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播州地方で見かけた野草(春U)



実家近辺や兵庫県内などを移動する際に見かけた野草です。
といっても、出かけた際にちょこっと撮影しただけのため、あまり多くはないです。
今後、機会を見つけて充実させていきたいと思っています。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の草本を追加しました。
スパラキシス・トリカラー、フリージア、アスパラガス、ツルボ、
コスミレ、ニオイタチツボスミレ、セイヨウオダマキ
今回、下記の写真を追加しました。
シャガ、虎の巻、オオアマナ、ムスカリ、シラン、アメリカスミレサイシン、
アリアケスミレ、ノジスミレ、ムラサキケマン



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
キジカクシ目
アヤメ科(アヤメ、キショウブ、シャガ、ダッチアイリス、ジャーマンアイリス、
     ニオイイリス、オオニワゼキショウ、ニワゼキショウ、グラジオラス、
     スパラキシス・トリカラー、フリージア)
キジカクシ科(アスパラガス、ドイツスズラン、オオアマナ、オオツルボ、ツルボ、
       ムスカリ、イングリッシュブルーベル、スパニッシュ・ブルーベル)
ススキノキ科(虎の巻、十二の巻)
ヒガンバナ科(ハナニラ、スノーフレーク[スズランスイセン]、キズイセン、
       ショウハイスイセン、タイハイスイセン、スイセン[不明種]、
       チャイブ、ネギ、ノビル、ワケギ)
ラン科(キンラン、シラン、トキソウ)
キントラノオ目
スミレ科(アメリカスミレサイシン、アリアケスミレ、コスミレ、ツボスミレ、
     ニオイタチツボスミレ、ノジスミレ、ヒメスミレ)
トウダイグサ科(アカメガシワ)
キンポウゲ目
アケビ科(アケビ)
キンポウゲ科(セイヨウオダマキ、ケキツネノボタン、クロタネソウ)
ケシ科(アツミゲシ、トゲミゲシ、ナガミヒナゲシ、ムラサキケマン)
境播州地方で見かけた春の野草(春U)
和名インデックス


アヤメ(Iris sanguinea)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>

2021/5/12

2021/5/15                2021/5/15    .
アヤメ科アヤメ属の多年草で、やや乾燥したところを好む。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部、シベリアにかけて分布する。
根茎は横向きに多数分枝して増え、4月頃に地下の根茎から新芽を出す。
葉は直立して、高さは40〜60cm、花茎は分枝しないで直立し、高さは30〜60cmになる。
花期は5月〜6月で、花茎の先に数輪付き、直径8pほどの青紫色の花を咲かせる。
大きな3個の外花被片は垂れ下がり、基部に網目模様と黄斑がある。和名はこの模様に由来するとの説がある。
3個の内花被片は細長く、直立している。花は1日花である。

2021/5/12,15
気が付いたら、実家の庭の隅でアヤメが、花を咲かせ始めていました。
雨が降って暗かったため、アップで撮った写真が全て手ぶれしていたため、後日撮り直しました。


2021/5/14
実家近くの川岸を散歩中、土手の法面に咲いているアヤメを見かけました。
ここの土手は何でもありのような気がします。
おそらく、植えられたものではなく、破棄されたものが根付いたのではないでしょうか。

キショウブ(Iris pseudacorus)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>


 
アヤメ科アヤメ属の多年草で、ヨーロッパが原産地の帰化植物。
明治時代に観賞用として導入され、その後、野生化して各地で見られるようになった。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国で見られ、「要注意外来生物」の指定を受けている。
湖沼や河川など、残水域に生育する抽水植物で、繁殖力は旺盛。なお、乾いた草地でも繁殖する。
草丈は50〜120cmで、根茎は直径数cmのピンク色。よく分枝して群生する。
葉は2列に根生し、長さ40〜100cmの剣状で、先は細く尖る。中脈が太く隆起して明瞭。
花期は5月〜6月で、花茎を立ち上げ、上部で分枝して4〜12個の花を付ける。
苞は長さ6〜9cmの緑色で、縁が褐色。外側の苞には竜骨があり、内側のものにはない。
花は鮮やかな黄色で、3個の外花被片は広卵形で、長さは5〜7cmになり、垂れ下がる。
垂れ下がる広開部の基部には赤褐色の筋紋が丸く入り、その内側は濃黄色。
3個の内花被片も鮮やかな黄色で、長さ数cmで立ち上がり、へら形。
子房下位で、子房の長さは15mm前後。断面は三角形ので、側面にへこみがある。
花柱は長さ3〜4cmで、先が不規則に切れ込み、柱頭は丸い。

※ 環境省は「要注意外来生物」に指定し、
●栽培にあたっては、逸出を起こさないこと
●在来種に影響を与える恐れがある場合は、積極的な防除、分布拡大抑制策の検討が望まれる
として、警戒を呼び掛けている。

2021/5/11
手入れされていない農地の端の方で、キショウブがたくさん花を付けていました。
以前からその場所にあるのは知っていたのですが、花を見ていないので何だか分からなかったものです。

シャガ(Iris japonica)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>

アヤメ科アヤメ属の多年草で、中国原産であるが、かなり古い時代に日本に入ってきた帰化植物。
アヤメの仲間では咲きだすのが早い方で、アヤメやハナショウブより早く咲きだす。
日本では本州から四国、九州に分布するが、結実しないので、人為的に植栽されたものと思われる。
根茎は短く横に這い、群落を形成する。葉は光沢のある緑色で、長さ40〜60cmほどの剣型の単面葉。
花期は4月〜5月で、長さ30〜60cm程の花茎を立ち上げ、先で分枝して淡紫色の花を付ける。
花は直径5cm程で、倒卵形の外花被片、少し小さいへら型の内花被片は各々3個で、平開する。
外花被片には中央に橙色の斑と鶏冠状の突起、それを囲むような青色の斑があり、縁は細かく切れ込む。
内花被片の先は、浅く2裂する。オシベは3個、メシベの花柱の陰に隠れている。
メシベの花柱の裂片は先が2裂し、さらに細かく裂けて、中央に立ち上がっているので花弁のように見える。
花は1日花で、開花翌日にはしぼんでしまう。日本のシャガは三倍体のため結実することはない。

2021/3/29
気が付いたら、実家の庭の隅でシャガが、たくさんの花を咲かせていました。
アヤメの仲間では、咲き出すのが早いシャガですが、それでも少し早すぎる気がします。


2021/4/10
庭の片隅で、シャガが元気にたくさんの花を咲かせ続けています。
1日花で、花持ちが悪いという理由で、庭の片隅に追いやられてしまったようです。
花は見栄えがしますが、1日花では切り花には向かないですね。


2024/4/7
今年もシャガがたくさんの花を咲かせ始めました。毎日、次々と咲いていきます。
地下茎を伸ばして横に広がっていくので、咲くエリアが以前の倍くらいに広がっています。
放っておくと際限なく広がってしまうので、最近は広がりを食い止めるのに四苦八苦しています。


2024/4/16
毎日、シャガが次々と花を咲かせて、眼を楽しませてくれていました。
たまたま、この写真を撮った日の夕方というか夜に、春雷に伴う大きな雹が降りました。
翌朝、様子を見に行くと見るも無残な状態で、まともな花はほとんどありませんでした。
雹が花弁はもちろんですが、翌日に咲くツボミまでも傷めてしまったようです。

ダッチアイリス(Iris × hollandica)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>

2021/4/2            2021/4/2            2021/4/3 .
アヤメ科アヤメ属の多年草で、園芸用に品種改良された。そのため、野生のものは存在しない。
1800年代後期にスパニッシュアイリスにいろいろな種を掛け合わせて作出された園芸品種。
別名のオランダアヤメ、アイリス、球根アイリスで呼ばれることもある。
草丈は50〜75cmで、球根は直径8〜12cmの卵球形で外皮膜は褐色。
葉は、基部が鞘状で細長い披針形で、長さ70〜90cmになり、8〜11個付く。
花期は4月〜6月で、高さ50〜75cmの花茎を立ち上げ、数個の花を付ける。
花は直径11〜16cmで、花色は青色、紫色、黄色、茶色、白色など多彩。

2021/3/29
気が付いたら実家の庭で、ダッチアイリスがツボミを膨らませ、花被片が覗いていました。
翌日、見に行くとツボミはさらに大きく伸び出していて、その早さに驚きました。


2021/4/4
朝、見に行ったら既に開花していて、夕方にはさらにもう1輪開花していました。
暖かい日が続いたためかもしれませんが、想像以上に開花までの時間が早い気がします。


2021/4/2            2021/4/5            2021/4/9 .
開花したのは4/4ですが、4/9には全ての花茎で開花していました。
他の株でも開花が始まっており、今後、次々と咲いてくれると思います。


2022/4/30
農道を歩いているとき、道路脇の法面でダッチアイリスが咲いていました。
実家の庭のダッチアイリスは、ほぼ咲き終わっていましたので、ちょっと遅めの開花ですね。
花色は、実家のものは青味が強いのですが、この花は紫味が強いようです。

ジャーマンアイリス(Iris germanica)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>

アヤメ科アヤメ属の多年草で、園芸用に品種改良された。そのため、野生のものは存在しない。
1800年代にドイツ、フランスで品種改良され、その後、アメリカで改良が進められた。
現在、非常に多くの品種が離、花色も豊富である。別名のドイツアヤメで呼ばれることもある。
草丈は60〜120cmになり、根茎はよく分枝して、淡褐色。直径は12〜20mm。
根茎は分枝して扇状に広がり、節が根茎の周りに輪状に付く。
葉は互生して重なり合うよう根本からに出て、長さ30〜45cmの幅広で筋はなく扁平である。
花期は4月〜5月で、直径20cm前後の花は、豊富な花色があり、青色、褐色、黄色、白色など多彩。
茎は粉白色を帯びた緑色で、長さ60〜120cmで2〜3分枝する。
茎先の花序に1〜2個の花を付け、苞は長さ2〜5cmで緑色。草質で、縁や先は薄膜質。
花筒は長さ10〜25oで、内花被片は直立して、長さ5〜7cmの倒卵形。外花被片と交互に付く。
外花被片は広がって垂れ下がり、長さは7cm前後で、中肋に沿って黄色〜白色のひげがある。

2021/4/10
実家近くの河川敷を歩いていて、土手の法面にジャーマンアイリスが咲いているのに気が付きました。
キブサスイセンやニホンスイセンなどが咲いていた近くで、ここに破棄されて根付いたもののようです。


2021/5/14
以前見かけた前述のジャーマンアイリスは咲き終わっていましたが、別の花が咲いていました。
外花被片が濃紫色で、内花被片が極淡い紫色の品種です。


2022/5/8                 2022/5/9
今年、実家の庭で咲いていたジャーマンアイリスを、切り花にして楽しんでいました。
いくつかの花が咲き終わり、大きくなっていたツボミが開花していました。
ふっと見た時、何か違和感を覚え、よく見ると内花被片、外花被片が各々2個しかありません。
ジャーマンアイリスの花は、あちらこちらでよく見ますが、こんな花を見るのは初めてです。
翌日、もう1つのツボミも開花したのですが、こちらは各々3個ある、極普通の花でした。

ニオイイリス(Iris florentina)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>

アヤメ科アヤメ属の多年草で、地中海沿岸原産である。
ドイツアヤメ(ジャーマンアイリス)の変種で、太い根茎がある。
その根茎から香料を取るために移入されたが、観賞用にも植栽されている。
なお、「白花のイチハツ」の名前で販売されていることがあるが、葉の形状が異なる。
草丈は60〜120cmで、根茎はよく分枝して扇状に広がり、直径は12〜20mm。
葉は互生して重なり合うよう根本からに出て、長さ30〜45cmの幅広で筋はなく扁平である。
花期は4月〜5月で、茎の先に白いアヤメのような直径20cm前後の花を数個咲かせる。
茎は粉白色を帯びた緑色で、長さ60〜120cmで2〜3分枝する。
苞は長さ2〜5cmで緑色。草質で、縁や先は薄膜質。花筒は長さ10〜25o。
3個の内花被片は直立して、長さ5〜7cmの倒卵形。外花被片と交互に付く。
3個の外花被片は長さは7cm前後で、垂れ下がって中肋に沿ってブラシ状の突起がある。

