ホーム兵庫県 ブラブラ録>播州地方で見かけた昆虫(V)


播州地方で見かけた昆虫(V)



実家近辺や兵庫県内などを移動する際に見かけた昆虫です。
といっても、出かけた際にちょこっと撮影しただけのため、あまり多くはないです。
今後、機会を見つけて充実させていきたいと思っています。

< トピック >

今回、新たに見かけた下記の昆虫を追加しました。
ホソミオツネントンボ
今回、下記の写真を追加しました。
シオヤトンボ、ニジュウヤホシテントウ



トンボ目
イトトンボ科(オオアオイトトンボ、ホソミオツネントンボ、アオモンイトトンボ、
       アジアイトトンボ)
トンボ科(ハッチョウトンボ、ナツアカネ、ヒメアカネ、マユタテアカネ、
     ウスバキトンボ、チョウトンボ、オオシオカラトンボ、シオカラトンボ、
     シオヤトンボ、ハラビロトンボ)
ヤンマ科(ウチワヤンマ、タイワンウチワヤンマ、タベサナエ、フタスジサナエ、
     ギンヤンマ)
アミメカゲロウ目
ウスバカゲロウ科(コカスリウスバカゲロウ)
クサカゲロウ科(アミメクサカゲロウ、カオマダラクサカゲロウ)
カマキリ目
カマキリ科(ハラビロカマキリ、カマキリの幼虫、オオカマキリ、チョウセンカマキリ、
      ウスバカマキリ)
コウチュウ目・オサムシ亜目
オサムシ科(ゴミムシ、ニワハンミョウ)
コウチュウ目・カブトムシ亜目
コガネムシ科(オオコフキコガネ、コフキコガネ、ウスチャコガネ、アオドウガネ、
       セマダラコガネ、マメコガネ、カナブン、シラホシハナムグリ、
       シロテンハナムグリ、コアオハナムグリ)
コメツキムシ科(クロクシコメツキ、ウバタマコメツキ)
ジョウカイボン科(ジョウカイボン)
ナガハナノミ科(ヒゲナガハナノミ)
カツオブシムシ科(ヒメマルカツオブシムシ)
シデムシ科(ヨツボシモンシデムシ)
カミキリモドキ科(モモブトカミキリモドキ)
カミキリムシ科(タケトラカミキリ、テツイロヒメカミキリ、ニセノコギリカミキリ、
        キクスイカミキリ、ゴマダラカミキリ)
ハムシ科(ユリクビナガハムシ、キヌツヤミズクサハムシ[スゲハムシ]、
     アオバネサルハムシ、ヨモギハムシ、ウリハムシ、ニレハムシ、
     サンゴジュハムシ、ヘリグロテントウノミハムシ)
テントウムシ科(キイロテントウ、ダンダラテントウ、ナナホシテントウ、
        ナミテントウ、ヒメカメノコテントウ、ニジュウヤホシテントウ)
ゾウムシ科(スグリゾウムシ)
播州地方で見かけた昆虫(V)
和名インデックス


オオアオイトトンボ(Lestes temporalis)
<トンボ目・イトトンボ亜目・アオイトトンボ上科・アオイトトンボ科・アオイトトンボ属>


アオイトトンボ科アオイトトンボ属のトンボで、日本のアオイトトンボ属では最大種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州と広範囲に分布する。海外では、ロシアに分布する。
体全体が金緑色をした美しいイトトンボで、体長はオスで40〜55o、メスで40〜50mm。
腹長はオスで30〜43mm、メスで31〜39mm、後翅長はオスで21〜27mm、メスで23〜30mm。
成虫は5月中旬くらいから羽化が始まり、11月くらいまで見られる。
水面に覆いかぶさった木の樹皮に産卵するため、水際に木立のある池沼や湿地に生息している。
アオイトトンボに似るが、以下の点で区別することができる。
・オオアオイトトンボのオスは、成熟すると、尾端の第10節のみが白く粉を吹く。
 一方、アオイトトンボのオスは、尾端の第9、第10節に白く粉を吹き、また、胸部周辺にも白粉が吹く。
・オオアオイトトンボは、胸部金属光沢部の形状が三角形状で、中胸部前側下板まで届く。
 一方、アオイトトンボは、胸部金属光沢部の形状が矩形に近く、中胸部前側下板に金属光沢がない。

2022/10/11
網引湿原第2湿原の通路を歩いていて、イトトンボを見かけました。
ちょうど、目の前に止まってくれたので撮影し、さらにアップでと思ったとき逃げられました。
少し待っていると戻ってきたので、背面からの写真も撮れました。
後で確認すると、胸部側面の金属光沢の形状からオオアオイトトンボと分かりました。
また、腹端の拡大写真から、この個体がメスであることが分かります。

ホソミオツネントンボ(Indolestes peregrinus)
<トンボ目・イトトンボ亜目・アオイトトンボ上科・アオイトトンボ科・ホソミオツネントンボ属>

アオイトトンボ科ホソミオツネントンボ属のトンボで、在来種。
和名は、オツネントンボより細い身であることと、成虫で越年することに由来している。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布するが、北海道では局所的である。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
体長は、オスで35〜42mm、メスで33〜41mmである。
越冬中は、雌雄とも褐色の体色をしているが、春に成熟すると鮮やかな青色になる。
ただし、メスの中には初夏まで体色が褐色のままの個体もいる。
初夏までに産卵を終え、7月頃から新成虫が現れるが、未成熟で体色は褐色である。
そして、未成熟のまま秋まで過ごして、越冬に入る。
なお、成虫で越冬するイトトンボには、下記の2種も含めて3種が知られている。
・オツネントンボ(アオイトトンボ科)
・ホソミイトトンボ(イトトンボ科)
この内、褐色時のオツネントンボとホソミオツネントンボはよく似ている。
大きな違いは、翅をたたんだときに前後翅の縁紋が重なるかずれているかである。
重なるのがホソミオツネントンボで、ずれているのがオツネントンボである。

2024/3/16
網引第1獣害防止ゲートを入って直ぐの林内でチョウなどの写真を撮っていて、イトトンボに気づきました。
この時期にイトトンボがいるとは思ってもいませんでしたので、ちょっとびっくり。
何枚か撮っていたら逃げられてしまいました。後で調べると、成虫越冬するイトトンボは3種いるとの事。
翅の縁紋が重なっていることから、ホソミオツネントンボと分かりました。
右の拡大写真で、第2、3節に副性器が見られるので、この個体がオスであることが分かります。
まだ未成熟なので体色は褐色ですが、後数ヶ月で成熟して体色は鮮やかな青色に変わるでしょう。

アオモンイトトンボ(Ischnura senegalensis)
<トンボ目・イトトンボ亜目・イトトンボ上科・イトトンボ科・イトトンボ亜科・アオモンイトトンボ属>

イトトンボ科アオモンイトトンボ属のトンボで、在来種。
日本では、本州の岩手県以南から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東南アジアからアフリカに至る熱帯、亜熱帯に広く分布している。
体長は32mm前後で、出現時期は4月〜9月で、平地の池や沼など、流れが無いか緩やかな水辺で見られる。
オスは、アジアイトトンボと似ているが、水色の部分が第8節と第9節の下半分にあり、区別できる。
※ アジアイトトンボのオスは、水色部分は第9節にある。
メスは、オスと同色のもの、異色型(胸部が黄褐色から緑褐色)の2種が存在する。
その異色型の未成熟成虫は、橙色をしていて、アジアイトトンボのメスと酷似している。

2020/7/22
実家の2階で、網戸の内側に止まっているイトトンボを見つけました。
見覚えのないイトトンボでしたので、外に放してやる前にいろいろと写真を撮りました。
調べてみると、アオモンイトトンボかアジアイトトンボのメスと分かりました。
異色型の未成熟成虫は橙色で酷似しているが、成熟すると橙色から変化します。
アオモンイトトンボは緑褐色〜暗緑色に、アジアイトトンボは地味な緑色に変わるとのこと。
この個体は、成熟途中のようで橙色が薄れて、これから色が変わる所のようです。
そのため、色味での判断はできず、腹部第1節背面の色の違いでの判断しかないようです。
アジアイトトンボでは全体が黒く、アオモンイトトンボでは胸部側が淡色になるとのこと。



その腹部第1節背面ですが、上記写真で胸部側が淡褐色である事が分かります。
そのため、アオモンイトトンボの成熟途中のメスと判断しました。


2021/9/13
実家近くの川沿いを散歩中、直ぐ先を飛ぶイトトンボが目にとまりました。
尾端に水色の斑紋が見えたので、先日見たのと同じアジアイトトンボだと思いました。
と、その直ぐ近くに橙色のメスが飛んでおり、オスが交尾しようとアピールしていたようです。
なかなか両方が写野の中に納まらず、まごまごしている内に分かれてしまい、撮れたの1枚だけでした。
それもピンボケです。かろうじて、左下にオス、右上にメスの姿が確認できます。


2021/9/13
アジアイトトンボはオスの写真は撮っていたので、メスの写真を撮ることにしました。
後で、拡大してみると、腹部第1節背面の胸部側が淡褐色で、アオモンイトトンボのメスでした。
慌てて、オスの斑紋の位置を確認すると、不鮮明ですが下記のように第8節に水色の斑紋がありました。
両方を一緒に撮ろうとせず、片方だけでもキッチリと撮っておけば良かった...後の祭りですね。


<アオモンイトトンボ>            <アジアイトトンボ>
アオモンイトトンボは、腹部第8節と第9節下面に水色の斑紋があり、
アジアイトトンボは、腹部第9節に水色の斑紋がある。


2021/9/16
実家近くの川沿いを散歩中、連結したイトトンボを見つけました。
雌雄が同じような配色なので、アオモンイトトンボだと分かりました。
また、オスの腹部第8節と第9節の下半分に水色の斑紋があることでも判断できます。
オスの尾端にある尾部付属器でメスの頭部を挟み、メスは尾端の生殖器をオスの副生殖器に結合します。
事前に、この副生殖器の貯精嚢に精子を移動させておいて、メスに精子を渡します。
精子の受け渡しが完了するとメスは尾端を離して、オスとメスが前後に並んだ形態に移行します。


2021/9/24
田んぼが広がる実家近くを散歩中、道路脇の草むらをイトトンボが飛び回っていました。
最初に目についたのはメスでしたが、オスが接近。そこに別のオスが来てバトルになりました。
2匹が争っている内に、メスの方はどこかに行ってしまい、オスの写真のみとなりました。
なお、腹部第8節と第9節下面に水色の斑紋があるので、アオモンイトトンボのオスです。


2022/7/16
散歩中、小学校近くの休耕田で、アオモンイトトンボが数匹飛び回っていました。
色が変わり切っていないので、成熟途中のオスのようです。
そのためか、2匹が接近してもバトルにはならず、ニアミスで終わってしまいました。

アジアイトトンボ(Ischnura asiatica)
<トンボ目・イトトンボ亜目・イトトンボ上科・イトトンボ科・イトトンボ亜科・アオモンイトトンボ属>

イトトンボ科アオモンイトトンボ属のトンボで、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州に、島嶼部では佐渡、対馬、南西諸島などに分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾などに分布している。
体長は24〜25mmで、アオモンイトトンボより一回り小さい。
発生時期は4月〜11月で、年に2回の発生が見られ、夏の終わり頃に現れるものはかなり小さい。
オスは、アオモンイトトンボと似ているが、水色の部分が第9節にあり、この点で区別できる。
※ アオモントトンボのオスは、水色部分は第8節と第9節にある。
メスは、アオモンイトトンボと異なりオスと同色型のメスは存在しない。
未成熟成虫は橙色をしていて、アオモンイトトンボの異色型のメスと酷似している。

2021/9/6
実家近くの川沿いを散歩中、土手の草むらの中をヒラヒラと飛ぶイトトンボに気が付きました。
草に止まったので、そっと近づいて撮影したのですが、尾端の水色の斑紋が目を引きました。
後で調べてみると、アオモンイトトンボかアジアイトトンボのオスと分かりました。
水色の斑紋が何節目にあるのか数えると、第9節でしたのでアジアイトトンボです。
近くに何匹かいたのですが、この日見かけたのは全てオスでした。

ハッチョウトンボ(Nannophya pygmaea)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アオビタイトンボ亜科・ハッチョウトンボ属>

トンボ科ハッチョウトンボ属に属するトンボの1種で、日本で最も小さなトンボである。
日本では、本州から四国、九州に分布するが、離島では生息が確認されていない。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾から東南アジアの熱帯地域に広く分布している。
近年のDNA分析により、地域によって大きな差異が確認されており、再分類される可能性もある。
体長はオスが17〜21mm、後翼長12〜16mm、メスが17〜21mm、後翼長13〜16mm。
雌雄とも羽化直後は橙褐色であるが、成熟に伴い雌雄で体色が変わる。
オスは、成熟に伴って赤味をおび、20日ほどで複眼から腹端まで鮮やかな赤色となる。
また、翅の基部も橙赤色を帯びて、きれいなグラデーションが現れる。
一方、メスは成熟に伴って淡黄色になり、腹部には淡黄色、橙色、黒色の縞模様が現れる。
翅の基部も淡い橙色を帯びるが、オスと比べるとかなり淡い。
平地から丘陵地・低山地にかけての湿地などに生息しているが、極浅い水域を好む。
成虫の出現時期は5月〜9月で、オスは小さな縄張りを持ち、静止してメスを待つ。

2022/6/18
網引湿原では、このようにモウセンゴケが生えている所に、ハッチョウトンボは居ます。
想像以上に小さなトンボなので、最初の1匹目を見つけるまでは、なかなか見えてきませんでした。
不思議なもので、1匹目が見つかると次々と見つかるようになり、かなりの数が居ると分かりました。


<成熟したオス>              <成熟したメス>

<未成熟なオス>              <未成熟なメス>
ハッチョウトンボは成熟すると、オスは真っ赤になり、メスは淡黄色、橙色、黒色の縞模様になります。
下段は未成熟な状態で、左は羽化して間もない個体ですが、尾端の形からオスと分かります。
右は、まだ、色が淡い成熟しかかっているメスで、まもなく上段のようになります。


2022/8/9
前回訪れたときには、多くのハッチョウトンボに出会えたのですが、今回は2匹だけでした。
1匹は、前回と同じ第2湿原で見かけ、もう1匹は第1湿原でみかけたものです。
前回は、第1湿原では見かけなかったので、第1湿原では初めての確認となります。


<未成熟なオス>             <未成熟なオス>

2023/5/18 <成熟したオス>

2023/5/18 <メス>
網引湿原で始めてハッチョウトンボを見た時より、ちょうど1ヶ月早いのですが、飛び始めていました。
比較的若い未熟なオスから成熟したオスまで見られたので、飛び始めたのは5月初旬からのようです。
※ オスは、羽化後7日〜10日ほどで成熟して赤化し、縄張りを持つようになるそうです。


<ハッチョウトンボ♂>  2023/7/18  <ハッチョウトンボ♀>
2ヶ月が経過し、数はかなり減っていますが、まだ、雌雄とも見ることができました。
ただ、見かけたのは全て成熟個体で、未成熟な個体は確認できませんでした。


2023/8/5
第2湿原でハッチョウトンボがオスが確認できました。さらに数は減っているようです。
撮影時には気づきませんでしたが、水面の反射をバックに芸術的?な写真になっていました。

ナツアカネ(Sympetrum darwinianum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>

トンボ科アカネ属に分類されるトンボで、俗に赤とんぼと呼ばれるトンボの1種である。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
日本以外では、朝鮮半島から中国中部、台湾に生息している。
全長は33〜43mm、腹長は20〜28mm、後翅長は23〜32mmで、アキアカネより若干小さい。
出現時期は、6月下旬〜12月上旬で、アキアカネと異なり、夏も平地で見られる。
夏場の未成熟期は橙色の体色であるが、秋の深まりとともに成熟して赤い体色になる。
特にオスは全体が赤くなり、まさに赤トンボの名にふさわしい色になるが、メスは腹部の上面のみ赤くなる。

2021/9/6
田んぼが広がる実家近くを散歩中、ガマが覆う休耕田で写真を撮っていて赤とんぼに気が付きました。
近づきたくても足場が悪くて近づけず、向きも変えてくれないので後ろ姿だけの写真となりました。
パッと見、かなり小さなトンボに見えたので、ヒメアカネかもしれないと思いました。
ただ、後ろ姿だけでは種類は判別できません。後で写真を調べるとピンボケながら横からの姿が写っていました。
それを見ると、腹部だけではなく、胸部や頭部も赤くなっていることが分かりました。
胸部や頭部も赤くなるトンボは限られていて、アカネ属ではコノシメトンボ、ネキトンボ、ナツアカネです。
それ以外にも、 ショウジョウトンボ属のショウジョウトンボやハッチョウトンボ属のハッチョウトンボがいます。
最初に思った、ヒメアカネは胸部が赤くならないので、対象外。ハッチョウトンボも大きさから対象外です。
コノシメトンボは翅の先端が暗褐色、ネキトンボとショウジョウトンボは翅の基部が橙色になります。
写真を見る限り、翅の先端も基部も透明に見えますので、これらも対象外。
残るは、ナツアカネで、成熟したオスは頭部まで赤化し、翅は透明で縁紋は黒色なので特徴は合います。
もう少しピントぼけがマシなら良かったですが、結果的に消去法でナツアカネの成熟したオスと判断しました。

