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境川近辺 野草編(秋T)



相模原市の自宅近くを流れている境川、そこへの道すがらや境川で撮影した、季節を彩る野草などです。

< トピック >
新たに見かけた、下記の野草を追加しました。
スイフヨウ、ツルヨシ、アレチウリ、ツルレイシ[ニガウリ、ゴーヤ]

また、新たに下記の写真も追加しています。
タイワンツナソ[モロヘイヤ]の花、オギ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
アオイ目
アオイ科(カラスノゴマ、タイワンツナソ[モロヘイヤ]、スイフヨウ、アプランド綿)
アブラナ目
アブラナ科(イヌガラシ)
イネ目
イネ科(オギ、ススキ、メヒシバ、セイバンモロコシ、ツルヨシ)
カヤツリグサ科(カヤツリグサ、チャガヤツリ)
ウリ目
ウリ科(アレチウリ、カラスウリ、ツルレイシ[ニガウリ、ゴーヤ])
境川近隣の秋の野草
和名インデックス


カラスノゴマ(Corchoropsis crenat Sieb. et Zucc.)
<アオイ目・アオイ科・Dombeyoideae亜科・カラスノゴマ属>
   
2012/10/14           2012/10/14           2012/10/14
   
2012/10/14           2012/10/21           2013/11/16
アオイ科アオイ属の1年草で、在来種。 日本では、本州の関東以西から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は30〜90cmほどで、茎、葉、萼、刮ハなどには、星状毛が多い。
葉は互生し、長さ5p前後の卵形で、先が尖る。
花期は8月〜10月で、葉腋に1個ずつ黄色い花を付ける。直径は20oほどで、花弁は5個。
萼片は線状披針形で、反り返る。長い仮オシベが5個あり、その外をオシベ10個前後が取り巻く。
刮ハは、長さ3p前後で、細長く、熟すと3片に裂開する。

2012/10/14 境川に向かう途中、林縁の石垣の上で黄色い花をたくさん付けていました。
見上げるようにして撮ったものですが、花が下向き加減なので丁度良かったです。
この時点で、下の方などでは、既に若い果実は出来ていました。
2012/10/21 それが先の方から熟して赤みを帯び始めていました。
2013/11/16 1年後となっていますが、11月には熟して褐色になっていました。
果実を良く見ると、一部で裂開が始まっており、割れ目が見えています。

タイワンツナソ(Corchorus olitorius)
<アオイ目・アオイ科・Grewioideae亜科・Apeibeae連・ツナソ属>
   

 
アオイ科ツナソ属の1年草で、原産地はインド。
タイワンツソナの和名よりも、別名のモロヘイヤの名前の方が知られている。
モロヘイヤは、アラビア語(molokheiya)のエジプト方言で、王様の野菜を意味する。
真夏の高温下でも旺盛に生育する高温性植物で、草丈は1〜2mになる。
茎は直立してよく分枝し、全体に無毛。
葉は互生し、葉身は長楕円形で先は尖り、鋸歯がある。
また、葉身基部の小さな裂片は、先が暗紫色で、糸状に長く伸びる。
葉柄の基部には、暗紫色をした耳状の小突起がある。
短日性のため、花期は日照時間が12時間以下になる9月〜10月になる。
花は、葉に対生するように付き、直径が8o前後の黄色の5弁花である。
果実は、直径5mm前後、長さ8pほどの円柱状で、先が嘴状にすぼまる。

若葉と茎の柔らかい部分を食用とし、カロテン、カルシウム、カリウム、鉄などミネラル分が多い。
特にカロテンとカルシウムの含有量は野菜の中ではトップクラスで、ムチンも含まれます。
そのため、細胞や血管の老化予防、骨粗しょう症予防、ムチンによる糖尿病予防効果もある。
ただし、シュウ酸も多く含むため、尿路結石などの要因となり、体質によっては控えたほうが良い。
また、果実や種にはストロフェチジン含まれ、心臓の筋肉の収縮力に強い影響を及ぼす。
摂取によりめまいや嘔吐などの中毒症状を引き起こすので、果実や種は摂取しないこと。