2021/3/29
実家の庭のニオイイリスですが、いつの間にか花茎が大きく伸び出していました。
花が咲き出すのは、まだ、もう少し先になりそうです。


2021/4/1
咲くのはもう少し先と思ったのですが、花茎の伸び方が半端ではないです。
咲くのは、そんなに先ではないかもしれません。


2021/4/2           2021/4/3           2021/4/4
ツボミが、日一日と伸び出してきていて、間もなく開花となりそうです。


2021/4/5                   2021/4/9
4/9に気が付いたら、いつの間にか5輪も咲いていました。
おそらく、昨日か一昨日には開花していたものと思います。


2021/4/9
ドイツアヤメ(ジャーマンアイリス)の変種ということで、花色以外の特徴はほぼ同じです。


2021/4/10 9:23      2021/4/10 10:55      2021/4/10 11:49
今日は、朝から好天で、一気に花が咲きそうだったので、開花するところを撮ってみました。
午前中にほぼ開花は終わりましたが、外花被片がもう少し開くと思います。
13:57に確認した時点でも、外花被片はあまり変わらず、内花被片が少し開いている状態でした。
結局、外花被片が前述の写真のように開いるのを確認できたのは、翌日になってからでした。


いろいろなアヤメ科アヤメ属の花




イチハツ
花期は3月〜5月
本州の関東以西、四国、
九州、南西諸島に分布
シャガ
花期は4月〜5月
本州から四国、九州に分布

ヒメシャガ
花期は5月〜6月
北海道西南部から本州、
四国、九州北部に分布



アヤメ
花期は5月〜6月
北海道から本州、四国、
九州と全国に分布
カンザキアヤメ
花期は11月〜3月
地中海沿岸地域が原産地
葉が枯れることがない
ノハナショウブ
花期は6月〜7月
北海道から本州、四国、
九州と全国に分布



ハナショウブ
花期は5月〜6月
ノハナショウブの園芸品種
で、多くの品種がある
キショウブ
花期は5月〜6月
ヨーロッパが原産地の帰化植物
「要注意外来生物」
ジャーマンアイリス
花期は5月〜6月
アヤメ属の交雑園芸品種で、野生
の物はない。別名はドイツアヤメ



ニオイイリス
花期は4月〜5月
ジャーマンアイリスの変種
天然香料の原料であった
ダッチアイリス
花期は4月〜5月
スパニッシュ・アイリスの
園芸品種で別名はオランダアヤメ
ジャーマンアイリス
奇形のジャーマンアイリス
内外花被片が各々2個しかない
こんなの初めて見ました

アヤメ(菖蒲)、カキツバタ(杜若)、ハナショウブ(花菖蒲)は見分けにくいので有名です。
この中で、アヤメのみ乾燥した水はけのよい所を好みます。
カキツバタは湿地に、ハナショウブは水辺などの湿った所を好みます。
また、外花被片に網目模様があるのがアヤメで、他のものには模様はなく、
基部が黄色いのがハナショウブ、白いのがカキツバタです。
なお、菖蒲は「ショウブ」とも読みますが、ショウブはサトイモ科の植物です。
葉の形はよく似ていますが、花はガマの穂のような形で、アヤメとは全く異なります。


  <アヤメ>                 <カンザキアヤメ>
アヤメの外花被片には、上記のように網目模様が見られますが、カンザキアヤメにはこのような模様はありません。
カンザキアヤメの基部は、花菖蒲のように黄色く、模様は網目ではなく筋模様になります。


オオニワゼキショウ(Sisyrinchium iridifolium var. laxum)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・ニワゼキショウ連・ニワゼキショウ属>

2022/4/30

2022/4/30         2022/4/30         2022/5/9
アヤメ科ニワゼキショウ属の1年草。北米が原産地の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布する。
ニワゼキショウと同じような環境に普通に見られるため、両種が混生していることがある。
草丈は20〜30cmとニワゼキショウより大きいが、花は逆に小さく、刮ハは大きい。
茎は基部で枝分かれし、扁平でごく狭い翼がある。幅は3o前後。
葉は幅4mmほどの剣状葉で、茎を抱き、茎に沿って直立する。
花期は5月〜6月で、茎の先に細い花柄をだし、直径10mm程の小さな花を咲かせる。
花弁は淡青紫色で、内花被片、外花被片各々3枚からなり、内花被片はやや短く細い。
刮ハは直径5o前後の球形で、紫色を帯びた黄褐色。

2021/4/30,5/7
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園の駐車場、その法面でオオニワゼキショウを見かけました。
ニワゼキショウと比べると、ひょろっと背が高くて、花が一回り小さく、果実は一回り大きいです。
最初に見つけた花は数輪でしたが、後日、下段右のように固まって咲いている所を見つけました。
なお、上段のニワゼキショウとオオニワゼキショウが混在して咲いていたのは、近くの墓地の外れです。


2023/5/4
網引湿原のバイオトイレの近くで見かけたオオニワゼキショウです。
オオニワゼキショウの花の基部は丸く膨らんでいて、子房も丸みがあって比較的大きい。


オオニワゼキショウとニワゼキショウの花

   .
   .

<オオニワゼキショウ>           <ニワゼキショウ> .
同じ倍率ではないので分かりにくいですが、オオニワゼキショウの花はニワゼキショウより小さいです。
ニワゼキショウの花には、白色と赤紫色のものがあり、中央部はどちらも黄色です。
オオニワゼキショウの花は淡青紫色で、内花被片と外花被片の幅に明瞭な差があります。
花の基部の形状も、円柱状のニワゼキショウに対して、オオニワゼキショウは丸く膨らみます(中段)。
その下部の子房は、オオニワゼキショウが丸みがあって大きいのに対して、ニワゼキショウは小さいです。
この子房の大きさの違いが、果実になった時の大きさの違いとなって現れます。
下段の写真は、ほぼ同倍率になっていますので、花や果実の大きさの違いが分かると思います。


ニワゼキショウ(Sisyrinchium rosulatum)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・ニワゼキショウ連・ニワゼキショウ属>


アヤメ科ニワゼキショウ属の1年草。北米が原産地の帰化植物。
日本では全国の痩せ地に普通に見られ、芝生や草地などに群生する。
オオニワゼキショウと同じような環境に普通に見られるため、両種が混生していることがある。
草丈は高さ10〜20cmになり、茎は基部で分枝して、扁平でごく狭い翼がある。
葉は長さ4〜8cm、幅2〜3mmの剣状葉で、茎を抱き、茎に沿って直立する。
花期は5月〜6月で、茎の先に細い花柄をだし、直径15mm程の小さな花を咲かせる。
花弁は内花被片、外花被片各々3枚からなり、両者の長さは変わらないが、内花被片はやや細い。
花色は白色のものと赤紫色のものがあり、中央部はどちらも黄色である。
花は、受精すると、一日でしぼんでしまう。
刮ハは直径3o前後の球形で、紫色を帯びた黄褐色。

2021/5/11
農道を歩いているとき、塀際に赤紫色のニワゼキショウが固まって咲いていました。
写真を撮り終えて少し歩くと、今度は白色のニワゼキショウの大群落がありました。
これほど固まって咲いているのを見るのは初めてです。


2022/4/30                  2022/4/30
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園の駐車場、その法面で見かけたニワゼキショウです。
左の赤紫色の花に混ざっている淡青色の花は、オオニワゼキショウです。
また、右の写真には、白色のニワゼキショウに赤紫色のニワゼキショウが混ざっています。



 <ニワゼキショウ>     <ニワゼキショウ>    <オオニワゼキショウ>
2022/5/7          2022/4/30          2022/5/7
白色のニワゼキショウと赤紫色のニワゼキショウ、それに参考にオオニワゼキショウを並べてみました。
出来るだけ、同じような倍率になるよう調整しましたが、オオニワゼキショウの全体象は大きめです。


2023/5/4
網引湿原のバイオトイレの近くで見かけたニワゼキショウです。
ここでは白い花と赤紫色の花が混在して咲いていました。
ニワゼキショウの花の基部は筒状であまり膨らみません。子房も小さくて、あまり目立ちません。
※ オオニワゼキショウとニワゼキショウの比較に関しては、こちらにまとめましたのご参照ください。

グラジオラス(Gladiolus)
<キジカクシ目・アヤメ科・クロッカス亜科・グラジオラス連・グラジオラス属>

グラジオラスは、アヤメ科グラジオラス属の植物の総称で、原産地はアフリカ・地中海沿岸など。
日本には自生種はなく、園芸植物として植えられているが、一部で逸出して野生化している。
草丈は50〜100cmで、球茎を持つ多年草で、茎は単一か分枝する。
披針形〜線形のやや扁平な葉が、1〜9個出る。
春に球根(球茎)植えて花期は7月〜8月のものが多いが、原種には秋植で春に開花するものもある。
花序は穂状花序で、花は一方向に偏って付いたり、対生に付いたりする。
苞は緑色〜灰紫色で不等長。普通、外側の苞は内側の苞より長く、尖っている。
花は左右相称で、花被片は基部で筒部に合着し、色は赤、黄、橙、白、紫など多彩である。
背面の花被片が最も大きく、オシベをアーチ状に覆っている。
オシベは普通片側のみに付き、花柱はオシベを越えて柱頭は3裂して先は広がる。

2021/5/11
農地の間を流れる小川の法面で、見たことがないグラジオラスが1本だけ花を付けていました。
よく見かけるボリュームのある花ではなく、花弁の間がスカスカに空いています。
後で調べると、ヨーロッパ、北アフリカが原産地のグラジオラス・コミュニス(Gladiolus communis)でした。
原種に近い品種のようで、赤紫の花被片の内、外側の3個の花被片には狭い白色の縞が中央にあります。

スパラキシス・トリカラー(Sparaxis tricolor)
<キジカクシ目・アヤメ科・クロッカス亜科・スパラキシス属>


アヤメ科スパラキシス属の半耐寒性の球根植物で、南アフリカ原産。
属名の"Sparaxis"をスパラキシスともスパラクシスとも読むが、和名はスイセンアヤメである>
花弁はオレンジ色で中心が黄色に黒色の模様が入る。
ほかの種と交雑されて、花色の異なるさまざまな園芸品種が作出されている。
草丈は30〜40cmで、球茎に細かい帯白色の繊維状の薄皮がある。
剣形の葉は穂状花序の基部に互生して数個つき、明瞭な中脈がある。
花後、夏には地上部が枯れて、初夏〜秋には休眠する。
花期は4月〜5月で、数本の花茎を直立して穂状花序を頂生して2〜5個の花が付く。
花は直径4cm前後で花被片は6個、橙色の花被片は中央に黄色のハート形の斑紋がある。
その外側は暗赤褐色の帯状に縁どられる。披針形の花被片は長さ25〜33mm。
オシベは3個で長さ6〜7mm、葯は長さ8〜9mmの線形で黄色。メシベの柱頭は3裂する。

2024/4/20,23
実家の庭に植えられているダッチアイリスの中に1株だけ咲いていました。
植えた覚えがないので、ダッチアイリスの球根の中に混ざっていたのかもしれません。
下段は花芯を拡大したものですが、大きな3個の葯と3裂した柱頭が見えています。

フリージア(Freesia x hybrida)
<キジカクシ目・アヤメ科・クロッカス亜科・フリージア連・フリージア属>

アヤメ科フリージア属で、半耐寒性球根植物の種の1つで、夏に休眠する多年草である。
デンマークの植物学者エクロンが南アフリカで発見し、親友のドイツ人の医師フレーゼに献名した。
現在、フリージア属の原種は、南アフリカ共和国西ケープ州の周辺で16種知られている。
オランダでの品種改良により、現在では150以上の園芸品種が存在する。
球茎は直径1〜2.5cmの円錐形で、茎は単生するか分枝する。
葉は平坦な披針形で、数個が垂直に立つ。
花序は穂状で、片側に着く偏側生。普通、花は6〜12個付く。
花被片6個は筒部に合着し、ほぼ同形で、外花被片が内花被片より若干大きい。
花色は、白、黄色、紅、ピンク、赤紫、藤色、オレンジなどがある。
花被の筒部は漏斗型で、先で急に広がる。オシベは非対称で片側だけに着く。
国内で多いのは、黄色いラインベルトゴールデンイエロー(Rijnveld's Golden Yellow)である。
1946年にオランダで作出され、日本には1957年から輸入され、翌年から八丈島で栽培された。
強健で強い病害抵抗性を示し、強い芳香と周年開花性があるので、切り花として流通する。

