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播州地方で見かけた野草(春V)



実家近辺や兵庫県内などを移動する際に見かけた野草です。
といっても、出かけた際にちょこっと撮影しただけのため、あまり多くはないです。
今後、機会を見つけて充実させていきたいと思っています。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の野草を追加しました。
カキドオシ、コバノミツバツツジ、ヒサカキ、イタドリ
また、下記の写真を追加しました。
ツタバウンラン、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、
ツツジ、モチツツジ、ヤマツツジ、コハコベ、トウカイコモウセンゴケ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
シソ目
オオバコ科(ツボミオオバコ、ヘラオオバコ、キンギョソウ、ツタバウンラン、
      マツバウンラン、オオイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、フラサバソウ、
      オオカワヂシャ、カワヂシャ)
キリ科(キリ)
シソ科(カキドオシ、トウバナ、スペアミント、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ)
ハエドクソウ科(トキワハゼ)
ハマウツボ科(セイヨウヒキヨモギ)
モクセイ科(キンモクセイ)
セリ目
セリ科(ハナカザリゼリ[オルラヤ/オルレヤ]、ノラニンジン、マツバゼリ)
トベラ科(トベラ)
ツツジ目
ツツジ科(カキノキ、ブルーベリー、ツツジ、コバノミツバツツジ、モチツツジ、
     ヤマツツジ、サツキ)
モッコク科(ヒサカキ)
ツユクサ目
ツユクサ科(ムラサキツユクサ)
ナス目
ナス科(イヌホオズキ、ジャガイモ)
ヒルガオ科(ハマヒルガオ)
ナデシコ目
サボテン科(サボテン、ギムノカリキウム[新天地])
タデ科(イタドリ、アレチギシギシ、ギシギシ、ナガバギシギシ)
ナデシコ科(イヌコモチナデシコ、ミチバタナデシコ、ノミノツヅリ、イヌコハコベ、
      コハコベ、ノミノフスマ、オランダミミナグサ、シロバナマンテマ、
      マンテマ、マツバギク)
モウセンゴケ科(トウカイコモウセンゴケ、モウセンゴケ)
境播州地方で見かけた春の野草(春V)
和名インデックス


ツボミオオバコ(Plantago virginica)
<シソ目・オオバコ科・オオバコ連・オオバコ属>
 
オオバコ科オオバコ属の1年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全土に分布している。
草丈は10〜30pほどで、茎や葉には綿毛が生えているので、白っぽく見える。
葉は根生し、葉身はさじ型で3〜8cmほどあり、数pの葉柄がある。
花期は5月〜8月で、葉の間から数十cmの花茎をだし、穂状花序に小花を密生する。
花冠は淡黄褐色で4裂し、裂片は2o前後で真っ直ぐに伸び、先が尖る。雌性先熟である。
本種は普通、両性の閉鎖花を持ち、花冠は閉じたまま直立して、極小さい帯紅色の葯が筒部先に付く。
雌性の閉鎖花は、両性の閉鎖花と見た目は同じであるが、葯が退化して柱頭が突き出す。
開放花は、少なくて1割に満たないが、雄性期には花冠裂片が開き、帯紅色の葯が突き出す。
和名は、小花が開花してもツボミのように見えることが、その由来。
果実は蓋果で、長さ2〜3oの卵形、同じ形の種子が向かい合って2個入っている。

2021/4/10
実家近くを散歩中、側溝脇でツボミオオバコが花茎を伸ばしていました。
この辺りでツボミオオバコを見たのは初めてになります。小さいものも含めて数株確認できました。


2021/4/21
前に撮った写真では、花の状態が良く分からなかったので、撮り直しました。
それが上記の写真ですが、これだけアップにしても、咲いているのかどうか良く分かりません。
下部の方に、花の先端が少し開いているものもあるので、開花してはいるようです。
雄性期になると葯が出てくるようなのですが、まだ、その段階ではないようですね。
閉鎖花で、咲いてもツボミと大差なく、いつまでたってもツボミのようなのが和名の由来みたいです。

 
2022/4/30
開花が分かりにくかったので、撮り直したものです。
左側がツボミの状態で、右側は先が少し開いているので、開花している状態と思われます。

ヘラオオバコ(Plantago lanceolata)
<シソ目・オオバコ科・オオバコ連・オオバコ属>

オオバコ科オオバコ属の1年草〜多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、ほぼ全国的に分布している。オオバコと異なり、踏みつけには弱い。
ヘラオオバコはヨーロッパでハーブとして食用や薬用に利用され、家畜用飼料としても栽培されている。
草丈は、大きい物は50pを超えることもあり、披針形の葉も数十pになる。
和名は、その葉の形がへら状であることに由来する。
花期は6月〜8月で、長い花茎を立ち上げ、その先に円柱状の花穂を付ける。花は下から順次咲き上る。
花からは、メシベと4個のオシベが長く飛び出す。

2021/4/10
実家近くを散歩中、川沿いの道路脇で、ヘラオオバコが固まって生えている所がありました。
その中に、少し晩生なのでしょう、まだツボミばかりの株がありました。
開花している花穂はよく見かけますが、未開花の花穂はあまり見た記憶がありません。
なお、開花している花穂を真上から見ると、葯が丸く並んで、土星の輪のように見えます。

 
2021/4/16
4/10時点では開花していなかった花穂ですが、開花が始まっていました。
横からと真上から撮ったのが上記の写真で、まだ、開花して間がなく、葯の数が少なめです。
で、上から見たとき土星の輪に見えたでしょうか。数が増えると、もう少しきれいな円になります。

キンギョソウ(Antirrhinum majus)
<シソ目・オオバコ科・キンギョソウ連・キンギョソウ属>

オオバコ科キンギョソウ属の多年草で、原産地はヨーロッパ、地中海沿岸。
草丈は30〜90cmで、茎は直立し、基部は木質化する。茎の中上部には腺毛がある。
葉は茎の下部では対生し、上部では互生して短い葉柄がある。
葉身は長さ2〜6cmの披針形で、全縁で無毛。
花期は4月〜7月で、茎頂に総状花序を付け、多数の2唇形花を付ける。
花冠は長さ3〜5cmで、上唇は幅広で直立し、2中裂する。
下唇は3浅裂し、中央に隆起があり、しばしば黄色の斑紋がある。
オシベは4個、メシベは1個で先が2裂。萼は5深裂して、裂片は卵形。

2021/5/14
実家近くの道路脇で、わずかな境目に根を下ろしたキンギョソウが花を付けていました。
この近くでは見かけない花なのですが、どこから種が飛んできたのでしょう。

ツタバウンラン(Cymbalaria muralis)
<シソ目・オオバコ科・キンギョソウ連・ツタバウンラン属>



オオバコ科ツタバウンラン属のつる性多年草で、地中海が原産の帰化植物。
日本へは観賞用に大正年間に入り、逸出野生化して北海道から本州にかけて見られる。
葉が蔦に似て、花がウンランに似ていることからこの名前が付けられた。
茎は地上を這い、分枝して節から不定根を出し、長さは10〜40cmになる。
葉は互生し、長い葉柄の先に扁円形で掌状に5〜7裂した葉身が付く。
花期は5月〜11月で、葉腋から長い花柄を伸ばし、花を1つ付ける。
花冠は長さ8o前後の白色〜淡青色で、暗紫色の筋模様があり、上下2唇に分かれる。
上唇は2裂して直立し、下唇には黄色い膨らみが2個あり、花冠の後端は距となる。
果実は直径5mm前後の球形、で長い柄で下垂し、熟すと裂ける。

2021/4/1
実家近くの道路脇で、昨年の秋に見かけたツタバウンランですが、大きく広がっていました。
倍くらいに広がって、さかんにツルを伸ばし、そこにたくさんの花を付けていました。


2024/4/7
実家近くの道路脇に広がっていたツタバウンランは、除草されて見られなくなっていました。
少し離れた歩道で、その脇のコンクリートの隙間から小さな株が広がり、花を付けていました。

マツバウンラン(Nuttallanthus canadensis)
<シソ目・オオバコ科・キンギョソウ連・マツバウンラン属>
 
オオバコ科マツバウンラン属の越年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、関西を中心に広がり、関東にも進出中である。
1941年に帰化しているのが確認され、在来種のウンランに比べ葉が細いのでこの名が付けられた。
最近では普通に見かけられるようになっている。
草丈は10〜60pと生育環境によって大きく変わる。茎は基部で数本に分枝し、走出枝で広がる。
基部のロゼット状の葉は楕円形で多肉質であるが、茎葉は互生し、葉幅が1mm強の線形になる。
花期は5月〜7月で、茎の頂部に穂状に淡青紫色(稀に淡紅紫色)の唇形花を付ける。
花冠の長さは10oほどで、5oほどの距がある。上唇は2裂し、下唇は3裂して基部の膨らんだ部分が白い。

2021/4/11
実家近くの道路脇にある駐車場で、アツミゲシの近くでたくさん咲いていました。
アツミゲシもですが、車止めの後辺りに固まっているので、種が車に着いて運ばれたものと思われます。
作業用の軽トラなどもよく止まっていますので、どこかの工事現場から運ばれてきたのではないでしょうか。
車を止めたとき、その衝撃で種が落ち、そこで芽生えて、何世代か経つうちに群生になったのでしょう。

オオイヌノフグリ(Veronica persica)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属>

オオバコ科クワガタソウ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本をはじめ、アジア、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに外来種として定着している。
日本では全国に広がっており、どこでも見られる。
草丈は15〜25cmで、茎はよく分枝して横に広がる。
葉は、下部では対生し、上部では互生する。葉身は長さ12mmほどの卵形で先が尖り、鋸歯がある。
花期は2月〜6月で、上部の葉腋から長さ1〜2cmの花柄を伸ばし、直径8mmほどの花を1個付ける。
花冠は4裂し、裂片は淡青色に濃青色の縦じまがある。うち1個が小さく、色も薄い。
萼も4裂する。オシベは2個で、メシベは1個ある。
果実は、長さ約4o、幅約6oのやや扁平なハート形で、縁にだけ長い毛がある。

2021/3/10
実家近くの農道を散歩中、田んぼの畔などでオオイヌノフグリが大きく広がっている所がありました。
1ヶ月ほど前に見かけたときには、小さな株に1輪咲いている程度だったのが、見違えるほどです。



2024/3/16
網引湿原の駐車場近から第1獣害防止ゲートまでの間で、通路脇の所々で大きな群落になっていました。
以前はあまり見かけなかったオオイヌノフグリですが、今年は多くの花を見る事が出来ました。
タチイヌノフグリ(Veronica arvensis)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属>

2018/4/10
オオバコ科クワガタソウ属の越年草で、西アジアからヨーロッパ原産の帰化植物。
日本をはじめ、アジア、北アフリカ、南北アメリカ、オーストラリアに移入分布している。
日本では全国に広がっており、どこでも普通に見られるようになった帰化種。
茎は基部で分岐して直立し、上向きの曲がった毛と長い腺毛が生える。
葉は対生し、下部の大きな葉はオオイヌノフグリと形が似ているが、上部の葉は小さい三角状広披針形になる。
最下の1〜2対の葉を除いて無柄。葉の両面にも毛が多い。
花期は4月〜6月で、花色は淡青色〜淡紅色で、直径3oほどとオオイヌノフグリより小さく、花柄は極短い。
萼は長さ3〜4oで4裂し、裂片は線状披針形。花冠は萼より短い。

2018/5/24
近くの側溝脇に生えていたタチイヌノフグリです。
今まで、あまりアップの良い写真がなかったのですが、今回はうまく撮れました。
オオイヌノフグリは8o前後と倍以上の大きさがあり、手持ちで撮るのは比較的優しいのですが、
本種は3oほどしかないので結構大変で、何とかピントが合い、ブレずに撮れた内の1枚です。

フラサバソウ(Veronica hederifolia)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属>

オオバコ科クワガタソウ属の越年草で、西〜中央アジア、ヨーロッパ、北アフリカ原産の帰化植物。
日本では全国に広がっているが、特に関東以西で多く見られる。
草丈は5〜10cmで、茎や葉など全体に白い軟毛がある。
葉は、茎の基部以外は互生し、短い葉柄がある。葉の縁には大きな鋸歯がある。
花期は2月〜5月で、花は上部の葉腋に単生し、その直径は5mm前後である。
花冠は4裂し、裂片は淡青紫色から青紫色で、濃い縦じまがあり、裂片間に隙間がある。
萼も4裂し、花冠とほぼ同長で、萼片の縁に長毛が生える。オシベは2個で、メシベは1個ある。
果実が未熟なうちは、萼片が3角形に閉じていて、熟すと萼片が開く。

2021/3/20
実家近くの川岸を散歩中、土手の近くで地を這うように広がっているのを見つけました。
花を見てクワガタソウ属と分かりましたが、ここまで毛深いものは見たことがありません。
後で調べてフラサバソウと分かりましたが、自宅のある関東では見た記憶がありません。
右の写真で、光のあたっている所は草丈は数cmしかなく、陰の所は10cmほどあります。
日当たりが良くないので、徒長気味なのでしょうか。近くの木の下のものも同様でした。


