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境川に暮らす生き物たち 昆虫(W)



神奈川県相模原市と東京都町田市の間を流れる境川、二級河川で、流路は52kmほどだそうです。
二級河川ですが、古より相模の国と武蔵の国の国境を分ける川として、境川と呼ばれていたようです。
源流は、城山湖の北、500mほどの所にある沢で、江ノ島付近で相模湾に流れ込んでいます。

その境川やその近くで見かけた昆虫たちです。
といっても、散歩途中で見かけた極一部の昆虫のみです。
探せばもっといろいろな昆虫がいると思います。

< トピック >
今回、新たに出会った下記の昆虫を追加しました。
ヒメバチ科の2種



ここでは、下記の昆虫を掲載しています。
ハエ目・ハエ亜目
ハナアブ科(コシアキモモブトハナアブ、アシブトハナアブ、オオハナアブ、
      ミナミヒメヒラタアブ、フタホシヒラタアブ、ホソヒラタアブ)
ミバエ科(ミスジミバエ)
クロバエ科(ツマグロキンバエ)
ベッコウバエ科(ベッコウバエ)
ハチ目・ハチ亜目
クモバチ科(アオスジクモバチ)
アリ科(クロヤマアリ)
スズメバチ科(コアシナガバチ、コガタスズメバチ、ヒメスズメバチ)
ツチバチ科(キオビツチバチ、キンケハラナガツチバチ、ヒメハラナガツチバチ)
ヒメバチ科(ヒメバチ科の2種)
アナバチ科(アメリカジガバチ)
コシブトハナバチ科(ナシモンキマダラハナバチ)
ハキリバチ科(オオハキリバチ)
ミツバチ科(コマルハナバチ、セイヨウミツバチ、ニホンミツバチ)
ハチ目・ハバチ亜目
ミフシハバチ科(ルリチュウレンジ)
昆虫(W)
和名インデックス


コシアキモモブトハナアブ(Matsumyia japonica)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・
ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナガハナアブ族・オオモモブトハナアブ属>
   
ハナアブ科オオモモブトハナアブ属のアブで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
体長は18o前後で、5月〜8月に出現する。
体色は黒色で、胸部前半は淡黄褐色、腹部後半には淡黄褐色の毛が密集している。
胸部後半から腹部前半は黒く、胸部後半には黒い毛も生えている。

2016/5/5
マンション近くの植え込みで、見慣れない黒いアブを見つけました。
胸部の前半と腹部の後半に淡黄褐色の毛が密集し、その間が黒いアブです。
調べた結果、本種と分かりました。複眼が接しているのでオスです。

アシブトハナアブ(Helophilus virgatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・
ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族>

ハナアブ科ナミハナアブ族のアブで、在来種。
日本では、北海道から四国、九州まで広く分布し、海外では中国に分布する。
体長は15o前後で、胸の二本の黄褐色の縦筋とバッタのように太くて大きい後肢が特徴。
腹部は黒く、細い黄横帯がある。オスの腹部基方の黄紋は、幅広の三角形になる。
幼虫は、腐敗した植物を食べ、成虫は花に集まる。

2016/5/25
境川近くのクリ園(といっても収穫などはしていないよう)で、雄花に止まっていました。
胸部の二本の黄褐色の縦筋とバッタのような後肢が特徴で、よく見かけるアブです。

オオハナアブ(Phytomia zonata)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・
ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族>

ハナアブ科ナミハナアブ族のアブで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで広く全国に分布する。
海外では、中国、東南アジアに分布する。
体長は15mm前後で、ずんぐりとした体形をしており、体長はナミハナアブと大差ない。
体色は全体が黒色で、腹部に太い黄赤色の横帯がある。
頭部は半球状で大きく、複眼には迷路のような模様があり、複眼の間には3つの赤い単眼がある。
雌雄で体形や体色に大差はなく、他のアブ同様にオスの複眼は接し、メスでは離れる。
幼虫は、腐敗した植物を食べ、成虫は花に集まり、蜜や花粉を食べる。
幼虫は、水中生活をするため長い呼吸器官を持っていて、その姿からオナガウジと呼ばれる仲間である。

2018/3/13
境川へ向かう途中の道路脇で、葉に止まっているオオハナアブを見かけました。
よく見かけるオオハナアブに比較して、腹部の横帯模様が白っぽいので、写真を撮りました。
その写真を撮り始めた途端、糞を出し始めてしまったんです。
そんな写真見たくはない方は、下記の写真はスキップください。


オオハナアブの排泄
       .

尾端がスルスルと伸び出し、その先から淡黄色の糞と思われるものが、ヌルヌルと出てきました。
数mmほど伸び出したところで、ポトリと落ち、排泄は終了。伸びた尾端も元に戻りました。


ミナミヒメヒラタアブ(Sphaerophoria indiana (philanthus))
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・
ハナアブ科・ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族・ヒメヒラタアブ属>
 
ハナアブ科ヒメヒラタアブ属のアブで、在来種。
最近まで、日本に分布しているのは、酷似するキタヒメヒラタアブ(Sphaerophoria philanthus)とされてきた。
それが、交尾器の形状調査で、ミナミヒラタアブであると判明し、学名、和名が変更されたものである。
しかし、キタヒメヒラタアブは、ヨーロッパから極東ロシアにかけて分布しており、日本にも分布している可能性はある。
いずれにしても、外見からホソヒメヒラタアブ、ミナミヒメヒラタアブ、キタヒメヒラタアブを識別するのは困難である。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布し、海外ではインド辺りまで広範囲に分布する。
体長は8〜10mmで、出現時期は4月〜11月。
胸部背面は、金属光沢のある暗褐色で、縞模様がある。側面は黄色。
腹部は細長く、暗褐色と黄色の縞模様があり、オスでは筒状であるが、メスではやや膨らむ。
幼虫は頭部が尖ったやや扁平なウジ虫で、アブラムシを食べる。成虫は、花蜜や花粉を食べる。

