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城山湖、城山周辺 野草編(春W)



純揚水式の城山発電所建設にともなって誕生したのが人造湖の城山湖。
その城山湖を周回する散策路があり、その近くでは、いろいろな野草が楽しませてくれます。
また、そこに至る城山の周辺や相模川周辺にもいろいろな野草が見られます。



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
マメ目
マメ科(ハリエンジュ)
ミズキ目
アジサイ科(ガクウツギ、マルバウツギ)
ミズキ科(ミズキ)
ムクロジ目
ウルシ科(ヤマウルシ)
ミカン科(ナツミカン)
ムクロジ科(イロハモミジ)
ヤシ目
ヤシ科(ワジュロ)
ヤマノイモ目
ヤマノイモ科(タチドコロ)
ユリ目
イヌサフラン科(チゴユリ、ホウチャクソウ)
サルトリイバラ科(サルトリイバラ)
ユリ科(ヤマホトトギス)
リンドウ目
アカネ科(ヨツバムグラ)
リンドウ科(フデリンドウ)
 
ウラボシ目
オシダ科(ベニシダ)
コバノイシカグマ科(フモトシダ)
城山湖、城山周辺の野草(春W)
和名インデックス


ハリエンジュ(Robinia pseudoacacia)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ハリエンジュ連・ハリエンジュ属>


 
マメ科ハリエンジュ属の落葉高木で、北米原産の移入種。
日本には、1873年に輸入され、街路樹、公園樹として植栽された。
標準和名は「ハリエンジュ」であるが、一般にはニセアカシアの名で呼ばれる事が多い。
輸入当初、本種をアカシアの名で呼んでいたが、本来のアカシアが輸入された際、変更された。
その名前が、「pseudoacacia」の直訳である「ニセアカシア」である。
樹高は20m以上になり、5月〜6月に大量の花を付ける。上質な蜜が取れる蜜源植物である。
葉は、奇数羽状複葉で、小葉は5〜9対付き、基部に一対の托葉由来の棘がある。
総状花序を付け、房状に強い芳香のある白色の蝶形の花を大量に咲かせる。

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川に沿った道路を行くと、河川敷にハリエンジュが点々と並んでいます。
植栽されているように見えませんので、上流で結実したものが流されて、芽吹いた結果と思います。
花が白いので、見てわかる通りあまり目立ちません。

ガクウツギ(Hydrangea scandens)
<ミズキ目・アジサイ科・アジサイ族・アジサイ属・アジサイ節・コアジサイ亜節>
 


アジサイ科アジサイ属の落葉低木で、日本固有種。
国内では、本州(関東地方以西、太平洋側)、四国、九州に分布する。
樹高は1〜2mで、よく分岐し、枝は開出する。若枝は淡褐色だが、翌年に灰白色となる。
葉は対生し、葉身は長さ4〜8cmほどの長楕円形で、先が尖り、縁には浅い鋸歯がある。
花期は5月〜6月で、枝先の散房花序は、周辺に装飾花を、中央に小さな両性花をたくさん付ける。
装飾花の白い萼片は4枚あるが、内、1枚は退化してないか、あっても極小さい。
その他の萼片は、その大きさがバラバラで揃わない。
装飾花にも退化して結実はしないが、花弁やオシベ、メシベはある。
中央の両性花は、ツボミの頃は淡黄緑色で、開花すると淡黄色になる。
なお、両性花は直径5mm前後で、鈍頭の花弁は5個、オシベ10個、柱頭は3裂する。
姿形はノリウツギ(花期は7月〜9月)に似ているが、花期が早い。
また、コガクウツギは、花が一回り小さく、装飾花の数も数個と少ない。

2017/5/19
城山湖の遊歩道脇で見かけたガクウツギの花です。
あまり花は付いていなかったのですが、装飾花の大きな白い萼片が眼を引きます。
よく見ると、装飾花の中央にも花弁、オシベ、メシベのある花があります。
なお、この木の装飾花の萼片は、全て3個で、4個のものは見られませんでした。