2021/4/6
しばらく立ち寄っていなかったので、フラサバソウの様子を見に行ってみました。
かなり茎が伸びて横に這い、果実がその茎にきれいに並んでいました。
若干、萼片が茶色味を帯びていましたが、まだ未熟なので萼片は閉じていました。

オオカワヂシャ(Veronica anagallis-aquatica)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属>

オオバコ科クワガタソウ属の越年草で、ヨーロッパ〜アジア北部が原産の帰化植物。
日本では本州を中心に拡散中で、四国や九州の一部にも進出している。
海外では、朝鮮半島から中国、モンゴル、ロシアから、アフリカ、南北アメリカ、オーストラリアに分布。
湖、池、沼、河川の岸辺や水田、湿地などに生育する。
全体に無毛で、地中で根茎を横に広げ、茎を立ち上げて1mほどの高さになる。
葉は対生し、無柄で先の尖った長楕円形で、縁に不明瞭な細かい鋸歯がある。
茎の上部では、葉の基部が心形になり、茎を抱く。
花期は4月〜9月で、葉腋に穂状花序を出し、直径5oほどの花を多数付ける。
花冠は4深裂し、花色は淡紫色から白色で、濃色の縦筋が入る。
オシベは2個で、萼は4深裂する。裂片の長さは数o。
在来種のカワヂシャ(準絶滅危惧種)との交雑が確認されており、特定外来生物に指定されている。

2021/35/11
農道を歩いていると、畔の際にオオカワヂシャが花を付けているのが見えました。
近づくと、オオカワヂシャと絡み合うようにカワヂシャも花を付けていました。
本来、このような水際などに生育するのがオオカワジシャだと思います。
それが、水が豊富とは言えない、土山SAの駐車場を取り囲む草原でも生育してます。
さすがに茎は細く、見た目にも貧弱なことは否めませんが、しっかりと根付いています。
それだけ、繁殖力が強く、強健な草本ということでしょうか。

カワヂシャ(Veronica undulata)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属>

 <カワヂシャ>            <オオカワヂシャ>

オオバコ科クワガタソウ属の越年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、アフガニスタン、インドから腿、ベトナムにかけて分布している。
湖、池、沼、河川の岸辺や水田、湿地などに生育する。
草丈は10〜50cmで、茎は淡緑色で丸くて柔らかく、直立して分枝する。全体に無毛。
葉は十字対生し、長さ4〜8cmの狭卵形で、先はやや尖り、基部は円形で無柄。
基部はやや茎を抱いて、葉面は波打ち、縁には尖った鋸歯がある。
花期は、5月〜6月で、葉腋に総状花序を出し、直径4〜6mmの花を多数付ける。
花柄は長さ3〜5mmで、花冠は4深裂し、花色は白色で、淡紅紫色の縦筋が入る。
萼も4深裂し、萼裂片は狭卵形で尖る。オシベは2個で、メシベは1個。
果実は長さ3mm前後の刮ハで、やや扁平な卵形。長さ1mmほどの花柱が残存する。

2021/5/11
農道を歩いていると、畔の際にオオカワヂシャが花を付けているのが見えました。
近づくと、オオカワヂシャと絡み合うようにカワヂシャも花を付けていました。
カワヂシャの花を見たのは初めてでしたので、両者を入れて撮ったのが上段の写真です。
カワヂシャの花はオオカワヂシャの花より二回りほど小さく、色も白いので、あまり目立ちません。
最近、オオカワヂシャとの交雑などで、純粋なカワヂシャは数が減っているとのことです。
こんな近距離であれば、否応なしに交雑はおきうるでしょうね。

キリ(Paulownia tomentosa)
<シソ目・キリ科・キリ属>


キリ科キリ属の落葉広葉樹で、原産地は中国とされる。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州と全国で植栽されている。
樹高は10mほどになり、樹皮は灰褐色で、多くの皮目がある。枝は楕円形の皮目が目立つ。
成長の早い木で、数年で樹高は5mに達し、6〜7年で花を付け始める。
葉は対生し、葉身の長さは15〜30cm、幅は10〜25cmと大きく、若木程、葉身は大きくなる。
葉身は3〜5裂して、三角形状や5角形状になる。葉柄は5〜20cmになる。
花期は4月〜5月で、葉が展開する前に枝先に大きな円錐花序を付け、淡紫色の筒状の花を多数付ける。
花冠は長さ5cm前後の筒状鐘形で、上部は5裂し、裂片は平開する。花冠の外面には短い軟毛が密生する。
萼は茶褐色の毛が密生する。雄しべは4個で、下側の2個は長い。
材は軽量で、湿気を通さず、割れや狂いが少ない良質で、福島県の会津桐、岩手県の南部桐が有名。

2021/4/6
実家近くの川沿いを散歩していて、キリの花がかなり咲き進んでいるのに気が付きました。
花序の中ほどの花が咲いている所で、下部は咲き終わり、上部はまだツボミといった状態でした。
もっと一気にたくさん咲くイメージがあったのですが、咲いているのは1つの花序で数個でした。


2021/4/10
散歩中、キリの花の近くを通ったとき、かなり咲き進んでにぎやかになっていました。


2021/3/6           2021/4/10           2021/4/10

2021/4/10           2021/4/6           2021/4/6
ツボミから開花したものまで、いろいろな状態の花がありましたので、時系列に並べてみました。
3月の時点ではのっぺりしていたツボミも、開花直前では萼にしっかりと切れ目が入っています。
その萼が裂開すると、中から紫色の花被が伸び出し、先が割れて開花します。

カキドオシ(Glechoma hederacea subsp. grandis)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・カキドオシ属>

シソ科カキドオシ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の草原や道端などに自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、シベリア、台湾に分布する。
草丈は、花期初期には直立して10〜20pになるが、花期後半から地表を這って伸びる。
茎は四角形で下向きに毛が生え、葉が対生して付く。
葉身は長さ2〜5pの腎円形で、数pの葉柄がある。葉の縁には歯牙がある。
花期は4月〜5月で、葉腋に数個の花を付ける。花冠は20o前後、萼は8o前後。
萼は5残裂し、裂片は同形になる。花冠は淡紅紫色の唇型で、上唇より下唇が長く、下唇は3裂する。
下唇の中央裂片は側裂片より大きく、2残裂して紅紫色の斑点があり、奥に白毛がある。
冬季は、小型の葉を付けたまま常緑越冬するが、葉は濃緑色になる。
この和種を乾燥させたものが「連銭草」、中国種が「金銭草」という名の生薬になる。
また、血統値降下作用や内臓脂肪、皮下脂肪を溶解させる作用があるとして漢方薬とされることもある。

2024/4/12
網引湿原の駐車場から第1獣害防止ゲートへの通路脇で見かけたカキドオシです。
珍しい花ではありませんが、多摩川の河川敷で見かけて以来、久しぶりに見ました。

トウバナ(Clinopodium gracile)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・トウバナ属>

シソ科トウバナ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島まで分布している。
海外では、中国、台湾、インドから東南アジアのインドネシア辺りに分布している。
草丈は10〜30cmで、茎は細くて下向きの短毛があり、匍匐枝を出して這い、茎を斜上する。
葉は対生し、葉身は基部で長さ10mm前後、中部以下で長さ12〜35mmになる。
長さ3〜18mmの葉柄があり、葉身は基部で広卵形、中部で卵形、上部で卵状披針形になる。
下部の葉は無毛で、中部以下では葉裏の脈上にわずかに剛毛があり、いずれも少数の円鋸歯がある。
上部の葉身では、縁は鋸歯となり、先が尖る。中部以下の葉は鈍頭。葉裏に腺点はない。
花期は5月〜9月で、葉腋の輪散花序が数段と、茎頂の総状花序に多数の唇形花を付ける。
萼は筒型で基部は丸く、花時の長さは3mm前後。微軟毛があるか無毛で、萼歯には縁毛がある。
萼は5裂し、上部の3歯は短い三角形で、下部の2歯は少し長い三角錐形である。
花冠は白色〜紅紫色で、稀に紅紫色の斑紋が見られる。長さは5〜6mm。
花冠は上下2唇に分かれ、上唇は2浅裂し、下唇は上唇より長くて3裂する。
オシベ4個は斜上し、2個は長くて葯は上唇の縁に付いているように見える

2021/4/14
実家近くを散歩中、側溝の中を埋め摘むしているシソ科の花を見かけました。
1つだけ、花序が大きくなっていたので、花はと見たのですがツボミばかりでした。
これだけでは、確定できませんでしたので、花が咲くのを待つことにしました。


2021/4/17                  2021/4/19
開花までには思った以上に時間がかかり、花が確認できたのは5日後でした。
花は思っていたよりも小さく、その大きさや特徴からトウバナと判断しました。


2021/5/15
1ヶ月ほど経ったので様子を見に行くと、見事な「塔花」になっていました。

スペアミント(Mentha spicata)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・ハッカ属>

シソ科ハッカ属の多年草で、地中海沿岸が原産地。
日本では、各地で栽培されているが、一部で野生化している。
世界的には、ヨーロッパから西アジア、中東、アメリカと広く移入分布する。
草丈30〜60cm程で、葉は対生し、槍の穂先のように尖った長楕円形です。
葉の縁には鋸歯があり、葉脈はペパーミントとほど明瞭ではない。
夏から秋にかけて茎の先端に長さ5cm程度の花穂を伸ばし、そこに白から淡紫色の花を多数つける。
不稔性であることが多く、地下茎により栄養繁殖する非常に繁殖力が強い。
スペアミントには、以下のような種類がある。
●Mentha spicata/Mentha viridis:全草の色からミドリハッカ、伝来地からオランダハッカと呼ばれる。
●Mentha spicata var. crispa:葉が縮れていることからチリメンハッカ、カーリーミントと呼ばれる。
●Mentha × gentilis/Mentha cardiaca:ジンジャーミント、スコッチ種と呼ばれる栽培品種である。
●Mentha longifolia/Mentha silvestris:葉が長くて毛があることからナガバハッカ、ケハッカと呼ばれる。
 ※ なお、ハッカ属は交雑しやすく、形質遺伝が不安定なため、形態のみからの正確な分類は困難。

スペアミントはl-メントールを含まず、l-カルボンとリモネン(柑橘系に多い)を含むため、香りは柔らかい。
※ スペアミントの交雑種であるペパーミントやニホンハッカの主成分はl-メントールで、香りは強い。

2021/4/16
実家近くの川沿いを散歩中、土手下の草むらで、スペアミントとらしい葉を見かけました。
他の雑草に混じって、周囲のあちこちで茎を伸ばしています。
ただ、以前にこの近くで見たものよりも葉が一回り以上大きいような気がします。

ヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)
<シソ目・シソ科・オドリコソウ亜科・オドリコソウ属>

シソ科オドリコソウ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本をはじめ、北アメリカや東アジアにも帰化しており、日本では、主に本州に広く分布する。
草丈は10〜25cmで、4稜形の茎には下向きの毛が生える。花期は3月〜5月。
葉は対生し、長さ1〜2cmの三角状卵形で、有柄。脈が深く、花期には赤紫色を帯びる。
葉の上部の葉腋に、長さ10mm前後の淡紅色の唇形花をたくさん付ける。
オシベは4個で、メシベの花柱は先が2裂する。萼は5裂し、裂片の先は尖る。
果実は4分果で、頭部が平らになる。分果には3稜があり、基部に大きな種沈がつく。

2021/3/20
実家近くの川沿いを散歩中、法面でヒメオドリコソウがたくさん花を付けていました。
3月初旬には花はなかったので、しばらく見ないうちに一気に伸びて花を付けたようです。


2024/4/7
実家の周りでもヒメオドリコソウは見られたのですが、2月頃に除草してしまいました。
そのため、もう無いだろうと思っていたら、しぶとく1株だけ花を付けていました。
ヒメオドリコソウの後に写っているのは、おそらく、コモチマンネングサだと思われます。

ホトケノザ(Lamium amplexicaule)
<シソ目・シソ科・オドリコソウ亜科・オドリコソウ属>

2021/3/6               2021/3/10
シソ科オドリコソウ属の越年草で、在来種。道端や田畑の畦などによく見られる。
日本をはじめ、アジアやヨーロッパ、北アフリカなどに広く分布する。
日本では、北海道以外の本州、四国、九州、沖縄に広く自生する。
草丈は10〜30cmで、花期は3月〜6月。
葉は対生し、長さ2cm前後の丸みのある扇状で、鈍い鋸歯がある。
上部の葉腋に長さ2cm程の紅紫色の唇形花を多数付ける。
その中に、つぼみのまま結実する小さな閉鎖花が多数混じる。

※ 春の七草にある「ほとけのざ」は、本種とは別のコオニタビラコの事です。

2021/3/10
実家近くの農道を散歩中、田んぼの畔などでホトケノザが大きくなって、たくさん花を付けていました。
実家近くで見た株も大きいと思ったのですが、陽当たりが良いのでその倍以上の大きさです。
その分、花数も多くて、小さな花ですが、遠くからでも赤い花の存在が分かります。


