境川近隣の春の野草
和名インデックス |
ツボミオオバコ(Plantago virginica)
<シソ目・オオバコ科・オオバコ連・オオバコ属> 2016/4/16 2016/4/16 2016/4/23
オオバコ科オオバコ属の1年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全土に分布している。 草丈は10〜30pほどで、茎や葉には綿毛が生えているので、白っぽく見える。 葉は根生し、葉身はさじ型で3〜8cmほどあり、数pの葉柄がある。 花期は5月〜8月で、葉の間から数十cmの花茎をだし、穂状花序に小花を密生する。 花冠は淡黄褐色で4裂し、裂片は2o前後で真っ直ぐに伸び、先が尖る。雌性先熟である。 本種は普通、両性の閉鎖花を持ち、花冠は閉じたまま直立して、極小さい帯紅色の葯が筒部先に付く。 雌性の閉鎖花は、両性の閉鎖花と見た目は同じであるが、葯が退化して柱頭が突き出す。 開放花は、少なくて1割に満たないが、雄性期には花冠裂片が開き、帯紅色の葯が突き出す。 和名は、小花が開花してもツボミのように見えることが、その由来。 果実は蓋果で、長さ2〜3oの卵形、同じ形の種子が向かい合って2個入っている。
2016/4/16
境川に向かって下る途中の草原で見かけました。 左端は未成熟な花序で、中央は開花時の花穂です。開花といっても、閉鎖花なので花冠は開きません。 色も淡黄褐色なので、枯れているように見えますが、4裂した花冠が萼の先に突き出しています。 残念ながら、この場所では開放花は見られませんでした。 2016/5/15 1ヶ月程経った頃、見に行くとすっかり果実が成熟していました。 緑色だった萼は褐色になり、残った花被片の基部付近は、帯紅色になっています。 この帯紅色の部分の下部に横に割れる線があり、蓋を取るようにパカッと割れます。 | |
ヘラオオバコ(Plantago lanceolata)
<シソ目・オオバコ科・オオバコ連・オオバコ属> オオバコ科オオバコ属の1年草〜多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。 日本では、ほぼ全国的に分布している。オオバコと異なり、踏みつけには弱い。 ヘラオオバコはヨーロッパでハーブとして食用や薬用に利用され、家畜用飼料としても栽培されている。 草丈は、大きい物は50pを超えることもあり、披針形の葉も数十pになる。 和名は、その葉の形がへら状であることに由来する。 花期は6月〜8月で、長い花茎を立ち上げ、その先に円柱状の花穂を付ける。花は下から順次咲き上る。 花からは、メシベと4個のオシベが長く飛び出す。
2018/4/10
国道16号線の縁石の際に、ヘラオオバコが根を下ろし、多くの花茎を立ち上げていました。 道路際なので、人が踏みつけることがなく、ヘラオオバコにとっては良い環境のようです。 葉も花序も、特に傷みがなく、きれいな状態でした。ただ、ほこりがひどいので、葉は薄汚れていました。 花は、下部のものが開花したばかりで、長く伸びたオシベも花序の下部のみに見られました。 2019/4/29 今年もヘラオオバコが長い花茎を伸ばして花を付け、車が通る度にユラユラと揺れていました。 その花穂を真上から撮ったのがこの写真で、土星の輪っかのような形が気に入っています。 | |
ツタバウンラン(Cymbalaria muralis)
<シソ目・オオバコ科・キンギョソウ連・ツタバウンラン属> オオバコ科ツタバウンラン属のつる性多年草で、地中海が原産の帰化植物。 日本へは観賞用に大正年間に入り、逸出野生化して北海道から本州にかけて見られる。 葉が蔦に似て、花がウンランに似ていることからこの名前が付けられた。 茎は地上を這い、分枝して節から不定根を出し、長さは10〜40cmになる。 葉は互生し、長い葉柄の先に扁円形で掌状に5〜7裂した葉身が付く。 花期は5月〜11月で、葉腋から長い花柄を伸ばし、花を1つ付ける。 花冠は長さ8o前後の白色〜淡青色で、暗紫色の筋模様があり、上下2唇に分かれる。 上唇は2裂して直立し、下唇には黄色い膨らみが2個あり、花冠の後端は距となる。 果実は球形で長い柄で下垂し、直径5mm前後の球形。熟すと裂ける。