2024/4/1
実家の庭に植えられているフリージアが開花していました。
よく見かける黄色い花なので、おそらくラインベルトゴールデンイエローでしょう。

アスパラガス(Asparagus officinalis)
<キジカクシ目・キジカクシ科・キジカクシ亜科・クサスギカズラ属>

キジカクシ科クサスギカズラ属の多年草で、地中海東部が原産地。雌雄異株である。
和名は、オランダキジカクシ、オランダウド、マツバウドですが、通称はアスパラガス。
なお、同属の在来種にはキジカクシ(A. schoberioides)、クサスギカズラ(A. cochinchinensis)などがある。
アスパラガスを日本で最初に栽培、生産を行ったのは北海道岩内町で、現在は日本各地で栽培されている。
草丈は0.8〜2mで、成長すると細かい葉に見える枝が生い茂り、キジが隠れるほどになるのが由来。
緑色の葉に見えるものは、極端に細く分枝した茎であり、葉は退化して鱗片状になっている。
そのため、細い葉状枝(偽葉)に葉緑素があり、鱗片状の葉には葉緑素はない。
つまり、植物としての光合成は、鱗片状の葉ではなく、茎である細い葉状枝(偽葉)で行う。
花期は5月〜7月で、節に1個ずつ互生して出る葉状枝の葉腋に、複数の花を付ける。
花は直径10mm前後の黄緑色の小花で、雄株に付く雄花は6個のオシベが発達し、メシベは退化して小さい。
一方、雌株に付く雌花では、柱頭が3裂したメシベと子房が発達し、オシベは退化して小さい。
雌株には直径8mm前後の球形の液果が付き、秋には赤く熟す。

2024/3/13
実家の庭に植えて3年目になるアスパラガスですが、今年も新芽を出してきました。
昨年は収穫もしましたが、多くを残しておいたのが良かったのか、新芽にとても太いものがあります。


2024/3/28
今年は寒の戻りが厳しくて、桜の開花が遅れていますが、アスパラガスの成長も遅いです。
もっと早く食べられると思っていたのですが、収穫までに2週間以上かかりました。
予想通り、太い新芽は基部で直径2cmを越える太さになり、焼いていただくことにしました。


2024/4/1
収穫後も次々と新芽が伸び出してきています。細めのものは、収穫せずに伸ばしています。

 
2024/4/7              2024/4/11
2024/4/7 倍以上に伸びて、横枝を伸ばし始めました。
2024/4/11 草丈は1.2mに達し、最終的には2mほどになるでしょう。横枝も伸びています。
なお、周囲に出ていた太いアスパラガスは収穫し、焼いたり肉巻きにして美味しく頂きました。
まだまだ、どんどんと新しい芽が伸び出してきて、しばらくは楽しめそうです。

ドイツスズラン(Convallaria majalis)
<キジカクシ目・キジカクシ科・スズラン属>
 
キジカクシ科スズラン属の多年草で、ヨーロッパが原産地。
草丈が20〜30cmになり、花茎が葉と同長かそれよりも長くなることが多い。
在来種のスズランは、草丈が20cm以下で、花茎が葉より短いものが多い。
ただ、逸出して野生化したドイツスズランには、小さいものもある。
そのため、野生のスズランでは、その大きさだけから判別するのは難しい。
ただ、日本で見られるドイツスズランは、オシベの基部が紫色であることで判別可能。
葉身は長さ9〜20cm、葉柄(偽茎)は8〜24cmで、葉質が厚いので葉脈はあまり見えない。
花期は、低地では4月〜5月で、高地では7月〜9月になる。
花茎は花序を除いて長さ10〜23cmで、その先の花序に5〜10個ほどの花が付く。
苞は長さ4〜10mmの薄膜質の広披針形で、花柄(長さ7〜12mm)より短い。
花被は長さ5〜10mmの広鐘形で、白色の花被片は6個。裂片は反り返る。
葯は淡緑色で、花糸より短く、その基部が紫色を帯びる。

2021/4/3
実家の庭で、鉢植えになっているドイツスズランですが、気が付くと1輪咲いていました。
他の株は新葉を伸ばし始めたばかりなのに、この株だけはかなりあわてんぼうのようです。

 
2021/4/10
この花茎に付いていたツボミ4個がすべて咲きそろっていました。
そこで、念のために花糸の基部が紫色であることを確認したのが、上記の写真です。

オオアマナ(Ornithogalum umbellatum)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・オオアマナ属>

キジカクシ科オオアマナ属の多年草で、ヨーロッパからアジア南西部が原産の帰化植物。
日本には明治末期に移入され、観賞用に栽培されていたものが逸出し、一部で野生化している。
草丈は20p前後で、白い鱗茎を持ち、分球により盛んに繁殖する。
根際から生える葉は線形で、湾曲しながら伸びる。
花期は4月〜5月で、花茎を伸ばして集散花序を出し、直径3cm程の白花を多数付ける。
花被片は6個、オシベも6個ある。中央のメシベの花柱は5mmほどで、子房と同程度。
花は日照と連動して開花し、日が射すと開花し、陰ると閉じる。
花後に葉は枯れるが、11月頃になると葉を展開して、そのまま越冬する。
和名は、アマナに似て大きいことに由来するが、アマナと異なり有毒植物。
別名は「ベツレヘムの星」であるが、ハナニラも同じ名前で呼ばれる。

2021/3/29
実家の庭で、鉢植えになっていたオオアマナが花を付けているのに気が付きました。
オオアマナは花茎を立ち上げて、その先の集散花序に多くの花を付けます。
それが、基部に近い所で、葉に隠れるようにして咲いていたので、気が付かなかったようです。


2021/4/10
オオアマナが一斉に開花し始めましたが、花茎はあまり高くはなっていません。
そのため、花も葉を押し退けるようにして咲いています。


2024/4/11
今年もオオアマナが咲いていましたが、花茎が低くて、葉の中で咲いていました。


2024/4/23
しばらく経って見に行くと、花数がかなり増えて、花の背も高くなっているようです。
良く見ると、花の一段下に未熟な果実が見えており、その差分の数cm、背が高くなったようです。

オオツルボ(Scilla peruviana)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・ツルボ属>

キジカクシ科ツルボ属の多年草で、地中海沿岸の南ヨーロッパ、北アフリカが原産地。
草丈は20〜40cmで、直径が7cmほどになる大きな球根を持ち、鱗片は褐色。
葉は多数付き、長さ30〜60cmの平らなひも状で、縁には小さな剛毛がある。
花期は5月〜6月で、中心から20〜40cmの花茎を立ち上げ、花序を頂生させる。
花序は、はじめは散房状であるが、徐々に伸びて円錐状の総状花序になる。
花は直径2cm前後で、6個の花弁が平開する。花色は濃青色〜白色まで変異に富む。
花柄は花より長く、苞は花柄の基部に1個付き、白色で目立ち、先は刺状で早落性。
オシベは6個で、各々花被片の基部近くに付く。花糸は幅広で不規則な模様がある。

2021/4/10
実家近くを散歩中、歩道脇でオオツルボが花を付けていました。
おそらく、以前に植栽されたものが残っているのではないかと思います。

ツルボ(Scilla scilloides)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・ツルボ属>

キジカクシ科ツルボ属の多年草で、東アジアで唯一の種である。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、朝鮮半島から中国、台湾にも分布している。
葉は、長さ20cm前後、葉幅5o前後で細長く、年に2回出る。
春に10枚ほどの春葉が出るが、夏には枯れる。8月〜9月には、数枚の葉と花穂が出る。
花茎は数十pになり、真っ直ぐに立ち上がる。花茎の先に総状花序を付け、ピンクの花が咲き上って行く。
花被片は6個で先の尖った長楕円形、オシベは6本で、長さ5o程の花柄がある。
2024/3/30
昨年、鉢植えにしていた自宅から持ってきたツルボを直植にしました。
それらが、一斉に春葉を伸ばし始めていました。今年の秋が楽しみです。


2024/4/7
葉の長さが倍くらいに延びました。秋の開花に向け、しっかりと養分を溜めてください。
昨年より株数がかなり増えていますので、秋の開花が楽しみです。

ムスカリ(Scilla hispanica)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・ツルボ属>

キジカクシ科ムスカリ属の多年草で、南アフリカ共和国ドラケンスバーグ山脈周辺の高原が原産地。
日本には、園芸品種として移入され、庭などで栽培されることが多い。
草丈は15〜20pほどで、葉は長さ10〜15p程の線形。
花期は3月〜5月で、ブドウ房のように卵状壺形の青色の花を付ける。
近年、人気品種となって、各地の公園などに植栽され、逸出して野生化したものが見かけられる。
良く見かけられる品種は、比較的大柄なアルメニアカム(Muscari armeniacum)、
小型のアウケリ(Muscari aucheri)、ネグレクタム(Muscari neglectum)などである。

2021/3/19
実家の庭のムスカリですが、花茎が大きく伸び出し、たくさんの花を咲かせています。
3月の初めには、多くの花茎は葉の陰に隠れて見えなかったのとは、大きな違いです。
それと、民家の庭先で見かけることも多いのですが、道端に逸出したものもよく見かけます。

 
2024/4/12
網引湿原の第1獣害防止ゲート手前の通路脇で、ムスカリが花茎を5本立ち上げて咲いていました。
最近、逸出したムスカリを、いろいろな場所で見かけるようになりましたね。

イングリッシュ・ブルーベル(Hyacinthoides non-scripta)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・ヒアシントイデス属>

キジカクシ科ヒアシントイデス属に属する春咲き球根性多年草である。
原産地は、イギリスを含む西ヨーロッパの森林地帯である。
草丈は10〜30cmで、葉は細い線状の披針形。全て根出葉である。
花茎を立ち上げるが、先は湾曲して垂れ下がり、花は片方のみに付く。
花は筒状で、花弁の先端のみが外側にカールして、芳香があり、強く香る。
なお、ヒスパニカ種と比較して、筒部が細く、花弁の先端のみがカールする。
葯は白黄色を帯びた白色かクリーム色で、花筒内部の真ん中より奥側に付く。
花色はブルーであるが、変異があり、ピンク系や白系がある。
なお、夏になると地上部は枯れて、翌春まで休眠状態になる。
ヒスパニカ種と交雑しやすく、両者の混在する所では自然交雑が起きる。
ヒスパニカ種:スパニッシュブルーベル/シラーカンパニュラータ
    果穂は直立し、やや細長い釣鐘型の花は片寄らずに付く
ノンスクリプタ種:イングリッシュブルーベル
    花穂は細くて上部で垂れ下がり、細い花が片側のみに付く

2021/4/10
実家近くを散歩中、歩道脇に見慣れないピンクの花が咲いていました。
おそらく、オオツルボの近くなので、以前に植栽されたものが残っているのではないかと思います。
後で調べてみると、花茎の先が垂れ下がり、花が偏って付いている点で、ノンスクリプタ種と思われます。
しかし、花の形がヒスパニカ種に近いことから、両者の雑種の可能性が高そうです。

スパニッシュ・ブルーベル(Hyacinthoides hispanica)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・ヒアシントイデス属>

