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播州地方で見かけた野草(冬T)



実家近辺や兵庫県内などを移動する際に見かけた野草です。
といっても、出かけた際にちょこちょこと撮影しただけのため、あまり多くはないです。
今後、機会を見つけて充実させていきたいと思っています。

< トピック >
今回、下記の写真を追加しました。
キブサスイセン



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
アブラナ目
アブラナ科(ミドリハナヤサイ[ブロッコリー]、ミチタネツケバナ、ナズナ)
カタバミ目
カタバミ科(オオキバナカタバミ、オキザリス・グラブラ、オキザリス・プルプレア)
キク目
キク科(イエギク、キバナノコギリソウ、セイヨウノコギリソウ、フランスギク、ナルトサワギク、
    ノボロギク、フキ[フキノトウ])
キジカクシ目
アヤメ科(カンザキアヤメ、ニオイイリス)
キジカクシ科(ムスカリ)
ヒガンバナ科(ハナニラ、キブサスイセン[グランドソレドール]、グランドモナーク、
       ニホンスイセン[スイセン]、ヤエズイセン[ヤエニホンスイセン]、
       シロバナスイセン[ペーパーホワイト]、フサザキスイセン[タゼッタスイセン]、
       キクラミネウススイセン、ラッパスイセン、ナツズイセン)
播州地方で見かけた冬の野草(冬T)
和名インデックス


ミドリハナヤサイ(Brassica oleracea var. italica)
<アブラナ目・アブラナ科・アブラナ属>
 
アブラナ科アブラナ属に属する緑黄色野菜で、イタリアで品種改良されたキャベツの変種。
日本へは明治時代に移入され、第二次世界大戦後に本格的に栽培が始まった。
標準和名は、ミドリハナヤサイやメハナヤサイであるが、英名のブロッコリーの方がよく知られている。
現在、全国で栽培されているが、主産地は埼玉県や愛知県で、冬季が旬の野菜である。
草丈は1mほどになり、直立した茎に葉は互生する。
葉は下部では50cmほどになり、長楕円形で羽状に深裂する。
花期は2月〜4月で、花序を収穫せずに放置すると、総状の花序を伸ばし、多数の花を付ける。
花は直径10〜15mmほどの十字花で、花色は淡黄色〜クリーム色。
なお、通年で収穫するため、時期をずらして栽培されるので、花期以外に花を見ることがある。
ちなみに、カリフラワーはブロッコリーの変種であり、そのカリフラワーの変種にロマネスコがある。

2021/1/13
昨年植え付けたブロッコリ−ですが、順調に成長していた葉をムクドリなどに食べられてしまいました。
その残っていた葉に、今シーズン最強の寒波が襲い、昨晩に降った雨が見事に凍り付いて、霜になっていました。
霜と言いましたが、霜らしくない粒状の氷が点々と付いている状態です。水滴に見えますが、凍っています。
おそらく、葉の表面に散生する毛に小さな水滴が付き、それが凍ったものと思われます。

同じ日に撮った、他の葉に着いた霜の様子はこちらを参照ください。葉の特徴で、霜の形態が異なります。


ミドリハナヤサイ/ブロッコリーの花

   .

ミドリハナヤサイ[ブロッコリー]もアブラナ科なので、その花はアブラナ科らしい十字花です。
花の色は、アブラナなどと比べると淡い黄色で、萼片は開花時には直立していました。


ミチタネツケバナ(Sisymbrium officinale)
<アブラナ目・アブラナ科・タネツケバナ属>
   
2021/3/6
 
2021/3/7
アブラナ科タネツケバナ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで、全国に分布している。
草丈は20〜40cmで、花期は2月〜4月。
葉は羽状深裂し、小葉は広楕円形で、頂葉が卵形で大きい。根生葉は果時にも残る。
根生葉の小葉には柄があり、茎には葉があまり付かない。
花茎の頂部に総状花序を付け、下から順次咲き上っていく。
花は白色の4弁花で、オシベは4本が多いが、5本とか6本のものもある。
在来種のタネツケバナに似るが、下記のようないくつかの識別点がある。
・果時に根生葉があるのがミチタネツケバナで、無いのがタネツケバナ
・果実が直立するのがミチタネツケバナで、斜上するのがタネツケバナ
・小葉が広楕円形なのがミチタネツケバナで、狭楕円形がタネツケバナ

2021/3/6,7
2021/3/6 実家近くの道端で、ミチタネツケバナがひっそりと咲いているのを見つけました。
ただ、果実が開き気味に斜上して、下部の茎は鮮やかな紫色で、タネツケバナの特徴があります。
しかし、根生葉が残っている点や、小葉が広楕円形である点はミチタネツケバナの特徴です。
オシベの数に関しては、4個が多いのですが、6個(右上の開花してる花)のものもあります。
判断に迷ったのですが、開花時に根生葉が残り、小葉が広楕円形の点からミチタネツケバナとしました。
2021/3/7 翌日、散歩しているとき、道際の石垣の隙間に着生したミチタネツケバナを見つけました。
こちらは根生葉があり、小葉の形や果実の直立度合いからみて、ミチタネツケバナと分かり易いです。

