播州地方で見かけた冬の野草(冬U)
和名インデックス |
フクジュソウ(Adonis remosa)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・フクジュソウ属> キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草で、日本原産で北海道、本州、四国に分布する。 フクジュソウは長らく1種のみとされていたが、現在は、下記の3種を合わせ4種類とされている。
最初は茎が伸びず、苞に包まれた短い茎の上に花が1輪のみ付く。 花は、日が当たると開き、日が陰ると閉じ、花弁を使って光を中心に集めて虫を誘因するとされている。 夏に向けて大きく葉を展開し、多くの花を付けるが、夏には地上部は枯れて無くなる。
2021/2/11
実家の庭に植えられているフクジュソウが、芽を出しているのには気づいていました。 この日、庭の掃除をしていて、その1つが花を1輪咲かせているのに気が付きました。 他の芽も、各々花芽をほころばせかけていて、先の方が黄色味を帯びていました。 後で写真を撮ろうと思っていて、午後に見に行くと日影になっていて、閉じてしまっていました。 2021/3/3 2021/3/4 2021/3/4 10:12 2021/3/4 12:26 庭のフクジュソウですが、しっかり葉を展開し、最初の1輪はすでに散ってしまいました。 ただ、陽当たりがあまり良くない場所なので、成長は遅いようです。 10時頃にようやく日が当り始めて花を開き始めますが、12時前には木陰に入ってしまいます。 2022/2/18 既に花が咲いていてもおかしくない時期なのですが、まだ、今年は芽を出して間もない様子です。 TVなどでも、今年は咲くのが遅れていて、例年より2週間ほど遅れているとのこと。 2022/2/22 2022/2/28 2022/3/5 2022/3/8 花芽は順調に成長して、開花が見られたのは3月に入ってからです。 その草姿も、葉が展開する前に1輪だけ花を付ける最初の写真とは異なり、葉が展開しています。 2022/2/28 2022/2/28 2022/3/5 2022/3/5 同じ株ではありませんが、ツボミから開花したものまで、順番に並べてみました。 なお、左から1番目と3番目、2番目と4番目は同じ株です。 2024/2/7 毎年、花を咲かせていたフクジュソウ。周りの木が大きくなって日当たりが悪くなっていました。 そこで、秋に日当たりの良い場所に植え替えました。 その中で1株だけが、1月下旬に芽を出してきているのを確認できました。 この日、何の気なしにそこを見ると花が咲いていて、いつから咲いているのか気付きませんでした。 他には芽を出しているものがない確認すると、3株が少しだけ芽を出しているのが分かりました。 1株だけ、少々先走りし過ぎたようですね。
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タブノキ(Machilus thunbergii)
<クスノキ目・クスノキ科・タブノキ属> クスノキ科タブノキ属の常緑高木で、常緑高木である。 別名には、イヌグス、タマグス、クスタブ、ヤブグスなどがある。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島の海岸よりに自生する。 海外では、朝鮮半島南部、中国、台湾、フィリピンに分布する。 暖地系の樹木であるが、耐寒性や耐塩性があり、東北地方の沿岸部では純林も見られる。 樹高は20〜30mになり、太さも3.5mに達するものもある。 成長スピードは速く、樹皮は暗褐色から淡褐色、褐色でほぼ滑らか。 皮目と縦筋がある樹皮が多いが、横筋が目立つものもある。若枝は緑色で無毛。 葉は互生して枝先に集まる傾向があり、長さは8〜15cmの倒卵状長楕円形の全縁である。 革質で硬く、表面はつやがあって深緑色。裏面は灰白色。墓場は上向きに伸び、赤味を帯びる。 花期は4月〜6月で、新葉と共に枝先に円錐花序を出し、黄緑色の小花を多数付ける。 花被は6個で、長さが5〜7mmの長楕円形。内側の3個がやや大きく、内面に細毛がある。 オシベ9個と仮オシベ3個があり、もっとも内側のオシベ基部の両側に柄のある黄色の腺体がある。 葯は長楕円形で4室からなる。メシベは1個で、花柱は細く、柱頭は肥大する。 果期は7月〜8月で、果実は直径1cm前後の球形の液果である。基部には花被片6個が残る。 未熟なときは淡緑色であるが、夏に熟すと黒紫色になる。
2024/2/17
カンムリカイツブリを探しに上流部に行く途中、何の気なしに上を見上げると樹が生えていました。 そう、橋の下を走るダクト(?)から横方向に枝を伸ばした樹が見えたのです。 橋の下面とのわずかな隙間から枝を伸ばして、横に広がっています。 距離があるので詳細は分からないのですが、葉のつき方や形、大きさなどからタブノキとしました。 ただ、花を見ていませんし、写真からだけの判断ですので、間違っている可能性はあります。 | ||||||||||||||||||
ソシンロウバイ(Chimonanthus praecox Link cv. concolor)
<クスノキ目・ロウバイ科・ロウバイ属> ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木で、中国原産の帰化植物。 日本には、江戸時代の初め頃に渡来したとされている。 樹高は5m程までになる。葉は対生し、尖った長楕円形で、全縁。 花期は1月〜2月で、直径2cm程の黄色い花を付ける。香りが強く、蝋細工のような光沢がある。 ロウバイには、ソシンロウバイ、マンゲツロウバイ、トウロウバイなどの栽培品種がある。 よく見かけるのは、花が大きく、花の中心まで黄色いソシンロウバイである。 基本種のロウバイは、花の外周は黄色い花被片だが、中心部が暗紫色になる。 周囲の黄褐色の総苞から、黄色の花被片へと準じ大きくなりながらオシベまで螺旋状に付く。 花の中心部には、8個のオシベ、不完全な仮オシベ、その中心に多数のメシベがある。 雌性先熟で、最初オシベは大きく開き、葯も閉じており、中央のメシベは他からの花粉を受け入れる。 授粉後、オシベが閉じて中心に集まり、葯も裂開して花粉が出始める。 花後、花托蛾大きくなり、長卵形の偽果になる。中には、1cmほどの痩果がたくさん入っている。 偽果の鱗状の模様は、総苞、花被片、オシベが付いていた部分で、頂部には仮オシベが残る。 種子などには、アルカロイドであるカリカンチンを含むため、有毒植物である。
