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播州地方で見かけた野草(春T)



実家近辺や兵庫県内などを移動する際に見かけた野草です。
といっても、出かけた際にちょこっと撮影しただけのため、あまり多くはないです。
今後、機会を見つけて充実させていきたいと思っています。

< トピック >
今回、新たに下記を追加しました。
ミチタネツケバナ、オキザリス・プルプレア、キセルアザミ

今回、下記の写真を追加しました。
タネツケバナ、ナズナ、スズメノヤリ、マメカミツレ、カンサイタンポポ、
ノゲシ、オニタビラコ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
アブラナ目
アブラナ科(セイヨウカラシナ[カラシナ]、イヌガラシ、カラクサナズナ、タネツケバナ、
      ミチタネツケバナ、ナズナ、マメグンバイナズナ)
イネ目
イグサ科(スズメノヤリ)
イネ科(カラスムギ、コバンソウ、ヒメコバンソウ、スズメノテッポウ、ハルガヤ、
    ヒエガエリ、スズメノチャヒキ、ダンチク、チガヤ)
カヤツリグサ科(シュロガヤツリ、ヤチカワズスゲ)
カタバミ目
カタバミ科(ウスアカカタバミ、オッタチカタバミ、オキザリス・プルプレア)
キク目・キク科
キク亜科(キキョウソウ、ヒナギキョウ、キセルアザミ、ヒメヒレアザミ、シュンギク、
     カンシロギク、マメカミツレ、ヒメキンセンカ、ナルトサワギク、ノボロギク、
     アレチノギク、ヒメジョオン、ペラペラヨメナ、ウスベニチチコグサ、
     ウラジロチチコグサ、チチコグサ、オオキンケイギク)
タンポポ亜科(カンサイタンポポ、シロバナタンポポ、セイヨウタンポポ、オオジシバリ、
       ニガナ、ハナニガナ、ノゲシ、オニタビラコ、コオニタビラコ、ガザニア)
境播州地方で見かけた春の野草(春T)
和名インデックス


セイヨウカラシナ(Brassica juncea (L.) Czern)
<アブラナ目・アブラナ科・アブラナ属>

2021/3/7                  2021/3/7      .

2021/3/21
アブラナ科アブラナ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
単にカラシナと呼ばれることもあるが、栽培品種のカラシナの原種とされる。
アブラナ(Brassica rapa)とクロガラシ(Brassica nigra)の雑種である。
日本では関東以西で見られ、特に関西には多い。日本には弥生時代に伝来したといわれている。
草丈は1m以上になり、上部で分枝する。
下部の葉は大きく30pに達し、羽状深裂して頭部は大きく、鋸歯がある。
上部の葉は小さく、全縁で、葉の基部は茎を抱かない(良く似たセイヨウアブラナは茎を抱く)。
花期は4月〜5月で、花は直径10o程の十字型で、花色は黄色。萼片は開花時には斜上する。
セイヨウアブラナの花は、一回り大きく、茎頂部にまとまって咲き、萼片が開花時には直立に近い。
果実は長角果で、長さは3〜5cm。種子は1.5mm前後の球形で、赤褐色。

2021/3/7 実家近くを散歩中、道路脇の法面に葉を茂らせているアブラナ科の植物を見かけました。
葉の付き方からセイヨウカラシナと思われるのですが、葉の形が以前見たものと合いません。
ということで、花が咲くのを待つことにしました。
2021/3/21 そろそろ花が咲いた頃かなと見に行くと、いくつかの花序で開花していました。
その花を見ると、萼片はほぼ平開しており、斜上するセイヨウカラシナ以上に開いています。
以上のように、葉にあまり深裂が見られない点や萼片の開き方など疑問点は残ります。
ただ、これらは個体差とも考えられますので、葉の付き方からセイヨウカラシナとしました。


2021/4/16
実家近くを散歩中、久しぶりにセイヨウカラシナが群生していた所を通ると満開でした。
草丈は倍くらいに伸び、上部で分枝した各枝に花が付いて、その一画だけが黄色く染まっていました。


2021/4/16
花もかなり咲き上っていて、下部には多くの長角果が付いていました。
この長角果を採取し、種子を取り出してマスタードや粒マスタードを作れるそうです。


セイヨウカラシナとセイヨウアブラナ

     .
<セイヨウカラシナ>                  <セイヨウアブラナ>
上記は、多摩川の河川敷で見かけたセイヨウカラシナと利根川の河川敷で見かけたセイヨウアブラナです。
両者は、葉の付き方が大きく異なり、セイヨウアブラナは茎を抱きますが、セイヨウカラシナは抱きません。
なお、セイヨウカラシナの萼片は斜上し、セイヨウアブラナの萼片は開かず直立に近いとされます。
ただ、これには個体差があるようで、セイヨウアブラナの萼片はセイヨウカラシナより立っているようですが、
どちらも斜上しているようにも見え、これだけで判断するのは難しいと思います。


イヌガラシ(Rorippa indica)
<アブラナ目・アブラナ科・イヌガラシ属>

 
アブラナ科イヌガラシ属の1年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、インド、ネパール、パキスタン、東南アジアに分布する。
草丈は20〜60cmで、短い根茎があり、茎は赤味を帯びた暗緑色で、基部や上部で分枝する。
根生葉は花時には枯れる。下部と中部の茎葉は互生し、長さ6〜15cmの倒披針形〜卵形。
鈍頭で、頭大羽状中裂〜歯牙縁。基部は狭まって葉柄状となって、小さい耳状に茎を抱く。
最上部の葉は、普通、無柄で葉身は披針形。葉の縁は全縁〜小鋸歯状。
花期は4月〜6月であるが、稀に9月〜11月に開花することがある。
花序には苞がなく、花は直径4〜5mmの黄色い4弁花で、花弁は長さ3o前後の狭倒卵形。
オシベは6個あり、子房上位で、4個の萼片は斜上し、長さ2〜3mmの長楕円形で、黄色〜緑色。
果実は長さ15〜25mmの円柱状の長角果で、開出して真っすぐかやや曲がる。

2021/3/23
実家近くの農道を散歩中、田んぼの畔で、イヌガラシが黄色い花をびっしりと付けていました。
よく見ると花の陰にびっしりとアブラムシが張り付き、花の上にも1匹だけ登っていました。

カラクサナズナ(Coronopus didymus/Lepidium didynum)
<アブラナ目・アブラナ科・カラクサナズナ属>

アブラナ科カラクサナズナ属の越年草で、帰化植物。
原産地に関しては、南アメリカ原産とする説とヨーロッパ原産とする説がある。
なお、分類に関してもマメグンバイナズナ属とする説があり、はっきりしない。
日本では明治時代に帰化が確認されており、本州から四国、九州に広く帰化している。
海外でも、ヨーロッパ、アジア、北アメリカ、アフリカ、オーストラリアなど広く温帯に帰化している。
比較的小型で横に這う草で、深い切れ込みのある唐草模様のような葉と、独特の悪臭が特徴。
悪臭のため、牧草地や飼料の栽培地では、要注意の雑草。乳牛が食べると牛乳に悪臭が移る。
本種には、カラクサガラシ、インチンナズナの別名がある。
ちなみに、インチンとはカワラヨモギの漢名で、その若葉の形に似ていることが由来。
草丈は10〜20cmで、茎は根元から分枝して斜上する。
茎葉は長さ1〜6cmで、2回羽状全裂する。裂片は披針形。
花期は4月〜5月で、葉腋から花序を出し、直径1mm前後の淡黄白色の花を多数付ける。
萼片は4個で、長さ1mm以下の卵形。4個の花弁は長さ0.5mm前後で、先の尖った長楕円形で黄白色。
オシベは2個。果実は長さ1.5mm前後、幅2.5mm前後の扁平な眼鏡形。

2021/3/10
実家近くを散歩中、道路脇の側溝の隙間から広がっているカラクサナズナを見つけました。
多摩川の河川敷で、階段の隙間から生えているのを見て以来の対面です。
臭いので触るのはやめて、写真撮影のみとしました。

タネツケバナ(Cardamine scutata)
<アブラナ目・アブラナ科・タネツケバナ属>



アブラナ科タネツケバナ属の越年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで、全国に分布している。
草丈は10〜50cmで、下部から分枝する。下部は通常暗紫色を帯びて短毛がある。
根本と下部の葉は、1回羽状複葉で7〜15個の小葉があり、頂小葉は少し大きい。
根生葉は花期にはなく、茎葉は3〜15個付き、葉柄も含めて長さは3〜7cm。
花期は3月〜5月で、花茎の頂部に総状花序を付け、下から順次咲き上っていく。
花は白色の4弁花で、オシベは6個が多いが、4個のものもある。
果実は長角果で、長さ10〜25oの細長い円柱形。熟すと下部から捲くれ上がる。
在来種のミチタネツケバナに似るが、下記のようないくつかの識別点がある。
・果時に根生葉があるのがミチタネツケバナで、無いのがタネツケバナ
・果実が直立するのがミチタネツケバナで、斜上するのがタネツケバナ
・小葉が広楕円形なのがミチタネツケバナで、狭楕円形がタネツケバナ
また、タチタネツケバナも果期に根生葉が残っているが、茎が細くて毛が多い。
オオバタネツケバナは、頂小葉が側小葉よりかなり大きく、茎は紫色を帯びない。
花期が9月〜11月のアキノタネツケバナもあるが、種として分けるか否か諸説ある。

2021/3/10
実家近くの農道を散歩中、昨年に刈り入れしたままの田んぼで、タネツケバナを見つけました。
自宅の近くに田んぼはないので、タネツケバナを見たのは初めてになります。
ミチタネツケバナと比べて、長角果が大きく開いて斜上しています。下記の比較表を参照ください。


2024/3/16
網引湿原の駐車場近から第1獣害防止ゲートまでの間で、通路脇の水路際で花を付けていました。
長角果が斜上して、側小葉が狭楕円形である点で本種と判断しました。


タネツケバナ属の比較

タネツケバナ
ミチタネツケバナ
アキノタネツケバナ
ミズタネツケバナ

花期は3月〜5月

花期は2月〜4月

花期は8月〜10月

花期は3月〜5月

長角果は斜上する

長角果は直立に近い

長角果は斜上する

長角果は斜上する

小葉は狭楕円形

小葉は広楕円形

小葉は掌状の浅裂する

上部の側小葉は全縁が多い

アキノタネツケバナに関しては、独立種としない説もあり、情報も多くはありません。
ミチタネツケバナが多い道路脇で1月初旬に見かけたもので、12月頃から咲いていたと思われます。
長角果の付き方から、ミチタネツケバナではないことは分かりました。
小葉の形はタネツケバナ風の狭楕円形からミチタネツケバナ風の広楕円形まで変化が見られます。
タネツケバナの不時現象による晩秋〜初冬の開花の可能性もあります。

 
  2021/3/106<タネツケバナ>    2014/1/6<アキノタネツケバナ>
ただ、地を這うように横に広がる草姿は、タネツケバナとは異なるため、アキノタネツケバナとしています。


ミチタネツケバナ(Sisymbrium officinale)
<アブラナ目・アブラナ科・タネツケバナ属>

アブラナ科タネツケバナ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで、全国に分布している。
草丈は20〜40cmで、花期は2月〜4月。
葉は羽状深裂し、小葉は広楕円形で、頂葉が卵形で大きい。根生葉は果時にも残る。
根生葉の小葉には柄があり、茎には葉があまり付かない。
花茎の頂部に総状花序を付け、下から順次咲き上っていく。
花は白色の4弁花で、オシベは4本が多いが、5本とか6本のものもある。
在来種のタネツケバナに似るが、下記のようないくつかの識別点がある。
・果時に根生葉があるのがミチタネツケバナで、無いのがタネツケバナ
・果実が直立するのがミチタネツケバナで、斜上するのがタネツケバナ
・小葉が広楕円形なのがミチタネツケバナで、狭楕円形がタネツケバナ

