相模原北公園・道保川公園の野草(春)
和名インデックス |
チリアヤメ(Herbertia lahue)
<キジカクシ目・アヤメ科・ヘルベルティア属> アヤメ科ヘルベルティア属の多年草で、チリ、アルゼンチンが原産地。 日本では、園芸品種として栽培されているが、関東以西の平野部では逸脱して野生化しているところもある。 条件が良いとこぼれ種で自然に増え、芝生の中などで点々と可憐な花を咲かせていることがある。 草丈は5〜10cmで、夏の間は休眠し、秋にひだのある針状の葉を四方に数枚出す。 花期は4月〜5月中旬で、草丈の割に直径3cmほどと大きめの濃青色の花を付ける。 花は、丸みのある3個の外花被片と、小さな3個の内花被片からなり、中心部に濃淡の模様がある。 なお、花は朝に開花して、夕方にはしぼむ1日花であるが、次々と咲き続ける。 球根は小さな紡錘形で、下方に伸長肥大し、さらにけん引根に引かれて、地中深くに潜る。
2017/5/24
バラ園の外れにあった裸地、その一部に本種が緑色の花茎を点々と立ち上げていました。 半分以上は既に果実になっていましたが、まだ、ポツリポツリと花を付けていました。 撮影したのが午後だったので、既にしぼみかけていたのか、大きく開いたものは見当たりませんでした。
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キクザキイチゲ(Anemone pseudoaltaica H.Hara)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・イチリンソウ属> キンポウゲ科・イチリンソウ属の多年草で、在来種。 日本では北海道から本州の近畿以北に分布し、海外では朝鮮半島に分布する。 草丈は10〜20cmで、茎は直立して、茎葉が3枚輪生する。 葉は、長さが3〜10cmの3出複葉で、小葉は深裂する。 花期は3月〜5月で、茎頂に直径2〜3cmの花を1個付ける。 なお、花弁に見えるのは萼片で、淡青紫色〜白色と変異があり、長楕円形で8〜13個付く。 和名は、花の形が菊に似ることに由来する。 花後、落葉広葉樹林の若葉が広がる頃には地上部は枯れてなくなり、翌春まで休眠する。 アズマイチゲによく似ているが、葉の切れ込みが本種の方が深く、その点で区別可能。
2008/3/16
林内の落ち葉の間からキクザキイチゲが顔を出して、可憐な花を咲かせていました。 花弁のように見える萼片の色は、淡赤紫色のものや極淡い紫や白色に近いものもありました。 | |
スハマソウ(Hepatica nobilis var. japonica f. variegata)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・ミスミソウ属> キンポウゲ科ミスミソウ属の多年草で、在来種。 雪の下でも常緑であることからユキワリソウ(雪割草)の名でも知られる。 北半球の温帯に自生し、日本では東北と関東地方、四国に分布する。 3裂した葉の裂片の先は尖らず、円頭となる。葉には白斑が入ることが多い。 花期は3月〜4月で花茎の頂端に1つの花を付ける。萼片のように見えるのは茎葉。 花弁のように見えるのは萼片で、直径10〜15oで7個前後。花弁はない。 色は太平洋側のものは白色が大半だが、日本海側のものは紅色から紫色を帯び、変異は少ない。
2008/3/16
ユキワリソウと呼ばれるのは、本種以外にミスミソウ、オオミスミソウがあります。 大まかには、ミスミソウは西日本、オオミスミソウは本州日本海側、スハマソウは東日本に分布しています。 そして、ミスミソウは葉の先端が少し尖り、スハマソウは尖らずに丸いのが特徴です。 花の直径はスハマソウが10〜15mmなのに対して、オオミスミソウは15〜20oとやや大きいです。 本種の場合、撮影地が関東であり、葉の先が丸い点から、スハマソウと判断しました。 なお、萼片が紅色なので、日本海側のものを植栽している可能性もあります。 | |
ウメ(Prunus mume)
