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城山湖、城山周辺 昆虫(U)



純揚水式の城山発電所建設にともなって誕生したのが人造湖の城山湖。
その城山湖を周回する散策路があり、その近くでは、いろいろな野草や木々が生えています。
また、そこに至る城山の周辺や相模川周辺にもいろいろな野草や木々が見られます。
そして、そこには様々な昆虫たちが活動しています。
その極一部でしかないですが、見かけた昆虫たちをまとめてみました。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の昆虫を追加しました。
ヤマトシジミ、モンキチョウ、ナツアカネ



シリアゲムシ目
シリアゲムシ科(ヤマトシリアゲ)
チョウ目・アゲハチョウ上科
アゲハチョウ科(カラスアゲハ、クロアゲハ、モンキアゲハ)
シジミチョウ科(ヤマトシジミ)
シロチョウ科(ヤマトスジグロシロチョウ、モンキチョウ)
タテハチョウ科(コミスジ、ヒメウラナミジャノメ、コジャノメ)
チョウ目・セセリチョウ上科
セセリチョウ科(ダイミョウセセリ)
チョウ目・カイコガ上科
スズメガ科(ホシヒメホウジャク)
ヤママユガ科(ヒメヤママユ)
チョウ目・ヒロズコガ上科
ミノガ科(オオミノガ)
チョウ目・マドガ上科
マドガ科(マドガ)
チョウ目・ヤガ上科
ヤガ科(マイマイガ、カノコガ、シロヒトリ、アヤモクメキリガ)
トンボ目
トンボ科(ナツアカネ)
城山湖、城山周辺の昆虫(U)
和名インデックス


ヤマトシリアゲ(Panorpa japonica)
<シリアゲムシ目・シリアゲムシ亜目・シリアゲムシ科>

シリアゲムシ目シリアゲムシ科の昆虫で、日本では、本州から四国、九州に分布する。
晩夏に現れるものは黄色っぽくて小さく、かつてはベッコウシリアゲと呼ばれていた。
林縁部の葉に止まっていることが多く、よく飛び回りるが、長くは飛ばず直ぐに止まる。
幼虫は、土中で虫を食べる肉食で、成虫も他の昆虫を捕食したり、死骸なども食べる。
なお、成虫の出現時期は4月〜9月で、体長20o前後、前翅長もほぼ同長。

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流の河川敷の土手で、真っ赤なスイバの上にいました。
尾端の形状から、メスのヤマトシリアゲと分かりました。

 
<メス>
 
<オス>
2017/5/19
城山湖の遊歩道を歩いていると、ときどき、ヤマトシリアゲに出会いました。
出会った多くはメスでしたが、遊歩道の終盤に差し掛かった頃、やっとオスに出会えました。

カラスアゲハ(Papilio bianor)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ族・アゲハチョウ属>
 
チョウ目アゲハチョウ科の蝶で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布している。
発生時期は4月〜10月で、前翅長は45〜80oあり、開張は80〜120oになる。
生息には食草や食樹が必須であるため、それらの乏しい市街地では少ない。
幼虫の食草は、コクサギ、カラスザンショウ、カラタチなどで、これらの生える郊外や山地などに多い。
オスでは、黒い翅の表面が緑色〜青色に輝いて見え、前翅に黒いビロード状の毛(性票)がある。
メスでは、前翅の表面に緑色〜青色に輝きはなくて白っぽく、性票はない。
また、メスと比べて、オスの後翅の赤斑があまり目立たない。
ミヤマカラスアゲハに似ているが、前翅裏の白い帯模様の現れ方に違いがある。
カラスアゲハは不明瞭で前側の幅が広くなるが、ミヤマカラスアゲハは幅がほぼ一定で明瞭。

2017/5/19
城山湖の駐車場近くの斜面上で、ツツジを訪花中のカラスアゲハを見かけました。
距離があったので望遠で狙ったのですが、チョコチョコと動き回り、撮るのが大変でした。
少し見えている前翅の表面に性票が見えていますので、この個体はオスです。

