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帰省途中で見かけた野草(U)



自宅と実家を行き来する際、途中で見かけた野草です。
といっても、サービスエリアで見かけたものや、高速道路脇で見かけたものです。
なお、高速道路脇では降りて観察する訳にはいきませんので、窓から撮った写真のみからの判断です。
今後、機会を見つけて充実させていきたいと思っています。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の野草を追加しました。
タンキリマメ、タカサゴユリ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
キンポウゲ目
キンポウゲ科(クレマチス)
シソ目
オオバコ科(マツバウンラン、オオカワヂシャ、フラサバソウ)
シソ科(アカジソ、クルマバナ、ローズマリー)
セリ目
セリ科(オヤブジラミ)
ナス目
ナス科(ヒロハフウリンホオズキ)
ナデシコ目
タデ科(イタドリ、イヌタデ、オオイヌタデ、ギシギシ、ナガバギシギシ、スイバ、ソバ)
バラ目
バラ科(ニガイチゴ、レッドロビン)
フウロソウ目
フウロソウ科(アメリカフウロ)
フトモモ目
ジンチョウゲ科(ミツマタ)
マメ目
ヒメハギ科(ヒメハギ)
マメ科(タンキリマメ、コメツブツメクサ、シロツメクサ、ムラサキツメクサ、カスマグサ、
    スズメノエンドウ、ヤハズエンドウ、ナヨクサフジ、ヤマフジ、セイヨウミヤコグサ)
ムクロジ目
ムクロジ科(イタヤカエデ、イロハモミジ)
ユリ目
ユリ科(タカサゴユリ)
 
ハラタケ目
ハラタケ科(オオシロカラカサタケ)
帰省途中で見かけた野草(U)
和名インデックス


クレマチス(Clematis)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・センニンソウ属>
   
キンポウゲ科センニンソウ属の多年草で、花が大きく観賞価値の高い品種の総称。
クレマチスの原種は約300種類存在するされ、日本を含め北半球に広く分布している。
花には花弁はなく、花弁のように見えるのは萼で、原種は花も小さく、花色も限定される。
果実は先端に鞭状の突起があり、その表面に多数の綿毛が付く。
葉は3出複葉か2回3出複葉で、つる性のものでは葉柄が他のものに絡んで茎が固定される。
日本産の原種としては、ボタンヅル、センニンソウ、ハンショウヅル、カザグルマ等がある。
それらの中でもカザグルマのように大柄で平開する花が観賞用として、喜ばれる。
現在、人工交配などによって2000種を超える品種が作出されている。
花の形には、一重咲き、八重咲き、万重咲き、チューリップ咲き、釣鐘型などがある。

2015/2/3
足柄サービスエリア上りに立ち寄ったとき、スタバ裏のフェンスに絡みついていました。
白い綿毛がぼんぼりの様にたくさん付いていたのですが、正体不明でした。
後で調べてもわからなかったのですが、ある日、偶然にクレマチスを見て、それと分かりました。
センニンソウ属では、花後に花柱が伸びて残り、長い毛が開いて羽毛状になります。
センニンソウやボタンヅルでは数が少ないのですが、クレマチスは数が多いので球状になるようです。
改めて写真の枯れた葉を確認すると、3出複葉になっていました。


クレマチスの花

クレマチスには、春咲き、夏・秋咲き、冬咲き、四季咲きがあり、長期にわたって楽しめます。
花の形には、一重咲き、八重咲き、万重咲き、チューリップ咲き、釣鐘型など多様です。
そういった多くのクレマチスが、相模原市立麻溝公園には植栽されており、楽しむことができます。
下記の写真は極一部の品種で、約200種、7000株のクレマチスが植えられており、春から秋まで楽しめます。

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マツバウンラン(Nuttallanthus canadensis)
<シソ目・オオバコ科・キンギョソウ連・マツバウンラン属>
 
<土山サービスエリアにて>
 
<鈴鹿パーキングエリアにて>
オオバコ科マツバウンラン属の越年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、関西を中心に広がり、関東にも進出中である。
1941年に帰化しているのが確認され、在来種のウンランに比べ葉が細いのでこの名が付けられた。
最近では普通に見かけられるようになっている。
草丈は10〜60pと生育環境によって大きく変わる。茎は基部で数本に分枝し、走出枝で広がる。
基部のロゼット状の葉は楕円形で多肉質であるが、茎葉は互生し、葉幅が1mm強の線形になる。
花期は5月〜7月で、茎の頂部に穂状に淡青紫色(稀に淡紅紫色)の唇形花を付ける。
花冠の長さは10oほどで、5oほどの距がある。上唇は2裂し、下唇は3裂して基部の膨らんだ部分が白い。

2021/4/22
土山サービスエリアの周囲を散歩中、通路脇で1本だけ、ポツンと咲いていたマツバウンランです。
この1本以外、散歩中には見かけませんでしたので、ここでは少ないようです。
一方、鈴鹿パーキングエリアでは、売店に向かう途中の通路脇でちょっとした群落になっていました。
おそらく、こぼれ種から増えたのでしょう。土山サービスエリアでも、年々増えていくかもしれません。

 
2022/4/20
鈴鹿パーキングエリアの奥の空き地で、マツバウンランがちょっとした群落を作っていました。
ここでも、徐々に勢力範囲を広げているようです。

オオカワヂシャ(Veronica anagallis-aquatica)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属>


 
オオバコ科・クワガタソウ属の越年草で、ヨーロッパ〜アジア北部が原産の帰化植物。
日本では本州を中心に拡散中で、四国や九州の一部にも進出している。
海外では、朝鮮半島から中国、モンゴル、ロシアから、アフリカ、南北アメリカ、オーストラリアに分布。
湖、池、沼、河川の岸辺や水田、湿地などに生育する。
全体に無毛で、地中で根茎を横に広げ、茎を立ち上げて1mほどの高さになる。
葉は対生し、無柄で先の尖った長楕円形で、縁に不明瞭な細かい鋸歯がある。
茎の上部では、葉の基部が心形になり、茎を抱く。
花期は、4月〜9月で、葉腋に穂状花序を出し、直径5oほどの花を多数付ける。
花冠は4深裂し、花色は淡紫色から白色で、濃色の縦筋が入る。
オシベは2個で、萼は4深裂する。裂片の長さは数o。
果柄は上を向き、果実は扁球形で先端が幾分凹んで、数mmの花柱が残る。
在来種のカワヂシャ(準絶滅危惧種)との交雑が確認されており、特定外来生物に指定されている。

2020/10/31
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたオオカワヂシャです。
最初、クワガタソウ属だとはわかりましたが、種類までは分かりませんでした。
後で調べて、オオカワジシャらしいと分かりましたが、以前見たものとかなり風体が異なります。
それに、ここはサービスエリアの周りにある斜面で、水辺とは縁遠い場所です。
その環境の違いが、このようなひょろっとして頼りなさげな草姿にしたのかもしれませんね。

 
2021/4/22
昨年、オオカワヂシャを見かけた場所に行ってみると、今年も花を付けていました。
周りを他の草に囲まれて、埋もれ気味ではありますが10株ほどが確認できました。

 
2021/5/11
オオカワヂシャがどうなっているのか気になって見に行ってみると、ほぼ咲き終わっていました。
先端にいくつか花とツボミがある程度で、後は果実になっていました。果実は先端が凹んだ浅いハート形です。


オオカワヂシャの比較

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左は自宅近くの境川の河川敷で見かけたオオカワジシャです。
大きな株になっていて、太い茎に大きな葉が対生していて、強健そうに見えました。
一方、右は土山サービスエリアで見かけたオオカワジシャです。
花の大きさや花色、濃色の縦筋などは同じで、花茎の出方も似ていますが、葉がとても小さいです。
そのため、草姿は何とも華奢で、頼りなさそうに見え、同じオオカワジシャには見えません。


