帰省途中で見かけた昆虫
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ベニシジミ(Lycaena phlaeas)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ベニシジミ亜科・ベニシジミ属> シジミチョウ科ベニシジミ属のチョウで、在来種。 ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く分布し、多くの亜種に分かれている。 日本に生息する亜種は、「Lycaena phlaeas americana Harris」である。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 前翅長は15mm前後で、出現時期は3月〜11月と長い。 前翅は表裏とも赤地に黒褐色の斑紋があり、後翅は表面が黒褐色で、裏面が灰色。 雌雄で翅の形が異なり、前翅が尖ったような形のものがオスで、少し丸まった感じのものがメスである。 また、春型ではオレンジ色が鮮やかで、黒斑が小さくなり、縁取りも幅が細くなる。 夏型では、黒斑が大きくなり、オレンジ色部分に縁取りの灰褐色が混ざりこんで、全体が黒っぽくなる。 秋型は、春型のようにオレンジ色が鮮やかになるが、黒斑や縁取りは夏型に近い。 幼虫の食草は、タデ科植物のスイバ、ギシギシ等。冬は幼虫で越冬する。
2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたベニシジミです。 この時期だと、春型から夏型に変わる端境期で、春型と夏型の中間型になります。 まだ、オレンジ色は鮮やかで、夏型のような黒味はありませんが、黒紋や縁取りは夏型です。
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キタキチョウ(Eurema mandarina)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シロチョウ科・モンキチョウ亜科・キチョウ属> 2019/10/4 2022/10/17
シロチョウ科キチョウ属に分類されるチョウで、在来種。
日本では、本州の東北南部から四国、九州、南西諸島に分布する。 海外では、アフリカ中部以南からインド、東南アジア、オーストラリアと広く分布している。 翅は黄色で、前翅、後翅とも外縁は黒色に縁どられ、裏面に黒褐色の斑点がある。 夏型の外縁の黒帯は幅広で、秋型では黒帯は先端に少し残るか、消失する。 幼虫の食草は、ネムノキ、ハギ類のマメ科の植物で、年に数回発生し、成虫で越冬する。 以前は1種とされたが、現在では下記の2種に分類された。しかし、外見からは識別困難。
2019/10/4
土山サービスエリアで、アキノノゲシの周りを飛び回り、訪花しているキタキチョウを見かけました。 鮮やかな黄色の翅の縁を、幅広く黒く縁取っているのが透けて見えているので、夏型のオスと思われます。 2022/10/17 湾岸長島PAの足湯でのんびりした後、周辺を散策中、足元からキタキチョウが飛び出しました。 近くに止まったので、アップで撮ってみました。 この個体も左の個体と特徴が同じなので、夏型のオスでしょうか。 | |||||||||||||
ジャノメチョウ(Minois dryas)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・ジャノメチョウ属> タテハチョウ科ジャノメチョウ属の蝶で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。 海外では、ユーラシア大陸の温帯域に分布する。 前翅長は28〜42mmで、開張は55〜70oになる。 翅は表裏ともに茶褐色で、前翅に2個、後翅に1個の眼状紋があるが、黄色い輪郭はない。 幼虫は、イネ科のススキ、スズメノカタビラやカヤツリグサ科のヒカゲスゲなどを食草とする。 年一化性で、出現時期は7月〜8月。越冬は、1齢〜3齢の幼虫で行う。
2020/7/10
土山サービスエリアで、草原を飛び回っているジャノメチョウを見かけました。 数匹いたのですが、なかなか翅を開いてくれなくて、撮れたのが右の写真です。 ただ、この個体は脱皮に失敗したようで、右側の前翅が歪によじれてしまっていました。 | |||||||||||||
チャミノガ( Eumeta minuscula)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヒロズコガ上科・ミノガ科>
ミノガ科の蛾で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、対馬に、海外では、台湾と中国に分布する。 幼虫の蓑は小枝をたくさん付け、蓑を45°ほどの角度にして取り付くことが多い特徴がある。 また、蓑の形は円筒型に近い形になる(オオミノガは蓑は小枝より葉が多く、紡錘形をしている)。 オスの前翅開張は23〜26mmあり、体色は黒色で、褐色毛が密生している。 翅は暗褐色で、前翅の翅脈上は黒く、外縁には白紋がある。 メスは、蓑の中で羽化するが、翅も脚もないウジ虫のような形態で、生涯、蓑の外に出ることはない。 夕方に蓑の下端からフェロモンを出し、それに誘われて数百m離れていても察知してオスが飛んでくる。 交尾が終わったメスは、産卵を行い、しばらくして地上に落下して死ぬ。
2019/6/19
土山サービスエリアのサザンカらしい樹で、ミノムシを見かけました。 ぶらりと垂れ下がっていますが、蓑に小枝が多く、形も円筒形に近いので、チャミノガとしました。 ※ オオミノガの蓑は、葉が中心で小枝は少なく、きれいな紡錘形で、ぶらりと垂れ下がる。 | |||||||||||||
ヒメナガカメムシ(Nysius plebeius)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ナガカメムシ上科・ ナガカメムシ科・ヒメナガカメムシ亜科> ナガカメムシ科ヒメナガカメムシ亜科に属するカメムシで、在来種。 日本では、本州から四国、九州、小笠原諸島、南西諸島に分布する。 海外では、朝鮮半島、ミクロネシア、ミッドウェーに分布する。 出現時期は4月〜10月で、体長は4mm前後。 体色は灰黄色で、前翅の皮質部の後縁は淡色と暗褐色の縞模様。 イネ科の穂やキク科の花によく集まる小さなカメムシで、翅が透明なためアブのようにも見える。