 
2020/6/14
城山湖の駐車場からダムに下りる遊歩道脇で見かけたカラスアゲハです。
吸蜜中も翅をパタパタと動かし続けているので、なかなかタイミングが撮りづらいです。
その中でも、写りの良かったのが上記ですが、翅表の緑色〜青色の輝きをうまく捉えられました。
この個体は、前翅の表面に性票が見られませんので、メスです。

クロアゲハ(Papilio protenor)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ族・アゲハチョウ属>
 
アゲハチョウ科アゲハチョウ属の蝶で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国南部、台湾、ヒマラヤ、インドシナ半島まで分布している。
成虫の前翅長は50〜70mmあり、オスの後翅前縁には白斑がある。
また、後翅の赤斑は、オスよりもメスの方がよく発達する。また、メスの前翅は白っぽくなる。
幼虫は、サンショウ、ユズ、カラタチなど柑橘系の植物が食草である。
終齢幼虫の五齢幼虫になるとナミアゲハのような緑色の体色に変わるが、帯模様は茶色である。
なお、幼虫に触ると頭部と胸部の間から強烈な悪臭を放つ臭角を出すが、本種は紅色をしている。

2020/6/14
城山湖の駐車場からダムに下りる遊歩道脇で見かけたクロアゲハです。
カラスアゲハを見かけた位置から少し進んだ所で、もう少し進んだ所にはモンキアゲハがいました。
この個体の翅は、片側がかなり傷んでいました。傷みの少ない方が良く見えているのが上記です。

モンキアゲハ(Papilio helenus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ族・アゲハチョウ属>

アゲハチョウ科アゲハチョウ属の蝶で、在来種。
日本では、本州の関東以西から四国、九州、南西諸島に分布している。
海外では、インド、ヒマラヤ山脈、東南アジアと周辺の島嶼、中国、台湾に分布する。
成虫の前翅長は60〜75mmあり、開張110〜140mmになる日本では最大級の蝶である。
第一化の春型は5月〜6月に、第二化の夏型は7月〜8月に出現し、夏型は春型より大きい。
翅は大きくて幅広く、後翅には尾状突起がある。色は全体的に黒くて後翅には黄白色紋がある。
また、黄白色斑の周辺には三日月状の赤斑があり、オスよりもメスの方が大きい。
幼虫はミカン類、カラタチ、サンショウ類、ハマセンダンなどのミカン科植物を食草とする。
終齢幼虫もクロアゲハに似るが、腹部背面に入る斜め帯が中央で繋がらず、切れている点が異なる。
幼虫の臭角はクロアゲハと同じく赤色をしている。蛹で越冬するが、北日本では越冬できない。

2020/6/14
城山湖の駐車場からダムに下りる遊歩道脇で見かけたモンキアゲハです。
カラスアゲハ、クロアゲハと出会い、最後に出会ったのがこのモンキアゲハです。
この辺りで咲いているツツジに、吸蜜のために集まって来ていたようです。
モンキアゲハは、高い所で吸蜜していて下りて来ず、そのまま飛び去ってしまいました。

ヤマトシジミ(Zizeeria maha)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
シジミチョウ科・ヒメシジミ亜科・ヒメシジミ族・ヤマトシジミ属>
 
シジミチョウ科ヤマトシジミ属のチョウで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島まで広く分布している。
海外では、台湾、朝鮮半島から中国、フィリピン、インドネシア、インドなどに分布する。
多くの亜種に分かれ、日本でもトカラ列島の悪石島以南の南西諸島亜種とそれ以外の本土亜種に分かれる。
開張は20〜30mmで、翅表は、オスでは青〜青白色で、外縁部には黒色帯がある。メスでは全面黒〜暗灰色。
翅裏は、雌雄とも灰褐色の地色に、円形またはくの字型の黒色斑紋があり、斑紋は翅脈をまたがらない。
雌雄とも季節変異があり、低温期ではオスの黒色帯は細くなり、青い部分は白味を帯びた青白色になる。
メスでは、黒〜暗灰色の地色に基部側より青紫色の部分が拡大し、青味を帯びてくる。
夏の高温期には、オスでは黒色帯は太くなり、青味が強くなる。メスは、ほぼ全面黒〜暗灰色になる。
日本では、本州以南で極普通に見られ、年4〜5回発生し、4月〜11月まで見られる。
冬は幼虫で越冬するが、冬でも暖かいと摂食する。なお、南西諸島では周年発生する。

