ホーム相模原 ブラブラ録>境川近辺 野草編(秋V)


境川近辺 野草編(秋V)



相模原市の自宅近くを流れている境川、そこへの道すがらや境川で撮影した、季節を彩る野草などです。

< トピック >
新たに見かけた、下記の野草を追加しました。
ウリクサ、アシタバ、ケイトウ、ヨウシュヤマゴボウ

また、下記の写真を追加しています。
トキワハゼ、ハゼラン



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
シソ目
アゼナ科(ウリクサ)
キツネノマゴ科(キツネノマゴ)
シソ科(クサギ、ボタンクサギ)
ハエドクソウ科(トキワハゼ)
モクセイ科(キンモクセイ)
ショウガ目
ショウガ科(ハナシュクシャ)
セリ目
ウコギ科(ウド)
セリ科(アシタバ)
ツツジ目
ツバキ科(チャノキ)
モッコク科(ヒサカキ)
ツユクサ目
ツユクサ科(ツユクサ)
ナス目
ナス科(ヒヨドリジョウゴ)
ヒルガオ科(アサガオ、ノアサガオ、マメアサガオ、マルバアメリカアサガオ、
     マルバアサガ、マルバルコウ、コヒルガオ)
ナデシコ目
スベリヒユ科(ハゼラン)
タデ科(イヌタデ、オオイヌタデ)
ハマミズナ科(ハナヅルソウ、マツバギク)
ヒユ科(ケイトウ、ホウキギ[コキア])
ヤマゴボウ科(ヨウシュヤマゴボウ)
境川近隣の秋の野草
和名インデックス


ウリクサ(Lindernia crustacea)
<シソ目・アゼナ科・アゼナ属>
 
 
アゼナ科アゼナ属の一年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
日本以外では、朝鮮半島、中国、東南アジアに分布する。
草丈は5〜10cmで、茎は4稜形。わずかに毛があり、分岐して地を這って四方へ広がる。
葉は対生し、長さ7〜20mmの広卵形で、柄があり、縁に粗い鋸歯がある。
日当たりが良いと、茎や葉が紫色を帯びる。
花期は8月〜10月で、上部の葉腋に1個ずつ長さ7〜8mmの唇形の花を付ける。
上唇は先が浅く2裂し、下唇は3裂する。3裂した中央裂片には濃青紫色の斑紋があり、縁もやや濃色。
オシベは4個あるが、下側の2個には基部に棒状の突起がある。萼は5浅裂し、縦に5個の高い稜がある。
刮ハは長楕円形で、見た目がマクワウリに似ていることが和名の由来である。

2022/9/8
自宅近くの芝生の中で、ウリクサがたくさんの花を咲かせていました。
トキワハゼはよく見かけますが、ウリクサを見たのはずいぶん久しぶりになります。
近くにトキワハゼも咲いていたのですが、最初、ウリクサだと思っていました。
一体をウリクサが覆っていたので、ウリクサにしては大きいなと思っていたしだいです。

キツネノマゴ(Justicia procumbens var. procumbens)
<シソ目・キツネノマゴ科・ハアザミ亜科・キツネノマゴ連・キツネノマゴ属>
 
キツネノマゴ科キツネノマゴ属の1年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布している。
海外では中国、台湾から東南アジア、インド、ネパールなどに分布する。
草丈は10〜40pほどで、茎には6稜があり、下向きの曲った短毛が生える。
葉は対生し、長さ3p前後の卵形で先が尖り、縁は全縁。
花期は8月〜10月で、枝先の穂状花序に淡紅紫色の唇型の花を、同時に数個咲かせる。
長さ8o程で、上唇は先が2裂して小さく、下唇は先が3裂して丸く大きい。
下唇の中央に白い掌状の模様があり、その周囲が色が濃くなる。
オシベは2個で、上唇に沿うように付く。苞が1個と小苞2個が付き、萼は5深裂する。
ただし、萼片の1つは小さく糸状。また、萼と苞は縁が膜質で白い長毛がある。

2012/10/14
境川に向かう途中の国道16号線、その街路樹の根元にキツネノマゴが花を付けていました。
大量の車が行き来し、環境は決して良くないと思いますが、しっかりと繁茂していました。

クサギ(Clerodendrum trichotomum)
<シソ目・シソ科・キランソウ亜科・クサギ属>
 
2020/10/19                2020/10/7
シソ科クサギ属の落葉小高木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州のに分布し、日当たりのよい原野などに生える。
樹高は4〜8mで、樹皮は灰色〜暗灰色。多数の皮目がある。
葉は対生し、長さ8〜15cmの三角状広卵形で、葉柄も含めると30cmほどにもなる。
葉は柔らかくて薄く、毛が密集する。裏面には腺点がある。
花期は7月〜9月で、集散花序に多数の白い花を付ける。萼は5残裂する。
筒部は紅紫色で、長さ20〜25oで細く、花冠は5裂して白い裂片は平開する。
その平開した花冠から、オシベとメシベはさらに突き出す。
10月〜11月に萼が濃紅色になり、直径6〜8mmの果実が藍色に熟す。
さらに熟すと果実は黒くなり、萼片は反り返って、果実が落果する。

2020/10/7,19
境川から戻るとき、神社の裏手で赤い花のようなものがたくさん付いた木が目にとまりました。
望遠レンズ覗くと、赤い花のようなものの中心に黒い物が見えます。
それで、これは花ではなく、クサギの果実が熟して、裂開したものだと分かりました。
ただ、手持ちのレンズが100mmマクロしかなかったので、後日、望遠で撮り直しました。

ボタンクサギ(Clerodendrum bungei)
<シソ目・シソ科・キランソウ亜科・クサギ属>
 
シソ科クサギ属の落葉低木で、中国南部からインド北部が原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州で植栽として利用されており、暖地では野生化している所もある。
背丈は1m程度で、小枝は類円柱形、皮目がある。葉は対生し、単葉で鋸歯縁。
葉身は長さは10〜15cmの広卵形で、葉柄は長さ4〜17cmになる。
若葉には密に褐色〜黄褐色の軟毛があり、その後、無毛になる。
花期は7月〜8月で、枝先に淡紅紫色の小花が集まった散房花序を付ける。
小花は5深裂し、萼片は紅色、花被片は淡紅色で、四本の白色のオシベは長い。

