角度で飛び出し、水平に着水しています。
連写で撮っていますが、枚数からみて飛出しから着水までの時間はおよそ1秒ほどです。


アカエイ(Dasyatis akajei)
<トビエイ目・アカエイ科・アカエイ属>

アカエイ科アカエイ属に属するエイで、在来種。
日本では、北海道南部以南の沿岸域に広く分布し、海外では東アジアの沿岸域に分布する。
体長は尾も含めると2mに達する。座布団のような平たい体形で、胸鰭は緩やかな曲線を描く。
背面は赤褐色〜灰褐色で、腹面は白い。鰭や尾などの辺縁部が黄色〜橙色になる点が特徴。
背面に目とその後方に噴水孔があり、腹面に鼻孔、口、5対の鰓裂(さいれつ)、総排出腔がある。
背中の正中線に沿って小さな棘が並び、尾に続く。尾はしなやかな鞭状で、背面に短い刺が並ぶ。
この尾には、特別に大きな棘が1〜2本近接して並ぶが、この棘には毒腺がある。
刺されると激痛が走り、数週間も痛みが続く。また、アナフィラキシーショックで死亡することもある。
浅い海の砂泥底にに生息するが、河口などの汽水域に侵入することもある。
普段は、砂底に浅く潜り、目と噴水孔と尾だけを出していて、泳ぐときは胸鰭を波打たせて進む。
他の軟骨魚類と同様、卵胎生で、春から夏にかけて浅海で出産(稚魚は10cm前後)する。

2020/11/22
橋の下で黒い魚影が何なのか、ウロウロしながら撮っていると、アカエイが突然現れました。
上流の方から、数m先の水面ぎりぎりを下流の方に、悠然と鰭を波打たせて泳いでいったのです。
このとき、アカエイの名前の由来を理解しました。今までこのような色の個体は見たことがありません。
記憶にあるのは、右の写真のように灰褐色というか赤味がかったような色ではなかったと思います。
体長は体部分は20cmほどで、尾を入れて60cm前後だったと思いますので、まだ、子供ですね。
右の写真は、対岸に行ったときに見た、水底近くを泳いでいったアカエイです。


2021/6/24
実家近くの川沿いを散歩中、橋を渡っているとアカエイが川を遡ってきました。
鰭を波打たせて、悠然と泳いで行きます。アカエイは水面近くを泳ぐことが、ままあるようですね。


2021/6/24
そのアカエイに、コイが後ろから近づいてきました。
そこに別のコイが正面から近付いて行き、アカエイとコイのスリーショットになりました。
最後に現れたコイは、この辺りの主のようなコイで、体長は70〜80cmほどあります。
そこからの推定ですが、アカエイは前回見たものと同じくらいの60cm前後と思われます。
チヌ(クロダイ)とコイのツーショットとと言い、汽水域ならではのショットですね。
この後、アカエイは徐々に潜って行って、見えなくなってしまいました。

ニホンカナヘビ(Takydromus tachydromoides)
<有鱗目・トカゲ亜目・スキンク下目・カナヘビ科・カナヘビ亜科・カナヘビ属>

日本の固有種で、北海道から九州、四国、種子島まで、広く分布している。
全長は20cm前後になり、尾が全体の2/3程を占める。ニホントカゲより、相対的に尾は長い。
鱗には光沢がなく、表面はザラザラして乾いた感じに見える。
背面の鱗は特に大きく、1本の強い稜線があるため、背面全体を前後に走る隆条が形成される。
隆条は普通6本あり、両外側の隆条が最も強い。舌は先が2つに分かれている。

2022/6/18
網引湿原からの帰り道、第1湿原の獣害防止ゲートの手前で、足元にニホンカナヘビを見つけました。
逃げるわけでもなく、ジッとしていたので、比較的近くから撮ることができました。


2022/8/27
第1湿原を出て第2湿原に向かう途中、足元をニホンカナヘビが横切って行きました。
通路脇の落ち葉の上で止まったので撮影したのが上記の写真ですが、よく見ると尻尾がありません。
短くてクロっぽいものが付いていますので、自切した尻尾が再生している途中のようです。
再生は、切断後10〜14日経って始まるそうなので、それより1週間ほど経過しているようです。


2023/5/4
網引第1湿原の木道やその側で、ニホンカナヘビがのんびりと日光浴をしていました。
比較的小型の個体と、そこそこの大きさになった個体、足音で逃げて行った個体もいました。
この時期、ほとんど人が入ってくることがないので、木道周りは人気のようです。


2023/7/25
網引第2湿原の遊歩道脇で、ニホンカナヘビが葉の上で、じっとこちらの様子をうかがっていました。
近づいても逃げなかったので、かなり接近して写真を撮ることができました。

ニホントカゲ(Plestiodon japonicus)
<有鱗目・トカゲ亜目・スキンク下目・トカゲ科・トカゲ属>

トカゲ科トカゲ属に分類されるトカゲで、在来種。
以前は、日本に生息する3種(ヒガシニホントカゲ、ニホントカゲ、オカダトカゲ)は、同一種とされていた。
これらは外見がそっくりで、見分けがつかなかったためだが、DNA解析から2012年に3種に分類された。
東日本に分布するヒガシニホントカゲとは、若狭湾から琵琶湖を通り、
三重県内で中央構造線沿いに西走して和歌山県に抜ける分布境界線で分かれている。
また、伊豆半島から伊豆諸島にかけては、オカダトカゲが生息している。
体長は16〜25cmで、胴体中央部の斜めに列になった背面の鱗の数(体列鱗数)は26である。
幼体の体色は、黒や暗褐色で5本の明色の縦縞が入り、尾はメタリックブルーである。
成体のオスは褐色で、体側面に茶褐色の太い縦縞が入る。繁殖期には側頭部から喉、腹部が赤みを帯びる。
メスは幼体の色彩を残したまま成熟することが多い。

2022/8/27
網引湿原からの帰り道、第1獣害防止ゲートの手前で、ニホントカゲを見かけました。
この個体は、体色や側面の茶褐色の太い縦縞から、オスの成体です。
見かけは、関東で見かけるヒガシニホントカゲと全く同じで、外見での区別はできません。
この場所が分布境界線の西側になるというのが、唯一の判断材料です。


2023/5/4
第1湿原の獣害防止ゲートを入った所にある木道の角の所に、ニホントカゲがいました。
近づくとゆるゆると逃走体制に入って、こちらの様子をうかがっていました。
尾がメタリックブルーで小さめの個体でしたので、おそらく幼体だと思います。

ミシシッピアカミミガメ(Trachemys scripta elegans)
<カメ目・潜頸亜目・リクガメ上科・ヌマガメ科・アカミミガメ亜科・アカミミガメ属>

アメリカ合衆国、メキシコ原産で、日本には輸入され、野生化している。
幼体はミドリガメの商品名で夜店等で売られたこともあり、各地に広がっている。
甲長は28cmほどで、オスよりメスの方が大きくなる。
背甲は緑色(淡緑色〜濃緑色で変異あり)で黄色く細い複雑な筋模様が入る。
腹甲は、甲板毎に大きな暗色斑が入り、斑紋がつながる個体もいる。
頭部、四肢、尾は、濃緑色〜灰緑色で、黄色い縦縞は細い。
眼後部から鼓膜上部にかけて赤や赤橙色の太い筋模様が入るのが特徴で、これが和名の由来。

2022/5/3
実家近くの小川の畔を歩いていると、ドボンドボンと大きな音がします。
見ると、ミシシッピアカミミガメが、人の気配を察知して、川に飛び込んだ音のようです。
後日、飛び込むところを撮ろうと出かけて、撮ったのが上記の写真です。
甲羅干しをしていた6匹のミシシッピアカミミガメの内の1匹が、滑るように落ちていきました。
この後、連鎖反応のように、次々と水に飛び込んでいって、あっという間にいなくなりました。


2022/5/3
飛び込んだ後は、水面から頭を出してこちらの様子をうかがいながら泳いでいました。
大丈夫だと判断すると、石垣の方に泳いで行って、石垣をよじ登って行きます。
おそらく上りやすい場所が決まっているのでしょう。ほぼ同じ場所に上って行きます。


2022/5/3
このミシシッピアカミミガメもやっと上りきった所で、様子をうかがっていました。
シャッターに指を掛けた刹那、ドボンと水に落ちて行きました。
ミシシッピアカミミガメは、ほんとうに警戒心が強いですね。対岸の人影に反応します。


2022/7/16
実家近くの川沿いを散歩中、川底を何かが動いたのに気が付きました。
何だろうと覗き込むと、それは比較的大きなミシシッピアカミミガメでした。
川岸に上がれるような場所のない大きな川なのですが、やはり居ましたね。
生息条件は良くないのですが、以前から居るかもしれないと思ってはいました。
ちょっと上流の方に行くと、生息条件はかなり良くなるので、流れてきたのかもしれません。
私が川岸を歩いたので、岸から離れるように移動したようです。
しばらく様子を見ていましたが、相手もこちらを窺っているようで、目が合ってしまいました。

ニホンアカガエル(Rana japonica)
<無尾目・カエル亜目・アカガエル上科・アカガエル科・アカガエル亜科・アカガエル属>

アカガエル科アカガエル属に属するカエルで、日本固有種。
日本では、本州から四国、九州、隠岐・壱岐・大隈諸島などの周辺島嶼に分布する。
体長は34〜75mmで、背面は赤褐色で、成体の腹面は鮮やかな橙色である。
背中の左右に、黄色い背側線が真っ直ぐ平行に通っているのが特徴。
体重は4〜40gで、メスの方がオスよりずっと大きくなる。
また、オスの前脚はとても太く(メスをしっかり抱くため)、親指の辺りに大きな婚姻球がある。
肉食系で、湿った草原等の地表で、昆虫を中心とした地表性の小動物を捕食する。
口幅に対して、比較的小さな食物を好む傾向がある。
普段は草原や森林、平地、丘陵地等の地上で、単独で暮らす。
産卵は1月〜3月と早く、水田(湿田)や湿地に500〜3,000個を産卵する。
なお、繁殖期が終わると、落葉の下などで再び冬眠する。
近年、水路のコンクリート化などの影響を受けて生息域の分断や環境変化で減少傾向にある。

2022/4/30
網引湿原第2湿原に入った所で、女性が何かを熱心に撮影されていました。
何を撮影されているのか聞くと、アカガエルと思われるものを撮影されているとの事。
これはアカマガエルかと聞かれたのですが、私も色から見てそうだと思うとしか答えられませんでした。
以前、ヤマアカガエルは見たことがあるのですが、ニホンアカガエルは見たことがありません。
後で調べるとニホンアカガエルには、よく似たヤマアカガエルとタゴガエルが要るようです。
腹面を見られれば一目瞭然なのですが、背面からは背側線を見るしかないようです。
ヤマアカガエルの背側線は、鼓膜の後で外側に大きく曲がり、背面で折れ曲がるのが特徴。
タゴガエルの背側線も鼓膜の後で外側に大きく曲がり、上唇に黒い斑点が多数ある。
このカエルは、背側線がほぼ平行に走っているので、ニホンアカガエルで間違いはないようです。


2022/8/27
網引湿原第1湿原を出て駐車場に戻る途中、林内の小川の畔に降りた時です。
足元から何かが跳び出てきました。何だと見ると、ニホンアカガエルでした。
前回見たものはポッチャリしていましたが、かなりスリムな体形です。
なお、ニホンアカガエルのオスはメスに抱き着くために、前脚がかなり太いのが特徴です。
この個体の前脚はかなりスリムで婚姻球もないので、今年生まれたメスと思われます。


2023/5/4
網引第3湿原の突き当り近くでヒメハギの写真を撮っていると、ニホンアカガエルが出てきました。
近くに潜んでいたのでしょうか、私が撮るためにゴソゴソ動いたので出てきたみたいです。
草むらの中でしたので、周りの草の葉などが邪魔して全体が撮りづらかったのです。
それでも全体の様子は分かると思いますが、体の斑紋が非常の淡い個体でした。
1月〜3月の繁殖期後、再び冬眠するそうですが、その冬眠開けなのか動きが緩慢でした。


2023/5/18
バイオトイレで用を済ませて出てきた所で、足元を小さなカエルがピョンピョン飛んでいきます。
カメラを近づけると逃げてしまうので、しばらくカエルとの追いかけっこです。
何とか撮影できましたが、個体によって色味や模様が異なるのは個体差でしょうか。
背中の左右にある黄色い筋が、真っ直ぐ平行に通っているので、ニホンアカガエルの幼体と思われます。
親が産卵後に再び冬眠に入っている間に、卵がオタマジャクシになり、それがカエルになったみたいです。
目測でしかありませんが、幼体なので親の半分くらいの大きさに見えました。



2024/3/16
網引湿原の駐車場からバイオトイレに向かう途中、側溝内にボヨボヨしたカエルの卵塊が見えました。
下りて行って、確認すると卵塊の上や中に小さなオタマジャクシ(下段)が見えていました。
側溝の先にあった桝を覗くと、少し大きくなったオタマジャクシがウヨウヨ(上段右)。
なお、確認できた卵塊にチューブ状のものはなかったので、ニホンヒキガエルではないと思います。
可能性があるのは、ニホンアカガエルとヤマアカガエルで、その両者かどちらかでしょう。


2024/3/16
黒っぽいものと茶色っぽいものが多い中、一回り大きく白いゴマ振り模様の個体が見えます。
これはアカガエルのオタマジャクシの特徴ですが、背中にある一対の黒斑は見られません。
黒っぽいものと茶色っぽいものも、一回り大きくなるとこのようになるのでしょう。
両者の中間的な大きさのオタマジャクシには、うっすらとゴマ振り模様が見えています。
なお、昨年、ここで確認できたのはニホンアカガエルでしたので、その可能性が高いと思います。
ヤマアカガエルの背中には1対の黒斑がないのですが、ニホンアカガエルでも不明瞭なことがあるそう。
産卵後、1週間以内であれば、すくい上げたときに形状が保たれていればニホンアカガエル。
卵塊が崩れ落ちてしまうようであればヤマアカガエルだそうです。
見かけた卵塊は、既に1週間以上経っていると思えますので、この方法での判別は無理でしょう。




2024/3/16
網引第2湿原の水の流れのある所にも多くの卵塊が見られました。
側溝で見かけたものと同じだと思いますが、比較的新しい卵塊もあるようでした。
下段左がそうで、汚れが付いておらず、黒い卵がきれいに見えています。
右は時間が経過した卵塊で、汚れが付いているのに加え、卵から孵った幼生が見えています。


ニホンアカガエルとヤマアカガエル

   .
<ニホンアカガエル>         <ヤマアカガエル> .
同じ向きから撮った写真があればよかったのですが、これしか手元にないのでご容赦ください。
向きは逆ですが、背側線の違いは良く分かると思います。
ニホンアカガエルはほぼ平行に真っすぐ伸び、ヤマアカガエルは波打って、眼の後で外に曲がっています。
生息環境の影響を強く受けるニホンアカガエルの個体数は減ってきていて、合える機会は少ないようです。
一方、山地に住み、環境変化が少ないヤマアカガエルの個体数は減っていないそうです。