2021/5/11
鈴鹿パーキングエリアの周囲に広がる草原で、ハハコグサの上に小さなカメムシがいました。 その特徴からヒメヘリカメムシの仲間であろうと思いましたが、名前までは分かりませんでした。 後で調べたのですが、似たものが居て、後ろからの写真からだけでは、同定は困難でした。 腹部が緑色を帯びていない点ではブチヒメヘリカメムシのように見えますが、腹部の模様が合いません。 他に似たものはいないか調べていて、異なる科のヒメナガカメムシに行き当たりました。 腹部の模様も合っているように思えますので、ここではヒメナガカメムシとしました。 2022/4/20 鈴鹿パーキングエリアの周囲に広がる草原で、セイタカハハコグサの上に小さなカメムシがいました。 透明な翅や前翅皮質部の後縁にある褐色の縞模様などから本種と判断しました。 時期的なものなのでしょうが、交尾中のものが多かったです。 今回、ヒメナガカメムシを確認できましたが、昨年の個体も本種で間違いはなさそうです。 | |||||||||||||
アカスジカスミカメ(Stenotus rubrovittatus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・トコジラミ上科・ カスミカメムシ科・カスミカメムシ亜科> カスミカメムシ科カスミカメムシ亜科のカメムシで、イネの重要害虫。 日本では全国に分布し、北日本群、南日本群、関東群の3個体群に大きく分けられる。 1970年代まではあまり認識されていなかったが、1980年代に岩手、宮城、広島で大発生。 2000年には全国で急速に増加し、2010年にイネの重要害虫となった。 体長は5〜8mmで、体色は淡緑色に前胸背の両側から伸びる太い橙赤色の太い縦条があり、触角や脚節は赤色。 出現時期は5月〜9月で、北日本で3回、西日本で5回ほどの発生となる。 他のカメムシと異なり、本種は秋にイネ科雑草の穂に休眠卵を生み、卵で越冬する。 春に孵化し、5回の脱皮を繰り返して、5月頃に越冬世代成虫となる。 このように雑草地のイネ科植物で繁殖し、イネの出穂期に第1〜2世代成虫による吸汁で、斑点米が発生する。
2019/6/19
土山サービスエリアの周囲に広がる草原で、チガヤの穂の上に小さなカメムシがいました。 淡褐色の体色で、脚の腿節が濃いオレンジ色、小楯板の中央部が淡褐色のハート形をしています。 淡い体色から脱皮間もないカメムシではないかと思い、いろいろ探したのですが該当するものが見当たりません。 ただ、体形等からみてカスミカメムシの仲間であろうと探していると、本種が見つかりました。 近年になって稲の害虫として注目されているらしく、被害や駆除の情報はあっても、種としての情報は乏しいです。 数少ない情報から、この色合いは脱皮直後ではなく、本来の色合いと分かりました。 チガヤにいたのは、出穂の早いタイプのチガヤを寄主植物として利用しているのが理由のようです。 | |||||||||||||
エゾゼミ(Lyristes japonicus)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・クマゼミ族・エゾゼミ属> カメムシ目セミ科のセミで、日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 名前に「エゾ」が付いているが、南方系のセミであり、長野県や南東北地方に多い。 基本的に森林性のセミであるため、街中で見かけたり、鳴き声を聞くことは稀である。 北海道や東北地方では平地でも見られるが、本州中部以西では標高500〜1000mの山地に生息する。 良く似た北方系のコエゾゼミとは似てはいても、系統の異なるセミである。 全長は59〜66o、体長は40〜46mm、前翅開帳115〜130mmである。 前胸背側方が白粉で覆われるのが特徴で、この点で同属のセミ類と区別できる。 前胸背外片には黄褐色の帯があり、基本的に途切れることはない。 ただ、個体変異があり、稀に黒色部で黄褐色帯が途切れる個体が見受けられる。
2020/7/09
湾岸長島パーキングエリアに立ち寄った際、トイレに向かう途中、何かが足元を這っていました。 よく見ると、セミの幼虫が脱皮のために這い出してきて、脱皮場所を探しているところでした。 このままでは踏みつぶされかねなかったので、近くの樹に移動させ、写真を撮ったものです。 セミの種類は分からなかったのですが、大きさからいってアブラゼミやミンミンゼミではないようです。 クマゼミかと、クマゼミの抜け殻と比べてみましたが、似てはいますが前胸部の皺が違う気がします。 他にはと思ったとき、目に付いたのがエゾゼミで、皺の形も似ていました。 改めて見直すと、前胸部の皺や毛の少なさなども一致しますので、エゾゼミの幼虫としました。 ※ 下の写真では分かりにくいですが、クマゼミの幼虫の脚や頭部はかなり毛深いです。 ただ、本州中部以西では標高500〜1000mの山地にしかいないという点が気になります。
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Pochazia shantungensis(シノニム:Ricania shantungensis)
<カメムシ目・頸吻亜目・ハゴロモ型下目・ハゴロモ上科・ハゴロモ科・Pochazia属> ハゴロモ科の1種で、外来種。まだ、和名はないようである。 在来種のアミガサハゴロモとよく混同されているが、白斑や翅脈の形状が異なる。 Web上では、海外のよく似たものとして、下記の2種が上がっている。
後者は、フランスで撮影された画像や解説を見ることができた。 後者に関しては、駆除に関する論文なども発表されていて、それらをまとめると下記の通りである。 「浙江省の道端や山東省の果樹園で見られ、最近、韓国西部やトルコに侵入している。 2010年に韓国南部の沿岸地域で報告され、2018年にトルコと南フランスで報告されている。 体色は暗褐色〜黒色で、体長はオスで7.5〜7.8mm、前翅端までは14〜14.4mmである。 メスでは体長は8.3〜8.8mmで、前翅端までは15〜15.3mmである。 頭部は前後に短く、左右に幅広くて、眼は茶色〜暗褐色。 幼虫は、尾端にフィラメント状の白いロウ物質を付け、体を覆っている。」 今回撮影したものをこの両者と比較した場合、下記の点から後者に近いと思われる。
