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播州地方で見かけた野草(春W)



実家近辺や兵庫県内などを移動する際に見かけた野草です。
といっても、出かけた際にちょこっと撮影しただけのため、あまり多くはないです。
今後、機会を見つけて充実させていきたいと思っています。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の野草を追加しました。
ナガバモミジイチゴ、オランダイチゴ、ヘビイチゴ、
カスミザクラ、ヤマザクラ、エンドウ
また、下記の写真を追加しました。
ユスラウメ、コツクバネウツギ、ツクバネウツギ、ノヂシャ、
コバノガマズミ、ソラマメ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
バラ目
バラ科・バラ亜科(ナガバモミジイチゴ、オランダイチゴ、オヘビイチゴ、
         ヘビイチゴ、テリハノイバラ、ミヤコイバラ、ノイバラ)
バラ科・モモ亜科(ユキヤナギ、シャリンバイ、トキワサンザシ、カリン、
         カスミザクラ、ヤマザクラ、ユスラウメ)
フウロソウ目
フウロソウ科(アメリカフウロ、ヒメフウロ)
フトモモ目
アカバナ科(ヒルザキツキミソウ、マツヨイグサ、ユウゲショウ)
ミソハギ科(ザクロ)
ブナ目
カバノキ科(イヌシデ)
マツ目
イチイ科(キャラボク)
マツムシソウ目
スイカズラ科(スイカズラ、コツクバネウツギ、ツクバネウツギ、ノヂシャ)
レンプクソウ科(コバノガマズミ)
マメ目
ヒメハギ科(ヒメハギ)
マメ科(イタチハギ、タンキリマメ、ゲンゲ[レンゲ]、シナガワハギ、
    クスダマツメクサ、コメツブツメクサ、シロツメクサ、トガリバツメクサ、
    ベニバナツメクサ、ムラサキツメクサ、エンドウ、ソラマメ、カスマグサ、
    スズメノエンドウ、ヤハズエンドウ[カラスノエンドウ]、ナヨクサフジ、
    ハマエンドウ、ハイメドハギ、ミヤコグサ)
境播州地方で見かけた春の野草(春W)
和名インデックス


ナガバモミジイチゴ(Rubus palmatus var. palmatus)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・キイチゴ連・キイチゴ属>

バラ科キイチゴ属の落葉低木で、在来種。
日本では、本州中部以西に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
なお、静岡県の遠州地域を境に東側にモミジイチゴ、西側にナガバモミジイチゴが分布し、
四国西部には葉が細長くほとんど分裂しないオモゴキイチゴが分布する。
ただし、各々中間的な個体も多く、区別できないとの見解もある。
樹高は1〜2mで、茎の刺はほぼ開出して曲がらず、葉柄や枝の刺は曲がる。
根は地下で横に伸び、あちこちで茎を立ち上げるが先では横に伸びて枝を出し、平面状に広がる。
葉は互生し、葉身は長さ3〜7cmの長卵形で重鋸歯縁。掌状に3〜5裂し、中裂片が特に大きい。
ただし、葉の形や鋸歯には変異が多く、切れ込みが少ない場合もある。葉裏は緑色である。
花期は4月〜5月で、葉腋に白い5弁花を単生し、細い柄で下向きに、葉陰に咲く。
托葉は長さ6〜8mmの披針形で、オシベはメシベを取り囲むように直立して集まって付く。
果実は葉の下に付き、直径1〜1.5cmで、6月〜7月に橙黄色に熟し、食用となる。

2024/4/12
網引湿原の遊歩道脇のあちらこちらで、ナガバモミジイチゴが花をたくさん付けていました。
多数のオシベがメシベを囲むように中央に立ち上がる、独特の形状をしています。

オランダイチゴ(Fragaria × ananassa Duchesne)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・キジムシロ連・オランダイチゴ属>
 
2024/3/13                2024/4/11
バラ科オランダイチゴ属の多年草で、栽培品種としていろいろな種類が流通している。
チリイチゴ(Fragaria chiloensis)とバージニアイチゴ(Fragaria virginiana)の人口交配種である。
日本で、イチゴとして流通しているのは、ほぼこのオランダイチゴの事である。
草丈は10〜40cmで、茎は葉と同じかそれより短く、黄色い絨毛が密に付く。
葉柄は長さ2〜10cm、葉身は3小葉からなり、小葉には短い小葉柄がある。
小葉は葉表が濃緑色、葉裏が淡緑色で、長さ3〜7cmの菱形。縁に鋭い鋸歯があり、先は円形。
花期は4月〜5月で、集散花序に花が5〜15個付く。下部に短い柄のある苞があり、葉状。
花冠の直径は15〜20mmで、花弁は白色の倒卵状楕円形である。
萼片は卵形で副萼片よりわずかに長く、副萼片は楕円状披針形の全縁で、果時には拡大する。
オシベは20個前後あり、不等長である。心皮は多数ある。
集合果は熟すと赤色になるが、食用となるのは花托(花床)であり、果実は表面の粒粒である。

昨秋、庭のホタルブクロの整理をしていて、オランダイチゴが生えているのに気付きました。
ホタルブクロの上には柿の木があり、秋にはいろいろな野鳥がやってきます。
植えたことはないので、おそらく、野鳥の糞に混じっていた種が発芽したものと思われます。
2024/3/13 どんなイチゴがなるのか気になったので、畑の一角に移植しておいたものです。
なんとか冬を乗り越えてくれたようで、小さな新葉を広げ始めていました。
20024/4/11 1ヶ月弱経ち、新葉が伸び始めていますが、あまり大きくはなっていません。
今年は苗の育成を行って、来春に向けて秋に植え直すのが良さそうですね。

オヘビイチゴ(Potentilla anemonifolia)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・キジムシロ連・キジムシロ属>



バラ科キジムシロ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州の田畑の畔道などでよく見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、インド、インドネシアなどに自生する。
茎は地を這って長く伸び、先は斜上して草丈数十pになる。
花後に茎の節から発根し、増えていく。
葉は、根元近くは長い葉柄があり、5出掌状複葉で、上部では3小葉となる。
茎先に集散花序を付け、黄色い花は5花弁で、直径1cm程になる。
萼片は三角状で、内萼片と外萼片が5個ずつ重なって付く。
黄色い葯のオシベは20本、メシベは多数が集合する。
花はヘビイチゴに良く似るが、痩果は褐色で、ヘビイチゴのように大きく赤くはならない。

2023/5/4
網引湿原の第1獣害防止ゲートの手前、少し離れた所で黄色い花がびっしりと咲いていました。
何の花だろうと近づいてみると、5枚の掌状複葉が見え、オヘビイチゴと分かりました。
久しぶりに見た気がしますが、数mの範囲に広がっており、ここまでの群生を見たのは初めてです。

ヘビイチゴ(Potentilla hebiichigo)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・キジムシロ連・キジムシロ属>

バラ科キジムシロ属の多年草で、在来種。
以前はヘビイチゴ属とされていたが、遺伝的な解析で、キジムシロ属に含められるようになった。
日本ではも北海道から九州、沖縄まで全国に分布し、海外では朝鮮半島から中国とアジア南東部に分布する。
茎は地を這い、節から根を出して増える。葉は互生し、長い葉柄の先に3小葉からなる葉が付く。
小葉は長さ3p前後の楕円形か倒卵形で、葉先は鈍頭、基部はくさび形。粗い鋸歯がある。
花期は4月〜5月で、葉対生で、葉柄の反対側から花柄を出し、黄花を付ける。
花の直径は15oほどで、先の3裂した副萼片は、萼片と同じか幾分大き目。
黄色い花被片、萼片、副萼片とも5個あり、オシベは多数ある。
また、中心の花床上に心皮が多数離生して付き、花床は果時には肥大して果床となる。
果実は真っ赤に熟すが、果床には光沢がなく、淡紅色。痩果が多数付き、痩果には皴がある。
果実に毒はないが、無味乾燥で味がなく、食用には向かない。

※ヤブヘビイチゴは、副萼片が萼片より有意に大きく、果床が光沢ある赤で、痩果に皴がない。

2024/4/14
網引湿原の駐車場から第1獣害防止ゲートへ向かう通路脇で黄色い花を見かけました。
昨年、オヘビイチゴを見かけたので、近寄って確認すると花の付き方が異なります。
1茎1花で、小葉が倒卵形、副萼片と萼片がほぼ同長である点で、ヘビイチゴと分かりました。

テリハノイバラ(Rosa luciae/Rosa wichuraiana)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・バラ属>

バラ科バラ属のつる性落葉低木で、日本では本州から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、フィリピンに分布する。
茎には鉤形の刺があり、立ち上がらず、地を這って伸びる。
葉は互生し、長さ8p前後の奇数羽状複葉。小葉は2〜4対で、頂小葉と側小葉の差はない。
小葉は長さ2p程の楕円形で、両面とも無毛で厚みがあり、鋭い鋸歯がある。葉表に光沢がある。
托葉はやや厚みがあり、裂片は三角形状で、縁は鋸歯状になって先に腺がある。
花期は6月〜7月で、枝先に直径3p程の白花を数個付ける。
花弁は5個で、オシベは多数ある。花柱は合着し、毛がある。
偽果は直径8o程の卵球形で、真っ赤に熟す。

2021/4/16
実家近くの川沿いを散歩中、道路際で葉を広げているバラ科の植物を見かけました。
小葉は7個で、鈍頭の楕円形で、表面に皺はなく、ツルっとして光沢があります。
、 側小葉と頂小葉の大きさはほぼ同じで、葉裏は淡い緑色でした。
葉の様子からテリハノイバラだろうと思って写真を撮り、後で確認しました。



2021/4/19
葉裏や托葉の写真を撮っていなかったので、撮り直したものが上記の写真です。
葉裏が白っぽくないことや、托葉の先が幅のある三角形状で縁が鋸歯状であることが分かります。


2021/5/15
1ヶ月ほどが経って、枝先に花序が出来ていましたが、開花はもう少し先になるようです。

ミヤコイバラ(Rosa paniculigera)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・バラ属>

バラ科バラ属の落葉低木で、日本固有種。
日本では、本州の新潟、長野、静岡以西から四国、九州に分布する。
樹高は0.5〜1mで、幹は直立し、他の物に寄り掛かって伸び、長くなると垂れ下がる。
刺は鉤型で、枝には大きな刺の他に小さな刺もあり(ないものもある)、腺毛があることが多い。
葉は互生し、長さ5〜12cmの奇数羽状複葉で、小葉は2〜4対。頂小葉は側小葉とほぼ同大。
小葉は長さ2〜3cmの倒卵状楕円形で、先は尖り、稀に長く尖るものもある。
小葉は両面とも無毛で、葉表はやや光沢があり、葉裏は白色を帯びる。
托葉は葉柄に合着し、合着部分の幅は狭くなり、裂片は披針形で縁に腺毛がある。
花期は6月〜7月で、枝先の円錐花序に直径2〜3cmの花を多数付ける。
花序軸や花柄には腺毛がるものが多い。オシベは多数あり、花柱は合着して毛がある。
萼片は5個で、内面と縁に綿毛があり、縁には腺毛がある。
偽果は直径6〜7mmの球形で、赤色に熟す。