2017/1/16
実家の庭で、ソシンロウバイが花を咲かせ始めていました。 この時期、咲いている花は少ないので、朝からヒヨドリが蜜を求めて訪花し、うるさい事この上なし。 せっかく最多ロウバイの花を食い散らかしていきます。追い払っても、直ぐに戻ってきます。 メジロもたまにやってきますが、こちらは花を落とすこともなく、きれいに蜜を吸って行きます。 2023/1/28 10年に一度という寒波、その雪も溶け切らないうちに、また、雪が積もりました。 ここは瀬戸内海に面した土地で、雪が積もるのは稀なのですが、ここ数日で3回目です。 この日の積雪は予報にも無かったのに、朝起きて外を見たら雪景色でちょっとびっくり。 写真を撮りに外に出て畑の方に行くと、ソシンロウバイの良い香りが鼻をくすぐりました。 気が付かないうちにかなり咲き進んでいたようで、花にも雪が積もっていました。
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オオイヌノフグリ(Veronica persica)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属> オオバコ科クワガタソウ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。 日本をはじめ、アジア、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに外来種として定着している。 日本では全国に広がっており、どこでも見られる。 草丈は15〜25cmで、茎はよく分枝して横に広がる。 葉は、下部では対生し、上部では互生する。葉身は長さ12mmほどの卵形で先が尖り、鋸歯がある。 花期は2月〜6月で、上部の葉腋から長さ1〜2cmの花柄を伸ばし、直径8mmほどの花を1個付ける。 花冠は4裂し、裂片は淡青色に濃青色の縦じまがある。うち1個が小さく、色も薄い。 萼も4裂する。オシベは2個で、メシベは1個ある。 果実は、長さ約4o、幅約6oのやや扁平なハート形で、縁にだけ長い毛がある。
2021/2/7
川沿いを散歩していた時、土手の草むらでオオイヌノフグリが1個、花を付けているのを見つけました。 つい最近まで、スイセン以外の花は全く見られなかったので、少しうれしくなりました。 他にも無いかと、近くを探していると、神社の境内で数個の花を見つけました。 いずれも、日当たりの良い場所でしたので、暖かい日が数日続いたので開花したようです。 | ||||||||||||||||||
キリ(Paulownia tomentosa)
<シソ目・キリ科・キリ属> 2022/7/8 2023/1/15
キリ科キリ属の落葉広葉樹で、原産地は中国とされる。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州と全国で植栽されている。 樹高は10mほどになり、樹皮は灰褐色で、多くの皮目がある。枝は楕円形の皮目が目立つ。 成長の早い木で、数年で樹高は5mに達し、6〜7年で花を付け始める。 葉は対生し、葉身の長さは15〜30cm、幅は10〜25cmと大きく、若木程、葉身は大きくなる。 葉身は3〜5裂して、三角形状や5角形状になる。葉柄は5〜20cmになる。 花期は4月〜5月で、葉が展開する前に枝先に大きな円錐花序を付け、淡紫色の筒状の花を多数付ける。 花冠は長さ5cm前後の筒状鐘形で、上部は5裂し、裂片は平開する。花冠の外面には短い軟毛が密生する。 萼は茶褐色の毛が密生する。雄しべは4個で、下側の2個は長い。 果実は刮ハで、長さ3〜4cmの卵形で、先端は尖っている。 初冬に熟すと2裂するが、完全には開かず、多くの種子を少しずつ風に乗せて飛ばす。 材は軽量で、湿気を通さず、割れや狂いが少ない良質で、福島県の会津桐、岩手県の南部桐が有名。
2023/1/15
久しぶりに小学校の側を通ったとき、キリの樹にすっかり熟した果実がたくさん付いていました。 すっかり落葉してしまっているので、やたらと果実が目立ちます。 ただ、よく見ると一部の枝先には、来春に開花するツボミが付いています。 上段は、夏に見かけた同じ樹の果実の様子です。大きさ的にはほぼ同じです。 2023/1/15 果実は熟すと2烈するのですが、まだ、割れた果実は少数で、ちらほら見られる程度でした。 その割れ方も、やっと口を開いたばかりのようで、まだ、種子が飛ぶほどの割れ方ではありません。 この後、まだ、大きく開くと思われますが、どこまで開くのでしょうか。 下記は、昨夏、種子が飛んだ後の果実の様子ですが、この程度までは開くと思われます。 2022/7/16 | ||||||||||||||||||
ランタナ(Lantana camara)
<シソ目・クマツヅラ科・シチヘンゲ連・シチヘンゲ属> クマツヅラ科シチヘンゲ属の常緑小低木で、中南米原産の帰化植物。 日本には、江戸時代に渡来したとされている。 現在では、世界中に帰化植物として定着し、熱帯や亜熱帯では厄介な雑草として扱われている。 一般にランタナ・カマラ種をランタナ、ランタナ・モンテビデンシス種をコバノランタナと呼ぶ。 和名はシチヘンゲ(七変化)で、花色は赤、橙、黄、白などで、順次花の色が変わって行くことに由来する。 なお、ランタナ・カマラ種では、花色が変化するが、ランタナ・モンテビデンシス種は変化しない。 果実は、熟すと黒くなる液果で、有毒と言われている。ただ、鳥類に対しては無毒。 樹高は20〜100cmで、よく分枝し、枝は四角形で粗い短毛がある。 葉は対生し、長さ2〜8cmの卵形で、鋸歯があり、葉表に硬い毛があってざらつく。 花期は5月〜11月と長く、葉腋から集散花序を出して、小花を多数、球状に付ける。 花はロート形で、筒部は長さ6〜9mm。先は4裂して平開する。 なお、外来生物法で要注意外来生物に指定されており、世界の侵略的外来種ワースト100にも指定されている。
2024/1/29
