昆虫(T)
和名インデックス |
ナガサキアゲハ(Papilio memnon)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ族・アゲハチョウ属> 日本では、本州近畿以南から四国、九州、南西諸島に分布している。 海外では、東南アジアとインドネシアの島嶼から、中国、台湾を経て日本まで分布している。 近年は、茨城県南西部や栃木県南部でも確認され、関東北部での増加が顕著である。 なお、日本に分布するのは、亜種の「Papilio memnon thunbergi Von Siebold」である。 成虫の前翅長は80mmほどあり、日本産のチョウでは、オオゴマダラなどと並ぶ最大級のチョウである。 本種は、性的二形が顕著で、オスの翅は全体が黒く、後翅の外縁にわずかに赤い斑点が認められる程度。 一方、メスの後翅の中央部には白く細長い斑点が並び、その外縁に赤い環状紋が並ぶ。 その白い斑点は、南の個体ほど広くなる傾向があり、九州や沖縄産では前翅にまで広がる。
2016/4/23
境川近くのクリ園(といっても収穫などはしていないよう)で見かけました。 柵の中には入れませんので、柵越しに撮りました。そのため距離があり、解像度は良くありません。 翅の模様から判断して、オスのようです。 2020/10/7 境川の側道を歩いていると、河原の上を黒いアゲハチョウが飛んできました。 それが不意に私の方に向きを変えて上を飛び越え、送電鉄塔の柵に咲くマルバルコウで吸蜜を始めました。 2m近い柵の上部を飛び回って吸蜜していて、下には来てくれませんでした。 翅の模様から、この個体もオスです。まだ、メスには合ったことがないです。 | ||||||||
ナミアゲハ(Papilio xuthus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ族・アゲハチョウ属> 日本を含め、台湾、中国、朝鮮半島、沿海地方まで分布している。 日本は、北海道から南西諸島まで、全国に生息している。 幼虫はミカン科の植物が食草となっており、四齢幼虫までは黒い体色をしている。 終齢幼虫の五齢幼虫になると緑色の体色に変わる。 なお、幼虫に触ると頭部と胸部の間から強烈な悪臭を放つ黄色い臭角を出す。 成虫の前翅長は4〜6cmで、春型の個体は夏型の個体よりも小さい。 翅は黒地に黄白色の斑紋や線が多数入り、キアゲハに似るが、黒線が太めで、黄白色部が白っぽい。 後翅には水色の斑紋があり、尾状突起の内側には橙色の斑紋がある。 キアゲハとの大きな違いは前翅の基部で、キアゲハには模様はないが、ナミアゲハには線模様がある。 本種は、蛹で越冬する。
2023/4/20
飛翔している姿はよく見かけるのですが、なかなか止まってくれなくて撮れていませんでした。 この日、境川から自宅に戻る途中、路傍のユウゲショウの花に止まっているのを見かけました。 急いでカメラを準備して撮ったのですが、次の瞬間には飛んで行ってしまいました。 慌てていたので若干後ピンですが、撮れたのはこの1枚のみです。 | ||||||||
ウラギンシジミ(Curetis acuta paracuta)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ウラギンシジミ亜科・ウラギンシジミ属> 典型的な暖地性のチョウで、日本では本州以南に分布する。 日本以外ではヒマラヤ地域から中国にかけて分布する。 前翅長は19〜27mm、翼開長は35〜40mmで、翅の裏は銀色一色で、これが和名の由来。 翅の表側は、オスはオレンジ色、メスは白から淡い水色をしていて、識別は容易。 幼虫の食草は、マメ科のクズやフジなどで、花や蕾を食べる。 成虫は、5月〜10月に見られ、花・樹液・腐果などに集まる。そして、成虫で越冬する。
2016/5/7
境川に向かう途中の坂道で、目の前をウラギンシジミがひらひらと飛んで行きました。 近くの石垣の上に生えている笹の葉に止まったので、そっと近づいて撮影しました。 翅の表側が淡い水色なので、ウラギンシジミのメスのようです。 見かけた時期や翅の傷み具合から見て、越冬を終えた個体のようです。 | ||||||||
ウラナミシジミ(Lampides boeticus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ヒメシジミ亜科・ウラナミシジミ属> <産卵中のメス> . <オス> <メス> シジミチョウ科ウラナミシジミ属に分類されるチョウで、在来種。 南方系の移動性が高いチョウで、春から秋にかけて温帯域に分布を広げ、冬には死滅する。 そのため、日本では秋には北海道南部から本州、四国、九州で多く見られるようになるが、 冬から春には東日本ではあまり見られなくなる。西日本の温暖な地域では通年で見られる。 日本以外でもアフリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアまで広く分布する。 前翅長は15〜20mmで、翅裏には淡褐色と白のしま模様があり、これが和名の由来。 翅の表側には黒褐色の地の内側に金属光沢のある青い部分がある。 青色部分は、オスでは広く、メスでは翅の付け根部分に少しある程度である。 また、後翅の後端には黒斑が2つあり、この黒斑の間には細い尾状突起がある。 幼虫は、マメ科植物(クズ、エンドウ、アズキなど)を幅広く食べる。
2017/9/25
境川に近い草原で、スペアミントやヤブツルアズキにたくさん集まっていました。 ただ、集まっている個体の多くはメスで、オスは少ないようです。 集まっている中で、オスと確認できたのは1個体のみでした。 2020/10/19 キクイモの花の上で吸蜜に夢中になっているウラナミシジミを見かけました。 ウラナミシジミに出会ったのは、ずいぶん久しぶりな気がします。 | ||||||||