ナズナ(Capsella bursa-pastoris)
<アブラナ目・アブラナ科・ナズナ属>
 
アブラナ科ナズナ属の越年草で、在来種。
日本も含め、北半球に広く分布している。日本では、全国に分布する。
草丈は10〜50cmで、花期は3月〜6月。ただし、最近は真冬でも開花が見られることがある。
根生葉はロゼットを作り、長さ5〜10cmの倒披針形で、羽状に裂ける。早春の裂片は細い。
茎葉は互生して、長さ1〜5cmの狭披針形。無柄で、基部は茎を抱き、葉は裂けない。
花は直径4mm前後の白い4弁花で、花弁は長さ2〜4mmの倒卵形。萼片も4個ある。
オシベは6個で、メシベは1個。下部に果実ができ、先端部では次々につぼみが出来て開花する。
果実は角果で、長さは4〜10mmの倒三角形。上部が凹んで、ハート形になる。
春の七草の1つで、若苗を食用にする。かつては、冬季の貴重な野菜であったことによる。

2021/3/6
実家近くの河川敷沿いを散歩中、土手の際でナズナが咲いているのを見つけました。
この辺りで、マメグンバイナズナはよく見かけるのですが、ナズナを見たのは久しぶりです。

オオキバナカタバミ(Oxalls pes-caprae L.)
<カタバミ目・カタバミ科・カタバミ属>


 
カタバミ科カタバミ属の多年草で、南アフリカ原産の帰化植物。
日本では、本州の関東以西から四国、九州まで、広く分布している。
海外では、ヨーロッパ、西アジア、北アフリカの地中海沿岸、インド、米国、チリ、オーストラリアに帰化。
草丈は10〜30cmで、地下茎ではなく、地中に鱗茎を伸ばして根付く。
また、株元に直径5〜8oの子鱗茎を多数付け、この子鱗茎で栄養繁殖する。
葉は全て根出葉で、葉柄は長さ15〜20cm。先に3出複葉が付き、小葉は幅15〜20oの倒心形。
葉の表面に、紫褐色の小斑点が不規則に現れるのが特徴で、多種との識別点となる。
花期は3月〜5月で、長さ20〜30cmの花茎を伸ばし、その先に散形に10個ほどの花を付ける。
花の直径は3〜4cmで、鮮やかな黄色の5花弁である。萼片は5個で、先端に橙色の対のカルスがある。
オシベは10個あるが、内5個は長く、5個は短い。葯は濃黄色。
メシベは1個で、オシベより短く、花柱は5個ある。果実ができることは稀である。

2021/1/14
昨年の11月末には、早いものでは開花が始まっていたオオキバナカタバミです。
その時より多少開花は進んでいましたが、寒波の影響で葉や花はかなりダメージを受けていました。
そのため、比較的ダメージの少ない所を探し、撮ったのが上記の写真です。

 
2021/3/8
1月の時には、ツボミはそこそこあっても、開花しているものは少ない状態でした。
それが3月ともなると、多くの花が開き、その辺りを黄色く染めて、目を引きます。

オキザリス・グラブラ(Oxalis glabra)
<カタバミ目・カタバミ科・カタバミ属>


 
2021/1/14 11:19               2021/1/14 11:31
カタバミ科カタバミ属の多年草で、南アフリカ原産の園芸品種。
肥沃な土と日当たりを好み、花期が10月〜3月と冬季に楽しめる花。
なお、日が当たると花が開き、日が陰ると閉じてしまう。
一定期間低温に当たらないと開花しない。また、水切れしても花が咲かなくなる。

2021/1/14
このオキザリス・グラブラは、「桃の輝き」という名前で売られている品種です。
冬の寒い時期に咲く数少ない花の1つで、花の少ないこの時期に楽しめる花です。
この日、日が当り始めて、ツボミが幾分ほどけた感じ(下段左)でした。
しばらくして戻ってきたら、すっかり開花(下段右)していました。この間、たった12分です。
日が当ると開き、陰ると閉じるのは知っていましたが、かなりのスピードで開閉するようです。

オキザリス・プルプレア(Oxalis purpurea)
<カタバミ目・カタバミ科・カタバミ属>
 
 
カタバミ科カタバミ属の多年草で、南アフリカのケープ地方が原産の帰化植物。
日本には明治中頃に渡来したとされているが、日本に広く分布し、帰化状態にある。
日本以外でも、世界各国で帰化状態になっている。
無茎植物で、葉は全て根出葉となる。花柄は10cmほどになり、3出複葉。
花期は10月〜12月、2月〜4月と長めで、夏には地上部は枯れて夏眠する。
花は、15cm程の花茎の先に付き、直径3cm強の5花弁である。
花色は豊富で、白花以外に、赤、黄、紫、橙などがある。

2021/1/14
白花の方は、晩秋の頃から開花していて、ほぼ咲き終わりに近い状態です。
一方、例年、赤い花の方が白花より開花は遅いのですが、今年は特に遅くて、この花が最初の開花です。

 
 
2021/1/13
今シーズン最強の寒波が襲い、昨晩に降った雨が見事に凍り付いて、霜になっていました。
葉の縁には、六角柱状に結晶化してる氷も、少しですが見られます。
霜と言いましたが、主に縁毛に付いた水滴が凍ったような状態です。
なお、葉の表面に散生する毛にも水滴が付き、それも凍っています。
緑色の葉の方が大きいので毛が多いのか、表面に付いた水滴状の氷が多く見られます。

同じ日に撮った、他の葉に着いた霜の様子はこちらを参照ください。葉の特徴で、霜の形態が異なります。

イエギク(Chrysanthemum × morifolium Ramat.)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・キク属>
 