2021/3/20
実家近くの川沿いを散歩中、ヒメオドリコソウを見た法面の反対側で見たホトケノザです。
こちらも以前に見かけたときよりも大きな株になって、たくさんの花を付けていました。


2024/3/16
網引湿原の駐車場近から第1獣害防止ゲートまでの間で、通路脇や畑の畔で大きな群落になっていました。
花は小さくても目立つ赤紫色なので、これだけ固まって咲くと、遠目でも目立ちます。

トキワハゼ(Mazus pumilus)
<シソ目・ハエドクソウ科・サギゴケ亜科・サギゴケ属>

ハエドクソウ科サギゴケ属の1年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の畑や道端に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、台湾、東南アジア、インドに分布する。
やや乾いた所を好み、地を這うように広がっていることが多いが、走出枝は出さない。
基部に集まる葉は、長さ2〜5cmの卵形で浅い鋸歯がある。茎葉は少なく小さい。
花期は4月〜10月と長く、初春から晩秋まで咲き続け、花期の短いサギゴケとは異なる。
花は総状花序につき、長さ10mm前後の唇形花である。
上唇は紫色〜淡紫色で先が白っぽく、小さく2裂する。
下唇は白色〜淡紫色で、黄色と赤褐色の不規則な斑紋がある。
萼は先が5裂し、花柄や萼には腺毛が多く、萼片の内側や花冠にも腺毛がある。

2021/4/2
実家の庭や畑の強雑草の1つであるトキワハゼです。
小さくても横に根を張って、なかなか引き抜けない難敵で、除草するのも一苦労です。
道端などで見るのは良いのですが、畑や庭には生えてほしくない野草です。

セイヨウヒキヨモギ(Bellardia viscosa)
<シソ目・ハマウツボ科・セイヨウヒキヨモギ属>


ハマウツボ科セイヨウヒキヨモギ属の半寄生1年草で、南西ヨーロッパが原産地。
元はゴマノハグサ科とされていたが、ハマウツボ科に移された。
日本では、1973年に千葉県船橋市で確認され、本州の関東以西から九州、沖縄に分布している。
草丈は30〜70cmで、茎は直立して分枝せず、白色の毛と腺毛があり、粘る。
葉は下部では対生、上部では互生し、長さ10〜45mmの楕円形〜披針形で厚みがある。
葉柄はなく、基部はやや茎を抱いて、先は尖る。縁に鋸歯があり、葉脈が凹んで、両面に毛がある。
花期は5月〜7月で、花は茎の上部の葉腋に単生し、長さ20〜25mmの黄色い唇形花である。
上唇はドーム状で、下唇は前に突き出して3裂し、幅は12〜15mmある。
オシベは4個で、メシベはオシベを乗り越えるように上唇の先端付近まで伸びる。
果実は刮ハで、萼に包まれて褐色に熟し、小さな種子を多数出す。

2021/5/14
実家近くの川沿いを散歩中、法面に黄色い唇形花をたくさん付けた草本を見つけました。
見たことがないので、後で調べようとしたのですが、なかなかヒットしません。
キーワードを工夫しながら検索して、やっと本種にたどり着きました。
比較的新しい帰化植物のようですが、急速に分布を広げているようです。


2021/5/22
1週間ほどが経って様子を見に行くと、ごらんの通りです。
草丈は倍くらいに伸びて多くの花を付け、相当数が群生しているので、一面が黄色く見えます。


2023/5/18
加古川の法面でナヨクサフジの写真を撮ろうと降りた時、法面の下で見かけたセイヨウヒキヨモギです。
法華川の法面でも見られましたが、今年は堤防の強化工事によって草木がない状態になっています。


2023/5/26
咲いているマツヨイグサを撮ろうと思って、加古川の土手に出かけました。
そのとき、1週間ほど前に降りた所の少し上流側に行ったのですが、少し様子が変わり、
前回はさほど多くなかったセイヨウヒキヨモギが、かなり繁茂していました。

キンモクセイ(Osmanthus fragrans var. aurantiacus)
<シソ目・モクセイ科・オリーブ連・モクセイ属>

モクセイ科モクセイ属の常緑小高木樹で、ギンモクセイの変種。
中国南部原産の帰化直物で、中国名は「丹桂」。
金桂(ウスギモクセイ)、銀桂(ギンモクセイ)も含め、「桂花」と呼ばれることもある。
雌雄異株であるが、日本には雄株しかなく、結実する事はないといわれている。
幹は淡褐色で、樹皮には細かい縦の割れ目が入る。
葉は対生し、長さ10p前後の楕円形で、先が尖る。縁は、前縁か葉先半分に細かい鋸歯がある。
花期は9月〜10月で、葉腋に集散花序をつけ、強い芳香のある花を多数つける。
苞は長さ3o前後の広卵形で、小花柄は長さ4〜10o。萼は長さ1o程。
花冠は、黄色〜橙色で、直径5o、長さ4o程で、筒部の長さは1mm前後。
オシベは2個は筒部の中程に付き、不完全雄しべも2個付く。

2021/3/29
実家の庭のキンモクセイですが、今年は寒さが堪えたのか、半分近い落葉がありました。
そのキンモクセイが、一斉に新芽を伸ばして、赤茶色の新葉を展開し始めました。
レッドロビンほどの赤ではないですが、新たな芽吹きは見ていて気持ちが良いですね。

ハナカザリゼリ(Orlaya grandiflora)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・オルラヤ属>

セリ科オルラヤ属の越年草(原産地では多年草)で、ヨーロッパが原産地。
観賞用に秋まきで栽培されているが、原種は絶滅危惧種となっている。
別名は、オルラヤ(オルレヤ)・グランディフローラ、ホワイトレースフラワーなど。
なお、英名"white lace flower"は、別種の和名ドクゼリモドキなので要注意。
草丈は30〜60cm出、茎は直立してよく分枝する。
葉は互生(基部では稀に対生)し、葉柄は基部で鞘状になる。
葉身は2〜3回羽状複葉で、最終裂片は線形になる。
花期は3月〜5月で、茎頂の直径10〜15cmの大散形花序に小花を多数つける。
5〜12個ある花序柄はほぼ同長で、大花柄は5個以上ある。
総苞と小総苞があり、総苞には白色の縁取りがある。花は白い5弁花である。
小散形花序は直径25〜30mmで、内側の花弁より、外側の花弁の方が大きい。
特に散形花序の外側の花弁は、2深裂して、内側のものより7〜8倍大きい。
なお、大きな花弁以外の花弁はや内側の小花の5個の花弁は外側に丸まっている。
果実は2分果で、長さは6〜8mm。長さ数mmの白い刺が密生する。

2022/5/7
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園、その作業場の近くでポットのまま開花していました。
おそらく、どこかに植える予定だったのが使われなかったか、余ったのではないかと思います。
最初に見た時、オオハナウドかと思ったのですが、葉の形状が異なります。
後で調べて、ヨーロッパ原産のハナカザリゼリ(この和名はあまり使われないよう)と分かりました。
一般には、オルラヤ・ホワイトレースフラワーなどの名前で売られているようです。


    .
2023/5/11
久しぶりに実家近くを散歩したのですが、河川改修工事で法面などに生えていた野草はほぼ全滅。
津波対策などで致し方ないのでしょうが、情緒も何もなくなってしまいましたね。
とぼとぼと歩いていると、道路が堤防の上から下る辺りで、若干残っている所がありました。
その中で、ハナカザリゼリ(オルラヤ)が大きな花序に白い花を咲かせていました。
直ぐ傍に花などが植えられていましたので、以前、植えられていたものが逸出したのでしょう。

ノラニンジン(Daucus carota)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・ニンジン属>


セリ科ニンジン属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、全国に分布するが、特に北海道に多い。
草丈は30〜100cmほどで、茎は直立し、上部で分枝する。茎には白い剛毛が生える。
葉は互生で、2〜3回3出複葉で、小葉は細かく裂ける。
花期は7月〜9月で、茎頂に複散形花序を出し直径3〜6mmの白色の5弁花を密生する。
なお、花の直径は、花序の外側ほど大きくなる。また、花序の基部には、糸状に細裂した苞がある。
花序は、ツボミの頃は中心向かったまるまっているが、開花する頃には水平に広がり、多数の花を咲かせる。
なお、花後、果実の成熟に伴い、中心に巻き込むようにまるまる。
この多数の花の中心付近に、1つだけ、赤紫色から暗紫色の花が付く場合がある(20〜30%ほど)。
この花の事を「アン王女のレース(Queen Ann's Lace)」と呼ぶそうである。
このノラニンジンの根は、ニンジン同様に直根ではあるが、ニンジンのように柔らかくなく、非常に硬い。
色も白いままで、ニンジンのような橙色にはならない。ただ、風味はニンジンのそれに似ているとのこと。
このノラニンジンは、ニンジンの原種であるとか、ニンジンが畑から逸脱して野生化したものとの説がある。
ノラニンジンはユーラシア大陸やアフリカ大陸北部に広く分布しており、原種と考えた方が妥当と思える。

2023/5/18
加古川の法面でナヨクサフジの写真を撮ろうと降りた時、法面の下で見かけたノラニンジンです。
周りには無くて、この1株だけがポツンと孤高の人のように生えていました。
まだ、咲き始めて間もないようで、全ての花序が開花していませんでした。
※ 「アン王女のレース(Queen Ann's Lace)」に関しては、こちらに掲載しました。ご参照ください。

マツバゼリ(Cyclospermum leptophyllum)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・マツバゼリ属>
 

セリ科マツバゼリ属の1年草で、熱帯アメリカ原産の帰化植物である。
以前は、オランダミツバ属(Apium)に分類されていたが、マツバゼリ属(Cyclospermum)に変更になった。
日本では関東以西、九州、四国に分布し、畑や草地、道端などで湿った所を好む。
セリ科の植物なので、独特のにおいを持ち、家畜には、有毒な植物である。
草丈は5〜60cmと、生育場所などで大きく異なる。
葉は、大きいもので10cm程になる2〜4回羽状複葉で、深裂した裂片は幅1mm以下と細い。
葉柄は、長いものは10cm程あるが、茎葉では無柄になる。
花期は4月〜9月で、葉と対生に花序を数本出し、先に多数の直径1mm前後の小花を付ける。
総苞、小総苞は無く、花は5花弁で、花弁は白色。
果実は長さ1〜1.5mm、幅1〜2mmで、隆起線は柔らかいコルク質で太く、熟すと紫褐色になる。

2021/4/16
実家の近くを散歩中、側溝脇のわずかな隙間に根を下ろしたマツバゼリを見つけました。
マツバゼリを見かけたのは、多摩川の河川敷で見て以来なので、10年ぶりの再会です。
それにしても葉の裂片の細さといい、花の小ささといい、匂いも含めて忘れられない草本です。


2021/4/20
散歩の帰り道、信号待ちをしていた時、足元にマツバゼリが数本あるのに気が付きました。
一緒に生えていたのは、葉裏の脈上に刺が並んでいるのでトゲチシャですね。
湿った所を好むのに、影もない道路際に生えているのは、トゲチシャが影を作っているからかも。


2021/5/14
マツバゼリですが、大きな果実が出来ていました。
花は直径1mmほどしかないのですが、果実はその数倍の大きさになっていました。


2021/6/17
このマツバゼリは、花期も終盤のようで、多くが果実になっていました。
多くの果実が熟して紫褐色になり、間もなく2分果に分かれて落果すると思われます。

トベラ(Pittosporum tobira)
<セリ目・トベラ科・トベラ属>

トベラ科トベラ属の常緑低木で、在来種。雌雄異株。
日本では、本州の東北地方南部から四国、九州にかけて海岸近くに自生している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾の海岸部に自生する。
樹高は2〜8mで、葉は互生して主に枝の先に葉が集まって着く。
葉身は長さ5〜10cmの倒卵形で、革質で光沢があり、全縁。内に巻くように葉全体が反る。
花期は4月〜6月で、枝先に芳香のある5花弁の白花(時間が経つと黄色くなる)を多数付ける。
果実は熟すと3裂して赤い粘液をまとった種子が露出する。種子は粘液で果実に付着する。

2021/5/15
実家近くの川沿いを散歩中、道路脇でトベラがたくさんの花を付けていました。
開花間もない花は白いのですが、時間が経つと左の写真のように黄色味を帯びてきます。
なお、晩秋になると果実が割れて、粘液に包まれた赤い種子が出てきます。

カキノキ(Diospyros kaki Thunb. var kaki)
<ツツジ目・カキノキ科・カキノキ属>


カキノキ科カキノキ属の落葉高木で、原産地は中国、台湾、ミャンマー。
樹高は5〜15mで、幹は茶褐色で樹皮が不規則に細かく割れる。
葉は互生し、長さ7〜18cmの楕円形で、葉表は無毛で、葉裏には黄褐色の毛が全面にある。
葉先は尖り、基部も鋭形で、全縁。葉柄は1〜2cmで、ほぼ無毛。
花期は5月〜6月で、秋の10月〜11月が果期になる。
雌雄同株であるが、栽培品種の中には雌花のみが咲くものもある。
雄花は、集散花序に3〜5個付き、花冠は長さ6〜9mmの白色。オシベは16〜24個で、萼が小さい。
雌花は単生し、花冠は長さ9〜16mmの黄白色。柱頭は4裂し、子房は無毛。萼が大きい。
野生種のヤマガキは、在来種かどうかは不明で、中国原産とする説もある。
栽培品種の台木に利用されるが、葉も実も栽培品種より一回りも二回りも小さい。
果実はタンニンを多く含み、柿渋は防腐剤として用いられる。
多くの栽培品種は甘柿で、渋柿を食用に加工するのは日本くらいだと言われている。

