ホーム兵庫県 ブラブラ録>播州地方で見かけた野草(夏V)


播州地方で見かけた野草(夏V)



実家近辺や兵庫県内などを移動する際に見かけた野草です。
といっても、出かけた際にちょこっと撮影しただけのため、あまり多くはないです。
今後、機会を見つけて充実させていきたいと思っています。

< トピック >
下記の写真を追加しました。
アキノタムラソウ、ホザキノミミカキグサ、セリ、ナス(白ナス)



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
シソ目
オオバコ科(ウキアゼナ)
キツネノマゴ科(キツネノマゴ)
キリ科(キリ)
クマツヅラ科(アレチハナガサ、ヤナギハナガサ、タイワンレンギョウ)
ゴマ科(ゴマ)
シソ科(アキノタムラソウ、スペアミント、ペパーミント、ヤグルマハッカ、
    クサギ、タツナミソウ、ハナトラノオ、コムラサキ)
タヌキモ科(ホザキノミミカキグサ)
ハエドクソウ科(トキワハゼ)
モクセイ科(トウネズミモチ)
セリ目
ウコギ科(タラノキ)
セリ科(セリ、ノラニンジン、ヤブジラミ)
ナス目
ナス科(クコ、イヌホオズキ、トマト、ナス、ヒロハフウリンホオズキ、ホオズキ)
ヒルガオ科(ネナシカズラ、アサガオ、アメリカアサガオ、マルバアメリカアサガオ、
      ハマヒルガオ、ヒルガオ)
播州地方で見かけた夏の野草(夏V)
和名インデックス


ウキアゼナ(Bacopa rotundifolia (Michx.) Wettst.)
<シソ目・オオバコ科・オオアブノメ連・オトメアゼナ属>

浮葉性または抽水性の湿生植物で、熱帯魚用の水草として輸入され、逸出したものと考えられている。
日本では、本州の関東以西、四国、九州で自生が確認されている。海外では東アジアにも帰化している。
水中の泥の中から芽生え、茎はよく発達して分枝し、節から発根して広がり、長さは20〜60cmになる。
茎の内部は通気組織が発達、若い茎には軟毛が密に生えるが、成長すると無毛となる。
葉は対生し、柄がなく、長さ15〜30mmの広楕円形〜広倒卵形で、厚みがあって柔らかく先は丸い。
葉面には掌状に走る3〜7本の脈があり、両面ともに無毛で、縁は全縁である。
花期は6月〜9月で、上部の葉腋に数個付き、花柄の長さは10〜15mm前後。
花冠は白色で中心部が淡黄色を帯び、直径は8〜10mmで4〜5裂する。
萼片は5個で、長さ4〜5mmの半透明な膜状。外側の2個は内側の3個よりも幅が広い。
オシベは5個で、花弁の基部に付き、花糸の長さ1〜2mmになる。
メシベは1個で、長さは3mm前後あり、花柱の先は2裂して先が膨らむ。
花は1日花で、花後には花茎が屈曲して下垂し、卵形の刮ハは萼に包まれ、水中に没する。

2017/8/17
実家近くの側溝の中で、その一画を埋め尽くすように広がっているものがありました。
白い小さな花がたくさん付いていますが、見たこともない野草でした。
後で調べると、ウキアゼナという浮葉性の湿生植物で、水槽用に輸入されたものと分かりました。
それにしても繁殖力は、一画をびっしりと埋め尽くすほどにすさまじいものです。


2020/8/7
久しぶりに覗いてみると、まだ、田んぼの中でウキアゼナは生き残っていました。
ただ、数はずいぶん減っていて、見た範囲ではこの株だけが残っていました。

キツネノマゴ(Justicia procumbens var. procumbens)
<シソ目・キツネノマゴ科・ハアザミ亜科・キツネノマゴ連・キツネノマゴ属>

キツネノマゴ科キツネノマゴ属の1年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布している。
海外では中国、台湾から東南アジア、インド、ネパールなどに分布する。
草丈は10〜40pほどで、茎には6稜があり、下向きの曲った短毛が生える。
葉は対生し、長さ3p前後の卵形で先が尖り、縁は全縁。
花期は8月〜10月で、枝先の穂状花序に淡紅紫色の唇型の花を、同時に数個咲かせる。
長さ8o程で、上唇は先が2裂して小さく、下唇は先が3裂して丸く大きい。
下唇の中央に白い掌状の模様があり、その周囲が色が濃くなる。
オシベは2個で、上唇に沿うように付く。苞が1個と小苞2個が付き、萼は5深裂する。
ただし、萼片の1つは小さく糸状。また、萼と苞は縁が膜質で白い長毛がある。

2022/8/16
網引湿原入口の駐車場で、法面の上部でキツネノマゴが花を咲かせ始めていました。
他の雑草に紛れて、ポツリポツリと咲いているので、注意していないと気が付かないでしょう。

キリ(Paulownia tomentosa)
<シソ目・キリ科・キリ属>

キリ科キリ属の落葉広葉樹で、原産地は中国とされる。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州と全国で植栽されている。
樹高は10mほどになり、樹皮は灰褐色で、多くの皮目がある。枝は楕円形の皮目が目立つ。
成長の早い木で、数年で樹高は5mに達し、6〜7年で花を付け始める。
葉は対生し、葉身の長さは15〜30cm、幅は10〜25cmと大きく、若木程、葉身は大きくなる。
葉身は3〜5裂して、三角形状や5角形状になる。葉柄は5〜20cmになる。
花期は4月〜5月で、葉が展開する前に枝先に大きな円錐花序を付け、淡紫色の筒状の花を多数付ける。
花冠は長さ5cm前後の筒状鐘形で、上部は5裂し、裂片は平開する。花冠の外面には短い軟毛が密生する。
萼は茶褐色の毛が密生する。雄しべは4個で、下側の2個は長い。
果実は刮ハで、長さ3〜4cmの卵形で、先端は尖っている。
初冬に熟すと2裂するが、完全には開かず、多くの種子を少しずつ風に乗せて飛ばす。
材は軽量で、湿気を通さず、割れや狂いが少ない良質で、福島県の会津桐、岩手県の南部桐が有名。

2020/8/14
久しぶりに川岸を散歩していると、橋の袂にキリの木が大きく葉を広げていました。
この場所には、かなり前からあったように思いますので、背は低いのですがかなりの古木です。
そのため、若木のように数十cmになるような大きな葉はなく、大きくても20cm前後でした。


2020/11/5
夏に見かけたキリの木ですが、茎頂にモコモコした淡褐色のものが付いていました。
見た目から果実のように見えたのですが、調べたらツボミと分かりました。
考えれば、8月には何もなく、花期は来春なのだから果実の訳がないですよね。

翌春に咲いたキリの花に関しては、こちらを参照ください。




2022/7/8
実家近くの小学校の近くを散歩中、キリの木が大量の果実を付けていました。
キリの花は見たことがあるのですが、キリの果実を見たのは初めてになります。
果実は長さが3cmほどと大きく、それが鈴なりになっていたので、最初、何だか分かりませんでした。
葉を見て、それがキリの果実だと分かった次第。よく見ると、昨年の暗褐色の果実も残っていました。
熟した果実が裂開するのは初冬で、春まで中の種子を散布し続けるそうです。
既に種子はないと思いますが、果実の殻の部分が落ちずに残っていました。


2022/7/16
昨年の果実の殻を撮っていなかったので、撮りに行ってきました。
半開状態の殻は、内部が2室に分かれているのが分かります。

アレチハナガサ(Verbena brasiliensis)
<シソ目・クマツヅラ科・クマツヅラ連・クマツヅラ属>

クマツヅラ科クマツヅラ属の多年草で、南アメリカ原産の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州に分布しており、分布域を広げつつある。
草丈は1〜2mで、綾のある四角形の茎は直立して粗い毛がありざらつく。上部でよく分枝する。
葉は対生し、茎葉は長さ5〜10cmの広線形で、下部の茎葉は中ほどから先に鋸歯がある。
上部の茎葉は線形になって先が鋭く尖り、鋸歯もなくなる。いずれも無柄で基部は茎を抱かない。
花期は6月〜8月で、茎の上部に長さ3〜7cmび穂状花序を多数付ける。
淡青紫色の花冠は直径3o程で、5裂する。萼や苞は、共に長さ3o前後。
花は花序の基部から徐々に咲き登り、秋には細長い穂状花序になる。

