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城山湖、城山周辺 昆虫(T)



純揚水式の城山発電所建設にともなって誕生したのが人造湖の城山湖。
その城山湖を周回する散策路があり、その近くでは、いろいろな野草や木々が生えています。
また、そこに至る城山の周辺や相模川周辺にもいろいろな野草や木々が見られます。
そして、そこには様々な昆虫たちが活動しています。
その極一部でしかないですが、見かけた昆虫たちをまとめてみました。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の昆虫を追加しました。
ツノアオカメムシ、オオホシカメムシ、ヒメジュウジナガカメムシ、オサヨコバイ、ナミテントウ

また、下記の写真を追加しました。
ナナホシテントウ



アミメカゲロウ目
ヒロバカゲロウ科(ヒロバカゲロウ)
カゲロウ目
ヒラタカゲロウ科(シロタニガワカゲロウ)
モンカゲロウ科(モンカゲロウ)
カメムシ目・カメムシ亜目
カメムシ科(ツノアオカメムシ、ツマジロカメムシ)
オオホシカメムシ科(オオホシカメムシ)
ナガカメムシ科(ヒメジュウジナガカメムシ)
ヒョウタンナガカメムシ科(コバネヒョウタンナガカメムシ)
ヘリカメムシ科(ホシハラビロヘリカメムシ)
サシガメ科(シマサシガメ)
カメムシ目・頸吻亜目
アワフキムシ科(シロオビアワフキ)
ヨコバイ科(オサヨコバイ)
コウチュウ目
アカハネムシ科(アカハネムシ)
カミキリムシ科(ヒナルリハナカミキリ、ラミーカミキリ)
コガネムシ科(オオスジコガネ)
シデムシ科(オオヒラタシデムシ)
ジョウカイボン科(ジョウカイボン)
テントウムシ科(ナナホシテントウ、ナミテントウ)
ハムシ科(キイロクビナガハムシ、ヤツボシツツハムシ、バラルリツツハムシ、
     ヒゲナガルリマルノミハムシ)
城山湖、城山周辺の昆虫(T)
和名インデックス


ヒロバカゲロウ(Lysmus harmandinus)
<アミメカゲロウ目・アミメカゲロウ亜目・ヒロバカゲロウ上科・ヒロバカゲロウ科・ヒロバカゲロウ属>

ヒロバカゲロウ科ヒロバカゲロウ属の昆虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
体長は10mm前後、開張は30〜35oで、褐色味を帯びた繊細な翅脈模様があり、小さな黒紋もある。
成虫の出現時期は7月〜8月で、渓流近くの林縁に見られる。
幼虫は半水生で、水中または水辺の石下などに住み、小昆虫などを捕食する。

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流の河川敷の土手で、茂みの葉の上でじっとしていました。
淡褐色の体色で、透明な翅には網目模様と、小さな黒斑が見られます。

シロタニガワカゲロウ(Ecdyonurus yoshida Takahasi)
<カゲロウ目・マダラカゲロウ亜目・ヒラタカゲロウ上科・ヒラタカゲロウ科・タニガワカゲロウ属>

ヒラタカゲロウ科タニガワカゲロウ属の昆虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
体長は12o前後の小型のカゲロウで、尾が2本ある。
身体は黄褐色〜黄白色で、胸部の各肢の付け根に濃褐色の斑点がある。
なお、メスの腹部は、卵のため濃いオレンジ色をしている。
幼虫は、山地渓流から平地の下流まで広く生息し、流速の遅い流れを好む。
成虫の出現時期は4月〜6月、8月〜10月の年2回で、水中羽化型。
水中で羽化後に亜成体で浮上して、水面から一気に飛び立ちます。

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流の河川敷の土手で、茂みの葉の上でじっとしていました。
淡褐色の体色で、2本の尾が確認できます。腹部はオレンジ色ではないので、オスのようです。