2021/5/28
実家の庭には柿の木(富有柿)が数本植えられていて、毎年、この時期には花がたくさん咲きます。
開花間もない花は白いのですが、時間が経つと中央の写真のように黄色味を帯びてきます。
その後、右端のように花弁や花柱は枯れますが、しばらくは残存します。
もう少し大きくなった頃に摘果し、袋掛けをすればいいのですが、なかなか手が回りません。
下の方は適当に摘果はするのですが、袋掛けはしないのでカメムシの吸汁被害が多くなります。

ブルーベリー(blueberry)
<ツツジ目・ツツジ科・スノキ亜科・スノキ属・シアノコカス節>



ツツジ科スノキ属シアノコカス節に分類される北アメリカ原産の低木果樹の総称。
落葉または半常緑性で、寒い地方では落葉するが、温暖な地では葉は残る。
栽培品種の成木は、樹高0.5〜1.5mで、春に白〜淡紅紫色の釣鐘状の花を咲かせる。
花後に5〜15mm程度の青紫色の小果実がなる。
20世紀に入って、果樹としての品種改良が進み、多くの品種が作出された。
ブルーベリーは6系統あるが、食用としては下記の3系統が重要である。
・ハイブッシュブルーベリー系統(栽培種)
・ラビットアイブルーベリー系統(栽培種)
・ローブッシュブルーベリー(野生種)

2021/4/1
実家の庭に植えてあるブルーベリーですが、たくさんのツボミを付けていました。
今となっては、どれがどういった品種であったのか分かりませんが、各々異なる品種です。
果実の大きさも各々異なり、酸味や甘味の度合いも各々異なります。


2021/4/3
ツボミばかりだったブルーベリーですが、開花が始まっていました。
花の形はドウダンツツジに似て、開花といってもおちょぼ口を開く程度。
そのおちょぼ口から、メシベの柱頭が、少し伸び出して顔を出していました。


2021/5/15
開花から1ヶ月以上経ちましたが、ブルーベリーの果実が膨らみ始めていました。
ただ、品種による違いなのか、樹勢によるものなのかは分かりませんが、成長が樹によって異なります。


2021/6/14
さらに1ヶ月が経ち、ブルーベリーの果実もかなり大きくなりましたが、熟すのはまだ先です。
ただ、右端の樹は、他の樹より小さいのですが、樹勢が弱いのか数個しか結実していませんでした。

※ 品種は、上からと左からの順に、同じ樹を並べてあります。

ツツジ(Rhododendron)
<ツツジ目・ツツジ科・ツツジ亜科・ツツジ属・ツツジ亜属・ツツジ節>

2021/4/11

2021/4/16

2021/4/20
日本には、ツツジ、サツキ、シャクナゲを分けて呼ぶ習慣があるが、学術的には全てツツジ属である。
有鱗片シャクナゲ亜属、ツツジ亜属、無鱗片シャクナゲ亜属、セイシカ亜属、エゾツツジ亜属に分類される。
日本で「シャクナゲ」と呼ばれるのは、ホンシャクナゲの仲間(無鱗片シャクナゲ節)に限られる。
ツツジとサツキは中間的なものもあって、区分けが難しいが、概ね春先に咲くのがツツジである。
その後、初夏に咲くのがサツキだが、新芽が出るのはどちらも同じで、5月頃になる。
そのため、ツツジでは花後に新芽が出て、サツキでは新芽とツボミが同時に出て、その後、開花となる。
例外もあるので、この区分方法に一致しないものもあるが、概ねこの方法であっていると思われる。
ツツジは、日本では古くから園芸品種として交配が行われ、多くの品種が作出されている。
クルメツツジやヒラドツツジがその代表種で、色とりどりの新種がある。
サツキは、ツツジに比べて葉や花が小さいものが多いので、盆栽などに仕立てるのに向いている。

2021/4/11,16,20
今シーズンのツツジですが、順調につぼみが膨らみ、4/20時点でこの木は5分咲きといったところです。
実家の庭には、この木も含めてヒラドツツジが7株あり、この木が最も咲き進んでいます。


2021/4/20                 2021/4/21
前述の2株を逆方向から撮ったのが右の写真で、もう少しで見頃を迎えそうです。
その他の株はというと、左の写真のようにつぼみは膨らんでいますが、未開花の状態です。
ということで、全てのヒラドツツジが咲きそろうのはもう少し先になりそうです。


2021/5/11
先に咲き始めていた2株は咲き終わり、残りの5株も開花のピークを少し過ぎています。
それでも、ごらんのように春の一時を華やかに彩って、楽しませてくれました。
この後、雨が降って、今年のツツジのシーズンは終わり、花がら取りに追われることとなりました。
花がらも相当量になり、落葉と共に土を被せてたい肥作りに使用しています。


2024/4/17                  2024/4/23        .
前日の夕方に春雷に伴う大粒の雹が降り、4分咲きくらいになっていた花が大きなダメージを受けました。
咲いていた花は傷んだり、叩き落されたりしており、ツボミも傷んでいるものもありました(左の写真)。
その後、持ち直して右の写真のように9分咲きほどになりました。他のツツジは2〜3分咲き程度です。

コバノミツバツツジ(Rhododendron reticulatum)
<ツツジ目・ツツジ科・ツツジ亜科・ツツジ属・ツツジ亜属・ミツバツツジ節・ミツバツツジ列>


2024/4/12

2024/4/14
ツツジ科ツツジ属の落葉低木で、日本固有種。
日本では、本州の東は神奈川県西部、北は飛騨地方や福井県から、鹿児島県まで分布する。
日本のミツバツツジ類の中で最も分布域が広い種類である。
樹高は1.5〜4mで、樹皮は灰黒色。若い枝は赤褐色で、粗い毛がある。
葉は枝先に3個輪生し、長さ2.5〜7cmの広卵形〜菱状広卵形で、先端は尖り、基部はくさび形。
葉幅は中央やや基部寄りが最も広く、若葉の両面には褐色の軟毛があるが、後に表面は無毛になる。
裏面の主脈上などに毛が残るが、脈が目立つようになる。葉柄は長さ3?7mmで褐色の長毛がある。
花期は3月〜4月で、他のツツジより花期は速く、葉の展開前または同時に開花する。
枝先に紅紫色〜淡紅紫色の花を1?2個つけ、花冠は直径3〜4.5cmの漏斗形でやや深く5裂する。
オシベは10個で、内5個は短くて花糸も細い。花糸と花柱は無毛。子房には白い長毛が密生する。
花粉が細い糸でつながった構造をしており、昆虫の体に付着しやすくなっている。
萼には白毛があり、小花柄には白毛と長い黄褐色の毛がある。
果実は長さ8〜10mmの円柱形の刮ハで、粗い毛がある。その中に1mm程度の種子が200個ほど入る。

2024/4/12,14
網引湿原へ向かう道すがら、道路脇でコバノミツバツツジが赤紫色の花は見せつけていました。
網引湿原の駐車場からの通路脇や湿原の遊歩道脇などでもあちらこちらだ咲いています。
林縁などに生えているものは、樹高が2mを優に超える大きなものが多いです(上段左)。
一方、湿原の周辺や中に生えているものは、樹高が1m前後の小さ目のものが多いです(上段右)。
中段は、花をアップで撮ったものですが、オシベが10本あり、内5本が短いことが分かります。
下段は、葉のアップを撮っていなかったため、4/14に撮り足したものです。

モチツツジ(Rhododendron macrosepalum)
<ツツジ目・ツツジ科・ツツジ亜科・ツツジ属・ツツジ亜属・ヤマツツジ節・モチツツジ列>

ツツジ科ツツジ属の半常緑低木で、在来種。
日本では、本州の静岡県・山梨県〜岡山県、四国に分布する。
樹高は1〜2mで樹皮は灰褐色で平滑。葉は互生して、枝先に集まって付く。
春葉は、長さ4〜8pの楕円形〜卵形で、両面に毛が生え、腺毛がある。
春葉は、秋には橙色〜赤黒紫色に紅葉し、落葉する。
夏葉は、長さ3〜5cmの狭楕円形で、開出毛が密生し、冬を越す。
葉柄は長さ3〜8mmで、長毛がある。
花期は4〜6月であるが、散発的に花期以外でも咲いているのが見られる。
花は葉の展開と同時に枝先に2〜5個付き、直径3.5〜6cmの淡紅紫色(稀に紅紫色)。
花は5中裂し、上側の裂片に赤色の斑点がある。
オシベは通常は5本であるが、稀に6〜10本のものも見られる。花糸には短毛がある。
花柄は長さ1.5〜2cmで、長い腺毛が密生して粘る。子房にも腺毛が密生する。
萼は緑色で5深裂し、萼片は長さ2〜4cmの披針形で、長い腺毛が密生する。
萼や柄、葉などに多くの腺毛があって粘着性があり、ここに多くの昆虫が捕らえられる。
これは花粉媒介者以外の昆虫を捕らえて、花が食害されるのを防ぐために発達したらしい。
この腺毛を除去する実験をすると、花は見る影もないくらいに食害されたとのこと。
なお、この捕らえられた昆虫を餌とするモチツツジカスミカメやサシガメ類がいる。

2023/5/4
モチツツジは、人の手が入っていない自生の在来種です。
網引湿原で最初に見かけたのは、第1獣害防止ゲートの手前で、ポツリポツリと咲いていました。
奥池の畔から第2湿原、第3湿原の周囲でも、所々でモチツツジが咲いていました。
昨秋見かけた狂い咲きのモチツツジにも、春になってたくさんの花が見られました。


2023/5/4
網引第3湿原の中にも咲いていて、湿原の奥の方は乾燥化が進んでいるのかもしれません。
ここでも、朱赤色のヤマツツジとピンクのモチツツジが競うように咲いています。


2024/3/16
網引第3湿原の外れで見かけたモチツツジの花芽で、昨年の夏葉が残っています。
これから暖かくなってくると、花芽が伸び出して、きれいな花を見せてくれるでしょう。


2024/4/14
網引第3湿原では花芽が広がって、開花の準備は進んでいるようですが、咲くのはもう少し先のようです。
なお、場所によっては3月の花芽と大して変わらないものもありました。

ヤマツツジ(Rhododendron kaempferi)
<ツツジ目・ツツジ科・ツツジ亜科・ツツジ属・ツツジ亜属・ヤマツツジ節・ヤマツツジ列>

ツツジ科ツツジ属の半落葉低木で、日本固有種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州、屋久島に分布する。
樹高は1〜4mで、幹は灰黒色〜黒褐色、樹皮に縦の割れ目が入る。
若枝は赤褐色で淡褐色の伏した剛毛が密生し、後に褐色に変わる。
葉は互生し、長さ2〜4cmの惰円形〜卵状惰円形で、葉柄は長さ1〜3mmである。
葉の両面に褐色の伏毛が生え、裏面の脈上に長毛が密生する。
春に出て秋落葉する春葉と、夏から秋に出て冬を越す夏葉がある。
春葉より夏葉の方が小さく、春葉の先は尖るが、夏葉の先は尖らない。
花期は4月〜6月で、花冠は直径3〜5cmの鮮やかな朱赤色で、枝先に2〜3個付く。
漏斗形の花冠は5中裂し、上側裂片内面に濃色の斑点があり、内面に短毛が散生する。
花柄は長さ5〜20mmで長毛があり、萼片は5裂し、長さ1.5〜3mmの三角状楕円形。
オシベは5個で、花糸の下半部に粒状の毛がある。花柱は無毛で、子房には長毛が密生する。
果実は長さ8〜13mmの卵形の刮ハで、先は狭まり、褐色の扁平な毛がある。

2023/5/4
ヤマツツジは、人の手が入っていない自生の在来種です。
網引湿原で最初に見かけたのは、第1獣害防止ゲートの手前で、ポツリポツリと咲いていました。
奥池の畔から第2湿原、第3湿原の周囲でも、所々でヤマツツジが咲いていました。
ヤマツツジもモチツツジも、固まって咲いているのではなく、散発的にパラパラと見られました。


2023/5/4
網引第3湿原の中にも咲いていて、湿原の奥の方は乾燥化が進んでいるのかもしれません。
ここでも、朱赤色のヤマツツジとピンクのモチツツジが競うように咲いています。


2024/3/16
網引第3湿原の外れで見かけたヤマツツジの花芽で、昨年の夏葉が残っています。
これから暖かくなってくると、花芽が伸び出して、きれいな花を見せてくれるでしょう。


