ホーム相模原 ブラブラ録>境川に暮らす生き物たち 昆虫(V)


境川に暮らす生き物たち 昆虫(V)



神奈川県相模原市と東京都町田市の間を流れる境川、二級河川で、流路は52kmほどだそうです。
二級河川ですが、古より相模の国と武蔵の国の国境を分ける川として、境川と呼ばれていたようです。
源流は、城山湖の北、500mほどの所にある沢で、江ノ島付近で相模湾に流れ込んでいます。

その境川やその近くで見かけた昆虫たちです。
といっても、散歩途中で見かけた極一部の昆虫のみです。
探せばもっといろいろな昆虫がいると思います。

< トピック >
今回、新たに出会った下記の昆虫を追加しました。
ルリマルノミハムシ

また、今回、下記の写真も追加しました。
ヨツモンカメノコハムシ



ここでは、下記の昆虫を掲載しています。
コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目
クワガタムシ科(コクワガタ)
コガネムシ科(コフキコガネ、ビロードコガネ、ヒラタアオコガネ、コアオハナムグリ)
センチコガネ科(オオセンチコガネ)
コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目
ツチハンミョウ科(ヒメツチハンミョウ)
ゾウムシ科(カシワクチブトゾウムシ)
カミキリムシ科(タケトラカミキリ、カタシロゴマフカミキリ、キボシカミキリ)
ハムシ科(ヨツモンカメノコハムシ、ヨモギハムシ、ルリマルノミハムシ)
テントウムシ科(ナナホシテントウ、ナミテントウ、ダンダラテントウ、ヒメカメノコテントウ)
バッタ目・キリギリス亜目
キリギリス科(ヒガシキリギリス)
コオロギ科(ウスグモスズ、アオマツムシ)
バッタ目・バッタ亜目
バッタ科(オンブバッタ、コバネイナゴ、ショウリョウバッタ、ショウリョウバッタモドキ)
昆虫(V)
和名インデックス


コクワガタ(Dorcus rectus rectus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
クワガタムシ科・クワガタムシ亜科・オオクワガタ属・コクワガタ亜属>

クワガタムシ科オオクワガタ属の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に広く分布している、最も普通に見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東アジアに広く分布している。
名前に「コ」(=小型)が付くが、国内のクワガタムシの中では小さくはなく、中型種である。
体長は、オスで18〜55o、メスで21〜33mmで、オスの体長には大きなばらつきがある。
他のオオクワガタ属同様に、体は平たく、光沢の鈍い黒色で、体幅が細く、スリムな体型をしている。
オスの大顎は、細長く前に伸び、その中央より少し前寄りに大きな内歯が1対ある。
あまり目立たないが、大顎の先端近くに、極小さな内歯がもう1対ある。
なお、小さなオスでは、この先端の内歯は消失していることが多い。

2016/11/2
2015年11月、マンションの外廊下で、ひっくり返ってジタバタしている所を保護しました。
12月頃になって、カゴから脱走していなくなってしまいました。
春になったある日、ゴミだらけになってゴソゴソと床を這っているのを見つけました。
部屋のどこかの隅で、越冬していたようです。一夏過ごして、まだ、元気にしています。

※ と書いたのですが、1週間ほどたったころに覗くと、動かなくなっていました。

ノコギリクワガタ(rosopocoilus inclinatus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
クワガタムシ科・クワガタムシ亜科・ノコギリクワガタ属>
 

クワガタムシ科ノコギリクワガタ属の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、屋久島に広く分布していて、最も普通に見られる。
海外では、朝鮮半島に分布している。
オスの大顎の内側に鋸のように歯が数多く並んでいるのが、和名の由来である。
体長は、オスで24〜77o、メスで20〜41mmで、体長には大きなばらつきがある。
オスは体格による個体変異が顕著で、
55mm以上の大型個体では大きく湾曲した大顎(先歯型)を持つが、
中型個体では大顎の湾曲が緩やか(両歯型)となり、
小型個体では大顎は直線的(原歯型)になって、内歯が均一なのこぎり状となる。
体色は、オスでは赤褐色〜黒褐色であるが、メスでは赤褐色(まれに黒色)で、脚も全体的に赤い。
平地〜山地の広葉樹の森林、都市部の小規模な林にまで生息し、6月上旬〜10月まで活動する。
闘争本能が強く、近づくものには上体を持ち上げて、自身を大きく見せて威嚇する。
しかし、大顎の力や脚力はあまり強くないので、他の大型クワガタやカブトムシには勝てない。

2022/9/7
マンションの外廊下で、ひっくり返ってジタバタしている所を保護しました。
体長は4cmほどなので、中型個体の両歯型になると思います。
写真を撮ろうとすると正対して、上体を持ち上げて威嚇態勢に入ってしまいます。
真上から撮りたいのですが、常に正対しようとするので、反り返り過ぎて裏返ってしまいます。
仕方がないので、片手で突きながら方向を調整して撮影しました。
上段は、その威嚇態勢に入って所を正面と斜め上から撮影したものです。
下段左は、その時の頭部をアップで撮ったもので、真っ黒な複眼がチャームポイントかな。

コフキコガネ(Melolontha japonica)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・コフキコガネ亜科・コフキコガネ族・コフキコガネ亜族>
 
