播州地方で見かけた秋の野草(秋U)
和名インデックス |
ツリガネニンジン(Adenophora triphylla var. japonica)
<キク目・キキョウ科・キキョウ亜科・ツリガネニンジン属> キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国の山野で見られる。 海外では、樺太、千島列島に分布する。 草丈は50〜100cmで、茎はほとんど分枝せず、白毛が生え、切ると乳液が出る。 葉は長さ4〜8pで先が細長く尖った楕円形で、数枚が輪生状に付き、鋸歯がある。葉には短い柄がある。 花期は8月〜10月で、茎頂に円錐花序を付け、花は数個が輪生する。 花冠は変化が多く、長さ20o前後で釣鐘型の淡紫色の花で、先が5裂する。 花柱は花冠から長く突き出し、成熟すると先が3裂する。まれに花柱が短いものもある。
2021/10/14
砥峰高原のハイキングコースで、遊歩道脇の所々で見られたツリガネニンジンです。 花期も終盤なので花数は少なく、果実になったものも見られました。 | ||||||
キセルアザミ(Cirsium sieboldii)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・アザミ属> 2022/8/16 2022/8/27
キク科アザミ属の多年草で、日本固有種。別名は、マアザミ、サワアザミ。
日本では、本州から四国、九州と比較的広範囲に分布する。 山野の湿り気のある場所や湿原で、普通に見られる。 草丈は50〜100cmで、茎葉は小さく、少数付き、羽状に分裂する。 和名は、茎葉の少ない茎と下向きに付くツボミがキセル(喫煙具)に似ることに由来する。 根生葉は多数出て花期にも残り、長さ15〜50cmで、羽状に裂けて両面無毛。 花期は9月〜10月で、茎葉先で分枝して、各枝先に頭花を単生する。 頭花は初めは下向きに咲くが、徐々に起き上がり、果時には完全に上向きになる。 総苞は鐘形〜筒形で、総苞片は重なり合って付き開出するが、反り返ることはない。 花冠は長さ16〜20mmの紅紫色で、狭頭部は広筒部より長い。
2022/8/16,8/27
秋咲きのアザミなので、8月にはツボミが膨らみ、末には早いものがほころび始めていました。 2022/10/11 1ヶ月以上が過ぎ、キセルアザミも最盛期を多少過ぎたようで、綿毛になったものがそこそこあります。 中段は、左端が周辺の筒状花から開花が始まったもので、中央と右は全てが開花した状態の花です。 下段左は、花後の綿毛が開く前の状態で、中央と右は綿毛が弾け始めた状態です。 キセルアザミの花にも変異が多少あるようで、紫色が濃いめの花も見られました。 2022/10/11 左と中央は、花を拡大したもので、紫色の部分が葯が筒状に集まった集約雄蕊です。 その中央から伸びている赤紫色の棒状のものがメシベの花柱です。 雄性期から雌性期への移行途中で、この後、伸びた花柱の先端が2裂して雌性期に入ります。 右端はキセルアザミの綿毛で、羽毛状になっていて、風に乗りやすくなっています。 | ||||||
ガンクビソウ(Carpesium divaricatum)
<キク目・キク科・キク亜科・オグルマ連・ガンクビソウ属> キク科ガンクビソウ属の多年草で、在来種。別名はキバナガンクビソウ。 日本では、本州から四国、九州、南西列島に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。 草丈は25〜150cmで、茎は直立して軟毛が密生し、中部以上でよく分枝して開出気味に広がる。 根生葉は花期にはなく、下部の茎葉は長い柄があり、葉身は長さは7〜20cmの卵形〜長楕円形。 葉身の基部は円形〜くさび形で、不揃いな波状の低い鋸歯があり、葉先は鋭形〜鈍形。 葉表は緑色で、葉裏は淡色で腺点があり、両面に軟毛がある。 中部の葉は長楕円形で、基部は楔状漸尖し、先は鋭く尖る。 上部の葉は小さく、長楕円形〜長楕円状披針形で先が尖り、無柄である 花期は6月〜10月で、直径6〜8mmの頭花は枝先に1個ずつ点頭し、開花時に下向きになる。 総苞は長さ6mm前後の卵球形で、総苞片は4列で覆瓦状に並び、外片は短い。内片は鈍頭。 小花は黄色で、舌状花はなく、周囲に雌性の小花が並び、その内側に両性の小花が並ぶ。 雌性小花の花冠は円筒形で、先が細く4裂する。両性小花の花冠は長さ3mmほどで、先が5裂する。 頭花の基部には、2〜4個の反曲した披針形の葉状苞が輪生し、長さは頭花の2〜5倍ある。 子房の上部と基部に粘液腺があり、痩果にも残る。痩果は長さ3mm前後で、上部と基部が粘る。
2022/8/27
網引湿原第1湿原の外を周る通路脇で、ガンクビソウが花を咲かせていました。 2022/10/11 上記のガンクビソウですが、花は咲き終わっても頭花の形はあまり変わっていません。 黄色かった花冠が黄緑色になり、花としては目立たなくなっていました。 隣りで咲いていたサジガンクビソウはと探したのですが、既に影も形もありませんでした。 | ||||||
オケラ(Atractylodes japonica)
<キク目・キク科・キク亜科・オケラ属> キク科オケラ属の多年草で、在来種。昔はウケラと呼ばれていた。雌雄異株である。 日本では、本州から四国、九州に、海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。 草丈は30〜80cmで、茎は細く、木のように堅くなる。 根茎はやや長くて節があり、古い部分は順次枯死していく。 葉は互生し、下部の葉は長さ8〜11cmで奇数羽状複葉。3〜5裂し、縁には刺状の鋸歯がある。 上部の葉では、分裂しないこともある。なお、根生葉は花時にも残る。 花期は9月〜10月で、上部で分枝した茎に頂生し、頭花の直径は20o前後。 筒状花のみからなり、花色は白〜淡紅紫色で、花冠の先は5裂する。 雄株にはオシベのみが機能する雄花が、雌株にはオシベとメシベがある両性花が咲く。 総苞は長さ10〜12mmの鐘形で、総苞片は7〜8列に並び多数ある。 それを囲むように魚の骨のような針状に羽裂した苞葉(総苞外片とのされる)が2列に包む。 痩果は長さ5〜6mmの円柱形で、白毛が密生し、羽毛状に細かく枝分かれした淡褐色の冠毛がある。 近縁種の中国原産のオオバナオケラやホソバオケラとともに根茎は、朮(じゅつ)という生薬として利用される。 本種のものを和白朮、オオバナオケラのものを唐白朮、ホソバオケラのものを蒼朮という。
2020/11/5
網引湿原の奥池の畔を歩いているとき、シダの影でひっそりと咲いているオケラを見つけました。 植栽されたオケラは見たことがあるのですが、自生のものを見たのは初めてです。 | ||||||
ノジギク(Chrysanthemum japonense)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・キク属> キク科キク属の多年草で、日本固有種。兵庫県の県花となっている。 日本では、本州の兵庫県以西から四国、九州に自生する。 瀬戸内海沿岸部に自生する葉がやや薄いものは、以前は変種セトノジギクとされた。 しかし、現在は変種とはせず、ノジギクに含められている。 草丈は60〜90cmで、茎は基部で倒れて斜上し、中部、上部で多数分枝する。 葉は互生し、葉柄は長さ2cm以下で、葉身は長さ3〜5cmの広卵形で、3〜5裂し、鋸歯がある。 葉質は厚くて、葉表には毛が散生し、葉裏は白い毛が密生して緑白色である。 多数分枝した茎先に頭花は単生し、全体として疎らな散房状になる。 頭花の直径は3〜5cmで、舌状花は通常は白色であるが、稀に黄色のものもある。 舌状花の数や幅には個体差があるために変異が多い。 筒状花は黄色で、裂片は小さな広三角形。総苞は半球形で、総苞片は3列ある。 総苞外片は総苞内片より短く、幅も狭くて、先は円形になる。
2020/11/16,17
実家近くを散歩中、堤防の法面に草に隠れるようにして咲いているノジギクを見つけました。 対岸からは良く見えるのですが、堤防の上からは全く見えないように咲いていました。 ノジギクは兵庫県の県花で、子供の頃から慣れ親しんだ花でしたので、大変懐かしかったです。 野生の菊ですが、花が大きくて、花数も多いので群生しているとかなり目立ちます。 2020/11/22 2020/11/23 咲き誇っていたノジギクですが、淡紫色に萎れかかった花が11/23には目立ちました。 11/22から11/23に掛けての冷え込みで、古い花が一気に萎れ始めたようです。 2021/11/15 2021/11/12 2020/11/12 今年もノジギクが見事な花を見せてくれていました。が、昨年より花がばらけた感じです。 昨年の写真と比較すると、株自体が一回り大きくなって、周囲に花が広がったためのようです。 | ||||||
