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播州地方で見かけた野草(夏U)



実家近辺や兵庫県内などを移動する際に見かけた野草です。
といっても、出かけた際にちょこっと撮影しただけのため、あまり多くはないです。
今後、機会を見つけて充実させていきたいと思っています。

< トピック >

今回、新たに見かけた下記の野草を追加しました。
ユウスゲ、ヌマトラノオ、リョウブ
また、下記の写真を追加しました。
アスパラガス、ヒメヤブラン、カキラン、アオツヅラフジ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
キジカクシ目
アヤメ科(ノハナショウブ、オオニワゼキショウ、ニワゼキショウ、
     ヒメヒオウギズイセン)
キジカクシ科(アスパラガス、ジャノヒゲ、ヒメヤブラン、ミズギボウシ)
ススキノキ科(ユウスゲ)
ヒガンバナ科(アガパンサス、ニラ、サフランモドキ、ナツズイセン)
ラン科(カキラン、サギソウ、コバノトンボソウ、トキソウ)
キントラノオ目
トウダイグサ科(エノキグサ、アカメガシワ、オオニシキソウ、ナンキンハゼ)
キンポウゲ目
キンポウゲ科(シュウメイギク、センニンソウ、ケキツネノボタン)
ツヅラフジ科(アオツヅラフジ)
ツツジ目
サクラソウ科(ヌマトラノオ、マンリョウ)
ツツジ科(ネジキ、モチツツジ)
モッコク科(モッコク)
リョウブ科(リョウブ)
ツユクサ目
ミズアオイ科(ホテイアオイ)
播州地方で見かけた夏の野草(夏U)
和名インデックス


ノハナショウブ(Iris ensata var. spontanea)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>


アヤメ科アヤメ属の多年草で、在来種。ハナショウブの原種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部、シベリアにかけて分布する。
草丈は数十cmから1mに達するものもある。
葉は根際から生え、剣状で全縁。表面中央には太い中央脈が目立つ。
花期は6月〜7月で、赤紫色の内花被片と外花被片が3枚ずつある。
赤紫色の外花被片基部に黄色の筋が入る。内花被片は狭長楕円形で直立する。

2022/6/18
網引湿原の第1湿原や第2湿原の外れにノハナショウブが所々で群生していました。
同じノハナショウブの花にも個性があるのか、かなり見た目が異なりるものがありました。
ノハナショウブのツボミを初めて見たのですが、ハナショウブと比べるとかなり細長いですね。

いろいろなアヤメ属の花に関しては、こちらのページにまとめてあります。
また、いろいろなハナショウブの種類に関しては、こちらのページにまとめてあります。

オオニワゼキショウ(Sisyrinchium iridifolium var. laxum)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・ニワゼキショウ連・ニワゼキショウ属>

アヤメ科ニワゼキショウ属の1年草。北米が原産地の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布する。
ニワゼキショウと同じような環境に普通に見られるため、両種が混生していることがある。
草丈は20〜30cmとニワゼキショウより大きいが、花は逆に小さく、刮ハは大きい。
茎は基部で枝分かれし、扁平でごく狭い翼がある。幅は3o前後。
葉は幅4mmほどの剣状葉で、茎を抱き、茎に沿って直立する。
花期は5月〜6月で、茎の先に細い花柄をだし、直径10mm程の小さな花を咲かせる。
花弁は内花被片、外花被片各々3枚からなり、内花被片はやや短く細い。
刮ハは直径5o前後の球形で、紫色を帯びた黄褐色。

2021/6/17
実家近くの川沿いを散歩中、橋の排水溝の端でオオニワゼキショウが花を付けていました。
ニワゼキショウとオオニワゼキショウは、一緒に生えていることがままあります。
この近くでニワゼキショウは良く見かけるのですが、オオニワゼキショウは初めての確認です。


ニワゼキショウとオオニワゼキショウ


  ニワゼキショウ            オオニワゼキショウ
ほぼ同倍率のニワゼキショウとオオニワゼキショウの花と果実の比較です。
花色の違いもありますが、内外花被片の大きさの差異の違いや、果実との相対的な差が分かります。


ニワゼキショウ(Sisyrinchium rosulatum)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・ニワゼキショウ連・ニワゼキショウ属>

アヤメ科ニワゼキショウ属の1年草。北米が原産地の帰化植物。
日本では全国の痩せ地に普通に見られ、芝生や草地などに群生する。
オオニワゼキショウと同じような環境に普通に見られるため、両種が混生していることがある。
草丈は高さ10〜20cmになり、茎は基部で分枝して、扁平でごく狭い翼がある。
葉は長さ4〜8cm、幅2〜3mmの剣状葉で、茎を抱き、茎に沿って直立する。
花期は5月〜6月で、茎の先に細い花柄をだし、直径15mm程の小さな花を咲かせる。
花弁は内花被片、外花被片各々3枚からなり、両者の長さは変わらないが、内花被片はやや細い。
花色は白色のものと赤紫色のものがあり、中央部はどちらも黄色である。
花は、受精すると、一日でしぼんでしまう。
刮ハは直径3o前後の球形で、紫色を帯びた黄褐色。

2019/6/26
実家近くを散歩中、田んぼ脇の空き地でニワゼキショウが花を付けていました。
赤紫色の花なので、純粋なニワゼキショウです(オオニワゼキショウとの雑種は青紫色)。

ヒメヒオウギズイセン(Crocosmia x crocosmiiflora)
<キジカクシ目・アヤメ科・イキシア亜科・イキシア連・クロコスミア属>

アヤメ科クロコスミア属の多年草で、種間交雑種。
南アフリカ原産の「檜扇水仙(ひおうぎずいせん」と「姫唐菖蒲(ひめとうしょうぶ)」をフランスで交配作出。
日本へは、明治時代の中期に渡来し、現在では各地で野生化している。
花茎は、50cmを超え、上部で分枝して朱色の花を付ける。

2019/6/29
実家の庭に植えられているヒメヒオウギズイセンが、鮮やかな朱色の花を付けていました。
柿の木の根本で陽当たりが良くない場所なので、鮮やかな花が一際目を引きます。

アスパラガス(Asparagus officinalis)
<キジカクシ目・キジカクシ科・キジカクシ亜科・クサスギカズラ属>

2016/11/11

2018/6/1
キジカクシ科クサスギカズラ属の多年草で、地中海東部が原産地。雌雄異株である。
和名は、オランダキジカクシ、オランダウド、マツバウドですが、通称はアスパラガス。
なお、同属の在来種にはキジカクシ(A. schoberioides)、クサスギカズラ(A. cochinchinensis)などがある。
アスパラガスを日本で最初に栽培、生産を行ったのは北海道岩内町で、現在は日本各地で栽培されている。
草丈は0.8〜2mで、成長すると細かい葉に見える枝が生い茂り、キジが隠れるほどになるのが由来。
緑色の葉に見えるものは、極端に細く分枝した茎であり、葉は退化して鱗片状になっている。
そのため、細い葉状枝(偽葉)に葉緑素があり、鱗片状の葉には葉緑素はない。
つまり、植物としての光合成は、鱗片状の葉ではなく、茎である細い葉状枝(偽葉)で行う。
花期は5月〜7月で、節に1個ずつ互生して出る葉状枝の葉腋に、複数の花を付ける。
花は直径10mm前後の黄緑色の小花で、雄株に付く雄花は6個のオシベが発達し、メシベは退化して小さい。
一方、雌株に付く雌花では、柱頭が3裂したメシベと子房が発達し、オシベは退化して小さい。
雌株には直径8mm前後の球形の液果が付き、秋には赤く熟す。

※ 収量は、勢いが強い雄株の方が多いが、1年生株の促成栽培では雌株の方が茎径が太く、成育は旺盛。
ただ、雄株か雌株かは花が咲くまでは見分けが付かないので、花が咲くのを待つしかない。
アスパラガスにはいろいろな品種が作出されているが、アントシアニンが多い紫色の品種もある。

2016/11/11 実家近くの道路の中央分離帯から、アスパラガスが茎を道路側に伸ばしていました。
近づいてよく見ると、既に花は終わっており、小さな果実のようなものが見られました。
2018/6/1 実家の庭の隅に生えていたアスパラガス(と思っている)ですが、小さな花を咲かせていました。
大きさの異なる花被片が3個ずつ平開し、花被片とほぼ同長のオシベが6個、突き出しています。
その基部に緑色の子房が見えます。このようにオシベが発達しているのは雄花です。
ただ、調べてみるとアスパラガスの花は少し開くだけで、これほど平開しないようです。
そのため、自生のクサスギカズラ属、キジカクシとクサスギカズラを調べてみました。
キジカクシの花は花柄が極短く、花の付き方も異なります。クサスギカズラの葉はもっと太いです。
では、クサスギカズラ属の園芸品種はと、調べてみましたが、調べた範囲では見当たりませんでした。
花以外の特徴は、食用のアスパラガスと合いますし、若芽を食べてみましたが、アスパラガスでした。
ということで、とりあえずアスパラガスとしています。


