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城山かたくりの里(T)



純揚水式の城山発電所建設にともなって誕生したのが人造湖の城山湖。
その城山湖から少し下った所に「城山かたくりの里」があります。
個人所有の山林ですが、春のカタクリの花が咲く一時期だけ、一般公開されます。
カタクリの花だけではなく、いろいろな山野草も見ることができるので、何度か訪問しました。
その時に撮った写真を整理しましたので、何かの参考にしていただければ幸いです。



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
アブラナ目
アブラナ科(オオアラセイトウ)
キントラノオ目
スミレ科(オオバキスミレ、タチツボスミレ)
キンポウゲ目
キンポウゲ科(アズマイチゲ、キクザキイチゲ、ニリンソウ、オキナグサ、シラネアオイ)
キンポウゲ科(キバナセツブンソウ、ヨウシュセツブンソウ、フクジュソウ、オオミスミソウ、スハマソウ)
メギ科(イカリソウ)
クスノキ目
クスノキ科(クロモジ、ダンコウバイ)
クロッソソマ目
キブシ科(キブシ)
ケシ目
ケシ科(ヤマブキソウ)
シソ目
モクセイ科(ライラック)
センリョウ目
センリョウ科(ヒトリシズカ)
城山かたくりの里 野草(T)
和名インデックス


オオアラセイトウ(Orychophragmus violaceus)
<アブラナ目・アブラナ科・オオアラセイトウ属>

アブラナ科・オオアラセイトウ属の越年草で、中国原産の帰化植物。
中国東部に分布し、特に東北部や華北地区に多い。ヨーロッパ南部にも見られる。
江戸時代に栽培品種として入ってきたものが野生化して広がったとみられる。
別名として、ショカッサイ(中国の呼び名で諸葛孔明と関係しているようです)やムラサキハナナを持つ。
草丈は20〜80cmで、茎は直立して、基部で分枝する。また、上部での分枝もしばしば起きる。
根生葉はロゼット状にならず、葉柄は長さ2〜8pで、羽状に深裂する。
長裂片は基部は心形で、長さ2〜10cmと大きく、側裂片は1〜6対で長さ3cm前後。
上部の葉は長さ2〜10cmで、基部は茎を抱き、全縁か粗い不規則な歯牙状。
花期は3月〜5月で、茎先に総状花序を付け、薄紫色の花を多数付ける。
花は直径20〜30mmの4弁花で、開花時は濃紫色であるが、花期の終わり頃には色が薄くなる。
萼片も4個あり、長さ10mm前後で、花と同じ薄紫色。直立して、基部は袋状。
オシベは6個で、花糸は白く、葯は線形で黄色く、外に反り返る。メシベの柱頭は淡黄色。
果実は狭い線形の長角果で、長さは10cm前後になる。4個の稜が目立つ。

2010/3/21
園内を一回りして出口に向かっているとき、通路脇で見かけました。
ちょっとした群落になっていて、紫の花が日を浴びて輝いていました。
オオバキスミレ(Viola brevistipulata)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>
 
スミレ科スミレ属の多年草で、日本固有種。
日本では、北海道南西部から本州近畿地方以北の日本海側の山地帯から亜高山帯に分布する。
積雪量の多い日本海側の山地のに林縁や草地に自生し、変種も多い。
草丈は5〜30cmで、地下茎は長く横に這い、大きな群落を作ることが多い。
根生葉は少なく、長さ4〜10cmの心形で、縁に鋸歯がある。
茎葉は長さ2〜8pで、上に行くほど細長くなり心形〜三角状心形。
花期は4月中旬から7月で、葉腋から長さ3〜7cmの花茎を伸ばして、黄色い花を付ける。
花の直径は15〜20oで、5枚の花弁の内、唇弁と2枚の側弁には紫褐色の筋模様がある。
側弁には短毛があり、距はかなり短い。花柱の頭部は膨らみ、その両側に短い突起毛がある。

2010/3/22
園内の通路脇で見かけました。本来の自生地ではないので、植栽されたものでしょう。
黄色いスミレは初めて見ました。鮮やかな黄色い花弁に褐色の筋模様が目立ちます。

