播州地方で見かけた昆虫(T)
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アオスジアゲハ(Graphium sarpedon)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アオスジアゲハ族・アオスジアゲハ属> アゲハチョウ科アオスジアゲハ属に分類されるチョウで、在来種。 日本を含め、東アジア、東南アジア、オーストラリア北部の広い範囲に生息している。 日本では、東北地方南部あたりが北限とされており、寒い地方では数がすくない。 日本の亜種は、「Graphium sarpedon nipponum」で、朝鮮半島にも分布している。 前翅長は40〜45mmで、開張は55〜65mmになる。 翅は黒色で、前翅と後翅に青緑色の帯が貫いているのが特徴で、この部分には鱗粉はなく、透き通っている。 翅の模様の雌雄差はほとんどないため、雌雄の判断は生殖器を確認する必要がある。 出現時期は5月〜10月で、年に3〜4回発生する。 飛翔は敏捷で、飛翔力が高いため、樹木や花の周りを目まぐるしく飛び回っていることが多い。 幼虫は、クスノキ科の植物(クスノキは防虫剤の樟脳の原料)を食草にしている。 クスノキは、街路樹や公園、寺社の境内などに多く、そのため、都市部でもよく見かける。 冬は蛹で越冬する。
2022/4/30
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園で、アオスジアゲハを何度か見かけました。 ただ、動きが早すぎて追いきれないため、写真は撮れないでいました。 駐車場近くの花壇でアブなどを撮っていたとき、突然、チャンスが生まれました。 横から飛んできたアオスジアゲハが吸蜜を始めたのです。急いで撮ったのがこの写真です。 続けて何枚か撮ろうとしたのですが、次のシャッターを押す前に飛び去って行きました。 | ||||||||||
キアゲハ(Papilio bianor)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ族・アゲハチョウ属> 本種は、ヨーロッパからアジア、北米北西部にかけて広く分布し、いくつかの亜種に分かれている。 日本は、北海道から本州、四国、九州まで、全国に分布している。 日本に分布している亜種は、「Papilio machaon hippocrates」とされている。 幼虫は、セリ科植物(セリ、ハマウド、シシウド)を食草とするため、生息地は広い。 また、野菜のニンジン、パセリ、ミツバ、アシタバも大好物なため、農家の方にとっては害虫である。 なお、幼虫は、三齢幼虫まではナミアゲハと同じ黒い体色をしている。 しかし、四齢幼虫では白地に黒と黄色の斑点模様となる。 さらに、終齢幼虫の五齢幼虫になると黄緑と赤い斑点のある黒の縞模様に変わる。 なお、幼虫に触ると頭部と胸部の間から強烈な悪臭を放つ黄色い臭角を出す。 成虫の前翅長は4〜6cmで、春型の個体は夏型の個体よりも小さく、かつ、黒い部分が少ない。 翅は黒地に黄白色の斑紋や線が多数入りナミアゲハに似るが、黄色味が強く、黒線が細い。 後翅には水色の斑紋があり、尾状突起の内側には橙色の斑紋がある。 ナミアゲハとの大きな違いは前翅の基部で、キアゲハには模様はないが、ナミアゲハには線模様がある。 本種は、蛹で越冬するが、-196℃の低温にも耐えられる。
2015/8/11
実家の庭で見かけたキアゲハの終齢幼虫です。 何が植わっていたのかは、葉が完全に食べられてなくなってしまい不明です。 食べるものが無くなったためか、蛹になるためか分かりませんが、1匹は移動を始めていました。
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ナミアゲハ(Papilio xuthus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ族・アゲハチョウ属> 2018/6/1 2018/6/4
日本を含め、台湾、中国、朝鮮半島、沿海地方まで分布している。
日本は、北海道から南西諸島まで、全国に生息している。 幼虫はミカン科の植物が食草となっており、四齢幼虫までは黒い体色をしている。 終齢幼虫の五齢幼虫になると緑色の体色に変わる。 なお、幼虫に触ると頭部と胸部の間から強烈な悪臭を放つ黄色い臭角を出す。 成虫の前翅長は4〜6cmで、春型の個体は夏型の個体よりも小さい。 翅は黒地に黄白色の斑紋や線が多数入り、キアゲハに似るが、黒線が太めで、黄白色部が白っぽい。 後翅には水色の斑紋があり、尾状突起の内側には橙色の斑紋がある。 キアゲハとの大きな違いは前翅の基部で、キアゲハには模様はないが、ナミアゲハには線模様がある。 本種は、蛹で越冬する。
2018/6/1 実家の庭で、ニオイイリスの葉裏に付いた、ナミアゲハの蛹を見かけました。
この直ぐ横には、ハナユズの樹があり、毎年、ナミアゲハの幼虫が付きますので、そこから来たのでしょう。 まだ、蛹になって間がないようで、淡い緑色の体色に黄色い模様がきれいに出ています。 2018/6/4 実家の庭先で、ソシンロウバイの葉に交尾中のナミアゲハが止まっていました。 写真を撮っていると、飛び立ってしまいましたが、しばらくすると近くのモミジの木に止まってくれました。 それが右側の写真です。背面から見ると交尾している尾端の様子が良く分かりますね。 なお、上の黄色味が強い方がメスで、下の白っぽい方がオスです。 止まるときも飛ぶときも、メスがオスをぶら下げたままで、体力がいるためか、長く飛ぶことはできないようです。 オスは、メスの尾端を把握器(valva)という板状の器官で挟み込んで固定しています。 右下の写真で、黄色い器官がメスの生殖器と思われ、それをオスが把握器で挟み込んでいます。 2020/7/25 なぜか、花も咲いていないのに、この場所が気に入ったのか、何度も戻ってきていました。 近づくと、逃げるのですが、離れると直ぐに戻ってくるのです。なぜなのでしょうかね。 2021/5/25 スミゾメハキリバチを追いかけているとき、ハナユの葉に居るナミアゲハの幼虫を見つけました。 そういえば、最近、幼虫...イモムシですが....を見ていないことに気が付きました。 柑橘系の葉には大概いるので、注意して見ていれば気付いているはずなんですが。 普段、そういった所をあまり気にしていないことの現れなんでしょうね。 2023/5/27 <春型メス> 2020/7/25 <夏型オス> 実家の庭のマメイヌツゲが満開になり、いろいろな昆虫が訪花していました。 その中にナミアゲハのメスがいたのですが、よく見かける物の2/3ほどの大きさしかありません。 春型のナミアゲハは小さいのですが、久しぶりに見ると異常に小さくみえました。 雌雄の違いが分かり易い写真が撮れたので、以前撮ったオスの写真と並べてみました。 オスの方は夏型で、夏型のオスではこのように赤い斑紋がみられません。 しかし、春型のオスには赤い斑紋があるので、あるからと言ってメスとは限りません。 春型の雌雄には赤い斑紋はありますが、メスの方が大きく、オスは半弁ほどの大きさです。 また、夏型では雌雄を並べた時、メスの方が黄色味が強いのですが、単独では判断が難しいでしょう。 夏型の雌雄が連結した最初の方の写真を見てもらえれば、黄色味の差が分かると思います。 なお、春型では雌雄とも黄色味がかっているので、さらに判断が難しいと思います。 確実に雌雄を確認するには、腹端にある交尾器を確認するのが確実です。 オスの腹端には把握器(メスを挟む)があり、尖って、左右に分かれています。
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クロアゲハ(Papilio protenor)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ族・アゲハチョウ属> アゲハチョウ科アゲハチョウ属の蝶で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国南部、台湾、ヒマラヤ、インドシナ半島まで分布している。 成虫の前翅長は50〜70mmあり、オスの後翅前縁には白斑がある。 また、後翅の赤斑は、オスよりもメスの方がよく発達する。また、メスの前翅は白っぽくなる。 幼虫は、サンショウ、ユズ、カラタチなど柑橘系の植物が食草である。 終齢幼虫の五齢幼虫になるとナミアゲハのような緑色の体色に変わるが、帯模様は茶色である。 なお、幼虫に触ると頭部と胸部の間から強烈な悪臭を放つ臭角を出すが、本種は紅色をしている。
2024/4/23
7分咲きほどになったヒラドツツジの花に、クロアゲハが吸蜜にやってきました。 実家でナミアゲハやキアゲハはよく見ますが、クロアゲハを見たのは初めてです。 前翅の表面が白っぽく見えているので、この個体はメスのようです。 直ぐ近くにはハナユの樹があるので、ナミアゲハは産卵にも飛来してきます。 クロアゲハも同じ食草なので、飛来しても不思議ではないのですが、幼虫も見たことはありません。 | ||||||||||
ナガサキアゲハ(Papilio memnon)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ族・アゲハチョウ属> 日本では、本州近畿以南から四国、九州、南西諸島に分布している。 海外では、東南アジアとインドネシアの島嶼から、中国、台湾を経て日本まで分布している。 近年は、茨城県南西部や栃木県南部でも確認され、関東北部での増加が顕著である。 なお、日本に分布するのは、亜種の「Papilio memnon thunbergi Von Siebold」である。 成虫の前翅長は80mmほどあり、日本産のチョウでは、オオゴマダラなどと並ぶ最大級のチョウである。 本種は、性的二形が顕著で、オスの翅は全体が黒く、後翅の外縁にわずかに赤い斑点が認められる程度。 一方、メスの後翅の中央部には白く細長い斑点が並び、その外縁に赤い環状紋が並ぶ。 その白い斑点は、南の個体ほど広くなる傾向があり、九州や沖縄産では前翅にまで広がる。
2015/8/11
觀濤處(かんとうしょ)に上った帰り道、通路を下りていると黒いものが上を通り過ぎました。 何かと思って見上げると、すぐ上の葉に止まったので、それがアゲハチョウだと分かりました。 尾状突起が見当たらなかったので、傷んだクロアゲハかと思ったのですが、それほど傷んでいません。 尾状突起がないアゲハチョウで思い当たるのはナガサキアゲハだけです。 真っ黒な翅に、若干の青い色の反射が見られ、斑紋がまったく見られないので、オスの個体です。 | ||||||||||
ギフチョウ(Luehdorfia japonica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ アゲハチョウ科・ウスバアゲハ亜科・ギフチョウ族・ギフチョウ属> アゲハチョウ科ウスバアゲハ亜科ギフチョウ属に分類されるチョウで、日本固有種。 日本では、本州の秋田県南部の鳥海山北麓から山口県中部にいたる26都府県に分布する。 ただし、東京都と和歌山県では絶滅している。 本州の里山に生息するチョウで、成虫は3月下旬〜6月上旬にのみ発生する年1化。 オスはメスよりも1週間ほど早く発生する。 早春の短い期間にのみ現れることから、「春の女神」とも呼ばれる。 カタクリ、ショウジョウバカマ、スミレ類、サクラ類などの花を訪れ吸蜜する。 活動は、午前中は日光浴や交尾、午後は高い所を飛び回る。 成虫の前翅長は30〜35mmで、開張は48〜65mmである。 翅は黄白色と黒色の縦縞模様で、後翅の縁に青や橙、赤色の斑紋が並び、尾状突起がある。 幼虫の食草は、ウマノスズクサ科カンアオイ属のミヤコアオイやヒメカンアオイなどである。 幼虫は4回脱皮して終齢幼虫となり、夏には落葉の裏でサナギ(体長20mmほど)となる。 サナギの期間は約10ヶ月と非常に長く、そのまま越冬して、翌春に羽化する。 なお、良く似たヒメギフチョウは、後翅の縁の斑紋が橙色ではなく黄色なので判別は容易。
2024/4/12
ギフチョウに会いたいと網引湿原にきたのですが、先客の方が会えなかったと帰られました。 いや、居るはずだと第2湿原に入ると、右手の斜面で大きめのチョウが見えました。 網引湿原では、この時期にはコバノミツバツツジの花しか咲いていません。 そのため、吸蜜に来たのでしょう。近くに行ってみましたが、着いた頃にはいませんでした。 しばらく待っていると、飛んできたので撮影しましたが、うまく撮れませんでした。 ブレボケのひどい写真ですが、拡大して見るとナミアゲハらしいことが分かりました。 その後、第3湿原の方のコバノミツバツツジに移動。ギフチョウらしいものを確認できました。 ここでは、第3湿原の遊歩道近くの群生地と第2湿原奥の斜面にある群生地で見られました。 どうやら2匹が、この2ヶ所を含む蝶道を巡っているようで、数十分ごとに現れます。 第3湿原の群生地に現れたギフチョウが、遊歩道から数mの所に止まってくれました。 それを撮っているときに飛び立ったので、それを追って撮ったのが右の写真です。 ちょっとピントが甘いですが、何とか飛んでいるところも撮れました。 2024/4/14 再び、第3湿原の遊歩道近くのコバノミツバツツジ群生地で、撮影にトライしました。 先客がいて、なかなか止まってくれないと嘆いておられました。 飛んできたチョウが何かおかしいと感じ、撮影した写真でナミアゲハと確認。ちょっとがっかり。 その後、やってきたギフチョウはサービス精神旺盛で、移動しながら盛んに吸蜜していました。 そのため、シャッターチャンスが多々あり、良い写真を撮ることができました。 | ||||||||||
ツバメシジミ(Everes argiades)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ヒメシジミ亜科・ヒメジジミ族・ツバメシジミ属> シジミチョウ科ツバメシジミ属のチョウで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と広範囲に分布する。 日本に分布するのは、亜種「Everes argiades hellotia」である。 なお、北海道には亜種「Everes argiades seitzi」も分布する可能性が指摘されている。 海外では、ユーラシア大陸の温帯域に広く分布している。 前翅長は9〜19mmで、翅の表面はオスでは青紫色、メスでは黒い。 翅裏は灰白色で暗色の斑紋があり、後翅の後端にはオレンジ色の斑紋がある。 後翅には尾状突起があり、この突起をツバメの尾羽に見立てたのが和名の由来。 出現時期は3月〜10月と長く、年に4〜5回発生して、幼虫で越冬する。 幼虫の食草は、シロツメクサやハヤズエンドウなどのマメ科の植物の花やツボミ、新芽である。 成虫は、日中に様々な平地の草地を活発に飛び回り、様々な花で吸蜜する。オスは地面でも吸水する。
2019/7/6
実家の庭や畑でよく見かけるシジミチョウの1つです。 なかなか翅を開いてくれなかったので、写真ではオスかメスかは判別不能です。 飛翔中に、翅が青く見えればオス、黒く見えればメスなのですが、黒く見えたのでメスでした。 2021/6/5 実家近くの川沿いを散歩中、足元の草原からシジミチョウが飛び出してきました。 気付かずに近づいたため、慌てて逃げだしたようです。 近くに止まったので確認すると、橙色の斑紋が見えたのでツバメシジミと分かりました。 翅は前後には動かしてくれるのですが、開いてはくれなかったので、翅表の色は不明です。 飛翔中の色も、とっさの事でしたので確認できていません。 ただ、前後にずらしたときにちらりと見えた部分は、かなり黒っぽく見えます。 なお、翅裏は、以前撮影した個体と比べるとかなり青みが強いようです。
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ヤマトシジミ(Zizeeria maha)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ヒメシジミ亜科・ヒメシジミ族・ヤマトシジミ属> シジミチョウ科ヤマトシジミ属のチョウで、在来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島まで広く分布している。 海外では、台湾、朝鮮半島から中国、フィリピン、インドネシア、インドなどに分布する。 多くの亜種に分かれ、日本でもトカラ列島の悪石島以南の南西諸島亜種とそれ以外の本土亜種に分かれる。 開張は20〜30mmで、翅表は、オスでは青〜青白色で、外縁部には黒色帯がある。メスでは全面黒〜暗灰色。 翅裏は、雌雄とも灰褐色の地色に、円形またはくの字型の黒色斑紋があり、斑紋は翅脈をまたがらない。 雌雄とも季節変異があり、低温期ではオスの黒色帯は細くなり、青い部分は白味を帯びた青白色になる。 メスでは、黒〜暗灰色の地色に基部側より青紫色の部分が拡大し、青味を帯びてくる。 夏の高温期には、オスでは黒色帯は太くなり、青味が強くなる。メスは、ほぼ全面黒〜暗灰色になる。 日本では、本州以南で極普通に見られ、年4〜5回発生し、4月〜11月まで見られる。 冬は幼虫で越冬するが、冬でも暖かいと摂食する。なお、南西諸島では周年発生する。
2020/11/29
実家近くの川沿いを散歩中、土手近くの草むらで見かけたヤマトシジミです。 よく見かけるものより、黒色斑紋の色が外縁に並ぶものやへの字形のものが淡いですね。 草むらの下の方で、葉の裏側に止まってジッとしていました。 撮影のために近くの草を動かしても、まったく動きません。 冬眠ではないのでしょうが、気温が低かったので動けなかったのではないかと思います。 2021/10/2 実家の庭で、ヤマトシジミのオスが数匹飛び交っていて、その内の1匹が止まりました。 翅を開いて止まったので、翅表の青い色が良く見えますが、高温期なので黒い部分が多いですね。 2021/10/4 実家の部屋にヤマトシジミのメスが迷い込んできました。 上段は同じ個体で、指を近づけると乗り移ってくれたので、手乗りヤマトシジミです。 逆光での撮影では、翅裏が茶色味を帯びていますが、光が当たると白っぽい色になります。 飛翔しているところも狙ったのですが、動きが不規則なので撮るのは難しかったです。 なんとか見られるのはこの2枚のみでした。翅表は暗褐色ですが、光の具合で青い反射が見えます。 <メス> 2022/8/27 <オス> 網引湿原の駐車場から第1獣害防止ゲートまでの通路脇には、多くのヤマトシジミが飛び交っていました。 飛び交っているのは多くがオスで、メスは少ないようです。そのメスには交尾しようとオスが集まっていました。 2022/8/27 上記はその極端な例で、交尾中のカップルが止まっている所に、次々とオスが飛来ていました。 見ているときには、最大で4匹のオスが次々と横恋慕していましたが、見事に跳ね除けていました。 2024/4/12 今年も網引湿原の駐車場から第1獣害防止ゲートまでの通路脇で、飛び回っていました。 この時期は春型なので、8/27の夏型の写真と比べると、翅の外縁の黒色帯が細いのが分かります。 | ||||||||||
ルリシジミ(Celastrina argiolus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ヒメシジミ亜科・ルリシジミ属> シジミチョウ科ルリシジミ属に分類されるチョウで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、奄美諸島以北に分布する。 海外では、ユーラシア大陸、北米大陸に広く分布している。 前翅長は12〜19oで、開張は24〜35mmになる。 翅表は、オスでは全面青藍色になり、メスでは外縁部が幅広く黒褐色になる。 翅裏は、全面青灰色で小黒斑が散在し、その配置や大きさなどで種別を判断できる。 成虫の出現時期は3月〜11月で、年3〜4回発生する。成虫は地面で吸水したり、花で吸蜜する。 幼虫の食草は、マメ科、ミズキ科、タデ科、バラ科、シソ科など、様々な植物の花やつぼみである。 越冬は幼虫で行うが、早春の早い時期に現れる。
2021/3/19
実家の鉢植えのムスカリが満開になって、そこにシジミチョウも訪花していました。 後で翅裏の斑紋の特徴からルリシジミと分かりましたが、その場で判断するのは難しいですね。 何匹かいて、たまにもつれ合ったりしていたのですが、イヌツゲの葉に止まってくれました。 そして、惜しげもなく翅を開いて、翅表の奇麗な青藍色を撮らせてくれました。 翅全面がほぼ青藍色で、外縁部の黒い縁取りが極狭いので、この個体はオスです。 2021/3/23 実家近くの河川沿いを散歩中、土手の法面に生えているセイヨウタンポポで見かけました。 翅裏の斑紋からルリシジミと判断しましたが、止まると翅を閉じてしまい、翅表が見えません。 仕方がないので、飛んでいる所を何回か撮ったのですが、1ショットだけピントがほぼ合いました。 その結果、この個体はメスと分かり、数日前と合わせて雌雄の写真を撮ることができました。 その後、止まった草の上で、翅を少し前後に動かしたり、少し開いたりしていたのが、右の写真です。 | ||||||||||