2018/10/16
夏に見たとき、境川に向かう途中、道路脇の小さな草原にボタンクサギがたくさん咲いていました。
その時にも撮っておけばよかったのですが、何となく撮らずに流してしまいました。
久しぶりに前を通ると花はすっかり終わってしまい、数個だけ花が残っていました。
花期はとっくに過ぎているので、超遅咲きですね。

トキワハゼ(Mazus pumilus)
<シソ目・ハエドクソウ科・サギゴケ亜科・サギゴケ属>
 
ハエドクソウ科サギゴケ属の1年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の畑や道端に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、台湾、東南アジア、インドに分布する。
やや乾いた所を好み、地を這うように広がっていることが多いが、走出枝は出さない。
基部に集まる葉は、長さ2〜5cmの卵形で浅い鋸歯がある。茎葉は少なく小さい。
花期は4月〜10月と長く、初春から晩秋まで咲き続け、花期の短いサギゴケとは異なる。
花は総状花序につき、長さ10mm前後の唇形花である。
上唇は紫色〜淡紫色で先が白っぽく、小さく2裂する。
下唇は白色〜淡紫色で、黄色と赤褐色の不規則な斑紋がある。
萼は先が5裂し、花柄や萼には腺毛が多く、萼片の内側や花冠にも腺毛がある。

2022/9/8
自宅近くの芝生の中で、春から花を咲かせていたトキワハゼですが、まだ、咲き続けています。
側には似たようなウリクサも花を付けていて、最初、ウリクサにしては大きいなと思っていました。

キンモクセイ(Osmanthus fragrans var. aurantiacus)
<シソ目・モクセイ科・オリーブ連・モクセイ属>
 
モクセイ科モクセイ属の常緑小高木樹で、ギンモクセイの変種。
中国南部原産の帰化直物で、中国名は「丹桂」。
金桂(ウスギモクセイ)、銀桂(ギンモクセイ)も含め、「桂花」と呼ばれることもある。
雌雄異株であるが、日本には雄株しかなく、結実する事はないといわれている。
幹は淡褐色で、樹皮には細かい縦の割れ目が入る。
葉は対生し、長さ10p前後の楕円形で、先が尖る。縁は、前縁か葉先半分に細かい鋸歯がある。
花期は9月〜10月で、葉腋に集散花序をつけ、強い芳香のある花を多数つける。
苞は長さ3o前後の広卵形で、小花柄は長さ4〜10o。萼は長さ1o程。
花冠は、黄色〜橙色で、直径5o、長さ4o程で、筒部の長さは1mm前後。
オシベは2個は筒部の中程に付き、不完全雄しべも2個付く。

2012/10/21
境川に向かう途中の民家から、強烈なキンモクセイの芳香が漂ってきました。
見ると、大量の黄橙の花を付けていました。
キンモクセイは、花に気付く前に、その芳香で存在に気が付く樹ですね。

 
2017/9/25
100oマクロで撮り直したものですが、多少解像度が上がっています。

ハナシュクシャ(Hedychium coronarium)
<ショウガ目・ショウガ科・シュクシャ属>
   
2012/10/14
   
2014/9/13
ショウガ科・シュクシャ属の多年草で、インド〜マレーシア原産の帰化植物。
日本では、九州以南に野生化して自生している。
草丈は1〜2mに達し、葉は長い葉鞘があり互生する。
葉身は長さ20〜50pの長楕円形で、先が尖る。
葉表は光沢があり無毛、裏面は淡褐色の長毛が密生する。
花期は7月〜11月で、茎頂に長さ15pほどの花穂を出し、苞は倒卵形で重なる。
花は直径10p前後で、花被片は6個。外花被3枚は合着して花のつけ根にある。
内花被片3枚は、基部が合着し、その中の上弁は2裂して大きく、中央部は淡黄色を帯びる。
もう1枚、唇形の花弁があるが、これは雄しべが変化したもの。なお、花被片の色は、白と赤がある。
花筒は長さは6cmほどあり、花の中央から飛び出しているのは、オシベとメシベが1つになったものである。

2012/10/14
境川に向かう途中の畑の縁に、ハナシュクシャの大きな株があり、白い大きな花を付けていました。
花は大きいのですが、草丈があり、葉もかなり大きいので、花が大きいという印象は受けません。
2014/9/13
白花のハナシュクシャから少し離れた所に、橙色のハナシュクシャが咲いているのに気が付きました。
花が一回り小さく、中央から伸びる蕊(しべ)がかなり長く飛び出しています。

ウド(Aralia cordata)
<セリ目・ウコギ科・タラノキ属>
 
2020/10/6

<両性花序>          2020/10/13          <雄花序>
ウコギ科タラノキ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に広く分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は2m以上になり、茎は太い円柱型で、中空です。
葉は互生し、葉柄は長く2回羽状複葉で、小葉は長楕円形で先が尖り、細かい鋸歯がある。
夏、上部に球状の散形花序が集まった大きな複総状花序を付け、淡緑色の小花をたくさん付ける。
小花は、雌雄異花で両性花からなる花序と雄花序があり、上部に両性花序が付く。
花は淡緑色の5弁花で、直径は3o前後。オシベが5個と、花柱が5個ある。
両性花が受粉すると、花弁もオシベも落ちて、下位の子房が丸く大きくなる。

2020/10/6,13
自宅近くの畑の中に、放置されているのか、大きなウドが花を付けていました。
ちょっと離れた場所だったので、花をアップで撮ることができませんでした。
後日、近くに少し小ぶりなウドが花を付けていることに気が付きました。
近くに寄れる場所だったので、花をアップで撮影することができました。


2020/10/19          2020/10/19          2020/10/19
6日ぶりにウドの様子を見ると、黒く熟した果実が出来ていたので、撮影しました。
同じ複総状花序の中でも、開花時期のずれにより受粉間もないものから熟したものまでが混ざっています。
上記は、それらを時系列に並べたものですが、花期は既に過ぎていて、花は見られませんでした。
左端は、受粉して子房が膨らみ始めたもので、花柱はまだ白く初々しいです。
十分に子房が膨らみ、緑色ですが花柱が紫褐色になり、それが右端のように暗紫色に熟します。