2018/4/3
国道16号側の道路脇にある花壇で、ツタバウンランが咲いていました。 まだ、株が小さくて葉が10個もなく、そのためツルにもなっていません。 そのような株ですが、既に花を2個咲かせていました。下にはツボミも見られます。 | |
マツバウンラン(Nuttallanthus canadensis)
<シソ目・オオバコ科・キンギョソウ連・マツバウンラン属> 2016/5/20 2016/5/20 2016/5/25
オオバコ科マツバウンラン属の越年草で、北アメリカ原産の帰化植物。 日本では、関西を中心に広がり、関東にも進出中である。 1941年に帰化しているのが確認され、在来種のウンランに比べ葉が細いのでこの名が付けられた。 最近では普通に見かけられるようになっている。 草丈は10〜60pと生育環境によって大きく変わる。茎は基部で数本に分枝し、走出枝で広がる。 基部のロゼット状の葉は楕円形で多肉質であるが、茎葉は互生し、葉幅が1mm強の線形になる。 花期は5月〜7月で、茎の頂部に穂状に淡青紫色(稀に淡紅紫色)の唇形花を付ける。 花冠の長さは10oほどで、5oほどの距がある。上唇は2裂し、下唇は3裂して基部の膨らんだ部分が白い。
2016/5/20
境川へ向かう途中の道路脇で、可憐な花を風に揺らしていました。 関西の方では多いそうですが、関東のこの辺りでは、たまに見かける程度です。 2018/4/10 境川近くのコンビニで見かけたマツバウンランです。 ちょうどマクロレンズを持っていたので、アップを撮り直したものです。 2023/4/18 境川沿いを散歩中、通路脇で見かけたマツバウンランです。 最近は、所々で多少まとまって生えているのを見かけるようになりました。 | |
オオカワヂシャ(Veronica anagallis-aquatica)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属> オオバコ科・クワガタソウ属の越年草で、ヨーロッパ〜アジア北部が原産の帰化植物。 日本では本州を中心に拡散中で、四国や九州の一部にも進出している。 海外では、朝鮮半島から中国、モンゴル、ロシアから、アフリカ、南北アメリカ、オーストラリアに分布。 湖、池、沼、河川の岸辺や水田、湿地などに生育する。 全体に無毛で、地中で根茎を横に広げ、茎を立ち上げて1mほどの高さになる。 葉は対生し、無柄で先の尖った長楕円形で、縁に不明瞭な細かい鋸歯がある。 茎の上部では、葉の基部が心形になり、茎を抱く。 花期は、4月〜9月で、葉腋に穂状花序を出し、直径5oほどの花を多数付ける。 花冠は4深裂し、花色は淡紫色から白色で、濃色の縦筋が入る。 オシベは2個で、萼は4深裂する。裂片の長さは数o。 在来種のカワヂシャ(準絶滅危惧種)との交雑が確認されており、特定外来生物に指定されている。
2016/4/16
境川の河川敷(と言えるほど広くはないですが)に流れ込む下水管の近くで見かけました。 オランダガラシ(クレソン)と争うように大きな群落を形成していました。 2016/4/2 2週間ほど前に、対岸から撮った写真ですが、手前左手に見えているのが本種です。 中央右寄りでたくさん咲いている、白い花はオランダガラシ(クレソン)です。 オオカワヂシャは、このときは花が少なかったので、あまり気に止めていませんでした。 2023/4/18 境川に沿って歩いていると、あちらこちらでオオカワヂシャが群生しています。 以前よりも群生の数は増えているように思いますが、ここでは3者で陣取り合戦しています。 右の写真は、その3者が揃ったところで、このうちセイヨウカラシナは陸地側で増えています。 湿生〜抽水植物であるオランダガラシ(クレソン)や本種は水際などで勢力を伸ばしています。 | |