2016/7/28<オス>              2019/8/18<メス>
   
コガネムシ科コフキコガネ族の1種で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。海外では朝鮮半島に分布する。
平地から低山地に生息し、昼間はコナラなど広葉樹の葉の上等で休息し、夜間、活発に活動する。
オスの触角の片上部は大きく発達し、扇のように広がる。
成虫は、体長25mm強で、6月〜8月に出現し、クヌギ、コナラ、クリなどの葉を食害する。
成虫の背面は、黒褐色の地に黄灰色の微毛が密集して、粉を吹いたように見える。
幼虫は、クヌギ、コナラなどのコナラ属、サクラなどのバラ科など広葉樹の根を食害する。
幼虫で越冬するが、冬季でも地中で活動し、休眠する事はない。

2016/7/28 マンションの外廊下で、コフキコガネを見つけました。
この辺りでは、アオドウガネは良く見かけるのですが、 コフキコガネは珍しいです。
で、写真を撮るまでと思い、持ち帰ってコクワガタのカゴに入れておきました。
翌日、写真を撮ろうと取り出すと、前翅に折れたような跡があり、胸部に穴があいていました。
夜中に、コクワガタと争い、大顎で挟まれたようです。
2019/8/18 マンションの外廊下で、コフキコガネがひっくり返ってジタバタしていました。
表に返して、近くに移動させておいたのですが、翌日、その近くで死んでいました。
上記の写真は、死んでいたコフキコガネのメスを整形して撮影したものです。
オスとメスの違いは、触角の形を見れば一目瞭然ですよね。

ビロードコガネ(Maladera japonica)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・コフキコガネ亜科・ビロウドコガネ族>
 
コガネムシ科ビロウドコガネ族の昆虫で、体表面がビロード生地のように見えるコガネムシの仲間。
日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布し、海外では朝鮮半島、済州島に分布する。
平地から山地まで広範囲に生息し、幼虫、成虫とも広食性で、様々な植物につくが、草本につくことが多い。
成虫の出現時期は4月〜10月で、発生は年1回である。秋に羽化した成虫はそのまま蛹室で越冬する。
基本的には昼行性で、日中多くの花を訪れるが、夜間に燈火に飛来することも少なくない。
成虫の体長は8〜9.5mmで、黒色〜暗赤褐色の体色にビロード状の微毛があり、上翅は後方がやや幅広。
ヒメビロウドコガネと酷似しており、拡大して下記の点を確認しないと判別できない。
ヒメビロウドコガネ 前脚膝節の棘は2本のみで、触角は9節ある
ビロードコガネ 前脚膝節の棘は3本(3本目は盛り上がる程度)で、触角は10節ある

2020/9/16
夜、机に向かってPCを操作していた時、何かが顔に当たって落ちました。
なんだと思って下を見ると、小さくて黒いコガネムシが落ちていました。
後で写真を撮ろうと捕獲しておいたのですが、気が付くと死んでしまっていました。
上記は、既に硬くなっていたものを、その後に撮影したものです。
同定しようとして、ビロードコガネかヒメビロウドコガネのどちらなのか良く分からなくなりました。

 
そこで、前脚膝節の棘の数を確認しようと、腹面から撮り直したのが上記の写真です。
その結果、棘の数は3本確認できたので、ビロードコガネと判明しました。
なお、触角の節の数は、折りたたんでしまっていたので、確認はできませんでした。

ヒラタアオコガネ(Anomala octiescostata)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・スジコガネ亜科・スジコガネ族・スジコガネ亜族>
 
コガネムシ科スジコガネ亜科の昆虫で、在来種。
日本では、本州の関東以西から四国、九州に分布する。海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
各種樹林の林縁、草原、畑地、公園、湿地周辺などの比較的開けた環境で見られる。
出現時期は4月〜6月で、体長は9〜13mm、前翅に各々4本の縦筋がある。
頭部から前胸背板に緑色の金属光沢があり、前胸背板と腹面に淡褐色の長い毛が生えている。
スジコガネやオオスジコガネに近い種であるが、長い毛が生えて毛深いことで区別可能。
幼虫は地中性で、様々な植物の根に付くが、イネ科草本に付くことが多い。幼虫で越冬する。
成虫は昼行性で、夕刻には落葉などに潜りこむため、燈火に飛来することはない。
成虫も広食性で、様々な植物に付くが、ヤエムグラに群生することが多い。
性差は、メスが大きいことと、オスの触角では鰓状部が長いことである。
オスは朝の早い時間に地表付近を群飛し、メスの出現を待つ配偶行動を行う。

2021/4/30
自宅近くを散歩中、道路脇に咲いていたカンシロギクにコガネムシが止まっていました。
スジコガネかなと思って写真を撮ったのですが、後で調べるとヒラタアオコガネでした。
出現時期と体側に見える長い白毛が特徴で、スジコガネにはこれほどの毛はありません。

コアオハナムグリ(Gametis jucunda)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・ハナムグリ亜科・ハナムグリ族・ハナムグリ亜族・ハナムグリ属>

コガネムシ科ハナムグリ族の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア東部、インドシナ半島に分布する。
日当たりの林の周辺や原っぱで普通に見られ、白い花によく集まる。
体長は10〜16mmで、出現時期は4月〜10月。
体色は個体差があり、緑色から赤褐色が多いが、稀に黒い個体も現れる。
背面に白斑があり、短毛が密生する。腹面は黒色。
成虫は花蜜や花粉を食べ、幼虫は植物の根を食べる。
成体で越冬し、春に交尾して産卵し、秋には新成虫が出現する。