2017/8/17
実家近くの道路脇で見かけたアレチハナガサです。
下記の終わりも近いので、穂状花序がかなり長く伸びていました。


2019/6/26
実家近くを散歩しているとき、道路脇の空き地にアレチハナガサが咲いていました。
まだ、花を咲かせ始めて間もないようで、ツボミのような形の花穂の基部が開花しているだけでした。
そのため、穂状花序の見た目がヤナギハナガサのような形です(花の筒部の長さが異なります)。

 
2021/6/24
実家近くの川の土手には、アレチハナガサのちょっとした群落があります。
今年もたくさんの枝を叢生して、非常に多くの花を咲かせています。
花が小さく、あまり見栄えはしませんが、それでもこれほど固まっているとインパクトはあります。

ヤナギハナガサ(Verbena bonariensis)
<シソ目・クマツヅラ科・クマツヅラ連・クマツヅラ属>

2012/8/11                 2016/11/11
クマツヅラ科クマツヅラ属の多年草で、南アメリカ原産の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州に分布している。
草丈は1〜1.5mで、四角形の茎は直立して粗い毛があり、中空。根元から開いた株立ちになる。
葉は対生し、茎葉は長さ7〜15cmの線形で、葉幅は先までほとんど同じで、基部は茎を抱く。
葉の先端から2/3程には不揃いな鋸歯がある。なお、若葉の頃には中央部が膨れた広線形になる。
花期は6月〜8月で、茎の上部に穂状花序を出すが、長さは5〜15mmと短い。
淡紅紫色の花冠は直径は5o程。長さが10o程ある筒状の花で、花序から長く突き出る。
萼や苞は、共に長さ3o前後。花冠、萼、苞、花柄には長い白毛と短い腺毛が密生して粘る。
花が咲き進むと花序は伸長するが、アレチハナガサ程にはならない。

2012/8/11 実家近くの道路脇で見かけたヤナギハナガサです。
2016/11/11 上記とは異なる道路脇ですが、季節外れのヤナギハナガサが咲いていました。
花期を大幅に過ぎて寒さも厳しくなってきた晩秋ですが、元気に花を咲かせていました。

タイワンレンギョウ(Duranta erecta)
<シソ目・クマツヅラ科・デュランタ属>


クマツヅラ科デュランタ属の常緑低木で、熱帯アメリカが原産の帰化植物。
最近は「デュランタ」が通称となっているが、和名はタイワンレンギョウ、ハリマツリである。
原産地では常緑樹であるが、暖地以外では秋から冬に落葉する。
樹高は0.5〜5mで、枝には刺があり、若枝には毛がある。
葉は対生し、葉身は長さ2〜6cmの卵形〜披針形で、縁は全縁か粗い鋸歯がある。
花期は6月〜10月で、長く垂れ下がる枝先に総状花序をつけ、濃い青紫色や淡青色の花を咲かせる。
花は直径10〜15mmの漏斗状で、花冠筒は長さ7〜10mm、5裂して裂片は平開する。
花後に円錐状のくちばしが付いた、直径5〜7mmの黄色い核果を付け、長く枝に残る。

2012/8/11
実家の庭に咲いていたタイワンレンギョウです。花の形はニオイバンマツリに似ています。
ただ、本種はシソ目で、ニオイバンマツリはナス目です。花の付き方も全く異なります。
花がないとき、直ぐ側にあるブッソウゲと葉の特徴などが似ているため、株が増えたと思っていました。
花が咲いているのを見て、タイワンレンギョウであることを認識しました。
ブッソウゲ(ハイビスカス)はアオイ目、本種はシソ目で、全く異なる種なのですが、葉のみの時は似ています。


2020/8/14
久しぶりに川岸を散歩しているとき、土手の法面にタイワンレンギョウが咲いていました。
植えたと思える場所ではないので、捨てられたものが根付いたのではないかと思います。
実家にあるタイワンレンギョウよりも紫色が濃く、それが個体差なのか、地植えだからかは不明です。


2020/11/5
花期も終盤となり、咲き残っている花に混じって、黄色く熟した果実がいくつか付いていました。

ゴマ(Sesamum indicum)
<シソ目・ゴマ科・ゴマ属>

ゴマ科ゴマ属の1年草で、原産地はアフリカ大陸説が有力。
日本でも栽培はされているが、主な生産地は中国やインド。
草丈は1mを超え、葉腋に薄紫色の花を付ける。
白ゴマ、黒ゴマ、黄ゴマ(金ゴマ)など、種子の外皮の色によって分類される。
欧米では白ゴマ、アジアは白ゴマ、黒ゴマが半々、金ゴマは主にトルコで栽培される。

2012/8/12
実家近くの家の庭先に植えられていたゴマです。かなり大きく育ち、花を次々と咲かせています。
茎先の方には、小さなツボミがたくさん付いていて、花の下部には大きくなった果実が付いていました。
撮影していると、セイヨウミツバチが吸蜜のために訪花してきました。

アキノタムラソウ(Salvia japonica)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・アキギリ属>
 
シソ科アキギリ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は20〜50cmほどで、茎は角張った四角形で、真っ直ぐに立ち上がる。
葉は対生し、単葉から奇数羽状複葉(小葉は3〜7個)。小葉は長さ3cm前後で広卵形。
花期は7〜11月と長く、茎の上部に10〜20cmの花穂を出す。
花は花穂に5〜10段ほど輪生し、長さ15o前後の淡紅色〜青紫色の唇型。
花冠の外側に白い毛が多数付き、2本のオシベは最初上唇に付くように伸び出す。
葯が開くと、花糸が下方外向きに湾曲する。

2022/8/9
網引湿原の奥池脇の通路沿いで見かけたアキノタムラソウです。
この辺りに数本が固まって花茎を立ち上げて、花を付けていました。


   2023/7/25             2023/7/25         2023/8/5
2023/7/25 網引湿原の奥池脇の通路沿いで、アキノタムラソウが咲き始めていました。
2023/8/5 2週間弱で、花序が伸びて咲いている花も増え、かなり咲き上ったものもありました。

スペアミント(Mentha spicata)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・ハッカ属>

シソ科ハッカ属の多年草で、地中海沿岸が原産地。
日本では、各地で栽培されているが、一部で野生化している。
世界的には、ヨーロッパから西アジア、中東、アメリカと広く移入分布する。
草丈30〜60cm程で、葉は対生し、槍の穂先のように尖った長楕円形です。
葉の縁には鋸歯があり、葉脈はペパーミントとほど明瞭ではない。
夏から秋にかけて茎の先端に長さ5cm程度の花穂を伸ばし、そこに白から淡紫色の花を多数つける。
不稔性であることが多く、地下茎により栄養繁殖する非常に繁殖力が強い。
スペアミントには、以下のような種類がある。
●Mentha spicata/Mentha viridis:全草の色からミドリハッカ、伝来地からオランダハッカと呼ばれる。
●Mentha spicata var. crispa:葉が縮れていることからチリメンハッカ、カーリーミントと呼ばれる。
●Mentha × gentilis/Mentha cardiaca:ジンジャーミント、スコッチ種と呼ばれる栽培品種である。
●Mentha longifolia/Mentha silvestris:葉が長くて毛があることからナガバハッカ、ケハッカと呼ばれる。
 ※ なお、ハッカ属は交雑しやすく、形質遺伝が不安定なため、形態のみからの正確な分類は困難。

スペアミントはl-メントールを含まず、l-カルボンとリモネン(柑橘系に多い)を含むため、香りは柔らかい。
※ スペアミントの交雑種であるペパーミントやニホンハッカの主成分はl-メントールで、香りは強い。

2012/8/12
実家近くの川の土手で、スペアミント(おそらくミドリハッカ)が花を付けていました。
自宅近くでも野生化したものが見られましたが、こちらでも野生化したものが増えているようです。


2019/6/26
実家近くを散歩中、道路脇で見かけたスペアミントの花です。
以前撮った写真は咲き終わりに近い、半分以上が枯れた状態でしたが、今回は咲き始めです。
開花している花穂が数本ほどしかなく、これからどんどん咲き始めるものと思います。


 2021/4/16                2021/6/17     .