キジカクシ科ヒアシントイデス属に属する春咲き球根性多年草である。
別名のシラー・カンパニュラータは、以前シラー属に分類されていた頃の名残りである。
原産地は、スペイン、ポルトガルが中心で、北西アフリカにも自生する。
草丈は20〜40cmで、葉は細い線状の披針形。全て根出葉である。
花期は4月〜5月で、中心から花茎を真っすぐに立ち上げ、花序に十数輪の花を付ける。
花は釣鐘型で、花弁の先端が外側に軽くカールする。芳香はほとんどない。
葯は白黄色を帯びた白色かクリーム色で、花筒内部の真ん中より奥側に付く。
花色はブルーであるが、変異があり、ピンク系や白系がある。
ノンスクリプタ種と交雑しやすく、両者の混在する所では自然交雑が起きる。
ヒスパニカ種:スパニッシュブルーベル/シラーカンパニュラータ
    果穂は直立し、やや細長い釣鐘型の花は片寄らずに付く
ノンスクリプタ種:イングリッシュブルーベル
    花穂は細くて上部で垂れ下がり、細い花が片側のみに付く

2021/4/15
実家の庭を除草中、花壇の片隅で咲いていたスパニッシュ・ブルーベルを見つけました。
何時からあるのか分かりませんが、以前植えられてからほったらかしになっているようです。
しかし、他の植栽に紛れながらも毎年花を付けていたようです。


2021/4/16
翌日、近くの川沿いを散歩していると、道路脇でスパニッシュ・ブルーベルが咲いていました。
周りを雑草が埋め尽くしていますので、ここに破棄されて根付いたもののようです。

虎の巻(Gasteria gracilis )
<キジカクシ目・ススキノキ科・ツルボラン亜科・ガステリア属>


ススキノキ科ガステリア属の常緑性草本で、多肉植物。原産地は南アフリカのケープ州。
なお、ガステリアの名は、花の形が胃(gaster)に似ていることに由来する。
茎はなく、地面に近い場所に肉厚の葉が左右交互に広がる姿が、牛が臥した姿に見え、臥牛とも呼ばれる。
葉は濃い緑色の地に、葉の縁や両面に白い斑点、結節がある。
花期は春から夏にかけてで、花茎を30〜50cm伸ばして、花を20〜30個、垂れ下がるように付ける。
花は筒状で、紅紫色の基部が丸く膨らみ、緑色の先が6裂してわずかに開く程度である。
オシベ6個とメシベ1個は、開いた花冠とほぼ同長で、花冠の先に顔を出す。

2021/5/15
実家にある小さな温室には、多肉植物も数種類置いてあります。
その内の1つ、虎の巻が花茎を伸ばして花を咲かせていました。
花の形を意識したことはないのですが、今回調べて、形が胃袋に似ているのが属名の由来と知りました。
言われてみれば、基部の膨らみ方や色合いは、胃袋に似ていますね。
ちなみに、この虎の巻もここに来て50年近くになり、かなり増えました。
しかし、冬場の水やりを失敗して、葉をかなり痛めてしまいました。


2024/4/7
今年も虎の巻が長い花茎をのばして、多くの花を次々と咲かせています。
この花の形では、口吻が長いスズメガのような昆虫でないと、その蜜を吸うことはできないでしょう。


2024/4/9
何か特別な仕掛けでもあるのかと気になって、花(ツボミと開花したもの)を解体してみました。
先すぼまりの細長い形ですが、特に変わった点はないように思われます。

十二の巻(Haworthia fasciata)
<キジカクシ目・ススキノキ科・ツルボラン亜科・ハオルシア属>

ススキノキ科ハオルシア属の常緑性草本で、多肉植物。原産地は南アフリカのケープ州。
茎はなく、混生する多数の葉がロゼットを構成し、その直径は8〜10cmになる。
葉の長さは5〜7cmで、三角状披針形。先は尖り、葉表は先端で内に巻き、葉裏は強く膨らむ。
葉裏には多数の結節があり、それが左右に連なって線状の白い隆起を作るので、横縞模様に見える。
花期は春から夏にかけてで、花茎を30〜50cm伸ばして、直径10〜12mmの花を5〜15個付ける。
内花被片、外花被片とも3個あり、白地に濃褐色の筋が中央を走る。

2021/5/15
実家にある小さな温室には、多肉植物も数種類置いてあります。
その内の1つ、十二の巻が花茎を伸ばして花を咲かせていました。
主に葉を楽しむ草本ですが、毎年、春に長く花茎を伸ばして、ちょっと変わった花を咲かせます。
ちなみに、この十二の巻もここに来て50年近くになり、かなり増えました。

ハナニラ(Ipheion uniflorum Raf.)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ネギ亜科・ギリエシア連・ハナニラ属>

2021/3/3                  2021/3/20

2021/3/3                  2021/3/23
ヒガンバナ科ハナニラ属に属する多年草で、アルゼンチン原産の帰化植物。
花の形からベツレヘムの星の別名がある。
日本へは明治時代に園芸植物として移入され、逸出して野生化している。
葉にはニラのようなにおいがあり、これが和名の由来である。
草丈は10〜20cmで、鱗茎から長さ10〜25cmのニラに似た葉を数個出す。
花期は3月〜4月で、鱗茎から数本の花茎を出し、直径3cm前後の花を単生する。
花は白色〜淡紫色の6花弁で、花弁の中央に紫色の筋が目立つ。
オシベは6個あるが、3個は花糸が長く、3個は花糸が短い。
開花を含めて、春季のみ地上に現れる。
ニラとは同じヒガンバナ科であるが属が異なり、有毒植物である。
ニラの花(蕾)を野菜の「花にら」として販売しているが、別物なので混同しないこと。

2021/3/20 実家近くを散歩中に見かけたハナニラですが、かなりにぎやかになっていました。
最初に見たとき花茎が出ていなかった株にも花茎が出て、多くの花を付けたようです。
2021/3/23 実家近くの農道を散歩中、同を脇で見かけたハナニラは、かなり青みの強い花でした。

スノーフレーク(Rhodohypoxis baurii)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・ガランサス連・スノーフレーク属>

2021/3/19                2021/3/19

2021/3/19                2021/3/20
ヒガンバナ科スノーフレーク属の多年草(球根植物)で、ヨーロッバ中南部が原産地。
日本には、園芸品種として移入され、庭などで栽培されているものが多い。
別名には、スズランスイセンやオオマツユキソウがある。
草丈は20〜40cmで、球根は2〜4cm、茎は管状。
葉は扁平で、長さは30〜50cm。根際から5枚前後が立ち上がり、初夏には葉は枯れて休眠する。
花期は3月〜4月で、スズランに似た6花弁の白い花付ける。花弁の先には、緑色の斑点がある。
花は下向きに咲き、長さは10〜22mm。オシベは6個。
有毒植物で、葉がニラに似ていることから誤食による中毒事故が発生しており、要注意植物である。

2021/3/19,20
実家の庭で、スノーフレーク[スズランスイセン]の開花が始まりました。
子供の頃に見た記憶がありますので、この場所で50年近く咲き続けているようです。
散歩中も、民家の庭先見かけることが多くなりました。
また、逸出して野生化したものが道路の端などで咲いているのみ見かけるようになりました。


2021/4/4
スノーフレークですが、2週間が過ぎ、花のピークを迎えていました。
これは実家の庭に植えられたいるものですが、土手の法面などで野生化したものも見かけます。

キズイセン(Narcissus jonquilla L)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>

ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、ポルトガル、スペインが原産地。
別名は、イトズイセンやジョンキルスイセンである。
日本には、江戸時代後期の1815年(文化12年)に長崎にイギリスから持ち込まれた記録がある。
草丈は10〜30cmで球茎があり、イグサのような細長い葉は、直立している。
花期は3月〜4月で、葉より若干低めの花茎の先に、2〜5個の花を横向きに付ける。
花は直径3〜4cmで、花色は黄色〜濃黄色、または白色。
花被片は平開し、副花冠は短い杯状で花被片と同色。
香りが強く、匂い水仙ともいわれ、ナルシス油(Narcissus Oil)の原料である。
アルカリ土壌を好み、強健で、ヨーロッパ、北アメリカなどで野生化している。

2021/3/21
実家近くを散歩中、道路脇の民家の庭でキズイセンが花を付けていました。
キズイセンを見るのは始めてでしたので、失礼して、撮影させていただきました。
スイセンとは思えない細いイグサ状の葉と、花の筒部が長くてヒョロっとした印象を受けました。
残念ながら近づけなかったので、その香りを嗅ぐことはできませんでした。

ショウハイスイセン(Narcissus cv.)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>

    2021/3/22                2021/3/25

2021/3/22                2021/3/25    .
ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、クチベニスイセンを主体とした交配種である。
一茎一花で、副花冠が花被片の3分の1未満の品種である。
なお、3分の1以上の品種は、タイハイスイセンとなる。
草丈は15〜30cmで、葉は3〜4個出て、葉身は扁平。
花期は3月〜4月で、花の直径は30〜50mm。
花被片6個(花弁3個、萼片3個からなる)は、ほぼ同形状、同色である。
花被の中央から副花冠が伸び、副花冠の先はフレア状に、しわになる。
オシベ6個は副花冠の中ほどまで突き出て、メシベの花柱は葯より若干突き出る。

2021/3/22,25
実家の庭でショウハイスイセンが咲き始めました。あまり見かけない種類です。
何時からあるのか分かりませんが、咲いているのを見るのは初めてです。
いつの間にこんなに種類が増えたのか、聞いてもさぁ〜の返事しか返って来ません。
今年、散歩中に見た中で、庭に植わっていなかったのは下記の3種類だけでした。
キズイセン、キクラミネウススイセン、グランドモナーク


2021/4/6
実家近くの川沿いを散歩中、グランドモナークの群生地の外れで、1輪だけ咲いていました。
グランドモナークは咲き終わって花は1つもない中、1輪だけ咲いていたので目にとまったものです。
それにしても、ここの土手にはいろいろなスイセンが咲いていて、楽しませてくれます。

タイハイスイセン(Narcissus cv.)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>

2021/3/19                2021/3/19

2021/3/23                   2021/3/23   .
ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、ラッパズイセンとクチベニスイセンの交配種を基礎とする。
一茎一花で、副花冠が花被片の3分の1以上あり、花被片より短い品種である。
なお、3分の1以下の品種は、ショウハイスイセンとなる。
草丈は30〜50cmで、葉は3〜4個出て、葉身は扁平。
花期は3月〜4月で、花の直径は30〜50mm。
花被片6個(花弁3個、萼片3個からなる)は、ほぼ同形状、同色である。
花被の中央から副花冠が伸び、副花冠の先はフレア状に、しわになる。
オシベ6個は副花冠の中ほどまで突き出て、メシベの花柱は葯より数mm前に突き出る。

2021/3/19 実家の庭で咲き始めたタイハイスイセンです。
副花冠がラッパスイセンほど長くないのですが、花被片の3分の1以上はあります。
2021/3/23 実家近くの農道を散歩中に見かけたタイハイスイセンです。
キクラミネウススイセンに似ていますが、草丈や花の大きさが倍くらいあります。

スイセン[不明種](Narcissus)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・スイセン連・スイセン属>

現在、スイセン属は交雑種も含めて108種が通用学名とされている。
スイセン属は球根性多年草で、球根には膜質の外皮がある。
葉は数個が根生し、厚みのある扁平な線形のものが多いが、イグサのように丸いものもある。
中心から花茎を立ち上げ、散形花序に花を単生するか、2〜十数個の花を付ける房咲きもある。
花は有柄か無柄で、直立するものも垂れさがるものもある。
花被の筒部はろうと型で短く、内外花被片各々3個からなり、平開または反り返る。
副花冠は、狭い筒状から大きな杯状まで変化に富む。
オシベは6個で、花被の筒部に付き、しばしば長短になる。葯は背着生。子房下位である。

2021/4/6
実家近くを散歩中、道路脇の庭に咲く白いスイセンを見かけました。
見た感じは、タイハイスイセンのように思えたのですが、1系2花です。
房咲きか1茎1花のスイセンしか見たことがなかったので、ちょっと驚きました。
調べてみたのですが、調べきれずに不明種となってしまいました。

チャイブ(Allium schoenoprasum)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ネギ亜科・ネギ連・ネギ属>
 
ヒガンバナ科ネギ属の多年草で、ユーラシア、西アジアが原産地。
和名はエゾネギで、セイヨウアサツキの別名がある。
なお、アサツキはチャイブの変種である。葉菜または根菜として利用する。
草丈は20〜60cmで、葉菜または根菜として利用する。
鱗茎は束生し、直径5〜10mm、長さ15〜20mmの卵状円筒形である。
葉は1〜2個出て、長さ20〜50cm、幅2〜7mmの円柱形で、花茎より若干短い。
花期は6月〜8月で、花茎は2本以上が束生して、長さは20〜60cmになる。
花茎は直立し、円柱形で中空であり、赤紫色の総苞は2バルブで、宿存する。
茎頂の散形花序は球形に近く、数十個の花が密集し、花柄は不等長で花被より短い。
花被は赤紫色〜淡赤色の鐘形で、花被片は長さ7〜11mmの長楕円状披針形で先が尖る。
花被は、内花被片、外花被片、各々3個からなり、中央に濃色の条が入る。
オシベは6個で葯は紫色、花粉は白色である。オシベ、メシベとも花被より飛び出ない。
子房は類球形で、基部に凹面の蜜腺を持つ。果実は刮ハで、種子は黒色。

2022/5/7
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園の一角で、忘れられたように咲いていました。
もちろん、名前は知っていますし、食べたこともありますが、花を見たのは初めてです。
アリウム・ギガンチュームを小さくしたような花で、野菜としても、観賞用としても使われます。
花の咲いている状態で、これが野菜と言われても、ピンと来ないかもしれませんね。

ネギ(Allium fistulosum)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ネギ亜科・ネギ連・ネギ属>

[最初は総苞に包まれている]      [総苞が破け、花が伸び出し、順次開花する] .