 
2020/10/27
ウドの果実ですが、まだ、若い果実も残っていますが、成熟がかなり進んで暗紫色の果実が増えました。


ウドの雄花序と雌花序(両性花)

     .
2020/10/13<雄花序>            2017/8/5<雌花序>
雄花序は自宅近くで撮影したものですが、雌花序は八ヶ岳自然文化園の園内で撮影したものです。
雄花序と雌花序(両性花)では開花時期が異なるようで、雌花序の方が先に開花するようです。
右の雌花序の写真で、奥に見えている緑色のツボミが付いた小さな花序が雄花序です。
花の見た目はあまり変わりませんが、雌花は受粉後に子房が大きくなっていきます。
右の写真で、中央下の左側に花弁やオシベが落ち、子房が少し緑色を帯びているのが初期の果実です。
この後、子房はどんどん大きく膨らみ、前述の果実の写真のように熟していきます。


アシタバ(Angelica keiskei)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・シシウド属>
 
 
セリ科シシウド属の一稔性草本で、開花結実すると枯死する多年草。
日本固有種で、別名はハチジョウソウ、明日草(あしたぐさ)など。
日本では、関東地方南部、伊豆諸島、東海地方、紀伊半島、小笠原の海岸に生える。
伊豆大島系と八丈島系の系統があり、伊豆大島産を「赤茎」、八丈島産を「青茎」と呼ぶ。
草丈は50〜120cmで、茎は太くて上部でよく分枝する。茎を切ると黄色い乳液が出る。
葉は大型の2回3出羽状腹葉で、葉柄の基部は袋状の鞘になる。
小葉は広卵形で、羽状に切れ込み、不揃いの粗い鋸歯がある。
茎の上部では、葉身が退化して鞘だけになり、花序や若枝を包んでいる。
花期は8月〜11月で、枝先に複散形花序を出し、淡黄緑色の小花を多数付ける。
小花柄の基部に、広線形の小総苞片が数個付くが、総苞片はない。
花は直径5mm前後で、花弁は5個あり、内側に曲がる。雄性先熟。
雄性期にはメシベはまだ伸びず、オシベ5個は花弁よりも長く突き出て、花盤から蜜が出る。
雌性期には、花弁もオシベも落ちて、2個の柱頭が角のように伸び出す。
果実はやや扁平な長楕円形で、分果の翼状の部分はそれほど広くない。

アシタバは、葉と茎を食用にするが、味に独特のクセがある。
そのため、天ぷらやバター炒めなど、多少クセを抑える調理法が用いられる。

2022/9/25
自宅近くを散歩中、途中の畑の際で、どこかで見た気がするシシウドのような花を見かけました。
調べてみると、花や葉の特徴からアシタバの花と分かりました。
アシタバであれば見ているはずですが、草姿が厳つい感じだったので、ピンとこなかったようです。

チャノキ(Camellia sinensis)
<ツツジ目・ツバキ科・ツバキ連・ツバキ属>
   
ツバキ科ツバキ属の常緑低木で、インド・ベトナム・中国西南部原産とされるが詳細不明。
野生化したものなども含め、アジアの熱帯〜暖帯に広く分布している。
樹高は1〜2mで、幹は株立ちとなり、樹皮は灰白色で滑らか。
葉は互生し、葉身は長さ6cm前後の楕円形で先が尖り、短い葉柄がある。
縁には波のような鋸歯があり、鋸歯の先には突起がある。表面は光沢がある。
花期は10月〜11月で、枝先の葉腋に直径3cm程の白い花を下向きに付ける。
花弁は5〜7個で丸みがあり、少し後に反り返る。
オシベは長さ10o程で、多数付き、基部が合着する。メシベは1個で、花柱は上部で3裂する。
萼片は緑色で5〜6個あり、内側ほど大きい。

2013/11/16
境川に向かう途中の畑で、生垣のように仕立てられたチャノキが花を付けていました。
チャノキがツバキ科と聞いてもピンとこないのですが、花を見れば納得できますね。


チャノキについて

チャノキには、大きく分けて下記の2つの変種がある。
中国種(Camellia sinensis var. sinensis)
アッサム種(Camellia sinensis var. assamica)

中国種は、中国南部に自生する灌木で、樹高は1〜5mほど。
丈夫な枝に細長い葉を付け、短期間なら霜にも耐えられる。
そのため、ダージリン地方、セイロンの山地、台湾などの高所での栽培に向く。

アッサム種は、湿潤な地域に自生する樹高8〜15mに達する高木。
大きな葉を付けるので、茶葉の収量としては多くなる。
インドのアッサム地方やスリランカなどで栽培されている。


ヒサカキ(Eurya japonica)
<ツツジ目・モッコク科・ヒサカキ属>
   
2017/8/1          2017/9/25          2017/9/25
モッコク科ヒサカキ属の常緑低木で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
樹高は4〜8mで、樹皮は灰褐色。浅く縦裂する。
葉は互生し、長さ3〜8pの長楕円形で先が尖り、光沢があって、縁には鈍鋸歯がある。
花期は3月〜4月で、雌雄異株とされるが、両性花を付けるものもあり、明確ではない。
葉腋に花を下向きに1〜5個束生するが、雄花、雌花、両性花が混在することも多いらしい。
つぼみの内は、萼と同じ黒紫色で、開花すると花弁は淡黄白色か淡紅色になる。
雄花は、直径5mm前後で、オシベは12〜15個ある。
雌花は、直径3o前後の先の広がったカップ状で、花柱は先が3裂する。
果実は液果で、直径5mmほどの球形で、熟すと黒くなる。

2017/8/1 花を見損ねたヒサカキですが、緑色の若い果実をたくさん付けていました。
2017/9/25 久しぶりに見に行くと、緑色の果実の所に、翌春の花芽と思われるものが付いていました。
果実が黒く熟して落果した後、翌春に向けて花芽は大きくなっていくものと思われます。

 
2018/10/16
久しぶりに訪れると、果実が真っ黒に熟し始めていました。
まだ、未熟な緑色の果実だけの枝もあれば、色付き始めたものや熟して真っ黒なものが混じっています。
12月頃には、ほとんどが完熟となり、真っ黒な果実と来春の花芽が並ぶこととなります。