2021/4/6
実家近くの川沿いを散歩中、土手の際で葉を広げ始めているバラ科の植物を見かけました。
葉の様子からノイバラだろうと思って写真を撮ったのですが、後で確認すると特徴が合いません。
小葉は9個で、表面に皺がなく、かといってツルっとした光沢もありません。
、 小葉の基部の鋸歯は目立たず、先に行くにしたがって鋸歯が大きく明瞭になっています。
アズマイバラは頂小葉が側小葉より大きい点で、ノイバラは葉に皺がない点で除外しました。
いろいろ悩みましたが、下記の点からここではミヤコイバラとしました。
・葉の照りは明瞭ではないが、表面に皺がない
・葉裏が白色を帯びている
・側小葉と頂小葉がほぼ同長である
・茎には鉤型の大きな刺のみがある(小さな刺はない)


2021/4/16
葉裏の写真を撮っていなかったので、改めて撮ったものを上記に示します。
葉表と比較してもらえばわかると思いますが、白っぽいことが分かります。


2021/4/20
托葉もきちんと撮ったものがなかったので、撮り直しました。
上記の通り、葉柄との合着部の幅は狭く、裂片は披針形で縁に腺毛があります。


ミヤコイバラ、テリハノイバラの比較

ミヤコイバラ
テリハノイバラ

葉表

葉表

葉裏

葉裏

托葉

托葉


ノイバラ(Rosa multiflora)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・バラ属>




バラ科バラ属の落葉つる性低木で、日本のノバラの代表種。
沖縄以外の日本各地の山野に多く自生する。
日本以外では朝鮮半島に分布する。
樹高は2mほどになり、茎は枝分かれして直立するが、他のものに寄り掛かって這い登ることも多い。
葉は互生し、長さ10pほどの奇数羽状複葉で、小葉数は7〜9個。
小葉は楕円形で細かい鋸歯があり、表面に艶がない(テリハノイバラは艶がある)。
花期は5月〜6月で、枝先に円錐花序枝を付け、白色または淡紅色の花を多数付ける。
花は直径2cmほどで、5個の花弁は倒卵形。オシベは多数。
メシベは無毛で、花柱はゆるやかに合着して柱状になる。
果実に見えるのは偽果で、萼筒が肥大したもの。直径8mm前後の卵球形で、秋に赤く熟す。

2021/5/15
実家近くの川沿いを散歩中、石垣から枝を伸ばして花を付けているノイバラをみかけました。
日本での野ばらの代表種ですが、他の物より華は若干小ぶりです。
下段に葉のアップの写真を掲載しましたが、葉表に光沢はなく、葉裏の葉脈上に毛が密生している。
なお、小葉の葉先は鋭く尖っているものと、丸みのあるものが混在していました。

ユキヤナギ(Spiraea thunbergii)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・シモツケ連・シモツケ属>

バラ科シモツケ属の落葉低木で、在来種。別名はコゴメヤナギ、コゴメバナなど。
日本では、本州の東北地方以南の太平洋岸、四国、九州に分布し、海外では中国に分布する。
手がかからず、適度な大きさ以上にもならないので、庭木などによく利用される。
ただ、自生種は、場所によっては絶滅が危惧されるところがある。
樹高は1〜2mで、枝は褐色〜赤褐色で、地際から多くの枝を出して広がり、枝は枝垂れる。
葉は互生し、長さ25〜40mmの披針形で先が尖り、基部は楔型で、縁には細かい鋸歯がある。
花期は3月〜4月で、前年枝に柄のない散形花序を多数付け、2〜7個の白花が付く。
花は直径8o前後の5弁花で、花弁は長さ2〜4mmの広倒卵形。
オシベは20個前後あり、基部の内側に黄色い蜜腺がある。メシベは1個で、花柱は5個。
萼は無毛で、萼片は卵状三角形。花柄は長さ6〜12mmで細い。基部に小さな葉が数個付く。
果実は長さ3o前後の袋果で、5個が集まって付く。

2021/3/21
実家近くの川沿いを散歩中、石垣の隙間に根を下ろしたユキヤナギが咲いていました。
おそらく、石垣の奥は土壌になっていると思いますので、そこに根を張っているのでしょう。
それにしても、生け花風に上下に枝を伸ばした良い枝ぶりですね。


2021/4/10
満開だったユキヤナギの花も終わり、5個の袋果が星形に開いた果実に変わっていました。
袋果は黄色く色付いていましたが、5月に入ると成熟して褐色になり、内側から裂開します。

シャリンバイ(Rhaphiolepis indica var. umbellata)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・シャリンバイ属>

日本では、本州の東北地方以南から四国、九州にかけて海岸近くに自生している。
海外では、朝鮮半島、台湾に分布する。
樹高は1〜4mで、若い枝には褐色の軟毛があり、小枝は輪生状に付く。
葉は互生し、葉身は長さ4〜8cmの長楕円形で、革質で光沢があり、浅い鋸歯がまばらにある。
葉先は尖るものと、丸いものがあり、丸いものはマルバシャリンバイと呼ばれることもある。
ただ、中間型もあり、両者を明確に区別することができないため、種内変異とされる。
花期は5月〜7月で、枝先に総状花序を出し、直径10〜15mmの白い5弁花を多数付ける。
花弁は長さ1cm前後の倒卵形で、先は丸く、しばしば歯牙がある。
萼筒は漏斗状で、萼片は長さ5mm前後の卵状三角形。先が尖り、褐色の軟毛が密生する。
果実は直径7〜12oの球形で、10月〜11月に黒紫色に熟し、白粉を被る。
中には直径7〜8oの球形の種子が1個入っており、褐色で光沢がある。

2021/5/15
実家近くの川沿いを散歩中、石垣の上でシャリンバイが咲いていました。
秋には果実が黒紫色に熟すのですが、その頃にもたまに花が咲いていることがあります。

トキワサンザシ(Pyracantha coccinea)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・トキワサンザシ属>

2021/4/10

2021/4/19
バラ科トキワサンザシ属の常緑低木で、ヨーロッパ南部から西アジア原産。
日本では、本州から四国、九州にかけて植栽、あるいは、一部野生化している。
樹高は2〜6mで、樹幹は直立して枝には刺があり、褐色の毛が生えているが、後に無毛。
葉は互生し、長さ2〜4cmの倒卵形で、縁に細かい鋸歯がある。
葉先は丸くて、先端側が最も幅が広く、ピラカンサの中では最も幅が広い。
花期は4月〜5月で、葉腋に散房花序を付け、直径10mm前後の白い5弁花を多数付ける。
オシベは20個で、花糸の長さは2o弱である。萼片は5個ある。
果実は、直径5〜8oの扁球形で、晩秋に真っ赤に熟し、一際、目を引く。

※ トキワサンザシやタチバナモドキに関しては、こちらに詳細を掲載していますので、ご参照ください。

2021/4/10,19
昨秋、実家近くの川沿いを散歩中、真っ赤な果実を付けたトキワサンザシを見かけました。
その果実ですが、いつのまにかヒヨドリなどに食べられて、すっかりなくなっていました。
4月になって、そろそろ花の季節だと思い様子を見に行きましたが、開花はもう少し先のようです。
4/10の頃より4/19の頃の方が、花序は伸び出していましたが、まだ、ツボミは硬い状態でした。


2021/5/14
そろそろ咲いている頃かなと見に行くと、ちょうど満開の頃で、枝にびっしりと花が付いていました。


2021/5/22
実家近くの川沿いを散歩中、トキワサンザシの近くを通ると、花はすっかり終わっていました。
花弁がなくなり、枯れたオシベの基部で、子房が膨らみ始めています。

カリン(Pseudocydonia sinensis)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・ボケ属>

バラ科の1種の落葉高木で、中国東部原産の帰化植物。
葉は互生で、先の尖った楕円状卵形で、長さ8cmほどになり、縁には細かい鋸歯がある。
花期は、3月〜5月頃で、5花弁の白やピンクの花を咲かせる。メシベは5本、オシベは20本程ある。
葉より先に開き、花色の基本は淡紅色だが、白から緋紅色まで、変化に富む。
果実は、大きなものは15cm程になり、熟すと黄色くなる。
果実には、果糖、ビタミンC、リンゴ酸、クエン酸、タンニンなどを含み、トリテルペン化合物の芳香がある。
ただ、石細胞が多いので堅く、砂糖漬けや果実酒に使用される。加熱により渋みは消える。
秋には紅葉するので、庭木として植栽されることも多い。

2021/4/11
実家の近くに植えられ、晩秋に大量の葉を落としている木の正体が分かりました。
ふと見たとき、数輪の花が咲いているのに気が付き、その花からカリンだと判明した次第です。
カリンだと、あの独特の形をした大きな果実が特徴ですが、果実を見た記憶がありません。
咲いていた花も数輪だけでしたので、結実したことがないのかもしれませんね。

カスミザクラ(Cerasus leveilleana)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・モモ連・スモモ属・サクラ亜属・サクラ節>

バラ科スモモ属サクラ亜属の落葉高木で、在来種。
日本では、北海道から本州、九州北部にかけて広範囲に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国にかけても分布している。
樹高は、15〜25mで、幹は灰褐色で、褐色の横長の皮目が目立つ。
葉は互生し、長さ8〜12cmの倒長楕円形で、先は尾状に尖り、基部は円形〜楔型。
葉縁は単鋸歯または重鋸歯で、鋸歯の先は尖るが、芒状にはならない。
表面は緑色、葉裏は淡緑色で、葉の両面に毛があるものやほとんど無毛のものもある。
葉柄はわずかに赤みを帯び、長さ15〜20mmで、普通、上部に赤い密腺が2個付く。
花期は4月〜5月で、開花と同時期に若葉を展開する。
ヤマザクラより標高がやや高い場所に分布し、ヤマザクラより花期が遅い。
この花期の1〜2週間のずれで種間雑種が避けられ、種としての独立性を保っている。
この遅れのために他の木々の新葉の展開に紛れ、遠目には霞んで見えるのが和名の由来。
花は散房状に2〜3個が付き、花序の柄は長さ10mm前後である。
花の直径は20〜30mmで、白色の5弁花。なお、散る間際には中心部から赤味が強くなる。
花柄は15〜25mmである。萼筒は長さ5〜6mmの鐘状筒形で、萼片は細く、鋸歯はない。
花はヤマザクラと似ているがやや小ぶりで、新葉の展開時に葉は緑色で赤味を帯びない。
開花時の新葉の色を見れば、カスミザクラかヤマザクラかの判別が可能である。
果実は直径8〜10mmの球形の核果で赤くなり、熟すと黒紫色になる。

2024/4/14
4/12にカスミザクラの名板を見て、そうなんだと適当に撮影していました。
しかし、後で見返すと、どう見てもヤマザクラです。
で、4/14に再確認しました。ここでは両種が混生している事が分かりました。
アップでは光の加減にもよりますが、葉の色が赤味を帯び違いが分かりにくいです。
しかし、遠目で見ると両種は明らかに葉の色が異なりますので、区別はつきます。

ヤマザクラ(Cerasus jamasakura)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・モモ連・スモモ属・サクラ亜属・サクラ節>