モンカゲロウ(Ephemera strigata Eaton, 1892)
<カゲロウ目・マダラカゲロウ亜目・モンカゲロウ上科・モンカゲロウ科・モンカゲロウ属>
 
     <オス>                   <メス>
 
      <亜成虫>                  <脱皮失敗>
モンカゲロウ科モンカゲロウ属の昆虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
体長は25o前後の比較的大型のカゲロウで、尾が3本ある。
身体は黄褐色で、腹部には背、腹側ともに各節に茶褐色の斜め線(紋)が2本ずつある。
翅は半透明で黄色を帯び、前翅中部に濃褐色の斑紋がある。
雌雄で前肢の長さが異なり、オスが倍以上長い。また、体色も濃い。
幼虫は、河川の中流から下流域にかけてのあまり流れのない淵や川岸の砂泥底に生息する。
成虫の出現時期は4月〜6月で、幼虫→亜成虫→成虫という特殊な半変態をし、短命。

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流の河川敷の土手で、茂みの葉の下などで多数見られました。
よく見ると、オスとメスでは前肢の長さ以外に、尾端にも違いがあります。
メスの尾端には尾が付くだけですが、オスでは尾の下に把持子と呼ばれるフックが付いています。
亜成虫はメスと紛らわしいですが、翅がずんぐりとして半透明です。
写真の亜成虫はオスのようで、脱皮すると前肢や尾が倍くらいの長さになります。
中には脱皮に失敗するものもいるようで、前肢が短いのでメスのようです。

ツノアオカメムシ(Pentatoma japonica)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科>
 
カメムシ科カメムシ亜科のカメムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では朝鮮半島、中国、ロシア南東部に分布している。
体長は17〜24mmで、体表は密に点刻され、点刻部が緑色の金属光沢を帯びる。
また、前胸背側角の角状突起は、幅広でやや前方に向かって突出し、先端が斜めに切れる。
山地の広葉樹の上に生息するカメムシであるが、夜間の灯火に飛来することがある。
ニレ科、カバノキ科、ブナ科、ムクロジ科、ミズキ科などから吸汁する。

2021/10/30
本沢ダムの駐車スペースからダムに向かう通路脇で、ツリガネニンジンに付くカメムシを見つけました。
未熟な果実に付いているカメムシは、よく見ると、まだ幼虫で、吸汁しているようです。
種類までは分からなかったので後で調べました。ツノアオカメムシと思われますが、自信はありません。
腿節の基部と脛節の中ほどや触角の節に見られる白い帯模様が決め手ですが、似たものもいます。


ツノアオカメムシの成虫

     .
2018/8/25
胎内星まつり会場の脇の林内で、ブーンという羽音とともに、明かりに飛んできました。
大型のカメムシで、肩の角状突起の形状が独特なカメムシです。
体色も金属光沢のある緑色で、体表面に密に刻まれた点刻がきれいです。


ツマジロカメムシ(Menida violacea)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科>
 
カメムシ科カメムシ亜科の甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
出現時期は4月〜10月で、体長は10mm前後。体色は暗紫色で光沢がある。
背中の小楯板先端が白く、腹部の縁にも白い斑紋がある。
都市近郊の雑木林周辺でもよく見られ、クヌギ、コナラ、イタドリなどの葉上で見つかる。

2017/5/17
城山湖の駐車場近くの道路脇のガードレールに見慣れないカメムシを見つけました。
紫褐色で光沢があり、小楯板の先が真っ白なきれいな体色をしています。
後で調べて、ツマジロカメムシと分かりました。普通に見られるカメムシだったようです。

オオホシカメムシ(Physopelta gutta)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ナガカメムシ上科・
オオホシカメムシ科・オオホシカメムシ属>
 
オオホシカメムシ科オオホシカメムシ亜科のカメムシで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、対馬、屋久島以南の南西諸島に分布する。
海外では、台湾、朝鮮半島から中国、アフガニスタン、ニューギニア〜オーストラリアに分布する。
出現時期は4月〜10月で、体長は15〜19mm。全体に暗朱色で4個の黒斑がある。
複眼は小さくて黒く、単眼はない。触角は長くて黒く、第4節は基部側1/3が黄白色である。
前胸背は大きく赤味を帯びた黒色で、縁沿いは暗朱色。さらにその外側は淡黄色である。
前胸背は中ほどで区切られ、その頭部側が膨らんでいるが、オスではその膨らみが顕著である。
小楯板は黒色、前翅の基部側は暗朱色で、小楯板側は赤みを帯びた黒色である。
中央付近に大きな黒い円形の斑紋があり、先端部分の斑紋は黒い三角形状である。
体の下面は、概ね暗朱色、縁の方では色が淡くなる。また、腹部各節にはくぼんだ黒い斑紋がある。
歩脚は全体に黒色で、基部側の基節、転節、それに前脚の腿節の内側は暗朱色になっている。
また、オスでは前脚の腿節が特に太くなっており、その内側に棘が並んでいる。

