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境川近辺 野草編(秋W)



相模原市の自宅近くを流れている境川、そこへの道すがらや境川で撮影した、季節を彩る野草などです。

< トピック >
下記の写真を追加しています。
シシユズ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
バラ目
アサ科(カナムグラ)
バラ科(シャリンバイ)
フウロソウ目
フウロソウ科(ゲンノショウコ)
ブドウ目
ブドウ科(ツタ)
マツ目
イチイ科(キャラボク)
ヒノキ科(コノテガシワ)
マキ科(イヌマキ)
マツムシソウ目
スイカズラ科(オトコエシ、タニウツギ)
マメ目
マメ科(ヤブツルアズキ、ミヤギノハギ、ナツフジ)
ムクロジ目
ミカン科(ユズ、シシユズ、レモン)
モチノキ目
モチノキ科(クロガネモチ、ソヨゴ、モチノキ)
ヤマノイモ目
ヤマノイモ科(ナガイモ、ヤマノイモ)
ユリ目
ユリ科(タイワンホトトギス)
リンドウ目
アカネ科(ヘクソカズラ)
 
ヒダナシタケ目
タコウキン科(アラゲカワラタケ、ツリガネタケ)
マンネンタケ科(マンネンタケ)
境川近隣の秋の野草
和名インデックス


カナムグラ(Humulus japonicus)
<バラ目・アサ科・カラハナソウ属>


 
アサ科カラハナソウ属のつる性1年草で、在来種。雌雄異株。
日本では北海道から本州、四国、九州と全国の日当たりの良い道端などによく自生している。
海外では、中国、台湾などに分布し、北米では園芸用に栽培されたものが野生化している。
茎や葉柄に刺があり、物によく絡み付くので、取り除くのには骨が折れる。
葉は対生し、葉身は長さ5〜10cmで掌状に5〜7裂し、基部は心形。
葉表には粗毛が映え、葉裏には黄色い小腺点がある。
花期は8月〜10月で、雌花は小さな花序に固まって付き、子房は1個、花柱は2個付く。
雌花の苞は、緑色で濃紫色の斑紋があるが、花後に肥大して、果期には全体に紫褐色帯びて反り返る。
雄花は大きな円錐花序に多数付き、萼片は5個、オシベも5個あり、短い花糸に大きな葯が付く。
果実は痩果で、直径5mm前後の円形で、断面は厚いレンズ型。果皮は薄くて、まばらに毛がある。

2020/10/19
境川の河川敷で、覇権を争っている植物の1つがカナムグラです。
アレチウリに負けずとオオブタクサなどの大型の草本などに絡みついていました。
所々で、カナムグラの雄花序が葉の隙間から伸び出しているのが見られました。
しかし、雌花序は雄花序よりかなり小さいので、遠目からは見つけられませんでした。


カナムグラの雄花と雌花

     .
  <雄花序・雄花>
     .
  <雌花序・雌花>
   .
  <果実の成熟過程>
雄株では葉腋から花茎を伸ばして、穂状の円錐花序に多数の花を付けています。
雄花は淡緑色で、5個の花被片と大きな5個のオシベの葯が目立ちます。
雌株では葉腋から雌花が固まって付いた雌花序を出し、雌花には1個の子房と花柱があります。
苞に包まれた雌花から出ている白くものは、メシベの柱頭で、二股に分かれています。
雌花は穂状に下向きに付き、成熟したものは、後ろに見えているように赤紫色の模様が入ります。
下段は、花後の雌花序が成熟していく様子を時系列に並べたものです。
苞は始め緑色で濃紫色の斑紋がありますが、果期には全体が紫褐色を帯びて先がそり返ります。


シャリンバイ(Rhaphiolepis indica var. umbellata)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・シャリンバイ属>


 
日本では、本州の東北地方以南から四国、九州にかけて海岸近くに自生している。
海外では、朝鮮半島、台湾に分布する。
樹高は1〜4mで、若い枝には褐色の軟毛があり、小枝は輪生状に付く。
葉は互生し、葉身は長さ4〜8cmの長楕円形で、革質で光沢があり、浅い鋸歯がまばらにある。
葉先は尖るものと、丸いものがあり、丸いものはマルバシャリンバイと呼ばれることもある。
ただ、中間型もあり、両者を明確に区別することができないため、種内変異とされる。
花期は5月〜7月で、枝先に総状花序を出し、直径10〜15mmの白い5弁花を多数付ける。
花弁は長さ1cm前後の倒卵形で、先は丸く、しばしば歯牙がある。
萼筒は漏斗状で、萼片は長さ5mm前後の卵状三角形。先が尖り、褐色の軟毛が密生する。
果実は直径7〜12oの球形で、10月〜11月に黒紫色に熟し、白粉を被る。
中には直径7〜8oの球形の種子が1個入っており、褐色で光沢がある。

2020/10/27
自宅近くの道路脇の畑の縁で、シャリンバイが黒紫色に熟し果実をたくさん付けていました。
その果実に混じって、シャリンバイが所々に花を付けていました。
花期は春から初夏なので、花期はとっくに過ぎており、狂い咲きなのでしょう。

ゲンノショウコ(Geranium thunbergii)
<フウロソウ目・フウロソウ科・フウロソウ属>
 
フウロソウ科フウロソウ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄まで広く分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾にも分布する。
草丈は、30〜40cm程度で、葉は互生する。
葉は掌状に3〜5裂し、長い葉柄の付け根に1対の托葉がある。
花期は5月〜8月で、花は葉腋から花柄を伸ばし2個付く。
花径は15mmくらいで、花弁と萼片は5個、オシベは10本、メシベの花柱は5裂する。
花弁の色は、西日本では紅紫色が多く、東日本では白色に近いものが多い。

2020/10/19
境川の河川敷で赤い小さな花たくさん咲いているのに気が付きました。
また、イモカタバミかと思ったのですが、葉の形が異なります。
望遠レンズで覗いて、赤い花の正体がゲンノショウコだと分かりました。
東日本では、花弁が白いタイプが多いと言われていますが、花弁が紅紫色の西日本型です。