2017/10/2
境川近くの草原で、スペアミントの花に訪花していました。
良く似たホソヒメヒラタアブか本種か迷ったのですが、下記の記載があったので本種としました。
「ホソヒメヒラタアブのオスの胸背の側縁は、前半のみ光沢のある黄色である」
本個体の胸背の側縁は、全体に黄色くなっていることが確認できましたので、本種としました。
なお、複眼が接しているので、この個体はオスです。


2018/5/21
境川の縁で、ヒメジョオンの花を訪花中のミナミヒメヒラタアブです。
この個体は複眼が離れているので、メスです。

フタホシヒラタアブ(Eupeodes corollae)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・
ハナアブ科・ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族・フタホシヒラタアブ属>
 

 
日本では、北海道から本州、四国、九州まで広く分布する。壹岐、男女群島での記録もある。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、サハリン、北米大陸に分布する。
体長は10mm前後で、腹部には黒地に鮮やかな黄斑があり、全て左右に分かれている個体が多い。
胸部背色は黄褐色で、触角の付け根に黒い毛があり、小楯板にも黒い毛がある。
成虫は各種の花に訪れて蜜を食べ、幼虫はアブラムシを餌としている益虫である。

※ ナミホシヒラタアブと酷似しているが、下記の点で区別可能である。
フタホシヒラタアブ 胸部背色は黄褐色、触角の付根に黒い毛があり、小楯板の毛も黒色
ナミホシヒラタアブ 胸部背色は青銅色、触角の付根に毛はなく、小楯板の毛は淡褐色

腹部の黄斑は、フタホシヒラタアブでは、全て左右に分かれている個体が多いが、例外もある。
ナミホシヒラアタアブでは、第3〜4節は中央で繋がっている個体が多いが、例外もある。
そのため、黄斑のつながり具合だけでは判断できず、他の特徴を確認する必要がある。
なお、ナミホシヒラタアブのメスには、頭頂の黒い部分と触角の付根の間にY字型の黒斑がある。

2019/4/29
自宅近くの道端で見かけたフタホシヒラタアブで、かなりの数が飛び交っていました。
腹部の黄斑が全て左右に分断されているため、フタホシヒタラアブの可能性が高いと思いました。
黄斑の分断状態だけでは判断できませんが、胸部背色が黄褐色であるため、本種の可能性が高いと思われます。
しかし、不鮮明なことから触角付根の毛が確認できず、小楯板の毛が淡褐色に見えます。
この点から、ナミホシヒラタアブの可能性が残るのですが、過去の写真(下記)から本種としました。
右下の写真は、本種の蛹です。蝶の蛹と比べると、模様などもなく、とても蛹には見えませんね。


フタホシヒラタアブとナミホシヒラタアブ

     .
<ナミホシヒラタアブ オス>         <フタホシヒラタアブ オス>
  こうやって並べてみると両種の違いは分かり易くなりますね。
胸部背面の色の違いも明らかですし、フタホシの方が光沢が強いこともわかると思います。
ただ、触角の付根の黒毛の有無、小楯板の毛の色はこの写真では不明瞭ではっきりしません。


ホソヒラタアブ(Episyrphus balteatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・
ハナアブ科・ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族・ホソヒラタアブ属>
 
ハナアブ科ヒラタアブ族の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、アジアから欧米まで、非常に広範囲に分布している。
活動時期は3月〜11月と広く、晩秋まで見られる。
体長は8〜11mmで、細く平たい腹部に対して、複眼と頭部が大きい。
腹部はオレンジ色と黒色の縞模様で、各々の節に太い黒帯と細い黒帯がある。
ホバリングの名手で、ホバリングと移動を繰り返しながら花から花へと飛び回る。
幼虫はアブラムシを食べ、成虫は花の蜜や花粉を食べる。成虫で越冬する。

2022/9/8
自宅近くの道路沿いでハゼンランを撮影していると、ホソヒラタアブが訪花してきました。
ホバリングしながら、次々と花を移っていきます。
ホバリングの名手だけあって、ホバリング中は翅以外はピタッと止まっていました(右写真)。
なお、複眼が離れているので、この個体はメスです。

ツマグロキンバエ(Stomorhina obsoleta)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヒツジバエ上科・クロバエ科・ツマグロキンバエ亜科>
 
クロバエ科ツマグロキンバエ亜科の1種で、6月〜10月に花に来る小さなハエ。
日本では、北海道から、本州、四国、九州、沖縄まで分布する。
体長は5〜7mmで、体色は深緑色。背中に丸みがあり、翅の先端が黒い。
複眼は青緑色に波模様があり、口吻は長く突き出ている。
幼虫は動物の死骸などを食べ、成虫は花の蜜を食べる。

2020/10/27
境川近くの草原で、セイタカアワダチソウを訪花しているツマグロキンバエを見つけました。
縞模様のある複眼と暗色に染まった翅の先端、異様に長く突き出た口吻は、1度見たら忘れません。

ミスジミバエ(Zeugodacus scutellatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ミバエ上科・ミバエ科・ミバエ亜科>
 
ミバエ科ミバエ亜科の1種で、在来種。ミバエの仲間は幼虫が植物の果実を食べるものが多い。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
体長は7o前後で、背中に3本の白い筋があるのが名前の由来。
幼虫は、野生ウリ類の雄花やウリ科植物に寄生するタマバエ類の虫こぶ(ゴール)を食べる。
最近になって、南西諸島で野菜のキュウリの食害が確認されている。
成虫は枯れ葉の中で、集団で越冬する。