2017/9/25
境川に近い草原で、ヨモギの茎にコアオハナムグリが留まっていました。
花によく集まっているハナムグリですが、茎に留まって休んでいるのでしょうか。

 
2020/10/27
境川近くの草原で、セイタカアワダチソウを訪花しているコアオハナムグリを見つけました。
気温は20℃を切っていましたが、結構活発に動き回っていました。

オオセンチコガネ(Phelotrupes auratus auratus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
センチコガネ科・センチコガネ亜科・センチコガネ属>

センチコガネ科センチコガネ属の甲虫の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬、屋久島に分布している。
海外では、東シベリアや朝鮮半島など東アジアに分布している。
体長は16〜22mmで、上翅には細かな筋があり、強い金属光沢がある。
体色は変異があり、赤褐色や赤紫色、緑色、青緑色、藍色のものがいる。
成虫の出現時期は4月〜11月で、獣糞や動物の死がいに集まる。
メスは、地中に糞を埋め込んで産卵し、幼虫はそれを食べて成長する。
センチコガネとよく似ているが、頭楯板の形や前胸背板中央にある縦溝の長さで区別する。
頭楯板が短く半円形であればセンチコガネ、長めで台形のような形だとオオセンチコガネである。
また、縦溝が半分ほどしかないのがセンチコガネで、前方まで達するのがオオセンチコガネである。

2016/10/16
マンションの外廊下を歩いている所を見かけて、保護したオオセンチコガネです。
その後、死んでしまったので標本にしたのですが、頭楯板や前胸の形から本種と分かります。

ヒメツチハンミョウ(Meloe coarctatus Motschulsky,1857)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ゴミムシダマシ上科・
ツチハンミョウ科・ツチハンミョウ亜科・ツチハンミョウ族・ツチハンミョウ属>
 
ツチハンミョウ科ツチハンミョウ属に属する昆虫で、日本固有種。
日本では、本州から四国、九州と対馬、佐渡、伊豆諸島に分布する。
体長は9〜23mmで、体色は黒藍色。前胸背の幅は狭く、上翅が短くて腹部はむき出しになる。
メスの腹部は、オスよりはるかに大きく発達して、膨れて伸びる。
また、メスの触角は真っ直ぐな鞭状で、第1節と第2〜4節の長さがほぼ同長である。
一方、オスの触角では、第6〜7節が著しく肥大して、第7節は幅広の倒心形になる。
成虫は年1回の発生で、9月〜11月と3月〜5月に見られる。
成虫で越冬して、メスは春先に土中に産卵する。孵化した幼虫は草に登って花にたどり着く。
そこで飛来したマルハナバチに捕まって巣まで運ばれ、卵や花粉などを食べて成長する。
本種は変態に特徴があり、3齢幼虫では蛹に似た形態となり、動くことも摂食も行わない。
その後脱皮して蛹となるが、このような変態は過変態と呼ばれる。
9月〜11月頃に羽化して成虫となり、その後、成虫の状態で春先まで土中で越冬する。
なお、成虫は、林縁や草原などの地上を歩き回っていることが多く、多くの草本の葉を食べる。
触ると死んだふり(擬死)をして、この時に脚の関節から黄色い液体を分泌する。
この体液にはカンタリジンが含まれており、接触すると水疱性皮膚炎(水膨れ)を引き起こす。

2017/9/25
境川に近い草原で、地表をノソノソ歩いていました。
実家の方で見かけたことはあるのですが、関東で見かけたのは初めてになります。
似たものが幾つかいるのですが、触角の形状や節の長さから本種のメスと判断しました。

カシワクチブトゾウムシ(Nothomyllocerus griseus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ゾウムシ上科・ゾウムシ科・クチブトゾウムシ亜科>

ゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国各地に広く分布している。
体長は5o前後と小型のゾウムシで、体色は赤褐色から暗褐色に灰白色の鱗毛が密生する。
そのため、見た目の体色は淡褐色になる。口吻は太短い。
カシワ、ナラ、クヌギ、ハンノキなどで見られる。

2016/5/20
境川近くのクリ園(といっても収穫などはしていないよう)で見かけました。
クリの新芽にできた赤い虫こぶ(クリタマバチによる)を撮っていて、交尾中の本種に気が付きました。

クリタマバチによる虫こぶは、新芽に産卵することで発生します。
虫こぶが出来ると、枝の成長は阻害され、花が咲かなくなります(当然、クリもできません)。
放っておくと、数年でクリの木が全滅する事もある中国原産の検疫有害動物です。

タケトラカミキリ(Chlorophorus annularis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
カミキリムシ科・カミキリ亜科・トラカミキリ族・クロトラカミキリ属>
 
カミキリムシ科クロトラカミキリ属のカミキリムシで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。海外では東アジア一帯に分布する。
成虫の体長12o前後で、5月〜8月に見られる。
黄色地に黒い模様が特徴的で、このトラカミキリ特有の模様から種類が判断できる。
幼虫は、マダケ、メダケなど肉厚な伐採後の竹内部を食い荒らす害虫で、羽化には2年ほど要する。
竹で作られた垣根とか、樹の支えに竹が使われていたりすると発生しやすい。幼虫で越冬する。