オオイヌノフグリ(Veronica persica)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属> 2018/4/3 2018/4/10
オオバコ科クワガタソウ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本をはじめ、アジア、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに外来種として定着している。 日本では全国に広がっており、どこでも見られる。 草丈は15〜25cmで、茎はよく分枝して横に広がる。 葉は、下部では対生し、上部では互生する。葉身は長さ12mmほどの卵形で先が尖り、鋸歯がある。 花期は2月〜6月で、上部の葉腋から長さ1〜2cmの花柄を伸ばし、直径8mmほどの花を1個付ける。 花冠は4裂し、裂片は淡青色に濃青色の縦じまがある。うち1個が小さく、色も薄い。 萼も4裂する。オシベは2個で、メシベは1個ある。 果実は、長さ約4o、幅約6oのやや扁平なハート形で、縁にだけ長い毛がある。
2018/4/3 境川へ向かう途中、道路脇で花を付けていたオオイヌノフグリです。
2018/4/10 さらにアップの写真が撮りたくて、前回の近くで探して撮ったものです。 どこででも見られるオオイヌノフグリですが、意外と条件の良い場所には咲いてなくて、かなり探しました。 左の花は、日蔭に咲いていたもので、右の花は陽が当っていたものです。 日陰ではノペッとした単調な印象ですが、陽が当ると表面の凹凸が出て、メリハリが出ますね。色も艶やかです。 2022/4/10 国道16号線沿いを散歩中、道路脇の空き地でオオイヌノフグリが多くの花を付けていました。 さして珍しくもないオオイヌノフグリですが、国道16号線沿いでは滅多に見かけません。 | |
タチイヌノフグリ(Veronica arvensis)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属> 2016/5/20 2018/4/10
オオバコ科クワガタソウ属の越年草で、西アジアからヨーロッパ原産の帰化植物。
日本をはじめ、アジア、北アフリカ、南北アメリカ、オーストラリアに移入分布している。 日本では全国に広がっており、どこでも普通に見られるようになった帰化種。 茎は基部で分岐して直立し、上向きの曲がった毛と長い腺毛が生える。 葉は対生し、下部の大きな葉はオオイヌノフグリと形が似ているが、上部の葉は小さい三角状広披針形になる。 最下の1〜2対の葉を除いて無柄。葉の両面にも毛が多い。 花期は4月〜6月で、花色は淡青色〜淡紅色で、直径3oほどとオオイヌノフグリより小さく、花柄は極短い。 萼は長さ3〜4oで4裂し、裂片は線状披針形。花冠は萼より短い。
2016/5/20 境川へ向かう途中、道路脇の石垣の隙間に生えている本種に気付きました。
極狭い隙間に根を張り、数本の茎を立ち上がらせていました。 2018/4/10 境川へ向かう途中の畑の脇で見かけたタチイヌノフグリです。 時折見かけますが、花が開いている所はなかなか見られません。大概、閉じていますね。 ちなみに、左は105oに接写リングを付けて撮ったもので、右は100oマクロで撮ったものです。 2021/4/30 境川沿いの道路脇で、タチイヌノフグリが花を付けていました。 きれいに立ち上がっている草姿を撮っていなかったので、追加しました。 この立ち上がった草姿を見れば、和名の由来を理解いただけると思います。