2024/4/14
網引第3湿原の外れで見かけたヤマツツジはツボミが大きくなり、間もなく開花しそうでした。
生えているのは湿原の中で、陽当たりが良いのでしょう。ツボミが見られたのはこの1株のみでした。
なお、後ろに見えている葉は、コバノミツバツツジの葉です。

サツキ(Rhododendron indicum)
<ツツジ目・ツツジ科・ツツジ亜科・ツツジ属・ツツジ亜属・ツツジ節>

2021/5/22

2021/5/25
日本には、ツツジ、サツキ、シャクナゲを分けて呼ぶ習慣があるが、学術的には全てツツジ属である。
有鱗片シャクナゲ亜属、ツツジ亜属、無鱗片シャクナゲ亜属、セイシカ亜属、エゾツツジ亜属に分類される。
日本で「シャクナゲ」と呼ばれるのは、ホンシャクナゲの仲間(無鱗片シャクナゲ節)に限られる。
ツツジとサツキは中間的なものもあって、区分けが難しいが、概ね春先に咲くのがツツジである。
その後、初夏に咲くのがサツキだが、新芽が出るのはどちらも同じで、5月頃になる。
そのため、ツツジでは花後に新芽が出て、サツキでは新芽とツボミが同時に出て、その後、開花となる。
例外もあるので、この区分方法に一致しないものもあるが、概ねこの方法であっていると思われる。
サツキは、半常緑低木で、樹高は1〜2mになり、分枝が多い。
春葉と夏葉があり、春葉の方が幅が広い。葉身は長さ2〜4cmの狭披針形である。
長さ2〜4mmの葉柄があり、葉表には光沢があり赤褐色の剛毛が、葉裏にもまばらに剛毛がある。
花期は5月〜6月で、枝先の花序を付け、1〜3個の花を咲かせる。
花柄は長さ6〜12mmで、粗く白色の剛毛がある。萼片は長さ2〜3mmの楕円状卵形で、白毛がある。
花冠は漏斗型で先が5中裂し、長さは3〜4cm、幅は3〜6cm。オシベ5個は不等長で、花冠より短い。
なお、多くの栽培品種があり、花色は白、赤、紫紅色など非常に変化が多く、花形一重や八重など多彩。
サツキは、ツツジに比べて葉や花が小さいものが多いので、盆栽などに仕立てるのに向いている。

2021/5/22,25
今シーズンのサツキですが、花数が幾分少なめなうえ、予想外の梅雨入りの雨で傷みが早いです。
そのため、上記の写真のように全体的に花数が少なく、そのため華やかさが今一つです。


2021/6/2
庭の植栽に使われるサツキはシンプルなものが多いですが、盆栽用のサツキは多彩です。
親父が一時凝っていて、数十鉢はあったと思うのですが、今は上記の鉢が残っているだけです。

ヒサカキ(Eurya japonica)
<ツツジ目・モッコク科・ヒサカキ属>

<ヒサカキ(雌花/雌株)>

<ヒサカキ(雄花/雄株)>
モッコク科ヒサカキ属の常緑低木で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
樹高は4〜8mで、樹皮は灰褐色。浅く縦裂する。
葉は互生し、長さ3〜8pの長楕円形で先が尖り、光沢があって、縁には鈍鋸歯がある。
花期は3月〜4月で、雌雄異株とされるが、両性花を付けるものもあり、明確ではない。
葉腋に花を下向きに1〜5個束生するが、雄花、雌花、両性花が混在することも多いらしい。
つぼみの内は、萼と同じ黒紫色で、開花すると花弁は淡黄白色か淡紅色になる。
雄花は、直径5mm前後で、オシベは12〜15個ある。
雌花は、直径3o前後の先の広がったカップ状で、花柱は先が3裂する。
果実は液果で、直径5mmほどの球形で、熟すと黒くなる。

2024/3/14
綾部山梅林内の通路脇には、所々で大きなヒサカキの樹がたくさんの花を付けていました。
雌雄異株とされていますが、両性花を付けるものもあり、明確ではないようです。
両性花を付けたものが無いか探してみましたが、見つけられませんでした。


シキミ・ヒサカキ・サカキについて

榊には、ホンサカキとヒサカキの2種類があり、ホンサカキは関東以西の温暖な地域に自生します。
関東以北の寒冷地では、代用品としてヒサカキが用いられ、どちらも「榊」と呼ばれてきました。
ヒサカキの由来は、大きさが小さいので「姫榊」とも、サカキではないので「非榊」とも言われています。
見た目の違いは、サカキの葉は全縁なのに対して、ヒサカキの葉には鋸歯があることです。
どちらも榊と呼ばれていて混同しやすいので、シャシャキとかシャカキといった地方名でも呼ばれる。
もう1つ、仏事に広く使われるシキミがあります。
前2者がツツジ目モッコク科の植物なのに対して、シキミはアウストロバイレヤ目マツブサ科の植物です。
葉が枝先に集まって付くので、見た目も異なります。
これらは地域によって異なることもあるようですが、概ね、下記のように使い分けられています。
シキミ→仏教(葬儀・お仏壇・お墓)
ヒサカキ→仏教・神道(地域や家庭によって色々)
サカキ→神道(葬儀・神棚・お墓)


ムラサキツユクサ(Tradescantia ohiensis)
<ツユクサ目・ツユクサ科・ムラサキツユクサ属>

ツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草で、北米原産の園芸植物。
草丈は50p前後で、茎葉は紫色を帯びた粉白緑色。
花期は4月〜8月で、花径2〜3pの紫色の三弁花が茎先に集まって咲く。
1日花で、花色は青、紫、赤紫、淡赤紫色、白と変異に富む。
オシベは6本で、花糸には軟毛が多数密生する。
この軟毛は、細胞が一列に並ぶため、原形質の流動や細胞分裂などの実験によく使われる。

2021/3/21
実家近くを散歩中、道路脇のわずかな隙間からムラサキツユクサが花を付けていました。
ツユクサというと夏のイメージがあるのですが、春から咲き始めるようです。
そうはいっても、いささかフライング気味の開花ですね。


2021/4/8
散歩の帰り道、ムラサキツユクサの咲いている所を通ると、かなり花数が増えていました。
何株か生えているのですが、隣り同士でも上記のように色味が異なっていました。
イヌホオズキ(Solanum nigrum)
<ナス目・ナス科・ナス属>

ナス科ナス属の一年草で、史前帰化植物とされている。
日本全土で見られ、世界の温帯から熱帯にかけて広く分布する。
草丈は10〜100cmで、茎が細めでよく分枝し、横に広がりやすい。
葉は互生し、葉身は長さ6〜10cmの卵形で、縁は全縁か波型の鋸歯がある。
花期は6月〜11月で、葉腋ではなく茎の側面から花茎を出して2〜5個の散形花序を付ける。
花茎は短く、小花茎が少しづつずれて付く(小花茎が1点に集まることはない)。
花冠の直径は6〜12mmで、白色の5裂した花冠の裂片は細めである。
1個のメシベを囲むように5個のオシベが取り囲む。黄色い葯は長さ2o前後で、柱頭は葯より低い。
花後、柄が下垂して直径5〜8oの果実(液果)を付ける。果実は光沢のない黒色に熟す。

よく似たものが多く、以下のように区別する。
●イヌホオズキは、花は白色〜淡紫色で基部まで切れ込まず幅広。果実に光沢がない。
 小花柄が少しづつずれて総状に付き、果実は球形、やや縦長になる。
●アメリカイヌホオズキは、花は淡紫色〜白色で、果実は光沢があってほぼ球形。
●テリミノイヌホオズキは、花は白色〜淡紫色で、果実の光沢が強く、トマトのような扁球形。
●ムラサキイヌホオズキは、花が淡紫色を帯び、茎など全体に紫色を帯びる。
●オオイヌホオズキは、花は白色〜淡紫色でやや大きく、花柱や葯が他種より長い。

2021/5/23
実家近くを散歩中、学校の塀際で大きくなったイヌホオズキを見かけました。
まだ、開花が始まって間もないのか果実はできていませんでしたが、花柄の付き方で判断しました。

ジャガイモ(Solanum tuberosum L.)
<ナス目・ナス科・ナス属>

 <男爵薯>                 <キタヒカリ>
ナス科ナス属の多年草で、南米アンデス山脈の高地が原産地と言われている。
デンプンを多く含む地下茎を食品として利用する。
日本では、北海道が最大の生産地で、長崎の生産量も多い。
草丈は50〜100pで、地上茎は直立する。葉は奇数羽状複葉。
花期は5月から7月頃で、葉腋から花茎を長く伸ばし、散形花序を出す。
花冠は筒型で先が5裂し、花色は品種によって赤、紫、白など多様である。
オシベは5個で、黄色い葯が先で集まって花柱を囲む。
稀に果実を付けることがあり、熟するとトマトのように赤くなる。果実はアルカロイドを含む。
なお、肥大した根茎(要はジャガイモ)の芽や緑化した皮には、ポテトグリコアルカロイドが含まれる。
毒性はあまり強くないが、許容量が少ない小児は注意が必要。成人も食べない方が良い。

2021/5/15
実家の裏の畑に植えたジャガイモが、すっかり大きくなって花を咲かせていました。
今年は、男爵薯(Irish Cobbler)とキタアカリ(男爵薯とツニカの交配種)を植えています。
ジャガイモの花は似たように見えますが、花から品種が分かるほどの違いがあるようです。
キタアカリは、男爵薯より淡色で、あまり反り返らずに平開に近く、花被片の横幅があります。


2021/6/11 <ジャガイモの果実>
 
2021/6/11 <ジャガイモのムカゴ?>
ジャガイモの収穫時期が近づいていたので、茎葉の状態を確認していました。
その時に見つけたのが、ジャガイモの果実です。
写真では見たことがあるのですが、実物を見るのは初めてで、トマトのような扁球形でした。
それともう1つ、葉腋に付くムカゴのようなジャガイモです。ムカゴと言って良いのでしょうかね。
普通は、地中に肥大化した地下茎(要はジャガイモ)を作るのですが、地上に出ているのです。
それも地下茎のような茎はなく、葉腋に直に付いていて、下から順に6ヶ所に付いています。
最も下の大きな1個は、脇に小さなものが1個あり、自身にも瘤状のものが1個付いていました。


<ジャガイモの果実>

<ジャガイモのムカゴ?>
後日、大きさを測っていなかったことに気が付き、ついでにカットしてみました。
最も大きな果実は、長さ20mm、幅23mmの扁球形で、中は未熟なトマトに近いようです。
ムカゴ?風のジャガイモは、長さ37mm、幅25.5mmで、中は普通のジャガイモと変わりないようです。
なお、スケールの入った写真左側のジャガイモは、小さい方が邪魔だったので取って横に置いています。
果実や芽の出た緑色のジャガイモは、たっぷりとアルカロイドを含んでいるで、念のため手洗いしました。


2022/6/11
今年は、どうしたことか、ほとんどの株でジャガイモの果実がたわわに付きました。
多いものでは、1本の花序柄に10個前後の果実が付いていました。
赤く熟したところも見たいのですが、収穫しなければならないので、茎は切ってしまいました。
さて、収穫はまあまあの出来でした。その中に面白い形のジャガイモが混ざっていました。
左側がその写真ですが、リンゴの断面のような形と、2個がつながってハート形になったものです。
右側は、昨年の堀残しから発芽したもので、中央下の小さいジャガイモが種芋となったものです。
普通は大きな種芋を切って使うので、大概は腐って種芋は残りませんが、これは綺麗に残っています。
中には右端のように、芽が出ただけのものもありますが、何倍もある立派なジャガイモが出来ていました。

ハマヒルガオ(Calystegia soldanella (L.) Roem. et Schult.)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ属>

2021/4/19                 2021/4/20
ヒルガオ科ヒルガオ属の多年草で、典型的な海浜植物である。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布している。
海外では、アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、アメリカの太平洋沿岸などに分布する。
砂の中に白色の地下茎を長く伸ばして増え、茎は砂の上を這い、何かあれば巻き付く。
葉は互生し、葉身は長さ2〜4cm、幅3〜5cmの円腎形で基部は心形。厚くて艶があり、長柄がある。
花期は5月〜6月で、花は葉腋に付き、花柄は葉柄より長く、葉の上に抜き出て咲く。
花冠は直径4〜5cmの淡紅色の漏斗型で、オシベ5個とメシベは花筒の中にある。
苞は広卵状三角形で萼に接して付き、萼を包む。果実は球形の刮ハで、種子は長さ5〜9mmで黒い。

2021/4/19,20
実家近くの川沿いを散歩中、道路脇で花を付けているハマヒルガオを見つけました。
少しフライング気味の開花ですね。そのためか、花は少々歪で、絞り模様が入ったよう。
ここは陽当たりが良くて、終日陽が当るため、他より開花が早まったのかも。
ハマヒルガオは、他でもよく見るのですが、花が咲いていたのはここだけでした。



2021/5/14
1ヶ月ほど経って、ハマヒルガオもあちらこちらで花を咲かせていました。
この河岸にハマヒルガオが多いのは、以前はこの辺りは砂州だった名残りです。