ヒメアカネ(Sympetrum parvulum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>

トンボ科アカネ属のトンボの一種で、在来種。
国内の赤とんぼでは最小の種で、和名もそれに由来するものである。
日本では北海道から本州、四国、九州に、海外では東アジアから極東に広く分布する。
出現時期は、6月中旬〜12月初めで、平地から低山地の木立のある湿地、湖沼などで見られる。
体長は28〜38mm、腹長は17〜26mm、後翅長は20〜29mmで、ややスリムな体形。
未熟なうちは雌雄とも体色は黄褐色だが、成熟するとオスは腹部が赤化して顔面は白くなる。
しかし、メスは成熟しても背面の橙色が濃くなる程度である。
オスの顔面には眉班がないが、メスの顔面上部には小さな眉班があるものとないものがある。
日本最小のトンボはハッチョウトンボだが、生育環境が似ているため両種が見られることも多い。
どちらもオスが成熟すると赤くなるが、ハッチョウトンボはハッチョウトンボ属になる。
マユタテアカネやマイコアカネとも似ているが、以下の点で識別できる。
・マユタテアカネはオスにも眉班があり、腹部黒斑はヒメアカネの方が明瞭に発達する
・マユタテアカネは、ヒメアカネよりオスの尾部上付属器の先端の反りが大きい
・ヒメアカネは、マユタテアカネよりメスの産卵管は長く突き出ている
・マイコアカネとヒメアカネは、ほぼ同じ大きさであるが、胸部側面の斑紋がことなる
・ヒメアカネのオスは成熟すると顔面が青味を帯びるが、マイコアカネはより顕著である

2021/10/14
砥峰高原のハイキングコース入り口付近にある木道を歩いていると、足元からトンボが飛び立ちました。
赤い色をしたかなり小さなトンボでしたので、最初、ハッチョウトンボではないかと思いました。
少し離れた所に止まったので、撮ろうと近づくと逃げられ、再度止まったところを少し離れて撮りました。
ただ、付けていたのが28mmの広角レンズで、撮影時、若干後ピンになっていたので、画質は良くありません。
後で調べると、体形と頭部、胸部の色から判断して、ハッチョウトンボではないことは分かりました。
さらに調べてみると、ヒメアカネ、マイコアカネ、マユタテアカネのどれからしいことが分かりました。
画質が悪く、背面の画像しかないのですが、腹部の黒斑の発達度合いからマユタテアカネでもなさそうです。
ヒメアカネとマイコアカネの背面の違いはほとんどないのですが、ヒメアカネの方が翅がスリムです。
翅のスリムさの点だけですが、この点からヒメアカネに軍配を上げました。


2022/10/11
網引湿原第2湿原で見かけたヒメアカネですが、撮影したときはマユタテアカネだと思っていました。
後で写真を見ていて、マユタテアカネのオスとは腹端の付属器の形状が異なることに気が付きました。
となると、マイコアカネとヒメアカネのどちらかだと思われますが、側面の写真がありません。
側面の斑紋は見えませんが、胸部前方の斑紋が確認できます。
この斑紋を見ると上端で区切れており、この点からヒメアカネのオスと判断しました。


2023/7/18
網引第2湿原の林縁辺りでは、羽化したばかりと思われるきれいなマユタテアカネが飛び交っていました。
そこにヒメアカネの羽化して間もない個体も混じっていて、ちょっと見では識別できませんでした。
後で、写真を拡大して眉班の有無を確認し、判別しましたが、写っていたのはメスばかりでした。


2023/8/5
この日も羽化後間もないと思われる、綺麗な個体が飛び交っていましたが、
うまく撮れる所に止まってくれたのは、眉班のないヒメアカネでした。


よく似た赤いトンボ

   .
マユタテアカネ(オス)       ヒメアカネ(オス)       ハッチョウトンボ(オス)
ハッチョウトンボはアカネ属ではないのですが、頭部や胸部まで赤くなり、より赤トンボらしい色合いです。
マユタテアカネは、ヒメアカネやマイコアカネほど、腹部の黒斑が発達しません。
ヒメアカネとマイコアカネは、胸部側面の斑紋や顔面の青味度合いに違いがあり、判別できます。
腹部の黒斑は両種ともよく発達し、背面から見た場合の違いはほとんどありません。
ただし、両種を並べた場合、翅の幅に違いが見られ、ヒメアカネの翅の方が細長く見えます。


マユタテアカネ(Sympetrum eroticum eroticum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>

トンボ科アカネ属のトンボで、和名は本種の特徴である顔面にある眉状斑に由来する。
日本では北海道から本州、四国、九州にかけて広く分布する。南西諸島の一部にも分布する。
海外では朝鮮半島から中国、ロシア、台湾に分布する。
平地から低山地にかけての水辺に生息し、木立のあるやや薄暗い所に多い。
アカネ属の中ではやや小型で、体長は30〜40o程度、雌雄とも顔面に眉斑と呼ばれる黒斑がある。
オスは、腹部がやや弓なりに反り、尾部上付属器の先端が上に反っているので分かり易い。
メスの産卵弁は幅広く、中央部が凹む。体色は、雌雄とも未熟期は、黄褐色をしている。
オスは、成熟すると腹部は赤化し、胸部は暗褐色になる。
メスは、成熟しても体色が濃くなる程度のものが多いが、稀に腹部が赤化する個体がいる。
また、メスには翅の先端に褐色の斑紋があるものもおり、その組み合わせで4型が存在する。

2022/8/9
網引湿原第2湿原を周っているとき、通路脇に飛んできて止まってくれたマユタテアカネです。
体色の黄色味が強く、腹部には副生殖器の出っ張りがないので、メスですね。


2022/8/16
網引湿原第2湿原をぐるっと回って、ベンチのある入り口近くに来た時に見かけました。
前回は1匹しか確認できませんでしたが、今回は数匹が通路近くに止まっていました。
今回は頭部を前方向から撮れる個体がいたので、眉斑を確認できました。
なお、今回確認できたのもメスばかりで、オスは見当たりませんでした。


2022/10/11
網引湿原第2湿原で見かけたマユタテアカネのオスです。
左の写真では、顔面の眉班が確認できます。
右の写真では腹端の上付属器が反っているのが分かります。
なお、今回確認できたのはオスばかりで、メスは見当たりませんでした。

※ マユタテアカネの翅先に褐色斑のあるメスなどに関しては、こちらに掲載しています。


2023/7/18
網引第2湿原の林縁では、羽化したばかりと思われるマユタテアカネのきれいな個体が飛び交っていました。
そこにヒメアカネの羽化して間もない個体も混じっていて、ちょっと見では識別できませんでした。
後で、写真を拡大して眉班の有無を確認し、判別しましたが、写っていたのはメスばかりでした。

ウスバキトンボ(Pantala flavescens)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ウスバキトンボ亜科・ウスバキトンボ属>

全世界の熱帯・温帯に広く分布するトンボで、長時間、長距離飛行ができる。
日本では、4月中旬に南西諸島や九州、四国で見られるようになる。
その後、5月頃には本州南部、6月には本州中部、7月には東北、9月には北海道で見られるようになる。
これは、本種が産卵後数日で孵化し、1ヶ月ほどで羽化と、短期間に繰り返し増殖できるためである。
また、本種は、体長の割に翅が大きく、体も華奢で軽くできており、長距離飛行に適応している。
そのためか、水辺から遠く離れて飛び回ることが多く、早く拡散する理由の1つと思われる。
しかし、南方系のトンボのため、寒さに弱く、寒さの訪れと共に見られなくなる。
本種は、複眼が赤く、全身が淡黄色で、腹部背面に黒い縦縞と細い横縞がある。

2019/7/5
実家の畑の上を、ウスバキトンボが数十匹飛び回っていました。
近くにヤゴが育つような小川や池はないのですが、どこから飛んできたのでしょう。
それほど広くない場所なのでかなりの密度になり、ちょっと異常な風景です。
飛んでいる所を撮ると、青空バックの逆光になり、何だか分からなくなるので止めました。
その内、数匹が植木の棒に止まってくれたので、それを撮ったのが上の写真です。
この棒が止まりやすいのか、この棒の所にだけ止まっていました。


2021/9/7
時折、実家の庭にもウスバキトンボが10匹ほど飛来して、乱舞していることがあります。
その飛翔中の姿を撮ろうとしたのですが、狭いのか動きがランダム過ぎて撮れませんでした。
川沿いを散歩中、目の前をウスバキトンボが飛び交い始めたので、撮影にチャレンジしました。
最初の撮影は距離があったので、ピントは合わせやすかったのですがアップでは撮れませんでした。
その後、目と鼻の先を飛び始めたので、再チャレンジして撮ったのが上記の写真です。
右の写真は、最短撮影距離ギリギリくらいの所で撮ったもので、やや前ピンでした。

チョウトンボ(Rhyothemis fuliginosa)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・チョウトンボ亜科・チョウトンボ属>

トンボ科チョウトンボ属に分類されるトンボの一種で、在来種。
日本では本州から四国、九州に、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
出現時期は6月〜9月で、腹長は20〜25mm、体長は31〜42mm、開張は74〜77mm。
前翅の基部側半分強と後翅の大半は金属光沢のある暗色で、光の加減で青っぽい色で輝く。
なお、前翅の透明な部分の大きさや後翅先端の透明部分の有無、大きさには個体差がある。
後翅の方がかなり広い特徴があり、ヒラヒラとチョウのように飛ぶのが名前の由来。

2021/9/7
実家近くの川沿いを散歩中、時折、チョウトンボが飛んでいるのを目撃していました。
飛び方でチョウトンボだと直ぐに分かるのですが、遠過ぎたりして撮れていませんでした。
この日も、川の上を飛ぶのを目撃して撮ったのですが、遠すぎて写りは良くありません。
上記は目いっぱい拡大したものですが、何となくそれらしいと分かる程度ですね。


2023/7/18
網引湿原で最初に見たチョウトンボは、地面に張り付いたチョウトンボの死骸です。
最初、遠目で見たときは、地面にチョウトンボが止まっているように見えました。
なぜ、このような所に止まっているのかとよく見ると、どうやら死んでいるようす。
近づいてみると、アリが多数集っていて、既に翅以外の部分はほとんどありませんでした。
しかし、食料にならない翅の部分は、きれいに残していました。


2023/7/18
網引湿原の第1獣害防止ゲートを出て、駐車場に戻る途中でチョウトンボに出会いました。
止まったのが高い樹上の枝で、下から見上げるような角度でしか写真が撮れません。
しばらく粘ったのですが、下の方に来ることがなかったため、この日はギブアップです。



2023/7/25
網引湿原のバイオトイレまで戻ってきたとき、田んぼの縁に止まるチョウトンボを見つけました。
前回は高い梢にしか止まらず、下から見上げるような写真しか撮れなかったのですが、
今日は目線近くの所に止まっていたので、いろいろなポーズを撮ることができました。

オオシオカラトンボ(Orthetrum triangulare melania)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ヨツボシトンボ亜科・シオカラトンボ属>

トンボ科シオカラトンボ属のトンボで、在来種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州、南西諸島と広範囲に分布する。
海外では、中国中南部に分布する。東南アジアには、別亜種が広く分布する。
体長は、50〜60mm程とやや大型で、オスは濃い水色でメスは黄褐色の体色をしている。
オスは、地域によって特徴があり、本土型、琉球列島型、八重山形の3つに分類される。
なお、本種は複眼も含めて顔面が真っ黒なこと、林縁や林の中など薄暗い場所を好むことで区別できる。

2019/7/4
庭のフェンスに止まっている、オオシオカラトンボのオスを見つけました。
実家近くでオオシオカラトンボを確認したのは、子供の頃も含めて初めてです。
近くにヤゴが育つような小川や池はなく、日蔭もそれほどないのにどこから来たのでしょうね。


2019/7/5
数日前、畑の上を飛んでいる腹部が黄色いトンボがいたので、コシアキトンボだと思っていました。
ところが、この日、畑の近くの電線に止まっていたのは、オオシオカラトンボのメスでした。
おそらく、前述のコシアキトンボと思っていたのも、オオシオカラトンボのメスだと思われます。
この辺りにオオシオカラトンボがいること自体想定外だったので、意外な発見でした。


2022/6/7
高御座山の参道を降りているとき、階段脇の木の枝にオオシオカラトンボのメスが止まっていました。
シオカラトンボのメス(ムギワラトンボ)より、腹部の黄色みが強いので識別は容易です。
駐車場まで降りてきたとき、車の周りを飛び回るオオシオカラトンボのオスが居ました。
車の屋根に止まってくれたので、そっと近づいて撮影しました。真っ黒な複眼が良く見えています。


 
2022/6/18
網引湿原の最初の獣害防止ゲートとバイオトイレの間の通路脇で、何匹かのトンボを見かけました。
その内の1匹が左側のオオシオカラトンボのオスで、止まって縄張りを監視しています。
縄張りに他のトンボが入り込むと猛然と追い出しにかかります。
右のオオシオカラトンボのメスは、下段の連結して飛んでいた片割れです。
下段は左のヘラオモダカの下の方を連結飛行していたペアで、カメラを向けた途端に連結が外れました。
メスが打水産卵に入ったようで、他のオスが近づかないように常にオスが上を警戒飛翔していました。

 
2022/8/16
網引湿原の最初のの獣害防止ゲートとバイオトイレの間の通路脇で、連結したものを見かけました。
葉に止まっていたので、そっと近づき、撮影したのが左側の写真です。
もう少しアップで撮りたいと1歩踏み出した途端に逃げられました。
あまり飛べなくて近くに止まったのですが、止まるや否やメスが生殖口をオスの副生殖器に付けました。
このとき、ハート形になるのですが、オスの腹部が直線状なので、きれいなハート形にはなりません。


交尾中のハート形

     .
 <アオイトトンボ>         <オオシオカラトンボ>
トンボの種類による、交尾中のハート形の違いです。
腹部が細長いイトトンボの仲間では、上記のようにきれいなハート形になります。



2023/7/18 <オオシオカラトンボ♂>     2023/8/5 <オオシオカラトンボ♀>

2023/8/5 <オオシオカラトンボ♀胸部腹部拡大>
オオシオカラトンボのオスも背面は粉を吹いたスカイブルーですが、腹面側には黄色斑紋が見られます。
一方、成熟したメスでは全体がくすんだ色になり、腹部第8節が横に張り出します。
下段はその腹部を拡大したものですが、オスには無い腹部第8節の張り出しが良く分かると思います。


2023/8/5
網引湿原の奥池の畔に張られているロープに、初々しい色のオオシオカラトンボが止まっていました。
羽化間もない雌雄は同色なので、腹部端の形状からの判断ですが、上付属器ではなく尾毛なのでメスです。
ただ、メスの腹部第8節の左右への張り出しがありません。未成熟なメスでは張り出しは見られないそうです。


<オオシオカラトンボの連結飛行> 2023/7/25 <オオシオカラトンボの打水産卵>
網引第2湿原の木道の奥で、オオシオカラトンボが連結飛行していました。
その写真を撮っていると、突然連結を解き、メスが打水産卵を始めました。
そのメスが産卵中、オスは直ぐ近くを付かず離れず警戒飛行しています。
打水産卵ですが、かなり動きが早いです。撮ろうとしたのですが、草が邪魔してなかなか撮れません。
四苦八苦して何とか1ショット撮れたのですが、ちょっと遅くて、尾端は水面から離れています。
ただ、水面と尾端の間を水がつないでいるので、コンマ何秒かの遅れでしょうか。

シオカラトンボ(Orthetrum albistylum speciosum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ヨツボシトンボ亜科・シオカラトンボ属>

トンボ科シオカラトンボ属のトンボで、在来種。
日本では、北海道から四国・九州にかけて広く生息している。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾、極東ロシアに分布している。
成熟すると雄は体色が黒くなり、胸から腹部の頭部側に白い粉を噴いたようになるのでこの名がある。
未成熟なオスやメスは、黄色に黒の模様が入るので、ムギワラトンボと呼ばれる。
コフキトンボよりスリムで、腹部第4節にヒダがないことで区別できる。

2012/8/11
実家近くを散歩中、シオカラトンボを田んぼの畔などで何度か見かけました。
成熟したオスを探したのですが、残念ながらこの時には会えませんでした。
上記の個体は、左は尾端の形状で、右は腹部の形状でメスと分かります。
オスにはメスと連結するための長い尾部付属器があり、腹部には独特な形状の副生殖器があります。


2020/8/1
実家の庭には小昆虫も多いので、トンボなどの肉食系昆虫も時々やって来ます。
この日も朝、2階から見ているとウスバキトンボが群れで飛来して、飛び回っていました。
庭に出たときに見かけたのが、このシオカラトンボのオスでした。
この辺りを縄張りにしているのでしょう。何かが飛んでくると追い払って、戻ってきていました。


2021/8/22                  2021/8/31
8/22 実家近くの河川敷を散歩中、土手でシオカラトンボのメスを見かけました。
最近、メスはあまり見かけなくなっていたので、出来るだけ近づいて撮ってみました。
横からも撮りたかったのですが、警戒され、態勢を変えた途端に逃げられました。
8/31 実家近くの河川敷を散歩中、土手の周りでシオカラトンボのオスを何匹か見かけました。
その内の1匹ですが、完全に成熟して胸部まで粉を吹いたようになっていました。


2022/8/9
前回訪れたときは、あまりシオカラトンボはいなかったのですが、今日はよく見かけました。
その代わりという訳ではないでしょうが、オオシオカラトンボは少なかったと思います。
シオカラトンボのメス(左)と成熟途中のオス(右)です。


シオカラトンボのオス

   .
   .
<尾部付属器>                <副生殖器>
2015/9/16 多摩川の河川敷で見かけたシオカラトンボのオスです。
オスの尾端には、尾部付属器(白くて細長い器官)があり、これでメスの頭部を挟んで連結します。
オスの腹部第2〜3節には副生殖器(膨らんだ部分の小さな突起で、メスはツルっとしている)があります。
この副生殖器の貯精嚢に事前に精子を移動させます。
メスは連結状態で、尾端にある生殖器をこの副生殖器と結合して精子を受け取ります。