2013/11/10
マンションのエレベータホールの壁に止まっていました。
ずんぐりとした体に似合わない小さな頭部と金属光沢がある眼が特徴です。
これ以降も、晩秋になると蛍光灯の脇などに集まって止まっているのが見られました。
それらも徐々に減って、最後にはいなくなりますので、越冬のために移動しているようです。
調べた所、胸部の3本の淡黄色の縦筋と複眼の特徴から本種と分かりました。
ミバエの仲間は良く似ていて、カボチャミバエは一回り大きく、縦筋が黄色です。
南方にいるウリミバエは一回り小さく、褐色の体色に、縦筋が黄色です。
ウリミバエは、南西諸島に侵入した外来害虫で、不妊虫放飼法により根絶されました。

 
2017/8/22
この頃、エレベータホールの天井でミスジミバエをよく見かけるようになりました。
前回は105oに接写リングを付けたマクロ撮影でしたが、今回は100oマクロで撮ってみました。
フラッシュを使っていますが、色合いがずいぶんと異なります。

ベッコウバエ(Neuroctena formosa)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヤチバエ上科・ベッコウバエ科>
 
ベッコウバエ科のハエで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布する。
体長は、オスが15o前後で、メスは12o前後。
体色は黄褐色で、胸部背面に黒褐色の縦条がある。翅は黄褐色で、片側5個の黒斑がある。
オスの腹部は光沢のある赤褐色で、黄色い長毛が密生する。
メスの腹部は光沢のある黒褐色で、毛はオスほどには多くない。
薄暗い林内などに生息し、樹液や腐ったキノコ、動物の糞に集まる。幼虫は獣糞で育つ。

2013/10/21
マンションのエレベータホールの壁に止まっていました。
ベッコウ色の体色に黒褐色縦縞、翅に斑紋があり、糞に集まっているのを見たことがあります。
そのため、ちょっと近づきたくないハエですが、色合いはきれいな部類です。
腹部が黒褐色なので、メスのようです。

アオスジクモバチ(Paracyphononyx alienus)
<ハチ目・ハチ亜目・クモバチ上科・クモバチ科・ナミクモバチ亜科・Paracyphononyx属>
 
クモバチ科のハチで、日本固有種。日本では、本州から四国、九州に分布する。
ベッコウバチ科とされることもあり、アオスジベッコウの別名がある。
また、ヤマトを付けて、ヤマトアオスジクモバチやヤマトアオスジベッコウの別名もある。
体長は12〜20mmで、出現時期は4月〜10月である。
体は黒色で、腹部に灰青色の微毛からなる線斑があるが、光のあたり方ではっきり見えないこともある。
本種は、クモに毒針を刺して麻痺させ、そこに産卵して、そのまま放置する。

2017/10/2
境川近くの草原で、スペアミントの花に見慣れない真っ黒なハチが訪花していました。
調べた所、翅も含めて全身真っ黒に見えましたので、最初、トゲアシオオクモバチかと思いました。
しかし、トゲアシオオクモバチの出現時期は春から初夏までで、時期が合いませんし、翅に斑紋もありません。
そして残ったのが本種でした。よく見ると腹部に淡いながらも淡青色の帯が2本見えます。
光の加減で、帯は見えにくいこともあるとのことなので、翅の特徴も合うことから本種としました。

クロヤマアリ(Formica japonica)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・アリ科・ヤマアリ亜科・ヤマアリ属・クロヤマアリ亜属>
 
ヤマアリ亜科クロヤマアリ属に属するアリで、在来種。
日本では、ほぼ全国に分布し、海外では朝鮮半島から中国、台湾、東シベリア、モンゴルなどに分布する。
草原などで、日当たりの良い土の露出した場所に、深さ1mほどの巣を作る。
主にアリマキの出す甘露や花蜜、昆虫の死骸などを食料としている。
営巣には関東型と関西型があり、関東型は1つの巣に1匹の女王アリ、関西型は複数の女王アリが暮らす。
働きアリは体長4〜6mm、女王アリは10o前後で、体色は光沢の内暗灰色〜黒褐色。
クロオオアリと似ているが、胸部を横から見たとき、2山になるのが本種で、1山になるのがクロオオアリ。

2017/9/25
境川近くの草原で、ヤブツルアズキを訪花していました。
よく見かけるアリの代表格です。


大型のアリ

       .
 <クロヤマアリ>         <クロオオアリ>         <ムネアカオオアリ>
クロヤマアリは「ヤマアリ属」、他の2種は「オオアリ属」のアリです。
この中ではクロヤマアリの働きアリが4〜6mmと最も小型のアリとなります。
クロオオアリとムネアカオオアリの働きアリは、7〜12mmと倍近い大きさがあります。
ヤマアリ属とオオアリ属の外見の違いは、胸部を横から見たときの背縁の形です。
ヤマアリ属は中央がくぼみ、2山に見えるのに対し、オオアリ属はへこみがなく1山に見えます。

※ 比較しやすくするため、画像を回転して方向をそろえてあります。


コアシナガバチ(Polistes snelleni)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・アシナガバチ亜科・アシナガバチ族・アシナガバチ属>
 
スズメバチ科アシナガバチ属のハチで、在来種。攻撃性はやや強い。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布している。
体長は11〜17mmと、和名の通り、日本産のアシナガバチ属の中では、最も小型の種である。
出現時期は4月〜10月で、オスバチや女王バチは、8月〜9月に出現する。
体色は黒色で、赤褐色と黄色の斑紋がある。
巣は、巣柄を起点に一方向に伸長し、大きくなると上向きに反り返る。
巣の規模としてはかなり大きくなり、本州では500育室の記録がある。働きバチは50匹規模になる。
本種とよく似たキボシアシナガバチとは、腹部第3、第4節の黄斑の有無で区別可能。
黄斑があるのが本種。なお、巣の繭の蓋でも区別可能で、白が本種、黄色がキボシアシナガバチ。
成虫の餌は、樹液、花蜜で、幼虫には青虫などを肉団子にして与える。