2024/3/14
綾部山梅林の正面入り口を入って、少し上った通路脇で花を付けていました。
長角果が若干斜上していますが、小葉の形から本種と判断しました。

ナズナ(Capsella bursa-pastoris)
<アブラナ目・アブラナ科・ナズナ属>

アブラナ科ナズナ属の越年草で、在来種。
日本も含め、北半球に広く分布している。日本では、全国に分布する。
草丈は10〜50cmで、花期は3月〜6月。ただし、最近は真冬でも開花が見られることがある。
根生葉はロゼットを作り、長さ5〜10cmの倒披針形で、羽状に裂ける。早春の裂片は細い。
茎葉は互生して、長さ1〜5cmの狭披針形。無柄で、基部は茎を抱き、葉は裂けない。
花は直径4mm前後の白い4弁花で、花弁は長さ2〜4mmの倒卵形。萼片も4個ある。
オシベは6個で、メシベは1個。下部に果実ができ、先端部では次々につぼみが出来て開花する。
果実は角果で、長さは4〜10mmの倒三角形。上部が凹んで、ハート形になる。
春の七草の1つで、若苗を食用にする。かつては、冬季の貴重な野菜であったことによる。

2021/3/10
実家近くの農道を散歩中、田んぼの角や畔でナズナが大きくなっていました。
実家近くの河川敷沿いで見たナズナの数倍の大きさで、陽当たりや栄養分に恵まれているのでしょう。
かなり前から咲いているようで、花茎の下部の方には大きくなった倒三角形の角果が並んでいました。


2024/3/14
綾部山梅林内の通路脇で見かけた可愛らしいナズナです。
やっと茎を立ち上げて、花を咲かせ始めたばかりと言ったところです。
右の写真で、左下に少し見えているのはマメカミツレです。

マメグンバイナズナ(Lepidium virginicum)
<アブラナ目・アブラナ科・マメグンバイナズナ属>



アブラナ科マメグンバイナズナ属の2年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では明治時代に帰化が確認されており、現在では北海道から九州まで、全国で分布が確認されている。
草丈は20〜50cmで、茎が直立して、上部で多数分枝する。
葉は濃緑色で光沢があり、普通、根生葉は花期には枯れる。
茎葉は互生し、無柄で長さ2〜5cmの倒披針形で、縁には不規則で粗い鋸歯がある。両面無毛。
花期は5月〜6月で、茎頂の総状花序に多数の花を付ける。
花は直径3mm前後の緑白色で、4弁花。お椀状の萼片も4個で、背に多少の毛がある。
萼片の間からしゃもじ状の花弁が伸びるが、きちんと開いたものは少ない。
オシベは2〜4個で、軍配型の子房の上に短い柱頭がある。
果実は長さ3o前後の扁平な円形で中央に筋があり、その形状が軍配に似て、小さいのが和名の由来。
果実の縁には翼があり、左右2室に分かれる。各室に種子が1個入り、種子にも翼がある。

2021/3/21
実家近くの川沿いを散歩中、石垣の隙間に大きなマメグンバイナズナが生えていました。
栄養状態が良いのか、一際大きく育っていました(近くの他の株は茎が数本程度)。

スズメノヤリ(Luzula capitata)
<イネ目・イグサ科・スズメノヤリ属>



イグサ科スズメノヤリ属の多年草で、自生種。
日本では、北海道から、本州、四国、九州と全国に分布する。
イグサ科ではあるが、見た目はイグサというより、イネ科の植物に似ている。
短い茎は地上のは出ず、根生葉のみが地表に出て、伸びる。
3月頃に20cm前後の花茎を伸ばし、その先端に花が集まった頭花を多くは1個付ける。
花被片は赤褐色で、それより短い花糸のオシベが6個あり、大きめの葯が目立つ。
頭花は、最初にメシベが成熟し、その後、オシベの葯が伸びてくる。果実はさく果で、黒褐色。

2021/4/6
実家近くの川沿いを散歩中、土手の法面でスズメノテッポウを見つけました。
非常に地味な花なので、土手の雑草に紛れると見つけるのは困難です。
たまたま、雑草があまり繁茂していない所にあったので、見つけられました。


2024/4/12
網引湿原の駐車場から第1獣害防止ゲートに向かう途中、通路脇に生えていました。
まだ、花が咲き始めて間がないようで、多くの花から黄色いメシベが伸びていました。
一部の花では、オシベの葯が顔を出していましたが、裂開はしていませんでした。

カラスムギ(Avena fatua)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・カラスムギ亜連・カラスムギ属>

イネ科カラスムギ属の1年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物で史前帰化植物とされている。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
世界的には、南北アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアと広範囲に移入分布している。
草丈は20〜100cmで、茎は直立して叢生し、葉は無毛で長さ10〜20cmになる。
花期は5月〜7月で、長さ10〜20cmの疎らな円錐花序を出す。
小穂は長さ20〜25mmで、2〜3個の小花からなる。
苞頴は長さ20〜25mm、護頴は黄褐色〜暗褐色で長毛があり、芒を護衛の背面に付ける。
小穂からは小花の数だけ芒(途中で曲がり、下部は黒化色で捻じれ、上部は黄色)が長く突き出る。
果実は長さ7mm前後の長楕円形で、淡黄褐色の毛が密生する。

2021/6/5
実家近くの川沿いには、所々にカラスムギが群生しています。
撮るのは後でいいやとスルーしていたら、いつの間にか熟して果実の褐色の毛が開いていました。
まだ、若い果実もあったので、両方をアップで撮ってみました。
この小穂を見て、オーツ麦を連想された方は、オートミールの御愛用者かもしれませんね。
オーツ麦は、燕麦(えんばく)とも書き、カラスムギの栽培品種とされています。
日本では食用とはされませんが、食用に適していて、欧州や中東では野生種が利用されていたそうです。

コバンソウ(Briza maxima Linnaeus)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・コバンソウ属>



イネ科コバンソウ属の1年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。明治時代に観賞用に輸入された。
ヨーロッパから南北アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアの温帯に広く分布している。
日本では、本州中部以南に分布している。
草丈は30〜70pと環境によって変化が大きい。
茎は直立して叢生し、葉は狭披針形で薄くて柔らかい。
花期は5月〜7月で、花序は大きなものでは長さ10p程になり、10個ほどの小穂を付ける。
小穂は、長さ15o前後の長卵形で、その形が小判に似ていることが和名の由来。
小穂は、10〜20個の小花からなり、光沢がある黄褐色。

2021/5/15
実家近くの川沿いを散歩中、草原で他の草に紛れてコバンソウが小穂を垂れていました。
小判型の独特の形をした小穂は、成熟しても形が変わらないので、ドライフラワーに使えそうです。

ヒメコバンソウ(Briza minor)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・コバンソウ属>

2021/5/15

2021/5/14                 2021/5/14
イネ科コバンソウ属の1年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布し、路傍や草原などに普通に生育する。
世界的にも温帯、暖帯に広く分布している。
草丈は20〜40pで、全体に無毛で、細い茎は直立して、叢生する。
葉は線状披針形で、薄くて柔らかく、長さは15p程になる。
花期は5月〜7月で、長さ10p程の裾の広い円錐形の花序を出し、多数の小穂を付ける。
小穂は、長さ幅とも4o程のコバンソウに似た小さい三角形で、それが和名の由来。
小穂は、5個前後の小花からなり、光沢のある淡黄緑色。

2021/5/14,15
実家近くの川沿いを散歩中、土手の際でヒメコバンソウがたくさんの小穂を付けていました。
翌日、実家近くの線路脇にヒメコバンソウがびっしりと生えている所を見つけました。
昨日のものは大きく成長していましたが、こちらは成長途中のようで、背が低く、生え揃っていました。

スズメノテッポウ(Alopecurus aequalis)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・スズメノテッポウ属>



イネ科スズメノテッポウ属の1年草で、史前帰化植物。
日本では、北海道から、本州、四国、九州と全国の水田などでよく見られる。
世界的にも北半球の温帯に広く分布している。
草丈は20〜40cmで、地下茎はなく、基部で多少分枝し、横に少し這って垂直に立ち上がる。
葉は細長く、縁は多少波打ち、斜上する。
葉の基部は長い葉鞘となり、葉身との境目に膜状の葉耳が突き出る。
花期は4月〜6月で、花茎の先に3〜8cmの棒状の穂を付ける。
小穂は軸に密着し、密に寄り集まっている。小穂は長さ2〜4mmの広卵形で、1小花。
苞頴は2個とも同形で、3脈があり、長毛が斜上する。
花が咲く前は、緑色の棒にしか見えないが、開花すると小穂から葯が出てくる。
葯は、最初は白色に近いが、花粉が出てくると黄色〜黄褐色に変わる。
護頴は苞頴と同長で、背面中央の基部寄りから芒を出すが、小穂の外へはわずかに出る程度。
内頴はない。オシベは2〜3個。果実は扁平で、長さ1mm強で暗灰色。
スズメノテッポウは生育場所で、水田型と畑地型に分ける説がある。
水田型は大型で自家受粉し、畑地型は小型で他花受粉する。
この説では、水田型をスズメノテッポウ、畑地型をノハラスズメノテッポウと分ける。
小穂の長さで分けられるとされるが、中間型もあり、判別は容易ではない。

2021/3/23
実家近くの農道を散歩中、昨年に刈り入れしたままの田んぼで、スズメノテッポウを見つけました。
子供の頃には、道端や野原など、そこら中に生えていたものですが、今はあまり見かけません。
葉鞘の部分を使った草笛は、簡単に作れて良く鳴るので、ピーピー鳴らして遊んだものです。

ハルガヤ(Anthoxanthum odoratum)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・ハルガヤ属>


イネ科ハルガヤ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
明治時代に牧草として移入されたもので、酸性土壌を好み、路傍や草地に生える。
株になって生育し、春に直立する特徴のある花序を出し、花茎は数十cmになる。
1つの小穂は10mm程で、最初にオシベが伸び、オシベの落下後にメシベが出てくる雄性先熟である。
花穂には甘い香りがあり、乾燥するとその香りは一層強くなる。

2022/5/30
実家近くの川沿いを散歩中、土手の下で1株だけハルガヤがたくさんの穂を出していました。
神奈川の多摩川の河川敷では時々見かけたハルガヤですが、見たのはそれ以来です。
既に花期は過ぎて、多くは種を飛ばした後でしたが、1つだけメシベの柱頭をたくさん出していました。
雄性先熟なので、雄性期が終わって、雌性期に入った状態ですね。
その後、右写真の中央のように熟して褐色の穂になり、両端のように種子を散布して役目を終えます。

ヒエガエリ(Polypogon fugax Steud.)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・ヒエガエリ属>

イネ科ヒエガエリ属の1年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島まで分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、東アジア〜中央アジア〜西アジアに分布する。
草丈は20〜50cmで、茎は叢生し、直立〜斜上して、無毛で平滑である。
葉は薄くて柔らかく、長さ5〜15cmの広線形で、両面はざらつくが無毛。葉舌は5〜6mmで鋭形。
花期は5月〜6月で、穂が開く前の花序は長さ5〜8cmで直径2cmほどの円柱形である。
その後、花軸の各節から長さ1〜2cmの枝を多数半輪生状にに出し、密に小穂を付け、円錐形になる。
なお、湿った場所では花序は大きく開くが、乾燥した場所ではあまり開かない。
小穂は芒を除いて長さ2mmほどで、長さ1mm前後の白緑色の小花を1つ持つ。
苞頴には短毛があり、先端は2裂して、その間から2mmほどの芒を出す。
果実は刮ハで、熟すと苞頴を残して、護頴と内頴と共に落果する。

