昆虫(U)
和名インデックス |
ハグロトンボ(Calopteryx atrata)
<トンボ目・イトトンボ亜目・カワトンボ上科・カワトンボ科・カワトンボ亜科・アオハダトンボ属>
日本を含め、東アジア、北米に生息している。 日本では、本州・四国・九州に生息している。 体長60mm前後、後翅長は40o前後ある。雌雄差は大差ないが、若干、メスの方が大きめ。 体色は、オスは全体的に黒くて緑色の金属光沢があるのに対し、メスには金属光沢がない。 飛び方にも特徴があり、パタパタとゆっくりと羽ばたくように飛ぶ。 止まる時には、翅を立てて、4枚の翅を重ねて閉じる。 エビモ、バイカモなどの沈水植物などが茂る緩やかな流れに生息する。 羽化直後は、薄暗い所を好み、水域を離れた林内などに移動するが、成熟すると水域に戻ってくる。
2015/9/19
境川の近くで、草むらの中をふわふわと飛んでいるハグロトンボがいました。 近づいた時、葉の上に止まってくれました。腹部に金属光沢がないのでメスのようです。 | |
アキアカネ(Sympetrum frequens)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>
日本の固有種で、極東アジアからヨーロッパにかけては、近縁種のタイリクアキアカネが分布する。 ナツアカネと異なり、夏には平地から高地に移動し、秋に成熟して平地に戻ってくる。 夏場の未成熟期は橙色の体色であるが、秋の深まりとともに成熟して赤い体色になる。 特にオスは赤くなるが、ナツアカネと異なり、胸や頭部までは赤くならない。
2015/9/19
境川の護岸の柵に止まっているアキアカネがいました。成熟したメスです。 少し早い気もしますが、もう山から戻ってきたようです。 2022/9/25 自宅近くを散歩中、道路脇の葉に留まる赤トンボを見つけました。 このときは胸部の斑紋を確認できず、ナツアカネかアキアカネかの判断ができませんでした。 後で写真を拡大して、斑紋の特徴からアキアカネと分かりました。メスです。
| |
ショウジョウトンボ(Crocothemis servilia mariannae)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・ショウジョウトンボ属>
日本では、北海道南部から本州、四国、九州に分布する日本固有種。 なお、南西諸島に分布するものは、タイリクショウジョウトンボ(原名亜種)として区別される。 原名亜種は、台湾、中国南部からインドシナ、マレーシア、フィリピン、ボルネオ、スマトラなどに広く分布する。 羽化直後は、雌雄とも淡い黄色だが、オスは成熟すると眼まで含めて全身真っ赤になる。 メスは、くすんだ褐色になり、雌雄の区別は容易になる。 オスは、水辺の縁に縄張りを持ち、縄張りに沿って哨戒飛行をして、縄張りを守る。 なお、ショウジョウは、中国の伝説上の赤い顔をした動物「猩猩」から来てる。
2015/7/11
境川の河川敷に生えているススキの葉に止まる、ショウジョウトンボのオスです。 真っ赤なので、遠目でも直ぐに気が付きました。
| |
シオカラトンボ(Orthetrum albistylum speciosum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ヨツボシトンボ亜科・シオカラトンボ属>
日本では、北海道から四国・九州にかけて広く生息している。 日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾、極東ロシアに分布している。 成熟すると雄は体色が黒くなり、胸から腹部の頭部側に白い粉を噴いたようになるのでこの名がある。 未成熟なオスやメスは、黄色に黒の模様が入るので、ムギワラトンボと呼ばれる。 コフキトンボよりスリムで、腹部第4節にヒダがないことで区別できる。
2013/7/20
境川近くの草むらで翅を休めているシオカラトンボのメスです。 オスと異なり、白く粉を噴くことはありません。
| |
ギンヤンマ(Anax parthenope)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・ヤンマ科・ルリボシヤンマ亜科・トビイロヤンマ族・ギンヤンマ属>
ヤンマ科に分類されるトンボの一種で、在来種。 日本では、北海道から四国・九州にかけて広く生息している。 日本に分布しているのは亜種(Anax parthenope julius)であり、東アジア全般に生息する。 基亜種は、東アジア、インド、カザフスタンまで分布している。 体長は70o程で、翅の長さは50oほどになる。 頭部と胸部が黄緑色、腹部が黄褐色をしているが、境界部分がオスだと水色、メスだと黄緑色である。