2019/7/6
実家に戻ったときには、花が数個咲いてるだけでした。
それが、気が付くと新芽が数本伸び出し、大きなものでは50cm程まで伸びていました。
新芽は、日に数cmは伸びるそうなので、この2週間ほどでグッと伸びたようです。
以前からあったものにも、いつの間にかたくさんのツボミが付き、花が咲いていました。

 
2022/5/1
ホームセンターで、アスパラガスの苗を見つけ、植えてみることにしました。
その苗から、1本目の芽が伸び出し、20cm強に育っていました。
食べることも可能ですが、1年目は根張り優先のため、そのまま成長させます。
同じ頃、野生のアスパラガスは、右の写真のように細い茎を沢山伸ばしていました。
そして、その中の1本だけが、他のものに比べて太く大きく成長していました。
昨年もそうでしたが、数本だけ太く大きなものが出てきます。
ただ、太いと言っても栽培品種に比べれば、かなり細い方になってしまいます。
栽培品種の方は、その後、次々と芽が出て、秋には十本程度が大きく成長していました。

 
2023/11/11
昨年、アスパラガスの収穫を見送ったのが良かったようで、今年は太い芽がたくさん出ました。
春先から10本以上収穫して美味しく頂きましたが、その後しばらく不在にしていました。
その間にも何本も芽を出していたようで、秋には上記のように2mほどに巨大化していました。
それを見ていて、何か赤いものが目に留まりました。赤く成熟した果実でした。
直ぐ近くにある野生のアスパラガスは雄株でしたので、果実を見るのは初めてです。

ジャノヒゲ[玉竜](Ophiopogon japonicus 'Tamaryu')
<キジカクシ目・キジカクシ科・スズラン亜科・ジャノヒゲ連・ジャノヒゲ属>

キジカクシ科ジャノヒゲ属の常緑多年草で、在来種。リュウノヒゲともいう。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海外では東アジアに分布する。
短い根茎があり、たくさんのヒゲ根が伸びて、ところどころに肥大した塊根ができる。
草丈は10cmほどで、根際から線形の葉が多数出る。葉の縁は全縁で、反り返る。
花期は7月〜8月で、長さ10〜20cmほどのやや扁平な花茎を伸ばし、先に総状花序を出す。
花色は白色〜淡紫色で、直径は10o前後。花弁の数は6個。花は下向きに咲く。
花後、子房は種子を1つ含むが、果皮は早めに敗れて脱落してしまうので、種子のみが青く熟す。
このジャノヒゲはリュウノヒゲとも呼ばれます。この園芸品種に草丈が低い「玉竜」があります。
この読み方も「タマリュウ」と「ギョクリュウ」があり、Webでは「タマリュウ」の方が多い気がします。

2017/6/30
実家の庭で、グランドカバーとして植えてあるジャノヒゲの園芸品種、タマリュウです。
実家の環境があまり良くないのか、花を付けたり、実を付けたりしているのを見た記憶がありませんでした。
背が低く、葉が密集しているため、その下に花や実が付いても気付きにくいということもあると思います。
そんなタマリュウが花を付けているのに気が付いて、撮った写真が上記です。

ヒメヤブラン(Liriope minor)
<キジカクシ目・キジカクシ科・スズラン亜科・ジャノヒゲ連・ヤブラン属>

キジカクシ科ヤブラン属に属する多年草で、在来種。
日本では、北海道西南部より本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島〜中国、台湾、フィリピンに分布する。
草丈は10〜20cmで、ヤブランより全体に小型である。
ヤブランが日影を好むのに対して、ヒメヤブランは日当たりの良い場所を好む。
根茎は短く、横に長い匍匐枝を出して増え、根は先端付近で肉質の紡錘形に太くなる。
葉は長さ7〜20cmの狭線形で根出し、葉脈は5本で、基部は膜質の鞘になる。
花期は7月〜9月で、根出葉の間から葉より短い長さ6〜15cmの花茎を直立して出す。
上部に総状に花序を付け、直径10mm前後の花を5〜12個付ける。
花は淡紫色か白色で、長さ2〜3mmの花柄があり、上向きに1〜3個咲く。
花被片は6個で、長さ3.5mm前後の長楕円形。平開する。
オシベは6個で、花糸は長さ1.5mm前後で太く、黄色い葯も長さ1.5mm前後で先が丸い。
子房上位で、3室あり、各室に2個の胚珠がある。花柱は円柱状で、小形の柱頭がある。
花後、果皮は早期に破れ、小さい種子が果実から裸出して成熟する。
種子は直径4〜5mmで、紫黒色に熟す。種子なので花柱の跡がなく、中には胚乳がある。

2022/8/9
網引第2湿原脇の通路を歩いていて、足元に咲くヒメヤブランに気が付きました。
見つけたときには、たぶん、ジャノヒゲの原種ではないかと思っていました。
後で調べると、かなり花茎が長く、花が平開しているなど、ジャノヒゲとは草姿が異なります。
調べていくと、ジャノヒゲに近いヤブラン属のヒメヤブランと分かりました。


2023/7/18
網引第2湿原の入口から木道の方へ歩いていたとき、足元で咲くヒメヤブランに気づきました。
小さな群落になっていて、ポツリポツリと花を付けていました。

ミズギボウシ(Hosta longissima Honda ex F. Maek.)
<キジカクシ目・キジカクシ科・リュウゼツラン亜科・ギボウシ属>

キジカクシ科ギボウシ属の多年草で、日本固有種。
日本では、本州の愛知県以西から四国、九州に分布しており、日当たりのよい湿地に生える。
草丈は40〜65cmで、葉身は長さ15〜30pの線形で、直立〜斜上する。
日本に分布する同属の中では、葉の幅が一番狭く、全縁で表面には光沢がある。
花期は8月〜10月で、花茎を伸ばし、淡紫色の花を横向きに3〜5個付ける。
花は長さ4p前後の漏斗型であまり開かず、内側に濃紫色の筋があって、透明線は長い。
オシベは花冠の外にほとんど出ず、基部の船型の苞は小さく、開出しない。
よく似たコバギボウシより葉が細く、花数が少なくて、花冠はあまり開かないのが特徴。

2022/8/9
網引湿原第2湿原では、所々でミズギボウシを見かけました。
正面からの花の写真を撮りたいと探し周ったのですが、通路側を向いた花はありませんでした。
この花を最初に見たとき、貧弱なコバギボウシだなと思っていました。
念のため確認していると、花数が少なく、葉が細いミズギボウシだと分かりました。


2022/8/16
前回来た時は、咲いているミズギボウシが全て、通路側に背を向けていました。
今回は、通路側に向かった花を開いているものがちらほら見られ、正面からの写真が撮れました。

 
2022/8/27
網引湿原第2湿原の縁の方で、他の野草と混生している所で草丈が1mを越える本種を見かけました。
日当たりが悪いので徒長したのかもしれませんが、他の場所で見たものの倍以上の高さがありました。


コバギボウシ



見た目は似ていますが、花数や花冠の開き方などには大きな違いがあります。
最初に見た印象が、貧弱なコバギボウシだったのですが、あながち、間違いではないと思います。


ユウスゲ(Hemerocallis thunbergii)
<キジカクシ目・ススキノキ科・キスゲ亜科・ワスレグサ属>

キスゲ科ワスレグサ属の多年草で、本州から四国、九州に分布する。
海外では中国でも見られる。
草丈は1〜1.5mになり、長さ50cm前後の線形の葉が2列に交互に出て、扇形になる。
花期は6月〜7月で、花茎は1〜1.5mほどで、花序が分枝して次々に咲き続ける。
花色は淡黄色で、長さ8cm前後の6個の花被片は少し反り返る。
オシベ6個とメシベは、ほぼ同じ長さで、メシベがやや長い程度。
他のワスレグサ属が朝に開花するものが多いのに対し、本種は夕方に開花する。
1日花で、翌日の昼頃には閉じてしまう。

2023/7/18
網引湿原の駐車場近くで、通路脇の柵からユウスゲが花茎を伸ばしていました。
昼頃には萎れてしまう1日花ため、昨夕咲いた花は半ば萎れていました。


2023/7/18
奥池の畔で見かけたもので、岸に沿って多くのユウスゲが花茎を立ち上げていました。
これらが一斉に咲いているところが見られたら、見応えがありそうです。
しかし、網引湿原に入れるのは9:00〜17:00なので、開花するところを見ることはできなさそう。
朝一で来れば、萎れる前の花は見られるかもしれません。

 
2023/7/18
第3湿原の奥の遊歩道脇で見かけたユウスゲで、今夕に開花するツボミが準備されていました。
やや乾燥したこのような場所を好むのですが、奥池では水際に分布しています。


