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城山湖、城山周辺 野草編(春U)



純揚水式の城山発電所建設にともなって誕生したのが人造湖の城山湖。
その城山湖を周回する散策路があり、その近くでは、いろいろな野草が楽しませてくれます。
また、そこに至る城山の周辺や相模川周辺にもいろいろな野草が見られます。



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
キントラノオ目
トウダイグサ科(アカメガシワ)
ヤナギ科(シバヤナギ)
キンポウゲ目
アケビ科(アケビ、ミツバアケビ)
キンポウゲ科(アキカラマツ、セリバヒエンソウ、ハンショウヅル、キツネノボタン)
クロッソソマ目
キブシ科(キブシ)
シソ目
シソ科(ジュウニヒトエ、オカタツナミソウ、オドリコソウ、ヤブムラサキ)
ハエドクソウ科(トキワハゼ)
セリ目
セリ科(オオハナウド、オヤブジラミ)
城山湖、城山周辺の野草(春U)
和名インデックス


アカメガシワ(Mallotus japonicus)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・エノキグサ亜科・エノキグサ連・アカメガシワ属>

トウダイグサ科アカメガシワ属の落葉高木で、在来種。雌雄異株。
日本では、本州から四国、九州の山野に自生し、空き地などに真っ先に生えてくるパイオニア植物。
日本以外では、東南アジアの山野に分布する。
和名は、新芽が紅色を帯びること、そして、その葉が柏のように大きくなることに由来する。
葉は互生し、葉柄は紅色を帯び、長さは10〜20cm、葉身も同様、葉幅は5〜15cm程でかなり大きい。
初夏に枝先に円錐花序を出し、花弁のない小さな花を多数付ける。
雄花は、苞の脇に数個ずつ付き、多数のオシベが球状に付く。
雌花は、苞の脇に1個ずつ付き、子房には刺状の突起がある。

2016/5/15
城山湖の駐車場。そこから少し離れた斜面で、アカメガシワが赤い新芽を展開していました。
この状態では、雄株か雌株か、判断できません。


アカメガシワの花

     .
<雄花>                   <雌花>
     .
<雄花序>                  <雌花序>
アカメガシワは雌雄異株なので、雄株と雌株があります。
雄株は比較体よく目にしますが、雌株は数えるほどしか見た記憶がありません。
雄株と雌株では花序の見た目が上記のように異なり、各々に付く雄花と雌花も形が異なります。


シバヤナギ(Salix japonica)
<キントラノオ目・ヤナギ科・ヤナギ亜科・ヤナギ連・ヤナギ属>
   

 
ヤナギ科ヤナギ属の落葉低木で、日本固有種。フォッサマグナ要素植物の1つ。
日本では、関東地方南部から愛知県にかけて分布している。
樹高は1〜3mほどで、樹皮は赤褐色〜黄褐色。枝は水平に伸びて、先がやや下垂する。
葉は互生し、長さ4〜10pの披針形で先が尖り、葉縁には鋸歯がある。
若葉は紅色で、葉裏には白毛が生えているが、時間の経過とともに緑色になり、毛も落ちる。
花期は、3月〜4月で、葉の展開と同時に開花する。
雄花序は、長さ4〜5cmで直立し、雄花が密集して付く。
雄花にはオシベが2個あり、開花すると葯が黄色いので、黄色く丸いブラシ状になる。
雌花序は、長さ4〜8cmほどの緑色で、先がだらりと垂れさがり、雌花が密集して付く。
雌花は先すぼまりの円錐状で、花柱は短く、柱頭は2裂する。
果序の長さは10cm以上になり、刮ハは6月頃に黄色く熟して先が2裂し、綿毛を密生させる。
この綿毛の基部に種子が付いていて、風で運ばれる。

2017/5/17
城山湖の駐車場。そこから少し離れた斜面で、白い長毛に覆われた花序が目につきました。
後で調べるとシバヤナギの雌株と分かりました。
刮ハが黄色く熟して裂開し、綿毛が出てきていたようです。