   .
  <オスの成熟度>
未成熟なオスは、メスと同じく黄色に黒の模様が入るムギワラトンボと呼ばれる体色をしています。
その後、成熟が進むと体色が黒くなり、腹部の頭部側から胸部にかけて白い粉を噴いたようなります。
上記左側では、腹部と胸部の一部が粉を吹いたようになり、かなり成熟が進んでいます。
完全に成熟すると、上記右側のように腹部から胸部全体に粉を吹いたようになります。


シオヤトンボ(Orthetrum japonicum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ヨツボシトンボ亜科・シオカラトンボ属>

トンボ科シオカラトンボ属のトンボで、日本固有種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。
出現時期は4月〜7月で、早春に出現し、夏までには姿を消す。
胸側に接近した2本の黒条があり、黒化が進んだ個体ではかなりの部分が癒合している。
シオカラトンボによく似ているが少し小型で、オスは成熟すると胸部前側や腹部が白く粉を噴く。
胸の側面にも粉を吹くが少し薄い。翅の基部には明るいオレンジ色の部分がある。
なお、本種のメスは、黄褐色になり、粉は噴かない。
シオカラトンボなどと良く似ているが、本種の翅の基部は黄褐色になることで区別できる。
また、オスでは本種はほぼ末端まで白く粉を吹くが、シオカラトンボは第7〜10節は黒い。

2023/5/4
網引第1湿原や第2湿原などで見かけたシオヤトンボです。
まだ、シオカラトンボやオオシオカラトンボは見かけませんでした。
オスはほぼ末端まで白く粉を吹き、翅の基部が黄褐色になる点で、区別できます。


<オス>       2024/4/12       <メス>
第2湿原奥の斜面にギフチョウを追いかけていたとき、目の前をトンボが横切っていきました。
少し離れた所に止まったので、近づいて写真を撮り、拡大してシオヤトンボと分かりました。
後で拡大してチェックしたとき、1匹と思っていたのですがオスとメスがいたと分かりました。
時期的に昨年より1ヶ月ほど早いので、羽化後間もないのでしょう。未成熟で雌雄とも同色です。
雌雄の区別は、尾端の形状と、副性器の有無での判断です。

ハラビロトンボ(Lyriothemis pachygastra)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ヨツボシトンボ亜科・ハラビロトンボ属>

トンボ科ハラビロトンボ属のトンボで、在来種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州、周辺の離島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
出現時期は4月〜10月で、体長は33〜40mm、腹長は21〜24mmである。
腹部の幅が広いのが特徴で、未熟なオスはメスと同じ黄色い色をしている。
メスは成熟しても大きな変化はないが、オスは黒化して、腹部に青白い粉を吹く。
また、オスの頭部にある前額上部は光沢のある青藍色で、良く目立つ。

2022/6/18
網引湿原の最初の獣害防止ゲートとバイオトイレの間の通路脇で、何匹かのトンボを見かけました。
その内の1匹がハラビロトンボのオスで、最初、オオシオカラトンボだと思っていました。
近づいたとき腹部が異常に幅広いことに気が付き、ハラビロトンボのオスだと分かりました。
遠くから見ていたときは、まったく同じに見えたので、別種だとは気が付きませんでした。
右の写真では、オスの頭部前額上部にある光沢のある青藍色のシンボルが見えています。


<成熟初期のオス>               <成熟初期のオス>

<未成熟のオス>     2023/5/4       <メス>  .
網引湿原第1獣害防止ゲートを出て、歩き始めた時、目の前を真っ黒なトンボが通り過ぎて行きました。
本当に真っ黒で、こんなトンボは見たことがありません。思わず、えっと言ってしまいました。
後で調べてみると、白い粉が吹く前の成熟の初期には、このような黒い体色になるそうです。
よく見ると、上段右の写真の個体は、腹部に少し白い粉が吹き始めていますね。
この後、腹部全体に白い粉を吹いた最初の写真のような姿になるのでしょう。
下段は未成熟なオスとメスで、見た目はほとんど同じですが、腹部の副性器の有無で判断しました。


 <未成熟のオス>     2023/5/4      <成熟初期のオス>
未成熟のオスと成熟初期の真っ黒なオスの頭部を拡大したものです。
頭部の前額上部にある光沢のある青藍色の部分は、成熟の状況とは関係ないようです。
複眼の色味が未成熟な個体は淡いのですが、青藍色の色味はほぼ同じです。


2023/5/18 <成熟したオス>
真っ黒なハラビロトンボを見てから2週間が経過し、かなり白い粉が吹いてきていました。
個体差はありますが、右の写真の個体では腹部全体に粉を吹いています。


2023/7/25
網引湿原のバイオトイレ近くで、ハラビロトンボのメスが目の前を横切って止まりました。
かなりくたびれたハラビロトンボの成熟したメスで、翅に傷みが見られます。

ウチワヤンマ(Sinictinogomphus clavatus)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・サナエトンボ科・ウチワヤンマ亜科・ウチワヤンマ属>

<メス>                  <オス>
サナエトンボ科ウチワヤンマ属のトンボで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア北東部、ネパール、ミャンマー、タイ、ベトナムに分布する。
出現時期は5月〜9月で、全長は70〜87mm、腹長は49〜60mm、後翅長は40〜51mmである。
雌雄とも腹部第8節にうちわ状の付属物があるが、オスの方がメスよりも大きい。
平地や丘陵地の大きな池、湖で見られ、オスは縄張りを持ち、水辺の岸近くの枝先などに留まる。
交尾も同様な場所の先端で静止して行い、その後、交尾態のまま飛び回って産卵場所を探す。
水面の浮遊物などを見つけると連結を解き、メス単独でホバリングしながら産卵する。
卵塊は粘着質の糸でつながっていて、間欠的に浮遊物に腹端を打ち付けるようにして産卵する。
よく似たタイワンウチワヤンマは、うちわ状の付属物に黄色部がなく、いく分小さい。

2023/7/25
網引湿原のバイオトイレ近くの放棄地で、オオアレチノギクの先に止まるウチワヤンマを見つけました。
撮影した画像を拡大すると、副性器がないのでメスと分かりました。
帰りに同じ場所で、再びウチワヤンマが止まっているのに気が付き、撮影。
画像を拡大すると、今度は副性器が確認でき、オスと分かりました。
雌雄を並べると、腹部第8節のうちわ状の付属物や腹部の太さなど、性差が良く分かると思います。

タイワンウチワヤンマ(Ictinogomphus pertinax)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・サナエトンボ科・ウチワヤンマ亜科・タイワンウチワヤンマ属>

サナエトンボ科タイワンウチワヤンマ属のトンボで、在来種。
日本では、以前は九州南部、四国南部、南西諸島で見られていた。
その後、温暖化の影響もあってか分布域が北上し、中国、近畿、東海でも確認されている。
2020年には、神奈川県、東京都、千葉県の東京湾岸でも確認されている。
海外では、中国、香港、ラオス、ミャンマー、ベトナム、台湾に分布する。
全長70〜80mm、腹長48〜56mm、後翅長38〜46mmである。
ウチワヤンマより細い形状で、うちわ状の広がりは小さくて黒く、脚は全体が黒く黄斑が無い。
海岸に近い平地の池などに生息し、少し汚れた水質の環境にも生息できる。
成熟したオスは、水辺の植物に止まってなわばりを占有し、時々パトロール飛行を行う。
メスがなわばりに入るとすぐに追尾し、連結して空中で交尾を行う。交尾時間は数秒と短い。
交尾後、メスは単独で、浮遊物などに粘着質の糸でつながった卵塊を間欠的に打ち付ける。

2023/7/18
網引湿原の奥池の縁に沿ってユウスゲが1列に並ぶように花序を立ち上げていました。
そのユウスゲの1本にトンボが止まっていました。尾端の方に大きく丸い張り出しが見えます。
その形状からウチワヤンマだろうと思ったのですが、後で調べて、タイワンウチワヤンマとしました。
ウチワヤンマの団扇状の張り出しは内側が黄色いのですが、それが見えないのが判断理由です。


2023/7/25
タイワンウチワヤンマとしましたが、自信が持てずにモヤモヤしていたので、1週間後、確認に行きました。
しかし、最初に確認できたのはウチワヤンマで、2度目に確認できたのも同様でした。
やはり、タイワンウチワヤンマではなかったのかと思っていたとき、前回と同じ場所で見つけました。
しかし、止まっている向きが悪くて団扇状の部分が良く見えません。
ヤキモキしながらしばらく様子を見ていると向きを変えたので、団扇状の部分を確認できました。
団扇状部分が小さめで黄斑はないので、タイワンウチワヤンマで間違いはありません。
また、腹部の付け根付近に副性器が見られますので、オスと分かります。


<タイワンウチワヤンマ♂>           <ウチワヤンマ♂>  .
その後、止まる場所を変えてくれたので、より分かり易い写真が撮れました。
比較のために、ウチワヤンマのオスの写真と並べてみましたが、違いが良く分かると思います。

タベサナエ(Trigomphus citimus tabei)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・サナエトンボ科・サナエトンボ亜科・コサナエ属>

サナエトンボ科コサナエ属のトンボで、日本固有亜種。
日本では、本州の静岡,岐阜,滋賀,福井県以西、四国、九州に分布している。
原名亜種はタイリクタベサナエで、朝鮮半島から中国東北部に分布する。
出現時期は4月中旬〜7月上旬で、平地から丘陵地の樹林に囲まれた池沼や湿地に生息する。
なお、未熟期は発生地近くの草地や林縁で過ごし、成熟すると水辺に戻る。
オスは腹長31〜34mm、後翅長25〜27mm、メスは腹長28〜32mm、後翅長26.5〜30mmである。
体色は雌雄ともに黄色地に黒の条斑があり、前肩条はなく、胸部側面の黒条のうち前側は途中で切れる。
この胸部側面の黒条でフタスジサナエとは区別でき、上部まで伸びているのがフタスジサナエである。
また、前肩条の有無でオグマサナエと区別でき、無い場合は本種である。
コサナエとは、前肩条の有無で区別できるが、不明瞭な場合は尾部の性器の形状で区別できる。

2023/5/4
網引第3湿原の遊歩道を歩いていたとき、葉に止まっているサナエトンボの仲間を見かけました。
先ほど見かけたものと同じだと思いましたが、念のために撮影したものです。
家に戻って調べていると、この個体のみ胸部側面の黒条が他の個体と異なることに気が付きました。
他の個体は黒条が2本なのでフタスジサナエと分かったのですが、この個体は前が途中で切れています。
また、前肩条が見当たりませんので、その特徴からタベサナエと判断しました。


2023/5/18
網引第3湿原の遊歩道脇でタベサナエのメスに出会いました。前回見た所の近くです。
他にも何度かサナエトンボを見かけたのですが、写真が撮れなかったので種類までは分かりません。

フタスジサナエ(Trigomphus interruptus)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・サナエトンボ科・サナエトンボ亜科・コサナエ属>

<メス>                  <オス>

<メス>                  <オス>
サナエトンボ科コサナエ属のトンボで、日本固有種。
日本では、本州の静岡、岐阜、滋賀、福井県以西、四国、九州に分布している。
ただし、山陰地方では未確認である。
出現時期は4月〜7月で、平地や丘陵地の池に生息する。
腹長は32〜35mm、後翅長は26〜29mmで、体長は44〜49mmである。
体色は雌雄ともに黄色地に黒の条斑がある。
前肩条があり、胸部側面の黒条は2本とも上縁に達している。
なお、稀に前方のものが途中で切れている場合があり、上部の黒条がないものも極稀に見られる。
他のコサナエ属とは、一部の例外を除き、胸部側面の黒条が2本あることで容易に区別できる。

2023/5/4
農道脇や網引第3湿原の遊歩道脇などで、木道や葉に止まっているサナエトンボの仲間を見かけました。
家に戻って調べると、前肩条があり、胸部側面の黒条が2本ある点で、フタスジサナエと分かりました。
下段は胸部を拡大したものですが、黒条がメスの方は切れていて、オスの方は繋がっていました。
前の黒条が途中で切れるのは稀だそうですが、運よく両方を確認できました。

ギンヤンマ(Anax parthenope)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・ヤンマ科・
ルリボシヤンマ亜科・トビイロヤンマ族・ギンヤンマ属>


ヤンマ科ギンヤンマ属に分類されるトンボの一種で、在来種。
日本では、北海道から四国・九州にかけて広く生息している。
日本に分布しているのは亜種(Anax parthenope julius)であり、東アジア全般に生息する。
基亜種は、東アジア、インド、カザフスタンまで分布している。
体長は70o程で、翅の長さは50oほどになる。
頭部と胸部が黄緑色、腹部が黄褐色をしているが、境界部分がオスだと水色、メスだと黄緑色である。
翅は透明だがやや褐色を帯びていて、メスの方が褐色味が強く濃い。

2021/9/7
実家近くの川沿いを散歩中、直ぐ横をギンヤンマが通り過ぎて行きました。
とっさにカメラを構えたのですが、時すでに遅し。遠くに飛んで行ってしまいました。
対岸に移動して、ウスバキトンボを撮っているとき、また、ギンヤンマが現れました。
すると、ウスバキトンボが縄張りに侵入するなとばかりに、追い払いにかかります。
ギンヤンマが接近した際に撮ったのが上段の写真で、右は一部を拡大したものです。
上段左は、ギンヤンマをウスバキトンボ(手前のピンボケの個体)が追い払っているところです。
下段は、さらに少し進んだ所ででくわしたギンヤンマで、後ろから追い抜いて行きました。
比較的ゆっくりと飛んでいたので、なんとか撮影することができました。
上段の個体は、胸部と腹部の境界部分が水色なので、オスだと分かります。
下段の個体は、上段と比べて、腹部が赤茶色で、境界部分黄緑色っぽいので、メスと思われます。


2021/9/24
田んぼが広がる実家近くを散歩中、水を溜めた田(おそらくハス田)をギンヤンマが飛び交っていました。
比較的、ホバリングの時間が長い飛び方をしていたので、撮影のチャンスと撮りまくりました。
といっても、静止している訳ではありませんので、不規則な動きを追いながらの撮影は難しいです。
そうこうしているうちに、連結したギンヤンマが視野に飛び込んできました。
こちらはスピードは遅いのですが、止まってはくれませんので、撮れたのは1ショットのみです。
メスの境界部分の色は翅で隠れて見ずらいですが、翅の色の違いは良く分かると思います。
9/7に撮ったメスは若々しい個体ですが、上記のメスは翅の傷みもあり、歴戦の強者のようです。


2022/8/27
網引湿原の奥池まで戻ったとき、湖面を飛んでいる連結したギンヤンマを見かけました。
岸近くを飛んでいたので、写真を撮ろうとカメラの準備をしている間に、岸際に止まりました。
メスが腹部のほとんどを水中に差し込んでいるので、産卵を始めたと分かりました。

コカスリウスバカゲロウ(Distoleon contubernallis (McLachlan, 1875)
<アミメカゲロウ目・アミメカゲロウ亜目・ウスバカゲロウ上科・
ウスバカゲロウ科・ウスバカゲロウ亜科・ヒメウスバカゲロウ族・カスリウスバカゲロウ亜族>

 
 
ウスバカゲロウ科カスリウスバカゲロウ亜族に属する昆虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布し、海外では韓国に分布する。
兵庫県下では、林内〜砂浜に広く分布し、特に砂浜では最優占種である。
成虫の出現時期は7月〜10月で、幼虫や蛹で越冬する。
体長は32mm前後で、前翅長は33〜35mmである。
翅全体にカスリ状の黒色小斑があり、腹部には黄色い斑紋がある。
触角は全体的に太く、先端付近で外側に曲がる。
幼虫は日当たりの良い砂地の表面下で餌を待ち伏せしている非営巣性アリジゴクである。

2021/8/26
実家の庭で散水をしていると、松の盆栽から何かが飛び出してきました。
思わず手でつかんでしまったのですが、見るとウスバカゲロウの仲間のようでした。
廊下に放して写真撮影を始めたのですが、天井の梁に止まってしまいました。
仕方ないので、そっと下に降ろすと、今度は網戸にへばり付いて離れてくれません。
そのため逆光になってしまったので、フラッシュを使った撮影になってしまいました。
ウスバカゲロウも種類が多いのですが、翅の斑紋や腹部の模様から本種と判断しました。
アリジゴクを造る営巣型ではなく、待ち伏せをする非営巣型のウスバカゲロウです。

アミメクサカゲロウ(Apochrysa matsumurae)
<アミメカゲロウ目・アミメカゲロウ亜目・ヒメカゲロウ上科・
クサカゲロウ科・アミメクサカゲロウ亜科・アミメクサカゲロウ属>


クサカゲロウ科アミメクサカゲロウ属に属する在来種で、本州から四国、九州に分布する。
体長は12〜15mmで、前翅長は25mm前後、開張は44〜52mmとクサカゲロウ科の最大種である。
出現時期は6月〜11月で、体色は黄緑色で幅の広い透明な翅を持ち、ユラユラと弱々しく飛ぶ。
前翅の中央付近に1対の黒斑がある。黄褐色の触角は、体長の倍以上の長さがある。
海岸付近の林などで、アオキやアラカシなどの広葉樹の葉裏に隠れていることが多い。
止まるときには、翅を平らにし止まる。幼虫はアブラムシなどを捕食し、成虫で越冬する。