サボテン(Cactaceae Juss)
<ナデシコ目・サボテン科・カクタス亜科>

サボテン科に属する植物の総称がサボテンである。
北アメリカ、中央アメリカを中心に2000種類以上が分布する。
多くが多肉植物で、棘の部分は葉や茎が変化したものと考えられている。
サボテンの形態は多様であるが、一般的には茎は筒または球形で、葉は針状か退化している。
全てのサボテン科の植物には、刺座(しざ)またはアレオーレと呼ばれる器官を持つ。
基本的には脇芽には刺座が形成され、多くはスポット状に棘が密生する。
また、しばしば刺座は綿毛で覆われることがある。
サボテンの花弁に含まれる色素はベタイン系色素で、アントシアニン系色素を持たない。
そのため、サボテンには、青色系の花は咲かず、赤〜黄、紫色の花が咲く。

2021/3/3
実家にある小さな温室では、何種類かのサボテンが花を付けていました。
品種名を書いた名板は無くなっていて、名前が分からないのでサボテンと一括りにしています。


2021/3/29
3月も末になると、花数が増えてなかなか賑やかになってきました。果実になったものもあります。
花は地味なベージュ色ですが、果実は真っ赤で花とは対照的に目立ちます。


2021/4/1
もう1種類、サボテンの花が開花しました。花弁は地味ですが、オシベの花糸のピンクです。
ツボミが大きくなってきたものもあり、いろいろなサボテンの花が楽しめそうです。


2021/4/11
サボテンの花がかなり咲き進んできました。


2021/5/15                 2021/5/25
5/15に開花しそうだったのですが、その後、悪天候で開くことがなく、10日後にやっと開花。
最初、花弁が白かったので、白い花だと思っていましたが、淡いピンクの花でした。


2021/5/22                 2021/5/31
2021/5/22 もう1つ、ツボミを膨らませているサボテンがあります。開花はちょっと先になりそうですが。
2021/5/31 そのツボミもかなり大きく膨らんできたので、開花は近いと思われます。


2021/6/1                  2021/6/1
昨日、開花は近そうだと思い、今朝も確認した時には昨日同様のツボミでした。
昼前になって、ふと見ると黄色い大きな花を咲かせていました。
朝から良い天気でしたので、一気に咲いたようです。
この温室の他のサボテンと比べて、花は一桁以上の大きさで、直径4cmほどありました。
他のサボテンの花は何度も見ていますが、このサボテンの花は初見です。


2021/6/2
昨日開花したサボテンですが、今日は天気が悪くて、閉じたまま開きませんでした。
閉じてはいても、ツボミの頃の大きさと比べると、倍くらいの大きさです。


2019/6/26
以前撮影したまま、すっかり忘れていたサボテンの花です。
2021/5/25に開花したサボテンの花と似ていますが、別種のサボテンです。

ギムノカリキウム[新天地](Gymnocalycium saglionis)
<ナデシコ目・サボテン科・カクタス亜科・トリコケレウス連・ギムノカリキウム属>

2018/5/26           2018/5/30           2018/6/1

2018/6/1
サボテン科ギムノカリキウム属のサボテンで、約70種からなる属である。
その分布域は、アルゼンチン、ウルグアイの一部、パラグアイ、南ボリビアとブラジルの一部。
ギムノカリキウム属は大きさが4〜15cmと比較的小さいものが多い。
なお、気温が10℃以下になる場合は、温室での栽培が必要となる。
本種の和名は「新天地」で、アルゼンチン北部が原産地である。
新天地はギムノカリキウム属の中でも刺が強く大型になるサボテンで、寒暑に強く、多湿にも強い。
新天地には黒刺で大型になるタイプと、赤褐色の刺であまり大きくならないタイプがある。
黒刺タイプは、直径が30〜40cmになる大型で、花の色はピンクである。
赤褐色刺タイプは、直径が20cmほどにしかならず、縦に伸びる、花の色は白色である。
新天地は春から夏には刺がほとんど伸びずに株だけが大きく成長し、秋から冬に刺が伸びる。
花期は春で、頂部近くに鉢巻のようにツボミを多数出し、順次開花させる。

2018/5/26〜6/1
実家にある新天地が、今年もピンクの花を咲かせていました。下段左がオシベで、右がメシベです。
サボテンには自家不和合性のものが多く、本種も自家受粉はしないので結実は見られません。
小学生の事に購入した直径5cmほどの新天地ですが、50年以上経過して直径は30cm弱になりました。
同時に購入したキンシャチは、この新天地の倍近い大きさになっていますが、まだ、花を付けません。
上段中央の写真で、後ろに一部が見えている褐色のものがキンシャチです。


2021/5/22                 2021/5/31
今年も新天地がツボミを膨らませ始めました。そこそこの花数になりそうです。


2021/6/7                 2021/6/15
新天地のツボミがかなり膨らんできました。また、隠れていたツボミも顔を出しました。
まだ、ツボミの数は数個は増えると思われます。開花するのは1〜2週間先くらいになりそうです。


2021/6/17                 2021/6/19
1〜2週間先くらいと書いた矢先に、ツボミの1つがほころび始めているのに気が付きました。
その後、ぐずついた日が続いたため、半開き状態が続いています。


2021/6/20                 2021/6/25
6/20になると、他の2個のツボミもほころび始めました。
6/25では、最初に咲いた2個は咲き終わって、その他のツボミが次々と咲き続けています。

イタドリ(Fallopia japonica)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イタドリ属>

タデ科イタドリ属の多年草で、スカンポなどの別名を持つ。
北海道東部を除く日本全土、朝鮮半島から中国、台湾に分布する東アジア原産種。
世界の侵略外来種の選定種で、その旺盛な繁殖力ゆえに嫌われ者である。
草丈は1〜2mほどで、根茎を横に伸ばして増える。茎は中空で節があり、若い時に紅紫色の斑点がある。
葉は互生し、長さ10〜15cmほどの広卵形で、基部は水平になり、先は急に尖る。
花期は7月〜10月で、葉腋から枝を出し、その先に多数の小花を付ける。
雌雄異株で、花被は白色から紅色で5裂する。
雄花にはオシベが8個あり、メシベは極小さい。雌花には3個の花柱があり、オシベは極小さい。
花後、雌花の外側の3個の花被片が翼状に大きくなり、痩果を包む。秋に熟すと風によって散布される。

2024/4/12
網引湿原の駐車場後ろの法面で見かけたイタドリの若芽で、山菜としては食べ頃かな。
子供の頃は、これを折り取って、皮をむいて生でかじっていたように思います。
ただ、酸味の正体はシュウ酸ですので、生でたくさん食べるのはやめた方が良さそうです。
中央の写真ですが、撮る時は逆光だったので気付きませんでしたが、毛虫が付いています。
種類までは分かりませんが、ドクガの仲間の可能性もあるので、これにも要注意です。

アレチギシギシ(Rumex conglomeratus)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ギシギシ属>


タデ科ギシギシ属の多年草で、ヨーロッパ原産で帰化植物。
日本では、1905年(明治38年)に横浜で発見されて以降、関東を中心に全国に広がっている。
草丈は40〜120cmになり、茎はしばしば紫紅色を帯びて直立して細く、見た目は弱々しく見える。
根生葉は花期にはなく、茎葉は互生し、長さ10〜30cmの長楕円形〜披針形で、長い柄がある。
縁は細かく波打ち、基部は円形〜浅い心形で、先は鋭頭。上部の葉ほど小さくなり、苞葉となる。
花期は6月〜7月で、花茎は分枝して、節間が長く、節毎に多くの花を輪生する。雌雄同株。
花は、外花被3個、内花被3個、オシベ6個、メシベ1個からなる。なお、花柄(果柄)には節がある。
内花被片は長さ2〜3mmの長卵形で、花後、痩果を包み込む。
その内花被片は全縁で、中央の瘤状突起の大きさは同じで、赤みを帯びることが多い。

2021/5/14
実家近くの川沿いを散歩中、細くて貧相な感じのギシギシの仲間を見かけました。
おそらくアレチギシギシであろうと思って、後で確認すると、やはりそうでした。
茎が細くて節間が長く、内花被片が全縁で、中央の瘤状突起が赤味を帯びているのが理由です。


2021/6/5
川沿いで見かけたアレチギシギシですが、瘤状突起の色が赤色から赤紫色に変わっていました。
茎も一段と赤味が増し、暗赤紫色の筋が良く目立つようになっていました。

ギシギシ(Rumex japonicus)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ギシギシ属>


タデ科ギシギシ属の多年草で、広く日本に分布している。
スイバと異なり、同じ株に両性花と雌花をつける。茎や花が赤味を帯びない点でスイバと区別できる。
茎の途中の葉の付き方や、痩果を包む萼片に瘤状のふくらみがあるかどうかでも区別できる。
草丈は40〜100cmほどになり、茎は直立して多数分枝する。
下部の葉は、長楕円形で長い柄があり、縁は波打っている。
茎葉は上部ほど小さくなり、無柄になる。葉先は丸く、基部はやや心形。
花期は5月〜6月で、花は細長い総状花序に付き、多段に密に輪生する。雌雄同株。
両性花と雌花があり、花被片(萼)6個、オシベ6個、メシベ1個からなる。
果実を3個の内花被が包む。内花被は心形で、縁に不規則な鋸歯があり、中央に長卵形のこぶがある。

2021/5/10
実家近くの川沿いを散歩中に見かけたギシギシですが、まだ、開花していませんでした。

ナガバギシギシ(Rumex crispus)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ギシギシ属>


タデ科ギシギシ属の多年草で、ヨーロッパ原産で帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州と広く全国に分布している。
草丈は50〜150cmになり、茎は直立して、多数に分枝する。
下部の葉は、長い柄がある長楕円形で、縁は細かく波打って、基部は円形またはくさび形。
茎葉は、上部に行くほど葉は小さく、葉柄は短くなる。先は丸く、基部は円形か楔型。
花期は5月〜7月で、長い総状花序に多段に密に輪生する。雌雄同株、両性花と雌花がある。
花は、外花被3個、内花被3個、オシベ6個、メシベ1個からなる。
メシベには3個の花柱があり、柱頭は細かく裂ける。内花被片は大きくなり、痩果を包み込む。
その内花被片は広卵形で全縁(下部に歯牙があることも)。瘤状の突起があるが、内1個が大きい。
果柄には節がある。また、花穂は、後に紅く染まることが多い。

2021/5/14
実家近くの川沿いを散歩中に見かけたギシギシの仲間で、既に花は咲き終わっていました。
内花被片が全縁なのでギシギシやエゾノギシギシではないと思われます。
茎はしっかりして太く、節間が短いので、アレチギシギシでもないようです。
消去法になりますが、内花被片が赤味を帯び始めている点も含めて、ナガバギシギシとしました。

 
2021/5/24 <両性花>         2021/5/24 <雌花>
左は、両性花というより雄花っぽいですが、6個のオシベが見えています。
右は、中央左下に見える両性花の右や右下、上の方で、白いモジャモジャしたものが雌花です。


2021/5/23         2021/5/22         2021/5/22
川沿いで見かけたナガバギシギシの果実です。
細身で赤味を帯びたもの、同じく少し細身で緑のもの、横幅の方が長いものと個性があります。


2021/6/5         2021/6/5         2021/6/5
しばらく経ったナガバギシギシですが、成熟が進んでいるようです。
緑色の未熟なものから、少し色づき始めたもの、既に熟して茶色く枯れたものまでありました。

イヌコモチナデシコ(Petrorhagia dubia)
<ナデシコ目・ナデシコ科・コモチナデシコ属>

2021/5/11
 
2021/5/11              2021/5/11

2021/5/12         2021/5/19         2021/5/19
ナデシコ科コモチナデシコ属の越年草で、ヨーロッパが原産地の帰化植物。
誤同定されていたミチバタナデシコが、イヌコモチナデシコと分類された。
日本では、本州、四国、九州に分布しているが、一部の府県で確認されているのみ。
本州では東北の一部、千葉から三重の太平洋岸、近畿、中国の一部で、四国、九州は1県のみ。
草丈は20〜50cmで、基部で分枝して斜上し、先は直立して、上部でも分枝する。
茎には、下部を除いて腺毛が密生している。
葉は対生して、長さ3〜5cmの線形で、基部が合着して鞘状になる。
花期は4月〜5月で、茎頂に花序を単生し、膜質の総苞片が重なり合って花序を包み込む。
花は直径8〜12mmの淡紅色の5弁花で、花弁の中央が凹み、中央に濃赤紫色の筋模様がある。
萼は筒型で先が5裂し、オシベは10個で葯は紫色。2個の花柱は片側に細毛があり、捻じれている。
果実は熟すと4裂して、種子を出す。種子は1.0〜1.4mmの洋ナシ形で円錐状の隆起がある。
見た目がそっくりなミチバタナデシコとコモチナデシコがあり、以下の点で識別する。