2021/6/17                 2021/6/17    .
2021/4/16 実家近くの川沿いを散歩中、土手下でスペアミントがたくさん茎を伸ばしていました。
2021/6/17 その場所を通りかかったとき、花序が伸びて、花が咲き始めているのに気が付きました。
他の花もそうですが、咲き始めの頃は、花数も少なくて初々しさを感じます。

ペパーミント(Mentha x piperita L.)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・ハッカ属>

シソ科ハッカ属の多年草で、和名はコショウハッカ、セイヨウハッカである。
スペアミントとウォーターミントの交雑種であるといわれ、原産地はヨーロッパ大陸。
ハーブの1種で、主成分はl-メントールであるが、含有量がニホンハッカの半分強と少ない。
そのため、本格的な生産には至らず、家庭用ハーブとして栽培されてきた。それが逸出して野生化している。
草丈は80〜100cmで、地中を横走する根茎から茎を直立させ、よく分枝する。茎には4稜がある。
葉は対生し、葉身は長さ5〜8pの楕円形で先が尖り、縁には鋸歯がある。
花期は7月〜9月で、茎先の節毎に数十個の花を何段にもわたって固めて付け、全体として長い穂となる。
花は淡紫色の小さな唇形花で、4裂した花冠の上片のみがさらに2浅裂する。
オシベ4個とメシベ1個は花冠から飛び出す。なお、メシベの柱頭は2裂する。

2012/8/12
実家近くの道路脇でペパーミントが花を付けていました。
最初、種類が分からなかったのですが、花序の付き方や花の特徴から、本種としています。
なお、ハッカ属には似たものも多く、間違っている可能性もあります。

ヤグルマハッカ(Monarda fistulosa)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・ヤグルマハッカ属>

シソ科ヤグルマハッカ属の多年草で、北アメリカ原産で、テキサス州南部に分布してる。
北アメリカには、本種を含み、約20種ほどが分布している。
観賞用としてよく利用されるのは、本種とタイマツバナ(Monarda didymae)の2種。
名前は、花の付き方が鯉のぼりの矢車に似て、葉に薄荷のような芳香があることに由来する。
草丈は60〜150cmほどで、茎は叢生して密に生え、茎は中空で細い。
葉は対生し、葉身は長卵形で先が尖り、軟毛が生える。
花期は6月〜8月で、茎頂に直径4〜6cmほどの頭花を付ける。
頭花は唇形花の集合体で、唇形花が放射状に付き、花色は淡紫色から白色。

2017/6/30
実家近くを散歩中に見かけたヤグルマハッカです。
2色植えられていましたが、ピンクの方はあまり生育が良くないようです。


2019/6/29
実家の庭に植えられていたヤグルマハッカです。ちょうど満開に近い状態でした。
まだ、ツボミ状態の頭花が2本だけ残っていましたので、並べてみました。

クサギ(Clerodendrum trichotomum)
<シソ目・シソ科・キランソウ亜科・クサギ属>

シソ科クサギ属の落葉小高木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州のに分布し、日当たりのよい原野などに生える。
樹高は4〜8mで、樹皮は灰色〜暗灰色。多数の皮目がある。
葉は対生し、長さ8〜15cmの三角状広卵形で、葉柄も含めると30cmほどにもなる。
葉は柔らかくて薄く、毛が密集する。裏面には腺点がある。
花期は7月〜9月で、集散花序に多数の白い花を付ける。萼は5残裂する。
筒部は紅紫色で、長さ20〜25oで細く、花冠は5裂して白い裂片は平開する。
その平開した花冠から、オシベとメシベはさらに突き出す。
10月〜11月に萼が濃紅色になり、直径6〜8mmの果実が藍色に熟す。
さらに熟すと果実は黒くなり、萼片は反り返って、果実が落果する。

2012/8/11,12
実家近くを散歩中、河岸から突き出すように枝を伸ばし、花を付けているクサギを見かけました。
手持ちのレンズでは花のアップが撮れなかったので、翌日、花のアップを撮影し直しました。



2020/8/14
クサギの樹ですが、以前見かけたときよりも、一回りも二回りも大きくなっていました。
既に花のピークは過ぎているようで、枯れた花が多くなっています。
そんな花の隣に、若いクサギが数本、茎を立ち上げていました。
神奈川の城山湖畔で見かけた若いクサギを知っているので、直ぐに分かりました。
※ この葉姿だけ見ると草に見え、調べるのにずいぶんと手間取りました。




2021/8/22
今年も土手でクサギがたくさんの花を咲かせていて、ミツバチなどが訪花していました。
下段は花の咲く様子で、左からツボミ、中央は開花した花で、オシベやメシベが突き出します。
右端は花後で、上段の写真左下のように花冠が筒部から落下し、紅紫色の萼片が残ります。


2021/8/31
1週間ほど経った頃に近くを通ると、花はすっかり咲き終わり、赤い萼が目立っていました。
よく見ると、紅紫色の萼片の隙間から、淡緑色の若い果実が顔を覗かせています。
秋には、果実は真っ黒に熟し、紅紫色の萼片が開いて、また、花が咲いたように艶やかになります。

タツナミソウ(Scutellaria indica)
<シソ目・シソ科・タツナミソウ亜科・タツナミソウ属>

シソ科タツナミソウ属の多年草で在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では、アジアの東部や南部に分布する。
草丈は20〜40pほどになり、茎は四角形で白い軟毛が密生する。
葉は対生し、葉身は3pほどの広卵形で、基部は心形。縁には鋸歯があり、両面に軟毛がある。
花期は5〜6月で、茎頂に数pの花穂を出し、一方向に偏って花を付ける。
花色は、青紫色が多いが、淡紅紫色や白色のものもある。
花冠は唇型で、20o前後と筒部が長く、基部で急に曲がって立ち上がる。
上唇は盛り上がり、下唇は3裂して、中央部に濃紫色の斑紋がある。
萼も唇型で、上下に分かれ、上唇の背の部分が丸く立ち上がる。
花後、萼はやや長くなって、萼の上唇が丸い皿型に、その下で下唇が受け皿のようになる。
上下の萼で種子が包み込まれ、成熟すると上唇が取れて分果が落ちやすくなる。

2022/6/18
網引湿原のバイオトイレと最初の獣害防止ゲートの間で、通路脇で見かけたタツナミソウです。
最初、オカタツナミソウではと思ったのですが、花が一方向に偏っているので本種と分かりました。
花の近くには、花後に萼が大きく皿状になった果実が並んでいました。

ハナトラノオ(Physostegia virginiana)
<シソ目・シソ科・ハナトラノオ属>
 
シソ科ハナトラノオ属の多年草で、北米東部が原産地。
日本には大正時代に渡来し、逸出して野生化しているものもある。
草丈は40〜120cmで、匍匐枝を出して広がり、茎は地下茎から直立する。
茎は無毛で、断面が四角形。あまり分枝せずにまっ直ぐに伸びる。
葉は対生し、長さ5〜15cmの披針形で、鋸歯がある。葉身は濃緑色でやや厚く、無柄である。
花期は7月〜10月で、茎頂に長さ20〜30cmの総状花序を付ける。
花は長さ3cm前後の唇形花で、四方に規則正しく並んで、下から咲き上る。

2020/8/14
実家近くを散歩中に見かけた白いハナトラノオです。
実家の庭にも赤紫色のハナトラノオがありますが、白いものは初めて見ました。
調べてみると、サマー・スノーという品種と分かりました。

