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神奈川県立相模原公園・相模原市立麻溝公園 公園に暮らす昆虫



神奈川県立相模原公園と相模原市立麻溝公園は隣り合っていて、陸橋でつながっています。
神奈川県立相模原公園には、花菖蒲の「水無月園」、フランス式庭園、大温室などがあります。
相模原市立麻溝公園は、多くのアジサイとクレマチスなどが植栽されていて楽しめます。

この両公園で見かけた昆虫たちです。
といっても、特定の時期だけですので、四季を通じて訪れればもっといろいろいると思います。

< トピック >
今回、新たに出会った下記の昆虫などを追加しました。
ウラギンシジミ、アカボシゴマダラ、クロコノマチョウ、ダイミョウセセリ、オオスカシバ、
セスジスズメ、ウスバキトンボ、コアオハナムグリ、キマダラカメムシ、アブラゼミ、ツクツクボウシ、
ニイニイゼミ、キンモウアナバチ、オオハナアブ、ツマグロキンバエ、ササキリ



ここでは、下記のものを掲載しています。
チョウ目・アゲハチョウ上科
シジミチョウ科(ウラギンシジ、ミミズイロオナガシジミ)
シロチョウ科(スジグロシロチョウ)
タテハチョウ科(アカボシゴマダラ、クロコノマチョウ)
チョウ目・セセリチョウ上科
セセリチョウ科(ダイミョウセセリ)
チョウ目・スズメガ上科
スズメガ科(オオスカシバ、セスジスズメ)
トンボ目・トンボ亜目
トンボ科(ウスバキトンボ、ショウジョウトンボ)
コウチュウ目・カブトムシ亜目
コガネムシ科(コアオハナムグリ)
テントウムシ科(ナミテントウ)
カメムシ目・カメムシ亜目
カメムシ科(キマダラカメムシ)
カメムシ目・頸吻亜目
セミ科(アブラゼミ、ツクツクボウシ、ニイニイゼミ)
ハチ目・ハチ亜目
アナバチ科(キンモウアナバチ)
ハエ目・ハエ亜目
クロバエ科(ツマグロキンバエ)
ハナアブ科(オオハナアブ、ホソヒラタアブ)
バッタ目・キリギリス亜目
キリギリス科(ササキリ、ヒメクダマキモドキ)
公園に暮らす昆虫
和名インデックス


スジグロシロチョウ(Pieris melete)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
シロチョウ科・シロチョウ亜科・シロチョウ族・モンシロチョウ属>

シロチョウ科モンシロチョウ属に分類されるチョウで、在来種。
日本を含め、中国東北部、東シベリア、朝鮮半島に分布している。
日本でもほぼ全国でみられる。冬は幼虫で越冬する。
翅脈の周りの鱗粉が黒くなっている点がモンシロチョウとの識別点で、特にメスでは顕著。
モンシロチョウが比較的日当たりのよい草原を好むのに対し、本種はやや薄暗く湿った場所を好む。
春型では翅の裏側翅脈に沿い灰色の筋が見られ、夏型では表面の黒紋が大きくなる。
幼虫の食草は、イヌガラシ、ダイコンなどのアブラナ科植物。

2007/6/10
相模原市立麻溝公園で、植えられていたラベンダーに留まっていたスジグロシロチョウです。
翅の模様から判断して、翅を半開きにしているのはメスで、腹部を上げているので交尾拒否のポーズ。
奥の翅を閉じているのは、交尾しようと近づいてきたオスだと思います。

ウラギンシジミ(Curetis acuta paracuta)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
シジミチョウ科・ウラギンシジミ亜科・ウラギンシジミ属>
 
典型的な暖地性のチョウで、日本では本州以南に分布する。
日本以外ではヒマラヤ地域から中国にかけて分布する。
前翅長は19〜27mm、翼開長は35〜40mmで、翅の裏は銀色一色で、これが和名の由来。
翅の表側は、オスはオレンジ色、メスは白から淡い水色をしていて、識別は容易。
幼虫の食草は、マメ科のクズやフジなどで、花や蕾を食べる。
成虫は、5月〜10月に見られ、花・樹液・腐果などに集まる。そして、成虫で越冬する。

