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城山湖、城山周辺 野草編(夏U)



純揚水式の城山発電所建設にともなって誕生したのが人造湖の城山湖。
その城山湖を周回する散策路があり、その近くでは、いろいろな野草が楽しませてくれます。
また、そこに至る城山の周辺や相模川周辺にもいろいろな野草が見られます。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の野草を追加しました。
カラムシ、コアカソ、ヒメコウゾ、テリハノイバラ、ノイバラ、オニシバリ、ムラサキツメクサ、
イタチハギ、コマツナギ、ウツギ、クマノミズキ、サルトリイバラ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
バラ目
イラクサ科(カラムシ、コアカソ)
クワ科(ヒメコウゾ)
バラ科(テリハノイバラ、ノイバラ)
フトモモ目
ジンチョウゲ科(オニシバリ)
マメ目
マメ科(ムラサキツメクサ、イタチハギ、コマツナギ)
ミズキ目
アジサイ科(ウツギ)
ミズキ科(クマノミズキ)
ユリ目
サルトリイバラ科(サルトリイバラ)
リンドウ目
キョウチクトウ科(テイカカズラ)
 
ウラボシ目
イノモトソウ科(オオバノイノモトソウ)
オシダ科(テリハヤブソテツ)
ヒメシダ科(ミゾシダ)
ゼンマイ目
ゼンマイ科(ゼンマイ)
城山湖、城山周辺の野草(夏U)
和名インデックス


カラムシ(Boehmeria nivea var. nipononivea)
<バラ目・イラクサ科・カラムシ連・カラムシ属>
 
イラクサ科カラムシ属の多年草で、在来種。ただ、史前帰化植物とする説もある。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に、海外では、台湾や中国に分布する。
草丈は100〜150cmで、茎は叢生して、直立かやや斜上し、斜上毛が密生する。
葉は互生し、葉身は長さ10〜15cmの広卵形で先が鋭く尖り、縁には鈍鋸歯がある。
上部につく葉裏には、白い綿毛が密生する。葉柄は3〜9cmで、斜上毛が密生する。
花期は8月〜9月で、雌雄同株。葉腋の円錐花序を付け、下部に雄花序、上部に雌花序が付く。
雄花は、花被片が4個とオシベが4個あり、オシベは花被片より長く突き出て、平開する。
雌花は球状に集まり、2個の花被片が合着して花被筒となり、長さは1o弱。花柱は線形。
果実は花被筒に包まれ、長さ1mm弱の卵円形。

2020/6/14
城山湖の遊歩道脇にある石垣に際でみかけたカラムシの若葉です。
まだ、大きなものでも20cmほどしかありませんが、これから1mを超えるまで成長します。

コアカソ(Boehmeria spicata)
<バラ目・イラクサ科・カラムシ連・カラムシ属>
 
イラクサ科カラムシ属の多年草で、在来種。雌雄同株である。
日本では、本州から四国、九州に、海外では、朝鮮半島から中国、モンゴルに分布する。
草丈は0.5〜3mになり、茎は木質化して茎や葉柄は赤みを帯びる。
葉は対生し、長さ4〜8cmの菱状卵形で、先が尾状に延び、基部は広い楔型。
葉の縁には鋭い鋸歯があり、鋸歯の数は10対以下(クサコアカソは10〜20対)である。
花期は8月〜10月で、雌花序は茎上部の葉腋に付き、雌花が集まって赤みを帯びた球形が並ぶ。
雄花序は雌花序より下の葉腋に付き、黄白色の雄花が花軸に不揃いに多数付く。
有性生殖の2倍体と無性生殖の3倍体があり、2倍体の葉は小形のことが多う。
なお、無性生殖の3倍体には、雄花序がないのが普通である。
雌花は2個の花被片が合着して花被筒となって痩果を包み、多数集まって球形の集合果となる。
果実は痩果で、長さ0.9〜1.2mmの倒卵形で淡褐色。11月〜12月に熟す。