ユウスゲの花

   .
2010/8/7 13:00             2013/8/3 8:09
八ヶ岳自然文化園の林縁や林内で見かけたユウスゲの花です。
環境に依存すると思いますが、昼頃でもしっかりと開花していることもあります。


アガパンサス(Agapanthus)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・アガパンサス亜科・アガパンサス属>

ヒガンバナ科アガパンサス属の多年草で、南アフリカ原産の園芸植物。
南アフリカでは20種程が知られるが、園芸品種は数百種類はあるようである。
冬でも葉が枯れない常緑種と、枯れてしまう落葉種、その中間種がある。
通常、アガパンサスというとムラサキクンシラン(Agapanthus africanus)を指すことが多い。
南アフリカが原産地で、花期が6月〜7月の半耐寒性の多年草である。
草丈は30〜40cmで、花茎は100〜120cmになる。
地際から光沢のある長さ20〜50cmの線形の葉を多数出し、その間から花茎を立ち上げる。
花茎の先の散形花序に、数十個の花を放射状に咲かせるが、最初はネギ坊主のような形をしている。
その薄い膜状の総苞が破れて、中から花が伸び出し、直径25〜50mmの漏斗型の花を咲かせる。
花冠は6深裂し、あまり大きくは開かない。花色には青、紫、白がある。
オシベは6個で、葯は背着し、縦の隙間から裂開する。子房上位で、花柱の先の柱頭は頭状。
オシベ、メシベとも先がカールして上を向き、花冠と同じか、多少出る程度である。

2019/6/29,30
実家の庭に植えられているアガパンサスが、淡青色の花を咲かせ始めました。
このアガパンサスは、冬でも葉が枯れないタイプの品種です。



2021/6/17
今年もアガパンサス多くの花茎を立ち上げ、一斉に開花し始めました。
下段は、個々の花のアップで、左は開花間もない花で、オシベの葯がまだ十分に開いていません。
右の花は、葯が開いて黄色い花粉があふれ出しています。

ニラ(Allium tuberosum Rottl.)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ネギ亜科・ネギ連・ネギ属>

ヒガンバナ科ネギ属の多年草の緑黄色野菜で、中国北部からモンゴル・シベリアが原産の帰化植物。
原種は「Allium ramosum」とされ、3000年前以上前から栽培化されていたと考えられている。
日本へは弥生時代に渡来し、古くから栽培、野生化して、本州から四国、はな九州に分布している。
全草に独特の匂いがあり、その原因物質は硫化アリル(アリシン)などの硫黄化合物である。
葉は、長さ20〜30cmの平たい線形で、株状になった短い鱗茎から葉が多数立ち上がる。
花期は8月〜10月で、長さ30〜40cmの花茎を真っすぐに立ち上げ、先に半球形の散形花序を付ける。
花は直径12mm前後の白い小花で、先の尖った狭長楕円形の外花被片と内花被片が各々3個があり、
外花被片がやや細身で小さいが、見た目は6弁花に見える。
オシベは6個で、花糸は下部が太くなっている。子房は3室になっている。
子房は熟すると割れて黒色の小さな種を散布する。

※ 毎年のようにスイセンとの誤食事故が新聞等で見受けられます。
花を見れば間違うことはないのでしょうが、葉のみの場合は非常に似ています。
両者が混生している場合もあるので、そのような場所では細心の注意が必要となります。
鱗茎の直径や葉の幅は、一般にスイセンはニラの倍くらいありますが、絶対ではありません。
一番の違いは臭いで、葉をつぶしたときのニラ特有の臭いはスイセンにはありません。
また、根本に丸い球根(鱗茎)があればスイセンであり、明瞭な鱗茎がなくて髭根が出ていればニラです。

2012/8/12
実家の畑の脇に生えている自生のニラです。栽培品種ではないので、葉は細めです。
そのニラが、たくさんの花茎を立ち上げ、一部で開花が始まっていました。
この花茎と若いツボミが「花ニラ」で、油いためなどの食材となります。
ただ、ハナニラ(下記の囲み記事参照)と混同されることがあり、要注意です。


2021/8/15
久しぶりに河川敷を散歩中、土手の際でたくさんの花茎を立ち上げているニラを見かけました。
実家の裏庭にも多くのニラが生えていますが、まだ、それらに花茎は見られません。




2021/11/16
河川敷のそこかしこでニラの花茎が林立し、完熟した果実が裂開していました。
裂開した果実からは黒い種子がこぼれ、根本では新しい葉が展開し始めています。


ハタケニラとハナニラ

ハタケニラ(Nothoscordum gracile)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ネギ亜科・ギリエシア連・ハタケニラ属>
   .
 
ヒガンバナ科ハタケニラ属の常緑多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、関東以西で、東海、紀伊半島、兵庫、徳島など一部の地域に分布している。
葉だけの場合、ニラに似ているがニラ臭がないので、匂いを嗅げばニラとの区別は容易です。
有毒であるとの記述は見られませんが、食べない方が無難だと思います。

ハナニラ(Ipheion uniflorum Raf.)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ネギ亜科・ギリエシア連・ハナニラ属>
   .

ヒガンバナ科ハナニラ属に属する多年草。花の形からベツレヘムの星の別名がある。
葉にはニラのような臭いがあり、葉だけの時期にニラと区別するのは難しいようです。
こちらの毒性に関しては、明確なものはありませんが、下痢を起こすとの記述もあります。
こちらに関しても、食べないに越したことはないようですが、誤食しても死に直結することはない模様。


サフランモドキ(Zephyranthes carinata)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・アマリリス連・タマスダレ亜連・タマスダレ属>

ゼフィランサスはタマスダレ属の植物の総称であり、温暖な地域で生育し、土中に鱗茎を形成する多年草。
近縁のハブランサス属、クーペリア属とともに、多くの種は乾燥と高温の後に雨が降って球根が潤うと、
花茎をのばして開花する性質があるため、ともにレインリリーと呼ばれる。
その中で、ピンクの大輪の花を付ける品種がサフランモドキで、メキシコが原産地。
なお、学名のゼフィランサス・カリナタの名前で取り扱われていることもある。
江戸時代に鑑賞用として導入されたものが、暖地で逸出して帰化しているものもある。
導入当初はサフランと呼ばれていたが、明治初期に本物のサフランが導入され、モドキの名が付いた。
全株で無毛で、鱗茎は地下にあり、直径2〜3cmの卵形で、表面が紅い被膜で覆われる。
葉は叢生し、長さ15〜30cm、幅6〜8mmで、1個の鱗茎あたり7〜10個出る。
葉質は厚く、表側には浅い縦溝がある。基部は紅色を帯び、光沢がある。
花期は6月〜8月で、花茎は鱗茎1個に1個生じ、長さは30cm内外で先端に単独に花をつける。

同じタマスダレ亜連のハブランサス・ロブスタスと非常に似ており、混同されることもある。
違いは、斜め上に咲くハブランサス・ロブスタスに対して、本種は真上に咲く点ですが、微妙な違いです。

2019/6/19
実家の庭で咲くピンクの花ですが、当初、斜めになっていたのでハブランサスとしていました。
しかし、後日、咲いている花を再確認して、サフランモドキ(ゼフィランサス・カリナタ)に改めました。
そういえば、私がタマスダレと一緒にもらってきたものですが、どちらもタマスダレ属ですね。
タマスダレは、家の道路脇に植えられていたのですが、改築の際に捨てられてしまったようです。


2023/5/28
ハブランサスとしていた花ですが、この日、たまたま咲いているのに気が付いて撮影しました。
横から撮影していなかったからですが、若干斜めになっていますが、花はほぼ上を向いています。
あれっと、再度調べ直してハブランサスではなく、サフランモドキと分かりました。
以前確認したとき、若干斜めに折れていたためハブランサスとしましたが、もっと強く折れるようです。
オシベやメシベの様子も、サフランモドキ(ゼフィランサス・カリナタ)の特徴に合います。

ナツズイセン(Lycoris squamigera)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・ヒガンバナ連・ヒガンバナ属>

ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、有毒植物。
古い時代に中国から渡来した「史前帰化植物」と考えられている。
和名の由来は、葉がスイセンに似ていて、花が夏に咲くことから付けられたもの。
花期に葉がないことから、別名「裸百合」とも呼ばれる。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布している。
秋から翌年の春にかけてスイセンに似た葉を出し、8月の地中旬から下旬に花を咲かせる。
地下に鱗茎を持ち、花期に鱗茎から60cmほどの花茎を1本伸ばす。
花茎の先に数輪のピンクの花を付け、6枚の花被片は反り返る。

2020/7/23
7/10に実家に来た時、庭のナツズイセンの様子を見たのですが、何もありませんでした。
その1週間ほど後に、ふと見ると花茎が3本出て、早いものでは15cmほどになっていました。
その後、日々、花径は伸びて行き、この日に初めての開花となりました。


