城山湖、城山周辺の昆虫(V)
和名インデックス |
ヒゲナガカワトビケラ(Stenopsyche marmorata)
<トビケラ目・シマトビケラ亜目・ヒゲナガカワトビケラ科・ヒゲナガカワトビケラ属>
ヒゲナガカワトビケラ科の昆虫で、再来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 体長は12〜20oで、開長は27〜48mmになり、触角が体長以上に長いのが特徴。 頭・胸部と前翅は灰色〜暗褐色のまだら模様で、後翅はやや色が薄い。 幼虫は流れのある場所を好み、小石や砂粒で巣を作り、近くに網を張って藻や落ち葉を食べる。 成虫の出現時期は4月〜11月で、静止時、翅を屋根型にたたみ、触角を前方に伸ばす。 そのため、静止しているときの姿は蛾にそっくりである。
2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流の河川敷の土手で、茂みの葉の上でじっとしていました。 体長の1.5倍はあろうかという長い触角が特徴です。 なお、横に見えているのはモンカゲロウの頭部で、2本の触角のようなものは前肢です。 | |||
アミメトビケラ(Oligotricha fluvipes)
<トビケラ目・トビケラ科・アミメトビケラ属> トビケラ科アミメトビケラ属の昆虫で、在来種。 日本では、北海道、本州、四国で確認されている。 トビケラの仲間は、一般にいろいろな材料で巣を作り、巣の材料や形は種によって異なる。 本種は、植物を矩形に切って螺旋状に張り合わせた巣を作る。巣は多少湾曲する。 成虫の出現時期は5月〜8月で、体長は12〜14mm。
2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流の河川敷の土手で、茂みの葉の上で交尾していました。 似たようなトビケラがいるのですが、最も近いと思われたのがアミメトビケラです。 ただ、この写真しかありませんので、間違っている可能性もあります。 | |||
カワゲラ(Kamimuria tibialis)
<カワゲラ目・キタカワゲラ亜目・カワゲラ科・カワゲラ亜科・カミムラカワゲラ属> カワゲラ科カミムラカワゲラ属の昆虫で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 体長はオスで20〜25o、メスで25〜28mmで、身体は黒褐色で、翅は茶褐色。 脚は、体節側は黒色で、脛節から先は黄褐色。 幼虫は、やや流れのある場所を好み、水中の石の間を這い回って小昆虫を捕食する。 成虫の出現期は5月〜8月で、山地から平地の渓流付近でよく見られる。 昼間は渓流付近の葉陰などでじっとしていることが多く、外灯にも飛来する。 カミムラカワゲラとウエノカワゲラの2種類が生息するが、外見での判別は困難。
2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流の河川敷の土手で、茂みの葉の上などで多数見られました。 体長の割に扁平な体をしており、茶色と黒のツートンカラーが結構お洒落です。 後で調べると、カワゲラは2種類生息しているようなのですが、どちらなのかは不明です。 | |||
キリウジガガンボ(Tipula aino)
<ハエ目・カ亜目・ガガンボ下目・ガガンボ上科・ガガンボ科・ガガンボ亜科> ガガンボ科ガガンボ亜科の昆虫で、在来種。 日本では北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 体長は14〜18mmで、翅長は20〜22mm。出現時期は3月〜6月と9月〜11月の年2回。 比較的大型のガガンボで、翅の前縁が褐色。腹部は淡黄褐色で、腹部両側面は黒褐色である。 胸部は灰褐色〜黄褐色で、不明瞭な黒褐色の縦条がある。触角は13節で黒褐色であるが、基部3節は黄褐色。 水田や畑周辺に多く、都市部周辺でも良く見られる。 幼虫は、腐った植物や植物の芽、若い根などを食べるので、イネの害虫とされている。
2017/5/17