トノサマガエル(Pelophylax nigromaculatus)
<無尾目・カエル亜目・アカガエル上科・アカガエル科・アカガエル亜科・トノサマガエル属>

アカガエル科トノサマガエル属に属するカエルで、在来種。
以前はアカガエル属だったが、最近ではトノサマガエル属として扱うことが主流となっている。
日本では、本州(関東平野から仙台平野にかけてを除く)から四国、九州に分布する。
なお、北海道の一部には人為的に持ち込まれたものが定着している。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア沿海州に分布する。
産卵期は4月〜5月で、6月〜9月に小ガエルに変態し、10月頃まで見られる。
体長は、オスで31〜81mm、メスで63〜94mmになり、メスの方が大きい。
雌雄で体色が異なり、オスは背面が茶褐色から緑色で、メスは灰白色である。
背面に黒い斑紋があり、斑紋同士がつながっていることが多い。
背側線は明瞭で、左右の背側線の間には平行に並ぶ棒状の隆起がある。腹面は雌雄ともに白色。
繁殖期のオスでは、斑紋が不明瞭になって全体的に体色が灰黄色〜灰黄緑色に変わる。
メスは灰色の正中線上に地色に応じた明瞭な淡色の線条が生じる。
繁殖期には、オスは水田などに集まり、夜間、鳴嚢を風船のように膨らませて大きな声で鳴く。
これはメスを誘うと同時に、縄張り宣言の意味を持ち、他のオスが侵入すると追い払う。
この縄張りは、繁殖期だけの一時的なもので、繁殖期が過ぎると縄張り争いは無くなる。
なお、縄張りを作らないオス(サテライトと呼ばれる)もいて、縄張りに近づくメスを横取りする。

202 2023/7/18
奥池の畔を歩いていると、足元から大きなカエルが飛び出してきました。
トノサマガエルっぽいのですが、緑色に見える部分がなく、後で調べるとメスだと分かりました。
私のイメージとしては、体色に緑色が入っていたのですが、それはオスの特徴とのこと。
たしかに、田んぼで鳴いているのは縄張りを持ったオスで、それがイメージとして残っていたんですね。
背面中央の線条は、オスでは緑色で、メスでは淡黄色になるようです。

ヌマガエル(Fejervarya kawamurai)
<無尾目・カエル亜目・アカガエル上科・ヌマガエル科・ヌマガエル亜科・ヌマガエル属>

ヌマガエル科ヌマガエル属に属するカエルで、在来種。
日本では本州中部以西から四国、九州、奄美諸島、沖縄諸島に自然分布する。
西日本の水田でよく見られる南方系のカエルであるが、
1990年代頃から関東地方や対馬、壱岐島、五島列島でも確認され、国内外来種となっている。
海外では、中国の中部〜北部と台湾に分布する。
体長は3〜5cmで、メスの方がオスより大きい。
背中は灰褐色の斑模様であるが、中央に白い背中線(はいちゅうせん)のある個体もいる。
背中には小さないぼ状突起が並ぶが、ツチガエルほどの凹凸はなく、腹側は白い。
なお、体色や背中線の有無などには地域変異があり、背中線は九州地方の個体に多い。

2022/8/27
網引湿原の第1獣害防止ゲートを出て駐車場に戻る途中、側溝で見かけたカエルです。
ニホンアカガエルのような斑紋ですが、背中の背側線がなく、短い線状突起が多数あります。
また、背中の体色も灰褐色で、ニホンアカガエルのような赤味がありません。
調べてみると、ヌマガエルかツチガエルのようで、背中のいぼ状突起からヌマガエルと判断しました。
ヌマガエルには、背中の中央を走る白い背中線を持つものもいるようですが、それはありません。

ニホンアマガエル(Hyla japonica)
<無尾目・カエル亜目・アマガエル上科・アマガエル科・アマガエル亜科・アマガエル属>

アマガエル科アマガエル属に分類されるカエルで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国東部に分布する。
体長は20〜45mmほどで、メスの方が大きい。
鼻筋から目、耳にかけて褐色の太い帯が通っている。
前足に4本、後足に5本の指があり、全ての指先に丸い吸盤がある。
体色は腹側が白く、背中側が黄緑色である。
なお、背中側は灰褐色のまだら模様に変えることができる。
皮膚は粘膜に覆われ、粘膜からは毒が分泌されているが、手に付く程度では問題はない。
ただし、傷口や目、口に着くと激しく痛み、目に入ると失明の危険性もあるので、注意が必要。

2022/4/30
墓地に寄った際、草むらを歩いているとガサゴソと何かが移動していきました。
なんだと見ると緑色のニホンアマガエルでした。
ああ アマガエルかと思ったとき、御影石の所で何かが動きました。
目を凝らすと、そこにも見事な保護色に変身したニホンアマガエルがいました。
緑色や淡褐色のニホンアマガエルはよく見かけますが、ここまでのものは初めて見ました。
御影石の暗褐色の濃淡だけではなく、コケの緑色まで再現されています。
いやはや、なんとも素晴らしい能力です。
でも、入力は眼でしょうが、どうやって周りの模様を認識し、再現しているのでしょう。


2023/4/3
実家からの帰路、湾岸長島PAでいつものように足湯をしました。
足が温まってほっこりしているとき、目の前の岩の上にニホンアマガエルがいるのに気が付きました。
最近、暖かい日が続いていますので、冬眠から覚めて出てきたのでしょう。
ここは、源泉かけ流しのため、温泉がすぐ下の池に流れ込んでいて、周りより暖かいのでしょう。
こちらが見えているのは確かですが、全く動くというか逃げる気配がありません。
指を近づけても身動きしません。鼻を突くと、液体(おしっこ?)をピュッと出して飛びました。
奥に見えている枯葉の上に飛び降りたのですが、そこでじっとしていて動きません。
まだ、活発に活動するには気温が低いのでしょうか。ここは温かいので居心地は良さそうです。


ニホンアマガエルの体色

   .

これらは、トイレの壁に張り付いていた緑色の個体と、枯葉の上にいた褐色の個体です。
どちらも単色で、模様は見られません。これがよく見かける保護色です。
緑色は青々とした草の上で、褐色は写真のような枯葉の上では立派な保護色となります。
ジッとして動かなければ、居ることを知らない場合、気が付く人は少ないでしょう。


アブラコウモリ(Pipistrellus abramus)
<コウモリ目・コウモリ亜目・ヒナコウモリ上科・ヒナコウモリ科・アブラコウモリ属>

ヒナコウモリ科アブラコウモリ属のコウモリの1種で、日本では唯一の住家性の種である。
そのため、人間にとって最も身近なコウモリであり、その習性からイエコウモリの別名がある。
また、別名をアブラムシともいい、種小名の「abramus」はこれに由来する。
これは、九州北部でアブラムシと呼んでいたために、それがヨーロッパで紹介されたことによる。
なお、江戸時代には、このアブラムシという名前が全国で一般名称であったとされる。
分布域は、シベリア東部からベトナムにかけてのアジア大陸、台湾、日本である。
日本では、北海道道南部から、本州、四国、九州、多くの島にも分布する。
大きさは、前腕長30〜35mm、頭胴長38〜60mm、尾長29〜45mm、体重5〜11gである。
体毛は黒褐色〜暗灰褐色で、皮膜は灰褐色〜明褐色をしている。
市街地を中心に平野部に広く分布し、民家のない山間部などには生息しない。
15mmほどの隙間があれば出入りでき、家屋の瓦の下、壁の隙間などが主な生息場所である。
夜行性で、昼間は生息場所で休み、日没後に活動し、日没後2時間ほどが最も活発に活動する。
11月中旬〜3月下旬にかけて冬眠し、冬眠中でも暖かいと活動することがある。

2021/6/20
実家の庭に出ると、コウモリが飛び回っていました。
最初は1匹だけだったのですが、それが2匹になり、3匹目まで現れてにぎやかになりました。
庭や畑があり、餌となるユスリカなどの小昆虫が多いので、食事にやって来るみたいです。
そこで写真を撮ろうと思い立ったのですが、暗い上に動きが早くて、写野に捉えるのも大変。
ピントなど合わせている余裕がなく、置きピンで狙ったのですが、残念ながらピンボケばかり。
比較的、良く写っているものを選んだのですが、何となく形と色味が分かる程度です。
フラッシュを使ったのですが、何もない空なのに、なぜかバックに影が写っています。
※ 玉川の河川敷で、真昼間に飛んできたアブラコウモリを撮影したことがあります。
翼が透過光での撮影となったので、上記の写真とは色味がまったく異なります。

ヌートリア(Myocastor coypus)
<ネズミ目・ヤマアラシ亜目・テンジクネズミ上科・ヌートリア科・ヌートリア属>

ヌートリア科ヌートリア属の小型哺乳類で、南アメリカが原産地。
日本では、中国地方〜近畿地方の京都、大阪辺りまでと、愛知県、岐阜県の一部に分布する。
1950年代の毛皮ブームで本種の飼育が流行したが、毛皮価格暴落で放逐され、野生化している。
イネやオオムギ、葉野菜などの食害が問題となっており、在来種の生態系への影響も深刻である。
2005年6月に、外来生物法の特定外来生物に指定され、日本の侵略的外来種ワースト100に選定された。
体長は45〜70cm、尾長は25〜50cm、体重は6〜9kgになる。
生後、5〜6ヶ月で生成熟し、年2回、平均で5頭の子供を産むので、繁殖力は高い。
体毛はこげ茶色や茶色、茶褐色などで、耳は小さくて丸い。
門歯は鋭くて大きく、生涯伸び続ける。黄色〜オレンジ色なのは鉄分が含まれているためである。
四肢とも5本の指があるが、後足の第1〜第4指までには水かきがあり、泳ぎは得意である。
主に早朝や夕方、夜間に活動し、日中は巣穴や草むらなどに潜んでいることが多い。
2〜13頭程のコロニーを形成して生活しているが、若いオスは移出して新しい縄張りを作る。

2022/4/30
実家近くの小川の畔に咲くベニバナツメクサを撮っているとき、何かが泳いで来るのに気付きました。
よく見ると巨大なネズミで、とっさに浮かんだのがカピバラでした。
野生化したカピバラなんて居たっけと思いつつ、写真を撮り、後で調べてヌートリアと分かりました。
毛皮用に飼育されていたものが、価格暴落で野に放たれて野生化したものだそうです。
岡山県や兵庫県で問題となるほど増えていて、高砂市でもヌートリア防除実施計画が策定されています。
とはいえ、鳥獣保護管理法の適用対象なので、素人が勝手に駆除することはできません。
違反すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が待っています。


2022/4/30
写真を撮ろうと近づくと、警戒してこちの様子を見ながら止まってしまいます。
近くに橋があったので、その上から狙うことにしました。
それでも警戒して、なかなか近づいてきてはくれません。
しばらく待っていると、ゆっくりと警戒しながらも近づいてきたので、写真が撮れました。
最後は、橋の真上から反対側に顔を出したところを撮ったものです。
小さな耳と、白くて長いひげが特徴です。尻尾はかなり太くて長いです。
昼間に活動することは稀なようですが、若いオスがコロニーから抜けて新天地を目指しているのかも。


2023/1/5
初詣に鹿嶋神社に行った際、近くの市ノ池公園にヨシガモを撮りに立ち寄りました。
そこで撮影準備をしているとき、カモに混じってヌートリアが岸近くに居るのに気が付きました。
慌てて撮影機材を交換していると、池に入って泳いで行ってしまいました。
準備が出来て居た辺りに行くと、手前の土手の上でじっとしているヌートリアを見つけました。
近づいても、人慣れしているのか逃げる様子もなく、平然としています。
左の写真が見つけたときのものですが、この写真ではその辺に居るドブネズミみたいですね。
しかし、実際の大きさは体長40cmほどの巨大サイズです。
しばらくすると柵から離れて手前に移動しながら草を食べていました。


2023/1/5
このとき、初めて足を見たのですが、後足は想像以上に大きいと感じました。
なお、見ずらいのですが、4指の間に水かきが見えています。

イエユウレイグモ(Pholcus phalangioides)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・単性域類・ジャバラグモ上科・ユウレイグモ科・ユウレイグモ属>

ユウレイグモ科ユウレイグモ属のクモの1種で、外来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、世界の温帯地方に広く分布している。
体長はオスで7〜8mm、メスで8〜10mmで、脚が体の5〜6倍あり、脚も含めると7cm前後になる。
体色は淡黄灰色で、頭胸部背面中央に暗灰褐色の斑があり、腹部にも不規則な灰色の模様がある。
眼は頭胸部前面の左右に3個ずつ集まり、その中間に2個の眼がある独特な配置である。
天井隅や隙間など網を張る「造網型」で、棚状の不規則な縦長の巣を作り下向きにぶら下がる。
その巣を張りっぱなしにするため、見た目が悪くなるので嫌われ者である。
しかし、ダニやコバエ、チャタテムシなどの小さい虫を捕食してくれる益虫である。
本種は、危険を感じると体を激しくぐるぐる回し、その動きで相手を驚かせる。

2024/1/29
実家のガレージから持ち出した腰掛を、元に戻そうと持ち上げたら、クモが出てきました。
ザトウムシのように脚が非常に長いクモで、頭に浮かんだのはユウレイグモでした。
速くはないですが、直ぐに隠れようと移動してしまうので、プラスチックの入れ物に一時保護。
カメラを持ってきて撮影しましたが、速くはないと言ってもレンズ越しではかなり速いです。
何とか撮影が終わってガレージに開放。写真を確認してイエユウレイグモと判明しました。
頭胸部と腹部に暗褐色の不規則な斑紋があり、その他は半透明な淡灰褐色です。
大きな触肢が見られませんので、この個体はメスのようです。

アシナガグモ(Tetragnatha praedonia)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・アシナガグモ科・アシナガグモ属>

アシナガグモ科アシナガグモ属のクモで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄と全国に分布する。
出現時期は5月〜10月で、体長はオスで9〜11mm、メスで12〜14mm。
水辺、林縁部、農耕地など広範囲に生息していて、水平に円網を張ることが多い。
腹部は細長く、歩脚が著しく細長い。この長い脚を前後に伸ばして網に止まる。
腹部両脇には波打った紋様があるが、色や紋様の形状、腹部背面の盛り上がり方などには変異がある。
体は灰褐色で、背面に縦長の黒褐色斑がある。腹面には、両脇に黄色い縦条線がある。
上顎が大きく、鋭い牙が目立つ。この形状が種別の判別の決め手になる。
よく似たヤサガタアシナガグモとは下記の点で区別する。
・アシナガグモの腹面模様は、黒褐色の地色に黄褐色の縦筋があるが、
 ヤサガタアシナガグモの腹面模様は、一様に黒褐色である
・アシナガグモの上顎の折り曲げた牙が角ばっているが、
 ヤサガタアシナガグモの上顎の折り曲げた牙は丸みが強い
・アシナガグモの腹部は途中で山型に盛り上がり、その先がくびれたようになるが、
 ヤサガタアシナガグモにはこのような盛り上がりはなく、一様の細長い

2022/5/6
夜になって実家の玄関に出るとオニグモが巣を張っている最中でした。
そのオニグモのすぐ隣で、きれいな円網を張っている小さなクモが居ました。
ここには毎年、ジョロウグモが巣を張っているので、その幼体だろうと思い写真を撮りました。
後で、ジョロウグモの幼体を比べてみて、背面の模様などがかなり異なること分かりました。
いろいろ調べてもなかなか分からなかったのですが、シロカネグモを調べていて、気が付きました。
アシナガグモ科のアシナガグモかヤサガタアシナガグモのどちらからしいということです。
腹部背面の模様は変異があるので、判断基準にするのは無理と判断しました。
牙の形状は解像度不足で分かりませんので、腹部が途中で盛り上がっている点で本種としました。
後で、もっとアップで撮っておけばよかったと悔みましたが、後の祭りです。
巣作りの邪魔をしたオニグモと共に、翌日には姿を消してしまいました。