※ タイワンツナソとシマツナソ、モロヘイヤの名前に混乱があるようである。
シマツナソをモロヘイヤとした記述が見受けられるが、シマツナソは別種で、以下の違いがある。
また、同属でジュートの原料となるツナソは、下記のとおり見た目がまったく異なる。
・タイワンツナソ[Corchorus olitorius]の果実は、円筒状で先が嘴状に細くなる
・シマツナソ[Corchorus aestuans]の果実は、円筒状で先が4裂する
・ツナソ[Corchorus capsularis]の果実は、球形である

2018/10/16
境川近くの道路脇にある畑や国道16号線沿いの畑で見かけました。
何かの野菜と分かったのですが、見たことがなく、しばらくは何なのか分かりませんでした。
しばらくして、花が咲いているのに気が付き、改めて調べ直してモロヘイヤと分かりました。
しかし、別名としてタイワンツナソとシマツナソの名があり、これらが別種との情報もありました。
両種を同一視する情報が多かったのですが、果実の形状に違いがあり、別種とするのが正しいようです。
写真の果実の形状から判断して、タイワンツナソ(モロヘイヤ)としました。

 
2020/10/13
以前撮った時は、花が半開き状態だったので、花の写真を撮り直しました。
光りの加減かもしれませんが、鮮やかな黄色の5弁花で、たくさんのオシベが見えています。

スイフヨウ(Hibiscus mutabilis cv. Versicolor)
<アオイ目・アオイ科・アオイ亜科・フヨウ連・フヨウ属>
 
アオイ科フヨウ属の落葉低木で、在来種。原産地は、日本南西部、台湾、中国。
ただし、日本南西部に自生しているものも、史前帰化種で、中国渡来とする説もある。
樹高は1〜3mで、幹は白色を帯び、平滑で、叢生する。若枝は緑色で、星状毛と腺毛がある。
葉は互生して、長さ10〜20cmで5〜7裂し、基部は心形で裂片の先は尖る。
葉柄は長さ5〜12cmで、葉の両面、葉柄とも白い短毛と腺毛がある。
花期は7月〜10月で、枝の上部の葉腋に、直径10〜14cmで白色〜淡紅色の花を付ける。
花弁は一重咲きでは5個で、八重咲品種や、花色が変化する品種もある。
萼は5裂し、副萼は裂片が線形で10個ある。オシベは多数あり、根元が筒状に合着し、花柱を覆う。
メシベは、花柱の先が上向きに曲がり、先が5裂して毛が密生し、柱頭は平らに開く。
なお、フヨウの花は朝咲いて、夕方にはしぼむ1日花。
スイフヨウ(酔芙蓉)は、このフヨウの八重咲きの変種である。
朝の咲き始めには花弁は白いが、時間と共に赤みが差し、全体が淡赤紫色に変わる。
その色の変わる様を、酔って赤くなることに例えたのが和名の「酔芙蓉」の由来。
なお、同じ読みで「水芙蓉」と書くのは、ハスの事なので混同しないこと。

2020/10/19
境川に向かう道路脇の畑で、スイフヨウの花が咲いていました。
白い花と一部に赤みを帯び始めた花が混在しており、昨日咲いてしぼんだ赤い花も見られました。

 
2020/10/27
赤くなった花の写真が撮れていなかったので、撮りに行きました。
前回は萎れたものしかなかったのですが、今回は、きれいに色付いた花がありました。

アプランド綿(Gossypium hirsutum)
<アオイ目・アオイ科・アオイ亜科・ワタ属>
   
アオイ科ワタ属の1年草で、メキシコから中央アメリカが原産地。
現在、世界で栽培されている綿花の90%がアプランド綿と言われている。
草丈は1〜2mになり、クリーム色〜黄色の花を付ける。
開花後、時間が経つと花の色がピンクに変わる。

2012/10/14
境川に向かう道路脇の畑で、綿花が栽培されていた。
写真を見たことはあっても、実物の綿花を見たのは初めてでした。
アオイ科の植物ですので、花の形もアオイ科の花と良く似ています。
この綿花は、白い花を付け、しぼむ頃にはきれいなピンクに変わっていました。
花や花後の果実の大きさなどから、アプランド綿と思われます。

 
2012/10/14            2012/10/21   .
2012/10/14時点で裂開した果実はなかったのですが、裂開しかかっているものはありました。
1週間後に見に行くと、見事に裂開して、棉(めん:種のあるもの)が出来ていました。

