境川近隣の春の野草
和名インデックス |
ギシギシ(Rumex japonicus)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ギシギシ属> タデ科ギシギシ属の多年草で、広く日本に分布している。 スイバと異なり、同じ株に両性花と雌花をつける。茎や花が赤味を帯びない点でスイバと区別できる。 茎の途中の葉の付き方や、痩果を包む萼片に瘤状のふくらみがあるかどうかでも区別できる。 草丈は40〜100cmほどになり、茎は直立して多数分枝する。 下部の葉は、長楕円形で長い柄があり、縁は波打っている。 茎葉は上部ほど小さくなり、無柄になる。葉先は丸く、基部はやや心形。 花期は5月〜6月で、花は細長い総状花序に付き、多段に密に輪生する。雌雄同株。 両性花と雌花があり、花被片(萼)6個、オシベ6個、メシベ1個からなる。 果実を3個の内花被が包む。内花被は心形で、縁に不規則な鋸歯があり、中央に長卵形のこぶがある。
2015/6/6
境川への川岸に作られている花壇で、ギシギシがたわわに果実を付けていました。 同じようにスイバも生えていたので、ギシギシとは思っていませんでした。 そのため、花の写真は撮り損ねています。 2018/5/21 撮り損ねていたギシギシの花ですが、開花には少し早かったようで、まだ、開いていませんでした。 いや、そうではなくて、逆に咲き終わった後かもしれません。内花被が大きくなり始めているような... 2021/4/30 撮り損ねていたギシギシの花ですが、やっと撮影できました。左は両性花で、黄色い葯が見えています。 右は雌花だと思われます。最上段では葯ではなくて、白い紐状の柱頭が見えています。 なお、上段の写真で、赤味を帯びた色をしているのは、スイバの雄株です。 | ||||||
スイバ(Rumex acetosa)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ギシギシ属> タデ科ギシギシ属の多年草で、広く日本に分布している。 世界的にも、北半球の温帯に分布している。 雌雄異株で、葉には酸味があり、スイバ(酸い葉)の名前の語源になっている。 花期は、ギシギシよる1ヶ月程早く、茎の中程の葉には柄がなく、茎を抱くことで区別可能。 食べられるが、茎や葉にシュウ酸の酸味があり、すっぱいので酸い葉と呼ばれる。 若葉は赤色を帯び、上部の葉は柄がなく、下部の葉には長い柄がある。 葉身は長さ10pほどの長楕円状披針形、基部は矢じり形で、上部の無柄の葉は茎を抱く。 葉柄の基部の托葉は鞘状の托葉鞘となり、縁が不規則に切れ込む。雌雄異株。 茎頂の円錐状総状花序に小さな花を多数付つける。雌花は柱頭が赤く目だつ。 雄花は花被片が6個、オシベも6個。果期には内花被が直径4oのうちわのように大きくなって痩果を包む。 外花被は小さい。痩果は長さ2oほどで、黒褐色で光沢がある。
2016/4/16
境川への川岸に作られている花壇で、スイバが赤い雌花をたくさん咲かせていました。 探すと、近くに雄株もありました。ただ、雄花はまだツボミで、開花しているものはありませんでした。 <雄花序> <雌花序> <雄花> <雌花> 2018/4/10 境川の川岸に作られている花壇で、今年もスイバが花序を所々で立ち上げていました。 花は、まだ、咲き始めたばかりで、特に雄花の開いているものは極一部だけでした。 今回、それらの花を100oマクロで、撮り直しました。 | ||||||
ツメクサ(Sagina japonica)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ツメクサ属> ナデシコ科ツメクサ属の一年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、インド、チベット、ヒマラヤに分布する。 カタカナでは紛らわしいが、本種は漢字では「爪草」で、マメ科のシロツメクサなどは「詰草」。 本種は、細い葉を鳥の爪に見立てた名前であり、「詰草」はガラス製品の緩衝材として詰められていたのが由来。 草丈は2〜20cmで、茎は細くて斜上し、下部でよく分枝して株状になる。 葉は対生し、長さ7〜18mmの線形で、先が尖り、基部は無柄で膜状に合着している。 花期は3月〜7月で、上部の葉腋に単生して花を付ける。花は直径4mm前後で白色。 花弁は普通は5個あるが、まれに4個や無いものもある。長さは萼片と同長かやや短い。 花柄は長さ8〜27mmで、萼片は普通5個で、長さ2〜2.5mmの楕円形で、鈍頭。 オシベは5〜8個、葯は黄白色。メシベの花柱は5個ある。 刮ハは長さ3mm前後の球形に近く、熟すと5裂する。種子は暗褐色で腎円形。表面に円柱状の突起がある。
2023/4/18
境川沿いに散歩していたとき、道路脇のわずかな隙間で、小さな花を付けているツメクサを見つけました。 生育環境がかなり厳しいこともあってか小さな株なのですが、しっかりと花は咲かせていました。 | ||||||
ノミノツヅリ(Arenaria serpyllifolia)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ノミノツヅリ属> ナデシコ科ノミノツヅリ属の越年草で、ユーラシア原産。 見た目はコハコベに似るが、花弁が2つに割れない。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。 ヨーロッパからアジア、アメリカ、アフリカにも分布する。 草丈は10〜30cmで、茎はよく分枝して枝が多い。 葉は対生し、長さが3〜7oの卵形で先が尖り、全縁で無柄。 花期は3月〜6月で、花の直径は5mm前後。花弁は卵形で白く5個。先は切れこまない。 オシベは10個あり、メシベの花柱は3個ある。 萼片は5個で、長さ3oほど。花弁より多少長めで、細毛がある。
2018/4/3