ヤマトシジミ(Zizeeria maha)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ヒメシジミ亜科・ヒメシジミ族・ヤマトシジミ属> 2020/10/7 2020/10/7 2020/10/7 2020/10/19
シジミチョウ科ヤマトシジミ属のチョウで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島まで広く分布している。 海外では、台湾、朝鮮半島から中国、フィリピン、インドネシア、インドなどに分布する。 多くの亜種に分かれ、日本でもトカラ列島の悪石島以南の南西諸島亜種とそれ以外の本土亜種に分かれる。 開張は20〜30mmで、翅表は、オスでは青〜青白色で、外縁部には黒色帯がある。メスでは全面黒〜暗灰色。 翅裏は、雌雄とも灰褐色の地色に、円形またはくの字型の黒色斑紋があり、斑紋は翅脈をまたがらない。 雌雄とも季節変異があり、低温期ではオスの黒色帯は細くなり、青い部分は白味を帯びた青白色になる。 メスでは、黒〜暗灰色の地色に基部側より青紫色の部分が拡大し、青味を帯びてくる。 夏の高温期には、オスでは黒色帯は太くなり、青味が強くなる。メスは、ほぼ全面黒〜暗灰色になる。 日本では、本州以南で極普通に見られ、年4〜5回発生し、4月〜11月まで見られる。 冬は幼虫で越冬するが、冬でも暖かいと摂食する。なお、南西諸島では周年発生する。
2020/10/7 境川脇の花壇で、ヤマトシジミのメスが翅を休めていました。
翅をパタパタと動かしてくれたので、翅の表面と裏面の撮影ができました。 低温期になっているので、メスの表面の青紫色の部分が拡大していました。 境川を離れて坂道を上っているとちゅでもヤマトシジミのメスに出会いました。 先ほどのメス以上に翅の表面に青紫色の鱗粉が多く、全体に広がっていました。 2020/10/19 翅裏を正面から撮れていなかったので、撮り直したものです。 ただ、この個体は翅を広げてくれなかったので、オスかメスかは不明です。 | ||||||||
ベニシジミ(Lycaena phlaeas)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ベニシジミ亜科・ベニシジミ属> <夏型> <秋型> シジミチョウ科ベニシジミ属のチョウで、在来種。 ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く分布し、多くの亜種に分かれている。 日本に生息する亜種は、「Lycaena phlaeas americana Harris」である。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 前翅長は15mm前後で、出現時期は3月〜11月と長い。 前翅は表裏とも赤地に黒褐色の斑紋があり、後翅は表面が黒褐色で、裏面が灰色。 雌雄で翅の形が異なり、前翅が尖ったような形のものがオスで、少し丸まった感じのものがメスである。 また、春型ではオレンジ色が鮮やかで、黒斑が小さくなり、縁取りも幅が細くなる。 夏型では、黒斑が大きくなり、オレンジ色部分に縁取りの灰褐色が混ざりこんで、全体が黒っぽくなる。 秋型は、春型のようにオレンジ色が鮮やかになるが、黒斑や縁取りは夏型に近い。 幼虫の食草は、タデ科植物のスイバ、ギシギシ等。冬は幼虫で越冬する。
2017/9/25
境川に近い草原で、スペアミントの花に訪花していました。 左の個体は、全体に黒っぽい夏型で、右の個体は赤味の強いオレンジ色の秋型です。 2020/10/19 翅裏を正面から撮った写真がなかったので、掲載します。
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モンシロチョウ(Pieris rapae)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シロチョウ科・シロチョウ亜科・シロチョウ族・モンシロチョウ属> アゲハチョウ上科シロチョウ科に分類されるチョウの一種で、在来種。 日本(全国)を含め、全世界の温帯、亜寒帯に広く分布する。 広い分布域の中でいくつかの亜種に分かれている。 日本に分布するのは亜種「Pieris rapae crucivora」とされている。 幼虫の食草はキャベツ、アブラナなどのアブラナ科植物で、それらの栽培域の拡大に伴い分布を広げてきた。 日本のモンシロチョウは、奈良時代に大根の栽培と共に移入されたと考えられている。 成虫は3月〜11月頃まで長期間見られ、年に4〜5回ほど発生するが、時期や回数は地域によって異なる。 開長は45〜50mmで、前翅の基部半分ほどが灰白色なのがメスで、オスは翅の付け根のみ灰白色。 オスはメスを探して飛び回るので、長時間飛び回っている個体の多くはオスである。 オスはメスを見つけると交尾しようとするが、交尾済みのメスは翅を広げ、腹部を突き上げて拒否する。 幼虫は、孵化後、4回脱皮して終齢幼虫となり、その後蛹になる。越冬は蛹で行う。
2018/10/16
境川近くの道路脇で、アイノコセンダングサの花で吸蜜中のモンシロチョウを見かけました。 どこにでもいるモンシロチョウですが、そのためか、写真を撮っていませんでした。 この写真が、この近くで撮った唯一のモンシロチョウの写真です。 翅の色や模様などから判断して、この個体はオスであろうと思われます。 2020/10/19 コセンダングサを訪花していたモンシロチョウです。 前翅前縁にある灰色の部分の幅が狭いので、この個体はオス(メスは倍くらい広い)です。 | ||||||||
