相模原北公園・道保川公園の野草(秋)
和名インデックス |
オヤマボクチ(Synurus pungen)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・ヤマボクチ属> キク科キク科の多年草で、在来種。 北海道から本州の岐阜県以北、四国に自生する。海外では、朝鮮半島に自生する。 草丈は1m以上になり、茎は直立して分枝する。茎にはくも毛がある。 葉は互生し、下部の葉には長い柄があり、葉身も数十cmになり、卵状長楕円形で先が尖る。 上部の葉は、上に行くほど小型になる。葉裏にはくも毛が密集する。 茎先や上部の葉腋から頭花を出し、頭花は下垂する。 総苞は長さ3cmほどの球形で、総苞片は線状披針形で先が尖る。 若い頭花は、鮮やかな緑色であるが、時間と共に紫色を帯びてくる。 その後、濃紫色の筒状花が顔をのぞかせ、下向きに開花する。 オヤマボクチは、「雄山火口」と書き、その繊維を火起こしの火口(ほくち)に用いたのが名の由来。 その繊維は無味無臭のため、蕎麦のつなぎや草餅などのつなぎに用いられている。
2018/10/4
林内の通路脇で見かけたオヤマボクチ。そろそろ開花したころかと見に行ってみました。 しかし、行ってみると台風の影響で、倒木や折れ枝(上に引っかかったまま)などのため、通行止め。 どこかに確認できるところはないかと探したところ、外周道路から見える所に少し見られました。 上段左の株は、上から折れた枝が覆いかぶさっていました。風で折れているもの見見受けられます。 肝心の開花状況ですが、下段のように色が変わり始めたものが大半で、一部が紫色になっていました。 開花しているものは見られず、開花にはもう少し時間が必要なようです。 2018/11/18 なかなか出かける機会がなく、やっと確認に来れたのは1ヶ月半も過ぎたときでした。 既に開花は終わっているかもと思いながら、確認すると右端のようなものばかりです。 やはり、終わってしまったかと思ったとき、背中を見せていた花に白いものが見えました。 反対側から見ると、まだ、開花中で白い花粉をたくさん付けていました。 他にも無いかと探したのですが、残っていたのは咲き終わりに近いこの1輪だけでした。 | |
オオブタクサ(Ambrosia trifida)
<キク目・キク科・キク亜科・ブタクサ属> キク科ブタクサ属の1年草で、北アメリカ原産の帰化植物。別名のクワモドキは、葉の形が似ているため。 日本では、ほぼ全国に分布している。海外でもヨーロッパ、アジアに帰化し、分布している。 草丈は30cm〜3mで、茎は直立して上部で分枝する。茎には粗毛が生えている。 葉は対生し、葉身は長さ10〜30cmの卵形〜楕円形で、掌状に3〜7裂する。小さいと全縁になる。 裂片は細長く尖り、両面とも細かい粗い毛と腺点があり、ざらつく。 葉の基部は切型〜楔型で、縁には鋸歯があるが、稀に全縁となる。葉柄は長さ1〜3cm。 花期は8月〜9月で、茎頂に長い総状花序を出して雄頭花を付け、基部の苞葉内に雌頭花をつける。 雄頭花は下向きに垂れ下がって多数付き、長さ1〜3mmの花序柄がある。 総包片は合着して直径2〜4mmの皿形になり、3〜25個の雄性の筒状花が付く。オシベは5個。 苞葉の中に2〜3個の雌頭花が付き、雌頭花は緑色のつぼ型の総苞にメシベのみで、柱頭は2裂する。 果実は長さ5〜10mmの偽果であり、先はくちばしとなり、総苞が硬化した刺状の突起が取り巻く。
2018/10/4
オヤマボクチを探して、林の周りをうろうろしているときに見かけました。 最初、見たときに草丈が50cmもなかったので、ブタクサではと思いました。 しかし、葉を見ると細裂していません。他にはオオブタクサ意外に思い当たりません。 他に似た草本はあったかと、後で調べましたが他にはなく、オオブタクサとしました。 オオブタクサにしては背が低いのですが、日陰で成長が遅いためでしょうか。 株が小さいためか、右の写真では葉は全て全縁で、掌状に裂けていません。 ただ、左の写真では、2〜3裂した葉が見えるので、オオブタクサで間違いはないと思います。
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ムラサキカッコウアザミ(Ageratum houstonianum)