2020/9/14
相模原市立麻溝公園で、センター広場に上がって行く途中、目の前を横切って行きました。
少し離れた所で止まってくれたので撮影できましたが、なかなか翅を開いてくれません。
アングルを変えようとしたとき飛び立ったのですが、戻ってきて地面の上に止まりました。
このとき、翅の表側がオレンジ色であることが確認できましたので、この個体はオスと分かりました。

ミズイロオナガシジミ(Antigius attilia attilia)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
シジミチョウ科・ミドリシジミ亜科・ミドリシジミ族・ミズイロオナガシジミ属>

シジミチョウ科ミズイロオナガシジミ属のシジミチョウで、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州に分布するが、北海道、四国、九州では分布がやや限定される。
海外では、日本も含め東アジア(朝鮮半島から中国、モンゴル、ロシア南東部、ミャンマー)に分布する。
日本で見られるものは一括して基亜種とされるが、対馬産を別亜種とする場合もある。
前翅長は11〜18mmで、発生時期は6月。
翅の表麺は暗灰色一色で、後翅にわずかに水色の斑紋がある。
翅の裏面は白地に黒い帯が2本あり、内側の1本は後翅下端で腹部側に折れ曲がる。
その折れ曲がり点の先に橙色の斑紋が2つあり、長い尾状突起がある。
活動するのは主に夕方で、日中は飛ばずに木の葉の裏などで休んでいることが多い。
幼虫の食草はブナ科植物で、主にクヌギ、コナラ、ミズナラ、カシワなど。
新芽のそばに卵が産みつけられ、卵で越冬して翌春に孵化する。

2008/6/7
相模原市立麻溝公園で、アジサイの葉の上で見かけました。
よく見かけるヤマトシジミとは、翅裏の模様が異なるので、後で調べて本種と分かりました。

アカボシゴマダラ(Hestina assimilis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
タテハチョウ科・コムラサキ亜科・アカボシゴマダラ属>
 
タテハチョウ科アカボシゴマダラ属の蝶で、在来種。
日本を含め、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナムまで分布している。
日本では、奄美諸島でのみ生息が確認されているが、固有の亜種(H. a. shirakii Shirozu)になる。
亜種には、他に台湾に分布するformasana亜種と、中国南部に分布するassimilis亜種がいる。
本個体も含め、関東近縁で確認されているのは、大陸型の亜種(H. a. assimilis)とされている。
最近は、関東北部や静岡などでも確認されており、分布が拡大している。
そのため、関東近縁で確認されている移入個体群は、「特定外来生物」に指定されている。
前翅長は40〜53mmあり、翅は黒地に白の斑紋があり、後翅に赤班列がある。
発生時期は4月〜10月で、少なくとも年に3回は発生している。
その内、早春に現れる白化型では赤い斑紋がなく、全体に白っぽくなる。
なお、奄美諸島の在来種には白化型は見られず、後翅に赤班列が発達している。
幼虫の食草は、関東ではエノキ、奄美ではクワノハエノキである。

2020/9/19
相模原市立麻溝公園や県立相模原公園で、フワフワと飛んでいるアカボシゴマダラを何匹か見かけました。
この写真は、県立相模原公園の花の谷で、フヨウの花の近くで葉に止まった所を撮ったものです。
その後、駐車場に向かっているとき、目の前に飛び出してきたので、思わず手でつかんでしまいました。
今回、何匹も飛んでいるのを見かけたことから、この辺りでも繁殖しているものと思われます。

クロコノマチョウ(Melanitis phedima)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・コノマチョウ族・コノマチョウ属>