2021/5/23
実家近くの農道を散歩中、畔の近くで見かけた花序が開いていないヒエガエリです。
子供の頃には、道端や田んぼなどでよく見かけた気がしますが、最近は少し前に鈴鹿PAで見ただけです。
子供の頃と違って、田んぼの除草など、手入れの方法などが進歩した結果でしょうか。
なお、花序が開いて円錐状に変化する様子は下記を参照ください。

 

2023/5/11
一昨年に撮影した場所で、ヒエガエリの花序が開く途中の様子を撮ることができました(上段)。
花序の先端側から広がっていって、上段右の写真のような円錐形になります。
下段は、その円錐形の花序の下部と上部を拡大したものです。
下部の方ではほぼ満開状態で、多くの白い葯がぶら下がっているのが見えます。

スズメノチャヒキ(Bromus japonicus Thumb.)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・スズメノチャヒキ属>


イネ科スズメノチャヒキ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、北半球の温帯(中国、台湾、モンゴル、ロシア、中央〜西南アジア、
北アフリカ、ヨーロッパ)に広く分布する。
草丈は30〜70cmで、茎は束生して直立し、穂は垂れ下がる。
葉は、長さ15〜30cm、幅3〜5mmの線形で、両面に毛が生え、特に表面に多い。
葉舌は長さ2〜2.5mmの半円形で、鋸歯縁。葉鞘は筒状である。
花期は5月〜7月で、花序は円錐状で枝を半輪生して垂れ、小穂が垂れ下がって付く。
小穂は扁平で、長さ2〜3cmあり、小花が6〜10個ある。
第1苞頴は長さ5.5mm前後、第2苞頴は長さ7.5mm前後になる。
護頴は先が2裂し、長さ1cm前後の芒が背面の先端付近から出るが、やや反る程度で曲がらない。
内頴は護頴と同長で、周囲に長い粗毛がある。

2021/6/12
実家近くの河川敷を散歩中、法面から垂れ下がっているスズメノチャヒキを見かけました。
以前から何かイネ科の植物が穂を出しているのは気が付いていたのですが、スルーしていました。
この日、その穂が垂れて大きな小穂を垂れ下がって、茶色く色付いていたので、撮影したものです。
上段右が最も乾燥して芒が広がったもので、上段左は熟して茶色くなり始めたものです。
探すと、下段のように緑色の未熟なものも見つかりました。芒は真っ直ぐに伸びています。
調べるとスズメノチャヒキと分かりましたが、チャヒキはカラスムギの別名チャヒキグサに由来するとか。
チャヒキ(茶挽き)とは、茶臼を挽いて抹茶にすることを言いますが、
子供がカラスムギをぐるぐる回して遊ぶ様が、茶挽きに似ていることからきているそうです。
見た目がカラスムギに似て、小さいことから「スズメ」が付いたのが和名の由来とのこと。
ただ、同属にカラスノチャヒキというのもあり、ややこしいですね。

ダンチク(Cortaderia selloana)
<イネ目・イネ科・ダンチク亜科・ダンチク連・ダンチク属>

イネ科ダンチク属に属する多年草で、在来種。別名は、アセまたはヨシタケ。
日本では、本州の関東以西から四国、九州、沖縄に分布する。
海外では、中国、台湾、熱帯アジア、インド、地中海沿岸に分布する。
なお、本種は世界の侵略的外来種ワースト100に選定されている。
草丈は2〜4mで、地下茎は太短くて横に這い、大きな株立ちになる。
茎の直径は2〜4cmで、中空で節があり、竹に似ている。
葉は互生し、長さ50〜70cm、幅2〜5cmの線形で、やや厚みがあり、途中から垂れ下がる。
葉は粉白色を帯びて、表裏はざらつくが無毛で、縁には毛がある。葉鞘も無毛。
花期は8月〜11月で、茎先に長さ30〜70cmの円錐花序を出し、多数の小穂を密生する。
長さ10〜12mmの小穂は赤紫色を帯びた淡緑色で、2〜5個の小花からなる。
2個の包穎は披針形で3脈があり、先が鋭く尖り、無毛。
長さ7〜8mmの護頴は披針形で3〜5脈あり、基部には白い長毛、先端に2歯がある。
その歯間から長さ2〜3oの短い芒が直立して出る。内穎は護穎より短い。

2021/4/10
実家近くの川で、河原を歩いていてダンチクの葉が斑入りになっているのに気が付きました。
土手の上から見たときには、斑入りではなく普通の緑一色の葉だったはずです。
調べていると、夜の温度が上がると斑が消え、普通の緑色の葉になるとの記述が見つかりました。
今年の冬は寒かったので斑入りになったのでしょうか。緑になっても、新芽は斑入りだそうです。


2021/5/14
実家近くの川沿いにあるダンチクの群落ですが、気が付くと葉が全て斑入りになっていました。
4月に見たときには枯葉になっていたのですが、その後に展開した新葉が斑入りになったようです。


2020/8/14         2021/1/14         2021/5/14
上記は、昨年の夏に見かけたときからの変化で、冬枯れの後、新葉がすべて斑入りになっています。
夜の温度が上がると斑が消えて緑色の葉になるそうなので、間もなく昨夏のように変わるのでしょう。

チガヤ(Imperata cylindrica var. koenigii)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・チガヤ属>

2021/5/11

2021/5/14       2021/5/14           2021/5/14   .
イネ科チガヤ属の多年草で、日当たりの良い空き地よく見られる。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで広く分布している。
海外では、アジア中西部からアフリカ、オーストラリアに広く分布している。
また、北アメリカにも帰化が確認されている。
草丈は30〜80cmで、根茎は堅くて白く、地中深く横走する。
また、新しい匍匐茎を伸ばして、その先に越冬芽(地中にある)を付ける。
葉は長さ20〜50cmの線形で、葉縁や葉先が赤くなることが多い。
なお、葉鞘や茎の節には、普通、毛がある。
花期は5月〜6月で、葉に先立って花茎を伸ばし、長さ10〜20cmの花穂を付ける。
小穂は長さ5o前後披針形で、基部に長さ10mmほどの光沢のある白い綿毛が密生する。
葯は長さ3oほど、柱頭は紫褐色で2裂し、花後にも白い綿毛の中に残ることがある。

2021/5/11,14
実家近くの国道の中央分離帯には、いろいろは草本が大きな群落を造っています。
この辺りではチガヤが多くを占拠し、花穂が風になびいていました。黄色い花はオオハルシャギクです。
数日後、実家近くの川沿いを散歩中にチガヤを見つけたので、アップで撮影したのが下段です。
黄色い葯と紫褐色の柱頭が白い綿毛の間から顔を出しています。
この段階では綿毛は開いていませんが、花後になると右端のようにモコモコになります。
なお、黒っぽいものは種子ではなく、残存している枯れた柱頭です。

シュロガヤツリ(Cyperus alternifolius L.)
<イネ目・カヤツリグサ科・カヤツリグサ亜科・カヤツリグサ連・カヤツリグサ属>

カヤツリグサ科カヤツリグサ属の大型の多年草で、原産地はマダガスカルである。
日本では本州南部以南で帰化している場合があり、河川敷などに群生を作る場合がある。
観賞用として栽培され、逸出したものが野生化し、帰化植物として繁殖している。
草丈は50〜120pになり、地下茎はごく短く横に這い、叢生して花茎を出す。
根出葉は鞘を作るが、葉は退化して、基部に鞘状に付く。
花期は7月〜10月で、花茎は丸みを帯びた三角で真っすぐに立ち、深緑色である。
稈の先端からは傘状に多数の細長い葉状の苞が出て、剣のように真っすぐに伸びる。
苞の長さ10〜20cmで、苞の中心から長さ2〜7cmの花序枝を多数出す。
花序枝の先に、長さ5〜10mmの扁平で長楕円形の小穂が数個付く。色は淡褐色である。
鱗片は長さ2o弱の披針形で中肋が緑色。短い芒を持ち、竜骨はやや鋭形。
花はオシベ1個とメシベからなり、柱頭は3裂する。果実は痩果で、長さ1mm弱の倒卵形。

2020/8/14
実家近くの川沿いを散歩中、土手の法面に繁茂する大型のカヤツリグサを見かけました。
調べたのですが調べきれず、しばらく不明種となっていました。
それが、別の調べ物をしていてシュロガヤツリらしいことが分かり、再確認することにしました。



2021/4/19
生えていた場所に行くと、群落はすっかり枯れてしまっていました。
河原に下りてみると、下の方から新しい花茎が伸び出し、既に花が咲いているものもありました。
改めて、その特徴を確認した結果、ショロガヤツリであると判断しました。


2021/5/14
1ヶ月ほど経って、シュロガヤツリもしっかりと伸び出して、花を咲かせていました。
しかし、昨年の枯れた花茎がまだ多く残っているので、見た目は枯草のようです。

ヤチカワズスゲ(Carex omiana)
<イネ目・カヤツリグサ科・スゲ亜科・スゲ連・スゲ属・カワズスゲ節>
 
カヤツリグサ科スゲ属の多年草で、日本固有種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
本種の高山型がカワズスゲであり、本種より小さく、北海道と本州中部地方以北に分布する。
草丈は30〜60cmで、根茎は短く、ゆるく叢生する。匐枝は出ない。
葉は幅2mm前後の線形で、長さ20〜30cmと花茎よりは短い。硬くて鈍い稜があり、やや平滑。
花期は5月〜7月で、花茎は高さ30〜60cm。鋭稜があってやや平滑である。
花序は2〜5個の無柄の小穂をやや接近して付け、小穂は長さ6〜15mmで栗褐色か少し緑色を帯びる。
小穂は雌雄性で、下方のものは雌花が多く、頂小穂は雄花部が長い。
果胞は長さ4〜5mmの平凸形で、平滑で光沢があり、基部は海綿質に肥厚、上部は長い嘴となる。
果胞ははじめ緑色で、熟すと栗褐色となり、熟すと嘴が著しく反り返る。

2023/5/4
網引第1湿原の木道の近くで、最初に目に留まったのがこのイグサのような草本でした。
花の形からイグサの仲間でないのは分かりますが、見たことがありません。
後で調べてヤチカワズスゲと分かりましたが、スゲの仲間だったんですね。
ここだけではなく、第2湿原でもよく見かけました。

ウスアカカタバミ(Oxalis corniculata f. atropurpurea)
<カタバミ目・カタバミ科・カタバミ属>



カタバミ科カタバミ属の多年草。
日本では、北海道から本州、四国、九州と、全国に広く分布している。
海外では、日本の含めて、世界の暖温帯から熱帯に広く分布する。
草丈は10〜30cmで、茎はよく分枝して下部は地面を這い、上部は立ち上がる。
葉は3小葉からなり、赤紫色を帯びる。なお、大きさはカタバミより小さい。
葉腋から散形花序を出し、直径8o程の黄色い花を付ける。花弁の基部に赤い輪の斑紋がある。
カタバミと比較すると葉が赤みを帯びることと、花の芯近くにうっすらと赤が入る点が異なる。
ただし、葉の赤みも花の赤みもアカカタバミと比較すると淡い。
果実は長さ20oほどの円柱形の刮ハで、熟すと裂けて種子を弾き飛ばす。
なお、ウスアカカタバミは、カタバミとアカカタバミの雑種を考えられているが、
最近は、カタバミ、アカカタバミ、ウスアカカタバミをひっくるめてカタバミとする見解もある。