<バラ目・バラ科・サクラ属> バラ科サクラ属の落葉高木で、中国原産とされる。 日本には古代に持ち込まれたとの説や日本原産との説もあり、明確ではない。 ウメは、花を楽しむ観賞用品種と、実を取るための実梅品種がある。 また、ウメは、「自花不結実性」が強く、2品種以上混生させないと結実しない品種がある。 ウメは、一節に花が一つしか付かないため、複数の花が付くモモよりも華やかさは劣る。 花色は、白からピンク、赤まで種類は多く、一重と八重がある。 ※ 果肉には、クエン酸をはじめとする有機酸が多く含まれるため、健康食品として販売される。 しかし、未成熟な果実や核の中の種子には、青酸配糖体が含まれ、条件によっては有毒となる。 といっても、梅酒の未成熟な実や梅干しの種は、アルコールや塩分で毒性は低下している。
2008/3/16
相模原北公園の一角には、梅園があり、木の数はそう多くはありませんが、ウメの花を楽しめます。 樹種は普通のものや枝垂れがあり、花も白梅から紅梅まで様々な花色のものが植えられています。 | |
ノイバラ(Rosa multiflora)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・バラ属> バラ科バラ属のつる性落葉低木で、日本のノバラの代表種。 沖縄以外の日本各地の山野に多く自生する。 日本以外では朝鮮半島に分布する。 樹高は2mほどになり、茎は枝分かれして直立するが、他のものに寄り掛かって這い登ることも多い。 葉は互生し、長さ10pほどの奇数羽状複葉で、小葉数は7〜9個。 小葉は楕円形で細かい鋸歯があり、表面に艶がない(テリハノイバラは艶がある)。 花期は5月〜6月で、枝先に円錐花序枝を付け、白色または淡紅色の花を多数付ける。 花は直径2cmほどで、5個の花弁は倒卵形。オシベは多数。 メシベは無毛で、花柱はゆるやかに合着して柱状になる。 果実に見えるのは偽果で、萼筒が肥大したもの。直径8mm前後の卵球形で、秋に赤く熟す。
2017/5/24
バラ園の一角にノイバラが植えられていました。 野生のノイバラと違って、しっかりと手入れされているので、花が一回り大きいように思います。 なお、右下の葉の写真を見ればわかる通り、葉に艶がないので、ノイバラで間違いはないと思います。
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バラ(Rosa)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・バラ属> バラ科バラ属の総称がバラで、また、特に園芸種の総称として使用される。 バラの分類方法には確定したものはなく、いろいろな分類方法がある。 系統による分類、花弁の数による分類、花の形による分類、花期による分類、樹形による分類などがある。 ・系統による分類(原種の原産地、園芸品種[オールドローズ、モダンローズ]) ・花弁の数による分類(一重咲き、半八重咲き、八重咲き) . ・花の形による分類(平咲き、カップ咲き、ロゼット咲き、ポンポン咲きなど) . ・花期による分類(一季咲き、返り咲き、繰り返し咲き、四季咲き) . ・樹形による分類(立木性、半つる性、つる性など) . バラの人類との関わりは古く、古代バビロニアに遡る。 古代ギリシア、ローマでは、愛の女神アプロディテ、ヴィーナスと関係付けられていた。 近代になって1867年にフランスでハイブリッド・ティー(HT)系が作出され、モダンローズの幕開けとなった。 1900年には黄色いバラが作出されるなど、欧米での品種改良が進んだ。 1911年にデンマークで耐寒性の高い品種としてハイブリッド・ポリアンサ系が作出された。 これを受けてアメリカで改良が続けられ、フロリバンダ系(FL)と命名されている。
2017/5/24
相模原北公園の花木園にあるバラ園。5月下旬から6月上旬にかけて、春のバラが満開になります。 バラ園に降りる階段やその周りにも多くのバラが植えられており、花や香りを楽しむことができます。 なお、この時確認できた品種に関しては、こちらの一覧を参照ください。 | |
ミツマタ(Edgeworthia chrysantha)