 
2023/7/25
網引第2湿原に入って直ぐの所で、茎などと同化しているアシナガグモの幼体を見つけました。
昼間は、長い前脚を前に、後脚を後ろに真っ直ぐ伸ばしたこの体勢をとっていることが多いそうです。
拡大しても大きく発達した上顎の鋭い牙が見えません。幼体では未発達らしいので幼体と思われます。



2023/7/25
網引第2湿原の木道脇で、アシナガグモが上顎の鋭い牙を絡ませて、取っ組み合いをしていました。
撮影をしていると、突然絡ませた牙を外して、小さい方がそそくさと行ってしまいました。
写真を調べていて、大きい方はアシナガグモのメス、小さい方はアシナガグモのオスと判明。
※ 縄張り争いだと思っていたのですが、雌雄が交接するとき、このような体勢をとることが分かりました。


2023/7/25
網引第2湿原の木道脇で見かけたアシナガグモ♀の背面と腹面から見た上顎の折り曲げた牙です。
折り曲げたとき、牙の基部が四角く見えるのがアシナガグモです。これはオスの場合でも同じです。
よく似たヤサガタアシナガグモは、この部分が丸くなっています。

コシロカネグモ(Leucauge subblanda)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・アシナガグモ科・シロガネグモ属>

アシナガグモ科シロカネグモ属のクモの1種で、在来種である。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
成体の出現時期は6月〜8月で、体長はオスで5〜8mm、メスで8〜11mmである。
脚が細長いクモで、背甲は明るい褐色で、腹部は背面全体が金色を帯びた銀色をしている。
通常縦条は目立たないが、刺激を受けると中央の1本と後方に1対の細い条が現れる。
腹部前方の肩部は滑らかに盛り上がるだけで、チュウガタのように瘤状にはならない。
なお、腹部側面にも黒い縦筋があり、腹部下面には暗緑色の太い縦班がある。
本種は、林縁の草の間などに水平に円網を張るが、クモのいる円網の中心に穴が空いている。
これは、普通に円網を張り終えた後、最後に中心部を噛み切ってしまうためである。
シロカネグモ属は、腹部背面が白銀色に輝き、第4脚腿節に長い聴毛が10対以上も並んでいる。
本種と似ているのは、チュウガタシロカネグモ、オオシロカネグモ、トガリシロカネグモである。
この内、トガリシロカネグモは西表島のみに生息している。
チュウガタは、前述の通り腹部前方の肩部に瘤状突起がある点で区別できる。
オオシロカネグモとコシロカネグモは背中の黒い帯模様に違いがあり、
オオシロカネグモは3本のはっきりとした黒い帯模様が頭部近くまで伸びているのに対して、
コシロカネグモは、両側の2本の黒い帯模様は途中で途切れている。
ちなみに、和名は大、中、小を表しており、本種は小型のシロカネグモの意味である。
ただし、この3種の大きさの差は名前ほど顕著ではなく、大きさで判断すことはできない。

2023/7/18
網引湿原内では、コシロカネグモがあちらこちらで水平な円網を張っていました。
比較的見やすい位置のものを探して撮ったのが上記の写真です。
腹部背面が白に近い白銀色で、中央と左右に褐色の縦条があり、あまり明瞭ではありません。
しかし、刺激を与えると下記のように3本の縦条が太く明瞭になって、よく見えるようになります。


2023/7/25
コシロカネグモは、比較的多くて、水面近くに水平円網を張るため、なかなか背面を見せません。
遊歩道に延びていた巣を私が引っかけてしまったので、切れた巣にぶら下がった所で撮れました。
背面の暗褐色の模様が、巣が壊されて興奮し、太くなってしまっています。


2023/8/5
網引湿原内では、コシロカネグモもあちらこちらにいて、左の写真では何かを食べているところでした。
後で写真を拡大した時、獲物はおそらくコシロカネグモのオスと思われることが分かりました。
だとすると、オスが交尾のためメスに近づいたとき、失敗して餌になってしまったものと思われます。

チュウガタシロカネグモ(Leucauge blanda)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・アシナガグモ科・シロガネグモ属>



アシナガグモ科シロカネグモ属のクモの1種で、在来種である。
日本では、本州の千葉県、神奈川県以南から四国、九州、伊豆諸島、琉球列島に分布する。
元々は南方系のクモであるが、気温の上昇などで関東地方にまで北上している。
成体の出現時期は、5月〜6月と9月で、途中見られない時期があり、年2化性の可能性がある。
体長は、オスで6〜10mm、メスで9〜13mm、脚が細長いクモである。
背甲は明るい褐色で、腹部は背面全体が金色を帯びた銀色をしている。
その中央に1本、その左右に1本ずつ黒い縦筋があり、腹端の方でつながって黒斑になる。
腹部前方の肩部にやや盛り上がったこぶがあり、その上に黒斑があるのが特徴で、識別点である。
なお、腹部側面にも黒い縦筋が2本あり、腹部下面には暗緑色の太い縦班がある。
本種は、草の間などに水平に円網を張るが、クモのいる円網の中心に穴が空いている。
これは、普通に円網を張り終えた後、最後に中心部を噛み切ってしまうためである。
シロカネグモ属は、腹部背面が白銀色に輝き、第4脚腿節に長い聴毛が10対以上も並んでいる。
本種と似ているのは、オオシロカネグモ、コシロカネグモ、トガリシロカネグモである。
この内、トガリシロカネグモは西表島のみに生息している。
他の2種は同じような場所に生息しているが、肩部に盛り上がりがあるのは本種のみである。
ちなみに、和名は大、中、小を表しており、本種は中型のシロカネグモの意味である。

2022/5/7
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園に、腹部が白銀色の光沢を持つきれいなクモが居ました。
見たことがないクモでしたので、写真を撮り、後で調べましたら、候補が4種居ました。
大中小のシロガネグモとトガリシロカネグモですが、後者は西表島特産なので除外できます。
この内、肩部に盛り上がりがあり、そこに黒斑があるのは、チュウガタシロカネグモのみです。
下段中央が盛り上がりが分かり易いです。その上にある黒斑は左端が分かり易いですね。
上段の写真は、円網を張ってその中央に陣取る本種ですが、網はほぼ水平に張られます。

オニグモ(Araneus ventricosus)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・コガネグモ科・オニグモ属>



コガネグモ科オニグモ属に属するクモの一種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、琉球列島と広範囲に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
体長はオスで15〜20mm、メスで20〜30mmで、オスは一回り小さい。
発生時期は6月〜10月で、人家周辺に見られ、神社や寺院など建物周辺に多く見られる。
背甲は黒褐色から赤褐色、歩脚は黒褐色でより暗い色の輪紋がある。
頭部と胸部を区切る頸溝、胸部の中心から走る放射溝ははっきりしている。
中心部の窪みである中窩は、横向きである。
8眼のうち、中央4眼が作る四角形は前辺の幅が広い。
側眼は両側に遠く離れた位置にあり、前後間隔は短い。
歩脚は強大で、下面に多数の棘が並んでいる。
三角形に近い腹部は大きくて、前方の両肩にはっきりとした突起がある。
腹部背面には、両肩から腹部末端にかけて葉状斑があり、その内側が濃色になる。
オスはメスの形と模様を小さく曖昧にしたような姿で、第2脚脛節端に鈎状の突起がある。
産卵は8月〜9月末にかけてで、樹幹や軒下などに卵嚢を貼り付ける。
秋に孵化し卵嚢内で幼生越冬するが、幼体〜亜成体、稀に成体でも越冬する。

ヤエンオニグモ(Araneus macacus)やヤマオニグモ(Araneus uyemurai)とは、以下の点で判別する。
・ヤマオニグモの葉状紋の前方には縦長の白色斑があるが、ヤエンオニグモは小白斑のみ
・ヤマオニグモの葉状紋の縁は鋸歯状であるが、ヤエンオニグモの縁は波状である
・オニグモの葉状紋では内側が暗色となり、正中線がやや色が薄くなる
・オニグモの歩脚は黒褐色で長く、より暗色の輪紋があり、下面に多数の棘がある
・ヤエンオニグモの歩脚は短めで、歩脚の各節末端と中間部に濃色部がある
・円網にかくれ帯を付けるのはヤエンオニグモで、他2種が付けることはない

2022/5/6
夜になって実家の玄関に出ると、大きなクモが巣を張っているところでした。
いつもはジョロウグモが巣を張っている場所なのですが、形が異なります。
ライトで照らしたところ、大きなオニグモと分かりました。時期的に大き過ぎます。
稀に成体でも越冬するとのことなので、おそらく、昨年に成体になった越冬個体と思われます。
巣作りを邪魔してしまったので、巣作りを諦めてどこかに移動してしまいました。

ヤエンオニグモ(Araneus macacus)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・コガネグモ科・オニグモ属>

コガネグモ科オニグモ属に属するクモの一種で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州に分布する。
和名のヤエン(野猿)は、最初の採集地である東京都八王子市の野猿峠に由来する。
体長はオスで9〜10mm、メスで15〜20mmで、オスは一回り小さい。
発生時期は4月〜10月で、里山〜山地に生息し、草原や林道などの樹間、草間に網を張る。
腹部の葉状斑は、幅が広くて内側は褐色〜暗褐色、外側は淡褐色で、体色などには地域変異が多い。
網型は正常円網であるが、巣に細いかくれ帯を付ける特徴がある。
年一化性で、初夏から夏に後尾して産卵し、秋に成長した個体が越冬して、春に活動を始める。
オニグモ(Araneus ventricosus)やヤマオニグモ(Araneus uyemurai)に似ているが、以下の点で判別可能。
・ヤマオニグモの葉状紋の前方には縦長の白色斑があるが、ヤエンオニグモは小白斑のみ
・ヤマオニグモの葉状紋の縁は鋸歯状であるが、ヤエンオニグモの縁は波状である
・オニグモの葉状紋では内側が暗色となり、正中線がやや色が薄くなる
・オニグモの歩脚は黒褐色で長く、より暗色の輪紋があり、下面に多数の棘がある
・ヤエンオニグモの歩脚は短めで、歩脚の各節末端と中間部に濃色部がある
・円網にかくれ帯を付けるのはヤエンオニグモで、他2種が付けることはない

2021/7/7
湾岸長島サービスエリアに立ち寄って足湯を楽しんだとき、近くで見かけたヤエンオニグモです。
足湯の端の方に生えていたソバの近くに網を張る予定なのか、数本の糸の真ん中でじっとしていました。
ヤマオニグモかもと迷ったのですが、小さな白斑はあっても縦長ではないので、本種としました。

コガネグモ(Argiope amoena)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・コガネグモ科・コガネグモ属>

クモ目コガネグモ科に属するクモで、日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
比較的大型のクモで、メスの体長は20mm程になる。オスは、小さく5mmに満たない。
メスの腹部には幅広い黄色と黒の縞模様があり、オスは茶色一色である。
ほぼ円形の円網を作り、網の中心で下向きに止まる。その際、前後2対の脚をX字状広げる。
なお、本種は攻撃性が強く、古くから「クモ合戦」に使われている。

2020/7/31
実家の庭で、コガネグモがクマゼミを食べているのに気が付きました。
ジョロウグモがたくさん居るのは知っているのですが、ここでコガネグモは初めて見ました。
まだ、ジョロウグモが亜成体の物ばかりなのに対して、コガネグモは立派な成体です。
よほど、餌の豊富に取れる場所に網を張ることができたのでしょうか。
翌日、様子を見に行くと、既に食べ終わったようで、網から外されていました。

右側の写真左側に写っていますが、白い丸いものが捕らわれたクマゼミに近づいています。
丸い白っぽいものは、餌を盗み食いしようと近づいているシロカネイソウロウグモです。
よく見ると、左の写真ではコガネグモの直ぐ横にいますし、右の写真には2匹写っています。

 
2020/7/31
クマゼミを食べるのに夢中になっているコガネグモのメス成体に、小さなクモが近づいています。
そう、コガネグモのオスが、メスが食事に夢中になっているすきに交尾しようとしているのです。
少し離れた所で止まり、ジッと様子をうかがっていました。
不用意に近づくと、自分自身がメスの餌になってしまうので、迂闊に近づけないのです。
ジョロウグモもそうですが、オスが交尾するのは命がけなんですよね。

 
2020/8/1
網から食べ終わった獲物は取り除かれ、ちょっと雑ですが円網も修復されていました。
そして、円網の中心付近に陣取り、脚をX字状に開いて、次に備えてスタンバイしています。
翌日、様子を見に行くと網もろともきれいに消えていました。どこかへ引っ越したのでしょうか。
近くを探してみましたが、それらしき円網は見つかりませんでした。
周りにいたのはジョロウグモの亜成体ばかりでした。


2020/8/5
庭でクマゼミの哀れな鳴き声が聞こえたので、行ってみました。
すると柿の木の上の方でクモの網に絡まったクマゼミが暴れていました。
そのクモというのがコガネグモ、そう、行方が分からなくなっていたコガネグモでした。
クマゼミがバタバタと暴れるためか、コガネグモは少し離れた所で様子を見ていました。
※ 左の写真は、フラッシュを使っていて、1/5000sec.。そのため、ブレていません。
  右の写真は1/50sec.で、これだけブレています。かなり激しい動きだと分かります。


2020/8/6
次の日、見に行くと別のクマゼミがかかっていて、昨日のクマゼミは見当たりません。
もう食べられて、破棄されたのかと下を見ると、昨日の姿のまま、死んでいました。
多少、クモの糸が付いていますが、最初に見かけたグルグル巻きのものとは異なります。
何とか逃げられたものの、そこで事切れたのでしょうか。既にアリが集っていました。
と、この死んだセミに気を取られている内に、新しくかかっていたセミも逃げたようです。
頑丈なクモの網ですが、大物の場合は逃げられる可能性が高くなるんですね。


2022/10/11
網引湿原の第1湿原に向かう途中の林内で、コガネグモを見かけました。
ここで見かけたのは初めてになります。
この網引湿原では、湿原はナガコガネグモが、その周辺はジョロウグモが幅を利かせています。
そのためか、あまり栄養状態は良く無いようで、実家で見た個体の半分程度の大きさしかありません。

 
 
2023/6/29              2023/7/1
今年、気が付けば大きくなったコガネグモが庭に円網を張って、陣取っていました。
庭でコガネグモを見るのは3年ぶりですね。
気付いたのが暗くなってからでしたので、撮影にはフラッシュを使いました。
そのため、白っぽい所が露光オーバーで白飛びしたようになってしまいました。
翌日は雨でしたので、翌々日に撮影したのが右の写真です。
最初に見た場所に円網がなかったのですが、直ぐ近くの低い所に円網を張っていました。


2023/7/18
網引湿原の靴底の洗い場から、第1湿原獣害防止ゲートに向かう途中で見かけたコガネグモです。
柵の近くに網を張った巨大な腹部のコガネグモが、巣の中央に陣取っていました。
実家の庭で見たものも大きいと思いましたが、それより二回りは大きな腹部です。

ナガコガネグモ(Argiope bruennichi)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・コガネグモ科・コガネグモ属>

