境川近隣の春の野草
和名インデックス |
オダマキ(Aquilegia flabellata)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・オダマキ属> キンポウゲ科オダマキ属の多年草で、在来種。 ミヤマオダマキを園芸化したもので、日本では単にオダマキというとこの種を指すことが多い。 それ以外のものはセイヨウ〜やミヤマ〜のように頭になにか付く。 草丈は20〜30cmほどで、原種のミヤマオダマキより大きくなる。 根は太くてまっすぐに下に伸び、葉は根際に数枚出る。 葉は、2回3出複葉で、根際の葉には長い葉柄がある。 小葉は扇形で、表面は粉を吹いたような淡緑色になる。 花期は4月〜6月で、茎先に数輪の花を下向きに付ける。 萼片が平開し、花弁は円筒状に付いて、長い距が萼片の間から後ろに伸びる。 花色は青紫から白まで幅があり、花弁の先は白くなる。 果実は袋果で、先の尖った筒を5本束ねたような形で、上向きになる。
2020/4/23
境川に向かう途中、民家の玄関脇でオダマキが花を付けていました。 見た目は、ミヤマオダマキにそっくりですが、その園芸品種で、いく分大きめです。 紫のグラデーションが大変きれいで、日本の花らしい色合いだと思っています。 2023/4/20 境川に向かう途中の民家の塀際で、今年もオダマキが花を付けていました。 1つは開花していて、もう1つのツボミは開きかけていました。 | ||||||
セイヨウオダマキ(Aquilegia vulgarii)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・オダマキ属> キンポウゲ科オダマキ属の多年草で、ヨーロッパ産とアメリカ産オダマキの交配品種。 草丈は30〜90pと大きく、根茎を持ち、株の中心から茎をまっすぐに立ち上げる。 葉には根出葉と茎葉(互生)があり、共に1〜3回3出複葉で、根出葉には葉柄がある。 花期は5月〜6月で、茎先の総状花序を付け、多数の花を咲かせる。 5個の萼片が花弁状に平開し、花弁は円筒状に付いて、長い距が萼片の間から後ろに伸びる。 なお、距が長いものや無いもの、八重咲の品種など、花色も含めて変異が多い。
2020/4/23
境川に向かう途中、民家の玄関脇でセイヨウオダマキが花を付けていました。 オダマキの花とは目と鼻の先にある民家の玄関アプローチの際に咲いていました。 本来は、草丈がこの倍以上になるのですが、場所柄なのか、低い位置に花を付けていました。 オダマキがうつむき加減に花を付けるのに対して、セイヨウオダマキは上向き加減に花を付けます。 この品種に関しては、オダマキに近い構造の花を付けていました。
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ナガミヒナゲシ(Papaver dubium)
<キンポウゲ目・ケシ科・ケシ亜科・ケシ連・ケシ属> ケシ科ケシ属の越年草。地中海沿岸から中欧が原産の帰化植物。 アルカリ性土壌を好むようで、コンクリートによってアルカリ化した路傍などで繁殖しやすい。 草丈は20〜60cmで、葉や茎にはやや密に毛が生える。 根生葉はロゼットを形成し、1〜2回羽状深裂して葉柄はない。茎葉は互生し、羽状に深裂する。 花期は4月〜5月で、花茎を立ち上げ、茎頂に直径2〜5cmの4弁花を付ける。 花色は橙紅色〜紅色で、中央部のめしべの花柱はなく、柱頭は4〜8本の筋が放射状に伸びる。 黒っぽいオシベは多数あり、円筒形の子房はこのオシベに囲まれる。 果実は長さ15〜25mmの長楕円形の孔開刮ハで、熟すと上部に隙間の孔ができる。 種子は長さ0.7mm前後で、表面に網状脈があり、果実当り約1,600個入っている。 その約20%が10月に発芽して越冬し、さらに20%が4月に発芽する。 残りの60%は休眠しており、翌々年以降に順次発芽する。5年後の発芽も確認されている。 本種には、アレロパシーがあり、根と葉からは周辺の植物の生育を強く阻害する成分を出す。 なお、本種には「subsp. lecoqii」と「subsp. dubium」という2種類の亜種がある。 両種とも、国内に分布しており、前者の花弁は平開して、花弁の間に隙間ができる。 一方、後者の花弁は平開までせず、花弁が重なるように咲く。 茎内の乳液の色も異なり、「subsp. lecoqii」は黄色く、「subsp. dubium」は白い。