ベニシジミ(Lycaena phlaeas)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ベニシジミ亜科・ベニシジミ属> シジミチョウ科ベニシジミ属のチョウで、在来種。 ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く分布し、多くの亜種に分かれている。 日本に生息する亜種は、「Lycaena phlaeas americana Harris」である。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 前翅長は15mm前後で、出現時期は3月〜11月と長い。 前翅は表裏とも赤地に黒褐色の斑紋があり、後翅は表面が黒褐色で、裏面が灰色。 雌雄で翅の形が異なり、前翅が尖ったような形のものがオスで、少し丸まった感じのものがメスである。 また、春型ではオレンジ色が鮮やかで、黒斑が小さくなり、縁取りも幅が細くなる。 夏型では、黒斑が大きくなり、オレンジ色部分に縁取りの灰褐色が混ざりこんで、全体が黒っぽくなる。 秋型は、春型のようにオレンジ色が鮮やかになるが、黒斑や縁取りは夏型に近い。 幼虫の食草は、タデ科植物のスイバ、ギシギシ等。冬は幼虫で越冬する。
2020/11/23
実家近くの川沿いを散歩中、セイヨウタンポポの葉に止まっているベニシジミを見かけました。 葉に翅を開いて止まり、ジッとしていて動こうとしません。 気温が低かったからでしょうか。羽を開いて太陽の光(熱)で温まっているようでした。 前翅の先が丸みを帯びているのでメスですね。色味は典型的な秋型です。 2021/3/23<オス> 2021/4/11<メス> 2021/3/23 実家近くの川沿いを散歩中、土手の法面に生えているセイヨウタンポポで見かけました。 2匹いたのですが、その内の1匹です。翅の先が尖っているので、この個体はオスです。 翅の色味は春型ですが、黒斑や縁取りは夏型に近く、秋型に近い感じです。 2021/4/11 実家近くの川沿いを散歩中、土手の法面で見かけたベニシジミです。 光りの加減もありますが、オレンジ色が鮮やかで、黒い縁取りが細くなった春型です。 また、前翅の先が丸みを帯びているので、この個体はメスです。左のオスと比べてみてください。 2022/6/27 朝、玄関を出た所にあるイヌツゲで、翅を広げて日光浴をしているベニシジミに会いました。 寒い時期なら分かるのですが、今の時期にと思ったのですが、朝露が付いていたのかも。 翅の色はすっかり夏型の黒っぽい色になり、上記の春型とは色合いがかなり異なります。 | ||||||||||
ムラサキシジミ(Arhopala japonica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ミドリシジミ亜科・ムラサキシジミ族・ムラサキシジミ属> シジミチョウ科ムラサキシジミ属に分類されるチョウで、在来種。 暖地性のチョウで、日本では本州の宮城県から四国、九州、沖縄にかけて分布する。 海外では、台湾や中国西部などに分布する。 前翅長は14〜22mmで、開張は30〜40mmになる。 出現時期は3月〜10月にかけて3〜4回出現し、成虫で越冬する。 翅表は青紫色に輝き、周辺は黒褐色で縁取られている。 翅裏は褐色地に暗褐色の斑紋がシミのように見える。前翅の先がやや尖っている 平地の林のシイやカシの木の周辺で見られ、枝葉にまとわりつくように飛ぶ。 訪花することは少なく、成虫が何を主に摂取しているのか詳細は不明である。 幼虫の食草は、主にブナ科常緑樹(アラカシ、スダジイ、イチイガシなど)である。 これらが少ない場所では、ブナ科落葉樹(クヌギ、コナラなど)も食べる。
2021/3/19
実家の庭でルリシジミを撮ろうと追っていた時、不意に黒っぽいチョウが目の前を横切りました。 飛んでいるとき、翅表に青い色が見えましたので、ウラギンシジミのメスかと思いました。 近くのヒラドツツジの葉に止まったので、そっと見てみると翅裏は暗褐色で、銀色ではありません。 急いで写真を撮ろうとしたのですが、手前の葉が邪魔。しかし、高い所なので、どうすることもできません。 しばらく待ったのですが翅を開いてくれず、どうしたものかと思っていると、飛んで行ってしまいました。 後で調べた結果、翅裏の特徴からムラサキシジミと分かりました。越冬個体のようです。 | ||||||||||
モンシロチョウ(Pieris rapae)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シロチョウ科・シロチョウ亜科・シロチョウ族・モンシロチョウ属> シロチョウ科モンシロチョウ属に分類されるチョウの一種で、在来種。 日本(全国)を含め、全世界の温帯、亜寒帯に広く分布する。 広い分布域の中でいくつかの亜種に分かれている。 日本に分布するのは亜種「Pieris rapae crucivora」とされている。 幼虫の食草はキャベツ、アブラナなどのアブラナ科植物で、それらの栽培域の拡大に伴い分布を広げてきた。 日本のモンシロチョウは、奈良時代に大根の栽培と共に移入されたと考えられている。 成虫は3月〜11月頃まで長期間見られ、年に4〜5回ほど発生するが、時期や回数は地域によって異なる。 開長は45〜50mmで、前翅前縁の暗灰色の幅が狭いのがメスで、オスはメスの倍以上と広い。 オスはメスを探して飛び回るので、長時間飛び回っている個体の多くはオスである。 オスはメスを見つけると交尾しようとするが、交尾済みのメスは翅を広げ、腹部を突き上げて拒否する。 幼虫は、孵化後、4回脱皮して終齢幼虫となり、その後サナギになる。越冬はサナギで行う。 ※ 羽化の詳細に関しては「モンシロチョウの羽化」に掲載しています。 また、その一部の写真を部分拡大したものを「モンシロチョウの羽化[拡大写真]」に掲載しています。
2019/7/8
実家の庭ではお馴染みのモンシロチョウです。私が初めて飼育したチョウでもあります。 畑にキャベツなどの野菜が植えられているので、モンシロチョウは春一番にやってきます。 2021/3/19 今年もモンシロチョウが裏の畑や庭を飛び交い始めました。 畑のブロッコリーの周りを飛び回っていましたが、近くのアガパンサスの葉に止まりました。 翅の基部半分ほどが灰白色なので、予想通りメスでした。産卵しようとしていたようです。 庭に居たとき、足元に1輪だけタンポポが咲いていて、モンシロチョウが好きそうだなと思っていると、 なんと、横からス〜っと飛んできて、吸蜜を始めました。足元だったので、真上からの撮影となりました。 2021/4/2 2021/4/10<卵> 2021/4/2 庭のモミジの花を撮影していて、交尾中のモンシロチョウに気が付きました。 外側の翅裏が黒っぽいのがオスで、内側の翅裏が黄色っぽいのがメスです。 オスの翅に糸状のゴミが付いていたので、摘まんで取ってやったのですが、逃げませんでした。 オスの翅は傷んでいましたので、歴戦の勇士のようで、逃げる体力がなかったのかも... 2021/4/10 キャベツの葉にモンシロチョウが産卵していたので、卵をアップで撮ってみました。 もう少しアップにできれば、表面の模様が見えるのですが、100mmマクロでは、これが限界です。 それでも、微かに縦(写真では横)に筋が走っているのが確認できると思います。 2022/5/15 実家の裏の畑で、ジャガイモの葉で休息中のモンシロチョウのカップルを見つけました。 近づいても逃げず、突くと飛んだのですが、浮き上がれずに下の葉に落ちるように移動しました。 メスが重すぎるのか、うまく飛ぶことができないようで、その場にずっといました。 上のカップルの写真と比べると、メスが黄色味を帯びているのは同じですが、オスは白いです。 2021/6/24 実家近くの川沿いを散歩中、アレチハナガサを訪花中のモンシロチョウが居ました。 同じ場所をウロウロしていたので、飛翔中の撮影にトライすることにしました。 上記は、何度かトライした中で、うまく撮れたタッチダウン直前の飛翔姿です。 目標に向かって飛翔し、直前に翅を大きく開いて急減速、そして花に止まって吸蜜です。 スペースシャトルやジェット戦闘機がパラシュートを開いて急減速するのと同じですね。 カモなども着水するときには、羽を開いて同じような体制で減速しています。 2023/11/7 実家で栽培していたブロッコリーに、モンシロチョウの幼虫が付いていました。 このままでは、ブロッコリーが葉なしになってしまいそうなので、駆除することにしました。 11/5に大きな終齢幼虫を10匹ほど飼育箱に移し、他の小さな幼虫は処分しました。 この日確認すると、半分ほどが前蛹になったり、サナギになったりしていました。 左端の写真は脱皮して間もない終齢幼虫で、中央と右端は間もなく前蛹になると思われるものです。 こうして拡大して見ると、幼虫は結構毛深くくて、頭部にもたくさんの毛が確認できます。 2023/11/7 何匹かはサナギになっていましたが、左端は脱皮して間もないため緑色がかっています。 中央や右端のサナギは時間が経過して褐色に変化し、右端が最も時間が経ったサナギです。 2023/11/7 11:27 2023/11/7 14:02 2023/11/7 . 左端は前蛹になる準備を始めた幼虫で、その2時間半後には中央の前蛹になっていました。 右端は前蛹になって1日ほど経ったもので、褐色味がかかり、間もなくサナギになるでしょう。 2023/11/26 プラスチックの蓋に張り付いていた幼虫が、頭部を90°折り曲げる動きをしていました。 イモムシだからできる動きですね。体を固定するために糸を張っているのでしょう。 しばらくして見に行くともう動くことはなく、前蛹になっていました。 透明な蓋なので、裏からも撮れると思ったのですが、糸が多くて半透明状態でした。 2023/11/8 7:36 2023/11/8 7:38 2023/11/8 7:40 2023/11/8 7:41 2023/11/8 7:42 2023/11/8 9:04 前日に前蛹になった前述の個体ですが、唯一、飼育箱の外側で前蛹になっていました。 撮影しやすいので注意していたのですが、朝起きて確認すると脱皮が始まっていました。 慌てて撮影の準備をしたのですが、すでに半分以上脱皮が終わっていました。 上段右端の通り、抜け殻の頭部が中央辺りにあり、腹部は半分ほど抜け殻の中です。 7:40には、ほぼ脱皮が終わって、尾端を外して体をくねらせて抜け殻を外しています。 7:41には、再び尾端を固定して、体を伸び縮みさせながらくねらせて、抜け殻を外そうとしています。 7:42には、抜け殻は完全に外れ、あっと思ったときには抜け殻は落ちていました。 この時点では、サナギの外形が少し歪でしたが、9:04になると普通のサナギの形になっていました。 2023/11/11 前述のように脱皮後に脱落した抜け殻が飼育箱の底に落ちていたので、集めて撮影しました。 硬い頭部は原型を留め、それ以降の薄い部分は頭部と同程度に圧縮されて付いています。 右の写真のように、中には糸に絡まって、サナギの所にぶら下がったものも見られました。 <終齢幼虫> <4齢幼虫> 2023/11/11 <3齢幼虫> <2齢幼虫> 小さな幼虫を撮っていなかったので、いろいろ探して撮りましたが、1齢幼虫はいませんでした。 2齢幼虫で体長は9mm前後、終齢幼虫では体長は30mm前後になっています。 しかし、その際に別種の幼虫が混ざっていることに気が付きました。 見た目はよく似ていますが、体側に白い縦の条斑が見え、モンシロチョウより細長いです。 白い条斑を頼りに調べてみると、キンウワバ亜科の幼虫のようで、タマナギンウワバと思われます。 2023/11/11 13:50 2023/11/11 14:08 2023/11/11 14:11 2023/11/11 14:16 2023/11/11 13:17 2023/11/11 14:18 2023/11/11 13:18 2023/11/11 14:18 何の気なしに飼育箱を除くと、尾端に白っぽいものを付けた幼虫に気が付きました。 よく見ると、腹部の後端半分ほどに抜け殻が付いている、脱皮途中だと分かりました。 急いでカメラを準備して撮影を始めましたが、動き回っていますが脱皮がなかなか進みません。 その時、餌の葉を変えるとき、白い糸が付いた幼虫がいたのを思い出しました。 おそらく、脱皮殻を固定しておくための糸だったのを、このとき引き剥がしてしまったのでしょう。 必死て動き回って脱皮を試みているのですが、脱皮殻が固定されていないので、脱皮しきれないようです。 無理やり引き剥がしてしまったこともあり、助け舟を出すことにして、脱皮殻を固定しました(2段目)。 すると、体をねじったり、伸縮させたりして脱皮を進め、ついに脱皮に成功しました。 2023/11/17 餌用に取ってきた葉に幼虫が付いていたりして、結構過密になってきました。 写っていませんが、葉裏にはタマナギンウワバの幼虫が2匹付いています。 上段左の写真で裏から顔を出しているのが、右の写真中央の大きめの幼虫です。 それがサナギになるため、飼育箱の中をウロウロし始めたのが下段の写真です。 透明な壁を登っているときだったので、外から腹面を撮ることができました。 幼虫が歩いている所を腹面側から見る事は、自然界ではあまりないことだと思います。 ※ 上段右の写真で上側にいる幼虫ですが、11/18に前蛹になるために移動していました。 翌11/19に様子を見ると、やせ細った体の下に黄色い繭が大量に付いていました。 体色がまだらに黄色味がかっていたのでもしやと思っていたのですが、寄生されていたようです。 2023/11/21 2023/11/23 前日、前蛹になるために飼育箱の中をウロウロしていた幼虫ですが、寄生されていました。 アオムシサムライコマユバチに寄生されていた幼虫は、これで2匹目になります。 隣りにはサナギがあり、この個体はサナギになれずに死ぬ運命で、哀れですがそれが自然です。 一般に、モンシロチョウの幼虫の寄生率は50〜90%とかなりの高確率で寄生されます。 なお、裏の畑から持ち込んだ幼虫は12匹がサナギになり、寄生されていたのは2匹と低率でした。 右の写真は、逆光で終齢幼虫を撮ったものですが、体の後半がかなりスカスカのようです。 見た目は普通にみえますが、ひょっとしたら、この個体も寄生されているのかもしれません。 ※ この個体は大丈夫でしたが、もう1匹の方は寄生されていました。3匹目です。 10:59 11:02 12:35 2023/11/30 この日、朝見たときにはいなかったモンシロチョウが、11時頃に縁に止まっていました。 日が当たると暖かくなる廊下に置いていたので、春と勘違いして羽化したのでしょうか。 翅もしっかり伸びていたので、羽化後、1時間以上経過していると思われます。 写真を撮っていると窓の方へ飛んでしまい、窓に沿ってパタパタと飛び回っていました。 昼食後、様子を見に行くとカーテンに止まっていたので、それを指に止まらせました。 それが下段左の写真で、近くの蛹化用に置いていた枝に止まらせると、ジッとしていました。 この個体は、前翅前縁の暗灰色の部分が広いので、メスですね。 目いっぱい拡大すると鱗粉が見えるかと、100mmマクロで撮ったのが下段右の写真です。 鱗粉が整然と並んでいて、斜めの線が見えていますが、個々の鱗粉までは見えません。 黒い鱗粉が混ざっているので、点々と見えているのが1個の鱗粉で、これが限界でした。 2024/2/27 2024/2/28 朝、廊下のカーテンを開けるとモンシロチョウが飛び出てきました。 飼育箱から脱走した何匹かの内の1匹でしょう。何匹かは回収しましたが、見逃していたようです。 廊下は天気が良いと温室なみの温度になりますので、春と間違えて羽化してしまったようです。 この時期、近隣に蜜源となる花はないので、一晩留め置き、翌日に様子を見て逃がしました。 なお、この個体は、前翅前縁の暗灰色の部分が狭いので、オスですね。 2024/2/28 廊下を飛び回っている所を撮影したのですが、モンシロチョウの翅は意外と大きくたわむんですね。 飛翔中の写真で多少たわんでいるのは見ますが、ここまでたわんでいるのは初めて見ました。 2024/3/12 夕方、廊下のカーテンを閉めようとして、モンシロチョウが止まっているのに気付きました。 まだ、飼育箱から逃走したのが残っていたようで、前翅前縁の暗灰色の部分が狭いので、オスですね。 触っても動きません。指に移したとき、褐色の踊便(ようべん)がポタポタと落ちました。 まさかと思ってレースのカーテンを確認すると、カーテンにも何ヶ所か付いていました。 羽化してくれるのは良いのですが、カーテンにこれをやられると後始末が大変なんですよね。 翅は硬化していましたが、まだ、飛翔は弱弱しく、羽化してそう時間は立っていないようです。 まだ居るかもと探すと、天井に張り付いているサナギが1個見つかりしました。 スリッパの内側とか、目に付きにくい所で蛹化するので、見つけるのは難しいですね。 2024/3/25 2024/3/26 2024/3/27 2024/3/29 飼育箱で育てたモンシロチョウ、箱の中や脱走して蛹化していたものが次々と羽化しています。 3/25に飼育箱の中で羽化して以降、毎日、1匹ずつ羽化してきています。 右下の3/29の写真は、前日に羽化したものを翌日撮影したものです。 これらは午前中に確認するといなかったのですが、午後に見ると羽化していました。 正確ではありませんが、2時〜3時くらいが多いように思います。 なお、上記の4匹に関しては、どういう訳か、全てオスでした。 2024/3/28 14:13 2024/3/28 15:07 . この日、翅の模様などが透けて見えるサナギに気づいて、3時前からチラチラ見ていました。 他の作業をしながら5分間隔くらいで見ていたのですが、パッと見ると羽化していました。 15:11 15:13 2024/3/29 8:56 見つけたときから、ほぼ翅が伸びきるまでに要した時間は5分程でした。 おそらく、羽化してから見つけたときまでの時間も、5分程だったのではないでしょうか。 その後、しっかりと伸びきって、翅が固まるまでには30分ほどかかっています。 翌日に撮影したのが右端の写真で、翅がしっかりと伸びきっています。 2024/3/29 11:09 2024/3/29 13:13 この日、回収した脱走して蛹化したサナギの1つが、羽化しそうなことに気づきました。 いつものように午後だろうと思っていたら、気付いたときにはすでに羽化していました。 パタパタ飛び回っていたのですが、少し翅を痛めてしまったようです。 この個体は、飼育していたモンシロチョウでは、初めてのメスになります。 羽化したチョウは全て外に放しているのですが、この個体も翌朝見に行くと飛んでいきました。 以前に放したオスのモンシロチョウも庭や畑にいて、さっそく絡んでいました。 13:59 14:01 14:06 14:21 2024/3/30 最初にサナギが割れる所は見られませんでしたが、その直後から観察できました。 20分ほどで翅はほぼ伸びきるようですが、固まるまでには1時間ほどかかるようです。 ※ 上記は抜粋したもので、詳細に関しては「モンシロチョウの羽化」に掲載しています。 2024/3/30 15:16 2024/3/31 8:31 2024/3/31 12:04 昨日、羽化しそうなサナギがもう1つあったのですが、夜になっても羽化しませんでした。 翌朝に様子を見に行くと羽化していました。踊便が乾いていなかったので、早朝に羽化したようです。 この個体もオスですね。羽化してくるのはオスが多いようで、メスは今まで1匹のみです。 2024/3/31 13:24 2024/3/31 14:22 この日は羽化しそうなサナギが4匹ほど確認できていました。 午後になって様子を見に行くと1匹が羽化していました。2匹目のメス(左写真)です。 その後、様子を見にいくと、さらに1匹が羽化していました。これはオス(右写真)でした。 2024/3/31 2024/4/1 . 夕方見に行くと、さらに2匹が羽化していました。 翌日確認したところ、両方ともメスだと分かりました。メスは4匹目となります。 2024/3/31 15:16 2024/4/1 7:10 7:15 7:57 . もう1つ、脱走して蛹化したものを回収した個体も羽化しそうだったのですが、羽化しませんでした。 翌朝に確認に行くと、羽化して翅が半分ほど伸びた状態でした。羽化して10分と経っていないでしょう。 この個体も翅を伸ばしている際、翅を開くときがあったのでメスと分かりました。5匹目です。 ※ 上記は抜粋したもので、詳細に関しては「モンシロチョウの羽化」に掲載しています。 2024/4/1 上記の個体を撮影している間に、飼育箱の中でも羽化していたのに気が付きました。 既に翅はほぼ伸びきっていましたので、同じようなときに羽化していたようです。 この個体もメス(6匹目)で、羽化が始まった頃はオスばかりでしたが、ここのところメスばかりです。 14:35 12:03 10:45 2024/4/2 14:36 2024/4/2 14:37 朝、この日も羽化しそうなサナギが4匹確認できました。 畑の作業が一段落したので様子を見に行くと、既に1匹が羽化して翅が伸びきっていました。 昼前に他のはどうかと様子を見に行くと2匹目が羽化し、翅を開閉しながら伸ばしていました。 翅を開いたときにオスと分かりました。