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神奈川県立相模原公園・相模原市立麻溝公園 公園に暮らすその他の生物



神奈川県立相模原公園と相模原市立麻溝公園は隣り合っていて、陸橋でつながっています。
神奈川県立相模原公園には、花菖蒲の「水無月園」、フランス式庭園、大温室などがあります。
相模原市立麻溝公園は、多くのアジサイとクレマチスなどが植栽されていて楽しめます。

この両公園で見かけたその他の生き物たちです。
といっても、特定の時期だけですので、四季を通じて訪れればもっといろいろいると思います。

< トピック >
今回、新たに出会った下記の生物などを追加しました。
ハナグモ、ジョロウグモ、ミスジマイマイ



ここでは、下記のものを掲載しています。
クモ目
カニグモ科(ハナグモ)
コガネグモ科(シロスジショウジョウグモ)
ジョロウグモ科(ジョロウグモ)
 
有肺目・真有肺亜目・柄眼下目
オナジマイマイ科(ミスジマイマイ)
ナメクジ科(ヤマナメクジ)
公園に暮らすその他の生物
和名インデックス


ハナグモ(Ebrechtella tricuspidata)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・カニグモ科・カニグモ亜科・ハナグモ属>
 
カニグモ科のクモの1種で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州、琉球諸島まで、海外では旧北区に広く分布している。
平地から低山帯にかけての草地や里山、耕作地、川原から市街地の公園緑地などに広く見られる。
全身がほぼ黄緑で歩脚を左右に広げるクモで、体長はメスで6〜7mm、オスで3〜4oである。
体色は、メスでは背甲や歩脚は黄緑色で、腹部は白、黄色、黄緑色など個体によって差がある。
なお、腹背には複雑な形の褐色の斑紋を示すことが多く、その斑紋の形は個体によって異なる。
オスでは、背甲は黄褐色の地に左右1対の幅広の黒褐色の縦の帯状斑紋がある。
腹部は濃い緑色に黒褐色の斑紋がある。雌雄とも腹部に斑紋があるが、幼生にはないことが多い。
メスでは背甲は幅広く、中窩(中央のくぼみ)はない。眼は8眼2列で、大きさはほぼ同じである。
歩脚は横向きに伸び、中でも第1脚と第2脚が特に長くなっている。

2020/9/19
県立相模原公園の道路脇の生け垣で、イタドリの写真を撮っていると左右に伸びる脚に気づきました。
たぶん、ハナグモではないかと方向を変えてアップで撮り直しました。
それを見直すと、腹部がきれいな緑色で、背甲は汚灰色と、ハナグモ(メス)とは逆の配色です。
そのようなクモはいないかと調べたのですが、見つけられませんでした。
改めて、ハナグモを調べ直していて、オスの配色に似ていることに気が付きました。
脚の配色(各節が褐色)は同じなのですが、背甲の左右にある暗色の帯状斑紋がありません。
ハナグモのオスの亜成体なのではないかと思っています。


ハナグモの腹部背面の模様

ハナグモのメスは、腹部が白く、背面に独特の褐色斑があります。
この褐色斑には変異があり、下記のように個体によってかなりの違いがあります。

     .
2016/8/27            2014/5/27
左は、ひげを蓄えたオヤジの顔、右はムンクの「叫び」の顔に見えませんか。
いろいろ集めると、面白いコレクションになるかもしれません。


シロスジショウジョウグモ(Hypsosinga sanguinea)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・コガネグモ上科・コガネグモ科・ショウジョウグモ属>

コガネグモ科ショウジョウグモ属の1種で、在来種。
日本では北海道から本州、四国で生息が確認されているが、九州では未確認。
体長は、オスで3o前後、メスで3〜5mmと小型のクモである。
成体が見られるのは6月〜8月で、草原や林縁の草間、枝葉間などに小さめの垂直円網を張る。
体色は変異があり、全体が赤褐色、黒色のもの、黒地に白い線状、赤褐色地に黒点があるものがいる。

2007/6/10
相模原市立麻溝公園でアジサイを撮影した際、写り込んでいたものです。
クモらしくない橙色の体色と、お尻にある黒斑が特徴です。
いろいろ調べていると、シロスジショウジョウグモの「赤色フタホシ型」に行き着きました。

ジョロウグモ(Nephila clavata)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・コガネグモ上科・ジョロウグモ科・ジョロウグモ属>
 

