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境川近辺 野草編(春U)



相模原市の自宅近くを流れている境川、そこへの道すがらや境川で撮影した、季節を彩る野草です。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の野草を追加しました。
オオニワゼキショウ

今回、下記の写真を追加しました。
キツネアザミ、ハルジオン、ペラペラヨメナ、オオアマナ、オオツルボ、チャボタイゲキ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
キク目
キキョウ科(キキョウソウ、ホタルブクロ)
キク目・キク科
アザミ亜科(ノアザミ、キツネアザミ)
キク亜科(カンシロギク、ヒメキンセンカ、ノボロギク、ハルジオン、ヒメジョオン、
     ペラペラヨメナ、ウラジロチチコグサ、チチコグサ、ハハコグサ)
タンポポ亜科(オニタビラコ、ブタナ、コウゾリナ、カントウタンポポ、ノゲシ)
キジカクシ目
アヤメ科(オオニワゼキショウ)
キジカクシ科(オオアマナ、オオツルボ、ツリガネズイセン、ツルボ、ムスカリ)
ヒガンバナ科(タイハイスイセン、タゼッタスイセン、ラッパスイセン)
キントラノオ目
スミレ科(アリアケスミレ、スミレ、ニショクアツバスミレ、ヒメスミレ、パンジー[ビオラ])
トウダイグサ科(チャボタイゲキ、トウダイグサ)
ヤナギ科(タチヤナギ、マルバヤナギ[アカメヤナギ])
境川近隣の春の野草
和名インデックス


キキョウソウ(Triodanis perfoliata)
<キク目・キキョウ科・キキョウ亜科・キキョウソウ属>
   
キキョウ科キキョウソウ属の1年草で、北米原産の帰化植物である。
日本では、関東以西、四国、九州に分布する。
草丈は30〜80pで、茎にははっきりした稜があり、下向きの毛がある。
茎は基部で分枝し、真っ直ぐに立ち上がる。葉は互生し、縁に粗い鋸歯がある。
下部の葉は無くなっていることが多いが、円形で短い葉柄がある。
茎の上部の葉は、長さ15oほどの楕円形で茎を抱き、無柄。
花期は5月〜7月で、最初、閉鎖花のみ付け、その後、普通の花を付け、順次咲き上る。
花は葉腋に数個付き、紫色の花冠は直径15o強で、5深裂する。萼は3〜5裂し、先が尖る。
雄性先熟で、5個のオシベは花糸は短く、葯は線形で長さは2oほどある。
雄性期には、オシベは花柱に張り付きこん棒状で有毛。花粉が付いている。
雌性期への転換時、オシベが開いて花柱の根元が見え始める。
雌性期には、オシベは萎れ、メシベの柱頭は3裂する。

2016/5/15
境川の河岸に作られている花壇で、キキョウソウが花を付けていました。
左端の写真は、雌性期の花で、メシベの柱頭が3裂しているのが分かります。
中央の写真は、雄性期から雌性期への転換期で、オシベは萎れていますが、柱頭はこん棒状のままです。


キキョウソウの花の変化

   .
<雄性期>       <転換期>           <雌性期>

キキョウソウの花は、雄性先熟ですが、上の写真は雄性期から雌性期に変わる様子です。
最初オシベは花柱に張り付き、こん棒状で、先の方には花粉が付いています。
その後、花柱に張り付いていたオシベが離れて、転換期に入り、柱頭が開いて雌性期になります。


 
2018/5/21
キキョウソウの閉鎖花です。茎の下部に付いているのは閉鎖花のみです。
右の写真では上部に白いツボミが顔を出していますが、この辺りから普通の花に変わります。

ホタルブクロ(Campanula punctata)
<キク目・キキョウ科・キキョウ亜科・ホタルブクロ属>
 
キキョウ科ホタルブクロ属の多年草で、在来種。開けた乾燥気味の草原や道ばたなどで見られる。
日本では北海道南部から本州、四国、九州に分布し、日本以外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は40〜80cmで、茎には粗い毛が生え、直立する。
根生葉は基部が心形で長い葉柄があり、花茎が出ると花期に枯れる。
茎葉は互生し、長さ5〜8cmの三角状卵形で、先は尖る。
下部の茎葉には翼のある葉柄があるが、上部では葉柄はなく、基部は茎を抱く。
花期は5月〜7月で、花は穂状に数個、下向きに付く。
花冠は3〜6cmの釣鐘型で、先が5残裂する。花色は白に近い淡紅紫色〜赤紫色と変異がある。
なお、関東には淡色系のものが、関西には濃色系のものが多いと言われる。
花冠の内面に斑点と長毛が密生し、オシベが5個ある。
雄性先熟で、ツボミの中で花粉を出し、メシベの花柱に花粉を付けて開花する。柱頭は開花後に開く。
萼は5裂し、萼片は狭長三角形。萼片の間に反り返った付属体があり、縁に毛が多い。
山間部には、変種のヤマホタルブクロが多く、見かけが良く似ている。
区別点は下記の通りで、萼片の間の付属体の形状で識別できる。

2018/5/21
境川からの帰り道、通路脇の石垣の上でホタルブクロが花を付けていました。
自生ではないようですが、草に紛れて咲いていましたので、ほとんど野生化しているみたいでした。


ホタルブクロ(左)とヤマホタルブクロ(右)

   .

ホタルブクロとヤマホタルブクロの識別の決め手は、萼片の形です。
ホタルブクロの場合は、付属体の副萼片が反り返っています。
ヤマホタルブクロの場合は、萼片と萼片の間が盛り上がるだけです。


ノアザミ(Cirsium japonicum)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・アザミ属>
   
キク科・アザミ属の多年草で、日本固有種。
日本では、本州から四国、九州と比較的広範囲に分布する。
海外で、朝鮮半島から中国にかけて分布するものは、貯蔵根が肥大するので別種カラノアザミと思われる。
草丈は50〜100cmで、根生葉は花期でも残っており、長さ15cm前後で羽状に中裂する。
茎葉は、基部が茎を抱き、上部の葉ほど小さくなる。葉には、鋭い刺が多数ある。
花期は5月〜8月であるが、稀に秋まで咲いている場合もある。なお、春に花を付けるのは本種のみである。
頭花は茎頂に上向きに咲き、直径は4〜5cm。筒状化のみで、花色は紅紫色。稀に白花もある。
総苞は幅2〜4cmの球形で、総苞片は直立して粘液を出し、よく粘る。

2021/4/30
境川沿いの駐車場の一角で、ノアザミが花を咲かせていました。
春のこの時期に咲くアザミはノアザミだけなので、分かり易いですね。

キツネアザミ(Hemisteptia lyrata)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・キツネアザミ属>
 