2020/6/14
城山湖の遊歩道脇にある石垣に際で見かけた、コアカソの若葉です。
まだ、大きなものでも20cmほどしかありませんが、これから1mを超えるまで成長します。
最初、この葉を見てヤブマオだと思っていました。しかし、秋に見たときに間違いに気づきました。
茎や葉柄は赤みを帯び、葉の鋸歯が10対以下しかなかったので、コアカソと分かったのです。
という訳で、ヤブマオからコアカソに変更いたしました。

ヒメコウゾ(Broussonetia kazinoki)
<バラ目・クワ科・コウゾ属>
 
クワ科コウゾ属の落葉低木で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に、海外では朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
ヒメコウゾもコウゾとよばれ、ミツマタと並び和紙の原料として古くから栽培されていた。
なお、コウゾ(B. kazinoki×B. papyrifera)はヒメコウゾとカジノキ(B. papyrifera)の雑種。
樹高は2〜5mになり、樹皮は褐色で狭楕円形の皮目が目立つ。
葉は互生し、葉身は長さ4〜10cmのゆがんだ卵形で、2〜3裂するものもある。
縁には細かい鈍鋸歯があり、葉質は薄く、表面は短毛が散生して、先は尾状に長く尖る。
花期は4月〜5月で、新枝の下部の葉腋に雄花序、上部の葉腋に雌花序をつける。
雄花序は直径1cmほどの球形で、1cmほどの花序柄がある。
雌花序は直径5mmほどの球形で、長さ5mmほどの赤紫色の糸状の花柱が多数付く。
花柱には基部で2分岐した柱頭の名残りの突起がある。
果実は直径1cm前後の球形の集合果で、6月〜7月に橙赤色に熟し、食べられる。

2020/6/14
城山湖の遊歩道脇で見かけたヒメコウゾの若い果実です。
見かけたとき、葉の形からヤマグワかと思ったのですが、果実の形が異なります。
ヤマグワの果実は細長いのですが、この果実は球形なので、その点に注目して調べました。
その結果、ヒメコウゾと分かったのですが、このとき、コウゾが雑種である事を初めて知りました。

テリハノイバラ(Rosa luciae/Rosa wichuraiana)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・バラ属>
 
バラ科バラ属のつる性落葉低木で、日本では本州から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、フィリピンに分布する。
茎には鉤形の刺があり、立ち上がらず、地を這って伸びる。
葉は互生し、長さ8p前後の奇数羽状複葉。小葉は2〜4対で、頂小葉と側小葉の差はない。
小葉は長さ2p程の楕円形で、両面とも無毛で厚みがあり、鋭い鋸歯がある。葉表に光沢がある。
花期は6月〜7月で、枝先に直径3p程の白花を数個付ける。
花弁は5個で、オシベは多数ある。花柱は合着し、毛がある。
偽果は直径8o程の卵球形で、真っ赤に熟す。

2020/6/14
城山湖のダムの周辺にはノイバラが多く、除草対象外のエリアでは大きくなっていました。
ダムに下りていく遊歩道脇でも白い花が見られたので、てっきり、ノイバラだと思っていました。
たまたま、このとき近くに行って、葉の光沢などからテリハノイバラだと気が付きました。
この斜面一体で見られるのは、どうやら全てテリハノイバラのようです。


ノイバラとテリハノイバラ

ノイバラ
テリハノイバラ

花の直径は20mm前後

花の直径は30〜35mm

しわがあり、光沢がない

厚みがあり、光沢がある

花の見かけはよく似ていますが、テリハノイバラは大きい分、オシベが小さく見えます。
ただ、花の大きさやオシベの長さなどには変異があるので、花だけでは決めきれません。
両者の判別には、その葉を見るのが確実です。
名前の通りテリハノイバラの葉は、革質で厚みがあり、表面に強い光沢があるのが特徴です。
ノイバラの葉は、表面にしわがあり、光沢がないので葉で両者を見分けることができます。