2013/7/20
境川近くの草むらに生えているスペアミントの花に、タケトラカミキリが付いていました。
幼虫は枯れた竹などを食害するのですが、成虫はハナカミキリのように花の蜜でも吸うのでしょうか。
このタケトラカミキリは、何かに寄生されているようで、右肩部分に橙色の卵状のものが付いています。
カミキリムシには、よくダニが付いているので、ダニと思われます。

カタシロゴマフカミキリ(Mesosa (Perimesosa) hirsuta hirsuta Hayashi)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
カミキリムシ科・フトカミキリ亜科・ゴマフカミキリ族・ゴマフカミキリ属>
 


カミキリムシ科ゴマフカミキリ属のカミキリムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。
本土の基亜種に加え、島嶼部に4亜種が生息している。
海外では、朝鮮半島と極東ロシアに別亜種が分布している。
成虫の体長は15o前後で、5月〜10月に見られる。
全体が灰色、黒色、白色のまだら模様で、上翅肩部に白色が集まって模様となっている。
ただし、模様は不明瞭で、見にくい個体もあるので、注意が必要。
体形や色合いなどは、ナガゴマフカミキリと似ているが、全身、特に触角に立毛があることで区別できる。
シイなどの広葉樹やマツ科の倒木や枯れ木に見られる。

2014/8/14
マンションの廊下で見つけた小型のカミキリムシです。自宅へ持ち帰り撮影しました。
あまり見かけないカミキリムシでしたので、いろいろ調べ、下記の立毛がある点から本種としました。

ナガゴマフカミキリ:体形、模様は似ていますが、全体に立毛はほとんど見られない。
カタシロゴマフカミキリ:体形、模様は似ており、触角も含めて全身に立毛が見られる。

キボシカミキリ(Psacothea hilaris hilaris)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
カミキリムシ科・フトカミキリ亜科・ヒゲナガカミキリ族・キボシカミキリ属>
 
カミキリムシ科キボシカミキリ属のカミキリムシで、外来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、周辺の島しょ部を含めて10亜種が分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
移入個体群によって起源が異なると考えられており、東日本型は台湾または中国北部由来と考えられている。
成虫の体長は15〜30oで、5月〜11月に見られる。
黒い体に黄色い斑紋、長い触角を持つ。なお、、生息場所によって色や斑紋は変異が大きい。
オスはメスよりいく分小さく、オスの触角はメスより長くて体長の倍以上になる。
幼虫は、クワ科のヤマグワ、イチジクなどに穿孔し、材内で摂食しながら越冬する。
成虫は、同じくクワ科のヤマグワ、イチジクなど葉や樹皮を食べる。クワ科植物の大害虫である。

2008/9/15
鶴巻温泉近くの山裾で、イチジクの木にいるところを見つけました。
以前は、今住んでいる近くにクワの木がたくさんあったので、よく見かけたものです。
左の写真で、上になっているのがオスで、下がメスです。右の写真はオスです。

ヨツモンカメノコハムシ(Laccoptera quadrimaculata)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
ハムシ科・トゲハムシ亜科・ヨツモンカメノコハムシ属>
 
ハムシ科ヨツモンカメノコハムシ属の1種で、扁平な体の縁が薄い板状に広がったカメノコハムシ類。
熱帯アジアを中心に分布し、国内では沖縄本島以南の琉球列島のみに分布していた。
その後、北に分布を広げ、1999年に九州、2008年に静岡県、2014年に高知県で確認されている。
2018年に東京都町田市で確認され、都内や神奈川県各地でも確認されている。
体長は7.5〜9mmと大型で、国内最大級のカメノコハムシである。
背面が強く隆起し、肩が張った前胸背板にはしわ状に隆起した複雑な形の構造を持つ。
背面は褐色で外縁は黄褐色で透明。前翅基部側と後方側縁近くに大きな黒斑が4個あり、それが和名の由来。
前胸背の中程にも小さな黒斑が1対、後方黒斑の中ほどにも不鮮明な黒斑が1対ある。
卵は、葉裏に複数個をまとめて2層の膜に包んで付着させ、その上に糞を塗りつける。
幼虫は背中に脱皮殻や糞を背負い、蛹も葉裏でやはり背中に糞や脱皮殻を背負っている。
幼虫も成虫もヒルガオ科を食草とし、特にサツマイモやノアサガオを好んで食べるとされる。
そのため、サツマイモの葉を食害する要注意害虫として、古くから知られているものである。

2020/10/6
境川近くのマメアサガオが繁茂している所で、葉の上にいるジンガサハムシのような甲虫を見つけました。
後で、いろいろ調べていて、南方系のヨツモンカメノコハムシと分かりました。
元は琉球列島のみに分布していたものが、温暖化の影響か、生息範囲を広げているとのこと。
2018年に町田市で確認されたばかりの新参者で、その後、神奈川県内でも確認されているそう。
この場所は神奈川県側ですが、境川の対岸は町田市であり、10mちょっとしか離れていません。


2023/4/19
自宅近くの畑の縁に植えられているマグワの木で、葉裏にへばり付いているのを見つけました。
前回、見かけたのは3年前の秋なので久しぶりです。前に見かけた境川からは数百mほどの所です。

ヨモギハムシ(Chrysolina aurichalcea)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・ハムシ科・ハムシ亜科>
 