クモ目コガネグモ科に属するクモで、日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布している。
比較的大型のクモで、メスの体長は25mm程になる。オスは、小さく10mmほどになる。
メスの腹部には黄色と黒と白の縞模様があり、オスも似た模様を持つがあまりはっきりとはしない。
和名は、コガネグモと比べて、腹部が細長いことに由来する。
円網を作り隠れ帯をつけることが多く、網の中心で下向きに止まる。本種は脚をX字状広げる事は少ない。
本種は、攻撃性が弱く、「クモ合戦」に使ってもあまり面白くないそうである。

2022/6/18
網引湿原第2湿原の獣害防止ゲートの近くで見かけた、ナガコガネグモの幼体です。
円網を作り、中央に隠れ帯を作ることが多く、そこに下向きに止まっていました。

他にもチュウガタシロカネグモらしきものが居たのですが、アングルの関係で撮れませんでした。



     <オス>      2022/8/9      <メス>
網引湿原第2湿原で見かけたナガコガネグモの雌雄です。
第2湿原で見かけたのは、なぜかナガコガネグモばかりで、半分ほどにオスが付いていました。
この写真のオスは、脚が1本ありません。交尾に失敗して、脚を1本食べられたのかもしれませんね。
メスにとって、オスも餌でしかありませんので、迂闊にメスに近づくと、メスの餌となってしまいます。
そのため、メスが餌に夢中になるのをじっと待って、チャンスと見ると交尾にチャレンジするそうです。
それでも、メスの餌となってしまうオスはいるそうで、オスにとって、交尾はまさに命がけです。

 
2022/8/16
前回、ナガコガネグモが通路側に腹面を向けて円網を張っていて、背面がうまく撮れていませんでした。
これは、餌となる昆虫が多くいるのが湿原側なので、必然的この向きにならざるを得ないのでしょう。
今回、ちょっと厳しい体勢になりますが、何とか撮れそうな個体がいたので、チャレンジしました。
見た目は最初の白っぽい幼体に近いですが、腹部背面の模様は成体に近いと思います。
というか、細身ですが成体と同じ模様で、黒い部分が細いだけのようです。
これから秋に向けて成熟すると、腹部が大きく膨れて、下記のような成体になるのでしょう。


2023/7/18
第2湿原の池の近くに、多くのナガコガネグモが巣を張っていて、その全てが湿原側に背を向けています。
想像でしかありませんが、獲物がかかりやすい方向に巣を向けている結果ではないかと思われます。
そのため、腹面側の写真しか撮ることができませんでした。
なお、同じ場所でも大きさに差があり、右の個体は左の個体の倍近い大きさになっています。


2023/8/5
湿原に張られたロープに、ナガコガネグモのオスがつかまっていました。
おそらく、私がメスのいた網を引っ掻けて切ったため、網にいたものが避難したものと思います。


ナガコガネグモの成体

     .

相模原の自宅近くで見かけたナガコガネグモの成体です。
幼体とは、模様がまったく異なることもありますが、頭部の形状も異なるようです。


ドヨウオニグモ(Neoscona adianta)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・コガネグモ科・ヒメオニグモ属>

コガネグモ科ヒメオニグモ属に属するクモの一種で、在来種。
日本ではほぼ全土に分布する。平地で見られる普通のクモで、水田などにも多い。
旧北区全体にも広く分布していて、草原で普通に見られる。
年二化性であるが、土用の頃に見られることが和名の由来となっている。
体長はオスで4〜6mm、メスで6〜10mmで、オスはメスより小さく細身である。
頭胸部は淡褐色で、中心に褐色の縦筋、その両側にも褐色の縦筋があることが多い。
腹部背面には、黄色〜黄橙色の地に、中央に淡色の斑紋、その両側に黒斑が対になる。
これが小さくなりながら腹端まで並ぶ。腹端側では、黒斑がつながって線になっている。
円網を張るが、本種は水平から垂直まで、様々な角度で網を張る。

2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたドヨウオニグモです。
草原を降りているとき、足元のイトイヌノハナヒゲに付いていました。
人の通る場所に巣を作っていたのでしょう。網を修復中のようでした。

ヤマシロオニグモ(Neoscona scylla)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・コガネグモ科・ヒメオニグモ属>

コガネグモ科ヒメオニグモ属に属するクモの一種で、在来種。
日本ではほぼ全土に分布する。山野では極普通に見られるが、人為的な環境にはいない。
体長はオスで8〜10mm、メスで12〜15mmで、オスは一回り小さく、脚が長く見える。
頭胸部では、頭部が特に濃色で、腹部は前が幅広の卵形で、肩に突起はなく滑らか。
体色には変異が大きく、黄褐色のものが多いが、淡色のものから暗色のものまで多様である。
腹部の模様は、腹部中央から後方にかけて左右に波模様があって、内側が濃色になる。
淡色で全体にまだら模様になるもの、斑紋がほとんどないもの、全体に暗色になるものなどがある。
歩脚には、オニグモのような棘はほとんどない。
年一化性で、7月〜9月に成熟する。大柄な円網を垂直に張り、その中央にいることが多い。

2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、ヒメジョオンの花の上にいるクモに気が付きました。
見たことがないクモでしたが、クサグモの仲間だろうと思って、後で調べることにしました。
しかし、クサグモの仲間を調べても該当するものがありません。
範囲を広げて調べていると、オニグモの中に似たものを見つけました。
体色の変異が大きい種類で、その変異の1つに似ています。
たぶん間違いはないと思いますが、円網を張るヤマシロオニグモとしました。
この辺りを歩き回ったので、気が付かずに私が網を潰しちゃったのかも。

ワキグロサツマノミダマシ(Neoscona mellotteei)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・コガネグモ科・ヒメオニグモ属>

コガネグモ科ヒメオニグモ属に属するクモで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
よく似たサツマノミダマシは、北海道には分布しない。
体長はオスで6〜8mm、メスで7〜10mmで、オスの腹部は細くてスリム。
腹部上面がきれいな緑色で、淡黄色の縁取りがあり、そこから下は黒褐色。
なお、よく似たサツマノミダマシは、縁取りから下も緑色である。
活動時期は7月〜9月で、夕刻になると円網を張り、昼間は網を畳んで葉裏などに居る。
和名「サツマノミダマシ」は、薩摩の実と呼ばれるハゼノキの果実に似ていることによる。
そして、腹部側面から下面が黒褐色なので「ワキグロ」が付く。

2022/8/16
網引湿原第2湿原を周っているとき、通路脇に緑色のクモが2匹いるのに気が付きました。
写真を撮ろうと近づいたとき、下の方に居たクモがポロリと下に落ちて逃げてしまいました。
後で思い起こすと、少し小さくスリムだった気がするので、本種のオスだったのではと思います。
それにしても、腹部背面の緑色は、葉に擬態しているかきれいな緑色です。
夜間には円網を張りますが、朝には回収してしまい、昼間はこのように目立たない所に居ます。
チュウガタシロカネグモを見た時、きれいなクモもいるもんだと思いましたが、本種も同様です。


<ワキグロサツマノミダマシ♀>    2023/7/25    <ワキグロサツマノミダマシ♂>
網引湿原の何ヶ所かで、ワキグロサツマノミダマシを見かけましたが、見た目が微妙に異なります。
後で調べてみると、オスとメスが混ざっていたようで、整理したのが上記の写真です。
オスは、頭胸部に対して腹部が小さく、背面の緑色の周囲の白色部に長毛が一列に生えています。
なお、左から2つ目のメスは、まだ小さかったので幼体かもしれません。


2023/8/5
駐車場近くの通路横のテリハノイバラの葉で、ワキグロサツマノミダマシのオスが目に留まりました。
今まで見たのはメスばかりで、オスを見るのは初めてだと思い、いろいろな角度から撮りました。
と言うのも、このときは前回撮った写真の中にオスが混ざっていた事に気づいていなかったためです。
オスは、頭胸部に比べて腹部が小さく、白い縁取りに沿って白い長毛が目立ちます。


ワキグロサツマノミダマシとヤマハゼの果実

   .

サツマノミダマシの和名のもとになった「薩摩の実」は、ハゼノキの果実です。
ヤマハゼの果実も似たものなので、ワキグロサツマノミダマシと並べてみました。
未熟な緑色の果実の形や色味は、たしかにワキグロサツマノミダマシの背面とよく似ていますね。


ジョロウグモ(Nephila clavata)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・ジョロウグモ科・ジョロウグモ属>



<オス>                     <メス>
ジョロウグモ科ジョロウグモ属に属するクモで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布し、森林や公園などでよく見かける。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾、インドに分布する。
春に孵化して、秋に成虫となるが、巣の場所による餌の量が成虫の大きさに影響する。
幼体の腹部は複雑な斑模様であるが、成体になると模様が変わる。
メスの成体は、大きいものは30mmに達し、腹背は黄色と黒の縞模様で、下面に鮮紅色の紋がある。
オスの成体は、大きいものでも十数mmしかなく、腹背には黄色と褐色の縦縞の複雑な模様を持つ。
ジョロウグモの巣は、直径1mほどにもなる大型で、前後に補助網を持つ三重構造になる。
また、円網の縦糸は、中心から外に向かって順次二又に枝分かれしていく。
そのため、円網を構成する扇型の大きさが、中心部と外周部でもあまり変わらない特徴がある。
ジョロウグモは、「女郎蜘蛛」と書くが、古くは「上臈(ジョウロウ)」であったとの説もある。
「女郎」と「上臈(身分の高い人)」では、その意味に天と地ほどの違いがある。

2018/10/27
実家の庭に大きな網を張っていたジョロウグモで、腹部の模様が横縞になった成体です。
よく見ると、メスの近くでオスが交尾を狙ってこっそりと付いています。
下手に近づくとメスの餌になってしまうため、メスが獲物に夢中になるのをじっと待っています。


2022/8/9
網引湿原第1湿原の出口付近で見かけたジョロウグモの亜成体です。
第2湿原で見かけたのはナガコガネグモばかりだったので、ここでのジョロウグモの初見となりました。
別に縄張りがあるわけではないと思いますが、ほんとうに第2湿原はナガコガネグモばかりでした。


2022/8/16
網引湿原の最初の獣害防止ゲートと靴底の洗い場の間にある林内で見かけたジョロウグモです。
最初、パッと見た時、体が緑色に見えたので、えっ 何この色 と思いました。
改めて良く見ると、脚の腿節が緑色を帯びていて、透過光によって強調されていたようです。
上の写真と比べてもらえばわかると思いますが、普通、この部分は黒っぽい色に見えます。
よく見ると影の部分の色は黒っぽい色で、透過光になっている部分のみ緑色を帯びています。
要するに、表面は黒っぽいので反射光では黒く見え、透過光だと緑色を帯びて見えるようですね。
このような逆光で、クモを見る事はあまりないと思いますので、このような写真は少ないかも。


2022/8/27
網引湿原のバイオトイレと第1獣害防止ゲートの間で見かけたジョロウグモです。
このメスは美人?なのかモテモテで、まだ、亜成体なのに取り巻きのオスが3匹もいます。
メスの側でオスが1匹張り付いているのは何度か見ましたが、3匹もいるのを見たのは初めてです。

 
2022/10/11
網引湿原の第1湿原に向かう途中の林内で見かけたジョロウグモです。
見かけたときに白っぽく感じたのですが、フラッシュを使うとそれが際立って見えます。
体表面に白っぽい粉を吹いたようになっているようなのですが、今まで見たことはありません。
足にはなく、腹部と頭胸部だけが白っぽく見えています。何が付いているのでしょうね。


2022/10/11
網引湿原の第1獣害防止ゲートに向かう途中、通路脇で見かけたジョロウグモです。
メスは食事中で、その裏側にオスが居て、交尾を狙っているようです。
普段、迂闊にメスに近づくと自身が食べられてしまうので、食事中がチャンスだそうです。
失敗したことがあるのでしょうか、オスの後脚が1本無くなっていますね。


2023/8/5
網引第2湿原の遊歩道脇で見かけたジョロウグモの亜成体です。
成体の腹部のシンプルな黄黒のストライプ模様ではなく、黄、黒、白の複雑な模様です。


いろいろなジョロウグモ


  <オス>       <メス[亜成体]>       <メス[成体]>
ジョロウグモのオス、メスの亜成体、成体の比較です。
同じジョロウグモとは思えないほど、大きさ、腹部の模様が異なります。

ジョロウグモに似たクモ

ジョロウグモとコガネグモは、似ていることもあり混同されることも多いクモです。
体型的には、腹部が楕円形のナガコガネグモの方が似ているかもしれません。


 <コガネグモ[メス]>   <ジョロウグモ[メス]>  <ナガコガネグモ[メス]>

コガネグモ(Argiope amoena)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・コガネグモ科・コガネグモ属>
クモ目コガネグモ科に属するクモで、日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
比較的大型のクモで、メスの体長は20mm程になる。オスは、小さく5mmに満たない。
メスの腹部には幅広い黄色と黒の縞模様があり、オスは茶色一色である。
ほぼ円形の円網を作り、網の中心で下向きに止まる。その際、前後2対の脚をX字状広げる。
なお、本種は攻撃性が強く、古くから「クモ合戦」に使われている。

ナガコガネグモ(Argiope bruennichi)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・コガネグモ科・コガネグモ属>
クモ目コガネグモ科に属するクモで、日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布している。
比較的大型のクモで、メスの体長は25mm程になる。オスは、小さく10mmほどになる。
メスの腹部には黄色と黒と白の縞模様があり、オスも似た模様を持つがあまりはっきりとはしない。
和名は、コガネグモと比べて、腹部が細長いことに由来する。
円網を作り隠れ帯をつけることが多く、網の中心で下向きに止まる。本種は脚をX字状広げる事は少ない。
本種は、攻撃性が弱く、「クモ合戦」に使ってもあまり面白くないそうである。


シロカネイソウロウグモ(Argyrodes bonadea)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・ヒメグモ科・イソウロウグモ属>

ヒメグモ科・イソウロウグモ属の小型のクモで、在来種。
日本では、本州から四国、九州から南西諸島にかけて分布し、海外では韓国と中国に分布する。
名前の通り、他の円網を張るクモの巣に入り込み、労働寄生(居候)するクモである。
宿主は、コガネグモ類、オニグモ類、ジョロウグモ類、トゲグモ類などの円網を張るクモである。
体長は、メスで2.5〜3.5mm、オスでは2〜2.3mmと日本の同属では小さい方である。
オスはメスより華奢で腹部が小さいが、体色などは雌雄ともほぼ同じである。
腹部は先端が突出して円錐形をしており、側面から見ると三角形に見える。
腹部背面は全体に銀色をしていて、頭部と額には短い突起があり、額の突起には細毛がある。
都市部から山地まで広く生息し、日本のイソウロウグモ類では、最も普通に見られる種である。
イソウロウグモは、糸を食べるもの、網主の獲物を奪うもの、網主自身を襲うものものまでいるが、
本種は小さな獲物を捕らえるか、網主の獲物を盗み食いする事が多いようである。
成体は6月〜8月に見られるが、複数が居候していることも珍しくない。
特に大きな円網を張るジョロウグモでは多いことがあり、70個体いた記録がある。

2020/7/31
コガネグモが網にかかったクマゼミを食べているのを盗み食いしようと近づいていました。
イソウロウグモというのがいるのは知っていましたが、見たのは初めてです。
大きい方は、円錐というより球に近いほど膨れていますので、卵を持ったメスでしょうか。
反対から撮った写真にも写っていますが、コガネグモの目と鼻の先まで近づいていました。

シロホシヒメグモ(Steatoda grossa)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コガネグモ上科・ヒメグモ科・カガリグモ属>