境川に向かう道路脇の草原などで、ノミノツヅリが小さな花を付けていました。 ハコベ属やミミナグサ属の様に花弁が2裂していないので、判別しやすい花です。 2021/4/30 境川沿いの道路脇で、ノミノツヅリが大きくなり、たくさん花を付けていました。 この辺りにはノヂシャなどもたくさんあるので、白い小花がたくさん見られました。 2022/4/10 国道16号線沿いを散歩中、道路脇の空き地でノミノツヅリが花を付けていました。 あまり大きな株ではなかったので、咲いている花も少なく、気を付けていないと見過ごしそうでした。 2023/4/18 左の写真は、開花途中のノミノツヅリで、萼片と花弁が半開きになり、オシベの葯は裂開していません。 右の写真は、花後の様子で、子房が大きくなり、まだ、頂部に柱頭が残っています。 | ||||||
イヌコハコベ(Stellaria pallida)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ハコベ属> ナデシコ科ハコベ属の越年草で、ヨーロッパ南西部原産の帰化植物。 見た目はコハコベに似て、茎も紫色を帯びるが、花弁ない点が異なる。 また、萼片の基部に紫色の斑点があることが多く、この点でも区別できる。 草丈は10〜20cmで、長さ5〜30mmの卵形の葉は対生し、葉柄の基部が紫色を帯びることが多い。 花期は3月〜9月で、花は直径2〜3o。苞葉は長さ2〜10mmの披針形。 萼も長さ2〜3mmで、毛が生え(無いものもある)、基部に紫色の斑点があることが多い。 花には花弁がなく(稀にあるものもある)、萼片の縁が薄い鱗片状になって花弁のように見える。 オシベは3〜5個あるが、稀にない物もある。自家受粉し、閉鎖花も付ける。 果実は刮ハで、長さは2〜5mm。熟すと先が6裂する。
2021/4/30
自宅近くの道路脇で、コハコベに混じってイヌコハコベが咲いていました。 見た目は似ているのですが、花弁がないため、ツボミにしか見えません。 中央の写真で、左下に伸びているのが閉鎖花です。 上に伸びているものや左右の写真で半開きになっているのは、成熟して果皮が弾けた果実です。 2023/4/19 境川からの帰り道、あちらこちらでコハコベが花を付けているのを見かけました。 イヌコハコベもあるのではと探したのですが、なかなか見つからず、やっと1株見つけました。 この辺りではコハコベが大半を占めているようで、イヌコハコベは少数派のようです。 この株では、萼片の基部に紫色の斑点が見られます。 | ||||||
ウシハコベ(Stellaria aquatica (L.) Scop.)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ハコベ属> 2016/4/23 2016/4/23 2016/5/15
日本では北海道から四国、九州と全国的にみられる。
世界的には、北半球に広く分布している。 草丈は20〜50pほどになり、茎は暗紫色になるか、緑色で、その場合は節が暗紫色になる。 葉は対生し、長さ5p前後の卵形で、下部の葉には柄があるが、上部では無柄で茎を抱く。 花期は4月〜10月で、白い花弁は2つに深く裂けているので10枚に見える。 メシベの花柱の数が5本で、オシベの数は10本ある。 なお、ミドリハコベやコハコベの花柱の数は3本なのと、茎の節の部分は紫色を帯びないことで判断できる。
2016/4/23
境川に向かう道路脇のわずかな隙間に、ウシハコベが着生していました。 この個体は、茎全体が紫褐色でした。メシベの花柱が5本、中央に見えています。 2018/4/10 上記の写真は105oに接写リングを付けて撮影したものですが、今回、100oマクロで撮り直しました。 | ||||||
コハコベ(Stellaria media)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ハコベ属> ナデシコ科ハコベ属の越年草で、日本では全国的にみられる。 全世界に帰化植物として定着しており、北米やヨーロッパでは極普通の庭草である。 ミドリハコベに似ているが、いくぶん小型で、茎が暗紫色を帯びる所が異なる。 草丈は10〜20cmで、茎は下部から多数分枝して、下部は地を這い、上部は斜上する。 葉は長さ1〜2cmの卵形で対生し、縁は全縁。下部の葉には長い葉柄があるが、上部では無柄になる。 花期は3月〜10月と長く、花は集散花序に付き、花柄がある。 萼片は5個で、鈍頭で楕円形。長さは3〜4oあり、縁は薄膜質。 花弁は萼片より若干短めの白色で、5個あり、2深裂する。そのため、花弁が10枚に見える。 メシベの花柱の数は3個で、オシベの数は1〜7個ある。
2018/4/3
境川から少し離れた道路脇の石垣の下で、コハコベが花を付けていました。 小さい花なので、よく見ないと花が咲いているのかどうかが良く分かりません。 よく見ると、所々に花を確認できました。右の写真で、どれが花か分かりますか。 白く見えているのが花で、見ずらいですが、この中に10個ほど確認できます。 2020/4/23 自宅近くの歩道脇で、ハナヤエムグラと競うように花壇の一部を覆うようにコハコベが広がっていました。 最初、ミドリハコベではと思ったのですが、茎が紫色を帯びている所があったので、本種としました。 2022/4/10 国道16号線沿いを散歩中、道路脇の空き地でコハコベが花を付けていました。 咲き始めて間もないのか、枝が疎らで花数も少ないので、少し貧相な印象を受けます。 2023/4/18 2023/4/19 . 2023/4/19 2023/4/18 上段の株を最初に見たとき、花が小さくて見えていなかったので、イヌコハコベだと思いました。 しかし、よく見ると小さな花があり、めったに見られないイヌコハコベの花ではと思ってしまいました。 ただ、周りを見ると花がいくつも咲いていてコハコベと分かり、いささかがっかり。 下段左はツボミの写真ですが、右上のツボミは開花しかけています。 下段右は、別の所で見かけたコハコベですが、生育環境が良いようで、見た感じが異なります。 | ||||||