フラサバソウ(Veronica hederifolia)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属>
 
オオバコ科クワガタソウ属の越年草で、西〜中央アジア、ヨーロッパ、北アフリカ原産の帰化植物。
日本では全国に広がっているが、特に関東以西で多く見られる。
草丈は5〜10cmで、茎や葉など全体に白い軟毛がある。
葉は、茎の基部以外は互生し、短い葉柄がある。葉の縁には大きな鋸歯がある。
花期は2月〜5月で、花は上部の葉腋に単生し、その直径は5mm前後である。
花冠は4裂し、裂片は淡青紫色から青紫色で、濃い縦じまがあり、裂片間に隙間がある。
萼も4裂し、花冠とほぼ同長で、萼片の縁に長毛が生える。オシベは2個で、メシベは1個ある。
果実が未熟なうちは、萼片が3角形に閉じていて、熟すと萼片が開く。

2022/3/16
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたフラサバソウです。
通路脇で、地面にへばり付くように広がって、多くの花を咲かせていました。

アカジソ(Perilla frutescens var. crispa f. purpurea)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ナギナタコウジュ連・シソ属>
   
シソ科シソ属の1年草で、中国原産の史前帰化植物である。
平安時代には栽培が始まっていたとされ、栽培植物であるが各地で野生化している。
草丈は50〜100cmで、4稜形の茎には、長い下向きの軟毛がまばらに生える。
葉は対生し、長さ8〜10cmの広卵形で先が尖り、長い葉柄がある。
葉身は両面とも赤紫色で、葉質は薄く、縁には粗い鋸歯がある。
花期は8月〜10月で、枝先に円柱形の総状花序を付け、淡紅紫色の小花を多数付ける。
花色は紅色〜赤紫色、または白色で、花冠は長さ4〜5mmの唇形花である。
上唇は浅く2裂し、下唇は大きく3裂する。オシベ4個は花冠からはあまり突出しない。
メシベの柱頭はハの字型に2裂する。萼は釣鐘形で5分裂し、果期には長さ5〜6mmになる。
萼筒には白色の長毛が密生し、黄色の腺点が散在する。
果実は4分果で、分果は長さ1mm前後の球形。表面に網目模様がある。
葉にはアントシアン系の色素、シアニジンを含みクエン酸によって強く赤く発色する。
また、シソの精油にはペリルアルデヒドが含まれ、強い防腐作用と殺菌作用を持っている。
防腐作用は、5〜10%の食塩と併用することで得られ、単独では効果がない。
これら性質が、日本では梅干を作る際に利用される。

2019/10/4
鈴鹿パーキングエリアの外れにある草原で、アカジソが大きくなり、花を付けていました。
畑に植えられているアカジソは時折見かけますが、野生化したものは初めて見ました。

クルマバナ(Clinopodium chinense)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・トウバナ属>
   
シソ科トウバナ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで広く分布している。
海外では、朝鮮半島にも広く分布している。
茎は四角形で、草丈は20〜80cmに達し、葉は対生する。
葉は短い葉柄があり、長さ2〜4cmの長卵形で、基部は円形。縁には鋸歯がある。
花期は8月〜9月で、茎の上部に数段にわたって輪状に密集して花を付けるが、これが名前の由来。
花は唇形で長さ10o程。上唇は小さくて浅い切れ込みがあり、下唇は大きく3裂する。
雄しべは4本で、下の2本は長く斜上する。萼は長さ8oほどで、紅紫色を帯びることが多い。

2019/6/19
土山サービスエリアの周囲に広がる草原で、クルマバナがベンチ横で花を付けていました。
萼だけではなく、茎や葉にまで紅紫色が入っていました。

 

 
2020/10/31
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたクルマバナです。
夏に見かけたクルマバナより花序が短く、花数も少なくて、残りわずかといった風情でした。
最初に見かけたのは、紅葉という訳ではないでしょうが、葉がアカジソのような赤紫色になってました。
その後に見かけたものは、まだ、緑色をしていましたので、環境による違いのようです。

ローズマリー(Rosmarinus officinalis)
<シソ目・シソ科・マンネンロウ属>
 
シソ科・マンネンロウ属の常緑低木で、園芸品種。
ヨーロッパでは、教会、死者、生者を悪魔から守る神秘的な力を持つを言われている。
日本には、江戸末期に中国経由で渡来したとされ、中国名は迷迭香という。
暑く乾燥した気候を好むが、耐寒性も高いため、観賞用としても人気がある。
樹高は、1.8mほどになり、樹皮は暗灰色で不規則な割れ目が生じて剥離する。
葉は対生し、密に束生状につく。無柄〜短柄で、葉身は1〜3cmの革質。
葉は全縁で、外側に巻き、先は鈍形。葉表にはやや光沢があり、葉裏には白色毛が密生する。
花期は2月〜10月で、花冠は長さ10〜15mmで、上唇弁は2裂し、裂片は卵形。
下唇は3裂し、中裂片は幅10mm前後と大きな類円形で、側裂片は長楕円形。
花色は、青色〜紫色がほとんどであるが、白色や桃色の品種もある。
オシベは2個で、上唇弁の基部につき、花冠から上に湾曲して突き出る。花糸は10mmほど。
メシベは1個で、オシベより若干短い。果実は分離果で、4小堅果からなる。

2020/10/31
土山サービスエリアの花壇で咲いていたローズマリーです。品種名は不明です。
園芸品種なのですが、シソ科の花としては分かり易い形状なので、比較のために掲載しました。


シソ科の花

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  <キランソウ属>        <オドリコソウ属>       <イブキジャコウソウ属>
  <キランソウ>         <ホトケノザ>         <イブキジャコウソウ>
       .
<ウツボグサ属>          <トウバナ属>          <イヌゴマ属> .
<ウツボグサ>           <クルマバナ>           <イヌゴマ> .
       .
<タツナミソウ属>        <テンニンソウ属>         <アキギリ属> .
  <ナミキソウ>         <ミカエリソウ>         <アキノタムラソウ>
       .
<カリガネソウ属>        <シモバシラ属>         <ハッカ属>  .
<ダンギク>          <シモバシラ>          <ハッカ> .

シソ科の花は、基本的な構造は同じでも、見た目では各々特徴のある形をしています。


オヤブジラミ(Torilis scabra)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・ヤブジラミ属>
 
セリ科ヤブジラミ属の越年草で在来種。原野や道端などに普通に見られる。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。海外では朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
草丈は30〜70cmで、茎は直立し、上部で分枝する。日当たりが良いと茎や若い果実が紫色を帯びる。
葉は互生し、3回3出羽状複葉になり、小葉の裂片は細かく切れ込み、両面に粗い短毛が生える。
花期は4月〜5月でヤブジラミより早く、茎頂に複散形花序を付け、数個の小花を付ける。
花色は白色〜淡紅紫色で、花弁は5個。なお、その大きさは不揃いである。
果実は長さ6mm前後の長楕円体で、先がカギ状に曲がった刺毛がある。

※ ヤブジラミ :花数が多く、果実の刺は白色で基部から湾曲し、熟すと淡褐色になる。
  オヤブジラミ:花数は少なく、果実の刺は紅紫色を帯びて先だけが曲がり、熟すと黒くなる。

2019/10/4
土山サービスエリアで売店に向かう途中、レッドロビンの根元でオヤブジラミが花を付けていました。
花序の花数が少なく、花の基部にある子房に付く刺は、紅紫色を帯びて先だけが曲がっています。