<キク目・キク科・キク亜科・カッコウアザミ属> キク科カッコウアザミ属の1年草(原産地では多年草)で、メキシコ、ペルー等の南米が原産地。 世界中に広く帰化しており、多くの園芸品種がある。逸出して野生化している所もある。 別名はオオカッコウアザミで、アゲラタムの名前で販売もされている。 草丈は矮性種で30cmほど、高性種で50〜70cmになり、茎や葉に白色の長い軟毛が生える。 葉は、下部では対生となり、上部では互生となる。葉身は2〜10cmの卵形。 葉の基部は浅い心形で、先は尖り、縁には鋸歯がある。 花期は6月〜11月で、茎頂に散房花序を付け、直径1〜2cmの頭花を多数付ける。 頭花は筒状花のみからなり、花色は紫、ピンク、白などがある。 花冠の先は5残裂し、花冠と同色の長い花柱の枝が飛び出していて、これが花弁に見える。 総苞は半球形で、披針形の総苞片は2〜3列付き、開出毛が散生する。 よく似たカッコウアザミは、同じ南米原産の帰化植物である。 花色が白色〜淡紫色で、花が直径6mm前後と小さい。 こちらも栽培されていたものが逸出して野生化している。
2018/10/4
公園内の通路脇で見かけたムラサキカッコウアザミです。 植栽されたものか、逸出して野生化したものなのかは定かではありません。 他に咲いている花がない所でしたので、けっこう目立っていました。 | |
ヒガンバナ(Lycoris radiata)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・ヒガンバナ連・ヒガンバナ属> ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、原産地が中国の古い時代の帰化種。 日本では、北海道から四国、九州と全国に広く分布している。 日本以外では、朝鮮半島から中国南部に広く自生している。 ヒガンバナは、遺伝的に同一であり、三倍体のため、種子で増えることはない。 そのため、中国から帰化した1つの球根から、全国に広がったものと思われる。 鱗茎は直径1〜3cmの類球形で、草丈は30〜50cmになる。 葉は花後の10月頃に出て、翌春に枯れる。長さ30〜60cmの線形で、新緑色で光沢がある。 花期は8月〜9月で、長さ30〜50cmの花茎のみを立ち上げ、散形花序に花を4〜7個付ける。 6個の花被片は鮮紅色で、長さ4cm前後の狭披針形。強く反り返り、縁が強く波打つ。 2個の総苞は、披針形で長さ3cm前後。オシベは6個とメシベ1個は、花被片より長く突き出す。
2018/10/4
ヒガンバナの花期は過ぎており、花のない花茎がニュキニョキと林の中に立っていました。 所々で、咲き遅れたものが花を付けているといった状況です。
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ナンバンギセル(Aeginetia indica)
<ゴマノハグサ目・ハマウツボ科・ナンバンギセル属> ハマウツボ科ナンバンギセル属の1年草で、在来種。ススキの根など寄生する。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、中国、台湾、東南アジア、南アジアのベトナムからインド辺りまでに分布する。 草丈は10〜30cmで、茎は基部近くで分枝し、葉は長さ10mmほどの卵状披針形。 花期は7月〜10月で、長さ10〜30cmの花柄を立ち上げ、先に横向きに花を付ける。 花冠は淡紫色で、長さ20〜45mmの筒状で、先は浅く5裂する。縁は全縁。 花冠の先は、わずかに開く程度であり、開かないことも多い。 萼は黄褐色で淡紅紫色の筋が入り、上側の先が尖る。 果実は刮ハ(さくか)で、長さ10〜15mmの卵状球果。 萼に包まれたまま熟し、中には極小さな黄色の種子が多数入っている。
2018/10/4
公園内の通路脇で見かけたナンバンギセルです。強烈な赤紫色の花なので、小さくても目立ちます。 花冠が開いているものがあったので、中を見てみたのですが、丸いメシベの柱頭が見えました。 2018/10/17 オヤマボクチのその後の様子を見に行った際、ナンバンギセルのその後の様子です。 花はすっかり咲き終わり、手前の花では、メシベの白い花柱が、むき出しになって突き出しています。 中央の花では、果実が膨らみだしていました。