ヨモギ(Artemisia indica var. maximowiczii)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・ヨモギ属> キク科ヨモギ属の多年草で、在来種。 日本では本州から四国、九州に、海外では、朝鮮半島から中国に分布する。 草丈は50〜120cmで、地下茎を伸ばし、群生する。 地下茎などから他の植物の発芽を抑制する物質を分泌する(アレロパシー)。 茎は直立し、紫色を帯びることが多く、白い綿毛が密生する。茎の基部はやや木質化する。 下部の葉は長さ6〜12cmで、羽状に深裂し、裂片は2〜4対で、縁には鋸歯がある。 上部の葉は披針形で、全縁かいくつかの切れ込みがある。葉裏には白い綿毛が密生する。 根生葉や下部の葉は、花期の頃には枯れる。 花期は9月〜10月で、茎先に大きな円錐花序を出し、小さな紫褐色の頭花を下向きに多数付ける。 頭花は、直径1〜2mm、長さ3o前後の長楕円状鐘形で、中心部に両性花、周囲に雌花がある。 両性花の花柱の先は切型、雌花の花柱の先は2裂する。オシベの先の付属体は細く尖る。 総苞片は、4列に並び、縁は乾膜質、外片は短い。 春先の若葉は特有の香りがあり、おひたしや汁物、草餅などに使用される。 また、葉の裏側に密生する綿毛を採取したものが「もぐさ」で、灸に使われる。
2020/11/5
実家近くを散歩中、道路脇で見かけたヨモギです。 花の色が紫褐色なので、枯れているように見え、花が咲いているようには見えません。 | ||||||
ナルトサワギク(Senecio madagascariensis)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・キオン属> キク科キオン属に属する多年草で、マダガスカル〜アフリカ南部原産の帰化植物。 日本では、福島、千葉、静岡、滋賀、三重、奈良、大阪、和歌山、兵庫、岡山、香川、 徳島、高知、佐賀、福岡で確認されており、急速に分布を拡大させている。 和名は、1976年に徳島県鳴門市瀬戸町の埋立地で発見され、サワギク似であることに由来。 海外では、オーストラリア東海岸、ハワイ、南アメリカにも侵入している。 草丈は20〜70cmで、茎はよく分枝して直立し、基部が紫色を帯び、無毛である。 葉は互生して、長さ3〜9cmの線状披針形で不規則な鋸歯がある。濃緑色で厚く、表面は無毛。 葉の形状に関しては、羽状に分裂することもあり、変異が大きい。基部は茎を抱く。 花期は通年で、多数の頭花は直径20〜25oの鮮黄色。 舌状花は通常13枚で、筒状花は舌状花と同色で短い冠毛がある。 痩果は長さ1mmほどで、長い白色の冠毛を持ち、風に乗って繁殖し、アレロパシーを持っている。 全草に肝毒性の強いセネシオニンなどのピロリジジンアルカロイドを含んでいる。 そのため、オーストラリアでは家畜がこれを食べて中毒死する事故が多く報告されている。 2006年2月1日に特定外来生物に指定されている。
2020/11/5
実家近くの川沿いを散歩中、道路脇の側溝の上に黄色いキク科の花が咲いていました。 周りに何もない所で、鮮やかな黄色い大きめの花がたくさん咲いているので、かなり目立ちます。 ただ、葉が線状披針形で、よく見かける羽状に切れ込んだ葉とは異なります。 後で調べたのですが、葉と花(総苞)の特徴が合うものが、なかなか見つかりません。 他のキク科の花の写真の端に、よく似たツボミの写真が写っていたのですが、その説明はありません。 海岸縁の写真だったので、"キク科 海岸"で検索すると、やっと見つかりました。 比較的新しく進入してきた帰化植物で、特定外来生物に指定されているそうです。 2021/1/5 通年で花を付けるナルトサワギクですが、寒波の影響か、ほとんどの花はしぼんでいました。 秋には見かけなかった痩果が見られ、その白い冠毛が目を引きました。 | ||||||
ノボロギク(Crassocephalum crepidioides)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・キオン属> キク科キオン属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国的に分布する。 また、世界的には寒冷地から亜熱帯に広く分布する。 草丈は20〜50cmほどで、茎は紫褐色を帯び、茎や葉には白いくも毛がある。 葉は互生し、長さ2〜10pで、不規則に羽状分裂する。葉柄はない。 花期はほぼ通年で、頭花は黄色い筒状花のみからなる。 総苞は長さ6oほどで、総苞片は20個前後。小苞の先に濃紫色の点がある。
2020/11/17
実家近くの川沿いを散歩中、道路脇で初々しいノボロギクを見かけました。 草丈は10cm以下で、根生葉に近い葉の中心から短い茎を伸ばして、多くの花を付けていました。 花と言っても、筒状花のみなので地味ですが、黄色いので目立ちます。 | ||||||
ベニバナボロギク(Crassocephalum crepidioides)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・ベニバナボロギク属> キク科ベニバナボロギク属の1年草で、アフリカが原産地。 第2次世界大戦後に侵入し、現在では本州の関東以西、四国、九州、沖縄で見られる。 草丈は30〜70cmで、茎は直立して、あまり分枝しない。根はあまり発達しない。 葉は互生し、長さ10〜20cmの倒卵状長楕円形で、下部の葉は不規則に羽状に裂ける。 葉質は薄くて柔らかく、両面には伏し毛がまばらに生えてざらつき、縁に細かな鋸歯がまばらにある。 花期は8月〜10月で、花序は先が垂れ、下向きに頭花を付ける。 頭花は、長さ10mmほどの先すぼまりの円筒形で、総苞片が1列に取り巻き、基部に細い苞が多数付く。 全て細い筒状花で、花冠の上部が朱赤色で、下部は白色。 花柱の先は長く突き出し、2裂した花柱の先は、しばらくするとくるりと丸まる。 果実は痩果で、長さは2o前後。先端に12mm前後の白い冠毛が付く。
2020/11/17
実家近くを散歩中、側溝の中で咲いているベニバナボロギクを見つけました。 ただ、最初に見たとき、関東のものとは見かけが異なっていたので、直ぐには分かりませんでした。 花の先端が橙色だったので、もしかしてと花を持ち上げてみて、本種と確認できました。 下記に関東で見たものと、比較写真を掲載いたします。
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ユリオプス・デージー(Euryops pectinatus)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・ユリオプス属> キク科ユリオプス属の常緑低木で、南アフリカが原産地。 樹高は50〜100cmで、茎は葉には白色の毛があり、灰緑色をしている。 シュートは上向きに、密に出る。葉は螺旋状に付き、長さ4〜10cmで羽状深裂する。 花期は11月〜5月で、頭花は直径5cm前後の鮮黄色で、茎先や枝先に疎らに単生、束生する。 舌状花は雌性で12〜14個あり、中心にある筒状花は両性である。 総苞はカップ状で、総苞片は1列のみ。花柄は長く、7〜10cmになる。
2020/11/5
実家の庭の片隅で咲いていたユリオプス・デージーです。 10年以上前に、私が気に入って植えたものなのですが、すっかり名前を忘れていました。 そのため、改めて調べた結果、草本ではなく、常緑低木のユリオプス・デージーと分かりました。 多年草だと思っていたのですが、とんだ勘違いでした。確かに基部は木質化しています。 この季節は花が少なくなるので、春先まで庭先を飾ってくれるのは、ありがたいです。 | ||||||
アキノキリンソウ(Solidago virgaurea var. asiatica)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・アキノキリンソウ属> キク科アキノキリンソウ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。海外では朝鮮半島に分布している。 草丈は30〜80cmで、茎には上向きの曲った毛が生える。 普通、根生葉は花期にはなく、中上部の葉は互生で、長さ9cm程の披針形。 基部は細く、翼のある短い柄がある。葉の縁には毛があり、浅い鋸歯がある。 葉裏がやや白っぽく、はっきりした網目状の脈がある。下部の葉は、鋸歯が大きく、鋭くなる。 花期は8月〜11月で、茎先に穂状花序を出し、多くの黄色い頭花を付ける。 頭花は直径15o前後で、中心に両性の筒状花が10個前後あり、その周囲に舌状花が並ぶ。 1列に並ぶ舌状花は雌性で、2〜9個あり、長さは7o前後、幅の変化が大きい。 総苞は長さ6o程、幅3o程の狭筒形で、総苞片は4〜5列。外側ほど短い。 痩果は長さ3o程の淡褐色で、冠毛は褐色味を帯び、長さは3o程ある。
2021/10/14
砥峰高原のハイキングコースで、遊歩道脇の所々で見られたアキノキリンソウです。 黄色い花なので目立ちますが、数は多くなく、所々で目についた程度です。 | ||||||