ゲンノショウコの花色について

     .
東日本型                   西日本型
 
東日本寄り中間型              西日本寄り中間型
ゲンノショウコの花は、西日本では紅紫色が、東日本では白色が多いと言われています。
上記は、その中間型も含めたゲンノショウコの花色の変異を集めたものです。
上段左側は、東日本系の白色タイプのもので、筋模様も淡紫色です。
上段右側は、西日本系の紅紫色タイプのもので、筋模様の紅紫色です。
下段は東日本寄りの白色系中間型と、西日本寄りの紅紫色系中間型です。
下段右の西日本寄りの紅紫色系中間型は、乗鞍高原で見かけたものです。
その他のものは、ここ八ヶ岳自然文化園内と、近くのペンション村で見かけたものです。


ツタ(Parthenocissus tricuspidata)
<ブドウ目・ブドウ科・ツタ属>

ブドウ科ツタ属のつる性の落葉木本で、在来種。
北海道から本州、四国、九州と全国の山野に分布し、ツルは太いもので数cmになる。
葉には2種類あり、花の付く短枝の葉は大きく、長い葉柄がある。
花の付かない長枝の葉は、小さくて葉柄も短い。
短枝の先に集散花序を出し、直径5mmほどの黄緑色の5花弁の花を付ける。

2017/10/2
境川の横にあるコンクリート製の壁にツタが張り付いていました。
そろそろ紅葉の季節が近いというのに、まだ、新葉を付けた茎をのばしていました。
この枝は花を付けない長枝のようで、葉も小さく、葉柄も短いです。
その葉の対面から巻ひげが出て、巻ひげの先にある円盤状のものが壁に張り付いています。

キャラボク(Taxus cuspidata var. nana)
<マツ目・イチイ科・イチイ属>
   
イチイ科イチイ属の常緑低木で、在来種。イチイの変種。
日本では、本州の日本海側(秋田県から鳥取県)に、海外では、朝鮮半島に分布している。
日本では、亜高山から高山帯の風衝地に自生している。
樹高は1〜3mになり、根元で分枝して、地面を這うように横に広がる。
大きく成長した後は、成長が鈍化するため、樹形が崩れにくく、庭木に適する。
葉は2p前後の線形で表面は濃緑色で、裏面は淡緑色。先は尖っているが、柔らかい。
なお、寒い地方では冬季に葉が茶色くなるが、翌春には緑色に戻る。
葉が2裂に並ぶイチイと異なり、葉は不規則な螺旋状に付く。
花期は3月〜5月で、雌雄異株。直径約3o強の小花を付け、雄花は淡黄色。
雌花には緑色の鱗片に包まれた胚珠が1個ある。
花後、直径4oほどの球形の種子は、肥大した仮種皮に包まれる。
種子が熟する頃には、仮種皮は杯状で真っ赤な多汁質になる。
この真っ赤な仮種皮、甘くて食べられる。ただし、種子は有毒なので要注意。

2017/9/25
生け垣のキャラボクの果実が赤く熟していました。
春に雌花を確認することができませんでしたので、場所を覚えておこうと思います。

コノテガシワ(Platycladus orientalis)
<マツ目・ヒノキ科・ヒノキ亜科・コノテガシワ属>
   
ヒノキ科コノテガシワ属の常緑高木で、中国原産の帰化植物。コノテガシワ属唯一の現生種である。
日本では、こんもりと丸みを帯びた樹幹の小低木となる園芸品種のセンジュ(千手)がよく栽培されている。
中国では樹高が20mにもなり、幹は直立して円錐状の樹形になる。
枝は密に出てほぼ直立し、平面的で表裏の区別がなく、両面とも緑色。
鱗葉は明緑色で、降霜時は褐色を帯びる。
花期は3月〜4月で、雌雄異花。雌花は白緑色で、種鱗の先端は反り返る。
雄花は短い枝先に単生し、黄褐色で種鱗の先端は徐々に反り返る。
球果は星型状で、直径2p前後。未熟な時は白緑色であるが、やがて褐色になり、裂開する。

2014/10/25
境川に向かう途中の道路脇で、コノテガシワが球果を裂開させていました。
熟してくると褐色味を帯び、裂開が始まるようで、種子が見えるほどに裂開する頃には褐色になっています。

イヌマキ(Podocarpus macrophyllus)
<マツ目・マキ科・マキ属>
   
マキ科マキ属の常緑針葉高木で、在来種。
日本では、本州の関東以西から四国、九州に分布し、海外では、中国、台湾に分布している。
樹高は10〜20mで、樹皮は白味がかった褐色で、細かく縦長に薄くはがれる。
葉は互生し、長さ10〜15pほどの広線形で、表は深緑色、裏は淡緑色。縁は全縁。
花期は5月〜6月で、雌雄異株。雄花は前年枝の葉腋に数個束生し、新芽の展開と同時に伸び出す。
色は淡黄緑色で、最初、斜上して開花するが、伸び切って役目を終えると淡黄褐色になって垂れ下る。
雌花は葉腋に単生し、長さ1p程の柄の先に小さな苞葉がある。
その中の1つが伸びて、長さ1p程の花托の先に1個の青白い胚球を付ける。
成熟するにつれて鱗片が肥大して種子を包み込む。
種子は直径1cmほどのややいびつな球形で、その基部には肉質の果床がつく。
10月〜12月に熟すと果床は赤紫色になり、果床は食べられる。

2014/9/13
境川に向かう途中、道路脇にイヌマキの生け垣があり、赤く熟した果実(正しくは果床)が目に付きました。
果床の先には、白く粉を吹いた深緑色の種子が付いていました。

 
2015/9/19             2014/10/25
2015/9/19 果床の水気が抜け、干からびていました。種子の白粉はまだきれいです。
2014/10/25 干からびた果床も大半が無くなり、果柄が見えています。
種子もいくぶん皺ができ、白粉も薄くなっていました。

