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神奈川県立相模原公園・相模原市立麻溝公園 冬の野草



神奈川県立相模原公園、相模原市立麻溝公園の四季を彩る植栽や野草を季節毎にまとめたものです。
また、神奈川県立相模原公にある大温室(サカタのタネ グリーンハウス)を見学した記録も含めました。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の野草を追加しました。
ブラシノキ、ツタ

また、下記の紅葉した写真も追加しました。
ドウダンツツジ、ニシキギ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
ツツジ目
ツツジ科(ドウダンツツジ)
ニシキギ目
ニシキギ科(ニシキギ)
ブドウ目
ブドウ科(ツタ)
フトモモ目
フトモモ科(ブラシノキ)
ムクロジ目
ムクロジ科(イロハモミジ、オオモミジ)
 
<大温室>
ヤマノイモ目
ヤマノイモ科(タッカ・シャントリエリ)
ナデシコ目
サボテン科(サンカクサボテン[ドラゴンフルーツ])
キントラノオ目
トウダイグサ科(ベニヒモノキ)
シソ目
キツネノマゴ科(ベンガルヤハズカズラ)
四季の野草
和名インデックス


ドウダンツツジ(Enkianthus perulatus)
<ツツジ目・ツツジ科・ドウダンツツジ亜科・ドウダンツツジ属>
 
ツツジ科ドウダンツツジ属の落葉低木。
日本では、本州、四国、九州の温暖な岩山に自生するが、自生地は少ない。
寒冷地でも耐えるので、庭木としては全国で見られるが、寒冷地では少ない。
樹高は1〜3mほどで、葉は互生し、枝先に集まって輪生状になる。葉縁には細かい鋸歯がある。
なお、晩秋には真っ赤に紅葉する。
花期は4月〜5月で、枝先に白い壺形の花は数輪下垂して咲かせる。なお、紅色の品種もある。
花冠は、長さ8o前後で、先が5残裂する。オシベは10本ある。

2008/12/6
相模原市立麻溝公園とつなぐ陸橋を神奈川県立相模原公園側に降りたところで見かけました。
赤から黄色に変化するグラデーションとても奇麗でした。
周りにはオオモミジなどの紅葉する樹がありますが、それと引けを取りません。

 
2019/12/5
ドウダンツツジの大株が2つ並んでいたのですが、紅葉の仕方が異なっていました。
距離的には数mほどしか離れていませんが、陽当たりの加減で異なるのでしょうか。
奥の方は全体に赤く色づいていましたが、手前の方は黄葉が多く、先の方だけが紅葉していました。
ちなみに、黄葉が多い樹は、2008年に撮った樹と同じものです。


ドウダンツツジの花

     .

 
2018/4/3
自宅近くの民家の生け垣に使われていたドウダンツツジの花です。
5残裂した花冠から、メシベの花柱が少し顔をのぞかせています。
そして、壺形の花冠の奥にオシベの葯が花柱を取り巻くように付いています。


ニシキギ
<ニシキギ目・ニシキギ科・ニシキギ属>
 
2008/12/6                 2019/12/5 .
ニシキギ科ニシキギ属の落葉低木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海外では中国、東南アジアに分布する。
若い枝では表皮を突き破って、2〜4枚のコルク質の翼が伸長する。
葉は対生して、長さ2〜7cmの長楕円形で先が尖る。葉縁には細かい鋸歯がある。
花期は5月〜6月で、本年枝の芽鱗痕の脇から集散花序を出し、淡緑色の花を数個付ける。
花序の柄は長さ1〜3cmで、花は直径6〜8oの4弁花。オシベは4個あり、メシベは1個。
果実はさく果で、10〜11月に熟すと裂開して、橙赤色の仮種皮に包まれた種子が出てくる。
なお、葉は秋には美しく紅葉し、橙赤色の種子との二重奏になる。

2008/12/6 相模原市立麻溝公園と神奈川県立相模原公園をつなぐ陸橋を降りた所で見かけました。
上記のドウダンツツジの近くで、こちらは真っ赤な紅葉です。
2019/12/5 上記と同じニシキギですが、今年は赤というよりはエンジ色に近い紅葉でした。

ツタ(Parthenocissus tricuspidata)
<ブドウ目・ブドウ科・ツタ属>
 
ブドウ科ツタ属のつる性の落葉木本で、在来種。
北海道から本州、四国、九州と全国の山野に分布し、ツルは太いもので数cmになる。
葉には2種類あり、花の付く短枝の葉は大きく、長い葉柄がある。
花の付かない長枝の葉は、小さくて葉柄も短い。
短枝の先に集散花序を出し、直径5mmほどの黄緑色の5花弁の花を付ける。

