境川近隣の春の野草
和名インデックス |
ハナズオウ(Cercis chinensis)
<マメ目・マメ科・ジャケツイバラ亜科・ハナズオウ連・ハナズオウ属> マメ科ハナズオウ属の落葉低木で、中国原産の帰化植物。 日本には、江戸時代初期に渡来したとされている。 樹高は2〜3m程度。葉はハート形の単葉で、互生。 4月頃、葉に先だって紅紫色(白花もある)の蝶形の花を多数、枝に付ける。 花後、長さ数cmの豆果を多数付け、秋には黒褐色に熟す。
2018/4/3
境川に向かう道路脇や民家の庭先で、たわわに花を付けているハナズオウを見かけました。 ピンクの花が、これでもかと言わんばかりに密集して付いていて、遠目からでも目立ちます。 | |
エンドウ(Pisum sativum L.)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・エンドウ属> マメ科の一年草または越年草で、広く栽培され、食用となっている。 古代オリエント地方や地中海地方で麦作農耕の発祥とともに栽培化された豆でもある。 麦作農耕とともにユーラシア各地に広まり、5世紀に中国に、9〜10世紀に日本へは伝わったとされる。 エンドウには、莢の硬さにより硬莢種(こうきょうしゅ)と軟莢種(なんきょうしゅ)がある。 硬莢種は文字通り莢が硬く、完熟して乾燥した豆を利用するものである。 軟莢種は、未熟な豆果をサヤエンドウとして利用したり、完熟した生豆をグリーンピースとして利用する。 原産地が地中海性気候の近東地方であるため、夏は成長適期ではなく、秋に蒔いて春に収穫する。 花期は3月〜5月で、硬莢種の花には紅色が、軟莢種の花には白色が多い。
2018/4/3
境川に向かう道路脇の畑で見かけたエンドウの花です。 エンドウは野菜ですが、豆の花つながりで掲載することにしました。 それで調べていて気が付いたのですが、莢が食べられる花は赤色が、食べられない花は白色が多いそう。 なんと、硬莢種と軟莢種では花の色の違いがあったんですね。調べていて初めて知った事実です。 で、このエンドウの花は白いので、莢の食べられる軟莢種の可能性が高いと思われます。 2021/4/30 境川に向かう道路脇の畑で見かけたエンドウの花です。 この花の色は赤色ですので、硬莢種の可能性が高いと思われます。 ただ、必ずしも硬莢種と軟莢種で花色がすべて異なるわけではなく、遺伝的な要素が強いとのこと。 | |
クスダマツメクサ(Trifolium campestre)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属・Chronosemium亜属> マメ科・シャジクソウ属の多年草で、ヨーロッパから西アジア原産の帰化植物。 日本では、主に本州と四国に分布するが、北海道や九州にも分布が広がっている。 地を這うよう広がるコメツブツメクサとは異なり、本種は茎が立ち上がり草丈は20〜40pほどになる。 葉は互生し、3小葉で、葉柄は小葉より短い。側小葉は無柄で、頂小葉には5o前後の葉柄がある。 托葉は、長さ7o前後の楕円形で先が尖る。小葉は長さ5〜15o程の楕円形で、葉先のみに鋸歯がある。 花期は5月〜8月で、葉腋に長さは数pの花柄を出し、長さ15〜20oの円筒状の花序を付ける。 萼は、初期には緑色をしているが、開花すると鮮黄色に近くなり、長さ2o前後で、先が5裂する。 開花後、受粉すると花は下向きになり、花が終わっても花冠は落ちずに枯れ残る。
2015/6/13
境川の側にある草原の一部に、クスダマツメクサが繁茂していました。 時期的には咲き終わりに近づいているようで、下部の方が枯れ始めたものや茶色く枯れた花が目立ちました。 2018/5/21 今年は多少時期が早かったので、咲き始めの花が残っていました。 その花をマクロで撮り直したものです。アップで見ると透き通るような黄色がきれいですね。 | |