ヒメグモ科カガリグモ属のクモの1種で、外来種。
海外では、北米、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパの3つの海岸を含む多くの地域に分布する。
日本でも関東以南の海岸部に分布し、内陸部へと分布域を広げている。
体長はオスで4.1〜10.0mm、メスで6〜10.5mmで、オスは腹部が細いので脚は細長く見える。
体色は、メスでは紫がかった褐色〜黒色で、明るい色の斑紋が見られる。腹部がオスより丸みを帯びて大きい。
オスは頭胸部が赤褐色で、腹部は黒色。腹部は頭胸部とほぼ同大で、細長い卵形である。
成熟したオスは、ほとんどの場合、脚はメスよりも明るくて赤みがかった色をしている。
腹部には三日月形の淡色の斑紋があり、対照的な白斑もいくつか見られる。
本種は造網性のクモで、枝先や家具の隙間などに不規則な網を張り、その奥にトンネル状のカゴ網を作る。
その中に隠れているので、普段、眼に触れることは少ないが、成熟したオスはメスを求めて徘徊する。
本種は、ハエやゴキブリといった節足動物を餌としており、それらを捕食するための毒素を持つ。
通常、人を咬むことはないが、咬まれた場合、軽度の筋肉の痛みや倦怠感などの症状が現れる場合がある。
稀に深刻な反応が出ることがあり、そのような場合には速やかに医師の診断を受ける必要がある。

2024/2/18
実家の床下収納庫を掃除しようと開いたとき、底にクモがいるのに気が付きました。
身体の割に脚が長く、色は異なりますが見た目の形はアシダカグモを小さくしたような感じです。
頭胸部や脚は明るい赤褐色で、腹部は暗灰色。多少の濃淡は見られますが、模様のようなものは見られません。
全く動かないので死んでいるのかと摘まみ上げて床に置くと、もそもそと動き始めました。
アシダカグモ科では該当するものはなく、赤褐色のクモで見つかったのが本種のオスです。
成熟したオスは頭胸部や脚が赤褐色で、腹部は黒くて三日月形の斑紋などがあるそうです。
この個体は、頭胸部や8本の脚は赤褐色のほぼ同色で、Webで見た写真より脚が赤味を帯びています。
腹部は、三日月形の斑紋がある所に不鮮明な淡色部分が見られ、その後部に暗色部、さらにその後は淡色です。
成熟したオスは、メスを探して徘徊するとの事なので、メスを探して床下収納庫に入り込んだようです。

アシダカグモ(Heteropoda venatoria)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・アシダカグモ科・アシダカグモ属>

アシダカグモ科アシダカグモ属に属するクモの一種で、外来種。
原産地はインドと考えられているが、全世界の熱帯・亜熱帯・温帯に広く分布している。
日本で最初に発見されたのは1878年で、長崎県での報告が最初である。
国内では、本州の福島県以南から四国、九州に分布している。
体長はオスで10〜25o、メスで20〜30mmで、脚まで入れると100〜130oになる。
オスはメスより細身で、触肢の先が膨らんでいるのが特徴である。
体色は灰褐色で多少のまだら模様があり、全体にやや扁平で、長い歩脚を左右に大きく広げる。
オスの頭胸部の後側には黒っぽい斑紋があり、メスの頭胸部の前縁、眼列の前に白帯がある。
人家に棲息する徘徊性の大型のクモとして知られており、網は張らず、歩き回って獲物を捕らえる。
ゴキブリなどの屋内に生息する衛生害虫の天敵であるが、大きいこともあり苦手な人は多い。

2019/7/1
実家の脱衣所の壁に張り付いているアシダカグモ♀を見つけました。
まだ、十分な大きさにはなっていないようで、幼体と思われます。
自宅では見たことがなく、久々の再会となりました。

 
2023/10/3
実家のトイレの壁に張り付いていた、差渡し5cmほどのアシダカグモ♀の幼体です。
最初に見かけたのはガレージで、前日には洗面所で見かけたのですが、ガランの中に逃げられました。
そして、今日、トイレの中で見つけたのですが、壁伝いに逃げる所を撮ることができました。
家の中にハエトリグモはたくさんいるのですが、アシダカグモは珍しく、久々の再会です。
同じ昆虫を餌とするヤモリもガレージで見かけましたので、餌となる昆虫が多かったのかもしれません。
アシダカグモはゴキブリの天敵で、今年、ゴキブリをほとんど見かけなかったのは、この子のおかげかも。


2023/10/4
地味な色合いのクモですが、毛並みが分かるほど分解能の良い写真が欲しくて、翌日撮ったものです。
頭胸部の前縁で、眼列の前にある淡黄色の帯斑が、前後に暗色部があって目に付きます。
この個体は、頭胸部の頂部に三角形に毛のない茶褐色の部分があり、その後方に黒い帯斑があります。

ハナグモ(Misumenops tricuspidatus)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・カニグモ科・カニグモ亜科・ハナグモ属>

ハナグモ科の代表種で、昆虫を餌とするため、花の近くでよく見られる。
日本では、北海道から、本州、四国、九州、南西諸島とほぼ全国に分布する。
日本以外では、アジアからヨーロッパにかけて広範囲に分布する。
幼体は、全身緑色であるが、成体の腹背には褐色の斑紋がある。
オスは体長4mm前後で、頭胸部、足は赤褐色で、腹部の中央付近が緑色になる。
メスは体長7mm前後で、頭胸部、足は鮮やかな緑色で腹部は白く、背面に独特の褐色斑がある。
網を張らず草花の陰に潜み,そこにくる小昆虫を捕食している。

2023/5/18
網引湿原からの帰り道、加古川の土手を降りた時、ムラサキツメクサの上で見かけました。
今まで見かけたハナグモの腹部には褐色の斑紋があったのですが、この個体は無斑紋です。
ハナグモの腹部の斑紋は変異が大きく、下記のように様々な模様が見られます。


ハナグモの腹部背面の模様

ハナグモのメスは、腹部が白く、背面に独特の褐色斑があります。
この褐色斑には変異があり、個体によってかなりの違いがあります。
下記のものは、その一例です。

 
2016/8/27        2014/5/27
左は、ひげを蓄えたオヤジの顔、右はムンクの「叫び」の顔に見えませんか。
いろいろ集めると、面白いコレクションになるかもしれません。


ウヅキコモリグモ(Pardosa astrigera)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・コモリグモ科・オオアシコモリグモ属>

コモリグモ科オオアシコモリグモ属のクモの1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
成体は通年で見る事ができ、平地の草むらを歩くとよく本種が飛び出してくる。
体長はオスで5〜9mm、メスで6〜10mmである。
頭胸部は黒褐色で中央に幅広い灰褐色の帯があり、カギのような形をしている。
腹部や歩脚は褐色や黄褐色、黒色が複雑に入り交った色彩をしている。
徘徊性のクモで、地上を徘徊して昆虫を捕える。
産卵期は4〜6月と9〜10月で、メスは白い卵嚢を糸いぼに付けて持ち歩いて保護する。
また、孵化した子グモは親の腹部に乗って数日過ごし、これがコモリグモの由来。
なお、和名のウヅキは、卯月(旧暦4月)に良く目にすることに由来する。

2024/3/16
網引湿原第1獣害防止ゲートを出て駐車場に向かう途中、側溝の近くに足を置いた途端に出てきました。
実家の畑などでも時折見かけるコモリクモで、頭胸部や腹部背面の斑紋から本種と判断しました。
この個体は、大きく膨らんだ触肢を持っているのでオスですね。

ササグモ(Oxyopes sertatus Latrelle)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・ササグモ科・ササグモ属>

ササグモ科ササグモ属のクモで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
体長はオスで7〜9mm、メスで8〜11mmで、出現期は4月〜8月である。
徘徊性で、網を張らず、歩き回って餌を捕食する活発なクモで、よく跳躍する。
外形は、ハエトリグモに似ているが、腹部は細い卵形で、尾端に向けてすぼまり、先が尖る。
足は細長く、針状の鋭い毛が多数、まばらに生える。
胸頭部背や腹部には、黄緑色地に白と黄褐色の模様がある。
なお、地色は黄緑色が最も多いが、紅葉時には赤褐色、冬枯れの時期には淡褐色の個体が見られる。
胸頭部の盛り上がった部分に、左右対称に8個の眼が4個づつ縦に並ぶ。
雌雄の性差は少ないが、オスはやや細めで、触肢に黒く膨らみがある。
産卵は、草の上に卵を産み付け、親クモが卵嚢に覆いかぶさるようにして守る。

2015/8/11
実家の庭のツツジの葉の裏にササグモが隠れていました。
この個体は、触肢に黒く膨らみがないので、メスのようです。


2019/6/19<オス>              2019/7/4<メス>

2019/6/19 土山サービスエリアを散策中、ササグモのオスを見つけました。
ササグモのメスはあちらこちらで見かけますが、オスを見たのは初めてです。
たしかに、触肢に黒く膨らみ(写真では頭胸部の前に見える黒い部分)があります。
2019/7/4 こちらはササグモのメスで、実家の庭で見かけたものです。
オスはいないかと、あちらこちら探したのですが、見つかるのはメスばかりでした。


2022/5/15
実家の庭のヒラドツツジで、葉裏で脱皮したばかりのササグモを見つけました。
オスかもと思ったのですが、触肢の先が尖っているので、メスですね。
腹部の膨らみ方や大きさからみて、まだ、成体にはなっていない幼体のようです。
さらにアップで撮ろうと近づいたとき、ピョンと飛んで逃げられました。



    
2024/3/12
部屋の掃除をしていたとき、小さなクモがトコトコと出てきました。
ハエトリグモかと思ったのですが、よく見ると体色や脚の長さが等が異なります。
脚に黒い剛毛がまばらに生えていて、それで浮かんだのがササグモですが、色が異なります。
この個体は淡褐色ですが、ササグモは黄緑色の地色のものしか見たことがないです。
また、ササグモを屋内で見たことはなく、庭の木々や花などでしか見たことがありません。
調べてみると、冬枯れの時期には淡褐色の個体が見られるとの事。
春めいてきているとは言え、まだ、寒い日も多いので、家の中に避難していたのでしょうか。
中段は、顔の部分を拡大したもので、単眼の配置が良く分かると思います。
中段左の写真は何に見えますか? 私は、サルの顔に見えるのですが、いかがでしょう。
下段は上部から撮った写真で、右はその頭胸部を拡大したものです。
模様に違和感があったのですが、原因が分かりました。右側の体表の一部に毛がないのです。
そのため、暗褐色の模様が無くなっていて、左右非対称になってしまっています。
ちなみに、この個体は体長5mm前後しかなかったので、メスの幼体と思われます。

アダンソンハエトリ(Hasarius adansoni)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・ハエトリグモ科・オビジロハエトリグモ属>

ハエトリグモ科オビジロハエトリグモ属のクモの1種で、原産地ははっきりしていない。
アダンソンは、ビクトル・オードワンによって、1826年にミシェル・アダンソンに献名されている。
日本では、本州の中部以南、四国、九州に分布していたが、近年、温暖化で北上している。
海外でも、温暖な地域を中心に広く分布していて、人為的に広がったと考えられている。
成体の出現時期は6月〜10月で、体長はオスで5〜9mm、メスで6〜10mmである。
性的二形が明瞭で、雌雄では大きさや斑紋に明瞭な違いがみられる。
オスの触肢の脛節は長く、触肢器官は身体に比して小さい。オスは歩き回るときに白い触肢をよく動かす。
成体のオスでは、腹部が小さくて全体に黒みが強く、頭胸部の後縁に白い三日月型の斑紋がある。
さらに腹部前縁にも白色部分があり、後方にも一対の白斑がある。触肢にも白毛が多く、目立つ。
メスの体色は褐色〜茶褐色で、腹部中央は縦に淡色の帯があり、その両側に黒の縁取りがある。
メスにもオスに似た斑紋が見られるが、かなり曖昧で目立たない。

2024/3/13
実家の玄関の掃除をしていたとき、物陰からハエトリグモが飛び出してきました。
全体が褐色で、見たことがない体色だったので写真を撮り、後で確認しました。
まだ、5mmにも満たない大きさなので、アダンソンハエトリの幼虫と思われます。


2024/4/3
実家の廊下の扉に張り付いていた、アダンソンハエトリのメスです。
上記の幼虫と模様などは似ていますが、一回り大きく、腹部の模様などが明瞭です。
そういえば、時々見かけていたオスですが、最近は見ていないですね。

ヤガタアリグモ(Myrmarachne elongata)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・ハエトリグモ科・
Salticinae亜科・Myrmarachnini族・Myrmarachnina亜族・アリグモ属>

ハエトリグモ科アリグモ属に分類されるクモで、在来種。
日本では、本州の関東の西南から四国、九州、南西諸島に分布する。
2004年に日本新記録種として認定されたばかりであるが、比較的個体数は少ない。
体長はオスで5〜6mm、メスで6〜7mmで、出現時期は5月〜10月に多いが、通年で見られる。
頭胸部の頭部分が黒く、胸から長めの腹柄、腹部にかけてが赤茶色、腹部の尾端側が暗褐色である。
なお、アリグモ属一般に言えることであるが、オスの上顎は大きく発達し、カマキリの鎌に似ている。
なお、腹部の暗褐色の尾端側は、オスでは斑紋は見られないが、メスでは褐色の斑紋が見られる。
ただし、変異は多く、赤茶色の部分は濃淡があり、灰色の個体もいる。
メスの成体は、アリグモの赤褐色の幼体に似ているが、体形がスリムでやや光沢感がある。
他のアリグモより頭胸部のくびれが大きく、加えて側面に白毛が密生してくびれを大きく見せている。
草原や河川敷など開けた環境に多く、人家の外壁などにもよく見られる。

2021/10/15
実家の畑で収穫したナスビを台所に置いていました。
それを動かしたとき、赤っぽいアリのようなものが見え、あっと思ったら、スッと見えなくなりました。
その後、ナスビを動かして探したのですが、どこに行ったのか見つけられませんでした。
翌日、ナスビを片付けようとしたとき、また出てきたので、そっと捕獲しました。
写真を撮ろうとしたのですが、動きが素早くて、ジッとしていてくれないので四苦八苦。
フラッシュを併用して、なんとか何枚か撮ることができました。その一部が上記です。
この個体はオスであり、頭胸部の前に突き出しているのが大きな上顎です。



頭胸部の黒い頭部と赤茶色の胸部が大きくくびれているように見えます。
確かにくびれはありますが、側面に狭三角形状に白毛が密生して、くびれを大きく見せています。
上記の右側の白丸の中に見える白い部分がそれで、左の写真では大きくくびれているように見えます。

ヤサアリグモ(Myrmarachne innermichelis)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・完性域類・ハエトリグモ科・
Salticinae亜科・Myrmarachnini族・Myrmarachnina亜族・アリグモ属>

ハエトリグモ科アリグモ属に分類されるクモで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
出現時期は5月〜9月で、体長はオスで4〜5mm、メスで5〜6mm。
草原や林内の草本や樹上に見られ、地表付近など低い位置ではあまり見られない。
頭胸部(クモの頭部と胸部は一体化)にはくびれがあって、昆虫のような外形をしている。
オスは全体に細長く、腹部は非常に細長くてややくびれていて、上顎も細長い。
メスに腹部には光沢があり、個体によっては小白斑が1対見られる。
脚は黄褐色で、幼体は頭部後方と腹部前方が赤褐色をしている。