2013/8/31
境川の上を行ったり来たりしているギンヤンマを見かけました。 胸部と腹部の境界部分が水色なので、オスのようです。 | |
ホシウスバカゲロウ(Glenuroides japonicus MacLachlan, 1867)
<アミメカゲロウ目・アミメカゲロウ亜目・ウスバカゲロウ上科・ ウスバカゲロウ科・ホシウスバカゲロウ属> ウスバカゲロウ科ホシウスバカゲロウ属に分類される昆虫で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島にかけて広く分布している。 体長は30〜35mm程で、前翅の長さは37o前後になる。出現時期は6月〜10月。 体色は暗褐色で、翅は透明。周縁に黒褐色の斑紋がある。 夜行性ではあるが、昼間でも薄暗い林縁などをヒラヒラと弱弱しく飛ぶことがある。 幼虫は、非営巣性で巣は作らず、頭の先だけ外に出して、餌を待ち受ける。 ※ 日本ではウスバカゲロウの仲間は17種知られているが、アリジゴクを作るのが確認されているのは5種のみ。
2017/8/22
自宅のあるマンションのエレベータホールで見かけたホシウスバカゲロウです。 最初、ウスバカゲロウだと思ったのですが、どう見ても触角の長さが合いません。 改めて調べ直した結果、翅の斑紋や触角の長さから本種と分かりました。 左右で若干色味が異なるのは、右の写真はフラッシュを使っているためです。 | |
ヤマトクサカゲロウ(Chrysoperla nipponensis)
<アミメカゲロウ目・アミメカゲロウ亜目・ヒメカゲロウ上科・ クサカゲロウ科・クサカゲロウ亜科・クサカゲロウ族・ヒメクサカゲロウ属> クサカゲロウ科ヒメクサカゲロウ属の1種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布している。 出現時期は4月〜11月で、平地〜低山地の草原などに生息する。 体長は10mm前後で、開張は22〜29mm。体は淡緑色で、背面中央に明るい黄緑色の筋がある。 翅脈は体色と同じ緑色で、頬と頭楯の模様が連続しており、目は赤みがかった金属光沢がある。 成虫で越冬し、冬期に体色が赤褐色〜褐色に変色する。 成虫、幼虫ともに小昆虫などを食べる肉食で、アブラムシなどを好むため、駆除に利用される。 葉や果物の表面に産卵し、卵は5mm前後の糸が付く独特な形をしており、「うどんげ」と呼ばれる。
2018/5/21
境川沿いの植栽の中から顔を出していたヒメジョオンにナミテントウの幼虫が付いていました。 その中に見慣れない幼虫が混じっていたのですが、後で調べるために撮影しました。 テントウムシの仲間だろうと思って調べたのですが、該当するものがありません。 まさかとは思いましたが、ヒラタアブ属の幼虫も確認しました。が、全く違います。 そのまま、しばらく正体不明となっていましたが、ふとしたことで正体が判明しました。 なんと、クサカゲロウ科の幼虫で、詳しく調べた結果、ヤマトクサカゲロウの幼虫と分かりました。 | |
キマダラカメムシ(Erthesina fullo)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・ カメムシ科・カメムシ亜科・Halyini族・Erthesina属> カメムシ科カメムシ亜科の1種で、台湾〜東南アジアが原産地の外来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布するが、近年、分布が拡大している。 出現時期は4月〜11月と長く、体長は20〜23oと国内のカメムシ亜科最大種である。 頭部は面長で、複眼より前方に吻が長く突き出す。前胸側縁は尖り、触角は黒褐色で、第1節び基部が白い。 体色は黒褐色で艶はなく、前胸背板から前翅に淡黄色の斑点が密生するが、前翅の一部には斑点がない。 また、淡黄色の線条が頭部から前胸背板の正中線上を走り、頭部側面も淡黄色の線条が縁どる。 覆面は、黄褐色が地色で、黒い斑点が周辺部にあり、各節を前縁に黒い帯状紋がある。 若齢幼虫は淡褐色に黒と朱の横縞模様が背面を覆い、終齢幼虫は暗い灰色に朱色の星が規則的に並ぶ。 サクラ、カキ、フジ、ニセアカシア、クワ、ウメ、エノキから吸汁する。 なお、カキに関しては、その果実からも盛んに吸汁する。
2017/10/23