コメツブツメクサ(Trifolium dubium)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属・Chronosemium亜属> マメ科・シャジクソウ属の多年草で、ヨーロッパ - 西アジア原産の帰化植物。 日本では、全国的に分布している。 コメツブウマゴヤシと間違われることがあるが、コメツブツメクサは地を這うように背が低い。 草丈は20〜40pほどで、茎は良く分枝して横に広がる。 葉は3小葉で、葉柄は数oと短い。 小葉は長さ10o弱の楕円形で、葉脈がはっきり見え、側脈は並行。 花期は5月〜7月で、葉腋から2p程の花序枝を出し、その先に直径7oほどの花序を付ける。 黄色い蝶形花は長さ3oほどで、5〜20個ほどが球状に集まって付く。 授粉後、花は垂れ下り、花冠は枯れてそのまま残り、その中で豆果は成熟する。
2016/4/23
境川に向かう道路脇の草原の一部を、コメツブツメクサがびっしりと覆っていました。 その中にアメリカフウロが交じっていました。 右端の写真で、手前のピンボケしたものと、奥の赤褐色の葉がそうです。 | |
シロツメクサ(Trifolium repens)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属・Trifolium亜属・Trifoliastrum節>
マメ科・シャジクソウ属の多年草で、ヨーロッパ・北アフリカ原産の帰化植物。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国的に分布している。 名前のツメクサ(詰め草)は、乾燥させたものをガラス器の緩衝材に使用したことに由来する。 日本には、明治時代に家畜用の牧草として導入され、それが野生化したもの。 草丈は15〜30cmで、茎は地を這い、節から根を出して広がる。 葉は長さ6〜20cmの葉柄の先に、直径2〜5cmの3出複葉を付ける。 托葉は葉に合着し、小葉には白い班紋があることが多く、鋸歯がある。 稀に2つ葉や4つ葉、5つ葉などが見られ、幸運を呼ぶなどとされている。 花期は5月〜8月で、球形の総状花序が頂生し、花柄は葉柄より長い。 白い筒状の蝶形花は長さ1cm前後で短い柄があり、20〜50個付く。 萼筒の先は5裂し、裂片は先が鋭く尖り、裂片より萼筒の方が長い。 なお、花が淡紅色のものが見られるが、モモイロツメクサという。 ※ クローバーの花言葉に関しては、こちらに詳細を掲載しています。
2020/4/23
シロツメクサは、道路脇や草原など、いろいろな場所で見かけます。 そんなこともあって、まだ、掲載していなかったのを思い出して撮ったものです。 | |
ソラマメ(Vicia faba)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属> マメ科の一年草または越年草で、西南アジアから北アフリカが原産で、古くから世界各地で栽培されている。 草丈は50〜80cmほどになり、茎は太く、断面は四角形で稜があって中空。 葉は偶数羽状複葉で、1〜3対の小葉からなる。小葉は楕円形で、先は丸い。 花期は3月〜4月で、葉腋に極短い総状花序を出し、数個前後の花を付ける。 花は白〜淡紫色で直径30o前後、旗弁には黒い筋状の斑紋があり、翼弁には黒い大きな斑紋がある。 豆果は長楕円形で、上に向かって直立する。その様が空に向かっているように見えることが和名の由来。 中には3〜5個の種子が入っており、熟すと黒変する。
2018/4/3
多摩川に向かう道路脇の畑で見かけたソラマメの花です。エンドウから少し離れた所に植えられていました。 ソラマメも野菜ですが、この特徴的な豆の花を紹介したくて掲載することにしました。 豆果の花で、旗弁に筋模様があるものはいくつかありますが、翼弁に模様があるものは意外と少ないのです。 ソラマメは、その両方に黒い模様がある花を付けます。 | |
スズメノエンドウ(Vicia hirsuta)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属> マメ科ソラマメ属のつる性の越年草で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。 海外では、ユーラシア大陸などの温暖帯に広く分布する。 葉は、12〜14枚の小葉からなり、先端は巻ひげになる。 花期は4月〜6月で、花は葉腋から伸びた柄の先に4個前後付き、花色は、白に近い淡青色。 豆果は、長さ1cm程で短毛があり、下向きに付く。豆は2個入っていることが多い。