※ コガクウツギと迷ったのですが、葉の大きさ、表面のつや、花の大きさから本種としました。

マルバウツギ(Deutzia scabra)
<ミズキ目・アジサイ科・ウツギ属>


   
アジサイ科ウツギ属の落葉低木で、日本固有種。別名は、ツクシウツギ。
日本では、本州関東以西から四国、九州に分布する。
平地に多いウツギに対して、マルバウツギは標高の高い山地に多い。
樹高は1〜2mで、幹は灰色〜灰褐色で、樹皮は縦に裂けて剥がれる。よく分岐し、枝は開出する。
葉は対生し、長さ5〜12cmの楕円形〜卵形で、ウツギなどと比較すると幅広で丸みがある。
葉先は短く尖り、縁には細かい鋸歯がある。葉表は緑色、葉裏は淡緑色で、両面に星状毛がある。
葉には短い葉柄があるが、花序のすぐ下に付く葉には葉柄がない。
花期は4月〜6月で、枝先に円錐花序を出し、直径15mm前後の小花を多数付ける。
花は白い5弁花で、平開するため中心部のオレンジ色の花盤が目立つ。
萼片は5個で、10個のオシベの花糸には翼があり、メシベの花柱は3個。
果実は球形の刮ハで、長さは3o程。星状毛が多く、萼片と花柱が残存する。

2017/5/17,19
城山湖の遊歩道脇の所々で、マルバウツギの花が咲いていました。
この花は、白い花の中央にある、鮮やかなオレンジ色の花盤が眼につきます。
ミズキ(Cornus controversa)
<ミズキ目・ミズキ科・ミズキ亜科・ミズキ属>






 
ミズキ科ミズキ属の落葉高木で、在来種。別名は、クルマミズキ。
日本では、北海道から本州、四国、九州と各地に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ヒマラヤまで、広く分布している。
樹高は10〜20mで、樹皮は灰褐色〜汚灰色で、縦に浅く裂け目ができる。
枝張りが独特で、枝を扇状に四方に広げ、階段状の樹形になる。
若枝は丸く、最初は毛があるが、徐々に毛が取れて無毛となり、冬は赤みを帯びた紅紫色になる。
葉は互生し、枝先に集まって付く。葉身は6〜15cmの広卵形〜広楕円形。
葉先は尖り、長さ2〜5cmの葉柄があって、全縁。葉裏は白っぽく、葉脈が隆起する。
花期は、5月〜6月で、新枝の先に散房花序を上向きに出し、多数の小花を付ける。
花は白い4弁花(3弁花もある)で、長さ5mm前後の長楕円形の花弁は平開する。
オシベは4個で、花糸の長さは5mm前後。花柱は1個で長さは3o前後。萼筒には白い伏毛が密生する。
果実は球形の核果で、直径は6〜7mm。6月〜10月に赤色から黒紫色に熟す。
なお、果実が熟す頃になると、果柄が赤く色づくのでよく目立つ。

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流で見かけたミズキです。
まだ、ツボミが多くて、開花間もない樹もあれば、既に花が終わって、若い果実になった樹もありました。
どの樹も樹高が10mを超すような大木なので、望遠レンズで見上げての撮影です。
なお、葉が互生している事が確認でき、本種であると分かりました。



 


2017/5/19
城山湖の遊歩道から城山湖畔に降りる所で、谷沿いに大きなミズキの樹が花を付けていました。
樹まで距離があって、近づくことができないのでアップの写真は撮れませんでした。
ただ、水平に枝を張り出す独特の樹形、葉が互生している点からミズキと分かりました。

ヤマウルシ(Toxicodendron trichocarpum)
<ムクロジ目・ウルシ科・ウルシ属>
 
ウルシ科ウルシ属の落葉低木で、在来種。雌雄異株。
日本では北海道から本州、四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
樹高は3〜8mで、樹皮は灰白色に褐色の縦筋がある。
本年枝には短い軟毛が密に生え、楕円形の皮目がある。
葉は互生し、長さが20〜40cmの奇数羽状複葉で、小葉は4〜8対。葉軸は赤みを帯びる。
小葉は、長さ4〜15cmの楕円形で先が尖る。葉表には毛が散生し、葉裏の脈上には毛が密生する。
葉縁は全縁か数個の鋸歯がある程度。ただし、幼木では鋸歯が多く、目立つ。
花期は5月〜6月で、枝先に円錐状の花序を付け、多数の黄緑色の小花を密生する。
花序の長さは15〜30cmになり、花序の軸には粗い毛が生える。
花は5弁花で、花弁は長さ2mmほどの長楕円形。
雄花の花弁は反り返り、オシベは外に突き出る。
雌花の花柱も外に突き出し、柱頭は3裂する。子房には刺毛が密生する。
果実は直径5mm前後の扁球形で、刺毛が密生し、黄褐色に熟す。
外果皮は剥がれやすく、剥がれると縦筋のある白い蝋質の中果皮が露出する。
ウルシと同じウルシオールを樹液に含み、触れるとかぶれる。