ノイバラ(Rosa multiflora)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・バラ属>
 
バラ科バラ属の落葉つる性低木で、日本のノバラの代表種。
沖縄以外の日本各地の山野に多く自生する。
日本以外では朝鮮半島に分布する。
樹高は2mほどになり、茎は枝分かれして直立するが、他のものに寄り掛かって這い登ることも多い。
葉は互生し、長さ10pほどの奇数羽状複葉で、小葉数は7〜9個。
小葉は楕円形で細かい鋸歯があり、表面に艶がない(テリハノイバラは艶がある)。
花期は5月〜6月で、枝先に円錐花序枝を付け、白色または淡紅色の花を多数付ける。
花は直径2cmほどで、5個の花弁は倒卵形。オシベは多数。
メシベは無毛で、花柱はゆるやかに合着して柱状になる。
果実に見えるのは偽果で、萼筒が肥大したもの。直径8mm前後の卵球形で、秋に赤く熟す。

2008/6/14
城山湖のダムの周辺にいくと、やはりノイバラが多く、除草エリアでは新枝を伸ばしていました。
除草エリア外である、ダムから遊歩道に上がる辺りには大きくなったノイバラが見られました。
ただ、以前、この場所ではたくさん写真は撮っていたので、今回は撮影していません。

オニシバリ(Daphne pseudomezereum)
<フトモモ目・ジンチョウゲ科・ジンチョウゲ属>
 
ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑小低木で、在来種の有毒植物。
日本では、本州の東北〜東海東部の太平洋岸、近畿地方以西、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
樹高は0.5〜1.5mで、枝はよく分枝し、汚灰茶色で全体が無毛。
枝は短く、丈夫で平滑であり、不規則な縞があって無毛。
樹皮は非常に丈夫で切れにくいため、鬼を縛っても切れないだろうというのが和名の由来。
葉は互生し、葉身は長さ4〜13cmの長楕円形で、半革質で柔らかく、両面とも無毛。
基部は楔形、先は鈍形で全縁。側脈は7〜12対あり、縁近くは不規則に分枝して網目状。
7月〜8月に落葉するのでナツボウズの別名がある。8月〜9月に枝端から新葉と蕾が生える。
花期は2月〜4月で、雌雄異株。花は淡黄緑色で、葉腋に束生状に2〜10個付く。
花弁はなく、長さ5〜9mmの萼筒の先が4裂し、長さ3〜5oの裂片が開出する。
花序柄や苞は無く、花柄はごく短い。オシベは8個ある。
下側のオシベは咢筒の中間に付き、上側のオシベはのど部に付いて萼筒から少し出る。
雌株の花の方が少し小ぶりで、花後、小花柄は枝にいぼ状に残る。
子房は無柄で楕円形になり、花柱はごく短く、柱頭は円盤形になる。
果期は5月〜7月で、直径8mm前後の楕円体の液果が赤く熟すが、辛くて有毒。

2020/6/14
城山湖の遊歩道脇の斜面で、真っ赤に熟した果実がたくさん付いた木を見つけました。
何の果実かと近寄ってみると、真っ赤な楕円体の果実が葉腋に固まって付いていました。
ただ、倒披針形の葉で、赤い実を付ける木は記憶にありません。写真だけ撮って後で調べました。
その結果、オニシバリという有毒な木の実と分かりました。
調べている際、利尻島で見たナニワズと同じ属で、よく似ていることを知りました。
利尻島で見たのはナニワズの花ですが、本種も淡黄緑色の似た花を付けるとのこと。
葉の形状や果実の付き方、夏に落葉することも、両者は大変似ています。
ちなみに、ナニワズの別名は、エゾナツボウズだそうで、これも似ていることの現れですね。

ムラサキツメクサ(Trifolium pratense)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属>
 