コムラサキ(Callicarpa dichotoma)
<シソ目・シソ科・ムラサキシキブ属>


シソ科ムラサキシキブ属の落葉低木で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
自生しているものは少なく、公園や庭などに植生されているものが多い。
樹高は2m程になり、枝先は垂れ下る。葉は対生し、その葉腋上部から集散花序を出す。
淡紅紫色の花冠は長さ3mmほどで、上部は4裂し、裂片は平開する。
果実は3mm程の球形で、初め緑色であるが、熟すに従い鮮やかな紫色になる。

2019/6/30
実家の庭に植えられているコムラサキです。1本は、珍しいと父親が買ってきた白花の品種です。
日当たりの悪い、柿の木の下に植えられているので、花数はちょっと寂しいです。


2020/11/5                 2019/10/4
コムラサキの果実は、通常は左側のように紫色になりますが、白花品は果実も白です。

ホザキノミミカキグサ(Utricularia caerulea L.)
<シソ目・タヌキモ科・タヌキモ属>

 
タヌキモ科タヌキモ属の1年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、アジア〜オーストラリア、グアム、パラオ、マダガスカルに分布する。
草丈は10〜30cmで、白い糸状の地下茎が横に這い、地下茎などに捕虫嚢をつける。
水中や泥中では線形の水中葉を付け、地表付近では気中葉を付ける。
気中葉は、長さ2〜4mmのへら形で、全縁、無毛の鱗片葉である。
捕虫嚢は直径1mm以下の卵球形で、先端に口があり、内側に開く弁が付いている。
プランクトンなどの微生物が近づくと、この弁が開いて、微生物を吸い込む。
なお、食虫植物ではあるが、基本的には葉の光合成によって生活する。
花期は6月〜9月で、花茎に総状花序を出し、4〜10個の花を付ける。
花冠は長さ4〜5mmの紅紫色で、小花柄は極短い。
花弁は2唇形で、上唇は小さく、下唇が大きい。
下唇の基部は膨らみ、仮面部に紫色の地に4個の淡黄色の斑紋がある。
花の基部には前方へ突き出した先の尖った大きな距があり、下唇よりも前に突き出す。
果実は、ほぼ球形の刮ハで、横向きに付き、萼に包まれる。種子は多数入っている。

2022/8/9
網引湿原第2湿原では、多くのホザキノミミカキグサがそこここで小さな群落を作っていました。
途中の通路脇などでも見られましたので、花の拡大写真が撮れました。
下段左の写真で、細い葉が見えていますが、他のイネ科植物の葉です。
下段右は通路脇のものですが、他の雑草に紛れていて根本は見えないので葉は確認できませんでした。


2022/8/16
前回、横からの写真がうまく撮れていなかったので、上からと合わせて撮り直しました。
下唇の下部から前に突き出した距との関係が良く分かると思います。


2023/7/18

2023/8/5
7/18時点でも、かなり花茎を伸ばして花を付けていましたが、8/5の頃にはさらに長くなっていました。
淡い紫色の花はとてもかわいいのですが、とにかく小さいので、遠目では白っぽく見えてしまいます。
網引第2湿原内でも多く見られますが、奥池の通路脇でも見られるので、そこで撮ったものです。
湿原では木道からなので近づきにくいのですが、通路脇では近づけるので、接写には向いています。

トキワハゼ(Mazus pumilus)
<シソ目・ハエドクソウ科・サギゴケ亜科・サギゴケ属>

ハエドクソウ科サギゴケ属の1年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の畑や道端に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、台湾、東南アジア、インドに分布する。
やや乾いた所を好み、地を這うように広がっていることが多いが、走出枝は出さない。
基部に集まる葉は、長さ2〜5cmの卵形で浅い鋸歯がある。茎葉は少なく小さい。
花期は4月〜10月と長く、初春から晩秋まで咲き続け、花期の短いサギゴケとは異なる。
花は総状花序につき、長さ10mm前後の唇形花である。
上唇は紫色〜淡紫色で先が白っぽく、小さく2裂する。
下唇は白色〜淡紫色で、黄色と赤褐色の不規則な斑紋がある。
萼は先が5裂し、花柄や萼には腺毛が多く、萼片の内側や花冠にも腺毛がある。

2020/8/6
実家の裏の畑に、気が付けばトキワハゼがたくさん生えていて、花を付けていました。
可愛らしい花ではあるのですが、畑では雑草なので、除草してしまいました。

トウネズミモチ(Ligustrum lucidum)
<シソ目・モクセイ科・オリーブ連・イボタノキ属>



モクセイ科イボタノキ属の常緑高木で、中国中南部原産の帰化植物で要注意外来生物。
日本では、本州中南部から四国、九州にかけて分布している。
樹高が10〜15mで、幹は灰褐色に粒状の皮目がある。
葉は対生し、長さ6〜12cmの卵形で先が窄まって尖り、全縁。
やや薄い革質で、日にかざすと葉脈が透けて見える(ネズミモチは透けない)。
花期は6月〜7月で、長さ10〜20cmの大型の円錐花序に白い小花を多数つける。
花冠は長さ3〜4mmの筒状で、先が4裂し、筒部と裂片とはほぼ同長である。
裂片の先は尖り、平開から反曲する。オシベは2個で花冠から長く突き出し、メシベの花柱も少し出る。
果実は長さ8〜10mmの楕円形で、10月〜12月頃に黒紫色に熟す。果実は白い粉をかぶる。
なお、よく似たネズミモチとは下記の点で区別する。
・葉を裏面から透かして、葉脈が見えるのがトウネズミモチで、見えないのがネズミモチ
・6月に花が見られるのがネズミモチで、トウネズミモチは6月下旬〜7月に咲く
・花冠からオシベメシベが長く出ているのがトウネズミモチで、ネズミモチは少し出る程度

2022/6/28
実家近くのゴルフ練習場に行った帰り道、小川沿いでトウネズミモチがたくさん咲いていました。
植栽されている訳ではないので、鳥の運んできた種から大きくなった雑木でしょう。
葉裏からも葉脈が良く見えており、オシベが花冠から長く出ているのでトウネズミモチと分かりました。
実家の庭でも、鳥の運んできた種からいろいろな雑木が芽を出すのですが、大概処分しています。
このトウネズミモチもそうですが、かなりな大木になるものもあって、処分に困ることになるためです。
多いのは、シュロやセンダン、トキワサンザシ、トベラなどです。

タラノキ(Aralia elata)
<セリ目・ウコギ科・タラノキ属>

ウコギ科タラノキ属の落葉低木、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州に分布し、山林やその林縁、荒れ地などで見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
樹高は5m以上になり、幹は枝、葉柄や小葉の軸に鋭い棘を持つ。
葉は互生し、長さは50〜100cmに2回羽状複葉。小葉は長さ10cm前後の楕円形で、鋸歯がある。
雌雄同株で、茎頂部に大きな複散形花序をだし、淡緑色の花を多数付ける。
果実は、直径4o程の液果で、秋に黒く熟す。新芽は山菜の「タラの芽」として利用される。

2022/8/27
網引湿原の最初の獣害防止ゲートを入った右手に立派なタラノキがあります。
天然記念物として県指定文化財に指定され、保護されているからでしょうか。
そのタラノキが大きく花序を伸ばして花を付けていました。


2022/10/11
網引湿原の第1獣害防止ゲートを入った右手のタラノキですが、すっかり花は終わっていました。
花の数の割に果実になっていたものは少なく、結実率は半分くらいでしょうか。
まだ、多くの果実が未熟な緑色でしたが、所々に黒く熟した果実も見られました。

セリ(Oenanthe javanica)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・セリ属>

セリ科セリ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、東南アジア、インドなどに分布する。
草丈は20〜50cmで、地下茎を伸ばし、秋に節から新芽を出して増える。
黄緑色の葉は1〜2回3出羽状複葉でやわらかく、小葉は卵形で縁には粗い鋸歯がある。
花期は7月〜8月で、茎先から複散形花序を出し、白色の小さな花を多数付ける。
托葉や総苞片はなく、小総苞片は細い。花弁は5個で、オシベ、メシベともに長い。
花柱は2個で、萼歯は5個。長い花柱と萼歯は、果時にも残存する。
果実は2分果で、長さ3mm前後の楕円形。隆起線はコルク質で、太くて低く、不明瞭。