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流の河川敷で見かけたヤマウルシです。
まだ、開花までには時間かかるようで、花序を立ち上げたばかりのようです。
そのため、雄株か雌株かの判断ができませんでした。

ナツミカン(Citrus natsudaidai)
<ムクロジ目・ミカン科・ミカン属>
 
ミカン科ミカン属の常緑小高木。
江戸時代中期に、黒潮に乗って山口県に漂着した種子が起源とされ、その原木が残る。
樹高は3mほどになり、よく分枝する。若枝は緑色で扁平。稜角があり葉腋から短い棘が出る。
葉は対生し、葉身は長さ10cm前後の楕円状披針形で、縁には低い鈍鋸歯がある。
葉は革質で両面無毛。葉柄には狭い翼がある。
花期は5月〜6月で、枝先の葉腋から花柄の伸ばして白い5弁花を付ける。
花は多くの場合単生するが、稀に総状花序を作り、複数の花を付けることもある。
果実は、直径12cm前後、重さ500gほどになり、果皮がかなり分厚い。
晩秋に黄色く色付くが、酸味が強く、酸味が弱くなる翌夏季までは食用に向かない。
ナツミカンの枝変わり種であるアマナツミカンに取って代わられてきた。

2017/5/17
城山発電所から本沢梅園へ行く途中で、ナツミカンの花が咲きかけていました。
写真の撮れる所では、この1輪のみが開きかけで、後はツボミばかりでした。

イロハモミジ(Acer palmatum)
<ムクロジ目・ムクロジ科・カエデ属>


 
ムクロジ科カエデ属の落葉高木で、本州の福島県以南から四国、九州に分布する。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾と東アジアに分布する。
日本では最もよく見られるカエデ属で、秋には黄褐色から紅色に紅葉する。
葉は対生し、掌状に5〜9深裂し、この裂片を「いろはにほへと……」と数えたことが和名の由来。
4〜5月頃、本年枝の先に暗赤色の花が垂れ下がってつく。雄花と両性花がある。
5個の暗紫色の萼片と、5個の黄緑色もしくは紫色を帯びる花弁をもつ。
果実は翼果で、10〜15mm程の翼があり、熟すと風で飛ばされる。

※ よく似たモミジの識別は、下記の特徴から大まかに判断できる。
大まかに言って、イロハモミジとオオモミジは太平洋側、ヤマモミジは日本海側に自生する。
葉は、イロハモミジとヤマモミジは重鋸歯、オオモミジは単鋸歯である。
翼果は、イロハモミジは水平に開き、葉の上からかぶさるように実をつける。
ヤマモミジとオオモミジは、開いたV字型かU字型で、葉の下にぶら下がるように付く。
イロハモミジは極端な日陰でない限り紅葉するが、
ヤマモミジとオオモミジは黄葉、紅葉、源平と個体差がある。

2017/5/17,19
城山発電所から本沢梅園へ行く途中や遊歩道脇などで見られたイロハモミジです。
既に花期は過ぎて、若い果実をたくさん付けていました。
葉の特徴や果実の形状や葉の上に付く事からイロハモミジと分かります。

ワジュロ(Trachycarpus fortunei)
<ヤシ目・ヤシ科・シュロ属>
 
ヤシ科シュロ属の常緑高木で、在来種。雌雄異株であるが、稀に雌雄同株も見られる。
日本では、九州地方南部に自生するが、耐寒性が高く、東北地方でも栽培されている。
海外では、中国南部からミャンマー北部まで分布する。
樹高は10mに達し、幹は円柱形で、分枝することなく垂直に伸びる。
幹には枯れた葉柄と葉鞘網が残存し、上部まで密に覆われる。
幹の上部に葉を叢生し、直径50〜80cmの扇状に多数の裂片に裂ける。
裂片は幅15〜30mmの線形で、内に折れ、先は2残裂する。
若い葉は斜上して立ち上がり、古くなると先が折れて垂れ下がる。
葉柄は1mほどあり、基部には歯牙と刺状突起が並ぶ。
幹と接する部分は三角状に広がり、幹を抱くような形になっている。
その下部には数十cmの暗褐色の葉鞘網があり、これがシュロ皮である。
シュロ皮の繊維は、腐りにくく伸縮性に富むため、縄やほうきなどに加工される。
花期は5月〜6月で、葉の間から長さ30〜40cmの円錐花序を出す。
雄花序の雄花は淡黄色で、球形に近い。長さ3o程の広卵形の花弁は3個。
オシベは6個で、花糸は円柱状。メシベは退化しているが、3個ある。
雌花序には、雌花と両性花が付き、雌花は淡緑色。メシベ3個と退化したオシベ6個がある。
果実は液果で、長さ10mm前後、幅8o前後の扁球形で、熟すと黒くなる。