自宅のあるマンションの廊下で、ひっくり返ってじたばたしている見つけました。 見たことがないカメムシでしたので、調べてみると、直ぐに本種と分かりました。 2018/5/21 境川の畔にある公園の樹木にキマダラカメムシのペアが止まっていました。 逆光で種類まではわからなかったのですが、後で画像を調整して本種と分かりました。 | |
クサギカメムシ(Halyomorpha halys)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・ カメムシ科・カメムシ亜科・クサギカメムシ属> カメムシ科クサギカメムシ属のカメムシで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾など、東アジアに広く分布している。 体長は13〜18mmで、前翅の膜質部を除いてまだら模様のある褐色で、腹部は橙色である。 頭部は突き出して幅はほぼ同じで、複眼がこぶのように左右に突き出す。 触角は体色と同色で、関節の部分が白くなっている。 前胸の両肩はあまり強く突き出さず、前縁に四つの小さな淡褐色の斑紋が並ぶ。 腹部は中程がやや幅広で、前翅の両側から少しはみ出す。前翅の膜質部は腹部の後端を超える。 植食性のカメムシで、非常に多くの種類の植物の茎や葉から吸汁する。 幼虫は果実には付かないが、成虫は果樹や豆類の吸汁もするため、農業害虫として古くから知られる。 成虫で越冬し、人家に入り込んで冬を越すことがあり、悪臭を出すので衛生害虫としても知られる。 越冬個体は、秋の訪れとともに死に、新世代に代変わりする。 なお、本種が刺激を受けたときに出す悪臭は強烈で、最も臭気の強い種の1つとされる。
2021/10/20
自宅のベランダに置いていたサンセベリア・ローレンティーの葉を処理していたら出てきました。 何匹かのカメムシが出てきたのですが、多くはキマダラカメムシでした。 最近、気温が急に下がったため、越冬のための隙間を探して葉の間に入り込んでいたようです。 その中に、1匹だけ翅の模様が異なるカメムシがいました。 見たことがなかったので調べてみたら、直ぐにクサギカメムシと分かりました。 全国で普通に見られる種類なのに、見たのは2回目と少ないのが不思議です。 | |
マルカメムシ(Megacopta punctatissima)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・マルカメムシ科・マルカメムシ属>
マルカメムシ科マルカメムシ属のカメムシで、在来種。 日本では、本州から四国、九州、対馬、屋久島、トカラ列島などに分布する。 海外では、朝鮮半島に分布し、2009年頃に北アメリカに侵入したことが分かっている。 体長は5mm前後で、体型は丸形に近く、また小循板が大きく広がって腹部背面を広く覆う。 前翅も後翅もほぼその小循板の下に折り畳んで収納される。 背面は暗黄褐色で光沢があって、黒い点刻が密に分布する。 頭部は小さく、暗黄褐色で中央に溝と黒い2本の筋がある。触角は黄褐色で、5節からなる。 小楯板の表面には点刻はあるが、特に模様はない。ただ、基部中央には横溝で区分された部分がある。 幼虫は成虫とは異なり、明るい緑色で毛深く扁平で、腹部の縁が波状になり、直立した毛で覆われる。 幼虫、成虫共にクズ、フジ、ハギなどのマメ科植物を吸汁する。 なお、大豆や小豆といったマメ科の作物も食害することがある。
2020/10/27
境川の近くで、塀に絡みついているクズの葉腋に、マルカメムシの番が張り付いていました。 マルカメムシは時々見かけるのですが、撮る機会がなかったので、掲載が遅くなりました。 コロコロっとしたずんぐり体形で、腹部背面は巨大化した小楯板で覆われています。 そのため、前翅や後翅は小楯板の下に格納されていて、背面には全く見えていません。 | |
モンシロナガカメムシ(Panaorus albomaculatus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ナガカメムシ上科・ナガカメムシ科>
ナガカメムシ科の1種で、在来種。 日本では本州から四国、九州に分布する。 体長は7o前後で、革質部外縁は灰白色で、膜質部との境に白斑がある。 ダイズ、トウバナ、イネなどの植物の地下茎から吸汁するので、地表にいることが多い。 ただ、果実から吸汁することもあり、害虫とされている。発生時期は5月〜11月と長い。
2013/7/20