 
2021/5/11
オヤブジラミも咲き進んでいて、果実が徐々に大きくなっていました。

ヒロハフウリンホオズキ(Physalis angulata)
<ナス目・ナス科・ホオズキ属>


 
ナス科・ホオズキ属の1年草で、北アメリカ、熱帯アメリカが原産地の帰化植物。
日本ではほぼ全国に分布しており、海外でもアジア、アフリカ、ヨーロッパ、オセアニアなどに移入。
草丈は20〜100cmで、茎は直立し、よく分枝し、枝を横に広げる。稜があって軟毛が散生する。
葉は互生し、葉身は長さ4〜10cmの卵形で、先が尖り、不規則な鋸歯がある。
花期は8月〜10月で、葉腋に直径1cm前後で、淡黄色の花を横向き〜やや上向きに単生する。
花冠は5角形で、普通、斑紋はないが、花冠の奥が褐色(濃さには個体差がある)を帯びることがある。
オシベは5個で、青色〜紫色の葯は長さが2o前後ある。
花柄は花時に5〜15mmであるが、果時には20mmほどに伸びる。
花時には萼は長さ4〜5mmであるが、花後に袋状に大きく成長し、果実を包み込む。
袋状に育った萼は、最初緑色であるが、徐々に脈が紫褐色を帯び、熟すと全体が紫褐色になる。
この宿存萼には10稜があり、長さは20〜35mm、幅は15〜25oになる。
中の液果は直径8〜14mmの球形で、未熟なものは緑色をしているが、熟すと淡褐色になる。

2017/8/13
名神高速道路から中国自動車道へ、吹田JCTで乗り換えた辺りで、いつも渋滞します。
今は、手前で新名神に乗ってしまうので、この渋滞にはまることは無くなりました。
この渋滞にはまっていた頃、夏に道路脇を見ると見慣れない野草がたくさん生えていました。
ちょうど渋滞で、車はノロノロ進んでは止まる状態でしたので、望遠で窓から撮影しました。
その内の1つがこのホオズキのような果実が付く草本で、ホオズキと異なり、ずいぶんと分枝しています。
葉には、不規則な波状鋸歯があり、全縁に近いものは見当たりません。
花冠は5角形の淡黄色で、奥の方は色は濃くなりますが、褐色にはなっていません。
宿存萼(ホオズキ)は緑色で、脈の色も緑色で、うっすらと褐色を帯びているものもあります。

後で調べて、ヒロハフウリンホオズキかセンナリホオズキのどちらかであろうと目星を付けました。
以前は、両者が混同されて同一種とされ、その後、別種として分類されたとか。
それほど似ているということでしょうから、見分けるのは難しいということなのでしょう。

センナリホオズキの葉は全縁か少数の鈍鋸歯で、鋸歯の多いヒロハフウリンホオズキに軍配です。
花の特徴から言えば、褐色の班がないのでヒロハフウリンホオズキに軍配です。
ヒロハフウリンホオズキの宿存萼の脈は紫褐色を帯び、センナリホオズキは淡黄緑色で紫褐色は帯びません。
見える範囲で、明瞭な紫褐色を帯びた脈は見当たらないので、センナリホオズキに軍配です。
かなり大きくなった宿存萼でもうっすらと褐色を帯びている程度ですが、葉と花の特徴から本種としました。

イタドリ(Fallopia japonica)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イタドリ属>
 
タデ科イタドリ属の多年草で、スカンポなどの別名を持つ。
北海道東部を除く日本全土、朝鮮半島から中国、台湾に分布する東アジア原産種。
世界の侵略外来種の選定種で、その旺盛な繁殖力ゆえに嫌われ者である。
草丈は50〜150cmで、茎は中空で多数の節があり、三角形の葉が互生する。
雌雄異株で、雄花はオシベが花弁の間から飛び出すように長く発達している。
雌花は、メシベよりも花弁の方が大きい。
秋に熟す種子には3枚の翼があり、風によって散布される。

2019/10/4
鈴鹿パーキングエリアの外れにある草原で、イタドリが大きくなり、花を付けていました。
種子が付いているので、この株は雌株ですね。花と大きくなった種子が混在しています。

イヌタデ(Persicaria longiseta)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>
 
タデ科イヌタデ属の一年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、マレーシアに分布している。
草丈は20〜50cmで、茎は赤味を帯びることが多い。
葉は互生し、長さ3〜8cmの広披針〜披針形で、先が尖り、基部は楔形。
葉の縁は全縁で縁毛があり、主脈上には伏毛がある。
花期は6月〜10月で、長さ1〜5cmの円柱状の総状花序に紅色の小花を多数付ける。
花被は淡紅色で5裂し、花後には紅色になって痩果を包んでの残る。花弁はない。
オシベは8個、花柱は3裂する。小苞は赤色で、長い縁毛があり、花の間から突き出る。
托葉鞘は長さが5〜7mmの円柱状で、先に鞘と同じような長さの剛毛が付く。
痩果は3稜形で、長さ2mm前後。赤くなった花被に包まれたまま、黒く熟す。

2020/10/31
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたイヌタデです。
鈴鹿パーキングエリアとは異なり、ここではイヌタデのみで、オオイヌタデは見かけませんでした。

オオイヌタデ(Persicaria lapathifolia)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>
 

 
タデ科イヌタデ属の一年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、北半球の冷温帯・暖温帯に分布している。
草丈は80〜200cmで、茎の下部は節が膨らみ、よく分枝する。
葉は互生し、長さ15〜25cmの披針形で基部は楔形、縁毛があり、中央脈には伏毛がある。
花期は6月〜10月で、長さ3〜10cmの円柱状の総状花序に小花を多数付け、先が垂れる。
花被は白色〜淡紅色で4〜5裂し、花後にも痩果を包んでの残る。花弁はない。
オシベは6個、花柱は2裂する。托葉鞘は筒状膜質で、下部に太い脈が目立ち、縁毛は無い。
痩果は直径2mm前後の扁平な円形で、両面が少し窪む。果実は褐色〜黒褐色。

2019/10/4
鈴鹿パーキングエリアの外れにある草原で、白色と赤色のオオイヌタデが花を付けていました。
最初、赤い方はイヌタデかと思ったのですが、花穂が大きく、垂れ下がっているので本種と判断しました。
白い花穂の方も、赤い花穂の方も、茎の節が膨れて大きくなっており、その点も特徴が合います。
開花は、赤い花の方が進んでおり、白花の方は数えるほどしか開花していませんでした。

アレチギシギシ(Rumex conglomeratus)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ギシギシ属>
 

 
タデ科ギシギシ属の多年草で、ヨーロッパ原産で帰化植物。
日本では、1905年(明治38年)に横浜で発見されて以降、関東を中心に全国に広がっている。
草丈は40〜120cmになり、茎はしばしば紫紅色を帯びて直立して細く、見た目は弱々しく見える。
根生葉は花期にはなく、茎葉は互生し、長さ10〜30cmの長楕円形〜披針形で、長い柄がある。
縁は細かく波打ち、基部は円形〜浅い心形で、先は鋭頭。上部の葉ほど小さくなり、苞葉となる。
花期は6月〜7月で、花茎は分枝して、節間が長く、節毎に多くの花を輪生する。雌雄同株。
花は、外花被3個、内花被3個、オシベ6個、メシベ1個からなる。なお、花柄(果柄)には節がある。
内花被片は長さ2〜3mmの長卵形で、花後、痩果を包み込む。
その内花被片は全縁で、中央の瘤状突起の大きさは同じで、赤みを帯びることが多い。