[開花といっても、オシベが飛び出してくる程度で、花被片はほとんど開かない]

ヒガンバナ科ネギ属の多年草で、中国西部〜中央アジアが原産の栽培植物。
栽培されるネギには、主に白い部分を食べる根深ネギと、緑色の部分を食べる葉ネギがある。
一般に関東地方では、下仁田ネギなどの根深ネギ系が好まれ、
関西地方では、九条ネギなどの葉ネギが好まれる傾向がある。
なお、下仁田ネギなどの加賀郡は寒冷地で栽培され、千住ネギ群が関東地方で栽培されている。
これらの根深ネギは、白ネギ、長ネギとも呼ばれ、葉鞘を軟白栽培したものである。
一方、関西で好まれる葉ネギは、緑色の部分が多くて葉が柔らかい。
代表格の九条ネギは、緑の部分が長くて柔らかく、葉と茎の両方が利用される。
ネギの葉は、白い葉鞘の部分と、緑色の葉身部からなり、これらが重なって茎(偽茎)のようになる。
葉身部は管状で太く、先が尖って、白粉を吹いて白っぽい緑色をしており、内部に粘液を含む。
この葉身部で、外から見えているのは葉裏の部分で、内側が葉表の方になる。

さて、このネギの花がネギ坊主で、花茎の先端に散形花序を付け、多くの白緑色の花が球状に付く。
花期は4月〜5月で、最初、薄い膜質の総苞に包まれており、その総苞を破って中から花が伸び出す。
花は直径3〜5mmで尖った狭長楕円形の花弁3個と苞3個からなる。
花はほとんど開かず、中からオシベ6個が長く突き出し、花糸は下部が太くなっている。
子房は3室になっていて、熟すると割れて黒色の小さな種を散布する。

2021/4/2
食用として植えている葉ネギですが、ネギ坊主が出来て硬くなり、食用に適さなくなりました。
そのネギ坊主の開花の様子が上記の写真で、最初は薄い総苞に包まれています(中が透けています)。
中の花が成長すると、総苞が破けて花が顔を出し、花柄が伸び出して頭頂部から開花していきます。
最後には球状になり、丸いネギ坊主が完成します。なお、花はほとんど開かず、オシベだけが目立ちます。

ちなみに、ネギの隣では、ワケギが大きく伸び出していて、ネギの代わりをしてくれています。
このワケギですが、ネギとタマネギの雑種だそうで、かなり風味は強いです。

ノビル(Allium macrostemon)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ネギ亜科・ネギ連・ネギ属>

ヒガンバナ科ネギ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から沖縄まで全国で見られる。
海外では朝鮮半島から中国、台湾、ロシア、モンゴルに分布する。
草丈は30〜80cmで、鱗茎は直径1〜2cmの球形で、白い膜質の外皮がある。
根生葉は長さ25〜30cmの線形で、中部以上では断面は三日月形になる。
花茎は中空で断面は鈍三角形になり、中部以下に数個の葉を付ける。
花期は5月〜6月で、花茎の先に花序を付け、始めは薄い膜質の2個の苞に包まれ、先が尖る。
苞が開花するように開き、長い花柄がある直径は10〜12mmの花が散形状に付く。
なお、花に混じって紫褐色の珠芽(むかご)が付くが、珠芽のみの場合もある。
花被片は長さ4〜5mmで白色にわずかに紫色を帯び、中央に淡紫色の筋がある。
花被片には外花被片と内花被片が各々3個あり、内花被片が若干小さい。
オシベは6個あり、葯は淡紫色。子房は3室になっている。
花後、あるいは開花前から花になるはずの細胞が変化した珠芽ができるが、
これらが散布体となってポロポロ落下して繁殖する。また、分球繁殖や種子繁殖もする。
なお、鱗茎や葉は山菜として食用となり、鱗茎は生やゆがいてぬた、みそ汁の具などになる。

2021/5/22
実家近くの川沿いを散歩していると、細い花茎の先に花序を付けたノビルをよく見かけます。
花が咲いても良い時期なのですが、全く見かけません。
一方、珠芽(むかご)からは、既に芽が出ているものを時々見かけます。
この辺りのノビルは、花を付けることがほとんどないのかもしれません。


ノビルの花

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2013/5/14          2014/5/29            2014/5/29
上記は、多摩川の河川敷で見かけたノビルの花です。
白地に淡紫色の葯や花弁の中心を走る淡紫色の線状の模様が端正な感じを与えます。


ワケギ(Allium × proliferum)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ネギ亜科・ネギ連・ネギ属>

ワケギ(分葱)とは、タマネギ(A. cepa)に似た球根性多年草である。
葉や茎はネギよりしなやかで、地下部は肥大して鱗茎になる。
以前は、ワケネギと混同されたり、ネギの一種と思われていたが、染色体の解析から、
分蘖(ぶんげつ)性のネギと分球性のタマネギ(エシャロット)の雑種または独立種とされる。
なお、関西ではワケギとワケネギは区別されるが、関東ではどちらもワケギとされている。
地方名があり、熊本県では一文字、大分県で千本(チモト)、南九州では千本(センモト)と呼ぶ。
ワケギでは、タマネギが花を付ける位置に珠芽(ムカゴ)を付け、付いたまま発芽、成長する。
大きくなると重さで倒れ、少し離れて根付く。これが英語の「walking onion」の由来。
葉も鱗茎も食用となり、茹でて酢味噌で和えてぬたにしたり、葉を刻んで薬味にしたりする。

2022/5/1
実家の裏の畑には、毎年、ワケギを植えています。このぬたが大好物なので。
今年は都合で、最盛期に不在だったので、あまり使う機会がなかったのが残念です。
かなりの量があったのですが、半分以上が旬を過ぎて倒れてしまいました。
そのような中、たった2本ですが花茎を立ち上げて、球形の花序を付けました。
この2本花序以外は、写真のように倒れて、茶色く枯れかけています。
花が咲くのを期待しているのですが、なかなか、開花してくれません。

キンラン(Cephalanthera falcata)
<キジカクシ目・ラン科・エピデンドルム亜科・キンラン属>

ラン科キンラン属の地生の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、明るい林内に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は30〜70pほどになり、茎は直立して、葉は6〜8個が互生する。
葉は、長さ10p前後の先の尖った長楕円形で、基部は茎を抱く。
葉の葉脈ははっきりしていて、縦方向のひだがある。
花期は4月〜6月で、茎先に総状花序を出し、数輪〜10輪ほどの黄色い花を付ける。
花は全開することはなく、半開きのまま、順次上に咲き上る。
2個の側萼片と背萼片は、2個の側花弁よりいく分大きく、唇弁が見える程度にしか開かない。
唇弁には短い距があり、3裂する。中央の裂片には赤褐色の隆起がある。
キンランは菌根への依存性が高く、それも他のランのような腐生菌ではない。
樹木の根に外菌根を形成する外菌根菌で、根と外菌根に割り込んで成長する。
理論上、これら3者の共生系を作れれば栽培可能であるが、実際問題、簡単ではない。

2023/5/4
網引第3湿原の遊歩道脇で、黄色い花を付けたキンランに出会いました。
キンランは、樹木の根に外菌根を形成する外菌根菌と根の間に割り込んで成長します。
外菌根への依存性が高いため、どこにでも生えるわけではなく、条件の整った場所以外では見られません。
この株は、ほぼ咲き終わりのようで花に傷みが見られますが、まだ、しばらくは楽しめそうですね。

シラン(Bletilla striata)
<キジカクシ目・ラン科・セッコク亜科・アレサス連・シラン属>
 
ラン科シラン属の宿根草で、在来種。
日本では、本州の関東以西、四国、九州などに、海外では、台湾や朝鮮半島から中国に分布する。
ただ、日本では、野生のものは準絶滅危惧種であり、公園や庭先などで見かけるものは栽培品。
草丈は30〜70cmで、直径1〜3cmの偽球茎は地表に連なり、毎年1つずつ増えていく。
茎は長さ数cmで、数個の長い筒状の鞘に抱かれ、葉が4〜6個付く。
葉は広く開出したり茎先に束生し、長さ20〜30cmの狭楕円形で、薄いが堅い。
葉の基部は狭くなって鞘になり、先は尖る表面には多くの縦筋がある。
花期は4月〜5月で、長さ20〜50cmの花茎を立ち上げ、3〜10個の花を付ける。
苞は長さ6〜20oの楕円状披針形で、花時には脱落していることが多い。
花は紅紫色で、長さ10〜24mmの花柄と子房は捻じれ、花は上下逆さまに咲く。
萼片は長さ14〜30mmの狭楕円形で、背萼片は直立し、側萼片は下方で少し斜めになる。
花弁は14〜32mmと萼片より多少大きく、側花弁は左右に少し斜め上に伸びる。
唇弁は3裂し、中裂片は縁が縮れて中央に縮れるように曲がった5本の隆起線がある。
側裂片は直立してずい柱を抱き、先は鋭形。ずい柱は長さ14〜20mmの円柱形で細い。
偽球茎で増えていくが、種子も発芽しやすいので、種子で増やすことも可能。

2024/3/13
昨秋に刈り取っておいたシランですが、3月に入って新芽が急に伸び始めました。
4月には、下記のように新葉を展開して花茎を立ち上げてくると思います。


2021/4/1
実家近くの庭の一角に陣取っているシランですが、新葉の中から花茎を伸ばしてきました。
そんな花茎の中で、1つだけ苞を押し広げてツボミが顔を出していました。


2021/4/4
シランの花茎が一段と伸び、ツボミの数も増えてきて、最初のツボミは開花間近のようです。


2021/4/5                  2021/4/8
2021/4/5 昨日、開花間近と書きましたが、開花しました。ただ、花は捻じれ不足で横向きです。
2021/4/8 実家近くを散歩中、道路脇に咲く淡赤紫色のシランを見かけました。
多摩川の近くで見かけたものに比べると、白花とはちょっと言い難い色味です。


2021/4/10
実家近くの河川敷を歩いていて、土手の法面に咲くシランを見かけました。
キブサスイセンやニホンスイセンなどが咲いていた近くで、ここに破棄されて根付いたもののようです。