2019/12/5
相模原市立麻溝公園と神奈川県立相模原公園をつなぐ陸橋、そこを降りた所で見かけたツタです。
樹に巻き付いたツタですが、きれいに紅葉した葉の一部が黄色で、そのグラデーションもきれいでした。

ブラシノキ(Callistemon speciosus)
<フトモモ目・フトモモ科・ブラシノキ属>

フトモモ科ブラシノキ属の常緑高木で、オーストラリア原産。
樹高は数mになり、枝先に10cm前後の穂状花序を付ける。
花期は5月〜6月で、開花後直ぐに花弁や萼は落ちてしまい、多数の雄しべが残る。
花糸は赤(または白)で、黄色い葯が付き、その様がブラシのように見えるのが名前の由来。
花後、果実が枝を取り巻くように付き、数年は残る。

2019/12/5
神奈川県立相模原公園にあるセンター広場の脇で、ブラシノキが赤い花を付けていました。
春に咲く花ですが、秋にも咲くことがあるようです。それでも、この花はかなり遅い開花です。

イロハモミジ(Acer palmatum)
<ムクロジ目・ムクロジ科・カエデ属>
 
ムクロジ科カエデ属の落葉高木で、本州の福島県以南から四国、九州に分布する。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾と東アジアに分布する。
日本では最もよく見られるカエデ属で、秋には黄褐色から紅色に紅葉する。
葉は対生し、掌状に5〜9深裂し、この裂片を「いろはにほへと……」と数えたことが和名の由来。
4〜5月頃、本年枝の先に暗赤色の花が垂れ下がってつく。雄花と両性花がある。
5個の暗紫色の萼片と、5個の黄緑色もしくは紫色を帯びる花弁を持つ。
果実は翼果で、10〜15mm程の翼があり、熟すと風で飛ばされる。

2006/11/25
相模原市立麻溝公園のセンター広場で見事な紅葉を見せていました。

オオモミジ(Acer amoenum Carr.)
<ムクロジ目・ムクロジ科・カエデ属>
 
ムクロジ科カエデ属の落葉高木で、在来種。
日本では、北海道中部以南〜本州、四国、九州の太平洋側に分布する。海外では朝鮮半島に分布する。
樹高は10〜15mで、幹は灰褐色。滑らかで、古くなると樹皮が縦に浅く裂ける。
葉は対生し、葉柄は3〜5cmで、葉身は5〜12cm。掌状に5〜9裂し、細かな短鋸歯がある。
なお、葉の切れ込みはやや浅く、ヒロハモミジの別名があるが、変異があり深裂するものもある。
花期は4月〜5月。雌雄同株で、同じ花序に雄花と両性花が混じる。
複散房花序に数十個の花が付き、花の直径は4〜6mm。花弁は5個で、淡紅色から帯紅色。
オシベは8個で、萼片は暗紅色。翼果は葉の下に垂れ下がり、開いたV字型かU字型になる。

2014/11/24
相模原市立麻溝公園とつなぐ陸橋を神奈川県立相模原公園側に降りたところで見かけました。
イロハモミジとは異なり、黄色と赤の入り混じった源平になっていました。


モミジの見分け方

  ヤマモミジ、イロハモミジ、オオモミジはよく似ているので、混同されていることが多い樹種です。
自然分布では、イロハモミジとオオモミジは太平洋側に、ヤマモミジは日本海側に多く自生します。
そして、葉の縁にある鋸歯が、イロハモミジとヤマモミジは鋸歯が二重になる重鋸歯になり、
オオモミジは一重の単鋸歯になる点が異なります。
また、果実の付き方にも違いがあり、イロハモミジは果実が最も小さく、その翼はほぼ水平に開きます。
そして、果実は葉の上側から、葉に覆いかぶさるように付く点が他の2種と異なります。
ヤマモミジとオオモミジは、翼が開いたV字型、U字型となり、果実は葉の下にぶら下がります。
なお、オオモミジはヤマモミジより果実が大きく、V字型よりU字型になる傾向が強いです。
紅葉に関しては、イロハモミジはよほど日当たりが悪くない限り、真っ赤に紅葉します。
一方、ヤマモミジとオオモミジは、紅葉、黄葉、源平(赤、黄、緑が混じる)と変異があります。