アケビ(Akebia quinata)
<キンポウゲ目・アケビ科・アケビ属>

アケビ科アケビ属の蔓性落葉低木で、茎は蔓になって他物に右巻きで巻き付き、古くなると木質化する。
日本では、本州から四国、九州の山野に自生している。
葉は互生し、楕円形の小葉5個が掌状に付く複葉で、小葉は先端がくぼみ、基部はくさび形、縁は全縁。
花期は4月〜5月で、花は雌雄同株ではあるが、雌雄異花で、花序の先に数個の雄花、基部に雌花が数個付く。
花は淡紫色で花弁がなく、花弁のような萼片が3個あり、雌花は雄花より一回り大きく、直径は30mmほど。
雄花では、6個のオシベの先端がくっついて丸くなっているが、雌花では、太いメシベが放射状に開いている。

2017/5/17
城山湖の遊歩道脇などで、アケビの葉をよく目にしました。
良く除草されるようで、大きな株はなく、1mに満たない蔓に葉が付いているだけでした。


アケビの花

       .
<雄花>            <花序>            <雌花>
アケビの花序で、2個の雄花と3個の雌花が見えています。
雄花が花序先に、雌花が基部に付くのですが、雌花の花柄が長いので、雌花の方が外側になります。


ミツバアケビ(Akebia trifoliata)
<キンポウゲ目・アケビ科・アケビ属>

アケビ科アケビ属の蔓性落葉低木で、茎は蔓になって他物に右巻きで巻き付き、古くなると木質化する。
日本では、北海道から本州、四国、九州の山野に自生している。
アケビより耐寒性があり、育成地域が広い。また、荒れ地や乾燥地でも繁茂する。
葉は互生し、楕円形の小葉3個が掌状に付く複葉で、小葉は先端がくぼみ、基部はくさび形、縁は全縁。
花期は4月〜5月で、花は雌雄同株ではあるが、雌雄異花で、花はアケビより濃い濃紫色。
新葉の脇から総状花序を下垂し、花序の先に十数個の雄花、基部に雌花が数個付く。
花は花弁がなく、花弁のような萼片が3個あり、雌花は雄花より数倍大きく、直径は15mmほど。
雄花では、6個のオシベの先端がくっついて丸くなり、萼片は後ろに反り返って目立たない。
雌花では、大きな萼片が平開し、3〜6個の太いメシベが放射状に開いている。

2017/5/17
城山湖の遊歩道脇などで、アケビ同様、葉をよく目にしました。
良く除草されるようで、大きな株はなく、1mに満たない蔓に葉が付いているだけでした。


ミツバアケビの花

     .
アケビの花は見たことがあるのですが、ミツバアケビの花は見たことがありませんでした。
それが、千葉の方にゴルフに行ったとき、木に絡みついて咲いているのを見かけました。
近づけないところだったので、アップでは撮れませんでしたが、色とか咲き方は分かりました。
ミツバアケビの花序には、数個の雌花が基部に付き、その先に多数の雄花が見えています。
花の形は似ていますが、その花色と付き方はかなり異なります。


セリバヒエンソウ(Delphinium anthriscifolium)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・オオヒエンソウ属>
 

   
キンポウゲ科オオヒエンソウ属の1年草で、中国原産の帰化植物。強い毒性がある。
日本では、本州の関東から東海地方に分布している。
草丈は15〜50cmで、茎は直立して上部で分枝し、短い屈毛がある。
葉は互生し、2〜3回3出複葉。小葉は三角状卵形で、小さな切れ込み多くある。
花期は4月〜6月で、上部の葉腋から総状花序を出し、直径20o前後の花を3〜5個付ける。
花は、青紫色の萼片5個と、白っぽい花被片1対、オシベが変化した赤紫色の花弁1対からなる。
上部の萼片には1cmほど突き出た距があり、上側の花被片1対にも距がある。距には蜜が多くにたまる。
下側にある広卵形の花弁1対は密接して、オシベに覆いかぶさる。
メシベは1〜3個、オシベは10個あるが、上から覆われて正面からは見えなくなる。
横からは花糸や黄色い葯を覗き見ることができる。
ツボミも距が突き出た独特のスタイルで、見方によってはオタマジャクシに見えなくもない。