2016/4/2
境川に向かう道路脇で、歩道と塀の隙間からスズメノエンドウが枝をたくさん伸ばしていました。 枝先の方で、葉腋から出た柄の先に花が咲いていました。 ヤハズエンドウと違って、花が小さく地味な花色なので、良く見ないと見落としてしまいそうです。 2016/4/16 境川沿いの道路脇でもスズメノエンドウを見つけました。 辺り一帯を覆い尽くすほどの大きな群落になっていました。 良い感じで、花が咲いていたので、アップで撮ってみました。 僅かに淡青色が見られますが、ほとんど白に近い色合いです。 2016/4/23 最初に見かけたスズメノエンドウが、大半の花が終わって、豆果をたくさん付けていました。 ほとんどの豆果で、豆は2個入っているようです。 2016/5/7 上記の約2週間後の様子です。豆果が成熟して、はじけていました。 中央の写真の中央付近で、豆果が2つの割れて、豆が転がり落ちそうになっています。 豆は、淡黄褐色の地に褐色の斑点があり、ウズラの卵のようです。 | |
ヤハズエンドウ[カラスノエンドウ](Vicia sativa subsp. nigra)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属> 地中海沿岸が原産の帰化植物で、越年草。日本では、全国的に分布している。 標準和名は「ヤハズエンドウ」であるが、「カラスノエンドウ」という名前が一般には知られている。 いたるところで極普通に見られる雑草であるが、古代には食用にされていた。 草丈はつる性で10〜30cmになる。茎は全体に毛があり四角柱状。 葉は偶数羽状複葉で、小葉は4〜8対。葉の先端は2〜3分岐した巻ひげとなる。 小葉は有毛で、先が浅く凹んだ形が矢筈(やはず)に似ているのが和名の由来。 托葉は深い切れ込みがあり、褐色の腺点(花外蜜腺)が付くのが特徴である。 花期は3月〜6月で、花は葉腋に数個付き、長さ12〜18mmの紅紫色。 旗弁の裏は色が薄く、花柄はほとんど無い。萼は5裂して先が尖り、萼歯は萼筒より短い。 豆果は斜上し、扁平で長さ3〜5cmで、5〜10個の種子が入っている。 熟すと真っ黒になって2つに裂け、果皮がよじれて黒い種子をはじき飛ばす。
2018/4/3
マメ科の中でも特にポピュラーではないかと思っているのが、ヤハズエンドウです。 個人的には、カラスノエンドウの方がピンとくるのですが、こちらは俗名です。 昔、食料用の豆として栽培されたこともあるそうですが、どこにでもある雑草のイメージの方が強いです。 子供の頃、実入りの良い、熟す前の豆果の豆を取り出して、よく笛として遊んだ事を思い出します。
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ナヨクサフジ(Vicia villosa subsp. varia)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属> マメ科ソラマメ属のつる性の1年草または越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。 茎は良く分枝して、他の物に巻き付いて広がり、長さ2mほどになる。 葉は互生し、羽状複葉で頂片は巻ひげとなる。小葉は狭楕円形で、10対ほどある。 基部には不規則な形状の托葉がある。 花期は5月〜8月で、葉腋に花序を出し、長さ15oほどの蝶形花を1方向に穂状に付ける。 花色は、咲き始めは淡紅色であるが、徐々に淡紫色になる。 旗弁の爪部(筒状部)が長く、旗弁の舷部のほぼ倍の長さがある。 萼筒はほぼ無毛で、花柄が萼筒の下側に付くので、基部の丸く膨らんだ所が後に付きだす。 なお、和名は「弱草藤」で、ナヨナヨとしたクサフジを意味している。
2016/5/20
