ホーム相模原 ブラブラ録>神奈川県立相模原公園・相模原市立麻溝公園 夏の野草


神奈川県立相模原公園・相模原市立麻溝公園 夏の野草



神奈川県立相模原公園、相模原市立麻溝公園の四季を彩る植栽や野草を季節毎にまとめたものです。

< トピック >
今回、下記の果実の写真を追加しました。
ネムノキ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
キジカクシ目
アヤメ科(ハナショウブ)
キントラノオ目
オトギリソウ科(タイリンキンシバイ)
クスノキ目
ロウバイ科(ナツロウバイ)
ツツジ目
ツバキ科(ナツツバキ)
マツムシソウ目
スイカズラ科(スイカズラ)
マメ目
マメ科(ネムノキ、ミヤコグサ)
ミズキ目
アジサイ科(アジサイ)
四季の野草
和名インデックス


ハナショウブ(Iris ensata var. ensata)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>
   
<佐野の渡>            <鶴鵲楼>             <大紫> .
アヤメ科アヤメ属の多年草で、ノハナショウブ(Iris ensata var. spontanea)の園芸種である。
アヤメ類の総称としてハナショウブをアヤメと呼ぶことも多い。
花色は、白、桃、紫、青、黄など多彩で、絞りや覆輪などとの組み合わせで無数の品種がある。
国内のものは概ね、江戸系、伊勢系、肥後系、長井系(長井古種)の4系統に分けられる。
アメリカなど海外でも育種が進んでいて、外国系の品種も出回っている。

<江戸系> 旗本松平定朝(菖翁)は60年間に300品種近くを作出し、「花菖培養録」を残した。
 ハナショウブ栽培は、菖翁以前と以後に区切られ、江戸で完成された品種群が日本の品種群の基礎である。
<伊勢系> 三重県松阪市を中心に鉢植えの室内鑑賞向きに栽培されてきた品種群である。
 伊勢松阪の紀州藩士吉井定五郎により独自に品種改良され、昭和27年に三重県指定天然記念物となった。
<肥後系> 熊本県を中心に鉢植えの室内鑑賞向きに栽培されてきた品種群である。
 肥後熊本藩主細川斉護が、藩士を菖翁に弟子入りさせ、門外不出を条件に譲り受けたもの。
 現在も門外不出であるが、大正時代に外部に流出してしまい、現在では各地で見られる。
<長井系(長井古種)> 山形県長井市で栽培されてきた、上記の三系統いずれにも属さない品種群である。
 江戸後期からの品種改良の影響を受けていない、江戸中期以前の原種に近いものとされている。
 現在、34品種が確認され、そのうち13品種は長井市指定天然記念物である。

2017/6/2
神奈川県立相模原公園の水無月園には、花菖蒲田があり、多くのハナショウブが咲き乱れます。
ここで見られるハナショウブの品種に関しては、こちらをご覧ください。

タイリンキンシバイ(Hypericum patulum cv. Hidcote)
<キントラノオ目・オトギリソウ科・オトギリソウ属>

オトギリソウ科オトギリソウ属の半落葉低木で、キンシバイの園芸品種。
樹高は60〜100cmほどで、葉はキンシバイより大きく、長さ4〜8cmの狭楕円形で、全縁。
また、葉の付き方もキンシバイが2列対生なのに対し、本種は十字対生になる。
花期は5月〜7月で、キンシバイに良く似ているが、花が直径8pほどと大きく、花弁の黄色みが強い。
また、本種の花は平開するが、キンシバイはそこまで大きく開かない。

2008/6/7
相模原市立麻溝公園の樹林広場の近くで、タイリンキンシバイが大きな花を咲かせていました。
オトギリソウ属の花はよく見かけますが、花数が多いビヨウヤナギが多い気がします。


オトギリソウ属の比較

キンシバイ タイリンキンシバイ ビヨウヤナギ

花は直径5cm程
花弁は丸みがある
あまり大きく開かないので重なる

花は直径8cm程
花弁は丸みがある
大きく平開するため重ならない

花は直径8cm程
花弁は細長いくさび型
大きく平開するため重ならない

花弁とオシベの長さは大差ない
多数のオシベは5群に分かれている

花弁が大きい分オシベは短く見える
多数のオシベは5群に分かれている

オシベは長くてカールしている
多数のオシベは5群に分かれている

葉は、2列対生

葉は、十字対生

葉は、十字対生

ナツロウバイ(Sinocalycanthus chinensis)
<クスノキ目・ロウバイ科・ナツロウバイ属>
 

   
ロウバイ科ナツロウバイ属の落葉低木で、中国浙江省が原産地。
耐寒性、耐暑性があり、庭木や公園の植栽などに使用される。
樹高は1〜3mほどで、株立ちする。葉は光沢がある楕円形で、先が尖り、全縁。
花期は5月〜6月で、枝先に直径6〜7cmの花を下向き加減に付ける。
外花被片は淡紅紫色の縁取りのある白色で、内花被片は黄色の斑八重咲きになる。
葉は、秋には黄葉する。

