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境川に暮らすその他の生き物たち



神奈川県相模原市と東京都町田市の間を流れる境川、二級河川で、流路は52kmほどだそうです。
二級河川ですが、古より相模の国と武蔵の国の国境を分ける川として、境川と呼ばれていたようです。
源流は、城山湖の北、500mほどの所にある沢で、江ノ島付近で相模湾に流れ込んでいます。

その境川やその近くで見かけた野鳥、野草、昆虫、魚類、貝類以外の生物たちです。
といっても、散歩途中で見かけた極一部の生物のみです。
探せばもっといろいろな生物がいると思います。

< トピック >
今回、新たに出会った下記の生物を追加しました。
ミスジマイマイ



ここでは、下記の昆虫を掲載しています。
クモ目
コガネグモ科(ナガコガネグモ、マルゴミグモ)
マダニ目
マダニ科(タカサゴキララマダニ)
 
有鱗目・トカゲ亜目
トカゲ科(ヒガシニホントカゲ)
 
有肺目・真有肺亜目・柄眼下目
オナジマイマイ科(ミスジマイマイ)
その他の生き物たち
和名インデックス


ナガコガネグモ(Argiope bruennichi)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・コガネグモ上科・コガネグモ科・コガネグモ属>
 

 
クモ目コガネグモ科に属するクモで、日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布している。
比較的大型のクモで、メスの体長は25mm程になる。オスは、小さく10mmほどになる。
メスの腹部には黄色と黒と白の縞模様があり、オスも似た模様を持つがあまりはっきりとはしない。
和名は、コガネグモと比べて、腹部が細長いことに由来する。
円網を作り隠れ帯をつけることが多く、網の中心で下向きに止まる。本種は脚をX字状広げる事は少ない。
本種は、攻撃性が弱く、「クモ合戦」に使ってもあまり面白くないそうである。

2017/10/2
境川から少し離れた畑の外れで、大きなクモが巣を張っていました。
ジョロウグモだろうと思って近づくと、それはナガコガネグモでした。
小さな個体は何度か見たことがあるのですが、ここまで大きなのは初めて見ました。
よほど獲物に恵まれた場所なのでしょう。腹部だけでも優に20oを超えています。
アップで撮ろうと近づくと、下の方に逃げられました。

マルゴミグモ(Cyclosa vallata)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・コガネグモ上科・コガネグモ科・ゴミグモ属>
 
クモ目コガネグモ科に属するクモで、日本では、本州から四国、九州に分布している。
活動時期は4月〜9月で、体長はオスで2.5〜3.5mm、メスで3.5〜5.5mm。
体が丸いゴミグモの仲間で、海岸地域に多く生息している。
海浜植物の枝葉間や岩や流木の間などに網を張る場合が多い。
背甲は濃褐色で、腹部は黄白色の地に黒色の葉状斑があり、他のゴミグモの仲間よりも丸い。
網型は正常円網であるが、中心より一方向にゴミを付け、ゴミの周辺の横糸を切っていく。
そのため、食べかすなどのゴミの列が伸びるのに伴い、切れ網になっていく。

2020/4/23
境川に向かう途中にある畑の脇で、草の間に網を張った小さなクモを見つけました。
ゴミが1列に伸びているので、ゴミグモの仲間だと分かりますが、名前までは分かりませんでした。
後で調べると、丸い腹部の形状や模様の特徴からマルゴミグモと思われます。
ただ、ここは海岸からはかなり離れた場所で、海辺に多いクモが見られたのは珍しいかもしれません。

タカサゴキララマダニ(Amblyomma testudinarium)
<マダニ目・マダニ科・キララマダニ属>
 

   
マダニ科キララマダニ属に属するダニの1種で、在来種。
日本では、本州の関東地方以南から四国、九州、沖縄に、海外では東南アジアに分布する。
大型のマダニで、成ダニの未吸血時の体長は5〜6mm、飽血状態のメスでは20〜25oになる。
体形は扁平で円形に近く、背板は灰褐色。オスでは背板が背部全体を覆ている。
メスの背板は三角形で小さく、その周囲に見える胴体部は茶褐色で、吸血で胴体部が大きく膨れる。
活動時期は4月〜5月で、幼ダニや若ダニは小型の哺乳類や鳥類、爬虫類に寄生して吸血する。
成ダニは、シカ、イノシシなどの大型の動物や人に寄生して吸血する。
マダニは、幼ダニ→若ダニ→成ダニと3ステージ毎に1回だけ宿主から吸血する。
幼ダニは3〜4日、若ダニは4〜5日吸血し、地面に飽血脱落して休眠後に脱皮する。
成ダニのメスは、10〜12日目頃まではゆっくりと吸血し、その後2日ほどは急速に吸血する。
その2日ほどの間に、体長は一気に大きくなり、交尾後に飽血脱落して土中で産卵する。
マダニ類は飢餓耐性に優れ、吸血しなくても数ヶ月から数年生存できる。
そのため、宿主にうまく出会えなくても、長く待つことができ、成ダニまで数年はかかるとされる。

2018/11/15
夜、机で作業しているとき、足首の方でチクリと痛みを感じて、思わず手で払ってしまいました。
何がいたのかと足元を見たのですが、ゴミのようなものが落ちているだけで、他には何も見当たりません。
気になって、ゴミのようなものをよく見ると、脚のようなものが並んでいました。
動かないのですが、気になって拾い上げてルーペで観察すると、脚は8本ありました。
その時、マダニが頭に浮かび、調べてみると日本最大種のタカサゴキララマダニと分かりました。
なぜ、マダニが家の中にいたのかですが、思い当たるのは5日程前に渡良瀬CC行ったことぐらいです。
その時に着衣に付着したものを、気付かずに自宅に持ち込み、そこから移動したのかもしれません。
刺されたので、念のためプラスティック容器に保存しておきました。
2週間ほどして確認したときには動いていたのですが、その2週間後に見ると死んで干からびていました。
上の写真は、死後のもので、生きている間に写真を撮っておけばよかったと後悔しています。
そうそう、1ヶ月経過しましたが、特に症状は出ていないので感染はしていないようです。