2016/4/16
境川に向かう途中にある空き地に、小さなケシが花を付けていました。 ナガミヒナゲシとは花色が異なり、単色ではなく淡紅紫色のグラデーションがあります。 そのため、ナガミヒナゲシではなくヒナゲシ?としていました。 しかし、最近になって調べ直していると、ナガミヒナゲシにそのような変異があることが分かりました。 2018/5/21 境川に向かう途中にある空き地で、ナガミヒナゲシが細長い果実を付けていました。 緑色の未熟な果実から、茶色く熟したものまでありました、熟したものは上部に隙間が開いています。 周りには、ナガミヒナゲシがたくさん果実を付けていたので、どんどん増えるものと思われます。 ※ ナガミヒナゲシの花の詳細に関しては、下記の囲み記事を参照ください。 2023/4/18 境川に向かう途中、ゴミ集積所の隣の空き地の一角に、ナガミヒナゲシの大きな群落がありました。 大小さまざまな、何百という数の花が咲いていて、野放しで増え続けた結果のようです。 その群落の一角には、淡色の花を付けるものが数十株ほどですが咲いていました。 2023/4/19 2023/4/18 . 2023/4/18 2023/4/20 2023/4/20 2023/4/20 2023/4/18,19,20 上段右の写真で、右側1/3ほどに写っているのが淡色の群落で、その左側はよく見かける橙紅色です。 上段左の写真を見ると、よく見る橙紅色のナガミヒナゲシの色を薄くしたような色合いです。 ただ、ここから数十m離れた所にあった群落は、4/17には最初の写真のような淡紅紫色でした。 4/18にその花の写真を撮ろうと思ったときには、全て枯れていました。 4/17の時点で除草剤でも散布されていたのかもしれません。全て茶色く変色していました。 中段は上段右の写真を部分拡大したもので、両側が各々の果実で、中央は花の部分です。 上段左の写真の柱頭盤は黄色で、中段右の刮ハの写真でも、若い刮ハは柱頭盤やその下部が黄色です。 よく見るナガミヒナゲシの放射状の柱頭は黄色ですが、柱頭盤は緑色で、ここまで黄色くはありません。 下段は、淡色の群落で見られたツボミ、花、果実(時間の経過とともに黄色味は消えるようです)です。 ゴミ集積所の隣の淡色の花を撮ろうと3日通ったのですが、きれいに咲いたものは撮れませんでした。 花色が違いますが、上記の通り葉やツボミ、果実の形状などは、よく見るナガミヒナゲシと似ています。
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ニセカラクサケマン(Fumaria capreolata L.)
<キンポウゲ目・ケシ科・ケマンソウ亜科・カラクサケマン属> ケシ科カラクサケマン属の一年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に帰化している。 海外では、北アメリカやオーストラリアにも帰化している。 茎は斜上して分枝し、葉の軸で他のものに巻き付いて1mほどになる半つる性植物。 横に良く広がる被覆力が強く、大群落になることがある。 葉は互生し、長さは15p前後で3回羽状に深裂し、多数の小葉に分かれる。 小葉は黄緑色で白味を帯びない(良く似たカラクサケマンは粉白色を帯びる)。 小葉はさらに数深裂し、裂片はさらに細裂するが、裂片の幅は広く、縁は丸く巻き込む。 花期は2月〜6月で、上部の葉腋から総状花序を出し、先端の実が濃紅紫色の白い花を付ける。 萼片は、花の下部に付き、卵形で縁に鋸歯があり、長さは花弁の半分ほどである。 花弁は細長く、長さは10〜15oほどで、基部に距がある。 果実は球形で、熟すと果柄が下方に曲がる。
2015/4/12
境川に向かう途中の道路脇で、透き通るような白に濃紅紫色が怪しげな花を見つけました。 花の形からケマンソウの仲間であることは分かりましたが、見たことがありません。 調べると似たものに、カラクサケマン、セイヨウエンゴサク、ニセカラクサケマンがありました。 セイヨウエンゴサクは花が淡紅紫色で先端が濃紫色、カラクサケマンの葉は粉白色を帯びることから除外。 で、結論はニセカラクサケマンと判断しました。 ※ 今年(2016年)、群落がどうなっているか見に行ったのですが、除草されて極一部が残っているだけでした。 ※ 同じ相模原市内で、2003年に神奈川県下では最初に見つかったと下記に記載されていました。 相模原市立博物館 生きものの窓「広がりもせず、絶えもせず−不思議な外来植物(平成24年4月)」 | ||||||