2021/10/2
実家の畑でツルレイシ(ゴーヤの方が分かり易いかも)の写真を撮っていました。
その花の1つで、オシベの基部にアリがうろついているのを見かけました。
その写真を見ていて、アリではないことに気が付きました。何かがアリに擬態しているようです。
カメムシの中にアリに擬態するものが居たことを思い出し、確認したのですが異なります。
次に思い出したのがアリグモです。確認してみると、似てはいますが腹部の模様が異なります。
ただ、脚の数(4対?)や脚の曲がり方(内股的/昆虫はがに股気味が多い)からクモの仲間と確信。
さらに探していると、アリグモ属のヤサアリグモのメスに行き着きました。
個体によっては腹部に小白斑が1対ある点も一致するので、間違いはないでしょう。

アカテガニ(Chiromantes haematocheir)
<エビ目・エビ亜目・カニ下目・イワガニ上科・ベンケイガニ科・アカテガニ属>

2023/6/28

2023/6/28                 2023/6/29
ベンケイガニ科アカテガニ属のカニで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布し、海岸や川辺に多い。
海外では、朝鮮半島から中国東部、台湾に分布する。
カニの中でも乾燥に適応した種で、高所に登る習性もあり、春〜秋に人家に侵入することもある。
乾燥に強いのは、鰓呼吸した水を口→腹部脇→脚の付け根と空気に触れさせて循環できるためで、
水を再取り込みすることで水のない所でも活動することができる。
ただ、長く続けると水分の蒸発や体液の混入などで粘りが出て、口から泡を吹くことになる。
これは呼吸が苦しくなっている状態で、水中に入って新鮮な水と交換することが必要となる。
成体の甲幅は30mm前後で、オスの方がメスより大きい。
頭胸甲は厚みのある四角形で、複眼後方の甲側面には鋸歯がない。
鉗脚は左右ほぼ同大で、オス成体では大きく発達して指が湾曲して噛み合わせに隙間ができる。
メスは鉗脚が小さく、指も湾曲しないので、噛み合わせに隙間はできない。
成体の体色は灰褐色で、背甲中央に口角の上がった口のような赤い腺がある。
背甲上部が黄色や橙色に彩られ、中には背甲全面が橙色の個体もいる。
オス成体の鉗脚上面は赤く、指の部分は黄白色である。
若い個体は雌雄とも全身が淡黄褐色で、若い成体やメスでは、全体的に体色は淡い。
産卵は春〜夏にかけてで、0.5mmほどの卵を腹肢に抱えて、孵化するまで保護する。
7月〜8月の大潮の夜、黒褐色に成熟した卵を抱えたメスは、満潮に合わせて海岸に集合する。
半分ほど海水に浸かって体を細かく震わせて腹部を開閉すると、ゾエア幼生が海中へ飛びだす。
何度か脱皮しながら2mm足らずのゾエア幼生→メガロパ幼生と変態し、成長する。
10月頃に甲幅4mmほどの小ガニに変態したところで、上陸する。
上陸後1〜2年は雌雄とも全身が淡黄褐色であるが、成長すると鋏脚が赤く色づいてくる。
深さ数十cmに達する巣穴を自分で掘ることもあるが、特に決まった巣や縄張りはない。
逃げるときには、手近な他個体や他種の巣穴、石の隙間などに逃げ込む。
逃げ切れないとみると、鋏脚を大きく振り上げて威嚇行動を行う。
食性は雑食性で、動物の死骸から植物まで何でも食べる。
冬は温度差の少ない巣穴の底にひそんで冬眠する。

2023/6/28,29
実家の車庫の中で、小さなカニがウロウロしているのを見つけました。
前日、庭でこの倍くらいのカニを取り逃がしたので、慎重に捕獲してモデルを務めてもらいました。
以前、近くの川ではいろいろなカニが見られましたが、最近は見かけなくなっていました。
川から離れたこんな所でカニに会えたのは、何十年ぶりかです。
こんな所まで上がってくるのはアカテガニくらいなのですが、念ため、甲羅等を確認しました。
甲羅の左右の縁、前縁の形状、甲羅の模様などから、アカテガニで間違いはないようです。
甲幅は7.5mmほどしかないので、おそらく昨秋に上陸した稚ガニなのでしょう。
雌雄を確認し忘れたのですが、この大きさでは鉗脚の大きさに差はないので、雌雄判定は無理ですね。
カニの雌雄は、カニの腹部(ふんどしと呼ばれる)の形状を見れば、一目瞭然です。
ここが、細い三角形状だとオス、丸く幅広(多くの卵を抱えるため)なのがメスです。
前日に見かけたものは、ほぼ同じ体型でしたが、甲幅は20mm近くあったように思います。
撮影後に庭に逃がし、そのとき、隅に逃げ込んだ所を撮ったのが下段左の写真です。
6/29は終日雨でしたが、たまたま玄関先に出た時、昨日のカニを見つけました。
庭の角では日差しは避けられても水はありません。そのため、引っ越しを決めたようです。


2023/7/11
深夜、部屋の中で何かがゴソゴソと動いている音が聞こえてきて、目が覚めました。
キイロスズメの幼虫を飼育していますが、動いても音はしません。
何がいるのかと電気を付けましたが、途端に音が無くなりました。
しばらくすると、また、ゴソゴソと音が聞こえてきたので、その場所を確認しました。
なんと、そこに居たのは大きなアカテガニで、襖をよじ登っている音だったんです。
庭では見かけましたが、部屋の中にいるとは思いませんでした。
おそらく、暑さ対策でガレージを5cmほど開けていたので、そこから侵入したのでしょう。
その後、廊下の隅にでも潜んでいたのか、脚にゴミが付いていました。



2023/7/11
朝起きてから、改めてアカテガニを見ると、甲幅26oとかなり立派な大きさです。
鋏脚はオレンジ色で、甲羅の角が黄色くなっていましたが、鋏脚はさほど大きくありません。
見た感じメスの成体のようでしたが、裏側を見るとオスで、成体一歩手前のようです。
改めて鋏脚を見ると、左右で若干大きさが異なり、右側の鋏脚は一回り小さいです。
大きい方の鋏脚の指は湾曲し始めていて、噛み合わせに若干隙間が出来ています。
この後、写真のモデルを務めてもらったお礼に、水を入れてあげました。
右の写真は前面を拡大したもので、左右に茶色い毛のある白い大きなものは第3顎脚のようです。
水を入れると、この第3顎脚を大きく動かして、水を取り込んでいるようでした。


2023/7/11
水をあげた後、日蔭になる庭の隅に逃がしてあげました。
塀に沿って移動し、落ち葉などが溜まっている方へそそくさと移動していきました。

クロベンケイガニ(Chiromantes dehaani)
<エビ目・エビ亜目・カニ下目・イワガニ上科・ベンケイガニ科・アカテガニ属>

<オス>                   <メス>
ベンケイガニ科ベンケイガニ属に分類される中型のカニで、在来種。
日本では、本州の日本海側は男鹿半島以南、太平洋側は房総半島以南、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾の汽水域〜河川沿岸に分布する。
成体の甲幅は35mm前後で、甲はほぼ四角形で、側縁の前方に不明瞭なくぼみが一つある。
甲前側縁に切れ込みはなく、後側縁には細い筋が何本も入っている。眼窩外歯の後方には極浅い窪みがある。
成体の体色は、全身が灰褐色〜紫褐色で、細かな白っぽい顆粒がたくさんある。
歩脚は緑がかった褐色で、黒くて長い剛毛が密生している。
完全な雑食性であり、動物や植物を生死の区別なく食べる。
水際の湿った所を好み、性質は荒い。人が手を出しても威嚇してくる。

2012/8/12
実家近くの川岸で見かけた小さなカニです。
後で調べて、クロベンケイガニのオスとメスと分かりました。

子供の頃には、この辺りにも下記のようなカニがいましたが、今はほとんどいないのか見かけません。
アカテガニ、アシハラガニ、モクズガニが家の庭や川岸などに住み着いていました。
アカテガニはツメの色からアカチン、アシハラガニは体色からセメントと呼んでいたような気がします。
モクズガニは毛があるのでケガニだったように思いますが、クロベンケイガニは何と呼んでいたか忘れました。
モクズガニは簡単に取れ、茹でておいしかったので、テナガエビと共に良く取っていました。


2020/8/14
久しぶりに川岸を散歩していた時、水際に何かいたので撮ったものです。
小さなカニは確認できたのですが、後で拡大するとクロベンケイガニのようです。
その直ぐ傍には、フナムシがたくさんいたようなのですが、その時は気が付きませんでした。


2021/6/20
カニは気配に敏感で、なかなか近くでは撮らせてもらえません。
このときも、近寄っただけで近くの土管の中に逃げ込んでしまいました。
その入り口近くで1匹が止まり、こちらをうかがっているのが見えました。
そこで、様子を見ながらそっと近づき、1mくらいの所から撮ったのが上記の写真です。
近い分、今までの写真よりかなり解像度の良い写真が撮れました。
歩脚の黒い剛毛が良く見えており、緑がかった歩脚の色味も良く分かると思います。

モクズガニ(Eriocheir japonica)
<エビ目・エビ亜目・カニ下目・イワガニ上科・モクズガニ科・モクズガニ属>

2021/4/19                  2021/4/20
モクズガニ科モクズガニ属に属するカニで、在来種。
日本では小笠原諸島を除く全国に分布し、海外では樺太〜ロシア沿海〜香港、台湾に分布する。
甲幅7〜8cm、体重は180gほどになる、川に産するカニの中では大型種である。
鋏脚に濃い毛が生えるのが大きな特徴で、毛は黒褐色をしている。
頭胸甲は後方にやや広がった六角形で、側縁部には3対の歯がある。
体色は、腹部と胸部腹甲が白色である以外は、黄緑色の地に黒い縞模様(濃緑褐色に見える)がある。
成体では雌雄の体の大きさはほぼ同じであるが、形態差は明瞭である。
オスには2形態あり、大きな鋏脚に多くの毛が生え、歩脚が短い大型個体(甲幅6cm以上)と、
相対的に鋏脚が小さく、歩脚が長い小型個体(甲幅3〜6cm)で、メスには形態差はない。
雌雄とも一部の個体は越冬するが、多くは繁殖のために晩秋に海に下る。
そのため、春から初夏にかけては、淡水域ではほとんど見られなくなる。
逆に、河口や海岸では、秋から初夏にかけて成体が見られるようになる。
なお、幼生は塩分濃度な高い海でないと成長できず、甲幅5mm程度の稚ガニになって川に遡上する。
その後、2〜3年で成体となり、その年の秋から冬にかけて海に下る。
繁殖期は9月〜6月の10ヶ月ほどで、繁殖期の終わりには雌雄とも死滅する。

2021/4/19,20
実家近くの川岸を散歩中、やっとモクズガニを確認することができました。
川がきれいになって、チヌなどが戻ってきていたので、モクズガニもいるのではと探していました。
4/19のときは、左の大きなモクズガニが移動中、下から右の小さな方が近づきました。
この後、しばらくにらみ合った後、小さい方は下の方に消えて行きました。
4/20も同じように下の方から小さい方が寄ってきて、また、しばらくして戻って行きました。
この2匹、この場所でいつもにらみ合っているのかもしれませんね。おそらく、オス同士でしょう。
多くの毛が生えた大きな鋏脚を持つ大型個体と鋏脚が小さくて歩脚が長い小型個体と思われます。


2021/4/20
下の方に戻って行った小さい方のモクズガニの先に、裏返って死んでいるモクズガニが見えました。
右の写真は、100m以上離れた対岸で見つけた小型のモクズガニです。
こうしてみると、思っている以上にモクズガニが戻ってきているのかもしれませんね。
ひょっとしたら、テナガエビも戻ってきているかもしれません。


2024/1/14
久しぶりに川岸を散歩していると、モクズガニが石垣に沿って動いているのを見かけました。
カメラを持って戻ったときには、その場所には既にいませんでした。
近くをウロウロと探していると、数十m離れた所で見かけたのが上記の写真の個体です。
水深がある上に波もあったので、なんとかそれと分かる程度にしか撮れませんでした。
ただ、モクズガニが戻ってきているのは間違いないようです。


 
2024/1/29
この日、カンムリカイツブリを撮ろうと上流に行くとき、河岸も注意深く見て行きました。
その結果、モクズガニを4匹見つけましたが、逃げられたのもいて撮影できたのは3匹です。
1km近く歩いて見つけたのが4匹では、戻ってきているとしても、まだまだですね。
帰り道でも見ながら歩いたのですが、行きに見た場所で確認できたのは1匹のみでした。
その直ぐ近くで、裏返しになったメスのモクズガニを見つけましたが、死んでいるようです。
まだ、繁殖期の途中ですが、早くも天寿を全うしたのか、はたまた別の要因で死んだのか。



2024/2/17
カンムリカイツブリを探しに上流の方に行ったとき、河原にいるハシボソガラスを見かけました。
何かをくわえていたので、それをよく見るとモクズガニらしいことが分かりました。
川辺に多いハシボソガラスですが、水中のカニまで餌にするとは、その食欲は貪欲なんですね。
傍の水辺は、なだらかな傾斜のコンクリート壁で浅い部分が広いので、カラスでも捕り易そうです。
近づいたら逃げて行ったので、近くに行ってモクズガニであることを確認しました。
甲羅側からは分からなかったのですが、裏に回ると内側は食べられてほぼ空でした。
腹側がないので雌雄は明確ではありませんが、大きさからオスの可能性が高いと思います。

ヌマエビ科の1種(Atyidae)
<エビ目・エビ亜目・コエビ下目・ヌマエビ上科・ヌマエビ科>



エビの分類群の一つで、熱帯から温帯の淡水域に生息するエビを含む分類群である。
ヌマエビ亜科ヌマエビ属は、複眼上方の頭胸甲上に眼上棘、顎脚と歩脚の全てに外肢を持つ。
生息域は湖沼・河川等の淡水域で、幼生が海に下る両側回遊種と陸封種がある。
ロシア沿海地方から東南アジア、オーストラリアまで、西太平洋の熱帯・温帯域に生息する。
約11種が知られており、その内の3種が日本には生息している。
・ヌマエビ(Paratya compressa)新潟県・千葉県以南の西日本に分布する
・ヌカエビ(Paratya improvisa)近畿地方から東北地方までに分布する固有種
・オガサワラヌマエビ( Paratya boninensis)小笠原諸島固有種
ヒメヌマエビ亜科カワリヌマエビ属は全てが陸封種で、ゾエア期がなく子エビの状態で生まれる。
ミナミヌマエビ(Neocaridina denticulata)が、本州の静岡県焼津市以西、琵琶湖以南に分布する。
水草が多い流れのゆるい川や池に生息し、背中央に淡色の線が走り、その両側にハの字型の縞模様がある。
近年、外来種のシナヌマエビ(Neocaridina davidi)が各地で増えている模様。
ヒメヌマエビ亜科ヒメヌマエビ属は、幼生が海に下る両側回遊種と陸封種がいる。
頭胸甲は眼上棘がなく、前側角も棘にならず丸みを帯びる。
ヤマトヌマエビ(Caridina multidentata)が、本州の鳥取県以西、千葉県以南に分布する。
半透明の淡青色〜緑褐色で、尾の中央に三角形の小黒斑、両端に楕円形の黒斑がある。