2021/8/26
実家の廊下の天井付近を飛んでいるクサカゲロウに気が付きました。
最近は草原などで見かけたことがあるのですが、翅がずいぶん幅広いと感じました。
天井に止まったので、下から撮ったのが上段の写真です。やはり、前翅の基部の幅が広いようです。
調べてみるとアミメクサカゲロウと分かり、クサカゲロウ科の中では最大種になるそうです。
草原などで見かけていたのはヤマトクサカゲロウなどと思われ、半分程度の大きさのようです。
拡大撮影したいと、そっと捕まえて下に置いたのですが、意外と動きが早く、直ぐに飛んでしまいます。
飛翔速度はユラユラと遅いので、何度も下に置いて撮ったのが下段の写真です。
体長の倍ほどある触角と、茶褐色の周りを金属光沢のある緑色と暗緑色が取り巻いている眼が特徴です。
この眼は、上から撮っても「D」の形になりますが、同じ配色になります。
そうそう、モデルを務めてもらった後、外に逃がすと近くの木の葉裏に止まっていました。

カオマダラクサカゲロウ(Mallada desjardinsi)
<アミメカゲロウ目・アミメカゲロウ亜目・ヒメカゲロウ上科・
クサカゲロウ科・クサカゲロウ亜科・クサカゲロウ族・コガタクサカゲロウ属>


クサカゲロウ科コガタクサカゲロウ属に属する昆虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、小笠原、南西諸島に分布する。
出現時期は2月〜11月で、体色は黄緑色で中心軸に沿って淡黄色の縦筋がある。
大きさはオスで11〜13mm、メスで12〜14mmで、前翅長は11〜14mmある。
触角の付け根付近から複眼の下と口先に向かう褐色斑があり、それが「人」の字に見える。
また、翅を拡大すると、翅脈に沿って2股に分かれた細かな毛が生えている。
幼虫は、脱皮殻などを背負う「塵載せ型」で、アブラムシやカイガラムシなどを捕食する。
本種は成虫で越冬し、越冬時も色が変わらず、黄緑色の体色をしている。

2021/10/4
実家の天井に止まっている小さなクサカゲロウに気が付きました。
写真を撮るのが難しい場所だったので、撮りやすい場所に移動願って撮ったものです。
止まるとき、アミメクサカゲロウのように翅を開かず、屋根型に翅を畳んで止まります。
黄緑色の体色に、中心軸に沿った淡黄色の筋が走っています。
顔面を拡大してみると、複眼の下から口先に向かう褐色斑が途中で折れ曲がり、人の字に見えます。
この斑紋の特徴からカオマダラクサカゲロウと分かりました。
翅には翅脈に沿って毛が生えているそうなので、拡大したのが下段左側の写真で、ボヤっと見えます。
分かり易いよう強調したのですが、翅脈から2股に分かれた毛が生えているのが分かりますか。
この2股に分かれた毛があるために、解像度の関係で翅脈がぼやっと見えているようです。

ハラビロカマキリ(Hierodula patellifera)
<カマキリ目・カマキリ科・カマキリ亜科・Paramantini族・ハラビロカマキリ属>


カマキリ科ハラビロカマキリ属の昆虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布している。
海外では、東南アジアに広く分布する。
体長は、オスで45〜65mm、メスで50〜70mmと雌雄の差は少ない。
他のカマキリと比較して、横幅が広く見えるのでずんぐりした印象を受ける。
大半は緑色型であるが、まれに紫褐色の個体も見られる。
さらに、極稀にピンク色や黄色の個体も見られるようだ。
前翅に白斑が1個あり、前脚基節前縁に3〜5個の突起があるのが特徴。
また、卵鞘は黒っぽくて艶があり、全体が枝などに付着して、先が突起状に尖る。

2000年頃からよく似た大型のムネアカハラビロカマキリが見られるようになっている。
外来種の可能性が高く、中国からの輸入貨物に混じって侵入したとされる。
同じような環境で繁殖するため、在来種と競合すると、在来種の減少が報告されている。
見分け方は、前胸腹板が赤い事、前脚基節前縁の突起が小さくて多いことで区別できる。
また、卵鞘は、ムネアカハラビロカマキリは白っぽく、卵鞘の先が枝などから離れる。

2018/10/26
実家にある松の盆栽に、ハラビロカマキリが止まっていました。
松の木に餌となる蝶などが来るとは思えませんが、写真を撮っていると鎌の手入れを始めました。


2019/6/22
実家の庭に植えられているツツジの葉裏でジッとしているハラビロカマキリの幼虫です。
幼虫でも、オオカマキリの幼虫などと比較して、腹部が太短いですね。


2022/8/27
網引湿原の駐車場に近い所で、アカメガシワに付いているハラビロカマキリの幼虫を見つけました。
大きさからみて、おそらく終齢幼虫だと思われます。翅がないだけで、体形は成虫と変わりありません。

 
2022/12/6
ゴルフの練習に出かけた際、駐車場のオタフクナンテンにいるハラビロカマキリを見つけました。
瀬戸内のこの辺りは比較的暖かいのでまだ元気ですが、そろそろ見られるのも最後かもしれません。
大きさが5cmに満たない小ささから、ハラビロカマキリのオスかと思いました。
しかし、横から腹部が見えた時、その膨らみ具合からメスのように見えます。
このとき、腹端の産卵管の有無を確認すればよかったのですが、それをしませんでした。
後になって、腹部の膨らみは、ひょっとしたらハリガネムシかもと思い当たり、
帰りにまだ居るかと見たのですが見当たらず、後の祭りでした。


2023/8/5
網引湿原の駐車場近くで、多くの花を付けたイヌザンショウに、ハラビロカマキリの幼虫がいました。
腹部を大きく反り返らせた独特のポーズをとるので、一目瞭然ですね。

 
2023/9/8
ツクネイモの全体写真を撮ろうとしたとき、褐色型のハラビロカマキリがいるのに気付きました。
今まで、緑色型のものしか見たことがなく、褐色型を見るのは初めてになります。
前翅に白斑が1個あるのが確認でき、腹端に長い尾角が見えています。
その尾角の中央に突き出ている腹端に、尾突起が見られませんので、この個体はメスと思われます。
なお、褐色型では、体色は紫褐色の単色なのですが、前翅には不規則な黄斑が多数見られます。
緑色型では、このような黄斑は見られず、前翅も緑色の単色です。

カマキリの幼虫(Mantinae)
<カマキリ目・カマキリ科・カマキリ亜科>

カマキリ科カマキリ亜科に属するカマキリの幼虫である。
日本には、カマキリ科、コブヒナカマキリ科、ハナカマキリ科に属する3科13種が生息している。
カマキリ科には、最大種のオオカマキリからその半分ほどのコカマキリまでが含まれている。
・オオカマキリ(Tenodera aridifolia)
・チョウセンカマキリ(Tenodera angustipennis)単にカマキリとも呼ばれる
・ウスバカマキリ(Mantis religiosa)
・コカマキリ(Statilia maculata)
・ハラビロカマキリ(Hierodula patellifera)

2022/6/18
網引湿原のバイオトイレの側で、群生していたエゾノギシギシにカマキリの幼虫が居ました。
直ぐ近くにヒメクロバが止まっていたのですが、気が付いていないようでした。
さて、オオカマキリかチョウセンカマキリか、それが問題です。
成虫ならば後翅とか前脚基部内側の色で識別できますが、幼虫には翅がありません。
残るは前脚基部内側の色ですが、終齢幼虫くらいにならないとはっきりしないそうです。
ということで、若齢幼虫では、この2種を識別するのは困難なようです。
なお、ハラビロカマキリの幼虫は、腹部が太短く、反り上がっているので識別は容易です。


2023/6/23
実家庭のフランスギクの花で、カマキリの幼虫を見つけました。
体形からオオカマキリかチョウセンカマキリの幼虫と思われます。


2023/8/5
網引湿原のバイオトイレ近くで見かけた褐色型のカマキリの幼虫です。
チョウセンカマキリではないかと思ったのですが、手が届かなかったので未確認です。

オオカマキリ(Tenodera aridifolia)
<カマキリ目・カマキリ科・カマキリ亜科・Polyspilotini族・オオカマキリ属>

日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、東南アジアに分布する。
日本最大のカマキリで、体長はオスで70〜90mm、メスで80〜110mmある。
南にいくほど大型化する傾向があり、北海道産では大きくても100mm程しかないが、
九州産では、オスでもメスと変わらない体長になるものもある。
体色は緑色型と褐色型があり、チョウセンカマキリやウスバカマキリと似ている。
これらとは、オオカマキリの後翅の付け根の多くが暗紫褐色である点で区別できる。
外観的には、ウスバカマキリとは前脚基節内側の黒い紋の有無(オオカマキリにはない)で、区別できる。
前脚基部内側が、チョウセンカマキリは橙色で、オオカマキリは黄色(上縁はエンジ色)な点で区別できる。

2022/10/11
網引湿原第2湿原を歩いているとき、キセルアザミに違和感を覚え、思わず振り返りました。
見ると、キセルアザミの頂部に褐色型のオオカマキリが取り付いていました。
ただ、元気がなくて、捕まえてもほとんど動こうとはしません。
鎌の根元の部分をアップで撮らせてもらって、元の場所に戻しました。

チョウセンカマキリ(Tenodera angustipennis)
<カマキリ目・カマキリ科・カマキリ亜科・Polyspilotini族・オオカマキリ属>
 
 
カマキリ科カマキリ亜科の昆虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、対馬、沖縄本島に分布している。
海外では、名前の通り朝鮮半島から中国に分布する。
出現時期は、幼虫は4月頃から見られるようになり、成虫は8月〜11月に見られる。
なお、一般にカマキリというと本種を指す。
体長は、オスで60〜80o、メスで70〜90mmと、オオカマキリよりやや小型。
体色は緑色型と褐色型があり、オオカマキリによく似ているが、いくつか異なる点がある。
その識別は、以下の点で行える。

前脚基部内側の色
オオカマキリは黄色で上縁がエンジ色
チョウセンカマキリは橙色
後翅の色
オオカマキリの後翅は多くが紫褐色
チョウセンカマキリの後翅は全体が淡褐色

2021/10/2
実家近くの川沿いを散歩中、アキノノゲシにチョウセンカマキリが居るのに気が付きました。
茎に沿って体を伸ばして、枝に擬態して獲物を待ち構えているようです。
近づいても動かないので、枝を持って向きを変えて撮ったのが下段の写真です。
前脚基部内側を撮りたかったのですが、鎌を伸ばして脇を閉めたような感じで、良く見えません。
ただ、その隙間から橙色の内側が何とか確認でき、チョウセンカマキリと判断できました。

 
2023/8/5
網引第2湿原の入口に戻っているとき、ウラジロの葉の上にいるカマキリを見かけました。
終齢幼虫と思われたので、捕獲して前脚基節基部の色を確認してみました。
引っ掻かれていたい思いはしましたが、淡い黄色一色だと分かりました。
上縁にエンジ色の縁取りがなく、一様に淡い黄色なのでチョウセンカマキリとしました。



2023/11/17
しばらく前にオクラの花で見かけた褐色型のカマキリですが、その後、行方不明でした。
それが、この日、アスパラガスの上でじっとしている所を見つけました。
雨上がりで寒かったこともあって、動きが緩慢で、捕まえても夏ほど動きは激しくありません。
身体にはあちこちに水滴がついていて、顔面の大顎の先に付いた水滴は、球レンズになってました。
なお、前脚基部を確認するために捕捉しましたが、写真の通りチョウセンカマキリでした。
その後、まだ、花が咲いていたトマトの方に開放しました。
写真を撮っていると、「われ、何見とんねん」とばかりに眼見されてしまいました(下段左)。

ウスバカマキリ(Mantis religiosa)
<カマキリ目・カマキリ科・カマキリ亜科・ウスバカマキリ族・ウスバカマキリ属>

カマキリ科ウスバカマキリ属に属するカマキリで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と広範囲に分布する。
ただし、草丈の低い植物が疎らに生えているような草原にしか生息しないので、数は少ない。
海外では、アフリカからヨーロッパ、ユーラシア大陸、北アメリカに分布する普通種。
なお、北アメリカに関しては移入されたものが広がったものと考えられている。
発生時期は8月〜11月で、体長はオスで52〜57mm、メスで59〜66mmである。
体色は淡緑色型と淡褐色型があり、稀に黄金色型が見られる。
前脚基節内側に楕円形の黒斑、黒地に白の斑を持つことが特徴。

2022/10/11
網引湿原の第1獣害防止ゲートの所に戻って、タラノキの果実を撮ろうとしたとき、
足元からコオロギが数匹、四方に飛んで逃げて行きました。
その内の1匹を目で追ったとき、小型のカマキリに目が止まりました。
ハラビロカマキリに近い体形ですが、二回りほど小さく、色も淡い感じで、見たことがありません。
調べてみると、ウスバカマキリの淡緑色型で、個体数が少ない希少種と分かりました。
分布域は広いのですが、生息環境が限られるため、発生が局所的で、出会うことが稀なようです。
見たのは、除草されて草が少ない場所で、よく見るとコオロギを捕らえて食事中だったようです。
左の写真で、前脚基節の内側にある黒斑の一部が見えていますね。
なお、右の写真で前翅が白飛びしたように明るいベージュ色になっていますが、これは本来の色です。
本来の淡緑色型では、全体が淡緑色なのですが、この個体は前翅が淡褐色型のような色です。

ゴミムシ(Anisodactylus signatus)
<コウチュウ目・オサムシ亜目・オサムシ上科・オサムシ科・
ゴモクムシ亜科・ゴモクムシ族・Anisodactylus属>

オサムシ科ゴモクムシ亜科の甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から極東ロシア、中国、シベリアを経てヨーロッパまで、ユーラシア大陸北部に分布する。
体長は11〜13mmで、成虫で越冬して4月中旬から産卵、夏に成虫になる。
体色は黒色で、前胸や頭部の幅は広く、頭部背面に見えにくいが暗赤色の斑紋がある。
前胸背板は基方へ強く狭まらず、前胸背板後角は尖らず、丸い。
生息環境は平地から山地までと広く、落ち葉やごみ、石の下などに潜む。
成虫は小昆虫を捕食するのみならず、イネ科雑草などの種子をよく摂食する。
頭頂に赤斑あり
頭頂に赤斑なし
前胸背板後角は尖る
前胸背板後角は丸い
前胸背板後角は立体的で歯状に強く尖る
前胸背板後角は二次元的で尖るが歯状にならない
ホシボシゴミムシ
オオホシボシゴミムシ
ゴミムシ
ヒメゴミムシ

2023/5/4
網引湿原の第1獣害防止ゲートを出て駐車場に向かっているとき、足元を飛び交う甲虫がいました。
全身真っ黒で、前翅には規則正しく条溝が並んでいます。
後で調べていて、オサムシ科ゴモクムシ亜科の1種と分かりましたが、似たものがいます。
各々の違いに関しては上記の表の通りなのですが、頭頂の赤斑の有無がはっきりしません。
ただ、前胸背板の後角は尖っておらず、丸みを帯びているように見えます。
この点からゴミムシとしましたが、解像度があまり良くないので、間違っている可能性もあります。

ニワハンミョウ(Cicindela japana japana)
<コウチュウ目・オサムシ亜目・オサムシ上科・オサムシ科・
ハンミョウ亜科・ハンミョウ族・Cicindelina亜族・ハンミョウ属>

オサムシ科ハンミョウ属に属する甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に基亜種(C. japana japana)が分布する。
四国には、四国亜種(C. japana tosana)が分布する。
北海道のものも以前は北海道亜種(C. japana yezoana)とされたが、現在は区別されなくなった。
海外では、済州島、朝鮮半島から極東ロシアに分布する。
出現時期は4月〜10月であるが、晩夏から秋に屋外で見られることは少ない。
体長は15〜19mmで、体色は光沢のない暗銅色〜暗緑色で、上翅に3対の淡黄色斑がある。
ただし、体色や斑紋の形や数にも変異があり、黒化型や斑紋のないものもいる。
幼虫は、地面に縦穴を掘って住み、通りかかった他の昆虫を食べる。
成虫は、地面を徘徊し、他の昆虫やミミズなどを捕らえて食べる。
本種は6月頃に産卵し、孵化した幼虫は地中で長く生活して、翌年夏に蛹化する。
秋口には羽化してそのまま穴の中で越冬し、翌3年目の春に地表に出てくる。

2022/6/7
高御座山の階段を下りているとき、足元に何かがトコトコと出てきて止まりました。
なんだと思って見ると、外形からハンミョウの仲間と分かりましたが、名前は分かりませんでした。
後で調べてみると、暗銅色のニワハンミョウと分かりました。前足が片方欠損しています。


2023/5/4
網引第2湿原を後にして帰り道、奥池の通路に沿って何かがピョンピョンと飛んでいきます。
そっと近づいて良く見ると、それはニワハンミョウでした。
来るときにもいたはずですが、気付きませんでした。他の事に気が行っていて見落としたのでしょう。
近づいたとき、ピョンと飛んで逃げる個体と、走って逃げる個体がいます。
理由は分かりませんが、走って逃げる個体は、いくら追いかけても飛びません。
ですので、手で捕まえることもできました。なぜ、飛ばないのでしょう。飛べないのでしょうか。


2023/8/5
網引第2湿原を後にして奥池へ向かう途中、ニワハンミョウが道案内(^^)
5月に比べれば数は減っているようですが、まだ、ピョンピョンと元気なようです。

オオコフキコガネ(Melolontha frater)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・コフキコガネ亜科・コフキコガネ族・コフキコガネ亜族・コフキコガネ属>