マダニによる感染症

マダニによる感染症として、『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』が初めて報告されたのは2013年です。
その報告事例は西日本に多く、3月〜9月に集中して、近年、増加傾向にあります。
なお、この病原体を保有するマダニの分布が、東日本からも報告されています。
感染した場合の潜伏期間は6〜14日。インフルエンザ様の筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感が現れます。
その場合、速やかに医療機関に出向き、マダニ刺害の可能性を告知することが必要です。
症状が進むと皮膚症状、神経症状、心疾患、眼症状、関節炎、筋肉炎などの諸症状がみられ、治癒が難しくなります。
重症化後の特効薬はなくて致死率は約20%とと高く、完治しても元の体に戻る保証はありません。

マダニに刺され、肌に食らいついているのを発見した場合、自分で潰したり引き剥がしてはいけません。
マダニの顎には返しがあって、簡単には抜けず、また、接着成分で皮膚に固着しているためです。
無理に剥がせば、顎が皮膚の中に残り、炎症を引き起こしたり、血液の逆流で感染を助長する可能性があります。
マダニが食いついた状態で皮膚科に行って、周囲の皮膚ごと切除してもらう必要があります。

マダニに刺されると、後々面倒なことになるので、刺されないように予防することが重要です。
夏でも、マダニがいるような所に行くときには、長袖、長ズボンを着用して、裾は中に入れ込んでください。
マダニが入り込まないように、隙間をなくすことが重要です。ズボンの裾も靴下に入れ込むと良いです。
また、忌避剤のイカリジンがマダニにも有効とされており、それを使った虫よけ剤も有効です。


ヒガシニホントカゲ(Eurema mandarina)
<有鱗目・トカゲ亜目・トカゲ下目・トカゲ科・トカゲ属>

日本では北海道から本州東部に分布している。
日本以外では、ロシア極東部に分布している。
全長は20cm前後になり、体はずんどう型で金属光沢があり、ウロコが細かい。舌は先が2つに分かれない。
幼体は、体色が黒や暗褐色で5本の明色の縦縞が入り、尾部がメタリックブルーである。
オスの成体は褐色で、体側面に茶褐色の太い縦縞が入る。繁殖期には側頭部から喉、腹部が赤みを帯びる。
メスは幼体の色彩を残したまま成熟することが多い。

以前は、日本に生息する3種(ヒガシニホントカゲ、ニホントカゲ、オカダトカゲ)は、同一種とされていた。
これらは外見がそっくりで、見分けがつかなかったためだが、DNA解析から2012年に3種に分類された。
西日本に分布するニホントカゲとは、若狭湾から琵琶湖を通り、
三重県から和歌山県に抜ける分布境界線で分かれている。
また、伊豆半島から伊豆諸島にかけては、オカダトカゲが生息している。

2021/4/30
境川に沿った通路脇にヒガシニホントカゲがスルスルと出てきました。
褐色の体色で、体側面に茶褐色の太い縦縞が入っているので、オスの成体ですね。

ミスジマイマイ(Euhadra peliomphala)
<有肺類・真有肺目・柄眼亜目・曲輸尿管下目・リンゴマイマイ上科・
オナジマイマイ科・マイマイ属>

オナジマイマイ科マイマイ属のカタツムリで、在来種。
日本では、関東地方南西域、中部地方南東部、伊豆諸島の神津島以北に分布し、5系統がある。
・房総半島グループ(B)
・関東平野グループ(K)
・芦ノ湖周辺グループ(A)
・北伊豆グループ(N)
・南伊豆グループ(S)
なお、利根川を境に関東北部にはヒタチマイマイが、静岡県東部ではクノウマイマイが分布する。
殻径45mmほどに成長し、殻高22mmほどになるが、個体群により変異が大きい。
殻は右巻きで、3本の黒い筋模様があり、成長脈に沿って黄色い火焔彩が帯模様を横切る。
なお、黒い筋模様が無いもの、1本、2本、4本の個体もいる。
また、軟体部の背中には、暗褐色の縦筋が入り、螺旋状に巻いた薄い殻を持つ。
軟体部の先には目の付いた大触角1対と、小触角1対がある。
大触角は、目を支えるとともに周囲の障害物を把握する役割を持ち、目は明るさを感知できる程度。
その下部にある小触角は、匂いや味を感じる役割があり、これで地面を探りながら採餌する。
本種は、基本的には樹上生活であるが、地上から数mの樹上まで活動する。
高温多湿の時は盛んに這い回り、気温16℃・湿度70%を下回ると不活化して休眠に入る。
雌雄同体ではあるが、2個体が交尾してお互いの精子を交換し、数十個を産卵する。

2022/9/25
自宅近くを散歩中、境川に向かう道路脇の壁を這うカタツムリを見つけました。
近づいて良く見ると3本の筋模様が確認できるので、ミスジマイマイと分かりました。
ミスジマイマイは他の場所で見たことがありますが、3本の筋模様の個体は初めて見ました。
ミスジマイマイと言いながら、無いものから4本あるものまで変異があります。
今回、大触角を大きく伸ばしていたので、拡大撮影してみました(左写真)。下の白いものは小触角です。
ここまで拡大したのは初めてですが、先端に目玉のようなものがあり、黒い瞳のようなものもあります。
人間の目とは構造が異なるため、明暗を感じる程度の能力しかないそうです。









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