タテハチョウ科コノマチョウ属のチョウで、在来種。
日本では、本州関東以西から四国、九州に分布する。温暖化により北上している。
出現は6月〜11月と長いが、特に秋の9月〜10月に多い。
ジャノメチョウ亜科の中でもコノマチョウの仲間は異端であり、脚の爪が二分する特異な形態を持つ。
日中、成虫は里山の疎林や開けた竹林の枯れ草や落ち葉の間でじっとしている。
これが、気温の低い日出時や気温が下がってくる日暮時に、水を得た魚のように活発に活動し始める。
ジャノメチョウの仲間なので、静止時は翅をたたんで止まる。
そのため裏面のほぼ茶色一色の模様が、枯れ葉の中では保護色となり、見つけにくい。
夏型と秋型があり、夏型は秋型より黒っぽく、翅裏には小さく、明瞭な蛇の目模様が並ぶ。
一方、秋型は、翅の裏面が枯れ葉模様になり、蛇の目模様は目立たなくなり、翅の突起が夏型より尖る。
幼虫の食草はススキ、ジュズダマなどのイネ科単子葉植物で、越冬は成虫で行う。

2020/9/19
相模原市立麻溝公園で、アジサイの葉の上で見かけました。
よく見かけるヤマトシジミとは、翅裏の模様が異なるので、後で調べて本種と分かりました。


クロコノマチョウ

 
2015/10/12
自宅近くで採取した秋型メスのクロコノマチョウです。
前翅の先端に、朱色に縁取られた目玉模様があり、翅の突起が鋭く尖っています。


ダイミョウセセリ(Daimio tethys)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・
セセリチョウ科・チャマダラセセリ亜科・ダイミョウセセリ属>

チョウ目セセリチョウ科に分類されるチョウの一種で、在来種。
日本では、北海道南西部から本州、四国、九州の北部に分布する。
関東などの一部地域では平地で見られるが、その他の地域では平地で見られることは稀。
海外では、東アジア、東南アジアに分布し、4亜種が分布する。
翅は黒褐色で翅の表裏に白斑が入るが、後翅に明瞭な白斑のある関西型と、白斑のない関東型がある。
両者の分布は、関ヶ原が分布境界とされている。なお、関東型でも不明瞭な白斑が見られることがある。
成虫は、暖地では年3回、寒冷地や高地では年2回の発生が見られる。
チャマダラセセリ亜科の特徴である翅を水平に開いて止まる習性は、本種も同様。
幼虫の食草は、ヤマノイモ、オニドコロなどのヤマノイモ科の植物です。
幼虫は、淡緑色の体に黒褐色の頭部を持ち、終齢幼虫で越冬する。

2020/9/14
県立相模原公園のグリーンハウス(大温室)の裏手で、ヤブランにダイミョウセセリが止まっていました。
ただ、ほとんどの花が咲き終わっていましたので、直ぐに飛んで行ってしまいました。

オオスカシバ(Cephonodes hylas)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・スズメガ上科・
スズメガ科・ホウジャク亜科・オオスカシバ属>
 
スズメガ科オオスカシバ属に分類されるガで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布している。
海外では、中国、東南アジア、アフリカ、オーストラリアに分布する。
和名は、成虫の翅が透明なことに由来するが、スカシバガ科ではなく、スズメガ科に属する。
体の背中側は黄緑色で、腹側は白。腹部中央に黒で挟まれた赤い帯模様がある。
その帯模様より尾端側は黄色で、尾端には黒い毛の束がある。
オオスカシバの翅の表面には、顕微鏡レベルの微細な顆粒が密生している。
その光学的な効果により、他の蛾などの鱗粉を除去した翅よりも透明度が高い。
幼虫は、黄緑色か褐色の体色で、尾端に1本の角がある。食草はクチナシで、その害虫である。

2020/9/14
相模原市立麻溝公園のセンター広場に上る階段脇で、フヨウの花にオオスカシバガが訪花していました。
次から次へと花を移動しながら吸蜜しているのですが、移動時の動きが早すぎて追いつけませんでした。

セスジスズメ(Theretra oldenlandiae)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・スズメガ上科・
スズメガ科・ホウジャク亜科・コスズメ属>
 