2022/8/27
網引湿原のバイオトイレの手前の側溝で、セリが花を付けていました。
おそらく除草された後、再度、茎を立ち上げて花を付けたものと思われます。


2023/7/18
昨年と同じ場所で、今年もセリが大きく成長して花を咲かせ始めていました。
その花にアブやハチが吸蜜に訪花していました。左の写真に写っているのはアカガネコハナバチです。

ノラニンジン(Daucus carota)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・ニンジン属>

セリ科ニンジン属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、全国に分布するが、特に北海道に多い。
草丈は30〜100cmほどで、茎は直立し、上部で分枝する。茎には白い剛毛が生える。
葉は互生で、2〜3回3出複葉で、小葉は細かく裂ける。
花期は7月〜9月で、茎頂に複散形花序を出し直径3〜6mmの白色の5弁花を密生する。
なお、花の直径は、花序の外側ほど大きくなる。また、花序の基部には、糸状に細裂した苞がある。
花序は、ツボミの頃は中心向かったまるまっているが、開花する頃には水平に広がり、多数の花を咲かせる。
なお、花後、果実の成熟に伴い、中心に巻き込むようにまるまる。
この多数の花の中心付近に、1つだけ、赤紫色から暗紫色の花が付く場合がある(20〜30%ほど)。
この花の事を「アン王女のレース(Queen Ann's Lace)」と呼ぶそうである。
このノラニンジンの根は、ニンジン同様に直根ではあるが、ニンジンのように柔らかくなく、非常に硬い。
色も白いままで、ニンジンのような橙色にはならない。ただ、風味はニンジンのそれに似ているとのこと。
このノラニンジンは、ニンジンの原種であるとか、ニンジンが畑から逸脱して野生化したものとの説がある。
ノラニンジンはユーラシア大陸やアフリカ大陸北部に広く分布しており、原種と考えた方が妥当と思える。

2021/6/12
実家近くの川沿いを散歩中、セリ科の植物が大きな花序を付けているのに気が付きました。
以前から、葉が細く細裂した草には気が付いていたのですが、草丈は数十cmほどでした。
それが、いつの間にか大きくなり、草丈は1mを越えるほどになっていたのです。



2021/6/20
1週間ほど経ったので様子を見に行くと、花序が大きく広がり、開花が始まっていました。
花と葉の特徴から調べた結果、ノラニンジンと分かりました。
この花序には、「アン王女のレース」と呼ばれる赤紫色の花は見られませんでした。



2021/6/24
花序は一段と大きく広がり、多くの花を咲かせていました。
外周の花ほど大きく、また外側の花弁ほど大きくなります。



2021/6/29
最初に開花していた中央の花序は、ほぼ咲き終わり、内側に巻き込み始めていました。
花の下部にあった子房が、徐々に大きくなり始めています。


2021/6/29
変わって、側枝の一回り小さい花序が一斉に開花をはじめていました。
見た目は、最初に開花した茎頂の花序と同じですが、花序の直径は2/3ほどしかありません。



2022/6/28
実家近くのゴルフ練習場に行った帰り道、小川沿いにノラニンジンがたくさん咲いていました。
おそらく、数百株はあると思われ、それらが大きな花序に白い花を咲かせています。
早い花序では、花が終わって果実に変わり、それにアカスジカメムシが群がっています。
さて、これだけあればアン王女のレースと呼ばれる赤紫色の花があるのではと、探してみました。
残念ながら、探した範囲ではそれらしい花は見つかりませんでした。
ただ、中心付近の花のいくつかが淡赤紫色になっているものはありました。



2022/7/23
ゴルフ練習場に行った帰り道、もう一度「アン王女のレース」を探してみることにしました。
探しても見つからなかったので戻ってくる時、車の近くでピンクの花が目に付きました。
ひょっとしてと近づいて見ると、ツボミに近い花序の中央に、濃赤紫色の花が付いていました。
直ぐ横の咲き終わりに近い花序の中央にも、散りかけた濃赤紫色の花が見られました。
気を良くして、他にもあるのではと探すと、淡赤紫色の花を付けた株が見つかりました。
見つかったのはこの2株だけで、おそらく発生率は1%に満たないでしょう。



2022/7/30
前回、濃赤紫色の花を付けた花序が十分に開いていなかったので、再確認に行きました。
花序はちょうど満開の状態で、濃赤紫色の花もきれいに開いていました。
この中央の濃赤紫色の花は、他の普通の花より二回りは大きく、倍近い大きさがあります。
淡赤紫色の花の方も満開状態でしたが、花の色は変わらず、注意しないと見落としそうでした。
もう一度、見られる範囲を探してみましたが、この2株以外は見つけられませんでした。

ヤブジラミ(Torilis japonica)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・ヤブジラミ属>
 
セリ科ヤブジラミ属の越年草で、日本では全国に分布している。
世界的には、日本も含めたユーラシアに広く分布し、南アジアや北アメリカに帰化している。
草丈は30〜70cmで、茎は直立し、上部で分枝する。
葉は互生し、2〜3回羽状複葉で、長さは5〜10cmほどある。
小葉は細かく切れ込み、先端の小葉は長く尖る。葉の両面には毛が多い。
花期は5月〜7月で、枝先の複散形花序に多数の小花を付ける。
5個の花弁は大きさは不揃いで、外側の2花弁が大きくなる。オシベは5個。
花色は白で、わずかに淡紅紫色を帯びることがある。葯の色も同様である。
果実は長さ4mm前後の卵状長楕円体で、基部から湾曲した刺を密生する。熟すと淡褐色になる。
オヤブジラミは似ているが、花期が本種より早く、花色は淡紅紫色を帯びて、花数が少ない。
また、葉の裂片が細かく、果実の刺が紅紫色を帯び、熟すと黒くなる点で区別できる。

2022/6/18
網引湿原入口の駐車場の近くで見かけたヤブジラミです。
道路脇の草むらで、他の野草に混じって白い花を咲かせていました。


ヤブジラミとオヤブジラミの花

   .
 <ヤブジラミ>               <オヤブジラミ>
ヤブジラミと比べて、オヤブジラミは花数が少なく、花が淡紅紫色を帯びています。


クコ(Lycium chinense)
<ナス目・ナス科・クコ属>

ナス科クコ属の落葉低木で、中国原産の帰化植物。
日本以外にも、台湾、朝鮮半島、北アメリカにも移入されて分布が広がっている。
枝は長さ1m以上、太さは数mm〜1cmほどで、細くしなやかである。
地上部は束状で、上向きに多くの枝が伸びる。
枝には2〜5cm程度の葉と1〜2cm程度の棘が互生するが、枝分かれは少ない。
垂直方向以外に地上にも匍匐茎を伸ばし、同様の株を次々と作って繁茂する。
開花期は夏〜初秋で、直径1cmほどの小さな薄紫色の花が咲く。
果実は長径10〜15mmほどの楕円形で、赤く熟す。
一旦定着すると匍匐茎を伸ばして増え続け、数年後にはまとまった群落となることが多い。
果実は酒に漬けこんでクコ酒にする他、生食やドライフルーツでも利用される。
薬膳として粥の具にもされる。また、柔らかい若葉も食用にされる。

2021/8/31
実家近くの川沿いを散歩しているとき、クコがたくさんの花を付けているのに気が付きました。
昨秋、散歩中に熟して赤くなったクコの果実を見かけた所です。
その時は、少し咲き残った花がある程度でしたが、今は花期の最中で、多くの花が見られました。