マメ科・シャジクソウ属の多年草で、ヨーロッパ、西アジア及び北西アフリカ原産の帰化植物。
別名はアカツメクサで、白花のものはセッカツメクサともいう。
日本には、シロツメクサと同時期に牧草として移入され、野生化したもの。
地上を這うシロツメクサと異なり、茎は数十cmの高さになる。
葉は互生し、3出複葉。いわゆる三つ葉で、全体で直径15〜30mmになる。
各小葉には、中ほどに三日月形の白い模様が入り、縁には細かい鋸歯がある。
葉柄は長さ1〜4cmで、2本の托葉を持つ。
花期は5月〜8月で、球形の花序を頂生する。花柄は短く、シロツメクサのように長くならない。
花冠は長さ12〜18mmで、萼は筒型で先が5裂する。花は筒状の蝶形花である。
花色は、ピンクのものが多いが変異があり、白に近いものから紅紫色のものまである。

2020/6/14
城山湖の遊歩道脇で見かけたムラサキツメクサです。ここで見られたのはこの一色のみでした。
もっと咲いていても良いような場所なのですが、所々に小さな株がある程度です。

イタチハギ(Amorpha fruticosa)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・イタチハギ連・イタチハギ属>
 

マメ科イタチハギ属の落葉低木で、北アメリカ、メキシコが原産地の帰化植物。
日本には韓国から1912年に砂防用などに導入され、日本各地に野生化している。
高温や乾燥に強く、根の土壌固定力も高く、窒素固定力もあるため、法面緑化に利用された。
日本生態学会は、侵略的外来種ワースト100に選定しているが、
外来生物法では、要注意外来生物の指定に止まっている。
樹高は1〜5mで、樹皮は灰褐色。
葉は互生し、長さ10〜30cmの奇数羽状複葉で、小葉は5〜10対ある。
小葉は長さ1〜4cmの長楕円形〜卵形で全縁。裏面に腺点がある。
花期は4月〜7月で、茎先に長さ6〜20cmの穂状花序を多数付ける。
無柄の花は両性花で、長さは8o前後あり、暗紫色〜暗紫褐色で変異がある。
花弁は旗弁のみで、翼弁と竜骨弁は退化してない。
メシベ、オシベとも花弁から突き出し、花糸は紫色で葯は橙色。
果実は豆果で、長さは1cm前後。表面にイボ状の突起があり、種子が1つ入っていて、裂開しない。

2020/6/14
城山湖のダムに下りていく遊歩道脇で見かけたイタチハギです。
イタチハギの果実がぎっしりとなっているのは、新潟に行く途中で何度も見ています。
まだ、果実が若かったので、花が残っていないか探したところ、1つだけ残っていました。
ただ、花弁らしきものがなく、オシベが飛び出して、咲き終わった花だと思いました。
後で調べて分かったのですが、翼弁と竜骨弁がないので、これが開花状態だったんです。
紫色の旗弁の中から紫色の花糸が突き出し、その先に黄色い葯が付いたのが開花した花でした。


イタチハギの花

     .
2020/6/14                  2023/5/23
イタチハギの花は、神奈川県の城山湖(ダム湖)の近くで初めて見ました。
このイタチハギの花は、紫色に近いもので、Webで見かける写真のものより明るい色でした。
右の写真のイタチハギの花は、兵庫県にある加古川の高砂市側河川敷で見たものです。
Webでよく見る暗紫褐色(見た目焦茶色です)の花で、枯れたような色合いです。


コマツナギ(Indigofera pseudotinctoria)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・コマツナギ連・コマツナギ属>
 