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シモバシラ(Aeginetia indica)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ナギナタコウジュ連・シモバシラ属> シソ科シモバシラ属の多年草で、枯れた茎に霜柱が出来ることで知られる。 日本の固有種で、関東以南の本州、四国、九州に分布する。 宿根性の多年草である。茎は断面が四角形をしており、やや木質化する。 草丈は40〜70cmほど、先端に向けてやや水平向きに曲がる。 葉は茎の節毎に対生に出て、長さ8〜20cmの楕円形、薄くて柔らかくてつやがなく、縁に軽い鋸歯がある。 花期は9〜10月で、茎の先端側半分くらいの葉腋から総状花序を出す。 花序の軸は真上に伸び、花はその軸の茎先側に偏って付く。 従って、水平になった茎から花序だけが立ち上がったおもしろい姿となる。 花はほぼ真横を向いて咲く。花冠は白く、釣り鐘状で、オシベはそこから突き出す。 | |
アメジストセージ(Salvia leucantha)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・アキギリ属> シソ科アキギリ属の多年草で、メキシコ・中央アメリカ原産の園芸品種。 別名は、メキシカンブッシュセージ、サルビア・レウカンサで、名前の通りサルビアの仲間。 比較的大型で、草丈は1m前後になる。茎には4稜があり、若い茎には白色の毛が厚く付く。 葉は対生し、葉身が6〜9cmの長楕円状披針形で、上面は灰緑色で細かいしわが目立つ。 葉身の下面には白毛が多く、そのため帯白色に見える。 短日植物で夜が長くなると茎頂に穂状花序を出し、花芽を付ける。 原産地では、冬から春にかけて開花するが、日本では、条件の合う秋から冬前までが開花期。 萼は鐘型の紫色で、ベルベット状に毛が生えており、そこから花冠が伸びる。 花色は、野生のものは普通は白色であるが、園芸品種には赤紫色やピンクなどもある。
2018/11/18
バラの花木園近くで、アメジストセージ(下段)とメキシカンブッシュセージ(上段)の名板が付いていました。 花冠の色が萼と同じ赤紫色を帯びるか白いかの違いはありますが、どちらも学名はサルビア・レウカンサ。 つまり、同じ種であり、メキシカンブッシュセージはアメジストセージの別名です。 野生種は白いものが多いそうなので、白いものが原種に近く、赤紫色のものは園芸品種です。 | |
ホットリップス(Salvia microphylla Hot Lips)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・アキギリ属> シソ科アキギリ属の多年草で、原産地はメキシコ。標高2400m以上に自生する。 日本では、サルビア・ミクロフィラをチェリーセージと呼ぶことが多い。 しかし、ミクロフィラ、グレッキー、ホットリップスをまとめてチェリーセージと呼ぶこともある。 花冠の基部に小さな突起物があるのがサルビア・ミクロフィラで、サルビア・グレッキーとの違いである。 なお、ホット・リップスは、ミクロフィラとグレッキーの交雑種(Salvia×jamensis)とも考えられている。 草丈は60〜120cmで、地下茎を出して横に広がり、叢生する。茎の基部は木質化する。 葉は対生し、長さが2cm前後の卵形で、縁には鋸歯がある。 葉や花には甘い香りがあり、これが英名(cherry sage)の由来である。 花期は4月〜11月と長く、頂生する穂状花序にまばらに花を付ける。 花冠は2唇形で、下唇がまるく大きく広がる。 暑いときには赤一色となり、気温が低くなるにつれて白い部分が増えて、ツートンカラーとなる。 なお、赤い花、ツートンカラーの花、白い花が混在して咲いていることがある。
2018/11/18
バラの花木園近くで、アメジストセージの近くで見かけました。 花期はほぼ終わりなのか、花は4個だけ付いていました。 寒くなると白い部分が増える品種なので、下段が赤白の2色、上段は白のみでした。 | |