スズメガ科コスズメ属に分類される蛾で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布する。
背中に白い縦筋が2本走っていて、それば和名の由来と思われます。
見た目が、ジェット戦闘機を思わせる精悍なスタイルで、翅の模様もそれを助長している。
幼虫は、全体が黒っぽい(稀に黄緑色)イモムシで、背の両側に黄色から黄橙の眼状紋が並ぶ。
頭部と尾部では眼状紋は小さく連続し、尾端では左右から先端が白い尾角の基部で接する。
終齢幼虫に近づくにつれ、体色は黒褐色になり、眼状紋は赤っぽくなる。
非常な大食漢で、成長スピードが早く、数日で数倍に成長する事もある。
食草はヤブガラシやノブドウ、サトイモやサツマイモなど雑多で、数日で丸坊主にされることがある。
発生は、初夏から秋にかけて繰り返され、蛹で越冬する。

2020/9/19
相模原市立麻溝公園のセンター広場に上る階段で見かけた、セスジスズメの中齢幼虫(体長20o前後)です。
最初に見かけたときには1匹だと思ったのですが、裏側にもう1匹付いていました。
たかだか20cmほどしかないヤブガラシでは、2匹の食欲を満たすことは不可能でしょう。
間もなく食べ尽くして、他に移動することになると思います。


セスジスズメ

     .
2015/9/19                   2012/8/20
自宅近くで見かけたセスジスズメの成虫と多摩川近くで見かけたセスジスズメの終齢幼虫です。


ショウジョウトンボ(Crocothemis servilia mariannae)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・ショウジョウトンボ属>
 
日本では、北海道南部から本州、四国、九州に分布する日本固有種。
なお、南西諸島に分布するものは、タイリクショウジョウトンボ(原名亜種)として区別される。
原名亜種は、台湾、中国南部からインドシナ、マレーシア、フィリピン、ボルネオ、スマトラなどに広く分布する。
羽化直後は、雌雄とも淡い黄色だが、オスは成熟すると眼まで含めて全身真っ赤になる。
メスは、くすんだ褐色になり、雌雄の区別は容易になる。
オスは、水辺の縁に縄張りを持ち、縄張りに沿って哨戒飛行をして、縄張りを守る。
なお、ショウジョウは、中国の伝説上の赤い顔をした動物「猩猩」から来てる。

2012/6/17
神奈川県立相模原公園の水無月園で見かけたショウジョウトンボのオスです。
この時期でも真っ赤なので、遠目でも直ぐに目につきますね。
メスは地味な淡褐色(下記参照)なので、一見、ウスバキトンボのように見えます。


ショウジョウトンボのオスとメス

     .
2011/8/17(オス)                   2016/7/20(メス)
町田市の薬師池公園で見かけたショウジョウトンボのオスとメスです。
メスは、最初、ウスバキトンボと間違えていました。
体色は似ていますが、翅の基部が淡褐色がかっていることで区別できます。


ウスバキトンボ(Pantala flavescens)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ウスバキトンボ亜科・ウスバキトンボ属>
 
全世界の熱帯・温帯に広く分布するトンボで、長時間、長距離飛行ができる。
日本では、4月中旬に南西諸島や九州、四国で見られるようになる。
その後、5月頃には本州南部、6月には本州中部、7月には東北、9月には北海道で見られるようになる。
これは、本種が産卵後数日で孵化し、1ヶ月ほどで羽化と、短期間に繰り返し増殖できるためである。
また、本種は、体長の割に翅が大きく、体も華奢で軽くできており、長距離飛行に適応している。
そのためか、水辺から遠く離れて飛び回ることが多く、早く拡散する理由の1つと思われる。
しかし、南方系のトンボのため、寒さに弱く、寒さの訪れと共に見られなくなる。
本種は、複眼が赤く、全身が淡黄色で、腹部背面に黒い縦縞と細い横縞がある。

2020/9/19
相模原市立麻溝公園の花の谷など、比較的開けた場所ではウスバキトンボがたくさん飛んでいました。
同じ場所をぐるぐると周りながら飛行し、時折、餌に向かってサッと方向を変えます。
見た目は、ナツアカネなどの赤トンボと似ていますが、成熟しても体色は変化しません。

コアオハナムグリ(Gametis jucunda)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・ハナムグリ亜科・ハナムグリ族・ハナムグリ亜族・ハナムグリ属>
 