セイタカアワダチソウ(Solidago canadensis var. scabra)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・アキノキリンソウ属> キク科アキノキリンソウ属の多年草で、北米原産の帰化植物。 日本では、北海道から四国、九州まで全国に広く分布する。 日本以外でも、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、ニュージーランドなどに帰化している。 草丈は0.5〜2mで、地下茎で横に広がり、そこから茎を真っ直ぐに立ち上げる。茎等には短毛が密生する。 葉は互生し、長さ5〜15pの披針形で、先が尖り、縁には細かい鋸歯がある。 花期は10月〜11月で、茎頂に長さ10〜50pほどの大型の円錐花序を出す。 頭花は、直径5o前後で、黄色い。その頭花を枝の上面側に多数、偏って付ける。 中心の筒状花は4個前後で、それを取り巻く舌状花は雌性で10個前後あり、舌状部は長さ3o程で細い。 一時期、日本各地で群生して繁茂し、害草として問題となった。 本種は、根から化学物質を出して、周囲の植物の成長を阻害する(アレロパシー)。 その化学物質が、年を経ると自身をも抑制することとなり、現在では群生は減って来ている。 ※ 時折、同時期に増えた帰化植物のブタクサと間違われることがあるが、全くの別種。
2020/11/29
実家近くを散歩したとき、ほとんどのセイタカアワダチソウは咲き終わりに近い状態でした。 ところが線路脇に生えていたものは、ツボミのものから綿毛になったものまで揃っていました。 | ||||||
オオアレチノギク(Conyza sumatrensis)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・イズハハコ属> キク科イズハハコ属の越年草で、南アメリカ原産の帰化植物。 日本では、本州から四国、九州に広く分布し、秋に芽生え、ロゼットで越冬する。 アフリカ、日本を含むアジア、オセアニアに移入分布している。 草丈は1〜2mで、開出毛が密に生えた茎は直立し、上部で分枝する。 葉は長さ6〜10cmの線状倒披針形で、両面に毛でがある。 下部の葉には4〜8対の鋸歯があるが、上部の葉は全縁である。 花期は8月〜10月で、茎頂に大きな円錐花序を出し、多数の頭花を付ける。 頭花は徳利型で直径は5〜8mm。多数の舌状花はあるが、総苞内に隠れてはほとんど見えない。 中心にある6〜11個の筒状花は両性花で、周辺部にある舌状花は雌花である。 総苞は長さ4mm前後で、総苞片は3〜4列ある。 痩果は長さ1.5mm前後で、冠毛は長さ4o前後。最初は白色であるが、後に褐色を帯びる。
2020/11/5
実家近くを散歩中、道路脇で見かけたオオアレチノギクです。 最初見たき、基部で数本に分枝して茎を斜上させていたので、アレチノギクかと思いました。 ただ、分枝した先の花序の形が円錐花序で、この形状はオオアレチノギクのものです。 葉はどうかと確認すると、分枝した先の葉は全て全縁で、鋸歯は確認できませんでした。 以上の点から、オオアレチノギクだと判断しました。 なお、想像ですが、茎が途中で折れ、側枝が大きくなったのかもしれません。 | ||||||
サワシロギク(Aster rugulosus Maxim.)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・シオン属> キク亜科シオン属の多年草で、日本固有種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、 日当たりの良い酸性湿地を好む。 草丈は40〜60cmで、地下茎が湿地の中を横に這って広がる。 茎は直立して細く、あまり分枝しない。茎にはまばらに毛がある。 葉は長さ7〜17cmの線状披針形で、やや硬く、ざらつき、縁にまばらに低い鋸歯がある。 花期は8月〜10月で、茎頂に散房状にまばらに、直径2〜3cmの頭花を付ける。 舌状花は7〜12個付き、最初は白色。しだいに淡紅色〜紅紫色に変わる。 総苞は長さ4.5〜5mmで、総苞片は3列、外片は短い。 痩果は長さ2.5mm前後で、熟すと総苞が開出する。冠毛は長さ4mm前後で褐色。
2022/8/9
網引湿原第1湿原横の通路から第3湿原に至るまで、あちらこちらで見かけました。 群生している所はほとんどなくて、ポツリポツリとそこここで花を付けていました。 花色が、時間の経過とともに白から淡紅色に変化するようですが、白以外の花は見かけませんでした。 おそらく、開花してからそう時間が経過していないためでしょう。 2022/10/11 以前見かけたときには、白い花以外見かけなかったのですが、赤く変化していました。 このように赤く変化するのは、ペラペラヨメナと同じですね。 | ||||||
シラヤマギク(Aster scaber)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・シオン属・シラヤマギク節> キク科シオン属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国に分布している。 草丈は1〜1.5mで、茎は高く伸び上がって上部で分枝し、短毛があってざらつく。 根出葉は、葉身は長さ10〜20cmの卵心形で、縁に粗い鋸歯があり、表裏に短毛がある。 長さ10〜15cmの長い葉柄があり、翼がある事が多い。なお、花時には枯れる。 上部の葉は、先が尖った卵形になり、上部になるほど小さく、葉柄も短くなる。 花期は8月〜11月で、茎の先端に粗い散房状に白花を多数付ける。 頭花は直径20mm前後で、舌状花は4〜9個と少なめ。数が一定せず、まばら。 総苞は直径5〜6mmの鐘形で、総苞片は3列が重なり、瓦を葺くように並ぶ。 痩果は長さ3mm前後で、長さ4mm前後の淡褐色を帯びた冠毛が付く。
2021/10/14
砥峰高原のハイキングコースで、遊歩道脇の所々で見られたシラヤマギクです。 所々で見られましたが、咲き終わりに近いものばかりで、まだ、上記の株はましな方です。 2022/8/16 2022/10/11 8/16に第3湿原の通路際で見かけたシラヤマギクで、最初、サワシロギクと間違えていました。 花は似ていますが、舌状花の数が半分ほどしかなく、かなりばらけた印象です。 10/11に第3湿原の通路際で見かけたシラヤマギクで、サワシロギクのように赤くなることはありません。 | ||||||
ヒロハホウキギク(Aster subulatus var. sandwicensis)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・シオン属> キク科シオン属(シムフィヨトリクム属とすることもある)の1年草で、原産地は北アメリカ。 学名のシノニムは、「Symphyotrichum subulatum var. parviflorum」である。 日本では、1960年代に北九州で帰化が確認され、現在は本州中部以西の各地で広く分布する。 草丈は1〜2mで、茎は直立し、枝が横に60〜90°と大きく広がる。 葉は長さ10〜15cmで、縁に5〜10対の鋸歯がある。 花期は8月〜10月で、分枝した茎先に多数の花を付ける。 花は直径7〜9mmの白色〜淡紅紫色で、筒状花は冠毛より長く、舌状花の筒部も冠毛とほぼ同長。 総苞は長さ5mm前後。痩果は淡褐色で、長さは2mm前後あり、冠毛は長さ3〜3.5mm。 ホウキギクと似ているが、葉幅が広く、枝が横に大きく広がる(ホウキギクは枝が斜上してスリム)。 また、花の直径がホウキギ(5〜6mm)より大きい点でも区別できる。
2020/11/5
実家近くを散歩中、生コン工場脇の側溝から突き出たキク科らしい花を見つけました。 茎は紫褐色で、既に枯れているようにも見えたのですが、数輪、ピンクの花が確認できました。 その花の形からキク科だと判断したのですが、下半分が側溝の中で見えません。 白や黄色の花が多い中で、ピンクの花はあまりないと思い、後で調べることとしました。 しかし、ピンクの花では見つからず、白色からピンクに変わったのではと調べ直しました。 その結果、ホウキギクが見つかったのですが、多少様子が異なります。 さらに調べていて、草姿がよく似たヒロハホウキギクが見つかりました。 葉は見えなかったので、草姿と頭花の直径(約8o)からヒロハホウキギクであろうと判断しました。 2021/9/7 川沿いを散歩中、上記の側溝がある場所からかなり上流部で見かけたヒロハホウキギクです。 このヒロハホウキギクは草丈が2m近くあり、舌状花の色が淡紅紫色でした。 上記の側溝近くで8月に見かけたヒロハホウキギクの舌状花は白色で、個体差があります。 2021/9/16 ヒロハホウキギクの花色に関して、以前見たときは白かった花が淡紅紫色になっていました。 そこで時間を変えて観察し、開花時は白花ですが、時間の経過とともに紅紫色を帯びることが分かりました。 ただし、紅紫色の濃さに関しては個体差があるようで、淡いものから濃いものまで様々です。 同じ花ではありませんが、撮影したものをおそらくこうであろうと時系列的に左から右に並べてみました。 なお、開花した花(上段右から3つ)は、筒状花の状態から時系列的にはこの順です。 ただ、舌状花の紅紫色の濃さは逆順であることから、紅紫色の濃さは個体差が大きいと思われます。 下段は、萎れてから綿毛になるまでを並べたものです。綿毛は大きいので、花の半分ほどの倍率です。 2021/11/13 2021/11/12 2021/11/13 久しぶりにヒロハホウキギクのあった側溝の近くを通りかかると、たくさんの花が咲いていました。 8月に見かけたときは、白い花がたくさん咲いていたのですが、今はほとんどが淡紅紫色です。 下段にツボミがほころぶ所までを時系列で並べてみましたが、ツボミから淡紅紫色です。 2021/11/13 白い花は無いかと探したところ、側溝の中の背の低い小さな株が白い花を付けていました。 周りには1m近い大きな株がたくさん咲いていましたが、白花を付けていたのはこの1株のみでした。 | ||||||