ミドリハコベ(Stellaria neglecta Weihe)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ハコベ属> ナデシコ科ハコベ属の越年草で、日本では全国的にみられる。 アジア、ヨーロッパにも広く分布している。 草丈は30〜60cmで、茎には片側に1列に毛が生え、暗紫色を帯びることはなく、全体に緑色である。 葉は長さ20〜30mmで、上部の葉は無柄で大きくなるのに対して、下部の葉は葉柄があって小さい。 花期は3月〜9月で、花冠の直径は10mm前後である。 花弁は2つに深く裂けているので10枚に見え、メシベの花柱の数が3本、雄しべの数が5本以上ある。 萼片は花弁よりわずかに短い。5個の萼片は長さ3〜4mmで、白毛と腺毛があり、果時には大きくなる。 似たものにコハコベ(茎が紫色を帯びる)や、ウシハコベ(大型で、メシベの花柱が5つある)がある。
2017/3/7
境川から少し離れた畑の畔で、耕作された後にミドリハコベが花を付けていました。 茎が緑色で、メシベの花柱の数が3本で、上記のウシハコベとは本数が違うのが分かります。 | ||||||
シロバナマンテマ(Silene gallica L. var. gallica)
<ナデシコ目・ナデシコ科・マンテマ属> ナデシコ科マンテマ属の1年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。 日本には、江戸時代末期に移入され、逸出したものが野生化したとされている。 なお、マンテマはこのシロバナマンテマの変種とされ、イタリーマンテマも同様である。 草丈は10〜40cmで、茎はよく分枝し、下部はやや地を這う。 葉や萼筒、茎など全体に長毛と腺毛が多数あり、触ると粘る。 葉は対生し、長さ2〜4cmの楕円形で、茎葉は上部に行くにしたがって小さくなる。 根出葉や下部の茎葉は粗い毛が目立ち、先端が丸いへら形で、縁は全縁でやや波打つ。 茎葉は上部に行くにしたがって先が尖り、楕円形〜広線形になる。 花期は4月〜6月で、花は茎先に一方向に偏って総状に付き、花柄は長さ1〜4mm。 萼筒は長さ8〜10mmの狭卵形で10脈があり、脈上に開出する長毛と短い腺毛がある。 花冠は直径7〜10mmの5弁花で、花色は白〜淡紅色と変異があり、1つの花の中でも混じる。 基部には披針形の付属小鱗片が2個あり、花弁の先にV字型の凹みが入ることもある。 オシベは10個、メシベは1個あり、どちらも花冠からは突き出ない。 果実は刮ハで、花後に萼筒が卵形に膨らみ、萼筒に包まれたまま熟す。 マンテマは、花弁の幅がシロバナマンテマより広く、中央部が紅色で、縁は白色になる。 同じく変種のイタリーマンテマは、花弁が紅色で濃色の脈があり、全体に無毛なのが特徴。
2021/4/30
境川沿いの道路脇の植栽に混じって、マンテマのような花がたくさん咲いていました。 良く通る所なのですが、この花を見たのは初めてです。開花時期に通ったことが無いのでしょう。 調べてみると、シロバナマンテマだと分かりました。が、撮影した範囲内に白花は見られませんでした。 花冠の淡紅色の部分ですが、濃淡や入り方はバラバラで、1つとして同じものはないようです。 2023/4/18 今年もシロバナマンテマを以前見かけた場所で、多くの花が見られました。 ただ、この場所では淡紅色の濃淡が見られるだけで、白い花冠の花は見られません。
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オランダミミナグサ(Cerastium glomeratum)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ミミナグサ属> ナデシコ科ミミナグサ属の2年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。 日本では、北海道から本州、四国に分布し、都市部では在来種と入れ替わってしまった。 日本在来種のミミナグサ(茎が暗紫色を帯びる)は、平地ではほとんど見られない。 世界的には、南北アメリカ、アジア、オセアニア、北アフリカと広範囲に分布している。 草丈は10〜60cmで、茎は直立か斜上し、全体に毛が多く、茎の上部には腺毛が多い。 葉は対生し、両面に毛が密生する。下部の葉はへら型であるが、上部では楕円形で無柄になる。 花期は4月〜5月で、枝先に集散花序を付け、白い小花を密生する。 花弁は5個で、先が2裂する。萼片は花弁より若干短く、腺毛が密生して粘る。 オシベは10個で、メシベは1個。その花柱は5個である。 また、本種の花柄は萼片と同長かまたは短く、ミミナグサは萼片より長い点で区別できる。
2018/4/3
境川から少し離れた道路脇で、オランダミミナグサが花を付けていました。 この近辺では、ミミナグサは姿を消し、見られるのはオランダミミナグサのみです。 | ||||||
マグワ(Morus alba)
<バラ目・クワ科・クワ属> クワ科クワ属の落葉高木で、中国原産の移入種。雌雄異株。稀に雌雄同株。 養蚕用に各地で植えられていたものが、野生化している。 樹高は5〜15mになり、樹皮は灰褐色で縦に筋が入り、枝は灰褐色で無毛。 葉は互生し、葉身は8〜15pほどの広卵形。切れ込みの無いものから数裂するものまである。 葉先は尖り、基部は心形で、縁には粗い鋸歯がある。葉柄は長さ数cmで、無毛。 花期は4月〜5月で、本年枝の葉腋に花序が1個ずつ付く。 雄花序は、長さ5cm前後の円柱型で、多数の雄花が付く。花被片とオシベが各々4個ある。 雌花序は、長さ10mm前後で、多数の雌花が付く。メシベの花柱は極短く、柱頭は2個ある。 果実は集合果で、長さ15〜20mmほど。始めは淡緑色であるが、6月〜7月に赤から黒紫色に成熟する。 抗酸化作用のあるアントシアニン、ポリフェノールを多く含み、生食も可能。 また、果実はジャムにしたり、果実酒の材料にも利用される。
2018/4/10
境川に向かう道路脇の畑で、畑の仕切りのように植えられたマグワがあります。 そのマグワにたくさんの雄花序が付き、一部が開花し始めていました。 この樹に果実がなっているのを見たことがないので、雄株で間違いはないと思います。 2020/4/23 前回の撮影時には十分に雄花が開いていなかったので、撮り直したものです。 前の写真よりもオシベが飛び出している様子が、良く分かると思います。 2021/4/30 自宅近くの道路脇で、畑を囲むようにマグワが植えられている所で、果実を見かけました。 以前見かけたのは雄株でしたが、この植栽には雌株がかなり混じっているようです。 2023/4/19 <雄花序> 2023/4/19 <雄花序> 2023/4/19 <雄花序> 2023/4/19 <雌花序> 2023/4/18 <雌花序> 2023/4/18 <雌花序> 前述の畑を囲むように植えられたマグワで、雌花がたくさん咲いているのに気が付きました。 雄花はと探したのですが、見つかったのは隅っこにあった1株だけでした。 翌日、少なすぎると思い近くを探すと、少し離れた畑では、多くの雄株で雄花(上段)が咲いていました。 | ||||||
