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播州地方で見かけた野草(秋T)



実家近辺や兵庫県内などを移動する際に見かけた野草です。
といっても、出かけた際にちょこちょこと撮影しただけのため、あまり多くはないです。
今後、機会を見つけて充実させていきたいと思っています。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の野草を追加しました。
ミカヅキグサ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
アオイ目
アオイ科(アオギリ)
イネ目
イネ科(メリケンカルカヤ、エノコログサ、キシュウスズメノヒエ、コメヒシバ、ススキ、
    ダンチク、シナダレスズメガヤ)
ガマ科(ガマ)
カヤツリグサ科(ハマスゲ、ミカヅキグサ)
ウリ目
ウリ科(アレチウリ、ツルレイシ[ニガウリ/ゴーヤ])
オモダカ目
オモダカ科(クワイ)
トチカガミ科(クロモ)
カタバミ目
カタバミ科(オオキバナカタバミ、オキザリス・プルプレア、オキザリス・ボーウィー、
      カタバミ)
播州地方で見かけた秋の野草(秋T)
和名インデックス


アオギリ(Firmiana simplex)
<アオイ目・アオイ科・Sterculioideae亜科・アオギリ属>
 
アオイ科アオギリ属の落葉高木で、在来種。
日本では、伊豆半島、愛媛県、高知県、大隈半島、琉球列島などで自生している。
公園樹や街路樹として利用されるため、暖地では野生化して増えている。
海外では、東アジアの亜熱帯から熱帯に分布している。
樹皮は、大きくなっても緑色で、ツルっとして平滑。葉は互生し、葉柄は長く、3〜5裂する。
雌雄同株で、大型の円錐花序を枝先に付ける。
花序には雄花と雌花が混じり、黄白色の5弁の小花を群生する。花弁はなく、花弁に見えるのは萼片。
果実は、未成熟期は鞘状で、5本の鞘が放射状に垂れ下る。
晩夏には鞘が裂開して、葉状になるが、その周辺に4個の種子が付く。
その状態で冬まで残り、冬に強風にあおられると木から離れて散布される。

2021/9/6
実家近くにある小学校の校庭隅で、アオギリが果実をぶら下げていました。
子供の頃に通っていた小学校ですが、アオギリはその当時からあった樹です。

メリケンカルカヤ(Andropogon virginicus)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・ウシクサ連・メリケンカルカヤ属>
 
    2020/11/29                2020/11/30
 
2020/11/30
イネ科メリケンカルカヤ属の多年草で、日本では関東以西に分布している、北米原産の帰化植物。
海外でも、東アジア、南米、オーストラリア、ハワイに帰化している。
草丈は50〜100cmで、茎は株立ちとなり、その根本はやや扁平になる。
9月〜10月に直立した稈を伸ばし、穂を多数付ける。
小穂は2花で、1つだけが種子になり、20oほどの芒を付ける。
種子を作る花の基部には、白い綿毛が多数付き、風に乗って飛散する。
晩秋には赤褐色になり、そのまま越冬することが多い。
侵略的な外来種として扱われ、外来生物法で「要注意外来生物」に指定されている。

2020/11/29,30
実家近くの川沿いを散歩中、道路脇の草原でマメグンバイナズナを撮りました。
その写真を処理していて、その隅に可憐な綿毛が写り込んでいるのに気が付きました。
現場では、白い塀の側だったので見えていなかったようです。
花穂の形状からメリケンカルカヤと思われ、翌日再訪して、確認できました。
このような状態のメリケンカルカヤは初めて見ましたが、なんとも華奢な綿毛です。
そういえばと、帰りに立ち寄った道路脇にも枯れたメリケンカルカヤを確認できました。
だいたい、この時期に見られるのはこの枯れた姿で、綿毛もきれいとは言い難いです。
先の写真を撮った草原は、他では枯れた草本も開花しているなど、少し遅れているようです。


エノコログサ(Setaria viridis)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・キビ連・エノコログサ属>
   
イネ科エノコログサ属の1年草で、在来種。ネコジャラシの俗称がある。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に広く分布する。
海外でも、アジア、南アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、アフリカと、広範囲に分布する。
草丈は30〜80cmで、茎は基部で分かれて叢生し、葉は長さ10〜20pの線形。
花期は6月〜10月で、穂状花序の長さは3〜7pの円柱形で、穂はほぼ直立する。
小穂を見れば、アキノエノコログサでは第二穎が短く、小花が顔を出すのに対して、
エノコログサでは第二穎が小穂の長さと同じで、小花が隠れる。また、小穂も一回り小さい。