イヌホオズキ(Solanum nigrum)
<ナス目・ナス科・ナス属>


ナス科ナス属の一年草で、史前帰化植物とされている。
日本全土で見られ、世界の温帯から熱帯にかけて広く分布する。
草丈は10〜100cmで、茎が細めでよく分枝し、横に広がりやすい。
葉は互生し、葉身は長さ6〜10cmの卵形で、縁は全縁か波型の鋸歯がある。
花期は6月〜11月で、葉腋ではなく茎の側面から花茎を出して2〜5個の散形花序を付ける。
花茎は短く、小花茎が少しづつずれて付く(小花茎が1点に集まることはない)。
花冠の直径は6〜12mmで、白色の5裂した花冠の裂片は細めである。
1個のメシベを囲むように5個のオシベが取り囲む。黄色い葯は長さ2o前後で、柱頭は葯より低い。
花後、柄が下垂して直径5〜8oの果実(液果)を付ける。果実は光沢のない黒色に熟す。

よく似たものが多く、以下のように区別する。
●イヌホオズキは、花は白色〜淡紫色で基部まで切れ込まず幅広。果実に光沢がない。
 小花柄が少しづつずれて総状に付き、果実は球形、やや縦長になる。
●アメリカイヌホオズキは、花は淡紫色〜白色で、果実は光沢があってほぼ球形。
●テリミノイヌホオズキは、花は白色〜淡紫色で、果実の光沢が強く、トマトのような扁球形。
●ムラサキイヌホオズキは、花が淡紫色を帯び、茎など全体に紫色を帯びる。
●オオイヌホオズキは、花は白色〜淡紫色でやや大きく、花柱や葯が他種より長い。

2019/6/26
実家近くを散歩しているとき、電柱の陰でひっそりとイヌホウズキが花を付けていました。
一部が果実になっていましたが、熟して黒くなったものはありませんでした。
小花茎がずれて付くのは、花の方は角度が悪くて分かりにくいですが、果実の方は良く分かります。


2020/11/16

2020/11/17           2020/11/16           2020/11/17
実家近くを散歩しているときに見かけたイヌホウズキです。
まだ、元気いっぱいで、多くの花を付け、果実も未熟なものから熟したものまで多く見られます。
未熟な果実は光沢があるように見えますが、西日を受けているためにそう見えているだけです。
直射光が当らない状態では、右端の熟した果実のようにつや消しのよう見えます。

トマト(Solanum pseudocapsicum)
<ナス目・ナス科・ナス属>

2019/6/29 <アイコ>

2019/7/3 <りんか>
ナス科ナス属の1年草で、南アメリカ(アンデス山脈)原産の緑黄色野菜。
日本では、冬を越せずに枯れてしまうが、熱帯地方では長年にわたって実り続ける。
通常、草丈は1〜2mほどに留めるが、通年栽培すると5〜10mに成長して成り続ける。
以前、トマト属に分類されていたが、最近、系統解析によりナス属に戻すようになってきている。
花期は5月〜8月で、直径20〜30mmの黄花で、5〜6深裂して平開から大きく反り返る。
オシベは合着して筒状になり、その中心にメシベが1本ある。
支柱誘引栽培品種では、本葉が8〜9葉目に最初の花房が付く。その後は、3葉毎に花房を付ける。
地這栽培品種では、2葉毎に花房を付ける品種も多い。

2019/6/29,7/3
自宅の畑に植えたトマト2種の花です。
アイコは、ラグビーボール型のミニトマトで、最近、人気の高い品種ですね。
リンカは、普通のトマトの品種でしょうか。結構大きな果実がなります。
同じトマトでも、花弁が多少反り返っているアイコに対して、りんかはほぼ真後ろまで反っています。


2019/7/4
そのアイコの果実ですが、店頭で販売されているものよりかなり大きくなっています。
特に何かした訳ではないのですが、長さ5cmほどあり、売られているものの倍くらいです。
店頭で販売されているものは、水を控えるなど、大きくならないようにしているのでしょうか。

ナス(Solanum pseudocapsicum)
<ナス目・ナス科・ナス属>

2019/6/29                 2019/7/6
ナス科ナス属の1年草で、インド東部が原産地ではと言われている野菜。
その後、ビルマを経由して中国、日本に伝わったとされ、日本での栽培歴も1000年以上になる。
中国や日本では広く栽培され、世界的にもいろいろな品種が各地で栽培されている。
日本では、冬を越せずに枯れてしまうが、熱帯地方では多年生植物。
一般に南方ほど、大きな果実になる傾向がある。
草丈は1〜1.5mほどになり、葉は互生して、長さ15〜25cmの長卵形で、長い葉柄がある。
花期は6月〜10月で、直径20〜40mmの淡紫色の花で、5〜6浅裂して平開する。
オシベは5〜6個あり、中心にメシベが1個ある。

2019/6/29,7/6
実家の畑に植えていた、普通の中長ナスが大きくなり、花を付け始めました。
よく見かけるナスの花より一回り大きな花でしたので、写真を撮ってしまいました。
右のように大きく育ってきたのですが、根張りを優先するため、この後収穫しました。


2023/9/6
今年、初めて白ナスを植えてみましたが、夏の猛暑で育ちは今一つでした。
それが、最近、気温が落ち着いてきたが良かったのか、元気に枝をなばして花を付けています。
普通の紫色のナスと比べて、葉の色なども少し白っぽく、花も少し淡い赤紫色です。


ナス科ナス属の花

   .
  <イヌホウズキ>      <アメリカイヌホオズキ>    <ムラサキイヌホウズキ>
   .
  <タマサンゴ>         <ワルナスビ>        <ヒヨドリジョウゴ>
   .
 <ナス>           <ジャガイモ>          <トマト>
  ナス科ナス属の花は、いろいろ特徴を持ってはいますが、基本的な構造には大差ありません。
最下段はナス科ナス属の野菜の花です。普段、良く食卓に並ぶ野菜だと思います。
ジャガイモもナス属なので、花はよく似ていますが、食べるのは地下茎であって、果実(有毒)ではないですね。
なお、他のナス属には全総有毒の品種もあるので、間違っても口にはしないでください。


ヒロハフウリンホオズキ(Physalis angulata L. var. angulata)
<ナス目・ナス科・ホオズキ属>




ナス科・ホオズキ属の1年草で、北アメリカ、熱帯アメリカが原産地の帰化植物。
日本ではほぼ全国に分布しており、海外でもアジア、アフリカ、ヨーロッパ、オセアニアなどに移入。
草丈は20〜100cmで、茎は直立し、よく分枝し、枝を横に広げる。稜があって軟毛が散生する。
葉は互生し、葉身は長さ4〜10cmの卵形で、先が尖り、不規則な鋸歯がある。
花期は8月〜10月で、葉腋に直径1cm前後で、淡黄色の花を横向き〜やや上向きに単生する。
花冠は5角形で、普通、斑紋はないが、花冠の奥が褐色(濃さには個体差がある)を帯びることがある。
オシベは5個で、青色〜紫色の葯は長さが2o前後ある。
花柄は花時に5〜15mmであるが、果時には20mmほどに伸びる。
花時には萼は長さ4〜5mmであるが、花後に袋状に大きく成長し、果実を包み込む。
袋状に育った萼は、最初緑色であるが、徐々に脈が紫褐色を帯び、熟すと全体が紫褐色になる。
この宿存萼には10稜があり、長さは20〜35mm、幅は15〜25oになる。
中の液果は直径8〜14mmの球形で、未熟なものは緑色をしているが、熟すと淡褐色になる。
よく似た下記とは、花色や果時の萼の色などで識別できる。
ホソバフウリンホオズキ:花が淡黄白色で、葉が細く、粗い鋸歯がある
センナリホオズキ:花は淡黄色で、中心部に黒紫色の斑紋がある
 袋状に育った萼は熟すと薄茶色になり、果実は黄褐色になる

2022/8/27
網引湿原のバイオトイレの手前の法面で、大きく育ったヒロハフウリンホオズキを見つけました。
以前、名神高速道路から中国自動車道へ乗り換える辺りの中央分離帯で見かけて以来です。
センナリホオズキと似ていますが、袋状の萼の脈が紫褐色を帯びているので、本種と分かりました。