コガネムシ科ハナムグリ族の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア東部、インドシナ半島に分布する。
日当たりの林の周辺や原っぱで普通に見られ、白い花によく集まる。
体長は10〜16mmで、出現時期は4月〜10月。
体色は個体差があり、緑色から赤褐色が多いが、稀に黒い個体も現れる。
背面に白斑があり、短毛が密生する。腹面は黒色。
成虫は花蜜や花粉を食べ、幼虫は植物の根を食べる。
成体で越冬し、春に交尾して産卵し、秋には新成虫が出現する。

2020/9/14
相模原市立麻溝公園の花の谷で、ヒマラヤタマアジサイにコアオハナムグリがたくさん集まっていました。
この時期まで咲いているアジサイは少ないのですが、この花はお気に入りのようです。

ナミテントウ(Harmonia axyridis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ上科・テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族>

テントウムシ科の昆虫で、在来種。非常に色や斑紋に変異が多い。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
世界的には、朝鮮半島から中国、シベリア、サハリンに分布している。
体長は5〜8oで、出現時期は3月〜11月。
最もよく見かけるテントウムシの1つで、幼虫も成虫もアブラムシを食べ、成虫で越冬する。

斑紋は遺伝的に決まっていて、花期の4種類の遺伝子の組み合わせで決まる。
・紅型(紅色の地に小黒斑が19個)
・二紋型(黒地に紅色の斑紋が2個)
・四紋型(黒地に紅色の斑紋が4個)
・斑型(黒地に紅色の斑紋が12個)
上記の内の2つの組み合わせで、黒が優先になる斑紋となる。
なお、九州などの暖地では二紋型が、寒冷地の東北、北海道では紅型が多くなる。

2006/6/24
相模原市立麻溝公園で、クレマチスの花を撮った時に写りこんでいたナミテントウです。
斑紋の特徴から、黒斑が大きめの紅型になります。


ナミテントウのいろいろな斑紋

   .

多摩川の河川敷で見かけたナミテントウの斑紋の変異です。
残念ながらきれいな四紋型や斑型の個体は見たことがありません。
参考のために、四紋型によく似たダンダラテントウも載せてあります。


キマダラカメムシ(Erthesina fullo)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・
カメムシ科・カメムシ亜科・Halyini族・Erthesina属>

カメムシ科カメムシ亜科の1種で、台湾〜東南アジアが原産地の外来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布するが、近年、分布が拡大している。
出現時期は4月〜11月と長く、体長は20〜23oと国内のカメムシ亜科最大種である。
頭部は面長で、複眼より前方に吻が長く突き出す。前胸側縁は尖り、触角は黒褐色で、第1節び基部が白い。
体色は黒褐色で艶はなく、前胸背板から前翅に淡黄色の斑点が密生するが、前翅の一部には斑点がない。
また、淡黄色の線条が頭部から前胸背板の正中線上を走り、頭部側面も淡黄色の線条が縁どる。
覆面は、黄褐色が地色で、黒い斑点が周辺部にあり、各節を前縁に黒い帯状紋がある。
若齢幼虫は淡褐色に黒と朱の横縞模様が背面を覆い、終齢幼虫は暗い灰色に朱色の星が規則的に並ぶ。
サクラ、カキ、フジ、ニセアカシア、クワ、ウメ、エノキから吸汁する。
なお、カキに関しては、その果実からも盛んに吸汁する。

2020/9/14
県立相模原公園の大温室裏手で、樹の幹に止まっているのを見かけました。
自宅のベランダなどにも飛来し、実家では柿の天敵で、柿の実をボコボコにしてしまいます。

アブラゼミ(Graptopsaltria nigrofuscata)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・アブラゼミ族・アブラゼミ属>
 

 
セミ科アブラゼミ属のセミで、在来種。
日本では、北海道から九州まで広く分布している。
日本以外では、朝鮮半島や中国北部に生息している。
体長は60mmほどで、セミの中では珍しく、不透明な褐色の翅を持つ。
生息域が人里から山地までと範囲が広く、都市部でもよく見かけるセミである。
なお、鳴き声は、「ジッジッ…」と鳴き始めて、「ジジジ…」と鳴き、「ジッジッ…」と鳴き終わる。