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ムシクサ(Veronica peregrina)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属> オオバコ科クワガタソウ属の1年草で、在来種。水湿地に自生する。 日本では、本州から四国、九州に分布し、海外ではアメリカ、アジアからオーストラリアに分布する。 草丈は5〜20cmで、茎は無毛で、下部でまばらに枝分かれして斜上する。 葉は下部では対生し、上部では互生になる。葉身は長さ10〜25mmの狭披針形で、鋸歯がある。 花期は4月〜5月で、葉腋に極短い花柄の白花を1個付ける。 花の直径は2〜3mmで、4深裂し、オシベは2個、メシベは1個ある。 子房は球が2個くっ付いたような形で、短い花柱がある。 萼は葉状に4深裂して、長さが4oほどあり、花よりも大きく、裂片の先は鈍頭。 刮ハは長さ2〜3mm、幅3〜4mmの扁平なハート形をしている。
2018/4/10
境川へ向かう途中、道路脇で見かけ、タチイヌノフグリだと思って撮ったものです。 後で写真をよく見ると、タチイヌノフグリとは葉の形が異なります。 改めて調べ直すと、ムシクサと分かりました。以前からタチイヌノフグリと混同していた可能性があります。 タチイヌノフグリと異なり、花弁が白くて筋模様がありません。葉も上部では全縁で、鋸歯がありません。 2023/4/18 境川の畔で見かけたムシクサです。下部の方が結実していました。 右の写真は、ふっくらと膨らんだ、きれいなハート形の果実です。 | |
ジギタリス(Digitalis purpurea)
<シソ目・オオバコ科・ジギタリス連・ジギタリス属> オオバコ科ジギタリス属の越年草か多年草で、ヨーロッパ、北東アフリカ〜中央アジアが原産地。 なお、現在は観賞用あるいは薬用として、世界中で栽培されている。 寒さには強いが、暑さには弱く、暖地では夏に枯れることが多いので、越年草となる。 なお、開花にはある程度の大きさの苗が、低温に合う必要がある。 草丈は50〜180cmであるが、茎は直立して分枝はしない。全体に灰白色の短毛がある。 茎葉は互生し、下部の葉は長さ5〜15cmの卵形〜楕円状披針形で、長さ15cm以下の葉柄がある。 上部の茎葉は小さく、葉柄は短いか無柄。葉の表面は縮れ、裏面は白い毛で覆われている。 花期は5月〜7月で、茎頂の長い総状花序に多数の鐘形の花を付ける。 花冠の長さは30〜45mmで、花冠の内部下側に濃色の斑紋と長い毛がある。 2個のオシベは花冠の上側に付き、萼は5裂する。 花色は、園芸品種があるので、白、ピンク、オレンジ、黄、紫、茶など豊富にある。 なお、ジギタリスには全草に猛毒があり、取り扱いには注意が必要である。
2018/5/21
境川に向かう途中にある畑、その脇に作られた花壇のような所で花を付け、かなり咲き進んでいました。 どこかで見た記憶はあったのですが、名前が分からず、後で調べて本種と分かりました。 花の特徴から、品種名は「ダルメシアン・ホワイト」だと思われます。 | |
アレチハナガサ(Verbena brasiliensis)
<シソ目・クマツヅラ科・クマツヅラ連・クマツヅラ属> クマツヅラ科クマツヅラ属の多年草で、南アメリカ原産の帰化植物。 日本では、本州から四国、九州に分布しており、分布域を広げつつある。 草丈は1〜2mで、綾のある四角形の茎は直立して粗い毛がありざらつく。上部でよく分枝する。 葉は対生し、茎葉は長さ5〜10cmの広線形で、下部の茎葉は中ほどから先に鋸歯がある。 上部の茎葉は線形になって先が鋭く尖り、鋸歯もなくなる。いずれも無柄で基部は茎を抱かない。 花期は6月〜8月で、茎の上部に長さ3〜7cmび穂状花序を多数付ける。 淡青紫色の花冠は直径3o程で、5裂する。萼や苞は、共に長さ3o前後。 花は花序の基部から徐々に咲き登り、秋には細長い穂状花序になる。