ホオズキ(Physalis alkekengi var. franchetii)
<ナス目・ナス科・ホオズキ属>

2019/6/20

2019/6/20           2019/7/6            2019/7/6
ナス科ホオズキ属の多年草で、東南アジア原産の外来種。
古くから栽培されており、逸出して野生化したものも見られる。
草丈は60〜80cmで、地下茎で横に広がって生え、茎は直立するが、倒れることもある。
葉は互生し、長さ5〜10cmの広卵形で、先が尖り、大きな鋸歯がある。
花期は6月〜7月で、葉腋から長い花柄を出して、淡黄白色の花を下向きに付ける。
花冠は、直径15〜20oの杯型で、5浅裂して平開し、5角形になる。
中心部は淡緑色で、全体に白い毛が多く、オシベは5個で、花糸は葯の背面に付く。
萼は短い筒状で先が5裂し、花後、長さ4〜6cmまで大きく膨れて液果を包み込む。
熟すと、液果も萼も赤色になる。液果の直径は10〜15mmほど。

2012/8/12
実家の庭に植えられているホオズキの花をやっと見ることができました。
大概、早すぎるか、遅くて花が終わっている状態だったのですが、今年は1つだけ花が咲いていました。
花自体は、白い花弁に淡緑色の斑紋が花の中心付近に点々と付いているシンプルなものです。
この後、萼が袋状に膨らんで果実を包み込み、緑色だった萼が熟すにつれて赤みを帯びてきます。


2022/5/15
前回撮影した時より1ヶ月以上早いのですが、今年はもう花が咲いていました。
それも平開しています。前回は窄まった咲き方をしていたので、そんなもんだと思っていました。
前回はあまり良く見えなかった花弁基部の濃緑色の斑紋がきれいに見えています。

ネナシカズラ(Cuscuta japonica)
<ナス目・ヒルガオ科・ネナシカズラ亜科・ネナシカズラ属>



ヒルガオ科・ネナシカズラ属に分類される一年草のつる性寄生植物で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、ベトナムに分布する。
茎は直径1〜2mmの針金状で、淡黄色〜紫色を帯び、紫色の斑点がある。
葉は互生し、退化して長さ2mm以下の三角形の鱗片状で、葉緑素はない。
花期は8月〜10月で、長さ3cm以下の短い穂状花序を出し、小花を多数付ける。
花冠は白色の鐘形で、長さは3〜5mm。先は5裂し、裂片の先は尖る。
オシベ5個は花冠の喉部に付き、花糸は極短い。葯は黄色い。
花柱は合着して、長さ1.5mmほど。柱頭は2裂して円錐形をしている。
萼は白色で、基部まで5裂して、先は鈍頭。果時にも残り、しだいに落ちる。
刮ハは長さ4〜5mmの楕円形で、はじめ花冠を被っているが、後に脱落する。
熟すと褐色〜赤紫色を帯びるが、熟す前の色には、白色タイプと緑色タイプがある。
熟すと下部が横に裂け、中には長さ3〜4mmの種子が1〜4個入っている。
発芽直後は土に根を張り、茎を伸ばして茎先を旋回させながら宿主を探す。
茎が宿主(種類は多い)に触れると締め付けるように巻き付き、寄生根を出す。
寄生根を出して宿主から水や養分を吸収するようになると、地中の根は枯れる。
なお、発芽後、数日以内に宿主に寄生できない場合、枯れてしまう。

20121/8/31
実家近くの川沿いを散歩中、昨秋に見かけたネナシカズラが、今年も盛大に繁茂していました。
場所が若干川下側にずれて、宿主が木から草本に変わっているようです。
下段は拡大撮影してものですが、左の写真のように立ち上げた茎に瘤状に何かが付いていました。
昨秋の様子から見て、立ち上がっているのは花序と思われるので、これらは若いツボミと思われます。
アメリカアサガオ(Ipomoea hederacea)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ亜科・Ipomoeeae連・サツマイモ属>


ヒルガオ科サツマイモ属のつる性1年草で、熱帯アメリカ原産の帰化植物。
日本には、江戸時代末期に観賞用として渡来したことがある。
その後、第二次世界大戦後に輸入穀物に種子が混入して侵入して広がり、帰化が確認された。
現在は、北海道から本州、四国、九州、琉球列島に分布している。
茎はよく分枝し、他物に上から見て左巻きで巻き付いて長さ2〜5mになる。
葉は互生して、長さ7〜10cmの心形で3〜5深裂し、長い柄があり、両面に毛がある。
なお、葉が分裂しないものはマルバアメリカアサガオで、本種の変種とされている。
花期は8月〜10月で、葉腋から短い柄の花序を出し、直径3cm前後のロート形の花を付ける。
花冠は5浅裂し、花色は赤紫色〜紫色〜淡青色〜白色で、花筒の奥は白色である。
萼は、線形に5深裂して淡褐色の長毛が密生する。裂片は長く、先端部分は軽く反る。
萼のすぐ下に多肉の苞葉が対生し、萼同様に薄茶色の長毛が密集する。
オシベは5個で、花糸は白色、葯も花粉も白色。メシベは1個で、柱頭は丸みのある拳状。
花は、早朝に開花し、午前中にはしぼんでしまう1日花である。
果実は直径1cm前後で、先が尖った扁球形の刮ハで、上向きに付く。

2021/8/31
実家近くの川沿いを散歩中、土手の草むらに隠れるように咲くアサガオに気が付きました。
よく見かけるアサガオより2周りは小さく、ハマヒルガオよりも小さい青い花です。
以前、自宅近くで見かけたマルバアメリカアサガオに近いのですが、葉が3裂しています。
これらの点から、アメリカアサガオ(マルバアメリカアサガオは本種の変種)と判断しました。
土手の上に上がると反対側に群生(下段)が見られ、多くの花が咲いていました。
下段左の写真で、花冠の左に見えているのは若いツボミですが、長毛が生えて毛むくじゃらです。


アメリカアサガオとマルバアメリカアサガオ

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  <アメリカアサガオ>           <マルバアメリカアサガオ>
  マルバアメリカアサガオの花が小さく見えますが、倍率の違いで、実際の大きさはほぼ同じです。
逆にいうと、マルバアメリカアサガオの葉は、アメリカアサガオの葉よりも一回り大きいということ。
花の色はマルバアメリカアサガオの方が青味が強く見えますが、光線の違いで、見た目はほぼ同じです。



アサガオ(団十郎)とマルバアメリカアサガオ

アサガオ( Ipomoea nil)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ亜科・Ipomoeeae連・サツマイモ属>

ヒルガオ科サツマイモ属のつる性1年草で、帰化植物。
原産地に関しては、インドからヒマラヤにかけての地域、熱帯アジア、熱帯アメリカと諸説ある。
日本へは、奈良時代末期に遣唐使によって、薬として種子がもたらされたとされている。
また、渡来したのは奈良時代末期ではなく、平安時代であるとする説もある。
薬用として渡来したアサガオであるが、江戸時代になって観賞用として普及が進んだ。
変異が著しく、世界的に見ても、これほど形態が多種多様に変化した園芸植物は他にはない。
花色も白、紅色、ピンク、紫、濃紺、浅黄色から、茶色、灰色など特異な花色も見られる。
特に、黄色と黒色のアサガオは、「幻の朝顔」と呼ばれている。
近年は遺伝子組み換えによって、黄色いアサガオや黒いアサガオの育種が行われている。
また、静岡大学名誉教授の米田芳秋による複数交配によって生み出された、曜白朝顔も普及している。

草丈は、他物に上から見て左巻きで絡みつき、長さ2〜5mになる。茎には後ろ向きの粗毛がある。
葉は互生し、葉柄は長さ2〜15cm、葉身は長さ4〜15cmの広卵形で、全縁か3〜5裂し、基部は心形。
花期は7月〜9月で、葉腋に葉柄よりやや短い花柄を出し、直径7cm前後のロート形の花を数個つける。
苞は長さ5〜8mmの線形で微細剛毛が開出し、萼片は長さ1〜2.5cmの披針形で、外側に剛毛が開出する。
花冠は長さ5〜6cm、直径7cm前後、オシベは花冠より突き出ず、不等長。
メシベも突き出ず、柱頭は3裂する。子房は無毛で3室。刮ハは直径8〜10mmの扁球形で、種子は黒色。

