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神奈川県立相模原公園・相模原市立麻溝公園 秋の野草



神奈川県立相模原公園、相模原市立麻溝公園の四季を彩る植栽や野草を季節毎にまとめたものです。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の野草を追加しました。
フヨウ、ノブキ、ヒガンバナ、シロバナヒガンバナ、ホウキギ、イタドリ、ヌスビトハギ、
アレチヌスビトハギ、フジカンゾウ、ヒマラヤタマアジサイ、オニドコロ、オオベンケイソウ

また、下記の写真も追加しました。
クレマチス



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
アオイ目
アオイ科(フヨウ)
キク目
キク科(コウテイダリア、ノブキ)
キジカクシ目
ヒガンバナ科(ヒガンバナ、シロバナヒガンバナ)
キンポウゲ目
キンポウゲ科(クレマチス)
ナデシコ目
タデ科(イタドリ、ヒメツルソバ、ホウキギ)
バラ目
バラ科(ジュウガツザクラ、フユザクラ)
マメ目
マメ科(アレチヌスビトハギ、ヌスビトハギ、フジカンゾウ)
ミズキ目
アジサイ科(ヒマラヤタマアジサイ)
ヤマノイモ目
ヤマノイモ科(オニドコロ)
ユキノシタ目
ベンケイソウ科(オオベンケイソウ)
四季の野草
和名インデックス


フヨウ(Hibiscus mutabilis)
<アオイ目・アオイ科・フヨウ属>
 
 
アオイ科フヨウ属の落葉低木で、在来種。原産地は、日本南西部、台湾、中国。
ただし、日本南西部に自生しているものも、史前帰化種で、中国渡来とする説もある。
樹高は1〜3mで、幹は白色を帯び、平滑で、叢生する。若枝は緑色で、星状毛と腺毛がある。
葉は互生して、長さ10〜20cmで5〜7裂し、基部は心形で裂片の先は尖る。
葉柄は長さ5〜12cmで、葉の両面、葉柄とも白い短毛と腺毛がある。
花期は7月〜10月で、枝の上部の葉腋に、直径10〜14cmで白色〜淡紅色の花を付ける。
花弁は一重咲きでは5個で、八重咲品種や、花色が変化する品種もある。
萼は5裂し、副萼は裂片が線形で10個ある。オシベは多数あり、根元が筒状に合着し、花柱を覆う。
メシベは、花柱の先が上向きに曲がり、先が5裂して毛が密生し、柱頭は平らに開く。
なお、フヨウの花は朝咲いて、夕方にはしぼむ1日花。

2020/9/19
相模原市立麻溝公園の花の谷で、ピンクと白のフヨウが大柄な花を咲かせていました。
まだ、多くのツボミを付けていましたので、もうしばらくは楽しめそうです。

ノブキ(Adenocaulon himalaicum Edgew.)
<キク目・キク科・キク亜科・ノブキ属>


 
 
キク科ノブキ属の多年草で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では朝鮮半島から中国、ロシア、インド、ネパールに分布する。
草丈は50〜80cmで、地下茎が横に這い、先で茎を立ち上げて上方で分枝する。
葉は基部に集まって付き、葉柄は長さ10〜20cmで狭い翼がある。
葉身は長さ10〜15cm、幅10〜20cmの三角状腎形で、先はやや尖り、基部は心形。
見た目の形はフキの葉に似ている。葉裏には白い綿毛が密生する。
花期は7月〜10月で、分枝した茎の先に円錐花序を付ける。
頭花は直径5oほどで、長さ2.5mm、幅5mmほどの半球形の総苞片が5〜7個付く。
頭花の外周には雌花が7〜11個並び、その内側には両性花が7〜18個並ぶ。
雌花の花冠は長さ1.5mmの広鍾形で4〜5裂し、退化した葯がある。
両性花の花冠は白く、筒状で長さは2oほどで、5裂した裂片は1mmほど。
なお、雌花は結実するが、両性花は不稔のため、果実は頭花の外周に輪状に並ぶ。
果実は痩果で、長さは6〜7mm。先端付近に柄のある腺体が多数あって、衣服などに付着する。