コミスジ(Neptis sappho)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・イチモンジチョウ亜科・ミスジチョウ属> チョウ目タテハチョウ科に分類されるチョウの一種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、屋久島、種子島まで分布するが、それ以南には分布しない。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、欧州南東部に分布する。 幼虫の食草は、クズ、ハギ、フジ、ニセアカシアなどのマメ科植物である。3齢幼虫で越冬する。 翅の表面は黒褐色で裏面は明るい褐色。前翅に1本、後翅に2本の白い帯模様がある。裏の模様も同じ。 なお、翅を開いて止まることが多いが、その際、3本の帯模様に見える。これが和名「ミスジ」の由来。 成虫は、4月〜11月と長期間見られ、低地や丘陵地の森林周辺に多く見らる。 飛び方に特徴があり、数回羽ばたいてはスーっと滑空するのを繰り返す。
2015/9/19
境川近くのクリ園(といっても収穫などはしていないよう)で見かけました。 柵の中には入れませんので、柵越しに撮りました。比較的近かったので、解像度はほどほどです。 3本の白い帯模様の様子が良く分かると思います。 | ||||||||
ヒメウラナミジャノメ(Ypthima argus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・ウラナミジャノメ属> タテハチョウ科ウラナミジャノメ属のチョウで、良く見かける在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、周辺の一部の島嶼で見られるが、都心部にはいない。 比較的明るい草地に良く見られるが、暗い林にはあまりいない。 海外では、朝鮮半島から中国東北部、台湾に分布する。 翅の裏面に細かい波模様があり、それが名前の「ウラナミ」の由来。 蛇の目紋(眼状紋)は、普通、後翅表に2個、後翅裏に5〜8個ある。 よく似たウラナミジャノメは、後翅表に1個、後翅裏に3個と少ないので、区別は容易。 幼虫は、チジミザサ、ススキなどのイネ科植物を食草とし、幼虫で越冬する。 成虫は、いろいろな花でよく吸蜜する。
2020/10/27
境川の近くを歩いているとき、小さなジャノメチョウが飛んできて、足元近くに止まりました。 それを上から撮ったのが上記の写真です。裏面を撮りたかったのですが、翅を閉じてくれません。 仕方がないので、屈んで横から撮ろうとしたら逃げられてしまいました。 | ||||||||
クロコノマチョウ(秋型)(Melanitis phedima)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・コノマチョウ族・コノマチョウ属> タテハチョウ科コノマチョウ属のチョウで、在来種。 日本では、本州関東以西から四国、九州に分布する。温暖化により北上している。 出現は6月〜11月と長いが、特に秋の9月〜10月に多い。 ジャノメチョウ亜科の中でもコノマチョウの仲間は異端であり、脚の爪が二分する特異な形態を持つ。 日中、成虫は里山の疎林や開けた竹林の枯れ草や落ち葉の間でじっとしている。 これが、気温の低い日出時や気温が下がってくる日暮時に、水を得た魚のように活発に活動し始める。 ジャノメチョウの仲間なので、静止時は翅をたたんで止まる。 そのため裏面のほぼ茶色一色の模様が、枯れ葉の中では保護色となり、見つけにくい。 夏型と秋型があり、夏型は秋型より黒っぽく、翅裏には小さく、明瞭な蛇の目模様が並ぶ。 一方、秋型は、翅の裏面が枯れ葉模様になり、蛇の目模様は目立たなくなり、翅の突起が夏型より尖る。 幼虫の食草はススキ、ジュズダマなどのイネ科単子葉植物で、越冬は成虫で行う。
2015/10/12
マンションのエレベーターホールに迷い込んで、壁に止まっていました。 左側は蛍光灯での撮影で、右側がフラッシュ撮影です。 光源の色味が異なることもありますが、蛍光灯の方は露光もオーバー気味なので、色が明るめです。 見た感じは薄暗いこともあり、右側の色合いに近かったのですが、明るい所では左側かもしれません。 蛇の目模様が目立たない、茶色味が強い枯れ葉模様の秋型です。 下段は、標本にしたものですが、秋型のメスの翅の表には、朱色に縁取られた目玉模様があります。 | ||||||||
サトキマダラヒカゲ(Neope goschkevitschii)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・マネシヒカゲ族・キマダラヒカゲ属> 日本では、北海道、本州(伊豆大淡路島を含む)、四国、九州に分布している日本固有種。 低地帯で普通に見られるが、森林周辺にのみ生息している。 なお、北海道では、山地帯から亜高山帯に生息するヤマキマダラヒカゲの方が多く分布する。 地色は、表面は黄褐色で、裏面は少し淡く、これに斑紋が入るが、ヤマキマダラヒカゲと酷似している。 成虫は、暗いところを好み、樹の幹や壁面に好んでとまる。樹液や腐果を好み、花には来ない。 飛翔は素早く、不規則に飛ぶので捕捉するのは難しい。 蛹で越冬し、暖地では4月頃から9月頃まで見られるが、寒冷地では見られる時期は短くなる。 ヤマキマダラヒカゲとは、後翅外縁の眼状紋の内、上から3個目と4個目の黄環の幅で区別できる。 サトキマダラヒカゲでは、黒色眼状紋が小さいため、黄環が比較的幅広なのに対して、 ヤマキマダラヒカゲでは、黒色眼状紋が大きいため、黄環の幅が狭くなっている。 また、サトキマダラヒカゲでは、後翅基部に並ぶ3個の斑紋が直線に近い並びになるのに対して、 ヤマキマダラヒカゲでは、3個の斑紋の1個が外側にずれて、「く」の字状に並ぶ。
2020/8/31