   
2016/5/20          2016/6/6          2015/6/6
境川に向かい途中、先の種子が付いていた生垣の少し手前で見かけた雄株です。
最初に気が付いた時には、ほとんどの雄花は褐色になりかけていました。
翌年、気を付けて見ていて、雄花が新芽の下から顔を出し、開花する所を確認できました。
同じ6月6日の撮影ですが、年(気象条件)によって、開花の進み具合は異なります。

オトコエシ(Patrinia villosa)
<マツムシソウ目・スイカズラ科・オミナエシ属>
 
2020/10/7               2020/10/19
 
2020/10/19                 2020/10/19         .
スイカズラ科オミナエシ属の多年草で、在来種。漢字で書くと男郎花となる。
和名は、オミナエシ(女郎花)との対比で、茎葉が大きく、男性的ということに由来する。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
草丈は1m程までになる。根元から匍匐茎を出し、その先端で根を下ろして増える。
葉は対生し、多くは羽状に分裂する。裂片は卵状長楕円形で、頂裂片が最も大きい。
花期は、8月〜10月で、茎の頂部に散房花序を付け、白い小花をたくさん付ける。
1つの花は合弁花で、先が5裂し、オシベは4本、メシベは1本ある。
果実には翼状に変化した直径5o前後のほぼ円形の小苞があり、醤油の腐ったような臭いがする。

2020/10/7,19
境川に向かう道路脇の法面で、淡緑色の花のようなものをたくさん付けたものを見かけました。
肉眼では何だか分からなかったので、持っていた100mmマクロで撮って拡大し、正体が分かりました。
オトコエシの咲き残った白い花と果実の翼が光を受けて、白っぽく見えていたのでした。
後日、300mm望遠で撮り直したのが右の写真ですが、周りの草が枯れて、一際目立っていました。
下段は拡大したものですが、まだ、白い花は多少残っていて、果実の翼が良く分かると思います。

タニウツギ(Weigela hortensis)
<マツムシソウ目・スイカズラ科・タニウツギ属>
 
スイカズラ科タニウツギ属の落葉小高木で、日本固有種。
日本では、北海道西部、本州の東北地方、北陸地方、山陰地方に分布する。
日本海型気候の山地の谷沿いや斜面などで、日当たりの良い所に多い。
樹高は2〜5mで、下部からよく分枝して株立ちになる。樹皮は灰褐色で縦に裂ける。
新しい枝は茶褐色〜紫褐色で、ほぼ無毛。新枝は長く伸びるが、やがて上部は枯れる。
葉は対生し、長さ4〜10cmの卵状楕円形で、基部は円形で先は尾状に尖る。縁には鋸歯がある。
葉柄は長さ3〜10mmで、葉裏には全体に白毛があるが、特に葉脈の両側に多く、脈状は少ない。
花期は5月〜6月で、枝先や上部の葉腋に淡紅色〜紅色の花を数個付ける。
花冠は漏斗状で、長さ25〜35mm、直径20oで、先は5裂する。
花冠の内側より外側の色が濃く、開花しているものよりツボミの方が色が濃い。
萼は5深裂し、裂片は長さ4〜7mmで、その下部に長さ8〜10mmの筒状の子房がある。
オシベは5個で、花筒とほぼ同じ長さがあり、メシベの花柱はそれより長く、花筒から飛び出る。
果実は刮ハで、長さ12〜18oの細い筒状で硬く、10月頃に熟す。
熟すと上部が2裂して、長さ1mmほどの楕円形の種子を多数出す。種子の周囲には翼がある。

2018/10/16
境川に向かう道路脇で、タニウツギが花を付けていました。
しかし、タニウツギの花期は晩春〜初夏であり、今頃は果実くらいしかないはずです。
他に今頃咲くタニウツギの仲間があるのではと調べてみたのですが、見当たりません。
他に該当するものがないので、タニウツギの狂い咲きとしか思えません。

ヤブツルアズキ(Vigna angularis var. nipponensis)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・インゲンマメ連・インゲン亜連・ササゲ属・アズキ亜属>
 
   
マメ科ササゲ属のつる性1年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国などに分布している。
つるは長く、3m以上になり、周りの草などに巻き付く。
茎、葉、葉柄、果柄など全体に黄褐色の粗い毛がある。
葉は3出複葉で互生し、小葉の長さは3〜10pほどの先の尖った狭卵形で、不規則に2〜3残裂する。
花期は8月〜10月で、葉腋から短い総状花序を出し、長さ2pほどの黄色い花を固まって付ける。
旗弁は左右非相称で、竜骨弁は左に寄って捻じれる。
左翼弁は竜骨弁の上に被さり、竜骨弁の距を右翼弁が覆う。
なお、オシベ10個とメシベ1個は、竜骨弁の中にあって、竜骨弁に沿って曲がる。
萼は4裂し、萼に接して2個の小苞がある。小苞は内に巻き込んで先が尖り、萼の倍くらいの長さがある。
豆果は垂れ下り、長さ5〜10pほどの線形で無毛。種子は1列に入る。
熟すと黒くなり、2つに裂開して捻じれ、種子を飛ばす。

2014/9/13
境川の近くの草むらで、セイバンモロコシに巻き付いたヤブツルアズキを見かけました。
黄色い、捻じったような花と、その下に緑色で未成熟な細長い豆果がぶら下がっていました。

 
2017/9/25
今年もヤブツルアズキがセイタカアワダチソウ等に絡みついて、花を咲かせていました。
100oマクロでアップを狙ったのですが、花は少々オーバー露光になってしまいました。
   
2017/9/25        2017/10/2           2017/10/2  .
果実(豆果)が成熟する様子です。緑色の鞘が、濃緑色になり、さらに茶褐色に熟します。
この後、乾燥して黒褐色になると、鞘が2つに割れて捻じれ、種子が弾き飛ばされます。