2017/9/25
境川から少し離れた草原で、ヤブガラシの花に訪花していました。
キボシアシナガバチと比べると、黄色い斑紋が良く目立ちます。


キボシアシナガバチ(Polistes nipponensis)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・アシナガバチ亜科・アシナガバチ族・アシナガバチ属>

 
スズメバチ科・アシナガバチ亜科のハチで、日本では北海道から南西諸島まで全国に分布する。
体長は15mm前後で、体色は黒色で赤褐色の斑紋がある。
低山地から山地に分布し、樹木の枝や葉裏に営巣する。
巣は黄褐色で、繭のふたは鮮黄色で育室から数mm飛び出す。
営巣規模は少なく、働き蜂は多くても数十匹程度にしかならない。
本種は、他種と比較して威嚇性、攻撃性がやや強いので、注意が必要。
2013/8/3
八ヶ岳自然文化園で見かけたキボシアシナガバチです。
コアシナガバチの腹部にある黄斑は、キボシアシナガバチにはありません。
また、巣の繭の蓋が黄色いのも、キボシアシナガバチの特徴です。


コガタスズメバチ(Vespa analis)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・スズメバチ亜科・スズメバチ属>
 
スズメバチ科スズメバチ属に属するハチで、在来種。
日本には、本州から四国、九州、屋久島、種子島に生息する亜種、八重山亜種、沖縄亜種の3亜種が生息。
日本本土亜種「Vespa analis insularis」は、日本の固有種。
日本以外では、インド、東南アジア各国から中国、シベリア、台湾などアジア各地に広く分布する。
なお、原名亜種は、インドネシアのスマトラ島、バンカ島、ジャワ島に生息する。
スズメバチ属の中では中型種で、女王蜂で30mm程、働き蜂は25mm程です。
初期段階の巣は、フラスコをさかさまにしたような形で、働きバチが羽化してくるとボール状に変化する。
営巣規模は比較的小さくて、威嚇性・攻撃性はあまり高くない。
しかし、巣に直接刺激を与えると激しく反撃してくるので、巣には刺激を与えない方が良い。
営巣場所と餌の種類に柔軟性があるため、都会部でもよく見かける。

2020/10/3
境川に向かう途中、道端のヤブガラシの花の周りをコガタスズメバチが飛んでいました。
ヤブガラシの花の花盤に溜まっている蜜を集めているようで、次々と花を訪れていました。

ヒメスズメバチ(Vespa ducalis)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・スズメバチ亜科・スズメバチ属>
   
日本には、本州から四国、九州産、対馬産、八重山産の3亜種が生息。
他のスズメバチと異なり、女王バチ、オスバチ、働きバチ(メス)の大きさに差がなく、体長は30mm前後。
オオスズメバチに次ぐ大きさではあるが、攻撃性は弱く、毒性もあまり強くはない。
しかし、威嚇性は非常に強く、巣に近づくとまとわりつくように飛び回る。
日本では、活動期間が短いため、小規模な巣しか作れず、全盛期でも働き蜂は数十匹程である。
※ 餌のアシナガバチが年中活動する東南アジアでは、大きな巣を作り、攻撃性も強くなる。
本種は、他のスズメバチ類(腹端は黄色)と異なり。腹部の末端が黒いため、容易に区別できる。

2014/9/13
境川近くにある駐車場、そのフェンスに絡み付いているノブドウに来ていました。
数匹が飛び交い、ノブドウの花から蜜を集めているようでした。

 
2016/10/7
マンションのエレベータホールをヒメスズメバチが飛び回っていました。
天井に止まったので、この写真を撮影後、捕獲して処分しました。
捕虫網の中で、顎をガチガチ鳴らして威嚇し、捕虫網を食い破ろうとしていました。
網を揺らしてさらに興奮させ、食い破られないようにしながらビンに移してなんとか処理しました。


都市部で出会うスズメバチとアシナガバチの仲間

都市部でも比較的良く見られるスズメバチとアシナガバチの仲間です。

   
 <ヒメスズメバチ>     <コガタスズメバチ>     <キイロスズメバチ>
  [体長:30mm前後]    [体長:25mm前後]    [体長:20mm前後]
キイロスズメバチは体長は20o前後と最も小型ですが、凶暴さはオオスズメバチと大差ありません。
その巣の規模においても最大級で、直径50cm、5,000匹以上の規模になります。
この中では、最も注意を要する種で、むやみに近づくのは非常に危険です。
ヒメスズメバチは、この中では最も大型で威嚇性が強いですが、攻撃性は最も弱い種です。
そのため、まとわりつくように飛び回ることもありますが、手を出さなければ、攻撃されることは稀です。
コガタスズメバチも比較的攻撃性が弱い種ですが、被害が最も多い種です。
開けた場所に営巣するため、住居近くに営巣する事が多く、気付かずに近づいて刺される事が多いようです。

   
<セグロアシナガバチ>    <フタモンアシナガバチ>    <コアシナガバチ> .
[体長:23mm前後]    [体長:16mm前後]    [体長:14mm前後]
一方、アシナガバチの仲間の巣は、単層で部屋数も数百以下と規模は小さいです。
直接、巣を揺らすとかしなければ、近づいても襲ってくることは稀です。
しかし、その毒はスズメバチよりは弱いとはいっても強烈です。
子供の頃、知らずに巣の近くを歩き、フタモンアシナガバチに刺されたことがあります。
その動きは、極めて速く、サッと飛んできて、腕を毒がなくなるまで刺し続けて飛び去りました。
その間、数秒の出来事で、腕には直径数pから数oまで、徐々に小さくなる刺し後が残りました。
その痛さは、今でも忘れません。以来、再び刺されることがないよう細心の注意を払っています。
2度刺されればアナフィラキシーショックを起こすこともありますので、注意が必要です。