30分ほど前に羽化したものと思われます。 その後も様子は見ていたのですが、3匹目の羽化に気付いたときも翅はほぼ伸ていました。 翅を開いたり閉じたりしていたので、この個体はメス(7匹目)と分かりました。 下段は羽化した3匹が並んでいる様子で、上段はこの並びに合わせてあります。 偶然でしょうけど、左から時間をおいて順に羽化しました。なお、右端の個体はオスでした。 最後に残った1匹は、夜になっても羽化しませんでしたので、明日の朝と判断しました。 9:41:09 9:41:45 9:42:22 9:42:40 9:45:13 9:47:54 9:49:47 10:19:19 2024/4/3 朝、様子を見に行きましたが、まだ、羽化はしていませんでした。 そろそろかなと様子を見ていると、突然、体を左右にくねくねと動かし始めました。 きっと、羽化が始まると思い、注意深く見ていると、動きがピタリと止まりました。 いよいよかと見ていると、背中に動きがあり、殻が割れて羽化が始まりました。 20匹のサナギを見ていて、18匹目にしてやッと羽化の瞬間を見る事が出来ました。 なお、サナギの胸部に付いている朱色の丸いものですが、羽化した別個体が付けた蛹便です。 ※ 上記は抜粋したもので、詳細に関しては「モンシロチョウの羽化」に掲載しています。 2024/4/3 10:37 2024/4/4 10:00 . 左の写真は18分後の様子ですが、まだ、翅は固まっていないようです。 右は翌日の写真で、この個体はメス(8匹目)と分かりました。 2024/4/7 2024/4/8 4/7の朝に確認すると、1匹のサナギが羽化しそうな体色に変わっていました。 午前中は羽化しなかったのですが、午後になって確認に行くと羽化していました。 なかなか翅を開いてくれなかったので、確認できたのは翌日で、メス(9匹目)でした。 最初はオスばかりだったのですが、徐々にメスが増え、オス10匹:メス9匹となりました。 今回、たまたまオスの羽化が早かったのか、はたまた、一般的にそうなのか。 オスはメスが現れるのを待って飛び回るため、オスの方が先に羽化する可能性はありそう。 何度か確認する必要がありそうですね。さて、最後の1匹はオスかメスか、どちらでしょう。 2024/4/7 ソラマメの葉にモンシロチョウが止まっていました。鳥にでも襲われたのか、翅の一部がありません。 と、そこにもう1匹のオスがやってきて、縄張り争いを始めました。 しばらくもつれ合っていましたが、最後は仲良く(睨みあってかも)葉に止まっていました。 今まで、19匹を外に放ちましたが、その内の2匹でしょう。他にも何匹か見かけます。 2024/4/17 2024/4/20 4/16の夕方に、最後の1匹が羽化しているのに気が付きました。 時々、サナギに変化が無いか確認していたのですが、前回に確認した時は変化はありませんでした。 その後、何日か経っているので、その間に羽化の準備が終わっていたのでしょう。 写真は翌朝に撮ったもので、メスと判明し、今回羽化したものは雄雌とも10匹ずつとなりました。 畑にはエンドウが多くの花を付けていて、モンシロチョウが何匹も飛び回っています。 右の写真は、ブロッコリーの花で吸蜜している翅がボロボロのモンシロチョウのオスです。 ここまでダメージを受けても、子孫を残そうと頑張っているのですね。がんばれ! | ||||||||||
キタキチョウ(Eurema mandarina)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シロチョウ科・モンキチョウ亜科・キチョウ属> シロチョウ科キチョウ属に分類されるチョウで、在来種。 日本では、本州の東北南部から四国、九州、南西諸島に分布する。 海外では、アフリカ中部以南からインド、東南アジア、オーストラリアと広く分布している。 翅は黄色で、前翅、後翅とも外縁は黒色に縁どられ、裏面に黒褐色の斑点がある。 夏型の外縁の黒帯は幅広で、秋型では黒帯は先端に少し残るか、消失する。 幼虫の食草は、ネムノキ、ハギ類のマメ科の植物で、年に数回発生し、成虫で越冬する。 以前は1種とされたが、現在では下記の2種に分類された。しかし、外見からは識別困難。
2020/11/16
実家の畑で、キタキチョウが飛んでいるのに気が付きました。 すると、耕して間もない所に降り立ちましたので、そっと近づいて撮影したものです。 後で、写真を拡大していて、口吻を伸ばして吸水していたことに気が付きました。 2021/9/18 2021/9/19 実家近くの川沿いを散歩中、ハイメドハギの周りを飛び回っているキタキチョウを見かけました。 翌日も同じ場所を通ると、同じようにキタキチョウが飛び回っていました。同一個体かな? 11/16のキタキチョウは秋型ですが、このキタキチョウは外縁の黒帯が幅広な夏型です。 夏型は、秋型よりも黄色が淡く、翅裏の褐色の斑紋も色が淡くて不明瞭なようです。 2024/3/16 網引第1湿原手前の林内で、キタキチョウが数匹飛び回っていました。 その内、1匹が地面というか落葉の上に止まったので、近づいて写真を撮っていました。 このキタキチョウは、外縁の黒帯がほとんどない秋型なので、越冬個体ですね。 そこにテングチョウがやってきて、キタキチョウを追い払って、自分がその場所に止まりました。 そこに別のテングチョウがきて絡むように飛び立つと、また、キタキチョウがやってきました。 何の変哲もない場所なのですが、日が当たっているのが良いのか、同じ場所にやってきます。 その場所には、アシブトハナアブやホソヒラタアブ、ホソミオツネントンボもやってきました。 彼らにとって、この場所は特別な場所のようで、入れ代わり立ち代わり、次々とやってきます。 2024/4/1 この個体は翅の外縁に黒い部分がほとんどないので、昨秋に羽化した秋型の越冬個体ですね。 前翅裏の褐色の斑紋が大きく明瞭だったので、気になって捕獲して写真を撮りました(下段)。 前翅裏の先端の褐色の斑紋には、消失したものから明瞭なものまで個体差があるようです。 ちなみに、この後外に逃がしたのですが、その後もときどき庭を飛び回っているようです。 | ||||||||||
モンキチョウ(Colias erate)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シロチョウ科・モンキチョウ亜科・モンキチョウ属> シロチョウ科モンキチョウ属に属するチョウで、在来種。 ヨーロッパ南東部から、中央アジア、日本や台湾まで分布しており、日本ではほぼ全国でみられる。 日本で見られるのは、亜種(C. e. poliographus Motschulsky)である。 開張は50mm前後、前翅長は23〜26mmで、前翅外縁が黒く、翅の中央には銀色の斑紋がある。 オスの翅の地色は黄色で、メスでは黄色と白色の2種類があるが、白色が圧倒的に多い。 出現時期は3月〜11月で、年に2回発生する。冬は幼虫で越冬する。 食草は、ムラサキウマゴヤシやクローバーなどのマメ科の植物である。
2020/11/29
実家近くの川沿いを散歩中、足元からモンキチョウが飛び立ち、少し離れた所に止まりました。 長い事生き抜きて強者のようで、翅の先がかなり傷んでいました。 黄色い地色なので、オスかメスかは、この写真からは判別できません。 2021/3/23 実家近くの川沿いを散歩中、土手の法面を飛び回っているモンキチョウを見かけました。 飛び回っていてなかなか止まってくれなかったのですが、不意に地面に止まってくれました。 カラカラに乾いた地面なので吸水でもなさそうです。何をしているのでしょう。 その後、飛び立って、戻ってきて止まったのも地面の上でした。 2021/6/12 実家近くの川沿いを散歩中、ヨモギの葉に止まっているモンキチョウ(オス左写真)を見かけました。 その少し先で、今度はムラサキツメクサに止まっているモンキチョウ(メス右写真)がいました。 その写真を撮っていると、先ほどのモンキチョウが飛んできて、アタックを始めました。 私が居ることを無視して、何度もアタック(中央写真)していましたが、完全無視。 隠れて見えませんが、下側のメスは翼を半開きにして、腹端を上げた拒否姿勢を取っていると思われます。 とうとう諦めて、飛んで行ってしまいましたが、メスの方は微動だにしていませんでした。 上記の左右の写真を見くらべると分かると思いますが、雌雄で前翅の形が異なります。 オス(左)の前翅前縁はカーブが強く、先が丸いのに対して、メス(右)は直線的で先が尖っています。 調べてみましたが、これが一般的に言えることかどうかは明確な記載を見つけられませんでした。 2022/4/30 高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園で、白っぽいチョウが飛んでいました。 モンシロチョウだろうと思って近づくと、モンキチョウでした。 白っぽいのはモンキチョウではメスのみなので、メスだと分かります。 上記の黄色いメスと同じように、前翅の先は直線的で尖って見えます。 2024/4/12 今年も網引湿原の駐車場から第1獣害防止ゲートまでの通路脇で、何匹か見かけました。 この個体は黄色型なので、写真からだけではオスかメスかは分かりません。 ただ、前翅の先端の丸みが強いことから、これが雌雄の判別点になるのであればオスかもしれません。
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コミスジ(Neptis sappho)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・イチモンジチョウ亜科・ミスジチョウ族・ミスジチョウ属> チョウ目タテハチョウ科に分類されるチョウの一種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、屋久島、種子島まで分布するが、それ以南には分布しない。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、欧州南東部に分布する。 幼虫の食草は、クズ、ハギ、フジ、ニセアカシアなどのマメ科植物である。3齢幼虫で越冬する。 翅の表面は黒褐色で裏面は明るい褐色。前翅に1本、後翅に2本の白い帯模様がある。裏の模様も同じ。 なお、翅を開いて止まることが多いが、その際、3本の帯模様に見える。これが和名「ミスジ」の由来。 成虫は、4月〜11月と長期間見られ、低地や丘陵地の森林周辺に多く見らる。 飛び方に特徴があり、数回羽ばたいてはスーっと滑空するのを繰り返す。
2023/8/5
網引湿原の第1獣害防止ゲートの少し手前で、コミスジがフワフワと飛んできて、葉に止まりました。 実家近くで見かけるのはホシミスジばかりでしたので、こちらでコミスジを見たのは初めてになります。 | ||||||||||
ホシミスジ(Neptis pryeri)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・イチモンジチョウ亜科・ミスジチョウ族・ミスジチョウ属> タテハチョウ科ミスジチョウ属の1種で、在来種。 日本では本州から四国、九州に、海外では朝鮮半島から中国、台湾に分布する。 前翅長は23〜34mm、開張はオス56〜59mm、メス60mmである。 翅は横長で黒褐色の地に白帯が前翅に1本、後翅に2本あり、翅を開くとこれが「三」字に見える。 これがミスジチョウ属の名前の由来で、ミスジチョウ、コミスジ、オオミスジなど、模様は似ている。 この帯模様以外に、前翅外縁の先端付近に横長の白斑が並ぶ。 翅裏の模様も翅表とほぼ同様であるが、地色は明るい茶色になる。 なお、ホシミスジは、ミスジチョウ属で後翅の付け根付近に黒斑(ホシ)が複数現れることに由来する。 イチモンジチョウ亜科のチョウは、翅を開いて止まることが多いのが特徴である。 また、飛ぶときは数回羽ばたいた後、翅を水平に開いて滑空するように飛ぶのも特徴。 成虫は初夏〜秋かけて複数回発生する。この初夏に発生した個体が産卵する。 孵化した幼虫が越冬し、翌春に活動開始して蛹になり、初夏に羽化した成虫が出現する。 なお、関東では山地で局所的に見られる程度だが、西日本では平地の住宅地でも普通に見られる。 発生も関東、中部地方では年1回の発生であるが、西日本では数回の発生が見られる。 幼虫の食草は、コデマリ、ユキヤナギ、カエデ、シモツケなどである。 成虫は、水辺や花には集まるが、その他には来ない。 ミスジチョウ属は似ているが、前翅に見られる白い帯模様から、下記のように識別できる。
2021/5/31
数日前から実家の庭をひらひらと飛び回るミスジチョウ属のチョウがいました。 そう早くはないのですが、ヒラヒラと方向を変えながら飛ぶので、補足しきれません。 飛び回っていて、止まることもなかったので撮れずにいました。 それが、この日は朝の早い時間だったからか、止まることが多かったので撮影できました。 翅をパタパタと動かしてくれたので、翅の裏側も撮影できたのは幸いでした。 ミスジチョウかと思っていたのが、3本の白帯模様や翅裏の黒斑からホシミスジと分かりました。 2022/5/27 今年も庭に、ホシミスジがヒラヒラと飛んできました。 飛翔姿を撮りたいと思ったのですが、フワフワ飛んでいる割に動きが早く、捉えきれません。 前後に動かれるとピントを追いきれず、ピンボケばかり.... 仕方がないので、室内に招待して撮ろうとしたのですが、網戸に張り付いていて飛びません。 そこで透過光と反射光で、模様の見え方を撮ってみることにしました。 上段が透過光(若干ですが裏の模様が見えています)で、下段が反射光(ストロボ使用)です。 後翅裏の白地に3個の黒斑が並んでいる所が、透過光では暗灰色に3個の黒斑の並びに見えます。 右側は、翅裏の模様を撮ったのですが、どちらも反射光で、自然光かストロボかの違いです。 2022/5/30 実家近くの川沿いを散歩中、土手の茂みの周りをホシミスジがヒラヒラと飛んでいました。 同じところをグルグルと周っているので、チャンスと思い撮影にチャレンジしてみました。 とは言っても、なかなかピントを追いきれず、何とか撮れたのはこの1ショットのみでした。 2022/6/7 実家近くで見かけるのもホシミスジばかりでしたが、高御座山で見かけたのも同様でした。 ヒラヒラ、フワフワと飛翔するのですが、方向転換するので飛翔姿を捉えるのは難しいです。
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ヒメウラナミジャノメ(Ypthima argus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・ジャノメチョウ族・ジャノメチョウ亜族・ウラナミジャノメ属>
タテハチョウ科ウラナミジャノメ属の蝶で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 出現時期は4月〜9月で、前翅長は18〜24mm、開張は33〜40mmになる。 翅に黄色で縁取られた蛇の目紋(眼状紋)が、後翅表に2個、後翅裏に5〜8個ある。 よく似たウラナミジャノメは、後翅表に1個、後翅裏に3個と少ない。 また、両種とも翅裏全体に波模様があり、これが和名の由来。 草原や林の周辺で広く見られ、人家周辺にも多い。 幼虫は、イネ科のススキ、チヂミザサなどを食草とする。幼虫で越冬する。 成虫は、いろいろな花でよく吸蜜する。
2022/4/30
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園では、ジャノメチョウ類をよく見かけました。 ちょこまかと良く動き回るのですが、たまに吸蜜や休憩?で止まることがあります。 この日、写真に撮れたのは本種のみで、翅裏に波模様があります。 そして、後翅表に4個、裏に6個の蛇の目紋があるので、ヒメウラナミジャノメと分かります。 ちなみに、ウラナミジャノメは、蛇の目紋が後翅表に1個、裏に3個と少ないです。 2022/8/9 網引湿原奥池の近くを歩いているとき、目の前に飛んできて止まってくれたヒメウラナミジャノメです。 翅裏の波模様と蛇の目紋の数から本種と分かりました。 2022/8/16 網引湿原奥池の近くを歩いているとき、翅を広げて止まっているヒメウラナミジャノメを見つけました。 前回、翅裏しか撮れていなかったので、翅表を撮ることができてラッキーでした。 市ノ池公園で見かけたものより翅表の蛇の目紋が少なく、前翅に1個、後翅に2個です。 ちなみに、ウラナミジャノメの翅表の蛇の目紋は、前後の翅に1個ずつです。 2023/5/4 網引湿原への続く農道とか湿原の周辺など、多くのヒメウラナミジャノメを見かけました。 多くの場合、遊歩道脇の葉の上とか、地面に止まるのですが、今回は吸蜜中の姿を見かけました。 今まで吸蜜している所は見ていないのですが、今回は数が多いためか、ちょくちょく見かけました。
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ヒカゲチョウ(Lethe sicelis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・ジャノメチョウ族・ヒカゲチョウ亜族・ヒカゲチョウ属> タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科に分類されるチョウの一種で、日本固有種。 以前はマネシヒカゲ族に含まれていたが、分子系統学的知見に基づき本族に移されている。 日本では、本州から四国の全域と九州の一部に分布する。 クロヒカゲの分布域と多くが重なるが、クロヒカゲは山地が中心で、低地ではあまり見られない。 それに対して、本種は低地から山地にかけて分布し、ジャノメチョウ亜科ではよく見られる。 出現時期は5月〜9月で、第1化は5月〜6月、第2化は8月からと、年2回発生する。 開張は50〜60mm、前翅長は25〜34mmである。 翅表は暗褐色の地色に小さな蛇の目模様が、翅裏は暗褐色の地色に白線と大小の蛇の目模様がある。 なお、後翅中央に毛が生えているものはオスである。 幼虫の食草はササ類各種(チシマザサ、ネザサ、クマザサなど)で、幼虫で越冬する。 本種には、よく似たクロヒカゲとクロヒカゲモドキがおり、その識別点は下記の通り。
2022/6/7
階段を下りているとき、いきなり目の前に飛来して、階段に止まりました。 最初見たとき、以前見かけたクロヒカゲではないかと思ったのですが、後で調べると違いました。 前翅の眼状紋は2個で、後翅裏の中央部外側にある暗色条の曲がりは小さいため、本種と分かりました。
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ヤマキマダラヒカゲ(Neope niphonica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・マネシヒカゲ族・キマダラヒカゲ属> 2022/6/18 2023/5/4
タテハチョウ科キマダラヒカゲ属に分類されるチョウの一種で、在来種。
サトキマダラヒカゲでは、黒色眼状紋が小さいため、黄環が比較的幅広なのに対して、 ヤマキマダラヒカゲでは、黒色眼状紋が大きいため、黄環の幅が狭くなっている。 また、サトキマダラヒカゲでは、後翅基部に並ぶ3個の斑紋が直線に近い並びになるのに対して、 ヤマキマダラヒカゲでは、3個の斑紋の1個が外側にずれて、「く」の字状に並ぶ。
2022/6/18
第2湿原の木道から少し離れた所で、葉裏でジッとしているヤマキマダラヒカゲです。 このときは止んでいましたが、この日は雨が降っていたので、雨を避けていたのでしょう。 翅がかなり傷んでいますが、後翅基部に並ぶ3個の斑紋からヤマキマダラヒカゲと判断しました。 2023/5/4 バイオトイレを使おうと近づいたとき、パッとチョウが飛び立ちました。 おっと思って見ていると、窓枠に止まりました。ヤマキマダラヒカゲです。 さらにアップでと思って近づくと、逃げられました。 しばらく、バイオトイレの周りを飛び回っていたのですが、どこかへ飛んで行ってしまいました。 2023/7/25 第1湿原から第2湿原にかけて、所々でヤマキマダラヒカゲを見かけました。 ヒメウラナミジャノメが多いのですが、一際大きいので飛んでいると直ぐに分かります。
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ゴマダラチョウ(Hestina persimilis japonica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・タテハチョウ亜科・コムラサキ族・ゴマタラチョウ属> タテハチョウ科ゴマタラチョウ属に分類されるチョウで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。 海外では、朝鮮半島からヒマラヤ、ベトナムにかけて広く分布する。 そのため、成虫の大きさや斑紋、季節型などが分化している。 前翅長は35〜50mm、開張は65〜80oで、夏・秋型のオスは小さく、春型のメスは大きい。 発生時期は5月〜8月で、年2回発生する。なお、暖地では年3回発生することもある。 翅は前後、表裏とも黒地に白い斑紋や帯模様があり、この模様が和名の由来でもある。 なお、複眼は橙色で、口吻は黄色をしているが、それ以外は白黒のツートンカラーである。 幼虫の食草はニレ科植物のエノキ、エゾエノキなどで、オオムラサキの幼虫とは食草も同じである。 なお、幼虫の頭部には2本の角があり、その点でもオオムラサキの幼虫とはよく似ている。 冬になると樹の幹を下り、食樹の根ぎわの落葉下で、主に4齢幼虫で越冬する。 春になると再び幹を上って若葉を食べて成長し、蛹になる。 蛹は緑色の紡錘形で、 エノキの葉に尾部だけで逆さ吊りになる。