タチツボスミレ(Viola grypoceras)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>
 
2010/4/10                 2010/3/22
スミレ科スミレ属の多年草で、道端などでよく見かける有茎種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の野原から低山地、亜高山帯まで分布する。
海外では、朝鮮半島から中国南部まで広く分布する。
草丈は、芽吹きの頃にはほとんどなく、花期には10cmほどになり、花後に30cmほどまで伸びる。
根出葉は細い葉柄があり、長さ20o前後の心形。縁に浅い鋸歯がある。
上部の葉は、花期には長さ20o前後の卵形〜浅い心形で、花後には倍以上の大きさになる。
托葉は鱗片状で、櫛の歯状に細かく深裂する。
花期は4月〜5月で、葉腋から花茎を立ち上げ、花をうつむき加減に付ける。
花色は淡紫色が普通であるが、変異が多く、側弁は無毛。

2010/3/22,4/10
園内の通路脇で、所々で花を付けていました。
まだ、咲き始めなので茎の立ち上がりはなく、根元から花茎は立ち上がっています。

いろいろなスミレの花の比較に関しては、こちらを参照ください。

アズマイチゲ(Anemone raddeana)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・イチリンソウ属>


 
キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。
海外では、樺太、朝鮮半島、ウスリー地方に分布する。
草丈は15〜20cmで、根茎は横に這い、紡錘状にふくらむ。
根出葉は長い葉柄があり、2回3出複葉。茎葉は3出複葉で3枚が輪生し、先が垂れ下がる。
花期は3月〜5月で、茎頂に直径2〜3cmの花を1個付ける。
なお、白い花弁に見えるのは萼片で、長楕円形で8〜13個付く。
花後、落葉広葉樹林の若葉が広がる頃には地上部は枯れてなくなり、翌春まで休眠する。

※ キクザキイチゲによく似ているが、葉の切れ込みが本種の方が浅く、その点で区別可能。

2010/3/21
園内の通路脇で、アズマイチゲがちょっとした群落を作っていました。
花は半開き状態で、大きく開いているものは見当たりませんでした。

キクザキイチゲ(Anemone pseudoaltaica H.Hara)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・イチリンソウ属>

2010/3/22
   
2010/3/22          2010/3/21          2010/3/22
キンポウゲ科・イチリンソウ属の多年草で、在来種。
日本では北海道から本州の近畿以北に分布し、海外では朝鮮半島に分布する。
草丈は10〜20cmで、茎は直立して、茎葉が3枚輪生する。
葉は、長さが3〜10cmの3出複葉で、小葉は深裂する。
花期は3月〜5月で、茎頂に直径2〜3cmの花を1個付ける。
なお、花弁に見えるのは萼片で、淡青紫色〜白色と変異があり、長楕円形で8〜13個付く。
和名は、花の形が菊に似ることに由来する。
花後、落葉広葉樹林の若葉が広がる頃には地上部は枯れてなくなり、翌春まで休眠する。

※ アズマイチゲによく似ているが、葉の切れ込みが本種の方が深く、その点で区別可能。

2010/3/21,3/22
園内のあちらこちらの通路脇で、キクザキイチゲが咲いていました。
その萼片の色には変異が多く、同じものはないのではと思えるほどでした。下段はその一部の例です。

ニリンソウ(Anemone flaccida)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・イチリンソウ属>


 
キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布している。
草丈は20cm前後になり、根生葉は長い葉柄があり、茎葉は3枚が輪生し葉柄は無い。
根生葉は3全裂して、側裂片はさらに2深裂する。裂片はさらに不揃いに残裂し、白斑が入る。
茎葉の間から10cmほどの花茎を立ち上げ、白い花を付ける。
この花の数は1〜3本で、2本のことが多いのが和名の由来である。
なお、1本のみのイチリンソウ、1〜4本のサンリンソウがあるので、紛らわしい。
花期は4〜5月で、直径2cmほどの花は、白い花弁に見えるのは萼片で、5〜7枚ある。
オシベもメシベも多数あり、花弁は無い。

※ 前述のイチリンソウ、サンリンソウと似ているが、下記のように区別できる。
イチリンソウ:花の直径が4p前後と明らかく大きく、葉の切れ込みが深く羽状になる
ニリンソウ:花の直径は2cm前後で、茎葉に葉柄がなく、葉に白斑がある
サンリンソウ:花の直径は2cm前後で、茎葉に短い葉柄があり、葉に白斑は無い

2010/4/10
園内の通路脇で、何ヶ所かニリンソウが小さな群落を作っていました。
茎葉に葉柄がなく、葉に白点が見れらるのはニリンソウの特徴です。
オキナグサ(Pulsatilla cernua)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・オキナグサ属>
 