コセンダングサ(Bidens pilosa var. pilosa)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒマワリ連・センダイグサ属> 2020/11/22 2020/11/23 2020/11/22 2020/11/22 2020/11/22
キク科センダングサ属の1年草で、南北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、本州の中部以西から四国、九州に分布している。 海外では、世界の暖帯から熱帯にかけて広く分布する。 草丈は30〜180cmで、茎のは4稜があり、短毛が生える。 葉は、下部では対生し、上部では互生する。 中部の葉は長さ12〜19cmあり、3全裂〜羽状に全裂し、頂小葉は細長く尖る。 葉の両面には基部が膨らんだ毛があり、縁にも短毛がある。 花期は9月〜11月で、上部の枝先に黄色い頭花を付け、筒状花のみで舌状花はない。 筒状花の花冠は5裂する。総苞片はへら形で先が尖り、7〜8個が1列に並ぶ。 痩果は平たい線形で、4稜があり、先端に下向きの刺のある冠毛が3〜4個ある。
2020/11/22,23
実家近くを散歩中、あちらこちらでコセンダングサが通路上に出ていて、閉口しました。 乾燥した果実はくっ付き虫であり、歩いているときや撮影中、気を抜くと種子だらけになります。 下段は、花と若い種子、乾燥した種子です。冠毛には戻りが付いていて、取るのは面倒です。 | ||||||
アイノコセンダングサ(Bidens pilosa var. intermedia)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒマワリ連・センダイグサ属> キク科センダングサ属の1年草で、コシロノセンダングサとコセンダングサの雑種とされる。 コセンダングサの変化とする説もあり、コシロノセンダングサまで含めてコセンダングサとすることもある。 日本では、北海道から四国、九州と全土に広く分布する。 草丈は30〜180cmで、茎のは4稜があり、短毛が生える。 葉は、下部では対生し、上部では互生する。 中部の葉は長さ12〜19cmあり、3全裂〜羽状に全裂し、頂小葉は細長く尖る。 葉の両面には基部が膨らんだ毛があり、縁にも短毛がある。 花期は9月〜11月で、上部の枝先に黄色い頭花を付け、筒状花の花冠は5裂する。 なお、筒状花のみのコセンダングサと異なり、外周の筒状花の何個かが大きく白色になる。 総苞片はへら形で先が尖り、7〜8個が1列に並ぶ。 痩果は平たい線形で、4稜があり、先端に下向きの刺のある冠毛が2〜4個ある。
2021/10/2
実家近くの川沿いを散歩中、踏切の脇で白い花弁を付けたセンダングサを見かけました。 コシロノセンダングサかアイノコセンダングサのどちらかであろうと撮影しておきました。 後で写真を確認して、筒状花が白く変化しているように見える点で本種としました。
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オオブタクサ(Ambrosia trifida)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒマワリ連・センダイグサ属> <雄花> <雌花> キク科センダングサ属の1年草で、南北アメリカ原産の帰化植物。 日本では、本州の中部以西から四国、九州に分布している。 海外では、世界の暖帯から熱帯にかけて広く分布する。 草丈は30〜180cmで、茎のは4稜があり、短毛が生える。 葉は、下部では対生し、上部では互生する。 中部の葉は長さ12〜19cmあり、3全裂〜羽状に全裂し、頂小葉は細長く尖る。 葉の両面には基部が膨らんだ毛があり、縁にも短毛がある。 花期は9月〜11月で、上部の枝先に黄色い頭花を付け、筒状花のみで舌状花はない。 筒状花の花冠は5裂する。総苞片はへら形で先が尖り、7〜8個が1列に並ぶ。 痩果は平たい線形で、4稜があり、先端に下向きの刺のある冠毛が3〜4個ある。
2021/9/18
実家近くの川沿いを散歩中、土手の法面で嫌われ者のオオブタクサを見つけました。 多摩川の河川敷では2mを越えるオオブタクサが群生して、壁のようになっていました。 しかし、ここで見られたのはこの1株で、1mにも満たない小さな株です。 花粉がアレルゲンで、秋の花粉症の元凶の1つ。これ以上増えないことを願っています。 | ||||||
キクイモ(Helianthus tuberosus)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒマワリ連・ヒマワリ属> キク科ヒマワリ属の多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。 現在では、南アメリカやヨーロッパ、オセアニア、アジアと広範囲に帰化し、分布している。 草丈は1.5〜3mと大柄で、茎は直立してざらつき、粗毛を密生する。 葉は上部が互生、下部は対生し、葉柄は長さ2〜8pで、しばしば翼状になる。 葉身は長さ20p前後になり、披針形から卵形で、基部付近から3脈がある。 葉表は微軟毛があり、ざらつく。葉裏には毛が密生する。葉の基部は楔形で、全縁か鋸歯がある。 花期は9月〜10月で、枝先に直径7cm前後の黄色い頭花を1つ付ける。 中心部に多数の筒状花があり、その周囲に1列に舌状花を付ける。 キクイモの名前の通り、根茎があり、成長すると塊茎をつくる。塊茎は瘤状で、大きいもの10p程になる。 芋といってもでんぷん質はほとんどなく、多糖類のイヌリンが主成分。 料理としては、牛乳煮、バター焼き、スープ、煮物などに使え、消化によってキクイモオリゴ糖になる。
2021/10/2
実家近くの川沿いを散歩中、土手の法面でキクイモが花を付けているのに気が付きました。 多摩川の河川敷では2mを越えるキクイモが所々で群生していましたが、ここではこれ1株です。 このまま放置しておくと、どんどん増えてくると思います。 | ||||||
サワヒヨドリ(Eupatorium lindleyanum var. lindleyanum)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒヨドリバナ連・ヒヨドリバナ属> キク科ヒヨドリバナ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、ミャンマー、フィリピンに分布する。 草丈は40〜80cmになり、葉は長さ6〜12cmで、無柄で対生し、鋸歯がある。 育ちの良い個体では、3深裂、3全裂し、6個が輪生しているように見えるものもある。 良く似たヒヨドリバナとは、一回り小さく、葉が細く、葉柄がない点で区別できる。 上部に散房状に多数の頭花を付ける。頭花は、5個の両性の筒状花からなるものが多い。 筒状花は、花冠の先が浅く5裂し、メシベの花柱は花冠から飛び出して、先端は2裂する。 花冠の花色は、淡い紅紫色を帯びたものが多いが、色の濃いものから白色のものまで変異が大きい。 よく似た花が幾つかあるが、葉の特徴から識別することができる。
2022/8/9
網引湿原第2〜第3湿原では、所々でサワヒヨドリが花を咲かせ始めていました。 花の色は、淡紅紫色のものから純白のものまであり、それらがバラバラに散らばっています。 2022/10/11 前回よりは咲き進んでいて、ちょうど花の盛りといった所です。 葉の写真が今一つ分かりにくかったので、撮り直しました。3脈が良く分かると思います。 | ||||||
ヒヨドリバナ(Eupatorium makinoi)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒヨドリバナ連・ヒヨドリバナ属> キク科ヒヨドリバナ属の多年草で、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。 草丈は1mを超え、葉には短い葉柄があり対生する。葉は長楕円形で先が尖り、鋸歯がある。 良く似たサワヒヨドリより一回り大きく、葉幅があって、葉柄がある点で区別できる。 なお、葉の脈が黄色くなり、斑紋のように見えるものはジェミニウィルスに感染したものである。 花期は8月〜10月で、上部に散房状に多数の頭花を付ける。頭花は、両性の筒状花が5個のものが多い。 筒状花は、花冠の先が浅く5裂し、メシベの花柱は花冠から飛び出して、先端は2裂する。 花冠の花色は、白色のものが多いが、淡紅紫色を帯びるものもある。 和名は、ヒヨドリが鳴く頃に花を咲かせることに由来するとのこと。 よく似た花が幾つかあるが、葉の特徴から識別することができる。
2022/8/16
網引湿原の駐車場から少し最初の獣害防止ゲートの方に進んだ所で見かけたヒヨドリバナです。 ヒヨドリバナの葉には、葉柄があることで確認できます。 2022/10/11 前回よりは咲き進んでいて、ちょうど花の盛りといった所です。 葉の写真が今一つ分かりにくかったので、撮り直しました。 サワヒヨドリの葉との違いが良く分かると思います。 | ||||||