境川へ向かう道路脇の草むらで、ナヨクサフジが淡赤紫色から淡紫色の花を咲かせていました。 最初に見た時、クサフジかと思ったのですが、旗弁の爪部が長いので調べてみると本種でした。 なお、ビロードクサフジは、花色や旗弁の爪部が長い点、花柄が萼筒の下に付く点が良く似ています。 ただ、茎や葉に長い軟毛が多くて毛深い点が本種とは異なります。 2018/5/21 今年も同じ場所でナヨクサフジが花を付けていました。 昨年は除草されて何もなかったのですが、雑草だけに繁殖力は強いようです。
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アジサイ(Hydrangea macrophylla)
<ミズキ目・アジサイ科・アジサイ属・アジサイ節・アジサイ亜節> アジサイ科アジサイ属の落葉低木で、日本原産のガクアジサイを原種とする栽培品種。 樹高は1〜2mで、葉は卵形で、光沢のある淡緑色。縁に鋸歯がある。 花期は5月〜7月で、花と言われているのは装飾花で、花弁に見えるのは萼である。 ガクアジサイでは、装飾花が花序の周辺に縁取るように並び、「額咲き」と呼ばれる。 その中央に小さい両性花が多数あり、花弁5個。オシベ10個とメシベ1個(花柱は3個)がある。 なお、装飾花では、花弁、オシベ、花柱の数が少なくなったり、開花しないものもある。 ガクアジサイの変種で、ほとんどが装飾花になり、花序が球形になったものは「手まり咲き」と呼ばれる。 中国を経由してヨーロッパに渡り、逆輸入されたものはセイヨウアジサイと呼ばれる。 アジサイは、根から吸収されるアルミニウムイオンの量によって花色が変わる。 土壌のpH(酸性度)が、酸性だとアルミニウムがイオン化され、花のアントシアニンと反応して青くなる。 アルカリ性だと、イオン化されないので、アジサイに吸収されることがないので、赤色のままになる。 1つの株でも、イオンの分布度合いによって吸収される量が異なるので、赤と青が混じることもある。 なお、品種によっては遺伝的な要因で、花が青くならないものもある。
2016/5/25
境川に向かう道路脇で、ほとんど放置状態のアジサイが、毎年、花を付けて楽しませてくれる。 手まり咲きのアジサイで、青いものとピンクのものがあり、品種が異なるようです。 少し離れた所では、ガクアジサイも咲き始めていました。
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ハナミズキ(Benthamidia florida)
<ミズキ目・ミズキ科・ミズキ亜科・ヤマボウシ属> ミズキ科ヤマボウシ属の落葉小高木で、北アメリカ原産。アメリカヤマボウシの別名を持つ。 庭木や街路樹として利用されることが多い。 1912年にワシントンD.C.へソメイヨシノを送った返礼として、1915年に送られたのが始まり。 樹高は5〜10mで、樹皮は灰黒色。成長が比較的遅く、自然に樹形は整う。 葉は対生し、枝先に集まって付く。葉身は8〜12cmの楕円形で葉脈が目立ち、縁は波打ち葉先は尖る。 花期は4月下旬〜5月上旬で、白と淡いピンクの花を付けるが、花弁に見えるのは総苞。 4枚の苞の真ん中に見えるのが花序で、直径5mmほどの黄緑色の4弁花が多数集まって付く。 花後には苞が落ちて果実が付き、秋には真っ赤に熟す。また、葉も秋には紅葉する。
2018/4/3
最近、街路樹として植えられているのを見る機会が多いハナミズキです。 私の自宅近辺でも、街路樹や公園の植栽として、赤と白の花を付ける木が植えられています。 ちょうど、この時期に赤と白の総苞が開き始め、木がにぎやかになってきます。 総苞が開くと花が咲いたように見えますが、実際の開花はもう少し先です。 2023/4/19 境川の方に降りていく道路に、ハナミズキが街路樹として植えられています。 それらの白や赤の総苞が開き、中央の花も咲いて、満開になっていました。 | |
シシユズ(Citrus pseudogulgul)