ツユクサ(Commelina communis)
<ツユクサ目・ツユクサ科・ツユクサ亜科・ツユクサ属>
 
ツユクサ科ツユクサ属の一年草。畑や道端などでよく見かける普通種。
日本では北海道から四国、九州まで全国で見られる。
世界的には、アジア全域、北米の東北部など、各地に分布する。
草丈は30〜50cmで、茎の下部は地を這ってよく分枝し、基部近くの節から根を出して増える。
葉は互生し、長さ5〜12cmの狭披針形で、先は鋭く尖る。葉の基部には長さ10mm前後の鞘がある。
花期は6月〜10月で、花は葉に似た1個の苞に包まれたさそり形花序に付く。
苞は長さ15〜30mmで、円心形を2つ折りにしたような形をしている。
花は1個ずつ、苞の外に出て開き、半日でしぼむ。
花弁は3個あり、内2個は鮮やかな青色で長さ、幅とも10mmほどあり、残りの1個は白色で小さい。
萼片は3個で小さく、白色の膜質。側萼片2個は基部で合着し、上側の1個の萼片は披針形。
オシベ6個のうち、完全なのは花柱とともに長く突き出ている2個だけである。
花弁の側の短い3個は、葯が鮮黄色でよく目立つが、花粉をださない仮オシベで、
それよりやや長い1個は、葯がやじり形で少し花粉を出す仮オシベである。
基部の仮オシベの葯は黄色い十字形で、中央辺りに褐色の斑点が見られることがある。
中間の仮オシベの葯は黄色い逆V字型で、中央辺りに褐色の斑点が見られることがある。
花柱がオシベの間から突き出る両性花とオシベより短い雄性花がある。
花色の青は、濃い青から薄い青(空色)まで、変異が多い。
なお。この青はアントシアニン系の化合物で、容易に退色するため、染物の下絵書きに使われた。
普通、花色は青色であるが、色の薄いものをウスイロツユクサ、白いものをシロバナツユクサという。

2020/10/7
境川の畔や途中の道端などでよく見かけるツユクサです。
花弁が太陽の光を受けて、鮮烈な青色のラメを施したように光っていました。


ツユクサの花色

       .
  ウスイロツユクサ           ツユクサ             ツユクサ  .
ウスイロツユクサの花被片の色は淡青紫色で、ツユクサより明らかに淡い色をしています。
ツユクサの花被片の色には、紫色のものや青味の強い青紫色のものがあります。
なお、ツユクサには赤みの強い赤紫色のものやその淡色型(淡いピンク)のウスイロツユクサもあるようです。


ヒヨドリジョウゴ(Solanum lyratum)
<ナス目・ナス科・ナス属>
   
2014/9/13           2014/9/13           2014/9/13
   
2014/9/13           2014/10/25           2014/10/25
ナス科ナス属のつる性多年生植物で在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の林縁などで見られる。
日本も含め、東アジアから東南アジアに広く分布する。
茎は長さ数mになり、茎や葉など全草には柔らかい毛が密生する。
葉は互生し、三裂、五裂したものから、卵状のものまで大きな変異がある。
花期は8月〜9月で、花は互生する葉の脇から伸びた枝に多数付く。
直径1cmほどの白い花冠は5裂し、裂片の長さは4o程。
基部に緑色の斑点があり、徐々に大きく外に反り返る。
オシベは5個あり、花糸は太短い。その数倍の長さの黄色い葯はメシベを取り巻く。
メシベの花柱は長さ7o前後で、取り巻く葯の中央から長く突き出る。
果実は液果で、直径1cm弱の球形で、緑色から赤く熟す。

2014/9/13 境川に向かう道路脇で、ヒヨドリジョウゴがフェンスに絡まるように張り付いていました。
花の盛りのようで、ツボミや、開花した花、若い果実が見られました。
2014/10/25 9月にはきれいな緑色だった果実は、10月の下旬になると赤く熟し始めていました。

   
2017/9/25
今まで、ツボミと開花した後の花は見たことがあるのですが、この日、初めて咲き始めた所を見ました。
左のツボミの状態から、中央のように先が開き、時間と共に右のように花弁が後方に反り返っていきます。
そして、左の花のようにほぼ真後ろまで反り返って、しぼみます。

アサガオ( Ipomoea nil)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ亜科・Ipomoeeae連・サツマイモ属>
 

ヒルガオ科サツマイモ属のつる性1年草で、帰化植物。
原産地に関しては、インドからヒマラヤにかけての地域、熱帯アジア、熱帯アメリカと諸説ある。
日本へは、奈良時代末期に遣唐使によって、薬として種子がもたらされたとされている。
また、渡来したのは奈良時代末期ではなく、平安時代であるとする説もある。
薬用として渡来したアサガオであるが、江戸時代になって観賞用として普及が進んだ。
変異が著しく、世界的に見ても、これほど形態が多種多様に変化した園芸植物は他にはない。
花色も白、紅色、ピンク、紫、濃紺、浅黄色から、茶色、灰色など特異な花色も見られる。
特に、黄色と黒色のアサガオは、「幻の朝顔」と呼ばれている。
近年は遺伝子組み換えによって、黄色いアサガオや黒いアサガオの育種が行われている。
また、静岡大学名誉教授の米田芳秋による複数交配によって生み出された、曜白朝顔も普及している。

草丈は、他物に上から見て左巻きで絡みつき、長さ2〜5mになる。茎には後ろ向きの粗毛がある。
葉は互生し、葉柄は長さ2〜15cm、葉身は長さ4〜15cmの広卵形で、全縁か3〜5裂し、基部は心形。
花期は7月〜9月で、葉腋に葉柄よりやや短い花柄を出し、直径7cm前後のロート形の花を数個つける。
苞は長さ5〜8mmの線形で微細剛毛が開出し、萼片は長さ1〜2.5cmの披針形で、外側に剛毛が開出する。
花冠は長さ5〜6cm、直径7cm前後、オシベは花冠より突き出ず、不等長。
メシベも突き出ず、柱頭は3裂する。子房は無毛で3室。刮ハは直径8〜10mmの扁球形で、種子は黒色。