2021/10/30
城山湖のダムの堤に咲くセイタカアワダチソウで見かけたオオホシカメムシです。
赤と黒の模様を持つカメムシは意外と多く、その場では名前は分かりませんでした。
後で調べていて、ヒメホシカメムシも似ていたのですが、斑紋の大きさなどから本種と判断しました。


オオホシカメムシとヒメホシカメムシ

     .
<オオホシカメムシ>             <ヒメホシカメムシ>
このオオホシカメムシは周辺部などが白っぽいですが、ヒメホシカメムシのような暗朱色の個体もいます。
そのため、パッと見たとき判別が難しい場合がありますが、下記の点を注意深く見ると判別可能です。
・オオホシカメムシの前翅中央の黒斑は、明瞭にヒメホシカメムシよりポオきい
・オオホシカメムシの前翅端の黒斑は三角状ですが、ヒメホシカメムシは円形
・触角第4節の黄白色部分は、オオホシカメムシよりヒメホシカメムシの方が優位に長い
・前胸背の中ほどでヒメホシカメムシはくびれますが、オオホシカメムシにはくびれはありません


ヒメジュウジナガカメムシ(Tropidothorax sinensis)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ナガカメムシ上科・
ナガカメムシ科・マダラナガカメムシ亜科>
 
ナガカメムシ科マダラナガカメムシ亜科のカメムシの1種で、在来種。
日本では本州から四国、九州、南西諸島に、海外では朝鮮半島から中国北部に分布している。
体長は7〜10mmで、黒い地色を橙色で区切ったような模様で、和名のジュウジ(十字)はこの橙斑紋が由来。
表面には微細な毛があるために光沢はなく、腹部に8列の黒色の斑紋があり下部は帯状につながっている。
よく似たジュウジナガカメムシは、前胸背の黒斑が細長く、腹部下面の黒斑が点状である点が異なる。
このような赤と黒の模様は典型的な警戒色で、天敵である鳥などから身を守る効果があるとされる。
出現時期は4月〜11月で、成虫、幼虫ともガガイモ、イケマなどのガガイモ科を吸汁する。

2017/5/19
城山湖のダムの堤に咲くセイタカアワダチソウで見かけたヒメジュウジナガカメムシです。
何ヶ所かのセイタカアワダチソウにヒメジュウジナガカメムシが群がるように集まっていました。
ジュウジナガカメムシとよく似ていますが、腹部下面の黒斑が帯状なので本種と分かります。


ヒメジュウジナガカメムシとジュウジナガカメムシ

     .
<ヒメジュウジナガカメムシ>          <ジュウジナガカメムシ> .
この2種もよく似ています。なお、色味には個体差がありますので、よく似た色味の個体もいます。
そのため、パッと見たとき判別が難しい場合がありますが、下記の点を注意深く見ると判別可能です。
・前胸背の1対の黒斑は、ジュウジナガカメムシの方が細長い
・前翅の三角状黒斑は、ジュウジナガカメムシの方が長いので、赤い部分がより明瞭なX字状
・腹部下面の黒斑は、ジュウジナガカメムシは点状で、ヒメジュウジナガカメムシは帯状


コバネヒョウタンナガカメムシ(Togo hemipterus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ナガカメムシ上科・
ヒョウタンナガカメムシ科・ヒョウタンナガカメムシ亜科>
 
ヒョウタンナガカメムシ科ヒョウタンナガカメムシ亜科の甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
出現時期は4月〜11月で、体長は7mm前後。黒い体色をしており、翅は淡褐色で短い。
前脚の腿節が太く、胸部は細長くて丸みがあり、翅が短くて腹部が見える。
主にイネ科植物の汁を吸うため、イネの害虫として知られている。

2017/5/19
城山湖の遊歩道脇で見かけたクサイチゴの葉の上に、じっとしている小さな昆虫を見かけました。
前脚の腿節が一際太く、尾端の方が切り落としたように斜めになっています。
以前、同じような特徴のあるカメムシを見たことがあったので、カメムシを調べてみました。
その結果、以前見たものとは科が異なりますが、本種と分かりました。