昨日、河岸を散歩した際に気になった黒い果実ですが、良く見ると花が残っていました。 それで正体が分かったのですが、花色が変化するシチヘンゲ、そうランタナだったのです。 夏に花が咲いているときのイメージしかなかったのですが、このような果実だったんですね。 今年は暖冬と言われているので、まだ、花が残っていたのかもしれません。 以前には見かけなかったので、増水時に上流から流れ着いたのかもしれません。 花色が白からピンクに変わる品種(ランタナ・カマラ種)と思われます。 | ||||||||||||||||||
ビロードモウズイカ(Verbascum thapsus)
<シソ目・ゴマノハグサ科・ゴマノハグサ亜科・ゴマノハグサ連・モウズイカ属> ゴマノハグサ科モウズイカ属の越年草で、帰化植物。日本では、ほぼ全国に分布する。 原産地は、ヨーロッパ、北アフリカ、アジアを含む広範囲で、アメリカとオーストラリアにも帰化している。 草丈は1〜2.5mに達するが、1年目は長さ50cmに達する大きな葉のロゼットを形成する。 そして、冬季に休眠することによって、翌年に花茎を延ばして花を付ける。 植物体全体に星形の毛状突起があり、特に葉では密で、葉が灰緑色に見え、これがビロードの所以。 花期は6月〜8月(暖地では〜10月)で、2年目に分枝しない茎を伸ばす。 この茎には、茎葉が螺旋状に付き、上部ほど小さくなる。葉は厚く、葉柄部は茎に沿って翼状に下に流れる。 茎の上部に長さ50cmほどの総状花序を付け、多数の花を付けるが、咲くのは不規則に数個の花だけである。 なお、花は1日花で、夜明け前に咲き、午後にはしぼむ。 花は直径15〜30oの黄色で、萼筒は5残裂し、花冠も5裂して、花弁に合着した5本のオシベがある。 このオシベには2型があり、上側の3個は短くて花糸は黄色から白色の毛が密生し、葯は小さい。 下側の2個のオシベは長めで、花糸は無毛。葯も大きめである。 花は雌性先熟であり、多くの昆虫が訪花するが、有効なポリネーターはハナバチ類だけである。 なお、日中に昆虫による受粉がなかった場合は、自花受粉する。
2020/1/10
川沿いを散歩していた時、漁港の堤防沿いの所々で、ロゼット状に大きな葉を広げていました。 ビロード状の葉の特徴から本種と分かりましたが、直径50cmくらいありました。
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ヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)
<シソ目・シソ科・オドリコソウ亜科・オドリコソウ属> 2021/3/7 2021/3/6
シソ科オドリコソウ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本をはじめ、北アメリカや東アジアにも帰化しており、日本では、主に本州に広く分布する。 草丈は10〜25cmで、4稜形の茎には下向きの毛が生える。花期は3月〜5月。 葉は対生し、長さ1〜2cmの三角状卵形で、有柄。脈が深く、花期には赤紫色を帯びる。 葉の上部の葉腋に、長さ10mm前後の淡紅色の唇形花をたくさん付ける。 オシベは4個で、メシベの花柱は先が2裂する。萼は5裂し、裂片の先は尖る。 果実は4分果で、頭部が平らになる。分果には3稜があり、基部に大きな種沈がつく。
2021/3/6,7
実家近くを散歩していた時、石垣の際や隙間で花を付けているヒメオドリコソウを見つけました。 土手の近くで見られるのはホトケノザばかりで、ヒメオドリコソウを見かけたのはここだけです。 どちらもポピュラーなものですが、ここではヒメオドリコソウは少数派のようです。 | ||||||||||||||||||
ホトケノザ(Lamium amplexicaule)
<シソ目・シソ科・オドリコソウ亜科・オドリコソウ属> シソ科オドリコソウ属の越年草で、在来種。道端や田畑の畦などによく見られる。 日本をはじめ、アジアやヨーロッパ、北アフリカなどに広く分布する。 日本では、北海道以外の本州、四国、九州、沖縄に広く自生する。 草丈は10〜30cmで、花期は3月〜6月。 葉は対生し、長さ2cm前後の丸みのある扇状で、鈍い鋸歯がある。 上部の葉腋に長さ2cm程の紅紫色の唇形花を多数付ける。 その中に、つぼみのまま結実する小さな閉鎖花が多数混じる。 ※ 春の七草にある「ほとけのざ」は、本種とは別のコオニタビラコの事です。
2021/2/7
川沿いを散歩していた時、土手の草むらでホトケノザが花を付けているのを見つけました。 オオイヌノフグリが花を付けていたので、他にもあるのではと注意していて、見つけたものです。 昨年の秋、土手の草むらで多くのホトケノザが開花していましたが、 冬に入って寒さが厳しくなった後は、花が見られなくなっていました。 それが暖かい日が数日続いたことで、日当たりの良い場所では、開花を始めたようです。 オオイヌノフグリと言い、ホトケノザと言い、春が確実に近づいていることを実感させてくれました。 2021/3/6 ホトケノザも、3月になると大きく成長し、花をたくさん付けるようになっていました。 2月頃は、株元の葉が少し黄色味がかった所だけで、小さかったのがごらんの通りです。 | ||||||||||||||||||
ソテツ(Cycas revoluta)
<ソテツ目・ソテツ科・ソテツ属> ソテツ科ソテツ属の裸子植物で常緑低木。日本に自生する唯一の種。 日本の九州南部および南西諸島に自生し、本州中部以南の各地でも植栽として植えられている。 日本以外では、台湾や中国南部にも分布しており、主に海岸近くの岩場に自生している。 雌雄異株であるため、雄株と雌株があり、実は雌株にのみになる。 樹高は3〜8mで、根に珊瑚状の根粒があり、基部などから側枝を出し、樹皮は灰黒色で鱗片状。 葉は、幹の先端に輪生状につき、幹の先に葉の集団を作る。 葉は長さ70〜150cmの羽状複葉で、小葉数は60〜150対あり、中軸にV字形に付く。 小葉は長さ10〜20cmの革質で、葉裏にはまばらに短毛があって、縁は強く反曲する。 葉柄は断面が四角形で、長さ10〜20cmあり、両側面に3〜9対の刺があり、小葉へと続く。 花期は5月〜7月で、雄株からは淡黄色で円柱状の花粉錘が伸び出し、方さ30〜60cmになる。 小胞子葉は狭い楔型で、長さが35〜60mmあり、先は尖って硬くなる。その裏一面に葯が付く。 雌株は先端が多くの大胞子葉でドーム状に膨らむ。大胞子葉は黄色〜淡褐色で、長さ14〜22cm。 大胞子葉の先には、密に綿毛の付いた長さ6〜11cmの小葉状のものが多数付き、葉を縮小したような形である。 その基部側には数個の胚珠が褐色の綿毛に包まれて付く。種子は成熟すると朱色に色づく。 奄美大島では、ソテツの種子(ナリ)や幹(シン)から澱粉を取り出し、食用として利用している。 といっても有毒なサイカシンを含むため、毒抜きが必須で、不十分だと中毒を起こす。 非常に手間と時間がかかる作業のため、作れる人が少なく、希少価値のある食材となっている。