トキソウ(Pogonia japonica)
<キジカクシ目・ラン科・バニラ亜科・トキソウ連・トキソウ属>

ラン科トキソウ属の地生の多年草で、在来種。
和名は、花の色がトキの翼の色であるトキ色に似ていることに由来する。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布するが、四国、九州では稀。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は10〜30cmで、根茎は長さ10〜20mmである。
葉は混生し、長さ3.5〜10cmの楕円形〜楕円状披針形である。
苞は葉の上4〜8cmの位置に1個つき、長さ15〜25mmの披針形。
花期は5月〜7月で、茎頂に横向きに単生する。
子房と小花柄は長さ10〜18mm。背萼片は長さ15〜22mmの楕円状狭倒披針形。
2個の側萼弁は花弁に似て長さ14〜22mmで、左右に開く。
2個の側花弁は唇弁や蕊柱を左右から覆うように出て、あまり開かない。
唇弁は長さ14〜20mmで3裂し、側裂片は長さ1mm弱の三角状で、奥の方にある。
中央裂片は長さ6〜13mmで前に突き出し、2〜3列の房状突起があり、縁は繊維状に切れ込む。
蕊柱は直立し、長さ7〜10mmの柱状で、葯は2室で平行して頂生する。

2023/5/18
昨年は、萎みかけた1輪しか見られませんでしたので、今年は少し早めに見に行きました。
時期的には少し早いかもと思ったのですが、思いのほかたくさん咲いていました。
2週間前に下見に来た時は影も形も見られなかったのに、変化が早いですね。
ただ、花が小さいので、遠目には草原の中に白い物が点々と見える感じです。
近づくと淡赤紫色(朱鷺色)が見えてきて、トキソウと分かります。



2023/5/18
上段左と中央は、まだ開き切っていないトキソウで、背萼片が開き、側萼片は開きかけです。
中央の唇弁に被さるように2個の側花弁があり、唇弁は少し前に突き出しています。
花の色味には違いがあり、下段のように淡いものから少し濃色のものまで様々です。
蕊柱は奥の方にあり、上段左端や下段右から2つ目の写真に写っています。
どちらも唇弁の奥にオレンジ色のものがちらりと見えていますが、それが蕊柱です。

アメリカスミレサイシン(Viola sororia)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>



スミレ科スミレ属の多年草で、アメリカ原産の帰化植物。無茎種。
園芸品種が雑草化した非常に強健なスミレで、湿り気のある林内や草地、道ばたなどで見かける。
国内の分布域は明確ではないが、かなり広範囲に逸脱している。
花色により数種類あり、本種は「パピリオナケア」と呼ばれる品種。
他に白地に紫の筋が入る「プリケアナ」、純白の「スノープリンセス」、
白地に紫の斑点が入る「フレックス」などがある。
花は、直径3cm前後と大きめ。側弁には毛が密集している。
葉は、心形でいくぶん厚みがあり、若い葉の基部は巻き込む。

手元にあったスミレ属の写真を一覧にしたものをこちらに掲載しました。ご参照ください。

2021/3/10
実家の片隅で咲いていた白いスミレです。
最初、マルバスミレかと思ったのですが、調べてみると葉の形などが微妙に異なります。
また、側弁の毛がかなり多くて目立つのと、側弁の中央が大きく凹んでいるのです。
いろいろ悩んだのですが、葉の形や若葉の基部が巻き込んでいる点から本種としました。
品種としては、「スノープリンセス」という純白のものだと思われます。


2021/4/10
しばらくぶりに見ると、新しい花が咲いていて、その花の形は前回のものとは違っていました。
前回の花は、側弁に凹みが見られましたが、この花にはありません。
代わりという訳ではないでしょうが、2つの上弁に凹みと穴が見られます。
想像ですが、この凹みや穴は、虫食いによるものではないかと思われます。


2024/4/7
かなり強健なので、乾燥しやすい場所でも気が付くとあちらこちらで花を付けていました。
写真の株は、石畳の脇で花を付けていた株で、去年の倍くらいの大きさになっています。


2024/4/10
また、発芽力が強いのでしょう。株の周りに双葉の新芽が大量に出ています。
放っておくと大変なことになるので引き抜くのですが、根張りが深くて抜くのも大変です。

アリアケスミレ(Viola betonicfolia var. albescens)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>



スミレ科スミレ属の多年草。道端などでときどき見かける無茎種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部、東南アジア南東部、オーストラリアにまで分布する。
花期は4月〜5月で、直径2cm前後の花を付け、距は花色と同じく白色で、太短い。
側弁の基部に毛が多く、上弁の基部にまで毛があるものもある。
スミレと良く似ているが、花色が変異は多いが白色が基調となる点で区別できる。
花色は、白地に少し筋が入るものから、紫の筋の目立つもの、地色に紫を帯びるものまで多彩。
葉は長さ2〜7cmの細長い三角状披針形で、先端は丸くなる。葉柄の上部には狭い翼がある。

手元にあったスミレ属の写真を一覧にしたものをこちらに掲載しました。ご参照ください。

2021/3/30
姫路城の周りをぐるりと回った際、歩道脇に置かれた石の基部で咲いていました。
白い花弁に紫の筋模様が入り、側花弁の毛が目立ちます。
細長い三角状披針形の葉で、葉柄に翼はありますがスミレほど広くはありません。
以上の点から、アリアケスミレと判断しました。


2021/4/11
散歩の帰り道、いつも通る道の裏道を通ると、いろいろと発見がありました。
その1つがこのアリアケスミレです。側溝脇に点々と咲いていました。


2024/4/14
網引湿原の駐車場から第1獣害防止ゲートまでの通路脇で見かけたアリアケスミレです。
小さめのカンサイタンポポと並んで咲いていました。。

コスミレ(Viola japonica)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>

スミレ科スミレ属の多年草で、平地の乾いた草地などで見られる無茎種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
花色は、淡紫色が多いが、紅紫色のものも稀に見られ、紫の筋が入る。
花弁の幅は狭く、距はいくぶん長めで先は細くならない。
側弁基部の毛は、西日本では毛があるものが多いが、東日本では毛のないものが普通。
葉は、丸みのある長三角形から卵形で、両面とも無毛。裏面が紫色を帯びるものが多い。

手元にあったスミレ属の写真を一覧にしたものをこちらに掲載しました。ご参照ください。

2024/4/12
網引湿原の第1獣害防止ゲートを入って直ぐの林内で、通路脇で花を付けていたのがコスミレです。
光沢のある厚ぼったい感じの葉と、濃赤紫色の花が特徴的ですが、花は小さめです。

ツボスミレ(Viola verecunda)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>


スミレ科スミレ属の多年草で、別名はニョイスミレ。
日本では、北海道から本州、四国、九州、屋久島まで、広範囲に分布する。
海外では、東アジアに広く分布している。
草丈は5〜20pほどで、地下茎はごく短く、地上に根出葉と複数の茎をのばす。
茎は斜上するか横に這い、茎葉は感覚を開けてまばらに付く。
葉身は扁平な心形で、根出葉の葉柄は長く、茎葉の葉柄は短い。葉の縁には粗くて浅い鋸歯がある。
花期は、4月から5月で、葉腋から花茎を立ち上げて、白い花を付ける。
上弁は反り返り、唇弁には青紫色の筋が目立つ。上弁と側弁には突起毛があり、距は短く丸い。
樹林の日陰にならない草地に生え、山間部では人家近くでも見かけるが、市街地では見かけない。

手元にあったスミレ属の写真を一覧にしたものをこちらに掲載しました。ご参照ください。

2023/5/4
網引第2湿原の入口近くの遊歩道脇で、ツボスミレが花を付けていました。
市街地には自生していないので、私が普段目にすることはほとんどありません。
どちらかというと、タチツボスミレの方が目にする機会は多いように思います。

ニオイタチツボスミレ(Viola obtusa)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>

スミレ科スミレ属の多年草で、日当たりの良い草地で見られる有茎種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島に分布する。
花色は、濃紫色から紅紫色で、稀に淡い色のものもある。花弁の中心部は白い。
側弁基部に毛はない。花は、芳香は強いが、芳香のないものもある。
葉は丸みのある心形であるが、花の最盛期を過ぎると花茎が伸びて長三角形の葉になる。
また、托葉は櫛の歯状に深裂する。

手元にあったスミレ属の写真を一覧にしたものをこちらに掲載しました。ご参照ください。

2024/4/12
網引湿原の第1獣害防止ゲートの直ぐ外側で見かけたのが、このニオイタチツボスミレです。
見かけたときに名前が分からなかったので、芳香があるかどうかは確認していません。
花は大きめで、花の中心付近が白くなっているのが特徴です。
また、この時期は咲き始めて間もないため、葉の形状は丸みのある心形をしています。

ノジスミレ(Viola yedoensis)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>



スミレ科スミレ属の多年草。人里周辺でよく見かける無茎種。
日本では、本州の秋田県以南から四国、九州の低地に分布する。
海外では朝鮮半島から中国、台湾、モンゴル、インドからフィリピンにかけて分布する。
草丈は5〜10cmで、葉は長さ3〜6cmの長三角形からへら形で、葉柄には翼がない。
花後に葉幅が広がり、三角形〜卵形になる。葉や茎には白い短毛が生え、白っぽく見える。
花期は3月〜4月で、花色は青味の強い濃紫色。側弁は無毛で、距は濃紫色で細長い。

手元にあったスミレ属の写真を一覧にしたものをこちらに掲載しました。ご参照ください。

2021/3/10
実家近くの農道を散歩中、歩道脇の塀とのわずかな隙間で、ノジスミレが花を付けていました。
スミレのような葉ですが、葉柄に翼はなく、側花弁に毛がないのでノジスミレと分かりました。


2021/4/1
実家近くの側溝の脇で見かけたノジスミレです。
日当たりがよくないためか、農道で見たものよりかなり色が薄いです。


2024/4/7
実家近くの側溝の脇で見かけたノジスミレですが、かなり大きく成長していました。
花数も倍以上に増え、かなり見栄えがするようになっています。


2024/4/12
網引湿原の第1獣害防止ゲートを入って直ぐの林内で、通路脇で花を付けていたノジスミレです。
同じ場所で見かけたコスミレより葉が細長く、花の色も薄めです。
コスミレは比較的小さな株でしたが、ノジスミレの株は大きなものが多かったと思います。

ヒメスミレ(Viola inconspicua subsp. nagasakiensis)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>


スミレ科スミレ属の多年草で、道端などでよく見かける無茎種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。海外では台湾に分布する。
草丈は5〜10cmで、根は白色。
花期の葉は長さ2〜4cmの三角状披針形で基部は心形、翼がない長い葉柄がある。
普通、葉の裏は紫色を帯び、鋸歯は基部が細かい。花後、葉は三角形に近くなる。
花期は3月〜4月で、直径10〜15mmの濃紫色の花を付ける。
スミレより一回り小型で、花弁は細いものが多く、側弁の基部には白毛がある。
距は緑白色に赤紫色の斑点があり、萼片にも赤紫色の斑点がある。

手元にあったスミレ属の写真を一覧にしたものをこちらに掲載しました。ご参照ください。

2021/3/30
姫路城の周りをぐるりと回った際、歩道脇でよく見かけました。
ポツリポツリと小さい花が咲いているので、良く見ていないと見落としてしまいそうです。
直径10mmほどの花で、花弁の基部が白く、側花弁に白毛があり、距には赤紫色の斑点があります。
これらの点から、ヒメスミレと判断しました。


2021/4/1
実家近くを散歩中、歩道の隙間などでヒメスミレを見かけるようになりました。
花が咲き出して、目に付くようになったようです。
姫路で見かけたものより、花弁の基部の白い部分の境界が不鮮明です。

アカメガシワ(Mallotus japonicus)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・エノキグサ亜科・エノキグサ連・アカメガシワ属>

トウダイグサ科アカメガシワ属の落葉高木で、在来種。雌雄異株。
日本では、本州から四国、九州の山野に自生し、空き地などに真っ先に生えてくるパイオニア植物。
日本以外では、東南アジアの山野に分布する。
和名は、新芽が紅色を帯びること、そして、その葉が柏のように大きくなることに由来する。
葉は互生し、葉柄は紅色を帯び、長さは10〜20cm、葉身も同様、葉幅は5〜15cm程でかなり大きい。
初夏に枝先に円錐花序を出し、花弁のない小さな花を多数付ける。
雄花序は苞の脇に数個ずつ付き、雄花には多数のオシベが球状に付く。
雌花序は苞の脇に1個ずつ付き、雌花の子房には刺状の突起がある。
また、花柱には乳頭状の突起があり、柱頭は2〜4個に分かれ、淡黄色(赤色になるものもある)。