バラ科スモモ属サクラ亜属の落葉高木で、在来種。
日本では、本州の宮城、新潟以西から、四国、九州に分布する。
樹高は、15〜30mで、 幹は紫褐色〜暗褐色で、褐色の皮目が目立つ。
葉は互生し、長さ8〜12cmの長楕円形で、先は尾状に尖る。葉の表面は無毛で、裏面は粉白色。
葉縁は単鋸歯が多いが、重鋸歯の場合もある。新葉展開時には褐色味を帯びる。
葉柄は赤味を帯び、長さ25mm前後で、葉柄の上部に赤い蜜腺が2個付く。
花期は3月〜4月で、散房状に2〜5個の花が付き、花序の柄は長さ5〜15mmある。
花の直径は25〜35mmで、白色〜淡紅色の5弁花。花柄は15〜30mm。
萼筒は長さ6mm前後の長鐘型で、萼片は細く、鋸歯はない。
開花と同時期に若葉を展開するのが特徴であるが、両者の展開時期には変異がある。
果実は直径8mm前後の球形の核果で、緑色→赤色→黒紫色と熟す。
なお、ヤマザクラは変異の多い樹種で、開花時期、花付き、花色など様々な変異がある。
そのためソメイヨシノのように一気に咲くことはなく、長く楽しむことができる。

2024/4/12
網引第3湿原の遊歩道脇にあった桜の樹ですが、これはヤマザクラです。
遠目でも、アップで見ても、葉の色がかなり強く赤味を帯びているのが分かります。

ユスラウメ(Prunus tomentosa)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・モモ蓮・スモモ属・スモモ亜属・ユスラウメ節>


バラ科サクラ属の落葉低木で、朝鮮半島から中国北西部、モンゴル高原が原産地。
樹高は2〜3mでよく分枝し、小枝は紫色から灰褐色、若枝には綿毛がある。
葉は互生し、長さ2〜7cmの卵状楕円形で、表面は暗緑色で軟毛がある。
下面は灰緑色で、灰色の綿毛が密にあるが、やがて無毛になる。
先は尖り、基部は楔型。縁には鋸歯があり、葉柄は2〜8o。
花期は4月〜5月で、葉腋に1〜2個の花を付け、葉の展開と同時に咲く。
花は直径15〜20oの5弁花で、花色は淡紅色か白色。
萼筒が4〜5mmあり、5裂した萼片は三角状卵形で長さ2〜3mm。
オシベは20〜25個あり、花弁より短い。花柱はオシベよりわずかに突き出る。
果実は核果で、赤色か白色の球形で、直径は5〜12mm。
モモの果実のように、微かな割れ目があり、表面は無毛。程よい酸味がある。

2021/3/27
実家の庭で、植え込みに隠れるようにしてユスラウメがたくさん花を付けていました。
子供の頃は、良いおやつで、熟した果実をよく食べていました。
おそらく、その当時の子孫(場所が違うので実生か?)が生き延びていたのでしょう。
6月頃には、真っ赤に熟した果実がたくさん付くと思います。


2024/4/7
植え込みを一部撤去したので、ユスラウメを日の当たる場所に出すことができました。
今年は十分に日を浴びて、美味しい果実になってくれるでしょう。

アメリカフウロ(Geranium carolinianum)
<フウロソウ目・フウロソウ科・フウロソウ属>

フウロソウ科フウロソウ属の1年草/越年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
最近では、広く日本全体に分布しており、道端などでよく見かける。
草丈は、30〜40cm程度で、茎、葉柄、花柄と全体に白い軟毛がある。
葉は円形で5深裂し、裂片はさらに細かく分裂する。
花期は4月〜6月で、花は、葉腋から花柄を伸ばし数個付く。
花径は8mm前後で、花弁と萼片は5個で、オシベは10本で、メシベを囲むように付く。

2021/3/7
実家近くを散歩中、道端などでアメリカフウロの小さな株を時折見かけます。
そんな中で、飛び抜けて大きく立派な株を見かけました。小さな株の10倍以上あります。
この株は、おそらく越年した株だと思われ、側溝脇で40cmほどに広がっていました。


2021/3/20
2週間弱経過した頃、様子を見に行くと、既に開花が始まっていました。
小さな花なので、あまり見栄えはしませんが、花弁はきれいな淡赤紫色です。


2021/4/21
花を付けていたアメリカフウロですが、1ヶ月も経つと未熟な緑色の果実になっていました。


2021/5/14                    2021/5/15    .

2021/5/15          2021/5/15          2021/5/15
3週間ほど経過し、まだ、花が咲いている株と咲き終わって成熟して黒くなった果実が目立つ株があります。
下段は、熟して黒くなった果実と、下部からクルっと巻き上がって種子を散布した後の果実です。
黒くなった果実の乾燥が進むと、何かのきっかけで下部からクルっと巻き上がり、種子を飛ばします。
その巻き上がった様子が中央の写真で、種子は飛んでありませんが、黒いカップ状の殻の中に入っています。
右端は、種子を飛ばした殻の部分もなくなり、殻を支えていた中央の芯だけになった果実です。

ヒメフウロ(Geranium robertianum L.)
<フウロソウ目・フウロソウ科・フウロソウ属>

フウロソウ科フウロソウ属の一年草で、在来種。
日本では、伊吹山など限られた地域に分布する。
海外では、アジア、ヨーロッパ、北アメリカなどの北半球の温帯域に広く分布する。
しかし、近年、観賞用のものが、北海道や本州で帰化している。
草丈は40cm程前後で、茎や葉柄には腺毛がある。
全体に特有の匂いがあり、これが塩を焼いたときの匂いに似ていることから、シオヤキソウの別名がある。
葉幅は7cmほどになり、3全裂し、裂片は細かく分裂する。葉は対生し、花期が終わると紅葉する。
花期は5月〜8月で、花径は15mmくらい、花弁は5枚、オシベは5本。
花色は淡紅紫色から赤紫色で、花弁に濃い2本のすじがある。
また、葯の色には、赤、淡紅紫色、黄の3種類がある。

2021/4/16
実家近くを散歩中、道路脇の民家の塀際に咲くヒメフウロを見つけました。
日本での自生は伊吹山など限られますが、園芸品種が逸出して野生化しているようです。

ヒルザキツキミソウ(Oenothera speciosa)
<フトモモ目・アカバナ科・Onagroideae亜科・Onagreae連・マツヨイグサ属>




アカバナ科マツヨイグサ属の多年草で、北米が原産地の帰化植物。
観賞用に輸入されたものが野生化し、各地で見かけるようになった。
草丈は30〜60cmで、横に伸びる根茎で群生し、茎の下部は木質化する。
葉は互生し、上部の葉には波状の鋸歯があるが、下部の葉では深い切れ込みがある。
花期は5月〜8月で、直径5cm前後の淡紅色か白色の4弁花を付ける。
花弁は広倒卵形で、基部は黄色味を帯びる。オシベ8個あり、メシベの柱頭は十字に4裂する。
花弁のすぐ下に萼片が4個あり、片側に捲れ上がる。
その下に長さ10〜20o程の花托筒があり、花後、花托筒から落下する。

2021/5/11
実家近くの国道の中央分離帯には、いろいろは草本が大きな群落を造っています。
この辺りでは、オオキンケイギクとヒルザキツキミソウが覇を競っているようです。
所々に大きな群落を作っていますが、ほぼ白色に近いものと赤紫色のものがあります。
これらはお互いに混生することなく、各々が群落を作っています。

マツヨイグサ(Oenothera stricta)
<フトモモ目・アカバナ科・Onagroideae亜科・Onagreae連・マツヨイグサ属>

アカバナ科マツヨイグサ属の越年草で、南アメリカのチリとアルゼンチンが原産地。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布する。
嘉永年間(1848年〜1853年)に観賞用に輸入されたが逸出し、各地に広がった。
一時はオオマツヨイグサと共に分布を広げたが、近年はメマツヨイグサに押されて減っている。
草丈は25〜100cmで、茎は直立して赤味を帯び、全体に毛が多い。
根生葉は花期にも残り、茎葉は互生して長さ5〜13cmの狭楕円状披針形である。
葉に切れ込みはなく、縁に波状鋸歯があって先が尖る。葉は濃緑色のことが多く、中央脈が白い。
花期は5月〜10月で、葉腋に花を単生し、花は直径3〜5cmの黄色い4弁花。
花弁は長さ15〜25mmの広倒卵形で先は凹形、基部に赤い部分がある。
オシベは8個で、メシベの柱頭は4裂する。
萼片は長さ14〜20mmで、裂片は緑色でときに赤みをおび、開花時には反曲して下を向く。
花托筒は長さ20〜45mmと長く、花柄のように見えるがその下位に子房がある。
花は、夕方になって開花し、翌朝には萎み始める1日花で、萎んだ花弁は黄赤色になる。

標準和名では、白花をツキミソウ、黄花をマツヨイグサ、赤花をユゲショウとして区別している。
マツヨイグサを漢字で書くと待宵草となるが、竹久夢二が歌にしたことで宵待草の名が広まった。
「待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ 今宵は月も出ぬそうな」
間違いに気づいて訂正しようとしたが、宵待草の方が風情があるとそのままになった。
これには間違いではなく造語であるなど諸説あるようですが、たしかに宵待草の方が良いかも。

2023/5/18 12:31
加古川の法面でナヨクサフジの写真を撮ろうと降りた時、法面で見かけたマツヨイグサです。
マツヨイグサは数を減らしているようですが、ここはマツヨイグサのみでした。
行くときに黄色い花が見られたのですが、帰りに見たときは萎んで黄赤色になっていました。


2023/5/26 10:23
まだ萎む前のマツヨイグサの花の写真を撮りに行くことにしました。
暗くなってから咲くので、夜に出かけるのは場所的に無理なので、早朝に行くことにしました。
いざ出かけようとするとなんだかんだで遅くなり、ダメ元で出かけた結果が上記です。
前回よりはましですが、赤味が増して萎れる寸前のものがほとんどでした。
諦めずに探していると、1輪だけ、わずかに赤味が入っただけの花を見つけました。


2023/5/27 7:21
朝、何か始めると遅くなってしまうので、寝起きでリベンジしました。
咲き始めた時よりもくたびれているとは思いますが、やっと撮影できました。
見えずらいですが、花弁の基部ある赤い部分も少し見えています。
左端のように、堤防沿いのガードレールに沿って、ずらりと黄色い花が咲いていました。
萎んでオレンジ色になった時よりも華やかに感じます。


マツヨイグサ属の花

   .
ユウゲショウ                 ヒルザキツキミソウ     .