2017/6/2
神奈川県立相模原公園水無月園の奥にある花菖蒲田。
どうしても華やかなハナショウブに目が行ってしまいますが、その畔でひっそりと花を付けていました。
既に花のピークは過ぎているようで、花被片が散ったものが多かったです。
その奥の方に、昨年の枯れた果実がいくつかぶら下がっていました。
花の形は淡黄色で半透明のロウバイの花とは全く異なりますが、果実の形はロウバイとそっくりです。


ロウバイ科の花

       .

       .
  <ロウバイ>          <ソシンロウバイ>        <ナツロウバイ> .
ロウバイとソシンロウバイは、ロウバイ属の落葉低木で、ナツロウバイはナツロウバイ属の落葉低木です。
ソシンロウバイは、ロウバイの栽培品種で、花が大きく、花の中心まで黄色い点が異なります。
ソシンロウバイの花の直径は20o程で、ロウバイはそれよりも一回り小さい。
なお、ロウバイ(蝋梅)は、半透明でにぶいツヤのある花びらがまるで蝋細工のように見えることが名前の由来。
ナツロウバイは、ロウバイなどに比べると花の直径が6〜7cmと大きく、花被片に透明感はありません。
ただ、果実の見た目は、3種とも似たような形状をしています。


ナツツバキ(Stewartia pseudocamellia)
<ツツジ目・ツバキ科・ナツツバキ連・ナツツバキ属>

ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木で、在来種。
日本では、本州の宮城県以西から四国、九州に分布している。海外では、朝鮮半島に分布している。
樹高は10〜20mになり、樹皮は帯紅色を帯び、表面はなめらかである。
葉は長さ10p程の楕円形で、先が尖る。ツバキの葉とは異なり、薄くて光沢がない。
花期は6月〜7月で、花は直径5pほど。白い花弁は5個で、花弁の縁には細かい鋸歯がある。
オシベの花糸や葯はは黄色。朝に開花し、夕方には落花する1日花である。
刮ハは直径15oほどで、先の尖った卵形。秋に熟すと、先が5裂する。

2009/6/13
神奈川県立相模原公園水無月園の花菖蒲田。その脇でナツツバキが白い花を付けていました。
ハナショウブと比較すると地味な花なので、気に留める人はあまりいませんでした。

スイカズラ(Lonicera japonica)
<マツムシソウ目・スイカズラ科・スイカズラ属>

スイカズラ科スイカズラ属の常緑つる性木本で、自生種。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで全国に分布する。
日本以外では、東アジア一帯に分布し、欧米では観賞用に移入され、野生化している。
花は、ツボミの時は先の丸まった象の牙のような形をしている。
開花すると、筒状の花弁が先の方で上下の唇状に分かれ、さらに上唇は浅く4裂する。
特徴的なのが、花色で、開花当初の花弁は白いが、時間と共に黄色くなる。
スイカズラの名は、「吸い葛」と書き、花を口にくわえて蜜を吸うことに由来する。
英名の「honeysuckle」も同じ発想から付けられたものである。
スイカズラの蕾は「金銀花」、秋から冬にかけての茎葉は忍冬(ニンドウ)いう生薬、また、漢方薬として利用さる。
この金銀花は、白と黄色の花色から、忍冬は、常緑で冬場を耐え忍ぶ事から付けられた名前とのこと。
なお、ニンドウはスイカズラの別名で、金銀花は異名になっている。

2007/6/10
相模原市立麻溝公園の樹林広場の近くで、スイカズラがたくさんの花を付けていました。
異名の金銀花の名が示すように、開花直後の白い花と時間の経った黄色い花が入り混じっています。
 
