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帰省途中で見かけた野草(T)



自宅と実家を行き来する際、途中で見かけた野草です。
といっても、サービスエリアで見かけたものや、高速道路脇で見かけたものです。
なお、高速道路脇では降りて観察する訳にはいきませんので、窓から撮った写真のみからの判断です。
今後、機会を見つけて充実させていきたいと思っています。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の野草を追加しました。
ヒナギキョウ、コセンダングサ

また、下記に関しては写真を追加しました。
アキノノゲシ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
イネ目
イグサ科(スズメノヤリ)
イネ科(ヒエガエリ、ススキ、チガヤ、メリケンカルカヤ)
カヤツリグサ科(イトイヌノハナヒゲ)
ウリ目
ウリ科(キカラスウリ)
キク目・キキョウ科
キキョウ亜科(ヒナギキョウ)
キク目・キク科
アザミ亜科(キツネアザミ)
キク亜科(ナルトサワギク、セイタカアワダチソウ、ハルジオン、ヒメジョオン、
     セイタカハハコグサ、ハハコグサ、コセンダングサ)
タンポポ亜科(アキノノゲシ、ヒメブタナ、ブタナ、コウゾリナ、セイヨウタンポポ、
       イワニガナ[ジシバリ]、ニガナ、ノゲシ)
キジカクシ目
アヤメ科(オオニワゼキショウ、ニワゼキショウ)
ラン科(ネジバナ[モジズリ])
キントラノオ目
スミレ科(スミレ)
トウダイグサ科(ニシキソウ、ショウジョウソウモドキ、チャボタイゲキ)
帰省途中で見かけた野草(T)
和名インデックス


スズメノヤリ(Luzula capitata)
<イネ目・イグサ科・スズメノヤリ属>
 
イグサ科スズメノヤリ属の多年草で、自生種。
日本では、北海道から、本州、四国、九州と全国に分布する。
イグサ科ではあるが、見た目はイグサというより、イネ科の植物に似ている。
短い茎は地上のは出ず、根生葉のみが地表に出て、伸びる。
3月頃に20cm前後の花茎を伸ばし、その先端に花が集まった頭花を多くは1個付ける。
花被片は赤褐色で、それより短い花糸のオシベが6個あり、大きめの葯が目立つ。
頭花は、最初にメシベが成熟し、その後、オシベの葯が伸びてくる。果実はさく果で、黒褐色。

2021/4/22
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたスズメノヤリです。
他の背の高い草本がない場所では、かなりの数のスズメノヤリが見られました。


2021/5/11
土山サービスエリアを散策中、小高い所に上る途中でスズメノヤリの大きな群落に出会いました。
通路脇の一角をほぼ占領して、びっしりと花茎が林立しています。

   
2021/4/6            2022/4/20            2022/4/20
今年は開花が早かったのか、オシベや果実を見ることができましたので、時系列に並べてみました。
ただ、メシベが伸びたものがなかったので、左端の写真のみ実家近くで見たものを使っています。
雌性先熟なので、左端のように最初に黄色いメシベの柱頭が延び、受粉すると最初の写真のように枯れます。
メシベの柱頭が枯れた頃、中央の写真のようにオシベが伸び出して、雄性期に入ります。
そのオシベも役目を終えてなくなると、右端の写真のように子房が大きくなってきます。

ヒエガエリ(Polypogon fugax Steud.)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・ヒエガエリ属>


 
イネ科ヒエガエリ属の1年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島まで分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、東アジア〜中央アジア〜西アジアに分布する。
草丈は20〜50cmで、茎は叢生し、直立〜斜上して、無毛で平滑である。
葉は薄くて柔らかく、長さ5〜15cmの広線形で、両面はざらつくが無毛。葉舌は5〜6mmで鋭形。
花期は5月〜6月で、穂が開く前の花序は長さ5〜8cmで直径2cmほどの円柱形である。
その後、花軸の各節から長さ1〜2cmの枝を多数半輪生状にに出し、密に小穂を付け、円錐形になる。
なお、湿った場所では花序は大きく開くが、乾燥した場所ではあまり開かない。
小穂は芒を除いて長さ2mmほどで、長さ1mm前後の白緑色の小花を1つ持つ。
苞頴には短毛があり、先端は2裂して、その間から2mmほどの芒を出す。
果実は刮ハで、熟すと苞頴を残して、護頴と内頴と共に落果する。

2021/5/11
鈴鹿PAの駐車場の外を散策中、草原一面に生えていたのがこのヒエガエリです。
子供の頃、田んぼの畔などでよく見かけたはずなのですが、名前が分かりません。
後で、いろいろ調べて、やっとヒエガエリにたどり着きました。
写真のものは花序が大きく開いて円錐形になっていますが、開かないと円柱状のままです。
その両方の写真がWebなどでは掲載されていて、最初、同じものだと気付かなかったんです。
よく読めば、花序は開く場合も開かない場合もあると書いてあるのにね。注意力不足....
円柱状の花序に関しては、後日見かけたものをこちらに掲載しましたので、参照ください。




2022/4/20
鈴鹿PAの駐車場の外で見かけたヒエガエリですが、今回は穂が出始めたばかりでした。
昨年の写真を比べれば一目同然ですが、穂が開いていないので若々しい感じです。
その出始めたばかりの穂ですが、下段に開いていく様子を時系列に並べてみました。

ススキ(Phragmites australis)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・ススキ属>

イネ科ススキ属の多年草で、日本全国に広く分布している。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
なお、北米にも帰化しており、侵略的外来種として猛威をふるっている。
草丈は2mを超え、茎は叢生する。ケイ酸が多く、硬くて耐久力があるため、冬になっても茎が立って残る。
茎(稈)の断面は円形で、内部にスポンジ状の髄があり、中実になったり、中空なったりする。
葉は、長い物は80pほどになり、線形。中央に幅数mmの白い筋があり、裏面に少し毛がある。
葉の縁には堅くて鋭い刺歯があり、葉の基部、葉鞘、節には軟毛がある。
花期は8月〜10月で、穂(花序)は20pほどで、銀白色。
小穂は長さ5oほどで、基部に10o程の白毛が密集する。
小穂は2小花からなるが、第1小花は退化し、第2小花の護穎に長い芒が1本ある。
葯は黄色で、柱頭は褐色から暗紫色(稀に白色)である。

2019/10/4
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたススキです。
セイタカアワダチソウなどの群落の中に、ポツリポツリと株立ちしたススキが混じります。


2020/10/31
土山サービスエリアの周囲は、大半がセイタカアワダチソウやメリケンカルカヤで覆われています。
そのような中にススキが所々で穂を出していて、いかにも頑張っている感が出ていますね。
ススキにはアレロパシーはないので、セイタカアワダチソウに以前は押されていたそうです。
それが、最近はススキが押し返して、セイタカアワダチソウを駆逐しているそうです。
この土山サービスエリアの周囲でも、いずれはススキがもっと増えていくのでしょうか。


2020/10/31
草原で見かけたススキの穂ですが、穂が開いていなくても花は咲いていませんでした。
諦めかけたとき、トイレ横の花壇の中で、ススキの花を確認できました。
垂れ下がっている黄色いものが葯で、時間が経つと赤味がかってくるようです。
その近くで突き出している紫褐色のブラシ状のものがメシベです(手前の穂の基部)。
後の穂の黒っぽい棒状のものもメシベですが、時間が経って萎れかけているものです。