2016/11/11
実家近くの道路の中央分離帯で見かけた、紅葉したエノコログサです。
最初見たとき、ムラサキエノコロかと思ったのですが、ちょっと違和感がありました。
後でいろいろ調べてみて、違いが分かりました。葉や果実は紫色ですが、総苞毛は白いのです。
ムラサキエノコロは、総苞毛が紫色ですが、果実は緑がかっています。
季節がら、紅葉したエノコログサと分かりました。


エノコログサの仲間

       .
 <エノコログサ>      <エノコログサ>    <アキノエノコログサ>
       .
 <キンエノコロ>     <ムラサキエノコロ>    <ムラサキエノコロ>
エノコログサとアキノエノコログサはよく似ています。違いはエノコログサの穂は垂れない点です。
上段中央のエノコログサの穂は、その左のエノコログサの倍くらいの長さですが、傾いても垂れません。
しかし、上段右のアキノエノコログサの穂は、だらりと穂が垂れ下がっています。
下段は色のある種で、キンエノコロは総苞毛の色が黄色で、逆光で見ると総苞毛が金色に光ってきれいです。
中央と右は、総苞毛の色が紫色になるムラサキエノコロで、紅葉したエノコログサと紛らわしいですね。
前述の通り、総苞毛は紫色でも果実は緑色で、紫色の果実に白い総苞毛の紅葉したエノコログサとは異なります。


キシュウスズメノヒエ(Paspalum dilatatum)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・キビ連・スズメノヒエ属>
 
2020/11/23
 
2020/11/29
イネ科スズメノヒエ属の多年草で、熱帯アジア、アメリカが原産地の帰化植物。
和歌山県で最初に発見されたのが、和名の由来となっている。
日本では関東以西、四国、九州、沖縄の海岸に近い湿った場所に分布している。
草丈は20〜40cmで、基部は長く横に這う。
葉は長さ3〜10cmの線形で先が尖り、柔らかくて、縁には細かい鋸歯がある。
葉鞘は無毛で、ゆるく茎を包み、上の縁にだけ長毛がある。
花期は7月〜9月で、茎の先に2股(稀に3〜4股)に分かれた花序を付ける。
小穂は花序の枝(総)に2列に並び、小穂は3o前後の楕円形で、淡緑色。
2小花からなり、第1小花は不完全で護頴だけとなり、葯も柱頭も暗紫色である。
第2小花の護頴と内頴はやや革質で、光沢がある。

2020/11/23,29
実家近くの川沿いを散歩中、道路脇の草原で見かけたキシュウスズメノヒエです。
背の低い黒っぽい花穂が目にとまったので、近づくと見たことがないものでした。
花穂の感じからスズメヒエの仲間と思われ、調べるとキシュウスズメノヒエと思われます。
似たものは他にもあるのですが、草丈と小穂の形、オシベ、メシベの色からの判断です。

コメヒシバ(Digitaria timorensis)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・キビ連・アンテフォラ亜連・メヒシバ属>
 

 
イネ科メヒシバ属の一年草で、在来種。
日本では、本州の関東以西から四国、九州沖縄に分布している。
海外では、中国、台湾、インド、ネパール、東南アジアからオーストラリアに分布する。
草丈は10〜30cmで、茎は繊細で長く地を匍匐し、多く分枝して広がり、先は斜上する。
葉は長さ4〜7pの広線形で葉質は柔らかく、基部の縁にだけ長毛が疎生する。
花期は7月〜10月で、茎先に長さ5〜15cmの花序を出し、数本の花序枝を掌状に斜上させる。
花序枝は長さ4〜7cmで、縁には微鋸歯がなく平滑。小穂は長さ3o前後の披針形。
よく似たメヒシバは、花序枝に微鋸歯があり、小穂は披針形。
同じく、アキメヒシバの花序枝にも微鋸歯があり、小穂は卵状楕円形である点で区別できる。

2020/11/29
実家近くの川沿いを散歩中、道路脇の草原で見かけたコメヒシバです。
キシュウスズメノヒエの直ぐ近くで、目立たない細い花穂を出していました。
メヒシバかと思ったのですが、小さいので調べてみると、コメヒシバと分かりました。
メヒシバやアキノメヒシバは大柄で、花序枝に鋸歯があってざらつくので、触ればわかります。

ススキ(Phragmites australis)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・ヒメアブラススキ連・ススキ属>