セミの写真を撮りに公園に行くと、セミの近くにサトキマダラヒカゲが止まっていました。 翅を閉じたままじっと止まっていて開いてくれませんので、翅を開いたところは撮れませんでした。 後翅が傷んでいて、外縁が若干欠けていますが、後翅の眼状紋や斑紋は明瞭に見えています。 外縁の眼状紋の黄環は幅が広く、基部の3個の斑紋は直線状に並んでいるので、本種としました。 | ||||||||
アカタテハ(Vanessa indica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・タテハチョウ亜科・タテハチョウ族・アカタテハ属> タテハチョウ科アカタテハ属のチョウで、日本では、ほぼ全国で普通に見られる。 海外では、インドから東南アジア、オーストラリア、日本まで広範囲に分布している。 前翅長は30〜35o、開張は60〜70oになる。 前翅の先端は黒地に白斑、前翅の中央部には橙色地に黒斑があり、ヒメアカタテハによく似ている。 しかし、後翅は外縁以外が黒褐色で、ヒメアカタテハが前翅同様に橙色地に黒斑がある点で異なる。 冬は、成虫で越冬するが、暖地では幼虫で越冬する事もある。
2020/10/6
境川に向かう途中の空き地で見かけたアカタテハで、後翅に大きなダメージが見られます。 アカタテハに出会ったのは、ずいぶんと久しぶりになります。
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キタテハ(Polygonia c-aureum)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・タテハチョウ亜科・タテハチョウ族・キタテハ属> タテハチョウ科キタテハ属のチョウで、翅の表が黄色いことが和名の由来。 日本を含め、インドシナ半島から中国、台湾、朝鮮半島まで分布している。 日本でもほぼ全国で普通にみられる。 後翅の裏面に白い模様があり、これが「C」の字に似ていることが学名の「c-」の由来。 冬は成虫で越冬し、ものかげでじっとしている。 成虫の前翅長は25〜30mmで、翅の縁には大小の突起があり、先がとがっている。 翅表は、前後とも黄色の地に褐色の縁取りと黒い斑点があり、一部の黒斑の中には水色の小さな点がある。 翅裏は、前後とも赤褐色で、枯葉にまぎれる保護色となる。 夏型と秋型があり、夏型では羽表の地色がくすんだ黄色になり、縁取りが黒く、黒斑が大きい。 一方、秋型では羽表の地色は鮮やかな黄赤色になり、縁取りは褐色で薄れ、黒斑が小さい。 なお、翅裏も夏型では黒褐色になり、秋型では赤味が強くなって茶褐色になる。 また、翅の外縁の凹凸も、夏型では丸みがあるのに対して、秋型は鋭角に尖る。
2018/3/13
境川近くの空き地で見かけたキタテハで、左翅に大きなダメージが見られます。 昨秋からの越冬個体と思われ、秋型の鮮やかな黄赤色の地に薄い褐色の縁取りの特徴が見られます。 2020/10/27 境川近くの草原で、セイタカアワダチソウを訪花しているキタテハを見つけました。 翅表を撮りたかったのですが、近づける所ではなく、キタテハも全く動きません。 そのため、逆光で翅裏側から翅表の斑紋を透過光で撮る羽目になってしまいました。 翅の外縁の凹凸が鋭角になっているので、この個体は秋型です。 | ||||||||
イチモンジセセリ(Polytremis pellucida)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・ セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・イチモンジセセリ属> セセリチョウ科イチモンジセセリ属の蝶で、在来種。 日本では、ほぼ全国で見られるが、北海道ではあまり多くは生息していない。 海外では、朝鮮半島から中国、ヒマラヤ、ボルネオと広く分布する。 成虫で越冬するが、寒い地方では越冬できない。 全身が茶色一色で、前翅長は20o前後、後翅裏に横長の白紋が4つ、1文字状に並ぶ。 人家周辺から里山にかけて見られ、羽音を立てて敏速に飛ぶ。 幼虫の食草は、イネやススキ等のイネ科やカヤツリグサ科の植物で、そのため、イネの害虫とされる。 成虫は年3〜5回、6月〜8月頃に発生し、南下して10月頃までいる。 雌雄差は少ないが、以下の点で識別可能である。
同じセセリチョウ科のオオチャバネセセリやチャバネセセリと良く似ているが、下記で区別可能。
2020/10/7
境川に向かう途中でも、境川の畔でも、花の近くではイチモンジセセリが飛び回っていました。 この個体は、マメアサガオの近くで撮影したもので、翅の形や腹端と後翅の長さからメスと思われます。 | ||||||||
ダイミョウセセリ(Daimio tethys)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・ セセリチョウ科・チャマダラセセリ亜科・ダイミョウセセリ属> チョウ目セセリチョウ科に分類されるチョウの一種で、在来種。 日本では、北海道南西部から本州、四国、九州の北部に分布する。 関東などの一部地域では平地で見られるが、その他の地域では平地で見られることは稀。 海外では、東アジア、東南アジアに分布し、4亜種が分布する。 翅は黒褐色で翅の表裏に白斑が入るが、後翅に明瞭な白斑のある関西型と、白斑のない関東型がある。 両者の分布は、関ヶ原が分布境界とされている。なお、関東型でも不明瞭な白斑が見られることがある。 成虫は、暖地では年3回、寒冷地や高地では年2回の発生が見られる。 チャマダラセセリ亜科の特徴である翅を水平に開いて止まる習性は、本種も同様。 幼虫の食草は、ヤマノイモ、オニドコロなどのヤマノイモ科の植物です。 幼虫は、淡緑色の体に黒褐色の頭部を持ち、終齢幼虫で越冬する。
2015/5/5
河川敷近くに咲いていたハルジオンの花に、ダイミョウセセリが訪花していました。 ダイミョウセセリを見かけたのは初めてです。この個体の後翅には、白斑の名残がかすかに残っていました。 | ||||||||