チガヤ(Imperata cylindrica var. koenigii)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・チガヤ属>


 
イネ科チガヤ属の多年草で、日当たりの良い空き地よく見られる。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで広く分布している。
海外では、アジア中西部からアフリカ、オーストラリアに広く分布している。
また、北アメリカにも帰化が確認されている。
草丈は30〜80cmで、根茎は堅くて白く、地中深く横走する。
また、新しい匍匐茎を伸ばして、その先に越冬芽(地中にある)を付ける。
葉は長さ20〜50cmの線形で、葉縁や葉先が赤くなることが多い。
なお、葉鞘や茎の節には、普通、毛がある。
花期は5月〜6月で、葉に先立って花茎を伸ばし、長さ10〜20cmの花穂を付ける。
小穂は長さ5o前後披針形で、基部に長さ10mmほどの光沢のある白い綿毛が密生する。
葯は長さ3oほど、柱頭は紫褐色で2裂し、花後にも白い綿毛の中に残ることがある。

2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたチガヤです。
この一角だけですが、ちょっとした群落になっていました。
天気が良かったので、綿毛が大きく広がり、種子が飛び始めていました。

メリケンカルカヤ(Andropogon virginicus)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・ウシクサ亜連・メリケンカルカヤ属>
 
      2018/10/24                  2019/6/19
イネ科メリケンカルカヤ属の多年草で、日本では関東以西に分布している、北米原産の帰化植物。
海外でも、東アジア、南米、オーストラリア、ハワイに帰化している。
草丈は50〜100cmで、茎は株立ちとなり、その根本はやや扁平になる。
9月〜10月に直立した稈を伸ばし、穂を多数付ける。
小穂は2花で、1つだけが種子になり、20oほどの芒を付ける。
種子を作る花の基部には、白い綿毛が多数付き、風に乗って飛散する。
晩秋には赤褐色になり、そのまま越冬することが多い。
侵略的な外来種として扱われ、外来生物法で「要注意外来生物」に指定されている。

2019/6/19
昨年の秋、土山サービスエリアで見かけた左側の風景で、赤茶けたものは紅葉したメリケンカルカヤとしました。
ただ、確証がなかったので、6月に立ち寄った際、近くに行って確認してみました。
結果は、上記右の写真の様に枯れ穂のままですが、間違ってはいなかったようです。

 
2019/10/16
昨秋、赤く色づいていたメリケンカルカヤですが、時期が早かったのか、今年は紅葉していませんでした。
左の写真のように淡褐色の穂が林立し、黄色いセイタカアワダチソウと層をなしていました。
その代わりといっては何ですが、逆方向では右のようにメリケンカルカヤの大群落が逆光に輝いていました。
ススキの草原が逆光で金波銀波の如く揺れる様に似て、ススキほどではないですが風流でもあります。

イトイヌノハナヒゲ(Rhynchospora faberi)
<イネ目・カヤツリグサ科・カヤツリグサ亜科・ミカヅキグサ属>
   
カヤツリグサ科カヤツリグサ属の多年草で、在来種。湿原の代表的な植物である。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、ウスリーに分布している。
稈は直径0.5oほどと細く、草丈は10〜40cmになるが、30cm前後のものが多い。
葉も幅0.3〜1mmと細くて硬く、叢生して長さは稈よりも短い。
花期は7月〜10月で、いくつかの分花序ができ、1〜3個の小穂が集まって小さな散房花序になる。
小穂は長さ4〜5mmの楕円形で、褐色。少数の鱗片を付け1個の花を付ける。
鱗片は長さ3o前後の卵形で、褐色、鋭頭。
刺針状花被片6個は、痩果と同長か長く、太くて下向きの微歯が密生する。柱頭は2岐。
痩果は長さ2mm前後の倒卵形で、長さに比べて幅がやや狭い程度のため、小穂も幅広になる。
この仲間は似たものが多いが、本種はその中でも小型であり、分花序の小穂数が少ない特徴がある。
また、よく似たヒメイヌノハナヒゲは、刺針状花被片の微歯が上向きに付く。

2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたイトイヌノハナヒゲです。
右端の写真の様に、他の草本と混生しているとほとんど目立たなくなります。
草丈が30cmほどで、分花序の小穂数が少ないことから本種としました。
しかし、刺針状花被片の微歯を確認していないので、稀にあるヒメイヌノハナヒゲの可能性もあります。

※ 和名が「イトイヌノヒゲ」という植物があり、非常に紛らわしい名前です。
どちらも湿原に生える植物で、全国に分布しています。
見た目が異なるので間違えることはないと思いますが、文字だけで書くと混乱しそうです。

キカラスウリ(Trichosanthes kirilowii var. japonica)
<ウリ目・ウリ科・アレチウリ連・カラスウリ属>

 
 
ウリ科カラスウリ属のつる性の多年草で、雌雄異株。
中国、日本原産の植物で、日本では北海道から本州、四国、九州と全国に自生する。
キカラスウリの葉表には毛が少なく、少しザラザラしていて、テカリがある。
花期は、6月〜9月と長く、日没後から開花し、翌朝にも咲き残り、昼頃まで咲いている。
キカラスウリの花は、花冠の裂片の先が広がり、その先は細長い糸状になる。
雄花は、1ヶ所に複数付き、数日間連続して開花するが、雌花はほぼ単独で付く。
果実は、未熟時は若干の凹凸はあるが全体に緑色で模様はない。熟すと黄色になる。
キカラスウリの果実の周りの果肉は、甘くて食用になる。
ただし、過熟によりメロンなどと同様に、口内の粘膜を刺激する物質を生成する。
また、キカラスウリの根から取った澱粉は天花粉(てんかふん)呼ばれ、ベビーパウダーに利用される。

2021/7/7
湾岸長島サービスエリアに立ち寄って足湯を楽しんだとき、近くで見かけたキカラスウリです。
15時過ぎでは、昨日の花はしぼんでいて、今日咲くには早すぎるので、花は確認できませんでした。
そのため、葉の表面の様子とツボミの形状から、キカラスウリと判断しました。
なお、キカラスウリの花に関しては、こちらに掲載していますので、ご参照ください。

ヒナギキョウ(Wahlenbergia marginata)
<キク目・キキョウ科・キキョウ亜科・ヒナギキョウ属>


 
キキョウ科ヒナギキョウ属の多年草で、在来種。
日本では、本州の関東地方以西から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島〜中国、台湾、東南アジア〜ニュージーランドに分布する。
草丈は20〜40cmで、茎は細くて稜があり、基部で分枝する。
ひ弱そうに見える上部とは異なり、根茎は太くて良く発達している。
葉は互生し、下部の葉は長さ2〜4cmの倒披針形で、波状の鋸歯があり、葉柄は短いか無い。
上部の茎葉は線状被針形で、まばらに鋸歯があるものがある。
花期は4月〜9月と長く、長さ10〜20cmの長い花茎の先に青紫色の花を1個付ける。
花冠は長さ3〜12mm、直径5〜10mmの広鐘形で、先は5裂(まれに4裂)する。
萼も5裂し、裂片は披針形。オシベは5個、メシベは1個で、柱頭は3裂する。
刮ハは直立し、長さ3〜8mm。萼裂片が残り、熟すと上部が縦に3裂する。