2020/11/9
 
2020/11/5
イネ科ススキ属の多年草で、日本全国に広く分布している。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
なお、北米にも帰化しており、侵略的外来種として猛威をふるっている。
草丈は2mを超え、茎は叢生する。ケイ酸が多く、硬くて耐久力があるため、冬になっても茎が立って残る。
茎(稈)の断面は円形で、内部にスポンジ状の髄があり、中実になったり、中空なったりする。
葉は、長い物は80pほどになり、線形。中央に幅数mmの白い筋があり、裏面に少し毛がある。
葉の縁には堅くて鋭い刺歯があり、葉の基部、葉鞘、節には軟毛がある。
花期は8月〜10月で、穂(花序)は20pほどで、銀白色。
小穂は長さ5oほどで、基部に10o程の白毛が密集する。
小穂は2小花からなるが、第1小花は退化し、第2小花の護穎に長い芒が1本ある。
葯は黄色で、柱頭は褐色から暗紫色(稀に白色)である。

2020/11/5,9
実家近くの道路脇で見かけた、ススキがちょうど花を咲かせていました。
花と言っても、イネ科の花なので華やかさはありませんが、黄色い葯が風に揺れていました。

   
2021/10/2
あちらこちらでススキの穂が伸び出していたのですが、それらが紫褐色になっていました
それは、小穂の色が紫褐色で、そこに黄色い葯と暗紫色の柱頭が顔を出して混じり合った結果です。
開花が早かった花序では、白い毛が開出して白っぽくなっていました。

 
2021/11/12
花が終わって白毛が開出し、白っぽい穂が風に揺れていました。
近づいて良く見ると、暗紫色の柱頭が黒く干からびて残っており、長い芒が伸び出しています。
前述の開花状態では芒は寝ているのですが、花後に白毛が開出する頃には芒も立ち上がってきます。
まだ、枯れ尾花と呼ぶほどには白毛が開いていないのですが、今後、下記のようにさらに開きます。


枯れすすき/枯れ尾花

     .
2021/10/30
ススキの穂が完全に枯れると、小穂まで開いて上記のような枯れすすきの状態になります。
これには、枯れ尾花/枯尾花(かれおばな)という呼称(古名)もあります。
現在でも「幽霊の正体見たり枯尾花」という諺がよく知られていますね。


ダンチク(Cortaderia selloana)
<イネ目・イネ科・ダンチク亜科・ダンチク連・ダンチク属>

2020/11/16
 
2020/11/22                  2020/11/22
イネ科ダンチク属に属する多年草で、在来種。別名は、アセまたはヨシタケ。
日本では、本州の関東以西から四国、九州、沖縄に分布する。
海外では、中国、台湾、熱帯アジア、インド、地中海沿岸に分布する。
なお、本種は世界の侵略的外来種ワースト100に選定されている。
草丈は2〜4mで、地下茎は太短くて横に這い、大きな株立ちになる。
茎の直径は2〜4cmで、中空で節があり、竹に似ている。
葉は互生し、長さ50〜70cm、幅2〜5cmの線形で、やや厚みがあり、途中から垂れ下がる。
葉は粉白色を帯びて、表裏はざらつくが無毛で、縁には毛がある。葉鞘も無毛。
花期は8月〜11月で、茎先に長さ30〜70cmの円錐花序を出し、多数の小穂を密生する。
長さ10〜12mmの小穂は赤紫色を帯びた淡緑色で、2〜5個の小花からなる。
2個の包穎は披針形で3脈があり、先が鋭く尖り、無毛。
長さ7〜8mmの護頴は披針形で3〜5脈あり、基部には白い長毛、先端に2歯がある。
その歯間から長さ2〜3oの短い芒が直立して出る。内穎は護穎より短い。

2020/11/16,22
実家近くの川沿いにあるダンチクの小さな群落。見に行くと茎先に長い円錐花序を出していました。
11/16 その円錐花序ですが、多少ふっくらしている程度で綿毛は見られませんでした。
11/22 河川敷の方から見ると、小さな花序でしたが、綿毛がたくさん付いていました。

   
2021/9/6
夏には見られなかった花序ですが、晩夏から初秋にかけて茎先から伸び出してきました。
花序は出てくるときには細いのですが、出終わった頃には横にばらけてふっくらしてきます。
中央の写真で、その中央やその下部に見られるのが伸び出しかけている花序、左はその部分拡大です。
出終わった頃、横に広がって写真右側のように竹箒のようになり、右の写真はその部分拡大です。