2021/4/21
どこかでアカカタバミを見た気がするのですが、その場所が思い出せませんでした。
その場所ですが、灯台下暗しというか、実家の庭に置かれている植木鉢の中で咲いていました。
咲いていたのは、アカカタバミではなくウスアカカタバミで、葉と黄花の中心に赤味を帯びます。


カタバミ、ウスアカカタバミ、アカカタバミの比較

カタバミ
ウスアカカタバミ
アカカタバミ








オッタチカタバミ(Oxalis dillenii)
<カタバミ目・カタバミ科・カタバミ属>

カタバミ科カタバミ属の多年草で、北米原産の帰化植物。帰化植物としては、比較的新しい。
日本では、本州から九州の温暖帯に分布している。
草丈は10〜30p程になり、茎は基部で分枝して直立し、細かい上向きの毛がある。
立ち上がった茎は、カタバミより太く、短い節間で花柄を出す。
茎葉も1ヶ所から対で出ることが多く、下部に葉が密集して付いているように見える。
花期は4月〜10月で、散形状に直径2cm程の黄色い花を数個付ける。
花柄には上向きの白い伏毛が密集し、花後、果柄は下垂して、刮ハは上向きに付く。
同じように茎が立ち上がるタチカタバミと異なり、直根がなく、根が浅く横に張るため、抜けやすい。
茎の節間が短くて葉が密集し、果柄は下垂しているのが本種である。
最も確実なのは、種子を見ることで、皺が白ければ本種、白くなければタチカタバミである。

よく似たオチカタバミとは下記の点で区別できる。
・タチカタバミは直根が地中に延びて抜けにくいが、オッタチカタバミ根が浅くて抜けやすい
・花後、オッタチカタバミは果柄が下垂するが、タチカタバミは果柄は伸びて水平以下に下がる
・タチカタバミには小さい托葉があるが、オッタチカタバミの托葉ははっきりしない
・オッタチカタバミの葉は、昼間明るいと閉じ、曇天や夜間など暗いと開くが、
 タチカタバミの葉は真逆で、昼間明るいと開き、曇天や夜間など暗いと閉じる
・オッタチカタバミは節間が短く、葉柄や花柄が1ヶ所からまとまって出るが、
 タチカタバミの葉には根生葉と互生した茎葉があり、茎葉がまとまって出ることはない
・オッタチカタバミの種子の横しわは白くなるが、タチカタバミは白くならない

2021/4/16
実家近くを散歩中、目に付くカタバミですが、そのほとんどがオッタチカタバミでした。
カタバミやアカカタバミ(どこかで見かけた気がするのですが...)を探しても見つからないのです。
どこかにあるはずなのですが、散歩コースを変えてみる必要があるかもしれません。

オキザリス・プルプレア(Oxalis purpurea)
<カタバミ目・カタバミ科・カタバミ属>


カタバミ科カタバミ属の多年草で、南アフリカのケープ地方が原産の帰化植物。
日本には明治中頃に渡来したとされているが、日本に広く分布し、帰化状態にある。
日本以外でも、世界各国で帰化状態になっている。
無茎植物で、葉は全て根出葉となる。花柄は10cmほどになり、3出複葉。
花期は10月〜12月、2月〜4月と長めで、夏には地上部は枯れて夏眠する。
花は、15cm程の花茎の先に付き、直径3cm強の5花弁である。
花色は豊富で、白花以外に、赤、黄、紫、橙などがある。

2024/4/7
実家で鉢植えにしている白と赤のオキザリス・プルプレア。季節的にそろそろ終わりです。
白花は昨秋に咲き始めて年末にいったん咲き終わり、4月に数輪だけ花を付けていました。
赤い方は昨秋は花を付けず、3月頃から開花を始め、今、そこそこ咲いています。

キキョウソウ(Triodanis perfoliata)
<キク目・キキョウ科・キキョウ亜科・キキョウソウ属>

2022/5/30                  2022/6/1

2022/6/1                   2022/6/1
キキョウ科キキョウソウ属の1年草で、北米原産の帰化植物である。
日本では、関東以西、四国、九州に分布する。
草丈は30〜80pで、茎にははっきりした稜があり、下向きの毛がある。
茎は基部で分枝し、真っ直ぐに立ち上がる。葉は互生し、縁に粗い鋸歯がある。
下部の葉は無くなっていることが多いが、円形で短い葉柄がある。
茎の上部の葉は、長さ15oほどの楕円形で茎を抱き、無柄。
花期は5月〜7月で、最初、閉鎖花のみ付け、その後、普通の花を付け、順次咲き上る。
花は葉腋に数個付き、紫色の花冠は直径15o強で、5深裂する。萼は3〜5裂し、先が尖る。
雄性先熟で、5個のオシベは花糸は短く、葯は線形で長さは2oほどある。
雄性期には、オシベは花柱に張り付きこん棒状で有毛。花粉が付いている。
雌性期への転換時、オシベが開いて花柱の根元が見え始める。
雌性期には、オシベは萎れ、メシベの柱頭は3裂する。

2022/5/30,6/1
実家近くの川沿いを散歩中、土手の端に立派な茎を立ち上げているキキョウソウを見ました。
今まで見たことがあるのは、茎の直径はあってもせいぜい2mmあるか無いかくらいです。
この茎は直径5mmはあるのではないかという太さで、真っ直ぐに立ち上がっていました。
花は、茎先の方に少し咲いていましたが、大半は果実になっています。
今まで花の写真は撮っていても、果実の写真は撮ってないことを思い出し、撮影しました。
後日、写真を整理していて、この地では花の写真を撮っていたなかったことが分かりました。
あちこちで見かけるので、写真を撮ったつもりになっていたようです。
で、後日、花の写真を撮りに行って、ついでに、熟した果実から種が出ている所も撮りました。
最初に撮った写真で、果実の基部にある葉の上に種子がたくさん乗っているのが気になったためです。
調べてみると、熟した果実の先ではなく、基部近くに孔が開いて、種子がこぼれ落ちるとのこと。
上段右がその孔が開いているところで、捲れ上がるように孔が開くみたいです。
右側の未熟な緑色の果実で、中ほどに白っぽく見えているのが、孔が開く部分ですね。
本種もご多分に漏れず雄性先熟なので、最初は下段左のように、雄性期にはメシベは根棒状です。
その後、雌性期に入ると、左のようにオシベは役目を終えて萎れ、メシベの先が3裂します。

ヒナギキョウ(Wahlenbergia marginata)
<キク目・キキョウ科・キキョウ亜科・ヒナギキョウ属>

キキョウ科ヒナギキョウ属の多年草で、在来種。
日本では、本州の関東地方以西から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島〜中国、台湾、東南アジア〜ニュージーランドに分布する。
草丈は20〜40cmで、茎は細くて稜があり、基部で分枝する。
ひ弱そうに見える上部とは異なり、根茎は太くて良く発達している。
葉は互生し、下部の葉は長さ2〜4cmの倒披針形で、波状の鋸歯があり、葉柄は短いか無い。
上部の茎葉は線状被針形で、まばらに鋸歯があるものがある。
花期は4月〜9月と長く、長さ10〜20cmの長い花茎の先に青紫色の花を1個付ける。
花冠は長さ3〜12mm、直径5〜10mmの広鐘形で、先は5裂(まれに4裂)する。
萼も5裂し、裂片は披針形。オシベは5個、メシベは1個で、柱頭は3裂する。
刮ハは直立し、長さ3〜8mm。萼裂片が残り、熟すと上部が縦に3裂する。

2022/4/30
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園、その駐車場脇の法面で小さな花を見つけました。
今まで見たことはないのですが、花の特徴はキキョウに非常によく似ています。
後で調べてみると、ヒナギキョウというキキョウの仲間だと分かりました。
ただ、花は直径1cmにも満たない小さなもので、気を付けていないと見落とすところでした。


2022/5/7
キキョウ科の花と分かり、後日、改めて撮り直したのが上記の写真です。
左端が全体を撮ったもので、ひょろっとして、かなり華奢な感じです。
キキョウ科の花なので、雄性先熟です。中央が雄性期の花で、オシベが展開しています。
メシベは円柱状ですが、雌性期に入るとオシベは脱落し、花柱が3裂します。
右端は、雌性期に移行中の花で、オシベ4個が落ち、柱頭が裂開し始めています。
柱頭が完全に開くと最初の左側の写真のようになりますが、この花は花弁の開きが悪いです。

キセルアザミ(Cirsium sieboldii)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・アザミ属>

キク科アザミ属の多年草で、日本固有種。別名は、マアザミ、サワアザミ。
日本では、本州から四国、九州と比較的広範囲に分布する。
山野の湿り気のある場所や湿原で、普通に見られる。
草丈は50〜100cmで、茎葉は小さく、少数付き、羽状に分裂する。
和名は、茎葉の少ない茎と下向きに付くツボミがキセル(喫煙具)に似ることに由来する。
根生葉は多数出て花期にも残り、長さ15〜50cmで、羽状に裂けて両面無毛。
花期は9月〜10月で、茎葉先で分枝して、各枝先に頭花を単生する。
頭花は初めは下向きに咲くが、徐々に起き上がり、果時には完全に上向きになる。
総苞は鐘形〜筒形で、総苞片は重なり合って付き開出するが、反り返ることはない。
花冠は長さ16〜20mmの紅紫色で、狭頭部は広筒部より長い。

2024/3/16
ほとんどが枯草の網引湿原の中で、唯一、緑色の葉を見せていたのがキセルアザミです。
といっても、根生葉をロゼット状に開いているだけで、まだ、しばらくはこの状態が続くでしょう。


2022/6/18
上記より根生葉が立ち上がってきていますが、秋咲きので、まだ、この時期はこのような状態です。


2022/10/11
秋になると、上記のような花を付け、最初下を向いていた頭花が徐々に起き上がって上を向きます。

ヒメヒレアザミ(Carduus pycnocephalus)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・ヒレアザミ属>


キク科ヒレアザミ属の越年草で、ヨーロッパから西アジアが原産地の帰化植物。
日本では、1916年に兵庫県西宮市で発見され、その後、三重県四日市市でも見つかっている。
草丈は30〜80cmで、茎に綿毛があり、長さ5mmほどの鋭い刺を備えた翼がある。
上部で分枝して、枝は広角度に広がる。茎葉は長さ5〜20cmで羽状に中裂する。
裂片は2〜5対あり、縁には鋭い刺がある。葉裏は綿毛で覆われている。
花期は5月〜6月で、頭花は茎頂と葉腋に単生するが、数個が密生して付く。
総苞は筒型で、総苞片は5〜6列で、斜上し、中片、外片とも先は鋭い刺になる。
総苞は長さ20mm前後、筒状花は淡紅紫色で、長さは10〜14mmある。
痩果は長さ4〜5mm、冠毛は長さ10〜14mmである。