城山湖の駐車場から本沢梅園へ向かう途中、イロハモミジの葉の上でじっとしていました。 黄褐色の体色で、半透明の翅の前縁が褐色なので、本種としました。 なお、尾端が尖っていないので、この個体はオスです。 | |||
キイロホソガガンボ(Nephrotoma virgata )
<ハエ目・カ亜目・ガガンボ下目・ガガンボ上科・ガガンボ科・ガガンボ亜科> ガガンボ科ガガンボ亜科の昆虫で、在来種。 日本では、本州から四国、九州に分布する。 出現時期は5〜10月で、体長は12〜14mm。翅長は10〜13mm。 胸部は黄色で光沢があり、黒い3本の縞模様がある。頭部も黄色で、上面が黒い。 幼虫は土中で植物の根を食べる。成虫は、花蜜を食べる。
2017/5/17
城山湖の遊歩道を一周して、駐車場に戻る途中、道路脇のカモガヤにガガンボが留まっていました。 黄色い体色に明瞭な黒の縦条斑紋が見られます。翅をたたんでいるので腹部はよく見えません。 後で調べた所、キイロホソガガンボの特徴とよく合いますので、本種としました。 | |||
ヤマトシギアブ(Rhagio japonicus)
<ハエ目・ハエ亜目・アブ下目・アブ上科・シギアブ科> シギアブ科のアブで、在来種。 本州から四国、九州に分布し、山地で普通に見られる。 初夏から見られる体長約13mmの黒い小さなアブで、弱々しくひらひら飛ぶ。 翅は黒味を帯びた半透明で、翅脈は黒色。胸背に2本の灰白色の縦線がある。 クロシギアブに似るが、脚が黄褐色なこと、オスの複眼は接する事が異なる。 ただ、オスがメスよりやや小さいことや、メスの体色がオスより淡い色味である点は同じである。
2017/5/17
城山湖の駐車場近くの道路で、電柱に留まっている所を見つけました。 体色や模様はハエによく似ていますが、長い肢が特徴です。 この個体は、複眼が離れているのでメスのようです。オスの写真はこちらを参照ください。 | |||
ナミハナアブ(Eristalis tenax)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族>
日本では、北海道から本州、四国、九州~南西諸島まで全国に広く分布する。 以前はハナアブと呼ばれていたが、科の総称と紛らわしいため、ナミハナアブと呼ばれることが多い。 活動時期は4月〜12月であるが、成虫で越冬し、冬でも暖かい日には飛び回る。 体長は14〜16mmで、全体は黒色で、灰黄色粉と淡い黄褐色毛で覆われている。 腹部前寄りに橙色の大きな三角斑があり、胸部背面の模様はシマハナアブ程明瞭ではない。 また、翅の中央付近が褐色をしている。毛に花粉を付けて飛び回り、花粉媒介者として知られる。 幼虫は、水中生活をするため長い呼吸器官を持ち、その姿からオナガウジと呼ばれる。 幼虫は、腐敗した植物を食べ、成虫は花蜜を食べに花に集まる。
2021/10/30
本沢ダムの駐車スペースからダムに向かう通路脇で、ナミハナアブがノコンギクを訪花していました。 どこにでも居そうなナミハナアブですが、ここで撮影できたのは初めてになります。 | |||
ナガヒラタアブ(Asarkina porcina)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族・ナガヒラタアブ属> ハナアブ科ナガヒラタアブ属の1種で、在来種。 日本では北海道から本州、四国、九州に分布する。 体長は14〜17mmで、出現時期は7月〜10月である。 腹部は濃いオレンジ色に細い黒紫色の縞模様で、胸部は光沢のある真鍮色である。 ホバリングの名手で、ホバリングと移動を繰り返しながら花から花へと飛び回る。 幼虫はアブラムシを食べ、成虫は花の蜜や花粉を食べる。
2020/6/14
城山湖の駐車場からダムに下りる遊歩道脇で、テリハノイバラの花の前でホバリングしていました。 黄色い体色が、他のヒラタアブに比べてかなり鮮やかに見えたので、撮影しました。 が、思っていたより暗かったようで、わずかにブレてしまっていました。 ただ、同定に支障はなく、腹部の明るいオレンジ色と黒紫色の細い縞模様で、本種と分かりました。 | |||