2022/10/17
湾岸長島PAの足湯でのんびりした後、周辺を散策したのですが、その時に見かけました。 以前、実家の近くで見たものと同じだと思われ、セイタカアワダチソウの葉に10匹ほどが群れていました。 中国から朝鮮半島経由で入ってきたのでしょうか。厄介な果樹害虫のようです。 実家は兵庫県で、この辺りにもいるということは、北上して分布を広げているのかもしれません。 | |||||||||||||
キゴシハナアブ(Eristalinus quinquestriatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族・ナミハナアブ属・ホシメハナアブ亜属> 日本では、本州から四国、九州、南西諸島まで広く分布する。 海外では、朝鮮半島から中国に分布する。 幼虫は、腐敗した植物を食べ、成虫は花に集まり、蜜や花粉を食べる。 幼虫は、水中生活をするため長い呼吸器官を持っていて、その姿からオナガウジと呼ばれる仲間である。 出現時期は4月〜11月で、体長は9〜12mmある。胸部、腹部とも光沢がある。 胸部背面の三本と側縁にある一本の黄色の縦筋、腹部の黄色の帯模様がある。 頭部は半球状で大きく、黄色い複眼には褐色のゴマ塩模様がある。
2022/10/17
湾岸長島PAの足湯でのんびりした後、周辺を散策したのですが、その時に見かけました。 セイタカアワダチソウがたくさん咲いていたのですが、その花を次々と訪花していました。 複眼のごま塩模様が特徴のアブで、多摩川の河川敷ではよく見かけましたが、久しぶりに見ました。 左は複眼が接しているのでオスで、右は複眼が離れているのでメスです。 | |||||||||||||
ナミハナアブ(Eristalis tenax)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族>
ハナアブ科ナミハナアブ族の1種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで全国に広く分布する。 日本以外でも、ほぼ全世界に分布している。 ハナアブ科の代表種で、春に様々な花に集まり、蜜や花粉を食べる。 体長は15mm前後で、出現時期は4月〜10月である。 腹部に赤黄色の縞模様があり、腹部前寄りの三角斑は橙色で大きい。 胸部は褐色で不明瞭な模様がある。また、翅の中央付近が褐色をしている。 体色や模様からハチと間違われやすいが、ハエ特有の大きな複眼を持つ。 一般に、複眼が接しているのがオスで、複眼が離れているのがメスである(例外もある)。 幼虫は、水中生活をするため長い呼吸器官を持っていて、その姿からオナガウジと呼ばれる仲間である。 幼虫は、腐敗した植物を食べ、成虫は花に集まる。成虫で越冬し、冬でも暖かい日には飛び回る。
2020/10/31
土山サービスエリアを朝早く散策したのですが、気温が低くて昆虫類はあまり見かけませんでした。 そんな中、セイタカアワダチソウの上でホバリングしているアブを見つけました。 ホバリングしながらちょこちょこと場所を変えるので、なかなかシャッターが押せません。 何とか撮れたのがこの1枚のみでした。若干ピントが甘いですが、何とか見られます。 真横からの写真のみですが、腹部の色や上部に見える黒い部分から、ナミハナアブと判断しました。 | |||||||||||||
ホソヒラタアブ(Episyrphus balteatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ ハナアブ科・ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族・ホソヒラタアブ属> ハナアブ科ヒラタアブ族の1種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 海外では、アジアから欧米まで、非常に広範囲に分布している。 活動時期は3月〜11月と広く、晩秋まで見られる。 体長は8〜11mmで、細く平たい腹部に対して、複眼と頭部が大きい。 腹部はオレンジ色と黒色の縞模様で、各々の節に太い黒帯と細い黒帯がある。 ホバリングの名手で、ホバリングと移動を繰り返しながら花から花へと飛び回る。 幼虫はアブラムシを食べ、成虫は花の蜜や花粉を食べる。成虫で越冬する。
2022/10/17
湾岸長島PAの足湯でのんびりした後、周辺を散策したときに見かけたホソヒラタアブです。 ヒナギキョウに止まっている個体も、アキノノゲシの所でホバリングしている個体もメスでした。 | |||||||||||||
ハグロケバエ(Bibio tenebrosus)
<ハエ目・カ亜目・ケバエ下目・ケバエ上科・ケバエ科・ケバエ亜科> <オス> <メス> 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。 動作が鈍く、飛翔も得意ではないようで、じっと止まっていることが多い。 メスアカケバエとは異なり、メスもオス同様真っ黒である。 メスが一回り大きく、複眼がオスよりもかなり小さい所などは、メスアカケバエと同様。 体長は11mm前後で、メスアカケバエより少し大きめである。 メスはメスアカケバ異なり真っ黒なので一目瞭然であるが、オスはどちらも黒いので識別が難しい。 ただ、オスの背中には光沢がなく、胸の毛が褐色なのに対して、メスアカケバエの毛は黒色なので、判別可能。
2015/4/24
浜名湖サービスエリアを散策中、手すりやベンチなどの周りを黒いものが飛び回っていました。 たまに止まるので、よく見てみるとケバエの仲間でした。雌雄とも真っ黒でした。 後で確認してみると、予想通りハグロケバエでした。
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ニホンミツバチ(Apis cerana japonica Radoszkowski)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・ミツバチ族・ミツバチ属>