ナワシロイチゴ(Rubus parvifolius)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・キイチゴ属> バラ科キイチゴ属のツル性の落葉低木で、在来種。 和名は、田植えの頃に赤く果実が熟することに由来する。 日本では全国に分布し、日当たりの良い傾斜地で地を這うように広がる。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナム、オーストラリアに分布する。 樹高は20〜30cmで、茎には下向きの曲がる綿毛があり、直立する刺が散在する。 葉は互生し、長さ8〜14cmの奇数羽状複葉で、小葉は1対のものが多い。 なお、1年目の茎では、葉は大きくなり、小葉が2対のものがある。 頂小葉は長さ3〜5cmの菱状倒卵形で、3浅裂することもあり、先は丸く、重鋸歯縁である。 葉裏は白い綿毛が密生して白く、葉柄は長さ3〜5cmで、葉柄と葉軸には軟毛と刺がある。 花期は5月〜6月で、花は紅紫色の5弁花。枝先や葉腋に散房状に上向きに付く。 花弁は長さ5〜7mmの倒卵形で、反り返るように付き、ツボミのような状態から開くことはない。 萼は5深裂し、萼の下部だけに刺がある。萼片は開花時には平開か反り返り、花が終わると閉じる。 花弁が立って開かないので、花自体は直径7mm前後しかないが、萼片が開くの直径は15〜20mmある。 オシベとメシベは多数あり、メシベは花弁から少し飛び出す。花弁が落ちると、葯が開く。 果実は集合果で、直径15mm前後の球形。酸味があるが、食べられる。
2021/5/6
駅に向かう道路脇のツツジの植栽で、葉の間からナワシロイチゴが伸び出して咲いていました。 葉腋から伸び出した花序に、小さな紅紫色の花が多数付いていました。 花後、萼片が閉じて小さくなり、果実が熟した頃に再び開いて、真っ赤な果実が出てくるでしょう。 | ||||||
ノイバラ(Rosa multiflora)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・バラ属> バラ科バラ属の落葉低木で、在来種。河原や原野、林縁などで普通に見られる。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。 樹高は1〜2mほどで、茎は分枝して直立するが、他の物に寄り掛かってはい登ることもある。 樹皮は黒紫色で、新枝は緑色。托葉の基部に、対になった鋭い棘がある。 葉は互生し、長さ10pほどの奇数羽状複葉で、葉軸には軟毛と小さな刺がある。 小葉は数対で、長さ4cm前後の長楕円形。頂小葉は側小葉より少し大きい。 縁には鋭い鋸歯があり、表面は無毛で、葉裏には軟毛がある。 葉柄は15o前後で、托葉が合着し、托葉の縁は深く切れ込んで先端は腺になる。 花期は5月〜6月で、枝先に円錐花序を付け、芳香のある直径20oほどの白花を多数付ける。 花弁は5個で花弁の先が少し凹む。オシベは多数あり、メシベの花柱は合着して柱状になる。 花托筒(萼筒)は壺型で、花後、多肉質になり偽果を作る。 偽果は、直径10o弱の球形で、秋に赤く熟して光沢がある。
2016/5/7
境川に向かう道路脇で、フェンスにへばり付くように枝を伸ばしたノイバラを見かけました。 普通に生えているはずのノイバラですが、ノイバラの花を確認できたのは初めてです。 | ||||||
モッコウバラ(Rosa banksiae f. lutea Rehder)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・バラ属> バラ科バラ属の常緑つる性低木で、中国原産の帰化植物。 高さ6m近くまで上る。古枝には硬い刺があり、小枝は赤褐色の円柱形で、刺が散在する。 刺は曲がって、長さ5o以下と短く、扁平で基部は幅広。なお、小枝に刺のない品種もある。 葉は互生し、奇数羽状複葉で小葉は3〜5個、稀に7個のものがある。 小葉は長さ2〜5cmの長楕円形で、先は尖り、縁には低い鋸歯がある。葉表は無毛、光沢がある。 托葉は早落性で合着せず、線状披針形で膜質。全縁で尖鋭形。 葉柄や中軸にはまばらに短毛が付き、普通、小刺は付かない。 花期は4月〜5月で、単一の散形花序あるいは散房花序に、花は多いもので十数個付く。 花の直径は15〜25oで、小花柄は長さ2〜3cm、線状の苞は早落性で小さい。 萼片は5個で、早落性。卵形で外面は無毛、内面には白い短毛がある。全縁で先は長い尖鋭形。 一重と八重があり、一重の花弁は卵形で5個が半二重〜二重に付く。花色は黄色と白色がある。 心皮は多数で、花柱は遊離してオシベより短く、短毛が密に付く。 モッコウバラには多くの園芸種があるが、主な種類は以下の通りである。
2020/4/3
境川に向かう途中の道端に、フェンスに張り付いているモッコウバラがありました。 もっともポピュラーな八重の黄モッコウバラで、普通、モッコウバラといった場合は本種を指します。 | ||||||
レッドロビン(Photinia×fraseri)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・カナメモチ属> カナメモチとオオカナメモチの交雑種で、米国で作出された常緑小高木。 新芽が非常に鮮やかな赤になるため、生け垣などに利用される。 なお、新芽が赤くなるのは、アントシアニンを多く含むためだが、葉が堅くなると緑に変わる。 カナメモチの選別品種(ベニカナメモチ)に似るが、本種の方が色が鮮やかで、葉が大きい。 なお、カナメモチの葉柄には鋸歯の痕跡が残るが、本種の葉柄には無い事でも識別できる。 樹高は3〜5mになり、葉は長さ10p前後の先の尖った長楕円形で、光沢がある。 花期は5月で、枝先に複散房花序を付け、多数の白い小花を付けるが、花序を付ける樹は少ないようだ。 花の直径は7oほどで、広倒卵形の花弁は5個、オシベは多数ある。 花は多数咲いていても、結実したものは確認できなかったので、不稔の可能性がある。