ミヤギノハギ(Lespedeza thunbergii)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ヌスビトハギ連・ハギ亜連・ハギ属>
 
マメ科ハギ属の落葉低木で、在来種。よく園芸用として栽培される。
宮城県に多くのハギが自生していることから、歌枕の「宮城野の萩」にちなんでの名前です。
樹高は1〜2mで、枝は数多く分枝して、軟毛があり、枝が垂れ下がる。
葉は3出複葉で、小葉は長さ3〜6cmの楕円形〜長楕円形。先が尖り、基部は窄まる。
花期は8月〜10月で、総状花序を葉腋から単生し、また頂生して30cm近い円錐花序状になる。
花序柄は長いものでは10cmほどになるが、花柄は短くて毛がある。
萼はながさ6mm前後で5裂し、萼片は長楕円状の披針形で、最下片は萼筒より長くなる。
花冠は、長さ10〜15mm。旗弁は紅紫色で、円に近い楕円形で耳状突起がある。
翼弁は紅紫色で、長さ7〜8mmの倒卵状長楕円形で、耳状突起があり、開花時に斜上する。
竜骨弁は先が淡紫色で基部は白色に近く、長さは翼弁より長く、旗弁と同じがやや長くなる。
なお、白い花を付ける変種のシロバナハギ(Lespedeza thunbergii var. albiflora)がある。

2020/10/7
境川に沿った道路脇で、柵から垂れ下がって咲いているハギを見かけました。
後で種類を調べたところ、ミヤギノハギと分かりましたが、園芸品種と思われます。
花序が短いため、枝に沿ってびっしりと花やツボミが付いているように見えます。
この2週間ほど後に見かけたときには、すっかり花は咲き終わって、花がらだけになっていました。

ナツフジ(Wisteria japonica)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・フジ連・フジ属>
 
マメ科ササゲ属のつる性1年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国などに分布している。
つるは長く、3m以上になり、周りの草などに巻き付く。
茎、葉、葉柄、果柄など全体に黄褐色の粗い毛がある。
葉は3出複葉で互生し、小葉の長さは3〜10pほどの先の尖った狭卵形で、不規則に2〜3残裂する。
花期は8月〜10月で、葉腋から短い総状花序を出し、長さ2pほどの黄色い花を固まって付ける。
旗弁は左右非相称で、竜骨弁は左に寄って捻じれる。
左翼弁は竜骨弁の上に被さり、竜骨弁の距を右翼弁が覆う。
なお、オシベ10個とメシベ1個は、竜骨弁の中にあって、竜骨弁に沿って曲がる。
萼は4裂し、萼に接して2個の小苞がある。小苞は内に巻き込んで先が尖り、萼の倍くらいの長さがある。
豆果は垂れ下り、長さ5〜10pほどの線形で無毛。種子は1列に入る。
熟すと黒くなり、2つに裂開して捻じれ、種子を飛ばす。

2017/9/25
境川に沿った通路の脇で、キンモクセイの木にナツフジとノブドウが絡みついていました。
ノブドウがもう少し色づいていたらカラフルだったのですが、ちょっと地味なショットになってしまいました。

 
2017/10/2
上の1週間ほど後ですが、ナツフジの青々として若々しい果実と、熟して褐色になった果実です。

ユズ(Citrus junos)
<ムクロジ目・ミカン科・ミカン亜科・ミカン連・ミカン属>
 
ミカン科ミカン属の常緑小高木で、柑橘類の1種。ホンユズとも呼ばれる。
原産地は、中国の中央〜西域、揚子江上流と言われている。
飛鳥時代・奈良時代の歴史書に栽培されていたと記載されている。
日本では、東北以南で栽培され、特に高知県の馬路村が有名。
樹高は2〜5mになるが、幹や若枝にも鋭い刺がある。
非常に成長が遅いのが特徴で、「桃栗3年柿8年、ユズの大馬鹿18年」と言われる。
葉は互生し、葉身は長さ6〜9cmの卵状楕円形で、葉柄には広い翼がある。
花期は5月〜6月で、葉腋に単生するか総状花序を出し、白い5弁花を咲かせる。
花の直径は3cm前後で、わずかに紫色を帯びた白色で芳香がある。
多数のオシベが花糸の中部まで筒状に合着し、その中心にメシベの柱頭がある。
果実は6〜7cmの扁球形で、黄色く熟し、その表面には凹凸がある。
果実には強い酸味があり生食には向かないが、芳香のある果皮と共に和食などに利用される。
ユズには、「木頭系」、早期結実品種として「山根系」、種無しユズとして「多田錦」がある。
多田錦は、果実が小さめで香りが少し劣るとされるが、トゲが少なく、種がほとんどなくて果汁が多い。
ユズと名が付く、ハナユズ(ハナユ、1才ユズ)は、ユズと混同されることが多いが別種である。
ユズと比べて、樹高が数mと低く、短年で結実する。果実は小ぶりで香りが弱いが、花にも香りがある。
また、シシユズ(鬼ユズ)は、ブンタンに近い品種で、果実の見た目はユズに似ている。
ただし、直径15〜20cmと大型で、表面の凹凸大きいのが特徴。観賞用や正月飾りなどに利用される。

2018/10/16
境川に向かう道路脇の民家の畑で見かけた、ナツミカンではと思っていたの正体が分かりました。
ナツミカンではなく、ユズ(本ユズ)だったようです。
よく見ると葉柄に大きな翼が付いています。ナツミカンの葉柄には翼はありません。
果実を見るまでもなく、この翼に気が付いていれば、ナツミカンでないことは分かったはずです。
花を見るだけではなく、他の部分ももっと観察しなくてはと、反省したしだいです。
シシユズ(Citrus pseudogulgul)
<ムクロジ目・ミカン科・ミカン亜科・ミカン連・ミカン属>