キンポウゲ科オキナグサ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、山地の日当たりのよい草原等に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国の暖帯から温帯に分布する。
草丈は15〜30cmで、根茎は直径が6mm前後で太く、地中に深い根を伸ばす。
根茎から根出葉を束生し、葉身は長さ3〜8pの卵形で、1〜2回羽状複葉。
葉柄は長さ5〜15cm。小葉は深裂し、さらに切れ込む。
茎葉は、無柄で3個が輪生し、基部は合着して、線形から披針形の裂片に分裂する。
花期は4月〜5月で、茎頂に1個の花を下向きに付ける。開花後、しだいに上向きになる。
なお、6個の暗赤紫色の花弁に見えるのは萼片で、長さは20〜30o。花弁はない。
この萼片も含め、葉や花茎など全体的に白い長い毛におおわれる。
オシベは多数付き、萼片の長さの半分程度。葯は黄色。
果実は痩果で、花後に花柱が残存して長さ4cm前後の白毛になりる。
その白毛が密生している様が、老人の白髪に見えるのが、和名の由来。

2010/4/10
園内の通路脇で、斜面の上の日当たりの良い所で見かけました。
まだ咲き始めのようで、花は下向き加減です。これも植栽されたものでしょうか。

シラネアオイ(Glaucidium palmatum Siebold et Zucc.)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・シラネアオイ属>


 
キンポウゲ科シラネアオイ属の多年草で、1属1種からなる日本固有種。
日本では、北海道から本州中北部の日本海側に分布し、山地帯と亜高山帯の湿り気のある所に自生する。
草丈は花時で20〜30cmで、花後に伸長して60cmほどになる。
根茎は横に這い、茎は太目で、根生葉が1個、茎葉は2〜4個ある。
根生葉は、長い葉柄があり、葉身は幅10〜20cmの腎形で、掌状に5〜11中裂して鋭い鋸歯がある。
茎葉は小さく、葉柄も短くなり、上部のものは無柄に近くなる。分裂しない事もある。
花期は5月〜7月で、茎頂に直径7〜10cmの淡紫色の花を付ける。
なお、4個の淡紫色の花弁に見えるのは萼片で、花弁はなく、オシベは長さ8oほどで多数ある。

2010/4/10
園内の通路脇で、3月に来た時はツボミだったシラネアオイが、見事な花を咲かせていました。
きれいな淡紫色の大きな花なので、否応なしに目に止まります。

キバナセツブンソウ(Eranthis cilicica)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・セツブンソウ属>

キンポウゲ科セツブンソウ属の球根性多年草で、アジア南西部が原産地。
草丈は5〜10cmで、地下茎が横に伸び、毎年新しい部分を作って伸長する。
根出葉には5〜10cmの葉柄があり、葉は3全裂して。さらに2〜3裂する。
花期は2月〜4月で、直径20oほどの花は茎先に1個付き、無柄の総苞葉がある。
総苞葉は細かく切れ込んで掌状になり、茎を取り囲むように付く。
黄色い6個の花弁のようなものは萼片で、花弁は退化して黄色い小さな蜜腺となっている。
オシベは多数あり、メシベは2〜5個で短柄がある。
初夏の頃には地上部は枯れ、地下の球根で翌春まで休眠、越冬する。

2002/3/17
園内の通路脇で、黄色い花が咲いていました。
最初、遠目で見たときはフクジュソウかと思ったのですが、近づくと葉が異なります。
後で調べ、総苞葉の特徴からキバナセツブンソウと分かりました。

ヨウシュセツブンソウ(Erabthis × turbergenii)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・セツブンソウ属>


 
キンポウゲ科セツブンソウ属の耐寒性多年草。
キバナセツブンソウとオオバナキバナセツブンソウとの交雑種。
一般にキバナセツブンソウとよばれているのは本種の種子による発芽株か、
キバナセツブンソウとの戻し交配種であることが多い。
草丈は10cmほどで、見た目はキバナセツブンソウとよく似ている。
花期は2月〜4月で、花は茎の先に1個付き、無柄の総苞葉がある。
この総苞葉の形が、キバナセツブンソウとは異なる。

2010/3/22
園内の通路脇で見かけた、ヨウシュセツブンソウです。
以前見かけたキバナセツブンソウと総苞葉の形が異なります。
それで、後で調べて本種と分かりました。

フクジュソウ(Adonis remosa)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・フクジュソウ属>