 
キク科キツネアザミ属の越年草で、史前帰化植物とされている。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布している。
海外では朝鮮半島、中国、台湾、インド、オーストラリア等に分布している。
アザミの名が付くがアザミ属ではなく、独立したキツネアザミ属に属する。
草丈は20〜150cmで、茎は1本が多いが稀に数本が直立して、上部でよく分枝する。
根生葉は、花期には枯れることが多い。中部以下の葉には数cmの葉柄があるが、上部では無柄である。
中部以下の葉は長さ10〜20cmの狭楕円形で、頭大羽状深裂し、裂片は4〜8対になる。
頂裂片は三角形状〜卵形で、側裂片より大きい。葉表は無毛で緑色、葉裏は綿毛があり灰白色。
上部の葉は、狭卵状楕円形〜線形で、上部に行くほど小さくなる。
葉身の質は柔らかく、アザミと名は付くが、アザミのような棘はない。
花期は5月〜6月で、疎らな円錐花序に直径25mm前後の頭花を、長い花序柄の先に上向きに付ける。
総苞は直径10〜30mmで、総苞片は4〜10列あり、先は尖り、赤紫色を帯びる。
外総苞片は長さ数mmの三角状で短く、トサカ状の突起が顕著である。
中総苞片〜内総苞片になるにしたがって、長さは13mmほどと長くなり、線状楕円形と尖る。
花冠は細く、長さ13〜14mmで、淡赤紫色。狭筒部は長さ10mm前後、広筒部は3o前後である。
痩果は長さ2.5mmほどの長楕円形で、褐色、無毛。冠毛は白色。
2重の冠毛の内、外側は長さ1〜2mmで、内側は長さ10〜12mmで羽毛状に枝がある。

2021/4/30
境川に行く途中、道路脇でキツネアザミがたくさんの花を付けていました。
かなり前から咲いていたようで、ほぼ半分ほどが咲き終わっていました。

 
2023/4/18
小田急線の法面を覆う防草シートの隙間から、キツネアザミが1株だけ大きくなっていました。
周りに大きな草本が皆無なので、遠目からでも良く目立ちます。

カンシロギク(Leucanthemum paludosum)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・フランスギク属>
 
キク科フランスギク属の半耐寒性多年草で、原産地は地中海沿岸。
高温多湿に極端に弱いため、日本では一年草として扱われている。
「ノースポール」はサカタのタネの商品名であるが、一般名として定着している。
草丈は15〜25cmで、矮性でよく分枝して直立する。
葉は互生し、葉身は長さ20〜40mmのへら型で、大きい鋸歯があり、深裂しているようにも見える。
花期は11月〜6月で、冬季に咲く花として、ガーデニングに欠かせない存在になっている。
この冬季に咲く白い菊というのが、和名のカンシロギクの由来である。
頭花は茎頂に1個上向きに付き、頭花の直径は25〜40mmで、よく似たフランスギクより一回り小さい。
総苞片は3〜4列で、舌状花は白色、筒状花は黄色である。
花付きが良く、株全体が白く見えるのが北極の氷原を連想させ、それがノースポールの由来である。
果実は痩果で、長さは約2mm、10肋があり、冠毛はない。

2021/4/30
自宅近くの歩道脇で、カンシロギクが花を付けていました。
冬の寒い頃に咲くので、冬の植栽として重宝されるようで、野生化たものを時々見かけます。

ヒメキンセンカ(Calendula arvensis)
<キク目・キク科・キク亜科・キンセンカ連・キンセンカ属>
 
キク科キンセンカ属の1年草で、ヨーロッパ、地中海沿岸が原産地の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
キンセンカより渡来したのは古いと言われており、各地で野生化している。
草丈は10〜50cmで、茎はよく分枝してやや横に這って広がる。
茎には稜があり、くも毛や柔らかい腺毛が多くある。
葉は互生し、長さ3〜8cmの長楕円形で、低い鋸歯がある。葉柄はない。
花期はほぼ通年であるが、10月〜5月頃に良く咲く。花は昼間開いて、夜は閉じる。
花茎の先に直径15〜30oの橙黄色の頭花を1個付ける。
雄性の舌状花は橙黄色で、両性の筒状花は明るい黄色。総苞片は長さ5〜10mmで腺毛がある。
果実は痩果で冠毛はなく、C字状に強く曲がり、背面に多くの突起がある。

2021/4/30
自宅近くの歩道脇で、ヒメキンセンカがたくさん花を付けていました。
冬の寒い頃に咲くので、冬の植栽として重宝されるようで、野生化たものを時々見かけます。

ノボロギク(Senecio vulgaris)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・キオン属>
   
2016/5/15            2017/3/7            2017/3/7
キク科キオン属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国的に分布する。
また、世界的には寒冷地から亜熱帯に広く分布する。
草丈は20〜50cmほどで、茎は紫褐色を帯び、茎や葉には白いくも毛がある。
葉は互生し、長さ2〜10pで、不規則に羽状分裂する。葉柄はない。
花期はほぼ通年で、頭花は黄色い筒状花のみからなる。
総苞は長さ6oほどで、総苞片は20個前後。小苞の先に濃紫色の点がある。

2016/5/15 境川に向かう道路脇の草原で、黄色い花を付けているのに気が付きました。
黄色といっても筒状花のみなので、あまりま立ちません。
2017/3/7 境川に向かう道路脇の草原で、綿毛が弾けたノボロギクを見かけました。
直ぐ横には、既に種子が飛び、花床だけになったものもありました。

ハルジオン(Erigeron philadelphicus)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・ムカシヨモギ属>
 
キク科・ムカシヨモギ属の多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、大正時代に園芸種として入り、野生化して全国的に分布している。
草丈は30〜100cmで、茎は中空で長い軟毛が生えている。
根生葉は長さ30〜100oのへら形で、葉柄に翼があり、花期にも残る。茎葉は茎を半分ほど抱く。
花期は4月〜5月で、頭花は直径20〜25o。ツボミの時は花序が下に垂れる。
極細い舌状花は白〜淡紫色で、黄色い筒状化の周りにきれいに並び、100個以上ある。
舌状花、筒状花とも冠毛は3oほどあるが、外部からは見えず、2裂した花柱と筒状花の花冠のみが見える。
なお、ハルジオンは、春に咲く紫苑の意味で、同じような場所に生育するヒメジョオンと混同されやすい。
区別点は、蕾が下を向いていること、茎葉が半分茎を抱くこと、茎が中空であることで識別できる。
紛らわしい場合は、茎を折ってみれば一目瞭然で、中空であれば本種、中実であればヒメジョオンである。
※ ハルジオンとヒメジョオンのより詳しい比較写真に関しては、こちらを参照ください。

2018/4/10
境川から少し離れた畑の畔で、1株だけハルジオンが花を付けていました。
ヒメジョオンが咲くには少し早いのと、ツボミが垂れているので、見分けやすいですね。
咲いている花は白いですが、ツボミは淡紫色を帯びています。黄色い筒状化は、周囲のみ開花していました。

 

   
2022/4/10
国道16号線沿いを散歩中、道路脇の空き地でハルジオンが咲き始めていました。
ヒメジョオンが咲き始めるのは5月くらいからなので、この時期に咲いているのはハルジオンのみです。
ツボミが下を向いて付いているとか、葉が茎を半分ほど抱いていることでも判断できます。
下段は、開花していく様子を時系列に並べたものです。
舌状花が大きく開くことで、中心の筒状花も大きく開いていきます。