マツヨイグサ          メマツヨイグサ          コマツヨイグサ
ユウゲショウ、ヒルザキツキミソウとも、昼間に花を咲かせるマツヨイグサ属です。
マツヨイグサ、メマツヨイグサ、コマツヨイグサは、夕方以降に花を咲かせるマツヨイグサ属です。
標準和名では、黄花をマツヨイグサ、白花をツキミソウ、赤花をユゲショウとして区別しているそうです。


ユウゲショウ(Oenothera rosea)
<フトモモ目・アカバナ科・Onagroideae亜科・Onagreae連・マツヨイグサ属>

    2012/8/12              2018/5/24
アカバナ科・マツヨイグサ属の多年草で、南米から北米南部が原産地の帰化植物。
現在は、世界中の温暖な地域に広く分布している。
草丈は20〜30cmであるが、条件によっては50cmを超えることもある。
茎には軟毛があり、葉は互生して、葉身はやや幅広の披針形である。
花期は5月〜9月で、茎の上部の葉腋に直径15mmほどの紅紫色の花を付ける。
花弁は4個で、紅色の脈があり、中心部は黄色い。なお、稀に白花も見られる。
オシベは8個あり、葯は赤味を帯びた白で、メシベの先は淡紅紫色で4裂する。
熟した果実は、雨に濡れると裂開し、種子が飛び散る。

2012/8/12 カンカン照りの夏、焼けるような道端で、葉がボロボロになっていました。
その虫食いでボロボロになり、枯れた葉が混じる中で、1輪だけ、花を付けていました。
果実もまだできていませんでしたので、草姿もすっきりしています。
2018/5/24 咲き始めたばかりの頃のユウゲショウの花は、色も初々しくてきれいですね。


2021/5/22
近くの民家の庭先で、スイレン用の鉢の近くで、ユウゲショウが群生していました。
植えているわけではないと思いますが、結構、ピンクの花が映えていました。


2023/5/4
網引湿原の第1獣害防止ゲートの手前で、ユウゲショウの白花(普通は紅紫色)を久しぶりに見ました。
この辺りでは、ユウゲショウそのものが少ないのですが、ポツリと1株だけ咲いていました。
以前見たのは、神奈川県の城山湖の近くで、普通のユウゲショウに1株だけ混ざっていました。

ザクロ(Punica granatum)
<フトモモ目・ミソハギ科・ザクロ属>

ミソハギ科ザクロ属の落葉小高木で、地中海の東部から北西インドが原産の帰化植物。
ザクロには実ザクロと花を観賞する花ザクロとがあり、朱色の花を開く。
樹高は2〜6mで、幹は褐色で不規則に剥がれ、枝には4稜があり、無毛である。
葉は対生し、長さ2〜5cmの長楕円形で、基部は楔型、先は鈍形で、全縁である。
葉表には光沢があり、葉柄は長さ2〜10mmある。
花期は6月で、花筒は長さ2〜3cmで赤橙色〜淡黄色のつぼ型。
萼は肉質で光沢があり、先が6浅裂し、三角状で直立する。
花弁は6個あり、長さ1.5〜3cmの倒卵形で赤橙色。
花弁の先は円形〜鈍形で、薄くてしわがある。オシベは多数ある。
果実は花托の発達したもので、直径5〜12cmの球状になり、秋に赤く熟すと外皮が不規則に割れる。
果汁の多い赤く透明な果肉(仮種皮)の粒が無数に入っており、その粒の中心に種子がある。

2022/5/30
実家近くの川沿いを散歩中、護岸の隙間から枝を伸ばしたザクロが咲いていました。
よく除草されて大きくなれないようで、細い枝を少し伸ばし、その先に花を付けていました。

イヌシデ(Carpinus tschonoskii)
<ブナ目・カバノキ科・クマシデ属>

2021/3/20 <雄花序>

2021/3/21 <雌花序>
 
2021/3/21 <昨年の果穂の残骸>
カバノキ科クマシデ属の落葉高木で、在来種。別名はシロシデ、ソロ、ソネ。
日本では、本州の岩手県、新潟県以南、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
和名のシデは、花穂が神前に捧げる紙垂(四手とも書く)に似ていることに由来する。
樹高は10〜15mで、幹は灰白色で平滑、もう僕は樹皮に縦に筋状の浅い割れ目が入る。
葉は互生し、長さ4〜12cmの卵状長楕円形で、先は尖り、基部は円形。
縁は不規則な重鋸歯で、裏面に側脈が明瞭に出っ張る。
葉柄は長さ8〜15mmで、淡褐色の毛が密生する。
若芽は赤みを帯びない。なお、秋には葉が黄葉する。
側脈の数は12〜15対で、12対以下ではアカシデ、15対以上ではクマシデと判断できる。
花期は4月〜5月で、雌雄同株。開花は、葉の展開と同時か少し早めになる。
雄花序は長さ2〜6cmの穂状で、前年枝の葉腋から垂れ下がり、苞に縁には長毛がある。
雌花序は、本年枝の先や短枝の脇から、新芽の中から出て垂れ下がる。
果穂は長さ4〜12cmで、葉状の果苞がまばらに開き気味に付く。

2021/3/20 実家近くを散歩中、道路脇でたくさんの雄花序をぶら下げた木を見かけました。
後で調べてみると、イヌシデらしいことが分かりましたが、確信が持てません。
2021/3/21 改めて、昨日の木を確認に行き、新葉と思ったものに雌花を確認できました。
さらに、よく探してみると、昨年の果穂がまだ、多少残っているのが確認できました。
下段左の写真は、左に雌花序、右に雄花序、中央に昨年の果穂の残骸が写っています。
これらの点から、この木はイヌシデであろうと判断いたしました。


2021/4/1 <雄花序>

2021/4/1 <雌花序>
初めて見たときから10日程経ちましたが、雄花序は役目を終えて枯れかけていました。
一方、雌花序は受粉を終えて、大きく伸び出していました。
なかでも、早いものでは果苞も大きくなっていて、果穂の形に近づいていました。


2021/4/16
イヌシデの果穂ですが、葉状の果苞がずいぶんと大きくなったものも見られます。
薄っすらと色付き始めた花穂も見られ、この状態で成熟するのでしょうか。


2021/5/15
1ヶ月ほど経過し、イヌシデの果穂の葉状の果苞は倍ほどの大きさになっていました。
葉の色も深みを増し、緑色の初々しさは見られなくなっています。


2021/8/22
3ヶ月ほど経過したので、イヌシデの様子を見に行ってみました。
イヌシデの果穂の大きさはほとんど変わりませんが、葉状の果苞の先が茶色く枯れていました。
果穂が熟し始めているのか、葉にも傷みが見られるので、枯れによるものなのかはっきりしません。


2021/11/13
イヌシデの近くを通った際、果穂が落ち始めているのに気が付きました。
落ちたものにきれいなものがなかったので、ぶら下がっているものを1つ採取してきました。
翌日、果穂を下から見ると、葉状の果苞の基部に種子と思われるものが付いていました。


2021/11/13
そこで、果穂の下部の果苞を少し取り外して撮ったのが、上記の写真です。
果苞の基部に種子が付いているのが確認できました。

キャラボク(Taxus cuspidata var. nana)
<マツ目・イチイ科・イチイ属>



イチイ科イチイ属の常緑低木で、在来種。イチイの変種。
日本では、本州の日本海側(秋田県から鳥取県)に、海外では、朝鮮半島に分布している。
日本では、亜高山から高山帯の風衝地に自生している。
樹高は1〜3mになり、根元で分枝して、地面を這うように横に広がる。
大きく成長した後は、成長が鈍化するため、樹形が崩れにくく、庭木に適する。
葉は2p前後の線形で表面は濃緑色で、裏面は淡緑色。先は尖っているが、柔らかい。
なお、寒い地方では冬季に葉が茶色くなるが、翌春には緑色に戻る。
葉が2裂に並ぶイチイと異なり、葉は不規則な螺旋状に付く。
花期は3月〜5月で、雌雄異株。直径約3o強の小花を付け、雄花は淡黄色。
雌花には緑色の鱗片に包まれた胚珠が1個ある。
花後、直径4oほどの球形の種子は、肥大した仮種皮に包まれる。
種子が熟する頃には、仮種皮は杯状で真っ赤な多汁質になる。
この真っ赤な仮種皮、甘くて食べられる。ただし、種子は有毒なので要注意。

2018/3/21
実家で生け垣に使われているキャラボクです。上段は雄花、下段は新芽です。
このキャラボクの生け垣で赤い果実は見たことがないので、雄株ばかりのようです。

スイカズラ(Lonicera japonica)
<マツムシソウ目・スイカズラ科・スイカズラ属>

スイカズラ科スイカズラ属の常緑つる性常緑低木で、在来種。
別名にはニンドウ(忍冬)があり、キンギンカ(金銀花)は異名になっている。
スイカズラの名は、「吸い葛」と書き、花を口にくわえて蜜を吸うことに由来する。
英名の「honeysuckle」も同じ発想から付けられたものである。
スイカズラの蕾は「金銀花」、秋から冬にかけての茎葉は忍冬(ニンドウ)いう生薬、また、漢方薬として利用さる。
この金銀花は、白と黄色の花色から、忍冬は、常緑で冬場を耐え忍ぶ事から付けられた名前とのこと。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで全国に分布する。
日本以外では、東アジア一帯に分布し、欧米では観賞用に移入され、野生化している。
よく分枝して茂り、蔓は太くなると木質化し、主幹は灰褐色である。
枝には粗い毛が密生して、髄は早くなくなり、枝は中空となる。
葉は対生して、長さ3〜7cmの長楕円形で、縁は全縁。先はあまり尖らず、基部は広いくさび形。
葉形には変異が多く、まれに粗く切れ込んで羽裂することもある。
表面には毛が少ないが、裏面には毛が多く、冬になると内側に巻きこむ。
花期は5月〜7月で、枝先の葉腋に2個ずつ甘い芳香のある花を付ける。
ツボミの時は先の丸まった象の牙のような形で、開花すると筒状の花弁が上下の唇状に分かれる。
花冠は長さ3〜4cmで、2裂した上唇は卵形で先が4浅裂し、下唇は広線形で長く下に垂れる。
花冠の色は、開花時には白色かわずかに淡紅色を帯びるが、時間と共に黄色くなる。
オシベは5個、メシベ(柱頭は球形)は1個で、共に花冠から長く突き出る。
萼は毛が密生して先が5裂し、花柄は長さ5mm前後。苞は葉状で長さ5〜20mm。
果実は直径5〜6mmの球形で、強い光沢があり、9月〜12月に黒く熟す。

2023/5/18
網引湿原の駐車場近くの通路脇で、スイカズラが白色と黄色の花を付けているのに気が付きました。
この花色が、キンギンカ(金銀花)の異名の由来です。
花の基部にある蜜を吸ったのがスイカズラの由来で、甘い香りがするそうです。
今回も、久しぶり見かけたので、香りを嗅ぐのをすっかり忘れていました。

コツクバネウツギ(Abelia serrata)
<マツムシソウ目・スイカズラ科(リンネソウ科)・ツクバネウツギ属>



スイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木で、日本固有種。
スイカズラ科にまとめられているが、リンネソウ科としても良い。
日本では、本州の中部地方以西、四国、九州に分布する。
樹高は1〜2mで、よく分枝する。樹皮は灰白色〜灰褐色で、不規則な裂け目がある。
若枝は赤褐色(稀に緑色)で、翌年には淡褐色になる。枝には細い髄があるが、後に中空となる。
葉は対生し、葉身は長さ2〜5cm、幅1〜2cmの狭楕円形で、先半分に鈍鋸歯があるかまたは全縁。
裏面の主脈の基部付近に、短く白い開出毛が密生するほかはほとんど無毛である。
花期は5月〜6月で、鐘状漏斗形の花を枝先に普通2個ずつ対に付ける。
花冠は黄白色〜黄色で、長さ1〜2cmの漏斗状の唇形。上唇は2裂し、下唇は3裂する。
花冠内面に長い毛が生え、下唇の内面には橙色の網目状の模様がある。
オシベ4個の内、2個が長く、花筒とほぼ同長。
メシベは1個で、花柱は細くてオシベより長く、花筒より少し突き出す。柱頭は頭状。
花冠筒部の花柱の基部には、扁平な蜜腺がある。
小花柄は長さ2〜3mmで、長さ5〜8mmの下位子房は有毛。
萼は基部まで2〜3裂し、萼片の長さは5〜9mmで、先は鈍頭となるか2〜3浅裂する。
痩果は長さ8〜10mmの細い円筒形で、9月〜11月に熟す。