2016/5/15
境川近くの草原で、アレチハナガサが花を付けていました。 この辺りは時々除草されるので、あまり草丈は高くなく、こじんまりとした姿です。
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ヤナギハナガサ(Verbena bonariensis)
<シソ目・クマツヅラ科・クマツヅラ連・クマツヅラ属> クマツヅラ科クマツヅラ属の多年草で、南アメリカ原産の帰化植物。 日本では、本州から四国、九州に分布している。 草丈は1〜1.5mで、四角形の茎は直立して粗い毛があり、中空。根元から開いた株立ちになる。 葉は対生し、茎葉は長さ7〜15cmの線形で、葉幅は先までほとんど同じで、基部は茎を抱く。 葉の先端から2/3程には不揃いな鋸歯がある。なお、若葉の頃には中央部が膨れた広線形になる。 花期は6月〜8月で、茎の上部に穂状花序を出すが、長さは5〜15mmと短い。 淡紅紫色の花冠は直径は5o程。長さが10o程ある筒状の花で、花序から長く突き出る。 萼や苞は、共に長さ3o前後。花冠、萼、苞、花柄には長い白毛と短い腺毛が密生して粘る。 花が咲き進むと花序は伸長するが、アレチハナガサ程にはならない。
2012/10/21
境川の河川敷で、ヤナギハナガサが花を付けていました。 花期はアレチハナガサと同じなので、晩春から咲いていたと思いますが、気付いたのが秋でした。 アレチハナガサに似ていますが、花序や葉の形状が異なり、葉の基部が茎を抱く点が異なります。 また、茎を折ることができれば、アレチハナガサが中実なのに対し、本種は中空なので一目瞭然です。 | |
ヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)
<シソ目・シソ科・オドリコソウ亜科・オドリコソウ属> シソ科オドリコソウ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。 日本をはじめ、北アメリカや東アジアにも帰化しており、日本では、主に本州に広く分布する。 草丈は10〜25cmで、4稜形の茎には下向きの毛が生える。花期は3月〜5月。 葉は対生し、長さ1〜2cmの三角状卵形で、有柄。脈が深く、花期には赤紫色を帯びる。 葉の上部の葉腋に、長さ10mm前後の淡紅色の唇形花をたくさん付ける。 オシベは4個で、メシベの花柱は先が2裂する。萼は5裂し、裂片の先は尖る。 果実は4分果で、頭部が平らになる。分果には3稜があり、基部に大きな種沈がつく。
2018/4/3
境川から少し離れた畑の脇で、ヒメオドリコソウが花を付けていました。 花は葉の陰に隠れるようにして咲き、花数も少ないので、花よりも赤紫色を帯びた葉の方が目立ちます。 なお、下段は日陰に生えていたもので、日が当らないためか、葉が赤紫色を帯びず、全て緑色でした。 2022/4/10 国道16号線沿いを散歩中、道路脇の空き地でヒメオドリコソウが群生していました。 上部の葉が赤紫色を帯び、その葉の間から淡紅色の唇形花が顔を出して咲いています。 | |
ホトケノザ(Lamium amplexicaule)
<シソ目・シソ科・オドリコソウ亜科・オドリコソウ属> シソ科オドリコソウ属の越年草で、在来種。道端や田畑の畦などによく見られる。 日本をはじめ、アジアやヨーロッパ、北アフリカなどに広く分布する。 日本では、北海道以外の本州、四国、九州、沖縄に広く自生する。 草丈は10〜30cmで、花期は3月〜6月。 葉は対生し、長さ2cm前後の丸みのある扇状で、鈍い鋸歯がある。 上部の葉腋に長さ2cm程の紅紫色の唇形花を多数付ける。 その中に、つぼみのまま結実する小さな閉鎖花が多数混じる。 ※ 春の七草にある「ほとけのざ」は、本種とは別のコオニタビラコの事です。
2017/3/7