ネムノキ(Albizia julibrissin Durazz.)
<マメ目・マメ科・ネムノキ亜科・ネムノキ連・ネムノキ属>
 
 
マメ科ネムノキ属の落葉高木で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に、海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
樹高は6〜10mで、幹は灰褐色で皮目が目立つ。
葉は互生し、長さ20〜30cmの2回偶数羽状複葉で、葉裏は粉白色で軟毛が生える。
小葉は左右不対称で包丁のような形をしており、夜になると小葉は閉じる。
花期は6月〜7月で、小枝の先端に淡紅色の花を数十個からなる花序を付け、夕方に開花する。
花は、花弁が7〜8mmと小さく、基部が合着している。
花糸が長さ3〜4cmと長いオシベを多数付け、花糸の中程から先が紅色になって、房のようになる。
果実は豆果で、長さ10〜15cmの広線形で、細長くて扁平である。
褐色に熟して、下側の線に沿って裂開し、長さ5〜9mmで扁平な楕円形の褐色の種子が出てくる。

2018/6/8
相模原市立麻溝公園 水の広場脇の花壇で見かけました。
咲き始めたばかりのようで、多くはツボミでしたが、幾つか開花していました。

 
2020/9/19
花はマメ科の花らしくないのですが、上記の通り、その果実は扁平で細長い莢の豆果です。
褐色になっていますが、まだ、十分に熟していないのでしょう。熟すと裂開して種子が出てきます。

ミヤコグサ(Lotus japonicus)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ミヤコグサ連・ミヤコグサ属>
 
マメ科ミヤコグサ属の多年草で、在来種。道端から海岸沿いまで、日当たりの良い背の低い草原などに多い。
日本では北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。海外ではインド以東の東アジアに広く分布する。
なお、元来は史前帰化植物で、ムギ類の栽培に付随して持ち込まれたと推測されている。
茎は根元で分枝して、地を這い、15〜35cmに伸びて、横に広がる。
葉は互生し、3出複葉で、基部にある1対の托葉は小葉と変わらないため、5小葉に見える。
花期は5月〜6月で、葉腋から花茎を立ち上げ、その先に1〜4個の蝶形花を固まって付ける。
その花の基部には3個の総苞があり、その形は普通の葉と同じ形状をしている。
萼は筒状で、先は裂ける。黄色い花は長さ10〜15mmで、2個の竜骨弁は合着して筒状。
豆果は長さ20〜35oほどの円柱形で、熟すと2裂してねじれ、黒い種子を弾き飛ばす。
和名は、京都で特によく見られたことに由来する。

2018/6/8
神奈川県立相模原公園水無月園から相模原市立麻溝公園へ向かう途中、水無月園を出て直ぐの所で見かけました。
小さな花ですが、花色が黄色で、たくさんの花を付けるので、かなり目立ちます。
 
アジサイ(Hydrangea macrophylla)
<ミズキ目・アジサイ科・アジサイ属・アジサイ節・アジサイ亜節>
   
  <アジサイ>         <ガクアジサイ>          <ヤマアジサイ> .
 
    <アナベル>         <カシワバアジサイ> .
アジサイ科アジサイ属の落葉低木で、日本原産のガクアジサイを原種とする栽培品種。
樹高は1〜2mで、葉は卵形で、光沢のある淡緑色。縁に鋸歯がある。
花期は5月〜7月で、花と言われているのは装飾花で、花弁に見えるのは萼である。
ガクアジサイでは、装飾花が花序の周辺に縁取るように並び、「額咲き」と呼ばれる。
その中央に小さい両性花が多数あり、花弁5個。オシベ10個とメシベ1個(花柱は3個)がある。
なお、装飾花では、花弁、オシベ、花柱の数が少なくなったり、開花しないものもある。
ガクアジサイの変種で、ほとんどが装飾花になり、花序が球形になったものは「手まり咲き」と呼ばれる。
中国を経由してヨーロッパに渡り、逆輸入されたものはセイヨウアジサイと呼ばれる。
アジサイは、根から吸収されるアルミニウムイオンの量によって花色が変わる。
土壌のpH(酸性度)が、酸性だとアルミニウムがイオン化され、花のアントシアニンと反応して青くなる。
アルカリ性だと、イオン化されないので、アジサイに吸収されることがないので、赤色のままになる。
1つの株でも、イオンの分布度合いによって吸収される量が異なるので、赤と青が混じることもある。
なお、品種によっては遺伝的な要因で、花が青くならないものもある。