 
   <メス 亜成体>                <オス>
ジョロウグモ科ジョロウグモ属に属するクモで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布し、森林や公園などでよく見かける。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾、インドに分布する。
春に孵化して、秋に成虫となるが、巣の場所による餌の量が成虫の大きさに影響する。
幼体の腹部は複雑な斑模様であるが、成体になると模様が変わる。
メスの成体は、大きいものは30mmに達し、腹背は黄色と黒の縞模様で、下面に鮮紅色の紋がある。
オスの成体は、大きいものでも十数mmしかなく、腹背には黄色と褐色の縦縞の複雑な模様を持つ。
ジョロウグモの巣は、直径1mほどにもなる大型で、前後に補助網を持つ三重構造になる。
また、円網の縦糸は、中心から外に向かって順次二又に枝分かれしていく。
そのため、円網を構成する扇型の大きさが、中心部と外周部でもあまり変わらない特徴がある。
ジョロウグモは、「女郎蜘蛛」と書くが、古くは「上臈(ジョウロウ)」であったとの説もある。
「女郎」と「上臈(身分の高い人)」では、その意味に天と地ほどの違いがある。

2020/9/19
県立相模原公園の大温室の裏手で、何匹かのジョロウグモが巣を張っていました。
その内の1つで、メスの亜成体とお腹を向けあうようにオスが張り付いているのに気が付きました。
上段右側はオス側から、下段左側はメス側から撮ったものですが、雌雄の大きさの差が分かると思います。


いろいろなジョロウグモ

       .
  <オス>       <メス[亜成体]>       <メス[成体]>
ジョロウグモのオス、メスの亜成体、成体の比較です。
同じジョロウグモとは思えないほど、大きさ、腹部の模様が異なります。

ジョロウグモに似たクモ

       .
 <コガネグモ[メス]>   <ジョロウグモ[メス]>  <ナガコガネグモ[メス]>
ジョロウグモとコガネグモは、似ていることもあり混同されることも多いクモです。
体型的には、腹部が楕円形のナガコガネグモの方が似ているかもしれません。


ヤマナメクジ(Meghimatium fruhstorferi)
<有肺目・真有肺亜目・柄眼下目・ナメクジ科・ナメクジ属>

日本原産のナメクジの1種で、日本では本州から四国、九州に分布している。
体長150mm程になる巨大なナメクジ。山地の樹幹や石の下などで見られる。
背面は灰褐色〜黒褐色で、両側に縦に走る幅広の暗色の帯状の紋があり、足に近い部分では淡色になる。
また、背面中央にも暗色の斑文が縦に並び、背面〜側面にかけて暗褐色の顆粒状の隆起が縞状にに並ぶ。
山間部や森林内に生息し、キノコを好んで食べる。
普段は倒木の下などに潜んでおり、夜間や雨などで薄暗いときは昼間も活動する。
冬には大木のうろの奥深くに潜って越冬する。

2020/9/14
県立相模原公園でツクツクボウシやヒグラシの抜け殻を探しているときに見つけました。
モミジの樹の下から見上げて探していた時、近くの樹の葉裏で丸くなって付いていました。
見た途端、その大きさや色模様からヤマナメクジだと直ぐに分かりました。
美ヶ原高原で見たことがあり、その巨大さが強く印象が残っていたためです。

ミスジマイマイ(Euhadra peliomphala)
<有肺目・真有肺亜目・柄眼下目・マイマイ上科・オナジマイマイ科・マイマイ属>
 
オナジマイマイ科マイマイ属のカタツムリで、日本固有種。
日本では、関東地方南部から中部地方東部に分布する。
平野部から山地帯の広葉樹の疎林、公園や庭園などの地上から樹上までに生息する。
高温多湿の日には活発に這い回るが、気温16℃、湿度70%以下では休眠する。
和名は殻の周縁に、はっきりした3本の色帯が目立つ個体が多いことに由来する。
ただし、色帯の数は1本のもの、2本のもの、あるいは模様のないものも存在する。
殻は右巻きで、直径は大きなものでは4cm前後になり、軟体部の背中には暗褐色の縦筋が入る。
繁殖期は4月〜10月で、雌雄同体なので他個体と精莢を交換した後に産卵する。

<広東住血線虫について>
近年、マイマイやナメクジには、広東住血線虫が寄生している可能性がある事が知られています。
成虫は、ドブネズミやクマネズミに寄生し、その糞から中間宿主に入って感染幼虫になります。
中間宿主には、アフリカマイマイ(小笠原、沖縄などに生息)や数種のマイマイ、ナメクジが含まれます。
それ以外にも、アジアヒキガエルなどのカエルや、淡水産のエビ、ジャンボタニシも含まれます。
また、マイマイやナメクジが通った後の粘液にも寄生虫が付着している可能性がありす。
中間宿主を生で食べないことはもちろんですが、触った後にはしっかり手を洗うことが必要です。
広東住血線虫に感染すると髄膜脳炎で死亡する事もあり、特効的な治療法もないそうです。
中間宿主から沖縄など琉球諸島を連想されるかもしれませんが、全国各地で検出されています。

2020/9/19
県立相模原公園の芝生広場近くの樹の幹で、2mほどの高さで張り付いているカタツムリを見つけました。
ジッとしていて動く気配はありません。ここのところ好天で乾燥しているので休眠中なのでしょう。
なお、この個体は良く見ると茶褐色の筋模様が1本だけで、殻の一部が歪んでいます。









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