ムラサキケマン(Corydalis incisa)
<キンポウゲ目・ケシ科・ケマンソウ亜科・キケマン属> ケシ科キケマン属の越年草で、在来種。 日本では全国に広く分布していて、海外では朝鮮半島から中国に分布する。 草丈は20〜50cmで、塊茎は作らない。傷をつけると嫌な臭いがする。 葉は互生し、長さ3〜9cmで2〜3回羽状に細裂する。 葉柄は、下部ほど長くなり、下部で5〜15cm、上部で1〜4cm。 花期は4月〜6月で、茎頂に長さ3〜12cmの総状花序を付け、多数の花が咲く。 独特の形状の花は長さ12〜18mmで、花の先だけが濃紅紫色。 花弁は4個で、左右の内側の2個は先端が合着し、背面に稜がある。 外側の2個は大きく、上部の花弁は基部が袋状の距になって、後ろに突き出る。 この距の中に蜜腺がある。上下の花弁に各々オシベが付き、メシベを挟む。 2個の萼片は花柄の先端にあり、細裂して糸状になっている。 刮ハは柄の先に下向きに曲がって付き、長さ15mm前後の狭長楕円形。 熟すと2裂して、果皮が巻き上がり、黒い種子を弾き飛ばす。
2023/4/18
駐輪場近くのマンホールの縁で、ムラサキケマンが花を付けていました。 縁に溜まった土に生えたようで、生育条件が悪いので高さ10cmに満たない小さな株です。 そのような環境でも、写真のように花はそこそこの数が付いていました。 | ||||||
クスノキ(Cinnamomum camphora)
<クスノキ目・クスノキ科・ニッケイ属> クスノキ科ニッケイ属の常緑高木で、史前帰化植物。 日本では、本州西部の太平洋側、四国、九州に分布するが、特に九州に多い。 海外では、台湾、中国、ベトナムなどの暖地に自生している。 樹高30m、幹回り10mを超えるものもあり、樹齢1000年と言われるものもある。 葉は互生で、3行脈の尖った楕円形。表面は光沢があり、裏面は灰白色で全縁。 普通、3行脈の基部にはダニ部屋と呼ばれる瘤状のものがあり、ダニが住み着く。 葉をちぎると樟脳の匂いがするが、この葉や枝を蒸留して樟脳を作る。 4月〜5月に新芽の展開と共に前年の葉は落葉する。 新芽の伸長とともに、5月〜6月に新葉の腋から円錐花序を出し、小さな花を付ける。 黄緑色の花被は、筒状で先が普通6裂する。花被片は2mm弱で、花後、脱落し筒部のみ残る。 9個のオシベは3個ずつ輪状に並び、内側に退化した仮オシベが3個ある。 果実は液果で、直径8mm程になる。10月過ぎに黒紫色に熟す。
2016/5/5
自宅近くの公園や街路樹にクスノキが使われていたので、その花をアップで撮ってみました。 樹の上の方で咲く極小さい花なので、花を見ようと思う人は少ないでしょうね。 左の写真で、ツボミの白っぽい部分が6裂し、その下のように開花します。 2016/6/4 花後、6裂した裂片は落下し、下部の筒部のみが残ります。 その筒部の先に、果実が成長して行きます。詳しくは、こちらを参照ください。 | ||||||
タブノキ(Machilus thunbergii)
<クスノキ目・クスノキ科・タブノキ属> クスノキ科タブノキ属の常緑高木で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布する。 海外では、朝鮮半島南部、中国、台湾、フィリピンに分布する。 本種は、暖地では山間部にも見られるが、北限に近い寒冷地では海岸部のみに見られる。 樹高は20mに達し、幹回りも1mを超える場合もある。 樹皮はなめらかで、淡褐色〜褐色。皮目が散在する。新枝は緑色で無毛。 葉は互生し、枝先に集まって付く。葉身は長さ8〜15cmの長楕円形で、先が尖り全縁。 葉質は革質で、表面には光沢があり、裏面は灰白色。両面とも無毛。若葉は赤味を帯びる。 花期は4月〜6月で、枝先に円錐花序を出し、黄緑色の小花を多数付ける。 花被は6深裂し、花被片は長さ5〜7mmの長楕円形で、3個の内花被片が若干大きい。 オシベ9個と仮オシベ3個があり、最も内側のオシベの基部には、両側に柄のある黄色い腺体がある。 花柱は細く、柱頭は肥大する。なお、花被片は花後にも残る。 果実は液果で、直径10mmほどの扁球形で、7月〜8月に黒紫色に熟す。
2017/4/30