2020/9/14
神奈川県立相模原公園のこもれびの径の両脇では、ノブキが花を付けていました。
最初に見かけたのは花だったのですが、歩いていると既に結実したものも見られました。
中段がノブキの花ですが、周辺にある少し突き出した花が雌花です。
右の写真の方が分かり易いですが、雌花の基部にはこん棒状の子房が付いています。
花後には、不稔の両性花は無くなり、下段左のように外周にこん棒状の果実が並びます。
その果実が落果するなどして無くなると、下段右のように総苞片だけが残ります。

コウテイダリア(Dahlia imperialis)
<キク目・キク科・キク亜科・ハルシャギク連・ダリア属>
 


キク科ダリア属の多年草で、メキシコ原産の帰化植物。
日本では、園芸用に多種多様な、花色、花容の品種が栽培されている。
ただ、メキシコの高原が原産地のため、高冷地である東北や北海道の方が良い花が咲く。
本種は、テイオウダリア、キダチダリアの別名を持ち、草丈が数メートルに達する超大型種。
花期は、11月中旬から12月中旬だが、霜が降りると花に大きなダメージを与える。

2014/11/24
神奈川県立相模原公園フランス式庭園の外れ、モニュメントの近くに高くそびえて咲いていました。
草丈が5m近くあるので、まさに見上げないと花を見ることができません。
ピンクの大きな花なのですが、草姿が大きすぎるので、花が小さく見えてしまいます。

ヒガンバナ(Lycoris radiata)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・ヒガンバナ連・ヒガンバナ属>


 
ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、原産地が中国の古い時代の帰化種。
日本では、北海道から四国、九州と全国に広く分布している。
日本以外では、朝鮮半島から中国南部に広く自生している。
ヒガンバナは、遺伝的に同一であり、三倍体のため、種子で増えることはない。
そのため、中国から帰化した1つの球根から、全国に広がったものと思われる。
鱗茎は直径1〜3cmの類球形で、草丈は30〜50cmになる。
葉は花後の10月頃に出て、翌春に枯れる。長さ30〜60cmの線形で、新緑色で光沢がある。
花期は8月〜9月で、長さ30〜50cmの花茎のみを立ち上げ、散形花序に花を4〜7個付ける。
6個の花被片は鮮紅色で、長さ4cm前後の狭披針形。強く反り返り、縁が強く波打つ。
2個の総苞は、披針形で長さ3cm前後。オシベは6個とメシベ1個は、花被片より長く突き出す。

2020/9/19
相模原市立麻溝公園の花の谷の片隅で、ヒガンバナが花を咲かせていました。
5日前に来た時には、ヒガンバナはなかったと思いますので、その後に伸びたのでしょう。
ナツズイセンも花芽が出てから、開花するまで1週間かかっていませんでしたので、同じようなものでしょう。

シロバナヒガンバナ(Lycoris albiflora)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・ヒガンバナ連・ヒガンバナ属>






 
ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、北海道から四国、九州と全国に広く分布。
ヒガンバナとショウキズイセンの種間交雑種といわれている。
鱗茎は直径1〜3cmの類球形で、草丈は30〜50cmになる。
葉は花後の10月頃に出て、翌春に枯れる。長さ30〜60cmの線形で、新緑色で光沢がある。
花期は8月〜9月で、長さ30〜50cmの花茎のみを立ち上げ、散形花序に花を4〜7個付ける。
6個の花被片は長さ4cm前後の狭披針形で、強く反り返り、縁が強く波打つ。
花色は、純白に近いものから淡いピンク、クリーム色などいろいろな色合いのものがある。
2個の総苞は、披針形で長さ3cm前後。オシベは6個とメシベ1個は、花被片より長く突き出す。

2020/9/19
相模原市立麻溝公園の花の谷の片隅で、シロバナヒガンバナが花を咲かせていました。
5日前に来た時には、ヒガンバナも含めてなかったと思いますので、その後に伸びたのでしょう。
シロバナヒガンバナは少し離れてポツリポツリと咲いていましたが、その色が微妙に異なります。
ショウキズイセンとの種間交雑種といわれているので、その形質の現れ方で微妙に異なるのでしょう。
ショウキズイセンの黄色味が残るものからピンクがかったもの、純白に近いものまで、色合いは様々です。