ホシハラビロヘリカメムシ(Homoeocerus unipunctatus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヘリカメムシ科・
ヘリカメムシ亜科・ハラビロヘリカメムシ族・ハラビロヘリカメムシ属・ハラビロヘリカメムシ亜属>
 
ヘリカメムシ科ハラビロヘリカメムシ属のカメムシの1種で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、隠岐、対馬、大隈諸島、トカラ列島に分布する。
海外では、台湾、朝鮮半島から中国、ベトナムに分布する。
体長は12〜15mmで、全体に光沢のない淡褐色で褐色の小点刻が密に付き、腹部後方の幅が広い。
触角は赤褐色で、先端の節は暗色となる。前胸背の側縁は黄白色で僅かに内側に向かって曲がる。
前翅端はほぼ腹端まで伸び、基部側の革質部にはその中央に左右1対の黒い小斑紋がある。
膜質部は透明でわずかに褐色を帯び、光沢がある。腹部結合板の前縁はやや淡色になる。
成虫も幼虫もフジ、クズ、ヌスビトハギなどのマメ科の植物、特にクズ好んで吸汁する。
クズの生えている所では、ホシハラビロヘリカメムシとマルカメムシが見られる。
山地では、それにハラビロヘリカメムシが加わることとなるが、これが酷似している。

本種とハラビロヘリカメムシは酷似しており、その識別点は下記の通りである。
・触角第1節の長さは、ホシハラビロヘリカメムシが有意に長く、頭部の幅を超える
 触角第1節の長さは、ハラビロヘリカメムシでは、頭部の幅とほぼ同じ程度である
・触角第2節、3節は、ホシハラビロヘリカメムシでは円筒形である
 触角第2節、3節は、ハラビロヘリカメムシでは扁平な三角柱状である
・前翅革質部の中央にある小黒斑は、ホシハラビロヘリカメムシでは明瞭である
 前翅革質部の中央にある小黒斑は、ハラビロヘリカメムシではいく分不明瞭である
 なお、小黒斑に関しては個体変異があるので、これだけでは明確な判断は難しい

2020/6/14
城山湖のダムから遊歩道に上がる階段脇で見かけたカメムシです。
その場では名前が分からなかったので、後で調べた結果、ホシハラビロヘリカメムシと分かりました。


ホシハラビロヘリカメムシとハラビロヘリカメムシ

     .
<ホシハラビロヘリカメムシ>     <ハラビロヘリカメムシ> .
撮影条件が異なるので色味が異なりますが、条件が同じであれば同じような色味になります。
パッと見くらべてわかるのは、体の幅の違いです。ホシハラビロヘリカメムシの方がスリムです。
触角第1節の長さの違いや、前翅革質部の中央にある小黒斑の明瞭さも異なります。


シマサシガメ(Sphedanolestes impressicollis)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・サシガメ上科・サシガメ科・モンシロサシガメ亜科>

サシガメ科モンシロサシガメ亜科のカメムシで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。海外では中国に分布する。
出現時期は、5月〜8月で、肉食性で、チョウ、ガの幼虫などに口吻を突き刺し、体液を吸う。
体長は15mm前後で、やや細身で、体色は黒色。
腹部の脇にある結合板は白黒の縞模様になっており、触覚は黒一色、脚には白い帯がある。
本種は、手で捕まえようとすると刺されることが多いので、注意が必要。

2017/5/17
城山湖の遊歩道脇で見かけたクサイチゴの葉の上で、動き回るカメムシの幼虫を見かけました。
いろいろ調べたのですが、種類の特定ができず、不明種扱いとしていました。
ところが、後日、薬師池公園で見かけたシマサシガメを調べていて、その幼虫と分かりました。
下記は、後日、薬師池公園で見かけたシマサシガメの成虫です。


シマサシガメの成虫

     .
2017/5/31
町田薬師池公園の萬葉草花苑。そこに植えられていたウメモドキの木で見かけました。
葉の上に留まり、獲物を探しているようでした。


シロオビアワフキ(Aphrophora intermedia)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・アワフキムシ上科・アワフキムシ科・アワフキムシ亜科>
 