2022/4/29
実家近くの空き地で、小さめの花を付けているアザミを見かけました。
春のこの時期に見られるアザミの仲間は、ノアザミかキツネアザミくらいしか思いつきません。
調べてみたのですが、この時期に咲くアザミの仲間は他には無いようです。
考えあぐねて、相模原市立博物館の生物担当学芸員の方にお聞きしたところ、ヒレアザミではとのこと。
あまり気にしていませんでしたが、茎にひれのようなものがあり、そこに刺が並んでいます。
アザミ属ではないので、キツネアザミ同様、春に咲くアザミとしては対象外の事が多いとの事。
改めて調べてみると、Webでも写真が紹介されています。ただ、総苞片が細くて印象が異なります。
さらに調べると、同属ではイヌヒレアザミとヒメヒレアザミの帰化が確認されているとのこと。
ただ、写真が見つかりません。学名が分かったので、学名で検索すると出てきました。
イヌヒレアザミは、国内ではなく、ポルトガルで撮影されたもので、学名のみの紹介でした。
どちらにも似ているのですが、学芸員の方も神奈川県外の事は良く分からないとの事。
Webによると、ここから20kmほど離れた明石川の河川敷ではたくさん咲いていると紹介されていました。
近いこともあり、ここではヒメヒレアザミとさせていただきましたが、間違っている可能性はあります。

シュンギク(Glebionis coronaria)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・シュンギク属>


キク科シュンギク属の越年草で、地中海沿岸が原産地。
日本、韓国、中国など東アジア諸国では食用としてシュンギク(G. coronaria)が栽培され、
欧米では観賞用としてハナワギク(G. carinata)が栽培されている。
日本には室町時代に渡来したとされ、葉の大きさ等で大葉種、中葉種、小葉種に大別される。
野菜としての栽培は、葉が厚く味が良い中葉種が主流で、「摘み取り種」と「株張り種」がある。
草丈は20〜70cmで、全草無毛。茎は株元から多数出て直立し、上部で多少分枝する。
根生葉は花期までには枯れてしまう。
茎葉は互生して、無柄で長さ8〜10cmの長楕円形。2回羽状複葉で、縁には鋸歯がある。
花期は4月〜5月で、茎頂に直径3〜5cmの頭花を単生し、花序柄は長さ15〜20cm。
総苞は杯形で、直径15〜30mm、総苞片は4列につき、内総苞片は長さ10mm前後。
頭花は、周辺に舌状花が並び、その内側に黄色い筒状花が多数付く。
花には変異があり、舌状花が黄色一色から外側が白い覆輪になるものもある。

2023/5/28
実家の畑で、冬に鍋物で楽しませてくれたシュンギクが、5月になって咲き始めました。
この時期に咲くキク科の花は少ないので、今度は花で楽しませてくれています。
5月の末になって花も終わりかけ、そろそろ種を取って終わりにする時が近づいてきました。
そういえば写真を撮ったことがなかったと思い出し、撮ったのが上記の写真です。
シュンギクは、欧米では鑑賞用だそうですが、確かに見ごたえのある花ですね。

カンシロギク(Leucanthemum paludosum)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・フランスギク属>

キク科フランスギク属の半耐寒性多年草で、原産地は地中海沿岸。
高温多湿に極端に弱いため、日本では一年草として扱われている。
「ノースポール」はサカタのタネの商品名であるが、一般名として定着している。
草丈は15〜25cmで、矮性でよく分枝して直立する。
葉は互生し、葉身は長さ20〜40mmのへら型で、大きい鋸歯があり、深裂しているようにも見える。
花期は11月〜6月で、冬季に咲く花として、ガーデニングに欠かせない存在になっている。
この冬季に咲く白い菊というのが、和名のカンシロギクの由来である。
頭花は茎頂に1個上向きに付き、頭花の直径は25〜40mmで、よく似たフランスギクより一回り小さい。
総苞片は3〜4列で、舌状花は白色、筒状花は黄色である。
花付きが良く、株全体が白く見えるのが北極の氷原を連想させ、それがノースポールの由来である。
果実は痩果で、長さは約2mm、10肋があり、冠毛はない。

2021/3/20
実家近くを散歩中、道路脇の植栽の陰でカンシロギクが数輪花を付けていました。
数日後に通りかかたとき、根こそぎなくなっているのに気が付きました。
周りのノゲシなどは残っていたので、カンシロギクだけ持ち去られたようです。


2021/3/23
実家近くの農道を散歩中、駐車場脇でカンシロギクがたくさん咲いていました。
他の花などもあるので、どなたかが植えられたもののようです。
その内の1つに、ナナホシテントウの終齢幼虫がへばり付いていました。


    2021/4/8                    2021/4/11
実家の庭先に、毎年、白い花を付けるキク科の植物が生えています。
こぼれ種から毎年生えてくるようなのですが、除草から漏れて、何株かが花を付けます。
気になっていたので調べた結果、カンシロギクと分かりました。
植えたことはないので、どこかから紛れ込んできたもののようです。
本来なら、草丈は数十cmになるのですが、雑草扱いされているので10cmほどしかありません。
寒い時期に咲いてくれるので、今年からは、きちんと世話をしてあげようと思います。
なお、花の両サイドに葉を広げているのは、ナガミヒナゲシでした。
小さい頃の葉は、お互いによく似ていて、混生していると区別が付けにくいのです。
ここまで大きくなると、違いが分かるので、この後除草してしまいました。


2022/3/6 9:16         2022/3/6 11:06         2022/3/8 11:53
カンシロギクは、開花間もない頃は日差しがないと開かないようで、陽が当ると開き始めます。
夕方に日差しがなくなると、舌状花が立ち上がって、花は閉じてしまいます。
ただ、開花後、日数が経った花は閉じることはないようで、日差しがなくても開いています。
上記はその様子で、9:16の陽が当る前には閉じていた花が、陽が当った11:06には開いています。
左下の開いている花は、夜も閉じていなかったので、開花後、日が経った花だと思います。
右端の11:53の写真は別の日に撮ったものですが、開き切った状態の様子です。


2021/6/19
雨が続いたある日、カンシロギクの根元に寒天質に包まれた卵のようなものを発見。
あら〜 ナメクジが卵でも産んだのかとスコップですくい取りました。
しかしよく見ると、中にある卵らしきものに縦条の模様(峰)がたくさん見られます。
なんか変だと思い、カンシロギクを改めて調べると、それはカンシロギクの種子でした。
左が最初に見つけたものですが、翌日に撮影したので少し乾燥して白っぽくなっています。
右は、頭花に残っていた種子で、ゼラチン質の物質で保護されているように見えます。
これが地面に落ちて、最初に見たときにナメクジか何かの卵に見えたのです。


2021/6/20
翌日は晴天だったので、乾燥が進んでゼラチン質の物質は縮み、普通の種子のようになりました。
なお、左の写真は、上記の8時間後に撮ったもので、乾燥が進んだのが分かると負います。


種子の出す粘液

  種子の出す粘液(ゲル)は、ムシレージ(mucilage)と呼ばれるものです。
水に濡れるだけで種子から種子以上の体積になるムシレージが素早く出てくる仕組みです。
このムシレージは、多糖類が主成分で、オオバコ、バジル、シロイヌナズナなどに見られます。
このムシレージを構成する成分は、植物細胞が持つ細胞壁と同じ物質だそうです。
強固な構造の細胞壁と、ムシレージゲルのゼリー状の構造が同じ物質からできているという訳です。
オオバコのムシレージは、種皮の最外層の細胞に貯蔵されているそうです。
種子が水に濡れるとシムレージは急速に吸水して膨張し、種子の周りに放出され、数分でゲル化します。
この辺の仕組みに関しては、オオバコやシロイヌナズナではよく研究されているそうです。
種子が発芽するためには水は重要です。水を素早く吸収、保水するムシレージは、その点で秀逸です。


マメカミツレ(Cotula australis)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・マメカミツレ属>

2021/4/16

2021/4/16                2021/4/19
キク科マメカミツレ属の一年草で、オーストラリア原産の帰化植物。
日本では、1940年頃に帰化が確認され、本州中部以南の都市部に分布している。
草丈は3〜20cmで、茎は基部から多数分枝し、全体に白い軟毛がある。
葉は互生し、長さ2〜6cmの楕円形で、2回羽状に深裂する。
花期は通年で、長さ5〜10cmの花柄の先に直径3〜6mmの緑色の頭花を付ける。
頭花の中ほどには数十個の両性の筒状花が付き、その周囲をメシベのみの雌性花が囲む。
なお、雌性花には花冠はない。総苞片は2〜3列になる。
痩果は、雌性花由来の翼のある長さ1mm強のものと、両性花由来の翼のない1mm弱のものがある。

2021/4/16,19
実家近くの川沿いを散歩中、きれいに除草された土手の法面で、マメカミツレを見つけました。
除草された結果、下の方に隠れていたマメカミツレが顔を出したようです。
他の場所にも生えているのかもしれませんが、他の草が繁茂しているためか気が付きませんでした。
地を這うように広がり、花も地味で小さいため、よほど注意していないと見つけられません。



2024/3/14
綾部山梅林のそこここで見られたのがマメカミツレで、広範囲に広がっているようです。
下段は、直径1cmにも満たない小さな頭花で、左は未開花、中央は開花したものです。
中央に集まっているのは両性の筒状花で、その周りを花冠のない雌性花が取り囲んでいます。
下段右の写真は果時のもので、左は未熟な状態で、右は成熟して種がこぼれ落ちた状態です。
左側中央の白い物や右側中央の褐色のものが筒状花の種子です。
左側中央の白い物の周囲ある緑色のものが未熟な雌性花の種子で、翼があって扁平です。
右側中央の褐色の種子の周囲にある白っぽいものは、熟した両性花の種子です。
種子の周りに白っぽい翼があり、両性花の種子とは形状も大きさも異なります。

ヒメキンセンカ(Calendula arvensis)
<キク目・キク科・キク亜科・キンセンカ連・キンセンカ属>

キク科キンセンカ属の1年草で、ヨーロッパ、地中海沿岸が原産地の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
キンセンカより渡来したのは古いと言われており、各地で野生化している。
草丈は10〜50cmで、茎はよく分枝してやや横に這って広がる。
茎には稜があり、くも毛や柔らかい腺毛が多くある。
葉は互生し、長さ3〜8cmの長楕円形で、低い鋸歯がある。葉柄はない。
花期はほぼ通年であるが、10月〜5月頃に良く咲く。花は昼間開いて、夜は閉じる。
花茎の先に直径15〜30oの橙黄色の頭花を1個付ける。
雄性の舌状花は橙黄色で、両性の筒状花は明るい黄色。総苞片は長さ5〜10mmで腺毛がある。
果実は痩果で冠毛はなく、C字状に強く曲がり、背面に多くの突起がある。

2021/3/20
実家近くの川沿いを散歩中、法面の角の方にオレンジ色の花が咲いているのに気が付きました。
探すと、近くにもう1株同じように花を付けていて、この2株だけがポツンと咲いていました。
野草にしては鮮やかな色で見たことがない花でしたので、調べてみると、ヒメキンセンカと分かりました。
園芸品種のキンセンカより古く渡来したようですが、花が小ぶりなのであまり普及はしなかったようです。
そのためか各地で野生化していて、道端などで見られることがあるようです。


2021/3/23
実家近くの農道を散歩中、田んぼの中でポツンと咲いているヒメキンセンカを見つけました。
その直ぐ側には、パンジーも花を付けています。なぜ、このような場所で咲いているのか不思議です。
そこから少し離れた田んぼの脇の空き地で、ヒメキンセンカの群落を見つけました。
河川敷で見たものとは比較にならないくらい、大きく広がって、たくさんの花を付けていました。
日当たりの違いか、栄養素の違いなのか、ずいぶんな違いです。

ナルトサワギク(Senecio madagascariensis)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・キオン属>