大温室の花

タッカ・シャントリエリ(Tacca chantrieri)
<ヤマノイモ目・ヤマノイモ科・タシロイモ属>

ヤマノイモ科タシロイモ属の多年草で、原産地は中国の雲南省から東南アジア。
和名は、クロバナタシロイモで、ブラックキャットやバットフラワーの名で流通している。
草丈は40〜80p程になり、根際から生える葉は広い披針形で、淡い緑色をしている。
花期は5月〜10月であるが、暖地では周年開花する。
花序は散形花序で、2〜12枚の花弁のような黒褐色の総苞片に包まれる。
長く伸びる髭のような糸状のものは、花の付かない花柄で不稔性花柄といわれている。
花は長い花柄の先に付く暗紫褐色の6弁花。

2006/11/25
花の形も色も、見るからに不気味な印象を受ける花です。
不稔性花柄を髭に見立てたのが「black cat」、総苞片を蝙蝠の翼に見立てたのが「bat flower」。
不気味さからか「devil flower」、直訳すれば悪魔の花の別名もあります。

サンカクサボテン(Hylocereus undatus)
<ナデシコ目・サボテン科・カクタス亜科・クジャクサボテン連・ヒモサボテン属>

サボテン科・ヒモサボテン属の多年草で、北米原産の帰化植物。
草丈は数mになり、自然界では気根を伸ばして木などに絡みついて立つ。
成長スピードが速く、1年間に1mも伸びる。
花期は5月〜11月で、夕方から夜にかけて咲き、翌朝にはしぼむ一日花。
花は直径25〜30cmの白花で、月下美人の花によく似ている。
ヒモサボテン属の果実は、ピタヤの名で知られ、ドラゴンフルーツはその1品種。
白い果肉のドラゴンフルーツは、メシベとオシベをくっ付けるだけの自家受粉で結実する。
しかし、その他のものは「自家不親和性」のため、他の品種の花粉を必要とする。

2006/11/25
果実の外観のみから品種までは断定できませんが、おそらく白肉種と思われます。
ホワイトドラゴン、ホワイトピタヤなどの商品名で販売される自家受粉可能な品種です。
ドラゴンフルーツの中では最大の生産量を誇る品種です。

話は変わりますが、月下美人も「自家不親和性」で、食用月下美人と人工授粉させれば結実可能とのこと。
果実は、ドラゴンフルーツと同様で、食用になるそうです。

ベニヒモノキ(Acalypha hispida)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・エノキグサ亜科・エノキグサ連・エノキグサ属>

トウダイグサ科エノキグサ属の常緑低木で、インドネシア、マレーシア、ニューギニアなどが原産地。
樹高は2〜4mになり、葉は互生して長さ15〜20cmの広卵形で光沢があり、縁には鋸歯がある。
花期は6月〜10月で、枝の上部葉腋から長さ30〜50cmの紐状の赤い花穂を下垂させる。
花序は数mmの小花が密集したもので、花弁は退化してない。なお、白い花穂を付ける品種もある。
温室のような10℃以上を保てる所では、通年で花を咲かせる。

2006/11/25
見た目にインパクトがあり、赤い花穂が目立つので、熱帯植物園などの常連とのこと。
写真の木では花穂はそれほど長くありませんが、木が大きくなると花穂も伸びとのこと。
熱帯雨林の中で、長さ数十cmの赤い花穂を大量にぶら下げている姿は、どうでしょう。
きっと、目を引く存在であるに違いありません。

ベンガルヤハズカズラ(Thunbergia grandiflora)
<シソ目・キツネノマゴ科・ヤハズカズラ属>

キツネノマゴ科ヤハズカズラ属のつる性常緑多年草で、インドやバングラデシュに位置するベンガル地方が原産地。
成長が早く、蔓は10m以上になり、成長と共に木質化する。
葉は対生して、葉身は長さ10〜20cmの楕円形で、先が尖り、基部は心形。
葉には細かい毛が密生し、縁には粗い鋸歯がある。
花期は6月〜10月で、房状に垂れ下がる花序に、淡青紫色の花を次々と咲かせる。
なお、温室など5℃以上の温度を維持できれば、通年で開花する。
花冠は筒状で、先が5裂して平開し、直径は8p前後ある。花は1日花で、翌日には落ちる。
花の後にできる果実はさく果で、熟すと下部が裂開して種子が散布される。

2006/11/25
きれいな淡青紫色の大きな花で、見栄えがします。
温度が維持できない環境では、地上部は枯れてしまいますが、翌春にはまた芽を出します。
そして、晩秋まで猛烈な勢いで花を付けながら成長し続けるそうです。
1日花なので、場所を選ばないと毎日の維持管理が大変そうですね。










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