2019/10/5
実家の庭にある柿の樹で、鳥が突いた柿の実にゴマダラチョウが来て、吸汁していました。 直ぐ横では、シラホシハナムグリが同じように果汁を吸っていました。 ゴマダラチョウを見かけるのはずいぶん久しぶりで、50年ぶりくらいになります。 自宅のある神奈川で見かけたのは、本種ではなく、侵入種のアカボシゴマダラばかりでした。
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アカタテハ(Vanessa indica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・タテハチョウ亜科・タテハチョウ族・アカタテハ属> タテハチョウ科アカタテハ属のチョウで、日本では、ほぼ全国で普通に見られる。 海外では、インドから東南アジア、オーストラリア、日本まで広範囲に分布している。 前翅長は30〜35o、開張は60〜70oになる。 前翅の先端は黒地に白斑、前翅の中央部には橙色地に黒斑があり、ヒメアカタテハによく似ている。 しかし、後翅は外縁以外が黒褐色で、ヒメアカタテハが前翅同様に橙色地に黒斑がある点で異なる。 冬は、成虫で越冬するが、暖地では幼虫で越冬する事もある。
2021/10/11
あわじ花さじきで、ブルーサルビアの花をアカタテハが訪花していました。 成虫で越冬するため通年で見られるチョウですが、最近は数が減っているようです。 | ||||||||||
キタテハ(Polygonia c-aureum)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・タテハチョウ亜科・タテハチョウ族・キタテハ属> タテハチョウ科キタテハ属のチョウで、翅の表が黄色いことが和名の由来。 日本を含め、インドシナ半島から中国、台湾、朝鮮半島まで分布している。 日本でもほぼ全国で普通にみられる。 後翅の裏面に白い模様があり、これが「C」の字に似ていることが学名の「c-」の由来。 冬は成虫で越冬し、ものかげでじっとしている。 成虫の前翅長は25〜30mmで、翅の縁には大小の突起があり、先がとがっている。 翅表は、前後とも黄色の地に褐色の縁取りと黒い斑点があり、一部の黒斑の中には水色の小さな点がある。 翅裏は、前後とも赤褐色で、枯葉にまぎれる保護色となる。 夏型と秋型があり、夏型では羽表の地色がくすんだ黄色になり、縁取りが黒く、黒斑が大きい。 一方、秋型では羽表の地色は鮮やかな黄赤色になり、縁取りは褐色で薄れ、黒斑が小さい。 なお、翅裏も夏型では黒褐色になり、秋型では赤味が強くなって茶褐色になる。 また、翅の外縁の凹凸も、夏型では丸みがあるのに対して、秋型は鋭角に尖る。
2024/3/16
網引湿原の第1獣害防止ゲートとバイオトイレの中間あたりで、ペアのキタテハを見かけました。 最初、地面に止まっていたのですが、1匹が移動すると、もう1匹が追いかけて行きます。 上段左の写真で、翅を畳んでいる方を、手前の翅を開いている個体が追いかけていました。 おそらく、翅を畳んでいる方がメスで、手前の追いかけていた方がオスだと思われます。 近くで何匹かのキタテハが飛び交っていて、さかんにホトケノザなどの吸蜜をしていました。 キタテハを見かけたのはこの場所だけで、第1獣害防止ゲートの先では見かけませんでした。 2024/4/1 実家の庭で作業をしていたら、キタテハがムスカリの花に飛来しました。 吸蜜に夢中なのか、近づいても逃げなかったので接写することができました。 撮影していたら近づき過ぎたのか逃げて行きましたが、気付いたら戻ってきていました(下段右)。 このムスカリの花がお気に入りなのか、その後もムスカリで長らく吸蜜していました。 ちなみに、実家の庭でキタテハを確認したのは、今回が初めてかもしれません。 | ||||||||||
ヒオドシチョウ(Nymphalis xanthomelas)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・タテハチョウ亜科・タテハチョウ族・タテハチョウ属> タテハチョウ科タテハチョウ属のチョウの1種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に、亜種(Nymphalis xanthomelas japonica)が分布する。 海外では、ユーラシア大陸の温帯と冷帯のうち、東ヨーロッパ〜東アジアにかけて広く分布する。 前翅長は32〜42mmで、開張はオスで64〜72mm、メスでは71〜85mmになる。 翅表はオレンジ色の地に黒い斑紋があり、前翅先端付近に白斑、翅の縁には淡青色の縁取りがある。 和名のヒオドシチョウは、戦国時代の武具「緋縅」の緋色(ややくすんだオレンジ色)に因んだものである。 翅表に比べて翅裏はかなり地味な暗褐色で、翅を閉じると雑木林の樹の幹や落葉の上では保護色となる。 発生は年1回で、初夏のみに発生する。この初夏に発生した個体が越冬し、翌春に産卵する。 孵化した幼虫が初夏にかけて成長し、次世代の成虫が初夏に発生するというサイクルを繰り返す。 幼虫の食草はエノキで、成虫は樹液、獣糞、腐果を好み、花にはほとんど集まらない。
2021/5/28
実家の庭にあるマメイヌツゲの写真を撮っているときに、ヒオドシチョウが現れました。 花には滅多に来ないチョウですが、さかんにマメイヌツゲの花から吸蜜しています。 小一時、マメイヌツゲから離れなかったので、いろいろな角度で写真を撮ることができました。 全く傷んでいないきれいな個体で、少し早いのですが、今年の新成虫ではないかと思われます。 | ||||||||||
ルリタテハ(Kaniska canace)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・タテハチョウ亜科・タテハチョウ族・ルリタテハ属> タテハチョウ科ルリタテハ属に分類されるチョウで、ルリタテハ属唯一の現存種である。 日本では、北海道南部から本州、四国、九州、南西諸島までに分布する。 なお、トカラ列島以南のものは南西諸島亜種(K. c. ishima)、 種子島・屋久島以北のものは本土亜種(K. c. no-japonicum)に分類されている。 海外では、東アジアから南アジアまで、広範囲に分布する。 成虫の前翅長は25〜45mmで、濃い黒褐色の翅の表面に鮮やかな瑠璃色の帯模様が入る。 この帯模様は前翅の先端部で切れ、白い斑点がつく。 裏面は灰褐色で細かい模様があり、樹皮や落ち葉に似ている。 成虫で越冬し、早春にはキタテハやアカタテハなどと共にいち早く飛び始める。
2020/8/6
觀濤處(かんとうしょ)に上っているとき、通路脇の樹にルリタテハが飛んできて止まりました。 樹液が出ているようで、それを吸いにやって来たようです。 2024/3/16 網引第2湿原の通路を歩いているときに、目の前からルリタテハが飛び立っていきました。 どこかで止まってくれるかと後を追ったのですが、そまま林の中に消えていきました。 戻りに網引第1湿原の中に入ったのですが、そこでルリタテハと再会できました。 飛び立ったので気付いたのですが、少し先に止まってくれましたので、何とか撮影できました。 その後、そっと近づいて撮ったのですが、翅を畳んでしまってなかなか開いてくれません。 しばらく待っていたのですが、突然、飛び立ってしまい、撮れずじまいとなりました。 2024/4/12 網引湿原の周辺では、ルリタテハをよく見かけました。 地面などによく止まっているので、知らずに近づき、パッと飛び立って気付くことが多いです。 このときもそうでしたが、近くに止まってくれたので撮影できました。 | ||||||||||
テングチョウ(Libythea celtis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・テングチョウ亜科・テングチョウ属> タテハチョウ科テングチョウ亜科に分類されるチョウで、日本ではこの1種類のみ生息する。 日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄本島まで分布している。 海外では、朝鮮半島と台湾にも分布している。 和名は、成虫の頭部が天狗の鼻のように前方に伸びることに由来する。 この突起は、パルピ(下唇髭)という器官で、テングチョウでは特に大きく、よく目立つ。 パルピは、タテハチョウ科では比較的大きく、アゲハチョウ科やシロチョウ科では小さい。 前翅長は19〜29mmで、開張は40〜50mmである。 羽ばたくスピードは速く、飛び方は極めて俊敏である。 翅は茶色で、前翅の縁に角状の突起がある。翅の表面には橙色の斑紋があり、前翅前端にある斑紋は白い。 なお、橙色の斑紋には、雌雄で違いがあり、その違いで判別可能である。 メスでは、前翅の橙色の大きな斑紋の後翅側に小さな突起状の斑紋があるが、オスではないか小さい。 また、後翅の前縁部に斑紋があるのがメスで、無いのがオスであるが、重なり部分なので見えない。 盛夏には休眠し、秋に再び活動してそのまま成虫越冬し、冬眠から覚めた春先にも再び活動する。 そのため、成虫が見られるのは3月〜6月と9月〜11月である。
2021/3/6
実家の庭に出たとき、ツツジの周りをヒメアカタテハのようなチョウが飛んでいました。 急いでカメラを取りに戻り、様子を見ているとツツジの木の上の方に止まりました。 羽を開いて止まったので、模様を確認できたのですが、ヒメアカタテハではなくテングチョウでした。 2mほどの高さがあるので、手前の葉が邪魔で、全体を写すことができませんでした。 と、飛び立ってしまい、戻ってくることを願っていると、隣のヒイラギの枝に止まりました。 近づくと枝をしっかりと抱いて、全く動きません。どうやら、枯葉に擬態しているようです。 10cmまでカメラを近づけても動かず、指で突いても、逃げずにじっとしています。 擬態してるとき、動くと天敵に食べられることを本能的に知っているようで、動かないようです。 一通り撮影を終え、翅を開いてくれないかと待ったのですが、とにかく動いてくれません。 やれやれと視線を横に動かしたとき、パッと飛び立って行きました。 この個体は、前翅の橙色の斑紋の後翅側に突起状の模様があるので、メスのようです。 下段左は、テングチョウの名前の由来であるパルピ(下唇髭)のアップで、本種では特に大きいです。 下段右は、枯葉になり切っているテングチョウで、指で突いても微動だにしませんでした。 私は止まった所を見ているので、これがテングチョウと分かりますが、知らなかったら分からないかも。 鳥とかからも枯葉にしか見えないのでしょうね。翅の裏の模様は、それほど枯葉にそっくりです。 2022/3/13 今年も庭先にテングチョウがやって来て、イヌツゲに止まってくれました。 今年やってきたのは、前翅に突起状の斑紋がないのでオスでした(昨年はメスでした)。 食草のエノキは、近くの学校や神社などにあるので、その辺りで繁殖しているのでしょう。 この時期に見られるのは越冬個体なので、左の前翅に少し欠損が見られます。 もう少し近づいて撮影しようとしたところで逃げられました。 しばらくすると戻ってきて、今度は隣にあるヒラドツツジに止まりました。 そっと近づいて数枚撮影し、その後、そって離れましたが、しばらく日向ぼっこをしていました。 2023/3/11 2023/3/12 今年も庭のイヌツゲの木にテングチョウがやって来ました。 前翅の大きな斑紋の後翅側にある斑紋が極小さいので、おそらくオスと思われます。 昨年は斑紋のないオスでしたので、メスと合わせて全パターンが確認できました。 翌日にも裏の畑で、近くのブロックに止まって翅を広げ、日向ぼっこをしていました。 2021/3/6 <メス> 2023/5/26 <オス> 実家の裏の畑でテングチョウを見かけました。この時期に見るのは初めてです。 おそらく、今年羽化した新成虫ではないかと思われます。 なお、この個体の翅表は確認できなかったのですが、後翅外縁の直線部が長いのでオスです。 この後、休眠に入って、秋口から再び活動を開始するのでしょう。 上段に春先に見かけた冬眠明けの成虫の写真を入れましたが、色味などかなり異なります。 この違いが個体差なのか、雌雄差なのか、手持ちの写真が少ないので分かりませんでした。 <テングチョウ♂> <テングチョウ♀> 2024/3/16 最初にテングチョウを見たのは、網引湿原第1獣害防止ゲートとバイオトイレの中間あたりでした。 斑紋が赤く見えたのでヒメアカタテハかと思ったのですが、止まったのを見て本種と分かりました。 網引第2湿原でも見かけましたが、第1獣害防止ゲートを入って直ぐの林内が最も多かったです。 林内でキタキチョウを撮っていたら、テングチョウがキタキチョウを追い払って止まりました。 そこに別の1匹が飛来し、もつれ合って飛び立ったら、さらに1匹が加わって飛んで行きました。 後で写真を見て、最初に止まっていたのがメスで、そこにオスが飛んできたようです。 そこにもう1匹のオスが参戦して、3匹がもつれ合うように飛び去っていったのだと思います。 | ||||||||||
ツマグロヒョウモン(Argyreus hyperbius)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・ドクチョウ亜科・ヒョウモンチョウ族・ツマグロヒョウモン属> タテハチョウ科ツマグロヒョウモン属のチョウで、在来種。 日本を含め、中国、朝鮮半島、オーストラリア、インドと熱帯・温帯に広く分布している。 日本では本州南西部から四国、九州等に生息しているが、近年、関東甲信越、北陸地方の平野部に進出している。 冬は幼虫や蛹で越冬し、年に数回発生する。 メスの前翅先端部が黒色で、その中に斜めの白帯を持つ。この特徴が名前の由来。 なお、オスには黒色部や白帯は無く、典型的なヒョウモンチョウの模様になる。 ただ、後翅の外縁部が、メスと同じように黒に白い模様が入っていることで区別可能。 ツマグロヒョウモンの終齢幼虫は、体長30mm前後で、黒色の背中に赤い筋模様が1本ある。 各節に刺状突起が各々6個あり、頭部側は真っ黒で、腹部側は基部が赤くて、先が黒い。 見るからに毒々しい警戒色をしているが、刺には毒はなく、刺すこともない。
2018/6/1
実家の庭で、ツマグロヒョウモンのオスを見かけました。 ツマグロヒョウモンは時折飛んでくるのですが、オスばかりで、メスを見たことがありません。 多摩川の河川敷でも、見かけるのはオスが多く、メスはたまに見かける程度。 相対的にメスの数が少ないのかと思ったのですが、発生数に雌雄差はほとんどないとの報告があります。 となると、メスを見かける頻度が少ない理由は、何が要因なのでしょうか。???です。 2021/3/10 実家近くの農道を散歩中、駐車場で黒い地色に赤い縦線模様の毒々しい色の毛虫を2匹見かけました。 見たことがなかったので、後で調べるとツマグロヒョウモンの幼虫と分かりました。 幼虫で越冬していたものが、陽気に誘われて這い出してきたようで、まさに啓蟄の季節ですね。 触っても毒は無いので問題はないのですが、このデザインでは触りたくなくなります。 2021/6/9 ツマグロヒョウモンのメスは見かけても、なかなか撮影するチャンスがなかったのです。 それが、この日は実家の庭にやって来て、畑の中をウロウロし始めたのです。 近づいても逃げなかったのですが、朝日がまだらに当って、部分的に白飛びしてしまいました。 で、なぜウロウロしていたかですが、吸水する場所を探していたようです(右写真)。 2021/10/16 実家の裏庭に出ると、ツマグロヒョウモンのメスが植木鉢の縁に止まっていました。 翅に擦れなどがないきれいな個体で、羽化して間もない個体と思われました。 近づくと逃げるのですが、また、同じ植木鉢かその近くに戻ってきます。 そのとき、その植木鉢にはアメリカスミレサイシンが植わっていたことを思い出しました。 ツマグロヒョウモンの食草はスミレ類なので、産卵のために訪れたのではないかと思ったのです。 その後、植木鉢をよく見ると、茎の上に幼虫(3齢か4齢)がいることにも気が付きました。 ひょっとすると、このメスはこの場所で成長し、羽化した個体だったのかもしれません。 2022/4/30 高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園で、ツマグロヒョウモンを何度か見かけました。 ただ、見かけたのはオスばかりで、メスの姿は確認できませんでした。 2022/6/7 高御座山の分岐点付近の岩の斜面にツマグロヒョウモンのオスが止まっていました。 と、そこにキアゲハが飛来したのですが、ツマグロヒョウモンがいきなりアタックしました。 キアゲハが離れていくと、元の場所に戻ってきて、そこに止まります。 これが、他のツマグロヒョウモンはもちろん、クマバチに対しても行われます。 おそらく、このエリアがこのオスのツマグロヒョウモンの縄張りなのでしょう。 メス以外がこのエリア内に侵入すると、追い出すためにアタックしているようです。 そのためでしょうか、この個体の翅はかなり端の方が傷んでいました。 2022/8/9 網引湿原第2湿原を出た所で見かけたツマグロヒョウモンのメスと、駐車場近くで見たオスです。 前回、6/18に来た時にも見かけましたが、この辺りではよく見かけます。 メスをこの角度で撮ると、翅のマリンブルーの鱗粉がきれいに光って見えますね。 2023/8/5 今日は、第1獣害防止ゲートまでの通路や奥池の通路で、ツマグロヒョウモンのメスをよく見かけます。 第1獣害防止ゲートまでの通路で、その1匹が目の前の地面に止まりました。 吸水している訳でもなく、何をしているのか不明です。単に休んでいるだけなのでしょうか。 2023/7/23 実家の裏庭に出たとき、ツマグロヒョウモンのメスに必死にアピールしているオスが居ました。 地面に止まっているメスは、オスには全く興味を示しません。 それでもオスは、メスの周りをぐるぐると周りながら、アピールを続けていました。 メスが移動しても、オスは追いかけて行ってアピールを続けましたが、それでも知らんぷり。 ひょっとしたら、まだ、メスは未成熟で、交尾できる状態ではなかったのかもしれません。 2023/10/10 8:21 2023/10/10 8:22 2023/10/10 8:39 2023/10/10 8:40 2023/10/10 8:41 実家の庭にはアメリカスミレサイシンが植えられていて、毎年、そこにツマグロヒョウモンが産卵します。 今年も葉がボロボロになっていたので確認すると、終齢幼虫が3匹いました。 いつも、気が付くと居なくなっていて、そのサナギを見たことがありません。 そこで、その3匹を飼育箱に移して、サナギになるのを見てみたいと思いました。 そして、移した翌朝の様子が上記の写真で、三者三様のありさまとなりました。 1匹は葉に止まってジッとしており、もう1匹は葉を挿した容器の蓋の上を移動していました。 で、最後の1匹ですが、容器の蓋の所にぶら下がって、前蛹となっていました。 夜中に前蛹となったようで、背中の赤い色の棘が、内部が縮退して透明になっています。 2023/10/10 8:21 2023/10/10 8:37 2023/10/10 8:40 終齢幼虫の刺状突起を拡大したのが、上記の左端の写真です。先が黒く、基部は赤色です。 中央と右端は前蛹(ぜんよう)の同じ刺状突起です。先は黒いですが、その下が透明になっています。 ツマグロヒョウモンの後方の刺状突起の赤い部分には、赤い体組織が詰まっているようですね。 前蛹となってサナギになる準備を始めると、赤い体組織が縮退して空になるので、透明になるようです。 ただ、基部には赤い組織が少し残っていて、横からは透明に見えても、上から見ると赤く見えます。 2023/10/10 16:24 2023/10/10 16:24 2023/10/10 16:26 お昼前に確認したときにも変化は見られず、脱皮は夕方以降だろうと判断しました。 が、午後4時過ぎに様子を見にいくと、既に蛹になっていました。脱皮まで1日かかっていません。 ツマグロヒョウモンのサナギを見るのは初めてで、頭胸部背面の刺状突起が白いのが目を引きます。 腹部の刺状突起は、先が黒くてその下部は赤味を帯び、幼虫の頃と似た色合いをしています。 2023/10/10 20:56 2023/10/10 20:57 2023/10/11 6:36 上記のサナギですが、幼虫の様子を見に行った際、全体が暗色化して焦げ茶色になっていました。 さらに、頭胸部の刺状突起が白色ではなく、金属光沢を放っていました。 後で調べてみると、これが金色の場合はメスで、銀色の場合はオスだと書かれていました。 写真では、金色や銀色には見えませんが、肉眼的には金色のように見えるので、メスのようです。 2023/10/10 16:26 2023/10/10 20:53 2023/10/11 6:36 2匹目の幼虫ですが、16:26時点では逆さまになって、動かなくなっていました。 前蛹になるのも近いと思われます。20:53に見に行った際には、ぶら下がって前蛹となっていました。 1匹目の実績から翌朝にはサナギになっていると思ったのですが、6:36時点では前蛹の状態でした。 その後、ときどき様子を見ていたのですが、12時を過ぎても変化がないので昼食を取りました。 食後に様子を見に行くと、脱皮は終わってサナギになっていました。 キイロスズメのときもそうでしたが、待ちくたびれて目を離すと、大概その間に終わっていますね。 2023/10/11 13:12 2023/10/11 13:13 2023/10/11 13:13 脱皮後、そう時間が経っていないサナギです。頭胸部はレンガ色で、腹部は暗褐色です。 頭胸部の刺状突起は、まだ、白いだけで金属光沢はありません。 2023/10/11 13:14 サナギの下に脱皮殻が落ちていたので、拡大撮影しました。 全てが黒色で、頭部や胸脚、腹脚も黒色です。腹部の刺状突起の基部は透明なようです。 2023/10/11 15:47 2023/10/11 15:47 2023/10/11 15:46 2時間半ほど経った頃、様子を見に行ってびっくりしました。 サナギが真っ黒になっていて、死んだのかと思いました。が、生きていました。 調べてみると、秋になって気温が下がってくると、黒いサナギになることが多いようです。 2023/10/13 10:44 改めて、2匹のサナギを撮ったものですが、体色が暗褐色と黒色で見た目が異なります。 ただ、頭胸部の金属光沢を放つ刺状突起は、ほぼ同じ金色に見えますので、両方ともメスのようです。 そうそう、3匹目に関してですが、この後、前蛹になることが出来ずに死んでしまいました。 2023/10/31 県道43号線沿いのコスモス畑に立ち寄った際、畔の近くを飛び回っていたツマグロヒョウモンです。 ほとんど痛みのない、羽化して間もないと思われる個体です。 実家に置きっぱなしのサナギも、羽化しているかもしれないと気になりだしました。 2023/11/2 10/31に実家に戻ったとき、さっそく、サナギの状態を確認しました。 一瞬、羽化していないように見えたのですが、下に乾燥したピンクの体液が見えました。 そう、サナギは2個とも羽化していました。成虫はと探したのですが、見つけられませんでした。 ガレージの中なので、逃げられないと思っているのですが、どこかに隙間があるのかもしれません。 羽化した成虫を見れば、サナギの雌雄が確認できると思っていましたが、それもできなくなりました。