コガネムシ科コフキコガネ族の1種で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島、モンゴル、台湾に別亜種が分布する。
平地から低山地に生息し、昼間はコナラなど広葉樹の葉の上等で休息し、夜間、活発に活動する。
オスの触角の片上部は大きく発達し、扇のように広がる。
成虫の出現時期は6月〜8月で、カキ、クリ、スイバなどの葉を食害する。
成虫の体長25〜32mmで、背面は暗赤褐色の地に灰白色の微毛が密生し、粉を吹いたようになる。
幼虫は、河原の砂地で草や木の根を食べて育つが時間がかかるようで、幼虫で越冬する。

2022/6/24
夕方、実家の庭のキンモクセイの周りを、ブンブンと飛び回っていたオオコフキコガネです。
何匹か飛び回っていたのですが、手が届いたのはこの1匹だけでした。
子供の頃、夜はドウガネブイブイとコフキコガネ、オオコフキコガネが良く飛んでいました。
ドウガネブイブイはよく糞をするのでババ、他の2種はジジと呼んでいたような気がします。
それに時折、シロスジコガネやクロコガネなどが混ざっていました。

コフキコガネ(Melolontha japonica)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・コフキコガネ亜科・コフキコガネ族・コフキコガネ亜族・コフキコガネ属>


コガネムシ科コフキコガネ族の1種で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。海外では朝鮮半島に分布する。
平地から低山地に生息し、昼間はコナラなど広葉樹の葉の上等で休息し、夜間、活発に活動する。
オスの触角の片上部は大きく発達し、扇のように広がる。
成虫は、体長25mm強で、6月〜8月に出現し、クヌギ、コナラ、クリなどの葉を食害する。
成虫の背面は、黒褐色の地に黄灰色の微毛が密集して、粉を吹いたように見える。
幼虫は、クヌギ、コナラなどのコナラ属、サクラなどのバラ科など広葉樹の根を食害する。
幼虫で越冬するが、冬季でも地中で活動し、休眠する事はない。

2021/6/15
実家の庭のキンモクセイに飛来するなど、夜に飛び回っているのは知っていました。
それが、朝、温室のビニールのくぼみに溜まったわずかな水に溺れているのに気付きました。
死んでいるものと思って、近くの石の上に置いておいたのですが、気が付くと脚を動かしています。
仮死状態で、水の中で仰向けになっていただけだったようです。
ということで、御足労願ってモデルを務めてもらいました。
あまり元気がなく、ほとんど動かなかったので、写真撮影は楽でした。
なお、上段の写真ではつぶらな瞳に見えますが、実は上半分しか写っていません。
下段右の写真には下半分の眼が写っています。触角の付け根辺りがくぼんで、小さく見えるのです。
下記の左側の写真では、Bを裏返したような複眼全体が見えています。


2021/6/16
翌朝、気が付くと姿が見えません。探すと、近くの椅子の下を這っていました。
昨日とは打って変わって元気で、常に動き回っていて、撮影するのが大変でした。
しかし、元気に触角(書き忘れましたがオスです)を開いて動き回る所を撮ることができました。

ウスチャコガネ(Phyllopertha diversa)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・スジコガネ亜科・スジコガネ族・スジコガネ亜族・ウスチャコガネ属>

2022/5/3                 2022/5/10
コガネムシ科ウスチャコガネ属に属する甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
出現時期は4月〜5月で、春先に最初に見かける小型のコガネムシである。
体長は7〜10mmで、雌雄で体色等が異なる。
オスは、頭部、前胸背は黒色、翅が薄茶色で全体に灰色の長毛が生えている。
メスは、全身が茶色で胸部に黒紋があり、前翅は半透明である。
幼虫が芝を食害する害虫であり、幼虫で越冬して、3月下旬に蛹化、4月に羽化が始まる。
成虫の寿命は14日前後と比較的短く、1匹のメスにオスが多数集まることがある。

2022/5/3,10
ゴルフの練習場近くの道路脇で咲くノイバラ、その花にコガネムシが付き、花を食べていました。
見たところ、暗褐色の地に淡褐色の斑紋が見られたので、セマダラコガネだろうと写真を撮りました。
後で写真を見た時、セマダラコガネの斑紋の変異というには違い過ぎています。
調べてみると、春一番に見られるウスチャコガネのオスと分かりました。
撮影した時、このタイプのものだけでしたので、群れていたのはオスばかりだったようです。
後日、同じ場所に行ったのですが、居たのは1匹のみで、近くを探してもいませんでした。
必ずしもノイバラの花に集まるという訳ではないようで、他のノイバラでは皆無でした。
メスの写真を撮りたかったのですが、既に寿命は尽きてしまっていたのかもしれません。

アオドウガネ(Anomala albopilosa)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・スジコガネ亜科・スジコガネ族・スジコガネ亜族・スジコガネ属>

コガネムシ科スジコガネ属の草食昆虫である。
日本では、関東以南で普通に見られるが、元は南方系の種で、北に分布を広げてきている。
日本以外では、朝鮮半島に分布している。
体長は17〜26mmで、ずんぐりとした丸い体形で、前胸背板輪廓の両端は角張らない。
体色は、鮮やかな緑色の金属光沢があるが、艶は弱い。
出現時期は5月〜10月。夜行性で灯火に良く飛来し、昼間は葉の影などで休んでいる。
メスは、夏から秋にかけて土中に産卵し、幼虫は樹木や草の根、腐葉土を食べる。
幼虫で越冬し、翌春に蛹化し、羽化した新成虫が5月頃から出現する。

2020/7/25
実家で、夜にPCを操作していると、突然、アオドウガネが落ちてきました。
網戸があるので、どこから入って来たのか不明です。
子供の頃は、ドウガネブイブイばかりだったと思うのですが、最近は増えているようです。

アオドウガネの色は、表面での反射光なので、光の入射角や撮る角度で色が変わってしまいます。
上記は、これらを試行錯誤しながら撮ったもので、うまく色が出たものを使っています。

セマダラコガネ(Blitopertha orientalis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・スジコガネ亜科・セマダラコガネ属>

コガネムシ科セマダラコガネ属に属する甲虫で、在来種。
北は北海道から南は九州まで、ほぼ全国に分布するが、琉球列島には生息しない。
出現時期は6月〜8月で、体長は8〜13mmである。
体色は、茶色と黒のまだら模様が基本ではあるが、黒色型もあり、変異が多い。
くしのついた触角を大きく広げている事が多く、触角は体のわりにはやや大きめ。
成虫は、広葉樹を始め多くの植物の葉を、幼虫は土中で草の根などを食べる。
マメコガネ同様、アメリカで農作物に被害を与え、「オリエンタルビートル」と呼ばれ、嫌われている。
最近、ゴルフ場で芝生の根を食い荒らす害虫として、注目されている。

2018/6/1
実家の庭で見かけたセマダラコガネです。飛んでいるのを捕まえたので、手乗り状態です。
上翅にある暗褐色と淡褐色のまだら模様が特徴で、それが和名の由来となっています。
ただ、下記のように模様のない、真っ黒な個体も存在しています。


2019/6/22
実家の庭で見かけたセマダラコガネです。
白紋が大きな個体で、模様の変異が大きなコガネムシです。


2022/6/18
網引湿原で見かけた黒色型のセマダラコガネです。
最初、該当するものを探したのですが見つからず、もしかしてと黒色型を確認すると合いました。
多摩川で見かけて以来、ずいぶんと久しぶりに見るセマダラコガネの黒色型です。それも2匹も。
左は、第2湿原の木道脇で、葉に止まっていたもので、雨の後なので翅に水滴が付いています。
右は、バイオトイレと最初の獣害防止ゲートの間で、ノアザミに止まっていたものです。
最初に見かけたものは後脚も黒色でしたが、この個体の後脚は褐色でした。

マメコガネ(Popillia japonica)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・スジコガネ亜科・マメコガネ属>

コガネムシ科マメコガネ属の小型の甲虫で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州まで、ほぼ全国に分布する。
体長は8〜15mmで、体表は強い金属光沢があり、頭、前胸、小楯板は緑色、前翅が褐色、腹部が黒緑色。
腹節の縁に白い短毛が密生していて、白い横縞模様に見える。
幼虫は植物の根、成虫はマメ科植物、ブドウ類、ヤナギ類など、多くの植物の葉や花を食害する。
1916年にニュージャージー州で侵入が確認され、以後、爆発的に増えて農業害虫となっている。

2022/6/18
網引湿原入口の駐車場の近くで、テリハノイバラに居たマメコガネです。
撮影していて、近づいたときにサッと後脚を上げて、逃げる(落ちる)態勢に入りました。


2022/6/28
実家近くのゴルフ練習場に行った帰りに小川沿いに歩いていると、ヤブガラシにマメコガネが居ました。
交尾しているのか2段重ねになっています。後で写真を拡大した時、上翅の穴に気が付きました。
何かに襲われたときに出来たものなのでしょうか。

カナブン(Rhomborrhina japonica/Pseudotorynorrhina japonica)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・ハナムグリ亜科・カナブン族・カナブン亜族・カナブン属>

コガネムシ科カナブン属に属する甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、佐渡、伊豆諸島、壱岐、対馬、屋久島、種子島などに分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、東南アジアに分布している。
出現時期は6月〜9月で、成虫はクヌギやコナラなどの樹液に多数が集まる。
体長は23〜32oで、体色は光沢のある銅色が多いが、緑色まで連続的な変異がある。
ハナムグリ亜科の特徴である四角い頭部と大きな三角形の小楯板を、本種も備えている。
また、上翅を閉じたまま飛翔することができる点も同様である。
幼虫の食性が近年になった明らかになり、クズの葉の腐葉土を食べて育つことが分かった。
幼虫はクズ群落の下部(地中ではなく地上)で活動し、冬季には地中に潜る。

2023/8/5
網引第2湿原から奥池に向かう途中、脇のシラカシか何かの木の根元で見つけました。
樹のくぼみに頭を突っ込んでいたので、突いて出てきた所を撮ったものです。
カナブンは珍しくはないのですが、ここしばらくは見たことがないので、久しぶりの再会です。

シラホシハナムグリ(Protaetia brevitarsis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・ハナムグリ亜科・ハナムグリ族・ハナムグリ亜族・シロテンハナムグリ属>

コガネムシ科シロテンハナムグリ属に属する甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、モンゴル、シベリア、サハリン、台湾に分布している。
体長は20〜25oで、体色は光沢のある暗銅色〜暗赤銅色で、小白斑が点在する。
出現時期は、4月〜9月で、年1回の発生である。幼虫は、広葉樹の朽木など、腐植質を食べる。
成虫は、ノイバラやキイチゴ類、シモツケ類などの花やナラ類やカシ類などの樹液に集まる。
見た目は、シロテンハナムグリとよく似ており、分布域や集まる場所が重なるため、混同されやすい。
ただ、注意深く観察すると、下記の点で識別することが出来る。
・頭楯は、シロテンハナムグリは強く湾曲し、中央が凹むが、シラホシハナムグリは湾曲は弱く、凹みがない
・上翅会合部の後端部分は、シロテンハナムグリは鋭く突出するが、シラホシハナムグリはあまり突き出ない
・上翅の会合部中央付近の白斑は、シラホシハナムグリは大きめの白斑になるが、シロテンハナムグリは点状
・前脚フ節は、シラホシハナムグリは短めで、シロテンハナムグリは長め。並べるとその差は明瞭に分かる

2019/10/5
実家の庭にある柿の樹で、鳥が突いた柿の実にシラホシハナムグリが来て、果汁を吸っていました。
直ぐ横では、ゴマダラチョウが黄色い口吻を伸ばして、同じように吸汁していました。
シロテンハナムグリに対して、前肢のフ節が短めで、上翅会合部の後端が突出していない点で本種としました。
シロテンハナムグリのフ節は脛節より長いのに対して、シラホシハナムグリは同長かそれ以下です。
また、上翅の会合部中央付近の白斑はが大きめで、白い帯状になっている点からも本種と判断できます。


2020/8/6
觀濤處(かんとうしょ)に上っているとき、通路脇の樹の樹液にシラホシハナムグリが集まっていました。
カナブンとか他にはいないかと探したのですが、見当たりませんでした。
なお、シラホシハナムグリであることは、上翅会合部の後端の形状で判断しました。


シラホシハナムグリとシロテンハナムグリ

   .
<シラホシハナムグリ>           <シロテンハナムグリ>
ご覧通り、両者がよく似ているのが分かると思います。
この写真で違いが分かるのは、上翅会合部の後端部分の形状と上翅の会合部中央付近の白斑の違いです。
後端形状が、シラホシハナムグリのほぼ直線的なのに対して、シロテンハナムグリでは鋭く尖っています。
白斑の形状も、シラホシハナムグリが棒状になっているのに対して、シロテンハナムグリでは白斑です。
頭楯の形状や前脚フ節に関しては、撮影角度の関係で、この写真では明確には分かりません。


シロテンハナムグリ(Protaetia orientalis submarumorea)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・ハナムグリ亜科・ハナムグリ族・ハナムグリ亜族・シロテンハナムグリ属>

コガネムシ科シロテンハナムグリ属に属する甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、普通に見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、インドなどに分布する。
日本や朝鮮に分布するものが亜種 P. o. submarmorea で、その他の地域には別亜種が分布する。
発生時期は5月〜9月で、体長は16〜25mmである。
成虫は再越冬能力を持ち、長寿命で、複数年にわたって繁殖することができるため、環境変化に強い。
体色は暗緑色〜銅色と個体変異があり、光沢のある前胸や前翅に白斑が点在する。
花よりも樹液や果実に集まり、往々にしてカナブンや同属のシラホシハナムグリと共に見られる。
他のハナムグリ亜科の甲虫同様、飛翔時に前翅を内側に傾けて隙間から後翅だけを出し、羽ばたくことができる。

2022/7/23
実家近くのゴルフ練習場に行った帰り道、小川沿いに咲くノラニンジンにいました。
頭楯に凹みが見られるのでシロテンハナムグリと分かります。
樹液に集まることが多いシロテンハナムグリですが、この辺りにはないので花に来たようです。

コアオハナムグリ(Gametis jucunda)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・ハナムグリ亜科・ハナムグリ族・ハナムグリ亜族・ハナムグリ属>

コガネムシ科ハナムグリ族の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア東部、インドシナ半島に分布する。
日当たりの林の周辺や原っぱで普通に見られ、白い花によく集まる。
体長は10〜16mmで、出現時期は4月〜10月。
体色は個体差があり、緑色から赤褐色が多いが、稀に黒い個体も現れる。
背面に白斑があり、短毛が密生する。腹面は黒色。
成虫は花蜜や花粉を食べ、幼虫は植物の根を食べる。
成体で越冬し、春に交尾して産卵し、秋には新成虫が出現する。

2021/9/13
実家近くの川沿いで、土手に生えているヌルデの花にコアオハナムグリが3匹集まっていました。
他にも花序はたくさんあるのに、なぜかこの場所だけに群れていました。
1匹いると「きっと旨いんだ」と集まってくるのでしょうか。それだと、人と変わりませんね。


2022/4/30            2022/5/7           2022/5/7
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園の花壇で、ヒナギクの花に多く集まっていました。
緑色の個体が多いですが、赤褐色の個体とその中間的な個体もいました。
稀に黒い個体もいるそうですが、そのような個体に出会ったことはありません。

クロクシコメツキ(Melanotus senilis senilis)
<<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コメツキムシ下目・コメツキムシ上科・
コメツキムシ科・クシコメツキ亜科・クシコメツキ族・クシコメツキ属>

コメツキムシ科クシコメツキ属の甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に、基亜種(Melanotus senilis senilis)が分布している。
屋久島と口永良部島には、屋久島亜種(Melanotus senilis yakuinsulanus)が分布している。
出現時期は4月〜8月で、体長は10〜17mmである。
コメツキムシ科の仲間の多くは、仰向けにすると、パチンと音を立てて飛び跳ね、元の姿勢に戻れる。
この動作が、米を突く動作に似ていることが名前の由来。
体色は光沢のある黒褐色で灰白色の毛が密に生え、体表面を粗大点刻が装う。
前胸背板は強く膨隆し、体背面は膨驍オて両側の前胸側は平行。
触角の第3節は第4節より短く、第2節よりは長い。
幼虫は、茶色で細長く、「ハリガネムシ」と呼ばれる、ダイコンやジャバイモの害虫。
個体数の多いクシコメツキ(Melanotus legatus legatus)よりやや小さくて黒味が強い。
よく似たクロツヤクシコメツキ(Melanotus annosus)は、体表面が平滑で点刻が疎らなため光沢感が強い。
※ 標準和名のハリガネムシはハリガネムシ目の総称で、カマキリなどの寄生虫であり、全く異なる生物。

2023/5/2
久しぶりにゴルフの練習に出かけた際、途中で見かけたクロクシコメツキです。
トゲミゲシを見つけて、その写真を撮っているとき、ブ〜ンと何かが飛んできました。
直ぐ近くのヤエムグラに止まったので、カメラを向けてシャッターを押した途端に飛び去りました。
そのため、飛び立つ直前に翅を広げた1ショットのみとなってしまいました。
よく似たものがいるのですが、本種の微毛が白っぽいのに対して、クシコメツキは黄色なので除外しました。
クロツヤクシコメツキは体表面の光沢感が強いのに対して、ほとんど光沢が見られないので除外しました。
結果として残ったのがクロクシコメツキで、体表面の微毛が灰白色で、光沢が見られない点が合います。

ウバタマコメツキ(Cryptalaus berus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コメツキムシ下目・コメツキムシ上科・
コメツキムシ科・サビキコリ亜科・ウバタマコメツキ族・Cryptalaus属>