当初、種子は薬用として持ち込まれ、「牽牛子」と呼ばれる生薬で、日本薬局方にも収録されている。
粉末にして下剤や利尿剤として薬用にするが、煎じても薬効はない。
種子は毒性が強く、煮ても焼いても毒性が強く、素人判断による服用は危険である。

南米原産のソライロアサガオやマルバアサガオは「西洋朝顔」と呼ばれ、これらの育種も進んでいる。
江戸時代以降に育種が進み、多種多様な品種が生まれているが、これらはまとめて「日本朝顔」と呼ばれる。
この日本朝顔と西洋朝顔の違いは葉にあり、日本朝顔は葉に毛があり、西洋朝顔には毛がない。
また、日本朝顔の花にピークが7月頃なのに対して、西洋朝顔は8月後半から咲き出すものが多い。
日本朝顔はあまり蔓が伸びないのに対して、西洋朝顔は旺盛に伸びる特徴もある。

2020/10/15
自宅近くの散歩コースにある柵に絡みついているアサガオです。花の色が茶色系でした。
あまり見かけない色でしたので調べてみると、茶色系で有名なのは「団十郎」です。
ただ、「団十郎」は一度途絶え、近年、復活させた「団十郎」が入谷朝顔市で売られるようになっています。
これに対して、「団十郎」は黄蝉葉の海老茶無地で日輪抜であり、団十郎朝顔ではないとの指摘があります。
しかし、「団十郎」が一世を風靡した明治時代半ばには、黄蝉葉の大輪朝顔は存在していないとされています。
黄蝉葉云々の「団十郎」は、「花王」から分離選出したものを、愛好家が保存維持してきた伝えられます。
つまり、入谷朝顔市で売られる「団十郎」と黄蝉葉云々の「団十郎」は別物とされているようです。

前置きが長くなりましたが、上記の内容から判断すると、蝉葉ではないので前者の「団十郎」と思われます。
花は直径6〜7cmで、写真では赤みが強く出ていますが、見た目はもっと茶色に近い色合いをしています。
花の中心部を拡大したのが上段左側の写真ですが、5個のオシベと柱頭が見えています。
このアサガオは、柵の数ヶ所で見られましたが、1ヶ所だけ、下段右の桔梗咲きのような花を付けていました。


2020/10/15
左2つはツボミで、左から2つ目は翌日に開花するツボミだと思います。ツボミの先に花の色が見えます。
右2つは花後の様子で、右から2つ目は前日に咲いたもの、右端は前々日の咲いたものです。

 
2020/10/15                 2020/10/19
花後、数日も経つと花がらが落ち、大きくなった子房が顔を出します。
右は、成熟して淡褐色になった果実(刮ハ)で、3つの子房室からなり、各々2個の種子が入っています。

ノアサガオ(Ipomoea indica)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ亜科・Ipomoeeae連・サツマイモ属>


 
ヒルガオ科サツマイモ属のつる性多年草で、在来種。
日本では、伊豆諸島、和歌山県、四国や九州の南部、琉球諸島に分布する。
海外では、東南アジアやオーストラリアに分布している。
茎は10m以上に伸びることもあり、茎に密にある後ろ向きの軟毛で絡み付く。
葉は互生し、長さ5〜15cmの卵形〜円形の単葉か3深裂し、基部は心形で、先は尖る。
葉裏には短い伏毛が密生し、葉表にはまばらに軟毛がある。葉柄は長さ2〜18cm。
花期は5月〜10月で、葉腋から散形花序状の集散花序を出し、多くて十数個の花を付ける。
花序柄は葉柄より長く4〜20cmあるが、花柄は5mm前後と極短い。
苞は線形〜披針形で、萼片は2cm前後の線状披針形で反り返らず、伏毛が多い。
花冠は直径10cm前後、長さ8cm前後の漏斗状で、浅く5裂し、各裂片に赤紫色の線が入る。
花冠は開花直後は青色〜青紫色で、午後から夕方にかけて全体が淡紫紅色に変化し、しぼむ。
中心部は白く、5個のオシベもメシベも突き出さない。子房は無毛で、柱頭は3裂する。
なお、自家不和合のため種子はできず、茎葉で栄養繁殖する。

2020/9/19
散歩コースの近くにある柵に絡みついているアサガオです。
以前から咲いているのは知っていたのですが、気になって品種を調べてみました。
普通のアサガオだと思っていたのですが、南方系のノアサガオと分かりました。
毎年、こぼれ種で増えていると思っていたのですが、このアサガオは多年草だったんですね。
自家不和合のため種子はできず、茎葉で栄養繁殖して、年々増えていたようです。


2020/10/7 11:51        2020/10/6 15:07        2020/10/3 15:32
開花して間もない頃、ノアサガオの花は前述のように青紫色をしています。
それが上記のようにお昼前頃には青味が薄れて、淡紫色に変わってきます。
午後の3時頃にはすっかり青みが消えて、全体が赤紫色になり、夕方には萎みます。
なお、右2つは順光か逆光での撮影かの違いで、逆光気味に撮ると右端のような写真になります。

マメアサガオ(Ipomoea lacunosa)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ亜科・Ipomoeeae連・サツマイモ属>

2020/10/7
 
2020/10/6                 2020/10/6
ヒルガオ科サツマイモ属のつる性1年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、1955年に東京近郊で発見されたのが最初とされる。
現在では、本州の関東以西から四国、九州の道ばたなどにやや普通に見られる。
茎は4稜で赤味を帯びて毛が多く、分岐しながら蔓を伸ばす。
蔓は地を這い、他物に上から見て左巻きで巻き付いて長さ2〜5mになる。
葉は互生して、長さ5〜10cmの卵形〜長卵形で、2〜3裂するものもあり、先は尖る。
花期は7月〜10月で、葉腋から花茎を出し、直径15mm前後の淡紫色〜白色の花を1〜2個付ける。
なお、花色が淡紅色になるものがあり、ベニバナマメアサガオと区別することがある。
花柄にはイボ状の突起が密生し、稜がある。花はロート状で、先端は5浅裂して尖る。
オシベは5個で、花糸は白色、葯は紫色で花粉は白色。メシベは1個で、柱頭は丸みのある拳状。
果実は直径1cm弱で、先が尖った扁球形の刮ハで、上向きに付く。