ホソヒラタアブ(Episyrphus balteatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族・ホソヒラタアブ属> ハナアブ科ヒラタアブ族の1種で、日本では北海道から本州、四国、九州に分布する。 海外でもアジアから欧米まで、非常に広範囲に分布している。 体長は8〜11mmで、3月〜11月まで見られる。 腹部はオレンジ色と黒色の縞模様で、各々の節に太い黒帯と細い黒帯がある。 ホバリングの名手で、ホバリングと移動を繰り返しながら花から花へと飛び回る。 幼虫はアブラムシを食べ、成虫は花の蜜や花粉を食べる。成虫で越冬する。
2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流の土手でオオハナウドの写真を撮っていました。 その時、横から飛び込んできて、写ってしまったアブです。 見ての通り、尾端しかまともに写っていませんが、横縞の特徴から本種としました。 2020/6/14 ダムの側面に生えていたアカメガシワの雄花に訪花していたホソヒラタアブです。 前回の写真では、まともに見えたのは尾端の方だけでしたが、今回はバッチリ撮れました。 腹部のオレンジ色や黒色の縞模様が良く分かると思います。なお、この個体はメスです。
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ツマグロキンバエ(Stomorhina obsoleta)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヒツジバエ上科・クロバエ科・ツマグロキンバエ亜科>
クロバエ科ツマグロキンバエ亜科の1種で、6月〜10月に花に来る小さなハエ。 日本では、北海道から、本州、四国、九州、沖縄まで分布する。 体長は5〜7mmで、体色は深緑色。背中に丸みがあり、翅の先端が黒い。 複眼は青緑色に波模様があり、口吻は長く突き出ている。 幼虫は動物の死骸などを食べ、成虫は花の蜜を食べる。
2021/10/30
城山湖のダムの堤に咲くセイタカアワダチソウで見かけたツマグロキンバエです。 ヒメジュウジナガカメムシの群れに混じって、食事中のようです。 このとき、よく見かけるツマグロキンバエより褐色味が強いと思っていました。 後で写真を見たのですが、見たとき以上に褐色味が強く、別種ではないかと思えるくらいです。 16時前と遅い時刻に、周りが黄色い所で撮ったので、撮影時の色温度が影響されたのでしょうか。 そう思って、画像処理で調整を試みたのですが、周りの色味に影響しない範囲では改善されません。 つまり、このツマグロキンバエはこの色ということで、地域差、あるいは季節的な要因なのでしょうか。 下記によく見かけるツマグロキンバエと並べてみました。
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ファシア・アウルラン(Phasia aurulans)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヒツジバエ上科・ヤドリバエ科・ヒラタハナバエ亜科>
ファシア・アウルランはヤドリバエ科ヒラタハナバエ亜科の1種で、在来種。 日本では、北海道のみで記録があったが、1997年に本州で初めて埼玉県で記録された。 その後、2004年に神奈川県の山北町三国峠でも記録されている。 海外では、ヨーロッパ北部からベルギーからシベリア南部、極東ロシア、日本に分布している。 体長は7mm前後で、複眼は茶色、胸部背面や腹部は黒色で、胸部背面と腹部端に褐色の斑紋がある。
2021/10/30