2020/7/23           2020/7/24           2020/7/25
その開花の様子ですが、1輪咲いた翌日には7輪になり、翌々日には9輪になっていました。
その後、1週間ほどの間ピンクのきれいな花を楽しませてくれましたが、
この頃には最初に咲いたものは萎れており、徐々に花数が減って、7/30には2輪だけとなりました。


2021/8/17
今年もナツズイセンが花茎を立ち上げて花を付けました。
ただ、昨年花を付けた鱗茎ではなく、昨年花を付けなかった鱗茎から花茎が立ち上がっています。
ここにはもっと多くの鱗茎があるはずですが、花茎を出すのは1部の鱗茎に限られるようです。
これが一般的なものなのか、この場所の環境に依存するものなのかは不明です。


2028/8/27
実家の庭のナツズイセンは、今年も花茎は1本だけでした。
この日、網引湿原に出かけたのですが、少し手前の畑の畔にナツズイセンが1列に咲いていました。
ヒガンバナがこのような咲き方をしているのはよく見かけますが、ナツズイセンでは初めて見ました。
おそらく、自生のものではなく、人為的にこのように植えられたものと推察します。

カキラン(Epipactis thunbergii)
<キジカクシ目・ラン科・エピデンドルム亜科・カキラン属>


ラン科カキラン属の地生の多年草で、在来種。
和名は、花の色が柿の色に似ていることに由来する。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、湿地に生える。
海外では、朝鮮半島から中国東北部に分布する。
草丈は30〜70pで、根茎は横に這い、節から根を出す。
茎は1本だけ直立して、茎の基部は紫色を帯び、少数の鞘状葉がある。
茎葉は互生し、長さ7〜12cmの披針形〜卵形で、基部は短い鞘状になって茎を抱く。
葉には葉脈に沿ってしわ状になり、縦脈がはっきり見えるのが特徴。
花期は6月〜7月で、茎先の穂状花序に垂れ下がり気味に数個〜10個の花を付ける。
3個の萼片は離生し、長さ12〜15mmの長卵形で稜があって先は尖り、緑褐色を帯びる。
側花弁は卵形で、先は鈍頭となり、橙黄色(柿色に近い)である。
唇弁は上唇と下唇に分かれ、その間に明瞭な関節がある。
唇弁の先端部は横に張り出し、橙色の斑紋とその前後は紅紫色になる。
また、唇弁の側裂片は耳状に張り出し、内側に紅紫色の筋模様がある。

2022/6/18
網引湿原で最もよく見られたのがカキランです。
第1湿原では、木道脇でも見られましたし、湿原際辺りでは群生もしていました。
第2湿原は若干少なめでしたが、木道脇などで見られましたし、群生している所もありました。

 
2023/7/18
網引湿原の第1湿原に入りましたが、咲いている花は少なく、少々淋しい単調な景色です。
そんな中、大きな果実が付いた伸びきったカキランの茎が、やたらと目に付きました。

サギソウ(Pecteilis radiata)
<キジカクシ目・ラン科・チドリソウ亜科・チドリソウ連・ツレサギソウ属>



ラン科サギソウ属の湿地性の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、低地の湿地に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国東部、台湾に分布する。
草丈は20〜50cmで、地下には太い根が少数あり、根によく似た地下茎も何本か伸びる。
この地下茎の先端が芋状に肥大して、この部分だけが越冬する(地下茎の長さ分移動する)。
翌年、地下茎を伸ばし、茎の下部に3〜4個の根生葉が出て、上部に少数の鱗片葉が付く。
葉は互生し、下部のものほど大きく、長さ5〜10cmの線形である。
花期は7月〜8月で、茎先に1〜3個の花を長さ35mm前後の花序軸の先付ける。
花は直径3cm前後で、白い唇弁大きく、3深裂して中裂片は披針形である。
両側の側裂片は、斜扇形で側方に開出し、その外側の縁は細かく裂ける。
この唇弁が開いた形状が、シラサギが翼を広げた様に似ているのが和名の由来である。
長さ10〜12mmの側花弁は、白色の歪んだ卵形で直立し、外縁には不規則な歯がある。
長さ7〜10mmの背萼片はほぼ直立し、淡緑色で狭卵形、5〜7脈があり、先は鋭形。
長さ8〜10mmの側萼片は横に広がり、淡緑色で狭卵形、5〜7脈があり、先は鋭形。
距は長さ3〜4cmで、真っすぐ〜少し前に曲がって垂れ下がり、先が多少広がって蜜が溜まる。
従って、この長さの口吻を持つスズメガ科の昆虫によって花粉が媒介される。
スズメガが口吻を差し込んだ際、花粉塊が複眼に粘着し、他の花に運ばれることになる。
なお、本種は山野草として市販されているが、自生種は準絶滅危惧種の指定を受けている。
開花期に盗掘被害を受けることが多いが、この時期に持ち帰ってもほぼ枯れてしまう。
また、市販品を1回開花させるだけであれば難しくないが、長年、育成するのは容易ではない。

2022/8/16
網引湿原第1湿原では、獣害防止ゲートは入って直ぐの所からサギソウが咲いていました。
あちらこちらで小さな群落を作って、独特なシラサギが翼を広げたような花弁を見せてくれます。
生でこの姿を見たいと思っていたのですが、やっと夢がかないました。
話を聞くと、今年はサギソウの数が少ないそうで、例年は一面が白く見えるほどだとか。
そのような光景も見てみたいですが、今回は会えただけで十分です。
中段は、サギソウの前面と背面のアップです。裏面からは3個の緑の萼片良く分かります。
下段は、サギソウの蕊柱(オシベとメシベが合体したもの)をアップにしたものです。
オレンジ色の部分が葯室(花粉塊が入っている)で、先が細くなり、先端に白い粘着体があります。
左の写真で、中央付近に見える穴、これが下に長く伸びている距の入口になります。
訪花したスズメガが口吻をこの穴から奥に差し込むのですが、その際に粘着体が複眼に粘着します。
すると、葯から花粉塊が出てきて、他のサギソウを訪花した際に受粉が行われることになります。
なお、オレンジ色の下に深緑色の細長いものが見えますが、これが柱頭になります。
右の写真で、その部分に白い粉のようなものが付いていますが、それが運ばれてきた花粉です。
なお、左の写真で、オレンジ色の葯室の外側にある淡緑色のものが仮オシベで、中央のものは嘴体です。
その後ろ、左右のオレンジ色の葯室をつないでいる淡緑色のものは葯隔になります。


コサギとダイサギ

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 <コサギ>                 <ダイサギ>
シラサギと呼ばれるサギの仲間で、よく見かける純白のコサギとダイサギです。
サギソウから、翼を開いたこれらサギの姿を連想できるでしょうか。
私は連想できます。
飛翔中のサギは、バランスを取るため長い首をS字状に折り曲げてしまいます。
しかし、飛び立つときや着地する際には、首を伸ばしますので、このような感じになります。


コバノトンボソウ(Platanthera tipuloides subsp. nipponica)
<キジカクシ目・ラン科・チドリソウ亜科・チドリソウ連・ツレサギソウ属>

ラン科ツレサギソウ属の地生の多年草で、日本固有種。
山地帯から亜高山帯の日当たりのよい湿地や湿った草原、海岸湿原などに生育する。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
草丈は20〜40cmで、茎は肥厚する根茎から出て、1本だけ直立し、細く繊細である。
茎の下部に長さ3〜7cmほどの広線形の葉が1個付き、基部は茎を抱く。
その上部に披針形の鱗片葉が数個付くが、茎にへばりつくようにつくので目立たない。
花期は6月〜8月で、茎先の総状花序に、やや偏側生に5〜10個の淡黄緑色の花を付ける。
苞は披針形で、子房より短い。背萼片は卵形で、長さ2〜2.5mmである。
側萼片と側花弁は長さ3mm前後の長楕円形で、背萼片より少し長い。
側萼片は腕を開いたように水平に開き、側花弁は斜上してメシベを覆うようにかぶさる。
唇弁は長さ2.5〜4mmのやや肉質の舌状で、下に少し反り返る。
なお、普通は子房が180度捻じれることで、唇弁が下側になる。
距は長さ12〜18mmと細長く、後方に跳ね上がるのが特徴である。
オシベとメシベが合着した蕊柱は短く、オシベの花糸は退化して、葯だけがある。
中の花粉塊は、葯の入口にある粘着体とつながっており、訪花甲虫に付着する。

2022/6/18
網引湿原第2湿原の奥側の通路脇で、何株かが花を付けていました。
ハッチョウトンボに気を取られ、最初気付いていなかったのですが、案内人の方が教えてくれました。
花はほぼ同じ方向を向いて咲くことが多いようなのですが、ここの株はそうでもないようです。