 
2021/10/2
茎先から伸び出した花序が大きく広がって、フサフサとした感じになっていました。
後で写真を大きく引き伸ばすと、小穂から葯が飛び出して、風に揺られていることが分かりました。
ただ、背が高くて花の咲いているところを拡大撮影することができませんでした。

 
2021/10/6
写真を撮り直そうと思いながら、なかなか行くことができずじまいでした。
この日、まだ残っているか気にしながら、別ルートでダンチクの所に行きました。
最初に見たものはちょっと遅かったようで、葯は縮れ始め、メシベの柱頭も萎れかかっていました。
ちょっと小さくて遅めの穂があったので見てみると、まだ、柱頭はしっかりしていました。
それが上記の写真で、暗灰色の柱頭が伸び出し、同じ場所からオシベの淡黄色の葯ぶら下がっています。
葯や柱頭が控えめな色で、小穂の赤紫色が目立つので、穂全体は赤紫色を帯びてみえます。

 
2021/11/12
1ヶ月ほど経ったので見に行くと、花の痕跡は無くなって、小穂からは長い白毛が出ていました。
この長毛の出方は、メリケンカルカヤの長毛の出方に似ています。
もう少し枯れ進むと、最初の写真のように小穂がもっと開いてくるのでしょう。

シナダレスズメガヤ(Eragrostis curvula)
<イネ目・イネ科・ヒゲシバ亜科・スズメガヤ属>


 
イネ科スズメガヤ属の多年草で、南アフリカ原産の要注意外来生物。
日本では北海道から四国、九州をはじめ、沖縄まで広く分布する。
海外でも、南北アメリカ、南ヨーロッパ、アジア、オセアニアと広範囲に移入分布する。
草丈は40〜120cmで、束生して大株になり、茎は無毛で平滑である。
葉は長さ20〜70cm、縁を巻き込んで幅2mm前後の糸状になり、多くは根生して無毛、著しくざらつく。
葉舌は短毛状で、葉鞘は上部では平滑であり、鞘口には長い軟毛がある。
花序は長さ25〜40cmで、先が傾いてしなだれる。枝は繊細で基部はややふくらみ短い腋毛がある。
色はやや紫色を帯びて、花穂が開く前は黒っぽく見えるものが多い。
小穂は長さ5〜11mmで、7〜11個の小花からなる。葯は長さ1〜1.5mmで紫色。
小花は、長さ3mm前後で、第1苞頴は長さ1.5〜2.5mm、第2苞頴は2.5〜3mmである。
果実は長さ1.5mmで、淡褐色〜褐色。 胚盤は暗色で大きい。
根茎や根が強靭なため、道路の切割りや路肩に植え込み、砂防工事に利用されている。
しかし、種子生産量が多く、外来生物法によって要注意外来生物に指定されている。

2021/9/6
実家近くの川沿いを散歩中、以前通った遊歩道を歩いていると、前方が草で塞がっていました。
近づいてみると、それはシナダレスズメガヤで、一面を覆い尽くしていました。
さすが、要注意外来生物に指定されているだけあって、繁殖力はすさまじいようです。

ガマ(Typha latifolia)
<イネ目・ガマ科・ガマ属>
 
2020/8/6
 
2021/9/24
ガマ科ガマ属の多年草で抽水植物で、日本では北海道から九州の広範囲に分布している。
世界的には、北半球の温暖な地域やオーストラリアに分布している。
葉は高さ2mに達する事もあり、夏に茎を伸ばして、円柱形の穂を付ける。
花期は6月〜8月で、上部に2〜4段に雄花群が、下部に雌花群がつながって付く。
雄花群は長さ7〜12cmで細く、雄花が開花すると黄色い葯が一面を覆い、花後は軸だけが残る。
雌花群は長さ10〜12cmで開花時は緑褐色で直径は6mm前後と細い。
花後、下部の雌花群は赤褐色のソーセージ状になり、直径が15〜20mmと太くなる。
雌花は結実後、綿くずのような冠毛を持つ小さな果実になり、熟すと冠毛が膨らむ。
晩秋になるとこの穂がほぐれて、モコモコした綿毛が風に乗って飛散する。
この飛散する前のガマの穂を、手で握ったり、刺激を与えたりすると爆発的に膨らむ。

2021/9/24
田んぼが広がる実家近くを散歩中、休耕田にガマが入り込んでいた場所に行ってみました。
上記の写真を見ればわかる通り、1年で倍くらいに増えて、ほぼ全面を覆い尽くしていました。