2022/10/17
湾岸長島PAで足湯でのんびりした後、付近を散策中に見かけました。
花の直径が1cmに満たない小さな花ですが、花色や花の特徴はキキョウとそっくりです。
花は小さいのですが、その地下部である根茎は太くて丈夫なので、厄介な雑草です。

キツネアザミ(Hemisteptia lyrata)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・キツネアザミ属>
   
   
キク科キツネアザミ属の越年草で、史前帰化植物とされている。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布している。
海外では朝鮮半島、中国、台湾、インド、オーストラリア等に分布している。
アザミの名が付くがアザミ属ではなく、独立したキツネアザミ属に属する。
草丈は20〜150cmで、茎は1本が多いが稀に数本が直立して、上部でよく分枝する。
根生葉は、花期には枯れることが多い。中部以下の葉には数cmの葉柄があるが、上部では無柄である。
中部以下の葉は長さ10〜20cmの狭楕円形で、頭大羽状深裂し、裂片は4〜8対になる。
頂裂片は三角形状〜卵形で、側裂片より大きい。葉表は無毛で緑色、葉裏は綿毛があり灰白色。
上部の葉は、狭卵状楕円形〜線形で、上部に行くほど小さくなる。
葉身の質は柔らかく、アザミと名は付くが、アザミのような棘はない。
花期は5月〜6月で、疎らな円錐花序に直径25mm前後の頭花を、長い花序柄の先に上向きに付ける。
総苞は直径10〜30mmで、総苞片は4〜10列あり、先は尖り、赤紫色を帯びる。
外総苞片は長さ数mmの三角状で短く、トサカ状の突起が顕著である。
中総苞片〜内総苞片になるにしたがって、長さは13mmほどと長くなり、線状楕円形と尖る。
花冠は細く、長さ13〜14mmで、淡赤紫色。狭筒部は長さ10mm前後、広筒部は3o前後である。
痩果は長さ2.5mmほどの長楕円形で、褐色、無毛。冠毛は白色。
2重の冠毛の内、外側は長さ1〜2mmで、内側は長さ10〜12mmで羽毛状に枝がある。

2021/4/22
鈴鹿PAを散策中、駐車場脇の植栽に紛れてキツネアザミが所々で咲いていました。
草丈が30cmほどしかない小さな株が多く、花数もご覧通り4〜7個と少なめでした。
駐車場の外の草原に出たとき、スラリと伸びた草本が見られたのですが、これもキツネアザミでした。
ただ、開花しているものはなく、点々と生えているたものは全て、右端のような若いツボミでした。
その葉が特徴的で、葉は茎に沿うように立ち上がっていて、右端のように葉裏を見せているのです。
そのためスマートに見えるのですが、開花する頃には葉も左端のように開くのでしょうか。

ナルトサワギク(Senecio madagascariensis)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・キオン属>


 
キク科キオン属に属する多年草で、マダガスカル〜アフリカ南部原産の帰化植物。
日本では、福島、千葉、静岡、滋賀、三重、奈良、大阪、和歌山、兵庫、岡山、香川、
徳島、高知、佐賀、福岡で確認されており、急速に分布を拡大させている。
和名は、1976年に徳島県鳴門市瀬戸町の埋立地で発見され、サワギク似であることに由来。
海外では、オーストラリア東海岸、ハワイ、南アメリカにも侵入している。
草丈は20〜70cmで、茎はよく分枝して直立し、基部が紫色を帯び、無毛である。
葉は互生して、長さ3〜9cmの線状披針形で不規則な鋸歯がある。濃緑色で厚く、表面は無毛。
葉の形状に関しては、羽状に分裂することもあり、変異が大きい。基部は茎を抱く。
花期は通年で、多数の頭花は直径20〜25oの鮮黄色。
舌状花は通常13枚で、筒状花は舌状花と同色で短い冠毛がある。
痩果は長さ1mmほどで、長い白色の冠毛を持ち、風に乗って繁殖し、アレロパシーを持っている。
全草に肝毒性の強いセネシオニンなどのピロリジジンアルカロイドを含んでいる。
そのため、オーストラリアでは家畜がこれを食べて中毒死する事故が多く報告されている。
2006年2月1日に特定外来生物に指定されている。

2022/4/20
鈴鹿PAを散策中、駐車場の塀際で咲いている鮮黄色のキク科の花を見つけました。
周りに同じ花は見当たらないので、園芸品が逸出したものかもしれないと、写真を撮りました。
後で調べていて、細い葉が気になってナルトサワギクを確認し、本種と判断しました。
実家近くで見たナルトサワギクは、小型の花がたくさん咲いていたのですが、ここは多くありません。
まだ、株が小さく、そのために花数が少ないのでしょうか。逆に花が大きく見えます。

セイタカアワダチソウ(Solidago canadensis var. scabra)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・アキノキリンソウ属>

2019/10/16
 
2019/10/4             2019/10/16
キク科アキノキリンソウ属の多年草で、北米原産の帰化植物。
日本では、北海道から四国、九州まで全国に広く分布する。
日本以外でも、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、ニュージーランドなどに帰化している。
草丈は50〜200cmで、地下茎で横に広がり、そこから茎を真っ直ぐに立ち上げる。茎等には短毛が密生する。
葉は互生し、長さ5〜15pの披針形で、先が尖り、縁には細かい鋸歯がある。
花期は10月〜11月で、茎頂に長さ10〜50pほどの大型の円錐花序を出す。
頭花は、直径5o前後で、黄色い。その頭花を枝の上面側に多数、偏って付ける。
中心の筒状花は4個前後で、それを取り巻く舌状花は雌性で10個前後あり、舌状部は長さ3o程で細い。
一時期、日本各地で群生して繁茂し、害草として問題となった。
本種は、根から化学物質を出して、周囲の植物の成長を阻害する(アレロパシー)。
その化学物質が、年を経ると自身をも抑制することとなり、現在では群生は減って来ている。

※ 時折、同時期に増えた帰化植物のブタクサと間違われることがあるが、全くの別種。

2019/10/4,16
土山サービスエリアに広がる草原には、ヒメジョオン、メリケンカルカヤ、本種が大きな群落を作っています。
この時期、ヒメジョオンは目立たなくなり、メリケンカルカヤと本種が一大勢力となっていました(上段写真)。
10/4には多くのセイタカアワダチソウでツボミが多かったのですが、10/16には多くが開花していました。


2020/10/31
この場所では、セイタカアワダチソウとヨモギがお互いにアレロパシーを出して陣取り合戦中です。
その後ろで、虎視眈々と隙あらば進出しようとメリケンカルカヤが狙っています。

 
2020/10/31
セイタカアワダチソウの花を拡大したものですが、これを見るとキク科の花と分かりますね。
ハルジオン(Erigeron philadelphicus)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・ムカシヨモギ属>


 
キク科・ムカシヨモギ属の多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、大正時代に園芸種として入り、野生化して全国的に分布している。
草丈は30〜100cmで、茎は中空で長い軟毛が生えている。
根生葉は長さ30〜100oのへら形で、葉柄に翼があり、花期にも残る。茎葉は茎を半分ほど抱く。
花期は4月〜5月で、頭花は直径20〜25o。ツボミの時は花序が下に垂れる。
極細い舌状花は白〜淡紫色で、黄色い筒状化の周りにきれいに並び、100個以上ある。
舌状花、筒状花とも冠毛は3oほどあるが、外部からは見えず、2裂した花柱と筒状花の花冠のみが見える。
なお、ハルジオンは、春に咲く紫苑の意味で、同じような場所に生育するヒメジョオンと混同されやすい。
区別点は、蕾が下を向いていること、茎葉が半分茎を抱くこと、茎が中空であることで識別できる。
紛らわしい場合は、茎を折ってみれば一目瞭然で、中空であれば本種、中実であればヒメジョオンである。