日本の固有種で、トウヨウミツバチの亜種。韓国に生息するトウヨウミツバチの近縁種になる。 セイヨウミツバチと比べると、腹部が黒っぽく、セイヨウミツバチのようにオレンジ色にはならない。 天敵のオオスズメバチに対して、蜂球を作って、内部温度をオオスズメバチの致死温度48℃にする必殺技を持つ。 セイヨウミツバチと比較すると、蜜の収集能力は劣る。 体長は、働きバチで10〜13mm、雄バチで12〜13mm、女王バチでは13〜17oある。 腹部の黒い帯模様はほぼ等幅で、全体に黒っぽく、セイヨウミツバチのような黄褐色部はない。 働きバチが、卵から成虫になるのに要する期間は19日で、女王バチは15日である。 女王バチは1週間ほどで成熟し、交尾飛行に出て、交尾後巣に戻る。 巣に戻るとと、元の女王は半数の働きバチを連れて出て行って蜂球を作り、分蜂が起こる。 働きバチが偵察に出て、新しい巣が見つかると一斉にその場所に移動して分蜂完了となる。
2020/10/31
土山サービスエリアを朝早く散策したのですが、気温が低くて昆虫類はあまり見かけませんでした。 そんな中、セイタカアワダチソウを次々と訪花しているニホンミツバチがいました。 冬に向けての最後の追い込みといったところでしょうか。 頭楯を花粉で黄色く染めながら、蜜を集めているようです。 | |||||||||||||
キリギリス(Gampsocleis spp.)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・ キリギリス科・キリギリス亜科・キリギリス属> キリギリスは、日本の鳴く虫の代表のひとつとしてその名がよく知られている。 ただ、2000年代以降、少なくともヒガシキリギリスとニシキリギリスの2種に分けるべきとされている。 さらに細分化される可能性もあるが、どうするべきかいまだに結論が出ていない。 分布としては、ヒガシキリギリスは青森県〜岡山県、ニシキリギリスは近畿地方〜九州地方とされている。 成虫の長さは、ヒガシキリギリスはオスで25.5〜36.0mm、メスで24.5〜37.0mm、 ニシキリギリスはオスで29.0〜37.0mm、メスで30.0〜39.5mmで、メスの方が大きい傾向がある。 緑色を基調とする緑色型と、褐色を基調とする褐色型がある。 一般に、ヒガシキリギリスでは翅が短くて、側面に黒斑が多いとされ、 ニシキリギリスでは翅が長くて、黒斑は1列程度か、あるいは全くないとされる。
2021/4/22
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたキリギリス科の幼虫です。 以前、同じ場所で見かけたツユムシの幼虫ではと思ったのですが、触角があまり長くありません。 後で調べていて、胸部から腹部にかけて走る2本の淡褐色の筋模様からキリギリスの幼虫と分かりました。 なお、地理的にはヒガシキリギリスもニシキリギリスも生息している可能性があります。 幼虫には翅がないので、両者を識別する手掛かりとなる黒斑が無く、ここではキリギリスとしました。 2021/5/11 土山サービスエリアを散策していると、キリギリスの幼虫が何匹か飛んで逃げました。 この辺りにはかなりの数の幼虫がいるみたいで、歩くたびに飛んで逃げて行きました。 | |||||||||||||
コバネヒメギス(Chizuella bonneti)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・ キリギリス科・キリギリス亜科・ヒメギス族・コバネヒメギス属> キリギリス科コバネヒメギス属のバッタで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国北東部、シベリアに分布している。 体長は産卵管を除き18〜26mmで、体色は暗茶褐色で、前翅は茶褐色、翅は5oほどと短い。 しかし、オスは発音器を備え、チリチリチリ…と弱々しい声で鳴く。 メスの生殖下板は幅広で短く、先が広くU字型に窪み、その両側は鋭く突出して上に反る。 腹部の下面がやや白っぽい淡黄色で、ヒメギス属と比して前胸側面より背面が広い特徴がある。 前胸側面の後縁に白い縁取りがあるのはヒメギスと同じであるが、複眼近くの白紋はヒメギスより太長く明瞭。 平地から亜高山帯まで広く分布し、ヒメギスよりも乾燥気味の環境を好む。
2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたコバネヒメギスのメスの幼虫です。 最初に見たとき、ヒメギスの幼虫だと思っていました。ただ、体色が褐色で、黒味が少ないなと思っていました。 気になったので調べてみると、やはりヒメギスにしては色が淡すぎます。白い縁取りの形状も異なるようです。 似たものに別属ですが、コバネヒメギスがいることが分かりました。色合いや白い縁取りの形状は合います。 さらに、複眼横の白紋が不明瞭なヒメギスに対して、太くて長く、はっきりとしている点も合っています。 これらの点から、ヒメギスではなく、コバネヒメギスの幼虫(翅芽が見えない)と判断しました。 | |||||||||||||
ウスイロササキリ(Conocephalus chinensis)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・ キリギリス科・ササキリ亜科・ササキリ族・ササキリ属> キリギリス科ササキリ属に分類されるバッタで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国東北部、東シベリア、サハリンに分布する。 体長は、オスで25〜32mm、メスで28〜33oである。 日本のササキリ亜科の中では最も細長く、明るい緑色の体色に、腹端を超える長い薄茶色の翅を持つ。 なお、体色が淡褐色の褐色型がある。触角が非常に長いのが特徴。 イネ科の植物の草原に多く、昼間に「シリシリシリ……」と澄んだ声で鳴く。 危険を感じると草にぴたりと体寄せて、裏側に回り込み身を隠す習性がある。 出現時期は6月〜11月で、耐寒性が強いため12月でも暖かい日に鳴いていることがある。 食草は、イネ科の植物やササなどだが、他の昆虫などを捕食することもある。 また、交尾の際にオスはメスに精包を渡し、メスはしばらく尾端に付けているが、それを食べてしまう。