トキソウ(Pogonia japonica)
<キジカクシ目・ラン科・バニラ亜科・トキソウ連・トキソウ属>

ラン科トキソウ属の地生の多年草で、在来種。
和名は、花の色がトキの翼の色であるトキ色に似ていることに由来する。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布するが、四国、九州では稀。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は10〜30cmで、根茎は長さ10〜20mmである。
葉は混生し、長さ3.5〜10cmの楕円形〜楕円状披針形である。
苞は葉の上4〜8cmの位置に1個つき、長さ15〜25mmの披針形。
花期は5月〜7月で、茎頂に横向きに単生する。
子房と小花柄は長さ10〜18mm。萼片は長さ15〜22mmの楕円状狭倒披針形。
側弁は花弁に似て長さ14〜22mm、唇弁は長さ14〜20mmで3裂する。
側裂片は長さ1mm弱の三角状で、中央裂片は長さ6〜13mmで前に突き出す。
中央裂片には2〜3列の房状突起があり、縁は繊維状の切れ込みがある。
蕊柱は直立し、長さ7〜10mmの柱状で、葯は2室で平行して頂生する。

2022/6/18
網引湿原第2湿原の木道脇で、トキソウが1輪だけ、萎みかけていましたが咲いていました。
近くにあったもう1輪は、完全に萎れて、茶色く変色してしまっていました。
時期的に間に合わないかと思っていましたが、なんとか、最後の1輪が迎えてくれました。
※ トキソウの花に関しては、こちらに掲載いたしました。ご参照ください。

アカメガシワ(Mallotus japonicus)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・エノキグサ亜科・エノキグサ連・アカメガシワ属>

トウダイグサ科アカメガシワ属の落葉高木で、在来種。雌雄異株。
日本では、本州から四国、九州の山野に自生し、空き地などに真っ先に生えてくるパイオニア植物。
日本以外では、東南アジアの山野に分布する。
和名は、新芽が紅色を帯びること、そして、その葉が柏のように大きくなることに由来する。
葉は互生し、葉柄は紅色を帯び、長さは10〜20cm、葉身も同様、葉幅は5〜15cm程でかなり大きい。
初夏に枝先に円錐花序を出し、花弁のない小さな花を多数付ける。
雄花序は苞の脇に数個ずつ付き、雄花には多数のオシベが球状に付く。
雌花序は苞の脇に1個ずつ付き、雌花の子房には刺状の突起がある。
また、花柱には乳頭状の突起があり、柱頭は2〜4個に分かれ、淡黄色(赤色になるものもある)。

2019/6/26
実家近くを散歩中、道路脇の塀越しにアカメガシワの雌花が咲いているのが見えました。
雄株(雄花)が咲いているのはよく見かけるのですが、雌株(雌花)はたまに見かける程度で、少ないです。


2020/8/6
散歩中、道路脇でアカメガシワの雄花が咲いているのを見つけました。
昨年は雌花が咲いているのを見かけたので、これで両方を確認したことになります。


2020/8/6
雄花を見た所から少し歩いたところで、咲き終わった雌花を見かけました。
おそらく、昨年見かけた雌株だと思います。トゲトゲの果実がびっしりと付いています。


2020/8/14
久しぶりに川岸を散歩中、果実が弾けて黒い種子が見えているアカメガシワを見つけました。
3裂した果皮と60度ずれるように、黒い果実が付いていました。




2021/6/5
川沿いのアカメガシワの雌株が、花序を出し、一部が開花?し始めていました。
3裂した柱頭がツボミから突き出しているのですが、これで開花といえるのかどうか....


2021/6/12
実家近くの川沿いを散歩中、アカメガシワの雌株の花序が目に止まりました。
1週間前には、3裂した柱頭の一部が見えているだけでしたが、大きく開いていました。


2021/6/12
最初に見かけたアカメガシワはどうかなと見に行くと、さらに進んでいて赤味を帯び始めていました。
後、1週間もすると最初の写真のような、赤味を帯びた突起のある子房と3裂した柱頭になるでしょう。


<通常、柱頭は淡黄緑色になる>

<柱頭に赤味を帯びることがあり、稀に鮮赤色になる>
2021/6/17
今まで見たアカメガシワの雌花の柱頭は赤味を帯びたものばかりでした。
それが、今回、柱頭が淡黄緑色の個体を見かけ、このような個体もあるのだと知りました。
気になって柱頭の色に関して調べてみると、淡黄緑色の方が普通だとのこと。
今まで見た雌花の柱頭は、赤味を帯びたものばかりでしたので、それが普通だと思っていました。
それが今回初めて淡黄緑色のものを見かけたのですが、それが一般的な色だとは....


2021/6/20

2021/6/24
時間の経過とともに、赤味がどんどんまして淡黄色の花序とは見た目がかなり異なってきます。
柱頭のみではなく、花序柄や子房の刺状の突起も赤味を帯びています。


2022/7/16
実家近くの川沿いを散歩中、アカメガシワの果実がかなり大きくなっているのに気が付きました。
未成熟ですが、大きさ的には成熟した果実と大差ない大きさになっています。


2021/8/22
久しぶりにアカメガシワの近くを通ったとき、果実が弾けているのに気が付きました。
昨年見かけたときは、ちょうど弾け始めた頃だったので、種子が付いていました。
今年は、弾けてから時間が経った状態でしたので、種子の多くは落下していました。


アカメガシワの雄花と雌花

   .
   .
<雄株/雄花>                <雌株/雌花>
雄花はオシベのみが球状に付き、雌花はトゲトゲの丸い子房に、3裂した赤味を帯びた花柱が付きます。
この雌花を見て、色などは異なりますがオニグルミの雌花を思い出してしまいました。


エノキグサ(Acalypha australis)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・エノキグサ亜科・エノキグサ連・エノキグサ属>

トウダイグサ科エノキグサ属の一年草。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる1年草。
海外では、東南アジアから東アジアにかけて分布する。
草丈は50cm程までになり、葉は互生する。
上部に穂状の雄花が付き、その基部に総苞に包まれた雌花が付いている。
雄花は8個のオシベが膜質の花被に包まれ、開花すると花被は4裂する。
雌花の花被は3深裂し、花柱は3個で先が細かく糸状に裂ける。
子房は球形で、表面には小さい突起と軟毛が密生し、果期にも残る。

2017/8/17
近くの側溝脇で見かけたエノキグサです。ちょうど、雄花が開花していました。
左端が穂状の雄花で、白く見えているのが花被で、先が裂けて開いているのが分かると思います。
中央の雌花は、丸いものが3個集まっているように見えるのが子房で、黒っぽいのが突起です。
その3個の中央で赤茶っぽく見えているのが、細長い柱頭が3個集まったものです。

 
2020/8/14
久しぶりに川岸を散歩中、エノキグサがちょっとした群落になっている所がありました。
ビッシリと生えたエノキグサには、赤っぽい穂状の雄花がたくさん付いていました。
その基部には、目立ちませんが雌花が付いています。



 
<雄花>     2020/8/14     <雌花>
実家近くの川沿いを河口に向かっていた時、堤防の側でエノキグサの群落が多々見られました。
ちょうど白い雄花が咲き、その下方には大きな総苞に包まれた雌花が付いています。

オオニシキソウ(Euphorbia nutans)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・
トウダイグサ連・トウダイグサ属・ニシキソウ亜属>



トウダイグサ科ニシキソウ属の一年草で、南北アメリカが原産の帰化植物。
畑や道端などでよく見かける普通種。
日本では北海道から四国、九州まで全国で見られる。
世界的には、アジア全域、北米の東北部など、各地に分布する。
草丈は20〜40pほどで、茎は表側が赤みを帯びて湾曲した白毛が生え、裏側は緑色で無毛。
オオニシキソウは茎が立ち上がるのに対して、ニシキソウとコニシキソウの茎は地を這うので、区別できる。
葉は対生し、長さが30o前後の長楕円形で、縁には不揃いで浅い鋸歯がある。
葉は、左右非対称で、葉表は普通緑色一色であるが、赤紫色の斑紋が葉の中央に出ることがある。
花期は6月〜10月で、杯状花序が枝先にまばらに付く。
苞葉が変化した杯に黄緑色の4個の腺体が付き、その周囲に4個の白い付属体が花弁のように付く。
杯状花序の雄花、雌花は退化して、それぞれオシベ、メシベになっている。
雄花(オシベ)は8個前後付き、葯は黄褐色。雌花(メシベ)は1個で、花柱は3裂し、先はさらに2裂する。
雌性先熟で、受粉すると直ぐに成長を初め、白い付属体の真ん中から丸い果実が伸びたしたようになる。

2020/8/14
久しぶりに川岸を散歩中、アスファルトの隙間に根を張ったオオニシキソウを見つけました。
上段左の写真が最も大きな枝ですが、生育条件が良くないので、その下の写真のように花はありません。
上段右の写真は、少し離れた所にあった群落で、枝が立ち上がってたくさん花を付けていました。
下段は、その花を拡大撮影したもので、黄緑色の腺体の周囲に付く4個の白い付属体が目立ちます。
右側の写真で、受粉して成長を初めたいろいろな大きさの果実が、白い付属体の真ん中から伸びています。