マメ科コマツナギ属の落葉小低木で、在来種。日当たりの良い、原野、道端などに生える。
日本では、本州から四国、九州に分布する。海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
樹高は、数十pから高くても1mほどにしかならない。
根は、硬くて丈夫であり、馬をつなぎ止められるほど強いというのが和名の由来。
茎は直径15oほどになり、枝は細長くて緑色。多数に分枝する。
葉は互生で、短い葉柄の先に奇数羽状複葉の葉身が付く。
小葉は、4〜5対付き、長さ15oほどの長楕円形で、葉先は丸い。全縁で鋸歯はない。
花期は7〜9月で、葉腋から総状花序を直立し、淡紅紫色の花を多数付ける。
花は、長さ5oほどの淡紅紫色で、旗弁は反り返り、翼弁は水平に広がって、竜骨弁より少し長い。
豆果は円柱状で、長さ3pほど。中に5個前後の種子が入っている。

2020/6/14
城山湖の遊歩道脇で見かけたコマツナギです。
花を見たときには、てっきりハギの仲間だと思って写真を撮っていました。
後で調べていて、葉が奇数羽状複葉で、小葉の数が多いのに気付き、コマツナギと分かりました。
コマツナギは何度か見ているのですが、地を這っているイメージしかありませんでした。
ここのは比較的背が高く、上から枝が垂れ下がっていたので、コマツナギに見えなかったのです。

ウツギ(Deutzia crenata)
<ミズキ目・アジサイ科・ウツギ属>
 
アジサイ科ウツギ属の落葉低木で、在来種。ウノハナ(卯の花)とも呼ばれる。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州と全国に分布し、海外では中国に分布する。
日当たりの良い場所を好み、山野の川沿いや林縁に自生する。
樹高は数mになり、よく分枝する。樹皮は灰褐色で、新枝は赤褐色を帯びる。
葉は対生し、葉身は長さ5〜8pほどの楕円形〜卵状披針形で、縁に微細な鋸歯がある。
新枝や葉柄、葉の両面には星状毛があり、葉柄や葉裏の星状毛は密度が高い。
花期は5月〜7月で、枝先に円錐花序を付け、白花を多数付ける。
花弁は5個で、長さ10oほどの倒披針形で、外側には星状毛がある。
オシベは10個で、花弁より少し短めで、花糸の両側に狭い翼がある。
花柱は3〜4個で、花弁とほぼ同じ長さになる。萼片は5個で、丸みのある三角形。
なお、八重咲のものもあり、サラサウツギ(ヤエウツギ)と呼ばれ、花弁の外側に紅色が入る。

2020/6/14
城山湖のダムから遊歩道に上がる所で見かけたウツギの果実です。
花の咲く頃に来たことがないので、このコマのような形の果実しか見られていません。

クマノミズキ(Swida macrophylla)
<ミズキ目・ミズキ科・ミズキ亜科・ミズキ属>
 


ミズキ科ミズキ属の落葉高木で、樹高は10m程に達する。
日本では、本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ヒマラヤ、アフガニスタンに分布する。
若枝はほぼ無毛で4〜6の縦稜がある。
葉は対生し、葉身は長さ6〜16cmの楕円形で、先が尖り、基部は楔型である。
葉柄は1〜3cmで、縁は前縁。葉裏はやや粉白色になる。
花期は6月〜7月で、枝先に、葉より高く散房花序を出し、小さな黄白色の花を密につける。
花弁は4枚で、長さ5mmほどの狭長楕円形をし、雄しべは4本、花柱は1本ある。
花序の枝は、花が咲く頃には緑色だが、果実が熟す頃になると赤くなる。
果実は核果で、直径5mm程になり、7〜10月に紫黒色に熟す。

2020/6/14
城山湖のダムに下りていく遊歩道脇で見かけたクマノミズキです。
ダムの側にはミズキの大きな木があったので、これもそうだと思っていました。
しかし、後で写真を確認していて、葉が対生して付いていることに気が付きました。
そう、ミズキの葉は互生で、対生して付くのはクマノミズキの方です。