当初、種子は薬用として持ち込まれ、「牽牛子」と呼ばれる生薬で、日本薬局方にも収録されている。
粉末にして下剤や利尿剤として薬用にするが、煎じても薬効はない。
種子は毒性が強く、煮ても焼いても毒性が強く、素人判断による服用は危険である。

南米原産のソライロアサガオやマルバアサガオは「西洋朝顔」と呼ばれ、これらの育種も進んでいる。
江戸時代以降に育種が進み、多種多様な品種が生まれているが、これらはまとめて「日本朝顔」と呼ばれる。
この日本朝顔と西洋朝顔の違いは葉にあり、日本朝顔は葉に毛があり、西洋朝顔には毛がない。
また、日本朝顔の花はピークが7月頃なのに対して、西洋朝顔は8月後半から咲き出すものが多い。
日本朝顔はあまり蔓が伸びないのに対して、西洋朝顔は旺盛に伸びる特徴もある。

茶色系で有名なのは「団十郎」ですが、一度途絶え、近年、復活させたものが入谷朝顔市で売られています。
ただ、団十郎は黄蝉葉の海老茶無地で日輪抜であり、このアサガオは団十郎朝顔ではないとの指摘があります。
しかし、「団十郎」が一世を風靡した明治時代半ばには、黄蝉葉の大輪朝顔は存在していないとされています。
黄蝉葉云々の「団十郎」は、「花王」から分離選出したものを愛好家が保存維持してきた伝えられます。
つまり、入谷朝顔市で売られる「団十郎」と黄蝉葉云々の「団十郎」は別物とされているようです。

2021/9/5
自宅近くの散歩コースにある柵に絡みついていた茶色系のアサガオを、実家の庭に植えました。
発芽したものの中に、蝉葉のものが1株混じっていたのですが、それが右の写真の左下に見られます。
その周りには並葉(3裂した葉)が見られます。なお、丸葉はマルバアメリカアサガオの葉です。

夏には茶色い大輪の花を咲かせていたのですが、気が付くとマルバアメリカアサガオが混じっています。
マルバアメリカアサガオなど植えた覚えはないのに、なぜ、咲いているのか不思議でした。


2020/10/15
このとき、自宅近くで種子を採取した時、上記のように小さな花の種子も念のため採取していました。
この種子を実家で播種する際、数個だけ少し離して播種したのを思い出しました。
ここからは推測でしかありませんが、これが団十郎とマルバアメリカアサガオの雑種だった可能性があります。
この種子から発芽したものが先祖返りして、青い花のマルバアメリカアサガオになったのではないでしょうか。
実家で発芽した団十郎は全て大輪で、小さな花は見られませんでしたので、その可能性は高いと思われます。
意図した訳ではありませんが、マルバアメリカアサガオがここで繁殖するのはまずいので、急ぎ除草しました。

マルバアメリカアサガオ(Ipomoea hederacea var. integriuscula)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ亜科・Ipomoeeae連・サツマイモ属>



ヒルガオ科サツマイモ属のつる性1年草で、熱帯アメリカ原産の帰化植物。
日本には、第二次世界大戦後に輸入穀物に混入して移入したと考えられている。
現在は、北海道、本州の一部、四国、九州の一部、琉球列島に分布している。
茎はよく分枝し、他物に上から見て左巻きで巻き付いて長さ2〜5mになる。
葉は互生して、長さ7〜10cmの心形で先が尖り、長い柄があり、両面とも有毛である。
なお、本種は葉が3〜5裂するアメリカアサガオの変種とされている。
花期は8月〜10月で、葉腋から短い柄の花序を出し、直径3cm前後のロート形の花を付ける。
花冠は5浅裂し、花色は赤紫色〜紫色〜淡青色〜白色で、花筒の奥は白色である。
萼は、線形に5深裂して淡褐色の長毛が密生する。裂片は長く、先端部分は軽く反る。
萼のすぐ下に多肉の苞葉が対生し、萼同様に薄茶色の長毛が密集する。
オシベは5個で、花糸は白色、葯も花粉も白色。メシベは1個で、柱頭は丸みのある拳状。
花は、早朝に開花し、午前中にはしぼんでしまう1日花である。
果実は直径1cm前後で、先が尖った扁球形の刮ハで、上向きに付く。

2021/9/5
実家の庭に播種したアサガオ「団十郎」ですが、気が付くとマルバアメリカアサガオが混じっていました。
8月の初旬に確認した時には気が付きませんでしたので、それ以降に開花が始まったようです。
なぜ、マルバアメリカアサガオが混じっているのかは、上記に書きましたが、推測でしかありません。
両者が絡み合っていて分離するのは不可能でしたので、もう少し楽しみたかった団十郎共々、急ぎ除草しました。

と書いたのですが、翌々日、散歩中に土手でマルバアメリカアサガオ咲いているのに気が付きました。
アメリカアサガオを見かけた場所から数百m上流で、草むらに点々と咲いていました。


ハマヒルガオ(Calystegia soldanella (L.) Roem. et Schult.)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ属>

ヒルガオ科ヒルガオ属の多年草で、典型的な海浜植物である。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布している。
海外では、アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、アメリカの太平洋沿岸などに分布する。
砂の中に白色の地下茎を長く伸ばして増え、茎は砂の上を這い、何かあれば巻き付く。
葉は互生し、葉身は長さ2〜4cm、幅3〜5cmの円腎形で基部は心形。厚くて艶があり、長柄がある。
花期は5月〜6月で、花は葉腋に付き、花柄は葉柄より長く、葉の上に抜き出て咲く。
花冠は直径4〜5cmの淡紅色の漏斗型で、オシベ5個とメシベは花筒の中にある。
苞は広卵状三角形で萼に接して付き、萼を包む。果実は球形の刮ハで、種子は長さ5〜9mmで黒い。

2012/8/12
河岸を散歩しているとき、土手の際でハマヒルガオが蔓を伸ばしていました。
以前、この辺りには広い砂浜が広がり、ハマヒルガオがたくさん花を咲かせていました。
その砂浜が埋め立てられ、砂浜がなくなって久しいのですが、まだ、生き延びていたようです。
砂はないので、蔓は他の草の上を這っていましたが、円腎形の丸っぽい葉が懐かしいです。


2020/8/14
久しぶりに川岸を散歩していると、土手の法面にハマヒルガオが見られました。
護岸のコンクリートの隙間に生えているためか、株は小さく、葉もまばらです。


2021/5/14
ハマヒルガオの花が咲き始め、あちらこちらで花を咲かせ始めていました。


2021/5/22
5月も下旬になると花のピークとなり、非常の多くの花が咲いていました。


2021/6/17
6月に入ると花もピークを過ぎ、6月半ばには花数は減って、所々で数えるほどになりました。

ヒルガオ(Calystegia japonica)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ属>

ヒルガオ科ヒルガオ属のつる性の多年草で、在来種。
アサガオ同様に、朝開花するが昼になっても花がしぼまないのが和名の由来。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
毎年、地上部は枯れ、春に蔓が伸び始めて、夏には大きく繁茂する。
葉は互生し、長さ5〜10cmのほこ形〜やじり形で、基部は斜め後方に張り出すが、裂けない。
花期は6月〜8月で、葉腋から長い花柄を出し、淡紅色の花を1つ付ける。
花冠は、直径5〜6cmの漏斗型で、ツボミの時は螺旋状に巻いている。
花柄の断面は円形で、翼はない。萼片5個を2個の苞が包んでいる。
方は長さ20〜25mmの卵形で、鈍頭。オシベは5個で、基部に腺毛があり、葯は白色。
結実することは滅多になく、地下茎を伸ばして広がる。

2022/6/28
実家近くのゴルフ練習場に行った帰り道、小川沿いでヒルガオが咲いているのに気が付きました。
実家近くは、河口が近く、砂浜の海岸が続いていた所なので、見られるのはハマヒルガオのみでした。
ここは多少海岸から離れていることもあり、ヒルガオが自生していたようです。
ハマヒルガオより2周りは大きな花なので、久しぶりに見るとずいぶん大きく見えます。









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