 
キク科キク属の多年草で、観賞用として発展した品種群。
日本で発展した品種群を和菊、西ヨーロッパで育種されて生まれた品種群を洋菊と呼ぶ。
短日性植物で、本来は秋に咲く花であるが、電照などを用いて周年で見られるようになっている。
イエギクには、花が直径20cm前後になる大菊、花の直径が数p程度の小菊、その中間の中菊などがある。
その他に、切り花などに適したスプレー菊、「矮化剤」で背を抑えたクッションマム(ポットマム)がある。
また、古くから作られている古典菊(嵯峨菊、美濃菊など)や食用にする食用菊といった呼称もある。
キク属の主な特徴は、総苞片が乾膜質、花柱の先が切形、冠毛が無いの3点である。
また、茎にも白毛が多く、葉の裏には、丁字状毛か普通の毛が密生し、腺点が多い。
葉表にも腺点があり、筒状花の花冠にも腺点がある。

2021/1/14,15
実家の庭には、何種類かのイエギクが植えられていて、晩秋から初冬にかけて花を付けます。
上記の花は、それらが咲き残っていたもので、寒波にも耐えて咲いていました。

 
2021/1/13
今シーズン最強の寒波が襲い、昨晩に降った雨が見事に凍り付いて、霜になっていました。
イエギクの葉には毛が密生しているので、全体が白っぽく見えるほどたくさん付いていました。
霜と言いましたが、密生した毛に付いた水滴が凍っているようです。
なお、葉の縁は水滴が大きかったのか、六角柱状に結晶化してる氷が見られます。

同じ日に撮った、他の葉に着いた霜の様子はこちらを参照ください。葉の特徴で、霜の形態が異なります。

キバナノコギリソウ(Achillea filipendulina)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・ノコギリソウ属>
 
キク科ノコギリソウ属の多年草で、コーカサス地方、南西アジア〜中央アジアが原産地。
日本へは、明治になって鑑賞用として移入されたもで、一部で野生化している。
草丈は70〜130cmで、茎は直立し、よく分枝する。茎や葉など全体に白毛がある。
葉は互生し、長さ5〜15cmで羽状に深裂し、裂片はさらに中〜深裂する。両面とも白緑色。
花期は5月〜8月で、茎頂に直径が10〜15cmの散房花序を付け、黄色い頭花が密に付く。
頭花は直径3mm前後で、冠毛はなく、舌状花と筒状花からなる。総苞の長さは3〜4mmある。
舌状花は雌性で舌部は幅が広くて短く、無いかあっても数個。筒状花は15〜20個ある。
筒状花は周辺部から開花し、花冠の先は5裂する。

2021/1/13
ロゼット状のキバナノコギリソウの葉にも、びっしりと霜が付いていました。
葉には毛が密生しているようで、全体が白っぽく見えるほど氷粒がたくさん付いていました。
なお、葉の縁は水滴が大きかったのか、六角柱状に結晶化してる氷が見られます。

同じ日に撮った、他の葉に着いた霜の様子はこちらを参照ください。葉の特徴で、霜の形態が異なります。


キバナノコギリソウの花

     .

夏には、このような黄色い花を多数付けます。


セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・ノコギリソウ属>
 
キク科ノコギリソウ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州に分布する。
草丈は50〜100cmほどで、葉は互生し、2〜3回羽状複葉に細裂して柔らかい。
茎頂に散房花序を付け、直径5o程の頭花をたくさん付ける。
普通、周囲に5個の舌状花(雌花)が並び、中心に両性花の筒状花が複数ある。
花色は白や淡紅色が多いが、赤や黄色などの園芸品種も出回っている。床には膜質の鱗片がある。
花後、花床がふくれて円錐形になり、痩果は長さ2mmほどになる。

2021/1/13
ロゼット状のセイヨウノコギリソウの葉にも、びっしりと霜が付いていました。
葉には毛が密生しているようで、全体が白っぽく見えるほど氷粒がたくさん付いていました。
キバナノコギリソウと異なるのは、緑色の葉と赤褐色の葉が混在するので、カラフルな事です。

同じ日に撮った、他の葉に着いた霜の様子はこちらを参照ください。葉の特徴で、霜の形態が異なります。


セイヨウノコギリソウの花

     .

夏には、このような白い花を多数付けますが、キバナノコギリソウより花弁が大きいです。
なお、セイヨウノコギリソウには、白以外に淡紅色〜赤色などの品種があります。


フランスギク(Leucanthemum vulgare)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・フランスギク属>
 
キク科フランスギク属の多年草で、ヨーロッパ原産の移入種。
庭園用に移入されたが、現在では逸出して野生化し、各地で見られる。
草丈は30〜80cmになり、茎は基部で分枝して直立し、粗い毛がある。
葉は、根生葉があり、長さ6〜9cmのさじ型で、鋸歯と粗い毛がある。
茎葉は互生し、へら型で鋸歯があり、基部は少し茎を抱く。
花期は6月で、茎頂に直径5cmほどの白い頭状花を単生し、総苞は皿形。
総苞片は長楕円形で、3〜4列になり、縁の膜は広い。
果実は黒色で、10条の隆起線があり、冠毛は合着して皿状の突起となる。
よく似た花にマーガレットがあるが、葉が羽状に切れ込むことで判別できる。

2021/1/13
ロゼット状のフランスギクの葉にも、びっしりと霜が付いていました。
表面の毛が細かくて多いのか、一面に小さな氷粒がびっしりと付き、全体が白っぽく見えます。
なお、葉の縁は水滴が多かったのか、六角柱状に結晶化してる氷が、縁取りのように付いていました。

同じ日に撮った、他の葉に着いた霜の様子はこちらを参照ください。葉の特徴で、霜の形態が異なります。


フランスギクの花

     .