2020/10/6,7
境川近くの草原の一角をマメアサガオが覆い尽くしていました。
直径が15mmほどの純白の花冠に、赤紫色の葯がなかなかチャーミングです。
このマメアサガオにはヨツモンカメノコハムシが付いていて、ここで初めて見ました。

 
2020/10/19
前回の撮影から2週間弱経過していますが、花が減って、果実が目立つようになっていました。

マルバアメリカアサガオ(Ipomoea hederacea var. integriuscula)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ亜科・Ipomoeeae連・サツマイモ属>
 
2020/10/7                 2020/10/7
 
     2020/10/7                2020/10/7

2020/10/19          2020/10/19          2020/10/19
ヒルガオ科サツマイモ属のつる性1年草で、熱帯アメリカ原産の帰化植物。
日本には、第二次世界大戦後に輸入穀物に混入して移入したと考えられている。
現在は、北海道、本州の一部、四国、九州の一部、琉球列島に分布している。
茎はよく分枝し、他物に上から見て左巻きで巻き付いて長さ2〜5mになる。
葉は互生して、長さ7〜10cmの心形で先が尖り、長い柄があり、両面とも有毛である。
なお、本種は葉が3〜5裂するアメリカアサガオの変種とされている。
花期は8月〜10月で、葉腋から短い柄の花序を出し、直径3cm前後のロート形の花を付ける。
花冠は5浅裂し、花色は赤紫色〜紫色〜淡青色〜白色で、花筒の奥は白色である。
萼は、線形に5深裂して淡褐色の長毛が密生する。裂片は長く、先端部分は軽く反る。
萼のすぐ下に多肉の苞葉が対生し、萼同様に薄茶色の長毛が密集する。
オシベは5個で、花糸は白色、葯も花粉も白色。メシベは1個で、柱頭は丸みのある拳状。
花は、早朝に開花し、午前中にはしぼんでしまう1日花である。
果実は直径1cm前後で、先が尖った扁球形の刮ハで、上向きに付く。

2020/10/7
境川に向かう途中の畑の角で、ノアサガオを小さくしたような朝顔が花を付けていました。
花冠の直径は3cmほどしかなく、花冠の色や花筒の奥が白い点は同じです。
異なる点は、花冠の直径が半分以下しかなく、曜(放射状に広がる縦筋)の色もほぼ同色であることです。
調べてみると、アメリカアサガオの変種であるマルバアメリカアサガオと分かりました。
果実(刮ハ)は、上を向いて付いているのですが、まだ小さいのか裂片に隠れて見えません。
花色に関しては、青紫色と赤紫色の2種類が混ざっているように思います。
最初、ノアサガオのように時間経過とともに色が変わるのかと思ったのですが、そうではないようです。
下段は、11時前後に撮った写真ですが、両者が混在して咲いており、複数の株が混生しているようです。

マルバアサガオ(Ipomoea purpurea)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ亜科・Ipomoeeae連・サツマイモ属>


 
ヒルガオ科・サツマイモ属のつる性一年草で、熱帯アメリカ原産の帰化植物。
日本では、江戸時代に多くの変異が生まれ、極めて多くの変化を遂げた。
また、ソライロアサガオやマルバアサガオはまとめて「西洋朝顔」と呼ばれることもある。
つるは、普通、2〜3mほど伸び、葉は互生して長さ10p前後の心形で、先が尖る。
なお、葉が3裂したものが、混じる場合がある。
長い花枝の先に花を数個付ける。花は直径7p前後で、色は濃青色(紅色〜白色の品種もある)。
花色が薄い場合に目立つが、花弁の曜部が他の部分より濃い色になる。
萼は長さ15oほどで細長く、萼裂片の先は尖る。果実は直径10oほどの4分果。

2020/10/19
自宅近くの学校の校庭隅で、マルバアサガオが雑草に混じって咲いていました。
花冠は淡赤紫色で、赤紫色の曜を中心に5深裂し、漏斗型の花とは花の形が異なります。
以前、この近くの草原で見かけたことがあるのですが、最近は見かけなくなっていました。
そのこぼれ種が、数mほど離れた校内に入って、そこで繁殖したのでしょう。
刈り取られたものが校庭隅に雑草と共に捨てられ、そこで発芽、成長したもののようです。

マルバルコウ(Ipomoea coccinea)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ亜科・Ipomoeeae連・サツマイモ属>
 

 
ヒルガオ科・サツマイモ属のつる性一年草で、熱帯アメリカ原産の帰化植物。
日本では、本州中部以南、四国、九州で見られる。
また、日本も含めたアジア、南アメリカ、オセアニア、アフリカに移入分布する。
つるは左巻きで長くなると3mに達し、葉は互生する。長さ10p前後の卵形で先が尖り、基部は心形。
葉は全縁であるが、基部に数個の角状突起があり、長さ1〜10pの葉柄がある。
花期は8月〜10月で、葉腋から花柄を伸ばし、3〜8個の朱赤色の花を上向きに付ける。
花冠は漏斗型で、長さ35mmほどの筒部の先は平開し、直径20oほどの5角形になる。1日花。
オシベは5個で、メシベの柱頭は白い球状。オシベ、メシベとも、花冠からは突き出す。
萼は先が5裂して細く尖り、長さは3o前後。花後、花柄(果柄)は下向きとなる。

2020/10/7
境川沿いにある高圧送電鉄塔。その柵にマルバルコウが絡みつき、壁になっていました。
花数は少なくなって、多くは果実になり、熟して褐色になってものも多々ありました。
別の場所では、川沿いの植え込みの切れ目や防護柵に絡みついて花を付けていました。
この辺りで見かけるのは本種のみで、深裂した糸状の葉を持つルコウやモミジバルコウは見かけません。