キオビツチバチ(Scolia oculata)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・ツチバチ科・ナミツチバチ亜科・ナミツチバチ属>

ツチバチ科ナミツチバチ属のハチで、在来種。
樹林とその林縁、畑地、公園、社寺境内、人家の庭などに生息する。
日本では北海道から本州、四国、九州まで分布し、朝鮮半島、中国、台湾にも生息する。
体長は、オスで11〜20mm、メスでは15〜25mm。
成虫の出現時期は6月〜10月。メスは触角が短い。
コガネムシの幼虫に卵を産みつける寄生バチで、成虫は花の蜜を餌とする。
メスは、腹部に2個の黄斑があり、その黄斑の中に黒い模様があって目玉模様に見える。
オスでは、腹部に2個の黄斑は接近してつながり、帯状に見える。

2015/6/20
境川の堰堤沿いに植えられているツツジの葉の上で、キオビツチバチのメスを見つけました。
腹部の目玉模様の黄斑が一部しか写っていません。
この後、直ぐに飛び立ってしまったので、この写真しか撮れていません。


キオビツチバチのオスとメス

       .
2013/7/1 (オス)        2013/9/5(メス)           2014/6/17 .
多摩川の河川敷で見かけたキオビツチバチのオスとメスです。
オスの腹部にある2個の黄斑が接していること、メスの眼玉模様の黄斑も良く見えています。
右端の写真は、メスの写真を撮っていたら、横からオスが飛んできたものです。
雌雄の大きさの違い、体形や触角の違いが分かると思います。


キンケハラナガツチバチ(Megacampsomeris mojiensis)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・ツチバチ科・ハラナガツチバチ亜科・アラメハラナガツチバチ属>
 
ツチバチ科アラメハラナガツチバチ属のハチで、在来種。
平地や山麓に生息し、各種の花にやってくる。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東南アジア、インドなどに分布している。
発生時期は4月〜10月で、年1回の発生。メスは、成体で越冬する。
そのため、春先にもみられるが、多くは晩夏から秋に現れて、セイタカアワダチソウなどでよく見れらる。
体長は、オスは20〜23mm、メスは17〜27mmで、メスが一回り大きい。
オスの体色は黒色で、腹部には幅広の黄色帯紋があり、後縁には淡色の毛帯がある。
メスの体色は黒色で、頭部や胸部には黄褐色の長毛が密生する。腹部に帯紋はなく、黄褐色の毛帯がある。
また、触角の長さが雌雄で異なり、オスでは長く、メスでは短い。
コガネムシの幼虫に毒針で麻酔して、卵を産みつける寄生バチで、成虫は花の蜜を餌とする。

※ ツチバチ科のハチの違いに関しては、こちらを参照ください。

2017/9/25
境川にほど近い草原で、スペアミントの花に多くのキンケハラナガツチバチが訪花していました。
ただし、訪花していたのはメスばかりで、オスは見当たりませんでした。

ヒメハラナガツチバチ(Campsomeriella annulata)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・ツチバチ科・ハラナガツチバチ亜科・ツヤハラナガツチバチ属>

ツチバチ科ツヤハラナガツチバチ属のハチで、在来種。
平地や山麓に生息し、各種の花にやってくる。
日本では、本州から四国、九州、屋久島に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、フィリピン、ジャワ、スマトラ、インドに分布する。
体長は、オスで10〜20mm、メスで15〜22o。
成虫の出現期は5月〜10月。メスは触角が短い。
土中に巣を作り、スジコガネ類やマメコガネ類などの幼虫に寄生産卵する。
メスは、翅の端が褐色になり、腹部に白い4本の帯模様があるが、毛帯のみで白斑はない。
オスは、腹部に5本の淡黄褐色の帯紋があり、毛帯はメスに比べると目立たない。
他のハラナガツチバチとの明瞭な違いは、胸部背に黄紋があることで、識別は容易。

なお、ツチバチの仲間は良く似ているが、以下の点を確認すれば区別は容易である。
ヒメハラナガツチバチ
成虫の出現時期は5月〜11月。
メスは15〜22mmで、頭部、胸部は黒色で、胸部に黄白色の毛があるが多くない。
腹部第1〜4背板の後縁に白い4本の毛帯があるが、帯紋はない。
オスは10〜20oで、頭部、胸部は黒色で前胸背は黄色、小楯板か後胸背板に黄斑。
腹部の第1〜5または6背板の後縁に5〜6本の黄帯がある。
オオハラナガツチバチ
成虫の出現時期は8月〜10月。
メスは25〜32oと大きく、頭部、胸部に黄褐色の長毛がある。
腹部第1〜3背板の後縁にある3本の白毛帯は細く、黒色の斑紋はない。
オスは20〜25oで、胸部には淡黄褐色の毛が密生する。
腹部第1〜5背板の後縁に5本の黄白色の帯紋があり、帯紋の前縁は波打つ。
オスの第2〜第4腹板後縁の帯紋は、両側に短く残る。
キンケハラナガツチバチ
成虫の出現時期は4月〜10月。
メスは17〜27oで、頭部、胸部に黄褐色〜赤褐色の長毛を密生する。
腹部は斑紋を欠き、胸部よりやや淡い色彩の4本の毛帯がある。
オスは16〜23mmで、胸部に黄褐色の毛が密生する。
腹部第1〜4背板後縁に4本の細い黄帯がある。
腹部第2〜4腹板後縁の帯紋は細く、通常、中央部は消失する。
シロオビハラナガツチバチ
成虫の出現時期は3月〜11月。
メスは25〜33mmで、頭部、胸部は黒色で、胸部に黄褐色の毛が密生する。
腹部第2〜3背板後縁に細い黄白色の帯(毛帯ではない)がある。
オスは19〜25mmで、頭楯に黄色部はなく、胸部に灰褐色の毛を密生する。
腹部第1〜4または5背板後縁に乳白色の帯紋は4か5本あり、幅はやや太め。