クワコ(Bombyx mandarina)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・ カイコガ科・カイコガ亜科・カイコガ属> カイコガ科カイコガ属に属する蛾で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬、屋久島に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシア極東部、台湾に分布する。 開張はオスで33o、メスで45mmになり、淡褐色の地に前翅先端に暗褐色の紋がある。 また、不明瞭ではあるが、紋の内側に暗褐色の帯模様が2本ある。 出現時期は6月〜11月で、年に3回発生することが多いが、1〜2回の場所もある。 カイコと違い、クワコの成虫は普通に飛翔し、夜に灯火などに飛来する。 幼虫は、クワやヤマグワの葉を食べるが、成虫は口吻が退化しているので、摂食はできない。 そのため、幼虫時代に蓄えた養分によって活動し、交尾して産卵する。 夏季の産卵は葉に1個ずつ産み付けるが、秋に産む越冬卵は樹の幹に固めて産み付けられる。 中令幼虫は、濃褐色地に白色の紋があり、鳥の糞に擬態している。 終齢幼虫は体長35mm前後になり、淡褐色の体に、胸部には橙色の眼状紋がある。 また、背部には円形の紋が並び、腹端付近には小さな突起がある。 終齢幼虫は静止時には、頭部を前に長く突き出し、小枝に擬態することがある。 また、危険を察知した時には、胸部を膨らませて眼状紋を強調し、蛇を装う。 繭は薄い黄色で、カイコの繭と比較すると少し小さく、巻きも粗い。 日本のクワコの染色体数は2n=54で、中国のものは2n=56、韓国ではその両方が見られる。 日本と中国のクワコの系統の分岐は、数百万年前に遡ると考えらえている。 なお、クワコとカイコはその祖先種から分化したとされ、それは5000年ほど前とされている。 カイコの染色体数は2n=56であり、日本のクワコ(2n=54)とはかなり遠縁である。 分子系統解析から、カイコは中国東部のクワコが起源と考えられている。
2020/10/13
自宅近くを歩いているとき、歩道脇のクワの葉に怪しげな風体の芋虫を見つけました。 中段は、上段の腹部と頭部・胸部の部分を拡大したものです。 腹部にある腹脚や尾脚の間に毛が生えて間を埋め、直角に折れ曲がった尾角があります。 胸部は異常に大きくて、その前面に橙色の眼状紋があり、その先に目立たない頭部があります。 下段は、上から見たもので、何対かの眼状紋が並んでいますが、大きさや色はまちまちです。 何の幼虫かと調べると、カイコに似ていることが分かりましたが、色などが微妙に異なります。 カイコ関係を調べると、クワコ(クワゴとも)の終齢幼虫と分かりました。 2023/4/19 上記と同じ場所で、クワコの中齢幼虫を見かけました。見たのは3年ぶりですね。 終齢幼虫と異なり、胸部の瘤状の周りに白い模様があり、鳥の糞に擬態しているそうです。 | ||||||||
オオミズアオ(Actias artemis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・ ヤママユガ科・ヤママユガ亜科・Actias属> ヤママユガ科ヤママユガ亜科に分類される大型の美しい蛾の一種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州の平地から高原まで広く分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシア南東部に分布する。 出現時期は4月〜8月で、初夏と夏の年2化。サナギで越冬する。 青白色の翅を持ち、前翅は三角形にとがり、後翅は後方に伸びて尾状になる。 開張は80〜120mmで、前翅前縁は赤褐色になり青白色との対比が美しい。 前翅と後翅にはそれぞれ中央に丸い斑紋が1個ずつある。 触角は雌雄とも櫛歯状だが、雄ではっきりとよく発達する。 幼虫の食草は、モミジ、ウメ、サクラ、リンゴなどバラ科、ブナ科、カバノキ科などで多い。 成虫は口が退化していることもあり、物を食べたり飲んだりすることはない。 なお、よく似たオナガミズアオがおり、個体変異もあるので見た目での区別は難しい。
2023/8/24
マンションのエレベーターホールに行ったとき、壁に止まるオオミズアオがいました。 おそらく、昨晩、光に誘われて入り込んだものと思われます。 右前翅の先が欠損していますが、その他の部分はきれいな状態でした。 ここから外へは出にくいので、外に連れ出すことにしました。 指に止まらせようとそっと近づけると、パッと飛んで、なんと私の眉毛に止まったんです。 手乗りならぬ、顔乗りオオミズアオです。そのまま、家まで移動して写真を撮ってもらいました。 最初の写真がその時のものですが、オオミズアオがどれくらいの大きさか想像しやすいでしょう。 その後、飛んで壁に止まったので写真を撮り、手乗りにして外に逃がしました。 触角が褐色で前翅前縁の白線が極不明瞭、かつ、外縁が波打っているので、オオミズアオです。 櫛歯状の触角は比較的幅が狭く、尾状突起があまり長くないので、この個体はメスと思われます。 | ||||||||
ウメエダシャク(Cystidia couaggaria couaggaria)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・シャクガ上科・ シャクガ科・エダシャク亜科> シャクガ科エダシャク亜科の蛾で、出現は年に1回。 日本では、北海道から四国、九州まで、ほぼ全国に分布する。 日本を含め、シベリアから朝鮮半島、中国まで広く分布している。 開張は35〜45mmで、翅は白色と黒色のまだら模様。腹部は淡黄橙色で黒色の斑紋が並ぶ。 見た目がトンボエダシャクなどと良く似ているが、翅の斑紋などで区別可能。 日中に活動し、フワフワと羽ばたきながら緩やかに飛び続ける。 幼虫は、ウメ、モモ、サクラ、エゴノキ、スイカズラなどの葉を食べる。