2022/6/18
第1獣害防止ゲートを出て直ぐ左手にある小川(?)で、小さな生物が動き回っているのが見えました。
道具類を持っていなかったので、上から水面越しに撮ることしかできませんでしたが、
写真を拡大するとエビのように見えたので、調べてみるとヌマエビの仲間らしいことが分かりました。
大きさからみてカワリヌマエビ属の1種と思われ、Webで写真を調べてみました。
調べた結果、滋賀県南部の河川で採集したという個体と似ている気がします。
あちらこちらでミナミヌマエビとシナヌマエビの交雑が起きて、混沌としているとの事。
そのため、前述の調べた写真も「カワリヌマエビ属の1種」としか言えないそうです。
ただ、この写真しかないので、これから種別まで調べるのはかなり無理があります。
そのため、ここでは「ヌマエビ科の1種」としました。

アメリカザリガニ(Procambarus clarkii)
<エビ目・エビ亜目・ザリガニ下目・ザリガニ上科・
アメリカザリガニ科・アメリカザリガニ亜科・アメリカザリガニ属>



アメリカザリガニ科アメリカザリガニ属に分類されるザリガニの1種で、アメリカ合衆国が原産地。
日本には食用ウシガエルの餌として、1927年にニューオリンズの業者から移入し、それが野生化した。
現在では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで全国に分布している。
海外でも、メキシコ、ふぉみにか、フランス、スペイン、ドイツなどに移入分布している。
現在、ザリガニといえば本種の事を指すことが多いが、旧来はニホンザリガニを指していた。
本種が定着して以降は、産地名を冠して、ニホンザリガニ、アメリカザリガニと呼び分けられた。
ただ、ニホンザリガニが北日本にしか分布しておらず、関東以西にはザリガニ下目の生息はなかった。
そのため、西日本においては、ザリガニといえば本種を指すようになり、各地に広がっている。
体長は8〜12cmが多いが、中には20cmを越える大物もいる。体色は赤色か褐色のどちらかである。
なお、稀ではあるが色素異変などが原因で、青色や白色の個体も見られる。
頭胸甲の上はY字に区切られており、5対の歩脚の内第1脚は大きな鋏脚になっている。
特にオスの鋏脚は大きく発達する。また、第2脚と第3脚にも小さな鋏がある。
水深が浅くて流れの緩い泥底を好み、日本の水田の畔が格好の住処となって各地に広がった。
その畔に穴を掘って生息するため、穴から水田の水が漏れる被害が発生し、農業害虫となっている。
日本では、ほとんど食用としないが、アメリカや中国では美味とされ、人気がある。
ただ、肺吸虫の中間宿主となるため、熱処理(100℃で10分)することが必要とされる。
愛玩生物として人気があるが、多くの悪影響が懸念され、侵略的外来種ワースト100に選定されている。
環境省の特定外来生物への指定が検討されているが、慎重論もあり、現時点では決まっていない。

2021/9/24
田んぼが広がる実家近くを散歩中、稲刈りに備えて畔の雑草が刈り込まれた田んぼが見られました。
そんな田んぼの畔際で、黄色く色付いた稲穂が垂れるイネの株元に、アメリカザリガニが居ました。
上段の写真で、左側に見える赤いアメリカザリガニのオスの部分をアップにしたのが下段左です。
アメリカザリガニのオスの左上に小さな褐色のメスが見えます。下段右もアメリカザリガニのメスです。
オスの赤い鋏脚は大きく立派ですが、メスの鋏脚はちょっと小ぶりです。色の違いは個体差でしょうか。
イネの根元や泥の上に見える暗褐色の丸いものはスクミリンゴガイで、相当数が見られました。

フナムシ(Ligia exotica)
<ワラジムシ目・ワラジムシ亜目・フナムシ科・フナムシ属>

フナムシ科フナムシ属に属する甲殻類の一種で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
北海道にはキタフナムシ、南西諸島にはリュウキュウフナムシなどが分布し、フナムシ属11種が分布する。
フナムシ属は、全世界の熱帯から温帯にかけての岩礁地帯に広く分布し、非常に多い。
体長は5cmほどに達し、かなり大きい。体は平たく、多くの節に分かれ、7対の歩脚がある。
頭部には長い触角と大きな複眼があり、尾端には2つに分かれた尾脚が1対ある。
背面は鈍い光沢のある黒色で、淡黄色のまだら模様や褐色の縁取りがあるものがある。
非常に敏感かつ敏速で、大きな動物が現れるとサッと岩陰などに逃げ込む。
腹肢の内側の内肢が「血液鰓」で、常に湿った状態に保たれ、空気中の酸素を溶け込ませて鰓呼吸する。
そのため暗く湿った場所を好み、普段は岩陰などに潜んでいる。
鰓呼吸とはいっても海水の酸素濃度はフナムシには低すぎるので海中では長く生きられない。
水に入ると素早く体を波打たせて多少は泳げるが、遠距離を泳ぐことはできない。
雑食性で主に生物の死骸や打ち上げられた海藻類など食べ、海岸の「掃除屋」でもある。
天敵はイソヒヨドリ、シギなどの鳥やイワガニやアカテガニなどのカニである。

2012/8/12
実家近くの河岸などにたくさんいて、よく見かけます。
ただ、非常に敏捷で、近づくとすぐに逃げてしまいますので、なかなかアップでは撮れません。


2020/8/14
久しぶりに川岸を散歩していた時、水際に何かいたので撮ったものです。
小さなカニは確認できたのですが、撮影した時にはフナムシには気が付きませんでした。
後で拡大すると、傍にはフナムシがたくさんいたことに気が付きました。

 
2021/6/5
実家近くの川岸を散歩中、石垣の上から1mほど飛び降りたとき、足元でガサガサ音がしました。
何だろうと足元を見ると、フナムシが枯葉の上で脚を必死で動かしている音でした。
私が飛び降りたので、とっさに石垣の方に逃げたのでしょうが、そこが運悪く枯葉の上だったようです。
水辺の移動には適した脚も、硬くて滑る枯葉の上では役に立たず、ガサガサと滑るだけでした。
大した傾斜ではないのですが、全く進まず、とうとう諦めて大人しくなりました。
これ幸いと、逃げ足の速いフナムシを近距離で撮影することができました。
こうして見ると、眼の形がグラサンのように見え、なかなかダンディーな面構えかもしれませんね。

 
2021/7/1
実家近くの川沿いを散歩中、足元から石垣を上って行くフナムシが居ました。
何匹か居たのですが、右の写真が十分に成長した個体と思われ、暗灰色に淡青色の斑点がきれいです。
左の写真は、少し若いのか小さ目で色も淡い。周辺は褐色で、中央尾端よりに赤褐色の部分があります。
その部分で、頭部側と尾端側に分かれるようで、大きさが若干変わっています。
左の個体でも、よく見るとその辺りから前後で若干の大きさの違いが見られます。
最初の横からの写真では、その辺りから1段低くなっていて、やはり、ここで前後に分かれるようです。

ホウネンエビ(Branchinella kugenumaensis)
<無甲目・ホウネンエビ科・ホウネンエビ属>

ホウネンエビ科ホウネンエビ属に属する小型の甲殻類で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、北海道にはキタホウネンエビが分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、インドに分布する。
体長は15〜20mmで、体は全体的に細長く、初夏の水田でよく見られる。
歩脚はなく、鰓脚(さいきゃく)と呼ばれる呼吸器を備えた遊泳脚のみを持つ。
体色は透明感のある白色が主だが、緑を帯びた個体や青みを帯びた個体も見られる。
頭部には左右に突き出した1対の複眼と触角、口器がある。
第1触角は糸状で前方へ短く伸び、第2触角は雌雄で形状が異なる。
メスでは小さいが、オスでは繁殖時に連結するための把握器として大きく発達している。
頭部に続いて、鰓脚の付いた11節ある胸部と、鰓脚のない腹部が続く。
メスでは、胸部の最後部に卵の入る保育のうがあり、腹部に沿って突出する。
腹部は細長く、最後に鮮やかな朱色で一対の木の葉型の尾脚がある。
通常は腹面を上に向けて、水面近くや中ほどの位置で、あまり動かないか、ゆっくり移動する。
ホウネンエビは、孵化後20日程で成熟して産卵を始め、4〜6日毎に放卵して、寿命は40日程。
卵は土中に沈み、水中では孵化しない。卵は、しばらく乾燥させると孵化する。
最初のノープリウスと呼ばれる幼生は、体長1mmほどの赤みを帯びた体色で、三対の付属肢をもつ。
その後脱皮を繰り返して、徐々に体節と鰓脚を増やして成体と同じ姿になる。

2022/6/18
網引湿原を後にして公会堂に向かう途中、田んぼの畔で熱心に観察している方々が目に留まりました。
何を見ているのかお聞きすると、ホウネンエビとの事。緑色の体にオレンジ色の尾があるそうです。
ただ、田んぼの水が濁っていて、何か変なものが動いているのが見えただけでした。
シュモクザメを太短くしたようなものが、水面に浮いたり沈んだりしながら動き回っています。
それかと思って聞くと、それではないとの事。そこに地元の湿原を管理されている方が通りかかりました。
その方の話では、いると思うとの事。浅い水たまりを見ていたその方が、ホウネンエビを見つけました。
流石ですね。道具も持っていて、採取して見せていただきました。
写真を後で見ていると、尾脚の近くに丸いものがたくさん見えていました。おそらく卵でしょう。

カイエビ(Caenestheriella gifuensis)
<双殻目・カイエビ亜目・カイエビ科>

カイエビ亜目カイエビ科に属する二枚貝に似た小型の甲殻類で、水田に出現する。
体長は8mm前後で、見た目は小さな2枚貝のようで、その中の本体はミジンコのような姿である。
薄い殻を通して本体の姿が透けて見え、脚を動かしている所などを見ることができる。
なお、この貝殻のように見えるものは、甲殻が変化したものである。
外敵などに触れたときは殻を完全に閉じてしまうが、普段は半開きの状態である。
その隙間から脚を出して、水底を這いまわったり、水中を遊泳したりする。
殻とは閉殻筋で頭部がつながっているだけで、その他はほぼ自由に動かすことができる。
頭部には大きな複眼が1対あり、口は下面後方の胸の側にある。
頭部の側面からは第二触角が伸び、太い腕の先の二本の枝に多数の毛があって、遊泳に使う。
頭部に続いて、鰓脚(さいきゃく)の付いた30節の胸部と、鰓脚のない短い腹部が続く。
最後は、鰓脚を掃除に使う、前に曲がった鉤状の突起で終わる。
雌雄の姿はよく似ていて、外見での区別は難しい。
なお、時折、Tの字に1匹の腹部に他の1匹が頭部を付けて、押すようにして泳ぐ姿が見られる。
カイエビは、孵化後1週間ほどで成体になり、産卵して2週間ほどで生涯を終える。
卵は、背中と貝殻の隙間に一時的にため込んで保護し、一気に産卵する。

2022/6/18
網引湿原を後にして公会堂に向かう途中、田んぼの畔で熱心に観察している方々が目に留まりました。
何を見ているのかお聞きすると、ホウネンエビとの事。緑色の体にオレンジ色の尾があるそうです。
ただ、田んぼの水が濁っていて、何か変なものが動いているのが見えただけでした。
シュモクザメを太短くしたようなものが、水面に浮いたり沈んだりしながら動き回っています。
シュモクザメと書きましたが、その名前のもとになった撞木に近い形です。
それが何か聞いたのですが、分からないとのことでした。
田んぼに居る変わった生き物を検索すると、ホウネンエビ、カイエビ、カブトエビが出てきます。
しかし、そのどれとも形状が合いません。まさに謎の生物です。


2022/6/22
昨日、実家近くの田んぼ近くを散歩中、網引湿原で見た正体不明の生物と同じものを見つけました。
どの田んぼにもいるわけではなく、特定の田んぼでのみ泳いでいるのを確認できました。
早速、帰って採取用の網作り、今日、捕獲しようと昨日の田んぼにやって来ました。
かなりの数が泳いでいましたので、網ですくってプラ容器に入れると、2つに分かれてしまいました。
ここでようやく、Tの字の形が2匹がくっ付いていたものであったことが分かりました。
何組かすくってみたのですが、プラ容器に入れると全てバラバラになってしまいました。
そのまま実家に持ち帰って観察していると、1組だけTの字の形になって泳ぎ始めました。
上記がその時の写真ですが、横向きの1匹を、他の1匹が頭部で押しているようです。
さて、この正体不明の生物ですが、田んぼでよく見られるカイエビという生物でした。
網引湿原で見たものは緑の藻がなかったので褐色に見えましたが、ここのは藻で緑色です。
開いた貝殻のような甲殻から、黒い複眼が1対でて、その下から2裂した第二触角が出ています。
カイエビ科にも何種類か居るようですが、甲殻の背が直線的なので、カイエビと判断しました。



2022/6/22
カイエビの写真を調べていて、何か小さなものが混ざっているのに気が付きました。
ミジンコでも混ざっているのかと思ったのですが、そうではなく、カイエビの幼生のようです。
下段は、夜になってフラッシュを使って撮影したものですが、かなりいることが分かりました。
よく見ると、早い段階の幼生から貝殻のような甲殻が既に出来ているものまで混じっています。



2022/6/22
上段の写真で、何か透明なモジャモジャしたものが見えますが、これはカイエビの脱皮殻です。
昼間、全く気付かなかったのですが、フラッシュを使ったことで写ったようです。
甲殻の部分や、その内部にある泳ぐのに使う鰓脚(さいきゃく)や触角まできれいに見えています。
下段は、いろいろな段階のカイエビの幼生です。
左端はもっとも初期のノープリウス幼生と呼ばれているもので、甲殻はまだ出来ていません。
中央は、少し大きくなって、おそらく甲殻もでき始めているのではないかと思います。
色の違いは、緑色の藻が付いているかどうかの違いではないかと思っています。
右端の写真の左上は中央の写真と同じですが、右下はしっかりと甲殻が出来て成体と同じ形です。

トビズムカデ(Scolopendra subspinipes mutilans / Scolopendra mutilans)
<オオムカデ目・オオムカデ科・オオムカデ亜科・オオムカデ属>



オオムカデ科オオムカデ属のムカデで、国内で最大級の在来種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
春から晩秋まで朽木や雑木林の落ち葉の中などやや湿り気のある場所で見られる。
体長は8〜15cm(20cmに達するものもいる)と大型のムカデである。
本種は比較的長寿命で、5〜10年生きると言われている。
体色は個体変異が多いが、頭部・第1背板・曳航肢は赤色、他の背板は深緑色、脚は黄色か赤色が多い。
頭部の前方に4対の単眼があり、3個の単眼は横一列に並び、その下に少し離れて1個の単眼がある。
和名のトビズは「鳶頭」と書き、頭の色が鳶色(茶色)であることに由来する。
なお、頭部が暗緑色のアオズムカデ、赤色のアカズムカデも同様で、頭部の色が和名になっている。
本種と同属のオオムカデ類との識別点は、下記の通りである。
・頭部と第1背板は鮮明な赤で、残りの背板は暗緑色である
・曳航肢の前腿節の棘は、腹面外側と内側各々2本と1本、背面内側2本で終端が二股状
・顎肢の基胸板の歯が左右各5本で、ふ節棘が曳航肢以外の脚にある
 (参)アオズムカデの第20歩肢(曳航肢の手前)にはふ節棘はない
本種は、肉食性でゴキブリやバッタ、ガ、ネズミなど小動物を捕食する。
そのため、餌となるゴキブリなどが繁殖していると人家に侵入することがある。
頭部の下に発達した顎肢があり、強い力で噛むと同時に毒線から神経毒や溶血性毒が注入される。
刺激しない限り人を噛むことはないが、噛まれると激痛が走り、赤く腫れる。
噛まれたところを水でよく洗い、冷やして毒の拡散を防ぎ、病院で治療を受ける方が良い。
43〜46℃のお湯で洗うと失活するとの紹介があるが、温度が下がると逆効果である。
なお、患部を口で吸って毒を出すのは厳禁。毒で口内が腫れるなどの原因となる。
アナフィラキシーショックを起こすこともあり、全身症状が出たときは救急車を呼ぶべきである。