ワジュロよりも樹高が低く、葉が小さくて下垂しないトウジュロがある。
ワジュロと同種とする説もあるが、庭園などの植栽に向く品種である。

2017/5/10
城山湖に行く途中、相模川の上流の河川敷で見かけたワジュロの雄株です。
雄花序はかなり大きくなっていますが、まだ、未開花です。
シュロの種は鳥によって運ばれ、糞と共に排泄されて、それが芽吹くことがままあります。
そのようなシュロをノラジュロとかノジュロというそうですが、この樹もその類と思われます。

タチドコロ(Dioscorea gracillima Miq.)
<ヤマノイモ目・ヤマノイモ科・ヤマノイモ属>
   
ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性の多年草で、在来種。雌雄異株。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では中国に分布している。
和名は、草姿がオニドコロに似ていて、最初は茎が直立していることに由来する。
地下には肥厚した根茎があり、茎は初め直立する。伸びるにしたがって上部はつる状になる。
葉は互生し、長さ5〜10cmの三角状卵形で、先は長く尖り、基部は心形。
葉は全縁か細かい波状縁となり、両面無毛。長い葉柄がある。ムカゴは付かない。
花期は5月〜7月で、葉腋から穂状花序を出し、雄花序は直立し、雌花序は下垂することが多い。
雄花序は、不規則に分枝し、花軸が細いことから下垂することが多い。
雄花は、内花被片、外花被片、各々3個からなり、内花被片が外花被片夜少し長めで、黄色を帯びて平開する。
オシベは外花被片の基部から出て葯を持つ3個と、内花被片の基部から出て葯の退化した仮オシベ3個がある。
オシベの花糸は湾曲するが、仮オシベの花糸は直立する。退化したメシベは中央にあるが、仮オシベより短い。
雌花序は下垂して分枝せず、雌花を不規則にまばらに付ける。
雌花は雄花同様、内花被片、外花被片、各々3個からなり、黄色を帯びて平開するが、下部に子房がある。
オシベは6個あるが、葯を持たない仮オシベで、メシベの花柱は3裂する。子房には翼がある。
花後、雌花の子房は上向きになって成長する。刮ハは長さ、幅とも20mm前後で、薄い3室の翼状。
楕円形の種子は各室に2個入っており、全周に翼がある。ただ、片側が欠損しているものもある。

2017/5/19
城山湖の遊歩道脇の所々で、タチドコロが花を付けていました。
写真の花は雄花です。雌花がないか気を付けて見ていたのですが、見つけられませんでした。

チゴユリ(Disporum smilacinum)
<ユリ目・イヌサフラン科・チゴユリ属>
 
イヌサフラン科チゴユリ属の多年草で、在来種。
国内では、北海道から本州、四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、サハリンに分布する。
草丈は15〜30pで、球根はなく、太めの地下茎を持つ。通常は分枝しないが、分枝するものもある。
葉は互生し、葉身は長さ5p前後の楕円形から長楕円形で、先は鋭く尖り、縁は波打つ。
花期は4月〜5月で、茎頂に1個か2個の花を横から下向きに付ける。
花被片は6個で、長さは15o程の白い披針形。オシベも6個あり、花柱の先は3裂して反り返る。
果実は液果で、直径は10o程の球形。黒く熟す。
種子での繁殖以外に、地下茎による無性繁殖もする。

2001/5/4
城山湖の遊歩道を散策中に見かけたチゴユリの群落です。
この斜面に固まって咲いていて、ちょうど見頃になっていました。

ホウチャクソウ(Disporum sessile)
<ユリ目・イヌサフラン科・チゴユリ属>
 
イヌサフラン科チゴユリ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、樺太に分布する。
雑木林などで、樹間の開けた場所に多い。草丈は50cm程になり、上部で分枝する。
地下茎を伸ばし、その先に翌年の株が出来る。
葉は互生し、長さ10cm前後の長楕円形で先は尖る。葉の表面には光沢がある。
花期は4月〜5月で、枝先に花を数個付ける。
花被片の基部(白)から先端(淡緑色)までのグラデーションが美しい。
3枚の花被片と3枚の萼は合着していないが、開かないので筒状になる。
若芽は有毒成分を含むので、よく似た山菜のアマドコロやナルコユリと間違えないよう注意が必要。