※ よく似たヒメジョオンとの比較に付いては、こちらに比較写真を掲載しました。

2021/5/11
土山サービスエリアを散策中、建物横の植栽に紛れて、ハルジオンが咲いていました。
花の色は、上記の通り白色の個体と淡紅紫色の個体が混在していました。
花色の変化に関しては、その要因は不明のようです。
紫外線の影響とか、遺伝的なものなどが考えられますが、空気がきれいだと赤くなるというのもあります。
ただ、同じ場所で混在することから、空気云々は関係なさそうな気がします。
なお、土山サービスエリアでは、ヒメジョオンは周囲の草地を占拠していて、住み分けているようです。

 
2022/4/20
昨年見かけたのと同じところで、今年もハルジオンが花を咲かせ始めていました。
まだ、完全には開花していませんが、淡赤紫色の色がきれいな花です。
今年は開花が遅れているのか、まだ、ツボミが見られるのは3株のみでした。

ヒメジョオン(Erigeron annuus)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・ムカシヨモギ属>


   
キク科ムカシヨモギ属の多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
明治維新の頃に渡来し、現在では日本中に広がっている。
草丈は30〜130cmで、茎は直立して分枝し、白いずいが詰まって中実。粗い毛がまばらにある。
根生葉は長い柄があり、花期には枯れてしまう。
上部の茎葉は披針形で、先が尖り、葉柄はほとんどない。
下部の茎葉は卵形で、基部が狭まって、翼のある葉柄のようになる。
縁の鋸歯は先が鋭く尖がり、基部が茎を抱くことはない。
花期は5月〜10月と長く、頭花は上部の枝先に多数ついて、直径は20o前後。
舌状花の花弁はごく細く、白色〜淡青紫色で雌性、オシベも冠毛もない。
なお、花弁が白色ではなく青紫色がかるのは、清浄な空気の中で育った時のみ。
筒状花は、黄色で両性、長さmm前後の冠毛がある。
総苞片は披針形〜線状披針形で2〜3列に並ぶ。
痩果は長さ1mmに満たない長楕円形で、その寿命は35年とされる。
そのため、多数の種子を作ることと相まって、驚異的な繁殖能力を持ち、駆除は極めて困難。

※ よく似たハルジオンとの比較に付いては、こちらに比較写真を掲載しました。

2019/6/19
土山サービスエリアの周囲に広がる草原の一角を、ヒメジョオンが白く染めていました。
個々の花は小さいですが、これだけの数の花が開くと壮観ですね。
右端は、確認のために茎を折ってみたもので、白いずいが詰まっていました。

 
2020/10/31
夏には、この世を謳歌していたヒメジョオンですが、秋になって表舞台からは姿を消しました。
通路脇などに所々残っていて、白い花をたくさん付けていました。これが来年のための種になるのかも。
中には、右の写真のように若々しい株も見られますが、春と勘違いしたのかも。



 
2022/4/20
土山サービスエリアの周囲に広がる草原の一部が、拡張工事で立ち入り禁止になっていました。
そのため、中には入れなかったのですが、通路脇でヒメジョオンが開花していました。
下記は、同日に見たハルジオンとヒメジョオンの比較です。
ただ、開花の早いハルジオンが未開花だったので、昨年の花の写真を使っています。


ハルジオンとヒメジョオン

ハルジオン
ヒメジョオン







ハルジオンとヒメジョオン、花弁の細さの違いもありますが、草姿もかなり異なります。
開花時期は、ハルジオンの方が1ヶ月ほど早いのですが、今年はほぼ同時期に開花していました。
両者を詳細に比較したものは、こちらに掲載しました。


セイタカハハコグサ(Pseudognaphalium luteoalbum)
<キク目・キク科・キク亜科・ハハコグサ連・ハハコグサ属>
 
キク科ハハコグサ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化種。
ハハコグサ属が「Gnaphalium」から「Pseudognaphalium」に変更され、学名も変わった。
日本国内での分布に関しては、詳細は不明である。
草丈は15〜60cmで、茎は基部で分枝し、下部がやや倒伏して先が直立する。
全体に綿毛を密生していて、ハハコグサに似て灰白色に見える。
葉は、長さ1〜6cmの線形〜スプーン形で、全縁、柄はなく、両面に綿毛がある。
小型の場合は、葉が茎に沿っていることも多い。花期には根生葉はない。
花期は4月〜6月で、茎は上部で1〜6に分枝し、枝先に頭花を10個程度固まって付ける。
なお、花序柄の短いハハコグサと異なり、長さ1〜8cmの花序柄がある。
頭花は長さ3.5〜4mm、直径2〜4mmで、淡黄色の筒状花からなり、先が紫褐色を帯びる。
中央の4〜10個が両性花で、その周囲に100数十個の雌花がある。
総苞は鐘形で、総苞片は3〜4列。総苞に綿毛は少ない。
外総苞片は半透明で、内総苞片は下部が緑色(熟すと褐色になる)。
痩果は長さ0.6〜0.7mmで、表面に乳頭状突起がある。冠毛は長さ1.5〜2mm。
よく似たハハコグサとの違いは、下記の通りである
・頭花は、ハハコグサは鮮黄色であるが、本種は淡褐色〜黄褐色である
・ハハコグサは花序柄が短いのに対して、本種の花序柄は1〜8cmある
セイタカハハコグサは上部で分枝することが多いが、ハハコグサでも分枝は見られる。
なお、どちらともとれる個体があり、アイセイタカハハコグサの仮称が付けられている。
これが、全く別の系統なのか、両者の交雑種なのか、実体は明確になっていない。

2022/4/20
鈴鹿PAを散策中、空き地でハハコグサのような草本を見つけました。
ただ、ハハコグサにしては頭花の黄色が淡く、頭花によっては茶褐色になっています。
草姿も、スッと立ち上がっていることが多いハハコグサと異なり、叢生して斜上しています。
不審に思って、後で調べているとセイタカハハコグサという帰化植物と分かりました。


ハハコグサとセイタカハハコグサ

ハハコグサ
セイタカハハコグサ







両者には、花序柄の長さに違いがあると記されていますが、上記のように明確ではありません。
ひょっとすると、花序柄の長いハハコグサは、アイセイタカハハコグサなのかもしれません。
また、葉の形にも違いがあるようなのですが、これも微妙な気がします。
ただ、頭花の色と草姿(上記のハハコグサは数十株の群生、セイタカハハコグサは1株)は異なります。


ハハコグサ(Pseudognaphalium affine)
<キク目・キク科・キク亜科・ハハコグサ連・ハハコグサ属>
 
キク科ハハコグサ属の越年草で、在来種。
ハハコグサ属が「Gnaphalium」から「Pseudognaphalium」に変更され、学名も変わった。
日本では全国に広がっており、道端などでよく見かける。
海外では、中国からインドシナ、マレーシア、インドにまで分布している。
草丈は10〜30cmほどで、秋に芽生えて、ロゼットで越冬し、翌春に茎を伸ばす。
葉は互生し、細いへら型。葉と茎には白い綿毛が生える。なお、根生葉は花期には枯れる。
花期は4月〜6月で、茎先は細かく分枝し、その先に黄色い頭花を多数つける。
頭花は、両性花の周りに細い雌花があり、花柱は花冠より短い。総苞片は淡黄色。