2018/6/12
境川からの戻り道、畑の脇に植えられていたフサフジウツギの近くをフワフワと飛んでいました。 見ているとフサフジウツギの花に止まったので、そっと近づいて撮影しました。 別の角度から撮ろうと動いた途端、フワフワと逃げられました。 | ||||||||
ウンモンスズメ(Callambulyx tatarinovii gabyae)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・スズメガ上科・ スズメガ科・ウチスズメ亜科・Callambulyx属> スズメガ科ウチスズメ亜科に分類されるガで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬に分布している。 開張は60〜80oで、前翅が淡緑色で、後翅が淡紅色、濃緑色の斑紋が美しい。 国内では、平地で極普通に見られ、灯火にもよく飛来する。 幼虫は、緑色の地に白い顆粒列で背中の直線と側面の斜線模様があり、褐色の斑紋を持つこともある。 幼虫の食草は、ニレ科のケヤキやアキニレなどで、秋に老熟して蛹化し、越冬する。 なお、ウチスズメ亜科の仲間は口吻が退化する傾向にあるが、本種も同様と思われる。
2017/7/20
自宅のあるマンションのエレベータホールでばったりと出会いました。 きれいな緑色の翅に魅せられて、自宅に持ち帰り、撮影しました。 2022/9/7 国道16号線沿いを歩いているとき、塀に止まっているウンモンスズメに気が付きました。 写真を撮るために同行願ったのですが、途中で逃走を図ったため、胸部背面の一部が剥げてしまいました。 ウンモンスズメは、前翅表の緑色の斑紋と後翅の紅色の対比が美しい蛾です。 今回見かけた個体は、地色が淡緑色というよりは、ベージュ色に近い色合いをしていました。 2017/7/20 <オス> 2022/9/7 <メス> また、前回見かけたものより腹部の太さが倍くらい違います。 前回見かけた個体はオスで、今回見かけた個体はメスであったようです。 | ||||||||
サザナミスズメ(Dolbina tancrei Staudinger, 1887)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・スズメガ上科・ スズメガ科・スズメガ亜科・スズメガ族・Dolbina属> スズメガ科・スズメガ亜科に属するスズメガの1種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に、島嶼部では対馬、石垣島、西表島に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国北東部、シベリア南東部に分布する。 開張は50〜80oになり、暗灰色〜黒褐色で波型の模様があり、翅の中央付近に白斑がある。 雌雄差はあまりないが、触角がオスでは太く繊毛状で、メスは細くて各小節に微毛がある。 発生時期は5月〜6月と7月〜9月の年2回で、成虫は樹液に集まる。 幼虫の食草は、モクセイ科のモクセイ、イボタノキ、トネリコ、ネズミモチなどである。 終齢幼虫は体長70oほどになり、土中に潜って蛹で越冬する。 見た目が似たヒメサザナミスズメいるが、開張が40〜60oと明らかに大きさが異なる。 また、腹部腹面がヒメサザナミスズメは灰色であるが、本種は白くて中央には黒紋が並ぶ。
2016/9/22
自宅のあるマンションのエレベータホールの壁に止まっていました。 撮影していると、突然、翅をブルブルとふるわせ始めました(右の写真で翅がブレています)。 かなり地味なグレーの体色とグレーの濃淡のみの模様の蛾です。 白い壁に止まっていたので目立ちましたが、樹の幹などでは保護色になるでしょう。 名前を調べたのですが分からず、不明種となっていました。 それが、他の蛾を調べていて似たものを見かけ、調べ直した結果、本種と判明しました。 3年越しの同定となったのですが、スズメガの仲間とは思っていませんでした。 なお、触角が細い鞭状で、繊毛状ではないのでメスの個体と思われます。 | ||||||||
オオスカシバ(Cephonodes hylas)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・スズメガ上科・ スズメガ科・ホウジャク亜科・オオスカシバ属> スズメガ科オオスカシバ属に分類されるガで、在来種。 日本では、本州から四国、九州に分布している。 海外では、中国、東南アジア、アフリカ、オーストラリアに分布する。 和名は、成虫の翅が透明なことに由来するが、スカシバガ科ではなく、スズメガ科に属する。 体の背中側は黄緑色で、腹側は白。腹部中央に黒で挟まれた赤い帯模様がある。 その帯模様より尾端側は黄色で、尾端には黒い毛の束がある。 オオスカシバの翅の表面には、顕微鏡レベルの微細な顆粒が密生している。 その光学的な効果により、他の蛾などの鱗粉を除去した翅よりも透明度が高い。 幼虫は、黄緑色か褐色の体色で、尾端に1本の角がある。食草はクチナシで、その害虫である。
2015/7/2
朝、駅に向かう途中で、壁面に止まっているオオスカシバに気が付きました。 良く見ると、翅に鱗粉が付いており、白っぽくて不透明です。 今朝、羽化したばかりなのでしょう。羽化直後の野生種を見られるとはラッキーでした。 翅以外にも、全体的に色が淡く鮮やかで、なんとも初々しい感じです。 あいにく、カメラは持っていませんでしたので、携帯のカメラでなんとか撮影できました。 この後、翅を細かく震わせると、鱗粉は全て吹き飛んで、透明な翅になります。