アワフキムシの1種で、幼虫はマサキ、クワなど様々な草木の汁を吸い、アワの塊を作る。
日本では北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
出現時期は5月〜10月で、体長は11o前後。
頭部と前胸背は暗褐色、前翅に幅広の白い横帯がある。
小楯板と前翅は暗褐色で、白帯の両側は特に濃色で黒褐色になる。
若い幼虫は、上半身が黒く、下半身は赤い、特徴的な配色をしている。
成熟に伴い、全体が黒っぽくなり、羽化寸前になると、腹部に白いまだら模様が現れる。

2017/5/17
城山湖の遊歩道脇で見かけたクサイチゴの枝で、アワフキムシの出す泡の塊を見つけました。
気になって、持ち主には申し訳なかったのですが、泡の塊を壊して持ち主を出してみました。
想像していた地味なものとは異なり、腹部が朱色の派手な幼虫が出てきました。
それで、本種の若齢幼虫と分かったわけですが、なぜ、このような配色なんでしょうね。
用が済んだので、壊れていますが泡の塊に戻して、お別れしました。

オサヨコバイ(Tartessus ferrugineus)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・ツノゼミ上科・ヨコバイ科・オサヨコバイ亜科>
 
ヨコバイ科オサヨコバイ亜科に属する、日本で唯一のオサヨコバイ亜科の昆虫である。
日本では、本州の関東以南から四国、九州、小笠原諸島、南西諸島に分布する。
出現時期は5月〜10月で、体長は11mm前後。体色は緑から黄色で、翅は明るい褐色。
頭部は大きく扁平で、黒い横線が入った横長の複眼が特徴。
幼虫・成虫ともイヌビワやキョウチクトウなどの樹液を吸汁する。

2021/10/30
城山湖のダムの堤に咲くセイタカアワダチソウで見かけたオサヨコバイです。
ヒメジュウジナガカメムシを撮っていて、その近くに止まっているのに気が付きました。
最初、その大きさと体形からアワフキムシの仲間ではないかと思い、調べました。
しかし、似たものが見つかりません。それではと、よく似たヨコバイを調べ、本種と分かりました。
決め手は、緑がかった体色と褐色の翅、それと車のバンパーとヘッドライトのような頭頂部です。
両方の複眼とその間をつなぐように黒い線が走っていて、精悍なデザインですね。

オオスジコガネ(Anomala costata)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ上科・コガネムシ科・スジコガネ亜科>

コガネムシ科・スジコガネ亜科の昆虫で、針葉樹に集まるコガネムシの一種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する、日本固有種。
主に低山地から中山地にかけての針葉樹林に生息していて、幼虫も針葉樹の根を食べる。
出現時期は6月〜9月で、体長は20mm前後、前翅に4本ずつの縦筋がある。
頭部から前胸背板が緑色で、前翅は赤紫色をしたものが多いが、黄褐色〜黒色まで変異がある。
また、前胸背板の中央に縦長のへこみがある。
スジコガネとよく似ているが、オオスジコガネの方がやや大きく光沢が強い。
また、オオスジコガネは前翅の縦筋間にも光沢があるが、スジコガネは光沢が鈍い。
前胸背板の中央に縦長のへこみは、スジコガネの方が浅くなる。

2017/5/17
城山湖の遊歩道脇で見かけた、イタドリの葉で食事中のオオスジコガネです。
こちらの方には目もくれず、ひたすら葉をムシャムシャと食べていました。

アカハネムシ(Pseudopyrochroa vestiflua)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ゴミムシダマシ上科・アカハネムシ科・アカハネムシ亜科・アカハネムシ属>
 


アカハネムシ科アカハネムシ属の甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
体長は12〜17mmで、体色は黒色で平たく、上翅が赤くて赤毛が密生する。触角はくし歯状。
体長には変異があり個体差が大きい。また、メスの翅はオスより幅が広い。
幼虫は扁平で、枯れ木の樹皮下で、材や昆虫類を食べる雑食性。鋏のような尾突起がある。
成虫の出現時期は6月〜7月で、花や葉上にみられる。幼虫で越冬する。

2017/5/19
城山湖の遊歩道脇を歩いていた時、足元の草の上に赤いものを見つけました。
よく見ると、見たことがない赤い羽根をした甲虫でした。
撮影しているときに飛ばれてしまいましたが、後で調べて、本種と分かりました。
上からの撮影しかしていなかったので分からなかったのですが、扁平な体形だったんですね。

