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城山湖、城山周辺 野草編(冬T)



純揚水式の城山発電所建設にともなって誕生したのが人造湖の城山湖。
その城山湖を周回する散策路があり、その近くでは、いろいろな野草が楽しませてくれます。
また、そこに至る城山の周辺や相模川周辺にもいろいろな野草が見られます。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の野草を追加しました。
アオキ、オニシバリ、ヤマノイモ、オニドコロ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
ガリア目
ガリア科(アオキ)
フトモモ目
ジンチョウゲ科(オニシバリ)
ヤマノイモ目
ヤマノイモ科(オニドコロ、ヤマノイモ)
城山湖、城山周辺の野草(冬T)
和名インデックス


アオキ(Aucuba japonica)
<ガリア目・ガリア科・アオキ属>
 
ガリア科アオキ属の常緑低木で、日本固有種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州、南西諸島の森林に自生し、日陰でも良く育つ。
樹高は2m程で、常緑で枝も青い。それが和名の由来ともなっている。
雌雄異株で、花期は3月〜5月。枝先に円形花序をだし、紫褐色の花弁は4枚。
雄花は、雌花より多く付き、4本のオシベが特徴。雌花には下部に子房があり、オシベが退化してない。
果実は楕円形で、秋頃から赤く熟し(黄色や白に熟すものもある)、翌年の5月頃まで付いている。

2021/2/19
城山湖の遊歩道脇脇で見かけたアオキです。道路の直ぐ脇にあった小さな木が目にとまりました。
しかし、近くを見ると樹高が1mを超える大きな木が多数ありました。
道路脇の斜面には、樹高が数mを越えそうな大きな木も数本見られました。


アオキの雄花と雌花

     .
<雄花>                  <雌花>
アオキの雄花と雌花です。雄花は、雌花より多く付き、4本のオシベが特徴です。
雌花の基部には子房があり、オシベは退化してありません。


オニシバリ(Daphne pseudomezereum)
<フトモモ目・ジンチョウゲ科・ジンチョウゲ属>
 

 
ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑小低木で、在来種の有毒植物。
日本では、本州の東北〜東海東部の太平洋岸、近畿地方以西、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
樹高は0.5〜1.5mで、枝はよく分枝し、汚灰茶色で全体が無毛。
枝は短く、丈夫で平滑であり、不規則な縞があって無毛。
樹皮は非常に丈夫で切れにくいため、鬼を縛っても切れないだろうというのが和名の由来。
葉は互生し、葉身は長さ4〜13cmの長楕円形で、半革質で柔らかく、両面とも無毛。
基部は楔形、先は鈍形で全縁。側脈は7〜12対あり、縁近くは不規則に分枝して網目状。
7月〜8月に落葉するのでナツボウズの別名がある。8月〜9月に枝端から新葉と蕾が生える。
花期は2月〜4月で、雌雄異株。花は淡黄緑色で、葉腋に束生状に2〜10個付く。
花弁はなく、長さ5〜9mmの萼筒の先が4裂し、長さ3〜5oの裂片が開出する。
花序柄や苞は無く、花柄はごく短い。オシベは8個ある。
下側のオシベは咢筒の中間に付き、上側のオシベはのど部に付いて萼筒から少し出る。
雌株の花の方が少し小ぶりで、花後、小花柄は枝にいぼ状に残る。
子房は無柄で楕円形になり、花柱はごく短く、柱頭は円盤形になる。
果期は5月〜7月で、直径8mm前後の楕円体の液果が赤く熟すが、辛くて有毒。

2021/2/19
城山湖の遊歩道脇の斜面で、昨年、オニシバリが真っ赤に熟した果実をたくさん付けていました。
その果実を見かけた所に行ってみると、ちょうど花が咲き始めた所でした。
利尻島で見かけたナニワズの花とよく似た淡黄色の花です。

オニドコロ(Dioscorea tokoro)
<ヤマノイモ目・ヤマノイモ科・ヤマノイモ属>
 

 
ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草で、日本各地の山野に自生している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
葉は互生し、長さや幅が5〜15pの円心形から三角状心形で、先が尖る。葉柄は5〜10pほど。
花期は7月〜8月で、雌雄異株。雄花序は葉腋から立ち上がり、淡緑色の花を多数付ける。
雄花の花被片は6個で、直径4oほど。平開し、オシベが6個ある。
雌花序は葉腋から垂れさがり、淡緑色の花をまばらに付ける。長さ10oほどの下位子房がある。
花弁は6個で平開し、退化したオシベ6個とメシベがあり、花柱は3裂する。
果実には3室あり、それぞれに2個の種子が入っている。種子は楕円形で、片側に翼がある。
ヤマノイモに良く似るが、葉が互生する点、ムカゴを作らない点などが異なる。
根はアルカロイドを含み、食用には適さないが、灰汁であく抜きすることで食べることはできる。

2021/2/19
城山湖の遊歩道脇で見かけたオニドコロです。この辺りではたくさん見られました。
そのようなオニドコロに混じって、所々でヤマノイモの果実も見られました。
オニドコロの果実は上向きに付いているので、裂開しても種子が残っているものが見られました。
下段が裂開した果実ですが、3方向に張り出した陵(翼)に、片翼の種子が各々2個入っています。
1個の果実に種子が6個入っていますが、左側のものは1個、右側のものは4個残っています。


オニドコロの花と種子

       .
<雄花>          <雌花>             <種子>    .
オニドコロの雄花と雌花、そして種子です。
雌花の基部には子房があり、子房には3つの稜があります。これが大きくなって果実の陵(翼)になります。
種子は、これだけ見ると松の種子とよく似ていて、よく見ないと間違えそうです。


ヤマノイモ(Dioscorea japonica)
<ヤマノイモ目・ヤマノイモ科・ヤマノイモ属>
 
ヤマノイモ科・ヤマノイモ属のつる性多年草で、日本固有種。
日本では、北海道南西部から本州、四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
葉は対生し、長さ10p前後の三角状披針形で、基部は心形。葉柄は数pある。
花期は7月〜8月で、雌雄異株。種子のほかムカゴでも繁殖する。
雄花序は、葉腋から数本が直立し、白色の小さな花を多数つける。
雌花序は、葉腋から下垂し、白色の花がまばらにつく。
地下には1本の芋があり、地上部の成長と共に縮小し、秋には新たな芋と置き換わる。
芋は、ジネンジョとうな名前で売られているが、食べられるようになるには4〜5年を要する。

2021/2/19
城山湖の遊歩道脇で見かけたヤマノイモの弾けた果実です。
果実には円形に近い3個の陵(翼)があり、3裂して軍配のような形になっていました。
オニドコロと違って、果実は下向きに付いているので、種子が残っているものは見られませんでした。


ヤマノイモの果実と種子

       .
<果実>           <果実を割った所>           <種子>
ヤマノイモの果実と種子です。
自宅近くで見かけたヤマノイモの果実を手で割ってみたものです。
1つの陵(翼)に2個の種子が入っていました。種子には、丸い翼が付いており、よく飛びそうです。










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