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ホシヒメホウジャク(Neogurelca himachala sangaica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・スズメガ上科・ スズメガ科・ホウジャク亜科・Neogurelca属> スズメガ科Neogurelca属に属する蛾の1種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬、屋久島、種子島に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国に分布している。 幼虫は尾角がある独特の形をしており、4齢幼虫までは灰白色である。 終齢幼虫になると、紫色型、橙色型、緑色型、緑色無紋型の4型になる。 蛹は枝の上に無造作に作られ、ぶら下がっている。 成虫は、体長25mm前後、開張は35〜40mmとやや小ぶりである。 翅は地色が黒褐色で、前翅後縁が大きく湾曲し、後翅には黄色い模様がある。 成虫は、昼間、飛び回って花で給蜜する。幼虫の食草はヘクソカズラである。
2020/10/27
境川への道路脇で、網に止まっているホシヒメホウジャクを見かけました。 全く傷がないきれいな個体でしたので、羽化して間もないのかもしれません。 ホウジャクであることは直ぐに分かったのですが、名前までは分かりませんでした。 後で調べて、ホシヒメホウジャクと分かりました。 | ||||||||
セスジスズメ(Theretra oldenlandiae)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・スズメガ上科・ スズメガ科・ホウジャク亜科・コスズメ属> スズメガ科コスズメ属に分類される蛾で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布する。 背中に白い縦筋が2本走っていて、それば和名の由来と思われます。 見た目が、ジェット戦闘機を思わせる精悍なスタイルで、翅の模様もそれを助長している。 幼虫は、全体が黒っぽい(稀に黄緑色)イモムシで、背の両側に黄色から黄橙の眼状紋が並ぶ。 頭部と尾部では眼状紋は小さく連続し、尾端では左右から先端が白い尾角の基部で接する。 終齢幼虫に近づくにつれ、体色は黒褐色になり、眼状紋は赤っぽくなる。 非常な大食漢で、成長スピードが早く、数日で数倍に成長する事もある。 食草はヤブガラシやノブドウ、サトイモやサツマイモなど雑多で、数日で丸坊主にされることがある。 発生は、初夏から秋にかけて繰り返され、蛹で越冬する。
2015/9/19
境川近くの駐車場の壁に止まっているスズメガに気が付きました。 良く見かけるスズメガの内の1種で、後退翼のジェット戦闘機のようなスタイルです。 2020/10/6 境川からの帰り道、坂を上っていると目の前をセスジスズメの幼虫が横切って行きます。 尾角を前後に降りながら、結構速いスピードで移動していきます。 大きさから終齢幼虫だと判断しましたが、蛹になる場所を求めて移動していたのかもしれません。 | ||||||||
ニトベミノガ(Mahasena aurea)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヒロズコガ上科・ ミノガ科・Mahasena属> ミノガ科の蛾の一種で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。 成虫オスの開張は23〜27mmで、出現時期は6月〜7月。 蓑の大きさは30〜40mmで、食樹の葉の小片を多数付着させる。 排泄物は、蓑の頂上部分から外に出すが、自分の脱皮殻は入り口に付けて、蓑の一部とする。 幼虫の食樹は、リンゴ、クヌギ、アカメガシワなどで、若齢幼虫で越冬する。 和名の「ニトベ」は、昆虫学者の新渡戸稲雄に由来する。
2018/5/21 境川の縁で、イネ科の雑草に小さなミノムシが付いていました。 蓑には大きな葉の切れ端がくっ付いているので、小さな蓑も大きく見えます。 若干大きい方は、葉の基部に糸で張り付いていて、動く気配はありませんでした。 その近くで、小さい方は近くに食痕もあり、まさに食事中でした。頭部も見えています。 | ||||||||
シロオビノメイガ(Spoladea recurvalis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・メイガ上科・ ツトガ科・ノメイガ亜科> ツトガ科ノメイガ亜科の蛾で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州まで、ほぼ全国に分布する。 日本以外では、アジア、オーストラリア、北米まで広く分布している。 出現時期は6月〜11月で、年に5〜6回と多い。 開張は21〜24mmで、前翅、後翅はともに濃褐色で、それぞれのほぼ中央に白条が1本ある。 さらに、前翅には前縁から後縁に向けて中央部まで1本の白条がある。 日中に草原などでよく見られる昼行性で、花の蜜を求めて訪花する。また、灯火にもよく飛来する。 幼虫は、アカザ科(ホウレンソウ、アカザなど)やウリ科の葉を食害する。 幼虫は5齢を経て体長15mm前後の終齢幼虫となる。 終齢幼虫の頭部は淡黄褐色で、多くの褐色斑紋があり、胴部は半透明で、緑色を帯びる。
2020/10/19
境川近くの草原で、マメアサガオの写真を撮っているとシロオビノメイガが飛んできました。 日中、吸蜜のために訪花し、幼虫はアサガオ科の葉を食べるので、吸蜜か産卵のために来たのでしょう。 | ||||||||