2024/1/29
川沿いにある小学校、その運動場の端に大きなソテツがあります。 散歩の帰りに小学校の側を歩いていて、ソテツに見事な雌花が付いているのに気が付きました。 良く見ると、大胞子葉の間から朱色の種子が顔を見せていました。 昨年の初夏に大胞子葉の柄の両側にある胚珠が受精し、多くの種子が朱色に熟したようです。
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マンリョウ(Ardisia crenata Sims)
<ツツジ目・サクラソウ科・ヤブコウジ属> サクラソウ科ヤブコウジ属の常緑小低木で、在来種。 日本では、本州の関東以南、四国、九州、南西諸島に自生する。 日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾、インド、インドシナ半島に分布する。 樹高は30〜100cmで、茎は直立し、上部でまばらに小枝をだす。樹皮は灰褐色。 葉は互生し、長さ4〜13cmの長楕円形で、濃緑色で厚みがあり、縁には波状の鋸歯がある。 葉の波状に膨れた部分には、共生細菌が詰まった部屋が、内部に形成されている。 花期は6月〜8月で、葉腋に散状花序を出し、やや下垂したソバカスのある白い花を開く。 花冠は5深裂し、裂片は反り返る。オシベは5個で、メシベは1個。 萼も5裂し、果実が赤く色づく頃には赤くなる。 果実は、11月頃に紅く熟し、その果実が美しいので栽培され、正月の縁起物とされる。 赤く熟した果実は、そのまま越冬し、翌年の4月頃まで見られる。 なお、栽培品種には白や黄色の果実もある。 ※ マンリョウの花に関しては、こちらを参照ください。
2020/1/10
今年は、マンリョウが非常に多くの果実を付け、見応えのある樹形になっていました。 木陰などの目立ちにくい場所にあるので、落葉で見やすくなった冬には赤い果実が一層目立ちます。 2021/1/13 今シーズン最強の寒波が襲い、昨晩に降った雨が見事に凍り付いて、霜になっていました。 右の写真のように、パッと見、霜が付いているようには見えませんが、葉の縁に付いています。 左側がそれを拡大したものですが、縁に沿って六角柱状に結晶化してる霜がびっしりと付いています。 なお、赤い果実の下に付いている水滴も、凍っていました。 同じ日に撮った、他の葉に着いた霜の様子はこちらを参照ください。葉の特徴で、霜の形態が異なります。 2023/1/28 10年に一度という寒波、その雪も溶け切らないうちに、また、雪が積もりました。 ここは瀬戸内海に面した土地で、雪が積もるのは稀なのですが、ここ数日で3回目です。 この日の積雪は予報にも無かったのに、朝起きて外を見たら雪景色でちょっとびっくり。 写真を撮りに外に出ると、マメイヌツゲから顔を出しているマンリョウが目に留まりました。 人目に付きにくい所にあることが多いのですが、この樹は通路脇で赤い果実を付けています。 その赤い果実が白い雪をバックに、一際目立っていました。 | ||||||||||||||||||
ツツジ(Rhododendron)
<ツツジ目・ツツジ科・ツツジ亜科・ツツジ属・ツツジ亜属・ツツジ節> 日本には、ツツジ、サツキ、シャクナゲを分けて呼ぶ習慣があるが、学術的には全てツツジ属である。 有鱗片シャクナゲ亜属、ツツジ亜属、無鱗片シャクナゲ亜属、セイシカ亜属、エゾツツジ亜属に分類される。 日本で「シャクナゲ」と呼ばれるのは、ホンシャクナゲの仲間(無鱗片シャクナゲ節)に限られる。 ツツジとサツキは中間的なものもあって、区分けが難しいが、概ね春先に咲くのがツツジである。 その後、初夏に咲くのがサツキだが、新芽が出るのはどちらも同じで、5月頃になる。 そのため、ツツジでは花後に新芽が出て、サツキでは新芽とツボミが同時に出て、その後、開花となる。 例外もあるので、この区分方法に一致しないものもあるが、概ねこの方法であっていると思われる。 ツツジは、日本では古くから園芸品種として交配が行われ、多くの品種が作出されている。 クルメツツジやヒラドツツジがその代表種で、色とりどりの新種がある。 サツキは、ツツジに比べて葉や花が小さいものが多いので、盆栽などに仕立てるのに向いている。
2021/1/13
今シーズン最強の寒波が襲い、昨晩に降った雨が見事に凍り付いて、霜になっていました。 ツツジの葉には毛が密生しているので、表面全体に小さな氷粒がびっしりと付き、全体が白っぽく見えます。 ただ、氷粒が小さいためか、全体に白っぽくは見えますが、あまり、霜が付いているようには見えません。 ちなみに、このツツジは、大きな花が咲く平戸ツツジですので、葉も5〜10cmと大きいです。 同じ日に撮った、他の葉に着いた霜の様子はこちらを参照ください。葉の特徴で、霜の形態が異なります。 | ||||||||||||||||||
イヌホオズキ(Solanum nigrum)
<ナス目・ナス科・ナス属> ナス科ナス属の一年草で、史前帰化植物とされている。 日本全土で見られ、世界の温帯から熱帯にかけて広く分布する。 草丈は10〜100cmで、茎が細めでよく分枝し、横に広がりやすい。 葉は互生し、葉身は長さ6〜10cmの卵形で、縁は全縁か波型の鋸歯がある。 花期は6月〜11月で、葉腋ではなく茎の側面から花茎を出して2〜5個の散形花序を付ける。 花茎は短く、小花茎が少しづつずれて付く(小花茎が1点に集まることはない)。 花冠の直径は6〜12mmで、白色の5裂した花冠の裂片は細めである。 1個のメシベを囲むように5個のオシベが取り囲む。黄色い葯は長さ2o前後で、柱頭は葯より低い。 花後、柄が下垂して直径5〜8oの果実(液果)を付ける。果実は光沢のない黒色に熟す。 よく似たものが多く、以下のように区別する。
2021/12/6