2002/3/17
 
2010/3/21             2010/3/22
キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草で、日本原産で北海道、本州、四国に分布する。
フクジュソウは長らく1種のみとされていたが、現在は、下記の3種を合わせ4種類とされている。
・キタミフクジュソウ〔Adonis amurensis〕朝鮮半島と北海道に分布
・ミチノクフクジュソウ〔Adonis multifora〕本州と九州に分布
・シコクフクジュソウ〔Adonis shikokuensis〕四国と九州に分布
花期は1月〜4月で、自然環境下では3月頃から咲き出す。
最初は茎が伸びず、苞に包まれた短い茎の上に花が1輪のみ付く。
その後、茎や葉が伸びて、いくつか花を付けるが、夏には地上部は枯れる。
花は、日が当たると開き、日が陰ると閉じ、花弁を使って光を中心に集めて虫を誘因するとされている。

2017/5/17
園内の通路脇で見かけた、大きく育ったフクジュソウです。
早春に見られる1輪だけ咲く姿とは、ずいぶんと印象が異なります。

オオミスミソウ(Hepatica nobilis var. japonica f. magna)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・ミスミソウ属>

2010/3/21
   
2010/3/21          2010/3/21          2010/3/22
   
2010/3/22          2010/3/22          2010/3/22
キンポウゲ科ミスミソウ属の多年草で、在来種。
雪の下でも常緑であることからユキワリソウ(雪割草)の名でも知られる。
北半球の温帯に自生し、日本では新潟県を中心に秋田県から山形、富山、石川県と日本海側に分布する。
花期は3月〜4月で花茎の頂端に1つの花を付ける。萼片のように見えるのは茎葉。
花弁のように見えるのは萼片で、直径15〜20oと大きい。花弁はない。
この萼片の色、数、形、オシベやメシベの色、数、形でなどの変異が非常に多い。
栽培が最も盛んで、多弁花や千重咲き、オシベが変化した日輪咲きや丁字咲きなどがある。

※ 大ざっぱにみれば、ミスミソウは西日本、オオミスミソウは本州日本海側、スハマソウは東日本に分布する。
ミスミソウは葉の先端が少し尖っているが、スハマソウは尖らずに丸みを帯びているので区別できる。
さらに、ミスミソウの花は10〜15mmと小さく、オオミスミソウは15〜20oと大きい。

2010/3/21,3/22
園内のあちらこちらの通路脇で、雪割草(オオミスミソウ)が咲いていました。
中段、下段は、いろいろな形や色のオオミスミソウです。
ここは、本来の分布域ではないので植栽された園芸品種と思われます。

スハマソウ(Hepatica nobilis var. japonica f. variegata)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・ミスミソウ属>


   
キンポウゲ科ミスミソウ属の多年草で、在来種。
雪の下でも常緑であることからユキワリソウ(雪割草)の名でも知られる。
北半球の温帯に自生し、日本では東北と関東地方、四国に分布する。
3裂した葉の裂片の先は尖らず、円頭となる。葉には白斑が入ることが多い。
花期は3月〜4月で花茎の頂端に1つの花を付ける。萼片のように見えるのは茎葉。
花弁のように見えるのは萼片で、直径10〜15oで7個前後。花弁はない。
色は太平洋側のものは白色が大半だが、日本海側のものは紅色から紫色を帯び、変異は少ない。

※ 大ざっぱにみれば、ミスミソウは西日本、オオミスミソウは本州日本海側、スハマソウは東日本に分布する。
ミスミソウは葉の先端が少し尖っているが、スハマソウは尖らずに丸みを帯びているので区別できる。

2010/3/22
園内のあちらこちらの通路脇で、雪割草(スハマソウ)が咲いていました。
下段は、いろいろな形や色のスハマソウです。
オオミスミソウとは、葉の先端の尖り具合や花の大きさで分けました。
ここは、本来の分布域ですが、萼の色から植栽された園芸品種と思われます。

イカリソウ(Epimedium grandiflorum var. thunbergianum)
<キンポウゲ目・メギ科・イカリソウ属>
 

 
メギ科イカリソウ属の多年草で、日本固有種。
日本では、北海道渡島半島から本州太平洋岸、四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は数十cmになり、根茎から細長い茎を数本、真っ直ぐに立ち上がらせる。
葉は、長い葉柄があり、1つの茎に1つの葉が付くのが普通。
葉身は2回3出複葉で、小葉が9枚付く。そのため、三枝九葉草(サンシクヨウソウ)の別名を持つ。
小葉は、非対称の細長い心形で、先は尖る。縁には針状の鋸歯がある。
花期は4〜5月で、茎の先に総状花序を付け、直径2cmほどの白色〜紅紫色の花を付ける。
花弁は4個あり、長さ20mmほどの距を持つ。その形が和舟の4本錨に似るのが和名の由来。
萼は8個あり、内側4個が大きく、外側4個は小さい。外側4個は早くに落ち、内側の4個が大きくなる。