2021/5/11
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原の縁で見かけたアレチギシギシです。
4月に見たときには気にかけていなかったのですが、ギシギシの大きな株の側で、群生していました。
ギシギシやナガバギシギシと比較すると、茎が細くて華奢な感じで、節間が長いので花がまばらです。

ギシギシ(Rumex japonicus)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ギシギシ属>


 
タデ科ギシギシ属の多年草で、広く日本に分布している。
スイバと異なり、同じ株に両性花と雌花をつける。茎や花が赤味を帯びない点でスイバと区別できる。
茎の途中の葉の付き方や、痩果を包む萼片に瘤状のふくらみがあるかどうかでも区別できる。
草丈は40〜100cmほどになり、茎は直立して多数分枝する。
下部の葉は、長楕円形で長い柄があり、縁は波打っている。
茎葉は上部ほど小さくなり、無柄になる。葉先は丸く、基部はやや心形。
花期は5月〜6月で、花は細長い総状花序に付き、多段に密に輪生する。雌雄同株。
両性花と雌花があり、花被片(萼)6個、オシベ6個、メシベ1個からなる。
果実を3個の内花被が包む。内花被は心形で、縁に不規則な鋸歯があり、中央に長卵形のこぶがある。

2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原の縁で見かけたギシギシです。
上段の写真で、赤茶色のナガバギシギシの右下に見える黄緑色のものがギシギシです。
既に成熟が進み、鮮やかな緑色から褐色に変わりつつあり、色褪せてきています。
若々しいギシギシの色については、こちらを参照ください。ほぼ同じ時期に撮ったものです。

 
 
2021/4/22
土山サービスエリアを散策中、歩道脇に大きな株があったのを思い出し、行ってみました。
上段がその株ですが、まだ、花序が十分に大きくなっておらず、花は咲いていません。
この株の裏側を覗くと1本だけ花茎を伸ばして、花が咲き始めたものがありました。

   
2021/5/11
4月に見かけた株ですが、一段と成長して草丈は倍くらいになり、大きな株になっていました。
この株はちょっと遅めで、花はかなり膨らんでいましたが、開花はこれからのようでした。

ナガバギシギシ(Rumex crispus)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ギシギシ属>


   
タデ科ギシギシ属の多年草で、ヨーロッパ原産で帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州と広く全国に分布している。
草丈は50〜150cmになり、茎は直立して、多数に分枝する。
下部の葉は、長い柄がある長楕円形で、縁は細かく波打って、基部は円形またはくさび形。
茎葉は、上部に行くほど葉は小さく、葉柄は短くなる。先は丸く、基部は円形か楔型。
花期は5月〜7月で、長い総状花序に多段に密に輪生する。雌雄同株、両性花と雌花がある。
花は、外花被3個、内花被3個、オシベ6個、メシベ1個からなる。
メシベには3個の花柱があり、柱頭は細かく裂ける。内花被片は大きくなり、痩果を包み込む。
その内花被片は広卵形で全縁(下部に歯牙があることも)。瘤状の突起があるが、内1個が大きい。
果柄には節がある。また、花穂は、後に紅く染まることが多い。

2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原の縁で見かけたナガバギシギシです。
上段の写真で、下の方で茶色く写っているのが本種で、近くで黄緑色っぽいのはギシギシです。
花穂に付く果実の中に、ギシギシの果実のようなものがあったのですが、ギシギシが赤みを帯びることはありません。
多くの未熟な果実の内花被片は卵円形で全縁です。そして3個の瘤の内、1個だけが大きくなっていました。
なんだか良く分からなくて、後で調べた結果、花穂の色、内花被片の瘤の大きさがバラバラな点から本種としました。
ただ、ギシギシのような果実が混じっていることから、ギシギシとナガバギシギシの自然交雑種かもしれません。

スイバ(Rumex acetosa)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ギシギシ属>
   
 
   
<雌花/雌株>                 <雄花/雄株>
タデ科ギシギシ属の多年草で、広く日本に分布している。
世界的にも、北半球の温帯に分布している。
雌雄異株で、葉には酸味があり、スイバ(酸い葉)の名前の語源になっている。
花期は、ギシギシよる1ヶ月程早く、茎の中程の葉には柄がなく、茎を抱くことで区別可能。
食べられるが、茎や葉にシュウ酸の酸味があり、すっぱいので酸い葉と呼ばれる。
若葉は赤色を帯び、上部の葉は柄がなく、下部の葉には長い柄がある。
葉身は長さ10pほどの長楕円状披針形、基部は矢じり形で、上部の無柄の葉は茎を抱く。
葉柄の基部の托葉は鞘状の托葉鞘となり、縁が不規則に切れ込む。雌雄異株。
茎頂の円錐状総状花序に小さな花を多数付つける。雌花は柱頭が赤く目だつ。
雄花は花被片、オシベとも6個。果期には内花被が直径4oのうちわのように大きくなって痩果を包む。
外花被は小さい。痩果は長さ2oほどで、黒褐色で光沢がある。

2021/4/22
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で多くのスイバを見かけました。
数えたわけではありませんが、雄株が少数派で、全体の2〜3割程度しかないのではないでしょうか。
雌株が赤い花穂なのに、雄株は地味な黄緑色の花穂で目立たないということもあるかもしれません。
雌株は否応なしに目立つのに、雄株は探さないと見つからないので、少ないのは確かだと思います。

 
<雄花>       2022/4/20       <雌花>
昨年撮った写真が幾分不鮮明だったので、改めて撮り直したものです。
雄花の葯は6個あり短い花糸が6個確認できますが、花被片が同色系で葯は見づらいです。
雌花には、3個の赤い糸状に細裂した柱頭が目立ちます。
3個の外花被片が大きく反り返っていて、3個の内花被片は柱頭に隠れ、子房を包み込んでいます。
この内花被片が団扇のように大きくなって痩果を包んでいく様子が、上記の写真で確認できます。
雌花の写真で、左の雌花は柱頭が目立ちますが、右に行くに従い内花被片が大きくなっています。
その大きくなった3個の内花被片の隙間から、枯れた柱頭が覗いているのが右端の果実です。

ソバ(Fagopyrum esculentum)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ソバ属>
   
タデ科ソバ属の一年草で、中国原産の帰化植物。
日本では、主に穀類として栽培されるが、イネ科ではないため、擬穀類とよばれる。
草丈は50〜100cm程になり、茎の先端に総状花序を付け、多数の花を付ける。
花色は、白、淡紅色、赤色、茎の色は緑、淡紅色、濃紅色がある。
栽培種のソバは、自分自身の花粉では結実できない異型花型の自家不和合成を持つ。
そのため、長花柱花と短花柱花を混在して栽培し、相互受粉させる必要がある。

2021/7/7
湾岸長島サービスエリアに立ち寄って足湯を楽しんだとき、直ぐ近くで見かけたソバの花です。
足湯エリアの端に、ポツンと1本だけ生えていて、白い花をたくさん付けていました。
周りには何もないこのような場所に、どうやって種が運ばれ、芽吹いたのでしょうか。

ニガイチゴ(Rubus microphyllus)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・キイチゴ属・Idaeobatus 亜属>
 