※ 種を取り除いたものが綿(めん)で、綿(わた)と読むと繊維の塊(ex.布団綿など)のことになります。


綿花に付いて

現在、世界の綿花は以下の4種類に分類される。
1. Gossypium arboreum (アルボレウム)
2. Gossypium herbaceum (ヘルバケウム)
3. Gossypium barbadense (バルバデンセ)
4. Gossypium hirsutum (ヒルスツム)

●アジア綿(Asian Cotton)系の綿 [短繊維綿]
アルボレウムとヘルバケウムは、古くはインドを原産地とし、旧大陸に広く行き渡っている。
主としてアルボレウムはインドより東方へ、ヘルバケウムは西方、北方へ広がった。
日本や中国で古くより栽培されている綿花はアルボレウムと考えられている。

●海島綿(Sea Island Cotton)系の綿 [長繊維綿]
バルバデンセとヒルスツムは新大陸が原産地で、バルバデンセはペルー北部が発祥地と考えられている。
そこから中米や西インド諸島を北上し、ペルー綿、シーアイランド綿、さらにエジプトに渡り、エジプト綿、
スーダン綿となり、現在では超長繊維の生産地としては、この両国と中国、ソ連、インドが大部分を占めている。

●アップランド綿(Upland Cotton)系の綿 [中繊維綿]
ヒルスツムは、メキシコ南部、中央アメリカが原産地で、米国で品種改良されたものと言われる。
19世紀に世界各国に広がり、現在では世界の綿花生産の90%を占めるといわれている。


イヌガラシ(Rorippa indica)
<アブラナ目・アブラナ科・イヌガラシ属>
 
アブラナ科イヌガラシ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、インド、フィリピン、東南アジアなどに分布する。
草丈は10〜50cmで、短い根茎があり、根元から株立ちとなる。茎は赤味を帯びた暗緑色。
葉は互生し、下部の葉は羽状に裂けるが、上部の葉はほとんど切れ込みがない。
葉の縁には細かい鋸歯があり、基部には小さな耳があり、茎を抱く。
花期は4月〜6月で、直径4〜5mmの黄色い4弁花。オシベは6個あり、子房上位で、萼片は4個。
果実は長さ15〜25mmの細長い円柱状の長角果。弓状に少し曲がる。
種子は2列に並び、熟すと花被が裂開して、種子が落ちる。

2018/10/16
境川近くの道路脇に小さな黄色い花が咲いていました。花の形から、アブラナの仲間と思われます。
秋に咲くアブラナの仲間を調べたのですが、該当するものがありません。
花や果実の特徴などからイヌガラシと思われるのですが、花が咲くのは春です。
他に該当するものがないので、イヌガラシの狂い咲きとしか思えません。

オギ(Miscanthus sacchariflorus)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・ヒメアブラススキ連・ススキ属>
   
イネ科ススキ属の多年草で、日本全国に広く分布している。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
オギは、ススキに似るが株を作らず、根茎で横に広がる。草丈は2mを超えることもある。
茎(稈)の断面は円形で、内部にスポンジ状の髄があり、中実になったり、中空なっlたりする。
葉は、長い物は80pほどになり、線形。下部の葉は花期には無くなる。
花期は9月〜10月で、穂(花序)は40pほどで、ススキより大きく、ふさふさした感じになる。
小穂は、7o程と4o程の小梗が対になり、小穂自身は長さ5o程で、淡黄褐色で芒がない。
葯も柱頭も暗赤色で、基部に小穂の数倍の長さの銀白色の軟毛が生える。

2012/10/21
境川と交差する小田急線の法面に生えていたオギです。
左端の写真は、開花したばかりのオギですが、赤褐色の柱頭と暗紫色の葯が展開し始めています。
その周りに銀白色の長い軟毛が見られますが、下のススキと比較するとかなり長いです。

 

 
2020/10/19
境川の河川敷で、ツルヨシだと思って撮影した中に、オギが混ざっているのに気が付きました。
ツルヨシとは、花序の形や葉の形が異なっていて、注意深く観察すれば区別することができます。
下段は上段の穂を拡大したもので、左は暗紫色の柱頭が突き出し、小穂の軟毛は、まだ寝ています。
下段右も暗紫色の柱頭が突き出していますが、小穂の軟毛が開き始めています。
花期が終わり、小穂の基部にある軟毛が開いた穂が、上段右写真の左側にある白っぽい穂です。