キク科キオン属に属する多年草で、マダガスカル〜アフリカ南部原産の帰化植物。
日本では、福島、千葉、静岡、滋賀、三重、奈良、大阪、和歌山、兵庫、岡山、香川、
徳島、高知、佐賀、福岡で確認されており、急速に分布を拡大させている。
和名は、1976年に徳島県鳴門市瀬戸町の埋立地で発見され、サワギク似であることに由来。
海外では、オーストラリア東海岸、ハワイ、南アメリカにも侵入している。
草丈は20〜70cmで、茎はよく分枝して直立し、基部が紫色を帯び、無毛である。
葉は互生して、長さ3〜9cmの線状披針形で不規則な鋸歯がある。濃緑色で厚く、表面は無毛。
葉の形状に関しては、羽状に分裂することもあり、変異が大きい。基部は茎を抱く。
花期は通年で、多数の頭花は直径20〜25oの鮮黄色。
舌状花は通常13枚で、筒状花は舌状花と同色で短い冠毛がある。
痩果は長さ1mmほどで、長い白色の冠毛を持ち、風に乗って繁殖し、アレロパシーを持っている。
全草に肝毒性の強いセネシオニンなどのピロリジジンアルカロイドを含んでいる。
そのため、オーストラリアでは家畜がこれを食べて中毒死する事故が多く報告されている。
2006年2月1日に特定外来生物に指定されている。

2021/3/7
1月には萎れてはいても、まだ元気な姿を見せていましたが、すっかり枯れていました。
通年で咲く本種も、今冬の寒さは堪えたのでしょう。しかし、根本には新葉が展開し始めていました。


2021/4/16
3月初旬、昨年の地上部はすっかり枯れ、その下から新葉の展開を始めていたこの株ですが、
1ヶ月強が経過した今、昨年のように多くの頭花を開花させていました。

ノボロギク(Senecio vulgaris)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・キオン属>

キク科キオン属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国的に分布する。
また、世界的には寒冷地から亜熱帯に広く分布する。
草丈は20〜50cmほどで、茎は紫褐色を帯び、茎や葉には白いくも毛がある。
葉は互生し、長さ2〜10pで、不規則に羽状分裂する。葉柄はない。
花期はほぼ通年で、頭花は黄色い筒状花のみからなる。
総苞は長さ6oほどで、総苞片は20個前後。小苞の先に濃紫色の点がある。

2017/4/4
近くの側溝脇に生えていたのボロギクです。
早春から花を付けていたようで、綿毛になった頭花や飛んだ後の頭花が見られます。


2021/2/10                  2021/3/22

2021/3/22
2月には、草丈は10〜15cm程度だったものが、20〜30cmと倍ほどの大きさになっていました。
花数は、おそらく1桁多くなっているのではないでしょうか。まさに、花真っ盛りといったところです。
まだ、綿毛になったものは少なくて、ちらほらと見られる程度です。
右側の写真の綿毛には、黄色い筒状花が混じっています。

アレチノギク(Conyza bonariensis)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・イズハハコ属>



キク科イズハハコ属の越年草で、南アメリカ原産の帰化植物。
秋に芽生えて、ロゼットで越冬し、翌春に茎を伸ばして花を付ける。
日本では全国的に見られるが、最近はオオアレチノギクに押されて減少している。
海外では、熱帯から温帯にかけて、広く分布している。
草丈は20〜50cmで、茎は直立し、全体に毛が多くて、灰緑色である。
開花すると主茎の生長が止まり、数個の側枝が主茎より高く伸び出すのが特徴。
根生葉は花期にはなく、下部の茎葉は長さ3〜5cmで密に互生し、粗く羽状に深裂する。
中間より上部の葉は長さ3〜7cmで互生し、無柄でまばらに鋸歯がある。
花期は3月〜10月で、茎頂に総状花序を付ける。
なお、花序の横から2〜3本の枝を花序より高く伸ばして、その先にも花序を付ける。
頭花はオオアレチノギクより大きく、直径3〜10mmになる。
舌状花は総苞内にあって目立たないが65〜150個あり、初め白いが徐々にピンク色に変わる。
中心の筒状花は黄色で、15〜40個ある。総苞は長さ5mm前後で、総苞片は2〜3列。
痩果は長さ1.5mm前後で、冠毛は長さ3〜4o。白色から灰褐色〜帯紅褐色になる。

2022/4/21
実家近くの側溝で見かけたアレチノギクです。
最初に見たのは3月中頃で、総苞が赤味を帯びていて、見たことがない草本だと思っていました。
写真を撮ろうと思いつつ、何だかだと忙しくて撮り損ねてしまいました。
久しぶりに傍を通ると、倍くらいの大きさになり、最初に咲いていた花は綿毛になっていました。
それが上段の写真で、綿毛の下部から側枝が出て、さらに高い位置で多くの花を付けています。
側溝の近くの空き地にも小型の株が数株生えていて、こちらも多くの花を付けています。
どの株も、中心の主茎の下部から側枝が伸び、主茎より高くなってその先に花を付けています。
花は、開花直後は周囲の舌状花は白いのですが、時間が経つと赤紫色を帯びてくるようです。
これらの特徴からアレチノギクだと分かりましたが、今まで見たものより総苞の赤茶色が明瞭です。
記憶にあるものでは、総苞は葉と同じ緑色で、先の方が若干、赤茶色を帯びる程度だったと思います。
そのため、最初に見たときに花が赤っぽく見え、見たことがないなと思ってしまいました。
ツボミの先が赤く見えているのも、この総苞の色のためで、赤い花弁に見えてしまいます。
下段右端の綿毛が淡褐色になっているのは時間が経っているためで、綿毛も最初は白いようです。


2022/4/29
冠毛は最初は白いということでしたが、白っぽくはありますが、淡褐色といったところです。
最初、白かった頭花の周囲にある舌状花が、時間経つと淡赤紫色に変わっているのが分かります。

ヒメジョオン(Erigeron annuus)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・ムカシヨモギ属>


キク科ムカシヨモギ属の多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
明治維新の頃に渡来し、現在では日本中に広がっている。
草丈は30〜130cmで、茎は直立して分枝し、白いずいが詰まって中実。粗い毛がまばらにある。
根生葉は長い柄があり、花期には枯れてしまう。
上部の茎葉は披針形で、先が尖り、葉柄はほとんどない。
下部の茎葉は卵形で、基部が狭まって、翼のある葉柄のようになる。
縁の鋸歯は先が鋭く尖がり、基部が茎を抱くことはない。
花期は5月〜10月と長く、頭花は上部の枝先に多数ついて、直径は20o前後。
舌状花の花弁はごく細く、白色〜淡青紫色で雌性、オシベも冠毛もない。
なお、花弁が白色ではなく青紫色がかるのは、清浄な空気の中で育った時のみ。
筒状花は、黄色で両性、長さmm前後の冠毛がある。
総苞片は披針形〜線状披針形で2〜3列に並ぶ。
痩果は長さ1mmに満たない長楕円形で、その寿命は35年とされる。
そのため、多数の種子を作ることと相まって、驚異的な繁殖能力を持ち、駆除は極めて困難。

2023/5/26
加古川の土手で撮り損ねたマツヨイグサを取りに行ったとき、法面の下で見たヒメジョオンです。
下りた所の上流側では法面の際には、下流側は通路との間にびっしりと生えていました。
それほど大きな花ではありませんが、これだけ数が揃うと白っぽく見えて、目を引きます。

ペラペラヨメナ(Erigeron karvinskianus)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・ムカシヨモギ属>

2021/5/16

2021/5/15                 2021/5/15
キク科ムカシヨモギ属の多年草で、中央アメリカ原産の帰化植物。
日本では、本州関東以西から四国、九州で野生化して分布している。
海外では、アフリカ、ヨーロッパ、アジアに分布している。
草丈は、基部で分枝し、斜上したり、匍匐して先は立ち上がり、草丈は50cm程になる。
下部の葉には葉柄があり、3〜5裂するが、上部の葉は互生して、無柄で、縁は全縁になる。
花期は5月〜11月で、枝先に直径15〜20mmの頭状花を単生する。
舌状花は白色〜紫色で1列に付き、時間が経つと赤みを帯びる。筒状花は黄色で、先が5裂する。
痩果は長さ1mm前後で、冠毛は二重になっていて、長い冠毛と極端に短い冠毛が2列につく。

2021/5/15,16
実家近くの民家の塀際で見かけたペラペラヨメナです。
開花間もない白い花と時間が経って赤くなった花が混在し、2種類の花が混じったように見えます。
なお、白い花に付いている赤い点はカベアナタカラダニです。この時期、よく見かけますね。


2021/6/24
実家近くの側溝の脇で見かけた白いキク科の花です。
ペラペラヨメナっぽいのですが、ピンクになった花がないので、このときは不明種扱いとしました。


2022/4/30

2022/5/9
4/30 翌年、同じ場所に行ってみると、今年も白い花をたくさん付けていました。
5/9 1週間以上経ったので、どうなっているのか様子を見に行くと、ピンクに変わっていました。
大概、見かけたときには白とピンクの花が混ざっているので、迷うことはないのですが、
咲き始めの時には白い花ばかりなので、確定には躊躇してしまいます。
これで、不明種はペラペラヨメナだと確定です。

ウスベニチチコグサ(Gamochaeta purpurea)
<キク目・キク科・キク亜科・ハハコグサ連・ウスベニチチコグサ属>

2022/4/29

2022/4/30
キク科ウスベニチチコグサ属の1年草で、南・北アメリカが原産地。
ウスベニチチコグサ属として、ハハコグサ属と分けるようになった。
日本では、本州の関東地方から四国、九州の暖地帯に分布する。
草丈は10〜40cmで、茎は基部で分枝して直立〜斜上し、フェルト状の綿毛で覆われる。
葉は根生葉と茎葉があり、普通、根生葉と下部の茎葉は花期には枯れてない。
根生葉は長さ1.6〜12.5cm、茎葉は長さ1〜6cm。倒披針形〜へら形で、ときに縁が波打つ。
葉裏は白いフェルト状で綿毛が多く、葉表は緑色であるが、クモの巣状の綿毛がある。
花期は4月〜5月で、始め、茎先に壺形の頭花をやや集まってつける。
後に、成長すると団散花序が離れて飛び飛びに付くようになる。
総苞は円筒形で、長さ4mm前後で基部にまばらに毛がある。
総苞は4〜5列あり、外総苞片は卵状3角形で内総苞片の半分前後の長さで、先は尖鋭形。
内総苞片は三角状披針形で、薄片は帯赤色〜帯白色で、先は鋭く尖る。
頭花には、両性小花が3〜4個付き、花冠上部は赤紫色を帯びる。
痩果には長さ3mm前後の冠毛16〜20個が1列に付き、基部が合着して容易に外れる。
よく似たキヅキチチコグサ(Gamochaeta argyrinea)が、2015年に愛知県で報告されている。
ただ、キヅキチチコグサは花期にも根生葉が宿存するのに対して、本種では枯れる点が異なる。
また、内総苞片の先が切形〜円形で、本種の先の尖った三角状披針形とは異なる。
2022/4/29,30
実家近くの民家の横で、頭花が赤紫色のハハコグサの仲間を見かけました。
これほど鮮やかな色の頭花は見たことがなかったので、写真を撮って調べました。
その結果、おそらくウスベニチチコグサかキヅキチチコグサのどちらかだと見当がつきました。
それを確認するため、翌日、根本に根生葉が残っているかどうかを確認しました。
下段左端がその結果ですが、基部で枝分かれして叢生していますが、根生葉はありませんでした。
下段の中央(表)と右(裏)は、茎葉の表裏の綿毛の様子です。表面にも綿毛があり、光沢はありません。
ということで、これはウスベニチチコグサの花序が伸びる前の姿と判断しました。
なお、葉の色が異なって見えるのは、曇天か晴天かの違いで、光が当たると白っぽくなります。
その後、除草されてしまったため、花序がどうなるかは確認できませんでした。


