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播州地方で見かけた昆虫(W)



実家近辺や兵庫県内などを移動する際に見かけた昆虫です。
といっても、出かけた際にちょこっと撮影しただけのため、あまり多くはないです。
今後、機会を見つけて充実させていきたいと思っています。

< トピック >

今回、新たに見かけた下記の昆虫を追加しました。
ハネナガヒシバッタ



バッタ目・キリギリス亜目
キリギリス科(ヒメギス、ウスイロササキリ、コバネササキリ、ササキリ、ホシササキリ、
       クサキリ)
カネタタキ科(カネタタキ)
コオロギ科(モリオカメコオロギ、エンマコオロギ、ツヅレサセコオロギ、マダラスズ)
バッタ目・バッタ亜目
オンブバッタ科(オンブバッタ)
バッタ科(コバネイナゴ、ハネナガイナゴ、イナゴの幼虫、ショウリョウバッタ、
     セグロイナゴ、ツチイナゴ、イボバッタ、クルマバッタモドキ、
     トノサマバッタ、マダラバッタ、ヤマトフキバッタの幼虫)
ヒシバッタ科((ハネナガヒシバッタ、ハラヒシバッタ)
カメムシ目・カメムシ亜目・アメンボ下目
アメンボ科(アメンボ、ヒメアメンボ)
カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目
カメムシ科(アオクサカメムシ、ツヤアオカメムシ、ウシカメムシ、キマダラカメムシ、
      クサギカメムシ、ナガメ、ブチヒゲカメムシ、アカスジカメムシ)
マルカメムシ科(マルカメムシ)
ナガカメムシ科(ヒメナガカメムシ)
ヒメヘリカメムシ科(コブチヒメヘリカメムシ、スカシヒメヘリカメムシ、
          ブチヒメヘリカメムシ)
ヘリカメムシ科(アズキヘリカメムシ、ハリカメムシ、ホソハリカメムシ、
        ミナミトゲヘリカメムシ、ホオズキカメムシ)
ホソヘリカメムシ科(ホソヘリカメムシ、クモヘリカメムシ)
カメムシ目・カメムシ亜目・タイコウチ下目
タイコウチ科(ヒメタイコウチ)
カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目
グンバイムシ科(アワダチソウグンバイ、ヘクソカズラグンバイ)
カスミカメムシ科(モチツツジカスミカメ、ウスモンミドリカスミカメ、
         ツマグロハギカスミカメ)
サシガメ科(アカシマサシガメ、アカサシガメ、ヨコヅナサシガメ)
カメムシ目・頸吻亜目
アワフキムシ科(オカダアワフキ、シロオビアワフキ)
セミ科(アブラゼミ、クマゼミ、ツクツクボウシ、ニイニイゼミ、ヒグラシ、
    ミンミンゼミ)
ヨコバイ科(ツマグロオオヨコバイ)
ハゴロモ科(アオバハゴロモ、ヒメベッコウハゴロモ、ベッコウハゴロモ、
      Pochazia shantungensis)
カメムシ目・腹吻亜目
アブラムシ科(ハゼアブラムシ)
播州地方で見かけた昆虫(W)
和名インデックス


ヒメギス(Eobiana engelhardti subtropica)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・
キリギリス科・キリギリス亜科・ヒメギス族・ヒメギス属>

バッタ目キリギリス科のバッタで、日本では、北海道から本州、四国、九州に生息する。
体長30mm程で、全身が黒褐色で、背面は薄い褐色か、緑色をしている。
キリギリス同様、翅は腹端に達するか、やや短い。ただ、稀に長翅型も出現する。
メスの産卵管は短く腹部の3分の2ほどで、鎌の刃のような形をしている。
草原性で、キリギリスよりやや湿り気を好み、草丈も低めの場所に生息する。
鳴き声は「シリリリリ…」とヤブキリに似た鳴き声である。

2022/6/18
網引湿原第2湿原の獣害防止ゲート近くの草むらで、葉の上にいるヒメギスの幼虫を見つけました。
暗褐色の体色に、前胸後端部の白線がヒメギスの特徴で、これは幼虫でも同じです。


ヒメギスとコバネヒメギス

   .
  <ヒメギスの幼虫>            <コバネヒメギスの幼虫>
網引湿原で見かけたヒメギスと土山サービスエリアで見かけたコバネヒメギスの幼虫です。
ヒメギスとコバネヒメギスを比較して、最初に気が付くのはヒメギスの方が黒味が強い点です。
また、前胸後端部の形状や白線の形も異なることもわかると思います。


ウスイロササキリ(Conocephalus chinensis)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・
キリギリス科・ササキリ亜科・ササキリ族・ササキリ属>

キリギリス科ササキリ属に分類される昆虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部、東シベリア、サハリンに分布する。
体長は、オスで25〜32mm、メスで28〜33oである。
日本のササキリ亜科の中では最も細長く、明るい緑色の体色に、腹端を超える長い薄茶色の翅を持つ。
なお、体色が淡褐色の褐色型がある。触角が非常に長いのが特徴。
イネ科の植物の草原に多く、昼間に「シリシリシリ……」と澄んだ声で鳴く。
危険を感じると草にぴたりと体寄せて、裏側に回り込み身を隠す習性がある。
出現時期は6月〜11月で、耐寒性が強いため12月でも暖かい日に鳴いていることがある。
食草は、イネ科の植物やササなどだが、他の昆虫などを捕食することもある。
また、交尾の際にオスはメスに精包を渡し、メスはしばらく尾端に付けているが、それを食べてしまう。

2021/9/24
田んぼが広がる実家近くを散歩中、田んぼの畔から小さなバッタが飛び出してきて止まりました。
翅と触角が長く、触角は体長の数倍はあります。全体的に色が淡いので、何となく影の薄い印象。
以前、土山SAで見かけたウスイロササキリです。でも、さらに色が淡い気がします。

コバネササキリ(Conocephalus japonicus)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・
キリギリス科・ササキリ亜科・ササキリ族・ササキリ属>

キリギリス科ササキリ属に分類される昆虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布している。
海外では、中国東北地方南部〜東中国、台湾に分布している。
出現時期は9月〜11月で、体長は15mm前後、体色は緑色型と褐色型がある。
翅は褐色で、腹端に辛うじて届く程度で、飛翔能力はない。ただし、稀に長翅型を生じる。
メスの産卵管は長めでわずかに反り、腹部と胸部を足したくらいの長さがある。
触角は、体長の3倍以上の長さがある。複眼の後から濃褐色の線が前胸まで延びている。
腹部は赤褐色と黄色のツートンカラーである。
日当たりの良い、湿った草原に生息し、アシ原などに多い。
鳴き声は「ジー・ジー・ジー」と数回繰り返し、少し間をおいて、また繰り返す。

2021/9/24
田んぼが広がる実家近くを散歩中、道路脇の草むらからバッタが飛び出してきました。
翅が短く腹部が見えていましたので、一瞬、コバネイナゴかと思ったのですが、触角が異なります。
後で調べると、コバネササキリと分かりました。翅が短いためか、かなりずんぐりとした印象です。
コバネササキリは、比較的高い音域の鳴き声で、ピークが15kHz付近にあるとのこと。
年を取ると高域が聞こえずらくなりますが...私もWebで試聴しましたが、微かに聞こえる程度でした。

ササキリ(Conocephalus melaenus)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・
キリギリス科・ササキリ亜科・ササキリ族・ササキリ属>

キリギリス科ササキリ属のバッタで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、中国、台湾、東南アジアに分布する。
成虫の体色は、暗緑色か黄褐色で、翅は黒褐色で下側に白線がある。
幼虫は、成虫と異なり、頭部はオレンジ色で胸部、腹部は黒褐色。
林縁のササなどイネ科の植物が多い所に生息し、それら食草としている。
昼夜問わず「シリシリシリシリシリ……」と地味な声で鳴く。

2023/7/18
網引第1湿原を後にして奥池の所まで戻ったとき、ノギランに何かついていました。
近づいてよく見ると、それはササキリの幼虫でした。独特の色合いをしていて、直ぐに分かります。
この幼虫に初めて会ったのは、会社のボランティアで谷津田の米作りに参加した時なので、9年ぶりです。


2023/7/25
奥池の畔で、前回同様にササキリの幼虫に出会いました。
後で写真を見て気付いたのですが、今回の幼虫はオスで、前回の幼虫はメスでした。

ホシササキリ(Conocephalus maculatus)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・
キリギリス科・ササキリ亜科・ササキリ族・ササキリ属>


 
日本では、本州の東北南部以南、四国、九州、南西諸島に分布する。
日本以外では、朝鮮半島、台湾、東南アジア、アフリカに分布する。
出現時期は8月〜10月で、体長は15mm前後(翅端まで22〜25mm)である。
日本に生息するササキリの中では最も小型になる。
体色は、緑色か褐色。翅は淡い褐色で、側面に名前の由来でもある黒褐色の点が線上に並ぶ。
また、頭頂から前胸背面にかけて黒線と白線が並行して通る。
鳴き声は、シリリリリ…という鳴き方を続けるが、音が小さいため、よほど注意して聞かないと分からない。

2021/6/5
実家近くの川沿いを散歩中、土手を歩いていると、小さなバッタがピョンピョン飛びます。
葉に止まった所をよく見ると、体長の倍以上ある触角があり、顔の形からササキリの仲間と思われます。
後で調べてみると、前胸部から尾端にかけての濃褐色の模様からホシササキリの幼虫と分かりました。
多摩川の河川敷でも、夏になると多くのホシササキリが見られましたが、ここでも同じようです。
なお、このホシササキリの幼虫は、緑色型のオスで、おそらく終齢幼虫と思われます。


2021/9/7

     2021/9/6<メス>             2021/9/7<オス>
実家近くの河川沿いを散歩中、土手を歩いていると次々とバッタなどが飛び出してきます。
その中の1つがこのホシササキリです。9/6に見かけたのはメスばかりで、オスは見かけませんでした。
9/7に行ったとき、やっとオスを見つけることができました。
たいへん敏感で動きが素早く、近づくと裏側にススっと隠れるので、撮るのに苦労しました。
なお、ここで見かけたのは緑色型ばかりで、多摩川で見た褐色型の個体(下記)には出会えませんでした。

 
2022/10/11
網引湿原の第1獣害防止ゲートに向かう途中の道端で見かけたホシササキリです。
褐色型のホシササキリを見るのは久しぶりで、産卵管が見えるので、この個体はメスです。


ホシササキリの成虫

   .
   <緑色型 オス>         <緑色型 オス>      <褐色型 メス>
2013/9/10に多摩川の河川敷で見かけたホシササキリの成虫です。
緑色型の前胸背面から翅端にかけての濃褐色の模様は、上記の幼虫と同じです。


クサキリ(Homorocoryphus lineosa/Ruspolia lineosa)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・
キリギリス科・ササキリ亜科・Copiphorini族・クサキリ属>

キリギリス科クサキリ属に分類される昆虫で、在来種。
以前はクサキリ亜科とされていたが、現在は、ササキリ亜科配下のCopiphorini族となっている。
日本では、本州の関東以南から四国、九州に分布する。
北海道から本州中部地方にかけては、近縁種ヒメクサキリH. jezoensisが分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東南アジアにまで分布する。
成虫の出現時期は8月〜10月で、草丈のあまり高くない、やや湿った草原で見られる。
体長は24〜30mmで、翅端まではオスで37〜44mm、メスで47mm前後ある。
体色には緑色型と褐色型の2型があるが、成虫の脚の脛節は緑色型でも褐色である。
なお、この体色は、脱皮した時に緑色型から褐色型、あるいはその逆の変化がよく起こる。
前翅は末端まで狭くなることはなく、翅端は円くなっている。
クサキリ類の中では後脚が長く、跳躍力がある。また、クビキリギスほど頭部は尖らない。

2022/7/2
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園で、管理棟入口のドアに止まっていたクサキリです。
ドアの取っ手に沿うようにピッタリと張り付いていました。
黄緑色の体色で、透明感があって、内臓が透けて見えているようでした。
最初、クビキリギスか何かの幼虫だろうと持っていたのですが、背面に褐色の縦筋がありません。
いろいろ調べていて、クサキリの若齢幼虫がこのような色合いだと分かりました。
頭頂部が比較的丸みがあって、クビキリギスほどには尖っていないのもクサキリの特徴です。

カネタタキ(Ornebius kanetataki)
<バッタ目・キリギリス亜目・コオロギ下目・コオロギ上科・カネタタキ科・カネタタキ属>



カネタタキ科カネタタキ属の昆虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、伊豆諸島、小笠原諸島、対馬、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島南部から中国、台湾、東南アジアに分布する。
体長は、雌雄とも7〜11mmで、発生時期は年1化で8月末〜11月に見られる。
なお、南西諸島では通年で成虫が見られるが、それ以外では卵で越冬する。
普通種ではあるが、樹上性のため、目に触れる機会はあまりない。
体色は淡褐色で、やや細長くて平たい体形をしている。
脱皮間もない成虫は、灰褐色の鱗片で覆われているが、時間の経過とともに鱗片は脱落する。
鱗片がなくなると頭胸部は地色である赤褐色に、腹部は黒褐色になる。
オスの前胸背後縁には細い白帯があるが、メスにはない。
翅の退化が著しく、オスのみ鱗状で暗赤褐色の発音用前翅を持つが、メスは無翅である。
オスは、活動期前半には夜間に、気温の低い秋以降は昼夜とわず、梢の中で小さな声で鳴く。
通常の鳴き声は、「チッチッチッ」とか「チンチンチン」とか、鉦を叩く音に例えられる。
オス同士が接近すると「チルルチルル・チルチル・チルルルルルル」と競い鳴きをする。
和名は鉦を叩くような鳴き声に由来するが、昔の人はミノムシが鳴いていると思ったようである。
枕草子には、「鳴くミノムシ」が登場するが、これはカネタタキのこと。
ミノムシが鳴く訳がなく、鳴いているカネタタキを見る事は稀なので、勘違いしたようである。
「蓑虫、いとあはれなり。鬼の生みたりければ、親に似てこれも恐しき心あらんとて…、
『ちちよ、ちちよ』とはかなげに鳴く、いみじうあはれなり」


2022/10/8
実家の庭にあるバベの木を強剪定し、切った枝を処分していてカネタタキのオスに出会いました。
以前、2階の部屋に迷い込んできたのを見たことがありますが、ずいぶん前の話です。
逃げるわけでもないようなので、ご足労いただいてモデルをしてもらいました。
成虫になって長いようで、鱗片はほとんど無くなって地色が出ており、尾毛が片方切れています。
なお、鱗片は、頭部や前胸背面の後縁、腹部の節の後縁などに不規則に残っています。
特に前胸背後縁の鱗片は、白帯のようにきれいに残っていて、目立っていました。




2022/10/30
実家のトイレには行ったとき、横の壁に張り付いている小さなバッタに気が付きました。
よく見ると大きさや体色からカネタタキと分かりましたが、色が白っぽく感じられました。
脱皮間もない個体かと写真を撮り拡大して、それがメスであることに気が付きました。
肉眼で見た時、小さくて産卵管が付いていることに気が付かなかったのです。
メスには翅がないので、幼虫だか成虫だか良く分かりませんね。
ちなみに、この個体も触角の片方が途中からありません。


2023/9/15
部屋の掃除をしていて、小さなバッタが飛び出してきたのに気が付きました。
暗褐色で翅がなさそうに見えたので、幼虫であろうと写真を撮って外に逃がしました。
後で写真を拡大すると翅があり、カネタタキに似てはいますが、体色がまったく異なります。
南西諸島の個体は体色が暗化する傾向があるそうですが、これが暗化したカネタタキのオスです。

モリオカメコオロギ(Loxoblemmus sylvestris)
<バッタ目・キリギリス亜目・コオロギ下目・コオロギ上科・
コオロギ科・コオロギ亜科・オカメコオロギ属>