<ムクロジ目・ミカン科・ミカン亜科・ミカン連・ミカン亜連・ミカン属> ミカン科ミカン属の常緑小高木で、柑橘類の1種。オニユズとも呼ばれる。 原産地は中国と考えられており、日本には奈良時代に渡来した。 日本では、本州の関東地方から九州にかけて植栽されている。 樹高は2〜4mで、幹は直立して分枝し、樹皮は灰褐色である。 葉は互生し、葉身は長さ10〜15cmの長楕円形で、葉柄には広い翼がある。 葉質は革質で分厚くて艶があり、先は尖る。両面とも無毛で、油点が点在し、強い芳香がある。 花期は5月〜6月で、葉腋に直径30〜35mmの白い5弁花を咲かせる。花には芳香がある。 果実は、直径が15〜20cmで、重さ1kg前後になり、果皮が分厚くて、表面に凹凸がある。 10月〜1月くらいに黄色く熟し、芳香がある。果肉は酸味が強くて生食には向かない。 そのため、観賞用や正月飾り、加工食品(ジャムなど)に使われる。
2021/4/30
境川に向かう道路脇の石垣の上で見かけたシシユズを見に行ってみました。 少々早かったようで、多くの花はツボミでしたが、数輪だけ開花していました。 果実も特大ですが、花の大きさもユズなどの花の倍くらいありそうです。 | |
ユズ(Citrus junos)
<ムクロジ目・ミカン科・ミカン亜科・ミカン連・ミカン亜連・ミカン属> ミカン科ミカン属の常緑小高木で、柑橘類の1種。ホンユズとも呼ばれる。 原産地は、中国の中央〜西域、揚子江上流と言われている。 飛鳥時代・奈良時代の歴史書に栽培されていたと記載されている。 日本では、東北以南で栽培され、特に高知県の馬路村が有名。 樹高は2〜5mになるが、幹や若枝にも鋭い刺がある。 非常に成長が遅いのが特徴で、「桃栗3年柿8年、ユズの大馬鹿18年」と言われる。 葉は互生し、葉身は長さ6〜9cmの卵状楕円形で、葉柄には広い翼がある。 花期は5月〜6月で、葉腋に単生するか総状花序を出し、白い5弁花を咲かせる。 花の直径は3cm前後で、わずかに紫色を帯びた白色で芳香がある。 多数のオシベが花糸の中部まで筒状に合着し、その中心にメシベの柱頭がある。 果実は6〜7cmの扁球形で、黄色く熟し、その表面には凹凸がある。 果実には強い酸味があり生食には向かないが、芳香のある果皮と共に和食などに利用される。 ユズには、「木頭系」、早期結実品種として「山根系」、種無しユズとして「多田錦」がある。 多田錦は、果実が小さめで香りが少し劣るとされるが、トゲが少なく、種がほとんどなくて果汁が多い。 ユズと名が付く、ハナユズ(ハナユ、1才ユズ)は、ユズと混同されることが多いが別種である。 ユズと比べて、樹高が数mと低く、短年で結実する。果実は小ぶりで香りが弱いが、花にも香りがある。 また、シシユズ(鬼ユズ)は、ブンタンに近い品種で、果実の見た目はユズに似ている。 ただし、直径15〜20cmと大型で、表面の凹凸大きいのが特徴。観賞用や正月飾りなどに利用される。
2016/5/20
境川に向かう道路脇の民家の畑で咲いていました。 柑橘系の花はどれもよく似ているので、花だけから種類を特定するのは困難です。 ナツミカンの花ではないかと思い、花を見た時、懐かしくなって撮影してしまいました。 ※ 後に果実を確認して、ナツミカンではなく、ユズと判明しました。 2018/5/21 上記とほぼ同時期なのですが、今年は暑かったので開花が早かったようです。 花はすっかり終わってしまい、果実が大きくなり始めていました。 | |
セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)
<ムクロジ目・ムクロジ科・トチノキ属> ムクロジ科トチノキ属の落葉高木で、ヨーロッパ南東部原産。別名はマロニエ。 日本では公園の植栽や街路樹として使用されることが多く、温帯域で広く栽培されている。 樹高は20〜39mで、樹皮は灰褐色で平滑であり、老木では縦に裂ける。 暑さや乾燥に弱く、冷涼な気候を好む。成長するとドーム状の樹冠になる。 葉は枝先に対生し、長さ7〜20cmの葉柄の先に掌状に小葉5〜7個が付く。 小葉は長さ13〜30cmの倒卵形で、中央の小葉が最も大きい。縁には重鋸歯がある。 落葉後に残る葉痕は、7個の突起を備えた特徴的な馬蹄形をしている。 花期は5月〜6月で、枝先に10〜30cmの円錐花序を出し数十個の雄花と両性花を付ける。 