2021/4/6
昨年、実家近くの川岸を散歩中に見かけたアカメガシワが、真っ赤な新葉を出していました。
秋に黄葉するアカメガシワですが、春の新葉を見ると名前の由来が分かりますね。
それにしても、新葉の赤い色は、深みのある良い赤色ですね。長く見られないのは残念。
赤い葉も、葉が大きくなるにつれて、赤味が薄れて、緑色になってしまいます。

アケビ(Akebia quinata)
<キンポウゲ目・アケビ科・アケビ属>




アケビ科アケビ属の蔓性落葉低木で、茎は蔓になって他物に右巻きで巻き付き、古くなると木質化する。
日本では、本州から四国、九州の山野に自生している。
葉は互生し、楕円形の小葉5個が掌状に付く複葉で、小葉は先端がくぼみ、基部はくさび形、縁は全縁。
花期は4月〜5月で、花は雌雄同株ではあるが、雌雄異花で、花序の先に数個の雄花、基部に雌花が数個付く。
花は淡紫色で花弁がなく、花弁のような萼片が3個あり、雌花は雄花より一回り大きく、直径は30mmほど。
雄花では、6個のオシベの先端がくっついて丸くなっているが、雌花では、太いメシベが放射状に開いている。

2020/4/6
昨年の秋、実家近くの土手で見かけたアケビが、足元に大きく広がり、新葉をたくさん付けていました。
ふっと横を見ると、絡み付いたツルの所々から新葉が出て、花を付けているものも見られました。
しかし、咲いていたのは雄花ばかりで、咲いている雌花は見つけられませんでした。
おそらく、中段右の写真で、白っぽいツボミは雄花だと思いますが、赤っぽいのは雌花ではないかと思います。
下段は、雄花を拡大したもので、萼片は後ろに反り返り、6個のオシベが丸まって先端がくっ付いています。


2021/4/8
雌花は咲いていないかと、様子を見に行ったのですが、まだ咲いていませんでした。
花序には2種類あるようで、左のように雄花ばかりのものと、基部に雌花があるものがありました。


2021/4/10
雌花の様子を見に行くと、開花が始まっていました。
この日、この花序には開いた雄花はありませんでした。雄花の開花が始まったのは、翌日でした。
雄花も雌花も花弁がなく、3個の萼片が花弁のように開きます。
ただ、左の写真で半開きになっている雌花は、萼片が2個しかなく、うまく開かなかったようです


2021/4/11
昨日より、萼片の開きが大きくなったようで、少し後ろに反り返り気味になっていました。
ただ、萼片が2個の花は、昨日多少大きく開いたようですが、これが限界のようです。
昨秋に気づいたとき、アケビの果実は見られなかったのですが、今年は結実するかもしれませんね。

セイヨウオダマキ(Aquilegia vulgarii)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・オダマキ属>

キンポウゲ科オダマキ属の多年草で、ヨーロッパ産とアメリカ産オダマキの交配品種。
草丈は30〜90pと大きく、根茎を持ち、株の中心から茎をまっすぐに立ち上げる。
葉には根出葉と茎葉(互生)があり、共に1〜3回3出複葉で、根出葉には葉柄がある。
花期は5月〜6月で、茎先の総状花序を付け、多数の花を咲かせる。
5個の萼片が花弁状に平開し、花弁は円筒状に付いて、長い距が萼片の間から後ろに伸びる。
なお、距が長いものや無いもの、八重咲の品種など、花色も含めて変異が多い。

2024/4/23
実家の庭に植えられているセイヨウオダマキですが、花を見た記憶がありません。
昨年も葉を広げ、花茎を立ち上げていたように思いますが、花が咲いているのは見ていません。
今年も春になって新葉を広げているのは確認していました。
それが、この日何の気なしに見に行くと、ピンクの花が咲いているのを確認できました。


セイヨウオダマキいろいろ

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上段は、距が短い八重咲きのセイヨウオダマキです。
中段は、八重咲きのセイヨウオダマキですが、距は長くて反り返っています。
下段左は、距がないタイプのセイヨウオダマキで、右は距が長く伸びたセイヨウオダマキです。


ケキツネノボタン(Ranunculus cantoniensis)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ属>

キンポウゲ科キンポウゲ属の多年生植物。水田のあぜなどに生える雑草。
キツネノボタンによく似るが、全体に毛が多いことが名前の由来。
日本では、本州から四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島南部から中国南部、台湾に分布している。
茎はほぼ直立し、草丈は50cmに達するものもある。上部でよく分枝し、開出毛が密生する。
根出葉には長い葉柄があり、1〜2回3出複葉で、小葉は数中裂し、不揃いな鋸歯がある。
茎葉の葉柄は短く、上部に行くに従い1〜2回3出複葉、1回3出複葉、単に3中裂と変わる。
茎の上部にいくつかの黄色い花を付ける。花弁は5個で、萼片も5個で、開花時は反り返る。
花柱は1mm前後の三角形で、先は鉤状に曲がっている。痩果は扁平な広倒卵形で、長さは3mm強。
この花柱の曲がりをキツネノボタンとの識別点としていたが、変異が多く、近年は使われない。

※ キツネノボタンとケキツネノボタンの識別は、下記の点で行うことができる。
・痩果の扁平面の縁に沿ってリング状に鈍稜がありのがケキツネノボタン(断面の両端に鈍3稜がある)
・痩果の扁平面の一方の縁に弧状に稜があるのがキツネノボタン(断面の片端のみが鈍3稜で他端は単稜)

なお、下記の点は変異があり、両者の識別点としては決め手とはならない。
・葉の裂片が重ならない傾向があるのがケキツネノボタンで、重なる傾向にあるのがキツネノボタン
・痩果の先の曲がり具合が、かぎ状に強く曲がるのがキツネノボタンで、曲がりが浅いのがケキツネノボタン
・茎の下部に多数の毛があるのがケキツネノボタンで、毛が無いか少ないのがキツネノボタン

2018/5/24
近くの側溝の中にキツネノボタンが生えていました。
後で、痩果の形を確認していて、上から見て両端が同形で、3稜あるように見えます。
決め手にはなりませんが、葉の裂片の重なりもないので、ケキツネノボタンと判断しました。


2021/3/10


実家近くの農道を散歩中、以前見かけた所に近い田んぼの縁で、ケキツネノボタンを見かけました。
まだ、開花が始まって間もないようで、痩果になっているものはありませんでした。
近くには、上段右のように花茎も立ち上がっていない株もいくつか見られました。
下段は、ツボミが開花して、花托が大きくなっていく様子を時系列に並べたものです。
このあと、花托の表面に並んでいる痩果が大きくなると、最初の右端の写真のようになります。

クロタネソウ(Nigella damascena)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・クロタネソウ属>


キンポウゲ科クロタネソウ属の1年草で、南ヨーロッパ、中東、南西アジアが原産地。
日本には、江戸時代に渡来したとされ、それらが逸出して野生化し、広がっている。
草丈は40〜60cmで、茎は直立してよく分枝する。
葉は互生し、3〜4回羽状に細裂し、裂片は細い糸状になる。
花期は5月〜7月で、花は茎先に上向きに単生し、下部に細裂した総苞がある。
花は直径3〜5cmで、5個の萼片が花弁状に大きく発達し、白、青、黄色、紫色などがある。
花弁は萼片の基部にある暗青色のもので、退化して先が2唇状に開く小さな蜜腺になっている。
園芸品種には八重咲(花弁ではなく萼片ですが)のものがあるが、八重咲のものには蜜腺はない。
オシベは多数あり、咲き進むと広がって平開する。メシベは5個が基部で合着し、柱頭は角状。
この柱頭は、咲き進むとクニャクニャと伸び、果実になっても宿存する。
果実は長さ25o前後の刮ハで、風船のように膨らみ、熟すと上部が裂開し、穴が開く。
種子は長さ2mm前後で、表面は黒くてしわがある。
属名のニゲラや和名のクロタネソウは、この黒い種に由来する。
近縁種であるニゲラ・サティバは、種子に芳香成分を含み、カレーのスパイスなどに使用される。

2018/5/26
実家の庭に見慣れない花が咲いていました。どこかで写真を見たような気もしますが、不明です。
このような花は植えたことがないそうなので、どこかから種が持ち込まれたようです。
後で調べていて、八重咲のクロタネソウ(ニゲラ)と分かりました。
上段左端のツボミから、下段右端の成長した果実まで、順番に並んでいます。

アツミゲシ(Papaver sommniferum subsp. setigerum)
<キンポウゲ目・ケシ科・ケシ亜科・ケシ連・ケシ属>
 
2021/4/6               2021/4/6

    2021/4/8                 2021/8/8

2021/4/8<ツボミ>       2021/4/8<花>       2021/4/8<未熟果>
ケシ科ケシ属の越年草で、北アフリカ〜ヨーロッパ南部が原産地。
和名は、国内で1964年に愛知県の渥美半島で発見されたことに由来する。
アルカロイドを含むため、栽培が禁止されており、見つけた場合は警察や保健所への通報が必要
日本では、本州から四国、九州までの市街地や荒れ地に散発的に発生が確認されている。
秋に発芽してロゼットを形成し、翌春に茎を伸ばす。
草丈は30〜80cmで、茎は直立して細く、まばらに分枝して、剛毛がある。
茎葉は長さ4〜18cmの長楕円状披針形で、中裂して鋸歯がある。
無柄で基部は耳状に茎を抱き、上部の葉の裏面脈上に長さ3o前後の剛毛がある。
花期は4月〜5月で、茎頂に径6cmほどの4花弁を付ける。
花色は赤色〜濃紫色で、大きな暗紫色の斑紋がでることがある。萼片は2個。
果実は直径15mm前後の長球形で、先端に5〜9本の放射線のある柱頭が残る。

2021/4/6 実家近くの川沿いを散歩中、土手の脇でヒナゲシのような花を見つけました。
近くにナガミヒナゲシはたくさん咲いている中で、1本だけ、咲いていたので目立っていました。
家に帰って、写真をよく見ると茎葉があり、葉も羽状に深裂していません。
何者だと調べると、アツミゲシと思われます。だとすると、警察に通報が必要なケシです。
2021/4/8 翌日、再確認のため現場に行ってみると、近くに新たに3株見つけました。
で、一昨日に見た花はと探したのですが、花が見当たりません。
行きつ戻りつして探すと、既に散っていて果実になっていました。
葉の特徴もアツミゲシと一致しましたので、最寄りの警察署に連絡し、回収をお願いしました。
場所はお知らせしていたのですが見つからないとのことで、現場まで案内し、回収も手伝いました。
新たに見つけた3株と思っていた場所ですが、よく見るとあるわあるわ、十数株が密集していました。
警察の方のお話では、この場所での確認は初めてとのこと。散発的に見つかるそうです。
で、今年に入ってからは初めての連絡だったそうで、いよいよ開花の季節が始まったなとのこと。


2021/4/11
買物からの帰り道、道路側の駐車場でケシが固まって生えているのに気が付きました。
橙赤色の花が見えたので、一瞬、ナガミヒナゲシかと思ったのですが、草姿がまったく異なります。
茎葉が付き、ケシの果実に丸みがあるので、アツミゲシかもしれないと、確認に行きました。
茎葉の裏面の葉脈上に長い白毛が一列に並んでいたので、アツミゲシと確信しました。
警察に電話して除去を依頼しましたが、立て続けに電話することになるとは思ってもいませんでした。




2022/4/21
買物に出かけた時、昨年、アツミゲシを見かけた直ぐ近くで、アツミゲシを見かけました。
栄養が良いのか、かなり太い茎を立ち上げ、ツボミを付けています。
気になって、昨年見かけた場所を見てみると、細いですが数株が茎を立ち上げていました。
そして、立てかけられていた看板の裏で、アツミゲシが開花しているのを見つけました。
花もそうですが、茎葉が付き、その葉裏の主脈に長い毛が並んでいるので間違いありません。
ということで、3度目になりますが、警察に連絡して除去を依頼しました。