ススキ(Miscanthus sinensis Andersson)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・ヒメアブラススキ連・ススキ属>
   
イネ科ススキ属の多年草で、日本全国に広く分布している。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
なお、北米にも帰化しており、侵略的外来種として猛威をふるっている。
草丈は2mを超え、茎は叢生する。ケイ酸が多く、硬くて耐久力があるため、冬でも茎が立って残る。
茎(稈)の断面は円形で、内部にスポンジ状の髄があり、中実になったり、中空なったりする。
葉は、長い物は80pほどになり、線形。中央に幅数mmの白い筋があり、裏面に少し毛がある。
葉の縁には堅くて鋭い刺歯があり、葉の基部、葉鞘、節には軟毛がある。
花期は8月〜10月で、穂(花序)は20pほどで、銀白色。
小穂は長さ5oほどで、基部に10o程の白毛が密集する。
小穂は2小花からなるが、第1小花は退化し、第2小花の護穎に長い芒が1本ある。
葯は黄色で、柱頭は褐色から暗紫色(稀に白色)である。
なお、良く似たオギがあるが、ススキはが株立ちするのに対し、オギは根茎で横に広がる点が異なる。

2012/10/21
境川と交差する小田急線の法面に生えていたススキです。オギとは離れた場所で、棲み分けているようです。
左端の写真は、開花して時間が経ったもので、オシベが少し褐色みを帯び、白い軟毛が大きく展開しています。
開花した間もないころは、中央の写真のように黄色い葯のため、穂が黄色く見えます。
白い軟毛に関してですが、オギよりも落ち着いた白さで、長さも短いです。


多摩川の近くで見かけたススキ

     .

多摩川の近くで見かけた独立して株立ちしているススキです。
開花直後では、この写真のように葯は淡黄色で、柱頭は暗紫色(白色のものもある)です。
開花直後では、基部の白毛はほとんど目立っていませんが、時間が経つと上の写真のようになります。


メヒシバ(Digitaria ciliaris)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・メヒシバ属>
 
イネ科メヒシバ属の一年草で、世界の温帯から熱帯に広く分布する。
日本では北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
草丈は30〜90cmで、葉は長さ10〜20p、広線形で葉質は柔らかい。
花期は7月〜11月で、茎先に花序を出し、数本の花序枝を掌状に斜上させる。
大株になると、花序枝が2段、3段と付き、長さは5〜15cmで、縁は翼状になり、微鋸歯が付く。
小穂は長さ3oほどの披針形で、縁に長毛が櫛の歯のように付くものもある。

2012/10/21
境川に向かう途中の草地で見かけたメヒシバです。
小穂に長毛が付くクシゲメヒシバと呼ばれるタイプでした。

セイバンモロコシ(Sorghum halepense)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・モロコシ属>
 
イネ科モロコシ属の多年草で、ヨーロッパ地中海地域原産の帰化植物。
日本では本州から四国、九州に分布している。世界的には、熱帯から温帯にかけて広く分布している。
根茎、種子の両方で繁殖するため、根絶が難しい雑草である。
世界的に広く帰化してしまった畑の害草。日本で広がったのは戦後、現在では道端で普通に見られる。
太い根茎が横に広がり、茎は無毛で滑らか、硬くて光沢がある。節に短毛がある。
草丈は2mを超すものもあり、葉は長さ20〜60cmで幅は1〜2pで無毛、縁はざらつかない。
花期は、7月〜10月で、茎頂に長さ20〜50pの円錐状の花序を付け、花序枝は半輪生状に付く。
小穂は、芒のない有梗(有柄)の雄性小穂2個と、大きくて芒のある無梗の両性小穂が対になっている。
無梗の小穂は長さ5oほどで苞頴に包まれ、苞頴は光沢のある革質、護頴は膜質で長さ10o程の芒がある。
なお、芒が無い場合もあり、ヒメモロコシ(別名ノギナシセイバンモロコシ)として変種扱いする見解もある。
霜や乾燥などのストレスによりシアン化水素を植物体内に生産する。また、硝酸塩を含む。
そのことから、日本では飼料として利用されることは、ほとんどない。

2012/10/21
境川の畔の草原で、セイバンモロコシが大きな赤褐色の穂を垂れていました。
中央の写真で、上向きになって離れて見えているのが有梗の雄性小穂で、葯が出て垂れ下っています。
一方、その下で黄褐色の葯の後に見えているのが両性小穂で、赤褐色の柱頭が覗いています。
この小穂には芒があるのですが、この個体には見当たりません。ヒメモロコシと呼ばれている品種です。