・茎に腺毛がびっしりと下向きに密生しているのがイヌコモチナデシコ
・茎に毛が無いのは、コモチナデシコと無毛型のミチバタナデシコ
・種子が洋ナシ型で、表面に円錐状隆起があるのがイヌコモチナデシコ
・種子が盾形で、瘤状の隆起があるのがミチバタナデシコ
・種子が盾形で、網目状の隆起があるのがコモチナデシコ
・葉鞘の長さが幅とほぼ同じなのがコモチナデシコ
・葉鞘の長さが幅の1.5〜2倍になるのがミチバタナデシコ
・葉鞘の長さが幅の2〜3倍になるのがイヌコモチナデシコ

2021/5/11,12,19
実家近くの農道を歩いているとき、歩道脇に咲くコモチナデシコ属の花を見つけました。
実家近くで見かけたものと同じだと思って写真を撮り、種が取れそうな花序を1つ採取して帰りました。
翌日、種を取り出して写真撮影したのが、下段左端の写真です。この時点では洋ナシ型と見ていませんでした。
その後、下記のドタバタから、この種子が洋ナシ形のイヌコモチナデシコの種子と判明しました。
5/19に再度出向いて、茎に腺毛があるのか否か、葉鞘の長さはどうかを確認しました。
結果は上記の写真の通りで、茎にはびっしりと腺毛が生えており、葉鞘の長さは幅の約2倍ありました。


2021/5/15
前日に実家近くで採取した種子の写真を撮り、5/11に採取した種と混ぜて撮ったのが上記の写真です。
このとき、初めて洋ナシ型の種子が混じっていることに気が付きました。大きさも一回り小さいです。
改めて、自宅近くで採取した2つの花序から種子を撮り、再確認したところ、盾形の種子と判明。
ということは、最初に採取した種子がイヌコモチナデシコであることが分かりました。
このように同時に見れば、両者の形や大きさに違いがあるのは一目瞭然です。
言い訳でしかありませんが、初めて見る場合、個々に見てその違いに気づくのは難しいです。

ミチバタナデシコ(Petrorhagia nanteuilii)
<ナデシコ目・ナデシコ科・コモチナデシコ属>

2021/4/14                 2021/5/14

2021/4/14         2021/4/16         2021/4/20

2021/5/14                 2021/5/14
ナデシコ科コモチナデシコ属の越年草で、ヨーロッパが原産地の帰化植物。
イヌコモチナデシコと誤同定されていたことが分かり、新しい和名が与えられた。
分類されて間がないので、国内での分布の詳細は不明。
草丈は20〜50cmで、基部で分枝して斜上し、先は直立して、上部でも分枝する。
茎は無毛型と有毛型(短い毛が下向きに生える)があるが、どちらにも腺毛はない。
葉は対生して、長さ3〜5cmの線形で、基部が合着して鞘状になる。
花期は4月〜5月で、茎頂に花序を単生し、膜質の総苞片が重なり合って花序を包み込む。
花は直径8〜12mmの淡紅色の5弁花で、花弁の中央が凹み、中央に濃赤紫色の筋模様がある。
萼は筒型で先が5裂し、オシベは10個で葯は紫色。2個の花柱は片側に細毛があり、捻じれている。
果実は熟すと4裂して、種子を出す。種子は1.3〜1.9mmの盾形で低い瘤状の隆起がある。
見た目がそっくりなイヌコモチナデシコとコモチナデシコがあり、以下の点で識別する。

・茎に腺毛がびっしりと下向きに密生しているのがイヌコモチナデシコ
・茎に毛が無いのは、コモチナデシコと無毛型のミチバタナデシコ
・種子が洋ナシ型で、表面に円錐状隆起があるのがイヌコモチナデシコ
・種子が盾形で、瘤状の隆起があるのがミチバタナデシコ
・種子が盾形で、網目状の隆起があるのがコモチナデシコ
・葉鞘の長さが幅とほぼ同じなのがコモチナデシコ
・葉鞘の長さが幅の1.5〜2倍になるのがミチバタナデシコ
・葉鞘の長さが幅の2〜3倍になるのがイヌコモチナデシコ

2021/4/14,5/14
2021/4/14 実家近くを散歩中、階段下の隙間から見慣れない草本が数株花茎を伸ばしていました。
この時点では、花茎の先にツボミらしきものが付いているだけでした(未開花)。
調べた結果、コモチナデシコ属らしいことは分かりましたが、種子を見ないと同定はできない模様。
2021/5/14 1ヶ月経って、花序から複数の花が咲き、種子もできていました。
中下段は花序の様子で、最初に見かけたときは花はなく、4/16に半開きの花を確認しました。
その後、天気が悪かったのですが、4/20になって回復したので見に行くと、前よりも開いていました。
5/14になると、複数の花が咲き、種子もできて、花序の形はコモチナデシコ属らしい形になりました。
※ 下段右の写真で花被片に付いている赤いものは、カベアナタカラダニだと思われます。


2021/5/12           2021/5/15           2021/5/14
<イヌコモチナデシコ>                       <ミチバタナデシコ>
左端は、5/12に農道脇で採取したイヌコモチナデシコの種子で、この時点では洋ナシ型とは思いませんでした。
右端は、5/14に実家近くで採取したミチバタナデシコの種子で、この時点でも左端と同じ物だと思っていました。
5/15になって、両方を何気なしに混ぜて、スケールと一緒に撮ったのが中央の写真です。
明らかに種子の大きさが異なり、形状も盾形というより洋ナシ形に近いことが分かります。
このとき、初めて左端の種子が洋ナシ型のイヌコモチナデシコの種子であることに気が付きました。
慌てて、昨日採取していた花序から種子を取り出して再確認し、イヌコモチナデシコでないことを確認しました。
ということで、農道で採取したものがイヌコモチナデシコであることの確認は、こちらに記載しました。


2021/5/16         2021/5/16         2021/5/16
対象が絞られたことから、最終確認を行いました。
その結果、種子は盾形であること、長さが1.4mm前後であることを確認しました。
なお、種子の表面は網目状ではなく瘤状に見えるのですが、不鮮明なので判断材料からは除外しました。
茎には毛があり、葉鞘の長さが幅の1.5倍程度あるので、有毛型のミチバタナデシコと判断しました。

ノミノツヅリ(Arenaria serpyllifolia)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ノミノツヅリ属>

ナデシコ科ノミノツヅリ属の越年草で、ユーラシア原産。
見た目はコハコベに似るが、花弁が2つに割れない。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
ヨーロッパからアジア、アメリカ、アフリカにも分布する。
草丈は10〜30cmで、茎はよく分枝して枝が多い。
葉は対生し、長さが3〜7oの卵形で先が尖り、全縁で無柄。
花期は3月〜6月で、花の直径は5mm前後。花弁は卵形で白く5個。先は切れこまない。
オシベは10個あり、メシベの花柱は3個ある。
萼片は5個で、長さ3oほど。花弁より多少長めで、細毛がある。

2021/3/10
実家近くを散歩中、歩道脇の植栽の陰に隠れるようにしてノミノツヅリが咲いていました。
花といっても、直径5mmに満たない小さな花なので、注意していないと見落としてしまいます。
今まで見たノミノツヅリと違って、萼片がかなり長いのが気になります。


2021/4/6
実家近くの川沿いを散歩中、道路脇でノミノツヅリが咲いているのを見つけました。
以前見かけたものは、萼片がかなり長めだと思っていたのですが、この花は見慣れた長さです。
比較すると、3/10に見た花では、萼片の長さが倍以上あることが分かります。

イヌコハコベ(Stellaria pallida)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ハコベ属>

ナデシコ科ハコベ属の越年草で、ヨーロッパ南西部原産の帰化植物。
見た目はコハコベに似て、茎も紫色を帯びるが、花弁ない点が異なる。
また、萼片の基部に紫色の斑点があることが多く、この点でも区別できる。
草丈は10〜20cmで、長さ5〜30mmの卵形の葉は対生し、葉柄の基部が紫色を帯びることが多い。
花期は3月〜9月で、花は直径2〜3o。苞葉は長さ2〜10mmの披針形。
萼も長さ2〜3mmで、毛が生え(無いものもある)、基部に紫色の斑点があることが多い。
花には花弁がなく(稀にあるものもある)、萼片の縁が薄い鱗片状になって花弁のように見える。
オシベは3〜5個あるが、稀にない物もある。自家受粉し、閉鎖花も付ける。
果実は刮ハで、長さは2〜5mm。熟すと先が6裂する。

2021/3/20
実家近くを散歩中、道路脇の側溝の角にイヌハコベが咲いていました。
といっても、見た限りではすべてが閉鎖花のようで、開いているものは見当たりませんでした。
ただ、閉鎖花の少し開いている所から、6裂した果皮が見えるものも多かったです。
この株を見つけて以降、結構目に付くようになり、コハコベと混生しているものも多かったです。


イヌコハコベの花

 
  <萼片の開いた花>      <果皮片が開いた花>
   .
    <閉鎖花>      <種子が見える閉鎖花>      <種子が取れた閉鎖花>
イヌハコベの花には、上段のように開花する花と、下段のような閉鎖花があります。
閉鎖花は、下段中央のように果皮が裂けても開くことはなく、そのまま種子が取れます。
その結果、下段右端のような状態になるのですが、開花したものでは上段右側のようになります。
そのため、種子が取れてしまうと果皮片が花弁のように見えますが、数を数えると6個あります。


コハコベ(Stellaria media)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ハコベ属>



ナデシコ科ハコベ属の越年草で、日本では全国的にみられる。
全世界に帰化植物として定着しており、北米やヨーロッパでは極普通の庭草である。
ミドリハコベに似ているが、いくぶん小型で、茎が暗紫色を帯びる所が異なる。
草丈は10〜20cmで、茎は下部から多数分枝して、下部は地を這い、上部は斜上する。
葉は長さ1〜2cmの卵形で対生し、縁は全縁。下部の葉には長い葉柄があるが、上部では無柄になる。
花期は3月〜10月と長く、花は集散花序に付き、花柄がある。
萼片は5個で、鈍頭で楕円形。長さは3〜4oあり、縁は薄膜質。
花弁は萼片より若干短めの白色で、5個あり、2深裂する。そのため、花弁が10枚に見える。
メシベの花柱の数は3個で、オシベの数は3〜7個ある。

2021/3/6
実家近くの河岸を散歩中、ガードレールの際に群生しているハコベを見かけました。
茎が紫褐色を帯び、2深裂した5花弁の花で、花柱が3裂しているのでコハコベとしました。


2024/3/14
綾部山梅林入口から少し上った辺りで、通路脇の所々でコハコベが花を付けていました。
他のハコベ属も見られるかと探してみたのですが、コハコベ以外は見られませんでした。


ハコベ属、ツメクサ属、ノミノツヅリ属、ミミナグサ属の花の比較

コハコベ
ミドリハコベ
ノミノフスマ
ウシハコベ

ハコベ属

ハコベ属

ハコベ属

ハコベ属
イヌハコベ
ツメクサ
ノミノツヅリ
オランダミミナグサ

ハコベ属

ツメクサ属

ノミノツヅリ属

ミミナグサ属

よく似た花を付けるナデシコ科の面々です。
この中で、イヌハコベのみ例外で、基本的に花弁がありません。
開いたイヌハコベで、花弁のように見えているのは、6裂した果皮です(種子は飛んでしまっています)。
閉鎖花では、このように開かないのですが、開いているものではこのような形になります。


ノミノフスマ(Stellaria uliginosa var. undulata)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ハコベ属>



ナデシコ科ハコベ属の越年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄と全国的にみられる。
海外では、朝鮮半島から中国、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、ベトナムに分布する。
草丈は5〜30cmで、茎は株立ちして細く、無毛で紫色を帯びる。
葉は対生し、長さ10〜15mmの長楕円形で、無柄で全縁。粉白色を帯びる。
花期は4月〜10月で、茎先の集散花序に数個の白色の花を付ける。
花は直径5〜12mmで、5個の花弁は2深裂して、花弁が10個に見える。
オシベは5〜8個で、メシベの花柱は3〜5個である。
萼片は縁が狭い膜状になり、先が鋭く尖る。
果実は萼とほぼ同長で、熟すと先が6裂して開く。

2021/3/10
実家近くの農道を散歩中、田んぼの縁や畔などでノミノフスマが花を付けていました。
最初に見たとき、コハコベかミドリハコベだと思ったのですが、葉がツルっとして異なります。
後で調べてみるとノミノフスマと分かりました。
写真を確認すると、メシベの花柱の数やオシベの数はバラバラでした。
下段左の花は、花柱は3個でオシベは5個。下段右の半分隠れた花は花柱は4個で、オシベは5個。
下段右の右下の大きな花では、花柱は3個ですが、オシベは8個確認できるといった具合です。

オランダミミナグサ(Cerastium glomeratum)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ミミナグサ属>