2023/4/18
境川の河川敷で、白い花のハルジオンがちょっとした群落を作っていました。
ちょうど、開花がピークを迎えているようで、あちらこちらで見かけます。
境川からの帰り道、道路際でも赤紫色の花を咲かせているハルジオンを見かけました。
直ぐ側には白い花のハルジオンも群生しており、住み分けるように群生していました。

ヒメジョオン(Erigeron annuus)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・ムカシヨモギ属>
 


キク科ムカシヨモギ属の多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
明治維新の頃に渡来し、現在では日本中に広がっている。
草丈は30〜130cmで、茎は直立して分枝し、白いずいが詰まって中実。粗い毛がまばらにある。
根生葉は長い柄があり、花期には枯れてしまう。
上部の茎葉は披針形で、先が尖り、葉柄はほとんどない。
下部の茎葉は卵形で、基部が狭まって、翼のある葉柄のようになる。
縁の鋸歯は先が鋭く尖がり、基部が茎を抱くことはない。
花期は5月〜10月と長く、頭花は上部の枝先に多数ついて、直径は20o前後。
舌状花の花弁はごく細く、白色〜淡青紫色で雌性、オシベも冠毛もない。
なお、花弁が白色ではなく青紫色がかるのは、清浄な空気の中で育った時のみ。
筒状花は、黄色で両性、長さ2mm前後の冠毛がある。
総苞片は披針形〜線状披針形で2〜3列に並ぶ。
痩果は長さ1mmに満たない長楕円形で、その寿命は35年とされる。
そのため、多数の種子を作ることと相まって、驚異的な繁殖能力を持ち、駆除は極めて困難。

2018/5/21
境川の側道脇で、ヒメジョオンがたくさん花を付けていました。
この辺りは花が少ないのか、テントウムシやアブなどがたくさん訪花していました。


ハルジオンとヒメジョオン

ハルジオンとヒメジョオンはよく似ていて、混同されやすいのですが注意深く観察すれば区別できます。
また、開花時期に違いがあり、時期によってはそれだけで判断できることもあります。
ハルジオンが春先だけに開花するのに対して、ヒメジョンは少し遅れて咲き出し、秋まで咲いています。
ハルジオンの開花時期 4月〜5月
ヒメジョンの開花時期 5月〜10月

ハルジオン
ヒメジョオン

根本に葉がある

根本がすっきりしている

蕾が下を向いて垂れている

蕾は上を向いている

舌状花が細く数も多い

舌状花の幅は広く数も少ない

(注)紛らわしい場合もある

葉が茎を抱くように付く

葉は茎を抱かない

茎には真ん中に空洞がある

茎には空洞がない


ペラペラヨメナ(Erigeron karvinskianus)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・ムカシヨモギ属>


 
キク科ムカシヨモギ属の多年草で、中央アメリカ原産の帰化植物。
日本では、本州関東以西から四国、九州で野生化して分布している。
海外では、アフリカ、ヨーロッパ、アジアに分布している。
草丈は、基部で分枝し、斜上したり、匍匐して先は立ち上がり、草丈は50cm程になる。
下部の葉には葉柄があり、3〜5裂するが、上部の葉は互生して、無柄で、縁は全縁になる。
花期は5月〜11月で、枝先に直径15〜20mmの頭状花を単生する。
舌状花は白色〜紫色で1列に付き、時間が経つと赤みを帯びる。筒状花は黄色で、先が5裂する。
痩果は長さ1mm前後で、冠毛は二重になっていて、長い冠毛と極端に短い冠毛が2列につく。

2021/4/30
境川沿いを歩いていたとき、護岸の石垣の隙間に根を下ろしたペラペラヨメナが花を付けていました。
白と赤紫色の2種類の花が咲いているように見えるのが、別名「ゲンペイコギク」の由来です。
ツボミの頃、舌状花の先が赤紫色を帯びますが、開花すると真っ白になります。
その後、少しずつ白色から赤紫色に変わって、しおれて行きます。
下段左の写真で、中央がツボミで、左が開花間もない白色の頃、右が咲き終わりの赤紫色の頃です。
下段右の写真はしおれかけた花で、中央の筒状花が開き切っているのが分かると思います。

 
2023/4/18
前述の護岸の石垣の隙間から伸び出していたペラペラヨメナが、今年も花を付けていました。
前回より少し早いからかもしれませんが、ほとんどが白花で、赤味がかった花は数えるほどしかありません。

ウラジロチチコグサ(Gamochaeta coarctata)
<キク目・キク科・キク亜科・ハハコグサ連・ウスベニチチコグサ属>
 
キク科ウスベニチチコグサ属の多年草で、南アメリカ原産の帰化植物。
ウスベニチチコグサ属として、ハハコグサ属と分けるようになった。
日本では関東から四国、九州に広がっており、道端などでよく見かける。
世界的に温帯、暖温帯に移入分布しており、多くの国で見られる。
草丈は20〜80cmで、茎は白色の綿毛が密生し、根元で多数分枝して直立する。
ロゼット状の根生葉は花期でも見られ、葉表は薄らと毛があり、光沢はあまりない。
茎葉は6〜10個付き、幅の広いへら形で、葉表は無毛。濃緑色で強い光沢がある。
葉裏白い綿毛が密生して白い。葉の縁は細かく波状に縮れる。
花期は5月〜8月で、茎頂に長さ2〜20cmの穂状花序を付け、多数の頭花を付ける。
頭花は壺形で、中心部に数個の両性花、その注意に多数の雌花が付く。
総苞は長さ3oほどで、総苞片は4〜5列付き、ツボミや開花後しばらくは紅紫色を帯びる。
痩果は1mmに満たず、長さ2mmほどの冠毛が1列に付き、基部は合着する。
2021/4/30
自宅近くの歩道脇で、壁とのわずかな隙間に根を下ろしたウラジロチチコグサを見かけました。
葉表の光沢のある緑色と、名前の通りの葉裏に密生した綿毛の白色の対比が印象的です。

 
2021/5/6
駅近くの小さな公園で、ウラジロチチコグサがポツリと1株だけ立ち上がっていました。
まだ、小さな株ですが、茎頂にはびっしりと頭花を密生させています。

チチコグサ(Euchiton japonicus)
<キク目・キク科・キク亜科・ハハコグサ連・チチコグサ属>
 
キク科チチコグサ属の越年草で、在来種。
元はハハコグサ属とされたが、チチコグサ属として分離された。
日本では全国に広がっており、道端などでよく見かける。
海外では、朝鮮半島から中国に分布している。
秋に芽生えて、ロゼットで越冬し、翌春に茎を伸ばして花を付ける。
根元から匍匐茎(ほふくけい)を出して増えるので、固まりになってなえていることが多い。
草丈は5〜30pほどで、茎は細くて曲がることが多い。茎は綿毛で覆われる。
根生葉は花期でも残り、披針形で長いものは10p程になる。茎葉は線形で少ない。
葉の表面には薄く綿毛が生え、裏面には綿毛が密生して、白っぽくなる。
花期は5月〜10月で、花序の下に披針形の苞葉が放射状に付き、頭花は丸く固まって付く。
頭花の中央部に数個の両性花が付き、その周囲に多数の雌花が並ぶ。
総苞は長さ5oほどの釣鐘型。総苞片は暗紫褐色を帯び、膜質で先は鈍形。