サルトリイバラ(Smilax china)
<ユリ目・サルトリイバラ科・シオデ属>
 
サルトリイバラ科シオデ属のつる性落葉半低木で、在来種。
日本では北海道から沖縄まで全国に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
山野や丘陵の林縁などで、日当たりが良く、水はけのよい所を好む。
茎は地を這うように伸び、長さは1〜3.5mほどになる。緑色で硬く、鈎状の刺が散生する。
葉は互生し、長さ3〜12cmの円形から広楕円形で、基部は円形で、先が少し尖る。
葉の縁は全縁で硬く、表面に光沢がある。3〜5本の葉脈があり、その表面は凹む。
葉柄には托葉が変化した長い巻ひげが1対あり、これを他の物に巻き付けて伸びる。
花期は4月〜5月で、葉腋から散形花序を出して、多数の淡黄緑色の花を付ける。雌雄異株。
花被片は6個で、長さ4mm前後の長楕円形で、先が反り返る。
雄花のオシベは6個、雌花には柱頭が3本あり、子房は3室ある。
なお、雄花のメシベと、雌花の仮オシベは、共に退化してほとんどない。
果実は液果で、直径7〜9mmの球形。10月〜11月に赤く熟す。

2020/6/14
城山湖の遊歩道脇でサルトリイバラが蔓を伸ばし始めていました。
まだ、新葉が初々しい黄緑色で柔らかそうです。

テイカカズラ(Trachelospermum asiaticum)
<リンドウ目・キョウチクトウ科・キョウチクトウ亜科・テイカカズラ属>
 
キョウチクトウ科テイカカズラ属のつる性常緑低木で、在来種。有毒植物。
和名のテイカは、藤原定家のことで、能「定家」の伝承に由来する。
日本では、本州から四国、九州に分布し、常緑樹林内や岩場に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、インド、タイに分布する。
茎からは気根を出して他のものに固着する。茎の表面には多数の気根跡が、突起状に残る。
大きなものでは高木層の樹冠に達することがある。そのような木では、幹の直径は数cmになる。
枝は淡褐色〜褐色で、褐色の毛が密生している。
葉は対生し、立ち上がっている枝では長さ2〜10cmの楕円形で全縁。表面には光沢がある。
林床を這う枝や幼木の葉は、長さ1〜2cmと小さく、波状の浅い鋸歯があり、淡緑色の脈状斑紋が見られる。
花期は5月〜6月で、枝先や葉腋から集散花序を出し、多数の白い芳香のある花を付ける。
花冠は直径2〜3cmの高杯形で、筒部は長さ8mm前後、上部は5裂して裂片は捻じれる。
裂片の基部はオレンジ色で、開花直後は白色であるが、徐々に淡黄色に変化する。
果実は袋果で、長さが15〜25cmの円柱形。種子は長さ15mmほどの線形で、先に冠毛状の長毛がある。

2008/6/14
城山湖の周囲を巡る遊歩道脇で見かけたテイカカズラの花です。
樹に絡みつき、白い花をたくさん付けていましたが、自生のものを見たのは初めてです。

オオバノイノモトソウ(Pteris cretica L.)
<ウラボシ目・イノモトソウ科・イノモトソウ亜科・イノモトソウ属>
 
2008/6/14
 
2017/5/19
イノモトソウ科イノモトソウ属の常緑性シダ植物で、在来種。
日本では、本州福島県以南から四国、九州、沖縄に分布し、熱帯、亜熱帯に広く分布している。
草丈は20〜60cmで、根茎は短く、匍匐して密接して葉を出す。
鱗片は長さ5mmほどの線形。葉柄は長さ10〜30cmの褐色で、基部は黒褐色。
葉は栄養葉と胞子葉の2形があり、頂羽片が明確な単羽状複葉で、長さは15〜40cm。
側羽片は長さ12cm前後で3〜7対あり、基部は次第に狭まり、先は尾状に伸びて、葉縁には鋸歯がある。
胞子葉は栄養葉より長く、葉柄は30〜45cmもある。また、羽片の幅が狭くなる。
基部の側羽片は2裂することが多く、長さ数mmの柄がある。上部の側羽片は無柄。
胞子嚢群は羽片の縁に沿って長く伸び、葉の表側が反転したような偽苞膜に覆われる。
胞子嚢群の付かない先端部分の縁には、鋸歯がある。
よく似たイノモトソウは中軸に翼があるが、本種にはない。