2021/5/11
鈴鹿PAを散策中、植栽に紛れてハハコグサが群生している所を見つけました。
頭花は小さいのですが、黄色い頭花が固まって咲くので、結構目立ちます。

コセンダングサ(Bidens pilosa var. pilosa)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒマワリ連・センダイグサ属>




キク科センダングサ属の1年草で、南北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、本州の中部以西から四国、九州に分布している。
海外では、世界の暖帯から熱帯にかけて広く分布する。
草丈は30〜180cmで、茎のは4稜があり、短毛が生える。
葉は、下部では対生し、上部では互生する。
中部の葉は長さ12〜19cmあり、3全裂〜羽状に全裂し、頂小葉は細長く尖る。
葉の両面には基部が膨らんだ毛があり、縁にも短毛がある。
花期は9月〜11月で、上部の枝先に黄色い頭花を付け、筒状花のみで舌状花はない。
筒状花の花冠は5裂する。総苞片はへら形で先が尖り、7〜8個が1列に並ぶ。
痩果は平たい線形で、4稜があり、先端に下向きの刺のある冠毛が3〜4個ある。

2022/10/17
湾岸長島PAの足湯でのんびりした後、付近を散策中に見かけました。
小さな白い花弁が見られるアイノコセンダングサが増えているのですが、ここでは見られません。
最近はコセンダングサの変化とし、コシロノセンダングサまで含めてコセンダングサとする説もあります。
なお、中段、下段は、開花から痩果が熟して展開するまでを、時系列で並べたものです。
周辺部の筒状花から開花し始め、咲き終わると基部の子房が伸び始めます。
冠毛が伸びて花冠が取れたのが下段左の状態で、熟するつれて展開し始め、完熟したのが右端です。
ここではかなり広範囲に群生していて、痩果になると厄介なくっつき虫の大集団になりそうです。

アキノノゲシ(Lactuca indica)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・アキノノゲシ属>
   
キク科アキノノゲシ属の一年草で、東南アジア原産の史前帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東南アジアに広く分布する。
草丈は60p以上になり、大きなものは2mに達する。茎は分枝せず、直立する。
葉は互生し、下部の葉は長さ数十pで羽状深裂するが、上部では小さな全縁の葉となる。
花期は8〜11月で、茎の上部に円錐花序を付け、直径2cm前後の淡黄色の頭花を多数付ける。
頭花は稀に白色や淡紫色のものもあり、舌状花のみで筒状花はない。昼間開いて夕方にはしぼむ。
総苞は長さ1cm程で、総苞片は覆瓦(ふくが)状に重なり、暗紫色(が多い)の縁取りがある。
痩果は扁平で、長さ4oほどの長楕円形で、短い嘴状の突起があり、白色の冠毛がある。

2019/10/4
土山サービスエリアの周囲に広がる草原の所々で、アキノノゲシが花を付けていました。
このアキノノゲシに似た花があり、私もトゲチシャを間違えたことがあります(下記参照)。

 
 
2022/10/17
湾岸長島PAの足湯でのんびりした後、付近を散策中に見かけました。
多くの花が咲き終わって、下部の葉が枯れ始めている大きな株が、何株か見られました。
このとき、初めて痩果を見たのですが、タンポポなどと比べると痩果が巨大です。
この冠毛の大きさで、この痩果が風で飛ぶのかと思えるほどなのですが、きっと軽いのでしょう。
花後の総苞の基部が大きく膨らんでいるのは、痩果がこのサイズにまで大きくなる結果なんですね。


ノゲシ属とアキノノゲシ属

ノゲシ
トゲチシャ
アキノノゲシ










アキノノゲシだと思って撮ったトゲチシャですが、上記のようにノゲシとアキノノゲシの特徴を併せ持っています。
花の形はアキノノゲシとよく似ていますが、花色が黄色で、アキノノゲシよりも濃く、ノゲシよりも淡い色です。
葉の形に関しては、ノゲシ同様に葉の基部が茎を抱くのに対して、アキノノゲシは茎を抱くことはありません。
トゲチシャの葉はノゲシほどには羽状に切れ込むことはなく、アキノノゲシに近い形状です。
ただし、葉の縁には刺状の細かい鋸歯があり、葉裏の中央脈上には大きな刺が1列に並んでいます。
これらに関しては、花期にずれがあり、ノゲシは4月〜7月、アキノノゲシは9月〜11月です。
しかし、トゲチシャは7月〜9月と両者と重なるときがあり、8月末に見たときアキノノゲシと間違えていました。


ヒメブタナ(Hypochaeris glabra)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・エゾコウゾリナ属>
 
 
キク科エゾコウゾリナ属の越年草で、ヨーロッパ〜アフリカ北部が原産地。
日本では、本州の東海地方辺りから四国、九州、沖縄に分布するらしい。
最初に見つかったのは、三重県四日市市で、1970年の事である。
なお、類似種のブタナが草地に多いのに対し、本種は裸地や舗装の割れ目などに多い。
草丈は10〜50cmとブタナより小さく、それが和名の由来。
葉はロゼット状の根生葉のみで、長さ2〜11cm、幅0.5〜3cmの倒披針形。
葉質は薄く、縁は不規則にタンポポ様に切れ込み、縁や主脈が赤味を帯びることがある。
下面や縁に剛毛を散生するが、全体に毛は少ない。茎葉は鱗片状である。
花期は4月〜5月で、ブタナより早く、ブタナが咲き出す頃には咲き終わりが近い。
根生葉から30〜50cmの花茎を1〜多数立ち上げ、途中で分枝する。
花茎の先に、直径15〜30mmの舌状花のみからなる黄色い頭花を付ける。
総苞は長さ8〜16mm、幅5〜20mmの狭い鐘形である。
痩果は長さ3〜4mmで、外側の痩果には嘴がなく、内側は痩果より長い嘴がある。
1つの頭花に、2タイプの痩果が混在するというのは珍しい。
淡褐色の冠毛は、長さ7〜8mmで2列に付き、羽状に枝分かれしている。

2022/4/20
土山サービスエリアの周囲に広がる草原で、最初に見かけたのが上段左の株です。
わずかな根生葉から長い花茎が伸び出した、見たことがないタンポポの仲間のようです。
少し離れた斜面の防除シートの継ぎ目で、大きな株がたくさんの花茎を出していました。
ただ、咲いている花はなく、多くが下段左のような冠毛が少し飛び出したような状態でした。
下段右の上側のようなツボミと思われるものも、多少残ってはいました。
花がないので、閉鎖花なのかと思ったのですが、調べても該当するようなものが見当たりません。
閉鎖花でないなら、既に花期が終わっていると思われ、調べているとヒメブタナに行き当たりました。
花期以外に、葉の特徴や花茎が途中で分枝する点なども合います。
下段右の写真で、下の方に嘴のない痩果が見え、総苞に隠れている痩果には嘴が見られます。
以上の点から、これは花期の終わったヒメブタナであると確信しました。

ブタナ(Hypochaeris radicata)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・エゾコウゾリナ属>
 