城山湖の遊歩道脇で、ノコンギクの花を撮っているときに、ハエらしきものに気が付きました。 見かけないハエだったのですが、あまり気にせずに数カット撮影して終わりにしてしまいました。 後で拡大して見たとき、胸部背面に黄褐色の本を開いたような形の紋があることに気が付きました。 以前、シランの花粉塊を背中に付けたクマバチを見たことがあり、何かが付いているのかと思いました。 しかし、強拡大しても何かが付いているようには見えず、斑紋であろうと判断しました。 それを基に調べ始めたのですが、そのような斑紋を持つものはなかなか見つかりません。 諦めかけたとき、"Phasia aurulans"と書かれたヤドリバエ科の1つに似た斑紋を持つものがいました。 英語版のWikipediaで調べると、掲載されている写真と斑紋はもちろん、複眼や腹端の斑紋も合っています。 さらに、北海道のみ記録があったが、本州では埼玉県での発見が最初。山北町でも確認されている模様。 であれば、同じ神奈川県下でもあり、城山湖畔で見つかっても不思議はない気がします。 ということで、本州ではかなりレアな"Phasia aurulans"としました。見られてラッキーでした。 | |||
キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ミギワバエ上科・ショウジョウバエ科・ショウジョウバエ属>
ショウジョウバエ科ショウジョウバエ属の昆虫で。在来種。 日本全国に分布し、海外でも北極と南極以外に分布を広げている。 生物学のさまざまな分野でモデル生物として用いられ、多くの発見がなされた。 体長3mm前後と小さく、体は黄褐色で、複眼は赤い色をしている。触角は短い。 胸部背面にはやや光沢があり、黒色の短い微毛が多い。翅は透明で斑紋はない。 腹部背面各節の後縁には、黒褐色の横帯があり、尾端に近いほど太くなる。 成虫は、自然界では過熟した果物類や発酵した樹液などに集まる。 幼虫は、そこに生育している酵母を食べて生育する。 酵母はアルコール発酵を行うため、ショウジョウバエは酒や酢に誘引される。 和名は、酒に好んで集まる赤い目をしたハエということで、猩々に由来している。 なお、糞便や腐敗動物質などの汚物には接触しないため、病原菌の媒体になることはない。
2017/5/17
城山湖の遊歩道脇のクサイチゴの葉の上で見かけました。 というか、ヒゲナガルリマルノミハムシを撮った時、一緒に写り込んでいました。 撮ろうとして撮ったわけではないのですが、意外とピントが合っていたので、掲載しました。 生物学の研究室では有名なハエですが、自然界ではあまり目にしません。 しかし、家庭ではコバエの1種として台所などで見られ、嫌われ者です。 | |||
コムライシアブ(Choerades komurai)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・ムシヒキアブ上科・ムシヒキアブ科・イシアブ亜科> ムシヒキアブ科イシアブ亜科のアブで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海外ではサハリンに分布する。 出現時期は5月〜8月で、体長は11〜17mm。山地性のアブ。 黒い体色に金色の毛が印象的なアブで、オスは前胸背から腹部にも生える。 メスは、前胸背には生えるが、腹部の毛はほとんどない。 雌雄で体長にほとんど差がなく、腹部の毛以外では、メスの尾端側は少し幅広になる。 また、本種は、留まるときに翅をV字型に開いていることが多い特徴がある。
2017/5/19
城山湖の遊歩道を歩いているとき、通路脇の葉の上で見慣れないアブを見かけました。 黒い体色に金色の毛が胸や腹部に生えていて、なんともゴージャスないでたちです。 後で調べると、直ぐにコムライシアブのオス(尾端の形状による)と分かりました。 ムシヒキアブの仲間なのですが、翅をたたまず、V字型に開いていることが多いそうです。 なお、よく似たイッシキイシアブのオスでは、腹部の金毛はもっと多く、縞模様になる。 | |||
クロオオアリ(Camponotus japonicus)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・アリ科・ヤマアリ亜科・オオアリ属・オオアリ亜属> アリ科オオアリ属に属するアリで、ムネアカオオアリと並んで日本最大のアリである。 国内では、北海道から本州、四国、九州に分布するが、南西諸島には分布しない。 海外では、朝鮮半島から中国、米国にも分布している。 働きアリは体長は7〜12mmだが、体長7〜9mmの小型種と10〜12mmの大型種に分化している。 全身が光沢のない黒灰色をしているが、腹部の節は黒光りする。 なお、オオアリ属は前・中胸背縁を横から見ると緩やかな弧を描いているのに対して、 ヤマアリ属では前・中胸背縁を横から見ると二こぶに見えることで、クロヤマアリと区別可能。