花は直径15mm前後の4〜5弁花で、花弁は白地に赤い斑があり、爪部は黄色。長さ11mm前後。 花柄には白い綿毛が付き、長さは3〜6mm。萼は長さ5〜6mmで、外面に綿毛がある。 花冠からは、長さ10〜20mmの5〜8個のオシベが飛び出している。 1つの円錐花序に1〜5個の果実ができ、果実には緑色で柔らかい刺がある。 果実は直径4〜5cmの球形の刮ハで、熟すと3裂して、中から栗のような種子が出てくる。 種子は直径2〜4cmで、光沢のある褐色の上面に、白い底面をしている。 なお、種子にはサポニンやグルコシダーゼが含まれ、弱毒であり、食用にはしない。
2021/4/30
自宅近くの公園で、セイヨウトチノキが花を付けていることに気が付きました。 ここには長く住んでいますが、セイヨウトチノキがあったことに全く気が付いていませんでした。 たまたま、通りかかったときに見かけて気が付いたしだい。 調べていて、セイヨウトチノキがマロニエであるということも知りました。 マロニエという名前は以前から知っていましたが、トチノキの仲間とは知りませんでした。 | |
キュウリグサ(Trigonotis peduncularis)
<ムラサキ目・ムラサキ科・キュウリグサ属> ムラサキ科キュウリグサ属の越年草で、在来種。ムギ類と一緒に入ってきた史前帰化植物と考えられている。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。海外ではアジアの温帯に広く分布する。 草丈は10〜30pになり、根元の葉は卵形で長い葉柄がある。 茎葉は互生し、長楕円形で葉柄があるが、上部では無柄になる。 花期は3月〜5月で、茎先にサソリ型花序(ぐるっと巻いた花序)に、花径3o程の淡い青紫色の花を付ける。 花冠は5烈し、中心の円形の部分は黄色い。その円形の穴の奥にオシベ5個とメシベがある。
2018/4/10
境川に向かう道路脇など、ちょっと土がある所にもみられるキュウリグサです。 拡大すると淡青色のきれいな花なのですが、直径3oほどの小さな花なので、見る人は少ないでしょう。 花序はぐるっと巻き込んでいて、それを伸ばしながら咲き上っていきます。 2023/4/19 境川に向かう途中の道端で、キュウリグサが花を付けていました。 よく見かける花ですが、この辺りでは数が少なく、たまに見る程度です。 | |
ハナイバナ(Bothriospermum zeylanicum)
<ムラサキ目・ムラサキ科・ハナイバナ属> ムラサキ科ハナイバナ属の1年草、越年草で、在来種。 和名ハナイバナ(葉内花)は、花が葉と葉の間に付く事に由来する。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ロシアから東南アジアに分布する。 草丈は5〜30cmで、茎には白色の圧毛が上向きに密生する。 越年個体はロゼット状の根出葉があり、茎は基部で分枝して広がり、長さ30cmほどになる。 1年草の場合は根出葉はなく、茎は基部から直立して中部で分枝し、斜上して高さ6cmほどになる。 根出葉と最下部の茎葉は、長さ1〜4cmのさじ形で、縁は波打ち、長い葉柄がある。 茎葉は互生し、長さ0.5〜2.5cmの楕円形で、ほとんど無柄で鋭頭。上部ほど小さくなる。 葉の両面に粗い毛があり、上面の毛の基部はやや白色盤状に肥厚する。また、縁には長毛が生える。 花期は3月〜11月で、花は上部の苞葉の葉腋に付き、花柄は1mm以下と短いが、果期には数mmに伸びる。 花は直径2〜3oで、花冠は5裂して白色〜淡青色であるが、白色に近いものが多い。 また、花冠の基部にある付属小鱗片は花冠と同色で円形、やや凹頭。 果実は4分果で、分果は楕円形で、粒状突起がある。
2021/4/30
境川に向かう道路脇にある石垣の上で、タチイヌノフグリのような花を見つけました。 茎はタチイヌノフグリほど立っておらず、斜上して、果実が4分果です。 後で調べて、ムラサキ科のハナイバナと分かりました。 全国に分布し、極普通に生えているようなのですが、初めて見た気がします。 | |
ヒレハリソウ(Symphytum officinale)