夏に取り壊しが行われ、更地になっていた空き地に、イヌホウズキの大群落が出来ていました。 道端などでポツポツと咲いているのを見る事が多く、これほどの群落を見たのは初めてです。 その後に取り壊しがあった隣の空き地には何もないので、何が違っているのでしょう。 若干の盛り土がされているので、盛り土がイヌホオズキの発芽を抑えているのかもしれません。 | ||||||||||||||||||
サボテン(Cactaceae Juss)
<ナデシコ目・サボテン科・カクタス亜科> サボテン科に属する植物の総称がサボテンである。 北アメリカ、中央アメリカを中心に2000種類以上が分布する。 多くが多肉植物で、棘の部分は葉や茎が変化したものと考えられている。 サボテンの形態は多様であるが、一般的には茎は筒または球形で、葉は針状か退化している。 全てのサボテン科の植物には、刺座(しざ)またはアレオーレと呼ばれる器官を持つ。 基本的には脇芽には刺座が形成され、多くはスポット状に棘が密生する。 また、しばしば刺座は綿毛で覆われることがある。 サボテンの花弁に含まれる色素はベタイン系色素で、アントシアニン系色素を持たない。 そのため、サボテンには、青色系の花は咲かず、赤〜黄、紫色の花が咲く。
2021/3/3
実家にある小さな温室では、何種類かのサボテンが花を付けていました。 品種名を書いた名板は無くなっていて、名前が分からないのでサボテンと一括りにしています。 比較的小さなサボテンたちが温室の中で育っていますが、かなりの古株もいます。 ピンクの花を付けたサボテンは、おそらく50年近い古株で、かなり歪な形をしています。 淡黄色の花の方も同じくらいの古株ですが、どんどん増えるので何世代目かの株だと思います。 温室に入りきらない大きなものに、ギムノカリキウム[新天地]とキンシャチがいます。 どちらも50年超の古株で、新天地は毎年花を咲かせますが、キンシャチはまだ咲きません。 2021/3/29 3月も末になると、花数が増えてなかなか賑やかになってきました。果実になったものもあります。 ツボミが大きくなってきたものもあり、いろいろなサボテンの花が楽しめそうです。 | ||||||||||||||||||
ボケ(Chaenomeles speciosa)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・ボケ属> バラ科ボケ属の落葉低木で、中国原産の帰化植物。 日本への渡来は古く、平安時代に移入されて観賞用に栽培された。 日本では、本州から四国、九州に植栽として、または、自生している。 樹高は1〜2mで、茎は叢生してよく分枝し、若枝には褐色の毛がある。 古くなると灰黒色になり、樹皮には縦の浅い裂け目ができ、小枝は棘となって残る。 葉は互生し、長さ5〜9cmの長楕円形で、縁には細かい鋸歯があり、付け根に腎臓形の托葉がある。 花期は3月〜4月で、葉より先に開き、花色の基本は朱色だが、白から緋紅色まで、変化に富む。 果実は、数cmの楕円形でカリンに似て、良い香りがし、果実酒に使用される。 なお、日本固有種であるクサボケは、茎が地を這うか斜上して、樹高は1m以下である。
2021/3/7
川沿いを散歩していた時、キクラミネウススイセンが咲いていたので写真を撮りました。 撮り終わって、ふっと川の方を見たとき、草むらの中に赤い花が咲いているのに気が付きました。 よく見ると、それはボケの花で、枯草に埋もれるようにして咲いていたのでした。 花には近づけず、マクロレンズしか持っていなかったので、この日は撮るのを諦めました。 で、翌日に望遠レンズで撮ったのが上記の写真です。 2021/4/2 2021/4/4 実家に置いてあるボケの盆栽ですが、その花がやっと咲きました。 露地のものに比べて、開花するのが1ヶ月ほど遅かったです。 ちなみに、葉が丸く切れているのは、バラハキリバチの仕業です。 飛んでいるのは確認していたのですが、まんまとやられてしまいました。 2021/4/6 3月初めに見かけた真っ赤なボケの花ですが、基部の果実が大きくなりまじめていました。 まだ、花も残っていましたが、萼の部分を残しながら果実が大きくなっています。 | ||||||||||||||||||
ウメ(Prunus mume)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・モモ蓮・サクラ属> 2021/3/6 2021/3/7
バラ科サクラ属の落葉高木で、中国原産とされる。
日本には古代に持ち込まれたとの説や日本原産との説もあり、明確ではない。 ウメは、花を楽しむ観賞用品種と、実を取るための実梅品種がある。 また、ウメは、「自花不結実性」が強く、2品種以上混生させないと結実しない品種がある。 ウメは、一節に花が一つしか付かないため、複数の花が付くモモよりも華やかさは劣る。 花色は、白からピンク、赤まで種類は多く、一重と八重がある。 ※ 果肉には、クエン酸をはじめとする有機酸が多く含まれるため、健康食品として販売される。 しかし、未成熟な果実や核の中の種子には、青酸配糖体が含まれ、条件によっては有毒となる。 といっても、梅酒の未成熟な実や梅干しの種は、アルコールや塩分で毒性は低下している。
2021/3/6,7
川沿いを散歩していた時、キクラミネウススイセンが咲いていたので写真を撮りました。 撮り終わった後、草むらの中に朱色のボケの花を見つけたのですが、その上の方にウメが咲いていました。 ウメにしては大輪の花で、果実を取るための木ではなく、花を観賞する木のようです。 しかし、花は手前に1輪、奥の方に数輪咲いているだけで、いささか寂しい咲き方です。 奥の方はマクロレンズでは手に負えないので、翌日、望遠レンズで撮影したものです。 それにしても、この場所にはウメ、ボケ、タイワンレンギョウ、サルスベリといろいろな木があります。 誰かが植えたというよりも、だれかが手に負えなくなって捨てたのではないかと思われます。 2023/3/4 曽根天満宮に梅園があり、200本ほどの梅の木があると聞いていました。 近くに行った際、寄ってみることにしましたが、駐車場が狭くて四苦八苦して止めました。 実家近くにある梅園はここだけなので、思っていた以上に人出が多かったようです。 ここの梅園は、梅の実を取るための木ではなく、花を観賞するための木が植えられていました。 梅の実を取るために同じ品種の木が多く植えられている梅園(曽我梅林など)とは、趣が異なります。 いろいろな品種の梅の木があり、これはこれで花を楽しむには良いと思います。 2023/3/11 市ノ池公園へ池の様子を見に行った際、少し園内を散策してきました。 まだ、いろいろな花が咲くには早いのですが、梅の花が何ヶ所かで見られました。 白梅は見頃だったのですが、紅梅は盛りを過ぎて色褪せてしまっていました。 上記の写真は、咲くのが遅かった数少ない花を狙って撮ったものです。 | ||||||||||||||||||