境川から少し離れた畑の畔で、耕作された後にホトケノザが花を付けていました。 畔の端に土が寄せられた所には、ちょっとした群落ができていました。 | |
キランソウ(Ajuga decumbens)
<シソ目・シソ科・キランソウ亜科・キランソウ属> シソ科キランソウ属の多年草で、本州、四国、九州に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国に分布している。 根生葉が地面に張り付くように広がり、茎も高く伸びず、全体がロゼット状に地表に張り付く。 葉は、基部が狭く、先端側が幅広になる広倒披針形で、長さは5p程。葉の縁には波状の鋸歯がある。 花期は3月〜5月で、茎の先端近くの葉の基部に、濃紫色の花を付ける。 唇型の花の上唇は小さく、下唇は大きくて3裂する。 特に中央の裂片は長く突き出し、その先は浅く2裂する。 道ばたや庭のすみ、山麓などに生える。全体に縮れた毛がある。
2018/4/10
境川へ向かう途中の道路脇で、民家の塀の基礎部分に出来たひび割れに根を下ろしていました。 畑の中などでも見かけますが、写真が撮れる場所ではなかったので、これは貴重な撮影可能な個体です。 「地獄の釜の蓋」の別名が示す通り、地面に張り付くように広がっています。 紫の地色に濃紫色の縦筋模様の花ですが、オシベの葯が黄色いので、それがやたらと目を引きます。 | |
トキワハゼ(Mazus pumilus)
<シソ目・ハエドクソウ科・サギゴケ亜科・サギゴケ属> ハエドクソウ科サギゴケ属の1年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の畑や道端に自生する。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、台湾、東南アジア、インドに分布する。 やや乾いた所を好み、地を這うように広がっていることが多いが、走出枝は出さない。 基部に集まる葉は、長さ2〜5cmの卵形で浅い鋸歯がある。茎葉は少なく小さい。 花期は4月〜10月と長く、初春から晩秋まで咲き続け、花期の短いサギゴケとは異なる。 花は総状花序につき、長さ10mm前後の唇形花である。 上唇は紫色〜淡紫色で先が白っぽく、小さく2裂する。 下唇は白色〜淡紫色で、黄色と赤褐色の不規則な斑紋がある。 萼は先が5裂し、花柄や萼には腺毛が多く、萼片の内側や花冠にも腺毛がある。
2016/5/15
境川へ向かう道路脇の石垣の上で見かけました。 草丈が低いので、普通に生えていると撮るのが大変なのですが、ちょうど目線位置で撮影できました。 2017/8/22 マンション近くの芝生の中に1株だけ、花を咲かせていました。 ゴルフ場などで、大きな群落になっているのを見かけますが、この辺りでは少数派です。 2018/5/21 トキワハゼの果実が熟して、先が2裂し始めていました。 タイミングなのでしょうが、このような果実を見るのは初めてでした。 | |
ヤセウツボ(Orobanche minor)
<シソ目・ハマウツボ科・ハマウツボ属> ゴマノハグサ科ハマウツボ属の寄生植物で、地中海沿岸が原産地の1年草。 日本では、本州と四国に分布し、要注意外来生物に指定されている。 日本以外でも、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニア、南北アメリカに広く移入分布する。 寄生植物であり、発芽後に宿主の根に付いて根茎状の節を伸ばす。 普通、冠根に覆われる。発芽の数週間後に根茎状の節から茎を直立して出す。 なお、宿主はマメ科のシャジクソウ属が多いが、セリ科、キク科、フウロソウ科、ナス科などにも寄生する。 草丈は15〜50cmで、茎は直立して分枝せず、赤褐色〜黄褐色で腺毛がある。 葉は互生し、褐色の鱗片状で長さ6〜20mmの卵形〜披針形で、先は鋭形。葉緑素を持たない。 花期は4月〜5月で、長さ10〜30cmの穂状花序に無柄の花を螺旋状に多数付ける。 