※ アブラゼミなどの抜け殻に関しては、こちらにまとめました。

2020/9/14
相模原市立麻溝公園に、ツクツクボウシやヒグラシの抜け殻を探しに行きました。
9月になりましたが、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシの鳴き声を確認できました。
その時に見つけた抜け殻の大半が、アブラゼミの抜け殻でした。
触角の第3節の長さが、第2節の1.5倍ほどなのが特徴です。

ツクツクボウシ(Meimuna opalifera)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・ツクツクボウシ族・ツクツクボウシ属>
 

 
日本では、北海道から本州、四国、九州、トカラ列島まで全国に分布している。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾と東アジアに広く分布している。
成虫の体長はオス45mm、メス40mmほどの中型のセミで、特徴的な鳴き声で鳴く。
成虫は、7月頃から鳴きはじめるが、数が少なく、よく耳にするようになるのは晩夏になってからである。
ヒグラシ同様、森林性のセミであり、うす暗い森林や低山帯が主な生息地である。
しかし、地域によっては、市街地などでもよく見られることがある。
体色は非常に地味で、頭部や胸部に縦縞模様が少し見られますが、全体がくすんだモスグリーンです。
そして、こすれて禿げた所に、地の黒色が見えている感じです。
全体が黒色の個体も見られますが、モスグリーンがはげ落ちて、地色の黒が見えているものと思われる。
鳴き声は非常に複雑で、中程の繰り返し部分である「ツクツクオーシ」が名前の由来。
ジーツクツクの前鳴きで始まり、ひとしきりツクツクの後オーシと続きます。
その後、ツクツクオーシの本鳴きを繰り返します。
最後は、ツクリーヨーを数回繰り返して、ジーの後鳴きで終わります。
他のセミが比較的単純な鳴き声なのに対して、かなり複雑な鳴き方をします。

※ ツクツクボウシなどの抜け殻に関しては、こちらにまとめました。

2020/9/14
相模原市立麻溝公園に、ツクツクボウシやヒグラシの抜け殻を探しに行きました。
9月になりましたが、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシの鳴き声を確認できました。
抜け殻は、駐車場の近くですぐに見つかりましたが、想像以上に小さくてスリムです。
殻にツヤがなく、団子鼻のような前額が特徴で、触角の第4節が第3節より短いのが特徴です。
駐車場に戻る途中、県立相模原公園のグリーンハウス(大温室)の裏手で、メスに出会えました。
オスは鳴くので場所を特定しやすいのですが、メスにはなかなか出会えません。
ツクツクボウシのメスの産卵管は他のセミより長く、尾端より長く突き出すのが特徴です。

ニイニイゼミ(Platypleura kaempferi)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・ニイニイゼミ族・ニイニイゼミ属>
 

 
日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄本島以北の南西諸島に分布している。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
成虫の体長は20mmほどで、明るいうちはほぼ1日中鳴いている。
セミの中では、発生は早い方で、6月下旬くらいから鳴きはじめる。
体色は、灰褐色で、前羽も褐色のまだら模様になっており、木の幹では保護色となっている。
幼虫は、湿気の多い土壌でないと生存できないので、都市部の乾燥地では少ない。
その抜け殻は、小さくてずんぐりとしており、殻に泥が付いているので、区別は容易。
なお、鳴き声は、「チ〜ジ〜〜」と長く尾を引くように繰り返し、最後は「チッチッ…」で終わる。

※ ニイニイゼミなどの抜け殻に関しては、こちらにまとめました。

2020/9/14
相模原市立麻溝公園に、ツクツクボウシやヒグラシの抜け殻を探しに行きました。
9月になりましたが、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシの鳴き声を確認できました。
その時に見つけた抜け殻の大半はアブラゼミでしたが、ニイニイゼミの抜け殻も2個見つけました。
ニイニイゼミの鳴く季節は終わっているので、鳴き声は聞けませんでしたが、抜け殻はしっかりと残っていました。
ニイニイゼミの抜け殻には泥が付いているのですが、その泥もしっかり付いたままの状態です。
見つけた場所は少し離れた所だったのですが、居た場所の土質の違いが、泥の色の違いとなっています。