ハムシ科ハムシ亜科の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、モンゴル、シベリア〜欧州(中部)、台湾、インドシナに分布する。
体長は7〜10oで、青藍色、紫藍色、黄銅色の金属光沢がある。
食草はヨモギ、ヤマシロギクなどで、これらの茎や葉上、および周辺の地表で見られる。
成虫は、昼間に比較的活発に活動し、よく歩き回り、ほとんど飛ばない。
秋には、産卵場所を探して地表を歩くメスを見かけるが、成虫と卵で越冬する。

2020/10/27
境川近くの草原で、ヨモギの葉にヨモギハムシが数匹付いているのに気が付きました。
番になっていたのは1組だけでしたが、メスのお腹はパンパンになっていました。

ルリマルノミハムシ(Nonarthra cyanea)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・ハムシ科・
ヒゲナガハムシ亜科・トビハムシ族・ヒゲブトノミハムシ属>

ハムシ科ヒゲブトノミハムシ属の甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布している。
海外では、極東ロシア、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナムに分布している。
出現時期は3月〜11月で年1化、3月に越冬成虫が活動を開始し、新成虫は7月くらいから見られる。
体長は3〜4.5mmである。触角は第4節以降は幅が広くなる。
体色は青味を帯びた黒色ではあるが、光が当たらないとほぼ真っ黒である。
幼虫はスギゴケ類の葉を食べ、成虫は各種の花に集まり、花粉や花蜜を食べる。
後脚が発達していて、手を近づけるとノミのように飛び跳ねて逃げる。

2023/4/18
自宅近くの畑の縁に植えられているシャリンバイの花で見かけました。
最初、お尻しか見えなかったので何がいるのか分からなかったのですが、突くと出てきました。
それが上記の写真ですが、この後、ピョンと跳ねて消えました。
後で写真を見ると太い後脚が見えていて、跳ねたことから本種と判断しました。

ダンダラテントウ(Cheilomenes sexmaculata/syn. Menochilus sexmaculatus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族>
 
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
海外では、中国、東南アジア、インド、アフガニスタン、ニューギニア、ポリネシア、ミクロネシアに分布している。
体長は5mmほどで、ナミテントウよりやや小型のテントウムシ。
翅は、黒い下地に赤い斑紋が4つあるが、その変異も多く、ナミテントウの4紋型と混同されやすい。
北の方に生息するものは黒い部分が多く、南にいくほど赤い部分が多くなり、ナミテントウとは逆の分布。
幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫です。

2020/10/15
自宅近くでアサガオの撮影をしていた時に見かけたダンダラテントウです。
北に行くほど黒い部分が多くなるそうですが、前翅角の赤斑は残るそうです。


ダンダラテントウの模様

   .


  斑紋の変異が多いそうですが、自宅近辺で見かけたダンダラテントウは黒色部の多いタイプのみです。
背部の2対の赤い斑紋は、比較的目立つものから消失したものまで見られます。
しかし、いずれの場合でも、前翅の肩部にある赤い斑紋は同じように見られます。


ナナホシテントウ(Coccinella septempunctata)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族>
   
テントウムシ科の昆虫で、在来種。赤色の前翅に7つの黒紋があり、これが和名の由来。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
世界的には、アジア、ヨーロッパ、北アフリカと広く分布している。
体長は8o前後で、ほぼ円形に近く、背面は半球状に盛り上がり、腹部下面はほぼ扁平。
頭部、胸部は黒色で、胸部の左右に淡黄色の斑紋、頭部にもいくつかの横斑がある。
前翅は、赤いものと黄色味を帯びたものがあり、大きさに変異はあるが黒斑が4個ある。
なお、前翅を閉じたとき、前翅の基部近くにある黒斑はつながって1つになり、全体で7つに見える。
幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫であり、天敵としての利用も研究されている。

2016/5/15
境川近くの道路脇の則面で、テントウムシの蛹を見かけました。
模様がかなり異なるのですが、どちらもナナホシテントウの蛹のようです。
黒味が少ない方は、ナミテントウも疑ったのですが、黒斑の数が多過ぎるので、本種と判断しました。

 
2018/5/21
蛹の写真しか載せていなかったので、成虫の写真を追加しました。
境川の縁で、ヒメジョオンの花でナナホシテントウがせわしなく動き回っていました。
比較的アブラムシが付きやすい花なので、餌探しにいそしんでいるのでしょう。

 
2019/4/29
自宅近くの道端で見かけたナナホシテントウの終齢幼虫と蛹です。
ナミテントウの幼虫はオレンジ色の斑紋が線状に並んでいますが、本種の幼虫は離れています。
どちらの幼虫かは一目で分かりますね。しかし、蛹は模様の変異が大きいので分かりにくいです。
この蛹は、最初の写真にある黒っぽいタイプのようです。


ナナホシテントウとナミテントウ

       .
<ナナホシテントウ>
     .
<ナミテントウ>
ナナホシテントウとナミテントウの幼虫は、背中のオレンジ色の斑紋の並び方の違いで容易に判別できます。
蛹になると変異があり、上の様に紛らわしいものもあります。
ナミテントウの蛹はこれ以外見たことがなく、変異に関しては不明です。
ナミテントウの成虫の斑紋には複数のタイプがあり、その蛹も異なるのか興味があります。