2022/11/30
実家の柿の木が、昨夜の雨と風で大量の落ち葉をまき散らしてくれたので、後片付けが大変。
大量の落ち葉をかき集めていたとき、2匹のムカデが這い出してきました。
以前、よく見かけたものの半分ほどの大きさしかありませんので、おそらく亜成体でしょう。
10cmを越えるような毒々しい色合いの成体と比べると、何となく優しい色合いです。
しかし、油断は禁物です。小さくてもしっかりと毒を持っていて、噛まれると大変。
成虫には近づきたくはないですが、まだ小さいので落葉の下に潜らせて、カメラを持ってきました。
ただ、迂闊には触れないので、慎重に落ち葉を除けて、出てきた所を撮影しました。
上段が全身の写真で、体長は4〜5cmといった所です。背板は褐色味の残る深緑色です。
頭部と第1背板は赤褐色で、触角も赤褐色味を帯びています。
20対の歩肢と21対目の曳航肢は、基部は褐色味を帯びていますが黄色です。
ムカデの種類を調べていて、意外と多くの種類が居ることが分かりました。
脚の数などからオオムカデ科のトビズムカデかアオズムカデのどちらかと分かりました。
両者の区別には棘の確認が必要ですが、後で調べていて分かったので、未確認です。
ただ、決め手にはならないかもしれませんが、頭部、第1背板の色から本種としました。





2023/4/2
実家の庭で布団を干そうとしたとき、ふと足元を見ると、大きなムカデが目に入りました。
思わず飛びのいたのですが、何か変です。じっとしていて動きません。
近づいて棒で突くと足はもぞもぞと動くのですが、その場から動くことはありませんでした。
かなり弱っているように見えたので、捕獲して写真を撮ることにしました。
カメラの準備ができた頃には、全く動かなくなっていましたので、死んでしまったようです。
ということで、死後直後の写真を撮ることができました。
体長は103mmほどで、頭部から末端の背板までが黒く、触角や歩肢は淡黄色です。
曳航肢は暗色を帯び、触角や第19、20歩肢の先の方も暗色を帯びています。
さて、最初に見た時、全体の体色からアオズムカデではないかと思いました。
念のため、第20歩肢のふ節の棘をルーペで確認すると、他の歩肢同様に棘が確認できました。
第20歩肢のふ節に刺があるということは、アオズムカデではない。
改めて頭部と第1背板を確認すると、黒っぽいが第2背板より、赤味があります。
鮮明な赤色ではありませんが、これらの点からトビズムカデと判断しました。
中下段は、頭部と曳航肢の部分を拡大したものです。
中段左の写真では、頭部と第1背板が、第2背板より褐色味を帯びているのが分かります。
また、頭部前方に3個の単眼が並んでいるのが分かると思います。4つ目の単眼は見えていません。
腹面からの写真では、先が黒くなった巨大な顎肢が噛み合っているのが見えます。
見た目は牙のようですが、これは肢が変化したもので、胴節から出ていて、毒腺があります。
なお、右の曳航肢の基部に何かが飛び出して見えているのですが、これが何かは分かりませんでした。

ヤマトアカヤスデ(Nedyopus patrioticus)
<オビヤスデ目・ヤケヤスデ科・アカヤスデ属>

ヤケヤスデ科アカヤスデ属に属するヤスデの仲間で、在来種。
日本では、ほぼ全国に分布しており、雑木林の落ち葉の下やゴミ置き場などで見られる。
寿命は5年ほどと長く、腐植食性なので湿度が高い6月〜10月くらいによく見られる。
黒い胴節に、赤い盛り上がった帯状紋が特徴的な種類で、目立つ配色をしている。
日本には200種以上のヤスデがおり、この内、都市近郊で見られるのはヤケヤスデの仲間である。
肉食性のムカデに似ているが、ヤスデは腐植食性で毒のある顎は持たない。
ただ、胴の側面か下面にある臭腺から、刺激臭のある体液を分泌する。
なお、日本にはいないが、熱帯産の大型種には体液に毒物を含み、皮膚炎を起こすものがいる。
体は数十個の節に分かれ、最初の胴節に脚はなく、2〜4胴節には1対、それ以降は2対ずつある。
また、頭部には8節からなる1対の触角がある。
ヤスデは害虫扱いであるが、人体に直接的な害は与えない、典型的な不快害虫である。
見た目に加えて、踏んだりすると臭腺から体液が分泌され、異臭を発することなどによる。
また、大発生して線路上に這い登り、踏み潰した車輪が空転する列車被害を起こしたものもある。

2022/5/29
実家の花壇を手入れしていた時、たまに見かける赤い帯模様のあるヤスデが居ました。
頭部からU字型に曲がった触角が伸びています。触角の周囲が白っぽいですね。
第5胴節以降に2対の脚が見られます。2〜4胴節の1対の脚はよく見えません。
毒々しい赤い色なので、触るのを躊躇していたヤスデですが、名前を知りたくなりました。
しかし、Web上では駆除の情報が大半で、ヤスデに関する学術的な情報はほとんどありません。
さすが、不快害虫ですね。それでもなんとかヤマトアカヤスデの名前にたどり着きました。
ただ、本種に関する個別の情報は無いに等しい状態でした。
また、毒々しい配色ですが、分泌される体液は、異臭はしても毒は含まない事が分かりました。
かぶれるような事はないと分かりましたが、匂いは嫌なので、やはり触らなくて良かったです。

チャコウラナメクジ(Ambigolimax valentianus)
<有肺類・真有肺目・柄眼亜目・曲輸尿管下目・コウラナメクジ上科・
コウラナメクジ科・Ambigolimax属>


コウラナメクジ科に分類される陸生の巻貝の一種で、ヨーロッパ原産の外来種である。
日本へは1950年代後半に、米軍の物資輸送にまぎれて持ち込まれたと考えられている。
日本では、本州から四国、九州に移入分布している。
生体の体長は5〜7cmで、体の前方背面のみが外套膜に覆われる。
この部分にある波紋状の皺は粘液の波でできており絶えず動いているが、死ぬと消える。
外套膜の後半部の体内には、楕円形の板状の白い殻(甲羅)があり、透けて見える事がある。
体の後半は腹足部で、外套膜から腹足背面にかけて暗色の筋模様が2〜3本ある。
ただし、筋模様の濃淡には変異があり、点線状で模様がはっきりしない個体も多い。
雌雄同体で、秋季に性的に成熟し、主に晩秋と春に石の下などに産卵する。
産卵を終えたら死んでしまうので、野外での寿命は1年ほどである。

2022/10/10
実家近くの民家の塀を這っているナメクジを見かけました。
実家の畑の野菜などを食い荒らしているナメクジと同じものだと思い、種類を確認することにしました。
子供の頃に良く見かけたナメクジよりも小型のナメクジで、予想通りチャコウラナメクジでした。
貝だった名残りの甲羅があるナメクジで、上段左の個体では白っぽい楕円形のものが見えています。
下段中央はその部分を拡大したものですが、上段右の個体のようによく見えない個体も多いようです。
下段右は、大触角を拡大したものですが、カタツムリよりも透明度が高いので内部が透けて見えています。
下段右の写真では、何かに反応して上側の大触角を少し縮めています。
先端に目玉のようなものがあり、黒い瞳のようなものがあるのはカタツムリと同じです。
人の目とは構造が異なり、明暗を感じる程度の能力しかないそうです。
なお、その下に少し見えているのが小触角で、匂いや味を感じる役割があり、これで地面を探るようです。

オナジマイマイ(Bradybaena similaris)
<有肺類・真有肺目・柄眼亜目・曲輸尿管下目・リンゴマイマイ上科・
オナジマイマイ科・オナジマイマイ属>

オナジマイマイ科オナジマイマイ属に分類されるカタツムリの一種で、東南アジアが原産地。
日本では北海道南部から本州、四国、九州に分布し、世界各地の熱帯・温帯地域に分布を広げている。
人家付近や田畑などで見られ、野菜や苗などを食害する小型のカタツムリである。
ウスカワマイマイと同様に、人家付近に出現しやすい種類で草木の根元などに潜み、山林には生息しない。
成貝は殻高13mm、殻径18mm前後で、カタツムリの中ではやや小型である。
貝殻は半透明の黄白色か褐色で、1本の褐色の帯が入るものと入らないものがあり、4タイプ見られる。
有帯は無帯に、黄色は赤色に遺伝的に優性であるが、最も多いのは黄白色で無帯のものである。
ウスカワマイマイに似ているが、小型で殻口が肥厚することで判別可能である。
雌雄同体なので交尾により他個体と精莢を交換した後に、春から秋まで産卵する。
なお、秋に交尾した個体はそのまま越冬し、翌年春に産卵する。

2020/8/14
久しぶりに川岸を散歩しているとき、道路脇のイネ科の葉にカタツムリが付いていました。
ここの所、連日の猛暑が続いているので、しっかりと粘液の膜を張って乾燥を防いでいます。
子供の頃によく見かけたカタツムリだと思うのですが、ちょっと小ぶりのカタツムリです。
名前を調べていたのですが、ウスカワマイマイとオナジマイマイのどちらかで迷いました。
結局、殻口の形状から黄白色で無帯のオナジマイマイと判断しました。

スクミリンゴガイ(Pomacea canaliculata)
<腹足網・真正腹足亜網・真正腹足上目・原始紐舌目・リンゴガイ上科・
リンゴガイ科・リンゴガイ属>

2012/8/12

2016/11/11
リンゴガイ科リンゴガイ属に属する淡水棲大型巻貝で、原産地は南アメリカ ラプラタ川流域。
なお、原産地以外の世界各地に広く移入し、定着、繁殖している。
成体の殻高は50〜80mmに達する淡水貝としては、極めて大型の巻貝である。
卵は鮮やかなピンク色で、水面から離れた植物や岸辺の表面に産卵して、多数が固まった卵塊となる。
卵の殻は陸上の乾燥にも耐えることができるほど硬く、卵内部には神経毒が含まれている。
耐寒性はそれほど高くなく、日本で越冬できる個体の大半は幼体である。
生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されており、日本の侵略的外来種ワースト100にも含まれる。

2012/8/12,2016/11/11
実家近くを散歩中、ハス田で見かけたピンク色の卵塊ですが、何の卵か分かりませんでした。
見たことがない卵でしたので、後で調べていて貝の卵だと分かったときには驚きました。
水の外に付いていたので、てっきり昆虫の卵だと思っていたためです。
本種が孵化するには酸素を必要とするそうなので、水中では孵化できなくなるためだそうです。
上段右の写真で、下の方に見えるレンコンの上に乗っている小さな巻貝は、本種の幼体と思われます。
なお、晩秋の下段の写真で、白くなっている卵は孵化した後のようです。

日本に入ってきたのが1981年だそうなので、子供の頃には見たことがないのは当然ですね。
食用として移入されたが、普及しなかったので放置され、逸出して国内に広がった結果のようです。
生態系被害防止外来種、侵略的外来種ワースト100に含まれ、生態系への影響が心配されています。


2019/6/26
実家近くを散歩中、植え付けの終わったばかりの田んぼの中で、スクミリンゴガイを見かけました。
長いまだら模様の触角を2本伸ばして、それで探りながら進んでいましたが、かなりのスピードです。

シマイシビル(Erpobdella japonica)
<吻無蛭目・イシビル形亜目・イシビル科・Erpobdella属>

イシビル科に属する捕食性のヒルで、在来種。
日本では、全国各地の淡水域で見られ、水質汚濁に対する耐性が強い。
過去に「Erpobdella lineata」とされていたが、極東地域に生息するのは別種と判明。
現在は、「Erpobdella japonica」として扱うことが適当であるとされている。
通年で見られ、雌雄同体で繁殖期は4月〜10月である。
5〜10個の卵が入った扁平で楕円形の卵のうを礫の下面に産み、4週間程度で孵化する。
体長は20〜45mmで、背面は茶色〜こげ茶色で、数本の黒色の縦線が走る。
体は扁平で前後に吸盤があり、前吸盤は小さくて底に顎のない口があり、後吸盤は円形。
眼は4対あり、2対ずつ横に並び、非常に小さく、成長と共に消失することが多い。
肉食性で魚類など大型動物の死骸やイトミミズ類、水生昆虫などを捕食する。

2022/6/22
昨日、実家近くの田んぼの畔を散歩中、水面近くをくねくねと泳いでいたヒルらしきもの。
カイエビ採取用に作った網で捕獲しようと昨日の田んぼに行きましたが、見当たりません。
どこかに居ないかと探していると、別の田んぼの縁で見つけて、採取できました。
吸血性のヒルではと調べてみたのですが合うものがありません。
改めて調べ直してみると、捕食性のヒルであるシマイシビルらしいと分かりました。
暗褐色の背中に黒い線が数本あるようなのですが、透過光にでもしないと見えないようです。
なお、右の写真の左下に見えているTの字の生物は、2個が連結したカイエビです。

ミズクラゲ(Aurelia sp.)
<旗口クラゲ目・ミズクラゲ科・ミズクラゲ属>

日本近海でも最も普通に見られ、毒性は弱いクラゲである。
北緯70度から南緯40度くらいまでの世界中の海に分布し、塩分濃度の低い沿海部に多い。
傘に透けて見える胃腔、生殖腺が4つあり、その形からヨツメクラゲとも呼ばれる。
傘径は30cm程になり、傘の縁には中空の細くて短い触手が無数に並ぶ。
傘の下側中央に口が十文字型に開き、その4隅が伸びて、ヤナギの葉のような4本の口腕となる。
4つの丸い胃腔があり、それを馬蹄形の生殖腺が取り囲むため、4つの眼のように見える。
なお、この眼のような生殖腺の数は4つが基本であるが、5つや6つのものも稀にいる。
雌雄異体で、オスは生殖腺が白っぽく、メスは少し茶色味がかっていることで識別できる事がある。
餌は主に動物性プランクトンで、傘を開閉することで縁辺部の触手で濾過するように捕食する。

2022/5/30
実家近くの川沿いを散歩中、何かぼんやりとはしていますが、クラゲらしいものが見えました。
距離があったので、はっきりとは確認できず、このときはスルーしてしまいました。
後日、今度は川の直ぐ側を歩いていたときに見かけ、今度はミズクラゲと確認できました。
この辺りは汽水域なので、居ても不思議はないですが、見たのはずいぶんと久しぶりです。
近くに発電所があったとき、取水口にミズクラゲが詰まる(と運転停止となる)と騒ぎになっていました。
海水浴場(今はありません)でも、泳いでいてよくミズクラゲを見かけました(毒性は弱いので無視)。
怖いのは電気クラゲ(たぶんアカクラゲやアンドンクラゲ)で、こちらは蚯蚓腫れになって痛いです。
より強烈なカツオノエボシなども居るようですが、この辺りで見た記憶はありません。
※ クラゲに関することは、鶴岡市立加茂水族館(クラゲ水族館)に行ったときのページを参照ください。









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