   
キク科エゾコウゾリナ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州の広い範囲に分布する。
海外でも、アメリカ大陸やオーストラリア、ニュージーランドなど多くの地域に帰化している。
葉はロゼット状で裏面には毛がびっしりと生えている。
その中心から30〜50cm程の花茎を出し、花茎は途中で枝分かれする。
花茎には、葉は付かないが、葉が退化した鱗片状のものは付いている。
花茎の頂部に、直径3cm程の黄色い舌状花のみからなる頭花を付ける。
ブタナの名前は、フランス語の「Salade de porc」(ブタのサラダ)に由来する。

2019/6/19
土山サービスエリアの周囲に広がる草原の所々で、ブタナがちょっとした群落を作っていました。
今は盛りとばかりに咲いている株から、綿毛になった株まで、株によって成長度合いが異なります。

コウゾリナ(Picris hieracioides L. subsp. Japonica)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・コウゾリナ属>

キク科コウゾリナ属の越年草で、低地から山地の草地に生育する在来種。
日本をはじめ、中国からインド、ミクロネシア、オーストラリアまで広く分布する。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
草丈は数十cmになり、茎頂で枝分かれして、直径3cm程の黄色い頭花を付ける。
我が国の山地に普通に目にする野草である。根出葉はロゼット状に多数出る。
根生葉の形状は長楕円状披針形。草丈は50〜150p程度。全草に赤褐色の剛毛がある。
茎葉は互生し、倒披針形で、長さ10〜20p程度。
6〜10月頃、黄色で径2〜2.5p程度の花を散房状につける。

2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたコウゾリナです。
この株は、ほぼ咲き終わりのようで、咲いているのは1輪だけで、ツボミも見当たりませんでした。

 
 
2021/5/11
土山サービスエリアを散策中、周囲に広がる草原で見かけた草丈が70cmほどのコウゾリナです。
朝早かったため、まだ、開花しておらず、上段のように花は閉じた状態でした。
しばらくして、別の場所で見かけたコウゾリナは、下段右のように開き始めていました。
下段左は、コウゾリナ(顔剃菜、剃刀菜)のツボミの剛毛で、茎や葉など全体に剛毛があります。
これらの剛毛が剃刀のように鋭く見えることが和名の由来ですが、実際はザラザラする程度です。

セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・タンポポ属>
 
2021/5/11 6:46              2021/5/11 7:35

2021/5/11 6:46      2021/5/11 6:46          2021/5/11 7:35   .
キク科・タンポポ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本以外にも北アメリカ、南アメリカ、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、インドに移入している。
環境省指定要注意外来生物で、侵略的外来種ワースト100に入っている要注意植物である。
日本では、北海道から九州まで、全国に広がっている。
従来、日本の在来種との区別点は、外側の総苞が反る点とされていた。
しかし、近年、在来種との雑種が確認され、在来種の特徴を持つものも報告されている。
そのため、外側の総苞が反る点だけでは区別できず、その識別は困難になっている。
日本でいうセイヨウタンポポには複数の種が含まれる可能性が高く、外来タンポポ群として扱われることが多い。

草丈は15〜45cmで、葉の変異は大きく、深裂するものから浅裂のものまである。
花期は3月〜11月で、頭花の直径は35〜50mm。舌状花は40〜100個ある。
総苞外片は12〜18個で、長さは5〜8o。90°以上に反り返り、先に瘤状の突起がある。
総苞内片は、痩果が完熟するまでは直立して先が尖り、濃緑色をしている。

2021/5/11
鈴鹿PAを散策中、駐車場近くの植栽の中に巨大なセイヨウタンポポの株を見つけました。
直径が70〜80cmはあり、今まで見たことがないほど巨大で、葉も花も大きいです。
早朝だったので花は開いていませんでしたが、1時間程して見に行くと開花していました。

イワニガナ(Ixeris stolonifera)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・ニガナ属>
 
キク科ニガナ属の多年草で、在来種。別名はジシバリ。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東アジアに分布する。
草丈は8〜15cmで、茎はやや赤みを帯びて地を這って広がる。
葉身は長さ7〜20mmの卵円形で、基部は急に狭まり、長い葉柄がある。
花期は4月〜5月で、立ち上げた8〜15cmの花柄は少し分枝して、枝先に頭花を付ける。
普通、花柄には葉は付かないが、稀に付いていることもある。
頭花は直径20〜25mmで、黄色い舌状花の先端には5歯がある。
総苞は長さ8〜10mmで、総苞外片は小さく、総苞内片は長くて8〜10個ある。
果実は長さ4〜6oで、10稜があり、嘴の先に長い冠毛がある。

よく似たオオジシバリとは、下記の点で区別できる。
・イワニガナは草丈が8〜15cmで、オオジシバリは10〜45cm
・イワニガナの頭花は直径が20〜25oなのに対して、オオジシバリは25〜30mm
・葉の形状が、イワニガナは卵円形なのに対して、オオジシバリは細長いへら形

2021/4/22
鈴鹿PAに着いて売店に向かう途中、通路脇で見かけたイワニガナです。
夕方で花にだけ光が当たっている状態でしたので、コントラストが強すぎて葉が良く見えていません。

 
 
2021/5/11
前回、夕方でうまく撮れていなかったので、撮り直そうと行ってみました。
しかし、3週間ほど経っていたため、花はほとんどなく、ほぼ咲き終わりの状態でした。
代わりに、綿毛になった頭花や葉はきれいに撮ることができました。


イワニガナ[ジシバリ]とオオジシバリ

     .
 <イワニガナ>           <オオジシバリ>
花の見た目は似ていますが、葉の形が異なることが分かると思います。
イワニガナの葉身は丸いのに対して、オオジシバリの葉は細長い楕円形でへら状です。


ニガナ(Ixeris dentata)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・ニガナ属>
   
キク科ニガナ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
草丈は50cmに達するものもある。根生葉は長い葉柄があり、長さ10cmほどの広披針形。
茎葉は、葉柄がなく、基部が丸く張り出して茎を抱く。ただし、上部では抱かないこともある。
茎の先に直径15o程の黄色い頭花を散状に付ける。
通常、舌状花は5個であるが6枚以上のものもある。特に8枚以上のものはハナニガナと呼ばれる。
オシベは筒状に合着し、先が2つに割れているメシベは筒の中にある。
総苞は、円筒形で長さは8o程。外片は極小さくて、基部に鱗片状に付く。

※ 沖縄料理で利用されるニガナ(ンジャナ)は本種ではなく、ホソバワダンという別種。

2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたニガナです。
細かく分枝してたくさんのツボミを付けており、これからも次々と開花していくと思います。

 
2021/5/11
土山サービスエリアを散策中に、草原の縁で見かけたニガナです。
何ヶ所かで群生していましたが、花弁が左の群生では5個、右の群生では6個で、混在していませんでした。


ニガナ属の仲間

       .
 <ニガナ>          <シロバナニガナ>         <ハナニガナ>
ニガナの舌状花の数は、5個が多いのですが、6枚以上あるものもあります。
ニガナの亜種であるイソニガナの変種とされているのが、シロバナニガナです。
そのシロバナニガナの1品種である黄花品種が、ハナニガナとされています。
上記の写真を見てもらえば一目瞭然ですが、舌状花の数が7〜11個と多いのが特徴です。


ノゲシ(Sonchus oleraceus)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・ノゲシ属>