2022/5/7
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園、その駐車場脇の法面でウスベニチチコグサを見つけました。
茎葉の表裏に綿毛があり、叢生した基部に根生葉は見られませんでした。
頭花は赤茶色で、総苞片は三角状披針形。色は若干黄色味を帯びた淡褐色です。
これらの点から、ウスベニチチコグサの花序が伸びた姿と判断しました。

ウラジロチチコグサ(Gamochaeta coarctata)
<キク目・キク科・キク亜科・ハハコグサ連・ウスベニチチコグサ属>


キク科ウスベニチチコグサ属の多年草で、南アメリカ原産の帰化植物。
ウスベニチチコグサ属として、ハハコグサ属と分けるようになった。
日本では関東から四国、九州に広がっており、道端などでよく見かける。
世界的に温帯、暖温帯に移入分布しており、多くの国で見られる。
草丈は20〜80cmで、茎は白色の綿毛が密生し、根元で多数分枝して直立する。
ロゼット状の根生葉は花期でも見られ、葉表は薄らと毛があり、光沢はあまりない。
茎葉は6〜10個付き、幅の広いへら形で、葉表は無毛。濃緑色で強い光沢がある。
葉裏白い綿毛が密生して白い。葉の縁は細かく波状に縮れる。
花期は5月〜8月で、茎頂に長さ2〜20cmの穂状花序を付け、多数の頭花を付ける。
頭花は壺形で、中心部に数個の両性花、その注意に多数の雌花が付く。
総苞は長さ3oほどで、総苞片は4〜5列付き、ツボミや開花後しばらくは紅紫色を帯びる。
痩果は1mmに満たず、長さ2mmほどの冠毛が1列に付き、基部は合着する。

2022/4/30
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園、その花壇腋などで見かけたのがウラジロチチコグサです。
ウスベニチチコグサ属なので、若い花序の頭花は赤紫色を帯びています。
そして、花期にも根生葉が残り、葉裏は綿毛が密生して白く、葉表は光沢がある緑色です。

チチコグサ(Euchiton japonicus)
<キク目・キク科・キク亜科・ハハコグサ連・チチコグサ属>


キク科チチコグサ属の越年草で、在来種。
元はハハコグサ属とされたが、チチコグサ属として分離された。
日本では全国に広がっており、道端などでよく見かける。
海外では、朝鮮半島から中国に分布している。
秋に芽生えて、ロゼットで越冬し、翌春に茎を伸ばして花を付ける。
根元から匍匐茎(ほふくけい)を出して増えるので、固まりになってなえていることが多い。
草丈は5〜30pほどで、茎は細くて曲がることが多い。茎は綿毛で覆われる。
根生葉は花期でも残り、披針形で長いものは10p程になる。茎葉は線形で少ない。
葉の表面には薄く綿毛が生え、裏面には綿毛が密生して、白っぽくなる。
花期は5月〜10月で、花序の下に披針形の苞葉が放射状に付き、頭花は丸く固まって付く。
頭花の中央部に数個の両性花が付き、その周囲に多数の雌花が並ぶ。
総苞は長さ5oほどの釣鐘型。総苞片は暗紫褐色を帯び、膜質で先は鈍形。

2021/5/15,16
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園の駐車場、その法面でチチコグサが群生していました。
ただ、花期が終わりに近いようで、咲いている頭花を探すと、1株だけ見つかりました。
と言っても、ほぼ咲き終わりのようですが、下段左では黄色い両性花が少し見えています。
下段右は冠毛が開いた頭花で、痩果が外れて浮き上がっているのが見えます。

オオキンケイギク(Coreopsis lanceolata)
<キク目・キク科・キク亜科・ハルシャギク連・ハルシャギク属>


 
キク科ハルシャギク属の多年草で、米国中部、南東部原産の帰化植物。
日本では全国に分布しているが、現在、外来生物法により輸入や流通は規制(※)されている。
草丈は30〜70cmで、根元から叢生する。そのため、2年目以降は株立ち上になることが多い。
根生葉は、生育初期は細長いへら状で、成長すると3〜5深裂する。
茎葉も同様であるが、葉柄は短く、対生することが多い。葉の両面には粗い毛がある。
花期は5月〜7月で、頭状花は直径5cm前後。舌状花は橙黄色で花冠の先は不規則に分かれる。
筒状花も橙黄色で、花床に細長い鱗片がある。頭状花は総苞片が二重に取り巻いている。

※ 違反した場合、個人の場合、最高で懲役3年以下、あるいは罰金300万円以下となっています。
法人の場合は、罰金は1億円以下となります。下手に捨てたりすると違反になることがあるのでご注意を。
下記の環境省の資料に解説があります。
オオキンケイギクは、「特定外来生物」です!
みんなで駆除しようオオキンケイギク[PDF]

2021/5/11
実家近くの国道250号線で見かけたオオキンケイギクの大群落です。
上段の写真で、オオキンケイギクの間に見えている白い穂は、チガヤの群落です。
オオキンケイギクと陣取り合戦を繰り広げているようですね。
ちなみに、下段左の写真で白っぽく写っているのは、ヒルザキツキミソウの群落です。
この中央分離帯では、オオキンケイギク、チガヤ、ヒルザキツキミソウが、覇を競うように咲いています。

カンサイタンポポ(Taraxacum japonicum)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・タンポポ属>




キク科・タンポポ属の多年草で、日本固有種。
日本では、本州の長野県以西から四国、九州、沖縄に分布する。
草丈は5〜20cmで、地上茎はなく、短縮した太い根茎からロゼット状に根生葉を出す。
葉は、長さは15〜30cmの倒披針状線形で、羽状に中裂し、裂片は反り返る。
花期は4月〜5月で、中空の細い花茎を数本出して頭花を付ける。
頭花は直径2〜3cmで、セイヨウタンポポに比べて小さく、舌状花の数も少ない。
頭花は舌状花のみからなり、舌状花の先端には5歯がある。
総苞は緑色で、総苞外片は卵状披針形で、総苞内片(長さ13mm前後)の半分以下である。
総苞は反り返らず、角状突起は普通はなく、あっても小さい。

2021/3/6
実家近くの河岸を散歩中、道路脇で咲いている小さなタンポポを見つけました。
普段、セイヨウタンポポを見ているので、一回り以小さい頭花が可愛らしく見えます。
よく見ると、総苞の形がセイヨウタンポポとは異なりますので、写真を撮り、調べてみました。
おそらくカンサイタンポポではと思って調べると、やはり、カンサイタンポポでした。
以前セイヨウタンポポを確認したところから50mも離れていない場所に、数株確認できました。
下段は、開花前と開花後の写真ですが、ツボミが見当たらなかったのが残念です。
総苞は反り返らず、外片が内片の半分以下の長さしかありません。
カントウタンポポのような角状突起は無いか、極小さいです。


2021/4/6
久しぶりに実家近くの川沿いを散歩中、土手の上や法面にたくさんのタンポポが見られました。
確認すると、これらはほとんどがカンサイタンポポでした。
セイヨウタンポポを探すと、道の外れなどで数株が見つかっただけで、ここでは極少数派でした。



2024/3/16
網引湿原の駐車場近から第1獣害防止ゲートまでの間の通路脇で、あちらこちらで花を付けていました。
確認した限りでは、ここで見られるのは本種のみで、セイヨウタンポポなどは見当たりませんでした。


カンサイタンポポ、カントウタンポポ、セイヨウタンポポの比較

カンサイタンポポ
カントウタンポポ
セイヨウタンポポ




直径20〜30mm

直径35〜40mm

直径35〜50mm/舌状花が多い

総苞外片は反り返らない

総苞外片は反り返らない

総苞外片は反り返る

外総総苞に角状突起は無いか小さい

外総苞片に角状突起がある

総苞外片に瘤状の突起がある

シロバナタンポポ(Taraxacum albidum)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・タンポポ属>

キク科・タンポポ属の多年草で、在来種。
日本では、本州の関東以西、四国、九州に分布し、西に行くほど多い。
葉は、地面から立ち上がる傾向があり、花茎は30cm以上になる。
白花のタンポポには、他にキビシロタンポポやケイリンシロタンポポなどが知られる。
前者は、岡山県、広島県等で、後者は朝鮮半島から中国東北部に多く、国内では九州北部や岡山県に分布する。
いずれにしても、関東で見られるのは本種のみのようである。
なお、本種は、カンサイタンポポとケイリンシロタンポポの交雑種とされている。
頭花を構成する舌状花は、他種よりも比較的少ないが、単為生殖可能なため繁殖力は強い。

2021/3/21
実家近くを散歩中、街路樹の根元で咲いているシロバナタンポポを見かけました。
最初に見たのは1株だけでしたが、隣の街路樹の根元には5株が見られました。

セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・タンポポ属>




キク科・タンポポ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本以外にも北アメリカ、南アメリカ、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、インドに移入している。
環境省指定要注意外来生物で、侵略的外来種ワースト100に入っている要注意植物である。
日本では、北海道から九州まで、全国に広がっている。
従来、日本の在来種との区別点は、外側の総苞が反る点とされていた。
しかし、近年、在来種との雑種が確認され、在来種の特徴を持つものも報告されている。
そのため、外側の総苞が反る点だけでは区別できず、その識別は困難になっている。
日本でいうセイヨウタンポポには複数の種が含まれている可能性が高く、外来タンポポ群として扱われることが多い。

草丈は15〜45cmで、葉の変異は大きく、深裂するものから浅裂のものまである。
花期は3月〜11月で、頭花の直径は35〜50mm。舌状花は40〜100個ある。
総苞外片は12〜18個で、長さは5〜8o。90°以上に反り返り、先に瘤状の突起がある。
総苞内片は、痩果が完熟するまでは直立して先が尖り、濃緑色をしている。
2021/3/7
実家近くを散歩中、線路脇の道端でセイヨウタンポポが咲いているのを見つけました。
やはり、カンサイタンポポより一回り以上大きく感じます。
総苞外片が大きく反り返っているのと、メシベの2裂した裂片がクルクルとカールするのが特徴です。

オオジシバリ(Ixeris debilis/Ixeris japonica)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・ニガナ属>



キク科ニガナ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾にも分布する。
草丈は10〜45cmで、茎はやや赤みを帯びて地を這って長く伸びる。
葉は長さ6〜20cmのへら形で、基部は狭まりながら葉柄に続き、縁は羽状浅裂する。
花期は4月〜5月で、立ち上げた20cmほどの花柄は少し分枝して、枝先に頭花を付ける。
頭花は直径25〜30mmで、黄色い舌状花の先端には5歯がある。
総苞は長さ10〜13mmで、総苞外片は小さく、総苞内片は長くて12mmほどある。
他花受粉できないと、花柱の先がくるりと巻いて自家受粉する。
果実は長さ7〜8oで、10稜があり、嘴の先に長い冠毛がある。

よく似たイワニガナ[ジシバリ]とは、下記の点で区別できる。
・イワニガナは草丈が8〜15cmで、オオジシバリは10〜45cm
・イワニガナの頭花は直径が20〜25oなのに対して、オオジシバリは25〜30mm
・葉の形状が、イワニガナは卵円形なのに対して、オオジシバリは細長いへら形

2021/4/16
実家近くの川沿いを散歩中、通路脇にオオジシバリが群生している所がありました。
まだ、咲いている花は少ないのですが、大きめの黄花なので結構目立ちます。