2022/8/27
網引湿原のバイオトイレ近くで、畑の畝にビッシリとオオニシキソウが生えていました。
ここのオオニシキソウの葉には赤紫色の斑紋がなく、きれいな緑色をしていました。
放棄地ではないようなのですが、春に手入れして以降、放置された結果のようです。

ナンキンハゼ(Triadica sebifera)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・ヒッポマネ連・ヒッポマネ亜連・ナンキンハゼ属>

トウダイグサ科ナンキンハゼ属の落葉高木で、原産地は中国、台湾。雌雄同株。
日本では、紅葉がきれいなことから街路樹や公園樹として利用されているが、逸出して野生化している。
樹高は5〜15mになり、幹は灰褐色で、不規則に縦に裂ける。
葉は互生し、長さ3.5〜8cmの下膨れの卵形で、先は尖り、基部は楔型。
縁は全縁で、葉表の基部に腺が2個ある。葉柄は長さ2〜8cm。
花期は6月〜7月で、長さ6〜18cmの総状花序に小さな黄花を多数付ける。
花序の先には雄花が多数付き、雌花は基部に少数付き、雌花のない花序も多い。
雌花も雄花も花弁はなく、雌雄異熟で、雄性先熟の木と雌性先熟の木がある。
雄花は苞ごとに数個集まって付き、オシベは2〜3個、萼は3浅裂して受け皿のようになる。
雌花は苞ごとに1個付き、雄花より長くて、子房は3o前後、花柱は3個ある。
果実は直径15mm前後の扁球形で、3稜があり、熟すと褐色〜黒色になる。
熟すと裂開して、白い仮種皮に包まれた3個の種子が見えるようになる。
紅葉の頃になると果皮が落ちて、白い種子のみが枝に残って、目を引くようになる。

2021/5/23
ナンキンハゼが新葉の展開を始めていました。淡い色が初々しいですね。


2021/6/5
実家近くの川沿いを散歩中、ふと見るとナンキンハゼの新芽の先に花序が出ていました。
そういえば、ナンキンハゼの花期は6月からなので、花序が出ていても不思議ではないんですよね。
ワクチン接種などでドタバタしていましたが、自然は刻一刻と進んでいるのだと、改めて思ったしだいです。


2021/6/12
1週間が経ち、花序の大きさが倍くらいに伸びていましたが、咲くのはまだ先のようです。




2021/6/12
散歩の帰り道、川の対岸を歩いていると、法面の下にナンキンハゼが生えているのに気が付きました。
花序が黄色っぽく見えたので下りていくと、雄花のツボミが黄色く色付いているのが分かりました。
中には、花柄が伸び出して、間もなく開花すると思われるものもあり、雄性先熟のようです。


2021/6/17
開花間近だったナンキンハゼの様子を見に行くと、開花が始まっていました。
といっても、花弁はないので黄色い萼が3裂して、中ならオシベが顔を出しているだけです。
対岸の方も見に行ったのですが、まだ、こちらは黄色味がかってきた程度でした。


2021/6/20
果実になっていたことから、どこかに雌性先熟の樹があるはずと、河川敷を探しました。
しかし、雌花はあっても小さく、開花には程遠い雄性先熟の樹ばかりです。
中には、中央のように何やら怪しげなものを出している花序も見られました。
対岸の未熟な花序にも同じようなものがあり、それを見て小さな花序だと分かりました。


2021/6/24
探すところを川沿いから広げた所、近くの神社の境内で雌性先熟の樹を見つけました。
雄花はまだ硬いツボミですが、その基部には3裂した花柱を長く伸ばした雌花がありました。


2021/6/24
雌性先熟の花序に見られた雌花のアップです。
子房から伸びた花柱の先が3裂しているのが分かると思います。


2021/6/29
3裂した花柱の先が大きく反り返って、基部の子房が大きくなっていました。


2021/6/29
雄性先熟だった樹の花序です。油断していたら、すっかり雌性期に入っていました。
雄花序だったところが枯れ落ちたものや残っているものなど様々です。
花序の基部にあった雌花の小さなものと思っていたものは、そのままの状態で残っています。
左と中央のように、基部で分枝した小さな花序に雌花が付いているものが多かったです。
この小さな花序は、雌性先熟のようで、雌花が開花した上部に、少数の雄花のツボミが付いていました。
右のように雄花序が残っているものもあり、その基部では受粉の終わった子房が大きくなっていました。


2021/6/29
同じ雄性先熟の樹でも、上記のような雌性先熟のような花序も混じっていました。
雌花は受粉を終わり、雄花が咲き始めたばかりのように見えます。
1本の樹に見えていますが、実際は雄性先熟と雌性先熟の樹が同じ所に生えているのかもしれません。


2021/8/15
久しぶりに河川敷のナンキンハゼの様子を見に行ってみました。
花序が付いていた所には、2〜4個の若い果実が付き、10〜15mmほどになっていました。

シュウメイギク(Anemone hupehensis var. japonica)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・イチリンソウ連・イチリンソウ属>

キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、中国原産とされている。
名前にキクと付いているが、キクの仲間ではなく、アネモネの仲間。
日本では、本州から四国、九州に分布し、園芸品種として植栽されている。
草丈は30〜150cmで、地下茎を横に伸ばして増える。
根茎から根出葉を出し、3出複葉の小葉は長さ5〜7cmで3〜5裂し、鋸歯があって小葉柄がある。
茎には葉が2〜3個輪生する。下部の茎葉には短い葉柄があるが、上部の葉では無柄になる。
花期は8月〜10月で、花は直径は5〜7cmになるが、花弁はない。
花弁に見える物は、花被片(萼片)であり、花弁ではない。
花色は淡紅紫色と白色が主であるが、濃紅色の品種も作出されている。
オシベは多数あり、葯は黄色。メシベも多数あり、細い柄があって球状に集まる。
全草が有毒で、むやみに触れたり、摘んだりすると皮膚炎を起こすので要注意。

2021/8/22
実家近くを散歩中、道路脇の店舗横で花を付けているシュウメイギクを見かけました。
淡紅紫色の一重の品種で、周りに何もない所に鮮やかな淡紅紫色の花が一際目立っていました。

センニンソウ(Clematis terniflora)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・イチリンソウ連・センニンソウ属>

キンポウゲ科センニンソウ属の常緑つる性半低木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の日当たりの良い山野に分布する。
葉は対生で、5枚の小葉を持つ羽状複葉。小葉は卵形で葉先は尖り、全縁。
葉柄は、他の植物の茎や葉などに絡み付き、自身を固定する。
花期は8月〜9月で、葉腋から円錐花序を出し、白い花を多数付ける。
花は直径数cmほどで、上向きに咲く。花弁はなく、白い花弁状のものは萼片で十字形に開く。
多数のオシベと数個のメシベがあり、長さは萼片の半分程度しかない。
そう果は扁平な卵形で、花後、数cmほどに伸びた花柱が残り、長い毛が開いて羽毛状になる。
なお、本種は有毒植物なので、取り扱いには注意が必要です。

2022/8/27
この日、網引湿原に出かけた帰り道、道路脇で白い花を付けたセンニンソウを見かけました。
ボタンヅルもよく似た花を付けますが、オシベ、メシベが萼片とほぼ同長な点で区別できます。


センニンソウとボタンヅル

   .
<センニンソウ>                <ボタンヅル>
センニンソウとボタンヅルの花はよく似ていますが、萼片とオシベ、メシベの長さの比が異なります。
ボタンヅルは両者がほぼ同長なのに対して、センニンソウでは萼片は倍くらいの長さがあります。


ケキツネノボタン(Ranunculus cantoniensis)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・キンポウゲ連・キンポウゲ属>

キンポウゲ科キンポウゲ属の多年生植物。水田のあぜなどに生える雑草。
キツネノボタンによく似るが、全体に毛が多いことが名前の由来。
日本では、本州から四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島南部から中国南部、台湾に分布している。
茎はほぼ直立し、草丈は50cmに達するものもある。上部でよく分枝し、開出毛が密生する。
根出葉には長い葉柄があり、1〜2回3出複葉で、小葉は数中裂し、不揃いな鋸歯がある。
茎葉の葉柄は短く、上部に行くに従い1〜2回3出複葉、1回3出複葉、単に3中裂と変わる。
茎の上部にいくつかの黄色い花を付ける。花弁は5個で、萼片も5個で、開花時は反り返る。
花柱は1mm前後の三角形で、先は鉤状に曲がっている。痩果は扁平な広倒卵形で、長さは3mm強。
この曲がりをキツネノボタンとの識別点としていたが、変異が多く、近年は使われない。
代わりに痩果の断面の両端の形状が使われ、両端に鈍3稜があるのがケキツネノボタンとされる。
※ 断面の片端のみが鈍3稜で他端は単稜なのが、キツネノボタンとされる。

2019/6/26
実家近くを散歩中、道路脇の側溝や空き地でケキツネノボタンを見かけました。
既に花期は終わりに近いようで、花数は少なく、果実がかなり大きくなっていました。
その痩果ですが、両端が鈍3稜に見えますので、ケキツネノボタンとしました。