2016/5/15
境川に向かう道路脇の草原で見かけました。
エーデルワイスに似た形質を持っているのですが、色が地味なだけに注目を浴びることはないようです。

ハハコグサ(Pseudognaphalium affine)
<キク目・キク科・キク亜科・ハハコグサ連・ハハコグサ属>
 
キク科ハハコグサ属の越年草で、在来種。
ハハコグサ属が「Gnaphalium」から「Pseudognaphalium」に変更され、学名も変わった。
日本では全国に広がっており、道端などでよく見かける。
海外では、中国からインドシナ、マレーシア、インドにまで分布している。
草丈は10〜30cmほどで、秋に芽生えて、ロゼットで越冬し、翌春に茎を伸ばす。
葉は互生し、細いへら型。葉と茎には白い綿毛が生える。なお、根生葉は花期には枯れる。
花期は4月〜6月で、茎先は細かく分枝し、その先に黄色い頭花を多数つける。
頭花は、両性花の周りに細い雌花があり、花柱は花冠より短い。総苞片は淡黄色。

2018/4/10
境川から少し離れた畑の畔で、ハハコグサが黄色い花を咲かせていました。
最近は、冬場でも咲いていることがありますが、やはり、春は茎葉もきれいなので、すっきり見えます。

オニタビラコ(Youngia japonica)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・オニタビラコ属>
 

 
キク科・オニタビラコ属の越年草で、日本では全国に広がっており、道端などでよく見かける。
日本をはじめ、中国からインド、ミクロネシア、オーストラリアまで広く分布する。
草丈は10〜100cmで、花茎は太く、直立して暗紫色を帯びる。
根生葉は長さ10〜20cmの倒披針形で、羽状に裂け、ロゼット状に広がる。
根生葉の葉先は尖るが、茎葉の葉先はより鋭く尖る。
花期は4月〜10月で、茎頂に複散房花序を付け、黄色い頭花を多数付ける。
花の直径は7〜8oで、20個前後の舌状花からなる。舌状花の先は5残裂する。
総苞は長さ5oほどの円筒形で、内片は1列に並び、外片は1mm以下で短い。
痩果は長さ2mmほどで、長さ3mm前後の白色の冠毛がある。

最近、オニタビラコは、アカオニタビラコとアオオニタビラコの2種があるとの説がある。
アカオニタビラコは、太い花茎が1本のみで、暗紫色を帯びるとされる。
アオオニタビラコは、花茎が多数立ち上がり、緑色で紫色を帯びることは少ないとされる。

2018/4/10
上段は、境川に向かう道路脇の植え込みで見かけたオニタビラコで、花茎は1本で、花は半開きでした。
下段は、境川から少し離れた道路脇で、石垣の隙間から立ち上がっていたオニタビラコです。
こちらは数株が寄り集まっていて、栄養状態が良くないのか花数は少なめでしたが、大きく開花していました。
どちらも茎が紫褐色を帯び、太い花茎が1本立ち上がっているだけなので、アカオニタビラコの方だと思います。

ブタナ(Hypochaeris radicata)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・エゾコウゾリナ属>
   
キク科エゾコウゾリナ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州の広い範囲に分布する。
海外でも、アメリカ大陸やオーストラリア、ニュージーランドなど多くの地域に帰化している。
葉はロゼット状で裏面には毛がびっしりと生えている。
その中心から30〜50cm程の花茎を出し、花茎は途中で枝分かれする。
花茎には、葉は付かないが、葉が退化した鱗片状のものは付いている。
花茎の頂部に、直径3cm程の黄色い舌状花のみからなる頭花を付ける。
ブタナの名前は、フランス語の「Salade de porc」(ブタのサラダ)に由来する。

2016/4/23
境川に向かう道路脇の草原で見かけました。
以前、この辺りでは見かけることはなかったのですが、最近はときどき見かけるようになりました。
比較的大きな黄色い花なので、遠目でも目に付きます。

   
2016/5/15
ブタナの花も咲き終わり、白い綿毛になっていました。
あまりフワッとした感じにはならないようで、歪な球形です。
種が飛んだ後も、お世辞にも綺麗とは言い難いですね。

コウゾリナ(Picris hieracioides L. subsp. Japonica)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・コウゾリナ属>
 

 
キク科コウゾリナ属の越年草で、低地から山地の草地に生育する在来種。
日本をはじめ、中国からインド、ミクロネシア、オーストラリアまで広く分布する。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
草丈は数十cmになり、茎頂で枝分かれして、直径3cm程の黄色い頭花を付ける。
我が国の山地に普通に目にする野草である。根出葉はロゼット状に多数出る。
根生葉の形状は長楕円状披針形。草丈は50〜150p程度。全草に赤褐色の剛毛がある。
茎葉は互生し、倒披針形で、長さ10〜20p程度。
6〜10月頃、黄色で径2〜2.5p程度の花を散房状につける。

2021/4/30
境川に沿った通路脇で、コウゾリナがコンクリート壁沿いに並んで咲いていました。
山間部ではよく見かけますが、街中で見たのは初めてです。

カントウタンポポ(Taraxacum platycarpum Dahlst)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・タンポポ属>
 

   
キク科タンポポ属の多年草で、在来種。
日本では関東周辺、山梨県、静岡県で見られるが、近年、その数が大きく減少している。
草丈は10〜30cmで、葉は根生して倒披針形で羽状に深裂する。夏には葉が枯れる冬緑型。
花期は4月〜5月で、根生葉の中心から花茎を伸ばし、直径35〜40mmの頭花を1つ付ける。
花は、多数の黄色い舌状花のみからなり、筒状花は無い。
なお、花はセイヨウタンポポより大きいが、舌状花の数は少ない。
総苞外片は総苞内片に密着し、外に向かって開出することはない。
また、外総苞片は内総苞片の半分程度の長さで、先に角状突起があるのが特徴である。
タンポポの葉は、生食用にサラダなどでも利用でき、花の天ぷらは美味とのこと。

似たものにエゾタンポポやシナノタンポポ、トウカイタンポポがあるが、下記の点で区別できる。
・カントウタンポポの総苞外片は狭卵形で幅が狭く、総苞内片の1/2〜2/3ほどで、小角突起がある。
 関東地方、山梨・静岡県に分布する。
・エゾタンポポの総苞外片は卵形で幅が広く、総苞内片の半分ほどで、小角突起はない。
 北関東以北から東北、北海道に分布する。
・シナノタンポポの総苞外片は卵形で幅が広く、総苞内片の半分より長く、小角突起はない。
 中部地方〜関東地方北部に分布する。
・トウカイタンポポの総苞外片は狭卵形で幅が狭く、総苞内片の2/3ほどで、大きな角突起がある。
 千葉県から東海地方に分布する。