2020/6/14
城山湖の遊歩道を歩いているとき、通路脇の葉の上でクロオオアリの兵隊アリを見かけました。 なぜ、このような場所に兵隊アリが1匹だけいるのか、理由がちょっとわかりませんでした。 少し離れた所にあったクマノミズキの花の上にいたのが、クロオオアリの働きアリでした。 両者を比較すると、兵隊アリの頭部が大きく、強靭な顎を持っていることが分かりますね。 なお、日本に住む大型のアリをこちらにまとめてみました。 | |||
ムネアカオオアリ(Camponotus obscuripes)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・アリ科・ヤマアリ亜科・オオアリ属・オオアリ亜属> アリ科オオアリ属のアリで、クロオオアリと並んで日本最大のアリである。 日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。 出現時期は4月〜10月で、女王アリの体長は16〜17mm。 アリを横から見たとき、胸部の上は円弧のようになっており、これがオオアリ属の特徴。 よく似たヤマアリ属は、胸部の中ほどでくぼみ、二山になるので、これが区別点になる。 働きアリの体長は8〜12mmで、初期は小さいが、数が増えると大きくなり、兵隊アリも生まれる。 体色は全体に黒色であるが、胸部に赤い部分があり、それが和名の由来。 他のアリの様に土壌に巣を作らず、朽木や枯れ木に営巣し、単独で狩りをする。 オスアリと新女王アリは秋に羽化するが、その年には結婚飛行せず、翌年の5月〜6月に飛行する。
2017/5/19
城山湖の遊歩道を歩いているとき、通路脇の葉の上でムネアカオオアリを見かけました。 名前の通り、胸部が赤褐色で、オオアリ属の特徴である胸部が一山であることが確認できます。
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ヒメバチの1種(Icheumonidae)
<ハチ目・ハチ亜目・ヒメバチ上科・ヒメバチ科> ヒメバチ科の一種で、甲虫や他のハチ、チョウの幼虫や蛹を主な寄主とする寄生蜂。 種類が多く、専門家でも簡単には同定出来ないほど、同定は困難。 成虫はハチのような細身の体型だが、体長、体色、体型は多様である。 ヒメバチ上科の触角は16節以上が普通で、触角の節数が多い。
2008/6/14
城山湖の遊歩道を歩いているとき、通路に置かれている丸太の縁で見かけました。 切り口の所をうろうろしていましたが、突然、飛び去ってしまいました。 この写真からは、ヒメバチの1種であることは分かりますが、同定には至りませんでした。 | |||
コンボウケンヒメバチ(Coleocentrus incertus)
<ハチ目・ハチ亜目・ヒメバチ上科・ヒメバチ科・ケンオナガヒメバチ亜科・Coleocentrus属> ケンオナガヒメバチ亜科のヒメバチで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 夏に山地で発生するケンオナガヒメバチ亜科の大型の寄生バチで、寄種はヒゲナガカミキリ。 体長は20〜26mmで、開帳は48mm前後。 メスの産卵管は非常に長く、腹部より長く突き出ている。
2017/5/19
城山湖の遊歩道を歩いているとき、通路に置かれている丸太の縁で見かけました。 触角をあちらこちらに動かしながら、うろうろしていました。 触角で、木材の中にいる寄種の出す振動を探っているように見えます。 | |||