※ 良く似たトキワイカリソウやキバナイカリソウは、日本海側に分布している。
また、トキワイカリソウは常緑で、冬でも枯れない。

2010/4/10
園内の所々の通路脇で見かけたイカリソウです。
園内では、白花のイカリソウと紅紫色のイカリソウを見ることができました。

クロモジ(Lindera umbellata Thunb.)
<クスノキ目・クスノキ科・クロモジ属・クロモジ節>
 
クスノキ科クロモジ属の落葉低木で、日本固有種。
日本では、本州東北地方南部以西から四国、九州北部に分布している。
樹高は2〜3mで、幹は灰褐色に円い皮目がある。
若い枝は皮目がなく、はじめ毛があるが徐々になくなって、黄緑色〜暗緑色の肌に黒斑が出る。
葉は互生し、葉身は長さが5〜10cmの卵状長楕円形で、先が尖り、全縁。葉柄は10〜15mm。
葉表は無毛で、葉裏は白色を帯び、はじめ絹毛があるが、徐々になくなる。
花期は4月で、葉の展開と同時に開花する。雌雄異株。花は黄緑色で、花被片は6個。
葉腋から出た散形花序に咲き、雄花の花被片の長さは3o前後。オシベは9個ある。
雌花はやや小さく、子房の周りに黄色い腺体がある。
果実は、直径5mm前後の球形で、熟すと黒くなる。

2010/3/21
園内の通路脇で、見かけました。黄緑色の小さな花で、初めて見る花です。
取り合えず写真を撮って、後で調べた結果、クロモジと分かりました。
クロモジというと、高級楊枝しか思い浮かびませんが、花を見たのは初めてです。

ダンコウバイ(Lindera obtusiloba)
<クスノキ目・クスノキ科・クロモジ属・シロモジ節>
 
クスノキ科クロモジ属の落葉小木で、在来種。
日本では、本州の新潟県〜関東以西から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。山地の落葉樹林内や林縁に自生する。
樹高は2〜6mで、幹は叢生し、直径は18cmほどになる。樹皮は暗灰色で、円形の皮目が多い。
新枝は黄緑色〜赤褐色で太く、まばらに枝分する。2年枝は灰褐色で皮目が多くなる。
葉は互生し、葉身は長さ5〜15cmの広卵形で、葉柄があり、先が3残裂して先は鈍頭。
ただし、裂け方には変異があり、全く裂けていない葉もある。
花期は3月〜4月で、葉の展開前に黄色い小さな花を散形状にまとまって多数付ける。
雌雄異株で、雄花序は雌花序より大きく、花数も多い。花も雄花の方が大きくなる。
花被片は雌雄とも6個で、楕円形。雄花では3o強、雌花では2mm強ある。
雄花のオシベは9個で、葯は2室。雌花にはメシベ1個と葯の退化した仮オシベ9個がある。
なお、オシベ、仮オシベとも、外側に6個、内側に3個並び、内側の花糸の両側に腺体がある。
果実は液果で、直径8o前後の球形。9月〜10月に赤から黒紫色に熟す。

2010/3/22
園内の通路脇で、見かけたダンコウバイの花です。
2002年に訪れたときも、たくさん花を付けていました。

キブシ(Stachyurus praecox)
<クロッソソマ目・キブシ科・キブシ属>
 

 
キブシ科キブシ属に属する雌雄異株の落葉低木で、日本固有種。別名、キフジともいう。
日本では、北海道西南部から本州、四国、九州で見られる。
樹高は2〜4mで、樹皮は赤褐色〜灰褐色。皮目がある。
葉は互生し、葉身は6〜12cmの長楕円形で先が尖り、葉縁には鋸歯がある。葉柄は1〜3cm。
花期は3月〜5月で、葉の展開前に、前年枝の葉腋から長さ3〜20cmの総状花序を垂れる。
雌雄異株で、雄株、雌株、両性株があり、各々、雄花、雌花、両性花を付ける。
なお、雄花序は長く、雌花序や両性花序は短い。また、雄花序の方が一足早く咲く。
花は長さ7〜9mmの鐘形で、淡黄色の4弁花。萼片も4個あるが、内側の2個が花弁のように大きい。
オシベは8個、メシベは1個あるが、雄花はオシベが長く、子房は小さい。
一方、雌花ではオシベが短く、子房が大きくなり、両性花は両者の中間で、ほぼ同じ長さになる。
液果は、直径7〜12mmの広楕円形の球形で硬く、熟すと黄褐色になる。