2023/5/4
網引第3湿原の奥の遊歩道脇で、ツクバネウツギの隣にコツクバネウツギが咲いていました。
両方が並んでいるので違いが分かり易く、花の黄色味が強いのが大きな違いです。
よく見ると、萼片の色味や数にも違いが見られます。


2023/7/25
網引第3湿原の奥の方では、ツクバネウツギとコツクバネウツギの残った萼片が花弁のようになっていました。
コツクバネウツギの萼片には、緑色のものと赤味を帯びたものがあり、直ぐ近くに並んでいました。
なお、この萼片の後にある花柄のような細い棒状のものは痩果です。


2024/3/16
網引第3湿原の外れで見かけたコツクバネウツギの冬芽です。
少し開きかけていて、ツクバネウツギよりも新芽の展開は早そうです。


2024/4/12
上記のコツクバネウツギですが、1ヶ月ほど経過して深緑の葉がかなり大きくなっていました。
見づらいですが、小さなツボミも少し見えています。

ツクバネウツギ(Abelia spathulata)
<マツムシソウ目・スイカズラ科(リンネソウ科)・ツクバネウツギ属>



スイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木で、在来種。
スイカズラ科にまとめられているが、リンネソウ科としても良い。
日本では、本州の東北地方の太平洋側、関東・中部地方以西、四国、九州の北西部に分布する。
海外では、中国の浙江省に分布する。
樹高は1〜2mで、幹は灰褐色で薄く剥がれ、若枝にはわずかに毛があって、よく分枝する。
葉は対生し、葉身は長さ2〜6cm、幅1〜4cmの楕円状卵形で、縁に不規則な鋸歯がある。
基部は広楔形で、葉先はしだいに細くなって尖る。葉柄は1〜3mmで有毛。
花期は5月〜6月で、鐘状漏斗形の花を枝先に普通2個ずつ対に付ける。
花冠は白色〜黄白色で、長さ2〜3cmの漏斗状の唇形。上唇は2裂し、下唇は3裂する。
花冠の内側に黄色の網目状の模様があり、オシベ4個の内、2個が長く、花筒とほぼ同長。
メシベは1個で、長さ13〜20mmで花筒より少し長い。柱頭は円盤状でわずかに2裂して白い。
花冠筒部の基部には、棍棒形か先が球形の密腺がある。
萼は基部まで5深裂し、萼片の長さは5〜12mmで、赤色を帯びることが多い。
痩果は長さ8〜14mmの線形で、5個の萼片が王冠のように残る。

2023/5/4
網引湿原の第1獣害防止ゲート近くから第3湿原まで、所々の遊歩道脇で見かけました。
ウツギの仲間であることは、花の形から直ぐに分かったのですが、種名が分かりません。
第3湿原の外れで、コツクバネウツギと共に、名板が付けられていたので種名が分かりました。
林内で見かけた小ぶりな株と、湿原の遊歩道脇で見かけた大きな株では、色味など雰囲気が変わります。
また、花の色味も白っぽいものから黄色味がかったものまであり、萼片の色味も変異があります。
下段左の写真で分かると思いますが、長い方のオシベ2個とメシベが花冠から覗いています。


2023/7/25
網引第3湿原の奥の方では、ツクバネウツギとコツクバネウツギの残った萼片が花弁のようになっていました。
ツクバネウツギの萼片は赤褐色を帯びて5個あり、コツクバネウツギの2〜3個より多いので識別は容易です。
なお、この萼片の後にある花柄のような細い棒状のものは痩果です。


2024/3/16
網引第3湿原の外れで見かけたツクバネウツギの冬芽です。
冬芽はまだ硬く、コツクバネウツギよりも新芽の展開は遅いのかもしれません。


2024/4/12
上記のツクバネウツギですが、1ヶ月ほど経過して深緑の葉は大きくなっていました。
なお、コツクバネウツギほどではありませんが、新葉の基部に小さなツボミが見られるものもありました。


スイカズラ科の花

   .
<コツクバネウツギ>              <ツクバネウツギ>
上記2種はスイカズラ科にまとめられていますが、ツクバネウツギ属はリンネソウ科としても良いそうです。
倍率が異なるので、コツクバネウツギの方が大きく見えていますが、実際は一回り小型の花です。

   .
<タニウツギ>
   .
<シロバナウツギ>
   .
   .
<ハコネウツギ>
上記3種はスイカズラ科にまとめられていますが、タニウツギ属はタニウツギ科としても良いそうです。
タニウツギは、竜王マウンテンパークで見かけたもので、花期は過ぎているので傷みが目立ちます。
シロバナウツギは、タニウツギの白花品種です。
入笠山で見かけたもので、花期は終わっていたのですが咲き残っていました。
ハコネウツギは、神奈川県の城山湖畔で見かけたものです。
花色が咲き始めは白色で、徐々に紅が差して、紅色に変化するのが特徴です。


ノヂシャ(Valerianella locusta)
<マツムシソウ目・スイカズラ科(オミナエシ科)・ノヂシャ属>

スイカズラ科(オミナエシ科)ノヂシャ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
スイカズラ科にまとめられているが、オミナエシ科としても良い。
日本では、北海道から四国、九州に分布している。
世界の多くの国でサラダ野菜として栽培され、日本でも各地で野生化している。
草丈は10〜30cmで、冬にはロゼットを形成し、翌春に茎を伸ばす。
茎は4稜形で白毛があり、次々と2股に分枝しながら立ち上がって行く。
葉は対生し、長さ1.5〜9cmのへら形で、葉の基部が狭くなり、葉柄へと続く。
茎の上部の葉は、基部が茎を抱き、無柄。葉質は柔らかく、鋸歯がある。
花期は4月〜6月で、花序は花柄の2股分枝を繰り返して半球形になり、数十個の花を付ける。
花は直径1.5〜2.5mmの淡青色の筒型花で、先が5裂し、長さ1mm前後の裂片は平開する。
花筒は長さ2mm前後で、長毛があり、花筒の中間にオシベが3個付く。葯は白い。
緑色の子房は下位で、長さは1.5mm前後になる。

2021/3/6
実家近くの川沿いを散歩中、土手などで野草らしくないツルっとした葉の草本を見かけました。
葉だけでは何なのか調べようがないので、花が咲くまで保留としました。


 
2021/4/6
実家近くの川沿いを散歩中、道路脇などでノヂシャが多くの花を付けているのに気が付きました。
そういえばと、以前保留にしていた葉の確認に行ってみると、それがノヂシャでした。
ノヂシャは、ヨーロッパなどではサラダに使われる、立派な野菜です。
ツルっとした野草らしからぬ葉と感じたのは、そのためだったのでしょうか。
なお、下段右側の写真の株は、最初の右側の写真の株が開花したものです。


2021/5/14
白い小花をビッシリと付けていたノヂシャですが、花期もほぼ終わり、果実が熟し始めていました。
右の株では、所々に花が残って果実も緑色のものが多いですが、左の株では黄色くなり始めています。


2024/4/12
網引湿原の駐車場から第1獣害防止ゲートへ向かう通路脇で、ノヂシャを見かけました。
あまり数は多くなく、他の草本に混じって何本か茎を立ち上げて花を付けていました。
ここのノヂシャの花は、少し青みが強いようです。

コバノガマズミ(Viburnum erosum)
<マツムシソウ目・レンプクソウ科・ガマズミ属>



レンプクソウ科ガマズミ属の落葉低木で、在来種。
日本では、本州の福島県以西から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
樹高は2〜4mで、樹幹は灰褐色。枝は褐色(赤色を帯びることがある)で4稜があり、粗毛がある。
葉は対生し、長さ4〜9cmの楕円状披針形で、葉先が尖り、基部は楔型。葉柄は長さ6mm以下。
縁には鋭い鋸歯があり、両面に毛があり、葉裏の葉脈に沿って長い粗毛がある。
花期は4月〜5月で、直径3〜7cmの散房花序に白色の小花を多数つける。
花冠は直径5mm前後で、先は5裂し、平開する。オシベは5個。花序柄にも星状毛が多い。
果実は長さ5〜7mmの卵球形の核果で、赤色に熟す。

2024/4/14
網引湿原の駐車場から第1獣害防止ゲートに向かう通路脇で、白い花に気が付きました。
4/12に来たときには、下の草本に注意が行っていて、高い所の花に気づかなかったようです。
樹によって開花状況が異なりますが、コバノガマズミが多数の花序を出していました。
ツボミの頃には赤味を帯びていますが、開花が近くなると白くなっていくようです。
なお、秋になって赤く色付いた果実に関しては、こちらに掲載しています。

ヒメハギ(Polygara japonica)
<マメ目・ヒメハギ科・ヒメハギ属>

ヒメハギ科ヒメハギ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、インドから東南アジア、オーストラリアなどに分布する。
草丈は10〜30cmで、茎は硬くて屈毛があり、基部で分枝して地を這い、先は斜上する。
葉は互生し、長さ1〜3cmの長楕円形で全縁。無柄に見えるが極短い柄がある。
花期は4月〜7月で、途中の葉腋から長さ1〜3cmの総状花序を出す。
萼は5個あり、側萼片2個は紫色の花弁状の卵形で、長さ5〜7mmと他の萼片の倍くらいになる。
花後、緑色に変わり、やや大きくなって果実を包み込む。
花冠は蝶形花のように見えるが、5個の花弁が融着した筒状花で、淡紅色〜淡紅紫色である。
筒の先は3裂し、上側の裂片2個は丸く、下側の裂片は先が細かく裂けて白〜淡紅色の付属体がある。
オシベは8個で、花弁が桶状になった所に付き、葯は黄色い。
果実は扁平で、翼のあるうちわ形をしており、種子が2個入っている。

2023/5/4
網引第3湿原の遊歩道脇で、ヒメハギが淡紅紫色の可憐な花を隠れるように咲かせていました。
花弁のように左右に開いた淡紫色の側萼片が目立ちますが、花冠はその内側にあります。
3裂した花冠の下側裂片の先は白く細裂した付属体で、2個の濃紫色の上側裂片は付属体の上です。
最初に見かけた所では、花は1つだけ咲いていたのですが、少し先ではそこそこ咲いていました。

イタチハギ(Amorpha fruticosa)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・イタチハギ連・イタチハギ属>
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マメ科イタチハギ属の落葉低木で、北アメリカ、メキシコが原産地の帰化植物。
日本には韓国から1912年に砂防用などに導入され、日本各地に野生化している。
高温や乾燥に強く、根の土壌固定力も高く、窒素固定力もあるため、法面緑化に利用された。
日本生態学会は、侵略的外来種ワースト100に選定しているが、
外来生物法では、要注意外来生物の指定に止まっている。
樹高は1〜5mで、樹皮は灰褐色。
葉は互生し、長さ10〜30cmの奇数羽状複葉で、小葉は5〜10対ある。
小葉は長さ1〜4cmの長楕円形〜卵形で全縁。裏面に腺点がある。
花期は4月〜7月で、茎先に長さ6〜20cmの穂状花序を多数付ける。
無柄の花は両性花で、長さは8o前後あり、暗紫色〜暗紫褐色で変異がある。
花弁は旗弁のみで、翼弁と竜骨弁は退化してない。
メシベ、オシベとも花弁から突き出し、花糸は紫色で葯は橙色。
果実は豆果で、長さは1cm前後。表面にイボ状の突起があり、種子が1つ入っていて、裂開しない。