キンモウアナバチ(Sphex diabolicus flammitrichus)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・アナバチ科・アナバチ亜科・アナバチ族・Sphex属>
 
アナバチ科Sphex属の南方系のアナバチで、在来種。
日本では、本州中部以南から、四国、九州、南西諸島に分布する。
永らく、本州太平洋側では神奈川県相模川西岸が東限であったが、最近は東京、千葉に拡大している。
海外では、台湾から中国、ベトナムに分布する。
出現時期は7月〜10月で、体長は25〜35mmと日本産アナバチ類では最大種となる。
名前の通り、黒い体色に前伸腹節に褐色〜淡褐色の毛が密生する。
幼虫の餌としてキリギリス類のクダマキモドキを狩り、巣穴に獲物を運び入れて卵を産み付ける。
孵化した幼虫は、巣穴の中で獲物を食べながら成長して、翌年には羽化して姿を現す。

2020/9/19
相模原市立麻溝公園で階段を下りていて、直ぐ横に張り出していたフヨウの葉で見かけました。
数十cmの所で目が合ったのですが、その大きさに思わず足を止めてしまいました。
どこかで見た気がするのですが名前を思い出せず、後で調べることにして、取りあえず写真を撮りました。
後で調べて、以前見たのはクロアナバチと分かりましたが、本種とは微妙に異なります。
キンモウアナバチでは、腹部のくびれた部分の長さが短く、その先で急に太くなっているように見えます。
また、前伸腹節の毛ですが、横からの写真では褐色の毛が覆っているように見えます。
キンモウアナバチのオスの写真としてWebに掲載されていたものと、この特徴があっているので本種としました。


クロアナバチとキンモウアナバチ

     .
     .
 <クロアナバチ>              <キンモウアナバチ>
クロアナバチは、多摩川の河川敷で見かけたものです。
この両者を比較すると、正面方向からの見え方は非常によく似ています。
側面からの写真では、クロアナバチの腹部はスムーズに太くなっていますが、
キンモウアナバチの腹部は一気に太くなっているように見え、形が異なるように見えます。
ただ、前伸腹節の毛はどちらも褐色に見え、頭楯(とうじゅん)の毛はどちらも白く見えます。
以上の点から、各々クロアナバチとキンモウアナバチとしましたが、決定打に欠けます。
ひょっとしたら、この両者は同一種かもしれません。


オオハナアブ(Phytomia zonata)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族>
 
ハナアブ科ナミハナアブ族のアブで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで広く全国に分布する。
海外では、中国、東南アジアに分布する。
体長は15mm前後で、ずんぐりとした体形をしており、体長はナミハナアブと大差ない。
体色は全体が黒色で、腹部に太い黄赤色の横帯がある。
頭部は半球状で大きく、複眼には迷路のような模様があり、複眼の間には3つの赤い単眼がある。
雌雄で体形や体色に大差はなく、他のアブ同様にオスの複眼は接し、メスでは離れる。
幼虫は、腐敗した植物を食べ、成虫は花に集まり、蜜や花粉を食べる。
幼虫は、水中生活をするため長い呼吸器官を持っていて、その姿からオナガウジと呼ばれる仲間である。

2005/6/4
相模原市立麻溝公園の花の谷で、ヒマラヤタマアジサイにオオハナアブがやって来ました。
珍しくはないオオハナアブですが、あったのはずいぶん久しぶりになります。
以前見かけたものは、もっと黒色がはっきりしていたので、最初はオオハナアブに見えませんでした。
しかし、複眼の模様や体形、腹部の太い黄色の横帯から、オオハナアブだと分かりました。

ホソヒラタアブ(Episyrphus balteatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族>