 
ミカン科ミカン属の常緑小高木で、柑橘類の1種。オニユズとも呼ばれる。
原産地は中国と考えられており、日本には奈良時代に渡来した。
日本では、本州の関東地方から九州にかけて植栽されている。
樹高は2〜4mで、幹は直立して分枝し、樹皮は灰褐色である。
葉は互生し、葉身は長さ10〜15cmの長楕円形で、葉柄には広い翼がある。
葉質は革質で分厚くて艶があり、先は尖る。両面とも無毛で、油点が点在し、強い芳香がある。
花期は5月〜6月で、葉腋に白い5弁花を咲かせる。花には芳香がある。
果実は、直径が15〜20cmで、重さ1kg前後になり、果皮が分厚くて、表面に凹凸がある。
10月〜1月くらいに黄色く熟し、芳香がある。果肉は酸味が強くて生食には向かない。
そのため、観賞用や正月飾り、加工食品(ジャムなど)に使われる。

2018/10/16
境川に向かう道路脇の石垣の上に大きな柑橘類の果実を見かけました。
果実の直径は20cmほどあり、これほど巨大なものはザボン(文旦)くらいしか見たことがありません。
しかし、ザボンにはこのような凹凸は見られませんので、写真を撮って、後で調べました。
調べると、直ぐにシシユズと分かりました。名前にユズと付きますが、ザボンに近い品種だそうです。
生食用ではなく、見た目のインパクトから観賞用途や飾りなどへの利用が目的とのこと。納得です。

 
2018/12/5
シシユズの近くを通ったので様子を見に行くと、すっかり黄色く色付いていました。
大きさを無視すれば、見た目の凸凹感はユズよりもハナユズの方に似ているように思います。

 
2022/9/16
久しぶりにシシユズの近くを通ったので様子を見ると、青々としたシシユズがなっていました。
まだ、成長途上なのか、下部にリング状の凹みがある果実がいくつか見られました。

レモン(Citrus limon)
<ムクロジ目・ミカン科・ミカン亜科・ミカン連・ミカン属>
 
ミカン科ミカン属の常緑低木で、ヒマラヤ東部が原産地。
樹高は2〜4mで、若枝が緑色であるが、2年以上経つと暗灰色になる。
葉は互生し、葉の付け根には3cmほどの棘がある。
葉は長さ11cm前後の長楕円形で、先が尖り、縁には鋸歯がある。
花期は5月〜6月で、葉腋に総状花序を付け、直径4cmほどの花を数個付ける。
ツボミは淡紫色を帯びるが、開花すると白〜淡紅紫色の強い香りのする5弁花である。
果実は直径4〜7cmの紡錘形で、先に乳頭という突起があり、熟すにつれ緑から黄色へと変わる。
果実は酸味と香りが強く、果汁も果皮も古くから飲料や香料として使われた。

2018/10/16
境川に向かう道路脇で、民家の塀の上から黄色く色付く前のレモンが覗いていました。
売られている物よりは多少小ぶりでしたが、レモンとしては十分な大きさになっていました。
他の場所でも見かけたのですが、レモンとは言えないような数cmの大きさでした。

クロガネモチ(Ilex rotunda)
<モチノキ目・モチノキ科・モチノキ属>
 
2020/10/7
 
2020/10/19
モチノキ科モチノキ属の常緑高木で、自生種。
日本では、本州の関東以西から四国、九州、南西諸島の山野に自生する。
樹高は10m程になる。葉は互生し、葉身は8cm前後。楕円形で尖り全縁で、葉柄は紫色を帯びる。
雌雄異株で、本年枝の葉腋に散形花序を出し、5月〜6月に小さな花を5個前後付ける。
白色または淡紫色の花弁は4〜7個で、萼片も同数。
雄花には、4〜7個の完全なオシベと、退化した小さなオシベがある。
雌花は、メシベと退化したオシベがある。子房は球形で花柱はなく、柱頭は1個。
果実は核果で、5mm強の球形。11月頃に赤く熟す。なお、黄色く熟すものもある。

2020/10/7,19
境川に向かう道路脇で、クロガネモチたくさんの果実を付けていました。
最初に見かけたときには、淡い黄色だったのですが、7日時点ではオレンジ色でした。
このとき、キミノクロガネモチなのかと思ったのですが、19日時点では真っ赤に色付いていました。

※ クロガネモチの雄花、雌花の写真や果実が色付く様子に関しては、こちらに掲載しています。

ソヨゴ(Ilex pedunculosa Miq.)
<モチノキ目・モチノキ科・モチノキ属>
 
モチノキ科モチノキ属の常緑低高木で、在来種。
日本では、本州中部から四国、九州に分布する。海外では、中国と台湾に分布する。
樹高は3〜7mで、樹皮はなめらかで皮目が多い灰褐色。なお、本年枝は淡緑色。
葉は互生し、長さ6cm前後の先の尖った楕円形で、基部は丸みを帯び、2p程の葉柄がある。
縁は全縁で、ゆるく波打つ。両面とも無毛で、表面は深緑で光沢があり、裏面はやや白っぽくなる。
花期は5月〜7月で、本年枝の葉腋から長い柄を出して直径4oほどの白い花を付ける。
雄花序は2pほどの柄の先に付き、5個前後の花を散形状に付ける。
花弁は4〜5個で、同数のオシベと退化したメシベがある。萼片も同数ある。
雌花は4p程の柄の先に普通1個、稀に数個付き、花柄の途中に小さな苞葉がある。
花弁は4〜5個で、同数の退化したオシベとメシベがあり、子房は緑色の半球形で、柱頭は1個。
果実は核果で、直径8mmほどの球形。秋に赤く熟す。

2018/10/4
境川に向かう途中の道端で、緑色だったソヨゴの果実が、淡黄褐色に色づいていました。
昨年は真っ赤に色付いていたので、その後を期待したのですが、気が付くと落果していました。
残念ながら、今年は真っ赤に熟した果実を見ることはできないようです。

 
2018/11/24
全て落果してしまったと思っていたのですが、1個残っていることに気が付きました。
真っ赤に熟したことで、今まで見落としていた果実が、目についたんですね。
運よく、枝と来年の花芽の間に果柄が挟まったので、台風の影響を受けなかったようです。
それにしても、見事に真っ赤に熟したものです。