2019/10/4
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたウスイロササキリです。 草むらに足を踏み入れた途端、たくさんのバッタが四方八方に飛んで逃げた中の1匹です。 全国で普通に見ることができるとのことですが、私は初見だと思います。 ただ、鳴き声は聞いた覚えがあるので、近くに居たことは確かです。 | |||||||||||||
ツユムシ(Phaneroptera falcat)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・ キリギリス科・ツユムシ亜科・ツユムシ属> キリギリス科ツユムシ属のバッタで、日本では、沖縄本島以外のほぼ全国に分布する。 海外では、台湾、朝鮮半島から中国を始めとした旧北区南部に広く分布している。 体長は腹端までが13〜15mmで、翅端までは29〜37mmある。 全身が淡緑色で、頭は小さく、顎もとても細くて短い。後肢も細くて弱々しい。 また、オスの胸部から前翅背面に褐色部があるが、メスには褐色の部分はない。 前翅より後翅の方が長く、後端が前翅から大きく飛び出し、それはセスジツユムシよりも長い。 メスの産卵管は短く、腹部の半分ほどで、鎌の刃のような形をしている。 草原性で、明るい草原に多く、 夜昼を問わず鳴くが、夜の方が盛んである。 鳴き声は、「ピチ・ピチ…」と小さく、時折、「ジ・ジ・ジ・ジィ・ジィ・ジィ・・・」と鳴く。 広食性であるが、キク科のヨモギ、セイタカアワダチソウ、マメ科のハギ、アカツメクサに多い。 越冬した卵は4月頃孵化し、6回の脱皮を経て6月頃成虫になる。 その成虫が産んだ卵は7月頃孵化して9月頃に成虫となり、2回目に産卵された卵はそのまま越冬する。
2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で、ブタナの花の上で見かけた幼虫です。 幼虫の形状から、キリギリス系の幼虫と目星を付けて、調べた結果、ツユムシ属の幼虫らしいと分かりました。 触角の節に白い部分がないのでアシグロツユムシを除外すると、ツユムシか、セスジツユムシが残りました。 大きさからして3齢幼虫と思われ、どちらも似ています。 セスジツユムシでは縦筋が目立つが、ツユムシでは縦筋よりも帯模様の方が目立つ点が異なります。 脚の色(ツユムシの方が褐色味が強い)、腹部は縦筋より帯模様が目立つ点から、ツユムシの幼虫と判断しました。 | |||||||||||||
コバネイナゴ(Oxya yezoensis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・> バッタ科・イナゴ亜科・イナゴ属> バッタ科イナゴ属のバッタで、日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布する。 体長はオスが30mm前後で、メスが40mm前後ある。 体色は明るい緑色で、頭部から尾部までの側面には暗褐色の筋が走っている。 なお、背面は肌色か緑色のものが多いが、稀に紅色の個体がいる。 翅は、腹端を越えないものが多いが、長翅型のものも見られる。 出現時期は8月〜11月で、卵で越冬する。 イネ科植物の葉を摂食するので、イネの害虫であるが、その他の雑草もよく食べる。 ただ、同時に水田から得られる重要なタンパク源とされ、多くの地域で食用とされた。 危険を感じると草にぴたりと体寄せて、裏側に回り込み身を隠す習性がある。
2019/10/4
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたコバネイナゴです。 草むらに足を踏み入れた途端、たくさんのバッタが四方八方に飛んで逃げた中の1匹です。 近づくと飛んで逃げてしまい、なかなかアップで撮らせてくれず、撮影に四苦八苦しました。 翅の末端より尾端が外に飛び出しているので、判別しやすいですね。 ただし、コバネイナゴにも長翅型がいますので、翅の長い個体の判断は注意が必要です。 | |||||||||||||
ハネナガイナゴ(Oxya japonica japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・> バッタ科・イナゴ亜科・イナゴ属> バッタ科イナゴ属のバッタで、日本では、本州以から四国、九州に分布する。 海外では、中国、台湾、東南アジアからインドに広く分布する。 体長は40o前後で、体の側面に濃茶色の筋が入った明るい緑色のバッタ。 翅は、腹端や折り曲げた後ろ足よりも長いのが特徴。 イネ科の植物の葉を摂食するので、イネの害虫でもある。 ただ、同時に水田から得られる重要なタンパク源とされ、多くの地域で食用とされた。
2019/10/4
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたハネナガイナゴ。 草むらに足を踏み入れた途端、たくさんのバッタが四方八方に飛んで逃げた中の1匹です。 近づくと逃げるのですが、コバネイナゴほどには活発には飛ばなかったので、撮影は容易でした。 コバネイナゴとの違いは、折り曲げた後ろ足より翅は長いが、腹端は短い点です。 | |||||||||||||
ショウリョウバッタ(Acrida cinerea)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・> バッタ科・ショウリョウバッタ亜科・ショウリョウバッタ属> バッタ科ショウリョウバッタ属に分類されるバッタで、在来種。 ユーラシア大陸の熱帯から温帯にかけて広く分布する。 日本では、北は北海道から南は九州まで、ほぼ全国に分布する。 雌雄で大きさが倍以上異なり、オスはメスの半分くらいしかない。 オスは飛ぶときに「キチキチキチッ」と音を立てるので、キチキチバッタの別名で呼ばれることがある。 メスの両方の後ろ足の先を持つと、体をしゃくるように上下させる動きをするので、ハタオリバッタの別名がある。 精霊舟に似ることから「ショウリョウ」の名が付いたといわれる。 しかし、雌雄の大きさの差が甚だしいことから「霄壤」の名(ショウジョウバッタ)を別名として持つ。