2017/5/17
城山湖の手前にある本沢梅園。その斜面で見慣れない青紫色の花を見かけました。
淡いきれいな色の花ですが、色が地味目で、小さいこともあり、あまり目立ちません。
後で調べて、その独特の花の形から、セリバエンビソウと直ぐに分かりました。

アキカラマツ(Thalictrum minus var. hypoleucum)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・カラマツソウ属>
 
キンポウゲ科カラマツソウ属の多年草で、在来種。別名タカトウグサ(高遠草)。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は1m以上になり、茎頂に円錐花序を付ける。
葉は2〜4回3出複葉で、小葉は長さ1〜4cmの広倒卵形。
葉先は3〜5残裂し、基部は丸い。葉裏は緑白色で、葉脈は少し盛り上がる。
葉柄基部の托葉には波状歯があり、1〜2節にも小托葉がある。
花期は7月〜10月で、茎頂の大きな円錐花序に、直径10mm前後の淡黄白色の花を多数付ける。
花弁はなく、花弁に見えるのは萼片で、多数のオシベが長く淡黄色の葯が目立つ。
メシベは2〜4個で、花柱がなく、子房に直接柱頭が付く。
痩果はメシベと同数で、果体2〜4個が星状に付く。果体は紡錘形で隆起8本の稜があり、果柄はない。

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流の河川敷の土手で見かけました。
まだ、花期ではありませんので、写真のように花序が伸び始めたばかりです。
花が咲いていないので、カラマツソウかアキカラマツか迷いました。
ただ、相模川の上流といっても平地なので、山地性のカラマツソウではなく、本種としています。

ハンショウヅル(Clematis japonica Thunb.)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・センニンソウ属>
 

   
キンポウゲ科センニンソウ属のつる性落葉低木で、在来種。
日本では、本州と九州に分布する。海外では主に温帯に分布している。
茎は暗紫色を帯び、葉は対生して葉柄が長い3出複葉で、頂小葉が若干大きい。
小葉は長さ3〜5cmの卵形で先が尖り、縁には粗い鋸歯がある。
花期は5月〜6月で、葉腋から長さ6〜12cmの花柄を出し、花を1個付ける。
花は長さ3cmほどの鐘形で、暗紅紫色で金属光沢があり、4裂して先が反り返る。
なお、花弁に見えるのは萼片で、花弁はない。
和名は、この下向きに咲く花の形を半鐘に例えたことに由来する。

2017/5/19
城山湖の遊歩道脇で見かけたハンショウヅルの花です。
花を見ればわかる通り、クレマチスの釣鐘型の花と同系統の花です。

キツネノボタン(Ranunculus silerifolius var. glaber)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ属>


 
キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草で、在来種。
キツネノボタンを無毛の変種(Ranunculus silerifolius var. glaber)とせず、
ヤマキツネノボタンを母種とする広義のキツネノボタンとする分類が一般的。
日本では、北海道から本州、四国、九州の路傍や溝などの湿地に普通に自生する。
草丈は15〜80cmで、茎はよく分枝して、斜上する毛があるが、無毛に近いものもある。
葉は1〜2回3出複葉で、小葉は卵形で3深裂し、裂片には不揃いな鋸歯がある。
茎葉には短柄があり、3出複葉。ただし、上部の茎は単に3深裂する。
ヤマキツネノボタンと比較して、葉幅が広い。
花期は4月〜7月で、茎の上部に直径10mmほどの黄色い花をいくつか付ける。
花弁は5個で光沢があり、萼片も5個で、オシベ、メシベは多数ある。
集合果は球形で、花床に短毛がある。個々の痩果は扁平な広倒卵形で、長さは3mm強ある。
この痩果の先の曲がり具合をキツネノボタンとの識別点としていたが、変異が多く、近年は使われない。
痩果の断面形状で、片側のみ3稜で、反対側は1稜のものが本種やヤマキツネノボタンである。
ケキツネノボタンは両端とも3稜があるので、見た目が扁平になる。