ハナアブ科ヒラタアブ族の1種で、日本では北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外でもアジアから欧米まで、非常に広範囲に分布している。
体長は8〜11mmで、3月〜11月まで見られる。
腹部はオレンジ色と黒色の縞模様で、各々の節に太い黒帯と細い黒帯がある。
ホバリングの名手で、ホバリングと移動を繰り返しながら花から花へと飛び回る。
幼虫はアブラムシを食べ、成虫は花の蜜や花粉を食べる。成虫で越冬する。

2005/6/4
相模原市立麻溝公園で、クレマチスの花を撮った時に写りこんでいたホソヒラタアブです。
腹部の帯模様の特徴から、ホソヒラタアブのオスとしました。

ツマグロキンバエ(Stomorhina obsoleta)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヒツジバエ上科・クロバエ科・ツマグロキンバエ亜科>
 
クロバエ科ツマグロキンバエ亜科の1種で、6月〜10月に花に来る小さなハエ。
日本では、北海道から、本州、四国、九州、沖縄まで分布する。
体長は5〜7mmで、体色は深緑色。背中に丸みがあり、翅の先端が黒い。
複眼は青緑色に波模様があり、口吻は長く突き出ている。
幼虫は動物の死骸などを食べ、成虫は花の蜜を食べる。

2020/9/14
相模原市立麻溝公園の花の谷で、ヒマラヤタマアジサイにツマグロキンバエが集まっていました。
この時期まで咲いているアジサイは少ないのですが、小花の多いこの花はお気に入りのようです。
いろいろな花で見かけますが、青緑色と黒の縞模様の複眼と象の鼻のような口吻が特徴です。

ササキリ(Conocephalus melaenus)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・
キリギリス科・ササキリ亜科・ササキリ族・ササキリ属>
 
キリギリス科ササキリ属のバッタで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、中国、台湾、東南アジアに分布する。
成虫の出現時期は8月〜10月で、体長は12〜17mmである。
翅端までは、オスで21〜24mm、メスで20〜28mmである。
成虫の体色は暗緑色か黄褐色で、複眼の左右から前翅にかけては黒色。
翅は黒褐色で下側に白線があり、後肢の先端と膝の部分は黒褐色である。
幼虫は、成虫と異なり、頭部はオレンジ色で胸部、腹部は黒褐色。
林縁のササなどイネ科の植物が多い所に生息し、それら食草としている。
昼夜問わず「シリシリシリシリシリ……」と地味な声で鳴く。

2020/9/14
県立相模原公園のこもれびの径を抜け殻を探して歩いているとき、ヌスビトハギの上で見かけました。
見かけたとき、体形からササキリの仲間であろうと思いましたが、名前までは分かりませんでした。
調べるとササキリそのもので、以前に見かけたホシササキリと比べると複眼辺りまで暗褐色部があります。


ササキリとホシササキリ

     .
 <ササキリ>               <ホシササキリ>
ササキリとホシササキリはよく似ていますが、暗褐色部の色が、ササきりの方が濃い色をしています。
また、ササキリでは複眼部分に暗褐色帯がかかるのに対して、ホシササキリではかかりません。


ヒメクダマキモドキ(Phaulula macilenta)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・キリギリス科・ツユムシ亜科>
 
キリギリス科ツユムシ亜科に分類される昆虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島にかけて分布している。
体長は翅端までで30〜40mm。成虫の出現時期は7月〜9月。
体色は緑色で、翅脈が目立ち、翅全体のツヤが少ない。
成虫は樹上で生活し、卵も樹木の枝の中に産み付けられる。
サトクダマキモドキやヤマクダマキモドキに似ているが、一回り小さく、前翅の縁は白くない。
元々は南方系の昆虫ですが、最近、生息範囲を拡大している。

2008/11/30
相模原市立麻溝公園から神奈川県立相模原公園への陸橋を渡ったところで見かけました。
見かけたとき、クツワムシにしては小さいのでウマオイではと思いました。
近づいてよく見ると、形が微妙に異なるし、翅の上部まで緑色です。
あとで、いろいろ調べてヒメクダマキモドキのメスと分かりました。
判断点は、前翅の翅脈の形状と、胸近くの翅脈が白くない点です。









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