境川近くの草むらに生えているスペアミントの花に小さなカメムシが付いていました。 後で調べると、よく似ているカメムシが数種類存在します。 画像が粗いこともあって断定はできませんが、下記の点で最も近いと思われる本種としています。 オオモンシロナガカメムシ:背面の白斑がはっきりしているのは似ていますが、体形が異なります。 シロヘリナガカメムシ:体形などは似ていますが、白斑が不明瞭で、これほどはっきりしていません。 アルームシロヘリナガカメムシ:体形も白斑も似ていますが、小楯板に白斑が2個ある点が異なります。 モンシロナガカメムシ:体形も白斑が比較的はっきりしている点も似ており、小楯板に白斑はありません。 | |
アカヒメヘリカメムシ(Rhopalus maculatus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ ヒメヘリカメムシ科・ヒメヘリカメムシ亜科> ヒメヘリカメムシ科ヒメヘリカメムシ亜科のカメムシの1種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄と全国に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、シベリア、ヨーロッパに分布している。 体長は5〜8mmで、出現時期は4月〜11月。平地〜山地の草地に普通。 赤みがかった黄褐色の体色が特徴で、ところどころに黒色点が混じる。革質部の脈は目立たない。 食性は広く、イネ科、キク科、タデ科の食物を吸汁し、稲の害虫(斑点米の要因の1つ)である。 幼虫は成虫とは全く異なり、終齢幼虫はきれいな淡緑色の体色に暗褐色の翅の原基が見える。 なお、腹部には刺状の突起が腹節毎に6対、放射状に飛び出している。
2020/10/19
境川近くの草むらに生えているエノキグサの雌花に小さなカメムシの幼虫が付いていました。 腹部が緑色をしていて、暗褐色の翅の原基が付いているので、パッと見、種子のように見えます。 そのため、最初、目に付いたときには種子に見えてスルーしかけました。 ただ、腹部の周囲にトゲトゲがあったので、変わった形をしているなと思わず見直してしまいました。 そして、それが種子ではなく、カメムシの幼虫らしいことに気が付いたしだいです。 後日、どのカメムシか調べた結果ですが、アカヒメヘリカメムシの幼虫と分かりました。 名前の通り、体色が赤味がかった褐色なのですが、その幼虫の体色は緑色なんですね。 | |
ヨコヅナサシガメ(Agriosphodrus dohrni)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・サシガメ上科・サシガメ科・ヨコヅナサシガメ属>
カメムシ目サシガメ科に分類されるカメムシの一種。日本のサシガメ科中最大級の種である。 原産地は、中国、インドシナ半島、インドである。国内では、関東以南の本州、四国、九州に分布する。 九州では1928年代に記録されており、関東には1990年代に侵入が確認されている。 体長は16〜24mmになり、体色は黒色で光沢があり、腹部の各節は白く縁どられている。 腹部は葉状に広がり、翅の外まで張り出して反り返り、外縁は少し波打っている。 この白い模様が、化粧まわしのように見えるとこがヨコヅナの和名の由来。 なお、幼虫では黒い部分が外縁まで達するため、白と黒が交互に並んでいる。 この体の黒色部は、脱皮直後の外骨格が硬化するまでは、鮮やかな赤色をしている。 成虫の腹部尾端や、各脚の付け根は鮮やかな赤色で、白黒の体に赤がワンポイントのアクセントとなっている。 成虫、幼虫ともに、サクラ、エノキ、ケヤキ、クワなどの大木で樹上生活をしている。 春から夏にかけての活動期には、大木の高所で単独生活をしているため目に付くことは少ない。 産卵期になると成人の背の高さくらいまで降りてくるので、人目に付くようになる。 幼虫、成虫とも肉食であり、他の昆虫を捕らえて口吻を刺し、消化酵素を注入して、溶けた体液を吸う。
2019/6/8
自宅に戻るとき、マンション内の通路に転がっている大きなカメムシを見つけました。 黒い体色に白い縁取りがあるモノトーンで、すっきりとしたデザインです。 よく見ると、動きません。確認すると死んでいるようでしたが、欠損はないようです。 拾って帰って、撮ったのが上記の写真ですが、まだ硬直はしていなかったので、ポーズをとらせました。 写真を撮っていて、脚の付根などに赤い部分がある事に気が付きました。 この赤いワンポイントが効いて、なんともシックで艶やかなカメムシです。 ただ、見たことはないのですが、脱皮直後は黒い部分が真っ赤だそうで、超ケバイ姿ですね。 | |
アオバハゴロモ(Geisha distinctissima)