2016/4/16
城山湖の手前にある本沢梅園。その斜面で見かけたキツネノボタンです。
若い果実ができていたので、その形状(片側が1稜)と葉幅が狭いことから本種としました。


ヤマキツネノボタン

     .
2017/8/5
八ヶ岳自然文化園で見かけたヤマキツネノボタンの果実とその葉です。
果実の形状は、こちらの方が分かりやすいでしょうか。
葉の幅は、キツネノボタンより明らかに狭いことが分かると思います。


キブシ(Stachyurus praecox)
<クロッソソマ目・キブシ科・キブシ属>
 
キブシ科キブシ属に属する雌雄異株の落葉低木で、日本固有種。別名、キフジともいう。
日本では、北海道西南部から本州、四国、九州で見られる。
樹高は2〜4mで、樹皮は赤褐色〜灰褐色。皮目がある。
葉は互生し、葉身は6〜12cmの長楕円形で先が尖り、葉縁には鋸歯がある。葉柄は1〜3cm。
花期は3月〜5月で、葉の展開前に、前年枝の葉腋から長さ3〜20cmの総状花序を垂れる。
雌雄異株で、雄株、雌株、両性株があり、各々、雄花、雌花、両性花を付ける。
なお、雄花序は長く、雌花序や両性花序は短い。また、雄花序の方が一足早く咲く。
花は長さ7〜9mmの鐘形で、淡黄色の4弁花。萼片も4個あるが、内側の2個が花弁のように大きい。
オシベは8個、メシベは1個あるが、雄花はオシベが長く、子房は小さい。
一方、雌花ではオシベが短く、子房が大きくなり、両性花は両者の中間で、ほぼ同じ長さになる。
液果は、直径7〜12mmの広楕円形の球形で硬く、熟すと黄褐色になる。

2017/5/19
城山湖の遊歩道をほぼ一周し、人造湖を堰き止めている提に降りる所で見かけました。
枝に丸いものがたくさんついて、所々にぶら下がっています。
最初、この丸いものがツボミなのか、果実なのか見分けがつきませんでした。
あとで、写真を拡大してみて、果実だとわかりましたが、何の果実なのか分かりません。
別件で、キブシを調べていて、これがキブシの果実であることが分かりました。
たしかに、キブシの花の付き方と、果実の付き方は同じですね。


キブシの花

     .
2010/3/21
城山カタクリの里で見かけたkibushiキブシの花です。
少し開いた花弁からオシベとメシベの柱頭が覗いており、ほぼ同じ長さなので両性花と思われます。
花序の長さがかなり長いので、下記のハチジョウキブシの可能性があります。

     .
2015/4/4                 2016/4/3          .
新宿御苑にあるかなり大きなハチジョウキブシです。
花序の長さは20cmほどになり、鮮やかな新葉とのツーショットはなかなかです。


オドリコソウ(Lamium album var. barbatum)
<シソ目・シソ科・オドリコソウ亜科・オドリコソウ属>
 

 
シソ科オドリコソウ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
草丈は30〜50cmで、茎はやわらかく、4稜形で中空。ばしば紫褐色を帯び、節に長い毛がある。
葉は十字対生し、長さ5〜10cmの広卵形で先が尖る。縁に粗い鋸歯があり、網目状の脈が目立つ。
花期は4月〜5月で、上部の葉腋に白色〜淡紅紫色の唇形花を密に輪生する。
花冠は長さ3〜4cmで、筒部は湾曲し、上唇は曲がって上部は丸くなり、白毛を密生する。
下唇は3裂し、側裂片は刺状で小さく、大きい中央裂片は先が2裂して、白毛と腺毛がある。
萼には10脈あり、5中裂した裂片は細長く尖る。萼筒の基部は黒褐色。
オシベは4個で、外側の2個がやや長くなり、黒い葯4個が、2個ずつ上下に並ぶ。
葯の周囲には白毛が密生している。メシベの花柱は先が2裂し、オシベの葯の間にある。