2023/5/18
加古川の法面でナヨクサフジの写真を撮ろうと降りた時、堤防下の通路脇で見かけました。
何か褐色の棒状のものが立ち上がっていて、花後の枯れた花弁でも付いているのかと思いました。
近くに行って、それが以前見かけたイタチハギの花序で、咲き上っている途中だと分かりました。
神奈川県の城山湖畔で見かけたものは、明るい紫褐色だったのでですが、ここのは暗褐色です。
翼弁と竜骨弁がなく、旗弁から赤紫色の花糸が突き出て、橙黄色の葯が非常に目立ちます。
下段は、花序をさらに拡大したものですが、旗弁が萎んで、花糸と葯がより目立つようになります。


イタチハギの花と豆果

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2020/6/14                2023/5/23
イタチハギの花は、神奈川県の城山湖(ダム湖)の近くで初めて見ました。
このイタチハギの花は、紫色に近いもので、Webで見かける写真のものより明るい色でした。
右の写真のイタチハギの花は、兵庫県にある加古川の高砂市側河川敷で見たものです。
Webでよく見る暗紫褐色(見た目焦茶色です)の花で、枯れたような色合いです。

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2020/6/14                2018/8/23
左側は、神奈川県の城山湖の近くで見た、枯れた旗弁やオシベがへばり付いた豆果です。
右側は、新潟県で見かけたイタチハギの豆果で、余計なものが取れるとこうなるようです。


タンキリマメ(Rhynchosia volubilis)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・インゲン連・キマメ亜連・タンキリマメ属>
 
マメ科タンキリマメ属のツル性多年草で、在来種。
別名は、キツネマメ、ウイロウマメ。痰を止める作用があるという俗説が、和名の由来。
日本では、本州の関東地方以西から、四国、九州、沖縄に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、フィリピン、ベトナムに分布する。
茎は長さ2m以上に伸び、全体に毛が多く、茎には下向きの毛が密生する。
葉は3小葉で、小葉は長さ3〜6cm、幅2〜5cmの倒卵形で鈍頭。
頂小葉の基部は楔型で、中央より先寄りで幅が最も広くなる。
葉質はやや厚く、葉裏には黄色い腺点があり、軟毛が密生しており、葉表にも毛がある。
花期は7月〜9月で、葉腋から長さ2〜4cmの総状花序を出し、黄色い豆花を固まって付ける。
花は長さ9mm前後で、翼弁と竜骨弁が前に長く伸び、竜骨弁は細長い。
萼は腺点があり、軟毛が密生して5裂し、最下の萼裂片は萼筒と同じかそれより長い。
豆果は、長さ15mm前後で腺点があり、熟すと果皮が赤くなり、裂開する。
2個の種子は黒色で、果皮に付いたまま落ちない。赤い果皮は、さらに黒紫色に変わっていく。
トキリマメと似ているが、小葉の葉先が尖ること、葉質が薄いことで判別出来る。
また、花では最下の萼裂片が萼筒より明らかに短い点でも区別できる。

2021/4/16
実家近くを散歩中、昨年見かけたタンキリマメの様子が気になり、足を伸ばしました。
タンキリマメの多くは除草されていましたが一部が残っていて、新芽の展開を始めていました。

ゲンゲ(Astragalus sinicus)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ゲンゲ属>



マメ科ゲンゲ属に分類される越年草で、中国原産の帰化植物。
日本では、ほぼ全国に移入分布している。
一般にレンゲ、レンゲソウと呼ばれるが、標準和名はゲンゲである。
根に窒素を固定する根粒を形成するため、緑肥として普及したが、化学肥料の普及などで減少した。
草丈は10〜25cmで、根元で分枝し、茎は地を這い、先は斜上する。
葉は互生し、奇数羽状複葉で、小葉は3〜5対着く。
小葉は長さ10〜15mmの楕円形で、先は丸いか小さく凹む。
葉柄の基部には托葉があり、卵形の膜状で、毛が生えている。
花期は4月〜5月で、葉腋から花茎を真っすぐに立ち上げ、葉より突き出て、先に散形花序を付ける。
花序の直径は20〜30mmほどで、輪生状に紅色の花を付ける。稀に白花も見られる。
蝶形花の旗弁は直立して大きく、淡色の翼弁から先が紅色の竜骨弁が突き出す。
豆果は長さ30mmほどの三角柱状で、熟すと黒くなる。

2021/3/23
実家近くの農道を散歩中、田んぼの縁でゲンゲ[レンゲ]が花を付けているのに気が付きました。
子供の頃には、そこらの田んぼ一面を埋め尽くしていたものですが、最近はとんと見かけません。
極小さな群落でしたが、一面に広がっていた頃から生き残り、種を存続させてきたのでしょうか。


2021/5/11
農道を歩いていて、田んぼをゲンゲが埋め尽くしている所を見つけました。
子供の頃は、全ての田んぼがこのような状態で、赤い絨毯を敷き詰めたようになっていました。


2023/5/4
網引湿原の第1獣害防止ゲートを出た所で、左手にゲンゲ畑が広がっているのに気が付きました。
行くときは足元ばかり見ていたので気付かなかったのですが、畑の半分ほどにゲンゲが咲いていました。
子供の頃には、そこいらじゅうにゲンゲ畑が広がっていたのですが、今はめったに見かけません。
ちなみに、正式和名はゲンゲですが、子供の頃にはレンゲと呼んでいました。

シナガワハギ(Melilotus officinalis subsp. suaveolens)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シナガワハギ属>
 
マメ科シナガワハギ属の越年草で、在来種とする説と東アジアからの帰化種とする説がある。
日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、
インド、ラオス、ベトナムに分布する。
草丈は20〜150cmで、茎は直立あるいは斜上して、多数分枝する。
葉は互生し、3出複葉で、小葉は長さ2〜3cmの狭倒披針形で、浅い鋸歯がある。托葉は線形。
花期は5月〜10月で、葉腋から長く柄を伸ばし総状花序に多数の蝶形花を付ける。
葉腋から長さ3〜10cmほどの総状花序を出し、小さな黄色い蝶形花を多数付ける。
蝶形花の長さは4〜6mmで、旗弁はあまり立ち上がらず、広楕円形で翼弁とほぼ同長。
萼は5裂する。花にクマリンを含むので芳香がある。
果実は長さ4〜6oの惰円形で、表面に網目状の不明瞭なしわがある。
果実には1〜2個の種子を含み、裂開しない。
なお、種子が水に浮くので、河川を介して広範に伝搬し、分布域を広げている。

2021/5/22
昨秋、実家近くの川沿いで見かけたシナガワハギが気になり、見に行ってみました。
そろそろ花期に入っているので、花があるのではと思ったのですが、まだ、咲いていませんでした。
花は咲いていませんでしたが、立ち上がった3出複葉の草姿から、それだと分かりました。

昨秋の様子は、こちらを参照ください。

クスダマツメクサ(Trifolium campestre)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属・Chronosemium亜属>

マメ科・シャジクソウ属の多年草で、ヨーロッパから西アジア原産の帰化植物。
日本では、主に本州と四国に分布するが、北海道や九州にも分布が広がっている。
地を這うよう広がるコメツブツメクサとは異なり、本種は茎が立ち上がり草丈は20〜40pほどになる。
葉は互生し、3小葉で、葉柄は小葉より短い。側小葉は無柄で、頂小葉には5o前後の葉柄がある。
托葉は、長さ7o前後の楕円形で先が尖る。小葉は長さ5〜15o程の楕円形で、葉先のみに鋸歯がある。
花期は5月〜8月で、葉腋に長さは数pの花柄を出し、長さ15〜20oの円筒状の花序を付ける。
萼は、初期には緑色をしているが、開花すると鮮黄色に近くなり、長さ2o前後で、先が5裂する。
開花後、受粉すると花は下向きになり、花が終わっても花冠は落ちずに枯れ残る。

2021/4/20
実家近くの川沿いを散歩中、ガードレールの縁でクスダマツメクサが花を付けていました。
この辺りにはコメツブツメクサがかなり広がっていましたので、見落としていたようです。
花の大きさなど並べると違うことは明瞭ですが、遠目では意識していないと区別しにくいと思います。


クスダマツメクサ       コメツブツメクサ
2021/4/20
上記とは異なる場所で、クスダマツメクサとコメツブツメクサが並んで咲いていました。
左の大きな方がクスダマツメクサで、右の小さな方がコメツブツメクサです。
花序の大きさや花数以外に、クスダマツメクサの小葉の方が細長いことが分かると思います。


2021/5/14
クスダマツメクサの花は大きめなので、大きく広がると黄色い絨毯を敷いたようになります。
左の写真は、クスダマツメクサとミチバタナデシコの花序が並んでいたので撮ったものです。
ほぼ同じ大きさで、直径は十数mmほどになります。

コメツブツメクサ(Trifolium dubium)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属・Chronosemium亜属>

マメ科・シャジクソウ属の多年草で、ヨーロッパ - 西アジア原産の帰化植物。
日本では、全国的に分布している。
コメツブウマゴヤシと間違われることがあるが、コメツブツメクサは地を這うように背が低い。
草丈は20〜40pほどで、茎は良く分枝して横に広がる。
葉は3小葉で、葉柄は数oと短い。
小葉は長さ10o弱の楕円形で、葉脈がはっきり見え、側脈は並行。
花期は5月〜7月で、葉腋から2p程の花序枝を出し、その先に直径7oほどの花序を付ける。
黄色い蝶形花は長さ3oほどで、5〜20個ほどが球状に集まって付く。
授粉後、花は垂れ下り、花冠は枯れてそのまま残り、その中で豆果は成熟する。

2021/3/10
実家近くの農道を散歩中、田んぼの縁でコメツブツメクサが花を付けていました。
この辺りでは少数派のようで、近くのシロツメクサの群生地を避けるように少し広がっていました。
近くを探しましたが、この辺りで見られるのはここのみのようです。


2021/3/21
実家近くを散歩中、道端に広がっているコメツブツメクサに気が付きました。
この辺りではあまり多くはありませんが、気を付けていると時々見かけます。


2023/5/4
網引湿原の駐車場の近くで、コメツブツメクサがちょっとした群落を作っていました。
最近は、少し大きめの花を付けるクスダマツメクサと共に、あちらこちらで見かけるようになりました。

シロツメクサ(Trifolium repens)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属・Trifolium亜属・Trifoliastrum節>



マメ科・シャジクソウ属の多年草で、ヨーロッパ・北アフリカ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国的に分布している。
名前のツメクサ(詰め草)は、乾燥させたものをガラス器の緩衝材に使用したことに由来する。
日本には、明治時代に家畜用の牧草として導入され、それが野生化したもの。
草丈は15〜30cmで、茎は地を這い、節から根を出して広がる。
葉は長さ6〜20cmの葉柄の先に、直径2〜5cmの3出複葉を付ける。
托葉は葉に合着し、小葉には白い班紋があることが多く、鋸歯がある。
稀に2つ葉や4つ葉、5つ葉などが見られ、幸運を呼ぶなどとされている。
花期は5月〜8月で、球形の総状花序が頂生し、花柄は葉柄より長い。
白い筒状の蝶形花は長さ1cm前後で短い柄があり、20〜50個付く。
萼筒の先は5裂し、裂片は先が鋭く尖り、裂片より萼筒の方が長い。
なお、花が淡紅色のものが見られるが、モモイロツメクサという。