ソヨゴの果実

     .
2018/10/17
     .
2018/11/18
相模原北公園で見かけたソヨゴの果実です。
雄株と雌株が揃っているのでしょう。たくさんの果実が色づき始めていました。
下段は、上段の1ヶ月ほど後の様子ですが、赤く熟していました。


モチノキ(Ilex integra)
<モチノキ目・モチノキ科・モチノキ属>


 
モチノキ科モチノキ属の常緑高木で、自生種。
日本では、本州の宮城県、山形県から四国、九州、南西諸島の海縁の山地に自生する。
樹高は10m程になる。葉は互生し、葉身は5cm前後、楕円形で尖り、成木では全縁。幼木では鋸歯あり。
雌雄異株で、前年枝の葉腋に極短い枝を出し、4月頃に黄緑色の小さな花を束生する。
雄花は2〜15個、雌花は1〜4個ずつ集まる。花弁は4個で萼片も4個、オシベも4個ある。
雄花には、オシベ4本と、退化したメシベがある。
雌花は、緑色の大きな子房と退化した4本のオシベがある。メシベの柱頭は4残裂する。
果実は核果で、1cm程の球形。11月頃に赤く熟す。

2018/10/16
境川に向かう途中の民家で見かけた大きなモチノキですが、真っ赤に色付き始めていました。
緑色の葉や果実の中に、真っ赤な果実が混じるので、赤い果実がやたらと目立ちます。

   
2018/4/3         2018/4/10        2018/5/21
 
2018/10/16        2018/4/3
開花した雌花が果実として成長し、熟していく過程を並べてみました。
結実直後はみずみずしい緑色だったものが、落ち着いた黄緑色になり、赤く熟します。
ただ、熟した果実は全て落果するわけではないようで、残ったものは色あせて、茶褐色になるようです。

ナガイモ(Dioscorea batatas)
<ヤマノイモ目・ヤマノイモ科・ヤマノイモ属>
 
ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草で、在来種とする説と中国原産とする説がある。
ナガイモは、ヤマノイモとは別種のヤマノイモ属であるが、ヤマイモの名前で扱われることもある。
ナガイモは、概ね、以下の3つに分類される。
ナガイモ群(円柱状の芋):粘りが少なく、きめも粗い。栽培が容易なため、生産量も多い。
ツクネイモ群(丸っこい芋):粘り、きめが最も細かく、ヤマノイモと並び、美味。
     主に、丹波・篠山や奈良・三重で生産され、関西でヤマイモというとこの群を指す。
イチョウイモ群(イチョウ型の芋):大和芋のことで、ナガイモ群よりムチンが多く、粘りも強い。

ナガイモ群は、根茎は太い円柱状で、茎や柄は紫色を帯びることが多い。
葉は、基部では互生し、上部では対生となる。葉柄は2〜3cm。
葉身は長さ3〜10cmで、基部が左右に張り出す。
花期は7月〜8月で、雌雄異株。雄花序は長さ2〜5cmで、数個が集まって立ち上がる。
雄花は、外花被片3個に包まれた球形で、外花被片は長さ2o以下で黄緑色。
内花被片は少し小さく、オシベは6個。花の基部には長さ1mmほどの苞がある。
雌花序は長さ5cm以下で、数個が集まって垂れ下がる。
ヤマノイモと同じように、ムカゴを付ける。

2020/9/19
散歩コースの側にある畑で、ナガイモが栽培されていました。
最初に見かけたときには、蔓がヒョロヒョロと巻き付いている程度でした。
それが、気が付くと栽培棚を覆い尽くすほどに繁茂して、壁のようになっていました。
既に花期は過ぎているようで、葉腋に花序はなく、多くのムカゴが付いているだけでした。

   
   2020/10/7           2020/10/7        2020/10/13
7日の時点では黄色い葉はそれほど多くはなかったのですが、13日ではかなり増えていました。
ただ、既に枯れて茶色くなった葉も見られるので、全体が黄葉することはなさそうです。


2020/10/27
全体が黄葉することはなさそうだと思っていたのですが、予想に反して黄葉がきれいでした。
緑色の部分や枯葉は見られるものの、きれいに黄葉した葉が多いので、遠目ではきれいでした。

 
2020/10/19
前述の写真は畑に植えられたものでしたが、道路脇の草原で自生しているナガイモを見つけました。
草原の一角をナガイモが占め、びっしりとムカゴを付けていました。

ヤマノイモ(Dioscorea japonica)
<ヤマノイモ目・ヤマノイモ科・ヤマノイモ属>
   
2014/9/13           2014/10/25           2014/10/25
 
2014/9/13             2014/10/25
ヤマノイモ科・ヤマノイモ属のつる性多年草で、日本固有種。
日本では、北海道南西部から本州、四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
葉は対生し、長さ10p前後の三角状披針形で、基部は心形。葉柄は数pある。
花期は7月〜8月で、雌雄異株。種子のほかムカゴでも繁殖する。
雄花序は、葉腋から数本が直立し、白色の小さな花を多数つける。
雌花序は、葉腋から下垂し、白色の花がまばらにつく。
地下には1本の芋があり、地上部の成長と共に縮小し、秋には新たな芋と置き換わる。
芋は、ジネンジョとうな名前で売られているが、食べられるようになるには4〜5年を要する。

2014/9/13 境川に向かう道路の途中にある林の縁で、ヤマノイモの若い果実を見かけました。
垂れ下る花序に、さく果は下向きに付き、3つの丸い翼がありました。
204/10/25 1ヶ月以上経った頃には、成熟途中の黄緑色のものや、熟して褐色になったものがありました。

   
2014/11/30
ヤマノイモの葉はすっかり枯れて無くなり、枯れた果実が風に揺られていました。
その一部を持ち帰って、割ってみました。1つの翼の中に、2つの種子が入っていました。
種子には、丸い翼が付いており、風に乗って良く飛びそうです。