アメリカフウロ(Geranium carolinianum)
<フウロソウ目・フウロソウ科・フウロソウ属> フウロソウ科フウロソウ属の1年草/越年草で、北アメリカ原産の帰化植物。 最近では、広く日本全体に分布しており、道端などでよく見かける。 草丈は、30〜40cm程度で、茎、葉柄、花柄と全体に白い軟毛がある。 葉は円形で5深裂し、裂片はさらに細かく分裂する。 花期は4月〜6月で、花は、葉腋から花柄を伸ばし数個付く。 花径は8mm前後で、花弁と萼片は5個で、オシベは10本で、メシベを囲むように付く。
2021/3/7
実家近くを散歩中、道端などでアメリカフウロの小さな株を時折見かけます。 そんな中で、飛び抜けて大きく立派な株を見かけました。小さな株の10倍以上あります。 この株は、おそらく越年した株だと思われ、側溝脇で40cmほどに広がっていました。 2021/3/20 2週間弱経過した頃、様子を見に行くと、既に開花が始まっていました。 小さな花なので、あまり見栄えはしませんが、花弁はきれいな淡赤紫色です。 | ||||||||||||||||||
キャラボク(Taxus cuspidata var. nana)
<マツ目・イチイ科・イチイ属> イチイ科イチイ属の常緑低木で、在来種。イチイの変種。 日本では、本州の日本海側(秋田県から鳥取県)に、海外では、朝鮮半島に分布している。 日本では、亜高山から高山帯の風衝地に自生している。 樹高は1〜3mになり、根元で分枝して、地面を這うように横に広がる。 大きく成長した後は、成長が鈍化するため、樹形が崩れにくく、庭木に適する。 葉は2p前後の線形で表面は濃緑色で、裏面は淡緑色。先は尖っているが、柔らかい。 なお、寒い地方では冬季に葉が茶色くなるが、翌春には緑色に戻る。 葉が2裂に並ぶイチイと異なり、葉は不規則な螺旋状に付く。 花期は3月〜5月で、雌雄異株。直径約3o強の小花を付け、雄花は淡黄色。 雌花には緑色の鱗片に包まれた胚珠が1個ある。 花後、直径4oほどの球形の種子は、肥大した仮種皮に包まれる。 種子が熟する頃には、仮種皮は杯状で真っ赤な多汁質になる。 この真っ赤な仮種皮は、甘くて食べられる。ただし、種子は有毒なので要注意。
2021/1/15
春に咲く雄花が既にほころび始めていて、先が少し開いてオシベの先端が見えています。 この生け垣は、果実を見かけないので、雄株ばかりのようです。 2021/1/13 今シーズン最強の寒波が襲い、昨晩に降った雨が見事に凍り付いて、霜になっていました。 葉が小さいので、葉全体が氷で覆われたようになっているものも見受けられます。 同じ日に撮った、他の葉に着いた霜の様子はこちらを参照ください。葉の特徴で、霜の形態が異なります。 | ||||||||||||||||||
スイカズラ(Lonicera japonica)
<マツムシソウ目・スイカズラ科・スイカズラ属> スイカズラ科スイカズラ属の常緑つる性常緑低木で、在来種。 別名にはニンドウ(忍冬)があり、キンギンカ(金銀花)は異名になっている。 スイカズラの名は、「吸い葛」と書き、花を口にくわえて蜜を吸うことに由来する。 英名の「honeysuckle」も同じ発想から付けられたものである。 スイカズラの蕾は「金銀花」、秋から冬にかけての茎葉は忍冬(ニンドウ)いう生薬、また、漢方薬として利用さる。 この金銀花は、白と黄色の花色から、忍冬は、常緑で冬場を耐え忍ぶ事から付けられた名前とのこと。 日本では、北海道から本州、四国、九州まで全国に分布する。 日本以外では、東アジア一帯に分布し、欧米では観賞用に移入され、野生化している。 よく分枝して茂り、蔓は太くなると木質化し、主幹は灰褐色である。 枝には粗い毛が密生して、髄は早くなくなり、枝は中空となる。 葉は対生して、長さ3〜7cmの長楕円形で、縁は全縁。先はあまり尖らず、基部は広いくさび形。 葉形には変異が多く、まれに粗く切れ込んで羽裂することもある。 表面には毛が少ないが、裏面には毛が多く、冬になると内側に巻きこむ。 花期は5月〜7月で、枝先の葉腋に2個ずつ甘い芳香のある花を付ける。 ツボミの時は先の丸まった象の牙のような形で、開花すると筒状の花弁が上下の唇状に分かれる。 花冠は長さ3〜4cmで、2裂した上唇は卵形で先が4浅裂し、下唇は広線形で長く下に垂れる。 花冠の色は、開花時には白色かわずかに淡紅色を帯びるが、時間と共に黄色くなる。 オシベは5個、メシベ(柱頭は球形)は1個で、共に花冠から長く突き出る。 萼は毛が密生して先が5裂し、花柄は長さ5mm前後。苞は葉状で長さ5〜20mm。 果実は直径5〜6mmの球形で、強い光沢があり、9月〜12月に黒く熟す。
2024/1/28
久しぶりに見かけたカンムリカイツブリを追いかけて、川の上流の方に散歩に出かけました。 カンムリカイツブリを見つけたのですが、近寄る前に潜ってしまい、見失ってしまいました。 仕方なく引き返しているとき、河岸で黒い果実がたくさん付いたつる植物に気が付きました。 果実は枝に並ぶようにして付いており、残った葉には紅葉したものもありました。 見たことがない果実だったので写真を撮って後で調べ、スイカズラの果実と分かりました。 花はキンギンカ(金銀花)の異名がある通り、開花時白い花が徐々に黄色く変化します。 | ||||||||||||||||||