2018/4/3
境川から少し離れた畑の脇で、一面を黄色く埋め尽くすタンポポの群落を見かけました。
この辺りではセイヨウタンポポが幅を利かせているので、てっきりそうだと思いました。
しかし、近づいて横倒しになった花の総苞を見たとき、在来種だと分かりました。
横倒しの花では、総苞外片の幅が広く、総苞内片と大差ない長さがあり、小角突起は見当たりません。
この特徴に合うのはシナノタンポポですが、ここは関東北部ではありませんので、分布域が合いません。
さらに近くを探してツボミを見つけました。こちらは総苞外片の幅が広いですが、角突起が見られます。
他の咲いている花の総苞片も見てみましたが、角突起が見られるもの、あいまいなものが混じっています。
この点から、カントウタンポポかトウカイタンポポに絞られます。問題は角突起の大きさです。
以前見かけたカントウタンポポより大きめですが、トウカイタンポポとして紹介されているものほどではありません。
個体差もあるので微妙ではありますが、ここはカントウタンポポとしました。
ただし、ツボミに総苞外片の反り返りが見られますので、3倍体交雑種の可能性もあります。

 
2018/4/10
境川近くの道路脇で見かけたタンポポです。総苞外片が幅広ですが、全ての総苞に小角突起が見られます。
総苞内片が倍近くの長さがあり、総苞が反り返っているものはありませんので、カントウタンポポと思われます。

   
2018/4/10
こちらは、境川沿いの通路脇で見かけたタンポポで、セイヨウタンポポだと思って撮りました。
しかし、よく見ると反り返った総苞外片に小角突起が見られます。内片の先にも小角突起があるようです。
花を拡大してみると、突き出したメシベの柱頭が真っ直ぐなものと、少し2裂して開いたものが見られます。
2裂しても、セイヨウタンポポほど巻き込んでいません、いずれの柱頭にも、花粉が付いているのが分かりました。
これらの点から、この個体はカントウタンポポとセイヨウタンポポの4倍体の交雑種ではないかと思われます。


タンポポの花の比較

   .
<カントウタンポポ>     <ニセカントウタンポポ>     <セイヨウタンポポ>
上記のカントウタンポポは涸沼で見かけたもので、カントウタンポポらしい形質をしています。
中央と右のタンポポは多摩川の河川敷で見かけたもので、総苞外片が反り返った右端はセイヨウタンポポです。
中央は、総苞外片が反り返らず角突起が見られたもので、濃色だったので「ニセカントウタンポポ」としたものです。
ただ、最近、調べ直してみるとニセカントウタンポポの総苞は、セイヨウタンポポ並みに黒緑色をしているようです。
その点では、カントウタンポポに近いのですが、総苞内片に角突起が見られないので、そのままにしています。


ノゲシ(Sonchus oleraceus)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・ノゲシ属>
 
キク科ノゲシ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、全国的に道端や畑などに自生する。また、世界各地にも広く分布する。
草丈は50〜150pになり、茎は中空で、多数の稜がある。
葉は柔らかく、刺はあまり硬くない。羽状に切れ込み不規則な鋸歯がある。
上部の葉の基部は、両側が尖って角状に突き出し茎を抱く。下部の葉では付き出ないことが多い。
花期は4月〜10月で、頭花は黄色で直径2cmほどあり、多数の舌状花のみからなる(筒状花は無い)。
総苞は長さ10o強で、花柄と総苞にはしばしば腺毛があり、粘る。
花のあと総苞の下部はふくれ、痩果が熟すとそり返る。

2017/12/26
境川に向かう道路脇の草原で見かけた、ノゲシの綿毛です。
写真を見ればわかるとおり、フワッとしたきれいな綿毛で、ブタナとは大違いです。


ノゲシの花

     .
   <ノゲシ>                <ウスジロノゲシ>
多摩川の河川敷近くで見かけたノゲシの花です。
舌状花が白黄色のものは、ウスジロノゲシと言います。


オオニワゼキショウ(Sisyrinchium iridifolium var. laxum)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・ニワゼキショウ連・ニワゼキショウ属>
 
アヤメ科・ニワゼキショウ属の1年草。北米が原産地の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布する。
ニワゼキショウと同じような環境に普通に見られるため、両種が混生していることがある。
草丈は20〜30cmとニワゼキショウより大きいが、花は逆に小さく、刮ハは大きい。
茎は基部で枝分かれし、扁平でごく狭い翼がある。幅は3o前後。
葉は幅4mmほどで、茎を抱き、茎に沿って直立する。茎の先に細い花柄をだし、小さな花を次々に開く。
花期は5月〜6月で、直径10mm程の小さな花を咲かせる。
花弁は内花被片、外花被片各々3枚からなり、内花被片はやや短く細い。
ニワゼキショウの白花とよく似ていて、間違いやすいが、
花被片に濃色の筋がほとんどなく、花の中心部の赤紫色〜青紫色も少ない。
刮ハは直径5o前後の球形で、紫色を帯びた黄褐色。ニワゼキショウの刮ハ(3mm)より大きい。

2023/4/18
自宅近くの歩道脇で、オオニワゼキショウが1輪だけ咲いているのを見つけました。
特に珍しい花ではありませんが、自宅近くで見かけたのは初めてです。
花色が淡紫色で花が小さく、濃色の筋がなくて基部が丸く膨らんでいる点で本種と判断しました。


ニワゼキショウとオオニワゼキショウの花

     .
  <赤紫色のニワゼキショウ>        <白色のニワゼキショウ> .

<オオニワゼキショウ>
上段は、実家近くの農道脇で見かけた、赤紫色と白色のニワゼキショウです。
オオニワゼキショウの倍率が大きいので同じ大きさに見えますが、一回り小さいです。
オオニワゼキショウでは内花被片が外花被片より細いのが分かると思います。
また、白色のニワゼキショウと比べて、花芯近くの青紫色の部分も少ないですね。

     .
  <ニワゼキショウ>           <オオニワゼキショウ>
もう1つの両者の違いが、花の基部の形状です。
ニワゼキショウが円柱状なのに対して、オオニワゼキショウは丸みがあって膨らんでいます。


オオアマナ(Ornithogalum umbellatum)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・オオアマナ属>
 
キジカクシ科オオアマナ属の多年草で、ヨーロッパからアジア南西部が原産の帰化植物。
日本には明治末期に移入され、観賞用に栽培されていたものが逸出し、一部で野生化している。
草丈は20p前後で、白い鱗茎を持ち、分球により盛んに繁殖する。
根際から生える葉は線形で、湾曲しながら伸びる。
花期は4月〜5月で、花茎を伸ばして集散花序を出し、直径3cm程の白花を多数付ける。
花被片は6個、オシベも6個ある。中央のメシベの花柱は5mmほどで、子房と同程度。
花は日照と連動して開花し、日が射すと開花し、陰ると閉じる。
花後に葉は枯れるが、11月頃になると葉を展開して、そのまま越冬する。
和名は、アマナに似て大きいことに由来するが、アマナと異なり有毒植物。
別名は「ベツレヘムの星」であるが、ハナニラも同じ名前で呼ばれる。

2020/4/23
境川に向かう途中にある畑や道路脇で、白い花をたくさん付けているオオアマナを見かけました。
良く通る場所なのですが、ここでオオアマナを見たのは初めてです。
たまたまでしょうが、オオアマナの花期に通ったことがなかったからでしょう。