2023/5/2                   2023/5/2

2023/5/2                  2023/5/10

2023/5/2            2023/5/10           2023/5/2
久しぶりにゴルフの練習に出かけた際、途中の道端でいやな色のケシを見つけました。
気になって車を降り、ケシの花を確認しに行くと、やはり、アツミゲシでした。
固まって咲いている所と、ポツリポツリと離れて咲いている所があり、かなりの数です。
実家近くの川沿いで見つけたものは直径5cmに満たないものでした。
それに比べて、ここのアツミゲシは直径6cm以上あるかなり大振りな花でした。
オシベの数にも相当な差があり、数倍のオシベがあるようです。
下段は、ツボミと開花直前の花(萼が割れて花弁が伸び出したところ)、そして果実です。
中央の写真で、割れた2個の萼片は、この後、間もなく落下してしまいます。

最初に見つけた後、警察に電話して除去を依頼しました。
ゴルフ練習からの帰り道、最初に見つけた場所から少し離れた所で再発見。
今度もそこそこの数の花が咲いていて、再度、警察に電話して除去を依頼しました。
このとき、同じ場所で見たことがない別種のケシを見つけました。
そのため、一旦、実家に戻ってカメラを持って引き返しました。
現場に戻ると、アツミゲシは除去されていたので、また、取りに来られたようです。
写真を撮り終わって戻るとき、さらに少し離れた所で、また、見つけてしまいました。
仕方なく3度目の電話をしたのですが、広範囲のため保健所に後の除去は依頼したとの事。
たしかに数百mに及ぶ広い草原なので、一人で対応するのは難しいでしょう。

トゲミゲシ(Papaver hybridum)
<キンポウゲ目・ケシ科・ケシ亜科・ケシ連・ケシ属>

2023/5/2                    2023/5/10

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2023/5/10                   2023/5/10

2023/5/10                   2023/5/10
ケシ科ケシ属の1年草で、ヨーロッパ〜北アフリカが原産地。
日本での分布の詳細は不明であるが、関西に多いと言われている。
栽培禁止の品種ではないが、全草に有毒成分が含まれているので、取り扱いには注意が必要。
草丈は30〜60cmで、茎は直立して上部で分枝し、上部では剛毛があるが、下部は無毛。
葉は互生し、長さ6〜15cmの広卵形で、粉白色を帯びている。
基部は楔型で、1〜2回羽状に深裂し、裂片の長さは2〜4mmである。
下部の葉は葉柄が長く、上部では無柄となる。
花期は3月〜5月で、茎頂や枝先に直径25mm前後の真っ赤な4弁花を付ける。
花柄は長さ5〜15cmで伏毛があり、咢片は長さ5〜10mmで、密に剛毛がある。
花被片の基部は黒く、子房の周りにあるオシベは黒褐色で扁平な線形である。
開花後しばらくすると、オシベの先端から青い花粉が出て、子房の周りが青くなる。
なお、花は朝に開花し、午後には花弁が落ちてしまう。
そのため、青い花粉を出したオシベが囲んだ子房だけになり、青い果実のように見える。
その後、子房が膨らむとオシベが落ち、ラグビーボール形の刮ハとなる。
熟した刮ハは長さ10〜15mmで、放射状の柱頭と同数のうねがあり、湾曲した刺が多数ある。

2023/5/2
久しぶりにゴルフの練習に出かけた際、その帰り道でアツミゲシを再発見。
その確認をしているときに、近くで見たことのないトゲトゲのケシ坊主を見つけました。
一旦、カメラを取りに実家に戻り、現場に戻ってきたときには花弁は散ってしまっていました。
花は撮れませんでしたが、未熟なツボミと明日には開花しそうなツボミを撮ることができました。
2023/5/10
その後、調べた結果、ケシ坊主の特徴からトゲミゲシと分かりました。
後日、花の写真が撮りたくて再訪し、いろいろな段階の写真を撮ることができました。
このとき、オシベの先から、青い花粉が出てくるらしいことが分かりました(4段目の拡大写真)。
赤い花弁と青いオシベのコントラストがきれいなのですが、半日ほどしか見られないのは残念。

ナガミヒナゲシ(Papaver dubium)
<キンポウゲ目・ケシ科・ケシ亜科・ケシ連・ケシ属>
 
  2021/3/20              2021/3/21

2021/3/21                  2021/3/21
ケシ科ケシ属の越年草。地中海沿岸から中欧が原産の帰化植物。
アルカリ性土壌を好むようで、コンクリートによってアルカリ化した路傍などで繁殖しやすい。
草丈は20〜60cmで、葉や茎にはやや密に毛が生える。
根生葉はロゼットを形成し、1〜2回羽状深裂して葉柄はない。茎葉は互生し、羽状に深裂する。
花期は4月〜5月で、花茎を立ち上げ、茎頂に直径2〜5cmの4弁花を付ける。
花色は橙紅色〜紅色で、中央部のめしべの花柱はなく、柱頭は4〜8本の筋が放射状に伸びる。
黒っぽいオシベは多数あり、円筒形の子房はこのオシベに囲まれる。
果実は長さ15〜25mmの長楕円形の孔開刮ハで、熟すと上部に隙間の孔ができる。
種子は長さ0.7mm前後で、表面に網状脈があり、果実当り約1,600個入っている。
その約20%が10月に発芽して越冬し、さらに20%が4月に発芽する。
残りの60%は休眠しており、翌々年以降に順次発芽する。5年後の発芽も確認されている。
本種には、アレロパシーがあり、根と葉からは周辺の植物の生育を強く阻害する成分を出す。
なお、本種には「subsp. lecoqii」と「subsp. dubium」という2種類の亜種がある。
両種とも、国内に分布しており、前者の花弁は平開して、花弁の間に隙間ができる。
一方、後者の花弁は平開までせず、花弁が重なるように咲く。
茎内の乳液の色も異なり、「subsp. lecoqii」は黄色く、「subsp. dubium」は白い。

2021/3/20 散歩中、線路脇の道床にナガミヒナゲシが少し固まって生えていました。
花も咲いていましたが、まだ、ツボミしかない株も多く見られました。
2021/3/21 散歩中、駐車場になっている空き地の一角に、多くのナガミヒナゲシが咲いていました。
昨日の道床では葉が横に開いていたものが、込み合っているのでほとんど垂直に立っています。
おそらく、除草されることがないので、大量の種子が一斉に発芽した結果でしょう。


2021/4/15                 2021/4/15
実家の庭にもかなりの数のナガミヒナゲシが育っていました。
庭に咲く白いキク科の花(カンシロギクと判明)と、小さいときに区別がつかないのです。
左の写真で、左側の小さい方がカンシロギクで、右側に写っているのがナガミヒナゲシです。
これくらいの大きさになれば、葉の大きさが違うので、両者を区別することはできます。
最も大きくなっていたのが、庭の隅にあった右の写真のもので、ツボミも大きくなっていました。
ということで、8割方がナガミヒナゲシと分かり、除草してしまいました。


2021/5/15
実家近くを散歩中、道路脇の空き地でグラデーションのある淡橙紅色のナガミヒナゲシを見かけました。
こぼれ種から毎年のように咲き続けているのでしょうか。初めて気が付きました。
この辺りもよく見るナガミヒナゲシがほとんどのため、気に留めることなく見落としていたのかも。
神奈川県の自宅近くで見たものと、色味が若干異なりますがよく似ています。
そのため、最初はヒナゲシ?としていたのですが、その後の調査でナガミヒナゲシの変異としました。


2021/5/15
上記左の写真の柱頭盤と右の写真の果実の部分を拡大したものです。
子房や柱頭盤、放射状の柱頭、多数のオシベなど、よく見るナガミヒナゲシのそれとほぼ同じです。
右の写真は、落花の始まった花、若い果実と成熟した果実が、その後ろにはツボミも見えています。
これらもよく見るナガミヒナゲシのそれらとほぼ同じです。




2022/5/30
実家近くの川沿いを散歩中、ナガミヒナゲシがたくさんの果実を付けているのを見かけました。
そういえば、熟した果実の写真を撮っていなかったのを思い出し、写真を撮りました。
下段左は未熟な果実で、まだ、孔は開いていませんが、色からして完熟間近といったところです。
右は穴が開いた状態で、上端が縮むようにして穴が開き、ここから千個を超える種子が散布されます。


ナガミヒナゲシのいろいろ

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2016/4/16 <神奈川県の相模原市にて>
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2021/5/15 <兵庫県の瀬戸内沿岸にて>
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2023/4/19,20 <神奈川県の相模原市にて>
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2021/3/21 <兵庫県の瀬戸内沿岸にて>
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2023/5/2 <兵庫県の瀬戸内沿岸にて>
  ナガミヒナゲシのいろいろな花を集めてみました。
上3段は淡色ではなく、グラデーションのある淡色系の花になります。
花色に関しては、淡紅紫色、淡橙紅色、黄色味の強い淡橙紅色と、バラバラです。
なお、柱頭盤の色に関しては、上2段は黄緑色ですが、3段目のものは黄色です。
下2段は、よく見かける橙紅色のナガミヒナゲシですが、4段目は赤味が強いです。
柱頭盤の色に関しては、4段目は緑色で、5段目は黄緑色です。
放射状の柱頭に黄色い花粉が付いている影響かもしれませんが、黄色味が強いと思います。
さて、茎内の乳液の色を確認していませんので、花弁の重なり具合からの判断で、
1段目と3段目の花は、花弁の重なりが少ないか離れていますので、「subsp. lecoqii」と思われます。
その他は花弁の重なりが多い点から、「subsp. dubium」と思われます。

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2023/4/18 <神奈川県の相模原市にて>
  ナガミヒナゲシの中には、上記のように黒い染みのような斑紋が出るものがあります(左の写真の赤丸)。
この斑紋は、大きさや形が一定せず、出方も1花弁〜4花弁とバラバラです。
海外のサイトを調べると、4花弁に同じような形状、大きさの斑紋が出るものもあるようです。


ムラサキケマン(Corydalis incisa)
<キンポウゲ目・ケシ科・ケマンソウ亜科・キケマン属>



ケマンソウ科キケマン属の越年草で、在来種。
日本では全国に広く分布していて、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は20〜50cmで、塊茎は作らない。傷をつけると嫌な臭いがする。
葉は互生し、長さ3〜9cmで2〜3回羽状に細裂する。
葉柄は、下部ほど長くなり、下部で5〜15cm、上部で1〜4cm。
花期は4月〜6月で、茎頂に長さ3〜12cmの総状花序を付け、多数の花が咲く。
独特の形状の花は長さ12〜18mmで、花の先だけが濃紅紫色。
花弁は4個で、左右の内側の2個は先端が合着し、背面に稜がある。
外側の2個は大きく、上部の花弁は基部が袋状の距になって、後ろに突き出る。
この距の中に蜜腺がある。上下の花弁に各々オシベが付き、メシベを挟む。
2個の萼片は花柄の先端にあり、細裂して糸状になっている。
刮ハは柄の先に下向きに曲がって付き、長さ15mm前後の狭長楕円形。
熟すと2裂して、果皮が巻き上がり、黒い種子を弾き飛ばす。

2021/4/1
実家近くを散歩中、側溝脇や側溝の中で多くの花を付けているムラサキケマンを見かけました。
多摩川の近くではよく見かけましたが、それ以来なので、久しぶりの対面です。
後に突き出した長い距を持つ独特の形をした花は、一度見ると忘れない花の1つです。


2021/4/17
4月初めには満開状態だったムラサキケマンですが、そろそろ花も終盤のようです。
咲き終わった花序が目立ち、黄色から淡褐色に色付いた果実が目立ちます。

 

2024/4/7
実家近くの側溝脇で、今年もムラサキケマンが花を咲かせていました。
ここでは、全て石垣の隙間に根を張って、そこから花茎を伸ばしています。
まだ、咲き始めて間もないようで、咲き終わった花は見られませんでした。









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