 
2017/9/25
以前の写真は解像がもう一つだったので、100oマクロで撮り直しました。
ブラブラしている黄色い葯と、赤紫色でブラシ状のメシベが飛び出しているのが分かると思います。


多摩川のセイバンモロコシ


2012/7/25
多摩川の河川敷にはセイバンモロコシが大繁殖しています。
夏になるとご覧の通り、背丈ほどもあるセイバンモロコシで覆い尽くされます。
秋までに除草作業が行われるのですが、除草後は一気に視界が開けます。

         .
 <芒なし>      <芒あり>       <芒あり>     <熟した頴果>
多摩川の河川敷では、芒あり、芒なしのセイバンモロコシが混生しています。
その小穂の色や葯の色もいろいろで、黄色い物から赤紫色のものまで、これまた混生しています。
右端は、花後の小穂で、熟してきた頴果の苞頴が黒褐色になり、光沢が増しています。


ツルヨシ(Phragmites japonica)
<イネ目・イネ科・ダンチク亜科・ヨシ属>


 
イネ科ヨシ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、東シベリア、台湾に分布する。
草丈は1.5〜2mになり、主に河川の中流域から上流域の礫原に生育する。
ツルヨシの特徴は、長い匍匐茎を出すことで、長いものでは10mに達する。
匍匐茎は、最初は通常の茎と変わらず上に伸びるが、長くなると横に倒れ、匍匐して伸びていく。
途中の節から芽が出るが、目は最初は下に伸び、地面に接すると反転して上に伸びていく。
地面に接した部分からは根が出て定着し、芽を出して新たな株を作る。
ただし、下流域や湖岸など流れがあまりない所では、匍匐茎を出さず、地下茎で繁殖する。
葉は互生し、長さ30〜40cmの線状披針形で、基部は狭まり、葉先は長く尖る。
葉質は硬くて、縁は強くざらつく。葉はやや褪せた感じの緑色で、ツヤはない。
葉鞘は白く粉を吹き、全体に赤紫色を帯びる。葉舌には短い毛の列がある。
花期は8月〜10月で、茎頂に長さ30cm前後の紫褐色を帯びた円錐状の花序を付ける。
小穂は長さ8〜12mmで、3〜4個の小花からなり、小花の基部には白色の長毛がある。
最も下側の小花は雄性で、その他の小花は両性である。
第1苞穎の長さは、最下の護穎の半分より少し長く、第2苞穎とともに次第に先がとがる。
ツルヨシとヨシは似ているが、地上を匍匐茎が這っているのが確認できればツルヨシである。
匍匐茎が確認できない場合は、葉鞘が赤紫色を帯びているか、葉の基部に長毛があるかを確認する。
葉鞘が赤紫色を帯び、葉の基部に長毛がなければツルヨシである。
ヨシの葉鞘は赤紫色を帯びることはなく、葉の基部に長毛があり、両側に小さく張り出した葉耳がある。

2020/10/19
境川の河川敷や中洲の一部を覆い尽くしているイネ科の植物ですが、何なのか前から気になっていました。
下りることができず、近くで確認できなかったのですが、穂が出ていたので、それで再確認しました。
ヨシの仲間であろうと思っていたのですが、穂の形からヨシではなく、ツルヨシであろうと判断しました。
改めて、茎の部分も確認しましたが、葉鞘が赤みを帯びており、葉の基部に葉耳がないことも確認できます。
ただ、葉鞘の上部、葉舌の部分に長毛があるかどうかは、解像度の点で明確ではありません。
しかし、穂の形や葉鞘が赤みを帯びている点、葉に葉耳がない点からツルヨシで間違いはないと思います。


ヨシとツルヨシの茎と葉

     .
 <ヨシ>             <ツルヨシ>
ヨシの葉鞘は赤紫色を帯びることはありませんが、ツルヨシの葉鞘は赤紫色を帯びています。
ヨシの葉の基部には両側に小さく張り出した葉耳がありますが、ツルヨシにはありません。
また、葉の基部の葉舌に、ヨシは長毛があり、ツルヨシは極短い短毛です。
上記の写真は解像度が悪いので、長毛の有無までは確認できませんが、赤味と葉耳は確認できます。