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イチモンジセセリ(Polytremis pellucida)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・ セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・イチモンジセセリ属> セセリチョウ科イチモンジセセリ属の蝶で、在来種。 日本では、ほぼ全国で見られるが、北海道ではあまり多くは生息していない。 海外では、朝鮮半島から中国、ヒマラヤ、ボルネオと広く分布する。 幼虫または蛹で越冬するが、寒い地方では越冬できない。 全身が茶色一色で、前翅長は20o前後、後翅裏に横長の白紋が4つ、1文字状に並ぶ。 人家周辺から里山にかけて見られ、羽音を立てて敏速に飛ぶ。 幼虫の食草は、イネやススキ等のイネ科やカヤツリグサ科の植物で、そのため、イネの害虫とされる。 成虫は年3〜5回、6月〜8月頃に発生し、南下して10月頃までいる。 雌雄差は少ないが、以下の点で識別可能である。 <オス> <メス>
同じセセリチョウ科のオオチャバネセセリやチャバネセセリと良く似ているが、下記で区別可能である。
2012/8/12
実家に咲くタイワンレンギョウにイチモンジセセリが訪花していました。 この個体は、上記の雌雄判別法からメスの個体と判断できます。 なお、後翅の白斑の違いを、下記のチャバネセセリと比較してみてください。 2021/9/6 実家近くの川沿いを散歩中、目の前のクズの葉にイチモンジセセリが止まりました。 少々翅が傷んでいるので、羽化後、それ相当の期間を生き抜いてきた個体のようです。 翅の形状(前翅の先端が丸い)や腹端が後翅とほぼ同じ長さである点からメスと思われます。 大概、見かけてもスルーしてしまうのですが、目の前に止まったので、思わず撮ってしまいました。 何時撮ったのか見返してみると、この辺りで撮ったのは9年も前だったんですね。 | ||||||||||
コチャバネセセリ(Thoressa varia)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・ セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・コチャバネセセリ属> セセリチョウ科コチャバネセセリ属に分類されるチョウの一種で、在来種。 日本では北海道から本州、四国、九州に分布するが、屋久島以南の南西諸島には見られない。 海外では、朝鮮半島に分布し、台湾には近縁種のキスジチャバネセセリが分布する。 前翅長は14〜19mmで、開張は30〜36mm。年2〜3回発生し、活動期間は5月〜9月。 体色は黒褐色。翅も黒褐色の地色で、基部に近い部分は黄褐色になるが、地域や季節で変異がある。 前翅表には小白斑が7個あり、後翅表には白紋が入らないか、または小さく不規則に入る。 翅裏面は黒褐色の地色に翅脈以外に黄褐色に鱗粉が乗り、翅脈が黒く浮かび上がる。 後翅裏には、楕円形の白紋が3個ある。地色や斑紋に雌雄差見られない。 ただし、オスは前翅表面2脈の基部から斜下方に向かって黒褐色の性票がある。 低地から高地まで広く分布し、林縁の笹薮などを敏速に飛び、いろいろな花で吸蜜する。 また、地上の湿地で吸水したり、鳥獣の糞や汚物などにも集まる。 幼虫はササやタケなどのタケ科植物の葉を食べ、葉の表面を内側にして巻き、筒状の巣をつくる。 その中で摂食するが、葉の基部から中央の主脈を残して規則正しく食べていく習性がある。 越冬期には、残した主脈を切って地上に落とし、その中で越冬し、早春に蛹化、羽化する。
2027/7/18
網引第3湿原の遊歩道を歩いていて、コチャバネセセリが遊歩道脇に止まっているのが見えました。 珍しいチョウではありませんが、この網引湿原で見かけたのは初めてです。 | ||||||||||
チャバネセセリ(Pelopidas mathias oberthueri)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・ セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・チャバネセセリ属> セセリチョウ科に分類されるチョウで、東アジアからオセアニアにかけて分布する。 日本で見られるのは亜種で、関東以西の暖かい所で幼虫で越冬する。 成虫の前翅長は13〜21mm。イチモンジセセリと比べて翅が縦に長い。 また後翅裏の白点(イチモンジセセリは横に長い白点)が4ヶ所ある。 年3〜4回、6月〜11月頃に発生する。関東地方では秋に多く発生する。 幼虫の食草は、イネやススキなどのイネ科の植物や、タケ科やカヤツリグサ科の植物である。
2018/10/27
実家に咲くペパーミントらしい花に、チャバネセセリが訪花していました。 斑紋が不明瞭で、後翅裏に4個ある直線状に並んだ白紋が3個しか確認できません。 それ以外にも3個の白紋の上にある小さな白紋もありませんが、前翅裏の3個の白紋はあります。 無い白紋もありますが、その他の白紋の配列などはチャバネセセリの特徴と合います。
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ミヤマセセリ(Erynnis montanus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・ セセリチョウ科・チャマダラセセリ亜科・ミヤマセセリ族・ミヤマセセリ属> セセリチョウ科ミヤマセセリ属の蝶で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬広く分布している。 海外では、極東ロシア、朝鮮半島から中国、台湾に広く分布する。 前翅長は14〜22mmで、開張は35〜42mmである。 翅の表面は茶褐色で、前翅に紫灰色の樹皮模様、後翅の外半部に黄橙色の小斑が多数ある。 メスは前翅表の中央に幅広い白帯があり、メスは前翅表前縁に上方に反り返る淡褐色の性標がある。 前翅裏面にある翅頂部近くの黄橙部はメスよりも狭く。メスよりも不明瞭。 4月に産卵され、5月に幼虫となる。食樹の葉を折り返して巣を作り、幼虫で越冬する。 成虫は早春に発生する年1化で、暖地では3月下旬から、寒冷地では5月頃に発生する。 平地から山地にかけての落葉広葉樹林で、ブナ科コナラ属のコナラ、クヌギなどを食草とする。 日中は森林の林床を跳ねるように飛翔して訪花し、地面に翅を開いて留まって日光浴を行う。
2024/4/12
網引第2湿原の木道を歩いていたとき、直ぐ近くに蛾のようなものが飛んできて止まりました。 よく見ると、蛾ではなくセセリチョウの仲間のようですが、見たことがありません。 後で調べて、ミヤマセセリのオスと分かりました。春のこの時期のみに現れるようです。 | ||||||||||
モモスズメ(Marumba gaschkewitschii echephron)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・ スズメガ科・ウチスズメ亜科・Marumba属> スズメガ科ウチスズメ亜科に分類される蛾で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬、屋久島に分布する。 海外では、朝鮮半島の分布が知られている。 発生は5月〜6月と7月〜8月の年2化で、開張は70〜90mmである。 体色は褐色〜暗褐色で、前翅に波状模様と黒斑が1対あり、外縁が波状に切れ込む。 また、内縁に沿って暗色の帯状の紋があり、胸部背面に黒い縦筋がある。 後翅は淡赤紫色を帯び、黒い斑紋が2対ある。口吻は退化し、成虫は摂食しない。 幼虫は、頭部が三角状で、体色には緑型・緑色有斑型・黄色有斑の3タイプがある。 全身に白い顆粒状の突起があり、ざらつく。尾端には尾角と呼ばれる長い刺状の突起がある。 体側に黄色〜黄白色の7本の斜条があり、終齢幼虫は70〜80mmになる。 幼虫の食草は、バラ科のモモ、ウメ、スモモ、リンゴ、ビワなどが主である。
2022/6/18
高御座神社の駐車場の端にあるトイレの壁に止まっていた、ちょっと大きめのスズメガです。 見た目は地味な色合いですが、後翅は淡赤紫色を帯びていて、隠れお洒落です。 この体制では見えないのが残念ですが、少しだけ見えている後翅に赤味が見えています。 | ||||||||||
キイロスズメ(Theretra nessus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・ スズメガ科・ホウジャク亜科・コスズメ属> スズメガ科コスズメ属に分類される蛾で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。 海外では、朝鮮半島南部〜中国南部、台湾、東南アジア、オーストラリアに分布している。 出現時期は5月〜10月の年2化で、サナギで越冬。開張は80〜130mmになる。 胸部背面や腹部背面中央は褐色味を帯びた緑色である。 頭部から胸部の翅付け根上部に沿って灰白色の縦条があり、腹部側面は黄褐色である。 前翅は緑褐色で、全縁内側に沿って濃色部があり、付け根近くは緑褐色である。 中央付近に全縁と並行した2条の暗褐色の縞模様が見られる。後翼は黒褐色である。 幼虫は緑色型と褐色型があり、前方に大きめの白紋とその後ろに小さな白紋がある。 腹部に並ぶ気門は、暗褐色の点の周りを細長い白色部が囲み、眼のように見える。 なお、1齢幼虫では、尾角が体長の半分近くと異常に長いが、成長するにつれて短くなる。 食草はヤマノイモ科のヤマノイモ、ツクネイモ、ナガイモ、オニドコロなどである。 ※ 以下は成長記録を抜粋したもので、詳細に関しては「キイロスズメの成長記録」を参照ください。 また、前蛹からサナギへの脱皮に関する詳細は、「キイロスズメの成長記録U」を参照ください。
2023/6/28
実家の畑に植えたツクネイモが伸び出してきて、葉が展開してきました。 その写真を撮っていて、葉に黄緑色の奇麗な卵が付いているのに気が付きました。 調べてみると、ヤマノイモ科の葉を食草とするのはダイミョウセセリとのこと。 2023/7/1 2023/7/2 2023/7/1 6/30に様子を見ると、卵が黄色くなっていました。 孵化も近そうだと思い、7/1にその写真を撮ろうと思ったとき、卵が見当たりません。 あれっと思って葉裏を見ると、尾角がやたらと長いイモムシが付いていました。 ダイミョウセセリではなかったようで、調べ直すとキイロスズメの幼虫と分かりました。 なお、この1齢幼虫の体長は8mmで、尾角は4mm強ありました。 2023/7/2 翌日、様子を見行ったとき、他にも卵がいくつか付いているのを見つけました。 暗褐色のまだら模様の卵は、どうやら抜け殻のようです。 2023/7/3 2023/7/7 卵の抜け殻近くを移動中の1齢幼虫を撮ったのが左の写真で、大きさが分かると思います。 右の写真は、後日撮影した1齢幼虫の脱皮殻で、頭部と尾角が残っていました。 2023/7/3 2023/7/7 左の写真は、1齢幼虫(下側)と2齢幼虫(上側)の2ショットです。 2齢幼虫の体長は20mmほどあり、尾角も長さが5mmほどになっていました。 2齢幼虫は尾角の長さが1.5倍ほどあり、色が暗褐色ではなく褐色でした。 右の写真は、後日撮影した2齢幼虫の脱皮殻で、尾角は1齢幼虫よりしっかりしています。 2齢幼虫の頭部の脱皮殻は、1齢幼虫のものより一回り大きいです。 2023/7/7 2023/7/8 脱皮して間がない3齢幼虫ですが、2齢幼虫までは見られなかった腹部前方の白紋が現れました。 右は翌日に撮ったものですが、同じ個体(右側)とは思えないほどの変わりようです。 左の写真のときは体長は25mm、尾角は9mmほどでしたが、 右の写真では体長38mmと大きくなっています。尾角は9mmほどで変わっていません。 ちなみに、右写真の右側の身体を縮めている個体は体長33mmでした。 2023/7/8 一回り大きくなったからか、前方の白紋が明瞭になり、その後ろの小さな白紋も見えます。 また、体側に並んでいる気門も、白っぽい点として見えるようになりました。 2023/7/8 上記は、2齢幼虫が葉を食べているところですが、かなりのスピードです。 左端の状態から右端の状態になるのに、27秒しかかかっていません。早い。 2023/7/9 前日あまり動かなかったので気になっていたのですが、やはり脱皮して4齢幼虫になっていました。 体の前方背面の白紋や体側面の斜めの斑紋、気門が明瞭になっていました。 3齢幼虫では点でしかなかった気門も、細長い白色部が囲んだ目のような形になっています。 右写真は脱皮殻ですが、今回、初めて腹部の脱皮殻(腹脚や胸脚の抜後もある)が確認できました。 ※ 腹部の脱皮殻は、脱皮後に食べられてしまうため、普通は見られないそうです。 脱皮して間がない4齢幼虫の方ですが、体長は37と39mm、尾角は各々14mmでした。 2023/7/12 朝、様子を見に行くと5齢幼虫に脱皮していました。体長は46mmと太短くなっています。 縮こまったまま動かないので、体を伸ばしたときの体長は測れませんでした。 尾角が太くなり、大きく湾曲しています。この尾角の形状は、終齢幼虫の尾角と同じです。 2023/7/13 昨晩、餌がほぼなくなっていたので、急いで畑から葉を取ってきて、追加しました。 朝、様子を見に行くと、その葉もほぼなくなっていて、慌てて追加しました。 かなり大きくなっているようなので体長を測ると65mm、伸びると70mmほどもありました。 もう1回脱皮すると思っていたのですが、これが終齢幼虫なのかもしれません。 2023/7/14 昨晩、葉が無くなりかけていたので追加したのですが、朝になって見たら食べ尽くされていました。 自分の朝飯を後回しにして、慌てて葉を取ってきて追加しました。 このときに体長を測ったのですが、縮んだときは90mmで、伸びると100mmに達していました。 脱皮直後の2倍の大きさになっていたことになります。これで終齢幼虫であると確定です。 2023/7/15 22:06 夜になった様子を見に行くと、元居た場所で動かなくなっていました。 体色も茶色味を帯びてきていて、元の緑色から変わってきています。 2023/7/16 8:56 朝、様子を見に行くと、飼育箱の角で古新聞で繭を作っている最中でした。 枯葉替わりに入れておいて新聞紙を寄せ集め、糸で綴って繭を作っていました。 体色は、緑色から褐色に様変わりし、透明感のある表皮になっていました。 2023/7/17 7:22 早朝に見に行きましたが動く気配はなく、繭づくりが完了したようです。 繭づくりが終わり、いよいよ蛹に変身する準備に入ったようです。 ※ 繭づくりが終わって、動かなくなった時からを前蛹(ぜんよう)と言うようです。 2023/7/17 16:26 動かないことが確認できたので、繭の上部を塞いでいる新聞紙を切除しました。 腹部が赤っぽかったのですが、透明感のあるピンク色ですね。 胸部上面に白い筋が入っていますが、サナギになる際、ここから脱皮が始まるものと思います。 ※ この白い筋が見られるのは緑色型のみで、褐色型では見られません。 2023/7/18 8:01 脱皮はまだ先だと思っていたのですが、朝になって見に行くとサナギになっていました。 1齢幼虫を見たのが7/1でしたので、まだ3週間経っていません。成長が早いですね。 ※ なかなか見られなかった前蛹からサナギへの脱皮ですが、やっと見る事が出来ました。 2023/8/1 0:27 前日、いろいろあって遅くなったのですが、様子を見に行くと羽化した後でした。 もう小1時間早く見に行っていれば、羽化するところが見られたかもしれません。残念。 サナギになってから羽化するまでの日数は、ちょうど2週間でした。 飼育箱の底に翅がつかえて先が曲がっていましたので、飼育箱から出すことにしました。 翅に触ると、まだ、伸びたばかりのようでフニャフニャと柔らかい状態でした。 近くのカーテンに止まらせて、撮ったのが上記の写真です。 人と同じで、フラッシュを使うと赤目になるんですね。眼の中心付近が赤くなっています。 2023/8/1 7:14 朝になって様子を見に行くと、すっかり翅も硬化したようで、翅を横に開いていました。 翅が若干長くなり、胸部がスリムになって、精悍なスタイルになっていました。 この後、別の場所に移そうとしたとき、体内の余分な水分を噴射し、手に掛けられてしまいました。 写真は後で撮ることにして、その場に置いたままにしておきました。 時間が空いたので、写真を撮ろうとしたのですが、どこに行ったか行方が分かりません。 窓などは締まっているので、外には出られないはずなのですが、見つけられませんでした。 ※ 以上は抜粋したもので、詳細に関しては「キイロスズメの成長記録」を参照ください。 2023/9/8 ツクネイモの全体写真を撮ろうとしたとき、キイロスズメの終齢幼虫に気づきました。 2株あるツクネイモの各々の株に1匹づつ付いていました。 ほとんど動かないので、サナギになるもの間近と思われ、飼育箱に移しました。 この時期にサナギになるということは、羽化するのは来春かもしれません。 2023/9/12 21:33 2023/9/13 17:37 2023/9/15 8:04 1匹は、9/12に繭を作り、体色が褐色に変わりました。 翌9/13には、体形が変化(特に頭部)して、背面の白い線が伸びて、サナギへの脱皮も近そう。 翌朝も、午前中も変化はありません。夜かなと外作業をして戻ると脱皮は終わっていました。 また、見過ごしてしまいました。もう1匹も1日遅れで繭を作っていました。 で、繭を開いてみると、体形が変わってサナギへの脱皮も近そうでした。 0時頃にも変化は見られませんので、諦めて就寝。翌朝に確認すると脱皮は終わっていました。 ※ なかなか見られなかった前蛹からサナギへの脱皮ですが、やっと見る事が出来ました。 下段がその時に撮った2匹のサナギで、右のサナギが脱皮直後で、固まっていなくて白っぽいです。 そして、左のサナギより一回り大きいのですが、それが個体差なのか、雌雄差なのかは分かりません。 2023/9/27 前回、2週間ほどで羽化したので、念のために撮影したものです。 前回の写真で、右側の脱皮直後のサナギは色が濃くなっていますが、翌日にはほぼ同じ状態でした。 左側のサナギは2日後の状態ですが、今回撮影したものとほとんど変わっていません。 10/2現在も、2匹のサナギに特に変化は見られませんので、羽化は来春でしょう。 2023/10/1 久しぶりにツクネイモの所に行くと、真新しい糞がたくさん落ちているのに気が付きました。 