<ムラサキ目 ・ムラサキ科・ヒレハリソウ属> ムラサキ科ヒレハリソウ属の多年草で、ヨーロッパ・西アジア(コーカサス地方)原産の帰化植物。 日本では、北海道から本州、四国、九州と広く帰化して、分布している。 ヒレハリソウという和名より、コンフリーという英名の方がよく知られている。 草丈は1m程になり、茎はよく分岐して全体に白い粗毛がある。 葉は互生し、長楕円形で全縁。根生葉には長い葉柄がある。 花は夏から秋にかけて咲き、花色は紫色、淡紅色、白色のものがある。 花は筒状で中程で絞られ、その先は少しふくれて先端は5裂する。 筒状の花弁の内部には、5本の雄しべがあり、細長い三角形の付属体が付く。 ヨーロッパでは、古くから伝統的な薬草として伝統的に利用されている。 日本でも一時期、健康食品として一大ブームとなったが、肝障害が報告されて販売禁止となった。
2016/5/15
境川に向かう途中の駐車場脇の草むらで、一際大きく背を伸ばしていました。 上段の淡紅色の株と下段の白色の株が、並んで競うように咲いていましたが、白花は始めて見ました。 | |
カラタネオガタマ(Michelia figo)
<モクレン目・モクレン科・モクレン亜科・オガタマノキ属> モクレン科オガタマノキ属の常緑低木で、中国南部が原産地。 樹高は5m程にしかならず、枝葉がよく茂り、花に芳香があることから、庭木などに利用される。 耐寒性が低く、温暖な気候を好むことから、関東以西で植生に利用される。 葉は全縁で、5cm程の先の尖った広卵形の葉を互生する。 開花時期は、5月〜6月で、花径は3cm程。バナナの様な強い芳香を放つ。 クリーム色で厚い花弁は6枚で、花弁の縁が紅紫色を帯びる。 オシベとメシベは多数が付くが、その間に軸があるのが、他のモクレン科には無い特徴。
2016/4/23
境川へ向かう途中の公園に植えられていましたが、花が咲くまで、本種とは気が付きませんでした。 ただ、この樹は花が大きく開花せず、半開き状態のまま散ってしまいます。 そのためでしょうか、近づいても芳香は感じず、鼻を近づけてやっと感じる程度でした。 ※ 開花したカラタネオガタマの様子は、こちらを参照ください。 2018/4/10 気が付くと、ことしもカラタネオガタマがたくさんのツボミを付けていました。 下旬になると咲きだすものと思われますが、毛むくじゃらでツボミに見えないですね。 | |
コブシ(Magnolia kobus)
<モクレン目・モクレン科・モクレン亜科・モクレン属> モクレン科モクレン属の落葉高木で、早春に白い花を梢いっぱいに咲かせる。 日本では、北海道から本州、九州に分布する。 樹高は15m以上になり、幹も直径60cmに達するものもある。 葉は互生し、倒卵形で先は尖る。葉よりも先に花が咲く。 花は、白いへら状の花弁が6枚で、萼片は3枚ある。 メシベは緑色で、ベージュ色のオシベが周りを取り囲み、ともにたくさんある。 果実は、袋果の集合体で、ゴツゴツと瘤が寄り集まった不定形な形をしている。
2016/3/19
境川へ向かう途中の公園に植えられているコブシが、白い花をたくさん付けていました。 ハクモクレンより一回り小型の花ですが、また、異なった魅力があります。 2016/4/23 2016/5/20 2016/6/29 . 花後の様子を追いかけてみました。1ヶ月後、果実はやや大きくなった程度です。 それが2ヶ月後になると、果実は一気に大きく成長し、不規則に歪んでいました。 2016/7/12 2015/9/19 2015/9/23 7月になって、果皮が多少赤みを帯びてきて、果実によっては明瞭に赤くなった部分が見られます。 ここからは昨年の写真となりますが、9月になると果皮が裂開して、赤い種子が見え始めました。 それから1週間もたたないうちに、種子がむき出しになっていました。 右端の写真で、一番手前に白い糸状のものが横にスッと伸びています。 これは、種子をつないでいる繊維の切れたもので、種子が1個、落下した後です(下記参照)。 2015/9/23 この赤い種子ですが、白い繊維のようなものでつながっており、直ぐには落下しません。 種子は、糸を引くように徐々に伸びて垂れ下り、最後にはポトリと落下します。 | |