コオロギ科オカメコオロギ属のコオロギで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
体長は12〜16mmで、発生時期は8月上旬〜11月、年1化性である。卵で越冬する。
主に林中や林縁で見られるが、草原や河川敷でも見られる。
体色は、暗灰褐色で、複眼の間に細い白帯がある。
オスは、リーリリリリリリリ リーリリリリリリリと鳴く。
よく似たハラオカメコオロギと外見だけで見分けるのは難しいが、以下の点で判断できる。
・オスの前翅端部は、モリオカメコオロギの方がやや長く、尖って見える
・腹面は、モリオカメコオロギの方が赤味が強く、両サイドの白っぽい部分が明瞭

2022/8/27
網引湿原第1獣害防止ゲートからバイオトイレに向かっているとき、足元にいました。
この個体には産卵管がありますのでメスで、上側の後脚がなくなっています。
最初、エンマコオロギ科と思ったのですが、頭部などが異なることに気が付きました。
後で調べると、オカメコオロギらしい事が分かりましたが、ハラかモリかが分かりません。
腹面を見れば色の違いで見分けられるようなのですが、上面の写真しかないのでそれができません。
見かけた場所が林縁の近くだったので、仮にモリオカメコオロギとしています。

エンマコオロギ(Teleogryllus emma)
<バッタ目・キリギリス亜目・コオロギ下目・コオロギ上科・
コオロギ科・コオロギ亜科・フタホシコオロギ族・エンマコオロギ属>

コオロギ科エンマコオロギ属のコオロギで、在来種。
日本では、北海道北部と南西諸島を除く日本全国に広く分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
日本のコオロギの中では最大種で、一般にコオロギといえば本種のことを指す。
体長は26〜32oで、背面は一様に黒褐色で、腹面は淡褐色。
頭部は大きく、光沢のある半球形で、触角は細く、体よりも長い。
和名は、複眼の周りの黒い模様とその上の淡褐色の帯が眉に見え、閻魔大王の憤怒面に似ることに由来。
昼間は草木の茂みや枯れ草などの陰に潜み、夜になると周辺を徘徊する。灯火に飛来する事もある。
食性は雑食で、植物以外に小動物の死がいなども食べる。
オスは、前翅を立ててこすり合わせ、コロコロリーリー...と鳴く。

2022/10/11
網引湿原の第1獣害防止ゲートの所に戻って、タラノキの果実を撮ろうとしたとき、
足元からコオロギが数匹、四方に飛んで逃げて行きました。
その内の1匹が、比較的草の少ない場所で止まったので、撮ることができました。
頭部の形や斑紋からエンマコオロギと分かります。産卵管があるのメスですね。
このとき、ウスバカマキリを見つけたのですが、そのエサとなっていたのはオスでした。

ツヅレサセコオロギ(Velarifictorus micado)
<バッタ目・キリギリス亜目・コオロギ下目・コオロギ上科・
コオロギ科・コオロギ亜科・ツヅレサセコオロギ属>



コオロギ科ツヅレサセコオロギ属のコオロギで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬、種子島に分布し、海外では中国に分布する。
体長は14〜20mmで、15mm前後のものが多い。
体色は黒褐色で、複眼と複眼との間に黄帯が入るが中央付近で細くなる。
後頭部に黄褐色線状斑が6個あり、前胸背板や脚に不規則な条や紋がある。
前翅は腹端より長くなることはないが、後翅は長翅型と短翅型がある。
メスは成熟すると腹部が大きくなり、翅からはみ出すようになる。
発生時期は8月〜11月の年1化性で、卵で越冬する。
平地から山地の農耕地周辺や河川敷の草むら、市街地などに生息する。
食性は雑食性で、植物や昆虫の死骸などを食べる。
オスはリィ リィ リィと同じ調子で長く続けて大きな声で鳴く。
なお、気温が低くなってくると鳴く速度が落ちて、リーリーリーと間延びする。
和名のツヅレサセを漢字が書くと「綴れ刺せ」で、
かつてはコオロギの鳴き声を「肩刺せ・裾刺せ・綴れ刺せ」としていたことに由来する。
これはきものの肩や裾に針を刺して、つづれ(ほころび)を直しましょうね。
早くしないと寒い冬が来てしまいますよ ということだそう。
昔の人は、コオロギの鳴き声さえも、移ろいゆく季節の中で生活に取り込んでいたんですね。

2022/11/19
実家のサボテン用の温室を動かすと、ここのところ毎回同じコオロギが出てきます。
この日、たまたま逃げ込めない所に跳んだので、ご足労願って撮影しました。
見た感じ、頭部の模様からオカメコオロギの仲間かと思ったのですが、頭部の形状が異なります。
念のため、ハラオカメコオロギを確認してみましたが、頭部の模様は似ていても形状が異なります。
そこで似た模様のコオロギを探すと、いました。何でと思うような名前のツヅレサセコオロギです。
模様は似ていますが、頭部が斜めに切ったようなオカメコオロギと異なり、丸みのある頭部です。
歴戦の勇者らしく、後脚に噛まれたような傷があり、前脚も片方が変な方向を向いています。
和名は日本らしい名前だったようですが、現代人にはなじみのない言葉になってしまいましたね。
「綴れ刺せ」と言われても、私でも何のことだか分かりませんでした。




2023/11/15
布団を敷こうとしたとき、畳の上にいる黒い虫に気が付きました。
ゴキブリにしては体系が変だなと近づくと、それはコオロギでした。
頭部が丸くて翅が短く、産卵管があるので、ツヅレサセコオロギのメスと分かりました。
オスの写真しか撮っていなかったので、そっと移動させてモデルをしてもらいました。
どこから家の中に入ってきたのか気になりますが、撮影後、庭に出てもらいました。

マダラスズ(Dianemobius nigrofasciatus)
<バッタ目・キリギリス亜目・コオロギ下目・コオロギ上科・
コオロギ科・ヤチスズ亜科・マダラスズ属>

コオロギ科マダラスズ属の小型のコオロギで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と奄美大島までの南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国大陸東北部〜シベリア南東部に分布する。
体長は6〜12mmで、発生時期は年1回〜2回。7月〜10月まで見られる。
地上性で、畑や芝の草原、公園、河川敷など、草丈が低く、被覆度のやや低い場所を好む。
昼行性で、活動はあまり活発ではないが、行動は俊敏。
体色はやや灰色を帯びた黒色で、後脚に白黒の縞模様がある。
頭部はあまり大きくなく、細かな斑点があり、後部には淡い色の縦線が入っている。
触角は体長より少し長い程度。オスの前胸背板は後方がやや拡がり、不規則な斑紋がある。
前翅は、オスは淡色で腹部後端に届く程度の長さだが、メスは腹部中央くらいまでで、翅脈は平行。
後翅は、よく発達した長翅型と発達の悪い短翅型があり、短翅型は飛翔できない。
昼行性で、活動はあまり活発でないが、行動は敏捷。
オスは、「ジー・ジー・・・・」と小さく単調な声で鳴く。

2022/8/27
網引湿原の裏手で、ヒシバッタの写真を撮ったのですが、それに写り込んでいました。
側溝の側面に付いていて、それも小さな幼虫だったので、撮った時には気が付きませんでした。
そのため、ピントは甘いですが、何とか識別可能だったのはこの1枚のみです。
調べると、後脚や腹部の帯模様からマダラスズの幼虫と分かりました。

オンブバッタ(Atractomorpha lata)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・オンブバッタ科・オンブバッタ亜科・オンブバッタ属>



オンブバッタ科オンブバッタ属のバッタで、草地や畑などで普通に見られる。
メスの上にオスが乗っている姿をよく見かけるが、それが和名の由来になっている。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東アジアに広く分布する。
体長はオスが25mm前後、メスが42mm前後で、バッタの仲間では小型の部類に入る。
体色は緑色と褐色の2タイプがある。頭部は先が尖り、先端付近に触角と複眼が付く。
体の断面は3角形に近く、複眼から前胸部、後脚腿節に伸びる線で、背面と腹面が分かれる。
成虫の翅は前後とも先が尖り、後翅は透明で基部が黄色味を帯びる。
動きは鈍く、長い翅を持つが飛ぶことはほとんどなく、後脚で跳躍したり、歩いて移動する。

2018/10/27
ミントの葉を食べているオンブバッタのメスです。褐色型は珍しいので撮影しました。
後で、写真をよく見ると、胸部などに一部緑がかった部分が残っているようです。

コバネイナゴ(Oxya yezoensis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・イナゴ亜科・イナゴ属>

バッタ科イナゴ属のバッタで、日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布する。
体長はオスが30mm前後で、メスが40mm前後ある。
体色は明るい緑色で、頭部から尾部までの側面には暗褐色の筋が走っている。
なお、背面は肌色か緑色のものが多いが、稀に紅色の個体がいる。
翅は、腹端を越えないものが多いが、長翅型のものも見られる。
出現時期は8月〜11月で、卵で越冬する。
イネ科植物の葉を摂食するので、イネの害虫であるが、その他の雑草もよく食べる。
ただ、同時に水田から得られる重要なタンパク源とされ、多くの地域で食用とされた。
危険を感じると草にぴたりと体寄せて、裏側に回り込み身を隠す習性がある。

2021/9/24
田んぼが広がる実家近くを散歩中、畦道の草の上に止まっているコバネイナゴに気が付きました。
よく見ると、前脚で下側の葉をしっかりと抱えて、食事中だったようです。後ろ側にも食痕があります。
後で写真を確認していて、頭部に暗褐色の筋が見当たらないことに気が付きました。
別種かと思い、他に似たものは無いか探したのですが、コバネイナゴ以外似たものが見当たりません。
あたらめて、頭部をよく見ると眼の後に淡い褐色の筋があるようです。
そのため、コバネイナゴと判断しました。頭部の筋が淡いのは個体差と思われます。

 
2022/8/27
網引湿原のバイオトイレから第1獣害防止ゲートまでの間で、たくさんのイナゴに出会いました。
よく見ると、その多くが前回には見られなかったコバネイナゴでした。
その中に翅の長いイナゴも混じりますが、ハネナガイナゴか長翅型コバネイナゴかははっきりしません。


2022/10/11
網引湿原の第1獣害防止ゲートまで道路には、相変わらず多くのイナゴがいました。
歩くたびに足元からイナゴが飛び出してきます。ふと横を見ると、交尾中のカップルがいました。
翅の長さからしてコバネイナゴのカップルです。雌雄の大きさの違いが良く分かりますね。

ハネナガイナゴ(Oxya japonica japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・イナゴ亜科・イナゴ属>

バッタ科イナゴ属のバッタで、日本では、本州から四国、九州に分布する。
海外では、中国、台湾、東南アジアからインドに広く分布する。
出現時期は8月〜11月で、体長はオスで17〜34mm、メスで21〜40oである。
体の側面に濃茶色の筋が入った明るい緑色のバッタで、翅は腹端や折り曲げた後ろ足より長い。
イネ科の植物の葉を摂食するので、イネの害虫でもある。
ただ、同時に水田から得られる重要なタンパク源とされ、多くの地域で食用とされた。

2022/8/9
網引湿原第2湿原を周っているとき、足元から飛び立って止まったのがハネナガイナゴでした。
コバネイナゴと異なり、翅端が尾端より長く伸びているのが分かると思います。

 
2022/8/16
網引湿原第2湿原を周っているとき、足元から飛び立って看板にハネナガイナゴが止まりました。
前回来た時に見かけたのも、ハネナガイナゴでした。ここでコバネイナゴには会えていません。


2022/8/27
左は、網引湿原のバイオトイレから第1獣害防止ゲートまでの間で見かけた、ハネナガイナゴです。
コバネイナゴが多かったなかで見かけた、数少ないハネナガイナゴです。
右は、網引湿原第2湿原で見かけたもので、ここではコバネイナゴは見かけませんでした。




2023/10/31
県道43号線沿いのコスモス畑に立ち寄った際、足を踏み出すたびにバッタが飛び交うほど多かったです。
最も多かったのはオンブバッタで、どれほどいるのかと思うほどの多さです。
それに混ざって、イナゴも多く飛び交っていましたが、翅の末端が傷んでいるものが多かったです。
そのため、コバネイナゴかハネナガイナゴか、判断に迷うこととなりました。
結果的には、翅が傷んでなければもう少し長かったであろうと、ハネナガイナゴと判断しました。
下段は体色の変異で、緑色の濃いものから黄色味の強いものまで個体差が見られました。

イナゴの幼虫(Catantopidae)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・イナゴ亜科・イナゴ属>

バッタ科イナゴ属のバッタの幼虫で、イナゴはイナゴ科に属するバッタ類の総称。
日本では稲を食べる害虫とされ、同時に水田から得られる重要なタンパク源とされ、多くの地域で食用とされた。
バッタ科でイナゴの名が付くのは、イナゴ亜科、ツチイナゴ亜科、セグロイナゴ亜科、ヒナバッタ亜科にいる。
イナゴ亜科のハネナガイナゴかコバネイナゴの幼虫には、背中に白い筋模様がある。
この両種の幼虫は、見た目がそっくりで、外見からの判別はほぼ不可能である。

2022/8/9
網引湿原第2湿原に入って直ぐの草むらで見かけたイナゴの幼虫です。
脱皮して間がないのでしょうか、全体に白っぽい色合いです。
そのため、イナゴの幼虫の特徴である背面の白い筋模様が不明瞭です。
近くで見かけたのはハネナガイナゴでしたが、この段階ではどちらの幼虫かは判断できません。


2022/8/16
今回も、網引湿原第2湿原に入って直ぐの草むらでイナゴの幼虫に会えました。
今回は、どうした訳か2匹とも茶褐色の個体でした。
個体群密度が高いと、体色は緑色から茶褐色に変わると言われています。
この湿原では、それほどイナゴを見かけませんので、個体密度は高いとは言えません。
となると、この体色は個体群密度の低い場合に見られる、環境に応じた隠蔽色ということになります。
要するに、草むらでは緑色、地面や枯れた草などの多い所では茶褐色の保護色になるいうことですね。


2022/8/27
今回も、網引湿原第2湿原でイナゴの幼虫に会いましたが、なぜかキセルアザミに張り付いていました。
前回出会った幼虫は褐色型だったのですが、今回は緑色型の幼虫でした。

ショウリョウバッタ(Acrida cinerea)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・
バッタ科・ショウリョウバッタ亜科・ショウリョウバッタ属>

バッタ科ショウリョウバッタ属に分類されるバッタで、在来種。
ユーラシア大陸の熱帯から温帯にかけて広く分布する。
日本では、北は北海道から南は九州まで、ほぼ全国に分布する。
出現時期は8月〜11月で、オスで40〜50mm、メスで75〜80mmと倍近い差がある。
オスは飛ぶときに「キチキチキチッ」と音を立てるので、キチキチバッタの別名で呼ばれることがある。
メスの両方の後ろ足の先を持つと、体をしゃくるように上下させるので、ハタオリバッタの別名がある。
精霊舟に似ることから「ショウリョウ」の名が付いたといわれる。
しかし、雌雄の大きさの差が甚だしいことから「霄壤」の名(ショウジョウバッタ)を別名として持つ。

2021/9/16
実家近くの川沿いを散歩中、草むらからショウリョウバッタのオスがキチキチと鳴きながら飛びました。
このときは近くの葉に止まってくれたので、撮影することができました。
この個体は褐色型のオスですが、後脚が片方無いようです。
その他の色のオスやメスに関しては、こちらに掲載しています。

 
2022/8/27 <オス>
 
2022/8/27 <メス>
網引湿原のバイオトイレから第1獣害防止ゲートまでの間で、ショウリョウバッタも多く見かけました。
前回来た時もいたのですが、数が少なく、近づくと畑の中に逃げられて、撮影できていませんでした。
今回は数も多くなっていて、比較的近くに降りてくれたので、撮影できました。
前回は見かけなかったメスも、今回は数匹確認でき、その内の1匹を撮影できました。
ただ、後脚の片方がなくなっており、無傷でなかったのが残念です。

セグロイナゴ(Shirakiacris shirakii)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・
バッタ科・セグロイナゴ亜科・Shirakiacris属>