2001/5/4
城山湖の遊歩道を散策中に見かけたホウチャクソウの群落で、ちょうど見頃になっていました。
チゴユリの群落にほど近い場所ですが、この場所にはホウチャクソウのみが群生していました。

 

   
2017/5/19
城山湖の遊歩道脇の所々で、ホウチャクソウが花を付けていましたが、小さな株ばかりでした。
既に花期は終盤を迎えているようで、散ったものなどが見受けられました。
下段は、それを時系列に並べてみたもので、左が咲いて間もない花、右は散った花です。

※ 大きなホウチャクソウの株やよく似たアマドコロ属との比較はこちらを参照ください。

サルトリイバラ(Smilax china)
<ユリ目・サルトリイバラ科・シオデ属>

サルトリイバラ科シオデ属のつる性落葉半低木で、在来種。
日本では北海道から沖縄まで全国に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
山野や丘陵の林縁などで、日当たりが良く、水はけのよい所を好む。
茎は地を這うように伸び、長さは1〜3.5mほどになる。緑色で硬く、鈎状の刺が散生する。
葉は互生し、長さ3〜12cmの円形から広楕円形で、基部は円形で、先が少し尖る。
葉の縁は全縁で硬く、表面に光沢がある。3〜5本の葉脈があり、その表面は凹む。
葉柄には托葉が変化した長い巻ひげが1対あり、これを他の物に巻き付けて伸びる。
花期は4月〜5月で、葉腋から散形花序を出して、多数の淡黄緑色の花を付ける。雌雄異株。
花被片は6個で、長さ4mm前後の長楕円形で、先が反り返る。
雄花のオシベは6個、雌花には柱頭が3本あり、子房は3室ある。
なお、雄花のメシベと、雌花の仮オシベは、共に退化してほとんどない。
果実は液果で、直径7〜9mmの球形。10月〜11月に赤く熟す。

2016/4/19
城山湖の遊歩道脇で見かけたサルトリイバラの若葉です。
この株では葉の中ほどに褐色の斑紋が入っていますが、このような斑紋が入ることがあるようです。
ヤマホトトギス(Tricyrtis formosana Baker)
<ユリ目・ユリ科・ホトトギス属>

ユリ科・ホトトギス属の多年草で、在来種。
日本では、関東以西の太平洋側および長野県に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国にも分布する。
葉は互生し、葉身は長さ10〜0cmの長楕円形で、先は尖り、縁は多少波打つ。
芽生えの頃の葉と基部の葉に黒っぽい斑点(油点)が多くある。
花期は7月〜9月で、茎頂や上部の葉腋に散房花序を出し、上向きの花を数個付ける。
花は直径20o程で、6個の花被片は反り返り、白地に紅紫色の斑点がある。
なお、他のホトトギス属に見られる花被片基部の黄色い斑紋はない。
花の中心から3個の花柱が、10o程立ち上がって横に広がり、さらに柱頭は2裂する。
それを取り囲むように6個のオシベが同様に立ち上がり、メシベの下で横に湾曲する。
花糸の外面や花柱の基部には、斑点があるものや無いものがある。

2017/5/19
城山湖の遊歩道の所々で、ヤマホトトギスを見かけました。
この時期では花は咲いていませんが、油点のある特徴的な葉と撮影地から種類が絞られます。
ホトトギス、ヤマホトトギス、ヤマジノホトトギスなどです。
花がないので断定はできませんが、この辺りに多いのはヤマホトトギスなので、本種としています。


ヤマホトトギスの花

       .
2017/5/3               2017/9/1               2017/9/5
町田市の薬師池公園で見かけたヤマホトトギスです。
5月に見たときには花がなくて確定できませんでしたが、9月に花を見て本種と確定しました。
ヤマジノホトトギスやホトトギスは、このように分枝した散房花序は付けません。


ヨツバムグラ(Galium trachyspermum)
<リンドウ目・アカネ科・アカネ亜科・ヤエムグラ属>
 
アカネ科ヤエムグラ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は20〜50cmで、茎は下部で分枝して直立し、4稜形の四角形で、細くて無毛。
葉は、長さ6〜15mmの卵状長楕円形で、4個が偽輪生(内2個は托葉が変化したもの)する。
基部ば最も幅が広く、先がやや尖る。葉縁は全縁で長毛が生え、裏面にも長毛が生える。
花期は5月〜7月で、茎頂や葉腋から短い花序を出し、直径1mmほどの淡黄緑色の花を多数付ける。
花冠は4深裂(稀に5深裂)し、オシベは4個ある。花冠の下に2室の子房がある。
果実は痩果で、花後に果柄が伸びて5mm前後になる。果実の表面には白い小突起が多数ある。