バラ科キイチゴ属に分類される落葉低木で、日本固有種。
日本では、本州から四国、九州の霧島山以北に分布する。
樹高は50〜100cmで、横に這った根から茎を立ち上げる。茎や枝は粉白色になり、細い刺がある。
葉は互生し、葉身は6〜10cmの広卵形で3裂するが変異があり、葉裏は粉白色。
花期の花枝では、葉に切れ込みがなく、鈍頭になることも多い。
縁には鋸歯があるが、大きさや深さにも変異がある。葉柄は赤みを帯び、刺がある。
花期は4月〜5月で、短い枝の先に1〜2個の5弁花の白花を上向きに付ける。
花は直径2〜2.5cmで、花弁は長さ10〜12mmで細く、花弁の間の隙間が目立つ。
萼片は5個で、先が鋭く尖り、綿毛がある。
果実は集合果で、直径1cm程度の球形。赤く熟し、果肉は甘いが、小核(種子)に苦みがある。
噛み潰したときに、小核を噛み潰すと苦みを感じることが、和名の由来。
食べるときには、噛み潰さず、舌で押しつぶす程度にしておくのが良さそう。

2021/4/22
土山サービスエリアを散策中、売店の外れにある植え込みの陰で、キイチゴを見つけました。
見たことのない細身の花と単葉の葉で、後で調べるとニガイチゴと分かりました。
如何にも苦くて食べられそうもない名前ですが、果肉は甘いそうです。
苦いのはその中にある小核(種子)で、噛み潰さなければおいしく食べられるみたいですね。

レッドロビン(Photinia×fraseri)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・カナメモチ属>
 
 
カナメモチとオオカナメモチの交雑種で、米国で作出された常緑小高木。
新芽が非常に鮮やかな赤になるため、生け垣などに利用される。
なお、新芽が赤くなるのは、アントシアニンを多く含むためだが、葉が堅くなると緑に変わる。
カナメモチの選別品種(ベニカナメモチ)に似るが、本種の方が色が鮮やかで、葉が大きい。
樹高は3〜5mになり、葉は長さ10p前後の先の尖った長楕円形で、光沢がある。
花期は5月で、枝先に複散房花序を付け、多数の白い小花を付けるが、花序を付けない樹もある。
花の直径は7oほどで、広倒卵形の花弁は5個、オシベは多数ある。
花は多数咲いていても、結実したものは確認できなかったので、不稔の可能性がある。

2019/6/19
土山サービスエリアの売店の外れには、大きなレッドロビンの植栽があります。
この時期は、赤い新葉が一斉に展開するので、木全体が真っ赤に染まります。
レッドロビンは、花序を付けない樹も多い中、ここのものはたくさん花序を付けていました。
残念ながら、まだ、ツボミばかりで、開花するのはもう少し先になりそうです。

 
2021/5/11
4月に見たときはツボミでしたが、それらが開花して満開状態になっていました。
なお、花付きに関しては木々でバラツキがあり、ほとんどない物から多く付いたものまでが混在しています。
以前にも見たことがあるのですが、おそらく不稔性のために果実はできないと思います。

アメリカフウロ(Geranium carolinianum)
<フウロソウ目・フウロソウ科・フウロソウ属>
 
2021/5/11 6:50                 2021/5/11 7:38
 
2021/5/11 6:50                 2021/5/11 7:38
フウロソウ科フウロソウ属の1年草/越年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
最近では、広く日本全体に分布しており、道端などでよく見かける。
草丈は、30〜40cm程度で、茎、葉柄、花柄と全体に白い軟毛がある。
葉は円形で5深裂し、裂片はさらに細かく分裂する。
花期は4月〜6月で、花は、葉腋から花柄を伸ばし数個付く。
花径は8mm前後で、花弁と萼片は5個で、オシベは10本で、メシベを囲むように付く。

2021/5/11
鈴鹿PAの駐車場脇の植栽に紛れて、アメリカフウロがたくさんの花を付けていました。
最初に見かけたときは、早朝だったので、まだ、花は開いていませんでした。
その1時間ほど後に様子を見に行くと、しっかりと開花していました。

ミツマタ(Edgeworthia chrysantha)
<フトモモ目・ジンチョウゲ科・ミツマタ属>
 
ジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木で、中国〜ヒマラヤが原産地。
日本では林内で野生化しているものも多い。
樹高は1〜2mで、よく分枝して半球形の樹形を作る。樹皮は灰色で縦の筋がある。
本年枝は必ず三つ又になって出てくるため、これが和名の由来。
葉は互生し、葉身は長さ5〜20cmの長楕円形で、先は尖り、基部はくさび形。
縁は全縁で、両面に白灰色の柔毛があり、特に裏面に多い。葉柄は長さ5〜10mm。
花期は3月〜4月で、葉の展開前に開花する。枝先や葉腋に頭状花序を付ける。
花序には小花が30〜50個ほど下向きに集まって付く。
花は両性花で、花弁はなく、萼は長さ13〜20oで、長さ13〜20oで先が4裂する。
萼裂片の外側には白い絹毛が密生し、内側は鮮黄色。
なお、園芸品種には内側がオレンジ色〜朱色のアカバナミツマタがある。
オシベは8個で、4個ずつ2段になって短い花糸で萼に付く。メシベは1個。
果実は核果で、堅果は長さ8mmほどの楕円体。6月〜7月に熟し、緑色で有毛。

2022/4/20
鈴鹿PAの駐車場脇の植栽にミツマタが使用されており、ちょうど開花していました。
ただ、樹が若いためか、花は少々貧弱な感じのものが多く、大きな花序は数えるほどしかありません。

ヒメハギ(Polygara japonica)
<マメ目・ヒメハギ科・ヒメハギ属>


 
ヒメハギ科ヒメハギ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、インドから東南アジア、オーストラリアなどに分布する。
草丈は10〜30cmで、茎は硬くて屈毛があり、基部で分枝して地を這い、先は斜上する。
葉は互生し、長さ1〜3cmの長楕円形で全縁。無柄に見えるが極短い柄がある。
花期は4月〜7月で、途中の葉腋から長さ1〜3cmの総状花序を出す。
萼は5個あり、側萼片2個は紫色の花弁状の卵形で、長さ5〜7mmと他の萼片の倍くらいになる。
花後、緑色に変わり、やや大きくなって果実を包み込む。
花冠は蝶形花のように見えるが、5個の花弁が融着した筒状花で、淡紅色〜淡紅紫色である。
筒の先は3裂し、上側の裂片2個は丸く、下側の裂片は先が細かく裂けて白〜淡紅色の付属体がある。
オシベは8個で、花弁が桶状になった所に付き、葯は黄色い。
果実は扁平で、翼のあるうちわ形をしており、種子が2個入っている。

2021/5/11
土山サービスエリアを散策中、周囲に広がる草原を上っているとき、足元に紫色の花が見えました。
淡紅紫色〜紅紫色の花で、とてもエレガントな感じを受ける花ですが、見たことがありません。
調べるとヒメハギと分かりましたが、淡紅紫色〜紅紫色に見えたのは花弁ではなく、2個の側萼片でした。
花冠は側萼片に挟まれるように付いた筒状花で、3裂した下側の裂片の先が細裂して見えています。
この細裂した付属体の上にあって、覆いかぶさるように付いているのが上側の2個の裂片です。

タンキリマメ(Rhynchosia volubilis)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・インゲン連・キマメ亜連・タンキリマメ属>


 
マメ科タンキリマメ属のツル性多年草で、在来種。
別名は、キツネマメ、ウイロウマメ。痰を止める作用があるという俗説が、和名の由来。
日本では、本州の関東地方以西から、四国、九州、沖縄に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、フィリピン、ベトナムに分布する。
茎は長さ2m以上に伸び、全体に毛が多く、茎には下向きの毛が密生する。
葉は3小葉で、小葉は長さ3〜6cm、幅2〜5cmの倒卵形で鈍頭。
頂小葉の基部は楔型で、中央より先寄りで幅が最も広くなる。
葉質はやや厚く、葉裏には黄色い腺点があり、軟毛が密生しており、葉表にも毛がある。
花期は7月〜9月で、葉腋から長さ2〜4cmの総状花序を出し、黄色い豆花を固まって付ける。
花は長さ9mm前後で、翼弁と竜骨弁が前に長く伸び、竜骨弁は細長い。
萼は腺点があり、軟毛が密生して5裂し、最下の萼裂片は萼筒と同じかそれより長い。
豆果は、長さ15mm前後で腺点があり、熟すと果皮が赤くなり、裂開する。
2個の種子は黒色で、果皮に付いたまま落ちない。赤い果皮は、さらに黒紫色に変わっていく。
トキリマメと似ているが、小葉の葉先が尖ること、葉質が薄いことで判別出来る。
また、花では最下の萼裂片が萼筒より明らかに短い点でも区別できる。