オオムラサキシキブ(Callicarpa japonica var. luxurians)
<シソ目・シソ科・ムラサキシキブ属> シソ科ムラサキシキブ属の落葉低木で在来種。ムラサキシキブの海岸型変種とされている。 日本では本州の房総半島から沖縄にかけて分布し、海岸に近い低地林などに自生する。 海外では、台湾や朝鮮半島の南部にも分布する。 樹高は1〜3mになり、幹は灰褐色で惰円形の皮目がある。新枝には星状毛と腺点がある。 葉は対生し、葉身は長さ6〜14cmの長楕円形で、無花枝の葉は一回り大きくなる(〜20cm)。 葉身の先は尖り、基部は楔型。基部を除いて鋸歯がある。 花期は6月〜7月で、葉腋に集散花序を上向きに出し、白色〜淡紫色の小花を多数付ける。 花冠は長さ5〜8oの筒状で、先が4裂して直径3〜5oに開く。 オシベが4個、メシベは1個で、柱頭は平たい。 果実は核果で、直径3〜5mmの球形。秋には紫色に熟す。
2018/11/18
アジサイの丘近くで、オオムラサキシキブが紫の果実を付けているのを見かけました。 同じ紫の果実でも、コムラサキはよく見かけますが、オオムラサキシキブは始めてみました。 一般家庭では、コムラサキの方が実付きが良く、こじんまりとしているので管理しやすいためと思います。
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モッコク(Ternstroemia gymnanthera)
<ツツジ目・モッコク科・モッコク連・モッコク属> モッコク科モッコク属の常緑高木で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで、海岸近くに自生する。 海外では、台湾、朝鮮半島南部から中国、東南アジア、インドまでの暖地に分布する。 樹高は10〜15mで、樹皮は平滑な暗灰色〜黒灰色にゴマ状の小さい皮目がある。 葉は互生し、枝先に集まって付き、葉身は長さ4〜7cmの楕円状卵形。 葉先は鈍頭で、基部は楔形、縁は全縁。厚い革質で光沢があり、両面無毛。 葉柄は長さ3〜6mmで、十分に陽が当る所では赤みを帯びる。 花期は6月〜7月で、両性花を付ける株と雄花の実を付ける株がある。 葉腋に直径2cm前後の花を下向きに単生し、雄花はメシベが退化してオシベが3列に多数付く。 両性花は1個のメシベの周りにオシベが1列に付く。 花は白い5花弁で、萼片も5個。花柄は長さが1〜2cm。 果実は刮ハで、直径は直径10〜15mmの球形。秋に赤く熟し、果皮が不規則に裂開する。 種子は長さが7mm前後の倒卵形で、橙赤色。仮種皮はない。
2018/10/17
公園の第2駐車場近くで、モッコクが赤く色付いた果実をたくさん付けていました。 中には、果皮の一部がはげ落ちて、中の赤い種子が見えているものもありました。 2018/11/18 1ヶ月ほど経った頃、見に行くとほとんどが落果してしまっていました。 拾って帰って撮ったのが上の写真で、果皮は枯れてしまっていますが、種子の色は残っていました。 2018/12/9 モッコクの果皮も中途半端に割れたままで、種子が出てくることはありませんでした。 そこで、果皮を割って種子を取り出してみたのですが、その時に気づいたのです。 種子の橙赤色は、種皮の色ではなく、粉のようなものが付いているだけだと。 手に橙赤色の粉のようなものが付き、紙にもその色が付きました。地色は、黄褐色でした。 取り出した後、紙と擦れた手前の種子の色を見ていただければ、良く分かると思います。
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シャリンバイ(Rhaphiolepis indica var. umbellata)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・シャリンバイ属> バラ科シャリンバイ属の常緑低木で、在来種。 日本では、本州の東北地方以南から四国、九州にかけて海岸近くに自生している。 海外では、朝鮮半島、台湾に分布する。 樹高は1〜4mで、若い枝には褐色の軟毛があり、小枝は輪生状に付く。 葉は互生し、葉身は長さ4〜8cmの長楕円形で、革質で光沢があり、浅い鋸歯がまばらにある。 