ヤマノイモとナガイモ

ヤマノイモもナガイモ[ヤマイモ]も同じヤマノイモ属に属する仲間ですが、芋には各々特徴があります。

ヤマノイモ=ジネンジョ(自然薯)は、日本固有種で、山に自生しているものです。
ナガイモあるいはヤマイモと一般に言われているものには、大まかに言って以下の3種類があります。
 ナガイモ群:粘りが少なく、きめも粗い。栽培が容易なため、生産量も多い。
 イチョウイモ群:関東で言う大和芋のことで、ナガイモ群よりムチンが多く、粘りも強い。
 ツクネイモ群:粘り、きめが最も細かく、ヤマノイモと並び、美味。
       関西でヤマイモというと本種を指す。
       丹波地方の「丹波いも」、三重県、奈良県の「伊勢いも」などがあり、
       まとめてヤマトイモとも呼ばれています。
ダイジョは、あまり馴染みはないと思います。
      沖縄や九州で栽培され、「台湾山芋」、「沖縄山芋」とも呼ばれています。
      ヤムイモの一種で、熱帯から亜熱帯での栽培が多く、
      台湾→沖縄→九州と伝わったとされています。

粘り気では、「ヤマノイモ>ツクネイモ群>イチョウイモ群>ナガイモ群」の順となります。
ダイジョの粘りは、相当に強い様で、ヤマノイモ以上なのかもしれません。
ダイジョ以外は食べたことがあるのですが、ダイジョは見たことがないので上記はWebで調べた結果です。

関東地方では、上記の内、ヤマノイモとナガイモ群が、自生したり、逸出して野生化したものが見られます。
ムカゴが出来るなど、見た目は似ていますが、葉の形や付き方、花序が異なりますので、区別は容易です。

    .
<ヤマノイモの花>              <ナガイモ群の花>
ヤマノイモの雄花序はほぼ直立するのに対し、ナガイモ群の雄花序はバラバラです。
また、ヤマノイモの葉は対生で、基部の張り出しがないのに対し、
ナガイモ群の葉は互生(花期には対生)で、基部が大きく張り出すことでも区別できます。
上記のナガイモ群は花期なので葉は対生ですが、葉の基部が張り出しているので区別できます。

※ Webでの確認ですが、イチョウイモ群もツクネイモ群も、ヤマノイモ同様基部の張り出しはないようです。


タイワンホトトギス(Tricyrtis formosana Baker)
<ユリ目・ユリ科・ホトトギス属>
 
ユリ科ホトトギス属の多年草で、在来種。日当たりの弱いところに生える。
日本では、西表島のみと自生地が限られ、個体数も少ない。
園芸用に販売されているのは、タイワンホトトギスとホトトギスの交雑種と言われている。
茎は屈曲し、葉は互生する。葉身は長さ10cm前後の狭卵形で、縁は全縁、基部は茎を抱く。
茎や葉表は無毛かわずかに毛がある程度であるが、葉裏は有毛。
花期は9月〜10月で、茎頂や葉腋に集散花序を出し、まばらに花を付ける。
雌雄同花で上向きに咲き、青紫白色の花被片は斜め上向きに開く。表面に濃い紫色の斑点がある。
花被片基部の内面にある橙色の斑紋はやや不鮮明。花柱や柱頭、花糸にも斑点がある。
ホトトギスの和名は、斑点の入る花が、ホトトギスの胸の模様に似ることに由来する。

2020/10/7
境川沿いの植え込みで、切れ目の所でタイワンホトトギスが花を咲かせ始めていました。
ホトトギスの仲間の花は、独特の形で見た目は似ていますが、各々、特徴があります。


ホトトギス属の花

   .
<タイワンホトトギス>       <ヤマホトトギス>       <タマガワホトトギス>
花の特徴である花被片やその斑紋、オシベやメシベの形状などはよく似ています。
しかし、花被片の開き具合や斑紋の付き方は各々異なります。
また、花被片の地色が白いものと黄色いものなどがあり、これらの点で判別可能です。


ヘクソカズラ(Paederia scandens)
<リンドウ目・アカネ科・アカネ亜科・ヘクソカズラ連・ヘクソカズラ属>
 
アカネ科ヘクソカズラ属のつる性多年草で、全国で見られる。
別名に、ヤイトバナ、サオトメバナ、サオトメカズラなどがある。
日本以外では、東アジア一帯に分布し、北アメリカやハワイなどに帰化している。
特有のいやな臭いがあり、これが和名の由来。
葉は対生し、楕円から狭卵形で、長さ4〜10p、幅1〜7p。
花期は7月〜9月で、葉腋から短い集散花序を出し、花をまばらにつける。
花冠は鐘状で長さは1p前後。灰白色で先は5残裂し、中央は紅紫色で毛が生える。
花糸の短い5個の雄しべは、花冠の内部に付く。花柱は2個で、基部で合着する。
果実は、直径5oほどの球形の核果で、黄褐色に熟す。

2014/9/13
境川に向かう道路脇で、ヘクソカズラがオレンジ色の果実を付けていました。
花が咲いている頃には気が付かなかったので、花の写真はありません。
参考までに、多摩川の近くで撮った花の写真を以下に掲載します。

 
2020/10/7
既に花期は過ぎているのですが、境川に向かう途中の道端でヘクソカズラの花が咲き残っていました。
別名のヤイトバナは、名が示す通り、中心部が紅紫色で、灸を据えた跡に見える事によります。

話は変わりますが、ヨモギの葉裏にある繊毛を精製したものがもぐさ(艾)です。
これを米粒半分程度に丸めて、ツボの上に置き、火を点けるのが灸です。
点灸用のもぐさは、高純度で火力が穏やかなため、米粒半分程度のものは心地よい熱さになります。
ただ、高純度なもぐさは、精製にたいへん手間暇がかかるため、大変高価です。
安い粗悪なもぐさは火力が高く、急激に熱くなるため、直接肌の上に置かない温灸に用いられます。