イナゴ科セグロイナゴ亜科に属する中型のバッタで、在来種。
色彩や素早い動作から、以前はバッタ科とされていた。別名がセグロバッタ。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ロシア沿海州、カシミール、バルーチスターンに分布する。
国内では、昭和の頃までは極普通の種であったが、平成に入って激減し、絶滅が心配されている。
出現時期は8月〜11月で、体長はオスで35mm前後、メスで26〜40mmである。
体色は灰褐色で、前胸背の左右に淡黄色縦筋があり、複眼に6本の縦筋がある。
翅は灰色がかった淡褐色で、濃い褐色の斑点があるが、斑点には地域や個体変異がある。
自然度が高く、適度に管理された草原で、やや低めのイネ科の群落を好む傾向がある。
幼虫、成虫とも非常に俊敏で、危険を察知すると素早く草むらに逃げ込む。
食草は、他のイナゴやバッタと同じく、イネ科の草本である。

2022/6/18
網引湿原第2湿原の獣害防止ゲート近くの草むらで、葉の上にいるバッタの幼虫を見つけました。
何の幼虫か直ぐに分かるだろうと思っていたのですが、特徴のある斑紋がないので難航しました。
唯一の手掛かりは、後腿節にある2本の淡褐色の帯斑です。
このような帯斑を持つものはいるのですが、他の斑紋があって合うものがいないのです。
そんなとき、セグロバッタ(セグロイナゴの別名)の若齢幼虫が、似ていることが分かりました。
中齢幼虫になると前胸背の左右にある淡黄色の筋が明瞭になってくるので、中齢ではないようです。
もう1点、複眼に縦筋があるのも特徴で、それが写真でも確認できるので、本種と判断しました。
なお、平成以降急減していて、近隣の京都、大阪、岡山では絶滅危惧U類になっているようです。

ツチイナゴ(Patanga japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・
バッタ科・ツチイナゴ亜科・ツチイナゴ属>

イナゴ科ツチイナゴ属のバッタで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、中国からインドまで広く分布する。
独特の模様がある茶褐色のバッタで、成虫の体長はオスが50〜55mm、メスが50〜70mmと大型。
全身が茶褐色で、細かい毛が生えており、背中には黄白色の線が頭部から尾部まで走っている。
複眼の下に淡黄色で縁取られた黒い線、胸部の側面にも黒と淡黄色の縦しまがある。
大半の幼虫は、終齢幼虫まで鮮やかな黄緑色をしているが、稀に褐色型の幼虫もいる。
成虫になると黄緑色から一転して茶褐色にかわる。これは、枯草の多い冬季に保護色となる。
日本に分布するバッタ類は、卵で越冬する種類ばかりだが、本種は成虫で越冬し、翌年の初夏に産卵する。
そのため、他のバッタ類が成虫となる夏頃には幼虫で、成虫が現れるのは10月頃からである。

2022/8/27
網引湿原の駐車場の戻ったとき、車の後に広がる草原で、ツチイナゴの幼虫を見つけました。
幼虫も成虫も、複眼の下に伸びる淡黄色で縁取られた黒条が特徴で、分かり易いバッタです。


2022/10/11
網引湿原の第1獣害防止ゲートまで道路で、イナゴに混じって大きなバッタが飛び出してきます。
その内の1匹が、柵に止まってくれたので撮影できました。
複眼の下に伸びる淡黄色で縁取られた黒条は、ツチイナゴの特徴です。
10月に入って、やっと成虫が見られるようになったようです。


2023/5/4
第3湿原の遊歩道を歩いているとき、大きなバッタが時々飛び出します。
正体が分からなかったのですが、遊歩道の真ん中に止まってくれたので、確認できました。
昨年の晩秋に成虫になって冬眠していたツチイナゴが、春になって活動を始めたようです。
以前調べたときに、この時期に見られることは知っていたのですが、実物を見たのは初めてです。


ツチイナゴの成虫

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2021/10/30
網引湿原で見かけたツチイナゴの幼虫ですが、成虫になるのは秋も深まった10月です。
上記は、神奈川県相模原市にある城山湖の畔で見かけたツチイナゴの終齢幼虫と成虫です。
成虫は茶褐色ですが、幼虫の頃は鮮やかな黄緑色が主流です。が、右のようなへそ曲がりもいます。


イボバッタ(Trilophidia japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・
バッタ科・トノサマバッタ亜科・イボバッタ属>

バッタ科イボバッタ属のバッタで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に、海外では、朝鮮半島に分布する。
出現時期は7月〜11月で、体長はオスで18〜24mm、メスで28〜35mmである。
日本国内に生息するトノサマバッタの仲間では、最少の部類に入る。
全体が灰褐色と暗褐色のまだら模様で、胸部背面にイボ状の突起が2個あり、それ和名の由来。
日当たりの良い裸地を好み、地面に居ると体の模様が保護色となって見つけにくい。

2022/8/9
網引湿原の最初のゲートを出て、駐車場に戻る途中で見かけたイボバッタです。
動かないと見つけるのは困難ですが、近づくと飛んで逃げるので直ぐに分かります。

クルマバッタモドキ(Oedaleus infernalis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・トノサマバッタ亜科・Oedaleus属>

バッタ科トノサマバッタ亜科に分類されるバッタで、在来種。
日本では、本州の東北地方南部より南の地域に見られる。
背面に一対の白い「く」の字型の模様があり、上から見ると「X」字型に見える。
出現時期は7月〜11月で、体長はオスが32〜45mm、メスが55〜65mmである。
クルマバッタに似ているがやや小型で、顎が体色と同じ(クルマバッタは青い)であり、オスの後脛節は赤い。
また、クルマバッタに比べて、後翅のクルマ状の模様は薄い。

2021/9/24
田んぼが広がる実家近くを散歩中、足元から飛び立ったバッタが、少し先に止まりました。
そっと近づくと、背面に白い"く"の字型の1対の斑紋があり、クルマバッタモドキと分かりました。
体長が3cm前後しかないので、この個体はオスのようです。

トノサマバッタ(Locusta migratoria)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・トノサマバッタ亜科・トノサマバッタ属>

バッタ科トノサマバッタ属に属するバッタで、在来種。ダイミョウバッタとも呼ばれる。
日本では、北は北海道から南は九州まで、ほぼ全国に分布する。
海外では、ユーラシア大陸のヒマラヤ山脈の北側から、ヨーロッパ全域、アフリカ北部に生息する。
体長は35〜65mmで、オスよりもメスの方が大きい。
前翅には暗褐色と白色のまだら模様があり、後翅には模様はなく、この点でクルマバッタなどと異なる。
個体によって色が異なり、主に緑色型と褐色型の2タイプに分かれる。
また、高密度の環境で育った群性相と密度の低い環境で育った孤独相という2タイプがある。
よく目にすることがあるのは、孤独相に属する個体である。
群性相の個体は、飛翔能力が高く、食草の幅が広がって、大群で移動(飛蝗)するようになる。
近年では、2011年に沖縄県下地島で発生している。
海外では、中央アジアやアフリカで発生し、農作物が全滅する被害が発生している。

2020/11/29
実家近くの川沿いを散歩中、土手近くの草むらで見かけたトノサマバッタです。
他の写真を撮ろうと草むらに足を踏み入れた途端、足元から2匹飛び立ちました。
その内の1匹が、通路に止まったので、そっと近づいて撮影したものです。
草むらに逃げ込んだ方は、探しましたが見つけられませんでした。


2023/10/31
県道43号線沿いのコスモス畑に立ち寄った際、足を踏み出すたびにバッタが飛び交うほど多かったです。
最も多かったのはオンブバッタで、どれほどいるのかと思うほどの多さです。
それに混ざって、ときどき、大型のバッタが飛び出してきます。
その中で最も大きかったのがトノサマバッタで、数は少ないのですが大きいので目立ちます。
ここでは緑色型と褐色型が見られましたが、緑色型の方が数は多かったと思います。

マダラバッタ(Aiolopus thalassinus tamulus)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・
バッタ科・トノサマバッタ亜科・Aiolopini族・Aiolopus属>

バッタ科トノサマバッタ亜科に属するバッタで、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州、沖縄と、ほぼ全国に分布する。
出現時期は8月〜11月で、全長はオスで27〜31mm、メスで34〜35mmである。
緑色型と褐色型のあり、稀にピンク色の個体も見られる。
後脛節が赤、青、黒の斑模様で、これが和名の由来。翅にも特徴的な斑模様がある。
主に乾燥した草がまばらな草原に生息しているが、動作は俊敏で、敏感なため捕獲は困難。
求愛時、オスはメスの側で発音することが知られている。

2021/9/7
実家近くの川沿いを散歩中、土手を歩いていると次々とバッタなどが飛び出してきます。
飛び出して、草に止まったり、下に潜り込んだりして逃げて行きます。
その中の1つがこのマダラバッタで、草に止まってくれました。
このとき見かけたのはこの1匹のみで、他はホシササキリとショウリョウバッタのオスだけでした。
最初、前翅の白い筋模様からツマグロバッタかと思ったのですが、胸部〜頭部の模様が異なります。
他に白い筋模様を持つものを探していて、マダラバッタの褐色型にたどり着きました。
胸部〜頭部の模様も一致しますので、褐色型のマダラバッタで間違いはないでしょう。


2022/6/28
実家近くのゴルフ練習場に行った帰り道、小川の側を歩いていると、バッタが飛び出しました。
近くの葉に止まったので見てみると、見たことがあるような無いような斑紋です。
後で調べていて、マダラバッタの褐色型と分かりました。


2032/5/26
マツヨイグサの写真を撮るために加古川の土手に行ったとき、見かけたバッタです。
背面に白い"く"の字型の1対の斑紋があり、クルマバッタモドキの幼虫だと思って撮りました。
帰ってから調べてみると、クルマバッタモドキの幼虫、特に若齢幼虫では"く"の字の斑紋は不明瞭です。
あれれっと、調べ直した結果、どうやらマダラバッタの終齢に近い幼虫らしい事が分かりました。


2023/10/31
県道43号線沿いのコスモス畑に立ち寄った際、足を踏み出すたびにバッタが飛び交うほど多かったです。
最も多かったのはオンブバッタで、どれほどいるのかと思うほどの多さです。
それに混ざって、ときどき、大型のバッタが飛び出してきます。
その中に少数派ですが、マダラバッタが混ざっていました。
右の写真は、最初、マダラバッタが目に付いてカメラを向けたものです。
ファインダーを覗いたとき、その前に緑色型のオンブバッタがいる事に気が付きました。
体長は、オンブバッタのメスと大差ない大きさで、意外と小さいのだと改めて感じたしだいです。

ヤマトフキバッタ(Parapodisma setouchiensis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・フキバッタ亜科・ミヤマフキバッタ属>

バッタ科ミヤマフキバッタ属のバッタで、在来種。
日本では、本州の青森県南部から四国、九州、屋久島、種子島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
低地から丘陵地、山地まで広く生息し、一部では森林限界まで見られる。
この属の中では、ミカドフキバッタと並んで広い範囲に分布する。
別名は、セトウチフキバッタ、トガリバネフキバッタ。
体長は、オスが22〜28mm、メスが27〜38mmで、出現時期は7月〜9月。
複眼から伸びる黒条は、オスでは頭部のみのものから前胸背板後端まで伸びるものまで変異がある。
しかし、メスでは頭部を超えると消えるか前胸背に僅かに伸びる程度である。
タンザワフキバッタに酷似しているが、翅はヤマトワフキバッタの方が大きく、翅が重なる。
昼行性で日中に活動するが、動作は緩慢であり、翅が退化しているので飛ぶこともない。
主にキク科のフキ、ツワブキ、ヤブレガサなどを食べるが、他の多くの草本も食べる。
夏から秋にかけて土中や朽木に産卵し、卵で越冬して、翌春に孵化する。

2023/5/4
網引湿原の第1獣害防止ゲートの手前や入って直ぐの辺りで見かけた、ヤマトフキバッタの幼虫です。
柔らかくておいしいのでしょうか、ヤマツツジの花や若葉を食べているようです。
幼虫の特徴からフキバッタの幼虫らしいことは直ぐに分かったのですが、種類の特定に難渋しました。
幼虫は似ていて、ミカドフキバッタ、ヤマトフキバッタ、ハネナガフキバッタなどが似ています。
1齢幼虫の写真を見比べて、最も似ていると思ったのがヤマトフキバッタでした。
ただ、確信が持てるほどの根拠はないので、間違っている可能性はあります。

ハネナガヒシバッタ(Euparatettix insularis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・ヒシバッタ上科・ヒシバッタ科・ヒシバッタ亜科>

ヒシバッタ科ヒシバッタ亜科のバッタで、在来種。
日本では本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
出現時期は3月〜11月で、水田や畑、沼の周囲にある湿った草地などの地表で見られる。
体長10〜20oほどで、長い翅を持ち、背中が暗褐色。複眼が飛び出して見える。
見た目はトゲヒシバッタに似ているが、胸にトゲが無く、トゲヒシバッタのように背中が白っぽくない。
いろいろな植物の葉を食べ、成虫で越冬する。

2024/3/16
網引湿原第1獣害防止ゲートを出て駐車場の方に戻る途中、水の上でもがくヒシバッタがいました。
近づいて良く見ると、翅が後脚よりも長く突き出ているハネナガヒシバッタでした。
本種は成虫で越冬することができるので、おそらくこの個体も成虫越冬組と思われます。

ハラヒシバッタ(Tetrix japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・ヒシバッタ上科・ヒシバッタ科・ヒシバッタ亜科>

ヒシバッタ科のバッタで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア極東地域に分布する。
体長はオスで8〜10mm、メスで9〜13mmほどしかなく、翅も短いのでほとんど飛ばない。
その代わり、後脚が強く、ジャンプ力がある。
乾いた草地に棲む、最も普通に見られるヒシバッタで、背部の斑紋の変異は大きい。

2022/6/18
網引湿原第2湿原の獣害防止ゲート近くの草むらで見つけたバッタの幼虫、その直ぐ近くに居ました。
小さいうえに、意外と敏感で、近づくと直ぐにピョンと飛んでしまうので、撮りにくいバッタです。
このときは、葉の上でじっとしてくれていたので、何とか撮ることができました。
背部の斑紋には変異があり、この斑紋は黒紋型と呼ばれるものの1パターンです。
なお、メスは大半が黒紋型だそうですが、オスでは無紋型と混在し、高緯度ほど黒斑型が多いそう。


2022/8/27
網引湿原のバイオトイレの横にある側溝、そこにタカサブロウが咲いていたので撮っていました。
その時、近くで何かが跳ねたので注意深く見ると、ハラヒシバッタでした。
さらにその横の方で、もそもそ動いているハラヒシバッタがいました。
写真を後で確認していて気が付いたのですが、後脚が両方ありません。跳べなかったんですね。
腹部がはみ出すほど大きくて黒紋型なので、おそらく、この個体はメスだと思います。


2023/5/4
網引湿原の第1獣害防止ゲートへ続く農道で、ハラヒシバッタが足元から飛んで逃げて行きます。
成虫で越冬するツチイナゴは別として、本種は幼虫で越冬するので、発生が早いようです。
※ 国内のバッタ類の多くは卵で越冬するため、夏ごろに成虫になるものが多い。

アメンボ(Aquarius paludum paludum)
<カメムシ目・カメムシ亜目・アメンボ下目・アメンボ上科・アメンボ科・アメンボ亜科・アメンボ属>

アメンボ科アメンボ属の水生昆虫で、日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布する。
日本以外では、朝鮮半島から中国東北部、東部シベリア、台湾に分布する。
アメンボ科は熱帯から亜熱帯にかけて広く分布し、日本には淡水系20種、海水系6種が分布する。
アメンボもカメムシの仲間のため、カメムシ同様、体から匂いを出す。
その匂いが飴に似ているので、飴のような匂いを出す棒状の虫「飴ん棒」が名前の由来とか。
体長はオスで11〜14o、メスは一回り大きくて13〜16o程になる。
脚の尖端が水をはじくようになっていて、それで水面上に浮く。
水面の移動は、前脚と後脚で体を支え、中脚を前後に動かすことで行う。
飛翔する事も出来るが、飛翔するのは稀で、一生のほとんどを水面上ですごす。
特に池のように安定した環境では、翅が退化した幼生のような成虫が出現する事もある。
アメンボは自ら獲物を襲うことはせず、水面に落ちた虫を素早く捕獲して体液を吸う。
そのため、落ちてくるものを見つける良い眼と、脚に水面の波動を感じ取る特殊な毛を持っている。
出現時期は、4月〜10月と長い。