2022/10/17
湾岸長島PAの足湯でのんびりした後、近くを散策中に見つけました。
通路脇の草原に紛れて赤い豆果が見えたので、タンキリマメであろうと直感しました。
近づいてみると、赤い豆果は思っていた以上に付いていて、葉の形から間違いないと判断しました。

コメツブツメクサ(Trifolium dubium)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属>
 
マメ科・シャジクソウ属の多年草で、ヨーロッパ - 西アジア原産の帰化植物。
日本では、全国的に分布している。
コメツブウマゴヤシと間違われることがあるが、コメツブツメクサは地を這うように背が低い。
草丈は20〜40pほどで、茎は良く分枝して横に広がる。
葉は3小葉で、葉柄は数oと短い。
小葉は長さ10o弱の楕円形で、葉脈がはっきり見え、側脈は並行。
花期は5月〜7月で、葉腋から2p程の花序枝を出し、その先に直径7oほどの花序を付ける。
黄色い蝶形花は長さ3oほどで、5〜20個ほどが球状に集まって付く。
授粉後、花は垂れ下り、花冠は枯れてそのまま残り、その中で豆果は成熟する。

2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたコメツブツメクサです。
花期も終わりに近いので茶色く枯れた花が多いのですが、まだ、新しい花も咲き続けています。

 
2022/4/20
鈴鹿パーキングエリアの奥の空き地で、コメツブツメクサが大きく広がっていました。
春の早い時期だったので、枯れた花はなく、今は盛りと多くの花を咲かせていました。

シロツメクサ(Trifolium repens)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属>
 
2019/6/19                  2019/7/9
 
2019/6/19                  2019/7/9
マメ科・シャジクソウ属の多年草で、ヨーロッパ・北アフリカ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国的に分布している。
名前のツメクサ(詰め草)は、乾燥させたものをガラス器の緩衝材に使用したことに由来する。
日本には、明治時代に家畜用の牧草として導入され、それが野生化したもの。
草丈は15〜30cmで、茎は地を這い、節から根を出して広がる。
葉は長さ6〜20cmの葉柄の先に、直径2〜5cmの3出複葉を付ける。
托葉は葉に合着し、小葉には白い班紋があることが多く、鋸歯がある。
稀に2つ葉や4つ葉、5つ葉などが見られ、幸運を呼ぶなどとされている。
花期は5月〜8月で、球形の総状花序が頂生し、花柄は葉柄より長い。
白い筒状の蝶形花は長さ1cm前後で短い柄があり、20〜50個付く。
萼筒の先は5裂し、裂片は先が鋭く尖り、裂片より萼筒の方が長い。
なお、花が淡紅色のものが見られるが、モモイロツメクサという。

七つ葉のクローバーまで採取したことがありますが、それらや花言葉に関してはこちらに掲載しています。

2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたシロツメクサです。
残念ながら、花は終わってしまったようで、ここでは白い花はありませんでした。
所で、この写真の中に四つ葉のクローバーが2つ写っているのが分かりますか。
1つは分かり易いと思いますが、もう1つは難しいかもしれません。正解はこちらです。
なお、この近辺で四つ葉のクローバーを4個、採取できました。
2019/7/9
自宅に戻るときにも立ち寄ったのですが、そのときにも多くの四つ葉、五つ葉をクローバーを見つけました。
こちらの写真には、四つ葉のクローバーが1つ、五つ葉のクローバーが2つ写っています。
どこにあるか探してみてください。左の写真よりも分かり易いかもしれません。正解はこちらです。
四つ葉のクローバーは取るのをやめ、五つ葉のクローバーを2つだけ採取しました。

 

2022/4/20
ここ何年か四つ葉のクローバーのあった所に行っても、除草される等で見られませんでした。
久しぶりに行ってみると、雑草に紛れてはいましたが、六つ葉のクローバーに会えました。
五つ葉に見えますが、小さな6個目の葉が付いていて、六つ葉のクローバーです。
その直ぐ側には、下段の写真のように四つ葉のクローバーが2個あり、株は健在のようです。

ムラサキツメクサ(Trifolium pratense)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属>


 
マメ科・シャジクソウ属の多年草で、ヨーロッパ、西アジア及び北西アフリカ原産の帰化植物。
別名はアカツメクサで、白花のものはセッカツメクサともいう。
日本には、シロツメクサと同時期に牧草として移入され、野生化したもの。
地上を這うシロツメクサと異なり、茎は数十cmの高さになる。
葉は互生し、3出複葉。いわゆる三つ葉で、全体で直径15〜30mmになる。
各小葉には、中ほどに三日月形の白い模様が入り、縁には細かい鋸歯がある。
葉柄は長さ1〜4cmで、2本の托葉を持つ。
花期は5月〜8月で、球形の花序を頂生する。花柄は短く、シロツメクサのように長くならない。
花冠は長さ12〜18mmで、萼は筒型で先が5裂する。花は筒状の蝶形花である。
花色は、ピンクのものが多いが変異があり、白に近いものから紅紫色のものまである。

2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、通路脇で見かけたムラサキツメクサです。
この辺りでは少数派のようで、あまり見かけません。
なお、ムラサキツメクサの花色に白色〜紅紫色まで変異があり、それらについてはこちらを参照ください。

カスマグサ(Vicia tetrasperma)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属>
 
マメ科ソラマメ属のつる性の越年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、アジア、アフリカ、ヨーロッパと広範囲に分布する。
和名は、大きさがカラスノエンドウとスズメノエンドウの中間であることに由来。
つまり、両者の中間の大きさということで、カとスの間(マ)という訳である。
ただ、カラスノエンドウの標準和名はヤハズエンドウなので、ヤスマが正しいのかも。
草丈は20〜30cmで、茎は細く、長さは30〜60cmになる。
葉は互生し、羽状複葉。小葉は長さ6〜7mmの狭長楕円形で、4〜6対付く。
葉先の巻きひげは、葉が変化したもので1〜2分する。
花期は4月〜6月で、長い花枝の先に1〜3個(2個が多い)付く。
花の長さは5mm前後で、花色は淡青色〜淡紅紫色。旗弁に脈状の模様がある。
果実は長さ10〜13mmの豆果で、無毛。種子が3〜6個(4個が多い)入っている。
豆果は淡褐色〜褐色に熟し、種子は球形で、ウズラの卵のよう斑紋がある。

※ スズメノエンドウやヤハズエンド[カラスノエンドウ]と比較したものをこちらに掲載しました。

2021/5/11
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたカスマグサです。
この辺りではあまり多くはないようで、ひっそりと他の草に紛れて花を付けていました。

スズメノエンドウ(Vicia hirsuta)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属>
 
マメ科ソラマメ属のつる性の越年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、ユーラシア大陸などの温暖帯に広く分布する。
葉は、12〜14枚の小葉からなり、先端は巻ひげになる。
花期は4月〜6月で、花は葉腋から伸びた柄の先に4個前後付き、花色は、白に近い淡青色。
豆果は、長さ6〜10mmで短毛があり、下向きに付く。豆は2個入っていることが多い。