アオツヅラフジ(Cocculus orbiculatus/Cocculus trilobus)
<キンポウゲ目・ツヅラフジ科・アオツヅラフジ属>



ツヅラフジ科アオツヅラフジ属のつる性落葉木本で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布している。
海外では、朝鮮半島から中国南部、フィリピンなどに分布する。
花期は7月〜9月で、雌雄異株。枝先と葉腋に小さな花序をだし、黄白色の小花を付ける。
萼片、花弁は雄花雌花ともほぼ同じで、花弁と萼片は各々6個ある。
萼片は花弁より大きく、花弁の先は2裂する。
雄花のオシベは6個、雌花のメシベは子房が6個の心皮に分かれ、仮オシベが6個ある。
花後、心皮が離れ、各々が1個の果実になる。
果実は直径5oほどの球形の核果で、秋に熟すと白粉を帯びた黒色になる。

2021/6/29
実家近くの川沿いを散歩中、あちらこちらでアオツヅラフジが咲いているのを見かけました。
ただ、咲いているのは雄花(雄株)ばかりで、雌花(雌株)が見当たりません。
昨秋に果実を見かけた場所に行ってみたのですが、成長が悪くて花序がまだ付いていませんでした。


2022/7/16
昨年は増水で株が傷んで花を見ることができませんでしたが、今年は見ることができました。
雄株はあちらこちらで見かけるのですが、雌株は少ないのか、近くで見られるのはここだけです。


2022/8/16
網引湿原の駐車場の近くで、柵に絡みついて花を付けているアオツヅラフジの雄花を見かけました。
何ヶ所かで花を付けていたのですが、雌花は無く、全て雄花でした。



2023/8/5
網引第3湿原の外れで以前見かけたアオツヅラフジの果実、それを付けた雌株を探しました。
ただ、花は咲いていたのですが、場所が悪くて正面から撮ることができなかったのは、少々残念でした。
イソノキに絡みついていたので、最初、イソノキの果実がアオツヅラフジの果実に見えてしまいました。
少し離れた所に、アオツヅラフジとイソノキの果実が並んでいたので、間違いに気づいたのですが、
アオツヅラフジは表面に白い粉を吹くので、かなり白っぽい色です。

ヌマトラノオ(Lysimachia fortunei)
<ツツジ目・サクラソウ科・オカトラノオ属・オカトラノオ亜属>

サクラソウ科オカトラノオ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナムに分布している。
草丈は40〜70pほどで、茎は直立し、下部は赤みを帯びる。
葉は互生し、長さ6cm前後の長楕円形で、先が尖る。
花期は7月〜8月で、茎頂に総状花序を出し、白い小花を多数付け、下から咲き上る。
花冠は白色で直径は5oほど。花冠、萼とも5裂し、萼片の縁には腺毛がある。
萼片の両面に淡褐色の斑点があり、果時にも残る。
オシベは5個あり、基部には腺毛があって、花冠裂片と対生する。
刮ハは直径2o強の球形で、種子は球形の胎座の窪みにはまり込んでいる。
よく似た同属のオカトラノオは、葉幅が広く、花序が垂れ下がる点で区別できる。
なお、両種の自然交雑種であるイヌヌマトラノオも存在し、両種の特徴を併せ持つ。

2023/7/25
網引湿原の第1獣害防止ゲートの少し手前で、ヌマトラノオが白い花を咲かせ始めていました。
よく似た花を付けるオカトラノオより花数が少なく、葉幅が細いのが特徴です。
他の雑草に紛れ、隠れるように花序を出して咲いているので、行きでは見過ごし、帰るときに気づきました。

 
2023/8/5
7/25の時点では咲いていなかったかなり手前でも、ヌマトラノオが咲いていました。
前回来た時より数も増え、花序も伸びてかなり咲き進んでいたので、目に付くようになっていました。


ヌマトラノオとオカトラノオ

     .
     .
<ヌマトラノオ>            <オカトラノオ>
ヌマトラノオとオカトラノオは、花そのものはよく似ていますが、下記の点が異なります。
●オカトラノオはヌマトラノオに比べて、花序に付く花数が多い
●ヌマトラノオの花序は直立するが、オカトラノオの花序は垂れ下がる
●オカトラノオはヌマトラノオに比べて、葉幅が広い
なお、両者の自然交雑種であるイヌヌマトラノオも存在し、両種の特徴を併せ持っています。


マンリョウ(Ardisia crenata Sims)
<ツツジ目・サクラソウ科・ヤブコウジ属>


サクラソウ科ヤブコウジ属の常緑小低木で、在来種。
日本では、本州の関東以南、四国、九州、南西諸島に自生する。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾、インド、インドシナ半島に分布する。
樹高は30〜100cmで、茎は直立し、上部でまばらに小枝をだす。樹皮は灰褐色。
葉は互生し、長さ4〜13cmの長楕円形で、濃緑色で厚みがあり、縁には波状の鋸歯がある。
葉の波状に膨れた部分には、共生細菌が詰まった部屋が、内部に形成されている。
花期は6月〜8月で、葉腋に散状花序を出し、やや下垂したソバカスのある白い花を開く。
花冠は5深裂し、裂片は反り返る。オシベは5個で、メシベは1個。
萼も5裂し、果実が赤く色づく頃には赤くなる。
果実は、11月頃に紅く熟し、その果実が美しいので栽培され、正月の縁起物とされる。
赤く熟した果実は、そのまま越冬し、翌年の4月頃まで見られる。
なお、栽培品種には白や黄色の果実もある。

2022/7/8
実家の庭には、鳥が運んできた種があちらこちらで芽を出して、マンリョウが大きくなっています。
もっとも大きなものでは、樹高は1.6mほどになって、たくさんの花を付けていました。
秋には、真っ赤な果実をたくさん付けてくれると思います。
その赤い果実は冬でもしっかりと残っているので、正月の縁起物として重宝します。
なお、冬から春にかけて餌が乏しくなる頃、ヒヨドリなどがやって来て、きれいに平らげて行きます。

ネジキ(Lyonia ovalifolia)
<ツツジ目・ツツジ科・スノキ亜科・ネジキ連・ネジキ属>



日本では、本州の岩手県以南から四国、九州の低山から山地にまで自生する。
海外では台湾に分布する。
樹高は2〜9mで、幹は灰黒色。縦に裂け目が入り、太くなると捻じれるのが和名の由来。
なお、捻じれ方には個体差があり、右回りも左回りもある。通常、根本の方がねじれは強い。
枝先が光沢のある赤褐色で、若芽が紅色を帯びる。
葉は互生し、葉身は長さ3.5〜10cmの卵状楕円形で、先が尖り、基部はやや心形。
葉は黄緑色で薄いがやや堅く、葉表は無毛で、葉裏には毛が散生して脈には毛が密生する。
有毒植物であり、特に葉の毒性(アンドロメドトキシン、リオニアトキシン)は強い。
秋に黄色〜赤色に紅葉する。
花期は5月〜6月で、前年の枝から横枝として総状花序を出し、ほぼ水平に伸びる。
壺形の白い小花が整然と並んで下向きにつく。なお、花冠の先が淡紅色を帯びることもある。
花冠は長さ8〜10mmで、先が5浅裂し、外面には細かい毛が散生する。
萼は白色で5深裂し、萼片の先は尖る。オシベは10個で、花糸が曲がりくねる。
果実は刮ハで、直径3〜4mmのやや扁平な球形。上向きに熟し、5個の筋に沿って裂ける。

2022/6/7
参道の階段を下りているとき、分岐点の少し下で見かけたネジキです。
花の形はドウダンツツジやアセビに似ていますが、花の付き方は異なります。
後で調べて、ネジキと分かりましたが、幹が太くなると捻じれるのが名前の由来とか。
残念ながら、幹の捻じれまでは確認しませんでしたで、どうなっていたかは不明です。

モチツツジ(Rhododendron macrosepalum)
<ツツジ目・ツツジ科・ツツジ亜科・ツツジ属・ツツジ亜属・ヤマツツジ節・モチツツジ列>

ツツジ科ツツジ属の半常緑低木で、在来種。
日本では、本州の静岡県・山梨県〜岡山県、四国に分布する。
樹高は1〜2mで樹皮は灰褐色で平滑。葉は互生して、枝先に集まって付く。
春葉は、長さ4〜8pの楕円形〜卵形で、両面に毛が生え、腺毛がある。
春葉は、秋には橙色〜赤黒紫色に紅葉し、落葉する。
夏葉は、長さ3〜5cmの狭楕円形で、開出毛が密生し、冬を越す。
葉柄は長さ3〜8mmで、長毛がある。
花期は4〜6月であるが、散発的に花期以外でも咲いているのが見られる。
花は葉の展開と同時に枝先に2〜5個付き、直径3.5〜6cmの淡紅紫色(稀に紅紫色)。
花は5中裂し、上側の裂片に赤色の斑点がある。
オシベは通常は5本であるが、稀に6〜10本のものも見られる。花糸には短毛がある。
花柄は長さ1.5〜2cmで、長い腺毛が密生して粘る。子房にも腺毛が密生する。
萼は緑色で5深裂し、萼片は長さ2〜4cmの披針形で、長い腺毛が密生する。
萼や柄、葉などに多くの腺毛があって粘着性があり、ここに多くの昆虫が捕らえられる。
これは花粉媒介者以外の昆虫を捕らえて、花が食害されるのを防ぐために発達したらしい。
この腺毛を除去する実験をすると、花は見る影もないくらいに食害されたとのこと。
なお、この捕らえられた昆虫を餌とするモチツツジカスミカメやサシガメ類がいる。