 
2023/4/18
境川に向かう途中、道路脇のゴミ集積所の近くで、ちょっとした群生が見られました。
植えたというよりは、捨てたものが着生して、どんどん増えたように見えます。
同じ場所には見えませんが、左は正面から撮ったもので、右は側面から撮ったものです。

オオツルボ(Scilla peruviana)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・ツルボ属>
 
キジカクシ科ツルボ属の多年草で、地中海沿岸の南ヨーロッパ、北アフリカが原産地。
草丈は20〜40cmで、直径が7cmほどになる大きな球根を持ち、鱗片は褐色。
葉は多数付き、長さ30〜60cmの平らなひも状で、縁には小さな剛毛がある。
花期は5月〜6月で、中心から20〜40cmの花茎を立ち上げ、花序を頂生させる。
花序は、はじめは散房状であるが、徐々に伸びて円錐状の総状花序になる。
花は直径2cm前後で、6個の花弁が平開する。花色は濃青色〜白色まで変異に富む。
花柄は花より長く、苞は花柄の基部に1個付き、白色で目立ち、先は刺状で早落性。
オシベは6個で、各々花被片の基部近くに付く。花糸は幅広で不規則な模様がある。

2020/4/23
境川に向かう途中にある畑の脇で、たくさんの花を付けているオオツルボを見かけました。
紫の花が目を引きますが、白っぽいものもあり、花色は変異に富みます。



 
2023/4/18
境川に向かう途中にある畑の脇で、今年もオオツルボがたくさん咲いていました。
そのなかに、1本だけ白い花を付けているものがあり、ほぼ純白です。ツボミの色も違います。
白っぽいものは見たことがありますが、ここまで白い物は初めて見ました。

ツリガネズイセン(Scilla hispanica)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・ヒアシントイデス属>
 
キジカクシ科ヒアシントイデス属の多年草で球根植物。原産地は南ヨーロッパ。
球根は直径2〜3cmの不定形で、球状〜棒状まであり、皮がないので白くてツルっとしている。
草丈は40p前後で、葉は地際から叢生し、長さ20〜60pの細い帯状。
花期は4月〜5月で、花茎を真っ直ぐに伸ばして総状花序を出し、釣鐘型の花を数十個付ける。
花色は、淡青色、淡紅色、淡紫色、白色などがあり、花冠は先端が6裂して外反する。
和名は、花が釣鐘型で、葉がスイセンに似ていることに由来する。

ヒスパニカ種とノンスクリプタ種があり、両者は交雑しやすく、雑種も多い。
ヒスパニカ種:スパニッシュブルーベル/シラーカンパニュラータ
    果穂は直立し、やや細長い釣鐘型の花は片寄らずに付く
ノンスクリプタ種:イングリッシュブルーベル
    花穂は細くて上部で垂れ下がり、花が片側のみに付く

2016/4/16
境川の河岸近くの草むらで、ツリガネスイセンが青い花を咲かせていました。
おそらく、以前、花壇であった所が手入れされなくなって、本種だけが残ったのでしょう。
耐寒性が強く、ほとんど手入れが不要な、育てやすい植物であることが生き残った理由です。
なお、花茎が上部で垂れ下がっていないのでヒスパニカ種かその雑種と思われます。

ツルボ(Scilla scilloides)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・ツルボ属>
 
キジカクシ科ツルボ属の多年草で、東アジアで唯一の種である。
日本では、北海道から、四国、九州と全国に分布し、朝鮮半島から中国、台湾にも分布している。
葉は、長さ20cm前後、葉幅5o前後で細長く、年に2回出る。
春に10枚ほどの春葉が出るが、夏には枯れる。8月〜9月には、数枚の葉と花穂が出る。
花茎は数十pになり、真っ直ぐに立ち上がる。花茎の先に総状花序を付け、ピンクの花が咲き上って行く。
花被片は6個で先の尖った長楕円形、オシベは6本で、長さ5o程の花柄がある。

2016/3/19
国道16号線沿いを歩いていて、街路樹の根際からツルボが芽を出しているのに気が付きました。
そういえば、先年の秋にツルボの花が咲いていたのを思い出しました。
植物には良い環境とは言えない場所でも、しっかりと息づいている。野生種なんですね。

     
2016/9/12      2016/9/12      2016/9/16      2016/9/18

   
2016/9/12        2016/9/16        2016/9/18
一部の球根を採取して、植木鉢に植えておいたら、秋になって花穂が伸びてきました。
その成長スピードは、驚くほど早く、9月頭に花穂に気付いてから開花するまで、2週間ちょっとでした。
下段は、上段の花穂の部分を、ほぼ同じ倍率で撮ったものです。固いツボミが1週間でこれだけ変化します。

ムスカリ(Scilla hispanica)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・ツルボ属>
 
キジカクシ科ムスカリ属の多年草(球根植物)で、南アフリカ共和国ドラケンスバーグ山脈周辺の高原が原産地。
日本には、園芸品種として移入され、庭などで栽培されることが多い。
草丈は15〜20pほどで、葉は長さ10〜15p程の線形。
花期は3月〜5月で、ブドウ房のように卵状壺形の青色の花を付ける。
近年、人気品種となって、各地の公園などに植栽され、逸出して野生化したものが見かけられる。
良く見かけられる品種は、比較的大柄なアルメニアカム(Muscari armeniacum)、
小型のアウケリ(Muscari aucheri)、ネグレクタム(Muscari neglectum)などです。

2016/3/19
境川に向かう途中にある畑の際で、青紫色の花を鈴生りに付けていました。
おそらく、以前は花壇のように植えられていたのでしょうが、今ではあちこちに飛散し、無秩序に咲いています。



 
2018/4/3
今年も畑の縁で、多くのムスカリが花を付けていました。
マクロレンズを持っていたので、撮り直したのが上記の写真です。
下から撮ったものでは、中央のメシベをオシベの葯が取り巻いているのが良く分かります。

タイハイスイセン(Narcissus incomparabilis L.)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>
 
ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、ラッパズイセンとクチベニスイセンの交配品種。
一茎一花で、杯状の大きな副花冠がある品種で、副花冠が花被片の1/3〜花被片同長以下の品種である。
ちなみに副花冠が花被片の1/3以下の品種は、ショウハイスイセンである。
葉は3〜4個出て、葉身は扁平で、長さは30〜45cm程になる。
花期は2月〜4月で、花序は長さが30〜50cmと葉より長く、苞は淡褐色。
花の直径は5〜10cmと大輪で、花被片6個(花弁3個、萼片3個からなる)は、ほぼ同形状、同色である。
花被の筒部は長さ20〜30oで基部は急に細くなり、筒部の先で裂開した花被片はほぼ平開する。
その中央に大きな副花冠が付き、副花冠の先はフレア状に、しわになる。
オシベ6個は副花冠の中ほどまで突き出て、メシベの花柱は葯より数mm前に突き出る。

2018/4/3
境川から少し離れた所にある畑の一角に、何種類かのスイセンが咲いていました。
その中に、このタイハイスイセンが1種類混じっていました。品種名はわかりません。

タゼッタスイセン(Narcissus tazetta)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>
 
ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、地中海沿岸が原産地。
スイセン属の原種は多数あり、品種改良が盛んである。
本種は、香りの良い房咲きの水仙で、ニホンズイセンも含まれる。
日本には、室町時代以前に入ってきたとの説が有力で、広く分布している。
草丈は20〜40cmで、球根は卵形で、長さ6cmほどと大きめ。
葉は4〜6個出て、葉身は扁平で、長さは20〜40cm程になり、時計回りにねじれる。
花期は12月〜4月で、花序は長さが20〜40cmと葉とほぼ同長。
花は散形花序に5〜12個付き、直径は40mmほどで、花被片は6個(花弁3個、萼片3個)。
花被の細い筒部と、筒部の先で裂開してほぼ平開する花被片はほぼ同長。
その中央に小さい杯状の副花冠が付く。オシベ6個とメシベの花柱は副花冠から突き出ることはない。

2018/3/13
境川に向かう途中にある畑の際で、黄色いタゼッタスイセンが咲いていました。
白系統の花が多いタゼッタスイセンで、黄色い品種は珍しく、見るのは初めてです。
特に品種名の分かるものはなかったのですが、グランドソレドールではないかと思われます。

ラッパスイセン(Narcissus pseudonarcissus L.)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>
 
ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、西ヨーロッパのスペインからイギリスにかけてが原産地。
一茎一花で、副花冠がラッパ状に前に付き出た品種で、副花冠が花被片以上に長い品種である。
球根は卵形で、長さ3〜5cmほどで、外皮は淡褐色。
葉は3〜4個出て、葉身は扁平で、長さは20〜40cm程になる。
花期は3月〜4月で、花序は長さが25〜50cmと葉より長く、苞は淡褐色。
花の直径は30〜50mmで、花被片6個(花弁3個、萼片3個からなる)は、ほぼ同形状、同色である。
花被の筒部は長さ15〜20oで基部は急に細くなり、筒部の先で裂開した花被片はほぼ平開する。
その中央から長さ30mmほどの副花冠が伸び、副花冠の先はフレア状に、しわになる。
オシベ6個は副花冠の中ほどまで突き出て、メシベの花柱は葯より数mm前に突き出る。

2018/3/13
境川に向かう途中にある畑の際で、黄色いラッパスイセンが咲いていました。
ラッパスイセンらしい形質の花です。黄色い品種はいろいろあるので、品種名はわかりません。

   
2018/4/3
境川から少し離れた所にある畑の一角に、何種類かのスイセンが咲いていました。
左端の白いラッパスイセンは、マウントフット(MountHood)であろうと思われます。
中央と右端の写真の品種は不明です。なお、中央のものは、タイハイスイセンの可能性もあります。

アリアケスミレ(Viola betonicfolia var. albescens)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>
 

 
スミレ科スミレ属の多年草。道端などでときどき見かける無茎種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部、東南アジア南東部、オーストラリアにまで分布する。
草丈は7〜11cmで、葉は細長い三角形の披針形で、先端は丸くなる。葉柄の上部には狭い翼がある。
スミレと良く似ているが、花色の変異は多いが白色が基調となる点で区別できる。
花色は、白地に少し筋が入るものから、紫の筋の目立つもの、地色に紫を帯びるものまで多彩。
距は、花色と同じく白色で、太くて短いのが特徴。

2018/4/5
国道16号線近くの側道脇で見かけたアリアケスミレです。
道路脇の縁石に沿って一列に並んで咲いていました。
淡い紫の花弁に濃い紫の筋模様が入って、とても可憐な感じの花です。

 
2022/4/10
国道16号線沿いを散歩しているとき、歩道脇にアリアケスミレが並んで咲いている所がありました。
100mほど離れてニショクアツバスミレやスミレが同じように咲いており、住み分けているみたいです。

※ スミレ属のいろいろな花に関しては、こちらにまとめています。

スミレ(Viola mandshurica)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>

スミレ科スミレ属の多年草で、道端などでよく見かける無茎種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国でふつうに見られる。
海外でも、朝鮮半島から中国、ウスリーまで分布する。
葉は、根元から多数出し、細長い矢じり型で、葉柄には翼があるのが特徴。
花色は、普通は濃紫色だが、白花のものもある。
5枚の花弁の内、唇弁の1枚が大きく、2枚の側弁には白い突起毛がある。
果実は長さ1pほどの刮ハで、熟すと上向きになり、3裂する。

2016/3/19
境川に向かう道路脇で、アスファルトの隙間に生えているスミレを見つけました。
あいにく、ツボミと果実のみで、咲いている花は見当たりませんでした。

 
2016/5/25
3月に見かけたスミレを見ましたが、すでに花期は終わり、果実が下向きに付いているだけでした。
この後、成熟するにつれて上向きとなり、最後に3裂して、種子を飛ばします。

 
2022/4/10
国道16号線沿いを散歩しているとき、歩道脇にスミレが並んで咲いている所がありました。
100mほど離れてニショクアツバスミレやアリアケスミレが同じように咲いており、住み分けているみたいです。

※ スミレ属のいろいろな花に関しては、こちらにまとめています。

ニショクアツバスミレ(Viola mandshurica var. triangularis f. bicoloe)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>
 


スミレ科スミレ属の多年草で、スミレの海岸性変種であるアツバスミレの園芸選別品種。
本種は、伊豆大島で発見された花変わりのアツバスミレとの説がある。
アツバスミレは、本州房総半島以西から四国、九州の海岸地帯などに自生している。
草丈は7〜15cmで、葉が厚くて光沢があるのが特徴で、海岸近くでは三角状披針形をしている。
しかし、海岸から離れたり、林内などではスミレのようなへら型になる。
スミレ同様に葉柄には翼があり、葉柄と葉身の境界部にはくびれがある。
花期は4月〜5月で、アツバスミレの花は直径20oほどの濃紫色である。
それに対して、ニショクアツバスミレは3個の下弁はおなじだが、2個の上弁が淡紫色になる。
なお、スミレと異なり、側花弁には白い突起毛があったりなかったりする。

2018/4/10
境川に向かう途中、国道16号線の歩道橋の下で、地面の割れ目に根を下ろした本種を見つけました。
草姿はスミレと変わらないのですが、花の上弁2個が白っぽいので、最初は何だかわかりませんでした。
後で調べて、スミレの海岸型変種であるアツバスミレの園芸選別品種と分かりました。
それが、こんな内陸部の道路脇に自生しているとは。誰かが栽培していたものが逸脱したのでしょうか。

 
2022/4/10
国道16号線沿いを散歩しているとき、歩道脇にニショクアツバスミレが並んで咲いている所がありました。
この辺りの個体は、側花弁には白い突起毛は見られないようです。
なお、100mほど離れてアリアケスミレやスミレが同じように咲いており、住み分けているみたいです。

※ スミレ属のいろいろな花に関しては、こちらにまとめています。

ヒメスミレ(Viola inconspicua subsp. nagasakiensis)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>
 

 
スミレ科スミレ属の多年草で、道端などでよく見かける無茎種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
草丈は5〜10cmとスミレより一回り小型で、根は白色。
葉は三角形で、基部が心型、葉柄には翼がない。葉の裏面は紫色を帯びることが多い。
花期は3月〜4月で、花の直径は10〜15mm。花色は濃紫色で、側弁の内側には毛がある。