ヒガンバナ・シロバナヒガンバナ・ショウキズイセン

       .
  <ヒガンバナ>        <シロバナヒガンバナ>       <ショウキズイセン>
シロバナヒガンバナは、ヒガンバナとショウキズイセンの種間交雑種といわれています。
その3者の花を比較のために並べてみました。
シロバナヒガンバナには純白のものはないと言われていますが、それに近いものもあります。
上記のシロバナヒガンバナには中心に若干黄色味が残っていますが、ほぼ純白に近いものです。
多くのシロバナヒガンバナは、前述のように黄色味ががったものからピンクまで、わずかに色付いています。


クレマチス(Clematis)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・センニンソウ属>
 
キンポウゲ科センニンソウ属の多年草で、花が大きく観賞価値の高い品種の総称。
クレマチスの原種は約300種類存在するされ、日本を含め北半球に広く分布している。
花には花弁はなく、花弁のように見えるのは萼で、原種は花も小さく、花色も限定される。
果実は先端に鞭状の突起があり、その表面に多数の綿毛が付く。
葉は3出複葉か2回3出複葉で、つる性のものでは葉柄が他のものに絡んで茎が固定される。
日本産の原種としては、ボタンヅル、センニンソウ、ハンショウヅル、カザグルマ等がある。
それらの中でもカザグルマのように大柄で平開する花が観賞用として、喜ばれる。
現在、人工交配などによって2000種を超える品種が作出されている。
花期は4月〜10月と長く、12月〜2月に咲く冬咲きの品種もある。
花の形には、一重咲き、八重咲き、万重咲き、チューリップ咲き、釣鐘型などがある。

2020/9/19
相模原市立麻溝公園の水の広場の周りなどで、クレマチスの花が細々と咲き残っていました。
開花時期は春咲きから冬咲きまであり、四季を通じて何かしらの花が見られます。
ただ、ここでは春から夏にかけて咲く品種が多いようで、秋に見られるものは少ないです。
写真のチューリップ咲きの花は、第2駐車場の柵に絡みついて咲いていました。

ここで見られるクレマチスの品種に関しては、こちらをご覧ください。

ホウキギ(Bassia scoparia)
<ナデシコ目・スベリヒユ科・ハゼラン属>


 
ヒユ科バッシア属の一年草で、アジア原産の帰化植物。別名、ホウキグサ。
なお、旧分類がホウキギ属(Kochia)であったため、コキアの名でも知られている。
草丈は、30〜100cmで、株元からよく分枝し、多数の細い枝が直立して束状に伸びる。
根元から切って乾燥させると、そのまま箒として使用でき、それが和名の由来。
葉は互生し、葉身は長さ2〜3cmの線状披針形。秋には紅葉し、茎も赤くなる。
花期は8月〜10月で、葉腋に数個の花を固まって付ける。
花は直径2〜3oの淡黄緑色で、花弁はなく、雌花と両性花がある。
両性花では、オシベの葯がかなり目立つ。
畑のキャビアとして知られるトンブリは、本種の種子の大きな系統の果実から作られる。
この系統は草丈が高くなるが、紅葉はしない。
観賞用にはハナホウキギ(B.scoparia var. trichophylla)が利用されることが多い。
草姿が丸みがあってコンパクトで、美しく紅葉する。

2020/9/14
相模原市立麻溝公園の花の谷にホウキギが植えられている所があり、こんもりと良い形になっていました。
上部の茎の一部が赤くなっていたので近づくと、開花してオシベが突き出していました。
オシベが目立っているので、この花は両性花だと思われます。

イタドリ(Fallopia japonica)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イタドリ属>
 
タデ科イタドリ属の多年草で、スカンポなどの別名を持つ。
北海道東部を除く日本全土、朝鮮半島から中国、台湾に分布する東アジア原産種。
世界の侵略外来種の選定種で、その旺盛な繁殖力ゆえに嫌われ者です。
草丈は1〜2mほどで、根茎を横に伸ばして増える。茎は中空で節があり、若い時に紅紫色の斑点がある。
葉は互生し、長さ10〜15pほどの広卵形で、基部は水平になり、先は急に尖る。
花期は7月〜10月で、葉腋から枝を出し、その先に多数の小花を付ける。
雌雄異株で、花被は白色から紅色で5裂する。
雄花にはオシベが8個あり、メシベは極小さい。雌花には3個の花柱があり、オシベは極小さい。
花後、雌花の外側の3個の花被片が翼状に大きくなり、痩果を包む。