2021/10/30
城山湖のダムの堤から駐車場に戻る途中、目の前をヤマトシジミが横切って行きました。
少し離れた所に止まって、翅をパタパタと開いたり閉じたりしていたので、両面とも撮れました。
裏面の模様からヤマとシジミであることが、表面の色合いからオスであることが分かります。
翅の黒色帯の幅が狭く、青い部分も白味を帯びて青白色と、低温期の特徴がよく出ています。

ヤマトスジグロシロチョウ(Pieris nesis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
シロチョウ科・シロチョウ亜科・シロチョウ族・モンシロチョウ属>
 
シロチョウ科モンシロチョウ属で在来種。
2001年にエゾスジグロシロチョウが、北海道東部に分布するものをエゾスジグロシロチョウと、
北海道西部から本州、四国、九州に分布するヤマトスジグロシロチョウに分けられた。
出現時期は4月〜10月で数回発生する。前翅長は18〜32mm、開張は40〜50mm。
山地の林道や林縁でよく見られ、吸蜜のため各種の花を訪花し,夏型の雄は集団で吸水することが多い。
地色は白色で、前翅表面の翅端部が黒く、黒紋がある。
春型は翅脈に沿った黒条が目立ち、それが和名の由来でもある。夏型では不明瞭になる。
雌雄差は、メスがオスより大きく、前翅表の黒色斑が発達し、後翅裏面の地色は黄色味が強い。
幼虫の食草は、ヤマハタザオ、イワハタザオ、スズシロソウなどである。

スジグロシロチョウとよく似ているが、以下の点で区別可能である。
・前翅中室外側の黒斑が、本種は円形に近く、スジグロシロチョウは四角形に近い
・春型、夏型ともに前翅裏面中室の黒色鱗粉はスジグロシロチョウより少ない。
・春型後翅裏面基部にある肩脈が本種は不明瞭であるが、スジグロシロチョウは長く明瞭に伸びる。

2008/6/14
城山湖の遊歩道を歩いているとき、通路脇で何度か見かけました。
写真は、アカネの葉の上で休んでいるのと、ハルジオンで吸蜜中のものです。
裏面所写真しか撮れていないので、スジグロシロチョウ(下記参照)かどうかで悩みました。
見えている部分の黒色鱗粉や肩脈から判断して、ヤマトスジグロシロチョウのメスではと思っています。
表面が見えていれば、もう少し判断材料が増えるのですが、今更です。



スジグロシロチョウ

     .
2012/4/25 <春型♀>            2012/4/25 <春型♀>
多摩川の河口に近い河川敷で見かけたスジグロシロチョウの春型のメス(同一個体)です。
翅脈に沿った黒条が明瞭で、メスの後翅裏の黄色味が強いです。

 
2012/8/4 <夏型♀>            2012/8/3 <夏型♂>
八ヶ岳自然文化園で見かけたスジグロシロチョウです。
左は夏型のメスで、産卵中です。黄色味は極弱いのですが、春型ほどではないですが黒条は明瞭です。
右は夏型のオスと思われます。光の加減で黒く見えていますが、後翅裏面の翅脈上の黒条は見られません。

 
2016/7/12 <夏型♀>            2016/7/20 <夏型♀>
町田 薬師池公園の水車小屋近くを飛び回っていたスジグロシロチョウの夏型のメス(同一個体)です。
左側は交尾拒否ポーズのメスです。右はその裏面で、黄色味が強いですが、翅脈に沿った黒条は不明瞭です。
幅の広い灰色の細長い三角状斑紋は、表側の翅脈の黒条が見えているもので、メスでは端部が幅広くなります。