2019/10/4
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたショウリョウバッタです。 草むらに足を踏み入れた途端、たくさんのバッタが四方八方に飛んで逃げた中の1匹です。 ここで見かけたショウリョウバッタは、小さいオスばかりで、メスには合えませんでした。 ※ ショウリョウバッタのメスや褐色型などの色彩変異に関しては、こちらに掲載しています。 | |||||||||||||
ツチイナゴ(Patanga japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・ バッタ科・ツチイナゴ亜科・ツチイナゴ属> バッタ科ツチイナゴ属に分類されるバッタで、在来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布し、海外では、中国、インドまで広く分布する。 独特の模様がある褐色のバッタで、成虫の体長はオスが50〜55mm、メスが50〜70mmと大型。 背中には黄白色の線が頭部から尾部まで走っていて、複眼の下に黒い線、胸部の側面にも黒い縦縞がある。 日本に分布するバッタ類は、卵で越冬する種類ばかりだが、本種は成虫で越冬し、翌年の初夏に産卵する。 幼虫の体色は、終齢幼虫まで鮮やかな黄緑色であるが、成虫になると体色は茶褐色になる。 食草は、イネ科やカヤツリグサ科ではなく、クズやカナムグラなどの葉幅の広い植物である。
2019/10/4
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたツチイナゴです。 セイタカアワダチソウの群落の中に1匹のバッタが止まっているのが目に止まりました。 近づいても逃げる気配がなかったのを良いことに、かなり近づいてアップで撮影できました。 独特の模様をしていて、どこかで見たような気がしたのですが、名前が思い出せません。 後で調べると、ツチイナゴと分かりました。6年前に多摩川の河川敷で撮影していました。 2020/10/31 土山サービスエリアを朝早く散策したのですが、気温が低くて昆虫類はあまり見かけませんでした。 散策を終えて、車に戻る途中、通路脇の葉の上にいるツチイナゴに気が付きました。 去年も見かけましたので、この辺りには結構生息しているのかもしれません。 眼から下の方に伸びる青っぽい縦筋が特徴で、なんだかニヒルな感じです。 | |||||||||||||
マメコガネ(Popillia japonica)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・ コガネムシ科・スジコガネ亜科・マメコガネ属> コガネムシ科マメコガネ属の小型の甲虫で、在来種。 日本では北海道から本州、四国、九州まで、ほぼ全国に分布する。 体長は8〜15mmで、体表は強い金属光沢があり、頭、前胸、小楯板は緑色、前翅が褐色、腹部が黒緑色。 腹節の縁に白い短毛が密生していて、白い横縞模様に見える。 幼虫は植物の根、成虫はマメ科植物、ブドウ類、ヤナギ類など、多くの植物の葉や花を食害する。 1916年にニュージャージー州で侵入が確認され、以後、爆発的に増えて農業害虫となっている。
2020/7/10
土山サービスエリアに生えていたイタドリの葉に、マメコガネが集まっていました。 相変わらずの大食漢で、イタドリの葉は見事なまでにボロボロでした。 | |||||||||||||
セボシジョウカイ(Lycocerus vitellinus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コメツキムシ下目・ホタル上科・ ジョウカイボン科・ジョウカイボン亜科・ジョウカイボン属> 日本では、本州から四国、九州、屋久島、対馬に分布している。 ジョウカイボン科の体型はカミキリムシに良く似ているが、前翅が柔らかい所が異なる。 本種は、体長10mm程度で、全身黄色から橙黄色。頭頂と前胸背面中央に黒斑がある。 ただし、変異があり、黒斑が無いものもある。 平地の樹木の下や葉上でよく見られ、成虫、幼虫とも他の昆虫を捕えて食べる肉食である。
2021/5/11
土山サービスエリアに生えていたヨモギの葉で、セボシジョウカイを見かけました。 写真を撮ろうとすると、葉の裏にそそくさと隠れてしまいましたので、指で突いて再登場願ったしだい。 と、また、動き始めたので、慌てて写真を撮ったのが上記の写真です。この後また隠れてしまいました。 | |||||||||||||
クロハナノミ(Mordella brachyura)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ゴミムシダマシ上科・ ハナノミ科・ハナノミ族・クロハナノミ属> ハナノミ科クロハナノミ属の甲虫で、在来種。 日本では、北海道から本州に分布する。海外では、台湾、サハリンから旧北区に分布する。 体長は5〜7mmで、体色は黒一色で、尾端に向かって細くなる。 尾節の背板は細長く棘状に伸び、上翅下から後方へ露出する。 頭部は横に広く下を向き、頭胸部下面は平たい。触角は糸状で短め。 前肢、中脚は細いが、後肢は太く丈夫で、この後肢を使って蚤のように跳ねる。
2019/6/19
土山サービスエリアの周囲に広がる草原で、ブタナの花の上に小さな黒い虫がいました。 小さいのですが、尾端が尖った変わった形をしていますが、見た記憶はありません。 後で調べると、直ぐにハナノミ(花蚤)の仲間と分かりました。蚤の様にピョンと跳ねるのが和名の由来。 真っ黒なハナノミは何種類かいるのですが、その中でクロハナノミとクロヒメハナノミが候補となりました。 この両者、とてもよく似ているのですが、触角の第4節までが小さいのがクロハナノミです。 クロヒメハナノミの触角ではそのようなことはなく、後脚の外面に段刻列(棘の列)があるのも特徴です。 そこで、画像を強拡大し多のですが、ピントが甘く、明確には確認できませんでした。 ただ、触角に関しては基部が細くなっているのは確認でき、後脚外面の段刻は不明です。 触角の基部が細い点から、クロハナノミとしますが、間違っている可能性はあります。 | |||||||||||||