ヤマジガバチ(Ammophila infesta)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・アナバチ科・ジガバチ亜科・ジガバチ属> アナバチ科ジガバチ亜科のハチで、日本では北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる。 単独生活の狩りバチで、砂地に営巣し、神経を麻痺させた餌を運び込んで卵を産み付け、幼虫の餌にする。 幼虫は、獲物が腐敗しないよう死なないように食べ進み、食べつくすと蛹になる。 幼虫は、上記のように肉食性であるが、成虫は植物性で花蜜を餌とする。 ジガバチは、サトジガバチとヤマジガバチに分けられ、中胸背板に皺があるのがサト、無いのがヤマとされる。 また、サトは獲物は1匹だけを巣中に運び込むのに対して、ヤマは巣中に数匹入れるとされる。
2020/6/14
城山湖のダムの上を歩いる時、ススキの葉に止まっているジガバチを見つけました。 何をしているのか、じっとしていて、その場を動こうとしません。たまに横には動いていました。 さて、このジガバチ、サトなのかヤマなのかが問題で、中胸背板に皺があるないかです。 強拡大して前胸背板を確認しましたが、明瞭ではないのですが、皺は無いように見えます。 ということで、山中でもあり、ヤマジガバチとしました。 | |||
コマルハナバチ(Bombus ardens ardens)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・マルハナバチ族・マルハナバチ属>
ミツバチ科マルハナバチ属のハチの1種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に、海外では、朝鮮半島から中国に分布している。 出現時期は3月〜10月で、越冬した女王バチが春先から活動を開始する。 他のマルハナバチ同様、林床の地中に営巣する社会性のハナバチだが、6月頃にはコロニーが解散してしまう。 そのため、6月頃にオスが見られるようになり、同時に新しい女王バチも巣立っていく。 オスの体長は15o前後で、淡黄褐色の毛で覆われ腹端がオレンジ色をしている。短命で、寿命は1ヶ月程度。 メスは、淡黄褐色の毛で覆われ腹端がオレンジ色をしており、女王バチも働きバチ(メス)も同様である。 なお、女王バチは体長20o前後、働きバチは15o前後で、オスと同じような大きさである。 コマルハナバチとクロマルハナバチのメスは酷似していて、見分けるのが困難であるが、下記の点で区別可能。
2020/6/14
城山湖のダムの縁で、アカメガシワの花を撮影しているときに飛んできました。 ホシヒメホウジャクも動きが早かったですが、このマルハナバチはそれ以上です。 吸蜜で止まったこのときだけ、何とか撮影することができました。 その写真を見て、始めてコマルハナバチのオスであったことが分かりました。 コマルハナバチのオスは、全体が淡黄褐色の毛で覆われ腹端がオレンジ色です。 そして、6月頃に新女王バチと共に誕生し、1ヶ月ほどしか見ることができません。 | |||
ツチイナゴ(Patanga japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・イナゴ科・ツチイナゴ亜科・ツチイナゴ属>
イナゴ科ツチイナゴ属のバッタで、在来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。 海外では、中国からインドまで広く分布する。 独特の模様がある茶褐色のバッタで、成虫の体長はオスが50〜55mm、メスが50〜70mmと大型。 全身が茶褐色で、細かい毛が生えており、背中には黄白色の線が頭部から尾部まで走っている。 複眼の下に淡黄色で縁取られた黒い線、胸部の側面にも黒と淡黄色の縦しまがある。 大半の幼虫は、終齢幼虫まで鮮やかな黄緑色をしているが、稀に褐色型の幼虫もいる。 成虫になると黄緑色から一転して茶褐色にかわる。これは、枯草の多い冬季に保護色となる。 日本に分布するバッタ類は、卵で越冬する種類ばかりだが、本種は成虫で越冬し、翌年の初夏に産卵する。 そのため、他のバッタ類が成虫となる夏頃には幼虫で、成虫が現れるのは10月頃からである。
2021/10/30