葉先は尖るものと、丸いものがあり、丸いものはマルバシャリンバイと呼ばれることもある。 ただ、中間型もあり、両者を明確に区別することができないため、種内変異とされる。 花期は5月〜7月で、枝先に総状花序を出し、直径10〜15mmの白い5弁花を多数付ける。 花弁は長さ1cm前後の倒卵形で、先は丸く、しばしば歯牙がある。 萼筒は漏斗状で、萼片は長さ5mm前後の卵状三角形。先が尖り、褐色の軟毛が密生する。 果実は直径7〜12oの球形で、10月〜11月に黒紫色に熟し、白粉を被る。 中には直径7〜8oの球形の種子が1個入っており、褐色で光沢がある。
2018/10/17
公園の第2駐車場近くで、シャリンバイが白粉をおびた暗赤紫色の果実をたくさん付けていました。 その脇に、なぜか春に咲くはずの花が咲いていました。それも1つではなく、何個も。 今年の天候不順による狂い咲きなのでしょうか。この時期に咲いているのを見たのは初めてです。 | |
メタセコイア(Metasequoia glyptostroboides)
<マツ目・ヒノキ科・メタセコイア属> ヒノキ科メタセコイア属の落葉樹で、日本では化石が各地の新生代第三紀層に見られる。 1属1種で、和名はアケボノスギ(曙杉)、イチイヒノキ。 化石のみの発見であったため、絶滅植物と考えられていた。 なお、化石はカナダ北部、シベリア、グリーンランドなど北半球の北極周辺で見られる。 1945年に中国四川省(現在の湖北省)で自生が確認され、生きた化石と呼ばれる。 樹高は25〜30m、幹直径は1.5mになり、樹形は円錐形になる。 葉は長さ30mm、幅2oほどの線形で、羽状に対生する。また、枝も対生して付く。 花期は2月〜3月で、雌雄同株。雄花は総状花序となって枝から垂れ下がる。 秋には赤茶色に紅葉し、落葉する。また、無数の種子(黄褐色のおがくず状)も落下する。 メタセコイアの種子の発芽率は良くないが、日本では発芽すると成長は早い。
2018/11/18
公園の第2駐車場から花木園に向かう途中、通路脇にメタセコイアの果実が落ちていました。 近くにはラクウショウの果実も落ちており、両者が混生していたようです。 どちらも大木なので、近くで見ると見分けが付きません。果実を見るまで、混生に気が付きませんでした。
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ラクウショウ(Taxodium distichum)
<マツ目・ヒノキ科・ヌマスギ属> ヒノキ科ヌマスギ属の落葉針葉高木で、アメリカ大陸東南部からメキシコが原産地。 ラクウショウ(落羽松)の別名は、ヌマスギ(沼杉)。 湿潤地に適応した樹木で、根元が少し水につかるような沼沢地では気根を出す。 樹高は日本では20m程になり、幹直径は70cm程になる。原産地では50mに達する。 葉は長さ30mm、幅2oほどの線形で、羽状に互生する。また、枝も互生して付く。 花期は4月〜5月で、雌雄同株。雄花は総状花序となって枝から垂れ下がる。雌花は松毬状。 秋には赤茶色に紅葉するが、きれいな時期は短い。葉が付いた枝ごと落下することが落羽松の由来。 果実は球形で、直径が2〜3cmで変異が大きい。秋には暗褐色に熟し、落果する。
2018/11/18
公園の第2駐車場から花木園に向かう途中、通路脇にラクウショウの果実が落ちていました。 近くにはメタセコイアの果実も落ちており、両者が混生していたようです。 どちらも大木なので、近くで見ると見分けが付きません。果実を見るまで、混生に気が付きませんでした。 湿地であれば気根が出るので気が付くのですが、この場所は乾燥地なので気根は出ません。 2018/12/9 ラクウショウの果実ですが、いつまでたってもばらけず、元の形を保っています。 仕方がないので強制解体し、バラバラにして撮影しましたが、それが上の写真です。 表面の果鱗と内部の種子は対応しておらず、果鱗の形状とは無関係にぴったりと詰まっていました。 表面の果鱗だけがはがれますが、その下部にある歪な形の暗褐色のものが種子のようです。
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ソヨゴ(Ilex pedunculosa Miq.)