夏には、このような白い花を多数付けます。花の見た目はマーガレットに似ています。


ナルトサワギク(Senecio madagascariensis)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・キオン属>
 
キク科キオン属に属する多年草で、マダガスカル〜アフリカ南部原産の帰化植物。
日本では、福島、千葉、静岡、滋賀、三重、奈良、大阪、和歌山、兵庫、岡山、香川、
徳島、高知、佐賀、福岡で確認されており、急速に分布を拡大させている。
和名は、1976年に徳島県鳴門市瀬戸町の埋立地で発見され、サワギク似であることに由来。
海外では、オーストラリア東海岸、ハワイ、南アメリカにも侵入している。
草丈は20〜70cmで、茎はよく分枝して直立し、基部が紫色を帯び、無毛である。
葉は互生して、長さ3〜9cmの線状披針形で不規則な鋸歯がある。濃緑色で厚く、表面は無毛。
葉の形状に関しては、羽状に分裂することもあり、変異が大きい。基部は茎を抱く。
花期は通年で、多数の頭花は直径20〜25oの鮮黄色。
舌状花は通常13枚で、筒状花は舌状花と同色で短い冠毛がある。
痩果は長さ1mmほどで、長い白色の冠毛を持ち、風に乗って繁殖し、アレロパシーを持っている。
全草に肝毒性の強いセネシオニンなどのピロリジジンアルカロイドを含んでいる。
そのため、オーストラリアでは家畜がこれを食べて中毒死する事故が多く報告されている。
2006年2月1日に特定外来生物に指定されている。

2021/3/7
実家近くの川沿いを散歩中、道路脇で見つけたナルトサワギクのその後の様子です。
1月には萎れてはいても、まだ元気な姿を見せていました。それが、すっかり枯れていました。
通年で咲く本種も、今年の寒さは堪えたのでしょう。しかし、根本には新葉が展開し始めていました。

ノボロギク(Crassocephalum crepidioides)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・キオン属>


 
キク科キオン属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国的に分布する。
また、世界的には寒冷地から亜熱帯に広く分布する。
草丈は20〜50cmほどで、茎は紫褐色を帯び、茎や葉には白いくも毛がある。
葉は互生し、長さ2〜10pで、不規則に羽状分裂する。葉柄はない。
花期はほぼ通年で、頭花は黄色い筒状花のみからなる。
総苞は長さ6oほどで、総苞片は20個前後。小苞の先に濃紫色の点がある。

2021/2/10
実家近くの川沿いを散歩中、土手の際でノボロギクの綿毛を見つけました。
近くを何度も歩いていたのに花に気が付いていなかったんですね。
黄色い花と言っても、筒状花のみなので地味で、注意していないと見過ごしてしまいます。

フキ(Petasites japonicus)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・フキ属>
 

 
キク科・フキ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布している。
なお、本州北部、北海道、千島、樺太には、フキの変種である大型のアキタブキが分布する。
草丈は25〜70cmで、根茎は地中を這い、地中に枝を伸ばして、多くのひげ根を付ける。
葉は、花後に伸び出し、根出葉は長さ25〜70cmの長柄がある。
葉身は、直径15〜30cmの円形〜腎円形で、縁には細かい歯がある。
花期は3月〜5月で、葉のない頃に花茎を伸ばし、散房状に頭花を多数付ける。
花茎には、並行脈の目立つ方が多数付く。雌雄異株で、雄花茎は高さ10〜25cm。
雌花茎は、高さ15〜20cmで頭花を密に付けるが、花後には45〜70cmに伸びる。
雄花茎の頭花は、全て両性の筒状花(不稔性)で、花冠は白色〜黄白色で5裂し、ほぼ平開する。
葯は黄白色で、5個が合着して葯筒となり、根棒状の花柱が葯筒から伸びて花冠から突き出す。
雌花茎の頭花は、多数の雌性の筒状花で、花冠は白色で不規則に浅裂し、ほとんど開かない。
柱頭は花冠から細長く突き出し、先は2裂して開く。
なお、雌花茎の頭花には、雄花茎の頭花の両性花と同じ形の筒状花(花粉は出ない)が少数混じる。
痩果は、長さ3.5mm前後の円筒形で、無毛。白色の冠毛が多数付き、長さは12mm前後ある。

2021/3/4
実家の畑の脇で、フキノトウが顔を出しているのに気が付きました。
この辺りには背の低い野生のフキが自生しているのですが、フキノトウは初めて見た気がします。
付近を探すと、フキノトウは4個見つかりました。可愛らしい葉も2個確認できました。
なお、フキノトウは、その内の1個だけ頭花が顔を出していました。

 
2021/3/19
フキノトウですが、2週間経過して大きくはなりましたが、開花はスローです。
ごらんの通り、最も咲いている頭花でも数えるぐらいしか開花していません。

 
2021/3/29
フキノトウですが、さらに十日が過ぎて、かなり伸びましたが、開花はスローです。
ごらんの通り、前回と比べて、1つ内側まで咲き進んだ程度です。
フキの葉もあちらこちらから伸び出してきて、小さな葉がフキノトウの周りに見られます。