2020/9/19
県立相模原公園の道路脇の生け垣で、その隙間からイタドリが枝を伸ばして花を付けていました。
その花の形を確認すると、オシベが突き出していましたので、雄株(雄花)と分かりました。
手入れされている公園ですので、他にはイタドリは見当たりませんでした。

ヒメツルソバ(Persicaria capitata)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

タデ科イヌタデ属の多年草で、ヒマラヤ原産の帰化植物。
茎は地を這い、よく分枝して広がる。茎期は赤褐色で長い毛がある。
葉は長さ15〜35mmの卵形で先が尖り、表面には山形の暗紋がある。
花期は5月〜11月でであるが、真夏には花を付けない。
直径1cm前後のピンクの小花が球形に密集して付く。

2006/11/25
県立相模原公園フランス式庭園の外れ、モニュメントの近くの地面を赤く染めていました。
ときおり、ヒメツルソバが大きく広がっているのを見かけますが、紅葉しているのは初めて見ました。
紅葉するには、葉にグルコース(ブドウ糖)を蓄える必要があり、この場所は紅葉する条件が整っているのでしょう。

フユザクラ(Cerasus ×parvifolia 'Fuyu-zakura')
<バラ目・バラ科・モモ亜科・モモ連・スモモ属・サクラ亜属・サクラ節>
 


ヤマザクラとマメザクラの雑種で、開花は11月〜12月と4月の2度咲き。
花は中輪の一重咲きで、5花弁。花色は白色。
群馬県鬼石町の桜山公園は、本種が多数植えられているサクラの名所。

2014/11/24
県立相模原公園の芝生広場、その外れにフユザクラが植えられていました。
最初に気が付いた時には、まだ、若木であったこともあり、パラパラと花が付いている程度でした。
久しぶりに見に行くと、ずいぶんと大きくなり、花数も増えて、桜らしい姿になっていました。

ジュウガツザクラ(Cerasus × subhirtella cv. Autumnalis)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・モモ連・スモモ属・サクラ亜属・サクラ節>
 

 
マメザクラとコヒガンザクラの雑種で、開花は10月頃から翌春まで断続的に咲く。
花は、小輪の八重咲きで、花弁は5〜18枚と一定していない。
晩秋に咲く花は、春に咲く花より小さく、花弁にねじれがある。
花は白色のものが多いが、淡い紅色、濃紅色などもある。

2014/11/24
県立相模原公園の芝生広場、その外れにフユザクラと共に植えられていました。
最初、本種とは気が付かず、後で、一回り小振りの八重の花、波打つ花弁から、本種と分かりました。
花弁の色も、白ではなく、淡いピンクを帯びた色合いで、遠目にもよく見ると違いが分かります。

ヌスビトハギ(Desmodium podocarpum subsp. Oxyphyllum)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ヌスビトハギ連・ヌスビトハギ亜連・ヌスビトハギ属>


 
  マメ科ヌスビトハギ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、東南アジアの一部に分布する。
草丈は1m前後になり、根元はやや木質化する。葉は、互生し、3出複葉になる。
花期は7〜9月で、長さ3〜4mmの淡紅色の花は、細長い花序にまばらに付く。
節果は、2個の小節果よりなり、小節果は長さ5〜7mmの半円形。
その形が盗人の抜き足差し足の足跡に似るのが、和名の由来。

2020/9/14
県立相模原公園のこもれびの径を歩いていると、所々でヌスビトハギが花を付けていました。
まだ、果実になっているものはほとんどなく、花が咲き始めて間がないようです。

アレチヌスビトハギ(Desmodium paniculatum)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ヌスビトハギ連・ヌスビトハギ亜連・ヌスビトハギ属>
 