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流の河川敷の土手で、ちょっとした群落になっていました。
写真では見たことがありますが、実物は初見です。思っていたより大きな花でした。

ジュウニヒトエ(Ajuga nipponensis)
<シソ目・シソ科・キランソウ亜科・キランソウ属>
 
シソ科キランソウ属の多年草で、日本固有種。
花がなければキランソウに似ているが、花茎が立ち上がるので花期には区別は容易。
国内では、本州と四国に分布している。
草丈は20pほどになり、葉は対生して付く。葉身は長さ4p前後の長楕円形で、縁に粗い鋸歯がある。
葉や茎に毛が多く、そのために葉は緑白色に見える。
花期は4月〜5月で、葉腋から穂状花序を立ち上げ、淡紫色の花を輪生する。
小さな上唇は2残裂し、大きな下唇は3深裂し、中央裂片が大きく前に迫り出す。
オシベは4本あるが、内、2本が長い。

2017/5/17
城山湖の手前にある本沢梅園。その斜面で見かけたジュウニヒトエです。
既に花期は終盤で、花はわずかに残っている程度でした。

オカタツナミソウ(Scutellaria brachyspica)
<シソ目・シソ科・タツナミソウ亜科・タツナミソウ属>
 
2017/5/17
 
2017/5/19
シソ科タツナミソウ属の多年草で、日本固有種。
日本では、本州と四国に分布し、丘陵地の木陰に多い。
草丈は50cmほどにもなる。葉は対生し、縁には波状の鋸歯がある。
葉は、下部ほど小さく、節間が長くなり、上部では集まって付くので逆三角形になる。
花はタツナミソウに似ているが、花序は上下に伸びず、集まって付き、同じ方向を向かない。
花色は、タツナミソウより淡い淡紫色で、唇型の花を上向きに立てる。
下唇の斑紋は薄く、斑紋がほとんどないものもある。
萼は上下に分かれ、円形の上側の萼が花に押されるように立つ。花後には2枚の萼は閉じる。

2017/5/17 城山湖の手前にある本沢梅園。その斜面で見かけたオカタツナミソウです。
ほぼ花期は終わり、わずかに1輪だけ花が残っていました。
2017/5/19 城山湖の周囲を巡る遊歩道脇で見かけたオカタツナミソウです。
あちらこちらで見かけましたが、まだ、花真っ盛りという株ばかりでした。
周りを木々で囲まれ、日当たりがあまり良くないためでしょうか、上記とは花期がずれているようです。
花の色も、上記が赤紫色に近いのに対して、見かけたものは青紫色の花ばかりでした。

ヤブムラサキ(Callicarpa mollis)
<シソ目・シソ科・ムラサキシキブ属>
 

 
シソ科ムラサキシキブ属の落葉低木で、東アジアで唯一の種である。
日本では、本州宮城県以南から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島に分布している。
低山の林縁や明るい林内に生え、株元で分枝し、斜上して樹高は2〜3mになる。
樹皮は灰褐色でなめらかであり、枝には星状毛が密生する。
葉は対生し、長さ5〜10cmの長楕円形で先が尖り、葉縁には細かい鋸歯がある。
葉の表面には微毛が散生し、裏面には白い星状毛が密生する。
花期は6月〜7月で、葉腋から集散花序を出し、紅紫色の花を2〜10個付ける。
花冠は長さ4〜5mmで、上部は4裂し、萼片は平開する。萼には白い軟毛や星状毛が密生する。
オシベは4個、メシベは1個で、共に花冠から長く突き出す。
果実は角果で、直径4mmほどの球形。熟すと紫色になり、下部は毛が密生する萼片に包まれる