2015/4/12
境川に向かう道路脇で、レッドロビンが生垣に使われており、赤い壁のようになっていました。 2023/4/19 自宅近くの民家の生け垣で、レッドロビンが数個の花序を付け、花が咲いていました。 時間が経っているのでしょうか、葉の赤味が薄れ、少し緑がかってきていました。
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シャリンバイ(Rhaphiolepis indica var. umbellata)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・シャリンバイ属> バラ科シャリンバイ属の常緑低木で、在来種。 日本では、本州の東北地方以南から四国、九州にかけて海岸近くに自生している。 海外では、朝鮮半島、台湾に分布する。 樹高は1〜4mで、若い枝には褐色の軟毛があり、小枝は輪生状に付く。 葉は互生し、葉身は長さ4〜8cmの長楕円形で、革質で光沢があり、浅い鋸歯がまばらにある。 葉先は尖るものと、丸いものがあり、丸いものはマルバシャリンバイと呼ばれることもある。 ただ、中間型もあり、両者を明確に区別することができないため、種内変異とされる。 花期は5月〜7月で、枝先に総状花序を出し、直径10〜15mmの白い5弁花を多数付ける。 花弁は長さ1cm前後の倒卵形で、先は丸く、しばしば歯牙がある。 萼筒は漏斗状で、萼片は長さ5mm前後の卵状三角形。先が尖り、褐色の軟毛が密生する。 果実は直径7〜12oの球形で、10月〜11月に黒紫色に熟し、白粉を被る。 中には直径7〜8oの球形の種子が1個入っており、褐色で光沢がある。
2019/4/29
境川に向かう途中にある畑で、大きく刈り込まれたシャリンバイが花を付けていました。 畑の生け垣として、イヌツゲなどと共に植えられているようです。 | ||||||
トキワサンザシ(Pyracantha coccinea)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・トキワサンザシ属> バラ科トキワサンザシ属の常緑低木で、ヨーロッパ南部から西アジア原産。 日本では、本州から四国、九州にかけて植栽、あるいは、一部野生化している。 樹高は2〜6mで、樹幹は直立して枝には刺があり、褐色の毛が生えているが、後に無毛。 葉は互生し、長さ2〜4cmの倒卵形で、縁に細かい鋸歯がある。 葉先は丸くて、先端側が最も幅が広く、ピラカンサの中では最も幅が広い。 花期は4月〜5月で、葉腋に散房花序を付け、直径10mm前後の白い5弁花を多数付ける。 オシベは20個で、花糸の長さは2o弱である。萼片は5個ある。 果実は、直径5〜8oの扁球形で、晩秋に真っ赤に熟し、一際、目を引く。 ※ トキワサンザシやタチバナモドキに関しては、こちらに詳細を掲載していますので、ご参照ください。
2021/4/30
境川に向かう途中の道路脇で、トキワサンザシがたくさんのツボミを付け、一部が開花していました。 多くが結実するので、秋には真っ赤な果実がびっしりと付くものと思われます。 | ||||||
ボケ(Chaenomeles speciosa)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・ボケ属> バラ科ボケ属の落葉低木で、中国原産の帰化植物。 日本への渡来は古く、平安時代に移入されて観賞用に栽培された。 日本では、本州から四国、九州に植栽として、または、自生している。 樹高は1〜2mで、茎は叢生してよく分枝し、若枝には褐色の毛がある。 古くなると灰黒色になり、樹皮には縦の浅い裂け目ができ、小枝は棘となって残る。 葉は互生し、長さ5〜9cmの長楕円形で、縁には細かい鋸歯があり、付け根に腎臓形の托葉がある。 花期は3月〜4月で、葉より先に開き、花色の基本は朱色だが、白から緋紅色まで、変化に富む。 果実は、数cmの楕円形でカリンに似て、良い香りがし、果実酒に使用される。 なお、日本固有種であるクサボケは、茎が地を這うか斜上して、樹高は1m以下である。
2023/4/19
境川に向かう途中の道路脇で、生け垣の一部にボケが使われていて、種々の花が咲いていました。 白色〜緋紅色の単色の花が多い中、白色と緋紅色の絞り咲きが混じっていました。 | ||||||
ヤマザクラ(Cerasus jamasakura)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・モモ連・スモモ属・サクラ亜属・サクラ節> バラ科スモモ属サクラ亜属の落葉高木で、在来種。 日本では、本州の宮城、新潟以西から、四国、九州に分布する。 樹高は、15〜30mで、 幹は紫褐色〜暗褐色で、褐色の皮目が目立つ。 葉は互生し、長さ8〜12cmの長楕円形で、先は尾状に尖る。葉の表面は無毛で、裏面は粉白色。 葉縁は単鋸歯が多いが、重鋸歯の場合もある。新葉展開時には褐色味を帯びる。 葉柄は赤味を帯び、長さ25o前後で、葉柄の上部に赤い蜜腺が2個付く。 花期は3月〜4月で、散房状に2〜5個の花が付き、花序の柄は長さ5〜15oある。 花の直径は25〜35mmで、白色〜淡紅色の5弁花。花柄は15〜30mm。 萼筒は長さ6o前後の長鐘型で、萼片は細く、鋸歯はない。 開花と同時期に若葉を展開するのが特徴であるが、両者の展開時期には変異がある。 果実は直径8o前後の球形の核果で、緑色→赤色→黒紫色と熟す。 なお、ヤマザクラは変異の多い樹種で、開花時期、花付き、花色など様々な変異がある。 そのためソメイヨシノのように一気に咲くことはなく、長く楽しむことができる。
2017/4/10