ハマスゲ(Cyperus rotundus)
<イネ目・カヤツリグサ科・カヤツリグサ属>
 
   2020/11/22                2020/11/23
カヤツリグサ科カヤツリグサ属の多年草で、在来種。
日本では本州から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、アジア、アフリカ、ヨーロッパに分布する。
また、オーストラリアや南北アメリカにも帰化しており、ほぼ、全世界に分布している。
道端や空き地に生え、草丈は20〜40cm程度。
葉は根元に数個つき、夏から秋にかけて花茎を伸ばす。その先に花序を付ける。
茎の先には、花序より長い苞を数個付け、花序には数個の赤褐色の小穂を付ける。

2020/11/5,9
実家近くの川沿いを散歩中、土手の際で小さな花序を出しているハマスゲを見かけました。
多摩川の河川敷で見かけて以来で、ずいぶん久しぶりの再会です。

ミカヅキグサ(Rhynchospora alba  (L.) Vahl)
<イネ目・カヤツリグサ科・ミカズキグサ連・ミカヅキグサ属>
 
2022/10/11
 
2022/8/9
カヤツリグサ科ミカヅキグサ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、九州に分布し、関東以西では山地〜低地の湿地に隔離分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾などユーラシア大陸、北アメリカの温帯に分布する。
草丈は20〜60cmで、根茎はなく、やや叢生して、茎は直立する。
葉は稈より短く、幅0.5〜1mmの糸状で、縁は内に巻き、上部のみ3稜状となる。
花期は7月〜8月で、茎頂に白色の狭いこま形〜半球形の花序をつける。
花序は小穂が2〜7個集まった小穂群、1〜3個からなる。
小穂は長さ5〜8mmの淡黄白色〜白色で、狭卵形〜披針形、鋭頭で、1〜3小花からなる。
苞穎は、乾けば淡黄褐色〜淡褐色に変わる。卵形〜卵状披針形で、膜質、微突頭である。
痩果は長さ1.8〜2.4mmの倒卵形で、柱基は円錐形で果体の長さの半分強である。
メシベ柱頭は2岐し、花柱は糸状で基部は広がる。
花被の刺針状花被片は9〜15個で、長さは果体より長く、わずかに柱基を超える程度。
中〜上部には下向きの小刺があり、基部では小刺が上向きになる。

2022/10/11
夏には白い小穂が見られたミカヅキグサ(下段)も、秋の深まりとともに茶色くなってきています。
まだ、一部には白っぽい小穂が残ってはいますが、乾燥して褐色になったものも多いです。

アレチウリ(Sicyos angulatus)
<ウリ目・ウリ科・アレチウリ連・アレチウリ属>
 
ウリ科アレチウリ属のつる性一年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、北海道から四国、九州までほぼ全国に分布している。
世界的には南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニアに帰化している。
茎は数分岐した巻きひげでからみつき、長さ数m〜十数mになり、太い刺状の剛毛がある。
葉は互生し、長い葉柄がある葉は5〜7残裂し、表面はざらつく。
花期は8月〜9月で、葉腋から雌雄で異なる花序を出すが、雌雄同株。
雄花序には10pを超える長柄があり、淡黄白色の花を総状に付ける。
雄花は直径1cm程で、オシベは花糸も葯も合着し、キノコのような形になっている。
雌花序の柄は5p前後と短く、淡黄白色の雌花が頭状に集まって付く。雌花の柱頭は3個。
果実は、長さ15o程の長卵形で、8個前後が球状に集まって付く集合果となる。
果実の表面には短毛と刺が密生し、刺は触るとすぐに取れ、触ったものに刺さる。

2020/11/5
実家近くの道路脇で見かけたアレチウリですが、とても貧弱なアレチウリでした。
そのためか、雄花序しか見当たらず、雌花序は付いていませんでした。

 
2021/11/12 <雄花>            2021/11/12 <果実>
昨年は、法面にチョロチョロっと這っているだけでしたが、今年は大繁殖していました。
法面の一角を占拠し、大量の雄花を咲かせて、その花にスズメバチなどが訪花していました。
そのアレチウリも大半が枯れて染まっていたのですが、一部でまだ花が咲いていました。
その花を撮っていて、昨年まで見つけられなかった果実があるのに気が付きました。
果実は、まだ、未熟な緑色で、果実に付いている刺も柔らかいものでした。
熟して褐色になる頃には、刺も硬くなって素手では触れなくなります。