2014/10/25
境川近くに咲いていたセイタカアワダチソウに、ツチバチが訪れていました。
ツチバチの仲間は良く似ていますが、以下の点でヒメハラナガツチバチと判断しました。
触角が短いのでメス。腹部の毛帯は4本。胸部背面に毛がほとんどなく、体長は20oほどです。

 
2020/10/13
コスモスの写真を撮っているとツチバチのメスが写野の中に飛び込んできました。
全身に黄色いコスモスの花粉を付けていましたので、かなりの花を訪花してきたようです。
上記同様の特徴から、ヒメハラナガツチバチのメスと判断しました。


2020/10/19
マルバアサガオの写真を撮っていて、その葉の上にハチが止まっているのに気が付きました。
望遠レンズで確認して、ヒメハラナガツチバチのメスと分かりました。
横から撮った写真がなかったので、掲載しました。

 
2022/9/25
ゴボウの花を撮影しているとき、ハチが飛んできて吸蜜を始めました。
距離があったので、その場では種類までは分かりませんでした。
後で写真を拡大した時、ツチバチの仲間で、メスで腹部の帯模様が4本だと確認できました。
メスで帯模様が4本あるのは、ヒメハラナガツチバチかキンケハラナガツチバチのどちらかです。
また、胸部や腹部の毛帯の色が黄褐色ではなく白いので、ヒメハラナガツチバチと判断しました。


ヒメハラナガツチバチのオスとメス

     .
2012/9/3(オス)          2012/9/27(メス)
多摩川の河川敷で見かけたヒメハラナガツチバチのオスとメスです。
オスの腹部にある5本の淡黄褐色の帯紋、胸背部の黄紋が確認できます。
メスの腹部にある4本の白毛帯、胸背部が黒くて毛が少ないことが確認できます。
オスとメスの触角の長さの違いも一目瞭然ですね。


ヒメバチ科の一種(1)(Ichneumonidae)
<ハチ目・ハチ亜目・ヒメバチ上科・ヒメバチ科>
 
ヒメバチ科は甲虫や他のハチ、チョウ、クモなどを寄主として利用する捕食寄生者である。
そのことによって、農地等の陸域生態系で、他の昆虫などの節足動物の個体数を制御する役割を担っている。
昆虫の中でも特に巨大なグループであり、世界から約25,000種が知られている。
ヒメバチの成虫は、細身のハチのような体型をしているが、その体長、体色、体型などは非常に多様である。
ヒメバチ上科の触角は節数が多いという特徴があり、普通16節以上ある。
また、植物組織内や繭内などの寄主に産卵するため、メスでは長い産卵管をもっているものが多い。

2023/4/18
境川に向かう途中、畑の脇に生えていたアレチギシギシと思われる葉で見かけました。
頭部、胸部、腹部は真っ黒で、後脚の脛節の基部に白帯があります。
脚の基節には白斑が見られ、前脚と中脚の間に黄色っぽい部分が見られます。
以上の見た感じからヒメバチの仲間と思われますが、同定はできませんでした。

ヒメバチ科の一種(2)(Ichneumonidae)
<ハチ目・ハチ亜目・ヒメバチ上科・ヒメバチ科>
 
ヒメバチ科は甲虫や他のハチ、チョウ、クモなどを寄主として利用する捕食寄生者である。
そのことによって、農地等の陸域生態系で、他の昆虫などの節足動物の個体数を制御する役割を担っている。
昆虫の中でも特に巨大なグループであり、世界から約25,000種が知られている。
ヒメバチの成虫は、細身のハチのような体型をしているが、その体長、体色、体型などは非常に多様である。
ヒメバチ上科の触角は節数が多いという特徴があり、普通16節以上ある。
また、植物組織内や繭内などの寄主に産卵するため、メスでは長い産卵管をもっているものが多い。

2023/4/20
境川からの帰り道、畑の脇を飛び回るハチが居ましたが、近くに止まりました。
黒い体色で、小楯板が黄色だったので、以前見かけたシロヨトウヤドリヒメバチに見えました。
後で写真見よく見ると、腹端にも黄色い斑紋が見られ、シロヨトウヤドリヒメバチではないようです。
各脛節の基部に黄色い帯斑があり、前脚、中脚の脛節が黄色いシロヨトウヤドリヒメバチと異なります。
触角は比較的長く、中間辺りに白い帯斑が見られます。
以上の見た感じからヒメバチの仲間と思われますが、同定はできませんでした。

アメリカジガバチ(Sceliphila caementarium)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・アナバチ科・Sceliphrinae亜科・Sceliphron属>

アナバチ科のハチで、北アメリカ原産の移入種。
日本では本州の関東以西、四国、九州に分布し、ハワイやアジア各国にも移入している。
直径1cm、長さ4cm程の泥の筒に小型のクモを10匹程入れて卵を産みつけ、蓋をする。
この筒を10個ほど、泥の固まりのようにして作る。

2015/6/13
境川近くの通路に出来ていた水たまり。その脇で吸水しているのでしょうか、本種がいました。
濡れた地面にへばり付いて、しばらくこのポーズのまま動きませんでした。

ナシモンキマダラハナバチ(Nomada pyrifera)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・コシブトハナバチ科・キマダラハナバチ亜科>

コシブトハナバチ科キマダラハナバチ亜科の仲間で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
体長は10o程で、出現時期は4月〜6月。
暗赤色の体色で、腹部第3節に大きな黄紋が1対あり、尾端近くに小さな黄紋が2対ある。
幼虫はハナバチ類に寄生し、成虫は花の蜜を食べる。