マンションの自宅ベランダ前の山桜が満開になり、居ながらにして花見を楽しんでいます。 ただ、毎日のように、メジロやヒヨドリなどが訪花して、うるさい事この上なしです。 2020/3/29 2020/3/28 2020/3/30 満開になったヤマザクラでしたが、久しぶりの雪に震え上がっていました(上段)。 前日(下段左)には満開となり、快晴とは行かないまでも、まあまあのお花見ができました。 と言っても、今年は新型コロナの影響で、ベランダからのお花見になってしまいましたが。 その翌日、朝方から降り始めた雪で上段のような景色となり、お昼頃には積雪数cmとなりました。 午後には降り止んだのですが、シャーベット状になった雪で、通路はグチャグチャになっていました。 運良く、夜間にあまり気温が下がらなかったので、凍ることなく、翌日にはほぼ溶けました。 桜の花はうつむいてしまいましたが、開花後7日経っていなかったので散ることはありませんでした(下段右)。 2017/4/27 2017/5/29 2017/5/29 4/27 花がすっかり散った頃には、たくさんの果実(サクランボ)が見られました。 5/29 1ヶ月ほど経つと、果実が赤から黒紫色と熟し始めました。 間もなく、ヒヨドリやムクドリなどがこの果実目当てに集まり、また、にぎやかな日々が始まります。 | ||||||
カラミザクラ(Cerasus pseudo-cerasus)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・モモ連・スモモ属・サクラ亜属・ロボペタルム節> バラ科スモモ属サクラ亜属の落葉高木で、日本では観賞用として多くの品種が作出された。 日本には、固有種、交配種を含め、おおよそ600種の品種が確認されている。 そのため、花から品種を確認するのは、特徴のあるもの以外は、困難である。 また、日本で果実を食用とする品種は、主にヨーロッパ系のセイヨウミザクラ(Prunus avium)である。 有名な佐藤錦をはじめ、ナポレオンやアメリカンチェリーがその系統となる。 一方、カラミザクラは中国原産の実が食用となる品種であるが、小ぶりで酸味が強い。 別名としてシナミザクラ(支那実桜)、中国桜桃などの名前がある。 カラミザクラは落葉小高木で、樹高は高くても10m程度である。 樹皮は灰白色で、小枝は灰褐色である。比較的枝を多く伸ばす。 葉は互生し、長さ5〜12cmの長楕円形で、先が尖り、縁には鋭い重鋸歯がある。 花期は早く、3月上旬から咲き始め、数輪がまとまって付く。 花は直径は2cm程度の一重の小輪で、白〜淡紅色の花弁は5個で、ほぼ平開する。 花柄は10〜20oほどで、萼は淡紅色で長さ5mm前後。5裂した裂片は鈍い3角形状。 オシベが長いのが特徴で、花弁と同程度か若干長めで、数十本ある。 果実は10〜15mm程度で、5月には赤く熟す。
2018/3/13
境川への道路脇の民家の庭から、白っぽいサクラが顔を覗かせていました。 ソメイヨシノなどと比べるとオシベがやたらと長く、見たことがない花でした。 開花時期や長い花柄で数輪がまとまって付く特徴はサクラ属なので、調べてみました。 なかなか、該当する特徴のサクラが見つからなかったのですが、ミザクラを見ていて、本種に気が付きました。 セイヨウミザクラが入ってくる前に、中国から入っていたのが本種だったようです。 2018/4/10 1ヶ月ほど経った頃、様子を見に行くと、ミザクラの名に恥じないほど、たくさんの果実を付けていました。 まだ、未熟なのできれいな緑色ですが、もう1ヶ月もすると真っ赤に熟すのでしょう。 | ||||||
テルテモモ(Prunus persica cv. Fastigiata)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・モモ連・スモモ属・モモ亜属> <テルテモモ> <テルテクレナイ> <テルテシロ> ハナモモは、バラ科モモ亜属の落葉性低木で、中国北部が原産地。 花を観賞するために改良されたモモで、日本で数多くの品種改良がおこなわれ、種類が多い。 改良が行われるようになったのは江戸時代で、当時改良されたものが現在でも流通している。 樹高は1〜7mで、葉は互生し、長さ7〜16cmの長楕円形で先が尖り、粗い鋸歯がある。 花期は3月〜4月で、3〜5cmの花を多数付ける。 花色には、桃色、赤色、白色、紅白咲き分けがあり、一重咲き、八重咲きがある。 また、樹形にも立木性、枝垂れ性、ほうき立ち性、矮性などがあり、本種テルテモモもその1つ。 中国原産のハナモモを神奈川県農業総合研究所が品種改良した立性の品種が、テルテモモである。 通常のハナモモは枝を横に広げるが、本種は箒状に縦にまとまった樹形になり、ホウキモモの別名を持つ。 樹高は1〜4mで、葉は互生し、長さ7〜16cmの長楕円形で先が尖り、粗い鋸歯がある。 花期は3月〜4月で、直径5cmほどの八重咲きの花を多数付ける。 花色は桃色、赤色、白色とあり、各々テルテモモ、テルテクレナイ、テルテシロの名が付けられている。 ただ、これらテルテシリーズをまとめてテルテモモと呼ぶことが多い。 なお、テルテモモのテルテ「照手」は、相模原市に伝わる「照手姫伝説」から付けられたとのこと。
2018/4/3
地元、神奈川県農業総合研究所で品種改良されたためか、自宅近くで見かけるのは本種がほとんど。 境川へ向かう途中でも、あちらこちらの民家の庭先に植えられています。 上記の写真は、そのテルテモモの3品種をそろえてみたものです。 | ||||||
シロヤマブキ(Rhodotypos scandens)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ヤマブキ連・シロヤマブキ属> バラ科シロヤマブキ属の落葉低木で、在来種。 自生するものは少なく、絶滅危惧種種に指定されている。 日本では、中国地方にのみ自生しているが、観賞用に全国の公園や庭木として植栽されている。 海外では、朝鮮半島から中国に分布している。北アメリカ東部に帰化して、増えている。 草丈は1〜2mになり、幹は褐色で、若い枝は緑色で無毛。 葉は対生し、長さ10p前後の長卵形で、基部はやや心形で、先は鋭く尖る。 葉の縁には鋭い重鋸歯があり、若い葉の裏には絹毛がある。古くなると脈上のみに残る。 葉表にも毛があるが、古くなると無くなる。葉柄は有毛で、長さは数o。 花期は4月〜5月で、新しい側枝の先に直径4cm前後の白花を付ける。 花弁は4個で広円形。花柱は4個で、オシベは多数ある。 萼片は長さ15oほどの狭卵形で、萼片の間には小さな副萼片があり、線形で長さは数oほど。 萼片の縁には鋸歯があり、萼片や副萼片、花柄には白い軟毛がある。 果実は痩果で、長さ7o前後の楕円体。4個が集まって付き、秋に黒く熟して光沢がある。