あれっと思って、糞のある場所の上の方を見ると、褐色型の終齢幼虫が葉を食べていました。 今まで緑色型の幼虫ばかりで、ここには褐色型はいないと思っていたので、ちょっと意外でした。 2023/10/1 褐色型の幼虫の裏側辺りに、緑色型の脱皮直後の幼虫がいました。 脱皮して間もないのでしょう。緑色は淡く、背部は白っぽくて、脱皮殻が付いていました。 その少し斜め上で、褐色型の幼虫が同じく脱皮していて、その上部に脱皮殻がありました。 こちらも脱皮して間もないようで、褐色が淡くて白い斜めの斑紋が良く目立っていました。 よく探すと、この日に脱皮したと思われる幼虫が3匹いて、内、褐色型は2匹でした。 それと脱皮殻ですが、飼育箱では食べられて残っていないことが多いのですが、 自然界では食べられずに残っていることが多いのでしょうか。 今回、脱皮して間もないと思われる幼虫には、全て尾角が付いた状態の脱皮殻が残っていました。 2023/10/1 2023/10/2 左の写真は、3匹目の脱皮直後の終齢幼虫で、上記のものより、若干色は濃い目です。 右の写真は、同じ個体の翌日の様子で、えっと思うくらい、色が濃くなっていました。 2023/10/2 餌にする葉を取りに行ったとき、新しい糞が落ちているのに気が付きました。 まだ居るのかと上を見ると、柿の木に絡みついた葉に、大きな褐色型の幼虫がいました。 間もなく繭化するのではないかと思われるほど大きく、丸々と太っています。 ちょっと写真が撮れる位置ではなかったので、葉ごと採取して撮ったのが上記の写真です。 2023/10/3 上段と下段の写真は、ほぼ同じ倍率になっています。 上段の写真の下側と下段の写真の上側は、撮る方向が異なりますが同じ個体です。 上段の写真の上側の個体は、昨日に採取した大きな褐色型の個体です。 下段の写真の2匹は、ほぼ同じ大きさの個体なのですが、緑色型が体を縮めていて、小さく見えます。 褐色型の色味に関してですが、個体差があり、黄褐色から茶褐色まで変異があるようです。 ちなみに、最初に見つけた褐色型の色味は、上記の両者の中間的な色合いです。 2023/10/5 2023/10/5 前述の最上段の個体が繭化(左の写真)して、サナギへ脱皮する準備を始めました。 このときの残りの3個体を並べたのが、右側の写真です。 中央の個体が、前述の写真で中央に写っている個体で、かなり色味は薄くなりました。 右端の個体は、前述の写真には写っていない最初に見つけたちょっと濃い目の色合いの個体です。 左端は緑色型の個体で、前述の写真から色味はほとんど変わっていません。 褐色型の個体の色味はほぼ同じですが、濃色だった中央の個体は、いく分濃い目ですね。 ちなみに、右端の褐色型は10/6に繭化し、左端の緑色型は10/7に繭化していました。 2023/10/6 前述の繭化した褐色型個体(前蛹)を、繭を切り開いて撮ったのが左の写真です。 同じ個体を繭から取り出して、真っ直ぐになってもらって撮ったのが右の写真です。 2023/9/13 緑色型個体のほぼ同じような時期の写真を再掲載しました。 緑色型も褐色化していますが、褐色型よりはベージュに近い色味ですね。 2023/10/11 蛹化の準備がかなり進んだようで、頭胸部の形状が変わってきています。 ただ、緑色型の前蛹で見られた、頭胸部中央の白い線は見られません。 2023/10/6 9:34 2023/10/7 8:39 最初の褐色型が繭化を始めた翌日、2匹目が飼育箱の対角線上で繭化(左写真)を始めました。 さらにその翌日の10/7には、緑色型が繭化を始めていました。 2023/10/7 17:41 最後に残った褐色型も10/7の夕方、2匹目の繭の横に並ぶように繭化を始めました。 2023/10/8 12:32 2023/10/8 13:23 最初の褐色型の前蛹が、かなり皺が深くなり、今にも脱皮が始まりそうな様子となりました。 様子を見ていても変化がなかったので、仕方なく、昼食を取りました。 そして、戻ってきたところ、脱皮が終わって、初々しいサナギが転がっていました。 2023/10/8 13:26 2023/10/8 17:16 そのサナギの頭部の形状が、以前に蛹化した個体の頭部とかなり形が異なります。 頭部が扁平な形ではなく、ずんぐりと丸みのある団子状で、体形もポッチャリです(左の写真)。 夕方に再確認したのが右の写真で、全体にポッチャリはしていますが、頭部は扁平になっていました。 最初、前蛹の頭部の形になっていたものが、時間と共に本来の扁平な形に変わっていったようです。 2023/10/10 20:58 2023/10/11 5:54 2023/10/11 6:08 2023/10/11 6:12 2023/10/11 6:15 2023/10/11 6:31 前夜、脱皮も近いと様子を見ていたのですが、全く動きがなく、諦めて就寝。 翌早朝、様子を見たのですが、まだ、頭胸部は割れておらず、念のため撮影しました(上段右)。 この撮影の時、尾角の辺りに皺が出来ていて、脱皮が始まっていたのに気が付きました。 最初に頭胸部の背部が割れることで脱皮が始まると思っていたのが、大きな間違いと分かりました。 尾端で、たるんでいる外皮をずり下げるのが最初の行動だったようです。 外皮が引っ張られて、サナギと外皮をつないでいる気門の部分が伸びて、白っぽい線になっています。 外皮が伸びて、ピチピチになった所で頭胸部背部が割れて(裂けて)、サナギが顔を出します。 さらに尾端で外皮をずり下げていき、引っ掛かっていた口の部分を外すため、体全体を動かします(中段左)。 その後、時折体全体を動かして転がり、触角や口吻の部分を抜きているようです(中段右)。 触角や口吻の部分は本体とは分離していて、抜け終わると本体に付着していくようです。 ほぼ脱皮が終わって、尾端に抜け殻が付いている状態です(下段左)。 この後、もう少しずり下げて、最後は体をひねるようにして抜け殻を外していました(下段右)。 2023/10/11 8:01 上記の1時間半後の様子ですが、団子状だった頭部は、本来の扁平な形になっていました。 2024/1/3 この日、何の気なしにサナギを入れていた箱を覗くと、1匹羽化しているのに気が付きました。 この寒い真冬に羽化するとは思っていなかったので、ちょっとびっくり。 置いていたガレージは、西日が当るとかなり温度が上がるので、季節を勘違いしたのかも。 翅が伸びきっていなかったので移動させようとして、既に翅が固まっているのに気が付きました。 サナギの抜け殻を見ると、まだ内部に体液が残っており、付着した体液も乾いていません。 おそらく、羽化して1〜2時間程度しか経っていないのではないでしょうか。 もう少し気付くのが早かったら、こんな姿になる前に対処できたのではと、ちょっと残念。 2024/1/3 他のサナギはどうかなと思い確認しましたが、多少色が濃くなった気がしますが変化はありません。 おそらく、羽化するのはもう少し先になるものと思います。 おまけです。手元に残っていた脱皮殻を並べたのが左の写真で、大きさの違いが良く分かります。 右端は終齢幼虫がサナギになる時の脱皮殻で、頭部から尾角まで全体が1つになっています。 その左隣は4齢幼虫から終齢幼虫へ脱皮した時の頭部と尾角の脱皮殻です。 その左隣は3齢から4齢への脱皮殻で、普通は食べられてしまう腹部の脱皮殻が残っていました。 その左隣は2齢から3齢への脱皮殻で、尾角の色が暗褐色と白色のものがありました。 その隣の2個の頭部の脱皮殻は、1齢から2齢になる時のものです。 尾角もあったのですが、管理が悪くて風で飛んでしまい、行方不明になってしまいました。 右の写真は、自然界で終齢幼虫へ脱皮した脱皮殻で、尾脚でしっかりと茎に付いています。 脱皮殻には4対の腹脚、3対の胸脚(褐色)、尾角が残っていますが、頭部は脱落してありません。 下に落ちているのでしょうが、土の上でそれを探すのはほぼ不可能です。 2023/7/13 2023/10/3 . 左の写真は、緑色型の5齢(終齢)幼虫の頭部を拡大撮影したものです。 片側に6個の個眼(顎の上辺りに弧状に5個、その内側に1個)があります。 右の写真は、褐色型の5齢(終齢)幼虫の頭部を拡大撮影したものです。 個眼は弧状の4個とその内側に1個が見えていますが、弧状の5個目は見えていません。 個眼は、成虫にある単眼のように見えますが、機能的には複眼を構成する個眼と同じだそうです。 ちなみに、複眼のように見える丸い部分ですが、ここには顎を動かす筋肉が入っているそうです。 2023/10/6 緑色型と褐色型の終齢幼虫が食事をしている様子です。 大きな顎で、かなりのスピードで葉を噛み切っていきますが、葉脈の所ではスピードダウンします。 やはり、葉脈は硬いのでしょうね。バリバリバッリといった感じです。 | ||||||||||
セスジスズメ(Theretra oldenlandiae)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・ スズメガ科・ホウジャク亜科・コスズメ属> スズメガ科コスズメ属に分類される蛾で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布する。 背中に白い縦筋が2本走っていて、それば和名の由来と思われます。 見た目が、ジェット戦闘機を思わせる精悍なスタイルで、翅の模様もそれを助長している。 幼虫は、全体が黒っぽい(稀に黄緑色)イモムシで、背の両側に黄色から黄橙の眼状紋が並ぶ。 頭部と尾部では眼状紋は小さく連続し、尾端では左右から先端が白い尾角の基部で接する。 終齢幼虫に近づくにつれ、体色は黒褐色になり、眼状紋は赤っぽくなる。 非常な大食漢で、成長スピードが早く、数日で数倍に成長する事もある。 食草はヤブガラシやノブドウ、サトイモやサツマイモなど雑多で、数日で丸坊主にされることがある。 発生は、初夏から秋にかけて繰り返され、蛹で越冬する。
2021/9/2
実家の車庫のシャッターに止まっているセスジスズメに気が付きました。 若干、羽化に失敗したようで、左側の前後の翅の一部が歪んでいます。 この近くに食草となるものはないので、夜間に飛んできて、ここに止まったものと思われます。 翅の歪みは、多少、飛翔に影響はあるかもしれませんが、大したことはないようです。 スズメガの仲間は、このデルタ翼のジェット戦闘機のように精悍なスタイルが特徴ですね。 | ||||||||||
ホシホウジャク(Macroglossum pyrrhosticta)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・ スズメガ科・ホウジャク亜科・ホウジャク属> スズメガ科ホウジャク属に属する蛾の1種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、インド北部まで広く分布している。 成虫は、体長35mm前後、開張は40〜50mmで、全体にこげ茶色である。 成虫の出現時期は7月〜11月で、全体に暗褐色だが、後翅には黄褐色の斑紋がある。 また、翅を閉じて静止すると、茶色のグラデーション模様が鮮やかに見える。 腹部の後端近くには白色の帯斑があり、胸部に近い側面に黄褐色の班が2対ある。 なお、これらの特徴はクロホウジャクと似ており、注意してよく見ないと判別は難しい。 後翅の黄褐色の斑紋に違いがあり、ホシホウジャクの方がクロホウジャクより幅が広い。 また、前翅先端の斑紋にも違いがあり、クロホウジャクの前縁側がより白っぽく見える。 成虫は、昼間、飛び回ってホバリングしながら長い口吻を伸ばして吸蜜する。 主に、ツリフネソウ、ホウセンカ、アベリア、コスモス、ラベンダーなどを訪花する。 幼虫は尾角がある独特の形をしており、頭部が小さく、体の前方は細くすぼまる。 体色は淡褐色または緑色で、体側に頭頂から尾端まで縦条が走り、その下に斜条が並ぶ。 幼虫の食草はヘクソカズラやアカネで、終齢幼虫の体長は50〜55mmになる。 なお、越冬形態に関しては、サナギとか成虫とか諸説あり、はっきりとしていない。
2022/11/4
車で戻ってきて、実家の車庫に入れた後、車の屋根に止まっているホウジャクに気が付きました。 走っているときに止まったとは思えないので、車庫入れしているときにでも止まったのでしょうか。 写真を撮ろと近づいたときに逃げて、近くの廊下の方に飛んでいきました。 廊下に行くと、カーテンに止まっていましたので、静止しているところは撮れました。 頭部の触角が見えないので、まさに三角翼のジェット戦闘機のようなスタイルになりました。 その後、逃げて窓ガラスに止まったのですが、このときには後ろにたたんでいた触角が出ています。 下段は飛翔中の写真ですが、この写真に写る後翅のオレンジ色の模様から本種と判断しました。 よく似たクロホウジャクは、オレンジ色の帯模様がもっと細いです。 2023/10/16 庭の雑草を抜いていて、菊に絡んだつる草に褐色のイモムシだ付いているのに気が付きました。 少し離れた所に、少し小さ目の緑色のイモムシも這っていました。 つる草に残っているのは食べかけの葉が2枚だけで、後は巻き付いたツルだけになっています。 少し前に、この辺りにあったつる草を引き抜こうとして、途中で切れてしまったのを思い出しました。 食草が無くなってしまったので、食草を求めて移動しているところだったようです。 キイロスズメもツマグロヒョウモンもサナギになってしまったので、飼育箱に移すことにしました。 このイモムシですが、最初、キイロスズメが頭に浮かびましたが、体の斑紋が褐色で、斑紋も異なります。 スズメガの仲間だろうと思って調べてみると、ホシホウジャクの幼虫らしいことが分かりました。 それで、引き抜こうとしたつる草が、厄介な雑草のヘクソカズラだということが分かりました。 2023/10/17 翌日の褐色の幼虫は、いく分太ったようで、頭部が小さいホシホウジャクの幼虫の特徴が見られます。 2023/10/16 2023/10/17 一方、緑色型の幼虫は、昨晩の内に脱皮したようで、暗褐色の体色に変わっていました。 よく見ると、緑色がかった暗褐色で、上記の褐色型の体色とは異なります。 飼育箱の底には、脱皮殻の一部である頭部の白い殻が落ちていました。 2023/11/2 しばらく留守にするので、ヘクソカズラの葉をこれでもかというくらい入れて出かけました。 10/31に戻ったとき、飼育箱を確認するとヘクソカズラは茎だけになって枯れていました。 幼虫は死んでしまったのかと箱の中を確認すると、入れておいた新聞紙の中でサナギになっていました。 偶然かもしれませんが、同じ場所に繭を作り、2匹が並んでサナギになっていました。 そのサナギの形ですげ、頭部が扁平になっていて、キイロスズメと同じような体形です。 スズメガ科のサナギは、同じような体形になるのでしょうか。 2023/11/22 車庫のシャッターを下ろしているとき、ドアにホシホウジャクが止まっているのに気付きました。 カメラを準備して、撮ろうと近づくと飛び立ってしまいました。 ドアのガラス面にぶつかるように飛び回っていて、止まってくれそうもありません。 仕方なく、飛んでいる所を追いながら、フラッシュを使って撮ったのが上記の写真です。 そしてやっと止まってくれたのが、下段右の写真です。が、すぐにまた飛んでしまいました。 後翅の黄斑をきれいに撮りたかったのですが、動きが早くて撮れたのは下段左の1枚のみです。 黄斑の幅が広いので、ホシホウジャクで間違いはないと思います。 2023/11/22 写真を撮り終わって、何でここにホシホウジャクがいるのかと思ったとき、はたと気が付きました。 羽化するのは来春だと思っていたサナギ、急いで確認するともぬけの殻でした。 こんな寒い時期に羽化するとは思っていなかったのですが、2匹とも羽化していました。 その内の1匹が車庫のドアに止まっていたようです。もう1匹は、見つけられませんでした。 2023/11/23 朝、廊下のカーテンを開けていて、カーテンに止まっているホシホウジャクを見つけました。 昨日見つけられなかったもう1匹の方で、車庫につながる廊下に入っていたようです。 写真を撮ろうとカーテンを触った途端、ポトリと下に落ち、ピクリとも動きません。 6本の脚や触角を体側にピタリと着け、まさにデルタ翼の戦闘機といったフォルムです。 そっと持ち上げて接写することができました(中下段はさらに拡大したもの)。 2023/11/23 撮影中に引っかけて衝撃を与えてしまったのですが、その途端に脚が出てきました。 そのときの拡大写真ですが、上記とは光の差し込む方向が逆になっています。 撮影後、そのままにしていたのですが、気が付けばいなくなっていました。 11/24、昨日どこかに逃げ込んでしまっていたものが、朝、車庫のドアに止まっていました。 ドアを開けたとき、そのままポトリと落ちて動きません。 昨日もそうでしたが、気温の低い朝方は動きが悪いようで、ほとんど動かないようです。 外に出たいようだったので、そのままにしておいたのですが、いつの間にか消えていました。 午後になって、廊下のカーテンの所でバサバサと音がし、その方を見ると飛び回っていました。 こちらも外に出たいようだったので、窓を少し開けて外に逃がしてやりました。 このままどこかで越冬するのか、はたまた、死んでしまうのか、ちょっと気になります。 | ||||||||||
キンモンガ(Psychostrophia melanargia)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・シャクガ上科・ アゲハモドキガ科・Psychostrophia属> アゲハモドキガ科に分類される蛾の一種で、日本固有種。 日本では、本州から四国、九州に分布する。 出現期は、5月〜6月と8月〜9月の年2回。 開張は35mm前後で、翅は黒地に淡黄色の大きな紋があり、後翅の中央部は広く淡黄色。 紋の色は通常は淡黄色だが、白色のものも見られ、紋の大きさにも個体差がある。 幼虫は、リョウブの葉を食べ、体は白蝋状の物質で覆われている。 蛹化時、繭にこの物質を混ぜて白い繭を作り、蛹も白粉に覆われている。蛹で越冬する。
2023/7/18
網引第1湿原から奥池に向かう途中、通路脇で見かけたキンモンガです。 黒地に黄色い斑紋なので、否が応でも目に付く配色で、薄暗い林内でも目に留まります。 キンモンガは新潟の胎内市で見て以来、2度目なのですが、その理由が分かりました。 どちらも、近場にリョウブの樹があるのです。キンモンガの食草が、このリョウブなんです。 2023/7/25 この日も奥池近くでは、数匹のキンモンガが通路脇などに止まっていました。 この近くにはリョウブの樹が、数本寄り集まって花を咲かせています。 | ||||||||||
ウメエダシャク(Cystidia couaggaria couaggaria)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・シャクガ上科・ シャクガ科・エダシャク亜科> シャクガ科エダシャク亜科の蛾で、出現は年に1回。 日本では、北海道から四国、九州まで、ほぼ全国に分布する。 日本を含め、シベリアから朝鮮半島、中国まで広く分布している。 開張は35〜45mmで、翅は白色と黒色のまだら模様。腹部は淡黄橙色で黒色の斑紋が並ぶ。 見た目がトンボエダシャクなどと良く似ているが、翅の斑紋などで区別可能。 日中に活動し、フワフワと羽ばたきながら緩やかに飛び続ける。 幼虫は、ウメ、モモ、サクラ、エゴノキ、スイカズラなどの葉を食べる。
2019/6/22
夕方になると、実家の庭をフワフワと飛び始めるウメエダシャクです。 フワフワと飛んでいるようでも、結構動きは早く、飛んでいる所はうまく撮れませんでした。 たまに止まってくれるので、何とか撮れました。 2021/5/7 ここ10日程、庭を飛び回るウメエダシャクがかなり目立っていました。 この日の朝、庭のジャノヒゲの中をウロウロしているウメエダシャクが居たので撮影したものです。 前の写真は70-300ズームでしたが、今回はかなり近づけたので100mmマクロを使っています。 | ||||||||||
オオバナミガタエダシャク(Hypomecis lunifera)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・シャクガ上科・ シャクガ科・エダシャク亜科> シャクガ科エダシャク亜科の大型のエダシャクで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬、屋久島に、海外では朝鮮半島に分布する。 出現時期は、6月〜7月と9月の年2化である。 開張はオスで42〜54mm、メスで44〜66mmで、メスの方が一回り大きい。 雌雄で触角の形状が異なり、オスの触角は櫛歯状なのに対し、メスは糸状である。 前翅長は時期によって異なり、春型で30〜34mm、夏型は21〜27mmと小さくなる。 全体に淡灰褐色で、3本の暗褐色の波模様があり、特に外横線の波模様が明瞭。 また、後翅の二重の亜外縁線の間は、灰白色になる。 昼間は木の幹に密着していて動かず、翅の模様が保護色となっている。 幼虫は広食性で、ブナ科、ニレ科、カバノキ科、マメ科などの広葉樹の葉を食べる。 成虫は、花の蜜を吸汁する。
2022/6/7