 
2021/11/12
果実の撮影をしていて、通常の果実の倍はあろうかという異形の果実を見つけました。
上記はほぼ同じ倍率で、その果実の大きさが分かると思います。
巨大な果実の基部に付いているのは、未熟な普通サイズの果実です。
もう何個かがこの果実の近くにあり、その他は普通サイズの果実でした。
奇形なのか、虫でも入って虫えいのようになっているのか、後で調べてみようと思います。



 
 
2021/11/15
もう少し熟してからと思っていたのですが、気になって、早めに調べることにしました。
採取してきたものから果実を1個取り出して、2分割して撮影したのが上記の写真です。
採取してきた巨大果実の長さは20mm、普通サイズの方は12mmで、外観は大きさ以外、変わりません。
切った中の状態も、種子が細長く見える(切った方向が90度異なる)点以外、変わりません。
見る限り、虫が入っているようには見えませんので、虫えいの類ではなさそうです。

 
 
2021/11/16
そこで、中の種子だけを取り出してみました。種子の長さは12mmと7mmと果実と同比率です。
一見して、小さい方がかなり未熟な状態と分かります。切った内部の様子も同様です。
小さい方は、単に未熟なだけかと思ったのですが、大きい方は、やはり大き過ぎます。
普通の果実は15mmほどしかありませんので、20mmとなると1.5倍くらい大きさです。
種子のサイズも、普通は10mm程度なのですが、一回り大きな12mmもあります。
やはり、何らかの奇形なのでしょうか。もう少し熟したら再調査したいと思います。

 

2021/12/6
久しぶりにアレチウリのあった場所を通りかかると、道路脇がすっかり除草されています。
あの大きな果実はと探したのですが、除草されてしまったようで見当たりません。
大きそうなものを探して持ち帰り、測ってみると15mmと普通サイズでした。
種子を取り出し、そのサイズも測って見たのですが、やはり9.5mmと普通サイズでした。
ついでに持ち帰った、除草された枯枝に付いていた干からびた果実は9.5mmでした。
種子を取り出してみると黒く熟していましたが、長さは6.5mmと小ぶりです。
おそらく、未熟な状態で除草(茎を途中で切断)され、その状態で枯れたのものと思われます。


アレチウリの雄花と雌花

     .
     .
<雄花序/雄花>                <雌花序/雌花>
雌花序は、雌花が球状に付くので、花序の形で雄花序か雌花序かは判別できます。
花はウリ科の花なので、雄花には中央に一体化した葯が、雌花には3裂した柱頭があります。


ツルレイシ(Momordica charantia var. pavel)
<ウリ目・ウリ科・ツルレイシ連・ツルレイシ属>
   
ウリ科・ツルレイシ属のつる性1年草で、熱帯アジア原産の栽培品種。
日本では、南西諸島や南九州で多く栽培されているが、近年は、夏の日除け用に栽培されることも多い。
標準和名の「ツルレイシ」であるが、果肉が苦いことに由来する「ニガウリ」も使われる。
なお、野菜としては、沖縄での呼び名である「ゴーヤ」あるいは「ゴーヤー」の方がよく使われる。
蔓は枝分かれして伸び、巻きひげで他物に絡みついて、長さ4〜5mになる。
葉は互生し、長さ4〜12cmで掌状に5〜7深裂して、基部は心形。葉柄は長さ4〜6cm。
花期は5月〜10月で、雌雄同株。雄花は葉腋に単生する1日花で、花柄は3〜7cm。
花冠は黄色で直径3〜4cm、5裂して裂片は長さ20mm前後。オシベは3個。
雌花も葉腋に単生するが、雄花よりも数はかなり少なく、株が小さいと咲かないこともある。
花柄の長さは10〜12cmで、花の基部に子房がある子房下位。メシベの柱頭は2裂する。
果実は、長さ10〜30cmの長楕円形〜紡錘形で、表面に多数のこぶ状突起がある。
成熟すると橙色になり、果皮(果肉)が裂けて紅色の種子が現れる。赤い仮種皮は甘みがあり食べられる。
食用には若い淡緑色の果実を使用するが、ビタミンCやK、カリウムなどが豊富で、果肉には苦みがある。

2021/9/30
実家の畑に植えたツルレイシ(というかゴーヤ)ですが、秋になっても生り続けています。
一緒に植えたキュウリは既に枯れ、その場所まで占拠して広がり続けています。
食べきれなくて、黄色く色付いてきたものもちらほらと見られるようになりました。
右端は、その黄色くなったツルレイシを割ったもので、赤い仮種皮に包まれた種子が現れました。
この赤い仮種皮は食べられるそうなので、食べてみました。
たしかに甘いのですが、なんというか、あまり美味しいとは思えません。