ツゲノメイガ(Glyphodes perspectalis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・メイガ上科・ ツトガ科・ノメイガ亜科> ツトガ科ノメイガ亜科に分類される蛾で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、インドに分布する。 前翅長は20〜28mmで、発生時期は6月〜9月。年に2〜3回発生する。 翅は、淡青色の周りを黒く縁どられていて、淡青色の部分は半透明になっている。 また、前翅の前縁には淡青色の斑紋がある。 幼虫はツゲの葉を食べ、中齢幼虫が葉の上に繭を作って越冬する。 なお、食草のツゲの自然分布域は本州中部以南の暖地であり、本種の分布も同様と考えられる。 従って、本州北部以北の分布は、ツゲを緑化樹として植栽した結果、広がったものと考えられる。 本種は、ツゲを植えれば必ず発生すると言われるほどで、ツゲとの結びつきは強い。
2017/10/2
境川近くの草原で、スペアミントの花を訪花していました。 淡い半透明な青色の部分がきれいなガですが、ツゲの大害虫です。 | ||||||||
フタイロコヤガ(Acontia bicolora)
<チョウ目・・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・ ヤガ科・コヤガ亜科> ヤガ科コヤガ亜科の蛾で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、対馬に分布し、海外では中国に分布する。 開張は20o前後で、成虫の出現時期は5月〜9月。 名前の通り、前翅基部から前縁がウグイス色で、その他の部分が黒褐色。 なお、メスの中には濃色部分が淡いものがいて、全体が褐色になり黄白紋が目立つ。 食草は、カラスノゴマ。
2018/5/21
境川の縁で、ヒメジョオンの花に見慣れないツートンカラーの小さな蛾が止まっていました。 頭部、胸部、翅の基部は黄褐色で、翅の先の方が黒褐色になっています。 後で調べていて、ヤガ科のフタイロコヤガと分かりました。 なお、メスの中には黒褐色の部分が淡く、全体が褐色になり、翅の黄白紋が目立つものもいるそうです。 | ||||||||
フクラスズメ(Arcte coerula)
<チョウ目・・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・ ヤガ科・シタバガ亜科・フクラスズメ属> ヤガ科シタバガ亜科の蛾で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで全国に分布する。 海外では、台湾、中国、インド、オーストラリアに分布する。 出現時期は7月〜10月で、年2回(多い所では3回)発生し、成虫で越冬する。 開張は85mm前後、前翅長は40mm前後で、褐色地に黒褐色の模様がある。 なお、後翅には瑠璃色の斑がある。成虫の背中側は褐色、腹側は淡黄色で、触角は細い。 成虫の前翅の色合いがスズメに似て、毛に覆われてずんぐりした体形を、 羽毛を逆立てて冬の寒さに耐える「ふくらすずめ」に見立てたのが、和名の由来である。 幼虫の食草はイラクサ科のカラムシやイラクサで、成虫は夜にクヌギなどの樹液に集まる。 地味な色合いの成虫に対して、幼虫は赤、白、黒とかなりけばけばしい色合いである。 頭部と尾部、脚と腹脚が赤茶色で、胸部から腹部の背面は、黒地に多数の白色の横縞がある。 胸部から腹部の側面には黄色い筋状の模様があり、各節には赤い斑紋があり、まばらに長毛が生える。 この幼虫には特技があり、触るなどすると、腹脚で体を支えて上体を反らし、胸部を激しく揺さぶる。 それでも効果がないと、最後には緑色の液体を吐き散らす。なお、終齢幼虫は体長が7cmほどになる。 特に毒は持っていないが、けばけばしい色彩と特技によって毛嫌いされることが多い。
2020/10/27
境川の縁に茂っていたカラムシの葉が、所々、無くなって、ボロボロになっていました。 何かいるのかと辺りを探すと、ド派手でけばけばしい色合いの大きな毛虫がいました。 といっても、毛は疎らに生えている程度で、背中の白黒の横縞模様が印象的です。 ちょっと向きを変えようと枝に触った途端、猛烈に上体を振りだし、ちょっと驚かされました。 後で調べてフクラスズメの終齢幼虫らしいと分かり、上体を振るのはこの幼虫独特の習性でした。 腹脚や尾脚が腹部の大きさに比べて異常に大きく見えるのは、この習性のためかもしれません。 別の場所でも、カラムシをほぼ食べ尽くすほど、たくさんの幼虫が付いているのを見つけました。 その時、頭部や尾部、腹脚の色は、個体によって黒から橙色まで変異があることが分かりました。 | ||||||||
ホソオビアシブトクチバ(Parallelia arctotaenia)
<チョウ目・・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・ ヤガ科・シタバガ亜科> ヤガ科シタバガ亜科の蛾で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州まで、ほぼ全国に分布する。 海外では、台湾、インド、オーストラリア、太平洋地域に分布する。 出現時期は5月〜10月で、バラの害虫として知られている。 開張は38〜44mm、前翅長は23mmで、暗褐色の地にV字型の白い横帯模様がある。 翅を屋根型に閉じて止まることが多く、前翅外縁には枯葉が反り返ったような模様がある。 幼虫の食草は、バラ、ウバメガシ、トウゴマ、サルスベリなどである。 成虫は、果実などに集まる。
2015/8/2
自宅の灯火に誘われてやってきたホソオビアシブトクチバです。 調べても名前が分からず、ずっと不明種のままでしたが、ひょんなことから同定できました。 前翅外縁に少し淡い色の模様があるのですが、これは端の反り返った枯葉に見せているそうです。 ただ、前翅から後翅にかけて、明瞭なV字形の白い帯模様があり、枯葉には見えませんね。 |