駐車場の端にあるトイレの壁に止まっていた、ちょっと大型の蛾です。 調べるのに苦労するだろうと思いましたが、取りあえず写真を撮って、調べてみました。 予想通り、エダシャクの仲間には似たものが非常に多く、片っ端から調べる羽目になりました。 そして、たどり着いたのがオオバナミガタエダシャクでした。割とポピュラーな種類です。 決め手は、外横線の波模様の形状を含めた3本の波模様です。 それと、後翅にある2本の暗褐色の亜外横線の間が灰白色になっている点です。 なお、この個体の触角は、櫛歯状をしているのでオスですね。 | ||||||||||
ヒメアトスカシバ(Nokona pernix)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・スカシバガ上科・ スカシバガ科・スカシバ亜科・ビロードスカシバ族> スカシバガ科スカシバ亜科の蛾で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、対馬に、海外では中国に分布する。 前翅開張は、オスで20〜27mm、メスで22〜29mmと、メスが一回り大きい。 体色は黒色で、腹部に黄色い帯が2本ある。後翅の周辺部以外は透明。 黒い体色に黄色い2本の横帯の模様は、オオフタオビドロバチにそっくりで、ベイツ型擬態である。 なお、対馬には黄色い横帯がない黒化型個体が報告されている。 オスは、メスより細身で、腹部末端に尾端総毛があり、扇状に広がっている。 発生時期は6月〜9月で、ヘクソカズラの虫えいから羽化して出てくる。 産卵は、ヘクソカズラの茎に穴を開けて、その中に行われる。 孵化した幼虫は、虫えいを作ってその中で生活し、蛹になる。羽化して初めて外に出る。
2019/6/19
実家の庭に植えられているキクの葉に、スカシバガが止まって、じっとしていました。 その時は種類までは分からなかったのですが、後で調べて、ヒメアトスカシバと分かりました。 腹端に、尾端総毛が扇状に広がっていないため、この個体はメスのようです。 オオフタオビドロバチにベイツ型擬態しているそうなので、下記に並べてみました。
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オオモモブトスカシバ(Melittia sangaica nipponica arita et Yata, 1987)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・スカシバガ上科・ スカシバガ科・スカシバ亜科・モモブトスカシバ族> スカシバガ科スカシバガ亜科に属する蛾で、在来種。 日本では本州から四国、九州、南西諸島に分布するが、南方系で東北地方での確実な記録はない。 よく似たシタキモモブトスカシバは北方系で、東北地方での分布が確認されている。 両者は酷似していて、長く混同されてきたが、1987年に別種として分離された。 出現時期は6月〜8月で、開張はオスが36〜39mm、メスが38〜41mmである。 後脚に毛を密生させた独特の形態をしており、体色はマルハナバチの擬態とされている。 幼虫の食餌はカラスウリ類(カラスウリ、キカラスウリ)で、蔓の根元近くに侵入し、虫えいを作る。 幼虫は秋になると地面に下り、土繭を作る。土繭中で幼虫態越冬した後、翌夏に蛹化。羽化する。 よく似たシタキモモブトスカシバとの判別点は、
2021/6/24
実家の畑の手入れをしているとき、スカシバガが飛来して、キュウリの根元をぐるぐる回り始めました。 時折、キュウリの根本や地面に尾端を付ける動作を繰り返していたので、産卵だと気が付きました。 追い払うかどうか悩んだのですが、結局、写真撮影することに決めで、最後まで見ていました。 後で調べて、オオモモブトスカシバかシタキモモブトスカシバのどちらかと分かりました。 幼虫の食餌はカラスウリかキカラスウリとのことですが、近くのキカラスウリは除草されています。 そのためでしょうか、同じウリ科のキュウリに産卵することにしたようです。 常にホバリングしていて、翅の静止画像は撮れなかったので、中脚脛節・附節が黒い点で本種としました。 また、常に茎の基部を飛び回って、基部や近くの地面に産卵している点でも、本種と思われます。 | ||||||||||
ビロードハマキ(Cerace xanthocosma)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ハマキガ上科・ ハマキガ科・ハマキガ亜科> ハマキガ科ハマキガ亜科の蛾の1種で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、佐渡島、対馬、屋久島に、海外では、樺太や中国に分布する。 開張は、オスで34〜40mm、メスで40〜59mmになる。 成虫の出現時期は、6月〜7月、9月〜10月と年2回出現する。第1化は第2化より大型になる。 頭胸部と前翅には、黒地に細かい黄白色の斑紋があり、1対の赤色の縦条と翅端がオレンジ色である。 後翅には、オレンジ色の地に黒色の斑紋がある。腹部や翅の裏側もオレンジ色である。 オスの黄白色の斑紋は小さく、後翅の半ばから端側半分は黒色である。 一方、メスでは黄白色の斑紋が発達し、後翅は淡色で全体的に黒色の斑紋がある。 地味な色で擬態している蛾が多い中、逆に毒々しい警戒色を見せつけることで身を守っていると考えられている。 幼虫は、モクレン科、クスノキ科、バラ科、ブナ科、グミ科の常緑樹など、様々な広葉樹の葉を食べる。
2019/6/26
生石神社に行ったついでに、その裏山に登ったとき、岩の上に止まっていました。 地味な色合いや模様の多い蛾の仲間では、特異なド派手模様の蛾です。 この状態では、そう派手に見えないかもしれませんが、後翅や腹部がオレンジ色に黒斑でさらに派手です。 本などで見知っていましたので何とも思いませんが、知らないと触りたくないほど毒々しいです。 | ||||||||||
オオミノガ(Eumeta japonica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヒロズコガ上科・ ミノガ科・オオミノガ亜科・Eumeta属> ミノガ科Eumeta属の蛾で、在来種。国内では、最大となるミノガ。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。 メスは羽がなく、成虫になってもウジムシ型で、巣の中にいる。 オスは、夕方にメスを探しに飛翔し、見つかると交尾し、メスが巣の中に産卵する。 夏に孵化した幼虫は、巣の下から出て、小さな巣を作って独立する。 終齢幼虫は体長35〜50mmで、幼虫で越冬する。 成虫の出現時期は5月〜8月で、オスの開張30〜42mm。 褐色の地味な蛾で、前翅は暗褐色で翅脈上は黒。前翅の翅頂付近に透明斑がある。 なお、オオミノガの蓑は、葉が中心で小枝は少なく、きれいな紡錘形で、ぶらりと垂れ下がる。
2021/6/5
いつもの実家近くの川沿いを散歩中、トキワサンザシに葉がない枝があるのに気が付きました。 どうしたのかと近づくと、葉のない枝にはミノムシの蓑がたくさん付いていました。 蓑の特徴からチャミノガと判断したのですが、近くの枝にはオオミノガと思われる蓑も付いていました。 チャミノガの小枝の多い円柱形の蓑とは異なり、葉の多い紡錘形の蓑なので、オオミノガと思われます。 チャミノガが食い尽くした枝ではなく、普通の枝に数個ぶら下がっていました。 | ||||||||||
チャミノガ( Eumeta minuscula)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヒロズコガ上科・ ミノガ科・オオミノガ亜科・Eumeta属> ミノガ科Eumeta属の蛾で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、対馬に、海外では、台湾と中国に分布する。 幼虫の蓑は小枝をたくさん付け、蓑を45°ほどの角度にして取り付くことが多い特徴がある。 また、蓑の形は円柱型に近い形になる(オオミノガは蓑は小枝より葉が多く、紡錘形をしている)。 オスの前翅開張は23〜26mmあり、体色は黒色で、褐色毛が密生している。 翅は暗褐色で、前翅の翅脈上は黒く、外縁には白紋がある。 メスは、蓑の中で羽化するが、翅も脚もないウジ虫のような形態で、生涯、蓑の外に出ることはない。 夕方に蓑の下端からフェロモンを出し、それに誘われて数百m離れていても察知してオスが飛んでくる。 交尾が終わったメスは、産卵を行い、しばらくして地上に落下して死ぬ。 ※ チャミノガの蓑は、小枝をたくさん付けた円柱型で、枝に直角に取り付いたり、垂れ下がったりする。
2021/6/5
いつもの実家近くの川沿いを散歩中、トキワサンザシに葉がない枝があるのに気が付きました。 どうしたのかと近づくと、葉のない枝にはミノムシの蓑がたくさん付いていました。 どうやらここに産卵し、孵化した幼虫がほとんどの葉を食い尽くした結果のようです。 蓑がぶら下がるというより、枝に直角に付いているので、蓑の付き方からチャミノガと判断しました。 2021/6/5 2021/6/9 . 2021/6/5,9 6/5に撮影した頭部が出ている写真ですが、この模様がどの部分か分からず、確認することにしました。 ということで、蓑を2個採取して、頂部の方から少し切開したのがその他写真です。 その結果ですが、模様は各々異なりますが、最初の写真は横顔と分かりました。 色味の違いは、最初のものが自然光で影の部分なのに対して、他はフラッシュを使用しているためです。 話は変わりますが、枝に直角に付いているものは強固に付いていて簡単に取れそうもありませんでした。 そのため、採取したのは枝にぶら下がるようにして付いていた個体です。 また、直角に付いているものは、色が黒ずんで古そうな感じのものが多く、活動していなさそうでした。 一方、ぶら下がっているものは、最初の写真のように活発に動いていて、蓑も新しそうでした。 | ||||||||||
クロツヤミノガ(Bambalina sp.)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヒロズコガ上科・ ミノガ科・Bambalina属> ミノガ科Bambalina属の蛾で、在来種。蓑虫としてはポピュラーである。 以前、ミノガ(Canephora asiatica)が永らく使用されていたが誤同定と判明し、 クロツヤミノガ(Bambalina sp.)が用いられるようになった。 しかし、Bambalina属そのものが十分に解明されておらず、今後も属が変更される可能性がある。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。 メスは羽がなく、成虫になってもウジムシ型で、巣の中にいる。 オスは、夕方にメスを探しに飛翔し、見つかると交尾し、メスが巣の中に産卵する。 夏に孵化した幼虫は、巣の下から出て、小さな巣を作って独立する。 終齢幼虫は体長20mm前後で、ミノは24〜35mmになり、幼虫で越冬する。 幼虫の頭部や胸部には淡黄色の地に暗褐色の班が複雑に入り、腹部は淡褐色である。 ミノは細長い円錐形で、細かくちぎった葉や茎で覆われ、表面は比較的滑らかである。 成虫の出現時期は5月〜6月で、オスの開張18〜24mm、メスは無翅で体長は17mm前後。 オスは全身黒褐色で模様はなく、触角は羽毛状でメスの出すフェロモンを感じやすくなっている。
2023/7/18
網引第3湿原の遊歩道を歩いていて、ロープにぶら下がっているクロツヤミノガを見つけました。 子供の頃には良く見かけたものですが、最近は見たことがなく、ずいぶん久しぶりになります。 オオミノガの蓑と比べると、細かい葉を使っているのですっきりと細身なのが特徴です。 | ||||||||||
ヒロヘリアオイラガ(Parasa lepida)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・マダラガ上科・ イラガ科・イラガ亜科・Parasa属> イラガ科Parasa属に分類される蛾で、南アジア〜中国が原産地。 日本では、1920年頃に鹿児島市内で定着が確認され、1979年頃には関西で確認されている。 その後も分布域を広げ、現在では本州の関東南部から四国、九州、南西諸島に分布している。 海外では、南アジア、東南アジア〜中国に分布する。 出現時期は6月〜10月で、年2化。開張は30〜40mm。 前翅外縁と基部が茶褐色で内側が浅葱色。背にも浅葱色の毛が生える。後翅も茶褐色。 なお、クロシタアオイラガに似るが、前翅外縁の茶褐色部の幅が狭く山形に盛り上がる点で異なる。 成虫の触覚は、メスでは糸状になり、オスでは櫛歯状になる。 終齢幼虫は体長22mm前後で、体色は黄緑色。背面と側面に斑紋が連なった青い帯がある。 背部両側と体側部には肉質の瘤が並び、多数の棘が生えて、その先に毒針毛がある。 また、身体の前方に先端がオレンジ色の棘が生えた突起が1対あり、尾端に黒い毛束が2対ある。 以上は、終齢幼虫の特徴であるが、4齢幼虫までは模様は似ているが、肉質の瘤は倍以上の高さがある。 また、オレンジ色の突起ではなく、突起の色は黒色で、尾端に黒い毒針の毛束は見られない。 繭は褐色の卵型で、その表面には毒針毛が付着している。この繭の中で前蛹で越冬する。 人が幼虫の棘に触れると、先端の毒針毛が刺さって激痛が走る。 ただ、痒みはあまりなくて、治癒は比較的早いほうである。 幼虫の食草は、バラ科、カエデ科、カキノキ科、マメ科、モクセイ科などいろいろな木を食害する。 イラガ科は検疫有害動物に指定されており、本種は日本の侵略的外来種ワースト100の1つである。 なお、ヨコヅナサシガメがいる場所では,本種の密度が低く抑えられるとの研究結果がある。
2021/9/13
実家近くの川沿いを散歩中、繁茂しているネナシカズラを見ていて、足元のイラガの幼虫に気が付きました。 実家のカキノキなどで見たイラガの幼虫とは色合いが異なりますが、体形はよく似ています。 後で調べて、アオイラガかヒロヘリアオイラガだと思ったのですが、どちらとも特徴が合いません。 背中の模様や多数の棘が生えた肉質の瘤、前方の突起の色などどっちつかずです。 アオイラガとは前方の突起の色が黒の点は合いますが、背中の模様が異なり、肉質の瘤も低いです。 ヒロヘリアオイラガとは前方の突起の色が黒で合わず、背中の模様は近いが、肉質の瘤は低いです。 さらに調べていると、ヒロヘリアオイラガの4齢幼虫までの特徴と合うことが分かりました。 ヒロヘリアオイラガの幼虫は、4齢幼虫までと終齢幼虫では、下記のように外見がかなり変わるようです。 2021/9/13<4齢幼虫> 2021/9/29<終齢幼虫> 終齢幼虫では、身体の前方に刺の色が黒色からオレンジ色に変わります。 また、背部や体側に並ぶ肉質の瘤は、4齢幼虫では細い円錐状なのが、終齢幼虫ではドーム状になります。 背面にある連なった青い斑紋も、中央の濃色部は同じ形状ですが、その周囲の斑紋は色も形も変わります。 <終齢幼虫 背面> 2021/9/29 <終齢幼虫 側面> イラガの幼虫とも比較してみようと、この時期近づきたくない自宅のモミジやカキノキを探しました。 しかし、見つかるのはヒロヘリアオイラガばかりで、イラガの幼虫は全く見つかりません。 以前、見かけたカブトガニを小さくしたようなテングイラガの仲間も見当たりません。 いつの間にか、これらが居なくなり、ヒロヘリアオイラガに置き換わってしまったようです。 <終齢幼虫 頭部> 2021/9/29 <終齢幼虫 尾端> ヒロヘリアオイラガの頭部は、肉ひだのようなもので覆われていて、その頭部を見ることはできません。 左の写真で、中央下部のブニョブニョしたものが肉ひだで、頭部をすっぽりと覆ています。 その上部にある黒い瞳のようなものは眼ではなく、斑紋です。これを見たとき、ブルドックの顔を連想しました。 尾端には、黒い毛束が4個並んでいますが、4齢幼虫では見られません(ある場合もあるとか)。 2021/9/29 イラガを探していて見つかったのは、ヒロヘリアオイラガとこの褐色のイラガの仲間らしいもの。 それと、樹の下に落ちていたブヨブヨになって死んでいるヒロヘリアオイラガの幼虫です。 褐色のイラガの仲間らしいものは、調べてもこのような色の幼虫は見当たりません。 いろいろ調べていると、ヒロヘリアオイラガの幼虫が病死して黒く変色するとの記事がありました。 よく見ると身体の前方に黒い棘があり、背部や体側に並ぶ肉質の瘤の形状は4齢幼虫とそっくりです。 どうやら、病気で死んだヒロヘリアオイラガの4齢幼虫が、腐敗して褐色に変色したもののようです。 2022/6/10 今年もヒロヘリアオイラガが産卵していたようで、2mmに満たない1齢幼虫の食痕を見つけました。 この時期は、1ヶ所に集まって集団で葉を食べるので、独特な食痕となります。 この葉脈だけが残ている食痕を見つけたら、幼虫に触れないように茎ごと除去します。 イロハモミジで2ヶ所見つけて一網打尽にしましたが、きっと、カキノキにもいるでしょうね。 2022/6/28 散歩中、御近所の塀際の植栽で、ヒロヘリアオイラガの集団を発見。 葉脈を残して食べているので、1齢幼虫でしょうか。自宅で見たものより1周り大きくなっています。 2022/7/8 しばらくして近くを通ったので様子を見て見ると、倍くらいになっていました。 まだ、集団で採餌しているので2齢幼虫と思われますが、食痕がまったく異なります。 1齢幼虫は葉脈を残していましたが、2齢ではきれいさっぱり食べ尽くしています。 食べる量が増えたためか、幼虫の数が半分以下に減って、分散したようです。 そのような中、単独で採餌しているものもいました。 おそらく、3齢幼虫なのでしょう。体長は、目測ですが1cmはあったと思います。 | ||||||||||
ヤホシホソマダラ(Balataea octomaculata)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・マダラガ上科・ マダラガ科・クロマダラ亜科・Balataea属> マダラガ科クロマダラ亜科に分類される蛾の一種で、在来種。 日本では、本州から四国、九州に、海外では、朝鮮半島から中国に分布する。 出現時期は6月〜7月で、開張は23mm前後である。 幼虫の食草はイネ科のササやタケ類、ヌマガヤで、成虫はヒメジョオンなどで吸蜜する。
2022/6/18
第2湿原の草むらと第1湿原のノハナショウブの花で見たヤホシホソマダラです。 最初に見た時、以前に見たことがあるキスジホソマダラだと思っていました。 後で確認すると黄色い斑紋が異なることが分かり、調べ直して本種と分かりました。 斑紋の形まで覚えていれば間違えないでしょうが、色だけだと勘違いしても不思議はないかも。
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ヒメクロバ(Fuscartona funeralis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・マダラガ上科・ マダラガ科・クロマダラ亜科・Fuscartona属> マダラガ科クロマダラ亜科に属する蛾で、在来種。 日本では、国後島、北海道、本州、九州?(分布域に含まない記載あり)に分布している。 出現時期は、4月〜8月で、開張は15〜18mm、前翅長は7〜9.5mmである。 体色は茶褐色で翅脈は不明瞭(よく似たタケノホソクロバは明瞭)である。 触角は雌雄で異なり、オスでは櫛歯状で、メスではひげ状である。 幼虫は背面が乳白色〜オレンジ〜黒褐色と変異があり、全身にある白毛に触れるとかぶれる。 食草はササの葉で、直線的に食べるため、食痕が独特な幾何学的な形になる。 参考文献によれば、タケノホソクロバの学名が「Artona funeralis」とされていたが、 後にタイプ標本がヒメクロバであったことが判明し、ヒメクロバの学名となった。 その際、タケノホソクロバに新たな学名「Artona martini」が付けられようである。 更に、その後「Artona属」から「Fuscartona属」として分離独立され、現在に至っている。 現在、国内に生息するFuscartona属は、タケノホソクロバとヒメクロバの2種である。
2022/6/18
バイオトイレの側で群生していたエゾノギシギシ、そこにヒメクロバが止まっていました。 初めて見る蛾ですが、外形からマダラガ科の蛾だと見当がつきました。 調べると、ヒメクロバかタケノホソクロバのどちらかのようです。 この2種、因縁があるようでよく似ていて、違いは微妙です。 この2種をWebで調べ、写真と比較した結果、翅の色や翅脈の明瞭さから本種と判断しました。 | ||||||||||
ウメスカシクロバ(Illiberis rotundata)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・マダラガ上科・ マダラガ科・クロマダラ亜科・Illiberis属> マダラガ科クロマダラ亜科に属する蛾で、在来種。 日本では、本州から四国、九州に分布している。 海外では、朝鮮半島南部から中国、ロシア南東部に分布している。 出現時期は5月〜6月で、前翅長は9〜12mm、開張は16〜25mmである。 体色は黒色で、翅も黒色を帯びるが透明度は高い。 触角は雌雄で異なり、オスでは櫛歯状で、メスではひげ状である。 幼虫は、いわゆる毒毛虫で、毒棘(どくきょく)に触れるとはげしく痛み、発赤して丘疹ができる。 痒感が強く、治癒には7〜10日を要する。なお、成虫に毒棘はない。 幼虫は、バラ科(ウメ、モモ、サクラなど)の葉を食べ、成虫は花蜜を吸汁する。 見た目がリンゴハマキクロバに似るが、前翅の翅脈の違いで識別可能である。