似ているものには、下記のようなものがあるが、各々に特徴があり、区別することができる。
ヒメヨツバムグラがあるが、葉幅が狭く先が明瞭に尖る。
ヤマムグラは、やはりは幅が狭く先が尖るが、花冠に白色毛がある。
ホソバノヨツバムグラは、葉先が丸くなり、花冠は3深裂する。

2017/5/19
城山発電所から遊歩道へ入る入り口近くで見かけたヨツバムグラです。
まだ、花はツボミ状態でしたが、近々開花しそうな様子です。
葉幅が広く、葉先が尖っており、葉縁に白い長毛が見られるので、本種としました。

フデリンドウ(Gentiana zollingeri)
<リンドウ目・リンドウ科・リンドウ連・リンドウ属>


 
リンドウ科リンドウ属の越年草、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、樺太に分布する。
山地の林内や日当たりの良いやや乾いた草原に自生する。
葉は対生し、広卵形で全縁。やや分厚く、裏面は赤紫色を帯びることが多い。
草丈は10cmほどになり、茎の上部に青紫色の花を数輪、上向きに付ける。
花期は4〜5月で、日が当っている時のみ開花し、夜や曇天、降雨時には閉じている。
花は漏斗状で、花色は青紫色。花冠は、5つの長い裂片と5つの短い裂片(副片)に分かれる。
長い裂片の裏側は緑色で、花が閉じた時、この緑色の部分のみが外から見えるように閉じる。
オシベは5本で短く、メシベの柱頭は5裂し、長い。

2017/5/19
城山発電所内の道路脇で、フデリンドウが可憐な花を咲かせていました。
日当たりの状況で、写真では花色が異なっていますが、見た目は上段の写真に近い。

ベニシダ(Dryopteris erythrosora)
<ウラボシ目・オシダ科・オシダ属>


 

     
オシダ科オシダ属の常緑性シダ植物で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は50〜120cmで、根茎は短く匍匐し、斜上して群生する。
葉は長さ40〜60cmの2回羽状複葉。葉柄は長さ20〜30cmあり、茶褐色の鱗片がやや密に付く。
葉身は少しつやのある緑色であるが、若葉では紅色を帯びることが多く、それが和名の由来でもある。
羽片は長さ15〜20cmで、15〜20対付き、披針形で先が尾状に伸びる。
最下羽片はやや下向きに付き、下側第1小羽片は無柄で小さく、残裂する。
胞子嚢群は、小羽片の辺縁と中肋の中間かやや中肋寄りに付き、包膜は紅紫色を帯びる。

2017/5/19
城山湖の周囲を巡る遊歩道脇で見かけたベニシダです。
新葉はかなり赤味が強く、眼を引きました。時間が経ったと思われる赤味の少ない物もありました。
最下段は、各々の葉の裏側を拡大したもので、左の赤っぽい方は、まだ、展開途中のようです。

フモトシダ(Microlepia marginata)
<ウラボシ目・コバノイシカグマ科・フモトシダ属>


 
コバノイシカグマ科フモトシダ属の常緑性シダ植物で、在来種。
日本では、本州東北地方南部から四国、九州、沖縄に分布する。
海外では、中国、台湾、インド〜東南アジアに分布する。
草丈は60〜100cmで、根茎は直径5mm前後で赤褐色の毛が密生する。
葉は長さ70cm前後の単羽状葉で、先が長く尖る。
羽片は22〜25対ほど付き、長さ5〜8pの線状披針形で、先が尖る。基部は耳状に張り出す。
葉柄は淡褐色で硬く、長さが50〜70cm。基部は根茎と同じ毛がある。
中軸から羽軸の腹面には、黄褐色の短毛があり、葉の両面にも毛があって、全体に毛深い。
胞子嚢群は、羽片の辺縁近くに付き、包膜はポケット状、長毛がある。

2017/5/19
城山湖の周囲を巡る遊歩道脇で見かけたフモトシダの新葉です。
まだ伸び出したばかりで、完全には展開していませんので、見た目のイメージがかなり異なります。
なお、上段の写真で、左下に古い葉の基部が少し見えています。葉柄も黒っぽいですね。









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