※ クローバーの花言葉に関しては、こちらに詳細を掲載しています。

2021/3/10
実家近くの農道を散歩中、農道の両側の縁をシロツメクサが埋め尽くしている所がありました。
ただ、花は数えるほどしかなく、まだこれからといった風情でした。

トガリバツメクサ(Trifolium angustifolium)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属・Trifolium亜属・Trifolium節>


マメ科シャジクソウ属の1年草で、ヨーロッパ南部〜西アジアが原産地。
世界各地に帰化して自生しており、日本では1953年に三重県津市で最初に発見された。
輸入された芝の種子に混じって、意図せず移入されたと考えられている。
現在、北海道(苫小牧)、本州(東京、三重、兵庫)、四国(香川、愛知)で確認されている。
草丈は10〜50cmで、茎は直立して、全草に淡黄褐色の細毛が見られる。
葉は互生して、3出複葉で、小葉は線形で先が尖り、縁は全縁。
花期は5月〜7月で、茎頂の穂状花序に白色〜淡赤紫色の小花を多数付ける。
花は筒状の蝶形花で、萼筒の先は5裂し、裂片は先が鋭く尖り、白色の軟細毛に覆われる。

2023/5/18
加古川の法面でナヨクサフジの写真を撮ろうと降りた時、ガードレールに沿って咲いていました。
最初に見た時、何かモサモサしていて、花が咲いた後、綿毛のようなものが付いた果実のようでした。
近寄ってみると、モサモサの中に白い豆花が見え、形状からツメクサの仲間の花と分かりました。
しかし、このような花は見たことがなく、後で調べていてトガリバツメクサと分かりました。
あまりメジャーではないようですが、この河川敷ではかなり広範囲に生えていました。
下段は、若い花序が徐々に大きくなっていく様子ですが、もっともっと長くなるようですね。
また、小葉も狭楕円形といったところですが、Webで見ると先の尖った線形になるようです。


     .
2023/5/26
マツヨイグサの写真を撮りに行った際、法面を覆っている所を撮ってきました。
邪魔をするものがないので、部分的ではありますが、びっしりと群生しています。
下段は、葉の部分を拡大したもので、細毛がびっしり生えているのが分かると思います。

ベニバナツメクサ(Trifolium incarnatum)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属・Trifolium亜属・Trifolium節>


マメ科シャジクソウ属の1年草で、ヨーロッパ、西アジア原産の帰化植物。
日本には、明治時代に牧草として移入され、野生化したもの。
茎は束生して数十cmに立ち上がり、その先に濃紅色の花が円錐形に集まった花序を付ける。
葉は、先端が浅くへこんだ3枚の小葉からなる複葉で、互生する。
ムラサキツメクサのように茎の途中にも葉を付けるが、白い輪紋は無い。
別名として、クリムゾンクローバー(英名)やストロベリーキャンドルの名を持つ。

2021/5/11
実家近くの農道を車で通ったとき、農道脇の所々を真っ赤に染めているベニバナツメクサを見かけました。
それ以来、近くに行く機会がなかったのですが、思い出して出かけてみると、すっかり花は終わっていました。
最初に見かけたのが4月中旬でしたので、3週間ほどで咲き終わってしまったようです。
真っ赤な所を撮りたかったのですが、花序が咲き終わって伸びきり、エノコログサの群落のようですね。
それでも、一部に咲き残ったものがありましたので、探して撮ったのが下段の写真です。
左端が咲き始めの頃の花序で、左に向かって咲き進み、最後は上段のような姿になります。


2022/4/30
昨年撮り損ねたベニバナツメクサが一面に咲くところを、今年は撮影できました。
最初に見たときは一面が真っ赤に見えたのですが、写真にするとそれほどでもありません。
部分的に切り取ると左のようにかなり赤く染まって見えますので、その印象が強かったのでしょう。

ムラサキツメクサ(Trifolium pratense)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・シャジクソウ連・シャジクソウ属・Trifolium亜属・Trifolium節>

2021/5/14                 2021/5/22
マメ科・シャジクソウ属の多年草で、ヨーロッパ、西アジア及び北西アフリカ原産の帰化植物。
別名はアカツメクサで、白花のものはセッカツメクサともいう。
日本には、シロツメクサと同時期に牧草として移入され、野生化したもの。
地上を這うシロツメクサと異なり、茎は数十cmの高さになる。
葉は互生し、3出複葉。いわゆる三つ葉で、全体で直径15〜30mmになる。
各小葉には、中ほどに三日月形の白い模様が入り、縁には細かい鋸歯がある。
葉柄は長さ1〜4cmで、2本の托葉を持つ。
花期は5月〜8月で、球形の花序を頂生する。花柄は短く、シロツメクサのように長くならない。
花冠は長さ12〜18mmで、萼は筒型で先が5裂する。花は筒状の蝶形花である。
花色は、ピンクのものが多いが変異があり、白に近いものから紅紫色のものまである。

2021/5/14,22
実家近くの川沿いを散歩中、道路脇でムラサキツメクサ見かけました。
この辺りでは少数派で、あまり見かけません。


2023/5/18
加古川の法面でナヨクサフジの写真を撮ろうと降りた時、法面の所々で咲いていました。
あまり数は多くなく、ここで幅を利かせていたのがトガリバツメクサでした。

エンドウ(Pisum sativum L.)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・エンドウ属>

<サヤエンドウ>              <実エンドウ>

<スナップエンドウ>
マメ科の一年草または越年草で、広く栽培され、食用となっている。
古代オリエント地方や地中海地方で麦作農耕の発祥とともに栽培化された豆でもある。
麦作農耕とともにユーラシア各地に広まり、5世紀に中国に、9〜10世紀に日本へは伝わったとされる。
エンドウには、莢の硬さにより硬莢種(こうきょうしゅ)と軟莢種(なんきょうしゅ)がある。
硬莢種は文字通り莢が硬く、完熟して乾燥した豆を利用するものである。
軟莢種は、未熟な豆果をサヤエンドウとして利用したり、完熟した生豆をグリーンピースとして利用する。
原産地が地中海性気候の近東地方であるため、夏は成長適期ではなく、秋に蒔いて春に収穫する。
花期は3月〜5月で、硬莢種の花は紅色であり、軟莢種の花は白色が多い。

2024/3/13
昨年の秋に撒いておいたエンドウが、春が近づいてきて、大きく育ってきました。
一昨年は、早春の餌のない時期にムクドリの大群に食べられて、ほぼ全滅してしまいました。
そのため、今年は防鳥ネットで保護したのですが、そのおかげで無事に育ってくれました。
ただ、種類による成長の違いがあり、サヤエンドウが最も成長が早く、次が実エンドウです。
発芽率が悪く、成長が最も遅いのがスナップエンドウで、かなり見た目が異なります。

※ 冬が暖かいと1月に開花してしまうこともありますが、普通は3月以降が多いです。
ただ、この冬は暖冬と言われながらそこそこ寒かったようで、上記のように開花はしていません。


<サヤエンドウ>

<実エンドウ>

<スナップエンドウ>
2024/4/7
相変わらず、サヤエンドウが最も大きく、スナップエンドウは成長が悪いのは変わりません。
それでもほぼ同じ頃から花が咲き始めました。サヤエンドウのみ花色が異なります。
袋に「赤花絹さや」と書かれているように、旗弁が淡紅紫色で、翼弁の濃赤紫色が目立ちます。
スナップエンドウに関しては、他の2種よりも花序柄が長めのようです。

ソラマメ(Vicia faba)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属>

マメ科の一年草または越年草で、西南アジアから北アフリカが原産で、古くから世界各地で栽培されている。
草丈は50〜80cmほどになり、茎は太く、断面は四角形で稜があって中空。
葉は偶数羽状複葉で、1〜3対の小葉からなる。小葉は楕円形で、先は丸い。
花期は3月〜4月で、葉腋に極短い総状花序を出し、数個前後の花を付ける。
花は白〜淡紫色で直径30o前後、旗弁には黒い筋状の斑紋があり、翼弁には黒い大きな斑紋がある。
豆果は長楕円形で、上に向かって直立する。その様が空に向かっているように見えることが和名の由来。
中には3〜5個の種子が入っており、熟すと黒変する。

2021/3/10
実家近くの農道を散歩中、道路脇の畑で、ソラマメが花を付けていました。
以前、自宅近くで見たソラマメの花は白かったのですが、ここのソラマメは赤紫色です。


2024/3/28
昨年、畑に植えておいたソラマメですが、気付いたら花が咲いていました。
ホームセンターで買った苗ですが、特に品種名は書いてありませんでした。
このソラマメの花は、関東で見かけたものと同じ白に紫色の筋が入っているものです。


     2024/4/7                2024/4/11
3月末では咲いている花はポツポツでしたが、10日程で一気に花数が増えました。
どれくらい結実するかは分かりませんが、これからが楽しみです。


ソラマメの花の色の違い

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2018/4/3<関東で見たそら豆の花>     2021/3/10<関西で見たそら豆の花>
  地域による違いではないと思いますが、花の色がまったく異なります。
今回、調べ直した結果、花の色の違いは品種の違いと分かりました。
・白い花 緑陵西一寸(みどりりょうさいいっすん)など
・紫色の花 打越一寸(うちこしいっすん)など


カスマグサ(Vicia tetrasperma)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属>

2021/4/6                 2021/4/6

2021/4/6                 2021/4/10
マメ科ソラマメ属のつる性の越年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、アジア、アフリカ、ヨーロッパと広範囲に分布する。
和名は、大きさがカラスノエンドウとスズメノエンドウの中間であることに由来。
つまり、両者の中間の大きさということで、カとスの間(マ)という訳である。
ただ、カラスノエンドウの標準和名はヤハズエンドウなので、ヤスマが正しいのかも。
草丈は20〜30cmで、茎は細く、長さは30〜60cmになる。
葉は互生し、羽状複葉。小葉は長さ6〜7mmの狭長楕円形で、4〜6対付く。
葉先の巻きひげは、葉が変化したもので1〜2分する。
花期は4月〜6月で、長い花枝の先に1〜3個(2個が多い)付く。
花の長さは5mm前後で、花色は淡青色〜淡紅紫色。旗弁に脈状の模様がある。
果実は長さ10〜13mmの豆果で、無毛。種子が3〜6個(4個が多い)入っている。
豆果は淡褐色〜褐色に熟し、種子は球形で、ウズラの卵のよう斑紋がある。

2021/3/10
実家近くの川沿いを散歩中、土手の法面でカスマグサが群生していることに気が付きました。
近くにはスズメノエンドウの大きな群落があり、最初、全てスズメノエンドウだと思っていました。
それが、少し赤っぽい花が混ざっていることに気が付き、近くで見てカスマグサと分かりました。
近くにはヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)の大群落もあり、3者そろい踏みといったところです。


似た者同士の花と豆果比較
スズメノエンドウ・カスマグサ・ヤハズエンドウ[カラスノエンドウ]