モンキチョウ(Colias erate)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
シロチョウ科・モンキチョウ亜科・モンキチョウ属>
 
シロチョウ科モンキチョウ属に属するチョウで、在来種。
ヨーロッパ南東部から、中央アジア、日本や台湾まで分布しており、日本ではほぼ全国でみられる。
日本で見られるのは、亜種(C. e. poliographus Motschulsky)である。
開張は50mm前後、前翅長は23〜26mmで、前翅外縁が黒く、翅の中央には銀色の斑紋がある。
オスの翅の地色は黄色で、メスでは黄色と白色の2種類があるが、白色が圧倒的に多い。
出現時期は3月〜11月で、年に2回発生する。冬は幼虫で越冬する。
食草は、ムラサキウマゴヤシやクローバーなどのマメ科の植物である。

2020/6/14
城山湖の駐車場からダムに下りる道路脇で見かけたモンキチョウです。
同じ個体なのですが、左の写真では翅に傷みが見られ、右の写真では傷は見られません。
片側だけ、前翅も後翅も欠けているようです。何かに襲われたのでしょうか。

コミスジ(Neptis sappho)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
タテハチョウ科・イチモンジチョウ亜科・ミスジチョウ族・ミスジチョウ属>
 

 
チョウ目タテハチョウ科に分類されるチョウの一種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、屋久島、種子島まで分布するが、それ以南には分布しない。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、欧州南東部に分布する。
幼虫の食草は、クズ、ハギ、フジ、ニセアカシアなどのマメ科植物である。3齢幼虫で越冬する。
翅の表面は黒褐色で裏面は明るい褐色。前翅に1本、後翅に2本の白い帯模様がある。裏の模様も同じ。
なお、翅を開いて止まることが多いが、その際、3本の帯模様に見える。これが和名「ミスジ」の由来。
成虫は、4月〜11月と長期間見られ、低地や丘陵地の森林周辺に多く見らる。
飛び方に特徴があり、数回羽ばたいてはスーっと滑空するのを繰り返す。

ミスジチョウ属は似ているが、前翅に見られる白い帯模様から、下記のように識別できる。
・ホシミスジは、白い帯模様が5個に分かれている
・コミスジは、白い帯模様が明瞭に2個に分かれ、先が三角形になる
・ミスジチョウは、白い帯模様に切れ目はない
・オオミスジは、白い帯模様に切れ目はないが、3ヶ所の切れ込みがある
・リュウキュウミスジは、白い帯模様が明瞭に2個に分かれ、先が三角形になる
 ただし、分布域が奄美大島以南に限られ、コミスジとは混生しない

2017/5/19
城山湖の駐車場近くの木で、コミスジが翅を休めていました。
風で葉が揺れ、光が当たったり、陰になったりしていたのですが、翅の色がずいぶん違います。
光が当たると赤褐色に、陰になると黒色になります。記憶にある色は右側の黒い色ですね。

ヒメウラナミジャノメ(Ypthima argus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・ウラナミジャノメ属>
 
タテハチョウ科ウラナミジャノメ属の蝶で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
翅に黄色で縁取られた蛇の目紋(眼状紋)が、後翅表に2個、後翅裏に5〜8個ある。
よく似たウラナミジャノメは、後翅表に1個、後翅裏に3個と少ない。
また、両種とも翅裏全体に波模様があり、これが和名の由来。
草原や林の周辺で広く見られ、人家周辺にも多い。
幼虫は、イネ科のススキ、チヂミザサなどを食草とする。幼虫で越冬する。
成虫は、いろいろな花でよく吸蜜する。

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の河川敷の縁で見かけました。
翅の裏側の地が細かい波模様で、そこに黄色い縁取りのある眼状紋が並んでいます。
翅の表側は茶褐色の地色のみで、同じく眼状紋がありますが、後翅は2個と裏より少ない。

コジャノメ(Mycalesis francisca)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・コジャノメ属>
 