コメツキムシ科サビキコリ属の甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、ベトナムに分布する。
体長は22〜30mmで、成虫の出現時期は4月〜8月である。
体色は黒色の地に灰白色や黄褐色の鱗毛がまだらに覆っていて、不規則な斑紋がある。
胸部は中央より前で最大幅となり、両側に丸くふくらんだようになる。
成虫は、松の枯れ木や倒木などに集まり、灯火に飛来することもある。
幼虫は、松の枯木などの材内で、カミキリムシの幼虫などを捕食し、2〜3年で成虫になる。
コメツキムシ科には、仰向けにするとパチンと音を立てて飛び跳ね、元の姿勢に戻れるものが多い。
本種も同様のコメツキムシ科なのでパチンと跳ねて戻れる特技を持つ。

2023/5/18
網引第1湿原の獣害防止ゲート近くで、目の前に何か甲虫が飛んできたので、思わず手で払い落しました。
落ちたものを見るとかなり大きなコメツキムシで、サビキコリに似ていますが、色が黒いです。
後で調べて、ウバタマコメツキと分かりましたが、小学生の頃に見て以来の再会でした。

ジョウカイボン(Lycocerus suturellus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コメツキムシ下目・コメツキムシ上科・
ジョウカイボン科・ジョウカイボン亜科・ジョウカイボン族・ジョウカイボン属>

ジョウカイボン科ジョウカイボン属の甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、利尻島、佐渡、対馬に分布している。
出現時期は4月〜8月で、幼虫で越冬する。
平地の樹木の下や葉上でよく見られ、成虫、幼虫とも他の昆虫を捕えて食べる肉食である。
しかし、成虫は訪花して花粉や花蜜も食べる。
体長は14〜18mm(15mm前後が多い)である。
全体に灰黄色の軟毛が生え、触角、前胸背周辺部、前翅、歩脚の多くが黄褐色である。
そのため、体色は黄褐色に見えるが、会合部や端部が黒いもの、全体が黒化したものもいる。
肢も全体が黒いものから、附節と脛節の一部が黄褐色のものまで変異がある。
頭部は両端にある複眼の間がややくぼんでいる。触角は細長い糸状で、第2節が一番短い。
頭部と前胸背板に黒色斑があるが、斑紋がないものもいる。
前胸背板の前側が少し狭まっているが四角形に近く、後半部がやや盛り上がって中央に溝がある。
雌雄差は、メスの第1、第2脚の爪の内側には小さな歯があること、
オスでは触角の第4〜8節に長い溝があり、第3脚の脛節が湾曲している。
国内では、下記のように3亜種が知られている。
亜種区分/学名
分布
基亜種
Lycocerus suturellus suturellus
北海道、国後島、礼文島、利尻島、奥尻島、
本州、粟島、佐渡島、隠岐
伊豆亜種
Lycocerus suturellus izuensis
本州(伊豆半島)
西日本亜種
Lycocerus suturellus luteipennis
本州(兵庫県以西)、四国、九州、対馬、
五島列島、天草、屋久島

2023/5/4
第1獣害防止ゲートの手前で、ハルジオンの葉に止まっているジョウカイボンに気が付きました。
この個体は、鞘翅(前翅)の会合部や端部に黒い所がなく、鞘翅全体が黄褐色です。
地理的に、兵庫県の瀬戸内沿岸部には基亜種と西日本亜種が分布しているようです。
両者の違いが良く分かりませんので、ここでは単にジョウカイボンとしています。
なお、後脚(第3脚)の脛節が湾曲していることから、オスと判断します。


ジョウカイボンの鞘翅の変異

   .
2017/5/10                 2023/5/4
左の写真は、相模川に沿った道路脇の空き地で見かけたもので、基亜種です。
鞘翅(前翅)の会合部に沿って黒くなっています。
右の写真は、今回撮影したもので、西日本亜種の可能性があるものです。
鞘翅(前翅)には、全く黒化した部分がなく、全体が黄褐色です。


ヒゲナガハナノミ(Paralichas pectinatus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コメツキムシ下目・ドロムシ上科・
ナガハナノミ科・ヒメヒゲナガハナノミ亜科>

ナガハナノミ科ヒメヒゲナガハナノミ亜科に属する甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、淡路島に分布している。
出現時期は5月〜7月で、幼虫が水生であるため、成虫も水辺に生息している。
体長は8〜12mmで、雄雌で体色が違い、体表には微毛が生えている。
オスの体色は、前胸は黒色で中央に淡褐色の不明瞭な縦条がある。
上翅は茶褐色で不明瞭な黒い筋模様が出て、稀に黒化型も出る。
体表に淡褐色の細かい毛を密生し、触角が長い櫛状になるのが特徴。
メスの体色は、前胸は黒色で中央に淡褐色の不明瞭な縦条があり、後縁は橙色である。
上翅は黒色で細かい毛を密生して艶はなく、不明瞭な縦溝がある。
触角は鋸歯状で、先端の1節が白い。大きさはオスよりも一回り大きい。
幼虫は水棲で上流域の湿地や湿地の湿った土壌、水田の近くに生息している。
幼虫は円筒形の体形で、腹部は8節。末端節は細長く、ここを水面から出して呼吸をする。

2023/5/18
網引第1湿原に入って直ぐの所で、黒っぽい小さな甲虫を見かけ、写真に撮りました。
ゴミムシの仲間だと思っていたのですが、ずんぐりして、触角が細長く、先端が白いです。
ゴミムシの仲間を調べても似たものはいません。範囲を広げて調べても似たものは見つかりません。
そのため、しばらく不明種として放置して、他の調べ物を先に行っていました。
第3湿原の端の方から入口の方へ戻る途中、小さな甲虫が飛んできて、湿原の中の葉に止まりました。
手持ちのズームを目一杯伸ばして300mmで撮ったのですが、遠すぎてこれが限界でした。
最初、赤く見えたのでアカハナカミキリではと思ったのですが、モニターで拡大すると赤くありません。
触角が立派な櫛状であったので、その特徴から比較的簡単にヒゲナガハナノミのオスと分かりました。
これを調べていて、しばらく不明種であった第1湿原で見かけた黒い甲虫の正体が判明しました。
ヒゲナガハナノミのメスだったんです。雌雄でこれほど見た目が異なると、同一種とは気が付きませんね。

ヒメマルカツオブシムシ(Anthrenus verbasci)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ナガシンクイ下目・ナガシンクイムシ上科・
カツオブシムシ科・マルカツオブシムシ亜科・マルカツオブシムシ属>

カツオブシムシ科マルカツオブシムシ属の甲虫で、在来種。
日本では、全土に分布し、世界的にも各地に広く分布している。
出現時期は3月〜6月で年1化、幼虫で越冬する。
翌春、羽化後は10日ほどその場に止まって交尾、産卵を行い、その後に屋外に出る。
この時期に屋内や屋外で目につくようになり、初夏に訪花して花粉などを食べる。
体長は2〜3mmと極小さく、短い楕円形の体形。背面は細かな鱗状の毛が全体を覆っている。
灰黄色の背面に、褐色と暗褐色の幅広の横帯模様がる。触角は短くて先端は棍棒状。
幼虫は太めの円筒形で、成熟するのに300日以上かかり、成熟すると体長は4mm前後になる。
幼虫の餌は動物質の繊維や角質で、毛糸や絹などの衣類、毛皮製品、動物や昆虫の乾燥標本などである。
要するに、大事にしている衣服や乾燥食品(鰹節など)を食い荒らす害虫で、女性の大敵である。

2022/5/7
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園の花壇で、ヒナギクの花の上で見つけました。
これを見た時、今年もヒメマルカツオブシムシが花に集まる季節になったんだと思いました。
動物質の繊維(羊毛、絹、鰹節…)を食べるので、女性からは毛嫌いされ、天敵扱いですね。
しかし、食べるのは幼虫で、成虫は花に集まり、花粉などを食べるベジタリアンです。
ただ、成虫がいるということは、幼虫が動物繊維を食べ終わり、既に産卵を終えているということ。
大事な洋服などに穴が空いていないか確認し、防虫剤を入れて対処するのをお忘れなく。

ヨツボシモンシデムシ(Nicrophorus quadripunctatus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ハネカクシ下目・ハネカクシ上科・
シデムシ科・モンシデムシ亜科・モンシデムシ属>

シデムシ科モンシデムシ属に属する甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、佐渡島、対馬、屋久島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
出現時期は3月〜11月で、体長は13〜21mmである。
なお、個体による体格差はかなり大きく、倍くらいの違いが見られる。
体色は黒の地色で、上翅には橙赤色の帯紋が2本あり、各帯紋には4個の黒斑がある。
頭頂部に赤色紋があり、頭楯はオスでは広範囲に赤く、メスは先端部のみが僅かに赤い。
また、オスは頭部がメスに比べて大きく、側頭が強く後方に張り出す。
平地から高山まで広く分布し、動物の死体に集まる。
ペアで幼虫を育てる習性があり、幼虫の餌となる肉団子を作って土中に埋め、産卵する。
幼虫が孵化すると2齢までは口移しに与え、それ以降も幼虫が成長するまで世話をする。

2022/10/11
網引湿原の奥池の畔を歩いているとき、笹の葉の上にいるヨツボシモンシデムシを見つけました。
オレンジ色の触角を忙しなく振るように動かし、葉の上をウロウロしていました。
写真で存在は知っていましたが、実物を見たのは初めてです。
前翅の斑紋と、触角の片上部がオレンジ色なので、非常に目立ちます。
後で写真を見て気が付いたのですが、胸部背面に4匹、前翅に3匹のダニが付いていました。
何枚か撮った写真の最後の方では、胸部背面は3匹になっていて、1匹振り落としたようです。
人はもちろん、イヌやネコでもダニは痒くて嫌なんでしょうね。昆虫も同じなのでしょうか。

モモブトカミキリモドキ(Oedemera lucidicollis lucidicollis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ゴミムシダマシ上科・
カミキリモドキ科・カミキリモドキ亜科・モモブトカミキリモドキ属>

カミキリモドキ科モモブトカミキリモドキ属の甲虫の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
体長は5.5〜8mmで、メスはオスより一回り大きい。
オスの後脚の腿節が太いのが名前の由来であるが、メスの後脚は太くならない。
体色は、全体に黒色で藍色の光沢がある。前翅先端は完全に閉じず、後翅が見えていることが多い。
出現時期は3月〜6月で、春先によく見られ、タンポポなどの黄色い花によく集まる。
幼虫は、枯れススキの茎の中とか朽ち木の中で数年かけて成長する。

カミキリモドキ科の半数には、体液に有毒なカンタリジンを含むものがあり、本種にも含まれる。
本種の出す体液に含まれるカンタリジンは、次のような症状が現れるので注意が必要である。
体液が皮膚に付着すると数時間後に激しい痛みと共に水ぶくれができる。
この水ぶくれが破れ、かさぶたが出来ると同時に激しいかゆみに襲われ、2週間ほど続く。

2022/5/7
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園で、コデマリの花の周りを何かが飛び回っていました。
なかなか止まらず、止まってもすぐに飛び立ってしまうので、なかなか正体が分かりませんでした。
やっと止まってくれたので、そっと近づいて見ると、ハチとかではなく、甲虫でした。
何とか写真が撮れましたので、モニターで拡大してみると、カミキリムシのような形です。
それを見て、最近調べたばかりのモモブトカミキリモドキではないかと、ピンときました。
オスの後脚の腿節は太いのですが、メスは太くないので、そのメスではないかと判断しました。


モモブトカミキリモドキのオス

   .

東京都町田市にある薬師池公園、そのハス田近くでセイヨウシャクナゲに止まっていました。
後でセイヨウシャクナゲの写真を見ていて、小さな甲虫が写っているのに気が付きました。
後脚がやたらと太い変わった外見だったので、直ぐにモモブトカミキリモドキ♂と分かりました。


タケトラカミキリ(Chlorophorus annularis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
カミキリムシ科・カミキリ亜科・トラカミキリ族・クロトラカミキリ属>

カミキリムシ科クロトラカミキリ属のカミキリムシで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。海外では東アジア一帯に分布する。
成虫の体長12o前後で、5月〜8月に見られる。
黄色地に黒い模様が特徴的で、このトラカミキリ特有の模様から種類が判断できる。
幼虫は、マダケ、メダケなど肉厚な伐採後の竹内部を食い荒らす害虫で、羽化には2年ほど要する。
竹で作られた垣根とか、樹の支えに竹が使われていたりすると発生しやすい。幼虫で越冬する。

2019/7/3
ルリチュウレンジ捕らえるために振った捕虫網に、タケトラカミキリが一緒に入っていました。
モミジの葉にでも止まっていたのでしょう。記憶にあるタケトラカミキリよりも、かなり小さいです。
写真は、紙の上に置いて撮影したものです。


2019/7/6
実家の畑に植えてあるキュウリの葉の上にタケトラカミキリが止まっていました。
子供の頃、自宅の庭で見られるカミキリムシの1つでしたので、よく捕まえていました。
名前が示す通り、竹の内部を食い荒らし、竹をボロボロしてしまう厄介者でもあります。
畑で野菜などの支えにしている竹が目当てで、食害が外部からわからないので困ります。
竹を地面に刺して使おうと力を入れた途端、バキッと折れ、食べ跡の糞が飛び散ることになります。
ちなみに、止まっていたキュウリの支えにも竹を使っていました。

7/3に捕らえたものは体長10mmしかなかったのですが、この個体は13mmあります。
一緒に入れておいたら、気がつけば交尾をしていました。オスとメスの違いだったようです。

テツイロヒメカミキリ(Ceresium sinicum sinicum WHITE,1855)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
カミキリムシ科・カミキリ亜科・ヒメカミキリ族・ヒメカミキリ属>

カミキリムシ科ヒメカミキリ属のカミキリで、外来種。
日本では、本州の関東以西、九州に分布し、海外では台湾、中国、海南島、タイに分布している。
体長は9〜15mmで、体色は茶褐色。前胸は細長く、前翅よりも暗い茶褐色。
出現時期は5月〜7月で、ケヤキ、アカメガシワ、サクラ、イチョウなどを食害する。
なお、本州産では前胸背板の両側が弧状にカーブし、九州産ではほぼ平行になる違いがある。
また、前胸背板の側方にある毛は、本州産はやや疎らなのに対して、九州産では密生している。
まお、本種にはよく似たものが多いため、その同定には注意が必要である。

2019/6/19
実家の庭にある柿の木の枝を剪定した際、切った枝を集めていてカミキリらしきものを見つけました。
見たことがない茶褐色一色のカミキリムシのような、ジョウカイボンのような外形です。
ただ、複眼の形状からカミキリムシではないかと思い、調べた結果、本種としました。
ただ、調べていると同じようなカミキリムシが10種以上いることが分かりました。
その中で、触角の第1、第3、第4節の長さの比率、前胸背板の縦横比から本種と判断しました(下記参照)。



本種の触角の長さは、第1>第3>第4節の順で長く、前胸背板は幅よりも長さが長いのが特徴です。
また、前翅よりも前胸が暗色である点も一致します。側方に毛はありますが、密かどうかは判別できません。

ニセノコギリカミキリ(Prionus sejunctus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
カミキリムシ科・ノコギリカミキリ亜科・ノコギリカミキリ族>

カミキリムシ科ノコギリカミキリ族に属する甲虫の1種で、在来種。
日本では、本州の関東以西から四国、九州、隠岐、対馬、五島列島、種子島、屋久島、口永良部島に分布。
出現時期は7月で、体長は24〜42mm。
成虫は広葉樹の樹皮や樹液を食べ、幼虫はマツ科(アカマツやクロマツ)の根茎を食べる。
体色は黒一色で、太短い体形をしている。灯火によく飛来する。
ノコギリカミキリに酷似しているが、下記の点で識別できる。
ノコギリカミキリ
ニセノコギリカミキリ
雌雄とも点刻が少なく光沢が強い
雌雄とも点刻が多く光沢が弱い
雌雄とも触角は12節ある
オスの触角は12節あるが、
メスは11節(11、12節が融合)
雌雄とも複眼の間隔が狭い
雌雄とも複眼の間隔が広い

2023/8/5
第1湿原脇の遊歩道を歩いていると、ニセノコギリカミキリが死んでいました。
アリにほとんどを持ち去られて、硬い部分だけが残っているのですが、上翅は一部かじられていました。
この個体は、触角の長さや太さ、触角各節端の左右への張り出しからみてオスと思われます。
最初、ノコギリカミキリだと思っていたのですが、後で調べていてニセノコギリカミキリと分かりました。
このとき、初めてニセノコギリカミキリの存在を知って、数十年前に採取したノコギリカミキリを再確認。
こちらはノコギリカミキリで間違いないことを確認でき、間違ってなかったと妙に安心しました。

キクスイカミキリ(Phytoecia rufiventris)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
カミキリムシ科・フトカミキリ亜科・キクスイカミキリ属>

カミキリムシ科キクスイカミキリ属のカミキリムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬、壱岐、種子島、屋久島に分布する。
海外では、台湾や朝鮮半島から中国、ロシア、モンゴル、ベトナムなどユーラシア大陸東部に分布する。
体長は6〜9mmで、体色は黒色で、前胸背に赤い斑紋がある。腹部は橙色で、脚の腿節にも橙色が入る。
成虫は4月〜7月に見られ、ヨモギやキクなどのキク科植物によく見られる。
成虫は羽化後、産卵のためにキク科植物の茎の外側を、円周状噛み切って2段の筋を付け、茎の中に産卵する。
幼虫は、根に向って茎を食べ進み、秋には根に達して蛹化、羽化して成虫になり、そのまま根の中で越冬する。
円周状に噛み切る際、重要な維管束(いかんそく)も切ってしまうため、水が上に揚がらず萎れてしまう。

2019/6/22
キバナノコギリソウの葉にキクスイカミキリが止まっていました。久しぶりの対面です。
子供の頃、自宅の庭で見られるカミキリムシの1つでしたので、良く捕まえていました。
ただ、大事なキクの茎の維管束を産卵のために噛み切って、上部を枯らしてしまう厄介者でもありました。
今もキク科の植物が植えられているのですが、かなり上部が萎れており、被害にあっているようです。