カンザキアヤメ(Iris unguicularis)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ属>
 
      2021/3/4               2021/3/3
 
2021/3/3                   2021/3/4
アヤメ科アヤメ属の多年草で、地中海沿岸地域が原産地。
草丈は15〜30cmで、根茎があり、根際から長さ50cm前後の剣状の葉を出す。
葉は、アヤメとは異なり、枯れることはない。
花期は11月〜3月で、長さ20cmほどの花茎の先に直径8cmほどの花を付ける。
花色は、青紫色が一般的であるが、稀に淡赤紫色や白色のものがある。
花被片は6個で、外側の3個は倒卵形で基部に白地に黄色と紫の模様がある。
内側の3個は長楕円形で直立する。花筒が長いのが特徴。
なお、花茎が葉よりも短く、花は葉に隠れるように咲く。
花後にできる果実は刮ハである。

2021/3/3,4
実家の庭の塀際に、アヤメ(と思っていた)が数輪花を付けていました。
毎年、その場所で花を付けていたことは把握していましたが、あまり気に留めていませんでした。
ちょうど、開花直前のツボミがあったので、写真を撮ることにしました。
改めてカメラを向けたとき、花被片にアヤメ特有の網目模様がないことに気が付きました。
えっ!? アヤメじゃない? このような乾燥した所に咲くのでアヤメだと思い込んでいました。
長年、アヤメと思い込んでいたので、細かい所までは見ておらず、慌てて調べました。
その結果、地中海沿岸部が原産地のカンザキアヤメと分かりました。
そういえば、葉は通年で青々としており、枯れることはなかったですね。
なお、前日、開花直前だったツボミは、翌日には下段のように開花していました。


いろいろなアヤメ科アヤメ属の花




イチハツ
花期は3月〜5月
本州の関東以西、四国、
九州、南西諸島に分布
シャガ
花期は4月〜5月
本州から四国、九州に分布

ヒメシャガ
花期は5月〜6月
北海道西南部から本州、
四国、九州北部に分布



ノハナショウブ
花期は6月〜7月
北海道から本州、四国、
九州と全国に分布
アヤメ
花期は5月〜6月
北海道から本州、四国、
九州と全国に分布
カンザキアヤメ
花期は11月〜3月
地中海沿岸地域が原産地で、
葉が枯れることがない



ハナショウブ
花期は5月〜6月
ノハナショウブの園芸品種で、
多くの品種がある
ジャーマンアイリス
花期は5月〜6月
アヤメ属の交雑園芸品種で、野生
の物はない。別名はドイツアヤメ
ニオイイリス
花期は4月〜5月
ジャーマンアイリスの変種で、
天然香料の原料であった

アヤメ(菖蒲)、カキツバタ(杜若)、ハナショウブ(花菖蒲)は見分けにくいので有名です。
この中で、アヤメのみ乾燥した水はけのよい所を好みます。
カキツバタは湿地に、ハナショウブは水辺などの湿った所を好みます。
また、外花被片に網目模様があるのがアヤメで、他のものには模様はなく、
基部が黄色いのがハナショウブ、白いのがカキツバタです。
なお、菖蒲は「ショウブ」とも読みますが、ショウブはサトイモ科の植物です。
葉の形はよく似ていますが、花はガマの穂のような形で、アヤメとは全く異なります。

 
  <アヤメ>                 <カンザキアヤメ>
アヤメの外花被片には、上記のように網目模様が見られますが、カンザキアヤメにはこのような模様はありません。
カンザキアヤメの基部は、花菖蒲のように黄色く、模様は網目ではなく筋模様になります。

ニオイイリス(Iris florentina)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ属>
 
アヤメ科アヤメ属の多年草で、地中海沿岸原産である。
ドイツアヤメ(ジャーマンアイリス)の変種で、太い根茎がある。
その根茎から香料を取るために移入されたが、観賞用にも植栽されている。
なお、「白花のイチハツ」の名前で販売されていることがあるが、葉の形状が異なる。
草丈は30〜70cmで、葉は互生して重なり合うよう根本からに出て、幅広で筋はなく扁平である。
花期は4月〜5月で、花茎の先に白いアヤメのような直径20cm前後の花を数個咲かせる。
3個の内花被片は直立し、3個の外花被片は垂れ下がって、その中央部にブラシ状の突起がある。

2021/1/13
ニオイイリスの葉は、水を弾くのか、大きめの水滴ができるようで、霜というよりは氷に近いようです。
その凍った水滴ですが、よく見るとその内部に樹状に白い筋が入っています。
横向きの左端のものが分かり易いと思いますが、うねうねと表面まで伸びているようです。

同じ日に撮った、他の葉に着いた霜の様子はこちらを参照ください。葉の特徴で、霜の形態が異なります。

ムスカリ(Scilla hispanica)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・ツルボ属>
   
キジカクシ科ムスカリ属の多年草(球根植物)で、南アフリカ共和国ドラケンスバーグ山脈周辺の高原が原産地。
日本には、園芸品種として移入され、庭などで栽培されることが多い。
草丈は15〜20pほどで、葉は長さ10〜15p程の線形。
花期は3月〜5月で、ブドウ房のように卵状壺形の青色の花を付ける。
近年、人気品種となって、各地の公園などに植栽され、逸出して野生化したものが見かけられる。
良く見かけられる品種は、比較的大柄なアルメニアカム(Muscari armeniacum)、
小型のアウケリ(Muscari aucheri)、ネグレクタム(Muscari neglectum)などである。