タテハチョウ科コジャノメ属の蝶で、在来種。
日本では、東北地方南部から四国、九州(対馬、種子島、屋久島を除く)に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナム、タイなど東アジア〜東南アジアに分布する。
開張は40〜50mmで、翅表は一様に茶褐色で、眼状紋は前翅に2〜3個見られる。
翅裏には、前翅後縁に大きな眼状紋、その上に2〜3個の眼状紋がある。
後翅の大きな眼状紋の上には小さな4個の眼状紋、下には2個の小さな眼状紋がある。
ヒメジャノメに似ているが、翅裏の地色が濃く、白色帯は円弧を描き、紫がかっている。
ヒメジャノメの白色帯は、留まっているとき前後の翅を通じて直線的で、黄色味を帯びる。
また、後翅の大きな眼状紋の上にある小さな眼状紋が、本種では4個、ヒメジャノメでは3個の事が多い。
食草は、アズマネザサ、チヂミザサ、ススキなどのイネ科植物で、幼虫で越冬する。
出現時期は4月〜10月で、2〜3回発生する。
成虫は、花に集まることはほとんどなく、腐った果物や獣糞などに集まることが多い。

2017/5/17
城山湖の遊歩道を歩いているとき、ジャノメチョウがヒラヒラと飛んできました。
近くの葉の上に留まってくれたので、写真が撮れたのですが、コジャノメでした。
左の写真では、アングルによって直線的に見えていますが、右の写真では明らかにカーブしています。
後翅の大きめの眼状紋の上には、小さめの眼状紋が4個並んでいるので、本種で間違いないと思います。

ダイミョウセセリ(Daimio tethys)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・
セセリチョウ科・チャマダラセセリ亜科・ダイミョウセセリ属>

チョウ目セセリチョウ科に分類されるチョウの一種で、在来種。
日本では、北海道南西部から本州、四国、九州の北部に分布する。
関東などの一部地域では平地で見られるが、その他の地域では平地で見られることは稀。
海外では、東アジア、東南アジアに分布し、4亜種が分布する。
翅は黒褐色で翅の表裏に白斑が入るが、後翅に明瞭な白斑のある関西型と、白斑のない関東型がある。
両者の分布は、関ヶ原が分布境界とされている。なお、関東型でも不明瞭な白斑が見られることがある。
成虫は、暖地では年3回、寒冷地や高地では年2回の発生が見られる。
チャマダラセセリ亜科の特徴である翅を水平に開いて止まる習性は、本種も同様。
幼虫の食草は、ヤマノイモ、オニドコロなどのヤマノイモ科の植物です。
幼虫は、淡緑色の体に黒褐色の頭部を持ち、終齢幼虫で越冬する。

2008/6/14
城山湖の遊歩道を歩いているとき、花壇らしき所に植えられていたスイセンノウを訪花していました。
ダイミョウセセリを見たのは、この時が初めてでした。

 
2017/5/17
 
2017/5/19
城山湖の遊歩道を歩いているとき、何度かダイミョウセセリを見かけました。
このチョウも光の当たり方で、茶褐色に見えたり、黒色に見えたりします。

ホシヒメホウジャク(Neogurelca himachala sangaica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・
スズメガ科・ホウジャク亜科・Neogurelca属>
 
スズメガ科Neogurelca属に属する蛾の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬、屋久島、種子島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布している。
幼虫は尾角がある独特の形をしており、4齢幼虫までは灰白色である。
終齢幼虫になると、紫色型、橙色型、緑色型、緑色無紋型の4型になる。
蛹は枝の上に無造作に作られ、ぶら下がっている。
成虫は、体長25mm前後、開張は35〜40mmとやや小ぶりである。
翅は地色が黒褐色で、前翅後縁が大きく湾曲し、後翅には黄色い模様がある。
成虫は、昼間、飛び回って花で給蜜する。幼虫の食草はヘクソカズラである。

2020/6/14
城山湖のダムの縁で、アカメガシワの花を撮影しているときに飛んできました。
ホバリングしながらの吸蜜を繰り返しているのですが、動きが早くて追いかけるのに苦労しました。
手前に格子状の手すりがあって、格子の隙間から撮る必要があり、撮影位置が制限されるためです。
その中で、比較的うまく撮れていたのが上記で、後翅のオレンジ色の模様が確認できます。