オオヒラタシデムシ(Eusilpha japonica)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ハネカクシ上科・シデムシ科・ヒラタシデムシ亜科>


   
シデムシ科ヒラタシデムシ亜科の昆虫で、再来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
出現時期は4月〜10月で、体長は18〜23mm。体は扁平。
体色は青灰色がかった黒色で、上翅には粗い縦隆条がある。
地表で暮らし、幼虫も成虫も生き物の死骸やゴミ溜めに集まり、食べる。
メスは、肉団子を地中に埋め、産卵する。

2017/5/19
城山湖の遊歩道へ入って直ぐの草原で、葉をよじ登っているオオヒラタシデムシを見かけました。
今まで、地面を這いまわっている所はよく見かけましたが、上っている所を見たのは初めてです。
おかげで、横からや腹側からの写真が撮れましたが、慣れないのか苦労しているみたいでした。

ヒナルリハナカミキリ(Dinoptera munita)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
カミキリムシ科・ハナカミキリ亜科・ハナカミキリ族>


 
カミキリムシ科ハナカミキリ族の甲虫で、本州から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部、シベリアに分布する。
出現時期は3月〜7月で、体長は5〜8o。
一見ハムシのように見えるが、カミキリムシの仲間である。
上翅の色は青藍色、青緑色、紫銅色など変化があり、腹部も黒色と黄色の2通りがある。
各種樹林とその林縁、伐採地や周辺の貯木場で見られる。
幼虫は潜材性で、クス類、ヌルデ、ミズキなどの枯木を食べ、材内で摂食しながら越冬する。
成虫は、花蜜や花粉を食べ、早春からいろいろな花を訪花する。

2017/5/17
城山湖の遊歩道脇のヌルデの葉の上で見かけました。
ハムシではないかと調べていて、クワハムシによく似ているため、そうだと思いました。
しかし、よく調べてみるとヒナルリハナカミキリに酷似しているとあります。
改めて調べ直した結果、以下の2点でヒナルリハナカミキリとしました。
・見かけたのがヌルデの葉の上
・クワハムシの胸部にある明瞭な横溝(凹み)がない

ラミーカミキリ(Paraglenea fortunei)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
カミキリムシ科・フトカミキリ亜科・ラミーカミキリ属>
 
カミキリムシ科ラミーカミキリ属のカミキリムシで、外来種。
日本では、本州の関東以西から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、インドシナ半島北部から中国、台湾に分布し、ラミーの移入に伴って侵入したとみられる。
体長は10〜20oで、黒と緑白色のツートンカラーである。
胸部背面は緑白色に黒紋が2つ並び、前翅の付け根付近に白斑が4個、後半部には緑白色の横帯がある。
なお、付け根にある白斑4個は個体差があり、極小さくて目立たないものもある。
触角の長さは、ほぼ隊長と同じくらいの長さがあり、基部には緑白色が入るものもある。
成虫の発生時期は5月〜8月で、イラクサ科のカラムシ、ヤブマオ、アオイ科のムクゲなどを食べる。

2020/6/14
城山湖の展望台からダムに続く遊歩道脇で、カラムシに付くラミーカミキリを見かけました。
この辺りではカラムシはこの株だけのようで、数匹のラミーカミキリが集まっていました。

ホソクビナガハムシ(Lilioceris parvicollis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ハムシ上科・ハムシ科・クビボソハムシ亜科>


 
ハムシ科クビボソハムシ亜科の甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
出現時期は5月〜8月で、低山地の針広混交林及び針葉樹林内で見られる。
体長はオスで5mm前後、メスで7mm前後と、メスの方が一回り大きい。
頭部、前背板、小楯板は銅黒色で、上翅と体腹面は黄褐色〜赤褐色。
前胸背の両側が中央でくびれ、肢は赤褐色の腿節基部を除き黒色である。
食草はサルトリイバラで、成虫も幼虫も同じである。

2017/5/17
城山湖の手前にある本沢梅園。その道路脇の斜面で、サルトリイバラの葉で小さな赤い甲虫を見つけました。
サルトリイバラの葉を食べていたようで、食痕と糞が周囲に見られます。
後で調べて、特徴が似ていたので本種としました。食草もサルトリイバラで一致します。
なお、よく似たキイロクビナガハムシは、食草がヤマイモ科なので、除外しました。