アキノノゲシ(Lactuca indica)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・アキノノゲシ属> 2020/11/21 2020/11/23
キク科アキノノゲシ属の一年草で、東南アジア原産の史前帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東南アジアに広く分布する。 草丈は60p以上になり、大きなものは2mに達する。茎は分枝せず、直立する。 葉は互生し、下部の葉は長さ数十pで羽状深裂するが、上部では小さな全縁の葉となる。 花期は8〜11月で、茎の上部に円錐花序を付け、直径2cm前後の淡黄色の頭花を多数付ける。 頭花は稀に白色や淡紫色のものもあり、舌状花のみで筒状花はない。昼間開いて夕方にはしぼむ。 総苞は長さ1cm程で、総苞片は覆瓦(ふくが)状に重なり、暗紫色(が多い)の縁取りがある。 痩果は扁平で、長さ4oほどの長楕円形で、短い嘴状の突起があり、白色の冠毛がある。
2020/11/21,23
実家近くの川沿いを散歩中、道路脇でほぼ咲き終わったアキノノゲシを見かけました。 若干ツボミも残っているようですが、ほとんどは総苞の下部が膨らんだ花後のものでした。 周囲を探しましたが、この2株のみで、他には見当たりませんでした。 後日、散歩中に対岸の土手近くの草むらで、多くのアキノノゲシが咲いているのに気が付きました。 ここにはセイヨウタンポポなど、いろいろな花があり、日照の関係か、他より成長が遅いようです。 2021/9/19 実家近くの川沿いを散歩中、大きく育ったアキノノゲシが花を咲かせ始めていました。 花序は背丈ほどの高さになり、そこに3輪だけ開花していました。 その花に止まっていたのは、ホソヒメヒラタアブで体長は6〜7mmです。 2023/10/31 県道43号線沿いのコスモス畑に立ち寄った際、道路際に沿ってアキノノゲシが群生していました。 多くの花が傷みもせずにきれいに咲いていたので、思わず撮ってしまいました。 | ||||||
オニタビラコ(Youngia japonica)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・オニタビラコ属> キク科・オニタビラコ属の越年草で、日本では全国に広がっており、道端などでよく見かける。 日本をはじめ、中国からインド、ミクロネシア、オーストラリアまで広く分布する。 草丈は10〜100cmで、花茎は太く、直立して暗紫色を帯びる。 根生葉は長さ10〜20cmの倒披針形で、羽状に裂け、ロゼット状に広がる。 根生葉の葉先は尖るが、茎葉の葉先はより鋭く尖る。 花期は4月〜10月で、茎頂に複散房花序を付け、黄色い頭花を多数付ける。 花の直径は7〜8oで、20個前後の舌状花からなる。舌状花の先は5残裂する。 総苞は長さ5oほどの円筒形で、内片は1列に並び、外片は1mm以下で短い。 痩果は長さ2mmほどで、長さ3mm前後の白色の冠毛がある。 最近、オニタビラコは、アカオニタビラコとアオオニタビラコの2種があるとの説がある。 アカオニタビラコは、太い花茎が1本のみで、暗紫色を帯びるとされる。 アオオニタビラコは、花茎が多数立ち上がり、緑色で紫色を帯びることは少ないとされる。
2020/11/16,17
実家近くを散歩中、日当たりの良くない側溝の中に咲いていたオニタビラコです。 花茎はあまり太くはなく、緑色のものと暗紫色を帯びたものが混在しています。 なお、複数の花茎が立ち上がっているようにも見えますが、1株に1本の花茎しか見られません。 これらの点から、アカオニタビラコの方に軍配を上げましたが、いかがでしょう。 | ||||||
スイラン(Hololeion krameri)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・スイラン属> キク科スイラン属の多年草で、日本固有種。 日本では、本州の長野県以西から四国、九州に分布する。 湿地に生える多年草で、地下に白い匍匐茎を長く伸ばして増える。 草丈は50〜100cmで、茎は細く、よく分枝し、赤味を帯びることが多い。 地下茎の先から数枚の長さ15〜50cmの根出葉を出す。 葉身は線状披針形で、縁には不明瞭な鋸歯が疎らに付き、先は尖る。 葉には厚みがあって柔らかく無毛で、裏面は粉白色を帯びる。 上部の茎葉は線形で小さい。なお、花期の終盤には葉が枯れ、花だけになることも多い。 花期は9月〜10月で、分枝した花茎の先に直径30〜35mmの黄色い頭花を付ける。 総苞は細長い円筒形で、総苞外片は披針形で鋭頭。 花は17〜29個の舌状花だけで、筒状花はなく、花弁の先端は浅く5裂する。 花弁の筒状に合着した基部から、1個のオシベとメシベが一体となった花柱が立ち上がる。 花柱の先はメシベで、その下を5個の葯が合着した集葯オシベが取り巻き、下部には花糸がある。 痩果は長さ7.5〜9mmで、淡褐色の冠毛の長さは6mm前後である。
2022/10/11
網引湿原第2湿原の入口近くで見かけた、ハナニガナのような花です。 舌状花が多くて、花も一回り大きく、葉の形もかなり異なります。 後で調べていて、スイランの花と分かりました。 キク科らしくない和名ですが、これはシュンランのような葉をした湿地植物というのが由来。 | ||||||
セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・タンポポ属> 2020/11/23 2020/11/23 2020/11/23 2020/11/29 2020/11/23
キク科・タンポポ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本以外にも北アメリカ、南アメリカ、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、インドに移入している。 環境省指定要注意外来生物で、侵略的外来種ワースト100に入っている要注意植物である。 日本では、北海道から九州まで、全国に広がっている。 従来、日本の在来種との区別点は、外側の総苞が反る点とされていた。 しかし、近年、在来種との雑種が確認され、在来種の特徴を持つものも報告されている。 そのため、外側の総苞が反る点だけでは区別できず、その識別は困難になっている。 日本でいうセイヨウタンポポには複数の種が含まれている可能性が高く、外来タンポポ群として扱われることが多い。
2020/11/23,29
実家近くの川沿いを散歩中、土手近くの草むらで、多くのセイヨウタンポポが咲いていました。 ここにはアキノノゲシなど、いろいろな花があり、ベニシジミやモンキチョウなどが見られました。 この場所は建築中のビルの塀で、日照が悪いためか、他より成長が遅いようです。 | ||||||
ノゲシ(Sonchus oleraceus)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・ノゲシ属> キク科ノゲシ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。 日本では、全国的に道端や畑などに自生する。また、世界各地にも広く分布する。 草丈は50〜150pになり、茎は中空で、多数の稜がある。 葉は柔らかく、刺はあまり硬くない。羽状に切れ込み不規則な鋸歯がある。 上部の葉の基部は、両側が尖って角状に突き出し茎を抱く。下部の葉では付き出ないことが多い。 花期は4月〜10月で、頭花は黄色で直径2cmほどあり、多数の舌状花のみからなる(筒状花は無い)。 総苞は長さ10o強で、花柄と総苞にはしばしば腺毛があり、粘る。 花のあと総苞の下部はふくれ、痩果が熟すとそり返る。
2020/11/17
実家近くを散歩中、側溝脇でノゲシが花を付けていました。 春に咲き始めるので、春の花と思っている方もいると思いますが、秋まで咲き続けます。 温暖化の影響か、多摩川の河川敷では真冬の12月や2月にも咲いていました。 | ||||||
タマスダレ(Zephyranthes candida)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・アマリリス連・タマスダレ亜連・タマスダレ属> ヒガンバナ科タマスダレ属の多年草で、ペルー原産の帰化植物。 温暖な地域で生育する球根草で、レインリリーの別名を持つ。 日本では、園芸植物として公園などでよく見かけるが、一部で野生化している。 草丈は15〜30cmで、鱗茎は直径20〜25o。 葉は光沢のある濃緑色で、長さ20〜30cmで肉質。 花期は7月〜9月で、花茎の先に単生し、直立する。 仏炎苞は赤褐色で、長さ2〜4cm。その中から白い花が開花する。 花被は白色で、長さ3〜5cmの花被片6個は、ほぼ分離している。 花被の筒部は緑色で、ロート状に広がり、花被の長さの1/4程度である。 オシベは6個あり、花糸は長さ10〜14mmの糸状で、果皮の長さの半分程度である。 葯は長さ5〜8o。メシベの花柱は細く、花被の筒部より長い。柱頭は3裂する。
2021/9/19