 
  マメ科ヌスビトハギ属の多年草で、北アメリカが原産地。
日本へは比較的近年入ってきた帰化植物で、関東以西に多いが、北海道にも侵入している。
草丈は50〜100cmになり、茎は木質化し、開出毛が多い。葉は互生し、3出複葉。
小葉は長さ5〜8cmの卵形〜狭卵形(個体による変異が大きい)で先端は尖り、両面に伏毛がある。
花期は7〜9月で、葉腋から細長い円錐花序を出し、紅紫色の蝶形花をまばらに付ける。
花冠の長さは6〜9mmで、旗弁は丸みを帯びて、黄緑色で長楕円形の斑紋が2つある。
昼間に開花した花は紅紫色だが、夕方には青く変色し、しぼみ始める。
オシベ9個とメシベ1個は、訪虫されると竜骨弁から飛出し、そのままになる。
萼は長さ3o前後で、先が不同に4裂する。下片が最も細長く、上片の先は2浅裂する。
果実は扁平な節果で、節毎にくびれ、長さ6〜7mm前後の小節果3〜6個からなる。
果実が熟すと節が茶色くなり、小節果が節からちぎれ易くなる。
小節果にはかぎ状の毛があり、人や動物が近くを通ると、節からちぎれてくっ付き、運ばれる。

2020/9/14
相模原市立麻溝公園のセンター広場から下りる途中、通路脇でアレチヌスビトハギが花を付けていました。
先週、ここを通ったときには別のものを探していたので、しっかりと見落としていたようです。
花冠はフジカンゾウよりいく分小さめで、旗弁(きべん)基部に縁取りのある黄緑色の斑紋があります。
互生する葉が3出複葉で、細めの狭卵形の小葉もアレチヌスビトハギの特徴です。
もう少し下りた所には、アレチヌスビトハギが大きな群落を作っていて、一面を覆っていました。

フジカンゾウ(Desmodium oldhamii)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ヌスビトハギ連・ヌスビトハギ亜連・ヌスビトハギ属>
 

   
マメ科ヌスビトハギ属の多年草で、在来種。
日本では本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮から中国、ロシアに分布する。
草丈は50〜150cmと大柄で、 茎は直立〜斜上し、茎にはまばらに毛がある。
葉は互生し、奇数羽状複葉で、小葉は5〜7個付く。葉柄は長さ4〜6cm。
小葉は長さが8〜16cmの長楕円形で、先が尖り、基部は楔形である。
托葉は線形で長さ7〜8mmある。小葉の縁は前縁で、葉脈は葉の縁まで届く。
花期は8月〜9月で、茎頂と上部の葉腋に長い総状花序を出し、多数の蝶形花(ちょうけいか)を付ける。
花冠は長さ7〜10mmの淡紅紫色で、花柄は長さ4〜6mm。萼は小さく5浅裂して毛がある。
花柄は果時には6〜11mmになり、果実は1〜2個の長さ12〜16mmの半月形の小節果からなる。
小節果の表面は単鈎毛があり、動物や衣服にくっついて運ばれる。

2020/9/14
県立相模原公園のこもれびの径を歩いていると、ヌスビトハギを巨大化したような花が咲いていました。
花の付き方は似ているのですが、花は2〜3倍ほどの大きさで、草丈も倍ほどあります。
葉もヌスビトハギが3出複葉なのに対して、小葉が5〜7個の奇数羽状複葉で、この点でも異なります。
後で調べてみると、花の色や大きさはアレチヌスビトハギに似ています。
しかし、白くて不明瞭な斑紋の本種に対して、アレチヌスビトハギの旗弁(きべん)基部の斑紋は黄緑色で明瞭です。
他に無いかとさらに調べていて、同じヌスビトハギ属のフジカンゾウと分かりました。
花の色や旗弁の白い不明瞭な斑紋、葉が奇数羽状複葉である点から間違いないと思います。

ヒマラヤタマアジサイ(Hydrangea aspera)
<ミズキ目・アジサイ科・アジサイ属・アジサイ節・タマアジサイ亜節>




 
  アジサイ科アジサイ属の落葉低木で、原産地はヒマラヤ、中国西部から中部、台湾、インドネシア。
樹高は2〜4mで、大きな株立ちとなる。
葉は対生し、葉身は長さ10〜25cmの長楕円形で、先が尖り、縁には鋸歯がある。
花期は6月〜9月で、茎頂に直径25cm前後の花序を付ける。
装飾花は少なく、白色〜薄紫色で直径は25o前後。
両性花は多数付き、花弁は淡赤紫色で、花糸や葯は濃赤紫色。
花後に赤紫色の花托が目立つようになり、花柄なども同色なので、花序が赤紫色に見える。