2021/4/11
実家近くを散歩中、目の前を横切って行った甲虫を、思わず手で払い落しました。
草の上に落ちたのは、キクスイカミキリでした。キクの新芽が出る、この時期に発生します。
近くにヨモギがあったので、そこに産卵に来ていたのかもしれません。


2022/5/20
今年はキク科植物の被害が多いのですが、犯人のキクスイカミキリがなかなか見つかりません。
この日、やっとキクスイカミキリを見つけ、採取できました。翌日にもう1匹採取しました。
産卵のために茎の維管束を噛み切ってしまうので、その上が枯れてしまうのです。
2匹くらいの仕事ではない被害状況なのですが、少しでも被害が減ればと日々奮闘しています。
そうそう、今年はヨモギハムシの被害も多くて、こちらは何十匹取ったか分かりません。


2023/5/20
今年はキクスイカミキリの被害が多くて、10匹弱を捕獲しました。
それでも収まらず、被害は増えているのですが、犯人が見つかりません。
キクだけではなく、隣のキバナノコギリソウにまで被害が及んでいます。

ゴマダラカミキリ(Anoplophora malasiaca)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
カミキリムシ科・フトカミキリムシ亜科・ゴマダラカミキリ属>

カミキリムシ科ゴマダラカミキリ属に属する甲虫の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、マレーシアに分布する。
食樹は広範で、都市部から〜山地まで広く分布しており、個体数も多いため、目に付きやすい。
成虫の発生時期は6月〜8月で、体長は25〜35mm、触角は体長の1.5倍ほどある。
体色は全身黒色で、特に前翅は光沢のある黒色に白斑があり、これが和名の由来である。
前翅以外は光沢はなく、腹面や脚は青白色の細毛で覆われているため、青っぽく見える。
触角の各節の基部側にも青白色の細毛があり、黒と青白色の2色のぶち模様になる。
幼虫、成虫とも、ヤナギ、イチジク、ミカンなどの柑橘類、クリ、クワなど多くの生木を食害する。
幼虫は、幹の地際部から侵入し、木質部を食害して枯れ死させることもあるので、重要害虫とされる。
朝鮮半島から中国には、別種のツヤハダゴマダラカミキリが分布し、本種同様、多くの樹木を食害する。
米国にも侵入して食害が発生しており、各国の検疫機関で警戒されている。

2022/6/1
実家近くの川沿いを散歩した帰り道、道路の真ん中に落ちているのを見つけました。
好き好んでこのような場所に降りることはないでしょうから、何かにぶつかって落ちたのでしょう。
車か何かに踏み潰されるのが落ちなので、取りあえず、回収して写真を撮りました。
見たところでは、大きな損傷は受けていないようでした。

ユリクビナガハムシ(Lilioceris merdigera)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
ハムシ科・クビボソハムシ亜科>

ハムシ科クビボソハムシ亜科の甲虫で、在来種。
日本では、本州と九州に分布するが、本州での発生は局所的である。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、サハリン、シベリア、ヨーロッパ、中南米に分布する。
体長は8〜10mmで、体色は頭部、胸部背面、上翅は赤茶色で、腹面は黒い。
脚も同色の赤茶色であるが、関節部や附節は黒い。触角も黒色である。
幼虫も同じような赤茶色をしているが、自身の排泄物をかぶる習性があり、巨大な糞に見える。
幼虫は大食漢で、猛烈な勢いでユリの葉、最後には花芽まで食べて、丸坊主にしてしまう。

2017/6/30
実家のユリを食い荒らして、ほぼ全滅状態にしたユリクビナガハムシです。
実家の庭にはタカサゴユリが自生していて、毎年のように花を咲かせていました。
そのタカサゴユリに糞のようなものが付き、花芽まで食い荒らされていました。
何時から被害が出始めたのか良く分からないのですが、最近は特に被害がひどくなってきています。
後で調べると、幼虫は糞を体に付けて擬態しているとのこと。糞だと思ったものは幼虫だったんです。
それ以降、糞に擬態した幼虫を除去する羽目になりました。ベタベタで気持ち悪いんですよね。
そうそう、幼虫の写真は気持ち悪いので、掲載を取りやめました。

アオバネサルハムシ(Basilepta fulvipes)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
ハムシ科・サルハムシ亜科・アオバネサルハムシ属>


ハムシ科アオバネサルハムシ属の甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、伊豆諸島、沖縄とほぼ全国に分布している。
海外では、台湾、朝鮮半島から中国北部、ロシア南東部、モンゴルに分布している。
発生時期は5月〜8月で、体長3〜4.5mmである。
光沢の強い銅緑色が多いが、頭部、前胸背が黄赤褐色であったり、上翅が青藍色など変異が多い。
脚も黄褐色のものが大半であるが、黒褐色の個体もいる。
触角は、基部側が黄褐色で、中央から先が暗色になる。前胸の背後角に小突起がある。
食性は広食性で、ヤナギ類、キク科(ヨモギ)、ブナ科(コナラ)、マメ科(メドハギ)など多岐にわたる。

2022/5/27
実家近くの川沿いを散歩中、メドハギの葉に居るハムシを見かけました。
オレンジの頭部・胸部と銅緑色で光沢のある前翅を持つハムシで、見たことがありません。
後で調べていて、多くが上段右側のような全体が銅緑色の個体だと分かりました。
ただ、この場所に居たのは大半がオレンジと銅緑色のツートンカラーのタイプでした。
このタイプは、脚も同じオレンジ色なのですが、銅緑色の個体は脚まで同じ色でした。


<オス>                   <メス>
本種は、雌雄で前脚の大きさに差があるようで、オスの方が1.5倍ほど大きいようです。
おそらく、交尾の際、オスがメスをがっちりと抱えるために大きくなったのでしょう。


2022/5/30
実家近くの川沿いを散歩中、メドハギの葉にアオバネサルハムシがたくさん付いていました。
よく見ると上翅が青藍色の個体もいたので、改めて撮り直しました。
左は、全体が銅緑色の個体ですが、頭部は黒に近い色合いでした。脚も黒に近いようです。
右はツートンカラータイプで、上翅は左が銅緑色で、右は青藍色です。
これ以外の変異もあるのかもしれませんが、この3タイプが多いようです。

キヌツヤミズクサハムシ(Plateumaris sericea)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
ハムシ科・ネクイハムシ亜科・オオミズクサハムシ属>

ハムシ科ネクイハムシ亜科に属する甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、九州、佐渡に分布する。
海外では、サハリン〜アムール、朝鮮半島から中国、モンゴル、中央アジア、ヨーロッパに分布する。
出現時期は6月〜7月で、ヨシやスゲなどの生える湿地帯で見られ、スゲハムシの別名がある。
体長はオスで6.5〜7.4mm、メスで7.0〜8.8mmである。
上翅の色は、黒、紫、青、緑、黄、赤と変異に富むが、青はオスのみに現れる。
複眼は小さく、頭頂に毛があり、前胸背板には密に点刻があり、顕著な横しわに覆われる。
触角は比較的細くて金属色が強く、第2節が最も短く、第3、第4、第5と長くなる。
幼虫はスゲの根を食べ、成虫はスゲ属、イグサ属、ガマ属、ミクリ属などの花粉を食べる。
本種の上翅の色は、外表皮の繰り返し構造による反射光で、周期が短いと青く、長いと赤くなる。

2022/6/18
網引湿原第3湿原の葉の上で、暗褐色の小さい甲虫が動いていました。
距離があったのでアップで撮影できませんでしたが、何とか確認できる写真が撮れました。
揺れるのでピントがピタリと合っていたのは1枚のみでした。
さて、この写真からの同定には難儀しました。まず、何科なのかが良く分からない。
いろいろ調べていて、ふと、ハムシ科ではと思い、調べているとスゲハムシに行き当たりました。
その関連を調べると、キヌツヤミズクサハムシ(スゲハムシ)かシラハタミズクサハムシと分かりました。
この2種、非常に似ていて、区別するには触角の第2〜4節の長さを見る必要があるようです。
解像度の限界で不鮮明ですが、11節数えられたので、第2節と第3節の長さを見てみました。
その結果ですが、第2節より第3節が多少長い程度にしか見えませんでしたので、本種としています。

ヨモギハムシ(Chrysolina aurichalcea)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
ハムシ科・ハムシ亜科・ヨモギハムシ属>

ハムシ科ハムシ亜科の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、モンゴル、シベリア〜欧州(中部)、台湾、インドシナに分布する。
体長は7〜10oで、青藍色、紫藍色、黄銅色の金属光沢がある。
食草はヨモギ、ヤマシロギクなどで、これらの茎や葉上、および周辺の地表で見られる。
成虫は、昼間に比較的活発に活動し、よく歩き回り、ほとんど飛ばない。
秋には、産卵場所を探して地表を歩くメスを見かけるが、成虫と卵で越冬する。

2020/11/29
実家近くの川沿いを散歩中、土手近くの草むらで見かけた交尾中のヨモギハムシです。
メスの腹部ははち切れんばかりに膨れて、たくさんの卵が詰まっていることが分かります。
この後、どこかで産卵し、越冬に入るのでしょうね。

 
2021/5/28
昨秋に見かけたヨモギハムシですが、実家の庭に植えてあるキクの葉にたくさんいました。
葉に止まって動かないものがほとんどでしたが、青藍色と黄銅色の金属光沢がある2タイプいました。

ウリハムシ(Aulacophora femoralis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
ハムシ科・ヒゲナガハムシ亜科・ウリハムシ属>

日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、 台湾、東南アジアに広く分布する。
幼虫は、ウリ類の根、成虫はウリ類の葉を主食としている害虫である。
本種は、成虫が浅い土中に潜って越冬し、翌春にウリ科の苗の周りの土中に産卵する。
土中で蛹になり、7月以降に成虫が出現する。
成虫は、前足、頭部、胸部、前翅があざや中橙色で、腹部、中脚、後脚が黒い。
成虫は、非常に活発に動き回り、よく飛び回るので、よく目立つ。

2019/6/19
実家の畑に植えてあるカボチャに、ウリハムシが付いていました。
オレンジ色の体色なので、遠くからでもその存在は容易に確認できます。

ニレハムシ(Pyrrhalta maculicollis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
ハムシ科・ヒゲナガハムシ亜科・ケブカハムシ属>

ハムシ科ヒゲナガハムシ亜科に属する甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、シベリア東部から中国北部、朝鮮半島に分布する。
出現時期は7月〜11月で、成虫で越冬する。
越冬成虫が春に産卵し、新成虫が7月頃に現れ、10月頃には冬眠に入る。
体長は6.5〜7mmで、体色は赤褐色〜暗褐色であるが、赤味の強い個体が多い。
小楯板は黒く、そこから頭部に向かって胸部を黒条が伸び、胸部両脇の黒紋は大きい。
胸部後端の幅が広く、頭部を含めて褐色部が三角形になる。
幼虫はニレの仲間やケヤキによく付くが、サンゴジュやハンノキ類にも付く。
よく似たハムシに、下記のような種類がある。
サンゴジュハムシ・ブチヒゲケブカハムシ・エグリバケブカハムシ・イタヤハムシ
この内、イタヤハムシの胸部の黒斑は、3個が横に並んでいて、他と区別しやすい。
エグリバケブカハムシの胸部中央の黒斑は点状で、小楯板の近くにあり、これも分かりやすい。
本種とサンゴジュハムシ、ブチヒゲケブカハムシ見た目がよく似ていて、下記の点で区別する。
・触角第3節と第2節の長さに比が2倍で、小楯板が台形ならブチヒゲケブカハムシ
 触角第3節と第2節の長さに比が1.5倍なのが、本種かサンゴジュハムシ
・胸部後端が左右に張って、頭部を含めて三角形に近いのがニレハムシで、
 左右の張りが小さくて後端の丸みが強く、胸部のくびれが明瞭なのがサンゴジュハムシ
・ニレハムシとサンゴジュハムシの体長はほぼ同じであるが、両種を並べた場合、
 ニレハムシよりサンゴジュハムシの方が幅があって丸みが強い

2022/4/19
実家近くの道路脇で、街路樹の葉に止まっている褐色の甲虫を見かけました。
見たことがないので、調べてみるとよく似たものが何種類か居ることが分かりました。
まず、胸部の黒斑ですが、左右端に寄っているので、イタヤハムシではありません。
また、中央の黒斑が頭部まで伸びているので、エグリバケブカハムシでもありません。
次に、触角の第2節と第3節の比率を確認すると、1.5倍程度と分かりました。
これで、ブチヒゲケブカハムシは除外されます。残りの2種は大変良く似ています。
が、胸部が左右に張りだし、頭部も含めて三角形に近いので、本種と判断しました。

サンゴジュハムシ( Pyrrhalta humeralis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
ハムシ科・ヒゲナガハムシ亜科・ケブカハムシ属>

ハムシ科ヒゲナガハムシ亜科に属する甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄本島に分布し、海外では中国に分布する。
出現時期は7月〜11月で、卵で越冬する。年1化で、初春に孵化して新芽を食べる。
5月頃に老熟して地面に降り、土中にもぐって蛹となり、6月頃に羽化する。
羽化直後の食欲は旺盛であるが、真夏には食べなくなり、秋になって再び旺盛に食べて産卵する。
成虫の体長は6〜7mmで、体色は褐色の地に黄白色の微毛密生している。
小楯板は黒く、そこから頭部にかけて胸部背面に縦の黒条があり
胸部の両脇にも黒紋があり、頭頂部にも黒斑がある。
また、上翅の肩から縁の内側にかけて黒色がのびる個体も多い。
下記のようなよく似たハムシが数種類存在するが、各々の特徴から判別する
・イタヤハムシの胸部の黒斑は、3個が横に並んでいて、他種と斑紋の形状が異なる
・エグリバケブカハムシの胸部中央の黒斑は黒条とはならず、小楯板の近くにある
 また、触角が白と黒の交互模様で、第2節と第3節に長さの比が1:3ほどである
・ブチヒゲナガハムシの胸部中央の黒条は中程で終わり、頭部には達しない
 頭部の黒斑は、中央と複眼の後方にもあり、明瞭で大きい
 また、触角の第2節と第3節に長さの比が1:2ほどである
・サンゴジュハムシとニレハムシの触角第2節と第3節に長さの比は、1:1.5ほどである
 どちらも小楯板は黒く、そこから頭部まで胸部背面に縦の黒条がある
 どちらも胸部の両脇に黒紋があるが、ニレハムシの方が大きい
 両種の体長はほど同じであるが、サンゴジュハムシの方が幅があって丸みが強い
 また、胸部後端が左右に張って、頭部を含めて三角形に近いのがニレハムシで、
 左右の張りが小さくて後端の丸みが強く、胸部のくびれが明瞭なのがサンゴジュハムシである
 触角の長さにも差があり、並べた場合、サンゴジュハムシの方が明らかに長い

2023/5/18
加古川の土手を降りて、河川敷の通路脇で見かけたハムシです。
以前に見かけたニレハムシに似ていたのですが、胸部の形が異なり、胸部背面の黒斑も異なります。
似たものが何種類か居るので、特徴を確認しました。
・イタヤハムシの胸部背面の黒斑は、まったく形状が異なるので除外
・エグリバケブカハムシの胸部背面の黒斑は似ているのですが、頭頂部の黒斑が異なります
 また、触角の第2節と第3節の比は1:3ですが、本種は1:1.5ですので除外
・ブチヒゲナガハムシの胸部背面の黒斑は形状が異なります
 また、触角の第2節と第3節の比は1:2ですが、本種は1:1.5ですので除外
・触角の第2節と第3節の比が1:1.5なのは、ニレハムシとサンゴジュハムシです
 胸部中央は頭部に達する黒条なのですが、少し淡い黒斑なのでどちらとも合いません
 ただ、胸部側面の黒斑の形状はニレハムシに似て、サンゴジュハムシのようにえぐれていません
 小楯板が黒くて、頭頂部の斑紋は、どちらも似ています
 胸部の形状は、後端は左右に張っておらず、くびれが明瞭なので、サンゴジュハムシに合います
 触角と体長の比率は、ニレハムシが0.5、サンゴジュハムシは0.75程度です
 この個体は、0.7あり、サンゴジュハムシに近い比率です
どちらとも似た所、異なる所があり、ピタリと合うものがありません。
決め手を欠くのですが、胸部の形状、触角の長さと節の比率の点から、サンゴジュハムシとしました。
ただ、上記の通り、決め手を欠いており、間違っている可能性があります

ヘリグロテントウノミハムシ(Argopistes coccinelliformis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
ハムシ科・ヒゲナガハムシ亜科・トビハムシ族・テントウノミハムシ属>

ハムシ科テントウノミハムシ属の甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、伊豆諸島、小笠原諸島、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、インドシナに分布する。
出現時期は4月〜11月で年1化、3月に越冬成虫が活動を開始し、新成虫は6月くらいから見られる。
成虫の寿命は長く、越冬した成虫の中には秋まで生き残るものがある。
体長は3.2〜4mmで、体色は光沢のある黒色で、上翅に1対の赤斑がある。
後脚は黒色で発達して太く、刺激を与えるとパチンと跳ねて逃げる。
見た目はテントウムシにそっくりであるが、触角は黄褐色で細長く、テントウムシの棍棒状とは異なる。
幼虫も成虫も、モクセイ科のヒイラギ、ネズミモチ、キンモクセイなどを食害する。
なお、幼虫は頭部のみが黒く、その他は黄色い。潜葉性で食樹の葉肉を食い進む。
終齢幼虫では、頭部だけを葉肉内に潜らせて摂食している個体が多い。