コヒルガオ(Calystegia hederacea)
<ナス目・ヒルガオ科・ヒルガオ亜科・ヒルガオ属>

2020/10/7
 
2020/10/6                2020/10/7
ヒルガオ科・ヒルガオ属のつる性の多年草で、在来種。
ヒルガオ同様の形態で、ヒルガオよりいくぶん小型の花なのでこの名がある。
日本では、本州から四国、九州で見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、モンゴル、ロシア、南アジアと東南アジアの一部などに分布する。
葉は互生し、葉先は鋭頭で基部が張り出したほこ形、張り出した耳の部分が2裂する事が多い。
花期は6月〜10月で、葉腋から長さ数pの花柄を出し、小形のロート形の花を1個付ける。
花冠の直径は3〜4cmで、五角状のことが多い。花色は淡紅色。
花柄の上部に狭い縮れた翼があるのが特徴で、同属との区別点である。
萼片は5個あるが、2個の苞が包んでいる。苞は長さ1〜2cmの3角状卵形で、鋭頭。
オシベは5個で、葯の先は尖る。メシベは1個で、柱頭は2個。
なお、コヒルガオが結実する事は少なく、地下茎で広げがる。

2020/10/6,7
境川沿いの植栽(ツツジ)の間などから、コヒルガオが伸び出して花を付けていました。
花色の淡紅色に違いがあり、全体に淡紅色のものや曜の両側だけが淡紅色のものがありました。

ハゼラン(Talinum crassifolium Willd)
<ナデシコ目・スベリヒユ科・ハゼラン属>

スベリヒユ科ハゼラン属の多年草で、南米原産の帰化植物。
日本には明治時代に移入され、その後、逸出して野生化し、本州から四国、九州と分布を広げている。
海外では、メキシコ、カリブ海地域、西アフリカ、中米と広い分布域を持つ。
草丈は30〜150cmで、茎は円形で、まばらに分枝する。全体に無毛。
葉は互生し、長さ5〜12cmの楕円形。やや厚みのある多肉質で、全縁。
花期は6月〜9月で、細長い花茎を立ち上げ、よく分枝する円錐花序に花を多数付ける。
花は直径6mm前後の5弁花で、花色は淡紅色〜赤色で、萼片は早落性。
オシベは15〜20個程度で、柱頭は3裂する。花柄は長くとも20o程。
本種が開花するのは午後の3時頃で、数時間でしぼむ。そのためサンジソウ(三時草)等の別名がある。
果実は刮ハで、直径3〜5mmの球形で、3稜があり、熟すと3裂する。

2022/9/8 15:03
自宅近くの道路沿いで、ハゼンランが花を咲かせていました。
時計を見ると午後3時を少し過ぎていて、ちょうど開花が始まる時刻でした。
サンジソウ(三時草)の別名があるように、この時刻に開花が始まり、夕方には萎みます。

イヌタデ(Persicaria longiseta)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

2020/10/7
 
2020/10/19                2020/10/19
タデ科イヌタデ属の一年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、マレーシアに分布している。
草丈は20〜50cmで、茎は赤味を帯びることが多い。
葉は互生し、長さ3〜8cmの広披針〜披針形で、先が尖り、基部は楔形。
葉の縁は全縁で縁毛があり、主脈上には伏毛がある。
花期は6月〜10月で、長さ1〜5cmの円柱状の総状花序に紅色の小花を多数付ける。
花被は淡紅色で5裂し、花後には紅色になって痩果を包んでの残る。花弁はない。
オシベは8個、花柱は3裂する。小苞は赤色で、長い縁毛があり、花の間から突き出る。
托葉鞘は長さが5〜7mmの円柱状で、先に鞘と同じような長さの剛毛が付く。
痩果は3稜形で、長さ2mm前後。赤くなった花被に包まれたまま、黒く熟す。

2020/10/7,19
境川の河川敷の所々で、オオイヌタデに混じってイヌタデが赤い花を付けていました。
河川敷に下りられず、望遠での撮影しかできませんでしたが、花序の形状から本種と判断しました。

 
2020/10/27
境川に向かう途中の道路脇で見かけたイヌタデです。
小さな株でしたが、花序には小花が多数付いていましたが、開花しているものはありませんでした。

オオイヌタデ(Persicaria lapathifolia)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

2020/10/7

2020/10/19          2020/10/19          2020/10/19
タデ科イヌタデ属の一年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、北半球の冷温帯・暖温帯に分布している。
草丈は80〜200cmで、茎の下部は節が膨らみ、よく分枝する。
葉は互生し、長さ15〜25cmの披針形で基部は楔形、縁毛があり、中央脈には伏毛がある。
花期は6月〜10月で、長さ3〜10cmの円柱状の総状花序に小花を多数付け、先が垂れる。
花被は白色〜淡紅色で4〜5裂し、花後にも痩果を包んでの残る。花弁はない。
オシベは6個、花柱は2裂する。托葉鞘は筒状膜質で、下部に太い脈が目立ち、縁毛は無い。
痩果は直径2mm前後の扁平な円形で、両面が少し窪む。果実は褐色〜黒褐色。

2017/9/25
境川の河川敷の所々で、オオイヌタデが複数の大きな株を作っていました。
そのオオイヌタデの花ですが、白色と淡紅色の株が入り混じって咲いていました。

ハナヅルソウ(Aptenia cordifolia)
<ナデシコ目・ハマミズナ科・ハナヅルソウ属>
 
ハマミズナ科ハナヅルソウ属の常緑つる性多年草で、南アフリカ原産の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州で見られる。耐寒性があり、野生化しているものも多い。
茎は4稜または円柱形の多肉質で、長さ30〜60cmに平伏して伸び、高さは25cmほどになる。
節間は1〜5cmで、節から発根する。茎の表面には、嚢状の水を含んだ細胞があり、輝く。
葉は対生して付くか1個ずつ付き、葉身は長さ1〜3cmの心形〜楕円形で、葉柄は長さ4〜10mm。
花期は4月〜9月で、花は葉腋に単生し、直径10〜15mmで淡赤紫色〜紫色。
花柄は長さ8〜15mmで、果時に伸びる。花托筒は長さ6〜7mmである。
萼片は、小型ものは長さ7mm以下の線形で、大型のものは長さ10mmほどと花期には大きくなる。
花弁は80個前後あり、長さ3〜7mmで反曲する。
仮オシベは50個ほどあり、白色で直立して長さは3o前後。

2020/10/13
自宅近くの道路脇で見かけたハナヅルソウです。花壇に植えられていたものが逸出したようです。
耐寒性があるので、この辺りでは枯れることなく成長しているようです。