2022/5/30
実家近くの川沿いを散歩中、水面を移動していくアメンボを見つけました。
けっこう流れのある川なのですが、かなりのスピードで上流に上って行きます。
このような川にもいるのだと、写真を撮ろうとしてもピントを合わせる前に移動してしまいます。
ということで、川沿いに100m以上追いかけながら撮影しましたが、大半がピンボケでした。
なんとか撮れたのは1ショットのみでしたが、新しい発見もありました。
アメンボは、水面を滑るように移動するものと思っていましたが、それだけではなかったようです。
流れに逆らって、かなりのスピードで上って行くとき、なんとなく動きが違うなと感じていました。
その違和感は、右の写真を見て分かりました。ピョンピョンと小刻みにジャンプしていたんです。
中脚を動かしての移動では、流れに逆らえず、流されてしまうのでしょう。
波紋の中心距離から見て、体長の5〜6倍ほどジャンプしているようです。
1mほど移動しては小休止する動きを繰り返していました。



2023/8/5
網引湿原の第1獣害防止ゲート手前の小川や、第2湿原で多くのアメンボが動き回っていました。
ここは近距離で撮影できるのですが、よく見ると翅がない幼虫でした。見たのは初めてかもしれません。
後で写真を見ると水面に落ちてもがく毛虫がいて、それに反応して向かっているところだったようです。
下段がその写真で、赤矢印の先が水面に落ちてもがいている毛虫です。

ヒメアメンボ(Gerris latiabdominis)
<カメムシ目・カメムシ亜科・アメンボ下目・アメンボ上科・アメンボ科・アメンボ亜科・ヒメアメンボ属>

アメンボ科ヒメアメンボ属の水生昆虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、中之島以北の南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、極東ロシア、台湾に分布する。
アメンボ科は熱帯から亜熱帯にかけて広く分布し、日本には淡水系20種、海水系6種が分布する。
アメンボ類もカメムシの仲間のため、カメムシ同様、体から匂い(種によって異なる)を出す。
その匂いが飴に似ているので、飴のような匂いを出す棒状の虫「飴ん棒」が名前の由来とか。
出現時期は、3月〜10月で、体長は9〜12oとアメンボ(ナミアメンボ)より一回り小さい。
前胸背後方の両側や前翅に銀灰色の微毛が生えている。
また、触角の第1節は短めで、第2節から第3節の長さより短い。
脚の尖端が水をはじくようになっていて、それで水面上に浮く。
水面の移動は、前脚と後脚で体を支え、中脚を前後に動かすことで行う。
飛翔する事も出来るが、飛翔するのは稀で、一生のほとんどを水面上で過ごす。
なお、稀に微翅型が出現することがある。
成虫は、夏頃に休眠に入り越冬するが、休眠しないと繁殖できない。
水面に落ちた昆虫や、魚などの死体といった動物質の物なら何でも食べる。
なお、食べるといっても、突き刺した口器から消化液を注ぎ込み、溶けた液状の隊組織を吸汁する。

2022/4/30
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園で、池の畔にある小さな池に居ました。
よく見るアメンボより一回り小さい気がしたので、写真を撮って後で調べました。
その結果、前翅に銀灰色の微毛が見られ、小さめである点で、ヒメアメンボと分かりました。


2023/5/11
実家近くを散歩中、近くの水田で水面を泳いでいるアメンボを見かけました。
少し小さいなと思って、後で写真を調べるとヒメアメンボでした。

アオクサカメムシ(Nezarz antennata)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科・アオカメ属>

カメムシ科アオカメ属のカメムシで、国内では北海道から本州、四国、九州、沖縄に分布する。
体長は12〜16mmの全身が緑色のカメムシで、出現時期は4月〜11月である。
体色には下記のような変異があり、黄色の斑の出方によって、4型に分けられている。
・全体が緑色の「基本型」…最も多い
・頭と前胸背前半部が黄色い「黄帯型」
・全体黄色の「無紋型」
・黄色い体に9個の緑色紋がある「緑紋型」
成虫で越冬し、翌年の4月頃から活動を開始し、産卵する。
マメ科、イネ科、キク科など、広範囲の植物を吸汁し、野菜や果樹の害虫としても知られる。

また、よく似た緑色のカメムシとは下記の点で区別できる。
・ミナミアオカメムシ…少し細身で、触角に3ヶ所の褐色部がある
 アオクサカメムシの触角の3ヶ所は、褐色ではなく、黒色である
 前胸背側角は、ミナミアオはほとんど出っ張らないが、アオクサは明瞭に出っ張る
 腹部背面は、ミナミアオは緑色であるが、アオクサは基部2〜4節が黒色(稀に緑色もある)
 なお、アオクサ同様、ミナミアオも小楯板上端に3個の白斑があり、両端に黒斑がある
・ツヤアオカメムシ…ミナミアオやアオクサに比較して、緑色の体色に明瞭に艶がある
 ツヤアオの触角には黒色部があるが、その数は2ヶ所で、3ヶ所あるアオクサとは異なる
 ツヤアオの小楯板上端には、ミナミアオやアオクサに見られる白斑はない
 ツヤアオの小楯板下端には、ミナミアオやアオクサに見られない2個の黒斑がある

2021/9/24
田んぼが広がる実家近くを散歩中、道路脇で見かけたヤブツルアズキの豆果にカメムシが付いていました。
緑色のカメムシには似たものがいるので、後で確認してアオクサカメムシと分かりました。
ミナミアオカメムシかどうか迷ったのですが、体形と触角の暗色部が黒色である点で、本種としました。

ツヤアオカメムシ(Glaucias subpunctatus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科・ツヤアオカメムシ属>

カメムシ科ツヤアオカメムシ属に属する南方系のカメムシで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に生息していている。
なお、南方系のカメムシであるが、温暖化等の影響で関東地方でもよく見られるようになった。
出現時期は4月〜11月で、体長は14〜17mm、全体に緑色の光沢がある。
幼虫はスギ、ヒノキの球果(種子)を食べるが、成虫はスギや種々の果実を吸汁する。
そのため、ミカン、カキ、モモなどの果実を吸汁する吸汁加害害虫として農家には嫌われる。
緑色のアオクサカメムシやミナミアオカメムシに似ているが、以下の点で区別できる。
・同じ緑色でも、本種は艶があるが、他2種は艶がない。ミナミアオカメムシは体形が縦長
・触角の第3、4節のみに黒色部があるのが本種で、他2種は第5節にも黒色部がある
・結合板は、本種とミナミは外縁後端部のみ黒いが、アオクサは各節中央部にも黒点がある
・小楯板上端に白斑がないのが本種で、他2種には白斑が3個ある
・腹部背面は、ミナミは全体に緑色であるが、アオクサは第2〜4節は黒褐色でたは緑色、
 本種は緑色であるが、第1〜3節の基部は紅色〜褐色を帯びる

2022/5/7
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園の花壇で、ラベンダーの花に付いていました。
緑色のカメムシで全体に強い光沢があり、小楯板上端に白斑がないので、本種と判断しました。

ウシカメムシ(Alcimocoris japonensis)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・
カメムシ亜科・ウシカメムシ族・ウシカメムシ属>

カメムシ科カメムシ亜科の昆虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
体長は8〜9mmで、出現時期は4月〜11がつである。
胸部左右の大きな突起とベージュ地に黒褐色の細かな模様が特徴的なカメムシ。
このような模様を持つカメムシは、他には居らず、比較的珍しい種類である。
言うまでもありませんが、大きな突起が牛の角を連想させることが、本種の名前の由来となっている。
食草は、アセビ、シキミ、サクラ、ヒノキなどで、特にアセビが好物のようである。

2021/4/1
実家のモミジの木に付いていました。ちょこまかと動きが早くてうまく撮れませんでした。
ひどいピンボケですが、何とか種類までは判別できました。


ウシカメムシ

   .
2014/3/25
多摩川の河川敷で見かけたウシカメムシです。
上記の写真では不鮮明であった模様などが良く分かると思います。


キマダラカメムシ(Erthesina fullo)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・
カメムシ科・カメムシ亜科・キマダラカメムシ族・キマダラカメムシ属>

カメムシ科カメムシ亜科の1種で、台湾〜東南アジアが原産地の外来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布するが、近年、分布が拡大している。
出現時期は4月〜11月と長く、体長は20〜23oと国内のカメムシ亜科最大種である。
頭部は面長で、複眼より前方に吻が長く突き出す。前胸側縁は尖り、触角は黒褐色で、第1節び基部が白い。
体色は黒褐色で艶はなく、前胸背板から前翅に淡黄色の斑点が密生するが、前翅の一部には斑点がない。
また、淡黄色の線条が頭部から前胸背板の正中線上を走り、頭部側面も淡黄色の線条が縁どる。
覆面は、黄褐色が地色で、黒い斑点が周辺部にあり、各節を前縁に黒い帯状紋がある。
若齢幼虫は淡褐色に黒と朱の横縞模様が背面を覆い、終齢幼虫は暗い灰色に朱色の星が規則的に並ぶ。
サクラ、カキ、フジ、ニセアカシア、クワ、ウメ、エノキから吸汁する。
なお、カキに関しては、その果実からも盛んに吸汁する。

2018/5/30
実家の庭にあるヒラドツツジの葉に産卵していたカメムシの卵が、ちょうど孵化したばかりのようでした。
抜け出した卵の殻の周りを取り囲むように幼虫が並んでいました。
カメムシの種類までは分からなかったので、後で調べてキマダラカメムシの幼虫と分かりました。
最近、果樹への吸汁被害が増えて、問題になりつつあるカメムシです。実家の柿も被害を受けています。
ちなみに、自宅のある相模原市で確認されたのは2016年と、つい最近のようです。


2019/7/6
庭の手入れをしていると、突然、ブーンと大きな音がして何かが飛んできました。
耳の近くを飛んで行ったので、かなり大きな音で、思わず身を引いてしまいました。
近くのツツジの葉に止まったので、見てみるとキマダラカメムシでした。

クサギカメムシ(Halyomorpha halys)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・
カメムシ科・カメムシ亜科・クサギカメムシ属>

カメムシ科クサギカメムシ属のカメムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾など、東アジアに広く分布している。
体長は13〜18mmで、前翅の膜質部を除いてまだら模様のある褐色で、腹部は橙色である。
頭部は突き出して幅はほぼ同じで、複眼がこぶのように左右に突き出す。
触角は体色と同色で、関節の部分が白くなっている。
前胸の両肩はあまり強く突き出さず、前縁に四つの小さな淡褐色の斑紋が並ぶ。
腹部は中程がやや幅広で、前翅の両側から少しはみ出す。前翅の膜質部は腹部の後端を超える。
1齢幼虫は孵化直後は黄色で、時間の経過とともに赤く変わり、摂食せずにその場に集団で留まる。
6日程で脱皮して2齢幼虫になると、脱皮直後は赤い体色であるが、その後黒褐色に変わる。
その後、数日でバラバラと分散する。5齢幼虫になると、成虫に近い色合いになる。
植食性のカメムシで、非常に多くの種類の植物の茎や葉から吸汁する。
幼虫は果実には付かないが、成虫は果樹や豆類の吸汁もするため、農業害虫として古くから知られる。
成虫で越冬し、人家に入り込んで冬を越すことがあり、悪臭を出すので衛生害虫としても知られる。
越冬個体は、秋の訪れとともに死に、新世代に代変わりする。
なお、本種が刺激を受けたときに出す悪臭は強烈で、最も臭気の強い種の1つとされる。

2018/5/30
網引湿原のバイオトイレから第1獣害防止ゲートまでの間で見かけました。
孵化した卵の殻の周りに寄り集まっているので、孵化後間もないカメムシの1齢幼虫です。
成虫とは似ても似つかない幼虫も多いので、何の幼虫なのかは分かりませんでした。
後で調べていると、似たものはあったのですが、ピタリとは合いません。
さらに調べていて、クサギカメムシの1齢幼虫(2齢になるとガラリと変わります)と分かりました。
まだ、この写真の幼虫は黄色味が強いので、孵化してからそう時間が経っていないものと思われます。


クサギカメムシの成虫

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クサギカメムシの成虫です。1齢幼虫とは似ても似つかない色合いをしています。


ナガメ(Eurydema rugosa)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科・ナガメ属>

カメムシ科カメムシ亜科のカメムシで、在来種。
和名の「菜亀(ながめ)」は、菜の花に付くカメムシの意味で、アブラナ科の花に集まることに由来する。
日本では、北海道から本州、四国、九州までほぼ全国に分布し、海外では中国に分布する。
出現時期は4月〜10月で年2化、体長7〜9mm、黒色の地に橙色〜赤色の模様がある。
成虫で越冬し、越冬成虫が4月下旬から5月上旬に卵を産み、6月下旬〜7月上旬に新成虫となる。
幼虫から成虫まで、アブラナ科の植物を食草としているベジタリアンである。

2022/5/3
ゴルフ場近くを流れる小川の側で、セイヨウカラシナの葉に付いていました。
珍しいカメムシではありませんが、見かけたのはずいぶんと久しぶりです。
黒の地色にオレンジ色の斑紋が鮮やかなカメムシで、かなり目立つ配色です。

ブチヒゲカメムシ(Dolycoris baccarum)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・
カメムシ科・カメムシ亜科・Carpocorini族・ブチヒゲカメムシ属>

カメムシ科カメムシ亜科のカメムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国を含むユーラシア大陸のヒマラヤ山脈以北に広く分布する。
赤褐色の翅に白っぽい逆三角形の小楯板、腹部の白黒の模様が印象的なカメムシです。
この白黒のブチ模様は、触角にもあり、それが本種の名前の由来となっている。
本種は、寒冷地では年1回、暖地では年3回発生し、成虫で越冬する。
成虫も幼虫もマメ科、キク科、ダイコン、ゴマ、ニンジン、ゴボウ、イネなどの汁を吸汁する。
吸汁された種子は、変色した成長不良の実となるため、イネが被害に合うと斑点米となる。
この斑点米が少しでも交じると、商品価値が下がってしまうため、農家の方にとっては要注意害虫である。

2018/5/30
実家近くの川岸を散歩中、スペアミントの葉に止まっているブチヒゲカメムシを見つけました。
よく見かけるカメムシなのですが、この散歩コースで見たのは初めてです。
触角や腹部の白黒模様が特徴で、触角の模様が和名の由来となっています。


2022/7/23
実家近くのゴルフ練習場に行った帰り道、小川沿いに咲くノラニンジンで見かけました。
非常に多くのアカスジカメムシがいるのですが、そこに1匹だけ混じっていました。

アカスジカメムシ(Graphosoma rubrolineatum)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・
カメムシ科・クロカメムシ亜科・アカスジカメムシ属>

カメムシ科クロカメムシ亜科のカメムシで、在来種。
日本では、北海道からから本州、四国、九州、南西諸島とほぼ全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
出現時期は6月〜8月で、体長は9〜12mmである。
黒地に赤い縦条があり、赤い縦条は濃淡と幅に個体差が見られる。
小楯板が非常に大きく、ほぼ腹部背面を覆っていて、前翅、後翅とも端が少し見える程度である。
腹面は赤と黒の斑模様をしている。
なお、この赤と黒のはっきりとした模様は警戒色になっていて、捕食を免れやすくなっている。
成虫も幼虫もセリ科の植物の花の蜜や種子の汁を食べる。

2022/6/28
実家近くのゴルフ練習場に行った帰り道、小川沿いにノラニンジンがたくさん咲いていました。
その花序に点々と付いていたのが、アカスジカメムシでした。
神奈川の多摩川沿いでは時々見かけたカメムシですが、こちらで見たのは久しぶりになります。
子供のとき、実家でニンジンやパセリを植えていた頃、それらで良く見かけた記憶はあります。