バラルリツツハムシ(Cyptocephalus approximatus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ハムシ上科・ハムシ科・ツツハムシ亜科>
 
ハムシ科ツツハムシ亜科の1種で、日本固有種。
日本では、本州から四国、九州に分布している。
体長は4〜5oで、青〜青緑色、菫色などの金属光沢がある。触角の基部や脚の腿節基部は淡色。
なお、前胸背板の角は、若干の黄白色を帯びる。
食草はバラ科のサクラ類、キイチゴ類、ブナ科のコナラ、クヌギなどや、マメ科のフジ類、タデ科のイタドリなど。
成虫は、昼間に比較的活発に活動し、よく似たルリツツハムシと混生していることもある。
幼虫は、自らの糞を固めて幼虫殻を作り、その中で生活する。終齢は3齢で、幼虫殻の中で蛹化する。
晩秋に老熟した幼虫(終齢)は、そのまま越冬し、翌春に蛹化する。
よく似たルリツツハムシとの判別には、尾節板の形状を確認するのが分かりやすい。
尾節板が台形で先が内側に湾曲するのが本種で、ルリツツハムシは半円形であまり湾曲しない。

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川に沿った道路脇の空き地で、イタドリの葉で見かけました。
頭部と尾部がずんぐりとした体形で、滑らかな表面に金属光沢があります。
触角は、体長よりは短いですが、かなり長めです。イタドリに食痕がありました。
後でいろいろ調べた結果、バラルリツツハムシと分かりました。

ヤツボシツツハムシ(Cryptocephalus japanus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ハムシ上科・ハムシ科・ツツハムシ亜科>

ハムシ科ツツハムシ亜科の甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州の平地から低山地に広く分布する。
発生時期は4月〜8月で、体長は8o前後。樹上性の甲虫。
体色は地色が黄褐色で、頭部は黒色、胸部は地色に黒色の縦斑がある。
前翅には地色に黒い斑紋が8個あるが、紋には個体差があり、6個のものもいる。
広葉樹を中心とする樹林やその林縁などに多く、カシワ、コナラ、クリなどの葉を食べる。

2017/5/19
城山湖の遊歩道をほぼ一周して、ダム湖を堰き止めている提に戻った時に撮ったノイバラの写真。
その写真を後で見たとき、花の上に黄色に黒斑のある甲虫が写っていました。
調べると、似たようなハムシが何種類か見つかりました。
そのなかで、体色や胸部斑紋の特徴から本種としました。
前翅の斑紋が明瞭でなく、尾端側の斑紋が1対で、斑紋が6個のタイプのようです。

ヒゲナガルリマルノミハムシ(Hemipyxis plagioderoides)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ハムシ上科・ハムシ科・ヒゲナガハムシ亜科・トビハムシ族 >


 
ハムシ科ヒゲナガハムシ亜科の甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
出現時期は4月〜8月で、体長はメスで5mm前後、オスは4o前後で、一回り小さい。
後肢が太いノミハムシの1種であるが、触角が特に長いのが特徴。
食草は、ムラサキシキブ、オオバコ、テンニンソウなどである。

2017/5/17
城山湖の遊歩道脇のクサイチゴの葉の上で見かけました。
後肢の腿節が極太なので、ノミハムシの仲間と分かりました。
以前見かけたルリマルノミハムシより触角がかなり長めです。
それで、後で調べた結果、ヒゲナガルリマルノミハムシと分かりました。

ナナホシテントウ(Coccinella septempunctata)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族・Coccinella属>

テントウムシ科の昆虫で、在来種。赤色の前翅に7つの黒紋があり、これが和名の由来。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
世界的には、アジア、ヨーロッパ、北アフリカと広く分布している。
体長は8o前後で、ほぼ円形に近く、背面は半球状に盛り上がり、腹部下面はほぼ扁平。
頭部、胸部は黒色で、胸部の左右に淡黄色の斑紋、頭部にもいくつかの横斑がある。
前翅は、赤いものと黄色味を帯びたものがあり、大きさに変異はあるが黒斑が4個ある。
なお、前翅を閉じたとき、前翅の基部近くにある黒斑はつながって1つになり、全体で7つに見える。
幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫であり、天敵としての利用も研究されている。

