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神奈川県立相模原公園・相模原市立麻溝公園 春の野草



神奈川県立相模原公園、相模原市立麻溝公園の四季を彩る植栽や野草を季節毎にまとめたものです。

< トピック >
今回、下記の果実の写真を追加しました。
ハンカチノキ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
アブラナ目
アブラナ科(オオアラセイトウ[ムラサキハナナ])
キンポウゲ目
キンポウゲ科(クレマチス)
マツムシソウ目
スイカズラ科(オオデマリ)
ミズキ目
ミズキ科(ハンカチノキ)
春の野草
和名インデックス


オオアラセイトウ(Orychophragmus violaceus)
<アブラナ目・アブラナ科・オオアラセイトウ属>

アブラナ科・オオアラセイトウ属の越年草で、中国原産の帰化植物。
中国東部に分布し、特に東北部や華北地区に多い。ヨーロッパ南部にも見られる。
江戸時代に栽培品種として入ってきたものが野生化して広がったとみられる。
別名として、ショカッサイ(中国の呼び名で諸葛孔明と関係しているようです)やムラサキハナナを持つ。
草丈は20〜80cmで、茎は直立して、基部で分枝する。また、上部での分枝もしばしば起きる。
根生葉はロゼット状にならず、葉柄は長さ2〜8pで、羽状に深裂する。
長裂片は基部は心形で、長さ2〜10cmと大きく、側裂片は1〜6対で長さ3cm前後。
上部の葉は長さ2〜10cmで、基部は茎を抱き、全縁か粗い不規則な歯牙状。
花期は3月〜5月で、茎先に総状花序を付け、薄紫色の花を多数付ける。
花は直径20〜30mmの4弁花で、開花時は濃紫色であるが、花期の終わり頃には色が薄くなる。
萼片も4個あり、長さ10mm前後で、花と同じ薄紫色。直立して、基部は袋状。
オシベは6個で、花糸は白く、葯は線形で黄色く、外に反り返る。メシベの柱頭は淡黄色。
果実は狭い線形の長角果で、長さは10cm前後になる。4個の稜が目立つ。

2010/4/4
神奈川県立相模原公園の一角にオオアラセイトウ(ムラサキハナナ)が一面に咲く場所があります。
木立に囲まれたそれほど広くはない所ですが、一面を紫に染め上げていました。


オオアラセイトウの花

     .

多摩川の河川敷で見かけたオオアラセイトウの花の写真です。
アップで見ると、淡紫色〜赤紫色のグラデーションがきれいですね。


クレマチス(Clematis)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・センニンソウ属>

2005/6/4

   
  2007/5/13(八重咲き)      2007/5/13(一重咲き)     2006/6/24(チューリップ咲き)
キンポウゲ科センニンソウ属の多年草で、花が大きく観賞価値の高い品種の総称。
クレマチスの原種は約300種類存在するされ、日本を含め北半球に広く分布している。
花には花弁はなく、花弁のように見えるのは萼で、原種は花も小さく、花色も限定される。
果実は先端に鞭状の突起があり、その表面に多数の綿毛が付く。
葉は3出複葉か2回3出複葉で、つる性のものでは葉柄が他のものに絡んで茎が固定される。
日本産の原種としては、ボタンヅル、センニンソウ、ハンショウヅル、カザグルマ等がある。
それらの中でもカザグルマのように大柄で平開する花が観賞用として、喜ばれる。
現在、人工交配などによって2000種を超える品種が作出されている。
花期は4月〜10月と長く、12月〜2月に咲く冬咲きの品種もある。
花の形には、一重咲き、八重咲き、万重咲き、チューリップ咲き、釣鐘型などがある。

2010/4/4
相模原市立麻溝公園の水の広場を取り巻くように、いろいろな変わり種クレマチスが植えられています。
更に、そこを起点に公園を囲む柵に沿って、ぐるりと公園の周りに植えられています。
クレマチスには、春咲き、夏・秋咲き、冬咲き、四季咲きがあり、長期にわたって楽しめます。

ここで見られるクレマチスの品種に関しては、こちらをご覧ください。


日本産のセンニンソウ属

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  ボタンヅル           センニンソウ            ハンショウヅル
日本産のセンニンソウ属3種の写真です。カザグルマは見たことがないので、写真はありません。
ボタンヅルとセンニンソウはよく似ていますが、オシベと比べて萼片が長いのがセンニンソウです。
ハンショウヅルは、釣鐘型の花で、萼片の外部は暗紅紫色で金属光沢があります。