ホシヒメホウジャクとホシホウジャク

     .
<ホシヒメホウジャク>            <ホシホウジャク> .
両者はよく似ていて、飛んでいる所を見ただけで判別するのはかなり困難です。
写真を見れば、後翅のオレンジ色の模様の形、腹部側面のオレンジ色の斑紋の違いで判別できます。


ヒメヤママユ(Saturnia jonasii jonasii)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・
ヤママユガ科・ヤママユガ亜科・Saturnia属>
 
ヤママユガ科Saturnia属に属する大型の蛾で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬、屋久島に、海外では、シベリアに分布する。
以前は、北海道亜種(シベリアを含む)と本州以南亜種に分けられていたが、現在は同一種とされる。
開張は85〜105oあるが、ヤママユガ科の中では小型の部類になる。
成虫の出現時期は9月〜11月で、1年1化である。
翅はオリーブ褐色で、褐色味の強いものから黄色味の強いものまで変異がある。
翅に各々1個ずつ眼状紋がある。触角は、オスは羽毛状で、メスは両櫛歯状である。
幼虫は、中齢幼虫までは背面が黒で、腹面が灰緑色〜淡緑色。背面の黒い部分に赤斑がある。
終齢幼虫になると体長は60o前後になり、全体が淡緑色となって、全体が毛で覆われる。
落葉の隙間や枝の間などで繭を作る。越冬は卵で行う。

2020/6/14
城山湖の展望台からダムに下りる遊歩道脇で、きれいな緑色の巨大な毛虫を見つけました。
カラスアゲハを撮っていて、ふと下を見たとき、ツツジの葉の陰で食事中でした。
全身が鮮緑色で、生えている毛まで鮮緑色なので、葉の間にいると見つけるのは困難です。
たまたま、近くの葉の色と異なる色だったので目についたのですが、目を離すと消えてしまいます。
帰りにもう一度見ようと思いましたが、探しても見つけられませんでした。
で、その正体ですが、調べると直ぐにヒメヤママユの終齢幼虫と分かりました。

オオミノガ(Eumeta japonica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヒロズコガ上科・ミノガ科>
 
ミノガ科の蛾で、在来種。国内では、最大となるミノガ。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
メスは羽がなく、成虫になってもウジムシ型で、巣の中にいる。
オスは、夕方にメスを探しに飛翔し、見つかると交尾し、メスが巣の中に産卵する。
夏に孵化した幼虫は、巣の下から出て、小さな巣を作って独立する。
終齢幼虫は体長35〜50mmで、幼虫で越冬する。
成虫の出現時期は5月〜8月で、オスの開張30〜42mm。
褐色の地味な蛾で、前翅は暗褐色で翅脈上は黒。前翅の翅頂付近に透明斑がある。
なお、オオミノガの蓑は、葉が中心で小枝は少なく、きれいな紡錘形で、ぶらりと垂れ下がる。

2017/5/19
城山湖の遊歩道を歩いているとき、ふと足元を見ると、ミノムシが小枝の皮をむさぼっていました。
子供の頃にはどこででも見られたミノムシですが、何時の頃からか見なくなり、ずいぶん久しぶりです。
調べてみると、中国から侵入したオオミノガヤドリバエによって関東以南では絶滅危惧種になっているとか。
絶滅するとオオミノガヤドリバエ自身も絶滅してしまいますので、バランスしているのでしょう。
それでも、とんと見かけませんので、以前に比べると数はかなり減っているものと思います。

マドガ(Thyris usitata)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・マドガ上科・
マドガ科・マドガ亜科>