2016/4/16
境川の河岸近くの草むらで、隣の敷地から伸び出すようにシロヤマブキが花を付けていました。 その中に面白い咲き方をしている1輪がありました。右端の写真です。 前年の果実がちょうど花芯の辺りにあり、花の中に既に果実があるように見えます。 それにしても、この果実、1つは落果したようですが、残りは落果しないで冬を越したんですね。 | ||||||
ヤマブキ(Kerria japonica)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ヤマブキ連・ヤマブキ属> バラ科ヤマブキ属の落葉低木で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の山地や谷川沿いなど、湿った所に自生する。 海外では、朝鮮半島から中国に分布する。 樹高は1〜2mになり、株立ちになり、新枝は緑色で稜がある。 茎や枝は時間と共に褐色となり、数年で枯れる。 葉は互生し、長さ6cm前後で1cmほどの葉柄がある。長卵形で、先は鋭く尖り、縁には重鋸歯がある。 花期は4〜5月で、新しく出た短い側枝の先に、黄色い花を1個付ける。花には一重と八重がある。 花は直径4cm前後で、倒卵形の花弁の先はわずかに凹む。オシベは多数あり、花柱は5〜8個ある。 萼筒は杯型で、萼片は4mmほどの楕円形。 萼筒は果期にも残り、その中に痩果が数個付く。9月頃に暗褐色に熟す。
2018/4/10
境川へ向かう道路脇で、ヤマブキが花を付けていました。 すでにピークを過ぎているようで、傷んでいる花が多いのですが、若干、きれいな花も残っていました。 それをアップで撮ったのですが、開花後、時間が経っているのか、瑞々しさに欠けます。 | ||||||
アメリカフウロ(Geranium carolinianum)
<フウロソウ目・フウロソウ科・フウロソウ属> 2016/4/16 2016/4/16 2016/5/20
フウロソウ科フウロソウ属の1年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
最近では、広く日本全体に分布しており、道端などでよく見かける。 草丈は、30〜40cm程度で、茎、葉柄、花柄と全体に白い軟毛がある。 葉は円形で5深裂し、裂片はさらに細かく分裂する。 花期は4月〜6月で、花は、葉腋から花柄を伸ばし数個付く。 花径は8mm前後で、花弁と萼片は5個で、オシベは10本で、メシベを囲むように付く。
2016/4/16
境川に沿う道路脇で、アメリカフウロが小さな花を付けているのに気が付きました。 花はきれいな淡紅紫色なのですが、1cmに満たない大きさしかないので目立ちません。 ニホンで見られるフウロソウの仲間の中では、小さい方になります。 ハクサンフウロなどは直径30oほどあり、小さいゲンノショウコでも15oほどあります。 その半分ほどの大きさしかないので、如何に小さいか分かると思います。 2020/4/23 境川に下りていく道路の脇で見かけたアメリカフウロです。 このアメリカフウロの葉には、濃い赤紫色の縁取りが入っていました。 ※ フウロソウ属の仲間に付いてはこちら、 花の大きさについてはこちらを参照ください。 | ||||||
ヒメフウロ(Geranium robertianum L.)
<フウロソウ目・フウロソウ科・フウロソウ属> フウロソウ科フウロソウ属の一年草で、在来種。 日本では、伊吹山など限られた地域に分布する。 海外では、アジア、ヨーロッパ、北アメリカなどの北半球の温帯域に広く分布する。 しかし、近年、観賞用のものが、北海道や本州で帰化している。 草丈は40cm程前後で、茎や葉柄には腺毛がある。 全体に特有の匂いがあり、これが塩を焼いたときの匂いに似ていることから、シオヤキソウの別名がある。 葉幅は7cmほどになり、3全裂し、裂片は細かく分裂する。葉は対生し、花期が終わると紅葉する。 花期は5月〜8月で、花径は15mmくらい、花弁は5枚、オシベは5本。 花色は淡紅紫色から赤紫色で、花弁に濃い2本のすじがある。 また、葯の色には、赤、淡紅紫色、黄の3種類がある。
2021/5/6
日本では伊吹山などでしか見られないヒメフウロですが、最近は、園芸品種が各地で野生化しています。 ここも例外ではなく、駅近くの側溝で、ふたの隙間から顔を出してたくさん花を付けていました。 ※ フウロソウ属の仲間に付いてはこちらを参照ください。 | ||||||
ヒルザキツキミソウ(Oenothera speciosa)
<フトモモ目・アカバナ科・マツヨイグサ属> アカバナ科マツヨイグサ属の多年草で、北米が原産地の帰化植物。 観賞用に輸入されたものが野生化し、各地で見かけるようになった。 草丈は30〜60cmで、横に伸びる根茎で群生し、茎の下部は木質化する。 葉は互生し、上部の葉には波状の鋸歯があるが、下部の葉では深い切れ込みがある。 花期は5月〜8月で、直径5cm前後の淡紅色か白色の4弁花を付ける。 花弁は広倒卵形で、基部は黄色味を帯びる。オシベ8個あり、メシベの柱頭は十字に4裂する。 花弁のすぐ下に萼片が4個あり、片側に捲れ上がる。 その下に長さ10〜20o程の花托筒があり、花後、花托筒から落下する。
2018/4/10
国道16号線の街路樹、その根元にはいろいろな雑草が顔を見せてくれます。 その中にヒルザキツキミソウがあります。淡いピンクの花ですが、大きいので目につきます。 植栽されているわけではないので、踏まれたり、除草されたりと厳しい環境ですが、毎年、花を付けています。 2023/4/18 今年も国道16号線の街路樹の根元で、ヒルザキツキミソウが咲いていました。 排気ガスなど、環境は良くないと思いますが、毎年、この場所では花を付けています。 | ||||||
ユウゲショウ(Oenothera rosea)