2017/5/19
城山湖の周囲を巡る遊歩道脇で見かけたヤブムラサキのツボミです。
最初に見かけたとき、こればツボミなのか果実なのかよくわかりませんでした。
調べたのですが、なかなか分かりませんでした。
その後、別のものを調べていて、このモジャモジャがヤブムラサキのツボミと分かりました。
もう少しすると、紅紫色の花が開いたものと思います。

トキワハゼ(Mazus pumilus)
<シソ目・ハエドクソウ科・サギゴケ亜科・サギゴケ属>


 
ハエドクソウ科サギゴケ属の1年草。日本各地の畑や道端に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、東南アジア、インドに分布する。
やや乾いた所を好み、匐枝は出さない。
基部の葉は長さ数cmの卵形で浅い鋸歯がある。茎葉は少なく小さい。
花期は4月〜10月と長く、初春から晩秋まで咲き続け、花期の短いサギゴケとは異なる。
上唇は紫色で、下唇は淡紫色で、黄褐色の不規則な斑紋がある。

2016/3/19
城山発電所の管理棟横の通路脇で、トキワハゼが花を付けていました。
小さな花ですが、周りには他に花がない所でしたので、目立っていました。

オオハナウド(Heracleum lanatum Michx. var. lanatum)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・ハナウド属>
 

 
ウコギ科タラノキ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州近畿地方以北に分布する。
関東以西では、亜高山や高山に、東北地方や北海道では平地でも見られる。
海外では、ラスカ、アリューシャン、カムチャッカ、サハリンに分布する。
草丈は2m近くになり、茎は太くて中空で直立し、上部で枝分かれする。
葉は互生し、基部では葉柄は長く3出葉で、小葉は3〜5裂する。
夏、上部に大きな複散形花序を付け、白色の5花弁の小花をたくさん付ける。
中央と周辺では花弁の形が異なり、周辺部の花では、外側の1花弁が大きく、2深裂する。

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流の河川敷の土手で見かけました。
草むらの中から大きく立ち上がり、白い花を咲かせていましたので、よく目立ちます。
境川近くの小田急線の法面に大きな群落があり、花の特徴を知っていたので、直ぐそれと分かりました。

オヤブジラミ(Torilis scabra)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・ヤブジラミ属>
 

 


セリ科ヤブジラミ属の越年草で在来種。原野や道端などに普通に見られる。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。海外では朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
草丈は30〜70cmで、茎は直立し、上部で分枝する。日当たりが良いと茎や若い果実が紫色を帯びる。
葉は互生し、3回3出羽状複葉になり、小葉の裂片は細かく切れ込み、両面に粗い短毛が生える。
花期は4月〜5月でヤブジラミより早く、茎頂に複散形花序を付け、数個の小花を付ける。
花色は白色〜淡紅紫色で、花弁は5個。なお、その大きさは不揃いである。
果実は長さ6mm前後の長楕円体で、先がカギ状に曲がった刺毛がある。

※ ヤブジラミ :花数が多く、果実の刺は白色で基部から湾曲し、熟すと淡褐色になる。
  オヤブジラミ:花数は少なく、果実の刺は紅紫色を帯びて先だけが曲がり、熟すと黒くなる。

2017/5/17
上段は、梅園の下草として、一面を覆っていたオヤブジラミです。
既に花期は終わっているようで、全てが果実になっていました。
理由はわかりませんが、茎から果実まで、白いものがびっしりと着いています。
そのため、一面が白というよりは、銀色に覆いつくされているようでした。
中・下段は、その梅園から少し離れた所にあったオヤブジラミです。
こちらは、まだ、花は咲き、果実も本来の紅紫色を帯びて先だけ曲がった刺です。
見た目は異なりますが、どちらも先だけが曲がった刺で、花数が少ないので本種としました。









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