2022/7/23           2022/7/23           2022/6/28
実家近くのゴルフ練習場に行った帰り道、小川沿いに咲くノラニンジンで見かけた幼虫です。
多くの成虫に混じって、いろいろな世代の幼虫が果実について吸汁していました。
Webを見ると、若い幼虫でも赤味をおびているようですが、ここではほぼモノトーンです。
中央の5齢幼虫ではオレンジ色を帯びていますが、もっと成虫に近い色味のものもいるようです。
右端は、以前に撮影した成虫の拡大写真ですが、腹部を除くと模様は似ています。
中央の小楯板と左右の翅芽の長さがほぼ同じで、この時点でも小楯板の大きさが目立ちます。
この後脱皮して成虫になると、翅は巨大化した小楯板の下にほぼ隠れてしまいます。

マルカメムシ(Megacopta punctatissima)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・マルカメムシ科・マルカメムシ属>

マルカメムシ科マルカメムシ属のカメムシで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、対馬、屋久島、トカラ列島などに分布する。
海外では、朝鮮半島に分布し、2009年頃に北アメリカに侵入したことが分かっている。
体長は5mm前後で、体型は丸形に近く、また小循板が大きく広がって腹部背面を広く覆う。
前翅も後翅もほぼその小循板の下に折り畳んで収納される。
背面は暗黄褐色で光沢があって、黒い点刻が密に分布する。
頭部は小さく、暗黄褐色で中央に溝と黒い2本の筋がある。触角は黄褐色で、5節からなる。
小楯板の表面には点刻はあるが、特に模様はない。ただ、基部中央には横溝で区分された部分がある。
幼虫は成虫とは異なり、明るい緑色で毛深く扁平で、腹部の縁が波状になり、直立した毛で覆われる。
幼虫、成虫共にクズ、フジ、ハギなどのマメ科植物を吸汁する。
なお、大豆や小豆といったマメ科の作物も食害することがある。

2021/5/23
ナガバギシギシにクズが絡まっていたのですが、蔓をずらそうと手を伸ばしました。
と、クズの葉を動かすと、そこにマルカメムシが固まって付いていました。
マメ科植物を吸汁するので居ても不思議はないのですが、思わず手を引っ込めてしまいました。

ヒメナガカメムシ(Nysius plebeius)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ナガカメムシ上科・
ナガカメムシ科・ヒメナガカメムシ亜科>

2021/9/7                  2021/10/2
ナガカメムシ科ヒメナガカメムシ亜科に属するカメムシで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、小笠原諸島、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島、ミクロネシア、ミッドウェーに分布する。
出現時期は4月〜10月で、体長は4mm前後。
体色は灰黄色で、前翅の皮質部の後縁は淡色と暗褐色の縞模様。
イネ科の穂やキク科の花によく集まる小さなカメムシで、翅が透明なためアブのようにも見える。

2021/9/7 実家近くの川沿いを散歩中、ヒメマツバボタンの様子を見に行った際に見かけました。
といっても、体長が4mmほどしかない小さなカメムシで、色も地味なので最初は気が付きませんでした。
どこかで見た気がするのですが、名前を思い出せなかったので、後で調べて本種と分かりました。
どこで見たのかと調べると、多摩川の近くで見ていたことが分かりました。
なお、本種と判断したのは、翅が透明な事と前翅の皮質部後縁が濃淡の縞模様になっている点からです。
2021/10/2 実家近くの川沿いを散歩中、道端で咲いていたスベリヒユの撮影をしました。
その写真を確認していて、小さなカメムシの幼虫が写っていることに気が付きました。
腹部の地味な淡褐色と暗褐色のまだらな縞模様や胸部背面の縦縞から、本種の幼虫としました。


2022/4/21
実家近くの空き地で、アレチノギクの撮影をしていて、本種に気が付きました。
翅が透明な小さなカメムシで、前翅皮質部の後縁の縞模様の特徴から本種と分かりました。

スカシヒメヘリカメムシ(Liorhyssus hyalinus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヒメヘリカメムシ科>

ヒメヘリカメムシ科のカメムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布している。
海外では、全世界の熱帯〜暖温帯に広く分布する。
体長は、6〜7mmで、体色は黄褐色、赤褐色、灰褐色など変異が大きい。
発生は年1回で、新成虫は9月頃に羽化するが、成虫で越冬するため、活動は4月〜11月。
草上性で、開けた草原や水田、畑地、公園などに多く、昼行性。活動はあまり活発ではない。
食草は、イネ科の草本(イネ、アワ、キビなど)で、茎、葉、若い果実から吸汁する。

※ ヘリカメムシ類は従来ヘリカメムシ科1科でしたが、最近、頭部などの特徴から3科に分けられました。
ヘリカメムシ科(ホオズキヘリカメムシ、ホソハリカメムシなど)
クモヘリカメムシ科(クモヘリカメムシなど)
ヒメヘリカメムシ科(アカヒメヘリカメムシ、ブチヒメヘリカメムシなど)

2019/6/26
実家近くを散歩中、道路脇に生えていたスペアミントの葉の上に居ました。
ヒメヘリカメムシの仲間にはよく似たものがいるので、同定に手間取ってしまいました。
たぶん、間違ってはいないと思っていますが、あまり自信はありません。

ブチヒメヘリカメムシ(Stictoplerus punctatonervosus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヒメヘリカメムシ科>

ヒメヘリカメムシ科のカメムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島、中国〜ヨーロッパにかけて広く分布している。
体長は6〜8mmで、体色は淡褐色で、腹部後方に淡黄褐色の斑紋がある。
小楯板の角はやや細く尖り、淡黄褐色で縁取られる。上翅は半透明である。
広食性でイネ科、タデ科、キク科など、さまざまな植物に付き、幼虫、成虫とも吸汁する。

※ ブチヒゲヘリカメムシの名前で掲載されている場合がありますが、ブチヒメヘリカメムシの誤記とのこと。
ブチヒゲカメムシとブチヒメヘリカメムシが混同された結果でしょうか。
ブチヒゲカメムシの様に触角がマダラにはなっていないので、ブチヒゲは合わないと思います。

2019/7/4
実家で咲いていたフランスギクの上に居たヒメヘリカメムシです。
小さなカメムシですが、他の2種と比較すると少し大きめで、腹部の色や模様から本種としました。

※ 触角が赤褐色に見えていますが、バックの白い花弁の影響であって、本来の色は淡褐色です。

上記にも記しましたが、後で調べていて、ブチヒメ〜とブチヒゲ〜の名前が出てきて混乱しました。
ブチヒメヘリカメムシとブチヒゲカメムシが混同され、ヒメがヒゲに誤記されたのでしょうか。
ブチヒゲカメムシの触角はブチ模様ですが、本種はブチ模様ではないので、ヒゲの誤記説は正しいように思います。

コブチヒメヘリカメムシ(Stictopleurus minutus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヒメヘリカメムシ科>

ヒメヘリカメムシ科のカメムシで、在来種。
近年、ブチヒメヘリカメムシと分けられ、別種として独立した。
ブチヒメヘリカメムシより体色は明るい色で、緑がかっている。
後胸側板に前後の境界がなく、強く点刻される。全身の毛、特に頭部の毛がまばらである。
イネ科、キク科、タデ科などの植物を、幅広く吸汁する。成虫で越冬する。

2017/6/30
以前、ブチヒメヘリカメムシとしていたのですが、本種に改めました。
理由は、今回調べ直していて、近年、ブチヒメヘリカメムシと分けられ、別種として独立した。
そして、本種は、体色は明るい色で、緑がかっているとされていた点です。
写真の通り、腹部がかなり緑色がかっており、この特徴に合うと判断したものです。


スカシヒメヘリカメムシ、ブチヒメヘリカメムシ、コブチヒメヘリカメムシ

   .
<スカシヒメヘリカメムシ>    <ブチヒメヘリカメムシ>    <コブチヒメヘリカメムシ>
上翅が透明な所は共通ですが、体色や淡黄褐色の模様、腹部の模様や色が微妙に異なります。
スカシヒメヘリカメムシは他の2種より一回り小さく、頭部や胸部の斑紋が異なります。
ブチヒメヘリカメムシとコブチヒメヘリカメムシは、近年分離されただけに、よく似ています。
ただ、全体に緑色がかっており、特に腹部の色が顕著に異なります。


アズキヘリカメムシ(Homoeocerus marginiventris)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヘリカメムシ科・
ヘリカメムシ亜科・ハラビロヘリカメムシ族・ハラビロヘリカメムシ属・ハラビロヘリカメムシ亜属>
 
ヘリカメムシ科ハラビロヘリカメムシ亜属に属するカメムシで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布するが、南西諸島以外では近年減少傾向にある。
海外では、台湾、朝鮮半島から中国に分布する。
体長は13〜16mmで、出現時期は4月〜10月である。
細長い体型で、体の両側縁がほぼ平行となる点が、同亜属3種と異なる。
胸部から小楯板にかけて白い縦筋があり、腹部周囲の結合板各節に黒紋がある。
アズキの原種とされるヤブツルアズキに寄生するが、ダイズやアズキを食害することもある。

2022/6/7
高御座山の階段を下りているとき、何かがブーンと音を立てて飛んできて、近くに止まりました。
見ると、少し大きめの褐色のカメムシで、めだった模様はありません。
体形からヘリカメムシ科の仲間ではと調べ始めたのですが、なかなか一致するものが見つかりません。
諦めかけた時、ハラビロヘリカメムシ亜属の1つであるアズキヘリカメムシが見つかりました。
他の同属と異なり腹部は広がらず、平行に近いスリムな体形なのが特徴です。
その腹部ですが、結合板各節に黒紋があり、これが決め手となりました。

ハリカメムシ(Cletus rusticus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヘリカメムシ科・ヘリカメムシ亜科>

ヘリカメムシ科ヘリカメムシ亜科のカメムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで、ほぼ全国に分布する。
発生時期は4月〜11月で、体長は10〜12mmである。
体色は褐色で、腹部には白い縁取りがある。イネ科やタデ科の植物を吸汁する。
ホソハリカメムシやヒメハリカメムシとよく似ているが、下記の点で区別する。
・ヒメハリカメムシは8mm以下と小型で、触角第1節が頭幅とほぼ同じである
・ホソハリカメムシはやや小さくて細長く、肩の棘がより水平方向を向いている
・ハリカメムシの触角第1節の外側には細い黒条があるが、ホソハリカメムシにはない

2022/6/18
バイオトイレの側で群生していたエゾノギシギシ、そこにはハリカメムシもいました。
よく似たホソハリカメムシとの違いは、触角第1節外側にある黒条の有無です。
左側の写真を強拡大すると、それらしき黒い線があるようなので本種としました。
ただ、解像度不足で、明瞭に黒条が見えている訳ではないので、間違っている可能性はあります。

ホソハリカメムシ(Cletus punctiger)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヘリカメムシ科・ヘリカメムシ亜科>

日本では、本州から四国、九州、対馬、南西諸島に分布する。
出現時期は7月〜9月で、体長は9〜11mm。体色は地味な茶色で、腹部には白い縁取りがある。
ハリカメムシとよく似ているが、本種の方が幅が狭く、細長い体形をしている。
また、ハリカメムシより胸部両端の角の横幅がなく、張り出しが小さいので、鋭く尖って見える。
また、ハリカメムシの触角第1節下面にある黒条が、本種にはない。
イネ科やタデ科の植物を吸汁し、イネの害虫(斑点米発生の要因となる)である。
ハリカメムシやヒメハリカメムシとよく似ているが、下記の点で区別する。
・ヒメハリカメムシは8mm以下と小型で、触角第1節が頭幅とほぼ同じである
・ホソハリカメムシはやや小さくて細長く、肩の棘がより水平方向を向いている
・ハリカメムシの触角第1節の外側には細い黒条があるが、ホソハリカメムシにはない

2021/9/6
実家近くの川沿いを散歩中、土手の草むらでカメムシを見かけました。
地味な色合いですが、腹部から胸部の角にかけての白というか淡いベージュの縁取りが目を引きました。
後で調べていて、ハリカメムシかホソハリカメムシのどちらかと分かりました。
この両種はよく似ていて、名前の通りホソハリの方が細長いのですが、この写真の角度では判別できません。
後は、前胸の角の形状で判断するしかないのですが、細く尖って見えるので本種としました。


ハリカメムシとホソハリカメムシ

   .
 <ハリカメムシ>            <ホソハリカメムシ>
どちらも多摩川の河川敷で見かけたものですが、ホソハリカメムシの方が幾分細長いです。
といっても、ハリカメムシの上方からの写真がないので、分かりにくいですね。
前胸の角の形状に関しても分かりにくいですが、ハリカメムシの方が横幅があります。
ホソハリカメムシの角は、横幅がないので、その分、尖って見えると思います。


ミナミトゲヘリカメムシ(Paradasynus spinosus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヘリカメムシ科・ヘリカメムシ亜科>

ヘリカメムシ科のカメムシで、在来種。
元来は南方系のカメムシで、南西諸島に分布していたようである。
1973年頃に鹿児島に上陸、その後、九州、四国、本州と北上し、現在は関東にも生息している。
海外では、台湾や中国にも分布している。
体長は16〜23mmと比較的大きく、体色は緑がかった褐色で、体周辺部と脚は緑色である。
活動期間は、4月〜12月初旬で、成虫で越冬することができる。
本来はクスノキ科に付くが、沖縄ではシークワーサー、九州、四国、本州では柑橘系に付くことがある。

※ ヘリカメムシ類は従来ヘリカメムシ科1科であったが、最近、頭部などの特徴から3科に分けられた。
ヘリカメムシ科(ホオズキヘリカメムシ、ホソハリカメムシなど)
クモヘリカメムシ科Alydidae(クモヘリカメムシなど)
ヒメヘリカメムシ科Rhopalidae(アカヒメヘリカメムシなど)

2017/1/16
実家の塀のくぼみに、見慣れないカメムシがへばり付いていました。寒いので全く動きません。
後で調べていて、南方系のミナミトゲヘリカメムシと分かりました。
南方系のカメムシにしては、寒さには強いようで、このまま越冬することができるようです。
木の洞や樹皮の下などで越冬するというのは聞いたことがありますが、こんな所で越冬するとは。

ホオズキカメムシ(Acanthocoris sordidus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヘリカメムシ科・ヘリカメムシ亜科>

ヘリカメムシ科ヘリカメムシ亜科のカメムシで、在来種。
日本では、本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、台湾、朝鮮半島から中国に分布する。
成虫の体長は14〜17mmで、濃茶色で腹部側面に縞模様があり、体表面に細かい短毛がある。
頭部は小さく、触角は長い。特に第2節が長く、第4節は根棒状で短い。後脚の腿節は太い。
出現時期は4月〜11月で、オスは縄張りを持って単独で活動し、メスは集団を形成する。
オスの縄張りにはメスの集団があり、オスはメスの集団を取り合って戦う。
成虫も幼虫も食草は、ナス科の植物ホウズキやナス、トマト、ヒルガオ科の朝顔やサツマイモなど。
幼虫は葉と茎から、成虫は茎から吸汁し、大発生すると吸汁によって成長が止まる。

※ ヘリカメムシ類は従来ヘリカメムシ科1科であったが、最近、頭部などの特徴から3科に分けられた。
ヘリカメムシ科(ホオズキヘリカメムシ、ホソハリカメムシなど)
クモヘリカメムシ科Alydidae(クモヘリカメムシなど)
ヒメヘリカメムシ科Rhopalidae(アカヒメヘリカメムシなど)

2019/6/20
ホオズキの茎にホオズキカメムシが2匹付いているのに気が付きました。
そこにアリが1匹やってきて、行ったり来たりウロウロしていました。
そのうち、ホオズキカメムシの脚に上ったのでしょう。
脚をパパッと振って、振り飛ばしました。それが右端の写真です。
人が手や足に上ってきたアリを振り払う動作に似ていて、思わず笑ってしまいました。

ホソヘリカメムシ(Riptortus pedestris)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ホソヘリカメムシ科・Riptortus属>