※ カスマグサやヤハズエンド[カラスノエンドウ]と比較したものをこちらに掲載しました。

2021/5/11
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたスズメノエンドウです。
ここではヤハズエンドウと混生していて、右の写真では豆果の大きさの違いが良く分かると思います。

   
2022/4/20
昨年は、ちょっと時期が遅かったこともあって、花の写真がきれいに撮れませんでした。
それで、今回、花や豆果、花の付き方などをアップで撮影したものです。

ヤハズエンドウ(Vicia sativa subsp. nigra)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属>

地中海沿岸が原産の帰化植物で、越年草。日本では、全国的に分布している。
標準和名は「ヤハズエンドウ」であるが、「カラスノエンドウ」という名前が一般には知られている。
いたるところで極普通に見られる雑草であるが、古代には食用にされていた。
草丈はつる性で10〜30cmになる。茎は全体に毛があり四角柱状。
葉は偶数羽状複葉で、小葉は4〜8対。葉の先端は2〜3分岐した巻ひげとなる。
小葉は有毛で、先が浅く凹んだ形が矢筈(やはず)に似ているのが和名の由来。
托葉は深い切れ込みがあり、褐色の腺点(花外蜜腺)が付くのが特徴である。
花期は3月〜6月で、花は葉腋に数個付き、長さ12〜18mmの紅紫色。
旗弁の裏は色が薄く、花柄はほとんど無い。萼は5裂して先が尖り、萼歯は萼筒より短い。
豆果は斜上し、扁平で長さ3〜5cmで、5〜10個の種子が入っている。
熟すと真っ黒になって2つに裂け、果皮がよじれて黒い種子をはじき飛ばす。

※ カスマグサやスズメノエンドウと比較したものをこちらに掲載しました。

2021/5/11
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたヤハズエンドウです。
残念ながら、花は終わってしまったようで、ここでは豆果だけになっていました。
なお、右手の小さな豆果は、スズメノエンドウの豆果です。

 
2022/4/20
鈴鹿パーキングエリアの空き地で見かけたヤハズエンドウで、まだ、花が見られました。
昨年、土山サービスエリアでは花は終わっていたので、花の写真を掲載します。


2022/4/20
ここでは、スズメノエンドウと棲み分けている所が多いのですが、混生している所もあります。
両方の花が並んでいる所があったのですが、位置的に両方にピントが合う所がありません。
仕方がないので、各々にピントを合わせて撮ったものを合成したのが上記の写真です。
花の大きさはもちろんですが、花の付き方や葉の形、巻ひげなどの違いが良く分かると思います。

ナヨクサフジ(Vicia villosa subsp. varia)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属>


 
マメ科ソラマメ属のつる性の1年草または越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
茎は良く分枝して、他の物に巻き付いて広がり、長さ2mほどになる。
葉は互生し、羽状複葉で頂片は巻ひげとなる。小葉は狭楕円形で、10対ほどある。
基部には不規則な形状の托葉がある。
花期は5月〜8月で、葉腋に花序を出し、長さ15oほどの蝶形花を1方向に穂状に付ける。
花色は、咲き始めは淡紅色であるが、徐々に淡紫色になる。
旗弁の爪部(筒状部)が長く、旗弁の舷部のほぼ倍の長さがある。
萼筒はほぼ無毛で、花柄が萼筒の下側に付くので、基部の丸く膨らんだ所が後に付きだす。
なお、和名は「弱草藤」で、ナヨナヨとしたクサフジを意味している。

2021/5/11
鈴鹿PAを散策中、所々でナヨクサフジが群落を作っており、写真のものは特に大きかったものです。
ここのナヨクサフジの花色は濃赤紫色で色が濃い目です。まだ、咲き始めて間もないからでしょうか。

   
2022/4/20
昨年とは異なり、今年は開花して時間が経っているようで、よく見る花の色です。
旗弁の色は濃く、翼弁や舟弁が淡紫色になって、ツートンカラーになっています。

ヤマフジ(Wisteria brachybotrys)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・フジ連・フジ属>
 
マメ科フジ属の落葉つる性木で、在来種。
日本では、本州の近畿以西から四国、九州に分布し、山野に普通に見られる。
公園などで植栽として利用される場合は、藤棚を作って這わせることが多い。
ツルの巻き方は左巻(上から見て反時計回り)で、フジの右巻とは真逆。
葉は互生し、長さ15〜25cmの奇数羽状複葉で、葉柄がある。
小葉は長さ4〜7cmの長楕円形で、両面に細毛があり、先が尖って、縁は全縁。
花期は4月〜5月で、花序は10〜20cmと短めで、枝先に垂れ下がる。
花は長さ2〜3pの蝶形花で、萼片は5個。萼は有毛。
フジ[ノダフジ]とヤマフジの区別は、下記の点で行える。
・ヤマフジの花序は10〜20cmと短めで、フジは20〜80cmと長い
・ヤマフジのツルは左巻(上から見て反時計回り)で、フジは右巻

2021/4/22
土山サービスエリアを散策中、レッドロビンの植え込みの裏で、ヤマフジが咲いていました。
フジ(ノダフジ)に比べると、花序が短く、あまり垂れ下がらないので、花序の形で分かりました。
花序が1m以上になる品種もあるフジ(ノダフジ)と比べると、コンパクトで可愛らしい感じです。


フジ[ノダフジ]とヤマフジ

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<フジ[ノダフジ]>              <ヤマフジ> .
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    <牛島の藤 樹齢1200年>       <足利フラワーパークの大藤 樹齢150年>
フジ[ノダフジ]とヤマフジはツルの巻き方が逆で、花のない時はその巻き付き方で判別できます。
ただ、花のある時は、花序の長さに大きな違いがあり、その花序を見るだけでも判別可能です。
フジ[ノダフジ]には、花序の1m以上になる品種もあり、長尺藤とか大藤と呼ばれています。
下段がその藤で、樹齢1200年といわれる牛島の藤は、特別天然記念保存木になっています。
足利フラワーパークでも、樹齢150年と言われている大藤が見られます。
どちらも巨大な藤棚になっていて、風に揺らめくフジの花序は見ていて飽きません。


セイヨウミヤコグサ(Lotus corniculatus var. corniculatus)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ミヤコグサ連・ミヤコグサ属>
 
マメ科ミヤコグサ属に属する多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
草丈は10〜50cmで、長い直根があり、茎は地を這い、先でやや寝るか斜上する。
葉は互生し、3出複葉で、基部にある1対の托葉は小葉と変わらないため、5小葉に見える。
小葉は長さ5〜20oの卵形〜倒卵形で、多くは毛がまばらに生えるが、稀に無毛。
花期は4月〜10月で、葉腋から花茎を立ち上げ、先に3〜7個の花を散形状に付ける。
花は長さ10〜16mmの蝶形花で、竜骨弁の先が嘴状に伸びる。オシベは2個。
萼は長さ5〜8oで先は5裂する。裂片は萼の筒部と同長またはやや短い。
果実は長さ4cmほどの細長い莢となり、放射状に付くので鳥の足のように見える。
2020/7/10
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたセイヨウミヤコグサです。
世の中、セイヨウミヤコグサの方が幅を利かせていて、ミヤコグサがどんどん減っているそうです。
ただ、私はミヤコグサは見たことがあるのですが、セイヨウミヤコグサは今回が初見です。



 
2021/5/11
土山サービスエリアの駐車場脇の縁で、ムラサキツメクサの隣で咲いていたセイヨウミヤコグサです。
淡紅紫色の花と黄色い花が並んで咲いていると、結構目立ちます。