<カメムシ目・頸吻亜目・ハゴロモ型下目・ハゴロモ上科・アオバハゴロモ科・アオバハゴロモ属>
アオバハゴロモ科の昆虫で、在来種。 日本では、本州以南に広く分布し、海外では、台湾や中国に分布している。 成虫の体長は、翅も含めると10mmほどで、羽も含めて淡緑色。翅にピンクの縁取りがある。 幼虫は、翅がない事を除けば、成虫と同じ姿をしている。 しかし、尾端から分泌する蝋物質のために白い綿に包まれたように見え、成虫と全く異なって見える。
2017/3/1
境川に近い畑の脇で、ヤブガラシの枝に付いていたアオバハゴロモを見かけました。 脱皮して間がないのか、翅のピンクの縁取りは確認できますが、淡緑色は極淡く、淡黄色に近いです。 その近くには、アオバハゴロモの幼虫が分泌する蝋物質に覆われた枝がありました。 よく見ると幼虫がへばり付いています。右の写真でどこに幼虫がいるか分かりますか。 真ん中あたりに腹節の横線がかすかに見えています。頭部は下の方になります。 | |
ツマグロオオヨコバイ(Bothrogonia ferruginea)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・ツノゼミ上科・ヨコバイ科・オオヨコバイ亜科>
ヨコバイ科オオヨコバイ亜科の1種で、在来種。出現時期は3月〜11月。 日本では、本州以南に広く分布し、春先から秋まで活動している。 体長は13mm前後で、黄緑色に頭部と胸部に黒班があり、翅端が黒くなっている。 良く似た配色のツマグロヨコバイとは大きさが倍くらい異なる。 また、ツマグロヨコバイは稲の大害虫であるが、本種は雑草の吸汁が主で、あまり害にはならない。 草の茎に針状の口を刺して、おしっこを出しながら果てしなく吸汁し続ける。 また、飛び立ったとき、お腹が満タンだと、セミのように「空中おしっこ」をする。 なお、ヨコバイの名は、危険を察知すると横に歩き、裏に回り込んで身を隠すことに由来する。 本種は、成虫で越冬する。
2018/5/21
境川からの戻り道、畑の脇に植えられていたシャリンバイの葉に止まっていました。 そっと近づいて撮った途端に、パッと逃げられてしまいました。 2020/4/23 ヤツデの葉の裏に、ツマグロオオヨコバイが2匹止まっていました。 左側のオスが、右側にいるメスに交尾しようと近づいていたようです。 右側のメスの腹部は大きく膨らみ、先端が白い尾端(産卵管)が外に突き出しています。 | |
アブラゼミ(Graptopsaltria nigrofuscata)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・アブラゼミ族・アブラゼミ属>
セミ科アブラゼミ属のセミで、在来種。 日本では、北海道から九州まで広く分布している。 日本以外では、朝鮮半島や中国北部に生息している。 体長は60mmほどで、セミの中では珍しく、不透明な褐色の翅を持つ。 生息域が人里から山地までと範囲が広く、都市部でもよく見かけるセミである。 鳴き声は、「ジッジッ…」と鳴き始めて、「ジジジ…」と鳴き、「ジッジッ…」と鳴き終わる。 ※ 抜け殻の見分け方に関しては、セミの抜け殻を参照ください。
2016/8/23
境川に近い林縁で見かけたセミの抜け殻です。 大きさからしてアブラゼミか、ミンミンゼミかなのですが、どちらか迷いました。 抜け殻の色合いと触角の第2節と第3節の長さの比率で、アブラゼミと判断しました。 2020/8/25 触角の節の長さが分かりにくかったので、マクロで撮り直したものです。 第1節と第2節は90度近く折れ曲がり、第2節に対して第3節が長いことが分かると思います。 2020/8/31 そろそろアブラゼミの季節も終わりに近く、聞こえる鳴き声も少なくなって来ています。 ふと、成虫の写真がないのも寂しいと思い、近くの公園で撮影してきました。 鳴き声は少なかったのですが、樹にはまだまだ止まっているアブラゼミは多かったです。 右の写真を見ればわかると思いますが、止まっている多くはメスでした。 全ての写真は撮っていないのですが、この辺りでは、ニイニイゼミの鳴き声で、セミの季節が始まります。 その後、ミンミンゼミが鳴き始め、ほぼ同じ頃、アブラゼミも鳴き始め、夏本番となります。 最近、クマゼミの鳴き声も聞こえて来るようになりました。夕方にはヒグラシの鳴き声が聞こえてきます。 夏も終わりに近づくと、ツクツクボウシの鳴き声が聞こえてくるようになり、セミの季節は終わります。 | |
ニイニイゼミ(Platypleura kaempferi)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・ニイニイゼミ族・ニイニイゼミ属>