2021/5/14
オオジシバリも1ヶ月ほど経って葉が大きく伸び出し、花をたくさん付けていました。


2023/5/4
網引湿原の第1獣害防止ゲートに続く農道脇で、オオジシバリが花を付けていました。
近くには、ニガナやハナニガナも咲いていて、ニガナ属のオンパレードです。
これらの中で、頭花が最も大きく、舌状花の数が多いのがオオジシバリです。


ニガナ属の花

   .
2021/4/22,5/11 <イワニガナ>
   .
2013/5/15 <オオジシバリ>

2023/5/4 <ニガナ>

2023/5/4 <ハナニガナ>

2017/7/30 <シロバナニガナ>
イワニガナは草丈が8〜15cmと低く、頭花は直径20〜25mm。葉は卵円形です。
オオジシバリは草丈が10〜45cmで、頭花は直径20〜25mm。葉は細長いへら形です。
ニガナは草丈20〜50cmで、頭花は直径15〜20mm。舌状花は5〜7個。
根生葉は長い葉柄がある広披針形で、茎葉は基部が丸く張り出して茎を抱きます。
ハナニガナは草丈40〜70cmで、頭花は直径15〜20o。舌状花は8〜11個。
根生葉に長い葉柄があり、披針形や羽状に裂けるなど変異が多く、鋸歯があります。
茎葉は互生し、葉柄がなく長楕円形で鋸歯があり、基部は茎を抱きます。
シロバナニガナは草丈30〜70cmで、頭花は直径15〜20o。
根生葉は長い葉柄があるへら形で、羽状に裂けることが多いです。
茎葉は披針形で基部には毛状の鋸歯があり、茎を抱きます。
シロバナニガナは、ニガナの亜種であるイソニガナの変種として分類されています。
シロバナニガナの黄花品がハナニガナとされ、何とも分かりにくいですね。


ニガナ(Ixeridium dentatum)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・ニガナ属>

キク科ニガナ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
草丈は20〜50cmで、根生葉は長い葉柄があり、長さ10cmほどの広披針形。
茎葉は、葉柄がなく、基部が丸く張り出して茎を抱く。ただし、上部では抱かないこともある。
茎の先に直径15〜20mmの黄色い頭花を散状に付ける。
通常、舌状花は5個であるが6枚以上のものもある。特に8枚以上のものはハナニガナと呼ばれる。
オシベは筒状に合着し、先が2つに割れているメシベは筒の中にある。
総苞は、円筒形で長さは8o程。外片は極小さくて、基部に鱗片状に付く。

2023/5/4
網引湿原の第1獣害防止ゲートに続く農道脇で、ニガナが花を付けていました。
近くには、オオジシバリやハナニガナも咲いていて、ニガナ属のオンパレードです。
これらの中で、頭花が小ぶりで、舌状花が5個か6個と少ないのがニガナです。
※ ニガナ属の比較に関してはこちらにまとめましたので、ご参照ください。


2023/5/18
葉の付き方や形状などが分かり易い株がありましたので、掲載しました。
左側は根生葉の部分を、右側は茎葉の部分を拡大したものです。

ハナニガナ(Ixeris dentata var. albiflora f. amplifolia)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・ニガナ属>

キク科ニガナ属の多年草で、低山から高山の草地や道端などに生える。
日本では全国に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は40〜70cmで、根生葉には長い葉柄があり、披針形や羽状に裂けるなど変異が多く、鋸歯がある。
互生し、長さ3〜10cmの長楕円形で鋸歯があり、葉柄はなく、基部は茎を抱く。
花期は5月〜7月で、茎の上部で分枝して多数の頭花を付ける。頭花の直径は15〜20o。
頭花は舌状花からのみなり、8〜11個と、ニガナの5〜7個より多い。
本種は、ニガナの変種であるシロバナニガナの1品種で、その黄花品種とされている。

2023/5/4
網引湿原の第1獣害防止ゲートに続く農道脇で、ハナニガナが花を付けていました。
近くには、オオジシバリやニガナも咲いていて、ニガナ属のオンパレードです。
これらの中で、頭花が小ぶりで、舌状花が8〜10個とニガナより多いのがハナニガナです。
※ ニガナ属の比較に関してはこちらにまとめましたので、ご参照ください。

ノゲシ(Sonchus oleraceus)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・ノゲシ属>



キク科ノゲシ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、全国的に道端や畑などに自生する。また、世界各地にも広く分布する。
草丈は50〜150pになり、茎は中空で、多数の稜がある。
葉は柔らかく、刺はあまり硬くない。羽状に切れ込み不規則な鋸歯がある。
上部の葉の基部は、両側が尖って角状に突き出し茎を抱く。下部の葉では付き出ないことが多い。
花期は4月〜10月で、頭花は黄色で直径2cmほどあり、多数の舌状花のみからなる(筒状花は無い)。
総苞は長さ10o強で、花柄と総苞にはしばしば腺毛があり、粘る。
花のあと総苞の下部はふくれ、痩果が熟すとそり返る。

2021/3/7
実家近くを散歩中、線路脇の道端でセイヨウタンポポの直ぐ傍でノゲシが咲いていました。
昨年の11月に咲いているのを見ましたが、早春から花を付けています。温暖化の影響でしょうか。


2021/3/7<ツボミ>              2021/3/10<花後>
実家近くの農道を散歩中、植栽に混じってノゲシが花を付けていました。
花後に総苞の基部が膨れたものがありましたので、ツボミと並べてみました。
一見、どちらもツボミのように見えますが、花後には総苞の基部が膨れて三角錐のようになります。


2024/3/14
綾部山梅林内の通路脇で見かけノゲシの小さな株です。短い花茎の先に6個の花を付けていました。
1個が開花中で、既に2個は咲き終わり、3個のツボミが残っていました。
これから秋にかけて大きくなるのでしょうが、その前に除草されてしまう可能性が大ですね。

オニタビラコ(Youngia japonica)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・オニタビラコ属>

キク科・オニタビラコ属の越年草で、日本では全国に広がっており、道端などでよく見かける。
日本をはじめ、中国からインド、ミクロネシア、オーストラリアまで広く分布する。
草丈は10〜100cmで、花茎は太く、直立して暗紫色を帯びる。
根生葉は長さ10〜20cmの倒披針形で、羽状に裂け、ロゼット状に広がる。
根生葉の葉先は尖るが、茎葉の葉先はより鋭く尖る。
花期は4月〜10月で、茎頂に複散房花序を付け、黄色い頭花を多数付ける。
花の直径は7〜8oで、20個前後の舌状花からなる。舌状花の先は5残裂する。
総苞は長さ5oほどの円筒形で、内片は1列に並び、外片は1mm以下で短い。
痩果は長さ2mmほどで、長さ3mm前後の白色の冠毛がある。

最近、オニタビラコは、アカオニタビラコとアオオニタビラコの2種があるとの説がある。
アカオニタビラコは、太い花茎が1本のみで、暗紫色を帯びるとされる。
アオオニタビラコは、花茎が多数立ち上がり、緑色で紫色を帯びることは少ないとされる。

2021/3/20
実家近くの川沿いを散歩中、土手の際でオニタビラコが赤くて太い花茎を立ち上げていました。
2種に分けるとすると、花茎の特徴からアカオニタビラコということになります。
ただ、この個体は開花していませんでした。左の花は、少し離れた所で咲いていたものです。


<アカオニタビラコ 花茎は1本>

<アオオニタビラコ 花茎は多数>
2024/4/12
網引湿原のバイオトイレ手前の法面で、オニタビラコが花を付けていました。
ここでは、花茎が1本のアカオニタビラコと花茎が多数あるアオオニタビラコが混在していました。

コオニタビラコ(Lapsana apogonoides Maxim.)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・ヤブタビラコ属>



キク科ヤブタビラコ属の越年草で、在来種。
日本では本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
水田に水を引く前によく見られ、春の七草のホトケノザは、本草の事である。
草丈は8〜15cmで、全草がほぼ無毛。
根生葉は柔らかく、長さ4〜25cmで羽状深裂し、センタの裂片が最も大きい。
花期は3月〜5月で、花茎の先に複数の黄色い頭花を付ける。
頭花の直径は10mm前後で、舌状花は8〜13個程度。
総苞は円柱形で、花後も下部は膨れない。総苞内片は5個。
痩果は長さ4mm前後で、先端に2個の角状突起がある。
3月初旬の開花初期には、葉はロゼット状で、花茎は短い。
4月以降になると葉が立ち上がり、花茎も分枝して立ち上がってくる。

コオニタビラコ(田平子)は、オニタビラコ(鬼田平子)の小さいものの意味です。
で、オニタビラコは、田平子(コオニタビラコ)の大きいものの意味です。
どうしてこのような名前になったのか分かりませんが、名前が循環してしまっています。
漢字と同じ、タビラコとオニタビラコで良いような気がしますが......

2021/3/10
実家近くの農道を散歩中、田んぼの土手でコオニタビラコを見つけました。
開花初期なので葉はロゼット状に広がり、花は単生になっているので、小型のタンポポのような姿です。

ガザニア(Gazania)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・ハゴロモギク連・ガザニア属>



キク科ガザニア属の常緑の多年草で、南アフリカが原産地。
ガザニア属の園芸品種の総称で、原種は20種近くあり、和名があるのは下記の3種である。
●クンショウギク(Gazania linearis)
 草丈20cm前後で、頭花は黄色やオレンジ色で直径4〜8cm
 南アフリカのレソトに自生する多年草
●ジャノメクンショウギク(Gazania rigens)
 草丈30cm前後で、頭花は鮮紅色か橙赤色などで直径4〜5cm
 舌状花の基部に黒色の斑紋がある
 園芸品種であり、自生していない
●ハネバクンショウギク(Gazania pectinata)
 草丈は20cm以下で、頭花は黄色〜橙色で直径7cm前後
 基部がベルベット状の褐色で、白色の斑点がある
 葉は2〜8対に羽状全裂(時に全縁)して、裂片は長楕円形〜線形
 南アフリカの西ケープ州の海岸から標高900mまでに自生する
半耐寒性であるが、寒冷地では冬に枯れ、暖地では夏の高温多湿で弱るので、1年草扱いである。
草丈は15〜40cmで、地下茎から新しい茎を出してカーペット状に広がる。
葉は基部で根生し、長さ15〜20cmでへら形の単葉と羽状複葉の2種類がある。
葉表は濃緑色で光沢があるが、葉裏は真っ白な柔毛がある。斑入りの品種もある。
花期は5月〜10月であるが、最近の園芸品種は四季咲き性のものがほとんどである。
茎頂に直径4〜8cmの頭花は単生し、花は日中だけ開いて夜や曇天では閉じる。
周辺に不稔の舌状花が1列に並び、花色は黄、オレンジ、白、赤、ピンクと多彩。
舌状花の基部には、しばしば暗色の様々な形の斑紋が入る。
中心の筒状花は黄色かオレンジ色で、周辺から中心に向かって咲き進む。
総苞片は2〜4列につき、基部は融着する。花托は円錐形〜凸面形をしている。
筒状花の花冠は先が5浅裂し、筒状になった黄色い葯が伸び出してきて、雄性期に入る。
その時、メシベが筒内の花粉を外に押し出し、花粉は昆虫によって運ばれる。
その後、メシベの柱頭は2裂して、雌性期に入る。

2023/5/11
実家近くの道路脇で、公民館の花壇のグランドカバーとして植えられているようでした。
ちょくちょく見かけるのですが、名前を知らないので、調べてみることにしました。
似た花はあったのですが、比較的簡単にガザニア属の花と確認できました。
ただ、園芸品種のジャノメクンショウギクらしいのですが、品種名は分かりませんでした。









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