2018/4/3
境川から少し離れた畑で、その一角を黄色く埋め尽くしていたセイヨウアブラナ。
その花を撮ったのですが、後でその写真を見ていて、本種が写っていたのに気が付きました。
頭部は花柱に隠れてしまっていますが、体色や腹部の黄斑に見覚えがあり、本種と気が付きました。
涸沼で見かけて以来、見かけたのは2度目です。これからが出現時期になるハチです。

オオハキリバチ(Megachile sculpturalis)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ハキリバチ科・ハキリバチ亜科・ヤニハナバチ属>

ハキリバチ科ヤニハナバチ属の1種で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州、奄美大島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
体長はメスで25oほど、オスで20oほどと、大型のハナバチである。
全身が黒く、胸部と腹部第1節の背板に褐色の毛を密生する。
翅の基部は黄褐色であるが、先に向かって黒くなり、紫の光沢がある。
腹部の2節以降にも黒い短毛があり、特に側面と尾端に多い。
オスの成虫は6〜8月、メスは8〜10月に出現する。
ハキリバチ類は植物の葉を切り取って巣を作るのが和名の由来であるが、本種は松脂で作る。
それが、ヤニハナバチ属の名前の由来である。
主にクズの花から粉と蜜を集め、花粉団子を作って幼虫の餌とする。
巣は、竹などの既存の筒構造利用して作られ、奥から松脂で壁を作り、そこに花団子を詰め込む。
一定量に達すると産卵して松脂で封をし、次の部屋に花団子を詰めることを繰り返す。
最後に筒の入り口を封印するが、この封だけは土が使われる。

2020/10/6
境川の河原に咲いていたキクイモの花を撮っていると、大きなハチが訪花していました。
距離があるので種類までは分からず、取り合えず写真を撮っておきました。
拡大したも解像度不足で不明瞭でしたが、腹部の体節にくびれが見られ、胸部に褐色毛があります。
どこかで見たことがあると調べると、オオハキリバチでした。大きさ的にもあっていると思います。
尾端が丸くなく、少し尖ったようになっているので、おそらくメスだと思います。


オオハキリバチのメス

     .
2016/8/27
胎内星まつり会場で見かけたオオハキリバチです。
尾端が尖り、腹部下面にスコバ(集粉毛、花粉刷毛)が見えていますので、メスです。


コマルハナバチ(Bombus ardens ardens)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・マルハナバチ族・マルハナバチ属>

ミツバチ科マルハナバチ属のハチの1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布している。
出現時期は3月〜10月で、越冬した女王バチが春先から活動を開始する。
他のマルハナバチ同様、林床の地中に営巣する社会性のハナバチだが、6月頃にはコロニーが解散してしまう。
そのため、6月頃にオスが見られるようになり、同時に新しい女王バチも巣立っていく。
オスの体長は15o前後で、淡黄褐色の毛で覆われ腹端がオレンジ色をしている。短命で、寿命は1ヶ月程度。
メスは、黒色の毛で覆われ腹端がオレンジ色をしており、女王バチも働きバチ(メス)も同様である。
なお、女王バチは体長20o前後、働きバチは15o前後で、オスと同じような大きさである。

コマルハナバチとクロマルハナバチのメスは酷似しているが、下記の点で区別可能である。
・クロマルハナバチの毛並みは、刈り揃えられたように上面が揃った長さで平らに見える
 コマルハナバチの毛並みは、長さがバラバラで、ボサボサしてみえる
・後脚の附節の形が異なり、瘤状の湾曲があればクロマルハナバチ、湾曲がなければコマルハナバチ
・クロマルハナバチの翅の外縁は黒く曇るが、コマルハナバチの翅は先端が暗色を帯びる

2005/6/12
相模原麻溝公園のサツキの花に花粉集めに来ていたコマルハナバチです。
そろそろコロニーを解散する時期ですが、まだ、花粉団子を足に付けているので働き蜂と思われます。

 
2020/3/23
マンションのエレベータホールで、じっと動かないハチを見つけました。
急に寒くなったので、動けなくなってしまったようです。
保護して自宅に持ち帰ったのですが、温度が上がるとブンブンと飛び回り始めてしまいました。
仕方がないので、網の袋に捕獲し、翌日、温度が上がったら逃がすことにしました。
その前に動き回るハチを何とか追いかけて撮ったのがこの写真です。
黒い体色に尾端のオレンジ色の毛から、コマルハナバチかクロマルハナバチのメスと思われました。
さて、翌日、気温が上がって来たので逃がしてやろうとしたのですが、動いていません。
どうしたのかと思ってよく見ると、全く動く気配がなく、死んでしまったようです。
昨晩は、ブンブンと元気だったのに、どうして死んでしまったのか、原因不明です。

 

 

 
2020/4/6
捨てるのは忍びないので、標本にすることとしました。それがこれらの写真です。
標本にして気が付いたのですが、腹部に上部で途切れた淡黄色の帯模様が見られました。
腹部第2節に明色の帯があるのはオオマルハナバチですが、淡く、腹背で途切れています。
コマルハナバチのメスにも帯模様がある場合があるが、途中で途切れるとの事なので本種と思われます。
もう1種、よく似たクロマルハナバチのメスとの違いは、毛並みと後脚の附節の形がポイントとの事。
中段は、その毛並みの様子を上面と側面ら撮ったものですが、毛の長さがバラバラで、ボサボサです。
クロマルハナバチの毛は、刈り揃えらえたように同長で、撫でつけたように寝ていてペタっとしています。
この点から、毛が不同長で、ボサボサ髪のコマルハナバチのメスと思われます。
下段左の写真は、後脚附節を拡大したものですが、ゆるくカーブしているのはコマルハナバチの特徴です。
クロマルハナバチは、片方が瘤状に湾曲しており、この点でもコマルハナバチと分かります。
右の写真は、触角の節の数を数えたもので、12個確認できるのでメスです(オスの場合は13節)。
なお、体長は20oあったのと、早春のこの時期に見られたので、越冬した女王バチだと思います。