 
マドガ科マドガ亜科の蛾で、日本固有種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
出現時期は5月〜8月で、開張は12〜18mmの小型の蛾。
メスの方がオスより大きめで、オスの触角は片側のみ櫛歯状で、メスは繊毛状。
また、オスの腹端は細長く伸びているが、メスの腹端は丸い。
翅表面は黒褐色〜暗紫褐色で、前翅の中央付近と後翅の基半付近に半透明の白色斑がある。
白色斑の周囲には、黄色斑が散在する。翅の外縁は、前後翅各々に2ヶ所白い部分がある。
頭部には黄褐色の鱗粉が多く、胸背部にも同色の鱗粉による3本の線がある。
腹部背面には、細くて白い帯状の線がある。脚は黒褐色で腿節、脛節、符節の末端は黄色い。
昼行性で、日中に花を飛び回って吸蜜や吸水を行う。
幼虫の食草はボタンヅルで、産卵は食草の葉裏に1粒ずつ行われる。

2017/5/17
城山湖の駐車場近くの斜面で、葉の裏にへばり付いた小さな蛾を見つけました。
黒の地色に、黄色い斑紋と、透明な斑紋が見られます。種類不明なので、取り合えず撮影しました。
後で調べたのですが、科名などが分からず、探し出すのにずいぶんと骨が折れました。
和名は、翅の透明な斑紋を窓に見立てた名前のようですね。

マイマイガ(Lymantria dispar)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・
ドクガ科・マイマイガ属>
 

 
ドクガ科に分類される蛾の1種で、在来種。1齢幼虫にのみ毒針毛がある。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、北アフリカ、ヨーロッパ、アジア、北アメリカ東部に広く分布する。
成虫の出現時期は7月〜9月で、オスは茶褐色、メスは白に近い淡褐色と、性的二形が顕著である。
なお、オスには黒色と褐色、その中間型の3型があり、日中に活発に飛び回る。
メスは、白に近い淡褐色に暗褐色の紋が薄っすらと入り、樹木の幹でジッとしていることが多い。
前翅長はメスが35mm前後、オスは25mm前後で、開張はメスで80mm前後、オスで55o前後になる。
幼虫は、サクラ、リンゴ、ナシ、モモ、クヌギ、ハンノキ、ヤナギなど、様々な樹木の葉を食べる。
幼虫の頭部には黒い縦長の1対の斑紋があり、毛の生えた瘤が背面に2列、側面に1列ある。
背面の2列は、頭部側の5対が青色、尾端側の6対が赤色になるものが多いが、変異がある。
終齢幼虫は60mm前後になり、糸を吐いて樹からぶら下がっていることがある。
木の葉などを糸で引き寄せ、繭のようなものを作って蛹化するが、何も作らないこともある。
1齢幼虫のみ少量の毒針毛があり、皮膚炎を引き起こすが、2齢以降に毒針毛はない。

2020/6/14
城山湖の展望台からダムに下りる遊歩道脇で、毒々しい色合いの毛虫を見かけました。
見ている分にはカラフルで、きれいな色合いではあるのですが、この手の色合いは警戒色ぽいです。
遊歩道の反対側にはさらに大きくなった毛虫がいて、オレンジ色がなくなり、青っぽくなっています。
その横には、終齢虫らしいさらに大きくなったものがいました。
背中の頭部側の4対の青い瘤と尾部側の6対の赤い赤い瘤、頭部の黒い1対の斑紋は共通です。
調べてみるとやはりドクガ科のマイマイガの幼虫で、毒針毛は1齢幼虫のみにあるそうです。
上記の写真は全て2齢幼虫以降なので毒針毛は持っていません。でも、触りたくないですよね。

カノコガ(Amata fortunei)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・
ヒトリガ科・カノコガ亜科・カノコガ属>

カノコガ科カノコガ属の蛾で、出現は6月、8月〜9月の年に2回。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで、ほぼ全国に分布する。
日本以外では、朝鮮半島から中国に分布している。
翼開長35mm前後の黒い羽に透明な紋が付き、黒い部分は光の加減で青い金属光沢を放ちます。
胸部は黒く、腹部は黒に黄色の帯模様が鮮やかです。
なお、黄色い帯模様は、背面まであるものが2本、その間に背面に達しないものが2本あります。
本種は、昼行性の蛾で、昼間、給蜜のために花を訪れます。