ナミテントウ(Harmonia axyridis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族>
 
テントウムシ科の昆虫で、在来種。斑紋に変異が多いのが特徴。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
世界的には、朝鮮半島から中国、シベリア、サハリンに分布している。
体長は8o前後でほぼ円形に近く、背面は半球状に盛り上がり、腹部下面はほぼ扁平。
ナミテントウの上翅の模様は変化に富み、同じ種類とは思えないくらい変異がある。
模様は、黒地に赤い紋が2つある「二紋型」、紋が4つの「四紋型」、多数ある「斑型」、
赤地に黒の斑がある「紅型」の4つが基本形である。
この四つの基本形に対応した斑紋遺伝子があり、その組み合わせで模様が決まる。
ちなみに、「二紋型」、「四紋型」、「斑型」は九州方面に、「紅型」は北海道や東北地方に多い。
幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫である。

2018/4/3
境川に向かう途中の民家で、大きなモチノキが数本、たくさんの花を付けていました。
その新葉の所をうろうろしているナミテントウを見つけました。
新葉に付いているアブラムシを探しているようです。右の写真では、目の前にアブラムシがいます。
さて、このナミテントウは、赤地に黒紋が19個ある「紅型」と呼ばれているタイプです。

 
   <四紋型>               <変形四紋型> .
 
<二紋型>                <変形二紋型>
2018/5/21
この日は、なぜか二紋型と四紋型のナミテントウにしか出会えませんでした。
どちらも丸い斑紋の各々の正統派と紅型との組み合わせである変形型がいました。

 
   <若齢幼虫>              <終齢幼虫>
 
<脱皮間もない蛹>          <日の経った蛹>
 
<脱皮間もない成虫>           <日の経った成虫>  .
2018/5/21
この日は、若齢幼虫から脱皮間もない成虫まで、いろいろなナミテントウに出会えました。
脱皮間もない蛹の尾端には、脱皮した幼虫の抜け殻が付いていて、表面も柔らかそうです。
日が経つと表面に凹凸が現れて、硬くてしっかりとした感じになります。
脱皮間もない成虫は、前翅に透明感があり、黒色が淡くて赤味があります。


ナミテントウの斑紋

  ナミテントウの上翅の模様には、下記の4つの基本形がある。
・黒地に赤い紋が2つある「二紋型」
・黒地に赤い紋が4つの「四紋型」
・黒地に赤い紋が多数ある「斑型」
・赤地に黒の斑紋がある「紅型」
この四つの基本形に対応した斑紋遺伝子があり、その組み合わせで模様が決まる。

   .

ナミテントウの斑紋に関しては、型以外にも色に違いがあり、変異は多彩です。
純粋な二紋型や4紋型の斑紋は凹みなどはありませんが、紅型との組み合わせでは変形型になります。
黒色が優性になるようなので、紅型の黒い斑紋が二紋型や四紋型の斑紋の凹みとなって現れます。
紋の大きさや位置は同一ではなく、その重なりによって様々な形になるため、変化は更に多彩になります。
なお、黒地に赤い斑紋を持つ二紋型、四紋型、斑型は暖かい地方ほど多くなり、
赤地に黒い斑紋を持つ紅型は、寒い地方に行くほど多くなる傾向があるそうです。
ただ、近年の温暖化の影響か、1940〜1950年と比較して紅型が減り、その他が増えているそうです。
ちなみに、2009年に滋賀県での調査で、二紋型64%、四紋型16%、斑型5%、紅型13%だったそうです。
1940〜1950年の北海道の旭川では、二紋型29%、四紋型13%、斑型−、紅型58%だったのが、
2002〜2007年では、二紋型42%、四紋型24%、斑型1%、紅型33%と大きく変化していたとのこと。



で、どういう組み合わせか分からないのですが、左のような二紋型の紋が三つに分かれたものも見ました。
また、中央のように二紋型でも四紋型でもない、頭部側に斑紋があるものも見ました。
これらのように、4つの基本形に当てはまらない斑紋を持つものもいるようです。
右の「紅型」のナミテントウの黒斑ですが、よく見るものよりかなり斑紋が大きいです。
「紅型」にも、黒い斑紋が消えかかっている(無いものもいる)ものから、大きなものまで変異があります。


ヒメカメノコテントウ(Propylaea japonica)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・
テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族・ヒメカメノコテントウ属>
 
テントウムシ科の1種で、日本では北海道から本州、四国、九州に分布する。
人家の庭先にもやってくる普通種で、体長は3〜5o。
淡黄色の地に市松模様のような黒色の斑紋があるが、多様な変異がある。
地色も淡黄色から濃いオレンジ色まで変異があり、模様のない地色一色や黒一色の個体もいる。
亀甲型:黄色〜橙色の地に黒い斑紋が市松模様に入る
背筋型:黄色〜橙色の地の中央に黒い筋模様が入る
肩紋型:肩に1対の黒い斑紋がある
4紋型:黒い斑紋が2対ある
一色型:黒一色か黄色一色である
ヒメカメノコテントウは、成虫、幼虫ともにアブラムシを食べる益虫である。

2020/10/7
境川からの帰り道、道路脇のムクゲの葉の上を移動している黄色いテントウムシに気が付きました。
見たことがない模様だったので、後で調べてヒメカメノコテントウの背筋型と分かりました。
今まで、市松模様の亀甲型しか見たことがなかったので、これで2つ目の型を見たことになります。