2022/3/13
実家の郵便箱の蓋に止まっている、小さなテントウムシ(と思った)を見かけました。
赤い斑紋が2つ見えたのでダンダラテントウかと思ったのですが、斑紋が異なります。
ダンダラテントウの斑紋はお尻寄りで、前胸側にもある斑紋が見当たりません。
テントウムシの仲間を調べたのですが、該当する斑紋の持ち主は見たりません。
さらに、触角が細長くて、テントウムシの根棒状の触角とは異なることに気が付きました。
範囲を広げて調べていると、テントウノミハムシとヘリグロテントウノミハムシが見つかりました。
本種では、前胸背の前縁中央部に突出した部分がないので、ヘリグロテントウノミハムシとしました。
直ぐ横に食草のヒイラギがあるので、間違いはないと思います。
というか、ヒイラギの葉をボロボロにしていた犯人が、このヘリグロテントウノミハムシだったようです。


よく似たテントウムシ

   .
<ヘリグロテントウノミハムシ>    <ダンダラテントウ>     <ナミテントウ/二紋型>  .
体長は、ヘリグロテントウノミハムシが3.2〜4mm、ダンダラテントウは4〜7mmです。
小さめのダンダラテントウと大きさ的には合いますが、前胸側の斑紋がありません。
斑紋の形などはナミテントウの二紋型とよく似ていますが、大きさが倍くらい違います。
触角は、テントウムシは先が膨らんだ棍棒状なのに対して、長くて先が尖ります。


キイロテントウ(Illeis koebelei)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・テントウムシ亜科・カビクイテントウ族>

テントウムシ科の1種で、日本では本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島や台湾に分布する。
体長は3〜5mmで、発生時期は4月〜10月である。
前翅は黄色一色で、胸部は白っぽく、前胸背板は透明で1対の黒斑がある。
成虫、幼虫ともにウドンコ病菌などの菌類を食べる益虫である。

2021/5/28
実家の車庫で、クモの巣に突っ込んで身動きできなくなっているキイロテントウを救助しました。
体にまとわりついているクモの巣を取ろうとしたのですが、小さいので取り切れませんでした。
取ろうと力を入れると押しつぶしてしまいそうで、力を入れられないのです。
なんとか大きなものだけは除去できたので、あまりきれいではありませんが撮影したのが上記の写真です。
透明な前胸背板の下に頭部が入ってしまっていますが、背板越しに黒い複眼(下側)が見えています。
なお、背板の上方で黒々とした眼のようなものは1対の斑紋で、こちらの方が眼に見えてしまいますね。


2021/10/12
実家の畑に植えてあるナスの葉で、キイロテントウを数匹見かけました。
紫系の葉の上を、黄色いテントウムシがうろちょろしているので、結構目に付きます。

ダンダラテントウ(Cheilomenes sexmaculata/syn. Menochilus sexmaculatus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族>

日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
海外では、中国、東南アジア、インド、アフガニスタン、ニューギニア、ポリネシア、ミクロネシアに分布している。
体長は4〜7mmで、ナミテントウよりやや小型のテントウムシ。
翅は、黒い下地に赤い斑紋が4つあるが、その変異も多く、ナミテントウの4紋型と混同されやすい。
北の方に生息するものは黒い部分が多く、南にいくほど赤い部分が多くなり、ナミテントウとは逆の分布。
幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫である。

2021/5/28
実家の庭に植えてあるソシンロウバイの葉に、ゴミのようなものが付いているのに気が付きました。
なんだろうと、近づくと斑紋がほとんど目立たないダンダラテントウでした。
ダンダラテントウでも小さい方だと思いますが、体長は4mm弱しかありませんでした。
よく見ると斑紋は2対確認できますが、灰色がかった橙色で目立たず、パッと見、真っ黒に見えました。


2021/6/29
実家近くの川沿いに生えているナンキンハゼで、見慣れないテントウムシの幼虫を見つけました。
調べてみるとダンダラテントウの幼虫と分かりました。
ナンキンハゼにはハゼアブラムシが付いていたので、それを狙っているのでしょうね。


2021/9/13
実家近くの川沿いに生えているナンキンハゼで、テントウムシのサナギを見つけました。
今まで見たことがないサナギでしたが、以前に幼虫を見たことからダンダラテントウと検討を付けました。
後で調べてみると、予想通りダンダラテントウのサナギで間違いありませんでした。


2022/5/1                 2022/5/11
実家の裏の畑で、ジャガイモの葉に居たダンダラテントウのカップルです。
よく似た相手を選んだわけではないでしょうが、似た者同士のカップルになっていました。


2022/5/1                 2022/5/1
実家の裏の畑で、ジャガイモの葉に居たダンダラテントウです。
最初に見たとき、脱皮したばかりで、脱皮柄が近くにあるのかと思っていました。
写真を撮ろうと近づいたとき、脱皮柄ではないことに気が付きました。
よく見るとナナホシテントウの若い幼虫で、ダンダラテントウに体液を吸われたようです。
ジャガイモにはアブラムシはあまりいないので、お腹を空かして、仲間を襲ったのかも。


ダンダラテントウの模様

   .

斑紋の変異が多いそうですが、自宅近辺で見かけたダンダラテントウは黒色部の多いタイプのみです。
背部の2対の赤い斑紋は、比較的目立つものから消失したものまで見られます。
しかし、いずれの場合でも、前翅の肩部にある赤い斑紋は同じように見られます。


ナナホシテントウ(Coccinella septempunctata)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族・Coccinella属>

テントウムシ科の昆虫で、在来種。赤色の前翅に7つの黒紋があり、これが和名の由来。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
世界的には、アジア、ヨーロッパ、北アフリカと広く分布している。
体長は8o前後で、ほぼ円形に近く、背面は半球状に盛り上がり、腹部下面はほぼ扁平。
頭部、胸部は黒色で、胸部の左右に淡黄色の斑紋、頭部にもいくつかの横斑がある。
前翅は、赤いものと黄色味を帯びたものがあり、大きさに変異はあるが黒斑が4個ある。
なお、前翅を閉じたとき、前翅の基部近くにある黒斑はつながって1つになり、全体で7つに見える。
幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫であり、天敵としての利用も研究されている。

2021/3/23
実家近くを散歩中、カンシロギクが咲いていたので写真を撮ろうとしたとき、花の上にいました。
腹部の橙色の斑紋の特徴から、ナナホシテントウの終齢幼虫と分かりました。

ナナホシテントウとナミテントウの幼虫や蛹の比較に関しては、こちらを参照ください。


2022/4/29                 2022/4/30
実家の近くと鹿嶋神社近くにある市ノ池公園で見かけたナナホシテントウです。
実家近くで見かけたものが、かなり赤いと感じたのですが、市ノ池のものを見て確信しました。
個体変異だと思いますが、ここまで真っ赤なものは見た記憶がありません。


2022/5/8         2022/5/15         2022/5/15
実家の裏の畑で見かけたナナホシテントウの蛹です。
オレンジ色の地色に、黒い斑紋があるのですが、その面積に個体差があるようです。
右に行くほど黒い部分が多くなり、右端のものでは地色が黒と言った方が良さそうです。


2022/5/20
黒いサナギを見つけたので、どのような成虫が羽化してくるのか確認することにしました。
出てきた成虫が左の写真で、極普通のナナホシテントウでした。
体内から、余分な水分を放出したのか、尾端の方に水滴が付いています。
右は羽化した後の抜け殻で、一段と黒さが増しています。
ちなみに、左下に写っているのは、一緒に入れていたヒラタアブの囲蛹から出た寄生バチです。

ナミテントウ(Harmonia axyridis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族・Harmonia属>

テントウムシ科の昆虫で、在来種。斑紋に変異が多いのが特徴。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
世界的には、朝鮮半島から中国、シベリア、サハリンに分布している。
体長は8o前後でほぼ円形に近く、背面は半球状に盛り上がり、腹部下面はほぼ扁平。
ナミテントウの上翅の模様は変化に富み、同じ種類とは思えないくらい変異がある。
模様は、黒地に赤い紋が2つある「二紋型」、紋が4つの「四紋型」、多数ある「斑型」、
赤地に黒の斑がある「紅型」の4つが基本形である。
この四つの基本形に対応した斑紋遺伝子があり、その組み合わせで模様が決まる。
ちなみに、「二紋型」、「四紋型」、「斑型」は九州方面に、「紅型」は北海道や東北地方に多い。
幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫である。

※ ナミテントウの斑紋の種類などに関しては、こちらを参照ください。

2021/4/1
実家のモミジの木がたくさんの花を付けたので、その撮影中にナミテントウに気が付きました。
きれいな二紋型のナミテントウで、赤い斑紋がくっきりと出ています。


2021/5/23
実家近くを散歩中、道路脇のイネ科の穂にオレンジ色の「四紋型」のナミテントウが付いていました。
斑紋に凹みなどがない、きれいな「四紋型」で、斑紋の色は上記の橙赤色ではなくオレンジ色です。


2022/4/29                 2022/5/11
実家の裏の畑で見かけた紅型のナミテントウです。
黒斑が消えかかっているものとくっきりとした個体です。黒斑の大きさの差が大きいですね。


2022/5/7
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園で見かけたナミテントウです。
写真を撮っていると、上の方からダンダラテントウが降りてきて、ニアミス。
似たような色合いですが、その大きさの違いが良く分かると思います。


2022/5/11                 2022/5/11

実家の畑で見かけたナミテントウの幼虫で、右側は終齢幼虫です。
大きさも違いますが、終齢幼虫の体の太さが際立ち、寸胴な体形になっています。
なお、4月下旬の頃は見かける幼虫は、ほとんどがナナホシテントウの幼虫でした。
それが、5月に入ると蛹になったのか、幼虫の多くがナミテントウに変わっていました。

 
2022/5/11         2022/5/15
ナミテントウの蛹です。黒斑の大きさに違いが見られますが、ナナホシテントウほどではありません。
下記に両者を比較したものを並べてみました。違いが分かると思います。


2022/5/30

実家近くの川沿いを散歩中、セイタカアワダチソウの葉にいるナミテントウを見つけました。
以前から、ぜひ見てみたいと思っていたナミテントウの「斑型」の個体です。
これで、ナミテントウの斑紋は全ての型を確認したことになります。


2022/6/2
実家の畑の除草を行っていて、近くのイロハモミジに小さなテントウムシを見つけました。
黒地にオレンジ色の斑紋があり、ナミテントウにしては小さいし、斑紋が多いのです。
大きさは個体差があるので良いのですが、前述の斑型にはない斑紋が、頭部側に1対あります。
以前、土山SAで見たナミテントウにも同じ位置に斑紋がありました。
この斑紋以外は、通常の斑型と一致していますので、「変形斑型」と言って良いのでしょうか。


2022/6/2
上記のイロハモミジの別の場所で、小さな「紅型」のナミテントウを見つけました。
ただ、紅型の尾端側にある1対の黒斑が見当たりません。その他の黒斑は小さめですがあります。
後で調べようと一時的に採取することにし、採取後に撮ったのが上記の写真です。
とにかくじっとしていなくて、動き回っては翅を広げて飛ぼうとしたりと撮るのに一苦労です。
上翅を少し持ち上げた状態の写真を見て、極薄いですが尾端側に1対の黒斑が確認できました。


ナナホシテントウとナミテントウ

   .
<ナナホシテントウ>
   .
<ナミテントウ>
ナナホシテントウとナミテントウの幼虫は、背中のオレンジ色の斑紋の並び方の違いで容易に判別できます。
蛹になるとオレンジ色の地色に黒斑が並んだ模様になり、似ていて紛らわしいです。
違いは腹部の黒斑の数で、ナミテントウの方が黒斑が6対と多く、ナミテントウは4(5?)対です。
なお、ナナホシテントウの黒斑の変異が大きいようで、上段右のように黒が地色のようなものもいます。
ナミテントウの成虫の斑紋には複数のタイプがあり、その蛹も異なるのか興味があります。


ヒメカメノコテントウ(Propylaea japonica)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族>

テントウムシ科の1種で、日本では北海道から本州、四国、九州に分布する。
人家の庭先にもやってくる普通種で、体長は3〜5o。
淡黄色の地に市松模様のような黒色の斑紋があるが、多様な変異がある。
地色も淡黄色から濃いオレンジ色まで変異があり、模様のない地色一色や黒一色の個体もいる。
亀甲型:黄色〜橙色の地に黒い斑紋が市松模様に入る
背筋型:黄色〜橙色の地の中央に黒い筋模様が入る
肩紋型:肩に1対の黒い斑紋がある
4紋型:黒い斑紋が2対ある
一色型:黒一色か黄色一色である
成虫、幼虫ともアブラムシを食べる益虫である。

2017/6/30
実家の庭で咲いていたキバナノコギリソウの花に、埋もれるようにヒメカメノコテントウがいました。
上翅の模様は、典型的なヒメカメノコテントウのものです。
最初、1匹だと思ったのですが、よく見ると交尾中で、下にメスが隠れていました。
このメスは、上翅の地色がオスよりも色が濃いようで、オレンジ色に見える所があります。


2021/5/28
肩紋型(2紋型)のヒメカメノコテントウが、キクの葉の上にいました。
写真撮った後、ヨモギハムシの方に視線を移し、戻したら消えてしまっていました。
数秒の間に、葉の裏などに移動してしまったようで、見つけられませんでした。


2022/5/1                 2022/5/1
実家裏の畑で見かけたヒメカメノコテントウのカップルです。
上のオスですが、肩紋型(2紋型)かと思ったのですが、後ろにも紋があり、4紋型のようです。
亀甲型のメスには、頬紅のようにオレンジのぼかしが入っています。


2022/5/1                 2022/5/15
5/1 亀甲型のヒメカメノコテントウですが、この個体もオレンジのぼかしが見られます。
5/15 実家裏の畑で真っ黒なテントウムシを見つけました。小さいので見落とすところでした。
ジャガイモの花の上だったので目に留まりましたが、初めて見るテントウムシです。
調べてみると、これがヒメカメノコテントウの黒の一色型と分かりました。


ヒメカメノコテントウの模様

   .
<亀甲型>           <亀甲型>           <亀甲型>
   .
<肩紋型(2紋型)>        <4紋型>           <一色型>  .
  斑紋には5つのタイプがあるそうですが、斑紋のない背筋型と黄色の一色型は見たことがありません。
上段は、亀甲型のバリエーションです。下段の4紋型は、後ろの紋が淡くて微妙です。
下段右端の黒い一色型は、あまり数が多くないようで、珍しいようです。


ニジュウヤホシテントウ(Henosepilachna vigintioctopunctata)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・マダラテントウ亜科・マダラテントウ族・マダラテントウ属>

日本では、本州、四国、九州、沖縄に分布している。
黄褐色〜黄赤褐色に多数の黒紋があり、ベージュの短毛が覆っているので、くすんで見える。
テントウムシ科のうちマダラテントウ亜科のみが草食で、他は肉食である。
本種は、ナス科の直物を食害するため、害虫として嫌われている。
その食痕は特徴的で、葉の表面を表皮を残して食べるのですが、棚田の様な模様になる。
幼虫も成虫も同じような食べ方をする。なお、幼虫にはイラガの幼虫のような棘が全体にある。
ニジュウヤホシテントウでは、棘の色は白いが、棘が黒いのはオオニジュウヤホシテントウである。
本種は、関東以南でよく見られ、関東以北ではよく似たオオニジュウヤホシテントウが多くなる。

※ ニジュウヤホシテントウは、「二十八星瓢虫」と書き、黒紋の多さを表している。

2019/6/19
実家の畑に植えてあるトマトやナス、庭に植えてあるホオズキの葉にいました。
幼虫、成虫ともこれらの葉を食い荒らす害虫で、この辺りの農家では「さる」と呼ばれています。
ご多分の漏れず、トマトとナスの葉はかなりの被害にあり、ナスの新葉はボロボロでした。
気が付いてからは、日々、その駆除(手で取るだけですが)に追われていました。
朝、見つけて取っても、お昼にはまた付いているといった状況で、どこから出てくるのでしょう。
2週間ほど取り続けて、やっと少なくはなりましたが、それでも居なくはなりません。しつこい。


2024/4/17                  2024/4/20
今年もじゃがいもの葉で、ニジュウヤホシテントウが見つかりました。
葉の表面に食痕が残っていますが、幼虫は見た記憶はないので、成虫が飛来したようです。
交尾中のものも見ましたので、早めに駆除しないと被害が大きくなってしまう可能性があります。

スグリゾウムシ(Pseudocneorhinus bifasciatus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ゾウムシ上科・ゾウムシ科・クチブトゾウムシ亜科>

ゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と九州以北に分布している。
体長5〜6oの小型のゾウムシで、体色は黒色であるが鱗片で覆われているので灰白色に見える。
体形は丸くずんぐりとしていて、上翅に褐色の帯が2本ある。口吻は太短い。
フサスグリ、ミカン、ハッカ、マメ、イチゴなど多くの植物の葉を食べる。
幼虫は土中で根を食べて育つ。

2018/5/31
実家のヒイラギに付いていた極小さいカメムシです。
小さいので近づいて撮影すると、全体にピントが合わず、どこかにピントを合わせると他がボケます。


2019/7/4
畑の脇に植えられている草(種類不明)に、何匹かのスグリゾウムが止まっていました。
捕まえようとするとポロリポロリと落ちてしまいました。


2023/5/20
キクスイカミキリを探していて、キクの葉を食べているスグリゾウムシを見つけました。
最初、私の方をちょっと気にしていたのですが、また、食べ始めました。
よほど、お腹が空いていたのでしょうか、一心不乱に食べていました。









inserted by FC2 system