自宅近くの公園に植栽されている樹の中にタブノキがありました。 最初、何の樹なのか分からなかったのですが、小さな花が咲いているのを見て本種と分かりました。 花の付き方や形状から、近くのクスノキに近い樹種であることはすぐに分かります。 2017/5/15 しばらくして見に行くと、数は少ないですが、果実ができていました。 クスノキとは果実の形状が異なり、花弁が残るので蓮華座に擬宝珠が乗ったような形です。 | ||||||
オトメザクラ(Primula malacoides)
<サクラソウ目・サクラソウ科・サクラソウ属> サクラソウ科サクラソウ属の(半)耐寒性一年草で、中国が原産地。 別名として、学名のプリムラ・マラコイデスやケショウザクラの名で呼ばれることもある。 草丈は20〜40cmで、葉は根生し、数個の葉には長さ3〜7cmの葉柄がある。 葉身は、長さ5〜10cmの広卵形〜長卵形で、葉の縁には不規則な切れ込みと鋸歯がある。 葉には皴があり、葉表は柔毛で覆われ、葉裏は白粉を帯びる。 花期は12月〜4月で、葉の間から数本の花茎を直立させ、散形に輪生した花を数段付ける。 花は直径15〜20oで、基部は筒状、先は5裂して平開し、先端はハート形に切れ込む。 花色は、白色〜淡赤紫色、赤色、紫色などで、中心部は黄色である。 オシベは5個、メシベは1個である。
2020/4/23
自宅近くにある学校の校庭の角で、雑草に右れてサクラソウが咲いていました。 調べてみると、オトメザクラ、あるいはプリムラ・マラコイデスと呼ばれる品種と思われました。 おそらく、学校の花壇に植えられていたものが、ここに捨てられ、定着したものと思われます。 | ||||||
オオハナウド(Heracleum lanatum Michx. var. lanatum)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・ハナウド属> セリ科ハナウド属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州近畿地方以北に分布する。 関東以西では、亜高山や高山に、東北地方や北海道では平地でも見られる。 海外では、ラスカ、アリューシャン、カムチャッカ、サハリンに分布する。 草丈は2m近くになり、茎は太くて中空で直立し、上部で枝分かれする。 葉は互生し、基部では葉柄は長く3出葉で、小葉は3〜5裂する。 夏、上部に大きな複散形花序を付け、白色の5花弁の小花をたくさん付ける。 中央と周辺では花弁の形が異なり、周辺部の花では、外側の1花弁が大きく、2深裂する。
2016/4/23
境川の近くを走る横浜線の道床脇にオオハナウドが大きな群落を作っていました。 成長度合いに差があるようで、花序が開いていないものから、満開のものまでありました。 2016/5/7 上の写真を撮ってから2週間ほど経過していますが、ご覧の通り満開の状態でした。 上から見ると、花序の周辺部の花が一際大きく、特に外側の花弁の大きさが目を引きます。 2016/5/15 満開から1週間経ちましたが、多くの果実が出来ていました。 成熟度合い順に並べてみましたが、扁平なので、軍配のような形になります。 | ||||||
オヤブジラミ(Torilis scabra)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・ヤブジラミ属> セリ科ヤブジラミ属の越年草で在来種。原野や道端などに普通に見られる。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。海外では朝鮮半島から中国、台湾に分布する。 草丈は30〜70cmで、茎は直立し、上部で分枝する。日当たりが良いと茎や若い果実が紫色を帯びる。 葉は互生し、3回3出羽状複葉になり、小葉の裂片は細かく切れ込み、両面に粗い短毛が生える。 花期は4月〜5月でヤブジラミより早く、茎頂に複散形花序を付け、数個の小花を付ける。 花色は白色〜淡紅紫色で、花弁は5個。なお、その大きさは不揃いである。 果実は長さ6mm前後の長楕円体で、先がカギ状に曲がった刺毛がある。
2016/4/23
境川に向かう道路脇で、わずかな隙間から立ち上がっているのを見かけました。 日当たりが良い場所でしたので、茎や葉などが紫色を帯びていました。 | ||||||
コナスビ(Lysimachia japonica Thunb.)