ナデシコ科ミミナグサ属の2年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国に分布し、都市部では在来種と入れ替わってしまった。
日本在来種のミミナグサ(茎が暗紫色を帯びる)は、平地ではほとんど見られない。
世界的には、南北アメリカ、アジア、オセアニア、北アフリカと広範囲に分布している。
草丈は10〜60cmで、茎は直立か斜上し、全体に毛が多く、茎の上部には腺毛が多い。
葉は対生し、両面に毛が密生する。下部の葉はへら型であるが、上部では楕円形で無柄になる。
花期は4月〜5月で、枝先に集散花序を付け、白い小花を密生する。
花弁は5個で、先が2浅裂する。萼片は花弁より若干短く、腺毛が密生して粘る。
オシベは10個で、メシベは1個。その花柱は5個である。
また、本種の花柄は萼片と同長かまたは短く、ミミナグサは萼片より長い点で区別できる。

2021/3/6
実家近くを散歩した帰り道、道路脇の空き地の角で、オランダミミナグサを見つけました。
まだ、開花して間もないようで、1つだけ枝先に花序を付け、3個の花が開いていました。


2021/3/10
実家近くの農道を散歩中、田んぼの縁や畔などでオランダミミナグサが花を付けていました。
実家近くのものより開花は進んでいるようで、密生した枝先にたくさんの花序が付いていました。

シロバナマンテマ(Silene gallica L. var. gallica)
<ナデシコ目・ナデシコ科・マンテマ属>



ナデシコ科マンテマ属の1年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。
日本には、江戸時代末期に移入され、逸出したものが野生化したとされている。
なお、マンテマはこのシロバナマンテマの変種とされ、イタリーマンテマも同様である。
草丈は10〜40cmで、茎はよく分枝し、下部はやや地を這う。
葉や萼筒、茎など全体に長毛と腺毛が多数あり、触ると粘る。
葉は対生し、長さ2〜4cmの楕円形で、茎葉は上部に行くにしたがって小さくなる。
根出葉や下部の茎葉は粗い毛が目立ち、先端が丸いへら形で、縁は全縁でやや波打つ。
茎葉は上部に行くにしたがって先が尖り、楕円形〜広線形になる。
花期は4月〜6月で、花は茎先に一方向に偏って総状に付き、花柄は長さ1〜4mm。
萼筒は長さ8〜10mmの狭卵形で10脈があり、脈上に開出する長毛と短い腺毛がある。
花冠は直径7〜10mmの5弁花で、花色は白〜淡紅色と変異があり、1つの花の中でも混じる。
基部には披針形の付属小鱗片が2個あり、花弁の先にV字型の凹みが入ることもある。
オシベは10個、メシベは1個あり、どちらも花冠からは突き出ない。
果実は刮ハで、花後に萼筒が卵形に膨らみ、萼筒に包まれたまま熟す。
マンテマは、花弁の幅がシロバナマンテマより広く、中央部が紅色で、縁は白色になる。
同じく変種のイタリーマンテマは、花弁が紅色で濃色の脈があり、全体に無毛なのが特徴。

2021/5/11
農道を歩いているとき、道路脇でシロバナマンテマを見つけました。
その名前に相応しい真っ白な花は初めて見ました。隣りは極淡いピンク色です。
自宅近くでも見かけましたが、白と淡紅色が不規則に入り混じったものばかりでした。


2021/5/15
実家近くの川沿いを散歩中、同を脇で見かけたシロバナマンテマです。
名前とは裏腹に、きれいな淡紅色一色のシロバナマンテマがちょっとした群落になっていました。


2021/5/22
川沿いで、土手の上で見かけたのは上記の淡紅色の花でしたが、下で見たのは白い花でした。
群生してはいませんでしたが、点々と土手沿いに花を付けていました。


2022/4/29
実家近くの中央分離帯で、シロバナマンテマが点々と咲いて、群生していました。
川沿いなど、あちらこちらで見かけますので、かなりの数が定着しているようです。




2023/5/11
久しぶりに実家近くを散歩したのですが、河川改修工事で法面などに生えていた野草はほぼ全滅。
津波対策などで致し方ないのでしょうが、情緒も何もなくなってしまいましたね。
対岸に渡っての帰り道、改修で防草シートが張られていた所で、シロバナマンテマが咲いていました。
わずかな隙間から伸び出していたのですが、さすが、雑草と言われるだけにしぶといですね。

マンテマ(Silene gallica L. var. quinquevulnera)
<ナデシコ目・ナデシコ科・マンテマ属>

ナデシコ科マンテマ属の1年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布している。
日本には、江戸時代末期に移入され、逸出したものが野生化したとされている。
なお、マンテマはシロバナマンテマの変種とされ、花色以外の差異はない。
葉や萼筒、茎など全体に長毛と腺毛が多数あり、触ると粘る。
葉は対生し、長さ2〜4cmの楕円形で、茎葉は上部に行くにしたがって小さくなる。
根出葉や下部の茎葉は粗い毛が目立ち、先端が丸いへら形で、縁は全縁でやや波打つ。
茎葉は上部に行くにしたがって先が尖り、楕円形〜広線形になる。
花期は4月〜6月で、花は茎先に一方向に偏って総状に付き、花柄は長さ1〜4mm。
萼筒は長さ8〜10mmの狭卵形で10脈があり、脈上に開出する長毛と短い腺毛がある。
花冠は直径7〜10mmの5弁花で、花色は中央部が紅色で縁が白色である。
基部には披針形の付属小鱗片が2個あり、花弁はほぼ全縁で、幅はシロバナマンテマより広い。
オシベは10個、メシベは1個あり、どちらも花冠からは突き出ない。
果実は刮ハで、花後に萼筒が卵形に膨らみ、萼筒に包まれたまま熟す。

2021/5/11
農道を歩いているとき、道路脇で見かけたシロバナマンテマの側で咲いていたマンテマ?です。
ただ、中央の色が紅紫色に近く、色味が異なるのと花弁の幅が狭いのが気になります。
ただ、1輪だけではなく、周りの花も全て同じだったので、マンテマとしました。
が、シロバナマンテマの色変わりの1パターンの可能性もあります。

マツバギク(Lampranthus spectabilis)
<ナデシコ目・ハマミズナ科・Ruschioideae亜科・ルスキア連・マツバギク属>

ハマミズナ科マツバギク属の多年草で、南アフリカ原産の多肉植物。
乾燥に強く、茎は木質化し、根本でよく分枝して地上を横に這い、先端が立ち上がる。
草丈は10〜30cmになり、茎には節があって葉を対生する。
葉は多肉質で、緩やかな3稜がある短い線形で、柔らかいが表面はザラザラしている。
花期は5月〜10月と長く、葉腋から花柄を単生し、直径50mm前後の淡紅紫色の花を付ける。
花弁は細長い線形で金属光沢があり、50個前後が並んだ様が菊の花に似ているのが和名の由来。
花は、朝に開いて、夕方には閉じるが、雨や曇りの日には開かない。

2022/5/3
ゴルフ練習場近くの道路際で、ポツリと1輪だけ咲いているマツバギクを見かけました。
街路樹の近くなので、以前、花壇?に植栽されていたものだと思われます。
今は雑草が生い茂って見る影もありませんが、道路際に押しやられながらも花を付けていたようです。
かなり大きめの目立つ色の花なので、雑草の中では一段と目立ちます。

トウカイコモウセンゴケ(Drosera tokaiensis subsp. tokaiensis)
<ナデシコ目・モウセンゴケ科・モウセンゴケ属>

モウセンゴケ科モウセンゴケ属に分類される多年草で、日本固有種。
モウセンゴケとコモウセンゴケの中間的な形質をしており、交配由来の独立種。
国内では、本州の北陸、東海〜中国地方と四国が知られており、九州は未精査。
草丈は10〜20cmで、茎はごく短く、葉は根出状に出てロゼットを形成する。
葉はスプーン形〜へら形で、葉柄との境界はあまりはっきりしない。
葉の表面には全体に赤色の長い腺毛があるが、基部の葉柄状部には無い。
モウセンゴケは葉身と葉柄がはっきり区別でき、コモウセンゴケは区別がほとんどない。
本種はその中間的で、葉柄の短いものもあるが、多少なりとも区別できる。
花期は6月〜8月で、花茎を伸ばし、先にサソリ型花序を付ける。
花が咲き進むにつれて花序は真っ直ぐに伸びていく。
花は直径8〜10mmの鮮やかなピンク色で、コモウセンゴケより一回り大きい。
萼片は狭卵形〜卵形で鈍頭。
生育環境で、モウセンゴケは常に水に浸かっている場所を好み、
コモウセンゴケは比較的乾燥している場所を好む。
トウカイコモウセンゴケはその中間で、やや水分量の多い場所を好むとされている。
これら3種の染色体数が異なり、モウセンゴケは2n=20の2倍体、
コモウセンゴケは2n=40の4倍体、トウカイコモウセンゴケは2n=60の6倍体であった。

2023/5/18
第2湿原に向かう途中、奥池の畔で赤っぽい葉のモウセンゴケに気が付きました。
葉の基部近くまで赤色の長い腺毛が付き、葉身と葉柄の境界がはっきりしていません。
この点から、昨年は見ることが出来なかったトウカイコモウセンゴケだと分かりました。
見づらいのですが、花茎が立ち上がり始めていて、開花もそう遠くなさそうです。


2023/5/18
第2湿原の奥の方で、トウカイコモウセンゴケの花らしきものを教えていただきました。
手持ちのズームを300mmにして撮って拡大すると、たしかにトウカイコモウセンゴケの花と分かりました。
昨年は、この辺りで見られたのは白い花のモウセンゴケばかりだったので、初見となります。
葉が見えないかと周り込んで横から撮りましたが、草に隠れて確認はできませんでした。
ちなみに、上記写真で横や手前に見えている柄の長い葉はモウセンゴケだと思います。



2023/5/18
第2湿原を出て奥池にくると、また、トウカイコモウセンゴケの花を見つけたと教えていただきました。
後で気が付いたのですが、花の咲いたトウカイコモウセンゴケの手前に緑色の個体が見えていました。
下段左がその写真ですが、葉も緑色ですが、赤い腺毛も緑色なので、葉全体が緑色に見えます。
日影で育つとこのような緑色になるそうで、撮影のために枯葉などを除いたので、見えるようになったようです。
下段右は、直ぐ近くで群生していたものですが、花茎がかなり伸びていて、もうすぐ咲きそうです。
実は、ここから数m先に、来るときに見つけたトウカイコモウセンゴケがあります。
最初に見つけたとき、他のものも似たり寄ったりだろうと、あまり、注意して見ていませんでした。
その時に花が咲いていたかどうか分かりませんが、思い込みは良くないですね。要反省。


2024/4/14
昨年見かけた網引湿原奥池の遊歩道脇で、トウカイコモウセンゴケが新葉を展開していました。
まだ、直径が2cmほどのかわいらしいサイズですが、食虫植物の体をなしています。

モウセンゴケ(Drosera rotundifolia L.)
<ナデシコ目・モウセンゴケ科・モウセンゴケ属>

モウセンゴケ科モウセンゴケ属に分類される多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州の湿地帯に、海外では北半球の高山、寒地に広く分布する。
北方ではナガバノモウセンゴケと共生し、その雑種であるサジバモウセンゴケを作る。
東海地方に分布するトウカイコモウセンゴケは、本種とコモウセンゴケとの雑種とされる。
草丈は10〜30cmで、茎は分枝せず、短い。葉はロゼット状に付き、葉身が立ち上がる。
葉身は黄緑色〜赤色で、長さ3〜10mm、幅5〜20oの円形〜腎形で、葉柄は1〜7cm。
葉身の表面には、多数の赤い腺毛があり、その先から甘い香りのする粘液を出し、虫を捉える。
葉柄の基部には、5〜7裂する長さが7mm前後の托葉がある。
花期は6月〜8月で、茎先にサソリ型花序(ぐるっと巻いた花序)を出し、巻きの外側に花が付く。
花茎は、花が咲き進むにつれて真っ直ぐに立ち上がり、高さは6〜30cmになる。
花は白い5弁花で、花弁は長さ5o前後、花の直径は8〜10mmである。
オシベは5個、メシベは3個で、メシベは基部から2裂する。萼は5深裂し、裂片は長楕円形。
刮ハは長さ4〜5mmの長楕円形で、種子は紡錘形の種皮に包まれ、長さ1.3mmで茶褐色。

2023/5/18
昨年、たくさんのモウセンゴケを見かけた所には、今年もたくさんの葉が見られます。
花茎も伸び始めているので、咲き出すのもそう遠くはなさそうです。


2022/6/18
昨年、第2湿原の木道脇で見られたモウセンゴケの群落で、ハッチョウトンボがよく見られます。


モウセンゴケとトウカイコモウセンゴケの花と葉

   .
   .
   <モウセンゴケ>           <トウカイコモウセンゴケ>
  モウセンゴケの花が十分に開き切っていないのですが、基本的な形は変わりません。
トウカイコモウセンゴケの花の方が一回り大きいとの解説もありますが、大差ないものと思います。
網引湿原での両者の葉の形状はかなり異なりますので、ここでの識別は難しくないと思います。
葉身と葉柄が明瞭に分かれているのがモウセンゴケで、葉柄に腺毛はありません。
トウカイコモウセンゴケは葉身と葉柄の境界が曖昧で、腺毛は基部には無いがその先にはあります。










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