ミヤコグサとセイヨウミヤコグサ

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  <ミヤコグサ>        <セイヨウミヤコグサ>
ミヤコグサとセイヨウミヤコグサは、見た目は大変似ています。
区別点は、例外はありますが、全体に花茎の先に付く花数が異なることです。
ミヤコグサの1〜4個に対して、セイヨウミヤコグサは3〜7個と多いことで区別できます。


イタヤカエデ(Acer pictum Thunb. subsp. mono)
<ムクロジ目・ムクロジ科・カエデ属>


 
ムクロジ科カエデ属の落葉高木で、在来種。
亜種や変種など種類が多く、総称としてイタヤカエデが使われることが多い。
品種には、アカイタヤ、エゾイタヤ、オニイタヤ、エンコウカエデなどがある。
かお、漢字で書くと板屋楓で、葉が空を覆う様を板葺きの屋根に見立てたことに由来。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の山地の沢沿いの日向に多い。
海外では、朝鮮半島からアムール地方、サハリンに分布する。
樹高は15〜20mで、直径は1mに達する。
幹は暗褐色、平滑、老木になると樹皮が縦に浅裂する。
葉は対生し、葉柄は4〜12cm、葉身は幅6〜20cmの扁円形。
全縁で掌状に5〜7浅裂し、裂片の先は鋭く尖る。葉の基部は浅い心形。
表面は無毛で光沢があり、裏面の脈腋には淡褐色の毛叢がある。秋に黄葉する。
なお、葉の裂け方には変異があり、浅いものから深いものまで見られる。
花期は4月〜5月で、葉の展開前に枝一杯に黄緑色の花を房状に付ける。
雌雄同株で、雄花と両性花が混生する花序と雄花のみの花序がある。
花は直径5〜7mmで、花弁と萼片は各々5個あり、共に平開する。
オシベは8個あり、両性花には2裂した柱頭がある。
分離翼果は2個の分果よりなり、直角〜鋭角に開き、9月〜10月に熟す。
早春、幹に傷をつけるとサトウカエデなどと同様に甘みのある樹液が採取できる。
この樹液を40倍位に煮詰めるとシロップ(カエデ糖/メープルシロップ)ができる。

2022/4/20
鈴鹿PAの下り側駐車場脇の植栽にイタヤカエデが使用されており、ちょうど開花していました。
最初に見た時、オオモミジではと思ったのですが、葉が全縁で鋸歯が見られません。
葉の特徴からモミジの仲間だと思ったのですが、全縁の樹種は見たことがありません。
後で調べていて、イタヤカエデは全縁だと分かりました。ただ、葉の形が合いません。
さらに調べていると、いろいろな品種があり、葉の切れ込みもいろいろあると分かりました。
品種までは分かりませんが、葉の切れ込みが深い種類のようです。
なお、花はイロハモミジなどと異なり、モミジの仲間では大きくて立派な花です。
残念ながら、花被片が黄緑色で、新葉の色と同じなので、最初、花に気が付きませんでした。

イロハモミジ(Acer palmatum)
<ムクロジ目・ムクロジ科・カエデ属>
 
ムクロジ科カエデ属の落葉高木で、本州の福島県以南から四国、九州に分布する。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾と東アジアに分布する。
日本では最もよく見られるカエデ属で、秋には黄褐色から紅色に紅葉する。
樹高は8〜15mで、幹は緑褐色〜淡灰褐色、平滑、古木になると樹皮に縦の割れ目が入る。
葉は対生し、掌状に5〜9深裂し、この裂片を「いろはにほへと……」と数えたことが和名の由来。
花期は4月〜5月で、本年枝の先に暗赤色の花が垂れ下がってつく。雄花と両性花がある。
5個の暗紫色の萼片と、5個の黄緑色もしくは紫色を帯びる花弁を持つ。
オシベは8個あり、雄花の花糸は長さ3〜4mmあって、花から突き出す。
両性花のオシベは短い。子房は無毛で、花柱は長くて、柱頭は2裂する。
果実は翼果で、10〜15mm程の翼があり、翼が水平から鈍角に開く。
この翼は、開花時に子房から左右に出ているのが確認できる。

2022/4/20
鈴鹿PAの上り側駐車場脇の植栽にイロハモミジが使用されており、ちょうど開花していました。
下り側はイタヤカエデでしたので、上りと下りで樹種を変えているようです。
イロハモミジも個体差か、葉がしっかり開いたものと、まだ、開きかけのものがありました。
左の写真は葉が開いていた個体で、多くの雄花が開花してました。
右は葉が半開き状態の個体で、ツボミが多く、開花している多くは雌花で、雄花は見当たりません。

タカサゴユリ(Lilium lancifolium)
<ユリ目・ユリ科・ユリ属>

ユリ科ユリ属の植物の多年草で、台湾固有種。
日本では、1924年に園芸用に移入された帰化植物として全国に分布する。
草丈は70〜150cmで、黄色味を帯びた百合根状の鱗茎から直立茎を出し、ときに紫赤色を帯びる。
葉は互生し、長さ5〜15cm、幅1cmほどの狭披針形で、やや密に付ける。
花期は7月〜9月で、茎の上部に長さ15cm、直径13cmほどのラッパ上の花を1〜数個散房状に付ける。
花はやや下向きに咲き、白い花被片は6個で、外花被片は外面に紫褐色を帯びる。
花糸は長さ10cm前後で基部近くにわずかな結節がある。花柱は長さ6〜7cmある。
刮ハは長さ7〜9cmで幅は2cmほどで、3室ある。種子を多く付け、風で運ばれて分布を広げる。
タカサゴユリは、着床後、1年目は数枚の細長い葉のみ出して、球根に栄養をため込む。
翌年には花茎を伸ばし、花を咲かせるが数は少ない。さらに球根に栄養をため込む。
3年目にはさらに大きな花茎を伸ばし、多くの花を咲かせる。しかし、よく年以降は消える。
タカサゴユリは、連作障害が出やすいと言われる所以である。
そのため、一時的に勢力を広げ、大きな群落を作っても何年かで消えて、他の場所に移っていく。

2022/10/17
湾岸長島PAの足湯でのんびりした後、周辺を散策中に見かけました。
以前、この辺りで芽吹いたばかりのタカサゴユリの群落を見ていたので、その後の姿のようです。
それにしても大きな株ばかりが群生していて、大きな果実がたくさん付いています。
来年くらいになると、この場所からは消えてしまっているかもしれませんね。
多くの果実から種子を風で周辺にばらまき、何年か後にはもっと大きな群落を作っているかもしれません。
ところで、和名の「タカサゴ」は、原産地の台湾の別名「高砂国」に由来するのでしょうか。

オオシロカラカサタケ(Chlorophyllum molybdites)
<ハラタケ目・ハラタケ科・オオシロカラカサタケ属>


 
オオシロカラカサタケは傘の直径が20cm程までになる中型〜大型のきのこ。
幼菌時は淡褐色の表皮に包まれているが、成長すると表皮は裂けて傘の表面にササクレ状になって残る。
傘の形は幼菌時は球形で、成長につれ饅頭型に変化し、最後は平らに開く。
ヒダは、最初は白いが、成長につれ青紫色から暗褐色へと変化する。
本種は、毒キノコで、食べると嘔吐、下痢、腹痛などの消化器系の中毒症状を呈する。

2019/6/19
土山サービスエリアで夜景を撮影中、足元を見ると大きな白いキノコが傘を開いていました。
見たことがあるなと思っていたのですが、後で調べるとオオシロカラカサタケでした。
左側の大きな方は、傘の直径が15cmほどもありました。









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