エンドウ(Pisum sativum L.)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・エンドウ属> マメ科の一年草または越年草で、広く栽培され、食用となっている。 古代オリエント地方や地中海地方で麦作農耕の発祥とともに栽培化された豆でもある。 麦作農耕とともにユーラシア各地に広まり、5世紀に中国に、9〜10世紀に日本へは伝わったとされる。 エンドウには、莢の硬さにより硬莢種(こうきょうしゅ)と軟莢種(なんきょうしゅ)がある。 硬莢種は文字通り莢が硬く、完熟して乾燥した豆を利用するものである。 軟莢種は、未熟な豆果をサヤエンドウとして利用したり、完熟した生豆をグリーンピースとして利用する。 原産地が地中海性気候の近東地方であるため、夏は成長適期ではなく、秋に蒔いて春に収穫する。 花期は3月〜5月で、硬莢種の花は紅色であり、軟莢種の花は白色が多い。
2020/1/10
今年は暖冬なのでしょう。路地植のエンドウが、既に開花し、食べ頃の果実を付けています。 これだけを見ていると、4月頃の畑のようです。この後、寒くなったらどうなるのか心配です。 ちなみに、この花はサヤエンドウです。隣りの豆を使うウスイエンドウは、まだ、小さくて花はありません。 余談ですが、この状態で越冬し、春にはさらに大きくなって多くの豆果を付けました。 2021/3/3 今年は寒さが厳しく、毎年冬を外で越していた月下美人やアロエが凍結して枯れました。 そのため、エンドウの成長も遅く、3月になってようやく昨年の1月と同じような状態になりました。 2月下旬からエンドウの開花が始まり、日を追って成長しながら豆果を付けてくれるでしょう。 下段は、エンドウの花の開花の様子を順を追って並べたものです。 | ||||||||||||||||||
コメツブツメクサ(Trifolium dubium)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属> マメ科・シャジクソウ属の多年草で、ヨーロッパ - 西アジア原産の帰化植物。 日本では、全国的に分布している。 コメツブウマゴヤシと間違われることがあるが、コメツブツメクサは地を這うように背が低い。 草丈は20〜40pほどで、茎は良く分枝して横に広がる。 葉は3小葉で、葉柄は数oと短い。 小葉は長さ10o弱の楕円形で、葉脈がはっきり見え、側脈は並行。 花期は5月〜7月で、葉腋から2p程の花序枝を出し、その先に直径7oほどの花序を付ける。 黄色い蝶形花は長さ3oほどで、5〜20個ほどが球状に集まって付く。 授粉後、花は垂れ下り、花冠は枯れてそのまま残り、その中で豆果は成熟する。
2021/3/7
実家近くを散歩中、民家の庭先でコメツブツメクサが大きく広がっている所がありました。 ひょっとしたら、コメツブツメクサをグランドカバーとして使用しているのかもしれません。 | ||||||||||||||||||
サンシュユ(Cornus officinalis Sieb. et Zucc.)
<ミズキ目・ミズキ科・サンシュユ属> ミズキ科サンシュユ属の落葉小高木で、中国及び朝鮮半島が原産の帰化植物。 江戸時代に移入され、薬用植物として栽培されたが、観賞用にも利用されている。 樹高は3〜10mで、幹は灰黒褐色で薄くはがれ、はがれた所は淡褐色になる。 葉は対生し、葉身は5〜10cmの卵状楕円形で、縁は全縁。葉先が尾状に尖る。 6〜7対の側脈が、湾曲しながら主脈にほぼ平行して伸び、良く目立つ。 花期は3月〜5月で、葉の展開前に黄色い小花をたくさん付ける。 花弁は4個あるが反り返るため、オシベとメシベだけに見える。 果実は長さ12〜20mmの惰円形の核果で、秋に赤色〜紫赤色に熟す。 真っ赤に熟した実はおいしそうに見えるが、渋くて食用には向かない。 ただし、完熟すると渋みが抜けて、甘酸っぱいとの情報もある。 種を除いて乾燥させた果肉(偽果)は、「山茱萸」の名で生薬として利用される。 なお、「山茱萸」を音読みしたのがサンシュユで、訓読みだとヤマグミになる。
2021/3/3
実家の庭にあるサンシュユが、黄色い花を咲かせ始めていました。 まだ、ツボミが多いので黄色い花のインパクトはそれほど強くありません。 これが3月も下旬になって花が咲きそろう頃には、全体が黄色くなって強いインパクトを与えます。 | ||||||||||||||||||
キュウリグサ(Trigonotis peduncularis)
<ムラサキ目・ムラサキ科・キュウリグサ属> ムラサキ科キュウリグサ属の越年草で、在来種。ムギ類と一緒に入ってきた史前帰化植物と考えられている。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。海外ではアジアの温帯に広く分布する。 草丈は10〜30pになり、根元の葉は卵形で長い葉柄がある。 茎葉は互生し、長楕円形で葉柄があるが、上部では無柄になる。 花期は3月〜5月で、茎先にサソリ型花序(ぐるっと巻いた花序)に、花径3o程の淡い青紫色の花を付ける。 花冠は5烈し、中心の円形の部分は黄色い。その円形の穴の奥にオシベ5個とメシベがある。
2021/3/7
実家近くを散歩中、道路脇でキュウリグサが咲いているのを見つけました。 ただ、最初に見つけた株では、花序が伸びきっていて、特徴のサソリ型花序が見られませんでした。 そのため、他のムラサキ科の花ではと思ったのですが、近くでサソリ型花序を見つけ、確認できました。 いつ見ても、空色のグラデーションの奇麗な花なのですが、数mmしかない小さな花なのが残念です。 | ||||||||||||||||||
マメイヌツゲ(Ilex crenata cv convexa)
<モチノキ目・モチノキ科・モチノキ属> モチノキ科モチノキ属の常緑低木で、在来種。イヌツゲの変種で園芸品種。 名前に「ツゲ」が付くが、ツゲ科ではなく、モチノキ属の植物である。 樹高は0.5〜2mで、樹皮は灰黒色で、皮目がある。 葉は互生し、長さ15〜20oの楕円形で、表面に光沢があり、浅い鋸歯がある。 花期は5月〜7月で、雌雄異株。花は直径5o前後の4弁花で、花色は黄白色。萼片も4個。 雄花は散形花序に数個付き、4個のオシベと退化したメシベが1個ある。 雌花は葉腋に1個付き、4個の退化したオシベと、メシベが1個あり、子房は緑色の半球形。 果実は球形の核果で、直径は5o前後。秋に黒く熟す。
2021/1/13
今シーズン最強の寒波が襲い、昨晩に降った雨が見事に凍り付いて、霜になっていました。 葉は小さいのですが、条件がよかったのか、見事な六角柱状に結晶化した霜がびっしりと付いていました。 撮影しやすかったこともあり、氷の結晶の様子は、左側の写真が最も分かり易いです。 同じ日に撮った、他の葉に着いた霜の様子はこちらを参照ください。葉の特徴で、霜の形態が異なります。 | ||||||||||||||||||