日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄本島以北の南西諸島に分布している。 日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。 成虫の体長は20mmほどで、明るいうちはほぼ1日中鳴いている。 セミの中では、発生は早い方で、6月下旬くらいから鳴きはじめる。 体色は、灰褐色で、前羽も褐色のまだら模様になっており、木の幹では保護色となっている。 幼虫は、湿気の多い土壌でないと生存できないので、都市部の乾燥地では少ない。 その抜け殻は、小さくてずんぐりとしており、殻に泥が付いているので、区別は容易。 なお、鳴き声は、「チ〜ジ〜〜」と長く尾を引くように繰り返し、最後は「チッチッ…」で終わる。 ※ ニイニイゼミなどの抜け殻に関しては、セミの抜け殻にまとめました。
2021/7/19
夜に自宅近くを歩いていると、壁に何かが止まっているのに気が付きました。 なんだろうと近づくと、それはニイニイゼミでした。捕まえても鳴かないのでメスですね。 自宅までご足労願って、手乗りでモデルを務めてもらい、撮影したのが上記の写真です。 自分からは裏返ってくれないので、強制的に裏返して腹面側も撮らせてもらいました。 重い一眼を片手撮りしたため、思った以上に手ぶれしていて、微妙にブレた写真が多かったです。 この辺りで、私がニイニイゼミの鳴き声を聞いたのは7/10が初めてでした。 それから間もなくして、アブラゼミも鳴き始め、いよいよセミの季節の始まりですね。 | |
ミンミンゼミ(Hyalessa maculaticollis)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・ミンミンゼミ族・ミンミンゼミ属>
日本では、北海道南部から本州、四国、九州まで分布している。 日本以外では、朝鮮半島や中国華北に生息している。 体長は35mm程で、翅を含めるとアブラゼミとあまり変わらない。 体色は胸部と腹部の境界付近が白く、他は黒地に青緑色の斑紋がある。 なお、黒色部がほとんどない青緑色主体の個体は、ミカドミンミンと呼ばれる。 その抜け殻は、アブラゼミによく似ているが、触角の違いから判別できる。 なお、鳴き声は、「ミ〜ンミンミンミンミ〜」と長く尾を引くように繰り返す。 ※ ミンミンゼミなどの抜け殻に関しては、セミの抜け殻にまとめました。 話は変わりますが、ミンミンゼミとクマゼミの鳴き声、ベースとなる音は同じだとのこと。 ベースとなる音を早く再生するとクマゼミに、遅く再生するとミンミンゼミの鳴き声になるそうです。 そこで、2.5倍速再生したミンミンゼミの鳴き声と、0.25倍速再生したクマゼミの鳴き声を作成しました。 これらはセミの抜け殻にまとめて置いてあります。 確かに、お互いに近い鳴き声にはなりますね。興味のある方は確認してみてください。
2020/8/31
一時は、朝からにぎやかに鳴いていたミンミンゼミですが、最近は減ってきています。 その鳴き声も、いく分スローモーになったり、ミンミンゼミらしくない鳴き声になったりしています。 アブラゼミ同様、ミンミンゼミの季節も終わりが近づいているようです。 アブラゼミほどではありませんが、公園の樹にはミンミンゼミが所々に止まっていました。 クマゼミの鳴き声も聞こえてきますが、実物にはなかなか会えません。 関西の実家には嫌になるほどいますが、こちらでは少数派で、時折、鳴き声が聞こえる程度です。 おまけに、樹の上の方で鳴いていて、鳴いている時間も短いので、見つけられないのです。 鳴き止むと移動してしまうこともあり、気が付くと他所で鳴いていることもしばしばです。 2020/9/5 公園でクマゼミが鳴き始めたので、見つけられるかといってみました。 2匹いると分かったのですが、枝の込み合った高い所で鳴いているので見つけられませんでした。 諦めて帰ろうとしたとき、目の前の枝に小型のセミの抜け殻があることに気が付きました。 この辺りで見られるセミを考えると、ツクツクボウシの抜け殻ではないかと思われました。 後で調べてみると、ずんぐりした体形や背中の盛り上がった形状は、ヒグラシの抜け殻に似ています。 しかし、大きさが気になって計ってみると26o以上あり、ヒグラシにしては大き過ぎます。 触角はと、第2節、第3節、第4節の長さを確認すると、3つともほぼ同長でした。 その結果、大きさや第2節、第3節の長さがほぼ同じ点から、ミンミンゼミの抜け殻と分かりました。 |