実家近くの川沿いを散歩中、ヒガンバナの赤い花とともに良く目立つのがタマスダレです。 元々は園芸品種だったものが、逸出して野生化し、あちらこちらで見られるようになりました。 この辺りでも、道路脇や土手の法面などで白い花を固まって咲かせているのがよく見られます。 | ||||||
ヒガンバナ(Lycoris radiata)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・ヒガンバナ連・ヒガンバナ属> ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、原産地が中国の古い時代の帰化種。 日本では、北海道から四国、九州と全国に広く分布している。 日本以外では、朝鮮半島から中国南部に広く自生している。 ヒガンバナは、遺伝的に同一であり、三倍体のため、種子で増えることはない。 そのため、中国から帰化した1つの球根から、全国に広がったものと思われる。 鱗茎は直径1〜3cmの類球形で、草丈は30〜50cmになる。 葉は花後の10月頃に出て、翌春に枯れる。長さ30〜60cmの線形で、新緑色で光沢がある。 花期は8月〜9月で、長さ30〜50cmの花茎のみを立ち上げ、散形花序に花を4〜7個付ける。 6個の花被片は鮮紅色で、長さ4cm前後の狭披針形。強く反り返り、縁が強く波打つ。 2個の総苞は、披針形で長さ3cm前後。オシベは6個とメシベ1個は、花被片より長く突き出す。
2021/9/17
気が付けば、実家近くでもあちらこちらでヒガンバナが花茎を立ち上げ、咲き始めていました。 ツボミのものも見られるので、咲き始めて数日ほどだと思われます。 2021/9/19 実家近くの川沿いを散歩中、土手の法面の所々でヒガンバナが咲いているのが見えました。 遠くからでもよく見えるので、土手に点々と見える花は、真っ赤な染みのように見えます。 | ||||||
シロバナヒガンバナ(Lycoris albiflora)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・ヒガンバナ連・ヒガンバナ属> 2021/9/16 2021/9/17 2021/9/17
ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、北海道から四国、九州と全国に広く分布。
ヒガンバナとショウキズイセンの種間交雑種といわれている。 鱗茎は直径1〜3cmの類球形で、草丈は30〜50cmになる。 葉は花後の10月頃に出て、翌春に枯れる。長さ30〜60cmの線形で、新緑色で光沢がある。 花期は8月〜9月で、長さ30〜50cmの花茎のみを立ち上げ、散形花序に花を4〜7個付ける。 6個の花被片は長さ4cm前後の狭披針形で、強く反り返り、縁が強く波打つ。 花色は、純白に近いものから淡いピンク、クリーム色などいろいろな色合いのものがある。 2個の総苞は、披針形で長さ3cm前後。オシベは6個とメシベ1個は、花被片より長く突き出す。
9/16 実家近くの川沿いを散歩中、アレチウリが群生している所でシロバナヒガンバナを見つけました。
この個体は純白ではなくて、若干赤味が残っており、淡いピンクのような色合いです。 9/17 翌日、同じ場所に行ったので見てみると、昨日とは逆で、ツボミが1個で、後は開花していました。 周囲を注意深く見てみると、シロバナヒガンバナがあちらこちらで花茎を立ち上げていました。 この周囲には赤いヒガンバナは見られず、シロバナヒガンバナばかりです。 しかし、色合いは個体差があるようで、下段のように純白に近い個体も見られました。 2024/3/13 昨年の秋、津波対策の一環で河川の護岸工事が行われていました。 その関係で、河川沿いのシロバナヒガンバナが全滅しそうだったので、数株だけ避難させました。 その花が終わった後、晩秋から葉を出し始めて冬を越し、まだ、葉が残っています。 さて、護岸工事ですが、一部が工事部分から外れたので、全滅するのは回避できたようです。
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ネリネ(Nerine)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・ストルマリア亜連・ネリネ属> ネリネは南アフリカ原産のヒガンバナ科ネリネ属の多年草で、多くの栽培品種がある。 主には、ネリネ・ボーデニー(Nerine bowdenii)、ネリネ・サルニエンシス(Nerine sarniensis)、 ネリネ・ウンデュラータ(Nerine undulata)の3種が市販されている。 特にネリネ・サルニエンシスは、光が花弁に当たるとキラキラと輝き、ダイヤモンドリリーと呼ばれる。 ヒガンバナとは属が異なるが、ヒガンバナに花も生態も似ている。 秋に開花し、開花と同時に葉も出す所が異なるが、初夏に葉が枯れる所は似ている。 草丈は30〜40cmで、球根は直径3〜5cmである。 冬の終わりから春にかけて紐状の長さ20cm前後、ふとさ1cm前後の葉が2枚出てくる。 葉は晩春には枯れ、夏には球根は休眠状態となる。 10月〜12月に長さ30cm前後の花茎を伸ばし、先に2〜12輪の漏斗状の花を付ける。 花被は直立あるいは曲がり、狭倒披針形の花被片は等長で、細かく縮れる。 オシベは5個で、花被の基部に付き、花冠より突き出す。 花糸は糸状で基部は太くなり、葯は長円形。子房は球形。
2020/11/24
実家の庭で、咲いていたネリネです。以前からあるのは知っていましたが、花は初めて見ました。 品種に関してですが、鉢植えで置きっぱなしでも大丈夫なようなので、ネリネ・ボーデニーと思われます。 | ||||||
ヤマラッキョウ(Allium thunbergii)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ネギ亜科・ネギ連・ネギ属> ヒガンバナ科ネギ属の多年草で、在来種。 日本では、本州の秋田県以南から四国、九州の山地の草原に自生する。 世界では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。 地下の鱗茎は、長さ2〜3cmの狭卵形で、外皮は灰白色である。 春に根本から葉が3〜5個出て、長さ20〜50cmになる。 葉幅は2〜5mmで円柱状、断面は鈍三角形で中空。下部は葉鞘となる。 花期は9月〜11月で、長さ30〜60cmの花茎の先に直径3〜4cmの散形花序を付ける。 花柄は長さ10〜15mmと短めで、花序は比較的密に見える。 6個の花被片は長さ5〜6mmで離生し、紅紫色で先は丸く、平開しない。 6個のオシベは花被片から長く突き出て、橙色の葯が付く。 花糸の基部には極短い歯牙がある。メシベは1個で、基部に蜜腺が3個ある。 刮ハは3室があり、熟すと上部が3裂する。 見た目はラッキョウとよく似ているが、葉の断面が五角形で、葯の色が赤い。 また、花糸の基部にある歯牙は、ラッキョウは長くて目立つが、本種は短くて目立たない。
2022/10/11
網引湿原第2湿原の木道脇で、花茎を2個立ち上げて、花を咲かせていました。 淡赤紫色の花なので、湿原の中ではかなり目を引きます。 | ||||||
アカメガシワ(Mallotus japonicus)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・エノキグサ亜科・エノキグサ連・アカメガシワ属> トウダイグサ科アカメガシワ属の落葉高木で、在来種。雌雄異株。 日本では、本州から四国、九州の山野に自生し、空き地などに真っ先に生えてくるパイオニア植物。 日本以外では、東南アジアの山野に分布する。 和名は、新芽が紅色を帯びること、そして、その葉が柏のように大きくなることに由来する。 葉は互生し、葉柄は紅色を帯び、長さは10〜20cm、葉身も同様、葉幅は5〜15cm程でかなり大きい。 初夏に枝先に円錐花序を出し、花弁のない小さな花を多数付ける。 雄花は、苞の脇に数個ずつ付き、多数のオシベが球状に付く。 雌花は、苞の脇に1個ずつ付き、子房には刺状の突起がある。
2020/11/17
実家近くの川岸を散歩中、夏に見かけたアカメガシワの黄葉が始まっていました。 およそ半数ほどの葉が黄色く色付き、緑色の葉と混在していて秋の深まりを感じさせてくれました。 2021/9/6 2021/9/13 8月の下旬には、多くの花序が種子を落としてしまっていた中で、晩生の花序が残っていました。 その花序も、9/13には果実が弾け始め、開いた果皮に黒い種子が3個づつ、付いていました。 2021/9/13 前述の花序の一部を拡大したものですが、左の写真は弾ける前で、右の写真が弾けた後です。 歌碑が3裂すると、割れた所に黒い種子が付いていて、果皮が開くとともに、種子も起き上がってきます。 種子は、中央の支柱の先に着いており、ここを支点にして起き上がり、外れて落果するようです。 2021/9/13 上記のアカメガシワから少し離れた所にある柱頭が淡黄緑色の樹で、また、雌花が咲いていました。 初夏に咲いていた花序は既に枯れていて、初夏に花序の出なかった枝先に咲いていました。 狂い咲きなのでしょうか。咲いている雄花が無ければ結実することはないでしょうね。 | ||||||
エノキグサ(Acalypha australis)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・エノキグサ亜科・エノキグサ連・エノキグサ属> 2021/9/13 2021/10/2