   
2021/10/2
後になって、ツルレイシの花の写真を撮っていなかったことに気が付きました。
雄花はたくさん咲いているのですが、雌花が未開花のものも含めて見当たりません。
咲き終わった後、果実が大きくなり始めたものはあるので、ちょっと気付くのが遅かったようです。
元々、雄花の数は非常に多いのですが、雌花はその1割程度しか咲きません。
この時期になっても雌花が付くのか、なんとも言えませんが、注意して見てみようと思います。

クワイ(Sagittaria trifolia)
<オモダカ目・オモダカ科・オモダカ属>

2021/9/22
 
2021/9/24
オモダカ科オモダカ属の多年で。中国原産の帰化植物。オモダカの栽培品種。
野生種は東南アジア原産とされているが、栽培品種は中国で作られた。
クワイの栽培品種は青藍色の青クワイ、淡青色の白クワイ、小粒の吹田クワイの3種がある。
いずれも原種のオモダカより塊茎が大きいが、この中では吹田クワイが最も小さく、原種に近い。
日本での主流は青クワイで、白クワイは中国での主流。吹田クワイは関西中心に出回る。
芽が付いているため、「芽が出る」とかけ、縁起が良いことからおせち料理に使われる。

2021/9/22,24
田んぼが広がる実家近くを散歩中、昨年、休耕田にガマが入り込んでいた場所に行ってみました。
そのガマが少ない一画に、矢じり型の葉を広げたクワイが数株、見られました。
自然に生えたとは思えませんが、植え付けたものとも思えません。誰かが捨てたのかもしれませんね。


クワイとオモダカ

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  <クワイの葉と花>
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<オモダカの葉と花>
クワイは、東京都町田市の薬師池公園で見かけたもので、9月初旬でも花は見られました。
品種によってはほとんど咲かないものもあるそうですが、下部に雌花、上部に雄花が付きます。
この写真では上部しか写っていないので、咲いている花は全て雄花です。
クワイの原種とされるオモダカは、新潟県胎内市の田んぼの畔で見かけたものです。
クワイに比べて葉が細いのが特徴で、左から2番目のように特に細いものはホソバオモダカと呼ばれます。
右から2番目は雄花で、白い花弁の中央に黄色い葯を付けたオシベが多数あります。
右端は雌花で、白い花弁の中央に先端が外曲したメシベが球状に集まっています。


クロモ(Hydrilla verticillata)
<オモダカ目・トチカガミ科・クロモ属>
 
トチカガミ科クロモ属の沈水植物で多年草。在来種である。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
海外では、中国、台湾、東南アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、アフリカに分布する。
茎は丸く、多くの節があってよく分枝し、長くなると60cmほどになることもある。
葉は3〜8個が節の所に輪生し、長さ8〜20mmの線形で濃緑色。縁に鋸歯がある。
花期は6月〜10月で、雌雄異株と雌雄同株の2形態がある。
雄花は葉腋の苞鞘の中に付き、分離して水面に浮上してから開花する。
花冠は直径2〜3mmで、萼片は3個、オシベ3個がある。
雌花は、花柄のように長さ10〜50mmに伸びた子房の先に1個付き、直径は5mm前後。
水面に出て開花し、極細い花弁は3個、萼片も3個ある。雌花の基部にも筒状の苞鞘がある。
分離して水面で開花した雄花やその花粉が、雌花に流れ着くことで受粉する。
果実は長く、刺状の突起が2〜9個あって、2〜6個の種子が入っている。
雌雄異株タイプは全国に分布し、晩秋に葉腋に殖芽(越冬芽)を形成して植物体は枯れる。
雌雄同株タイプは主に西日本に分布し、晩秋に塊茎をつくり、植物体は枯れる。

2021/9/18
実家近くの川沿いを散歩中、川面に浮かぶ水草を見かけました。
昨晩の台風接近時の大雨と風で、どこかで繁茂していたものが千切れて流れてきたようです。
見た目の色合いと輪生している葉の様子から、クロモであろうと判断しました。