モモブトカミキリモドキ(Oedemera lucidicollis lucidicollis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ゴミムシダマシ上科・ カミキリモドキ科・カミキリモドキ亜科・モモブトカミキリモドキ属> カミキリモドキ科モモブトカミキリモドキ属の甲虫の1種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 体長は5.5〜8mmで、メスはオスより一回り大きい。 オスの後脚の腿節が太いのが名前の由来であるが、メスの後脚は太くならない。 体色は、全体に黒色で藍色の光沢がある。前翅先端は完全に閉じず、後翅が見えていることが多い。 出現時期は3月〜6月で、春先によく見られ、タンポポなどの黄色い花によく集まる。 幼虫は、枯れススキの茎の中とか朽ち木の中で数年かけて成長する。 カミキリモドキ科の半数には、体液に有毒なカンタリジンを含むものがあり、本種にも含まれる。 本種の出す体液に含まれるカンタリジンは、次のような症状が現れるので注意が必要である。 体液が皮膚に付着すると数時間後に激しい痛みと共に水ぶくれができる。 この水ぶくれが破れ、かさぶたが出来ると同時に激しいかゆみに襲われ、2週間ほど続く。
2023/4/3
土山SAの駐車場の近くで、タンポポの花で見かけたモモブトカミキリモドキです。 多くのタンポポの花にいて、さかんに飛び回っていました。 この花には2匹いたのでそれを撮ろうとしたのですが、1匹が飛んで近くに止まりました。 それが上段の写真ですが、各々を拡大したのが下段の写真です。 拡大して分かったのですが、花にいるのがメスで、枝にいるのが後脚の腿節が太いオスでした。 | |||||||||||||
オオゾウムシ(Sipalinus gigas)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ゾウムシ上科・ オサゾウムシ科・キクイサビゾウムシ亜科・オオゾウムシ属> オオゾウムシ属オオゾウムシ属のゾウムシの一種で、在来種。 東南アジアから東アジアにかけて広く分布し、日本では全国に分布する。 体長は12〜30mmと、日本在来のゾウムシ類としては最大種になる。 羽化時には褐色の粉を吹いてまだら模様であるが、時間経過に伴って粉が落ち、地色の黒が出てくる。 体形は楕円球形で、前胸背には中央以外は顆粒状突起で覆われ、鞘翅は点刻が9個の縦条に並ぶ。 脚は長くて、ふ節の先だけではなく、脛節の末端にも内向きの鉤爪がある。 発生時期は5月〜9月で、クヌギ、ヌルデなどの樹液に集まり、灯火に飛んでくることもある。 幼虫は、マツ、スギ、ナラ、カシなどの弱った木や倒木に穿孔して、材部を食害する。
2019/10/4
土山サービスエリアを歩いているとき、通路を這っているオオゾウムシを見つけました。 ゾウムシの仲間では、飛び抜けて大きなゾウムシですが、動作は緩慢です。 一度見たら忘れることはないと思いますが、見かけるのは50年ぶりくらいです。 後で撮影するつもりで箱に入れて持ち帰ったのですが、気が付くとすっかり弱っていました。 慌てて、外に出したら、ぎこちない動きですが、何とか動いていましたので撮影したものです。 餌として、熟柿を切って与えてみたのですが、翌日には死んでいました。 | |||||||||||||
ラミーカミキリ(Paraglenea fortunei)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・ カミキリムシ科・フトカミキリ亜科・ラミーカミキリ属> カミキリムシ科ラミーカミキリ属のカミキリムシで、外来種。 日本では、本州の関東以西から四国、九州、南西諸島に分布する。 海外では、インドシナ半島北部から中国、台湾に分布し、ラミーの移入に伴って侵入したとみられる。 体長は10〜20oで、黒と緑白色のツートンカラーである。 胸部背面は緑白色に黒紋が2つ並び、前翅の付け根付近に白斑が4個、後半部には緑白色の横帯がある。 なお、付け根にある白斑4個は個体差があり、極小さくて目立たないものもある。 触角の長さは、ほぼ隊長と同じくらいの長さがあり、基部には緑白色が入るものもある。 成虫の発生時期は5月〜8月で、イラクサ科のカラムシ、ヤブマオ、アオイ科のムクゲなどを食べる。
2019/6/19
土山サービスエリアに植えられていたムクゲの葉を食べているカミキリムシに気が付きました。 白と黒のツートンカラーがお洒落な小型のカミキリムシですが、見たことはありません。 後で調べると、直ぐにラミーカミキリと分かりました。ラミーって何かと思ったら、植物の名前でした。 繊維を取るためのイラクサ科の多年生植物で、熱帯、亜熱帯地方が原産地だそうです。 このラミーを移入する際、一緒に紛れて侵入したものと言われています。 | |||||||||||||
バラルリツツハムシ(Cryptocephalus approximatus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・ハムシ科・ツツハムシ亜科>
ハムシ科ツツハムシ亜科の1種で、日本固有種。 日本では、本州から四国、九州に分布している。 体長は4〜5oで、青〜青緑色、菫色などの金属光沢がある。触角の基部や脚の腿節基部は淡色。 なお、前胸背板の角は、若干の黄白色を帯びる。 食草はバラ科のサクラ類、キイチゴ類、ブナ科のコナラ、クヌギなどや、マメ科のフジ類、タデ科のイタドリなど。 成虫は、昼間に比較的活発に活動し、よく似たルリツツハムシと混生していることもある。 幼虫は、自らの糞を固めて幼虫殻を作り、その中で生活する。終齢は3齢で、幼虫殻の中で蛹化する。 晩秋に老熟した幼虫(終齢)は、そのまま越冬し、翌春に蛹化する。 よく似たルリツツハムシとの判別には、尾節板の形状を確認するのが分かりやすい。 尾節板が台形で先が内側に湾曲するのが本種で、ルリツツハムシは半円形であまり湾曲しない。
2019/6/19