2018/4/10
境川に向かう途中の畑の脇で、ヒメスミレが濃紫色の花を咲かせていました。
スミレと似た色の花ですが、一回り小型の花で、赤紫色に見える距が特徴です。

※ スミレ属のいろいろな花に関しては、こちらにまとめています。

パンジー[ビオラ](Viola × wittrockiana)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>
   
スミレ科スミレ属の小型の園芸植物の一種。パンジーの小輪多花性種をビオラと呼んでいる。
パンジーとの区別はかなり曖昧で、花径5cm以上をパンジー、4cm以下をビオラとすることが多い。
しかし、近年、交雑が進み、単純に区別できなくなっている。
パンジーに比べて、開花が遅く、開花期がやや短いが、その分強健で、栽培が容易とされている。

2016/4/16
境川に向かう途中の畑の中に、同じパンジーが毎年のように咲いているのが気になっていました。
誰かが植えているのではなく、こぼれ種から育っているようで、あちらこちらで花を付けています。
パンジーにしては花が小さいので、おそらく、ビオラと呼ばれている品種だと思われます。

チャボタイゲキ(Euphorbia peplus)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・トウダイグサ連・トウダイグサ属>
 
トウダイグサ科トウダイグサ属の1年草で、ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア原産の帰化植物。
日本では、本州の関東以南から四国、九州に帰化しているが、まだ、あまり多くない。
世界では、オーストラリア、ニュージーランド、北米を初め、温帯および亜熱帯気候の国々に移入分布している。
草丈は、30pほどになり、茎は全体に滑らかで無毛。茎葉は互生し、長さ3p程の楕円形で、全縁。葉先は尖る。
4つの腺体には、両端に角状の突起がある。杯状花序の総苞内には雌花1個と雄花10個がある。
杯状花序の中心にある雌花が先に熟して倒れ込む。刮ハが熟すと果柄が立ち上がり、はじけて種子を飛ばす。

2016/4/2
境川近くの道路脇で、トウダイグサ科特有の花序を持つ見たことがない植物を見つけました。
写真を後で確認して、チャボタイゲキと分かりました。
拡大写真を撮ろうと思い、再訪した時には除草されて影も形もありませんでした。



2023/4/18
境川近くの道路脇で、前回見かけた所から数十mの所で、久しぶりに見かけました。
前回、良く撮れていなかったので、近くを通る度に探していたのに、ずいぶん経ってしまいました。
今回は、杯状花序のいろいろな状態を確認できました。
下段左の写真では、左下の雌花は子房が出ていない状態、右の雌花は子房がほぼ出ている状態です。
中央の雌花では子房が熟して倒れ込んでいて、4つの腺体が黄色くなっています。
下段右側の写真にも、同じような状態の杯状花序がいくつか見えています。

トウダイグサ(Euphorbia helioscopia)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・トウダイグサ連・トウダイグサ属>
 


トウダイグサ科トウダイグサ属の1年草または2年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布し、海外では北半球に広く分布する。
草丈は20〜30pほどで、茎は1本立ちとなる。
茎の中程までの葉はへら形で互生し、頂部の葉は丸みが強く5枚が輪生する。
花期は4月〜6月で、茎の頂部に放射状に花茎を伸ばし、苞葉の中に黄色い花を複数付ける。
茎先の杯状花序の総苞内には雌花1個と雄花十数個がある。雌花はメシベのみ、雄花はオシベのみとなる。
腺体は4〜5個あり、杯状体の縁に互生して付き、腺体は楕円形の盤状。
雌花の子房は、杯状体からわずかに出て、花柱は3本ある。

2013/4/17
境川への道路脇で、毎年、トウダイグサが顔を見せてくれる場所があります。
どうということはないのですが、近くではこの場所でしか見られないので、毎年、楽しみにしています。

タチヤナギ(Salix subfragilis)
<キントラノオ目・ヤナギ科・ヤナギ亜科・ヤナギ連・ヤナギ属>
 
ヤナギ科ヤナギ属の落葉低木〜小高木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、湿地に生える。
株立し、樹高は3〜10m、幹は直径10〜30pになる。樹皮は灰褐色で、不規則にはがれる。
葉は互生し、長さ5〜15pの長楕円形で先は尖り、葉柄は長さ10mmほどある。
縁には先端が腺になる細かい鋸歯があり、巻かない。裏面は無毛で淡白緑色。
花期は4月で、葉の展開と同時に開花する。
花序は長さ5p前後の円錐形で、雄花序は黄色く、雌花序は黄緑色。
雄しべは3個で、花糸は分離し、基部に黄緑色の腺体が2個ある。葯は黄色い。
雌花の線体は1個で黄色い。子房には長い柄があり、緑色。
苞の外面に毛があり、雄花では黄色く、雌花では淡黄緑色。

2016/4/2
境川の狭い河川敷に、タチヤナギが株立ちして、たくさんの花を付けていました。
花序の色が黄色いので、この株は雄株のようです。

 
2018/3/13
昨年、大雨で境川も増水し、河川敷の多くの木が流されたり、倒れたりしていました。
タチヤナギもかなり傷んでいたのですが、一部が残って新芽を出し、花穂が出始めていました。


タチヤナギの雄花序

       .
2018/3/27
恩田川の河川敷で見かけたタチヤナギの雄花序です。
河川敷まで下りられる所に自生していたので、花穂をアップで撮影できました。


マルバヤナギ[アカメヤナギ](Salix chaenomeloides)
<キントラノオ目・ヤナギ科・ヤナギ亜科・ヤナギ連・ヤナギ属>
 
ヤナギ科ヤナギ属の落葉低木〜高木で、在来種。新葉が赤いので、アカメヤナギの別名がある。
日本では、本州の東北地方中部以南、四国、九州に分布し、湿地に生える。
海外では朝鮮半島から中国中部以南に分布する。
1本立ちで、樹高は10〜20m、幹は30〜80pになる。樹皮は灰褐色で、縦に割れ目が入る。
高さより枝の張り出しの方が大きいため、樹冠は平らな円形になる。
葉は互生し、長さ5〜15pの楕円形で、葉幅は広い。葉柄は長さ15mmほどある。
縁には先端が腺になる細かい鋸歯があり、巻かない。裏面は無毛で粉白色。
花期は4月〜5月で、葉が展開したあとに開花する。雌雄異株。
雄花序は長さ7cmほどの円錐形で、オシベは3〜5個、花糸は分離して葯は黄色。2個の腺体は合着する。
雌花序は長さ4cmほど。2個の線体は合着し、子房には長い柄がある。苞は淡黄緑色で円形。

2016/4/16
境川の狭い河川敷に、マルバヤナギが赤い新葉を展開し、たくさんの花序を付けていました。
細長い黄色い花序を伸ばし、大量のオシベが付いていましので、雄株のようです。

 


2018/4/10
昨年、大雨で境川が増水し、河川敷の多くの木が流されたり、倒れたりしていました。
マルバヤナギは、流されずに頑張ったようで、枝には流れてきたゴミがたくさん巻き付いていました。
それでも、しっかりと花序を出し、長く伸びたものは10cm以上ありそうでした。









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