城山湖の駐車スペースの近くの草原で、ツチイナゴをよく見かけました。 他のバッタ類がいなくなる10月頃から成虫が現れだす、ちょっと変わり者のバッタです。 眼の下から黒い涙が流れ落ちたような斑紋が特徴で、幼虫にも成虫にも見られます。 成虫は茶褐色の体色なのに対して、幼虫は鮮やかな黄緑色というのも変わっています。 これは、夏の幼虫期は黄緑が目立たず、枯葉の増える秋は茶褐色が目立たないという訳です。 ただ、幼虫にも変わり者が居て、下段右のような茶褐色の幼虫が少数いるようです。 | |||
タンザワフキバッタ(Parapodisma tanzawaensis Tominaga et Wada)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・フキバッタ亜科・ミヤマフキバッタ属>
バッタ科ミヤマフキバッタ属のバッタで、日本固有種・本州固有種。 日本では、本州の関東(千葉県南部〜群馬県南部〜埼玉県〜神奈川県〜静岡県東部〜伊豆半島)に分布する。 神奈川県では比較的多く見られ、和名のタンザワは丹沢山地に由来するようです。 メスアカフキバッタの分布域と隣接しており、隣接地域では交雑個体群が見られる。 そのため、メスアカフキバッタの亜種とされたこともあるが、現在は独立種とされている。 体長は、オスが21〜23mm、メスが26〜29mmで、出現時期は7月〜10月。 主に低山帯の広葉樹林の林縁に多く、台地や丘陵帯には分布せず、山地帯の記録も稀である。 複眼から伸びる黒条は、オスでは前胸背板後端まで伸びるが、メスでは頭部を超えると消えるか不明瞭になる。 ヤマトフキバッタに酷似しているが、翅は本種の方が小さく、ヤマトフキバッタのように重なることはない。 昼行性で日中に活動するが、動作は緩慢であり、翅が退化しているので飛ぶこともない。 主にキク科のフキ、ツワブキ、ヤブレガサなどを食べるが、他の多くの草本も食べる。 夏から秋にかけて土中や朽木に産卵し、卵で越冬して、翌春に孵化する。
2020/6/14
城山湖の遊歩道を歩いているとき、通路脇の葉の上に小さなバッタの幼虫を見かけました。 小さなものから比較的大きなものまで、3世代が揃っていました。 幼虫の特徴からヤマトフキバッタかタンザワフキバッタの若齢幼虫と思われました。 以前に撮影していたフキバッタの幼虫とは、複眼から伸びる黒条などに若干の違いが見られます。 これらをいろいろと見比べた結果、タンザワフキバッタの若齢幼虫と判断しました。 | |||
ヤマトフキバッタ(Parapodisma setouchiensis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・フキバッタ亜科・ミヤマフキバッタ属>
バッタ科ミヤマフキバッタ属のバッタで、在来種。 日本では、本州の青森県南部から四国、九州、屋久島、種子島に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国に分布する。 低地から丘陵地、山地まで広く生息し、一部では森林限界まで見られる。 この属の中では、ミカドフキバッタと並んで広い範囲に分布する。 別名は、セトウチフキバッタ、トガリバネフキバッタ。 体長は、オスが22〜28mm、メスが27〜38mmで、出現時期は7月〜9月。 複眼から伸びる黒条は、オスでは頭部のみのものから前胸背板後端まで伸びるものまで変異がある。 しかし、メスでは頭部を超えると消えるか前胸背に僅かに伸びる程度である。 タンザワフキバッタに酷似しているが、翅はヤマトワフキバッタの方が大きく、翅が重なる。 昼行性で日中に活動するが、動作は緩慢であり、翅が退化しているので飛ぶこともない。 主にキク科のフキ、ツワブキ、ヤブレガサなどを食べるが、他の多くの草本も食べる。 夏から秋にかけて土中や朽木に産卵し、卵で越冬して、翌春に孵化する。
2017/5/17
城山湖の遊歩道を歩いているとき、通路脇の葉の上に小さなバッタの幼虫を見かけました。 とりあえず撮ってはみたものの何者なのか、なかなかわかりませんでした。 幼虫の特徴からいろいろ調べて、ヤマトフキバッタの若齢幼ではないかと思われました。 よく似たタンザワフキバッタの幼虫を見て、その可能性はかなり高いと思っています。 |