トウダイグサ科エノキグサ属の一年草。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる1年草。 海外では、東南アジアから東アジアにかけて分布する。 草丈は50cm程までになり、葉は互生する。 上部に穂状の雄花が付き、その基部に総苞に包まれた雌花が付いている。 雄花は8個のオシベが膜質の花被に包まれ、開花すると花被は4裂する。 雌花の花被は3深裂し、花柱は3個で先が細かく糸状に裂ける。 子房は球形で、表面には小さい突起と軟毛が密生し、果期にも残る。
2021/10/2
実家近くの川沿いを河口に向かっていた時に見かけたエノキグサ、既に花期は過ぎていました。 秋口に見られた赤紫色の穂状の雄花は枯れてなくなり、その基部に大きくなった子房がありました。 | ||||||
ニシキソウ(Chamaesyce humifusa)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・トウダイグサ連・トウダイグサ属・ニシキソウ亜属>
トウダイグサ科ニシキソウ亜属の一年草で、在来種。 日本では、北海道から四国、九州、南西諸島に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、台湾からアジア東部に分布する。 草丈は10〜25pで、茎はよく分枝して地面を這い、切ると白い液汁が出る。 茎は赤くて長毛がまばらに開出する。毛はコニシキソウより少なく、無毛のものもある。 葉は対生し、長さが5〜10oの非対称な長楕円形で、縁には不揃いで浅い鋸歯がある。 葉の表面は緑色で、裏面は白緑色。葉表にコニシキソウのような斑紋はないか、極淡い。 花期は7月〜10月で、枝先や葉腋に淡赤紫色の杯状花序を付ける。 苞葉が変化した杯に4個の赤紫色の腺体が付き、その周囲に4個の淡赤紫色の付属体が花弁のように付く。 杯状花序の雄花、雌花は退化して、それぞれオシベ、メシベになっており、メシベ1個に多数のオシベがある。 花は白い花柱(3裂して先は更に2裂)の見える雌性期に始まり、結実期を経て、雄性期になる。 果実は直径2o弱の刮ハで、表面は無毛(稀に多少の毛は生える)でしわもなく、種子が3個入る。
2020/11/5
実家近くの道路脇で見かけたニシキソウです。この辺りには比較的多いです。 果実の全面に毛や皴がなく、ツルっとした果実が特徴です。 葉の中ほどに黒紫色の斑紋が見られることがありますが、コニシキソウほど明瞭ではありません。 2021/9/7 実家近くの川沿いを散歩中、花をたくさん付けたニシキソウを見かけました。 昨年、ニシキソウを見たのが晩秋だったので、紅葉したように赤くなっていました。 今回は初秋ですので、葉や茎などは本来の色をしているものと思います。 2021/9/13 ニシキソウの淡赤紫色の杯状花序を異なる方向から撮影したものです。 "A"の矢印の先にあるのは未受粉の雌花で、雌花が腺体の隙間から突き出て、6個の花柱が広がっています。 "B"の矢印の先にあるのは受粉した雌花で、花柱が閉じて、成長した子房は、倒れてカップの横に出ます。 その後、雄性期に入り、雄花が突き出して白い花びら状の部分と腺体が大きくなります。 雄花は、送粉を行って、しだいに脱落していきます。 | ||||||
コニシキソウ(Chamaesyce maculata)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・トウダイグサ連・トウダイグサ属・ニシキソウ亜属>
トウダイグサ科トウダイグサ属ニシキソウ亜属の一年草で、北アメリカ原産の帰化植物。 日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる。 海外でも、東アジアやニュージーランドに帰化している。 草丈は2〜10cmで、地を這って広がるが、立ち上がることもある。 茎や葉など全体に白い軟毛が多く、全体が白っぽく見える。 葉は対生し、長さ6〜20oほどの楕円形で、左右非対称。 葉の中央に黒紫色の斑紋があることが多い。縁には低い鋸歯があり、葉裏には白毛が密生する。 花期は6月〜9月で、花序は単生あるいは群生し、各々の花序は杯状花序である。 苞葉が変化した杯に4個の黄褐色の腺体が付き、淡紅色の付属体4個が花弁のように付く。 退化により雄花はオシベのみに、雌花はメシベのみになっている。 雌花1個に雄花が4〜5個付き、3個の花柱の先は2裂する。 雌性先熟で、雌性期にはメシベが伸び出し、受粉結実後、果実が倒れこみ、雄性期に移行する。 雄性期に入ると、オシベを伸ばして花粉を出すすとともに、腺体が成長し表面に蜜を出す。
2020/11/5
実家近くの道路脇で見かけたコニシキソウです。この辺りには多いです。 葉の中ほどに見られる黒紫色の斑紋や果実の全面に伏毛が生えていることが特徴です。 | ||||||
ハイニシキソウ(Chamaesyce prostrata)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・トウダイグサ連・トウダイグサ属・ニシキソウ亜属>
2020/11/9 2020/11/5
トウダイグサ科トウダイグサ属ニシキソウ亜属の一年草で、南北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、本州の関東以西、九州、琉球列島、小笠原に分布が確認されている。 茎は地を這って広がり、長さは10〜20cmになって、茎は赤色を帯びることも緑色のこともある。 茎には伏毛が生えるが、茎の裏側には毛はない。 葉は対生し、長さ4〜8oの楕円形で、先は丸くなり、基部は左右非対称に狭まる。 葉の表面は青味のある緑色で、裏面は白緑色。極短い1mmに満たない葉柄がある。 花期は6月〜10月で、花序は単生あるいは群生し、各々の花序は杯状花序である。 杯状花序の腺体は赤色、付属体は淡紅色、小さく縁取りのようで目立たない。 果実は長さ1.5mmの3綾形であり、稜付近だけに白毛が生える。 種子は長さ1o弱の4稜形で、不規則な横しわがある。
2020/11/5,9
実家近くの道路脇で見かけたハイニシキソウです。 見た目はコニシキソウに近い印象だったのですが、杯状花序の付き方が異なる気がしました。 後で写真を拡大したところ、果実の表面に毛がなく、稜に長い毛が生えていました。 その毛はまっ直ぐに伸びていて、曲がりは見られなかったのでハイニシキソウと判断しました。 2020/11/29 実家近くを散歩中、ちょうど良い高さでハイニシキソウが枝を伸ばしていました。 前回は上からしか撮ることができなかったのですが、ここなら横から撮影できます。 ということで、果実に生える稜にそった毛の様子が、横からだと良く分かると思います。 | ||||||
ナンキンハゼ(Triadica sebifera)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・ヒッポマネ連・ヒッポマネ亜連・ナンキンハゼ属>
トウダイグサ科ナンキンハゼ属の落葉高木で、原産地は中国、台湾。雌雄同株。 日本では、紅葉がきれいなことから街路樹や公園樹として利用されているが、逸出して野生化している。 樹高は5〜15mになり、幹は灰褐色で、不規則に縦に裂ける。 葉は互生し、長さ3.5〜8cmの下膨れの卵形で、先は尖り、基部は楔型。 縁は全縁で、葉表の基部に腺が2個ある。葉柄は長さ2〜8cm。 花期は6月〜7月で、長さ6〜18cmの総状花序に小さな黄花を多数付ける。 花序の先には雄花が多数付き、雌花は基部に少数付き、雌花のない花序も多い。 雌花も雄花も花弁はなく、雌雄異熟で、雄性先熟の木と雌性先熟の木がある。 雄花は苞ごとに数個集まって付き、オシベは2〜3個、萼は3浅裂して受け皿のようになる。 雌花は苞ごとに1個付き、雄花より長くて、子房は3o前後、花柱は3個ある。 果実は直径15mm前後の扁球形で、3稜があり、熟すと褐色〜黒色になる。 熟すと裂開して、白い仮種皮に包まれた3個の種子が見えるようになる。 紅葉の頃になると果皮が落ちて、白い種子のみが枝に残って、目を引くようになる。
2020/11/16