ナガイモ(Dioscorea polystachya)
<ヤマノイモ目・ヤマノイモ科・ヤマノイモ属> ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草で、在来種とする説と中国原産とする説がある。 ナガイモは、ヤマノイモとは別種のヤマノイモ属であるが、ヤマイモの名前で扱われることもある。 ナガイモは、概ね、以下の3つに分類される。
茎には稜があり、葉柄とともに紫色を帯びることが多い。 葉は普通対生して、長さ3〜10cmの心臓状卵形で、基部の左右の張り出しはほとんどない。 花期は7月〜8月で、雄花序は長さ2〜5cmで、数個が集まって立ち上がる。 雄花は、外花被片3個に包まれた球形で、外花被片は長さ2o以下で黄緑色。 内花被片は少し小さく、オシベは6個。花の基部には長さ1mmほどの苞がある。 雌花序は長さ5cm以下で、数個が集まって垂れ下がる。 なお、ヤマノイモと異なり、葉腋にムカゴはほとんどつかない。 ツクネイモ群にもいくつかの品種があり、主なものは下記の通りである。
2022/12/31
昨年、正月用のとろろを作るために購入したツクネイモ。 少し残ったものを冷蔵庫に入れて、すっかり忘れていたら、芽が出ていました。 それを畑に植えておいたら、蔓が伸びて、地を這っていたので、支柱を立てておきました。 それが、直ぐ上の柿の木に絡みついて、かなり広がっていたようです。 秋になって、葉が黄色く色付き、それが枯れて茎だけが残っていました。 あまり期待せず、同じくらいになっていればとスコップで起こすと、ボコって出てきました。 ここまで大きいと予想もしていなかったので、誤って少し削ってしまいました。 長い方で20cmほどもあり、買った時の倍以上の大きさに育っていて、びっくりです。 買った時にはあまり凸凹していなかったのですが、かなり凸凹なので伊勢いもと思われます。 今年はたっぷりととろろを作って、美味しく頂きました。
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ヒマラヤユキノシタ(Bergenia stracheyi)
<ユキノシタ目・ユキノシタ科・ヒマラヤユキノシタ属> ユキノシタ科ヒマラヤユキノシタ属の常緑多年草で、ヒマラヤ山脈周辺が原産の園芸種。 高山が原産地なので、耐寒性は非常に強いが、暑さや湿気にはやや弱いところがある。 基部の葉は丸くて、茎にらせん状に付きロゼット状になる。 茎は地面を這うように伸びるが、成長は遅い。 花期は2月〜4月で、花茎を伸ばしてピンクの花を房状に付ける。
2021/3/3
実家の庭の片隅で、今年もヒマラヤユキノシタが花を付けていました。 いつからここで咲いているのか忘れてしまいましたが、50年以上経っていると思います。 | ||||||||||||||||||
ジンガサゴケ(Reboulia hemisphaerica)
<ゼニゴケ目・ジンガサゴケ科・ジンガサゴケ属> <雄器托(ゆうきたく)> <雌器托(しきたく)> ジンガサゴケ科ジンガサゴケに属するコケで、在来種。雌雄同株。 日本では全国に分布し、海外では東アジアに広く分布する。 和名の由来は、雌器床(しきしょう)が陣笠の形に似ていることによる。 葉状体は2分枝して長さ1〜4cm、幅5〜7mmになり、背面の縁が紅紫色を帯びる。 葉状体の先端や短腹枝の先に、雄器托(ゆうきたく)や雌器托(しきたく)を付ける。 雌器托は長さ約1〜2cmの柄があり、柄には1本の溝がある。 雌器床は陣笠形で縁が3〜5浅裂し、包膜は裂片の下面に付き、縦に2裂する。 雄器托は無柄で盤状になり、鱗片に囲まれる。無性芽は付かない。
2021/3/4
実家の畑で、野生のニラの生えている所に見慣れないものがびっしりと生えていました。 よく見るとゼニゴケの雌器托と同じようなものと分かりましたが、ゼニゴケの雌器托とは形状が異なります。 つまり、ずっとゼニゴケだと思っていたものは、ゼニゴケではなかったということで、急ぎ調べました。 その結果、同じゼニゴケ目のジンガサゴケだと分かりました。 雌器托や雄器托の形状が異なりますが、大きな違いは、ゼニゴケが雌雄異株である点です。 また、ゼニゴケが無性芽を作るのに対して、本種では無性芽は作りません。 2021/3/7 実家近くを散歩中、線路沿いの石垣でジンガサゴケの雌器托を見つけました。 石垣の上でも見られたので、雌器托の裏側を撮ることができました。 また、葉状体の背面が紅紫色を帯びていることも確認できました。
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霜の結晶
子供の頃には、冬になればいつでも見られた霜柱や霜が、最近はなかなか見る機会がありません。
それが、この冬最強と言われる寒波が襲来し、前日夜に雨が降って、翌朝は霜で真っ白でした。 そこで、カメラ片手に庭に出て、いろいろな葉に付いた霜を撮りまくりました。 そこで気が付いたのですが、葉の特徴によって霜の付き方が各々異なっていました。 以下に、植物毎の霜の付き方が分かるように並べてみました。
2021/1/13 今シーズン最強の寒波襲来で、いろいろな葉に付いた霜の写真です。 葉の特徴によって、霜の付き方が各々異なり、なかなか興味深いものがありました。 表面に毛があると、そこに付いた水滴が凍って、全体が白っぽく見えるようです。 一方、葉の縁に毛があると、そこに付いた水滴が凍って、葉を縁取るように霜が付きます。
上記の写真の中で、特に面白いと思った霜(氷?)の強拡大写真を掲載しました。
ニオイイリスの葉に付いた大きめの水滴の氷には、内部に樹状に伸びた白い筋が見られます。 製氷機で氷を作ったとき、中央部分が白くなることがありますが、それと同じ現象でしょうか。 白い筋は、氷の表面まで達しているように見え、全体に粗く広がっています。 なお、ミドリハナヤサイ[ブロッコリー]の葉の大きめの水滴の氷には、このような模様はありません。 マメイヌツゲでは、針状の六角柱状結晶がバラバラの方向にすっくと伸びています。 コケの方は、雪の結晶のように六角形の板状に広がっています。 その基部は表面に筋模様がある平面になっており、おそらく溜まった水が凍ったものと思われます。 |