<ツツジ目・サクラソウ科・オカトラノオ属・コナスビ亜属> サクラソウ科オカトラノオ属の多年草で、在来種。 日本では全国の道端や草地に普通。海外では、中国、台湾、インドシナ、マレーシアに分布する。 草丈は10〜30cmで、茎には軟らかい毛が生えていて、地を這い、所々で発根する。 葉は対生し、長さ10~25oの広卵形で、先は短く尖り、基部は円形。 葉身は全縁で、やや透明な多数の腺点がある。長さ5〜10mmの葉柄がある。 花期は5月〜6月で、葉腋に1つづつ黄花を付け、花柄は長さ3〜8oで、花の直径は10mm前後ある。 花冠は合弁花で5深裂し、裂片は広卵形で平開する。萼裂片は線状披針形で先は鋭く尖り、透明な腺点がある。 果実は直径5mm前後の刮ハで、まばらに長毛が生える。これが茄子に似ているとされたのが和名の由来。
2018/5/21
境川に向かう道路脇、石垣の上で地を這うように枝を伸ばしていました。 普通に見られる野草とのことですが、はっきりと確認したのは初めてです。 きれいに開花しているものがなく、半開き状態の花ばかりでした。 まだ、結実はしていませんでしたので、果実の様子は見られませんでした。 | ||||||
ドウダンツツジ(Enkianthus perulatus)
<ツツジ目・ツツジ科・ドウダンツツジ亜科・ドウダンツツジ属> ツツジ科ドウダンツツジ属の落葉低木。 日本では、本州、四国、九州の温暖な岩山に自生するが、自生地は少ない。 寒冷地でも耐えるので、庭木としては全国で見られるが、寒冷地では少ない。 樹高は1〜3mほどで、葉は互生し、枝先に集まって輪生状になる。葉縁には細かい鋸歯がある。 なお、晩秋には真っ赤に紅葉する。 花期は4月〜5月で、枝先に白い壺形の花は数輪下垂して咲かせる。なお、紅色の品種もある。 花冠は、長さ8o前後で、先が5残裂する。オシベは10本ある。
2018/4/3
自宅近くの民家の生け垣に使われていたドウダンツツジの花です。 5残裂した花冠から、メシベの花柱が少し顔をのぞかせています。 そして、壺形の花冠の奥にオシベの葯が花柱を取り巻くように付いています。 | ||||||
ヒサカキ(Eurya japonica)
<ツツジ目・モッコク科・ヒサカキ属> モッコク科ヒサカキ属の常緑低木で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に、海外では朝鮮半島から中国に分布する。 樹高は4〜8mで、樹皮は灰褐色。浅く縦裂する。 葉は互生し、長さ3〜8pの長楕円形で先が尖り、光沢があって、縁には鈍鋸歯がある。 花期は3月〜4月で、雌雄異株とされるが、両性花を付けるものもあり、明確ではない。 葉腋に花を下向きに1〜5個束生するが、雄花、雌花、両性花が混在することも多いらしい。 つぼみの内は、萼と同じ黒紫色で、開花すると花弁は淡黄白色か淡紅色になる。 雄花は、直径5mm前後で、オシベは12〜15個ある。 雌花は、直径3o前後の先の広がったカップ状で、花柱は先が3裂する。 果実は液果で、直径5mmほどの球形で、熟すと黒くなる。
2018/3/13
枝にびっしりと付いていた雄花が、咲き始めていました。 淡緑色の花弁に囲まれて、淡黄色の葯が見えています。 2018/4/3 雌花の写真をと思いながら出遅れてしまい、花が残っているか気にしながら見に行きました。 案の定、雌花はありましたが枯れて茶色くなったものや若い果実になったものばかりです。 あきらめきれず、探していると数個ですが、咲いている花を見つけられました。 ただ、雄花と比較すると雌花はその半分以下と小さく、柱頭が3裂した花柱が見えています。 2018/5/21 5月の末近くになると、枯れた花弁が付いたものも見られますが、果実も大きくなってきていました。 | ||||||
トキワツユクサ(Tradescantia fluminensis)