ヒメカメノコテントウの模様

       .
<亀甲型>            <亀甲型>            <背筋型>
  斑紋には5つのタイプがあるそうですが、見たことがあるのは亀甲型と背筋型の2タイプのみです。
同じ亀甲型でも変異があり、その模様は微妙に異なります。これは他の型でも同じようです。


ヒガシキリギリス(Gampsocleis mikado)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・キリギリス科・キリギリス亜科・キリギリス属>
 
キリギリス科キリギリス属のバッタで、日本では、本州の青森県から岡山県、淡路島に分布する。
本州西部の近畿、中国地方、四国、九州にはニシキリギリスが生息している。
元々は、両種はキリギリスの和名で同一種として扱われていたものが、1997年に前述の2種に分けられた。
北海道のハネナガキリギリスと沖縄のオキナワキリギリスを加えた4種が日本に生息する。
しかし、地域毎に特徴のある個体群が生息し、細かく分けられる可能性もある。
体長はオスが25〜36mm、メスが25〜37mmで、メスの方がやや大きい傾向があるが、大差ない。
体色は緑色型と褐色型があり、翅は短めで、側面に黒斑が多くある。

※ ニシキリギリスは、体長がオス29〜37mm、メス30〜40mmとやや大きい。
また、翅が長く、側面の黒斑はあって1列か、全くない。

2018/6/12
境川の側にある草原で、ヤマグワの葉に止まているヒガシキリギリスのオスの幼虫です。
成虫は草むらの奥にいて、鳴き声を頼りに探してもなかなか見つかりません。
近づきすぎると鳴き止んでしまうので、撮影に苦労する相手です。
たまたま、上に居ましたが撮影中もじっとしておらず、葉の上をうろうろしていました。

ウスグモスズ(Amusurgus genji)
<バッタ目・キリギリス亜目・コオロギ上科・コオロギ科・ヒバリモドキ亜科・ウスグモスズ属>
 
コオロギ科ウスグモスズ属に属するコオロギで、帰化種と考えられている。
1966年に東京都渋谷の個人宅の庭木で発見され、新属新種"Usgmona genji"とされた。
その後、分類学的研究からUsgmona属はシノニムとなり、"Metiochodes genji"と改訂された。
さらに、最近になって"Amusurgus (Usgmona)genji"と改められている。
Amusurgus属は、中国南部から東南アジア、南アジアにかけて分布している。
中国の上海において1930年代から本種の記録があり、中国南部が原産地の可能性がある。
なお、第二次世界大戦前の標本が残っているため、日本への侵入は1945年よりも古い可能性がある。
発見後、しばらく記録報告がなく、1980年代に関東地方を中心に東海地方でも記録されている。
1990年代には関西地方、2004年には大分県、2007年には新潟県と島根県での記録がある。
体長は7〜8mmで、出現時期は8月〜10月。海岸付近を中心に公園などの低木や草原などで見られる。
体は全体に淡色で、翅は黒褐色の地に淡褐色の翅脈が浮き出ている。
クサヒバリに似ているが、本種の後脚には黒い斑紋がないことで区別できる。
なお、コオロギの仲間ではあるが、メスはもちろん、オスも鳴かない。

2020/9/5
マンションのベランダで、物干しざおに居るコオロギの仲間の幼虫らしきものを見つけました。
最初、アオマツムシが頭をよぎったのですが、色味からコオロギ科の幼虫だろうと思い直しました。
写真を撮ろうとしたのですが、ちょこまかと動いて隠れてしまうため、一時捕獲しました。
部屋内でもすぐに移動してしまうため、手で動きを制止しながらの撮影となりました。
写真を拡大して、立派な翅を持っているので、幼虫ではなく成虫だと気が付きました。
また、尾端には細い産卵管が突き出しているので、メスだと分かりました。
翅の模様が独特なので、それを手掛かりに調べるとウスグモスズと分かりました。
クサヒバリのメスに似ていますが、脚に黒い斑紋がないことで、本種と分かります。

アオマツムシ(Calyptotrypus hibinonis)
<バッタ目・キリギリス亜目・コオロギ上科・コオロギ科・マツムシモドキ亜科・マツムシモドキ族>

コオロギ科マツムシモドキ族のコオロギで、外来種。原産地は中国南部との説もあるが不明。
日本では、本州から四国、九州に分布している。
美しい緑色をした樹上生活をする。メスは全身が緑色であるが、オスは背部中心部が褐色。
体形は背部が扁平でマツムシに近いが、鳴き声は全く異なる。
体長は20o強で、9月〜11月に出現し、樹上でリーリーと良く響く声で鳴く。

2013/9/29
マンションのベランダで、葉に止まっているのを見つけました。
触角を前方にそろえて突き出し、後脚を体そそわせて後に付きだした、独特なポーズです。
背面が緑色一色なので、メスのようです。産卵に訪れたのでしょうか。

オンブバッタ(Atractomorpha lata)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・オンブバッタ科・オンブバッタ亜科・オンブバッタ属>
 
<メス>                  <オス>
オンブバッタ科オンブバッタ属のバッタで、草地や畑などで普通に見られる。
メスの上にオスが乗っている姿をよく見かけるが、それが和名の由来になっている。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東アジアに広く分布する。
体長はオスが25mm前後、メスが42mm前後で、バッタの仲間では小型の部類に入る。
体色は緑色と褐色の2タイプがある。頭部は先が尖り、先端付近に触角と複眼が付く。
体の断面は3角形に近く、複眼から前胸部、後脚腿節に伸びる線で、背面と腹面が分かれる。
成虫の翅は前後とも先が尖り、後翅は透明で基部が黄色味を帯びる。
動きは鈍く、長い翅を持つが飛ぶことはほとんどなく、後脚で跳躍したり、歩いて移動する。