2008/6/14,2017/5/19
城山湖の周囲を巡る遊歩道脇で見かけたオオバノイノモトソウです。
左の拡大写真でもわかる通り、中軸に翼がないので本種としました。

テリハヤブソテツ(Cyrtomium laetevirens)
<ウラボシ目・オシダ科・ヤブソテツ属>

オシダ科ヤブソテツ属の常緑性シダ植物で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
草丈は50〜100cmで、根茎は直立し、葉を叢生する。
葉柄は長さ12〜25cmで淡褐色、基部には黒褐色の鱗片が付く。
葉身は長さ20〜40cmの広披針形で、単羽状葉。頂羽片は明瞭で、15〜30対の側羽片が付く。
羽片は長楕円形の鎌状に曲がり、基部は円形で耳垂突出はほとんどない。
羽片の縁は全縁に近く、徐々に細くなるが、先端部分に多少の浅い鋸歯が見られる。
胞子嚢群は円形で全面に散在し、包膜は灰白で、ヤブソテツより大きい。

2008/6/14
城山湖の周囲を巡る遊歩道脇で見かけたテリハヤブソテツです。
最初オニヤブソテツかと思ったのですが、ここは山中。
海岸部に多いオニヤブソテツではないと思い、調べた所、
・羽片につやがあり、鎌状に曲がる
・基部は丸くなり、耳垂突出は見られない
といった羽片の特徴や形状から、本種らしいと分かりました。

ミゾシダ(Stegnogramma pozoi ssp. mollissima)
<ウラボシ目・ヒメシダ科・アミシダ属>

ヒメシダ科アミシダ属の夏緑性シダ植物で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
海外では、台湾、インドネシア、スリランカ、インドに分布する。
草丈は30〜70cmで、根茎は長く這い、毛と鱗片がある。
葉身は長さ20〜50cmの長楕円形で2回羽状深裂。
葉柄は葉身より短く、毛が密生して、基部に三角状披針形で淡褐色〜褐色の鱗片が付く。
側羽片は羽状に深裂し、無柄で線状披針形、尾状に尖る。
上部では、羽片は中軸に流れて頂羽片状になる。
裂片は、三角状長楕円形の円頭で、全縁。葉脈は羽状に分枝して、遊離する。両面とも有毛。
胞子嚢群は線形で脈に沿って伸び、苞膜はなく、胞子嚢は有毛。

2008/6/14
城山湖の周囲を巡る遊歩道脇で見かけた小さなミゾシダです。
といっても、似たようなシダはたくさんあり、あまり自信はありません。

ゼンマイ(Osmunda japonica)
<ゼンマイ目・ゼンマイ科・ゼンマイ属・ゼンマイ亜属>

ゼンマイ科ゼンマイ属の夏緑性多年生シダ植物で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、渓流や水路の脇などによく生える。
海外では、樺太、朝鮮半島から中国、ヒマラヤまで分布する。
草丈は1mほどになり、葉は2回羽状複葉。小葉は披針形で先が丸い。
新芽は渦巻き状で、表面を綿毛に覆われているが、成長すると毛はなくなる。
春に栄養葉と共に胞子葉を出す。栄養葉は1つの株から数枚の大きな葉を出す。
胞子葉は、独立してまっすぐに立ち上がり、棒状の小葉が並ぶ。胞子葉は短期間で消滅する。

2008/6/14
城山湖の周囲を巡る遊歩道脇で見かけた小さなゼンマイです。
小さいながらも、2回羽状複葉で、切れ込みの少ないシダです。
ここに見えているのは栄養葉で、春先に出る胞子葉はこちらをご覧ください。









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