ホソヘリカメムシ科に属するカメムシの1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで広く分布している。
海外では、台湾、朝鮮半島から中国、マレー半島まで広く分布している。
体長は14〜17mmで、全身が褐色の細長くて、触角も褐色で長く、第4節に黄色い斑がある。
成虫の腹部には黄色と黒の縞模様があるが、翅が覆っていて飛ぶとき以外は見えない。
飛翔するとこの縞模様が現れ、アシナガハチが飛んでいるように見える。
雄の成虫の後脚腿節は太く、その内側には棘の列があるが、縄張り争いで相手を挟みつける。
そのため、後脚腿節が太くて長いものが有利となり、発達したもののようである。
なお、本種はカメムシの仲間にしては珍しく、独特の臭いを出さない。
孵化したばかりの1齢幼虫は、何も食べずに脱皮し、2齢幼虫になる。
1齢〜4齢幼虫までは、体色が黒くて、頭と胸、胸と腹が大きくくびれ、アリそっくりである。
その歩き方までアリにそっくりで、アリに擬態することで身を守っているようである。
5齢幼虫になると体色は褐色に変わり、成虫に似てくる。
次に脱皮すると成虫となるが、飛翔能力を得るまでには数日を要する。
幼虫、成虫とも様々なマメ科植物の子実を吸汁し、マメ科の作物栽培における重要害虫である。

2019/4/16
庭のイヌツゲの樹に、やたらとスリムなカメムシが止まっていました。
後で調べて、ホソヘリカメムシと分かりましたが、カメムシ特有の臭いを出さないとのこと。
飛翔時に腹部にある黒と黄色の縞模様がハチのように見えるそうですが、見てみたいものです。


2022/8/27
網引湿原のバイオトイレから第1獣害防止ゲートまでの間で、ホソヘリカメムシを見かけました。
この写真を撮った後、さらに近づいてと思ったとき、パッと逃げられました。
カメラのファインダーを覗いていたので、飛翔姿は見損ねました。

クモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・
ホソヘリカメムシ科・クモヘリカムムシ亜科・クモヘリカメムシ属>

ホソヘリカメムシ科に属するカメムシの1種で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、壱岐、対馬、南西諸島、小笠原諸島に広く分布している。
海外では、台湾、朝鮮半島、中国から東洋区一帯に広く分布する。
出現時期は5月〜10月で、体長は15〜17mmである。
翅が褐色で、その他が黄緑色の細長いカメムシで、触角は褐色で各節の基部が汚黄色になる。
なお、生きているときは黄緑色であるが、死ぬと汚黄色に変色してしまう。
複眼は黒くて、頭部の両側面にある。複眼の前後に黒褐色の筋模様がある。
前胸は細長い三角形状で、全縁部に褐色の斑紋があり、側面の縁沿いは黄白色になる。
前翅はたたむと腹部を覆い、膜質部は淡褐色で半透明である。
歩脚は細長く、黄緑色である脛節の先端部と附節は褐色を帯びる。
幼虫、成虫とも様々なイネ科植物の子実を吸汁し、イネの害虫としても知られている。
成虫で越冬し、年1化〜2化と地域によって異なる。

2022/10/11
網引湿原の第1獣害防止ゲートまでの道路脇で、コバネイナゴを撮っていると何かが飛来しました。
音もなく飛んできて、近くのササの葉に留まったのを見ると、緑色の細いカメムシでした。
見たことがないので調べてみると、イネの害虫であるクモヘリカメムシと分かりました。
よく似た大柄なオオクモヘリカメムシがいますが、触角の模様で識別できます。

ヒメタイコウチ(Nepa hoffmanni)
<カメムシ目・カメムシ亜目・タイコウチ下目・タイコウチ上科・タイコウチ科・ヒメタイコウチ属>

タイコウチ科ヒメタイコウチ属に属する昆虫で、在来種。、希少種である。
日本では、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県、兵庫県、香川県で生息が確認されている。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
成虫の出現時期は3月〜11月で、成虫で越冬する。体長は18〜22mmである。
体色は茶褐色で、腹部は幅が広く、尾端にタイコウチほど長くはない呼吸管がある。
肉食性で、鎌状の前肢を用いて陸生の昆虫や節足動物を捕らえ捕食する。
口針から消化液を注入して体組織を溶かし、それを吸汁する。
水中生活には適応しておらず、湧水が染み出す程度の浅い水辺が生活圏である。
浅い水中に身を潜めて、近くを陸生昆虫などが通るのを待ち伏せして捕食する。
捕食は陸上でも行うが、水中に引きずり込んで、水中で食べることの方が多い。
なお、本種は翅は持っているが、飛翔することはないようである。
12月頃に陸上の土中や枯葉の下などで越冬し、翌春の3月頃には活動を始める。
繁殖期は4月〜6月と、出現時期の3月〜11月に比べて、短い。
コケに8〜12個の卵を産み、孵化した幼虫は5回の脱皮を経て、7月〜8月に成虫になる。

2022/6/18
網引湿原第2湿原の入口付近で、案内人の方が水たまりを熱心に見ておられました。
聞くと、このような場所にヒメタイコウチがいるとのことで、その幼虫を探しておられるとの事。
なかなか見つからないようで諦めかけた時、幼虫が見つかり、周りの方々が写真を撮っていました。
皆さんが取り終わった頃、私も幼虫の撮影をさせてもらったのですが、動きが早くて四苦八苦です。
地面と似たような色で保護色になっていて、見失うと探すのが大変でした。
なお、本種は兵庫県では絶滅危惧T類となっているようです。

アワダチソウグンバイ(Corythucha marmorata)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・グンバイムシ上科・グンバイムシ科・グンバイムシ亜科>

グンバイムシ科グンバイムシ亜科の昆虫で、原産地はアメリカ。
近年になって侵入してきた帰化種で、関西地方を中心に分布を広げている。
日本では、本州から四国、九州に分布が確認されている。
出現時期は4月〜10月で、体長は3mm前後である。
前翅、前胸、小楯板などは網目状となり、翅は半透明で褐色の斑紋がある。
頭部前縁・前胸側縁と背面・前翅が板状に張り出し、前翅前縁が角ばっている。
名前の通り、セイタカアワダチソウを吸汁するが、キク、ヒマワリ、サツマイモなどにも加害する。

2021/6/20
実家近くの川沿いに生えているナンキンハゼの開花状況を見に行ったとき、花に止まっていました。
グンバイムシの仲間だとは思ったのですが、種類までは分かりませんでした。
1枚撮った所で逃げられたので、写真はこの1枚した撮れていません。
後で調べてみると、最近帰化して問題となっている、アワダチソウグンバイと分かりました。
キク科の加害害虫が、なぜ、トウダイグサ科の花にいたのでしょう。
セイタカアワダチソウと同じ黄色い花ではありますが、単に休んでいただけかもしれません。

ヘクソカズラグンバイ(Dulinius conchatus
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・グンバイムシ上科・
グンバイムシ科・グンバイムシ亜科・ヘクソカズラグンバイ属>

グンバイムシ科ヘクソカズラグンバイ属の昆虫で、インドとスリランカが原産地とされている。
1996年に大阪府池田市で発見され、日本には伊丹空港に航空貨物に紛れて侵入したと推定されている。
分布域は、2012年時点では本州の関東以西、四国、九州北部とされている。
本種は近年侵入した外来種であり、現在、その分布域を拡大しつつある。
体長は2.6〜3.2mmで、体色は淡褐色で、前胸背面に黒褐色の膨らんだ附属突起部がある。
口吻は、後脚の基節を越えるほどの長さがあり、前胸背の前端には頭部まで覆う附属突起部がある。
前胸背の中央の側面寄りには、半球形の翼状片が左右に突き出し、ほぼ直立する。
前胸背の後方寄り中央の左右から、半球形に膨らんだ側隆起があり、立ち上がっている。
前翅は後方に向けてやや広くなり、前縁域の小室は前端と後端では1列、中央では3列ある。
食草はヘクソカズラを初めとしてアカネ科の植物で、寄生を受けた葉は白くなる。
その葉裏には糞とともに幼虫や成虫が見られる。卵は葉の中に産み付けられ、年3化とされている。

2023/10/17
ホシホウジャクの餌となるヘクソカズラを実家近くで取りに行き、持ち帰りました。
その葉を取って裏を見たとき、何か小さな昆虫がうごめいているのに気が付きました。
良く分からないので、写真を撮って拡大したところ、頭胸部に何か大きな付属体が付いているようです。
翅などの形からはグンバイムシの仲間に近い気がしますが、見たことがありません。
調べてみると、近年に侵入が確認されたヘクソカズラグンバイと分かりました。
頭胸部にみられる半球形の附属突起部が特徴のようです。

モチツツジカスミカメ(Orthotylus (Kiiortotylus) gotohi)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・トコジラミ上科・カスミカメムシ科・アオナガカスミカメ亜科>

カスミカメムシ科アオナガカスミカメ亜科の1種で、日本固有種。
日本では、モチツツジの分布域である本州の静岡県・山梨県〜岡山県、四国に分布する。
体長は4.5mm前後で、5月〜9月にモチツツジのみでよく見られる。
膜翅部が褐色である点を除いて、全体的に薄緑色で、斑紋などはない。
体はやや細長い楕円形であるが、両側面はほぼ並行している。
背面は前翅で覆われ、褐色の毛がまばらに生える。触角は薄い褐色。
触角も脚も細長く、特に触角と後肢は体長と同長かやや長い。口吻は長くて腹部に達する。
食性は雑食性で、モチツツジの汁やモチツツジの粘毛で死んだ虫などを食べる。

2022/6/7
高御座山で、ちょっと時期外れですが、モチツツジが咲いていたので撮影しました。
後で調べていて、ピンボケになっていますが、緑色の昆虫が写っているのに気が付きました。
撮っているときには気が付かなかったので、花にピントが合っていて、昆虫は後ピンです。
ただ、幸いなことに花がモチツツジでしたので、直ぐにモチツツジカスミカメと分かりました。
普通の昆虫では、モチツツジの粘毛にくっ付いて、動けなくなってしまいます。
しかし、モチツツジカスミカメは粘毛の上を移動できる特技を持っていて、くっ付かないのです。
正しくは、くっ付かないのではなく、くっ付かないように移動できるですね。
モチツツジカスミカメも誤ってくっ付くことはあるようです。でも時間をかけると外せるそうです。
雑食性で、モチツツジを吸汁し、粘毛に捕まった他の昆虫からも吸汁するチャッカリ者です。

ウスモンミドリカスミカメ(Taylorilygus Pallidulus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・トコジラミ上科・カスミカメムシ科・カスミカメムシ亜科>



カスミカメムシ科カスミカメムシ亜科の1種で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布し、南方系で西日本の平地では最も普通。
体長は4.5〜6mmで、出現時期は8月〜10月。
体色は淡い黄緑色〜赤味の強い淡褐色まで、変異が大きく、光沢は弱い。
爪状部の縫合線沿いと革質部の中央に不明瞭な3本の暗色条紋、楔状部の先端には暗斑がある。
口吻は長く後基節を越え、膝節の棘が淡褐色で、後脚腿節先端付近に帯状の褐色紋がある。
これらの点が、よく似たコアオカスミカメやツマグロカスミカメとの識別点となる。

2020/11/30
前日、草丈20cmほどなのに、花を咲かせているセイタカアワダチソウが気になって撮影しました。
その写真を見ていると、花の影に緑色の昆虫が写っているのに気が付きました。
この日、まだ居るかもと再確認すると、淡緑色のカメムシが花に潜り込むようにして居ました。
そのままでは写真が撮れないので、軽く突くと淡褐色のカメムシも出てきました。
なんとか、写真の取れるアングルになるよう誘導して撮ったのが上記の写真です。
見たことがないカメムシでしたので、後で調べると、ウスモンミドリカスミカメと分かりました。
よく似たものがいるそうですが、スリムな体形と下記の点から本種としました。
・前翅の楔状部の先端に暗斑がある
・後脚腿節先端付近に褐色の帯紋がある
体色には変異があるそうで、淡褐色と淡褐色の2タイプを確認できたのはラッキーでした。

ツマグロハギカスミカメ(Apolygus subpulchellus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・トコジラミ上科・カスミカメムシ科・カスミカメムシ亜科>

カスミカメムシ科カスミカメムシ亜科のカメムシで、在来種。柑橘系の害虫である。
日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬、五島列島に分布していて、西日本に多い。
海外では、ロシア沿海州に分布している。
出現時期は6月〜9月で、体長は4.5mm前後。体は楕円形をしており、体色は光沢のある淡褐色である。
頭部中葉、半翅鞘革質部先端、楔状部先端と基部が暗色で、後脚の腿節は鮮やかなオレンジ色。
なお、寒冷地では背面が広く暗化することが多い。
成虫、幼虫とも、ハギ、カシ、シイ、カラスザンショウ、各種柑橘類を吸汁する。
良く似たウスイロツヤマルカスミカメは、後脚腿節が赤味を帯びない点が異なる以外は、酷似している。

2021/6/29
実家近くの川沿いに生えているナンキンハゼを見に行くと、小さなカメムシが付いていました。
後脚が赤い色をしていたのでアカスジカスミカメを思い出したのですが、体色が違う気がしました。
後日、調べると後脚の色や体色などからツマグロハギカスミカメと分かりました。
よく似たウスイロツヤマルカスミカメがいるそうですが、後脚が赤い点で本種に軍配です。
なお、何本かのナンキンハゼで見かけたので、ハゼに付く点からも合っていると思います。

アカシマサシガメ(Haematoloecha nigrorufa)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・サシガメ上科・
サシガメ科・ビロウドサシガメ亜科・アカシマサシガメ属>

サシガメ科アカシマサシガメ属に属するカメムシで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、伊豆諸島、対馬、壱岐に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布している。
体長は11〜13mmで、頭部は黒く、胸部は赤い地色に黒い十字型の陥没部がある。
小楯板は黒く、前翅は腹部背面をほぼ覆い、黒い前翅の前縁部と中央に赤い部分がある。
前翅からはみ出ている腹部側面は、赤と黒のブチ模様になっている。腹面はと黒い。
触角は黒く、歩脚は黒色で、関節の所が赤みを帯びる。歩脚の内、第1脚の腿節は特に太くなっている。
発生は年1回で、活動時期は4月〜11月。新成虫は7月〜8月に羽化し、成虫で越冬する。
幼虫、成虫とも地上性小型昆虫類(ヤスデ、ダンゴムシなど)を捕らえ、体液を吸う。

2021/4/13
実家の庭を掃除していた際、塀のコンクリートの上を這っている赤いカメムシに気が付きました。
以前、神奈川県の等覚院で見かけたアカシマサシガメです。
畑の近くなので、餌の地上性小型昆虫類(ヤスデ、ダンゴムシなど)が多く、良い餌場なのかも。

アカサシガメ(Cydnocoris russatus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・サシガメ上科・
サシガメ科・モンシロサシガメ亜科・アカサシガメ属>

サシガメ科アカサシガメ属に分類されるカメムシの一種。
国内では、本州から四国、九州、対馬、五島列島、トカラ列島の一部に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナム、インドに分布している。
体長は14〜17mmで、体色は全体に暗い朱色をしている。
頭部は朱色で小さく、複眼は暗褐色である。触角の基部には棘状突起がある。
頭部腹面側も朱色であるが、中央と後の縁沿いに黒斑がある。
黒くて長い触角は、第1節が最も長く、第2節はその6割ほど、第3節は第2節の6割ほどである。
前胸背面は朱色で、中程でくびれて不規則に隆起している。胸部腹面側はほぼ黒色である。
小楯板も朱色で、前半部が隆起している。前翅は長く、腹部末端より大きく伸び出る。
前翅の基部側の革質部も朱色であるが、先の膜質部は褐色で、背面側ではここだけ色が異なる。
腹部の腹面側は朱色で、各腹節の縁近くに黒い斑紋がある。
各歩脚はほぼ黒色であるが、基節と転節だけは朱色となっている。
低山地の草むらなどで見られる普通種で、鱗翅目の幼虫やハムシなどの小型昆虫を捕食する。
幼虫、成虫とも他の昆虫を捕らえて口吻を刺し、消化酵素を注入して、溶けた体液を吸う。