2021/3/3
庭の片隅で、ムスカリが花序を立ち上げて、可愛らしい花を咲かせていました。
まだ、花序が十分に伸びきっていないので、葉の陰に半分隠れてしまっています。

ハナニラ(Ipheion uniflorum Raf.)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ネギ亜科・ギリエシア連・ハナニラ属>


 
ヒガンバナ科ハナニラ属に属する多年草で、アルゼンチン原産の帰化植物。
花の形からベツレヘムの星の別名がある。
日本へは明治時代に園芸植物として移入され、逸出して野生化している。
葉にはニラのようなにおいがあり、これが和名の由来である。
草丈は10〜20cmで、鱗茎から長さ10〜25cmのニラに似た葉を数個出す。
花期は3月〜4月で、鱗茎から数本の花茎を出し、直径3cm前後の花を単生する。
花は白色〜淡紫色の6花弁で、花弁の中央に紫色の筋が目立つ。
オシベは6個あるが、3個は花糸が長く、3個は花糸が短い。
開花を含めて、春季のみ地上に現れる。
ニラとは同じヒガンバナ科であるが属が異なり、有毒植物である。
ニラの花(蕾)を野菜の「花にら」として販売しているが、別物なので混同しないこと。

2021/3/3
実家近くの河岸を散歩中、土手の法面で花を咲かせているハナニラを見つけました。
周りを探しましたが、咲いているのはこの一角だけで、上段の写真に全てが写っています。
関東の多摩川の土手でも、逸出して野生化し、群落になっているのを見かけました。

キブサスイセン(Narcissus tazetta "Grand soleil d'Or")
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>
 

   
ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、地中海沿岸が原産地。
日本には、大正時代に渡来し、よく栽培されているが、新しい類似品種も多い。
花冠が黄色、副花冠が橙色の古いタゼッタ系園芸品種で、別名はグランドソレドール。
草丈は30〜45cmで、葉は4〜6個出て葉身は扁平。長さは30〜45cm程になる。
花期は12月〜2月で、花茎は葉と同長以上で、散形花序に5〜20個の花を付ける。
花は直径40mm前後で、花被片は鮮黄色で幅広の卵形。先端に微突起がある。
外花被片、内花被片が各々3個あり、半分程度が重なる。平開するが、反り返ることはない。
副花冠は杯型で平滑、黄橙色で内側にやや曲がり、縁は全縁。芳香がある。
オシベ6個(内3個が長く、3個は短い)とメシベの花柱は副花冠から突き出ることはない。
キズイセンは花がよく似ているが、葉は扁平ではなく、イグサのように細いことで区別できる。

2021/2/1
実家近くの河岸を散歩中、土手の際で花を付けているキブサスイセンの群落を見かけました。
ニホンスイセンを見かけた土手の対岸で、近くにはニホンスイセンの群落も見られました。
ニホンスイセンと同じタゼッタ系なので、花の色以外はニホンスイセンとよく似ています。
最初に見かけた小さな群落以外に、少し離れた所(上からは見えない)に大きな群落がありました。
ノジギクもそうでしたが、雑草が生い茂っているので、土手の上より対岸からの方がよく見えます。

 
2022/3/6
実家の庭に咲いていたキブサスイセンですが、オレンジと黄色の2色の副花冠が混在しています。
部屋に飾ろうと切り取って花瓶に生け、その後、副花冠に2種類の色があることに気づきました。
他の花茎の花や過去に撮った写真を見ても、副花冠の色はオレンジ色のみでした。
この花茎に咲く花のみ、副花冠が2色あり、この後、開花したツボミの副花冠も黄色でした。

グランドモナーク(Narcissus tazetta "Grand Monarque")
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>
 
        2021/2/7                   2021/2/7
   
2021/2/7            2021/2/10            2021/2/10
ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、オランダで作出された1759年以前の園芸品種。
草丈は20〜40cmで、葉は4〜6個出て葉身は扁平。
花期は2月〜4月で、花茎は葉とほぼ同長で、散形花序に5〜10個の花を付ける。
花は直径40〜45mm前後で、クリーム色〜白色の花被片は披針形で先が尖る。
外花被片、内花被片が各々3個あり、平開するが、反り返ることはない。
副花冠は杯型で浅く、明黄緑色で、縁は全縁。芳香がある。
オシベ6個(内3個が長く、3個は短い)とメシベの花柱は副花冠から突き出ることはない。

2021/2/7,10
実家近くの河岸を散歩中、土手の近くで花を付けているグランドモナークの群落を見かけました。
ニホンスイセンの群落に混じっていたので、最初、遠目からは見分けられませんでした。
近くに行ったとき、花被片が細長いことに気が付き、グランドモナークだと分かりました。
改めて、近くを探すとグランドモナークの大きな群落も見つかりました。
この土手で見かけたのは、本種で3品種目になりますが、咲き出すのは最も遅いようです。


2021/3/6
2月に見かけたときには咲き始めで、数えるほどしか咲いていなかったのですが、
1ヶ月経って満開近い状態になり、この辺りを白く染めていました。

ニホンスイセン(Narcissus tazetta var.chinensis Roem.)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>