<ツユクサ目・ツユクサ科・ムラサキツユクサ属> ツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草で、南米原産の帰化植物。 外来生物法により要注意外来生物に指定されている。 日本には昭和初期に観賞用として持ち込まれ、帰化植物として野生化している。 世界的には、北米、ヨーロッパ、オーストラリアにも帰化している。 草丈は10〜50cmで、茎は分枝して横に這い、先が直立〜斜上する。 葉は2列に互生し、無柄で、基部は長さ5〜12mmの鞘になる。 葉身は、長さ3〜6cmの卵状披針形で、先は尖り、両面とも無毛。 花期は5月〜8月で、枝先に葉状の苞が2個付き、そこに2個の無柄の集散花序が対で付く。 そのため、2個の苞の上に15〜20個の花が束生するように見える。 腺毛のある長さ10〜15mmの花柄の先に、長さ5〜7mmの長楕円形の萼片が3個、 長さ7〜10mmの白い花弁が3個、オシベ6個、メシベ1個が付く。 オシベの花糸は白色で離生し、花糸には白い毛が密生する。花の直径は15mm前後。 果実は卵形の刮ハで、3室からなり、灰色〜黒色の種子が1〜2個入っている。 トラディスカンティアとして流通している斑入り葉の園芸種が、逸出して野生化している。 その斑入り葉が先祖返りで緑一色になったものがトキワツユクサとされている。 なお、トキワツユクサの別名がノハカタカラクサ(野博多唐草)である。 国内には、全体が緑色のものと、茎や花柄などが紫色を帯びる2タイプがある。 この緑色のものをミドリハカタカラクサ(ミドリトキワツユクサ)と分けることもある。 トキワツユクサより少し大型で、茎や花柄が緑色のものはオオトキワツユクサとされる。 ただ、日本では別種として扱うことが多いが、海外では区別せずに同種として扱うのが普通だそう。
2021/4/30
境川沿いの道路脇で、トキワツユクサが白い花を咲かせていました。 園芸品種もあり、吊り下げた鉢から垂れ下がった草姿は、涼し気で夏向きです。 それが気に入ってベランダで育てていたことがあるのですが、繁殖力が強くて厄介な草本です。 こぼれ種があちらこちらに飛んで、忘れた頃に芽を出してくるので、なかなかなくなりません。 2021/5/6 駅近くの側溝の中からトキワツユクサが顔を出していました。 近くには同じようにヒメフウロも顔を出していて、ピンクと白の花が共演していました。 | ||||||
ムラサキツユクサ(Tradescantia ohiensis)
<ツユクサ目・ツユクサ科・ムラサキツユクサ属> ツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草で、北米原産の園芸植物。 草丈は15〜115cmで、茎は直立か斜上して、稀に節から発根する。 茎の節間は無毛が多いが軟毛があることもあり、粉白色を帯びる。 葉は螺旋状に並び、無柄で、茎に沿うように伸びる。 葉身は長さ5〜45cmの線形で、先は尖る。茎葉は紫色を帯びた粉白緑色。 花期は4月〜8月で、花序は頂生して、苞は葉状。 花は直径2〜3pの3弁花で、花弁の長さは8〜20mmの広卵形。長さ7〜30mmの花柄がある。 花色は、青、紫、赤紫、淡赤紫色、白と変異が多く、朝咲いて午後には萎む1日花である。 3個の萼片は長さ4〜15mmの三角状卵形で、粉白を帯び、無毛か先端に毛束がある。 オシベは6個あり、花糸は淡紫色で、下部に単細胞幅の細い軟毛が密生する。 この軟毛は細胞が一列に並ぶため、原形質の流動や細胞分裂などの実験によく使われる。 葯は黄色い扇方で、左右の端に楕円形の葯室があり、先が裂開して白っぽい花粉がでてくる。 メシベは1個で、花柱は淡紫色でオシベより長く、柱頭は白色で小さい。
2023/4/18
境川に向かう途中の道路際で、道路と塀の隙間にムラサキツユクサが生えていました。 ムラサキツユクサの名に恥じない、きれいな紫色の花が目を引きます。 | ||||||
イヌホオズキ(Solanum nigrum)
<ナス目・ナス科・ナス属> ナス科ナス属の一年草で、史前帰化植物とされている。 日本全土で見られ、世界の温帯から熱帯にかけて広く分布する。 草丈は10〜100cmで、茎が細めでよく分枝し、横に広がりやすい。 葉は互生し、葉身は長さ6〜10cmの卵形で、縁は全縁か波型の鋸歯がある。 花期は6月〜11月で、葉腋ではなく茎の側面から花茎を出して2〜5個の散形花序を付ける。 花茎は短く、小花茎が少しづつずれて付く(小花茎が1点に集まることはない)。 花冠の直径は6〜12mmで、白色の5裂した花冠の裂片は細めである。 1個のメシベを囲むように5個のオシベが取り囲む。黄色い葯は長さ2o前後で、柱頭は葯より低い。 花後、柄が下垂して直径5〜8oの果実(液果)を付ける。果実は光沢のない黒色に熟す。 よく似たものが多く、以下のように区別する。
2021/4/30
境川沿いの柵の際で、イヌホオズキが白い花を咲かせていました。 まだ、果実はなかったのですが、小花柄が少しづつずれて付いている点で、本種としました。 | ||||||
ジャガイモ(Solanum tuberosum L.)