キク科ノゲシ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、全国的に道端や畑などに自生する。また、世界各地にも広く分布する。
草丈は50〜150pになり、茎は中空で、多数の稜がある。
葉は柔らかく、刺はあまり硬くない。羽状に切れ込み不規則な鋸歯がある。
上部の葉の基部は、両側が尖って角状に突き出し茎を抱く。下部の葉では付き出ないことが多い。
花期は4月〜10月で、頭花は黄色で直径2cmほどあり、多数の舌状花のみからなる(筒状花は無い)。
総苞は長さ10o強で、花柄と総苞にはしばしば腺毛があり、粘る。
花のあと総苞の下部はふくれ、痩果が熟すとそり返る。

2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたノゲシです。
この株は、ほぼ咲き終わりのようで、多少ツボミが残っていましたが、咲いているのは1輪だけでした。

 
2021/5/11
鈴鹿パーキングエリアを散策中、植栽に紛れてノゲシが大きくなっていました。
この株も早朝に見かけたときには開花していませんでしたが、1時間ほど後には開花していました。

 
2022/4/20
今年も昨年と同じ場所でノゲシが大きくなっていました。
多くの花を付けていましたが、1個だけ、写真のように綿毛になっていたました。

オオニワゼキショウ(Sisyrinchium iridifolium var. laxum)
<キジカクシ目・アヤメ科・ニワゼキショウ属>
 

 
アヤメ科ニワゼキショウ属の1年草。北米が原産地の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布する。
ニワゼキショウと同じような環境に普通に見られるため、両種が混生していることがある。
草丈は20〜30cmとニワゼキショウより大きいが、花は逆に小さく、さく果は大きい。
茎は基部で枝分かれし、扁平でごく狭い翼がある。幅は3o前後。
葉は幅4mmほどで、茎を抱き、茎に沿って直立する。茎の先に細い花柄をだし、小さな花を次々に開く。
花期は5月〜6月で、直径10mm程の小さな花を咲かせる。
花弁は内花被片、外花被片各々3枚からなり、内花被片はやや短く細い。
刮ハは直径5o前後の球形で、紫色を帯びた黄褐色。

2019/6/19
土山サービスエリアの周囲に広がる草原で、オオニワゼキショウを見かけました。
近くにニワゼキショウが群生していたのですが、こちらは数株だけでした。
ここから少し離れた場所で、紫色のないものが数株固まって咲いていました。
どちらも、刮ハと花冠の大きさの比率からオオニワゼキショウと判断できます。
ただ、上段の個体群は花被片が5個しかなく、外花被片が1個無いように思われます。
また、内外花被片の大きさに大差がなく、花の特徴はニワゼキショウに似ています。
ひょっとしたら、オオニワゼキショウとニワゼキショウの交雑種なのかもしれません。
下段の花は、内花被片3個が明らかに細く短めなので、オオニワゼキショウの特徴に合います。


オオニワゼキショウとニワゼキショウ

     .
<オオニワゼキショウ>           <ニワゼキショウ> .
     .
<上記でオオニワゼキショウとしたもの>
 
<以前オオニワゼキショウとニワゼキショウの交雑種としたニワゼキショウ>
オオニワゼキショウは、刮ハの大きさから判断したものですが、花色が各々異なります。
今回見かけたものは花被片がほぼ白に近く、紫色の部分が無いものもあり、個体差なのでしょうか。
以前、刮ハの大きさからニワゼキショウとした交雑種ですが、中段左の花と似ています。


ニワゼキショウ(Sisyrinchium rosulatum)
<キジカクシ目・アヤメ科・ニワゼキショウ属>
 
アヤメ科ニワゼキショウ属の1年草。北米が原産地の帰化植物。
日本では全国の痩せ地に普通に見られる。芝生や草地などに群生する。高さ10〜20cmになる。
茎は扁平でごく狭い翼がある。葉は幅2〜3mm。茎の先に細い花柄をだし、小さな花を次々に開く。
花期は5月〜6月で、直径15mm程の小さな花を咲かせる。
花弁は内花被片、外花被片各々3枚からなり、両者の長さは変わらないが、内花被片はやや細い。
花色は白のものと赤紫のものがあり、中央部はどちらも黄色である。
花は、受精すると、一日でしぼんでしまう。
刮ハは直径3o前後の球形で、紫色を帯びた黄褐色。

2019/6/19
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたニワゼキショウです。
この一角だけ、ニワゼキショウが群生していました。といっても、花が小さいので目立ちませんが。

ネジバナ(Spiranthes sinensis var. amoena)
<キジカクシ目・ラン科・ネジバナ亜科・クラニチス連・ネジバナ属>
   
ラン科ネジバナ属の多年草で、日本の全土に分布する。別名としてモジズリの名がある。
分布域はヨーロッパ東部からシベリア、温帯・熱帯のアジア全域、オセアニアと極めて広い。
ラン科の植物としては、珍しく身近に見られる。
湿っていて日当たりの良い、背の低い草地に良く生育する。
花茎は10〜40cmになり、根際に数枚の葉を付ける。
葉は柔らかくて厚みがあり、冬季は楕円形をしているが、生育期間中には細長く伸びる。
花色は通常淡紅紫色(稀に白花)で、小さな花を多数細長い花茎に密着させるように付ける。
その花が花茎の周りに螺旋状に並んで咲く「ねじれた花序」が和名の由来である。
右巻きと左巻きの両方があり、中には花序がねじれない個体や、途中でねじれ方が変わる個体もある。
なお、右巻きと左巻きの比率は、ほど同率である。

2019/7/9
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたネジバナです。
草原は広いのですが、見かけたのは2株だけで、数はそれほど多くはなさそうです。

スミレ(Viola mandshurica)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>
 

 
スミレ科スミレ属の多年草で、道端などでよく見かける無茎種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国でふつうに見られる。
海外でも、朝鮮半島から中国、ウスリーまで分布する。
葉は、根元から多数出し、細長い矢じり型で、葉柄には翼があるのが特徴。
花色は、普通は濃紫色だが、白花のものもある。
5枚の花弁の内、唇弁の1枚が大きく、2枚の側弁には白い突起毛がある。
果実は長さ1pほどの刮ハで、熟すと上向きになり、3裂する。

手元にあったスミレ属の写真を一覧にしたものをこちらに掲載しました。ご参照ください。

2021/4/22
土山サービスエリアを散策中、スミレの花が草に埋もれるようにして咲いていました。
葉は細長い矢じり型で柄には翼があり、花の側弁には毛があるので、スミレと判断しました。

ニシキソウ(Chamaesyce humifusa)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・トウダイグサ連・トウダイグサ属・ニシキソウ亜属>


 
トウダイグサ科ニシキソウ亜属の一年草で、在来種。
日本では、北海道から四国、九州、南西諸島に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、台湾からアジア東部に分布する。
草丈は10〜25pで、茎はよく分枝して地面を這い、切ると白い液汁が出る。
茎は赤くて長毛がまばらに開出する。毛はコニシキソウより少なく、無毛のものもある。
葉は対生し、長さが5〜10oの非対称な長楕円形で、縁には不揃いで浅い鋸歯がある。
葉の表面は緑色で、裏面は白緑色。葉表にコニシキソウのような斑紋はないか、極淡い。
花期は7月〜10月で、枝先や葉腋に淡赤紫色の杯状花序を付ける。
苞葉が変化した杯に4個の赤紫色の腺体が付き、その周囲に4個の淡赤紫色の付属体が花弁のように付く。
杯状花序の雄花、雌花は退化して、それぞれオシベ、メシベになっており、メシベ1個に多数のオシベがある。
花は白い花柱(3裂して先は更に2裂)の見える雌性期に始まり、結実期を経て、雄性期になる。
果実は直径2o弱の刮ハで、表面は無毛(稀に多少の毛は生える)でしわもなく、種子が3個入る。