<フトモモ目・アカバナ科・マツヨイグサ属> アカバナ科マツヨイグサ属の多年草で、南米から北米南部が原産地の帰化植物。 現在は、世界中の温暖な地域に広く分布している。 草丈は10〜50pほどで、茎は叢生して斜上し、白い伏毛がある。 葉は互生し、根生葉はへら形で、茎葉は披針形で長さは数p。縁には波状の浅い鋸歯がある。 花期は5月〜10月で、上部の葉腋に直径10oほどの淡紅色の花を付ける。 4個の花弁は丸く、濃紅色の脈が目立つ。オシベは8個で葯は白く、メシベの柱頭は4裂する。 萼筒は長さ7o前後あり、萼裂片も同程度の長さがあり、頂部は合着して袋状になる。 刮ハは長さ10o前後のこん棒状で、8つの稜があり、熟すと先端が4裂する。
2016/4/23
境川に向かう道路脇で、歩道と塀のわずかな隙間に着生したユウゲショウが花を咲かせていました。 1輪だけ、ポツンとショッキングピンクの花が咲いているので、遠くからでも良く目立ちます。 2021/4/30 実家近くの道路脇では、所々でユウゲショウの群落がみられ、花盛りでした。 比較的大きな花で、花色がショッキングピンクなので、これだけ集まると目を引きます。 | ||||||
ミツマタ(Edgeworthia chrysantha)
<フトモモ目・ジンチョウゲ科・ミツマタ属> ジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木で、中国〜ヒマラヤが原産地。 日本では林内で野生化しているものも多い。 樹高は1〜2mで、よく分枝して半球形の樹形を作る。樹皮は灰色で縦の筋がある。 本年枝は必ず三つ又になって出てくるため、これが和名の由来。 葉は互生し、葉身は長さ5〜20cmの長楕円形で、先は尖り、基部はくさび形。 縁は全縁で、両面に白灰色の柔毛があり、特に裏面に多い。葉柄は長さ5〜10mm。 花期は3月〜4月で、葉の展開前に開花する。枝先や葉腋に頭状花序を付ける。 花序には小花が30〜50個ほど下向きに集まって付く。 花は両性花で、花弁はなく、萼は長さ13〜20oで、長さ13〜20oで先が4裂する。 萼裂片の外側には白い絹毛が密生し、内側は鮮黄色。 なお、園芸品種には内側がオレンジ色〜朱色のアカバナミツマタがある。 オシベは8個で、4個ずつ2段になって短い花糸で萼に付く。メシベは1個。 果実は核果で、堅果は長さ8mmほどの楕円体。6月〜7月に熟し、緑色で有毛。
2018/3/13
境川から少し離れた道路の脇で、ミツマタが大きな花序を付けていました。 下向きに垂れ下がるように、たくさんの黄色い小花が集まっています。 右側の写真を見れば、和名の由来が分かりますよね。見事に枝が3本に分枝しています。 | ||||||
アカバナヒョウタンボク(Lonicera tatarica)
<マツムシソウ目・スイカズラ科・スイカズラ属> スイカズラ科スイカズラ属の落葉低木で、東ヨーロッパ原産が原産。 樹高は2〜3mで、幹は暗灰色〜褐色。縦に筋が複数入る。枝は細かく分枝し、髄は中空。 葉は対生し、長さ2〜5cmの卵状楕円形で、葉先は鈍頭、基部は切型。葉裏には軟毛が密生する。 花期は4月〜7月で、葉腋から短い花柄を出し、直径15mm前後の濃紅紫色の花を2個、対で付ける。 花冠は5裂し、1裂片が下向き、4裂片が上向きになる。 オシベは5個で、葯は鮮黄色。メシベは1個で、その柱頭は黄緑色で、拳状。 花は古くなると裂片が裏側に巻き込み、棒状に変化する。 なお、Webで調べると、本種とよく似たチシマヒョウタンボク、ベニバナヒョウタンボクが見られる。 書かれている内容からチシマヒョウタンボクとベニバナヒョウタンボクは同じもののようです。 これらは、北海道から本州中部地方の亜高山や高山に自生しているもので、本種とは別種である。
2018/4/10
境川と並走する通路脇にある公園の柵から赤い花が覗いていました。 どこかで見たような気がするのですが、思い出せません。とりあえず、写真を撮って後で調べることにしました。 ところがなかなか似た花が見つかりません。理由は花弁が4個だと思って調べていたためでした。 なかなかヒットしないので、写真を改めて見ていて、花弁が5枚であることに気が付いたしだいです。 そして、最初に見つかったのがチシマヒョウタンボクです。花が赤すぎるのと、葉が丸過ぎるのが引っ掛かります。 で、次にヒットしたのがベニバナヒョウタンボクです。ただ、説明を読むとチシマヒョウタンボクと同じもののようです。 どちらも北海道から本州中部地方の亜高山や高山が自生地なので、気象条件が違い過ぎて合いません。 そして、やっとアカバナヒョウタンボクにたどり着きました。園芸品種だったようです。 そして、名前が示す通り、果実が2個くっ付いてヒョウタンのような形をしているのが名前の由来です。 ただ、この樹の果実を昨年は見た記憶がないのです。夏には赤く熟するので、注意していたいと思います。 2018/5/21 果実の様子を見に行くと、結実していたのはわずかでしたが、真っ赤に熟したものがありました。 鮮やかな赤い色でおいしそうに見えますが、有毒植物(果実も)なので、間違っても食べないように。 | ||||||
ノヂシャ(Valerianella locusta)
<マツムシソウ目・スイカズラ科・ノヂシャ属> スイカズラ科ノヂシャ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。 日本では、北海道から四国、九州に分布している。 世界の多くの国でサラダ野菜として栽培され、日本でも各地で野生化している。 草丈は10〜30cmで、冬にはロゼットを形成し、翌春に茎を伸ばす。 茎は4稜形で白毛があり、次々と2股に分枝しながら立ち上がって行く。 葉は対生し、長さ1.5〜9cmのへら形で、葉の基部が狭くなり、葉柄へと続く。 茎の上部の葉は、基部が茎を抱き、無柄。葉質は柔らかく、鋸歯がある。 花期は4月〜6月で、花序は花柄の2股分枝を繰り返して半球形になり、数十個の花を付ける。 花は直径1.5〜2.5mmの淡青色の筒型花で、先が5裂し、長さ1mm前後の裂片は平開する。 花筒は長さ2mm前後で、長毛があり、花筒の中間にオシベが3個付く。葯は白い。 緑色の子房は下位で、長さは1.5mm前後になる。
2021/4/30
境川沿いの道路脇で、コンクリート壁との境目や植栽の縁などでノヂシャが見られました。 見られた場所は、この長さ数十mの範囲内のみでしたので、徐々に広がっているのかもしれません。 |