2020/6/14
城山湖の遊歩道脇で、葉に止まっているカノコガを見かけました。
昼間にフワフワと飛び回っているのを見かけることがあり、比較的目に付きやすい蛾です。

シロヒトリ(Chionarctia nivea)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・
ヒトリガ科・ヒトリガ亜科>
 
ヒトリガ科ヒトリガ亜科に属するガの一種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、シベリア、樺太に分布する。
開張は60o前後になり、全体に白い翅を持つ。脚の根元は赤い。
幼虫の食草は、クワ、スイバ、タンポポ、イタドリなどで、体色は黒褐色。毒針毛は持たない。
成虫は、敵が近づくと羽を広げて威嚇する。オスはフェロモン放出器官であるヘアペンシルを持つ。

2020/6/14
城山湖のダム脇の石垣の上で、雨に打たれたためか、地に張り付いてもがいていました。
普通に止まっている状態ではなく、翅の形が分かりずらいのですが、白い翅から本種としています。
ただ、シロヒトリの場合、脚の片側の側面が赤いのですが、それが黄色っぽいのが気になります。

アヤモクメキリガ(Xylena fumosa)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・
ヤガ科・キリガ亜科・Xylena属>
 
    2017/5/17                2017/5/19
ヤガ科キリガ亜科の蛾で、在来種。ヨトウガ亜科から新設された亜科に変更された。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
大型のキリガで開張は65oあり、全体は暗褐色の蛾で、胸背部の毛は青みがかった暗色。
頭部を正面から見ると胸部が盛り上がり、褐色の年輪のような模様がある。
成虫は、樹液や腐った果実が餌で、幼虫の食草は、バラ科、マメ科、ナス科、タデ科など、非常に多い。
終齢幼虫は、体長60o程の緑色で、黒い縁取りの白紋が2個ずつ並ぶ。体側には白線と赤褐色斑がある。
夏の前に土中に潜り、前蛹で夏を過ごし、秋に蛹になって、11月頃に羽化し、越冬する。
そのため、成虫の出現時期は、11月〜12月と1月〜4月の2回になる。

2017/5/17,19
城山湖の遊歩道脇をほぼ歩き終わり、ダムの堤を超えた辺りで見かけました。
5/17に見かけたときには、タケニグサの葉を食べていましたが、5/19にはイタドリの葉を食べていました。
幼虫の同定は大変だろうとは思ったのですが、きれいな緑色の芋虫でしたので撮っておきました。
調べてみると、案外簡単に正体が分かりました。アヤモクメキリガという蛾の幼虫でした。
成虫は褐色の地味な蛾のようですが、幼虫は人気があるようで、たくさんWebに掲載されていました。
そうなる理由は、晩秋に羽化して越冬し、早春に産卵するため、寒い時期しか成虫は見られないためですね。
目にする機会の多い春から梅雨時までは、このきれいな緑色の芋虫です。その後は夏眠するので、消えます。

ナツアカネ(Sympetrum darwinianum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>
 
トンボ科アカネ属に分類されるトンボで、俗に赤とんぼと呼ばれるトンボの1種である。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
日本以外では、朝鮮半島から中国中部、台湾に生息している。
全長は33〜43mm、腹長は20〜28mm、後翅長は23〜32mmで、アキアカネより若干小さい。
出現時期は、6月下旬〜12月上旬で、アキアカネと異なり、夏も平地で見られる。
夏場の未成熟期は橙色の体色であるが、秋の深まりとともに成熟して赤い体色になる。
特にオスは全体が赤くなり、まさに赤トンボの名にふさわしい色になるが、メスは腹部の上面のみ赤くなる。

2021/10/30
城山湖のダムの堤で、柵に止まっている赤トンボを見つけました。
近づくと警戒態勢を取って、翅を下に下げてしまうので、胸部の模様を確認できません。
仕方がないので、後で写真を拡大して確認すると、ナツアカネのメスでした。
数匹いたのですが、全て同じ色合いでしたので、メスばかりだったようです。









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