よく似た下記のニシキソウ亜属とは下記により判別できる。

・ニシキソウの果実にはしわも毛もなく、葉裏に毛がない。
・コニシキソウの果実は全面に伏毛が生え、葉表の中央に暗紫色の斑紋がある。
・ハイニシキソウには稜に沿って直毛が生え、あまり曲がらない。葉裏に毛がない。
・アレチニシキソウの果実は稜の毛が長くて曲がり、葉裏に伏毛が密生する。
・コバノニシキソウは全体に無毛で、刮ハも無毛。葉は全縁。

2020/10/31
土山サービスエリアを散策中、サービスエリアの周囲に広がる草原で見かけたニシキソウです。
花期も終盤で、花も葉も一部に残ている程度です。多くの葉が枯れ落ち、果実は赤くなっていました。

ショウジョウソウモドキ(Euphorbia heterophylla)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・トウダイグサ連・トウダイグサ属>


 
トウダイグサ科トウダイグサ属の一年草で、北アメリカ南部〜アルゼンチンの熱帯が原産地。
日本へは戦後に沖縄に侵入し、関東辺りまで広がっている。
海外でも、熱帯から亜熱帯に広く帰化し、台湾や中国でも広がり始めている。
草丈は50〜100cmで、茎は直立し、2分枝することもある。茎を切ると白い乳液が出る。
葉は互生し、長さ3〜12cmの長卵形〜長楕円形で、全縁が多いが、波状の鋸歯や切れ込むものもある。
花期は花期は7〜9月で、茎の上部に葉が集まって中心部がやや白い苞葉になり、その上に杯状花序をつける。
杯状花序は、雌雄異花の小花が集まったもので、雄花には1個のオシベ、雌花には大きな子房と3裂した花柱がある。
どちらも花被片のない無花被の花で、1個の雌花と複数の雄花で1つの花序を形成し、1つの花のように見える。
なお、杯状花序には、たらこ唇のような腺体が1個あり、蜜を供給している。
果実は三角形の刮ハで、直径5mm程度。成熟すると下垂する。

※ 名前の通り、本種は近縁種のショウジョウソウと混同されることがあるが、下記の点が異なる。
・ショウジョウソウの苞葉は、中央がくびれたヴァイオリン形で、基部が鮮やかな赤色になる。
 ショウジョウソウモドキの苞葉は、基本的には卵形〜披針形で、基部は白系統の色である。
・ショウジョウソウの腺体が横長楕円形なのに対し、ショウジョウソウモドキの腺体は円形である。

2017/8/13
名神高速道路から中国自動車道へ、吹田JCTで乗り換えた辺りで、いつも渋滞します。
今は、手前で新名神に乗ってしまうので、この渋滞にはまることは無くなりました。
この渋滞にはまっていた頃、夏に道路脇を見ると見慣れない野草がたくさん生えていました。
ちょうど渋滞で、車はノロノロ進んでは止まる状態でしたので、望遠で窓から撮影しました。
芽吹いて間がないような小さなものから、花を開花させているものまで、びっしりと生えています。
人手が入りにくい、高速道路の分離帯なので、我が物顔で広がった結果のようです。
花の特徴からトウダイグサの仲間であることは分かりましたので、後で調べることにしました。
その結果、ショウジョウソウモドキとしました。葉の形などは異なりますが、花はそっくりです。
ただ、その後、コバノショウジョウソウ(Euphorbia dentata)にも似ていることに気が付きました。
Webで調べると、葉身の幅が広めで全縁の葉をもつ個体と、細めで鋸歯がある個体の写真が掲載されています。
ショウジョウソウモドキは全縁が基本とされ、コバノショウジョウソウは一回り小さく、全縁か波状歯牙とされています。
Webに掲載されている写真には、ショウジョウソウモドキとして両方の特徴を持つものが多々見受けられます。
ひょっとしたら、両者が混同されているのではないかという気がしています。
コバノショウジョウソウに関しては情報が乏しいうえ、上の写真しかないので、どちらなのか判断できません。
葉の特徴から、コバノショウジョウソウの可能性もあるのですが、仮にショウジョウソウモドキとしています。
なお、ショウジョウソウモドキは関東辺りまで進出しているようですが、自宅近くでは見たことがありません。


トウダイグサ属の仲間

日本で見られるトウダイグサ属の仲間には、園芸品種として持ち込まれたものや侵入種があります。
園芸新種で良く知られているのは、クリスマスの頃に良く販売されているポインセチアでしょう。
苞葉が真っ赤やピンクなどに色付いてきれいですよね。ちなみに、和名はショウジョウボクです。
トウダイグサ属の特徴はなんといっても杯状花序で、この独特の花序を見ればトウダイグサ属と分かります。

       .
<ショウジョウソウ>     <ショウジョウソウモドキ>      <ハツユキソウ> .
上記の3種は、海外から入ってきたもので、ハツユキソウは園芸品種です。
ショウジョウソウとショウジョウソウモドキは南北アメリカの熱帯地方、ハツユキソウは北米南部が原産地です。

       .
 <トウダイグサ>         <タカトウダイ>        <チャボタイゲキ>
トウダイグサとタカトウダイは在来種で、本州以南に分布しています。
チャボタイゲキは地中海沿岸からの帰化植物で、本州以南で見られますが数は多くないようです。

       .
 <ニシキソウ>         <オオニシキソウ>         <コニシキソウ>
この3種は、トウダイグサ属ニシキソウ亜属で、ニシキソウ属として分けられることもあります。
ニシキソウはこの中では唯一の在来種で、日本全国で見られます。
オオニシキソウは南北アメリカ、コニシキソウは北アメリカが原産地の帰化植物で、日本全国で見られます。


チャボタイゲキ(Euphorbia peplus)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・トウダイグサ連・トウダイグサ属>


 
トウダイグサ科トウダイグサ属の1年草で、ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア原産の帰化植物。
日本では、本州の関東以南から四国、九州に帰化しているが、まだ、あまり多くない。
世界では、オーストラリア、ニュージーランド、北米を初め、温帯および亜熱帯気候の国々に移入分布している。
草丈は、30pほどになり、茎は全体に滑らかで無毛。茎葉は互生し、長さ3p程の楕円形で、全縁。葉先は尖る。
4つの腺体には、両端に角状の突起がある。杯状花序の総苞内には雌花1個と雄花10個がある。
杯状花序の中心にある雌花が先に熟して倒れ込む。刮ハが熟すと果柄が立ち上がり、はじけて種子を飛ばす。

2021/5/11
新名神高速道路の鈴鹿PAを散歩中、以前見たことのあるチャボタイゲキを見つけました。
花は終わってしまっており、熟した刮ハが一部に残っているだけで、後は、種子を散布した後でした。
左の写真の右上に見えているのが熟した刮ハで、熟すとこのように立ち上がってきます。
その後、種子を弾き飛ばすと、右の写真のように刮ハの果柄だけが残ります。
この状態になっても、基部には両端に角状の突起がある4つの腺体は残っています。









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