スズメノエンドウ
カスマグサ
ヤハズエンドウ

花(花枝の先に4個前後)

花(花枝の先に2個前後)

花(花は葉腋に数個)

豆果(長さ6〜10mm)

豆果(長さ10〜13mm)

豆果(長さ3〜5cm)

3つの豆果を並べたもので、上段
はヤハズエンドウ、下段左はカス
マグサ、右はスズメノエンドウ
豆果の大きさ以外に、豆果の付き
方にも違いがある。
ヤハズエンドウには長い柄はなく、
2他の種には長い柄がある。
また、ヤハズエンドウは斜め上向
きで、他の2種は下向きに付く。

スズメノエンドウ(Vicia hirsuta)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属>


マメ科ソラマメ属のつる性の越年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、ユーラシア大陸などの温暖帯に広く分布する。
葉は、12〜14枚の小葉からなり、先端は巻ひげになる。
花期は4月〜6月で、花は葉腋から伸びた柄の先に4個前後付き、花色は、白に近い淡青色。
豆果は、長さ6〜10mmで短毛があり、下向きに付く。豆は2個入っていることが多い。

2021/3/10
実家近くを散歩中、歩道の縁石に沿ってスズメノエンドウが群生していました。
花は咲いているのかと目を凝らすと、そこそこの数の花が付いていることが分かりました。
直ぐ近くにあったヤハズエンドウが1輪だけの開花なのに対して、少し開花が早いようです。


2021/3/22
自宅近くの川沿いを散歩中、土手の法面にスズメノエンドウの大群落がありました。
ヤハズエンドウより生長が早く、花数も桁違いに多いように思います。


2021/4/10
スズメノエンドウが豆果をつけていましたが、種子は大きくはなく、まだ鞘に膨らみはありません。

カスマグサやヤハズエンドウの豆果との比較に関しては、こちらを参照ください。

ヤハズエンドウ(Vicia sativa subsp. nigra)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属>



地中海沿岸が原産の帰化植物で、越年草。日本では、全国的に分布している。
標準和名は「ヤハズエンドウ」であるが、「カラスノエンドウ」という名前が一般には知られている。
いたるところで極普通に見られる雑草であるが、古代には食用にされていた。
草丈はつる性で10〜30cmになる。茎は全体に毛があり四角柱状。
葉は偶数羽状複葉で、小葉は4〜8対。葉の先端は2〜3分岐した巻ひげとなる。
小葉は有毛で、先が浅く凹んだ形が矢筈(やはず)に似ているのが和名の由来。
托葉は深い切れ込みがあり、褐色の腺点(花外蜜腺)が付くのが特徴である。
花期は3月〜6月で、花は葉腋に数個付き、長さ12〜18mmの紅紫色。
旗弁の裏は色が薄く、花柄はほとんど無い。萼は5裂して先が尖り、萼歯は萼筒より短い。
豆果は斜上し、扁平で長さ3〜5cmで、5〜10個の種子が入っている。
熟すと真っ黒になって2つに裂け、果皮がよじれて黒い種子をはじき飛ばす。

2021/3/7
実家近くを散歩中、線路脇でヤハズエンドウが2輪だけ、花を付けていました。
まだ、河川敷などでは花は咲いていませんでしたので、ちょっと気が早い個体のようです。


2021/3/10
実家近くの歩道の縁石脇にスズメノエンドウが群生し、その近くにヤハズエンドウもありました。
ただ、線路脇で見かけたのと同じで、開花しているのは1輪だけで、大きなツボミも1個だけでした。
そこそこ花が咲いているスズメノエンドウよりも、ヤハズエンドウは少し開花が遅いようです。


2021/4/10
ヤハズエンドウの豆果です。左の豆果は、まだ未熟で種子は大きくなっていません。
右の豆果は、種子が大きくなって鞘が膨らんでいます。
ちなみに、左の写真で後ろに写っている花は、スズメノエンドウです。
また、右の写真で下の方などに写っている小さな豆果は、カスマグサの豆果です。

カスマグサやスズメノエンドウの豆果との比較に関しては、こちらを参照ください。

ナヨクサフジ(Vicia villosa subsp. varia)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属>

マメ科ソラマメ属のつる性の1年草または越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
茎は良く分枝して、他の物に巻き付いて広がり、長さ2mほどになる。
葉は互生し、羽状複葉で頂片は巻ひげとなる。小葉は狭楕円形で、10対ほどある。
基部には不規則な形状の托葉がある。
花期は5月〜8月で、葉腋に花序を出し、長さ15oほどの蝶形花を1方向に穂状に付ける。
花色は、咲き始めは淡紅色であるが、徐々に淡紫色になる。
旗弁の爪部(筒状部)が長く、旗弁の舷部のほぼ倍の長さがある。
萼筒はほぼ無毛で、花柄が萼筒の下側に付くので、基部の丸く膨らんだ所が後に付きだす。
なお、和名は「弱草藤」で、ナヨナヨとしたクサフジを意味している。

2021/5/11
実家近くの農道脇で、ベニバナツメクサの近くにナヨクサフジが咲いているのを見かけました。
最近、あちらこちらで見かけるようになった気がします。


2023/5/4
網引湿原のバイオトイレの近くで、ナヨクサフジが何ヶ所かで花を付けていました。
最近、分布域を広げているマメ科の帰化植物で、ときどき見かけるようになりました。
ナヨナヨとひ弱そうな名前ですが、決して侮れません。根絶が難しい雑草です。



2023/5/18
加古川沿いの道路を走っていて、川沿いにナヨクサフジが一列に連なっているのが見えました。
堤防下の通路沿いで、川岸側に延々と続いていて、絵になりそうだったので降りることにしました。
しかし、降りてみると一列に続いてはいるのですが、横から見ると邪魔者があったりで今一つでした。
で、上記のような変わり映えしない写真となってしまいました。
ただ、降りたことで初見のトガリバツメクサなど、いろいろな草本を見ることができました。

ハマエンドウ(Lathyrus japonicus)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・レンリソウ属>

マメ科レンリソウ属の多年生で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州の海岸に分布する海浜植物。
茎は地を這って広がり、先は立ち上がり、翼はない。全体に粉白色を帯びて白緑色。
葉は偶数羽状複葉で、葉の先端には2分岐した巻きひげがあり、樹などがあると巻き付いて立ち上がる。
小葉は長さ15〜30oの楕円形で、先は小さくぽつんと尖る。托葉は小葉ほどの大きさがあり、茎を抱く。
花期は4月〜7月で、花は総状に数個付き、長さは30oほどある。
旗弁は、開花初期には赤紫色であるが、徐々に青紫色に変わる。まれに白花もある。
翼弁は竜骨弁を被い、淡赤紫色から白色と変異がある。
萼は長さ15o前後で、不同長に裂け、萼筒より長い。裂片の先は尖る。
豆果は長さが5cmほどで、熟すと黒褐色となり、無毛。

2021/3/6
昨年の秋、虫に食われて葉が無くなっていたハマエンドウですが、新葉を展開し始めていました。


2020/11/29                   2021/3/6  .

2021/3/20
上段左は、ニホンチュウレンジと思われる青虫に、葉をすっかり食い尽くされたハマエンドウです。
3月初めに見に行くと、葉を食い尽くされて枯れた茎の間から、新葉が展開し始めていました。
下段は、その2週間後の様子ですが、食害されることもなく、順調に伸び出していました。


2021/4/10
ハマエンドウの花はどうなったか見に行くと、既にツボミが大きく膨らんでいました。
この様子では、間もなく開花となりそうです。


2021/4/14
ハマエンドウですが、まだ、花数は少ないものの開花し始めていました。


2021/4/16
ハマエンドウの花数が増えてきて気が付いたのですが、花の色が同じではないのです。
開花初期には左のように赤紫色なのですが、時間が経つと青みが強くなって青紫色に変わります。


2021/5/22
多くの花を付けていたハマエンドウですが、花はすっかり終わり、豆果になっていました。


2021/6/5

2021/6/5 採取
しばらく経って、ハマエンドウの様子を見に行くと、すっかり熟して茶色くなっていました。
豆果を2個採取して、後日撮影したのが下段の写真で、色もエンドウマメに近い気がします。

ハイメドハギ(Lespedeza cuneata var. serpens)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ヌスビトハギ連・ハギ亜連・ハギ属>

マメ科ハギ属の多年草で、在来種。メドハギの変種である。
日本では本州、四国、九州に分布し、海外では中国に分布する。
草丈は10〜50cmで、茎が地を這って広がり、普通、茎には開出毛がある。
ただし、毛が無いものもあり、毛があるものをケハイメドハギと分けることもある。
葉は3小葉で、密に付く。頂小葉は長さ7〜25mmで、他の小葉より若干大きい。
メドハギよりやや短かく幅がやや広めの長卵形で、先は円頭〜やや凹頭。
花期は8月〜10月で、花は葉腋に3〜4個集まって付き、長さは6〜7mm。
ツボミは紫色。花は旗弁の裏が紫色で、表の中央部が端まで紫色。
舟弁の先も紫色になる。萼は5裂し、萼片の幅は狭い披針形で、先が尖る。
なお、閉鎖花も葉腋に数個ずつ付く。
果実は2.5〜3mmの扁平な円形〜楕円形で、毛が散生して、種子は1個だけ入る。

2022/5/30
昨年見かけた川沿いのハイメドハギですが、今年も既に開花していました。
本来の花期は夏なのですが、ここでは晩春には開花するようです。
コンクリート護岸の隙間に生えているので、他の場所より暖かいのでしょうか。

ミヤコグサ(Lotus japonicus)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ミヤコグサ連・ミヤコグサ属>



マメ科ミヤコグサ属の多年草で、在来種。道端から海岸沿いまで、日当たりの良い背の低い草原などに多い。
日本では北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。海外ではインド以東の東アジアに広く分布する。
なお、元来は史前帰化植物で、ムギ類の栽培に付随して持ち込まれたと推測されている。
茎は根元で分枝して、地を這い、15〜35cmに伸びて、横に広がる。
葉は互生し、3出複葉で、基部にある1対の托葉は小葉と変わらないため、5小葉に見える。
花期は5月〜6月で、葉腋から花茎を立ち上げ、その先に1〜4個の蝶形花を固まって付ける。
その花の基部には3個の総苞があり、その形は普通の葉と同じ形状をしている。
萼は筒状で、先は裂ける。黄色い花は長さ10〜15mmで、2個の竜骨弁は合着して筒状。
豆果は長さ20〜35oほどの円柱形で、熟すと2裂してねじれ、黒い種子を弾き飛ばす。
和名は、京都で特によく見られたことに由来する。

2022/4/30
高砂市の鹿嶋神社にほど近い墓地、その周辺を黄色くしていたのがミヤコグサでした。
遠目で見た時、タンポポでも咲いているのかと思ったのですが、全く違いました。
花茎の先の花数が数個程度なのでミヤコグサです。セイヨウミヤコグサは倍くらい付きます。
黄色い花がかなりまとまって咲いているので、法面などが所々で黄色くなってまだら模様でした。


2023/5/4
昨夏は網引湿原近くの新池の土手で見かけたのですが、今回は駐車場近くの何ヶ所かで咲いていました。
多少、勢力範囲を広げたのかもしれません。
本種も含め、コメツブツメクサやニガナ、ハナニガナ、オオジシバリなどこの辺には黄花が多いですね。









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