実家近くの川沿いを散歩中、神社の境内で、黄葉したイチョウの後で、紅葉した高木が目にとまりました。 その反対側にも、多少樹高が低い、同じ紅葉した樹が見られます。 何の樹かと思っていると、土手の法面にも小さな同じ樹がありました。 葉の形からカツラに似ていると思いましたが、カツラは黄葉する木です。 紅葉する樹で探したのですが、直ぐには分かりませんでした。枝先の白い果実も気になります。 2020/11/17 2020/11/29 2020/11/17 2020/11/17 2020/11/17 2020/11/21 2020/11/17 2020/11/17 2020/11/21 2020/11/17 改めて調べ直し、白いのは果実ではなく、ナンキンハゼの種子であることが分かりました。 この白い種子はどこかで見たことがある気がしたのですが、どこかの公園で見たものと思われます。 熟すと果皮が裂開し、その果皮が落ちて種子だけが残るようになるそうです。 上段の左側は、葉が紅葉し始めた頃で、右は落葉して白い種子だけになった姿です。 1回目の寒波が来た時、葉の半分くらいが落葉し、2回目の寒波で葉はほぼなくなりました。 3段目は、紅葉の度合いを示したもので、日蔭の葉は全く紅葉が見られませんでした。 中央は紅葉が進んでいる途中で、最初に黄色く色付き、その後、徐々に赤くなてきます。 右は、紅葉した葉を透過光で撮影したもので、その赤さが際立っています。 下段も同様ですが、右端の暗紫色の葉を透過光で見ると赤く見え、中央の葉はオレンジ色に見えます。 2020/11/16 2021/1/5 秋に見かけたナンキンハゼですが、落葉した後はこのような状態です。 同じ倍率では、白い種子がほとんど見えませんので、倍程度に拡大しています。 この写真を撮った後、キジバトが木に止まって、白い種子を盛んに食べていました。 2021/5/23 ナンキンハゼが新葉の展開を始めていました。淡い色が初々しいですね。 2021/6/5 実家近くの川沿いを散歩中、ふと見るとナンキンハゼの新芽の先に花序が出ていました。 そういえば、ナンキンハゼの花期は6月からなので、花序が出ていても不思議ではないんですよね。 ワクチン接種などでドタバタしていましたが、自然は刻一刻と進んでいるのだと、改めて思ったしだいです。 2021/6/12 雄性先熟の花序では大量の雄花が開花し、雌花は無いか、あっても未熟で良く分からない状態です。 2021/6/29 雌性先熟の花序で、基部の雌花が開花し、穂状の雄花はツボミの状態です。 2021/9/13 初夏にはたくさんの雄花や雌花を付けていたナンキンハゼが、たくさんの果実を付けています。 これから晩秋に向けて紅葉と共に茶色く熟し、裂開して白い種子がむき出しになるでしょう。 2021/11/12 ちょっと時間が経ち過ぎて、裂開していない果実が残っているか気にしながら行ってみました。 案の定、遠目にも白い種子がたくさん付いているのが分かるような状態でした。 近くで見ても果実は残っておらず、白い種子がむき出しになったものばかりです。 他の樹はどうかと、少し離れた所にある樹に行ってみると、若干ですが果実が残っていました。 数えるほどしか残っていませんが、茶色く熟し始めたものなどを撮影できました。 左端のように緑色から黄色く熟し始め、熟すと中央のように暗褐色になって裂開します。 裂開し終わると乾燥して暗褐色になり、そして落下して、白い種子のみになります。 2021/11/15 アップの写真ばかりで、最初に見た樹の様子が分かる写真がなかったので、後日撮ってきました。 上記の通り、紅葉した葉と白い種子のコントラストが印象的で、紅葉を楽しむには良い状態でした。 | ||||||
アケビ(Akebia quinata)
<キンポウゲ目・アケビ科・アケビ属> アケビ科アケビ属の蔓性落葉低木で、茎は蔓になって他物に右巻きで巻き付き、古くなると木質化する。 日本では、本州から四国、九州の山野に自生している。 葉は互生し、楕円形の小葉5個が掌状に付く複葉で、小葉は先端がくぼみ、基部はくさび形、縁は全縁。 花期は4月〜5月で、花は雌雄同株ではあるが、雌雄異花で、花序の先に数個の雄花、基部に雌花が数個付く。 花は淡紫色で花弁がなく、花弁のような萼片が3個あり、雌花は雄花より一回り大きく、直径は30mmほど。 雄花では、6個のオシベの先端がくっついて丸くなっているが、雌花では、太いメシベが放射状に開いている。
2020/11/17
実家近くの土手の法面でノジギクの撮影をしていて、アケビの蔓が伸びているのに気が付きました。 よく見ると、結構あちらこちらに蔓の伸ばして絡み付いていましたが、果実は見当たりませんでした。 ちょっと場違いな所ですが、上流の山から種が運ばれてきたのでしょうか。
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クレマチス(Clematis)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・センニンソウ属> キンポウゲ科センニンソウ属の多年草で、花が大きく観賞価値の高い品種の総称。 クレマチスの原種は約300種類存在するされ、日本を含め北半球に広く分布している。 花には花弁はなく、花弁のように見えるのは萼で、原種は花も小さく、花色も限定される。 果実は先端に鞭状の突起があり、その表面に多数の綿毛が付く。 葉は3出複葉か2回3出複葉で、つる性のものでは葉柄が他のものに絡んで茎が固定される。 日本産の原種としては、ボタンヅル、センニンソウ、ハンショウヅル、カザグルマ等がある。 それらの中でもカザグルマのように大柄で平開する花が観賞用として、喜ばれる。 現在、人工交配などによって2000種を超える品種が作出されている。 花期は4月〜10月と長く、12月〜2月に咲く冬咲きの品種もある。 花の形には、一重咲き、八重咲き、万重咲き、チューリップ咲き、釣鐘型などがある。
2021/9/13
実家近くの川沿いを散歩中、道路脇の垣根にクレマチスの果実が見られました。 クレマチスの花を撮影されたものはよく見かけますが、果実の写真はあまり見ません。 クレマチスの果実の先には鞭状の突起があり、その表面に多数の綿毛が付いています。 それが熟して乾燥してくると、この写真のような妖怪ケサランパサラン風の綿毛になります。 暗い夜道で、これが風にあおられてユラユラと揺れていたら、妖怪に見えるかもしれませんね。
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アオツヅラフジ(Cocculus orbiculatus/Cocculus trilobus)
<キンポウゲ目・ツヅラフジ科・アオツヅラフジ属> ツヅラフジ科アオツヅラフジ属のつる性落葉木本で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布している。 海外では、朝鮮半島から中国南部、フィリピンなどに分布する。 花期は7月〜9月で、雌雄異株。枝先と葉腋に小さな花序をだし、黄白色の小花を付ける。 萼片、花弁は雄花雌花ともほぼ同じで、花弁と萼片は各々6個ある。 萼片は花弁より大きく、花弁の先は2裂する。 雄花のオシベは6個、雌花のメシベは子房が6個の心皮に分かれ、仮オシベが6個ある。 花後、心皮が離れ、各々が1個の果実になる。 果実は直径5oほどの球形の核果で、秋に熟すと白粉を帯びた黒色になる。
2020/11/22
実家近くの土手の法面で、サルスベリを撮影していて、足元に黒い果実があることに気づきました。 表面に白い粉を吹いたようなっていて、果実の直径は5mmあるか無いか程度です。 葉は既に落ちてしまっていて、この果実のみが唐突にぶら下がっていました。 上の方に写っている葉は、この蔓が巻き付いていた木の葉です。 果実のみでは、特定には至らず、アオツヅラフジか、ツヅラフジ(オオツヅラフジ)と思われました。 2020/11/29 気になったので、後日、落ち葉でもないかと探しに行きました。 蔓の元をたどっていくと、数本の蔓が並行して走っていることが分かりました。 さらに先をたどると、2mほど先で斜上して、石垣の隙間から出ていることが分かりました。 この隙間から伸びている蔓の1本が、木に巻きついて上り、果実を付けて垂れていたのです。 他の蔓はとたどっていくと、その途中に若々しい葉をたくさん付けていることが分かりました。 その葉の特徴から、アオツヅラフジであったことが分かりました。 2022/8/16 網引湿原の駐車場の近くで、柵に絡みついて花を付けているアオツヅラフジの雄花を見かけました。 何ヶ所かで花を見かけたのですが、雌花は見つけられませんでした。 2022/10/11 花期には見つけられなかったアオツヅラフジの雌株ですが、果期には目立ちます。 網引湿原の第2湿原から第3湿原にかけて、何ヶ所かで見つけることができました。 けっこう、目に付きそうな場所なのですが、花期には見つけられなかったですね。 | ||||||
ナンテン(Nandina domestica)
<キンポウゲ目・メギ科・ナンテン亜科・ナンテン属> メギ科ナンテン属の常緑低木で、在来種。古い時代に中国から渡来したとの説もある。 日本では、西日本、四国、九州に分布し、海外では、中国やインドに分布する。 樹高は1〜3mで、幹は真っ直ぐに伸び、縦の割れ目がある。 葉は互生し、3出羽状複葉で、葉軸や小葉軸は関節状になる。 小葉は長さ3〜7cmの披針形で、葉先は尖り、基部は楔形になり、全縁。 花期は5月〜6月で、枝先に大きな円錐花序を付け、多数の花を付ける。 花は直径6〜7mmの白花で、萼片は3個ずつ輪状に多数付き、内側の6個が花弁状になる。 オシベは6個で、花糸は短い。メシベの花柱は短く、子房が大きい。 花後、萼片をオシベは全て落ち、柱頭が赤味を帯びることがある。 果実は液果で、直径6〜7mmの球形。10月〜11月に赤く熟す。
2020/11/17
実家近くを散歩しての帰り道、道路脇に背の低いナンテンがきれいに紅葉していました。 しかし、この時期に見られる赤い果実は全く見当たりません。 後で調べてみると、矮性のナンテンは、ほとんど花や実は付かないとのこと。 おそらく、矮性のナンテンのオタフクナンテンという品種と思われます。 樹高が低いのでグラウンドカバーに利用され、丈夫で枯れにくく、紅葉がきれいなのだそう。 |