2022/6/7
参道の階段を下りているとき、参道脇の草むらに隠れるようにして咲いていました。
ツツジであることは分かりましたが、その場で名前までは分かりませんでした。
後で調べて、萼などにビッシリと付いている腺毛や花の特徴からモチツツジとしました。
後で気が付いたのですが、左の写真にはモチツツジカスミカメが写っていました。
モチツツジだけに付くカメムシで、モチツツジの粘毛に付かないように移動できる特技を持っています。


2022/10/11
網引湿原第3湿原の奥の方を周っているとき、樹の陰で咲いているモチツツジを見つけました。
本来の花期は春から初夏にかけてなのですが、花期以外でも散発的に咲くそうです。
咲いているのは、この樹もこの1枝だけでした。

モッコク(Ternstroemia gymnanthera)
<ツツジ目・モッコク科・モッコク連・モッコク属>



モッコク科モッコク属の常緑高木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで、海岸近くに自生する。
海外では、台湾、朝鮮半島南部から中国、東南アジア、インドまでの暖地に分布する。
樹高は10〜15mで、樹皮は平滑な暗灰色〜黒灰色にゴマ状の小さい皮目がある。
葉は互生し、枝先に集まって付き、葉身は長さ4〜7cmの楕円状卵形。
葉先は鈍頭で、基部は楔形、縁は全縁。厚い革質で光沢があり、両面無毛。
葉柄は長さ3〜6mmで、十分に陽が当る所では赤みを帯びる。
花期は6月〜7月で、両性花を付ける株と雄花のみを付ける株がある。
葉腋に直径2cm前後の花を下向きに単生し、雄花はメシベが退化してオシベが3列に多数付く。
両性花は1個のメシベの周りにオシベが1列に付く。
花は白い5花弁で、萼片も5個。花柄は長さが1〜2cm。
果実は刮ハで、直径は直径10〜15mmの球形。秋に赤く熟し、果皮が不規則に裂開する。
種子は長さが7mm前後の倒卵形で、橙赤色。仮種皮はない。

2017/7/2
実家の庭に植えられているモッコク(樹高は6m前後)が花を付けていました。
子供の頃からある樹で、大きさもさほど変わっていませんが、樹齢は少なくとも70年以上です。
ツボミが付いているのは以前から知っていましたが、開花しているのを確認したのは初めてです。
ごらんの通り、小さな花なので、気がついたら咲き終わっていたというのが実際の所です。
花の形から、この樹は雄花のみを付ける樹と分かりました。そういえば、この樹で果実は見たことがないです。


モッコクの果実

   .
2018/10/17
自宅近くの公園で見かけたモッコクの果実です。
果皮の一部が剥がれて、中の赤い種子が見えているものもありました。


リョウブ(Clethra barbinervis)
<ツツジ目・リョウブ科・リョウブ属>


リョウブ科リョウブ属に属する落葉小高木で、在来種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
樹高は3〜10mで、樹皮は表面が縦長な形に剥げ落ちて、その後茶褐色で滑らかになる。
若枝は灰褐色で細く、細かい星状毛が生え、皮目は不明瞭である。
葉は互生し、枝先に集まって付く。葉柄は長さ1〜4cmで、軟毛が密生する。
葉身は長さ5〜11cmの倒卵形で、先が尖り、鋸歯がある。
表面にはつやがなく無毛。裏面は淡緑色で、主脈には粗い毛が、側脈の基部には軟毛がある。
花期は6月〜9月で、枝先に長さが10〜20cmの総状花序を数個付け、白い小花を多数付ける。
花序の軸には白色の星状毛が密生する。花は甘い香りを放つため、多くの昆虫が集まり、蜜源ともなる。
花冠は直径6〜7mmで5深裂し、裂片は長さ3〜4mmの長楕円形で先が丸い。
オシベは10個あり、花弁より長い。メシベは1個で、柱頭は3裂する。子房には粗い毛が密生する。
この花柱は、花時には長さ2〜3mmであるが、果時には3〜5mmになる。
萼は鐘形で長さ2mm前後で、萼片は5個。萼片の外面には軟毛が密生する。
果実は刮ハで、直径は4〜5mmの扁球形。熟すと3裂して、多数の種子を出す。

2023/7/18
奥池の第1湿原近くで、非常の多くの白い花を付けた樹を見かけました。
その花に引かれて、ハナカミキリの仲間と思しき甲虫が、何匹か飛翔しているのが見えました。
写真を撮りたかったのですが、高い所ばかりにいて下の方には降りてきませんでした。
後で調べてリョウブの花と分かりました。この樹も新潟県胎内市で見たのが初めてです。
これでキンモンガを胎内市とここで見た理由が分かりました。食草がリョウブだったのです。
つまり、幼虫がこのリョウブの葉を食べて育ち、成虫もこのリョウブに産卵するということです。

ホテイアオイ(Eichhornia crassipes)
<ツユクサ目・ミズアオイ科・ホテイアオイ属>

ミズアオイ科ホテイアオイ属の水性浮上多年草で、南アメリカ原産の帰化植物。
日本では、本州の関東甲信越から四国、九州に分布する。
寒さに弱く、冬はほとんど枯れるが、一部でも越冬すると翌年には大繁殖する。
なお、日本以外でも北アメリカ、ヨーロッパ、オセアニア、韓国、台湾、東南アジアなどに移入分布している。
草丈は20〜40cm(密集すると1mに達することも)で、葉は根生し、葉身は卵心形〜円心形で長さ5〜20cm。
水上に浮いているときは、葉柄は中間部がふくらみ浮き袋となるが、密集してくると浮き袋がなくなる。
そして、葉柄が細長く伸びて立ち上がり、葉身も長く伸びて楕円形となる。
花期は8月〜10月で、花茎の先の総状花序に淡紫色の花を多数付け、一斉に開花して、1日で萎む。
花被片は6個で、その内の上側の大きな花弁にのみ、中心が黄色い紫色の班紋がある。直径は5cm前後。
オシベは6個で、内3個は長く、他の3個は短い。メシベは3心皮が合着して1つになっている。
オシベ、メシベの長さが異なる長花柱花、中花柱花、短花柱花の3型があるが、日本には短花柱花はない。
花後、花茎は湾曲して花序は水没し、水中で結実する。果実は刮ハで、細かい種子を多数含む。

※ 日本では大きな問題になっていないが、世界的にはその繁殖力の強さから「青い悪魔」と呼ばれている。
肥料分の多い水域では、あっという間に水面を覆い尽くし、他の水草や水生動物への悪影響が懸念される。
なお、繁殖は冬越し株、殖芽、種子の3通りがあるが、日本では虫媒花である本種の結実はほとんど見られない。
根茎の先端でできる新芽である殖芽は、−3.9℃の日が続いても、数日に1日暖かい日があれば生き延びる。
株の状態で冬越しするには3℃以上が必要とされる。今後、温暖化で北限が北上すると思われる。

2017/8/17
自宅近くの側溝内で見かけたホテイアオイです。1つだけ、花が咲いていました。
側溝の水が溜まっている所を占拠していましたが、それほど多くはありませんでした。
数が少なければ、花もきれいなので良いと思うのですが、大繁殖したら厄介な雑草です。


ホテイアオイとミズアオイ

     .
<ホテイアオイ>              <ミズアオイ>
同じミズアオイ科ですが、ホテイアオイはホテイアオイ属、ミズアオイはミズアオイ属と、属が異なります。
ミズアオイは在来植物で、最近は環境の悪化などで数を大幅に減らしつつあります。
一方、ホテイアオイは南米原産で、寒さには弱いものの、場所によっては大繁殖しています。
どちらも同じ抽水植物であり、花の形もよく似ていますが、ホテイアオイには1ヶ所だけ斑紋があります。
花の大きさは、ミズアオイが3cmほどなのに対して、ホテイアオイは5cm前後あり、倍くらい違います。
その咲き方も異なり、ホテイアオイは花茎全体が一斉に咲くのに対し、ミズアオイは数個ずつ咲きます。
ただ、どちらも1日花で、朝に咲いて、夕方にはしぼんでしまいます。










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