<フトモモ目・ジンチョウゲ科・ミツマタ属> <ミツマタ> <アカバナミツマタ> ジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木で、中国〜ヒマラヤが原産地。 日本では林内で野生化しているものも多い。 樹高は1〜2mで、よく分枝して半球形の樹形を作る。樹皮は灰色で縦の筋がある。 本年枝は必ず三つ又になって出てくるため、これが和名の由来。 葉は互生し、葉身は長さ5〜20cmの長楕円形で、先は尖り、基部はくさび形。 縁は全縁で、両面に白灰色の柔毛があり、特に裏面に多い。葉柄は長さ5〜10mm。 花期は3月〜4月で、葉の展開前に開花する。枝先や葉腋に頭状花序を付ける。 花序には小花が30〜50個ほど下向きに集まって付く。 花は両性花で、花弁はなく、萼は長さ13〜20oで、長さ13〜20oで先が4裂する。 萼裂片の外側には白い絹毛が密生し、内側は鮮黄色。 なお、園芸品種には内側がオレンジ色〜朱色のアカバナミツマタがある。 オシベは8個で、4個ずつ2段になって短い花糸で萼に付く。メシベは1個。 果実は核果で、堅果は長さ8mmほどの楕円体。6月〜7月に熟し、緑色で有毛。
2008/3/16
相模原北公園の花木園には、多くのミツマタが植栽されています。 その多くはミツマタですが、アカバナミツマタも所々に植えられており、赤と黄色のコントラストが楽しめます。 | |
ヤマボウシ(Benthamidia florida)
<ミズキ目・ミズキ科・ミズキ亜科・ヤマボウシ属> ミズキ科ヤマボウシ属の落葉高木で、自生種。 日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。 花は5〜6月に開き、淡黄色から淡緑色で小さく、多数が球状に集合している。 白い大きな花弁のように見える総包片が4枚あり、その中央に花が付く。 花弁は数mm程で4枚、オシベも4本で、花柱は1個である。 ハナミズキの果実は、個々の果実が分かれて赤く熟するのに対し、本種は集合果になる。 直径10〜15mm程の球形の集合果は、熟すると赤くなり、食用になる。
2017/5/24
相模原北公園の花木園で、満開のヤマボウシを見かけました。 枝の上に雪が積もったように、白い花(正しくは萼ですが)を咲かせていました。 | |
カタクリ(Erythronium japonicum Decne.)
<ユリ目・ユリ科・カタクリ属> ユリ科カタクリ属の多年草で、在来種。古語での呼称は「堅香子(かたかご)」。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布しているが、四国と九州では少ない。 海外では、朝鮮半島から中国に分布している。 草丈は20〜30pで、鱗茎は長さ5〜6cmの長楕円体で、地中深くにある。 葉は通常2個付き、長さ6〜12cm、幅は2.5〜6.5cmの長楕円形で、暗紫色の模様がある。 なお、花が付かない2〜7、8年の株の葉は、より葉幅が広くなる。ちなみに1年目の葉は糸状。 花期は3月〜5月で、花茎の先に下向きに淡紅紫色の花を1個付ける。 花被片とオシベは共に6個。オシベは長短3個ずつあり、葯は暗紫色。 花被片は長さ35〜50mmで、日中に光が当たると開いて反り返り、夕方には閉じる。 日差しがない日は、終日花は閉じたままで開くことはない。 長いオシベの葯は、短いオシベより外側にあり、先に成熟して裂開する。 花後、長さ15o程の卵形の刮ハができ、熟すと3裂する。 果実が熟す頃には、地上部は枯れてしまうので、地上部が姿を見せるのは4〜5週間程しかない。 稀に、白花の個体があり、シロバナカタクリという。
2008/3/16
林内の落ち葉の間からカタクリが顔を出して、可憐な花を咲かせていました。 所々で顔を出している程度と花数は少ないですが、それでも見とれてしまいます。 なお、花の下あたりに褐色の円錐状のものが見えていますが、未開花のカタクリの葉の裏です。 これから2つに割れて、葉を左右に展開し、それと同時に花茎を伸ばして花を咲かせます。 |