オオデマリ(Viburnum plicatum var. plicatum)
<マツムシソウ目・スイカズラ科・ガマズミ属>
 


スイカズラ科ガマズミ属の落葉低木で、日本の自生種。
日本原産のヤブデマリの園芸品種が本種である。
ヤブデマリは、花序の周辺部のみに装飾花を付けるが、花序の花全てが装飾花となったもの。
樹高は1〜3mで、株立ちとなる。成長が早く、枝を横に広く張り出す。
葉は対生し、葉身は長さ7〜16cmの広楕円形で、先が尖り、葉縁には鋸歯がある。
葉脈の部分が凹んで、くっきりとした凹凸が出来る。また、秋には美しく紅葉する。
花期は5月〜6月で、直径20〜30mmの花を、直径10cm程の球状に付ける。
花色は白色が多いが、淡紅紫色の品種もある。
なお、装飾花はオシベ、メシベとも退化し、両性花がないので、結実はしない。

2011/5/6
相模原市立麻溝公園 水の広場から樹林広場の方に入って直ぐの所にあるハンカチノキの側で咲いていました。
同じような白花を球状に付けるコデマリに比べると、かなり大振りです。

ハンカチノキ(Davidia involucrata)
<ミズキ目・ミズキ科・ヌマミズキ亜科・ハンカチノキ属>
 


ミズキ科ハンカチノキ属の落葉高木で、中国の四川省・雲南省付近が原産地。 樹高は、
葉は互生し、幅の広い卵形で、縁には粗い鋸歯がある。
花期は月〜月で、ハナミズキのような頭状花序になり、2枚の総包片に囲まれる。
この総包片は最初は黄緑色であるが、だんだんと大きくなって白くなる。
この大きさの異なる2枚の白い総包片を、ハンカチに見立てたのが和名の由来。
この総包片の基部にあるのが、多数の雄花と1個の雌花で、花弁はない。
この2枚の総包片は、必ず太陽と花の間にあって、花を太陽の紫外線から守っている。
花後にはラグビーボールのような果実ができ、秋には熟して、縞模様のある堅果になる。
この中には、一回り小さな核があり、表面の縞模様に沿うように溝があり、非常に硬い。

2011/5/6
相模原市立麻溝公園 水の広場から樹林広場の方に入って直ぐの所に、大きなハンカチノキがあります。
ハンカチノキは知っていましたが、実物はここで初めて見ました。
ハナミズキやヤマボウシと同じミズキ科の仲間で、総包片が2枚に減って、大きくなった感じです。
そのため、花の見た目がかなり異なりますが、果実も全く異なります。

 
2014/11/24
ハンカチノキの果実です。濃褐色の縞模様があり、非常に硬いとのこと。
残念ながら、実物を触ったことがないので、どれくらい硬いかは不明です。

 
2018/6/8
ハンカチノキの未熟な果実です。この時期でも淡緑色の縞模様が確認できます。

 

   
2018/11/18
ハンカチノキの下で見つけた果実と種子です。果実には縞模様というより筋状の凹凸が見られます。
種子は、おそらく1昨年に落果したものと思われ、腐敗してボロボロの果皮が付いていました。
その果皮などをブラシで掻き落としたものが写真の種子で、深い筋状の凹凸があります。
果実の果皮は乾燥して硬くなっていますが、押さえるとブヨブヨとしています。
核果の方は、梅や桃の仁と同じように、硬い殻に守られているようで、ちょっとやそっとでは割れません。
下段中央の写真が、核果の果柄が付いていた側で、右端の写真がその反対側になります。


ミズキ科の花と果実

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<ハンカチノキ>         <ヤマボウシ>          <ハナミズキ>
ミズキ科の花3種です。ハナミズキヤマボウシは、ミズキ亜科ヤマボウシ属の落葉高木です。
ハンカチノキのみ、ヌマミズキ亜科ハンカチノキ属の落葉高木です。
ハナミズキは、分かりやすいように赤い総苞片のものを選びましたが、白い品種もあります。
ハナミズキとヤマボウシは、同じ属なので、総苞片の数や花の形も似ています。
しかし、ハナミズキの果実は個々の果実が分かれて赤く熟するのに対し、ヤマボウシは集合果になります。
また、ヤマボウシの果実は生食可能ですが、ハナミズキの果実は果実酒に使う程度です。
属の異なるハンカチノキは、総苞片が2個と少なく、他の2種が上向きに咲くのに対して、下向きに咲きます。
花も、他の2種が、小花が総苞片の中心に多数球状に集まって付くのに対して、
ハンカチノキは、総苞片の中心に1個の雌花と多数の雄花が集まって付きます。
果実の形状も他の2種とはかなり異なります。食用にもなりません。










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