各花の基部には苞が1個付き、苞は長さ10〜15mmで先が尖った狭い卵形で腺毛がある。 萼は変異が多いが、中央で基部まで2深裂し、各々の裂片も2中裂して先が尖る。 花冠は長さ10〜18mmで太い脈があり、花冠筒部はほぼ円筒形で先が下方に曲がる。 上唇は先が凹み、下唇は3裂して中央の裂片が最も大きく、縁は波状に切れ込む。 花冠外面は腺毛があり、内面は無毛。花色は淡黄色で脈に沿って紫色の条や斑点がある。 花冠の先が紫色を帯びる。長さは8〜10mmのオシベは4個あり、花糸は白色。 メシベは1個あり、花柱は長さ6mmほどで腺毛がまばらにある。柱頭は2裂して、紫褐色で大きい。 刮ハは長さ7〜10mmで、熟すと2裂して数百個の種子を放出する。
2023/4/18
小田急線沿いを散歩中、道路脇の空き地でツクシのようにニョキニョキと立ち上がっていました。 初めて見たのは多摩川の河川敷でしたので、10年ぶりの再会となります。 この空き地にはシロツメクサが多いので、その根に寄生しているようです。 | |
ネズミモチ(Ligustrum japonicum)
<シソ目・モクセイ科・オリーブ連・イボタノキ属> モクセイ科イボタノキ属の常緑低木で、在来種。 日本では、本州から、四国、九州まで広く分布する。 日本以外では、台湾と中国に分布する。 ネズミモチは、大きくても樹高が8mほどまでで、多くは数mくらいで剪定されている。 ネズミモチの葉は、日にかざしても葉脈が透けて見えないところがトウネズミモチと異なる。 白い花は、5月〜6月ごろにかけて咲くが、トウネズミモチより1〜2週間ほど早い。 花冠は長さ5oほどの筒状で、4裂し、先の尖った裂片は開出して反り返る。 オシベは2個あり、花柱も花冠から飛び出る。果実は核果で、長さ7o前後の楕円体。 果実は晩秋に黒く熟すが、その形がネズミの糞に似ており、それが和名の由来。
2016/5/25
境川へ向かう道路脇の畑の生垣に、イヌツゲと共に使われていました。 トウネズミモチと異なり、それほど大きくならないので使われているのでしょう。 | |
ハゴロモジャスミン(Jasminum polyanthum)
<シソ目・モクセイ科・ソケイ属> ジャスミンはモクセイ科ソケイ属の植物の総称で、世界で約300種が知られている。 ジャスミンという語はペルシャ語に由来し、中近東から欧米では女性の名前としても用いられる。 原産地は、アジアからアフリカの熱帯あるいは亜熱帯地方である。 ほとんどの種は白色または黄色の花を咲かせる。いくつかの種では花に強い芳香がある。 ハゴロモジャスミンは、中国雲南省が原産地の半常緑のつる植物で、花に強い香りがある。 現在ではオーストラリアとニュージーランドに帰化し、アメリカやヨーロッパでは観賞用に栽培されている。 花期は4月〜5月で、晩冬から早春にかけて赤やピンク色のつぼみをたくさん付ける。 花は直径2cm前後の五光星のような薄いピンクや白色である。 葉は、5〜7の奇数羽状複葉で、上面は暗緑色、下面は明るい緑色になっている。 樹高は2〜6mになり、比較的耐寒性はあるが、0℃以下では障害を受け、ツボミも枯死する。 しかし、5〜15℃の気温に4〜6週間当てないと花芽は生成されない。
2020/4/23
境川に向かう途中の道端で、白い花を多数付けたハゴロモジャスミンを見かけました。 まだ、咲き始めて間もないようで、ほとんどがツボミで咲いているのは1割程度でした。 2020/10/7 2020/10/13 春に花が咲いていたハゴロモジャスミンの近くを通ったとき、結実しているのに気が付きました。 結実率は良くないようで、花は大量の咲いていましたが、果実は木全体でも10個に満たない数です。 2023/4/20 今年もハゴロモジャスミンの開花が始まっていて、数は少ないですが花が咲いていました。 近づくと良い香りが鼻をくすぐり、かなり強い芳香を放っていました。 |