2021/1/5
   
2021/2/10            2021/2/10            2021/2/10
ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、地中海沿岸が原産地。
日本でスイセンというと、このニホンスイセンの事を指すことが多い。
スイセン属の原種は多数あり、品種改良が盛んで、多くの品種が作出されている。
本種の属するタゼッタスイセンは、香りの良い房咲きの水仙である。
日本には、中国経由で室町時代以前に入ってきたとの説が有力である。
本州の関東以西の比較的暖かい海岸近くで野生化していて、群生も見られる。
草丈は20〜40cm、球根は卵形。葉は長さ20〜40cmの緑白色の線形で、縁は全縁で先は鈍形。
花期は12月〜4月で、葉の高さと同程度の花茎を出し、散形花序に4〜8個の花を付ける。
総苞は長さ3〜5cmの膜質で、直径3〜4cmの花には芳香がある。なお、花柄の長さは不揃いである。
花被の筒部は細くて、長さは2cm前後あり、粉白色〜淡緑色である。
花被片は3外花被片と3内花被片からなり、白色で幅広の広楕円形で、先は鋭形。
副花冠は黄色で、浅い杯型。花被の長さの半分以下で、縁は波打たない。
オシベは6個あるが、3個が長さ4mm前後で長いが、副花冠からは突き出ない。
メシベは1個で、子房下位で3室ある。

2021/1/5,2/10
実家近くの河岸を散歩中、土手の際で花を付けているニホンスイセンの群落を見かけました。
何ヶ所かで群生していたのですが、枯れた雑草の隙間から少しだけ顔を出しているものが多かったです。
上記は、その中でも道路際で比較的全体が見える群生を選んで撮影したものです。
単にスイセンと呼ばれることの方が多いのですが、スイセン属全体を指すこともあるので、
ここでは、あえてニホンを付けてニホンスイセンとさせていただきました。
名前から日本の在来種と思っておられる方もいますが、地中海沿岸が原産地の帰化植物です。

話は変わりますが、実家の畑の脇にもニホンスイセンが自生しています。
まだ、こちらは葉ばかりで花茎は出ていないのですが、直ぐ横にニラが自生しています。
一部が混生しているのですが、葉の幅が異なるので、見た目で区別は可能です。
しかし、毎年のようにニラと間違えて誤食する中毒事故が発生しており、要注意です。
どちらか迷った場合は、葉をもんで匂いを嗅ぐのが確実で、スイセンにニラ臭はありません。


北海道で野生化したスイセン

 

     .

ニホンスイセンが自生しているのは関東以西の暖地ですので、東北とか北海道では見られません。
代わりという訳ではないと思いますが、北海道を旅行した際に見かけたのが黄色いスイセンです。
どういった経緯で野生化したのかは分かりませんが、道内の草地や利尻島の沼際でも見かけました。
湿地には黄色いエゾノリュウキンカなどが咲いていましたが、明らかに葉の形が異なります。
バスの車窓から見かけたものが多く、あまり良い写真は撮れていません。
上段は、オホーツクラインを走行中に見かけたもので、矮性のキクラミネウススイセンと思われます。
下段左は上段の部分拡大で、右は利尻島のオタトマリ沼で撮ったものです。
利尻島では撮影チャンスだったのですが、あまり気にしていなかったので、風景の一部になっていました。
こちらは草丈がそこそこあるので、ラッパスイセンかタイハイスイセンではないかと思われます。


ヤエズイセン(Narcissus tazetta "Plenus")
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>


 
ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、地中海沿岸が原産地。
ニホンスイセンの八重品種で、別名はヤエニホンスイセンである。
ニホンスイセンと同様に、良く植栽されていて、関東以西の比較的暖かい所で野生化している。
草丈は20〜40cmで、葉は長さ20〜40cmの緑白色の線形で、縁は全縁で先は鈍形。
花期は12月〜4月で、葉の高さと同程度の花茎を出し、散形花序に4〜8個の花を付ける。
総苞は長さ3〜5cmの膜質で、直径3〜4cmの花には芳香がある。なお、花柄の長さは不揃いである。
花被の筒部は細くて、長さは2cm前後あり、粉白色〜淡緑色である。
オシベやメシベが花弁化して八重咲きとなっており、結実はしない。

2021/2/8
実家の庭にもニホンスイセンがたくさん植わっていて、あちらこちらで花を付けていました。
そのニホンスイセンの群落に混じって、八重咲きのヤエズイセンが咲いていたのに気が付きました。
ニホンスイセンばかりだと思って気にしていなかったので、おっという感じです。
陽当たりのためか、土手などと比べてニホンスイセンも咲き出すのはちょっと遅いようです。

シロバナスイセン(Narcissus papyraceus/Narcissus tazetta subsp. papyraceus)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>
 

   
ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、西ヨーロッパ、地中海沿岸、北アフリカが原産地。
別名はペーパーホワイトで、日本には平安時代に渡来したと考えられている。
初期にはタゼッタ系のスイセンとして扱われていたため、その亜種や変種されることもある。
草丈は20〜40cm、球根は長さ4〜6cmの卵形で、外皮は暗褐色。
葉は4個前後出て、葉身は扁平で長さ20〜40cm。粉白を帯びる。
花期は12月〜1月で、25〜35cmの花茎に散形花序を付け、5〜15個の花を付ける。
苞は淡褐色の紙質で、長さ4〜6cm。花は直径30〜50mmで、白色の花被片は倒卵形で先が尖る。
外花被片、内花被片が各々3個あり、平開するか、やや反り返る。
花被の筒部は長さ15〜20oで、基部に向かって徐々に細くなる。
副花冠は杯型で深さ2〜4mmとやや浅く、白色で縁は全縁で波打つ。花には芳香がある。
オシベ6個(内3個が長く、3個は短い)とメシベの花柱は副花冠から突き出ることはない。