マツバギク(Lampranthus spectabilis)
<ナデシコ目・ハマミズナ科・Ruschioideae亜科・ルスキア連・マツバギク属>
 
ハマミズナ科マツバギク属の多年草で、南アフリカ原産の多肉植物。
乾燥に強く、茎は木質化し、根本でよく分枝して地上を横に這い、先端が立ち上がる。
草丈は10〜30cmになり、茎には節があって葉を対生する。
葉は多肉質で、緩やかな3稜がある短い線形で、柔らかいが表面はザラザラしている。
花期は5月〜10月と長く、葉腋から花柄を単生し、直径50mm前後の淡紅紫色の花を付ける。
花弁は細長い線形で金属光沢があり、50個前後が並んだ様が菊の花に似ているのが和名の由来。
花は、朝に開いて、夕方には閉じるが、雨や曇りの日には開かない。

2017/9/25
境川に沿った道路脇にある側壁からマツバギクが垂れ下がって咲いていました。
側壁の上にある公園の花壇から伸びてきているようです。

ケイトウ(Celosia argentea L.)
<ナデシコ目・ヒユ科・ケイトウ属>
 
ヒユ科ケイトウ属の1年草で、熱帯アジア原産の帰化植物。
日本では全国で、園芸用に植栽されている。
草丈は30〜90cmで、茎は直立して分枝し、赤色を帯びることが多い。
葉は互生し、長さ5〜20cmの卵状披針形で、先は長く尖り、基部は楔型で葉柄がある。
花期は8月〜10月で、枝先に花冠を付けるが、その形状で下記の4系統に分けられる。
トサカケイトウ・ヤリゲイトウ・クルメケイトウ・ウモウゲイトウ(フサゲイトウ)
花被片(萼片)は5個で長さ5mm前後、果時にも残る。花弁はない。
小苞は花被片の長さの半分程度。オシベは5個で、メシベは1個。
花色は、赤や黄色が基本であるが、園芸品種として橙、紫、ピンクなどが作出されている。

2022/9/25
自宅近くを散歩中、学校脇の塀際で、何株かのケイトウが花を付けていました。
校内の花壇に植えられていたケイトウが、こぼれ種から野生化したものと思われます。

ホウキギ(Bassia scoparia)
<ナデシコ目・ヒユ科・バッシア属>
   
ヒユ科バッシア属の一年草で、アジア原産の帰化植物。別名、ホウキグサ。
なお、旧分類がホウキギ属(Kochia)であったため、コキアの名でも知られている。
草丈は、30〜100cmで、株元からよく分枝し、多数の細い枝が直立して束状に伸びる。
根元から切って乾燥させると、そのまま箒として使用でき、それが和名の由来。
葉は互生し、葉身は長さ2〜3cmの線状披針形。秋には紅葉し、茎も赤くなる。
花期は8月〜10月で、葉腋に数個の花を固まって付ける。
花は直径2〜3oの淡黄緑色で、花弁はなく、雌花と両性花がある。
両性花では、オシベの葯がかなり目立つ。
畑のキャビアとして知られるトンブリは、本種の種子の大きな系統の果実から作られる。
この系統は草丈が高くなるが、紅葉はしない。

2017/9/25
境川から少し離れた畑の脇にホウキギが毎年のように見られます。
特に植えているように思えないので、毎年、種が落ちて繁殖しているようです。
秋に紅葉するまでは、こんもりとした緑の草姿で、それはそれで楽しめます。
この頃には、少し間延びして茎先に花を付けます。といっても小さくて目立ちません。
この写真の花は、オシベの葯が見られないので、雌花と思われます。



 
2020/9/19
9月に入ってからホウキギの茎が一気に赤く色付いてきました。
まだ、緑色のこんもりした姿をしたものもあり、バラツキはあるのですが紅葉するのも近いかも。


2020/10/7
久しぶりにホウキギの様子を見に行くと、紅葉が進んで真っ赤なものが多くありました。
その一方で、最初に紅葉していたものは、少し茶色味がかってきていました。
この1週間ほど後にいってみると、最初に紅葉したものは茶色く枯れてしまっていました。

ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)
<ナデシコ目・ヤマゴボウ科・ヤマゴボウ属>
 

ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。雄性先熟。
アメリカヤマゴボウの別名を持つ。有毒植物で、全草が有毒で、根や種子の毒性が高い。
日本全国に分布し、海外でも南アメリカ、オーストラリア、アジアに帰化している。
草丈は1〜2mで、茎は太く、赤色を帯びて平滑である。
葉は互生し、長さ10〜30cmの長楕円形で、先が尖り、全縁。葉柄は1〜4cm。
花期は6月〜10月で、長さ10〜30cmの総状の花序が垂れ下がる。
花は直径5mm前後で、白色〜淡紅紫色。花弁はなく、花弁に見えるのは萼である。
オシベは10個、子房の心皮も10個ある。果実は直径6〜8mmの扁球形で、果柄は果実より長い。
果実には種子が10個入り、熟して黒紫色になる頃には、膨れて境目が不明瞭になる。
熟した果実は柔らかく、潰すと赤紫色の果汁が出て、衣服や皮膚に付くとなかなか落ちない。
この特性のため、アメリカ合衆国ではインクベリー(Inkberry)などと呼ばれている。

2017/9/25
自宅近くを散歩中、何ヶ所かの道路脇でヨウシュヤマゴボウが花を付けているのを見かけました。
まだ、若いものが多く、紫色に熟した果実を付けたものはありませんでした。
上段は開花中の花ですが、花弁はなく、花弁に見えるのは萼片です。
左が雄性期の花で、オシベの葯には花粉が付き、メシベの先は閉じています。
右は雌性期の花で、オシベの花粉が出終わると、10裂したメシベの先が開きます。
葯が残ったオシベが1個ありますが、これは御愛嬌ということで。
下段左は先端の開花中の花で、右は基部の未熟な緑色の果実です。
もう少し経つと、黒紫色に熟して膨らみ、潰すと赤紫色の果汁が出てきます。
果汁は強力な染料で、服や手に付くとなかなか取れないので要注意です。









inserted by FC2 system