ヒマラヤタマアジサイの亜種には、下記の4種が知られている。
ストリゴサ    :中国に分布し、ヒマラヤタマアジサイに似て、葉が細長くて短毛が生える
サーゲンティアナ :中国からネパールに分布し、装飾花が白〜ピンクで、薄紫色の両性花が多い
ウィロサ[ヴィロサ]:中国からネパールに分布し、タマアジサイに似た花を付け、葉や装飾花が小さい
タイワンゴトウヅル:台湾に分布し、タマアジサイに似た花を付け、装飾花が白くて小さく、両性花の多い

2020/9/14
相模原市立麻溝公園の花の谷で、まだ、アジサイが咲いていました。
しかし、アジサイにしては葉がかなり細長い長楕円形で、今まで見たことがない種類でした。
調べてみると、花の特徴などはアマチャに近いのですが、葉の形が合いません。
よく似たヤマアジサイの方も調べてみたのですが、特徴の合うものが見つかりません。
秋に咲くアジサイはないかと調べていると、ヒマラヤタマアジサイが見つかりました。
葉が細長い点も合うし、装飾花は白くて数が少なく、両性花が赤紫色である点も合います。
いくつかの亜種もあるようなのですが、それらとは特徴が合いませんので、本種だと思います。

オニドコロ(Dioscorea tokoro)
<ヤマノイモ目・ヤマノイモ科・ヤマノイモ属>
   
  ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草で、日本各地の山野に自生している。
雌雄異株で、ヤマノイモに似るが、葉が互生している点、ムカゴを作らない点などで区別できる。
葉は、三角状心形で、長さ、幅とも10cm程になり、先は長く尖る。
雄花序は葉腋から直立し、淡緑色の小さな花を付ける。ただし、花が咲き上る頃、重みで頂部は垂れ下る。
雌花序も葉腋からでるが、初めから垂れ下がる。
雄花の6個の花被片は平開し、オシベも6個ある。雌花の基部には下位子房があり、メシベの花柱は3裂する。
果実は、子房の3つの翼が大きく成長し、3枚の翼のようになる。この翼の中に薄い種子が2個入っている。
根は、そのままでは有毒で食用には適さないが、灰汁であく抜きすることで食べることはできる。

2020/9/19
相模原市立麻溝公園の道路脇の生け垣で、上から雄花序が垂れ下がっていました。
近くに雌株はないかと探したのですが、表側には見当たりませんでした。
垂れ下がる雄花序は、ほぼ満開状態で、びっしりと雄花が咲いていました。

オオベンケイソウ(Hylotelephium spectabile)
<ユキノシタ目・ベンケイソウ科・センペルビヴム亜科・テレフィウム連・ムラサキベンケイソウ属>
 
  ベンケイソウ科ムラサキベンケイソウ属に属する宿根多年草で、原産地は朝鮮半島から中国。
日本へは、明治時代中頃に渡来した多肉質の草本で、冬には落葉して地上部は枯れる。
草丈は30〜80cmで、地下には肥大した茎があり、そこから花茎を出す。
葉は、長さ7〜13cmの狭卵形で少数の鋸歯があり、対生か3輪生して、粉緑白色。
花期は8月〜10月で、複散房花序を出し、濃赤紫色の小花を密に多数付ける。
花冠は5裂して平開し、裂片は狭長楕円形。萼片は5個、オシベは10個、メシベの子房は5個ある。
ベンケイソウとよく似ているが、ベンケイソウの葉は対生のみである点、
オオベンケイソウの方が花色は濃色で、オシベの長さが花弁より長い点で区別できる。

2020/9/19
相模原市立麻溝公園の花の谷で、フヨウに隠れるように赤い花がびっしりと咲いていました。
花色や花の付き方は異なりますが、花の特徴はマンネングサの花に近い物でした。
調べてみると、同じベンケイソウ科のベンケイソウかオオベンケイソウらしいことが分かりました。
両者の違いで分かり易いのは、葉が対生か3輪生かですが、写真から3輪生が確認できました。
オシベも花弁より長い点で、この花はオオベンケイソウだと分かります。









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