2017/5/17
城山発電所の管理棟から本沢梅園へ向かう途中、通路脇のスイバの葉で見かけました。
この辺りにはアブラムシが付いた草が多いので、餌には困らない場所です。

 
2021/10/30
城山湖のダムの堤に咲くセイタカアワダチソウで見かけたナナホシテントウです。
ナミテントウはよく見かけるのですが、ナナホシテントウの成虫をあまり見かけません。
いないわけではなく、幼虫や蛹は時々見るのですが、成虫に合えていないのです。
そのため、写真を撮ったのは久しぶりになります。
ちなみに、この撮影場所に居たのは1匹のみで、ナミテントウは数匹はいました。

ナミテントウ(Harmonia axyridis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族・Harmonia属>
 
テントウムシ科の昆虫で、在来種。斑紋に変異が多いのが特徴。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
世界的には、朝鮮半島から中国、シベリア、サハリンに分布している。
体長は8o前後でほぼ円形に近く、背面は半球状に盛り上がり、腹部下面はほぼ扁平。
ナミテントウの上翅の模様は変化に富み、同じ種類とは思えないくらい変異がある。
模様は、黒地に赤い紋が2つある「二紋型」、紋が4つの「四紋型」、多数ある「斑型」、
赤地に黒の斑がある「紅型」の4つが基本形である。
この四つの基本形に対応した斑紋遺伝子があり、その組み合わせで模様が決まる。
ちなみに、「二紋型」や「四紋型」は九州方面に、「紅型」は北海道や東北地方に多い。
幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫である。

2021/10/30
城山湖のダムの堤に咲くセイタカアワダチソウで見かけたナミテントウです。
斑紋は、二紋型と変形二紋型ですね。
変形の方はオレンジの斑紋に黒い部分が2ヶ所入り込んだ複雑な形をしています。
なお、ナミテントウの斑紋に関しては、こちらに詳細を掲載しましたのでご参照ください。

ジョウカイボン(Lycocerus suturellus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ホタル上科・ジョウカイボン科・ジョウカイボン亜科・ジョウカイボン属>

ジョウカイボン科ジョウカイボン属の甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、利尻島、佐渡、対馬に分布している。
出現時期は4月〜8月で、幼虫で越冬する。
平地の樹木の下や葉上でよく見られ、成虫、幼虫とも他の昆虫を捕えて食べる肉食である。
しかし、成虫は訪花して花粉や花蜜も食べる。
体長は14〜18mm(15mm前後が多い)である。
全体に灰黄色の軟毛が生え、触角、前胸背周辺部、前翅、歩脚の多くが黄褐色である。
そのため、体色は黄褐色に見えるが、会合部や端部が黒いもの、全体が黒化したものもいる。
肢も全体が黒いものから、附節と脛節の一部が黄褐色のものまで変異がある。
頭部は両端にある複眼の間がややくぼんでいる。触角は細長い糸状で、第2節が一番短い。
頭部と前胸背板に黒色斑があるが、斑紋がないものもいる。
前胸背板の前側が少し狭まっているが四角形に近く、後半部がやや盛り上がって中央に溝がある。
雌雄差は、メスの第1、第2脚の爪の内側には小さな歯があること、
オスでは触角の第4〜8節に長い溝があり、第3脚の脛節が湾曲している。
国内では、下記のように3亜種が知られている。
亜種区分/学名
分布
基亜種
Lycocerus suturellus suturellus
北海道、国後島、礼文島、利尻島、奥尻島、
本州、粟島、佐渡島、隠岐
伊豆亜種
Lycocerus suturellus izuensis
本州(伊豆半島)
西日本亜種
Lycocerus suturellus luteipennis
本州(兵庫県以西)、四国、九州、対馬、
五島列島、天草、屋久島

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川に沿った道路脇の空き地で見かけました。
撮影したのが相模川の河岸ですので、ジョウカイボンの基亜種と思われます。
ヤワラスゲの写真を撮っていると、近くのヤブデマリの花に飛んできました。
アングルが悪くて、撮るのに四苦八苦していると飛び立って、近くの草の葉に留まりました。
ラッキーな事に留まったのが近い場所だったので、かなりアップで撮れました。









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