土山サービスエリアに植えられていたムクゲの根元を覆っていたのがイタドリです。 そのイタドリの葉の上に、青緑色の金属光沢を放つ小さな甲虫がいました。 後で調べると、体色やずんぐりとした体形から、バラルリツツハムシかルリツツハムシと分かりました。 この両者、よく似ていて判別が難しい。決め手は、腹端の尾節板の形状なのですが、写真では見えていません。 それ以外で、確認できないかといろいろ調べてみたのですが、前胸背板の角が若干の黄白色を帯びるとありました。 また、触角の形状がバラルリツツハムシは太目で、節から先の方に太くなって、ゴツゴツしています。 写真の個体は、前胸背板の角の反射が黄色味を帯びている点、触角が太目である点から本種としました。 しかし、決め手となる尾節板の形状が分からないので、間違っている可能性はあります。 2021/5/11 土山サービスエリアの草原で、スイバの葉の上にいるバラルリツツハムシを見つけました。 急いで写真を撮ったのですが、飛ばれてしまい、また、後ろからの写真を撮り損ねてしまいました。 左の横からの写真に尾節板がかろうじて写っており、尾節板の先がかなり湾曲しているのが分かりました。 ルリツツハムシはあまり湾曲しないそうなので、バラルリツツハムシの可能性が高くなりました。 | |||||||||||||
ヨモギハムシ(Chrysolina aurichalcea)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・ハムシ科・ハムシ亜科>
ハムシ科ハムシ亜科の1種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、モンゴル、シベリア〜欧州(中部)、台湾、インドシナに分布する。 体長は7〜10oで、青藍色、紫藍色、黄銅色の金属光沢がある。 食草はヨモギ、ヤマシロギクなどで、これらの茎や葉上、および周辺の地表で見られる。 成虫は、昼間に比較的活発に活動し、よく歩き回り、ほとんど飛ばない。 秋には、産卵場所を探して地表を歩くメスを見かけるが、成虫と卵で越冬する。
2019/6/19
土山サービスエリアの周囲に広がる草原で、ヨモギの葉にたくさんのヨモギハムシが付いていました。 見るのは初めてですが、ヨモギにだけ付いているため、たぶん、間違いはないと思っていました。 後で調べましたが、間違いはなさそうです。たくさん、付いていたのですが、異端児が2匹見つかりました。 それが下段の2匹で、1匹は黄銅色の個体です。数えきれないほどいる中で、この1匹のみ色違いでした。 もう1匹は翅が片方ありません。脱皮に失敗したのか、何かに取られたのか、お腹が丸見えでした。 小楯板の所に黒っぽいものがあるので、脱皮に失敗して翅がうまく伸びなかった可能性が高いですね。 2019/6/19 青藍色と黄銅色の個体のツーショットです。 両方が一緒にいることがなかったので、掌の上で強引に並べたものです。 2019/10/4 夏にヨモギハムシがうようよ居た所に行ってみると、少ないですが、まだ居ました。 ただ、そこに居たのは交尾中のカップルばかりで、単独でいる者はいませんでした。 右の写真では、メスの腹部が大きく膨らみ、卵が大きくなっていることが分かります。 | |||||||||||||
ナナホシテントウ(Coccinella septempunctata)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族・Coccinella属> テントウムシ科の昆虫で、在来種。赤色の前翅に7つの黒紋があり、これが和名の由来。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。 世界的には、アジア、ヨーロッパ、北アフリカと広く分布している。 体長は8o前後で、ほぼ円形に近く、背面は半球状に盛り上がり、腹部下面はほぼ扁平。 頭部、胸部は黒色で、胸部の左右に淡黄色の斑紋、頭部にもいくつかの横斑がある。 前翅は、赤いものと黄色味を帯びたものがあり、大きさに変異はあるが黒斑が4個ある。 なお、前翅を閉じたとき、前翅の基部近くにある黒斑はつながって1つになり、全体で7つに見える。 幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫であり、天敵としての利用も研究されている。
2022/4/20
鈴鹿パーキングエリアの周囲に広がる草原で、セイタカハハコグサの上にいました。 腹部の橙色の斑紋の特徴から、ナナホシテントウの終齢幼虫と分かります。 ナナホシテントウとナミテントウの幼虫の比較に関しては、こちらに整理しましたので、参照ください。 | |||||||||||||
ナミテントウ(Harmonia axyridis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族> テントウムシ科の昆虫で、在来種。斑紋に変異が多いのが特徴。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。 世界的には、朝鮮半島から中国、シベリア、サハリンに分布している。 体長は8o前後でほぼ円形に近く、背面は半球状に盛り上がり、腹部下面はほぼ扁平。 ナミテントウの上翅の模様は変化に富み、同じ種類とは思えないくらい変異がある。 模様は、黒地に赤い紋が2つある「二紋型」、紋が4つの「四紋型」、多数ある「斑型」、 赤地に黒の斑がある「紅型」の4つが基本形である。 この四つの基本形に対応した斑紋遺伝子があり、その組み合わせで模様が決まる。 ちなみに、「二紋型」や「四紋型」は九州方面に、「紅型」は北海道や東北地方に多い。 幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫である。
2021/5/11
鈴鹿パーキングエリアと土山サービスエリアの草原で見かけたナミテントウです。 鈴鹿パーキングエリアで見かけた、上段のものは標準的な「二紋型」の斑紋です。 しかし、土山サービスエリアで見かけた、下段のものは「変形二紋型」になるのでしょうか。 鈴鹿PAで見たように二紋型は中央左右にあり、それに該当する部分に変形した二紋があります。 その斑紋の前方にも二紋があり四紋に見えますが、「四紋型」の二紋は後方にあります。 「二紋型」と他の型の遺伝子との組み合わせで、このような斑紋ができるのでしょうか。 いずれにしても、どの方にも属さない変則的な斑紋で、この位置にある斑紋は初めて見ました。 ナミテントウの斑紋の種類などに関しては、こちらに整理しましたので、参照ください。 |