ハクモクレン(Magnolia heptapeta)
<モクレン目・モクレン科・モクレン亜科・モクレン属> モクレン科モクレン属の落葉高木で、中国原産。 日本では、庭木や公園樹として、北海道から本州、四国、九州と全国で利用されている。 樹高は10mを超える大型種で、葉は全縁の塔卵形で、葉身は10cmを超える。 開花時期は3月〜4月で、コブシより10日前後早い。葉の展開前に開花する。 白い花被片は9個で、長さ8p前後の倒卵形でほぼ同じ大きさ。 オシベは長さ10mmほどで、連結して刺状に突き出す。葯は長さ7oほどで、横に裂開する。 雌ずい群は淡緑色で、長さ2p強のこん棒状。 果実は円筒形であるが、一部しか成長しないので、不規則に湾曲する。 秋には、翌春のための冬芽や花芽が準備され、それらは淡灰黄色の長い絹毛で覆われている。
2015/9/19
境川へ向かう道路脇の畑に、大きなモクレン科の樹が3本植えられていました。 枝には、来年の春に咲く花芽がたくさん付いていましたが、種類までは分かりませんでした。 2018/3/13 今年、見に行ったのが少々早かったようで、一部のツボミがほころび始めたばかりでした。 年によるバラつきはあると思いますが、後、1週間ほどで下記のように満開になるでしょう。 2016/3/19 春になったので、どのような花か見に行った所、ハクモクレンと分かりました。 青空をバックに、樹いっぱいに白い大きな花を付けていて、見事な咲きっぷりでした。 2016/4/2 2016/4/16 2016/4/23 花後の様子を追いかけてみました。2週間、3週間と経つにつれ、果実が徐々に大きくなってきました。 ただ、この頃から大きな葉が展開してきて見えにくくなるとともに、落果するものが増えてきました。 2016/5/20 2016/6/4 2016/6/29 この頃になると、一部の種子が大きくなり始め、果実がいびつに歪み始めます。 果実の数も、数えられるほどに少なくなり、大半が落果してしまっているようです。 その後、フォローしようとしたのですが、見える範囲の果実が無くなってしまいました。 2020/10/3 2020/10/13 2020/10/19 熟す前に落果してしまうことが続いていたのですが、赤く熟した果実が確認できました。 果実が熟して、中の果実が出てくる様子をフォローできたのが上記の写真です。 3日の時点では、割れ始めて中の赤い種子が顔を覗かせていました。 その10日後には、大きく割れて種子がかなり露出していました。 その6日後に確認に行くと、既に種子は落ちてしまっていました。 ハクモクレンの種子もコブシの種子と同じで、白い繊維のようなものでつながっています。 これは、種子が落ちる前に、果実自体が落果してしまったもので、確認しました。 | |
モクレン(Magnolia quinquepeta)
<モクレン目・モクレン科・モクレン亜科・モクレン属> モクレン科モクレン属の落葉低木で、中国南西部が原産地。 花が紫色であることから、シモクレン(紫木蓮)の別名もある。 樹高は5m程にしかならず、10cm程の先の尖った広卵形の葉は互生する。 開花時期は、4月〜5月で、濃い紅色の花弁は9枚で、外側の3枚は萼片状。強い芳香を放つ。 花弁はハクモクレンとは異なり舌状で長い。オシベとメシベは多数が螺旋状に付く。 このモクレンとハクモクレンの交雑種がサラサモクレン(Magnolia×soulangeana)で、庭木として利用される。 花色は、淡紅紫色から暗赤色と変異が多く、花弁は9枚で、外側の3枚は萼片状。 サラサモクレンは、花色、花形、樹高などは、幅広い変異がある樹種です。 開花は、ハクモクレン→サラサモクレン→モクレンの順になる。 ※ サラサモクレンをサクラモクレンと誤記されたサイトがいくつかありました。 花色からそう呼びたくなる気持ちも分かりますが、間違えないようご注意を。
2016/4/2
境川へ向かう途中の公園で、モクレンが大きな花を咲かせていました。 ただ、花弁の先が淡紅紫色なので、サラサモクレンの可能性が高そうです。 |