2022/5/30
実家近くの川沿いを散歩中、茎に止まっている黒い蛾を見つけました。 見た目は、以前見かけたブドウスカシクロバによく似ていますが、色が異なります。 調べてみると、ウメスカシクロバかリンゴハマキクロバのどちらかと分かりました。 左写真の赤矢印の部分が、外に向かってすぼまっているのでウメスカシクロバと判断しました。 なお、外に向かって広がっているのはリンゴハマキクロバです。 この個体は、触角が櫛の歯状ではなく、ひげ状なのでメスです。
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マドガ(Thyris usitata)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・マドガ上科・ マドガ科・マドガ亜科> マドガ科マドガ亜科の蛾で、日本固有種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 出現時期は5月〜8月で、開張は12〜18mmの小型の蛾。 メスの方がオスより大きめで、オスの触角は片側のみ櫛歯状で、メスは繊毛状。 また、オスの腹端は細長く伸びているが、メスの腹端は丸い。 翅表面は黒褐色〜暗紫褐色で、前翅の中央付近と後翅の基半付近に半透明の白色斑がある。 白色斑の周囲には、黄色斑が散在する。翅の外縁は、前後翅各々に2ヶ所白い部分がある。 頭部には黄褐色の鱗粉が多く、胸背部にも同色の鱗粉による3本の線がある。 腹部背面には、細くて白い帯状の線がある。脚は黒褐色で腿節、脛節、符節の末端は黄色い。 昼行性で、日中に花を飛び回って吸蜜や吸水を行う。 幼虫の食草はボタンヅルで、産卵は食草の葉裏に1粒ずつ行われる。
2022/4/30
高砂市の鹿嶋神社近くにある市ノ池公園で、花壇の花で吸蜜中のマドガがいました。 翅を動かしながら、ちょこまかと動くので、なかなか全体にピントが合いません。 この個体は、触角が繊毛状で、腹端の丸いのでメスですね。 | ||||||||||
ベニモンアオリンガ(Earias roseifera)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・ コブガ科・ワタリンガ亜科 コブガ科ワタリンガ亜科の蛾で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、アムールに分布する。 成虫の出現時期は4月〜9月で、前翅長は9〜12mmで、開帳は17〜21mmである。 前翅は黄色〜深緑色で、前翅中央に紅色の紋があるが個体差がある。後翅は暗灰色でる。 夏型になると前翅が黄色味が強い黄緑色になり、紅色の紋が消える個体が現れる。 夏型はアカマエアオリンガ(前翅前縁基部に紅色部があり後翅が白色)に似ている。
2024/4/23
カシワバアジサイの葉に止まる緑色の昆虫を見て、最初に浮かんだのはアオバハゴロモです。 近づいて良く見ると、翅の中央に緋色のグラデーションのある斑紋があります。 綺麗な色合いの翅で、アオバハゴロモではないと分かったのですが、見たことがありません。 良く調べようと捕獲を試みたのですが、しっかりと逃げられてしまいました。 後で調べて、ワタリンガの仲間でベニモンアオリンガと分かりました。蛾だったんですね。 ツツジの花を食べる有名な害虫で、見た場所の直ぐ側にヒラドツツジの樹が数本あります。 葉を食べるルリチュウレンジに手を焼いているのに、これまで増えたらダブルパンチです。 今年はヒラドツツジの花が綺麗に咲き始めており、被害は無いように見えますが来年は要注意かも。 | ||||||||||
ドクガ(Artaxa subflava)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・ トモエガ科・ドクガ亜科・Artaxa属> ドクガ亜科Artaxa属に属する蛾で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、シベリア南東部に分布する。 成虫出現は6月〜8月で、開張はオスで25〜33mm、メスで37〜42mmである。 前翅は黄褐色に褐色の帯状斑があり、先端部に黒斑が2対ある。 幼虫の体色は黒色で、背面にオレンジ色の筋模様が入る。 幼虫は夏に孵化して集団で摂食し、10齢前後で落ち葉の下などで越冬する。 翌春、4月頃から摂食を始め、13〜17齢で老熟して単独生活に移行する。 終齢幼虫は、体長が40mm前後にまでなる。 2齢以降の幼虫は強力な毒針毛を持ち、それが繭や成虫、卵塊に付着している。 繭を作る時、毒針毛を繭の周りに付けまくり、羽化時にその毒針毛を尾毛で擦り取る。 そして卵塊にその毒針毛を擦り付け、孵化した1齢幼虫にその毒針毛が付着する。 つまり、生涯の全ての段階で、幼虫時の毒針毛を活用して身を守っている。 この毒針毛の毒性分はタンパク質で、皮膚に触れると赤く腫れてかぶれ、数週間痒みが続く。 幼虫の食草は、バラ科、ブナ科、カキノキ科、タデ科、イラクサ科など多種に及ぶ。 なお、成虫は摂食することはない。
2022/6/18
第3湿原の通路脇で、テリハノイバラに付いたイヤーな感じの毛虫を見つけました。 カメラ屋の性でしょうか、こういうのを見ると写真を撮りたくなってしまいます。 ただ、虫屋でもあるので、こういうのには近づかない方が良いことは直感的に分かります。 最初、逆光気味になるのでフラッシュを使ったのですが、反射で身体が白く飛んでしまいました。 雨で体が濡れているようで、水の膜が出来て、それが光を乱反射させているようです。 調整して反射を抑えて撮ったのが左の写真で、右はフラッシュを使わずに撮ったものです。 下段の拡大写真を見れば、黒い部分に白っぽい膜のようなものが見えていると思います。 右の写真は逆光気味なので、黒い部分が黒つぶれして、毛の部分が白く飛んでしまっています。 話が脱線してしまいましたが、後で調べてドクガの幼虫と判明しました。 下段の写真では多くの毒針毛が見えていますが、この毛が風に乗って飛んでくるそうです。 この毒針毛の毒は強烈で、触れただけで赤くかぶれて痒みが続く言われています。 以前、実家の庭で発生して、駆除に往生したと聞きました。 君子危うきに近寄らずですね。虫屋の感は正しかったようです。 | ||||||||||
ゴマフリドクガ(Somena pulverea pulverea)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・ トモエガ科・ドクガ亜科・Somena属> ドクガ亜科Somena属に属する蛾で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島などに分布する。 成虫出現は5月、7月〜8月で、開張はオスで20〜29mm、メスで24〜33mmである。 前翅は黄色く、褐色〜黒褐色の点が不規則に散在するのが和名の由来である。 なお、広い範囲が黒褐色となる変異があり、稀にゴマ振り模様が無い個体もいる。 成虫がエサを摂取することはなく、幼虫は広食性でサカキ科、バラ科、マメ科など多岐にわたる。 終齢幼虫の体長は23mm前後で、黒い体色に腹部背面に黄色の縦帯、側面には白と赤の紋が連なる。 幼虫は毒針毛を持ち、刺さると痛みと痒みがあり、皮膚炎を起こすこともある。 羽化時に幼虫時の毒針毛を腹に付けるため、成虫にも毒針毛がある。繭や卵塊も毒針毛が付着している。 かけばかくほど毒針毛が食い込むため、流水で流すとか、粘着テープで引き剥がすのが良いらしい。 本種の幼虫は、キドクガやモンシロドクガの幼虫とよく似ていて、下記の点で区別できる。
2024/3/16
網引湿原第1獣害防止ゲート近くの林内で、以前見かけたドクガと同じ色合いの毛虫を見かけました。 気になって、何となく撮ってしまったのですが、手は出しませんでした。 後で調べてみると、やはりドクガの1種と分かりましたが、他にも似たものがいます。 胸部背面の黄色斑が短く、頭部の赤色斑に黒くて長い毛束が見られないので、本種と判断しました。 やはり、この色合いの毛虫には要注意ですね。桑原桑原。 | ||||||||||
カノコガ(Amata fortunei)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・ ヒトリガ科・カノコガ亜科・カノコガ属> ヒトリガ科カノコガ属のガで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州まで、ほぼ全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国に分布している。 出現時期は6月〜8月で、年2回発生する。昼行性で、給蜜のために花を訪れる。 開張は30〜38mmで、翅は黒色の地に半透明な白斑がある。この鹿の子模様が和名の由来。 なお、この翅の黒い部分は、光の加減で青い金属光沢が見られる。 頭部は光沢のある黒色で糸状の触覚があり、胸部は黒色。腹部は黒に黄色の帯模様がある。 なお、黄色い帯模様は背面まであるものが2個、背面に達しないものが4個ある。
2022/6/18
第3湿原の通路脇で、葉に止まっているカノコガを見かけました。 湿原の周囲は広葉樹林なので、いろいろな昆虫が生息しているようです。 | ||||||||||
タマナギンウワバ(Autographa nigrisigna)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・ ヤガ科・キンウワバ亜科・Autographa属> ヤガ科キンウワバ亜科に属するガで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に広く分布する。 海外では、中国からヒマラヤ、インドに分布する。 成虫の出現時期は6月〜10月で、年4〜5化。各態で越冬する。 開張は34〜40mmで、体長は18mm前後。暗褐色で翅中央に銀白色の斑紋がある。 産卵は1個ずつ産み付けられるので、孵化した幼虫が集団化することはない。 若齢幼虫は葉肉のみ食害するため、表皮のみになった食痕は白い被害痕となる。 3齢幼虫以降は太い葉脈のみ残すようになるので、食痕は穴となる。 終齢幼虫になると体長は40mmほどになる。 幼虫の胴部は淡緑色で、個体によっては縦の白い条斑が現れる。 1齢幼虫の頭部は黒色であるが、2齢幼虫以降の頭部は淡黄緑色である。 なお、多くのヤガ類は腹脚が4対あるが、本種は前2対が退化して2対である。 食草は、アブラナ科、キク科、マメ科、セリ科、ヒルガオ科と多岐にわたる。
2023/11/11
ブロッコリーの葉を食い荒らすモンシロチョウの幼虫、これらを日々駆除しています。 その幼虫を探すとき、少し細長く、白い縦の線が入っている幼虫が混ざっているのに気付きました。 上段左の写真が最初に気が付いたときのもので、右端が本種で、左の2匹はモンシロチョウです。 それを拡大したのが上段右の写真で、シャクトリムシのような動きをしていました。 この写真からは腹脚が2対しか確認できません。そのため、シャクトリムシの様な動きになるようです。 その後、下段のような幼虫も見つけましたが、これらの特徴からタマナギンウワバの幼虫としました。 よく似たものにシロイチモジヨトウがいますが、腹脚が4対あり、この点が異なります。 同じキンウワバ亜科のイラクサギンウワバもいて、こちらは識別が難しいようです。 判定には幼虫の刺毛配列を詳細に確認する必要があるそうですが、この写真からは識別できません。 ただ、Webで写真をいろいろ見てみると白い条斑が見られたのはタマナギンウワバの写真のみでした。 この点だけで断定するのは早計かもしれませんが、ここではタマナギンウワバとしました。 ただ、兵庫県の秋作野菜で多発生しているそうなので、こちらの可能性もあります。 ※ 成虫を見ると前翅の斑紋の形状が異なるので、この点で識別可能なようです。 話は変わりますが、下段の写真の食痕がキンウワバ亜科の特徴です。 裏側から食べますが、表面の皮1枚を残して葉肉のみ食べるので、白い食痕が残ります。 3齢幼虫以降は全て食べるようになるので、モンシロチョウ同様に穴が空いた食痕になります。
※ 夏期にはタマナギンウワバが優占種で、秋季にはイラクサギンウワバが優占種になるとのこと。
なお、イラクサギンウワバは耐寒性が低く、5℃以下に長時間さらされると死亡率が高くなるそうです。 そのため、低温が続く時期になると、イラクサギンウワバはほぼいなくなってしまうということです。 2023/11/16 種類の同定をはっきりできないかと、幼虫を捕捉して撮影することにしました。 見つけたのはこの2匹で、若干色味が異なっています。 この写真で、幼虫の腹脚が2対しかないのが良く分かると思います。 2023/11/17 何齢幼虫かは不明ですが、体長はどちらも17mmほどで、ほぼ同じ大きさです。 ※ 11/20には、脱皮したのか体長は28mmほどになっていました。もう1匹は変わっていません。 さて、タマナギンウワバとイラクサギンウワバの幼虫識別方法として、
ここで書かれているSD1刺毛、V1刺毛、腹中線がどれなのか調べたのですが、分かりませんでした。 下段の拡大写真の中程の4つが第1(右)→第4(左)腹節で、左が側面、右が背面の写真になります。 V1刺毛がどれなのか分かりませんが、見る限り位置が変わる毛は無いように思われます。 その点で、やはりタマナギンウワバの可能性が高いのではないかと思っています。 2023/11/19 それでもモヤモヤしていたので、他に無いかと探していて、やっと解説図を見つけました。 そこには熟練を要すると記されていましたが、下記の記載と図が掲載されていました。
上記の右の拡大写真で、左が第3腹節で右が第4腹節になります。 上記は赤矢印を追加したものですが、その部分に桿状突起物があるか否かが識別点となります。 上記の通り、2本の刺毛は見られますが、桿状突起物は見当たりません。 この点からタマナギンウワバと判断して良さそうです。やっとモヤモヤが晴れました。 <2齢幼虫> 2023/11/21 <終齢幼虫> 2023/11/21 <終齢幼虫の頭部> この日、11/17の左側の写真の色が濃い個体が、褐色になって死んでいることが分かりました。 なぜ死んだのか分かりませんが、代わりの個体を探して飼育箱に追加しました。 体長は9mm前後で、頭部が黒くないことから2齢幼虫と思われます。 一方、右側の個体は30mmほどになり、さかんに葉を食べていました(下段は頭部を拡大)。 この時点では終齢一歩手前で、もう1回脱皮するのではないかと思っていました。 2023/11/23 8:41 2023/11/23 14:24 . 朝、幼虫の様子を確認すると、葉の裏のくぼんだ所で繭を作っていました。 終齢一歩手前と思っていた個体ですが、繭を作り始めて終齢幼虫であったことが分かりました。 この時点では、内部の幼虫が盛んに頭を動かして繭を作っているのが確認できました。 午後になって様子を見ると、光の加減もありますが、繭を作る糸が増えて中は良く見えません。 その隣には追加した幼虫が大きくなっていて、脱皮して3齢幼虫になったようです。 2023/11/26 前日に見たときは、まだ、緑っぽかったのですが、今日確認すると黒っぽくなっていました。 そのまま撮影しようとしたのですが、薄っすらとしか見えず、写真ではほとんど写りません。 仕方がないので、繭を引き剥がしました。裏から見ると糸が多少少なく、表よりは良く見えます。 といっても、上記の写真の通りで、何か黒っぽい物体があるのが分かる程度です。 慎重に、繭の合わせ目から上下に引き剥がしました。それが上段右の写真です。 サナギは全体がほぼ黒色で、わずかに腹面が暗緑色で、翅の先が黄褐色になっています。 タマナギンウワバは各態で越冬するので、このまま越冬するのか、羽化するのか分かりません。 2023/11/30 もう1匹のタマナギンウワバも順調に成長し、間もなく繭を作り始めそうです。 12/2に飼育箱の天板を這っていたので、葉の上に戻しておきました。 2023/12/3 タマナギンウワバの様子を見に行くと見当たりません。外には出られないので、中にいるはず。 しかし、どこを探しても見当たりません。このとき、箱の角で赤褐色の楕円体を見つけました。 もしかしてと思い、その正体を調べると、どうやらブランコヤドリバエの囲蛹のようです。 葉を食べたときに体内に入る寄生バエで、タマナギンウワバは、この餌食になったようです。 | ||||||||||
イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・ ヤガ科・キンウワバ亜科・Trichoplusia属> ヤガ科キンウワバ亜科に属するガで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に広く分布する。 海外では、アジア、オーストラリア、アフリカ、北アメリカまで世界的に広く分布する。 成虫の出現時期は4月〜10月で、秋の発生が多くなる。年3〜4化。サナギで越冬する。 2000年に兵庫県で多発するまで農業害虫の認識はなかったが、西日本や関東でも確認されている。 前翅長は17mm前後、開帳は28〜31mmで、全体的に灰褐色をしている。 前翅の中央部に楕円形とU字型の銀斑が接してあり、楕円の紋の方が小さい。 この斑紋近くの外横線は、タマナギンウワバのように尖らず、多少波打つ程度である。 卵は直径0.5o前後の乳白色の饅頭型で、孵化が近づくと暗化する。 幼虫はタマナギンウワバに酷似するがやや小さい。淡緑〜黄緑色で、背面と側面に白線が何本か走る。 体長は終齢幼虫32mmほどになり、第3,4腹節に腹脚を欠くセミルーパーである。 体色は薄い緑黄色になり、頭部は一様な淡緑黄色で、胸部、腹部には小白斑が散在している。 食草は、キャベツ等のアブラナ科、キク科、ジャガイモ等のナス科、キュウリ等のウリ科などである。
2024/1/6
朝、廊下のカーテンを開けようとしたとき、カーテンに止まる小型の蛾に気が付きました。 春に羽化したら確認しようと思っていたタマナギンウワバのようなので、そっと捕獲しました。 キャベツやブロッコリーから採取した幼虫で、飼育箱から脱走したものがいたので、それが羽化したのか。 それにしてもこの時期に羽化するとは。暖冬だったのと、廊下は日が射すと暖かいので羽化したのかも。 写真を撮り翅の特徴を確認すると、タマナギンウワバに似ていますが、特徴が合いません。 写真下段右側の黄色い丸の部分で、外横線がほぼ真っ直ぐな点でイラクサギンウワバと判断。 タマナギンウワバでは、この部分がギザギザとして、鋭く尖っています。 飼育箱に残っていたものはタマナギンウワバと判断したので、両種が混在していたのでしょう。 | ||||||||||
ヨトウガ(Mamestra brassicae)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・ ヤガ科・ヨトウガ亜科・ヨトウガ属> ヤガ科ヨトウ亜科のガで、在来種。イネ科以外の多くの植物を食害する。 日本では、屋久島以北の各地に分布している。 海外では、朝鮮半島から東アジア・南アジア、ロシア、ヨーロッパに分布する。 成虫は、5月〜6月、9月〜11月に発生する年2化で、土中で蛹化して越冬する。 体長が15〜20mm、開張が45mm前後で、体色は灰褐色〜黒褐色で不鮮明な白斑がある。 幼虫はヨトウムシとも呼ばれ、刺毛はなくて表面は平滑である。 孵化した幼虫は葉裏に群生して食害し、頭部は黒褐色で体色は淡緑色、日中も葉上にいる。 3齢頃になると分散し、日中は土中や地際に潜んで夜間に活動するようになる。 和名のヨトウガ(夜盗蛾)は、この夜間に地上部に出てきて食害することに由来する。 この頃、頭部は黄褐色、体色は個体差が大きく灰黄〜灰黒色になる。 老齢幼虫は体長が40〜50mmになり、サナギは褐色で体長は18〜22mmである。
2023/11/30
裏の畑で、モンシロチョウ、タマナギンウワバに続いて見つかったのが、ヨトウガです。 ヨトウガ(夜盗蛾)の名前の通り、夜間に食害を行うので、見つけるのが難しい害虫です。 キャベツの葉の隙間に潜り込んでいる所を見つけ、回収しました。 体色が褐色に変わっており、頭部に比して体が小さいので、3齢くらいの幼虫でしょうか。 この個体は、幼虫の頭部の後に暗褐色の部分があり、夜盗の頬被りのように見えますね。 昼間はどうしているのかと見てみると、葉の基部の重なりの中に隠れていました。 飼育箱には土などの隠れる場所はないので、やっと見つけた隠れ場所だったのでしょう。 2024/3/14 綾部山梅林の上部の通路脇で、野草の写真を撮ろうと石をどけたら、その下にいました。 ヨトウガは、土中で蛹化してサナギで越冬するはずですが、なぜか、終齢幼虫のままです。 梅林が山の南面にあり、瀬戸内地方は雨も少ないので、幼虫でも越冬できたのでしょうか。 畑では、夜に出てきていろいろな野菜を食い荒らす、非常に厄介な害虫です。 ここには雑草に分類される草本くらいしかないので、被害はないと思いますが。 |