カヤツリグサ(Cyperus microiria)
<イネ目・カヤツリグサ科・カヤツリグサ亜科・カヤツリグサ連・カヤツリグサ属>
 
カヤツリグサ科カヤツリグサ属の1年草で、在来種。田畑や路傍に普通に見られる。
日本では、本州から四国、九州に分布する。日本以外では、朝鮮半島から中国に分布している。
草丈は30〜50pほどで、稈は叢生し、断面は3角形。葉は根元に付き、稈より短い。葉幅は数mm。
苞葉は5枚前後あり、葉と同形状。その内、何枚かは花序より長くなる。
花期は7月〜10月で、稈は数十cmになり、細くて固い。稈の先に花序枝を複数出す。
花序は散形で、花序枝の先に黄褐色の小穂をまばらにブラシのように付ける。
小穂は長さは10mm程の線形で、20個ほどの花を付ける。鱗片は広倒卵形で長さ1.5o程。

2015/9/19
境川に向かう道路脇で見かけたカヤツリグサです。
下記のチャガヤツリと比較すると、小穂の花序枝への付き方が異なることが分かると思います。

チャガヤツリ(Cyperus amuricus)
<イネ目・カヤツリグサ科・カヤツリグサ亜科・カヤツリグサ連・カヤツリグサ属>
   
カヤツリグサ科カヤツリグサ属の1年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ロシアに分布する。
草丈は30〜40pほどで、稈はあまり叢生しない。葉は根元に少数付き、稈より短い。
苞葉は4枚前後で、葉と同形状。苞葉の半数ほどは花序より長くなる。
花期は7月〜10月で、稈の先に長短、不揃い花序枝を付け、その先に固まって小穂を放射状に付ける。
小穂は長さ10o前後で、扁平な線形。鱗片は褐色で、中肋は緑色。先が芒状に突き出て、やや反り返る。
カヤツリグサに良く似ているが、やや乾燥した場所を好み、小穂が茶褐色を帯びる。

2013/11/16
境川に向かう道路脇の畑の縁で見かけたチャガヤツリです。
カヤツリグサと異なり、花序枝の先に小穂が集まって付く点が異なります。

アレチウリ(Sicyos angulatus)
<ウリ目・ウリ科・アレチウリ連・アレチウリ属>
 

 
 <雄花>                   <雄花序>
 
 <雌花>                   <雌花序>
 
  <果実>                 <雄花序と果実>
ウリ科アレチウリ属のつる性一年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、北海道から四国、九州までほぼ全国に分布している。
世界的には南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニアに帰化している。
茎は数分岐した巻きひげでからみつき、長さ数m〜十数mになり、太い刺状の剛毛がある。
葉は互生し、長い葉柄がある葉は5〜7残裂し、表面はざらつく。
花期は8月〜9月で、葉腋から雌雄で異なる花序を出すが、雌雄同株。
雄花序には10pを超える長柄があり、淡黄白色の花を総状に付ける。
雄花は直径1cm程で、オシベは花糸も葯も合着し、キノコのような形になっている。
雌花序の柄は5p前後と短く、淡黄白色の雌花が頭状に集まって付く。雌花の柱頭は3個。
果実は、長さ15o程の長卵形で、8個前後が球状に集まって付く集合果となる。
果実の表面には短毛と刺が密生し、刺は触るとすぐに取れ、触ったものに刺さる。

2013/11/16
境川の河川敷に、以前は見かけなかったアレチウリがたくさん見られるようになっていました。
見た限りにおいては、雄花序はたくさん付いていましたが、雌花序はそう多くはないようです。
ただ、果実が成熟すると下流域に流されてどんどんと繁殖していくことになります。

カラスウリ(Trichosanthes cucumeroides)
<ウリ目・ウリ科・アレチウリ連・カラスウリ属>
   
2014/9/13         2012/10/21         2013/11/16
ウリ科カラスウリ属のつる性の多年草で、雌雄異株。
中国、日本原産の植物で、日本では本州以南に自生する。
花期は8月〜9月、日没後から開花し、翌朝の日の出前にはしぼんでしまう。
カラスウリの花冠の裂片は楕円形で先がすぼまり、その先が細長い糸状になる。
雄花は、1ヶ所に複数付き、数日間連続して開花するが、雌花はほぼ単独で付く。
果実は、未熟時は縦に線の入った緑色であるが、熟すと濃い橙色になる。
カラスウリの果実の周りの果肉は、非常に苦く、食用にはならない。