<モチノキ目・モチノキ科・モチノキ属> モチノキ科モチノキ属の常緑低高木で、在来種。 日本では、本州中部から四国、九州に分布する。海外では、中国と台湾に分布する。 樹高は3〜7mで、樹皮はなめらかで皮目が多い灰褐色。なお、本年枝は淡緑色。 葉は互生し、長さ6cm前後の先の尖った楕円形で、基部は丸みを帯び、2p程の葉柄がある。 縁は全縁で、ゆるく波打つ。両面とも無毛で、表面は深緑で光沢があり、裏面はやや白っぽくなる。 花期は5月〜7月で、本年枝の葉腋から長い柄を出して直径4oほどの白い花を付ける。 雄花序は2pほどの柄の先に付き、5個前後の花を散形状に付ける。 花弁は4〜5個で、同数のオシベと退化したメシベがある。萼片も同数ある。 雌花は4p程の柄の先に普通1個、稀に数個付き、花柄の途中に小さな苞葉がある。 花弁は4〜5個で、同数の退化したオシベとメシベがあり、子房は緑色の半球形で、柱頭は1個。 果実は核果で、直径8mmほどの球形。秋に赤く熟す。
2018/10/17
園内を歩いていた時、通路脇に大きなソヨゴの木があるのに気が付きました。 花は小さいので気付きにくいですが、果実が大きくなり、色付き始めていたためです。 自宅近くに雌株はあるのですが、雄株が近くに無いようで、めったに結実しません。 この木の近くには雄株があるのでしょう。たくさんの果実が付いていました。 2018/11/18 1ヶ月ほど経って見に行くと、ソヨゴの果実はすっかり赤く熟していました。 ただ、果実の色は赤いのですが、背が高くて日陰になっているので、全く目立ちません。
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ユズリハ(Daphniphyllum macropodum)
<ユキノシタ目・ユズリハ科・ユズリハ属> ユズリハ科ユズリハ属の常緑高木で、古名はユズルハ。雌雄異株。 日本では、本州の福島県以西から四国、九州、南西諸島に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国中部に分布する。 樹高は10m程になり、葉は長楕円形で葉身は20cm程になり、枝先にらせん状に付く。 花期は、5月〜6月で、花被(萼と花冠)がなく、葉腋から総状花序を出す。 雄花は、6〜12本のオシベのみで、開花前は赤紫色の葯が目に付くが、裂開後には紫褐色になる。 雌花は、卵形の子房の先に2〜3裂した花柱があり、オシベは退化して子房の周りに付いている。 果実は、1cm程の卵状で、表面に粉をふき、花柱が黒く残る。11月頃に黒く熟す。 有毒植物で、多くのアルカロイドを含み、家畜が誤食した中毒例の報告がある。
2018/11/18
北公園の縁に植えられていたユズリハに、何株か雌株があり、たくさんの果実が見られました。 果実はすっかり黒く熟して、表面に白い粉を噴いていました。
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タイワンホトトギス(Tricyrtis formosana Baker)
<ユリ目・ユリ科・ホトトギス属> ユリ科ホトトギス属の多年草で、在来種。日当たりの弱いところに生える。 日本では、西表島のみと自生地が限られ、個体数も少ない。 園芸用に販売されているのは、タイワンホトトギスとホトトギスの交雑種と言われている。 茎は屈曲し、葉は互生する。葉身は長さ10cm前後の狭卵形で、縁は全縁、基部は茎を抱く。 茎や葉表は無毛かわずかに毛がある程度であるが、葉裏は有毛。 花期は9月〜10月で、茎頂や葉腋に集散花序を出し、まばらに花を付ける。 雌雄同花で上向きに咲き、青紫白色の花被片は斜め上向きに開く。表面に濃い紫色の斑点がある。 花被片基部の内面にある橙色の斑紋はやや不鮮明。花柱や柱頭、花糸にも斑点がある。 ホトトギスの和名は、斑点の入る花が、ホトトギスの胸の模様に似ることに由来する。
2018/10/4
公園内の通路脇に植栽されたタイワンホトトギスが、たくさんの花を付けていました。 林内の通路が台風の影響で通行止めのため未確認ですが、ヤマホトトギスもどこかに自生していると思われます。 |