2010/3/21
園内の何ヶ所かの通路脇で見かけた、キブシの花です。
当初、同じキブシだと思っていたのですが、花序の長さや花の付き方が少し異なります。
上段の花序がスラっと長い方は、ハチジョウキブシの可能性が高いです。
下段の花序が短い方は、キブシで間違いはないと思います。

ヤマブキソウ(Hylomecon japonica)
<ケシ目・ケシ科・ヤマブキソウ属>
 
ケシ科ヤマブキソウ属の多年草で、在来種。山野の樹林地に群生する。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では中国に分布する。
根茎があり、草丈は30〜40cmになる。根出葉は奇数羽状複葉で、長い葉柄がある。
小葉は長さ2〜5cmの楕円形で、5〜7個あり、縁には細かい鋸歯がある。
茎葉は茎の上部に少数付き、小葉の数は3個前後が多い。
花期は4月〜6月で、上部の葉腋から長さ5cm前後の花茎を出し、黄色い花を付ける。
萼片は2個あるが、開花直前に落下する。長さ20o程の花弁は4個で、オシベは多数ある。
花柱は短くて、柱頭は2裂する。果実は刮ハで、直径3o、長さ40o前後になる。

2010/4/10
園内の通路脇で見かけた、ヤマブキソウの花です。
花がヤマブキに似ているのが和名の由来だそうですが、こちらの方が花はずいぶん立派です。

ライラック(Syringa vulgaris)
<シソ目・モクセイ科・オリーブ連・ハシドイ属>
 
モクセイ科ハシドイ属の落葉樹で、ヨーロッパ原産の移入種。
フランス語のリラ(Lilas)とも呼ばれ、標準和名はムラサキハシドイ(紫丁香花)。
樹高は4〜8mになり、耐寒性があるので寒冷地でも育ち、札幌のライラックまつりは有名。
葉は対生し、葉身は長さ4〜8pの広卵形で全縁。
花期は4月〜5月で、枝先に大きな円錐花序を出し、直径10o程の花を多数付ける。
花冠は漏斗形で4裂し、花色は紫、白、赤、青などがあり、芳香があって香水の原料にもなる。

2010/4/10
園内を一回りして出口に向かっているとき、通路脇で見かけました。
淡紫色のきれいな花ですが、見かけない花でしたので、取り合えず写真を撮りました。
後で調べ始めたのですが、なかなか該当するものが見当たりません。
花の形からハシドイ属と検討を付けて、最も似ているのがライラックでした。
ただ、花のみで葉が出ていないので、確信が持てません。

ヒトリシズカ(Chloranthus japonicus )
<センリョウ目・センリョウ科・チャラン属>
 
2010/3/22                  2010/4/10
 
2010/3/22            2010/4/10
センリョウ科チャラン属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の山野の林内や草地に自生している。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
草丈は20〜30cmほどになり、茎は直立して、初めは赤紫色を帯びていることが多い。
茎の下部の節に、膜質の葉が鱗片状に付く。上部では2対の葉が対生する。
ただ、葉の間隔が極短いので、4枚の葉が輪生しているように見える。
葉は、濃緑色の楕円形で先が尖り、縁には鋭い鋸歯がある。
花期は4〜5月で、葉が伸び切る前に、葉の中心から花穂を伸ばし、多数の花を房状に付ける。
花には、花弁も萼もなく、1本メシベとその子房の横に3本オシベが付く。
中央のオシベに葯は無く、外側のオシベの基部に黄色の葯が付く。
そのオシベの花糸が白いので、花穂が白く見えている。

2010/3/22,4/10
園内の通路脇で、ヒトリシズカがたくさんの茎を立ち上げて花を付けていました。
3/22に見たときは、葉が展開せず、葉に包まれるように花が顔を見せていました。
4/10に見たときは、葉がしっかりと展開し、花茎も伸びてよく見る姿になっていました。









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