<ナス目・ナス科・ナス属> ナス科ナス属の多年草で、南米アンデス山脈の高地が原産地と言われている。 デンプンを多く含む地下茎を食品として利用する。 日本では、北海道が最大の生産地で、長崎の生産量も多い。 草丈は50〜100pで、地上茎は直立する。葉は奇数羽状複葉。 花期は5月から7月頃で、葉腋から花茎を長く伸ばし、散形花序を出す。 花冠は筒型で先が5裂し、花色は品種によって赤、紫、白など多様である。 オシベは5個で、黄色い葯が先で集まって花柱を囲む。 稀に果実を付けることがあり、熟するとトマトのように赤くなる。果実はアルカロイドを含む。 なお、肥大した根茎(要はジャガイモ)の芽や緑化した皮には、ポテトグリコアルカロイドが含まれる。 毒性はあまり強くないが、許容量が少ない小児は注意が必要。成人も食べない方が良い。
2016/5/7
境川に向かう道路脇の畑で、ジャガイモが薄紫の花をたくさん付けていました。 ナス科特有の花なのですが、ジャガイモがナス科の植物だと知っている人は少ないかも。 | ||||||
トマト(Solanum pseudocapsicum)
<ナス目・ナス科・ナス属> ナス科ナス属の1年草で、南アメリカ(アンデス山脈)原産の緑黄色野菜。 日本では、冬を越せずに枯れてしまうが、熱帯地方では長年にわたって実り続ける。 樹高は1.5m以上になり、茎は軟らかくてまばらに分枝する。 葉は互生し、葉身は長さ15〜40cmの羽状複葉で、軟毛があり、縁には鋸歯がある。 葉腋に花枝を出し、総状花序に数個の黄色花を付ける。 花は直径2〜3cmの5弁花で、花弁の基部は合着する。 果実の内部は数室に分かれ、多数の種子が入っている。 果実の形は品種によって大小さまざまで、また果色も赤、紅、黄色など多様である。
2018/5/21
境川からの帰り道、道路脇の畑でトマトが花を付けていました。 花色は異なりますが、同じナス科のジャガイモの花と特徴が似ています。 ちなみに、このトマトはミニトマトではなく、普通サイズのトマトです。 | ||||||
コヒルガオ(Calystegia hederacea)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ属> ヒルガオ科・ヒルガオ属のつる性の多年草で、在来種。 ヒルガオ同様の形態で、ヒルガオよりいくぶん小型の花なのでこの名がある。 日本では、本州から四国、九州で見られる。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、モンゴル、ロシア、南アジアと東南アジアの一部などに分布する。 葉は互生し、葉先は鋭頭で基部が張り出したほこ形、張り出した耳の部分が2裂する事が多い。 花期は6月〜10月で、葉腋から長さ数pの花柄を出し、小形のロート形の花を1個付ける。 花冠の直径は3〜4cmで、五角状のことが多い。花色は淡紅色。 花柄の上部に狭い縮れた翼があるのが特徴で、同属との区別点である。 萼片は5個あるが、2個の苞が包んでいる。苞は長さ1〜2cmの3角状卵形で、鋭頭。 オシベは5個で、葯の先は尖る。メシベは1個で、柱頭は2個。 なお、コヒルガオが結実する事は少なく、地下茎で広げがる。
2018/5/21
境川近くの草原で、コヒルガオが花を付けていました。 写真では分かりにくいですが、葉の形や花柄に見られた翼から、本種と確認しました。 2021/4/30 境川沿いの道路脇で、早くも咲き始めていたコヒルガオです。 横顔を掲載していなかったので、追加しました。 花柄の上部にある狭い縮れた翼が良く見えると思います。 |