2012/10/21
境川に向かう道路の途中にある林の縁で、橙色に色付いたカラスウリの果実に気が付きました。
まだ、縞模様が少し濃い橙色(未熟な時白かった部分)で残っていました。
なお、最初に白い部分が橙色になり、その後、緑色の部分も橙色に変わってきます。
その後、2013年には、縞模様も分からないほどに濃い橙色に熟した果実を、
2014年には、色付く前の緑地に白い縞模様の果実を確認できました。

 
2015/7/4
カラスウリの花ですが、日が落ちてから開花するため、なかなか見ることができません。
上記の写真は、15時頃に撮ったもので、左がツボミ(雌花)で、右はしぼんだものです。
その場で開花するまで待てればいいのですが、いろいろあってそれが出来なかったのです。
しかし、多摩川の近くで、その開花の様子を撮影する事ができました。
下記のカラスウリの写真がその時のものですが、詳細はこちらを参照ください。


カラスウリとキカラスウリの花

     .
<カラスウリ>2015/7/30          <キカラスウリ>2012/8/12

カラスウリは、多摩川の近くで見かけ、開花まで粘って撮影したものです。
この写真は雄花で、19:36の撮影です。
キカラスウリは、兵庫県で撮影したもので、撮影は20:39です。

 
2015/7/30(雄花)           2015/8/18(雌花)

カラスウリの花は、その基部を見れば雄花か雌花(子房がある)か分かる。
また、上記の写真のように花芯にあるオシベとメシベの違いでも、見分けることができます。


ツルレイシ(Momordica charantia var. pavel)
<ウリ目・ウリ科・ツルレイシ連・ツルレイシ属>
   
ウリ科・ツルレイシ属のつる性1年草で、熱帯アジア原産の栽培品種。
日本では、南西諸島や南九州で多く栽培されているが、近年は、夏の日除け用に栽培されることも多い。
標準和名の「ツルレイシ」であるが、果肉が苦いことに由来する「ニガウリ」も使われる。
なお、野菜としては、沖縄での呼び名である「ゴーヤ」あるいは「ゴーヤー」の方がよく使われる。
蔓は枝分かれして伸び、巻きひげで他物に絡みついて、長さ4〜5mになる。
葉は互生し、長さ4〜12cmで掌状に5〜7深裂して、基部は心形。葉柄は長さ4〜6cm。
花期は5月〜10月で、雌雄同株。雄花は葉腋に単生する1日花で、花柄は3〜7cm。
花冠は黄色で直径3〜4cm、5裂して裂片は長さ20mm前後。オシベは3個。
雌花も葉腋に単生するが、雄花よりも数はかなり少なく、株が小さいと咲かないこともある。
花柄の長さは10〜12cmで、花の基部に子房がある子房下位。メシベの柱頭は2裂する。
果実は、長さ10〜30cmの長楕円形〜紡錘形で、表面に多数のこぶ状突起がある。
成熟すると橙色になり、果皮(果肉)が裂けて紅色の種子が現れる。赤い仮種皮は甘みがあり食べられる。
食用には若い淡緑色の果実を使用するが、ビタミンCやK、カリウムなどが豊富で、果肉には苦みがある。

2020/9/19
散歩コースの側にある畑で、ツルレイシというよりゴーヤが栽培されていました。
しばらく見ないうちに大きくなり、畑の栽培棚を覆い尽くし、黄色い花をたくさん付けています。
しかし、見える花は雄花ばかりで、雌花らしいものはなく、果実も見かけません。
もともと、雄花の方が雌花の10倍ほど咲くそうなのですが、なぜ、雌花が見当たらないのでしょう。
株が貧弱な場合には雌花が付かないことがあるそうですが、十分に成長しているように見えます。
今年は晴天が続いていたので、水不足なのかもしれませんね。

 
2020/10/7
日が経って涼しくなり、ツルレイシも弱ってきたのか、黄色くなった葉が増えてきました。
葉も少なくなり、隙間が増えて中が見えるようになって、果実がいくつか見えていました。
といっても、成長が悪かったのかかなり小さく、ひねた感じの果実です。









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