2020/10/7
境川の近くで繁茂していたマメアサガオの葉の上で見かけたオンブバッタです。
最初に見つけたのはメスの方で、まだ、瑞々しさの残るきれいな個体でした。
オスは居ないかと探すと少し離れた所で見つけました。ただ、かなり傷んだ個体でした。


2020/10/19
境川に沿った道路脇にある植え込みで、オンブバッタのペアを見つけました。
こうやって見ると雌雄の大きさの違いが良く分かりますね。

コバネイナゴ(Oxya yezoensis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・イナゴ亜科・イナゴ属>
 
バッタ科イナゴ属のバッタで、日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布する。
体長はオスが30mm前後で、メスが40mm前後ある。
体色は明るい緑色で、頭部から尾部までの側面には暗褐色の筋が走っている。
なお、背面は肌色か緑色のものが多いが、稀に紅色の個体がいる。
翅は、腹端を越えないものが多いが、長翅型のものも見られる。
出現時期は8月〜11月で、卵で越冬する。
イネ科植物の葉を摂食するので、イネの害虫であるが、その他の雑草もよく食べる。
ただ、同時に水田から得られる重要なタンパク源とされ、多くの地域で食用とされた。
危険を感じると草にぴたりと体寄せて、裏側に回り込み身を隠す習性がある。

2020/10/19
境川の近くで繁茂していたマメアサガオの葉の上で見かけたコバネイナゴです。
翅が尾端より突き出ないのが和名の由来ですが、コバネイナゴにも長翅型がいます。


コバネイナゴとハネナガイナゴとハネナガフキバッタ

     .
 <コバネイナゴ>              <ハネナガイナゴ>
     .
<コバネイナゴ(長翅型)>           <ハネナガフキバッタ>

紛らわしいイナゴとハネナガフキバッタを並べてみました。
コバネイナゴとハネナガイナゴは、翅の先が後脚腿節端を超えるかどうかで概ね判断できます。
ただ、コバネイナゴにも長翅型では翅は後脚腿節端より長いので、下記で判断します。
もう1点、前翅端に向かって細くなっているのがコバネイナゴで、ほぼ等幅なのがハネナガイナゴです。
なお、メスの場合、腹部第3節端にハネナガイナゴには棘があり、コバネイナゴにはない点で判断できます。
ハネナガフキバッタは、目の後から翅の付根にかけての縦帯模様や後脚腿節端が黒色です。
また、後脚腿節の内側に黒い帯模様があります(イナゴにはありません)。


ショウリョウバッタ(Acrida cinerea)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・ショウリョウバッタ亜科・ショウリョウバッタ属>

ユーラシア大陸の熱帯から温帯にかけて広く分布する。
日本では、北は北海道から南は九州まで、ほぼ全国に分布する。
雌雄で大きさが倍以上異なり、オス(体長5cm前後)はメス(体長8〜9cm)の半分くらいしかない。
オスは飛ぶときに「キチキチキチッ」と音を立てるので、キチキチバッタの別名で呼ばれることがある。
メスの両方の後ろ足の先を持つと、体をしゃくるように上下させる動きをするので、ハタオリバッタの別名がある。
精霊舟に似ることから「ショウリョウ」の名が付いたといわれる。
しかし、雌雄の大きさの差が甚だしいことから「霄壤」の名(ショウジョウバッタ)を別名として持つ。

2013/7/20
境川近くの草むらで見かけたショウリョウバッタのオスです。
境川の近くでは、バッタの類はあまり見かけません。
川が細くて、河川敷があまりなく、増水時に水没するなど、バッタ類には適さないのかも。

 
2020/10/6
境川近くで新築中の家屋で、工事中の塀の上にショウリョウバッタのメスが止まっていました。
なぜ、このような所にいるのか分かりませんが、写真を撮るには邪魔者がなくてラッキーでした。

ショウリョウバッタモドキ(Gonista bicolor)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・ヒナバッタ亜科・Gonista属>


 
バッタ科ヒナバッタ亜科のバッタの1種で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
体長は、オスで25〜30mm、メスでは45〜50mmで、メスの方が大きい。
出現時期は8月〜11月で、よく似たショウリョウバッタより遅い。
体色は、全体が淡緑色であるが、体側及び背面に赤い部分を持つ個体もいる。
なお、メスのみ全身が赤い個体が稀に見られる。オスの触角は長く発達している。
ショウリョウバッタによく似ているが、脚は体に対して短く、後脚も短く跳躍力は弱い。
頭部もショウリョウバッタほど尖らず、頭部の幅も広く、目も細くない。
食草はイネ科の植物で、細長い体を生かしてイネ科植物に擬態している。
危険を感じると草にぴたりと体寄せて、裏側に回り込み身を隠す習性がある。

2020/10/27
境川近くの草むらで見かけたショウリョウバッタモドキです。
見かけや大きさは、ショウリョウバッタのオスと似ていますが、触角が異常に長く見えます。
後肢は、ショウリョウバッタより短めです。









inserted by FC2 system