オオキバナカタバミ(Oxalls pes-caprae L.)
<カタバミ目・カタバミ科・カタバミ属>


 
カタバミ科カタバミ属の多年草で、南アフリカ原産の帰化植物。
日本では、本州の関東以西から四国、九州まで、広く分布している。
海外では、ヨーロッパ、西アジア、北アフリカの地中海沿岸、インド、米国、チリ、オーストラリアに帰化。
草丈は10〜30cmで、地下茎ではなく、地中に鱗茎を伸ばして根付く。
また、株元に直径5〜8oの子鱗茎を多数付け、この子鱗茎で栄養繁殖する。
葉は全て根出葉で、葉柄は長さ15〜20cm。先に3出複葉が付き、小葉は幅15〜20oの倒心形。
葉の表面に、紫褐色の小斑点が不規則に現れるのが特徴で、多種との識別点となる。
花期は3月〜5月で、長さ20〜30cmの花茎を伸ばし、その先に散形に10個ほどの花を付ける。
花の直径は3〜4cmで、鮮やかな黄色の5花弁である。萼片は5個で、先端に橙色の対のカルスがある。
オシベは10個あるが、内5個は長く、5個は短い。葯は濃黄色。
メシベは1個で、オシベより短く、花柱は5個ある。果実ができることは稀である。

2020/11/29
実家近くを散歩中、所々でオオキバナカタバミを見かけましたが、葉ばかりでした。
そんな中、一か所だけ、花が咲いている所がありました。
開花している花序は1個だけでしたが、何本も花序が立ち上がっていました。

オキザリス・プルプレア(Oxalis purpurea)
<カタバミ目・カタバミ科・カタバミ属>
 
カタバミ科カタバミ属の多年草で、南アフリカのケープ地方が原産の帰化植物。
日本には明治中頃に渡来したとされているが、日本に広く分布し、帰化状態にある。
日本以外でも、世界各国で帰化状態になっている。
無茎植物で、葉は全て根出葉となる。花柄は10cmほどになり、3出複葉。
花期は10月〜12月、2月〜4月と長めで、夏には地上部は枯れて夏眠する。
花は、15cm程の花茎の先に付き、直径3cm強の5花弁である。
花色は豊富で、白花以外に、赤、黄、紫、橙などがある。

2020/11/29
実家の庭で咲いているオキザリス・プルプレアです。
白花だけですが、大きくて目立つので、お気に入りです。

オキザリス・ボーウィー(Oxalis bowiei)
<カタバミ目・カタバミ科・カタバミ属>
 
カタバミ科カタバミ属の多年草で、南アフリカ原産の移入品。
園芸品種として販売されているが、耐寒性はやや弱いが、関東以西では越冬可能。
江戸時代に移入され、ハナカタバミの名で親しまれている。
草丈は5〜30cmで、葉は3出複葉で、小葉は丸みのある倒心形で、尾毛が生えている。
花期は9月〜11月で、葉の間から花茎を伸ばし、散形花序に濃紅紫色の花を付ける。
花は直径3〜5cmと大きく、花芯は黄色。日当たりを好み、曇天などでは花を閉じる。

2020/11/29
実家近くを散歩中、所々でオキザリス・ボーウィー(ハナカタバミ)を見かけました。
最近、あちらこちらで見かけるようになり、以前より増えているように思います。
実家の庭にもありますが、花序の先から花茎を出して、その先にも花序が付いていました。
あちらこちらで見かける花ですが、2段になっている花径は初めて見ました。

カタバミ(Oxalis corniculata)
<カタバミ目・カタバミ科・カタバミ属>

2020/11/23
 
2020/11/23                2020/11/30
カタバミ科カタバミ属の多年草で、在来種。
日本では、北は北海道から九州まで、全国に広く分布している。
日本の含め、世界の暖温帯から熱帯に広く分布する。
草丈は4〜10cmで、地下には太い垂直に伸びる直根がある。
茎は赤味を帯び、地上茎はよく分枝して地を這って広がり、先は立ち上がる。
茎をはじめ、葉や果実など、草本全体に毛が生えている。
長さ2〜7cmの葉柄の先に3出複葉を付け、小葉は幅5〜25oの倒心形。
花期は4月〜10月で、葉腋から花柄を出し、数個の花を付ける。
花柄は、はじめ10〜15mmで直立しているが、花後、果柄は伸びて水平以下に下がる。
花は黄色い5弁花で、直径は8o前後。
刮ハは先の尖った円柱形で、長さは10〜25o。前面に反曲した白い短毛が密生する。

2020/11/23,30
実家近くの川沿いを散歩していて見かけたカタバミです。
花数は少なくなっていましたが、まだ、元気に花を咲かせていました。
11/30に見かけたものは、枯草の間から出ていて、最初、タチカタバミではと思いました。
しかし、花序の出方や果実の付き方、引いても抜けない点などからカタバミと判断しました。









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