2021/2/10
実家の庭にもニホンスイセンがたくさん植わっていて、あちらこちらで花を付けていました。
そのニホンスイセンの群落に混じって、八重咲きのヤエズイセンが咲いていたのに気が付きました。
ニホンスイセンばかりだと思って気にしていなかったので、おっという感じです。
陽当たりのためか、土手などと比べてニホンスイセンも咲き出すのはちょっと遅いようです。

フサザキスイセン(Narcissus tazetta)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>


 
ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、地中海沿岸が原産地。
スイセン属の原種は多数あり、品種改良が盛んである。
本種は、香りの良いフサザキスイセン(タゼッタスイセン)で、ニホンズイセンも含まれる。
日本には、室町時代以前に中国を経由して入ってきたとの説が有力である。
草丈は20〜40cmで、根際から平らな線形の葉を、時計回りに捻じれるように出す。
花期は12月〜4月で、花茎の先に散形花序を付け、多数の花を付ける。
副花冠は小さな杯状で、白色である。

2021/3/3
実家の庭で、2週間前には全く花が咲いていなかったスイセンに花が咲いていました。
周りの花からニホンスイセンだろうと思っていたのですが、最初に見たときペーパーホワイトに見えました。
しかし、副花冠が淡黄色で、黄色いニホンスイセンでも白いペーパーホワイトでもないようです。
調べてみたのですが、品種名までは分かりませんでした。

キクラミネウススイセン(Narcissus cyclamineus)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>


 
ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、西ヨーロッパのポルトガル、スペインが原産地。
草丈は15〜42cmで、球根は外側に膜質の薄皮があり、長さ11〜22mm。
葉は2〜3個付き、長さ13〜35cmの線形で縁は平滑。断面は台形で、捻じれない。
花期は3月〜4月初旬で、長さ13〜40cmの花茎を出し、直径3〜4cmの花を単生する。
花被片は黄色で、長さ15〜25oの広披針形で反り返り、先は鈍形。
副花冠も黄色で、長さ14〜20oの円筒形で、円鋸歯縁。
オシベは6個で、花糸は白色で葯は黄色。花柱は長さ15〜20oで、葯からは突き出る。
ティタテイト(Narcissus cyclamineus "Tete-a-Tete")は、ミニチュアスイセンの代表品種。
強健で、逸出してよく野生化する。

2021/3/6
実家近くの河岸を散歩中、土手の際で花を付けているキクラミネウススイセンの群落を見かけました。
1ヶ月ほど前には何もなかった所ですが、生え方を見ると人手で植えられたものと思われます。
といっても、植えられたのはずっと前だと思われます(周りに掘り返された後は見られません)。
民家の庭先でもよく見られる、矮性品種の代表格である「ティタテイト」だと思います。

ラッパスイセン(Narcissus pseudonarcissus L.)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>
 
ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、西ヨーロッパのスペインからイギリスにかけてが原産地。
一茎一花で、副花冠がラッパ状に前に付き出た品種で、副花冠が花被片以上に長い品種である。
球根は卵形で、長さ3〜5cmほどで、外皮は淡褐色。
葉は3〜4個出て、葉身は扁平で、長さは20〜40cm程になる。
花期は3月〜4月で、花序は長さが25〜50cmと葉より長く、苞は淡褐色。
花の直径は30〜50mmで、花被片6個(花弁3個、萼片3個からなる)は、ほぼ同形状、同色である。
花被の筒部は長さ15〜20oで基部は急に細くなり、筒部の先で裂開した花被片はほぼ平開する。
その中央から長さ30mmほどの副花冠が伸び、副花冠の先はフレア状に、しわになる。
オシベ6個は副花冠の中ほどまで突き出て、メシベの花柱は葯より数mm前に突き出る。

2021/3/6
実家近くの河岸を散歩中、土手の際で花を付けているラッパスイセンを見かけました。
おそらく、放棄された球根が根付いてものと思われ、2ヶ所で花を付けていました。
近くには、キブサスイセン、ニホンスイセン、ペーパーホワイトの小さな群落も見られます。

ナツズイセン(Lycoris squamigera)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・ヒガンバナ連・ヒガンバナ属>

ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、有毒植物。
古い時代に中国から渡来した「史前帰化植物」と考えられている。
和名の由来は、葉がスイセンに似ていて、花が夏に咲くことから付けられたもの。
花期に葉がないことから、別名「裸百合」とも呼ばれる。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布している。
秋から翌年の春にかけてスイセンに似た葉を出し、8月の地中旬から下旬に花を咲かせる。
地下に鱗茎を持ち、花期に鱗茎から60cmほどの花茎を1本伸ばす。
花茎の先に数輪のピンクの花を付け、6枚の花被片は反り返る。

2021/3/3
実家の庭で昨夏に花を付けていたナツズイセンですが、春が近づいて葉の展開を始めていました。
2月の中頃、いくつかの根茎から葉の先端が地表に出ているのを確認していました。
それから半月ほどで、ここまで伸び出したようです。4月頃には数十cmまで伸びると思います。


2021/3/29
3月も末になると、ナツズイセンの葉がずいぶんと伸びていました。
さらに伸びると思いますが、この葉で栄養を地下の鱗茎に蓄え、花を咲かせる準備をします。









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