2023/7/18
網引第1湿原近くまで戻ってきたとき、何か赤い物が目の前を横切っていきます。
虫屋の本能でしょうか、あっと思ったときには、既に手で叩き落としていました。
※ 皆さん真似はしないでくださいね。やばい虫だと後が大変です。
落ちた辺りを探すと、真っ赤なカメムシが枯草の上に止まっていました。
それを見て、最初に浮かんだのは脱皮直後のヨコヅナサシガメ(しばらく真っ赤です)です。
しかし、体が固まる前に飛翔するとは思えません。後で調べてアカサシガメと分かりました。
普通に見られるそうですが、私は初見で、ここまで真っ赤なカメムシが居るとは思いませんでした。

ヨコヅナサシガメ(Agriosphodrus dohrni)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・サシガメ上科・
サシガメ科・モンシロサシガメ亜科・ヨコヅナサシガメ属>

サシガメ科ヨコヅナサシガメ属に分類されるカメムシの一種。国内のサシガメ科中最大級の種である。
原産地は、中国、インドシナ半島、インドである。国内では、関東以南の本州、四国、九州に分布する。
九州では1928年代に記録されており、関東には1990年代に侵入が確認されている。
体長は16〜24mmになり、体色は黒色で光沢があり、腹部の各節は白く縁どられている。
腹部は葉状に広がり、翅の外まで張り出して反り返り、外縁は少し波打っている。
この白い模様が、化粧まわしのように見えるとこがヨコヅナの和名の由来。
なお、幼虫では黒い部分が外縁まで達するため、白と黒が交互に並んでいる。
この体の黒色部は、脱皮直後の外骨格が硬化するまでは、鮮やかな赤色をしている。
成虫の腹部尾端や、各脚の付け根は鮮やかな赤色で、白黒の体に赤がワンポイントのアクセントとなっている。
成虫、幼虫ともに、サクラ、エノキ、ケヤキ、クワなどの大木で樹上生活をしている。
春から夏にかけての活動期には、大木の高所で単独生活をしているため目に付くことは少ない。
産卵期になると成人の背の高さくらいまで降りてくるので、人目に付くようになる。
幼虫、成虫とも肉食であり、他の昆虫を捕らえて口吻を刺し、消化酵素を注入して、溶けた体液を吸う。

2022/5/30
実家の塀にヨコヅナサシガメが止まっているのに気が付きました。
国内最大級のサシガメだけに、かなりの存在感があります。
見た目では、黒地に大きく反り返った腹部の各節を縁取る白い斑紋が目を引きます。
しかし、よく見ると脚の付け根が鮮やかな赤色で、かなりの洒落ものです。
横から見ると、頭部の先から口吻が内側に折りたたまれており、これで獲物を刺します。
人でも、不用意につかんだりすると刺されますので、ご注意ください。かなり痛いらしいです。
腹部の各節が大きく反り上がっているのが、横からの写真を見ると良く分かります。

オカダアワフキ(Lepyronia okadae)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・アワフキムシ上科・アワフキムシ科・アワフキムシ亜科>

ワフキムシ科アワフキムシ亜科に属するアワフキムシの1種で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に、海外では朝鮮半島、台湾に分布する。
体長はオスで5〜6.5mm、メスで6〜7mmで、秋に出現する。
マルアワフキに似るが、一回り小さく、翅の黒褐色の斑紋が異なる。
オカダアワフキの斑紋は、基部側には無く、外縁寄りに並行して2本ある。
幼虫、成虫とも、イネ科の植物を吸汁する。

2021/10/14
砥峰高原のハイキングコースで、遊歩道脇で花の写真を撮っていて、アワフキムシに気が付きました。
見たことがあるような感じでしたがはっきりしないので、後で調べました。
あまり特徴のない色と斑紋なので手間取りましたが、翅の縁にある暗色の斑紋から特定できました。
2本の平行した暗色の斑紋を持つのはオカダアワフキで、初見のアワフキでした。

シロオビアワフキ(Aphrophora intermedia)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・アワフキムシ上科・アワフキムシ科・アワフキムシ亜科>

アワフキムシの1種で、幼虫はマサキ、クワなど様々な草木の汁を吸い、アワの塊を作る。
日本では北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
出現時期は5月〜10月で、体長は11o前後。
頭部と前胸背は暗褐色、前翅に幅広の白い横帯がある。
小楯板と前翅は暗褐色で、白帯の両側は特に濃色で黒褐色になる。
若い幼虫は、上半身が黒く、下半身は赤い、特徴的な配色をしている。
成熟に伴い、全体が黒っぽくなり、羽化寸前になると、腹部に白いまだら模様が現れる。

2023/5/4
網引第3湿原の遊歩道脇で、茎に泡の塊が付いているのが見えました。
表面に何か黒ぽいものが見えますが、これは脱皮殻だと後で分かりました。
このままでは種類が分からないので、かわいそうなのですが、泡から出てもらいました。
それが右の写真ですが、上半身が黒、下半身は赤という特徴的な配色です。
これでシロオビアワフキの若齢幼虫と分かりました。
この後、元の泡の塊に戻したのは言うまでもありません。

アブラゼミ(Graptopsaltria nigrofuscata)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・アブラゼミ族・アブラゼミ属>
 
2012/8/12             2016/8/11
セミ科アブラゼミ属のセミで、在来種。
日本では、北海道から九州まで広く分布している。
日本以外では、朝鮮半島や中国北部に生息している。
体長は60mmほどで、セミの中では珍しく、不透明な褐色の翅を持つ。
生息域が人里から山地までと範囲が広く、都市部でもよく見かけるセミである。
なお、鳴き声は、「ジッジッ…」と鳴き始めて、「ジジジ…」と鳴き、「ジッジッ…」と鳴き終わる。
※ アブラゼミなどの抜け殻に関しては、こちらにまとめました。

2012/8/12 実家近くの民家の壁に止まっていたアブラゼミです。
止まったまま、全く動きませんし、尾端に産卵管が見えるので、メスです。
2016/8/11 実家の木の幹に止まって鳴いていたアブラゼミのオスです。
翅を半開きにして、腹部を伸び縮みさせながら、しばらく鳴いていました。


2020/7/28
今年初めて、アブラゼミの鳴き声を聞きました。
朝、2階から庭を見ていると、アブラゼミが飛んで、樹に止まるのをみかけました。
おそらく、この庭で羽化したアブラゼミが、クマゼミに追い出されたものと思います。
なにせ、この庭付近にはクマゼミが数十匹は飛び回り、鳴き続けていますので。


<クマゼミ>   <アブラゼミ>

2023/11/25
セミの季節はとっくに過ぎているのですが、セミの話題です。
柿の木の根元に生えている野生のアスパラガス、その一部を破棄するために掘り起こしました。
すると掘り起こしたアスパラガスの根の所から、何か生きものが転がり落ちました。
土まみれでしたが、よく見るとそれはセミの幼虫で、生きているのを3匹保護しました。
気になってその辺りをよく確認すると、つぶれたり、真っ二つになった幼虫が数匹見つかりました。
深い所に柿の木の根はありますが、掘り起こしたのはアスパラガスの株です。
アスパラガスの根から吸汁していたのでしょうか。そのような話は聞いたことがありません。
ちなみに、保護したのはアブラゼミが1匹、クマゼミが2匹でした。
上記は保護した時の写真ですが、アブラゼミは明るい褐色で、眼が白いので変な感じでした。
下段右の写真で、触角の第3節が第2節の1.5倍ほどの長さである点からアブラゼミと分かります。
冬間近の時期に掘り出されて、幼虫もさぞかし驚いたことでしょう。
今回保護した幼虫は、その大きさからみて来夏には羽化するのではないかと思われます。
飼育するのは無理なので、元の場所に埋め戻しましたが、生き延びてくれればいいのですが。

クマゼミ(Cryptotympana facialis)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・エゾゼミ族・クマゼミ属>
 
日本では、本州の関東南部、東海、北陸地方以南と四国、九州、南西諸島に分布している。
日本以外では、台湾、中国に分布するという報告もあったが、近縁種の誤同定とされている。
成虫の体長は65mmほどの大型のセミで、主に日の出から正午までの午前中に鳴く。
体色は、ほとんど黒色で、腹部の中ほどに白い横斑が2つある。
オスの腹部には、大きな橙色の腹弁があり、よく目立つ。
鳴き声は「ジー…」の前鳴きで始まり、「シャンシャンシャン…」と本鳴きし、「ジー…」の後鳴きで終わる。
余談ですが、ミンミンゼミ(ミ〜ンミンミンミンミ〜)とクマゼミ(シャンシャンシャン)の鳴き声。
実は、ベースとなる音が同じだという話です。どう聞いても同じには聞こえませんよね。
しかし、ベースとなる音を早く再生するとクマゼミに、逆に遅く再生するとミンミンゼミになるそうです。
上記の鳴き声を0.25倍のスロー再生にしたものが下記で、ミンミンゼミの鳴き声に聞こえますかどうか。
※ クマゼミなどの抜け殻に関しては、こちらにまとめました。

2012/8/11
実家の木に止まっていたクマゼミです。鳴くこともなく、じっとしています。
この時は、午後も遅くなっていましたので、鳴くことはありませんでした。
クマゼミは朝の早い時間にはよく鳴きます(大合唱されると、とても寝ていられません)。


2020/7/28
この日も朝から晴れていたので、早朝からクマゼミの大合唱が始まりました。
この1週間で、一気にクマゼミの数が増えたように思います。
それらが、鳴いては飛んで移動し、また、そこで鳴くのですが、鳴き声が途切れません。
見ていても、常に数匹は木から木へ移動しています。


2020/7/29
上記は、クマゼミの大合唱が終わった頃に撮った写真です。
この写真の中に、クマゼミが何匹写っているか分かりますか。
小さいので見づらいかもしれませんが、答えはこちらです。
数えてはいませんが、おそらく樹全体では20匹以上が止まっていると思います。
庭全体では、その何倍もの数がいるものと思います。
それが、5時過ぎから一斉に「シャンシャンシャン…」と鳴くので、目覚まし時計より強烈です。

さて、10時頃には鳴き止むクマゼミですが、その後、時折、ジーとかジャーとか騒がしくなります。
何かいるのかと覗くと、イソヒヨドリやハッカチョウがクマゼミを襲っているところでした。
クマゼミの天敵は人間くらいだと思っていたのですが、クマゼミを食べる鳥がいたんですね。


2020/7/28                  2020/7/31
と思っていたら、なんとネコまでがクマゼミを襲っていました。食べるつもりかどうかは不明ですが。
このときは全てのクマゼミは逃げ仰せたようで、ネコはしばらくして去って行きました。
その後、コガネグモの網にかかったクマゼミを見つけました。
クマゼミは、かなり暴れたのでしょう。円網はズタズタになっていましたが、逃げられなかったようです。
セミに限った話ではありませんが、クモも昆虫にとっては怖い捕食者でしたね。


2020/7/28                     2020/7/31         .
鳴いているクマゼミのオスでよく見られるのが、鳴きながら移動する行動です。
左の写真で下にいる個体は、左端の枝の上にいたのですが、後退りして降りてきました。
右の写真でも、下側の個体がここまで移動してきました。オス同士の覇権争いなのでしょうか。


2020/7/31
上記の近くで、重なり合った2匹を見つけ、てっきり交尾中だと思って撮ったものです。
後でよく見ると、交尾はしていませんし、どうやらオス同士のようです。
撮影するとき、ずいぶん上の方にメスがいるなと多少疑問に思ったんですよね。
再確認しようと見に行ったのですが、既にいなくなっていました。


2020/8/6
庭にコガネグモの様子を見に行った際、クマゼミのメスを見つけました。
周りにはオスが3匹いて、お互いに牽制しあっているような感じです。
カメラを近づけると、メスがササっと枝の裏側に回り込みました。ヨコバイと同じ動きです。
右の写真は、撮影位置を90度ほどずらして撮ったものです。
セミもヨコバイ亜目なので、近い種類ではありますが、こんな動きは初めて目にしました。


2023/7/16
今年もセミの季節になり、ニイニイゼミの初鳴きは7/10 13:20でした。
毎年、庭のモッコクの木で羽化し、そこで鳴き始めます。
クマゼミは、7/12に庭のソシンロウバイの木から飛び立つのを見ました。
鳴かずに飛んで逃げて行ったので、おそらく、メスのクマゼミだったのでしょう。
クマゼミの初鳴きは7/15で、お昼前に庭で鳴き始めました。
前置きが長くなりましたが、朝、玄関の近くでクマゼミが死んでいるのを見つけました。
既にアリが集っていて、良い餌にあり付けたようです。
直ぐ横に抜け殻があり、翅が綺麗に伸びていないことから、羽化に失敗したようです。
おそらく、直ぐ横の柱(アルミ製)に登ろうとしたが登れず、地上で羽化したのでしょう。
十分に翅が伸びて体が固まる前に、アリに襲われて絶命したのかもしれませんね。


<クマゼミ>   <アブラゼミ>

2023/11/25
セミの季節はとっくに過ぎているのですが、セミの話題です。
柿の木の根元に生えている野生のアスパラガス、その一部を破棄するために掘り起こしました。
すると掘り起こしたアスパラガスの根の所から、何か生きものが転がり落ちました。
土まみれでしたが、よく見るとそれはセミの幼虫で、生きているのを3匹保護しました。
気になってその辺りをよく確認すると、つぶれたり、真っ二つになった幼虫が数匹見つかりました。
深い所に柿の木の根はありますが、掘り起こしたのはアスパラガスの株です。
アスパラガスの根から吸汁していたのでしょうか。そのような話は聞いたことがありません。
ちなみに、保護したのはアブラゼミが1匹、クマゼミが2匹でした。
上記は保護した時の写真ですが、アブラゼミよりも褐色味が強く、眼も褐色味を帯びています。
下段右の写真で、でべそ状の突起がある点でクマゼミと分かります。
冬間近の時期に掘り出されて、幼虫もさぞかし驚いたことでしょう。
今回保護した幼虫は、その大きさからみて来夏には羽化するのではないかと思われます。
飼育するのは無理なので、元の場所に埋め戻しましたが、生き延びてくれればいいのですが。

ツクツクボウシ(Meimuna opalifera)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・ツクツクボウシ族・ツクツクボウシ属>
 
日本では、北海道から本州、四国、九州、トカラ列島まで全国に分布している。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾と東アジアに広く分布している。
成虫の体長はオス45mm、メス40mmほどの中型のセミで、特徴的な鳴き声で鳴く。
成虫は、7月頃から鳴きはじめるが、数が少なく、よく耳にするようになるのは晩夏になってからである。
ヒグラシ同様、森林性のセミであり、うす暗い森林や低山帯が主な生息地である。
しかし、地域によっては、市街地などでもよく見られることがある。
体色は非常に地味で、頭部や胸部に縦縞模様が少し見られますが、全体がくすんだモスグリーンです。
そして、こすれて禿げた所に、地の黒色が見えている感じです。
全体が黒色の個体も見られますが、モスグリーンがはげ落ちて、地色の黒が見えているものと思われる。
鳴き声は非常に複雑で、中程の繰り返し部分である「ツクツクオーシ」が名前の由来。
ジーツクツクの前鳴きで始まり、ひとしきりツクツクの後オーシと続きます。
その後、ツクツクオーシの本鳴きを繰り返します。
最後は、ツクリーヨーを数回繰り返して、ジーの後鳴きで終わります。
他のセミが比較的単純な鳴き声なのに対して、かなり複雑な鳴き方をします。
※ ツクツクボウシなどの抜け殻に関しては、こちらにまとめました。

2020/8/13
午後になって、庭で鳴いているアブラゼミに混じって、突然、ツクツクボウシが鳴き始めました。
いつもは8月末位から泣き始めるので、今年はちょっと早い気がします。
朝、遅めだったニイニイゼミとクマゼミ鳴き、午後にはアブラゼミとツクツクボウシが鳴いています。
ニイニイゼミとツクツクボウシの鳴き声を、同じ日に聞いた記憶はありません。
長かった梅雨の影響でしょうか。セミの発生も例年とは少し違っているのかもしれません。
ちなみに、この庭でのニイニイゼミの初鳴きは8/1で、ツクツクボウシは8/13が初鳴きとなります。
アブラゼミの初鳴きは7/28で、クマゼミは7/10以前から鳴いていたようです。

ニイニイゼミ(Platypleura kaempferi)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・ニイニイゼミ族・ニイニイゼミ属>