2017/6/2
アジサイは、相模原市立麻溝公園 樹林広場を取り巻くようにいろいろな品種が植えられています。
また、芝生広場やフィールドアスレチックの外周にもアジサイがたくさん植えられています。
公園内には、約200種、7,400株のアジサイが植栽されているそうです。
ここで見られるアジサイの概要は下記の通りですが、品種に関しては、こちらにまとめてあります。


アジサイの花 いろいろ

ガクアジサイ(Hydrangea macrophylla f. normalis)
房総半島、三浦半島、伊豆半島、伊豆諸島、足摺岬、南硫黄島、北硫黄島で海岸に自生する。
花序は多数の両性花を中心として、装飾花が周りを縁取る。
花序の直径15p前後、装飾花は直径4p前後で、色は白色、青色、淡青緑色、淡赤紫色。
中央の両性花は濃紫色である。葉は厚く、大きく、表面は濃緑色で光沢がある。

アジサイ(Hydrangea macrophylla var. macrophylla)
日本原産のガクアジサイの品種で、他のアジサイとの区別するためホンアジサイとも呼ばれる。
花序は20p以上になり、ほとんど装飾花のみからなる。装飾花の下に両性花が見られるものもある。
そのため、種子ができるのは稀で、挿し木や株分けで増やされる。
ヨーロッパやアメリカから逆輸入されたものは、セイヨウアジサイと呼ばれる。

ヤマアジサイ(Hydrangea serrata/Hydrangea macrophylla subsp. serrata)
別種とする説と亜種とする説がある。そのため、2つのが学名が使われている。
日本では、本州関東以西、四国、九州などの山地に分布する。千島列島、台湾、中国南部の山地にもみられる。
ガクアジサイと比べ、花色が多様性に富む。花序は直径7〜18p、装飾花は直径2p前後。
葉質は薄くて光沢がなく、10p前後と小さい。形は長楕円形、楕円形、円形など多様性に富む。
枝は細く、樹高は1m程度と低い。分布域が広いこともあり、いくつかの亜種がある。
エゾアジサイ(Hydrangea serrata subsp. yezoensis (Koidz.) Kitam.)
本州の東北地方、北陸地方と北海道、および朝鮮半島南部に分布する。
樹高は1.5mになり、花序径は15p前後、花色は青や青紫色が多いが、白やピンク、赤いものもある。
アマギアマチャ(Hydrangea serrata subsp. angustata (Franch. & Savatier) Kitam.)
富士山、天城山周辺、静岡市梅ヶ島、箱根に自生する。
花色は白で、葉はヤマアジサイより細い。
クレナイ(Hydrangea serrata 'kurenai')
長野県飯田市の山中で発見され品種である。装飾花は一重咲きで、萼片数は3〜5個である。
装飾花は、最初白色だが日光に当たると赤みを帯び、最も赤くなるアジサイと言われている。
シチダンカ(Hydrangea serrata cv. 'prolifera')
萼が星型で重なっている品種。江戸時代から知られていたが、絶滅した「幻のアジサイ」とされていた。
1959年に六甲山で再発見され、その後、1993年に滋賀県でも発見された。

アナベル(Hydrangea arborescens cv. Annabelle)
北アメリカ東部原産のアメリカノリノキを原種とする園芸品種。
原種は、小さな装飾花がまばらに額縁状に付く程度である。
しかし、アナベルは花序径が30pに達し、装飾花も多くて手まり咲きのため、見応えがある。
ツボミの時には緑色であるが、開花が進むにつれ、淡緑色、白色へと変化する。

カシワバアジサイ(Hydrangea quercifolia)
北アメリカ東部原産のアジサイで、樹高は2mに達する。
花序が円錐形で、葉がカシワのように深裂するのが特徴。

ノリウツギ(Hydrangea paniculata)
日本では北海道から本州、四国、九州に分布し、山地の林縁などに自生する。
花はよく目立ち、ハナカミキリなどの訪花性の昆虫がたくさん集まる。

タマアジサイ(Hydrangea involucrata)
日本では東北地方南部(福島県)、関東地方、岐阜県までの中部地方に分布する。
山地の沢沿いや、湿り気のある林縁、道路の法面などに自生する。
装飾花は白色で大きさ30mm程、両性花は紫色で大きさ数mmで、花序は直径は15cmになる。
つぼみの大きさは直径15mm程の球形で、開花に伴い包んでいた苞は、次々を落ちる。
ツボミが玉のように丸いのが和名の由来ですが、詳細はこちらを参照ください。










inserted by FC2 system