コマルハナバチのオス

     .
2017/5/31
薬師池公園の萬葉草花園で、ウメモドキの花を訪花していたコマルハナバチのオスです。
メスと異なり、全体が暗黄色で、腹部の末節あたりが若干オレンジ色になっています。
逆光撮影のため、分かりにくいのですがその中に毛色が灰白色のもの(右側)が1匹混じっていました。
おそらく、オスのコマルハナバチの色変わり(※)と思われます。

※ 乙女高原ファンクラブの方に、ホンシュウハイイロマルハナバチでないことは確認済み。


セイヨウミツバチ(Apis melliferas)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・ミツバチ族・ミツバチ属>

ヨーロッパ・アフリカに分布し、世界中に養蜂用に移入されている。
日本にも移入されているが、野生化はあまり見られない。
ニホンミツバチと異なり、蜂球を作る能力はないので、オオスズメバチに襲われると全滅する事もある。
繁殖力の強いセイヨウミツバチが、あまり野生化していないのはこれが要因と考えられている。
体長は、働きバチで12〜14mm、雄バチで15〜17mm、女王バチでは15〜20oある。
腹部の黒い帯模様が尾端は太く、胸部側が細くなり、全体に黄色味が強く、特に胸部側は黄褐色になる。
セイヨウミツバチにも何種類かいるが、黄色味が強いのはイタリアン種である。
セイヨウミツバチは成虫で越冬し、寿命は季節変動はあるが平均60日前後、女王バチは2年前後である。
働きバチが、卵から成虫になるのに要する期間は3週間で、女王バチは16日である。
女王バチは1週間ほどで成熟し、交尾飛行に出て、交尾後巣に戻る。
交尾後に新女王バチが戻ると、元の女王は半数の働きバチを連れて出て行き、蜂球を作る。
働きバチが偵察に出て、新しい巣が見つかると一斉にその場所に移動して分蜂完了となる。

2020/10/13
コスモスの写真を撮っているとセイヨウミツバチが訪花してきました。
この辺りでもよく見かけるのですが、写真を撮っていなかったことを思い出し、撮影しました。

ニホンミツバチ(Apis cerana japonica Radoszkowski)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・ミツバチ族・ミツバチ属>
 
日本の固有種で、トウヨウミツバチの亜種。韓国に生息するトウヨウミツバチの近縁種になる。
セイヨウミツバチと比べると、腹部が黒っぽく、セイヨウミツバチのようにオレンジ色にはならない。
天敵のオオスズメバチに対して、蜂球を作って、内部温度をオオスズメバチの致死温度48℃にする必殺技を持つ。
セイヨウミツバチと比較すると、蜜の収集能力は劣る。
体長は、働きバチで10〜13mm、雄バチで12〜13mm、女王バチでは13〜17oある。
腹部の黒い帯模様はほぼ等幅で、全体に黒っぽく、セイヨウミツバチのような黄褐色部はない。
働きバチが、卵から成虫になるのに要する期間は19日で、女王バチは15日である。
女王バチは1週間ほどで成熟し、交尾飛行に出て、交尾後巣に戻る。
巣に戻るとと、元の女王は半数の働きバチを連れて出て行って蜂球を作り、分蜂が起こる。
働きバチが偵察に出て、新しい巣が見つかると一斉にその場所に移動して分蜂完了となる。

2020/10/27
境川近くの草原で、セイタカアワダチソウを訪花しているニホンミツバチを見つけました。
セイヨウミツバチより少し小型で、腹部全体が黒っぽく見えます。

ルリチュウレンジ(Arge similis)
<ハチ目・ハバチ亜目・ハバチ上科・ミフシハバチ科・チュウレンジ亜科>
 
日本では北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
体長は10mmほどで、全体に黒色で、るり色の金属光沢がある。
翅は半透明で、触角は、3節からなり、第1節と第2節は短くて第3節が長いが、これが科名の由来。
幼虫はイモムシで、その食草はツツジ科の葉。集団で食害するので、放っておくと丸坊主にされる。
若齢時は集団行動を取るが、成長するにつれ分散していく。越冬は蛹。

2018/10/16
国道16号線に並ぶ街路樹の根元に生える雑草。その雑草の葉に止まっていました。
今年、実家のツツジをボロボロにされたのですが、ツツジ科の葉を食べる大害虫です。

 
2020/10/27
境川に向かう道路脇をルリチュウレンジが2匹飛び回っていました。
手ですくい取ると手の上に止まって、脚の手入れをはじめました。
動かないので、反対の手でカメラを片手撮りしました。手振れが気になったのですが、大丈夫でした。


ルリチュウレンジの幼虫

     .
     2018/5/28 中齢幼虫            2018/5/28 終齢幼虫
実家のツツジを食い荒らしていたルリチュウレンジの幼虫です。
卵は葉の縁に埋め込むように産卵され、孵化すると葉の縁から食べ始めます。
1齢幼虫は固まっていますが、大きくなるにつれて分散してしまいます。
中齢幼虫までは、頭部が黒く、体色も緑っぽい色をしています。
それが終齢幼虫になると、頭部はオレンジ色になり、体色もオレンジがかった色に変わります。
中齢幼虫までは頭部が黒いので眼がどこか分かりませんが、終齢幼虫では黒い眼が良く分かります。
なお、この段階になった幼虫の食欲は、すさまじいものがあります。










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