日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄本島以北の南西諸島に分布している。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
成虫の体長は20mmほどで、明るいうちはほぼ1日中鳴いている。
セミの中では、発生は早い方で、6月下旬くらいから鳴きはじめる。
体色は、灰褐色で、前羽も褐色のまだら模様になっており、木の幹では保護色となっている。
幼虫は、湿気の多い土壌でないと生存できないので、都市部の乾燥地では少ない。
その抜け殻は、小さくてずんぐりとしており、殻に泥が付いているので、区別は容易。
なお、鳴き声は、「チ〜ジ〜〜」と長く尾を引くように繰り返し、最後は「チッチッ…」で終わる。
※ ニイニイゼミなどの抜け殻に関しては、こちらにまとめました。

2012/8/12
実家近くの民家の壁に止まっていたニイニイゼミです。アブラゼミのすぐ下に止まっていました。
おそらく、朝の早い時間にもかかわらずじっとして動きませんので、この個体もメスと思われます。


2019/7/6
お昼頃、庭の方からニイニイゼミの鳴き声が聞こえてきました。今年の初鳴きです。
たぶん、よくいるモッコクの樹の方だろうと行ってみると、ピンポ〜ン。上の方で鳴いています。
探そうと近づくと、鳴き止んでしまいました。探していると、横向きの枝の上面にいました。
右写真の様に保護色になっているので、横の方から見ないとなかなか見つけられません。
しばらくして、セミの断末魔のジージーという鳴き声が聞こえてきました。
えっと思って見みると、ハッカチョウがセミをくわえて飛んで行きました。
その数日後、ジッジッと逃げるセミをハッカチョウが追いかける所も見ました。
ハッカチョウが、餌を求めて庭にやって来ているようです。
話は変わりますが、柿の木の根元にあるアスパラガスの茎に、ニイニイゼミの抜け殻が付いていました。
ハッカチョウはこの樹の方から飛んできたので、追われていたのはこの抜け殻の主かもしれませんね。


2020/8/1
朝起きると、クマゼミの大合唱に混じって、耳に付くジ〜〜という音が聞こえてきました。
今年初めて聞くニイニイゼミの鳴き声です。毎年、最初に鳴き出すのに、今年は3番目でした。
今年は梅雨が長かったので、羽化するのが遅れたのでしょうか。

ヒグラシ(Tanna japonensis)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・ホソヒグラシ族・ヒグラシ属>

日本では、北海道南部から本州、四国、九州、奄美大島までほぼ全国に分布している。
日本以外では、中国大陸に分布するが、朝鮮半島には分布しない。
成虫の体長はオス30mm、メス25mmほどの中型のセミで、朝夕に甲高い声で鳴く。
オスの腹部はメスよりも明らかに太くて長く、雌雄の区別はつけ易い。
体色は、ほとんど赤褐色で、頭部の複眼付近や前胸の縁、背面中央は緑色をしている。
日の出前、日の入り後の薄明時によく鳴く。しかし、曇って薄暗くなった時、気温が下がった時にも鳴く。
鳴き声は、「カナカナカナ…」と表わされることが多いが、「キキキキキ…」「ケケケケケ…」とも聞こえる。

※ ヒグラシなどの成虫や抜け殻の写真は、こちらにまとめました。

2021/11/28
実家の庭の除草を行っていたとき、草陰から小さめのセミの抜け殻が出てきました。
この辺りで見かける小型のセミは、ニイニイゼミかツクツクボウシ暗いです。
泥が付いていないので、ずんぐりしていますがツクツクボウシの抜け殻だろうと思っていました。
気になって調べてみると、ツクツクボウシの抜け殻とは特徴が一致しません。
改めて、抜け殻の長さを測ってみると25mm弱。やはり小型のセミの抜け殻です。
この辺りでは聞いたことが無いのですが、ヒグラシの抜け殻によく似ています。
ずんぐりとしていて、背中がくの字に盛り上がっています。触角も太目です。
そして、決定的な確証が触角の第4節が第3節より長い点で、これでヒグラシに確定です。
それにしても、ヒグラシの鳴き声を聞いたこともないのに、抜け殻があるのは謎です。


2021/11/29

 <ヒグラシ♀>          <クマゼミ♀>          <クマゼミ 突起>
2021/11/29
翌日、以前から見かけていたクマゼミの抜け殻を取ってきて、比較してみました。
大きさは、ヒグラシが24.5mm、クマゼミが35mmあり、体長に1cmほどの差がありました。
見た目は、クマゼミの抜け殻を少しスリムにして小さくしたような感じです。
気になって、雌雄を確認したところ、上記のように腹部端の形状から両方ともメスと判明。
メスの腹部端には、上記のように2段の突起が見られますが、オスには内側の突起はありません。
右端はおまけで、クマゼミの腹面に見られる突起で、クマゼミに特有のものです。

ミンミンゼミ(Hyalessa maculaticollis)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・ミンミンゼミ族・ミンミンゼミ属>

日本では、北海道南部から本州、四国、九州まで分布している。
日本以外では、朝鮮半島や中国華北に生息している。
体長は35mm程で、翅を含めるとアブラゼミとあまり変わらない。
体色は胸部と腹部の境界付近が白く、他は黒地に青緑色の斑紋がある。
なお、黒色部がほとんどない青緑色主体の個体は、ミカドミンミンと呼ばれる。
その抜け殻は、アブラゼミによく似ているが、触角の違いから判別できる。
なお、鳴き声は、「ミ〜ンミンミンミンミ〜」と長く尾を引くように繰り返す。
余談ですが、ミンミンゼミ(ミ〜ンミンミンミンミ〜)とクマゼミ(シャンシャンシャン)の鳴き声。
実は、ベースとなる音が同じだという話です。どう聞いても同じには聞こえませんよね。
しかし、ベースとなる音を早く再生するとクマゼミに、逆に遅く再生するとミンミンゼミになるそうです。
鳴き声の一部を通常再生したものと2.5倍再生にしたものが下記で、クマゼミの鳴き声に聞こえますかどうか。
※ ミンミンゼミなどの抜け殻に関しては、こちらにまとめました。

2020/8/6
觀濤處(かんとうしょ)に上っているとき、通路脇でミンミンゼミが鳴いていました。
平地では聞くことのないミンミンゼミですが、山を上り始めてせいぜい数十mで変わります。
下の方で鳴いているクマゼミもこの辺りには入ってこないようです。
鳴いている方を見るといたので、カメラを向けた途端に逃げられました。
少し上の方でも鳴いていたので、慎重に近づき、シャッターを押した途端に逃げられました。
ダメだったかと確認すると、なんと、飛び立つ瞬間が捉えられていました。
フラッシュを使っていたので、何とか写っていましたが、それでも翅はブレていました。
右は、その近くで見かけたミンミンゼミの抜け殻です。触角で確認しました。

ツマグロオオヨコバイ(Bothrogonia ferruginea)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・ツノゼミ上科・ヨコバイ科・オオヨコバイ亜科>

ヨコバイ科オオヨコバイ亜科の1種で、在来種。出現時期は3月〜11月。
日本では、本州以南に広く分布し、春先から秋まで活動している。
体長は13mm前後で、黄緑色に頭部と胸部に黒班があり、翅端が黒くなっている。
良く似た配色のツマグロヨコバイとは大きさが倍くらい異なる。
また、ツマグロヨコバイは稲の大害虫であるが、本種は雑草の吸汁が主で、あまり害にはならない。
草の茎に針状の口を刺して、おしっこを出しながら果てしなく吸汁し続ける。
また、飛び立ったとき、お腹が満タンだと、セミのように「空中おしっこ」をする。
なお、ヨコバイの名は、危険を察知すると横に歩き、裏に回り込んで身を隠すことに由来する。
本種は、成虫で越冬する。

2022/8/27
網引湿原のバイオトイレから第1獣害防止ゲートまでの間で、ツマグロオオヨコバイを見かけました。
大型のヨコバイですが、主に雑草から吸汁するので、イネなどへ害を与えることはありません。

アオバハゴロモ(Geisha distinctissima)
<カメムシ目・頸吻亜目・ハゴロモ型下目・ハゴロモ上科・アオバハゴロモ科・アオバハゴロモ属>

アオバハゴロモ科アオバハゴロモ属の昆虫で、在来種。
日本では、本州以南に広く分布し、海外では、台湾や中国に分布している。
成虫の体長は、翅も含めると10mmほどで、羽も含めて淡緑色。翅にピンクの縁取りがある。
幼虫は、翅がない事を除けば、成虫と同じ姿をしている。
しかし、尾端から分泌する蝋物質のために白い綿に包まれたように見え、成虫と全く異なって見える。

2023/7/18
網引湿原の駐車場から少し進んだ所で、サルトリイバラに付くアオバハゴロモを見つけました。
近くにはアオバハゴロモの幼虫(白い綿に包まれている)が、数匹見られました。
白い綿毛に包まれたモフモフの幼虫を見るのは、ずいぶんと久しぶりな気がします。

ヒメベッコウハゴロモ(Ricania taeniata)
<カメムシ目・頸吻亜目・ハゴロモ型下目・ハゴロモ上科・ハゴロモ科>



ハゴロモ科の1種で、在来種。
日本では、本州から本州、四国、九州、南西諸島に分布するが、個体数はあまり多くない。
海外では、台湾、フィリピン、マレーシアに分布する。
出現時期は定かではない(撮影された日付は7月〜11月が多い)。
体長は4mm前後で、ベッコウハゴロモの半分程度の大きさしかない。
前翅は淡褐色で2本の濃褐色の横帯がある。
イネ科の植物を吸汁し、イネの害虫である。

2021/9/24
田んぼが広がる実家近くを散歩中、道路脇で茂っていたイネ科の草でハゴロモを見かけました。
その周りにもかなりの個体が止まっていたので、この辺りで繁殖していたようです。
ベッコウハゴロモに似ているのですが、ちょっと翅の模様が異なる気がします。
後で調べた結果、ヒメベッコウハゴロモと分かりましたが、ネット上の情報は少ないです。
個体数はあまり多くないそうなので、人の目に触れる機会が少ないためでしょう。


ベッコウハゴロモとヒメベッコウハゴロモ

   .
 <ベッコウハゴロモ>            <ヒメベッコウハゴロモ>
ヒメベッコウハゴロモの体長は、ベッコウハゴロモの半分ほどの大きさしかありません。
ベッコウハゴロモの翅は、半透明な部分が2本の白い帯模様のように見えます。
ヒメベッコウハゴロモの翅には、逆に濃褐色の2本帯模様が見えます。
その濃褐色の帯模様の間に、不明瞭ですが白い帯模様が1本見られます。


ベッコウハゴロモ(Orosanga japonicus)
<カメムシ目・頸吻亜目・ハゴロモ型下目・ハゴロモ上科・ハゴロモ科・Orosanga属>

ハゴロモ科の1種で、在来種。
日本では本州から四国、九州、南西諸島に分布し、平地から低山地で普通に見られる。
海外では、台湾に分布する。
全長9〜11oで、茶褐色の地に白い2本の帯模様があり、翅の後方に一対の黒紋がある。
出現時期は7月〜9月で、成虫も幼虫も、カンキツ類、マメ科植物、一般広葉樹に寄生し、吸汁する。
幼虫は腹部先端から糸状の淡黄色のロウ質物を分泌し、クジャクの翅のように大きく開く。

2023/7/25
網引湿原の駐車場近くで、葉の上にいるベッコウハゴロモに気が付きました。
カンキツ類やマメ科植物などから吸汁しますが、農業害虫としては、さほど問題にはなりません。
ただ、最近、見た目のよく似た外来種(Pochazia shantungensis/和名なし)が、問題になっています。
お隣の韓国やトルコ、南フランスの果樹園で猛威を振るっているようです。
実家近くでもよく見かけるようになっていて、かなり繁殖しているようです。

Pochazia shantungensis(シノニム:Ricania shantungensis)
<カメムシ目・頸吻亜目・ハゴロモ型下目・ハゴロモ上科・ハゴロモ科・Pochazia属>

ハゴロモ科の1種で、外来種。まだ、和名はないようである。
在来種のアミガサハゴロモとよく混同されているが、白斑や翅脈の形状が異なる。
Web上では、海外のよく似たものとして、下記の2種が上がっている。
・Ricanula sublimata :台湾やインドシナ半島に生息する
・Pochazia shantungensis:中国山東省などに生息する
 シノニムはRicania shantungensis
前者は、シンガポールで撮影された画像を見ることができた。
後者は、フランスで撮影された画像や解説を見ることができた。
後者に関しては、駆除に関する論文なども発表されていて、それらをまとめると下記の通りである。
「浙江省の道端や山東省の果樹園で見られ、最近、韓国西部やトルコに侵入している。
2010年に韓国南部の沿岸地域で報告され、2018年にトルコと南フランスで報告されている。
体色は暗褐色〜黒色で、体長はオスで7.5〜7.8mm、前翅端までは14〜14.4mmである。
メスでは体長は8.3〜8.8mmで、前翅端までは15〜15.3mmである。
頭部は前後に短く、左右に幅広くて、眼は茶色〜暗褐色。
幼虫は、尾端にフィラメント状の白いロウ物質を付け、体を覆っている。」

今回撮影したものをこの両者と比較した場合、下記の点から後者に近いと思われる。
・翅の色:前者は抹茶のような粉が付き、前翅前縁に白斑が見られない
 後者は暗褐色〜黒色で、前翅前縁の中央付近に白斑がある
 本種は暗褐色の地に褐色の粉が付き、前翅前縁の中央付近に白斑がある
・翅の形:前者は肩の張りが少なく、スマートな印象である
 後者は肩の張りが強く、かなりいかり肩な印象である
 本種の肩の張りは強めで、いかり肩な印象である

2022/6/24
実家の庭で散水をしているとき、盆栽の松の枝に付いているハゴロモに気が付きました。
見たことがないハゴロモだったので、捕獲して写真を撮りました。
翅の斑紋などからアミガサハゴロモではと思ったのですが、斑紋の形が違います。
このときは、時間がなかったのでこれ以上は調べませんでした。


2022/6/25          2022/6/25          2022/6/26

2022/6/25                  2022/6/25
翌日、実家近くを散歩中、民家の庭先の樹に数匹が付いているのに気が付きました。
よく見ると白いロウ物質を付けた幼虫も成虫の近くいたので、ここで繁殖したようです。
上段右端は、幼虫の写真を撮り直しに行ったときに、アップで撮ったものです。
下段は、腹面を撮りたくて指に止まらせて撮ったものです。逃げもせず、大人しくしていました。


2022/6/26
幼虫を撮りに行ったとき、葉の上に1匹止まっているのに気が付きました。
枝に止まっているときは翅を立てていましたが、葉の上では翅を開いて止まっています。
止まる場所で、翅の向きを変えて態勢を変えているのでしょうか、それとも別の意味がある?


2022/6/26
幼虫の写真があまり良くなかったので、撮り直してきました。
上から見るとモジャモジャで何だか分かりませんが、横から見ると眼などが確認できます。
ほとんどの部分はロウ物質で隠れてしまっていますが、見えている所は真っ白です。

ハゼアブラムシ(Toxoptera odinae)
<カメムシ目・腹吻亜目・アブラムシ上科・アブラムシ科・アブラムシ亜科・アブラムシ族>

アブラムシ科アブラムシ族の昆虫の一種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、出現時期は4月〜11月。
体長は1.7mmで、体色は赤褐色〜暗褐色と個体差があるが、寄主植物の影響も受ける。
角状管と尾片は暗色で、短めであり、尾片は角状管よりも長い。
多食性のアブラムシで、ヌルデ、ハゼ、タラノキ、サンゴジュ、トベラ、モクレンなどに付く。
春はヌルデやハゼに、初夏はサンゴジュやトベラに多いとされる。

2021/6/29
実家近くの川沿いに生えているナンキンハゼを見に行くと、所々にアブラムシが付いていました。
アブラムシが付いているのは前から知っていたのですが、有翅型が居るのに気が付いて撮影しました。
体色(赤褐色〜暗褐色が混在)等からハゼアブラムシと分かりました。春はハゼに付く事が多いそうです。









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