 
2020/10/13
1週間ほど経つと花は無くなり、丸い果実ばかりになっていました。
ご覧通り、大量の果実が見られ、黄色く熟し始めたものも見受けられました。

アラゲカワラタケ(Trametes hirsuta)
<ヒダナシタケ目・タコウキン科・シロアミタケ属>
 
タコウキン科シロアミタケ属のキノコで、在来種。全世界に広く分布する。
なお、科名はタマチョレイタケ科、サルノコシカケ科(仮名)など統一されていない。
通年で広葉樹の枯木などに発生する小型〜中型のキノコで白色腐朽菌。
傘は半円形〜扇形で、幅が3〜10cm、厚さは3mm前後しかなく、縁は鋭形。
子実体は、普通は側着生となるが、時に背着生〜側着生となる。無柄である。
また、ときに棚状に重なって貝殻状に湾曲したり、横に並ぶと連結して幅広くなる。
表面は変化が多く、灰白色〜黄褐色〜暗褐色で、明瞭な環紋があり、粗毛が密生する。
古くなると緑藻類が繁殖して、緑色を帯びることがある。なお、毛被の下に暗色の下皮がある。
裏面は汚白色で、古くなると淡黄土色を帯び、ときに淡墨色になることもある。
孔口は円形〜角形で、3〜4個/mm。孔長は1〜1.5mm。
肉は白色で、革質〜コルク質であり、乾くと硬くなる。

2020/10/13
境川への道路脇にある畑に置かれた棚に、キノコが発生していました。
以前から気がついていたのですが、この日、気になって撮影しました。
2つは円形に、他の1つは連結したのか長楕円形になっていました。
同定しようとしたのですが、似たものが多く、裏面を確認することが必要になりました。

 
 
2020/10/14
裏面を撮影しようと小さい方の傘の部分を触った途端に、ポロリと取れてしまいました。
仕方ないので、持ち帰って撮影したのが上記の写真です。
表面には、粗毛が密生し、褐色の環紋が明瞭に見られます。古い部分には緑藻類が繁殖しています。
裏面は、大きさが不揃いな孔口で覆われており、傘の厚みは極薄いことが分かりました。
これらの特徴から、対象を絞り込み、アラゲカワラタケと判断しました。
本来は側着生なので半円形〜扇形になるはずですが、板の表面に発生したためか円形になっています。
ただ、よく見ると融着した後と見られる直線が見られ、半円形の端が伸びて重なり、融着したようです。
複数のアラゲカワラタケが、割れ目に沿って複数発生し、互いに融着したのが長楕円形のものと思われます。

ツリガネタケ(Fomes fomentarius)
<ヒダナシタケ目・タコウキン科・ツリガネタケ属>
 
タコウキン科ツリガネタケ属の多年生の白色腐朽菌で、在来種。
日本、アジア、ヨーロッパ、北アメリカと北半球に広く分布する。
通年見られ、ブナその他の広葉樹の枯木、倒木にに多数群生する。
小形の群生するタイプと大形で単生するタイプがあり、欧米の大形のタイプを基本型とする。
日本では両タイプが見られる。子実体は側着生で無柄。
大形タイプの傘は、幅5〜30cm、厚さ3〜15pで、半円形〜馬蹄形、背面は堅い殻皮で被われる。
表面は灰白色〜灰褐色で周縁は淡色、環溝及び幅広の環状隆起帯があり、厚い鈍縁。
肉は淡黄褐色で、強靭なフェルト質。厚さは1〜5cmになる。殻皮は断面が黒色で厚さ1〜2mm。
小形タイプの傘は、幅3〜4cm、厚さ2〜5cmで、馬蹄形〜釣鐘形、灰白色〜白茶色、縁は淡黄褐色。
年々、生長を繰り返すため環溝を形成し、しばしば、黒褐色の細い環紋が入る。
肉は強靭なフェルト質で、黄褐色。管孔面は灰白色で、管孔は多層になり、孔口は円形。
なお、属名、種小名は火口(ほくち)を意味し、ヨーロッパではほぐしたフェルト質を火口に使用していた。
5000年前の冷凍ミイラ、アイスマンの所持品にもこのツリガネタケが含まれていたとのこと。

2022/4/10
国道16号線沿いを散歩中、道路脇の空き地でコハコベなどを撮影していて、本種に気が付きました。
ウメの古木で、根本付近の腐ってボロボロになった所に付いていました。
以前、何段にも重なった姿はWebで見たことがあり、調べたところ、やはり小型のツリガネタケでした。
最下段が昨年の成長部分で、他より明るい灰褐色です。段数から5年は経っていると思われます。
1年目は小さく、2年目以降の半分程度の大きさしかありません。
昨年は、左右に分かれたようで、2個の傘がくっついたようになっています。

マンネンタケ(Ganoderma lucidum (Leyss. ex. Fr.) Karst)
<ヒダナシタケ目・マンネンタケ科・マンネンタケ属 >
 
マンネンタケ科マンネンタケ属の1年生のキノコ。
レイシの別名で呼ばれることも多いキノコで、表面に光沢がある事が特徴。
子実体は1年生、初期にはこぶ状、成長すると偏心生の扇状になり、ときに中心生になり、直立する。
傘は5〜20cmと幅があり、扁平か多少中央が盛り上がる。
傘の背面は環溝と放射状のしわがあり、黄褐色、赤褐色、紫褐色と変異がある。
成長すると表層は硬い殻皮となり、表面に光沢がでてくる。
柄は硬く、中実で長さは5〜15cm、不規則に曲がり、凹凸がある。

2017/3/7
境川への道路脇にある畑に植えられている梅の木の根元で見つけました。
形が歪で、良い形ではありませんが、キノコの形状や環溝と放射状のしわから本種としました。

 
2018/3/13
1年経ったマンネンタケです。
1昨年に成長したものは灰褐色に変色し、昨年に成長したものが横に見えます。









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